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Patent Searching and Data


Title:
SAFETY TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146714
Kind Code:
A1
Abstract:
Intended is to provide a safety tire, which has a relatively simple structure, which can use the conventional rim and which can exhibit the internal pressure holding function of a partition sufficiently while improving the durability better than the prior art. The safety tire (1) includes an annular partition (7) extending between two bead portions (3) for partitioning the space defined between the tire (1) and the rim (8), into an inner chamber (9) and a partitioned outer chamber (10), while the internal pressure of the tire is normal, so that it is radially enlarged, when the internal pressure of the tire drops, thereby to support the load in place of the tire. On the outer face of at least the crown portion (7a) of the partition (7), there is disposed contact blocking means (12), which is interposed between the partition (7) and the tire inner face, when the partition (7) is radially enlarged, thereby to block their direct contact at least partially. The partition (7) is equipped with a communication portion for establishing the communication between the inner chamber (9) and the partitioned outer chamber (10) while limiting the flow velocity.

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Inventors:
KOUNO YOSHIHIDE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059476
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
KOUNO YOSHIHIDE (JP)
International Classes:
B60C17/01
Foreign References:
JPH05104916A1993-04-27
JP2004130822A2004-04-30
JP2002166711A2002-06-11
JPH0169003U1989-05-08
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (3-2-1 Kasumigasek, Chiyoda-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、
 前記安全タイヤは、前記両ビード部間に延びる拡径変形可能な環状の隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態ではタイヤ径方向内方に位置する隔膜内室及びタイヤ径方向外方に位置する隔膜外室の2室に分画する隔膜と、
 前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配設され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触阻止手段と、を具え、
 前記隔膜は、前記隔膜内室と隔膜外室を連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤ。
一対のビード部、該ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール部、及び両サイドウォール部間にまたがって延びるトレッド部を有する安全タイヤにおいて、
 前記安全タイヤは、膨張可能な中空円環状をなす隔膜であり、タイヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリムとの間に画定される空間を、タイヤの内圧が正常な状態では該隔膜内部の隔膜内室と該隔膜外部の隔膜外室の2室に分画するようタイヤの内側に配置された隔膜と、
 前記隔膜の少なくともクラウン部の外面上に配置され、該隔膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ内面との間に介在してこれらの直接接触を少なくとも部分的に阻止する接触防止手段と、を具え、
 前記隔膜は、環体隔膜の内部とタイヤの内側とを連通する少なくとも1つの連通部を有することを特徴とする安全タイヤ。
前記接触阻止手段を、タイヤの内圧が正常な状態における前記隔膜の最大幅位置まで配設してなる、請求項1又は2に記載の安全タイヤ。
前記接触阻止手段を、前記隔膜が拡径変形した状態にて、前記サイドウォール部の内側に対応する前記隔膜のサイド部まで配設してなる、請求項1~3の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記接触阻止手段は、シーラント剤を前記隔膜の外面上に適用して形成したシーラント層である、請求項1~4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記接触阻止手段は、緩衝部材である、請求項1~4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記接触阻止手段は、複数の突起部材である、請求項1~4の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記突起部材間にシーラント剤を適用してなる、請求項7に記載の安全タイヤ。
前記接触阻止手段の厚さは、少なくとも0.5mm以上である、請求項1~8の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記連通部は、前記隔膜を貫通する小孔である、請求項1~9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記連通部は、前記隔膜を貫通する開口とこれを覆うフィルタ部材とを有する、請求項1~9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記連通部は、前記隔膜内室と前記隔膜外室の差圧により開閉する弁部材を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記連通部は、タイヤをリムに装着し所定の内圧を充填した状態にて、前記隔膜内室の内圧を前記隔膜外室の内圧以上に調整する、請求項1~12の何れか一項に記載の安全タイヤ。
前記隔膜は、破断伸びが50%以上である、請求項1~13の何れか一項に記載の安全タイヤ。
Description:
安全タイヤ

 この発明は、パンク等によってタイヤ内 が急激に低下したランフラット状態におい も安全な停止が可能で、ある程度の距離の 行が可能である安全タイヤに関し、特にラ フラット状態におけるタイヤの耐久性の向 を図る。

 安全タイヤとしては、空気のう、発泡体 弾性体、中子等にタイヤ負荷を肩代わり支 させるタイヤや、シーラント剤を塗布又は 填してタイヤに生じた孔等の損傷部を塞い 内圧低下を防止したタイヤ等が知られてい 。しかし、これら従来の安全タイヤは、構 が複雑なため、不良率が高くなったり、製 効率が低下したりする場合が多かった。ま 、空気のうに空気を充填するためのバルブ 、中子を取り付けるための構造を具えた専 のリムを準備しなければならない場合もあ た。

 比較的単純な構造の安全タイヤとして、 えば特公昭37-1754号公報には、両ビード部間 に配設した膨張可能な環状の隔膜により、タ イヤの内部空間を、リムに隣接する内側室と タイヤのトレッド部内面に隣接する外側室の 2室に分画したタイヤが記載されている。か るタイヤでは、内側室及び外側室に空気を 填した状態で通常の走行を行い、パンク等 より外側室の空気が抜け、内圧が低下した 合には、内側室の内圧が荷重を支持するこ でランフラット走行を可能としている。

 しかしながら、上記文献に記載された安 タイヤは、外側室に空気を充填するための ルブをタイヤのサイドウォール部に設ける 要があり、これはタイヤの製造工程を複雑 する上、タイヤの重量が増加し、ユニフォ ティ等のタイヤの性能を損なうという問題 あった。

 従来技術が抱えるこのような問題点を解 するため、本願人は、特願2007-25527号におい て、タイヤをリムに装着した際にこれらタイ ヤとリムとの間に画定される空間をタイヤ径 方向内側及び外側の2室に分画する、拡径変 可能な環状の隔膜を配設し、これら内側室 外側室を、隔膜に設けられた流速を規制す 手段を介して連通した安全タイヤを提案し 。しかし、かかる安全タイヤでは、タイヤ 釘踏み等によりパンクしたときに、その釘 、拡径変形した隔膜にまで達して隔膜が損 することがあり、その結果、隔膜が有する 圧保持機能を十分に発揮し得ないというお れがあった。

 従って、この発明は、これらの問題点を 決することを課題とするものであり、その 的は、構造が比較的に単純であり、従来の ムが使用可能であり、従来技術に比べて耐 性を向上させながらも、隔膜の有する内圧 持機能を十分に発揮し得る安全タイヤを提 することにある。

 前記の目的を達成するため、第1の発明は 、一対のビード部、該ビード部からタイヤ径 方向外側に延びる一対のサイドウォール部、 及び両サイドウォール部間にまたがって延び るトレッド部を有する安全タイヤにおいて、 前記安全タイヤは、前記両ビード部間に延び る拡径変形可能な環状の隔膜であり、タイヤ をリムに装着した際にこれらタイヤとリムと の間に画定される空間を、タイヤの内圧が正 常な状態ではタイヤ径方向内方に位置する隔 膜内室及びタイヤ径方向外方に位置する隔膜 外室の2室に分画する隔膜と、前記隔膜の少 くともクラウン部の外面上に配設され、該 膜が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイ 内面との間に介在してこれらの直接接触を なくとも部分的に阻止する接触阻止手段と を具え、前記隔膜は、前記隔膜内室と隔膜 室を連通する少なくとも1つの連通部を有す ことを特徴とする安全タイヤである。

 また、第2の発明は、一対のビード部、該 ビード部からタイヤ径方向外側に延びる一対 のサイドウォール部、及び両サイドウォール 部間にまたがって延びるトレッド部を有する 安全タイヤにおいて、前記安全タイヤは、膨 張可能な中空円環状をなす隔膜であり、タイ ヤをリムに装着した際にこれらタイヤとリム との間に画定される空間を、タイヤの内圧が 正常な状態では該隔膜内部の内側室と該隔膜 外部の外側室の2室に分画するよう、タイヤ 内側に配置された隔膜と、前記隔膜の少な ともクラウン部の外面上に配置され、該隔 が拡径変形した状態にて、該隔膜とタイヤ 面との間に介在してこれらの直接接触を少 くとも部分的に阻止する接触防止手段と、 具え、前記隔膜は、環体隔膜の内部とタイ の内側とを連通する少なくとも1つの連通部 有することを特徴とする安全タイヤである

 上記構成を採用することにより、タイヤ パンクした場合にも、隔膜外室内の空気が けるのみで、隔膜内室内の空気が膨張して 重を支持するので、ランフラット走行が可 となる。また、構造が比較的単純で、かつ 量でありながら、通常内圧での走行時に隔 がタイヤ内面に接触するおそれが少なく、 って損傷のおそれも少ない。さらに、第1発 明にあっては、連通部を介して隔膜内室から 隔膜外室に空気を供給することができ、第2 明にあっては、連通部を介して隔膜外室か 隔膜内室に空気を供給することができるの 、従来のリムに装着することが可能である 加えて、釘等の鋭利な異物が刺さることが 較的多いトレッド部に対応する領域に接触 止手段を具えているので、鋭利な異物によ タイヤがパンクした場合にも、その異物に って隔膜が損傷するおそれがない。従って この発明の接触阻止手段は、特に軽量化、 リープ抑制等の観点により、安全タイヤを 成する隔膜の重量をできる限り軽く、つま 隔膜の肉厚を薄くすることを意図した安全 イヤにおいて、内圧保持機能を確実かつ安 的に提供するために極めて重要な要素とな 。

 なお、ここでいう「タイヤの内圧が正常 状態」とは、タイヤをリムに装着して構成 れたタイヤとリムの組立体にて、隔膜内室 隔膜外室に所定の内圧が適用され、ランフ ット走行以外の通常の走行が可能な状態を う。隔膜の「クラウン部」とは、隔膜が拡 変形した際に、タイヤのトレッド部の内面 対応する領域をいう。隔膜の「外面」とは タイヤ内面に近い方の表面、すなわちタイ 径方向外側の表面を指す。

 接触阻止手段は、タイヤの内圧が正常な 態における隔膜の最大幅位置まで配設する とが好ましく、隔膜が拡径変形した状態に 、サイドウォール部の内側に位置する隔膜 サイド部まで配設することがより好ましい

 また、接触阻止手段は、シーラント剤を 膜の外面上に適用して形成したシーラント であることが好ましい。シーラント剤は、 硬化タイプ、すなわち隔膜の外面上に適用 も所定の流動性を有するものが好ましい。

 又は、接触阻止手段は、緩衝部材、特に スポンジ材からなる緩衝部材であることが ましい。ここでスポンジ材は、海綿状の多 構造体であり、例えばゴムや合成樹脂を発 させた連続気泡を有するいわゆるスポンジ のものの他、動物繊維、植物繊維又は合成 維等を絡み合わせて一体に連結したものを 含む。

 あるいは、接触阻止手段は、複数の突起 材であることが好ましく、これらの突起部 間にシーラント剤を適用することがより好 しい。

 さらに、接触阻止手段の厚さは、少なく も0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上5m m以下とすることがより好ましい。ここで接 阻止手段の厚さとは、タイヤの内圧が正常 状態、すなわち隔膜が接触阻止手段を介し タイヤ内面に接触していない状態における 触阻止手段の厚さである。

 さらにまた、連通部としては、隔膜内室と 膜外室の間を連通しつつも、パンク等によ タイヤ内圧が急激に低下した際に、これを 過する空気の流量を制限して、隔膜内室と 膜外室の間に差圧を生じさせるものであれ 特に限定されないが、軽量化の観点からは 膜を貫通する小孔とするか、又は隔膜を貫 する開口とこれを覆うフィルタ部材とで構 することが好ましい。連通部として小孔を いる場合には、その直径が0.5~5mmの範囲内に あることが好ましく。また、連通部にフィル タ部材を用いる場合には、不織布を用いるこ とが好ましく、この不織布としては目付が5~1 000g/m 2 の範囲内にあることが好ましい。

 これらに代えて、連通部を隔膜内室と隔 外室の差圧により開閉する弁部材とするこ もできる。利用可能な弁部材としては、チ ック弁、リリーフ弁等を適用することがで る。

 さらに、連通部は、タイヤをリムに装着 所定の内圧を充填した状態にて、隔膜内室 内圧を隔膜外室の内圧以上に調整すること 好ましく、隔膜内室の内圧を隔膜外室の内 に対して100~110%の範囲内に調整することが らに好ましい。このように差圧を調節する とで、タイヤの内圧が適正範囲に保たれた 常内圧状態において隔膜がリムやタイヤ内 と接触して破損するのを防止しつつ、内圧 下時には迅速に隔膜を拡張させることがで る。

 加えて、隔膜は、タイヤが正常内圧状態 あるときには、隔膜内室と隔膜外室とを画 しつつもトレッド部内面に接触せず、一方 タイヤの内圧が低下したランフラット状態 あるときには、速やかに拡径変形してタイ に加わる荷重を肩代わり支持できるもので れば、材質、物性、形状等に特に制限はな が、ランフラット状態での隔膜の破損を防 する観点からは、その破断伸びが50%以上で ることが好ましい。

 この発明によれば、従来の安全タイヤと 較して、単純な構造で内圧低下時の荷重支 を行うので、軽量化を図ることができ、か 、隔膜の破損を防止できるので、隔膜の有 る内圧保持機能が十分発揮し得る。

図1は、第1発明に従う代表的な安全タ ヤをリムに装着して構成したタイヤとリム 組立体のタイヤ幅方向における断面を、内 を適用する前後の状態で示した断面図であ 。 図2は、図1に示すタイヤにおいて内圧 低下した状態を示した断面図である。 図3は、第2発明に従う代表的な安全タ ヤをリムに装着して構成したタイヤとリム 組立体のタイヤ幅方向における断面を、内 を適用する前後の状態で示した断面図であ 。 図4は、図3に示すタイヤにおいて内圧 低下した状態を示した断面図である。 図5は、第2発明の他の実施形態にかか タイヤをリムに装着して構成したタイヤと ムの組立体のタイヤ幅方向における断面を 内圧を適用する前後の状態で示した断面図 ある。 図6は、第2発明に好適な隔膜を示す図 ある。 図7は、第1発明の他の実施形態にかか タイヤをリムに装着して構成したタイヤと ムの組立体のタイヤ幅方向における断面を 内圧を適用する前後の状態で示した断面図 ある。 図8は、第1発明の他の実施形態にかか タイヤをリムに装着して構成したタイヤと ムの組立体のタイヤ幅方向における断面を 内圧を適用する前後の状態で示した断面図 ある。 図9は、第2発明の他の実施形態にかか タイヤをリムに装着して構成したタイヤと ムの組立体のタイヤ幅方向における断面を 内圧を適用する前後の状態で示した断面図 ある。 図10(a)、(b)はともに、この発明に好適 接触阻止手段を示す拡大断面図である。 図11(a)~(c)はそれぞれ、この発明に好適 な接触阻止手段の平面図であり、(d)、(e)はそ れぞれ、この発明に好適な接触阻止手段の断 面図である。 図12は、第1発明に従う他のタイヤをリ ムに装着して構成したタイヤとリムの組立体 のタイヤ幅方向における断面を、内圧を適用 する前後の状態で示した断面図である。 図13は、第1発明に従う他のタイヤをリ ムに装着して構成したタイヤとリムの組立体 のタイヤ幅方向における断面を、内圧を適用 する前後の状態で示した断面図である。 第2発明の他の実施形態にかかるタイ をリムに装着して構成したタイヤとリムの 立体のタイヤ幅方向における断面を、内圧 適用する前後の状態で示した断面図である 第2発明の他の実施形態にかかるタイ をリムに装着して構成したタイヤとリムの 立体のタイヤ幅方向における断面を、内圧 適用する前後の状態で示した断面図である

符号の説明

1、21 タイヤ
3 ビード部
4 サイドウォール部
5 ショルダー部
6 トレッド部
7、22 隔膜
7a、22a 隔膜のクラウン部
7b、22b 隔膜のサイド部
8 リム
9、23 隔膜内室
10、24 隔膜外室
11、11’ 連通部
12 接触阻止手段
13 充填バルブ
14 突起部材
15 シーラント剤
25 磁石
26 円筒
27 リブ
30 排気バルブ

 以下、図面を参照しつつ、第1発明及び第 2発明の実施の形態を説明する。まず、図1は 第1発明に従う代表的な安全タイヤ(以下「 イヤ」という。)をリムに装着して構成した イヤとリムの組立体のタイヤ幅方向におけ 断面を、内圧を適用する前後の状態で示し 断面図である。図2は、図1に示すタイヤに いて内圧が低下した状態を示した断面図で る。

 図1に示すように、この実施形態のタイヤ 1は、ビードコア2を埋設した一対のビード部3 と、このビード部3からタイヤ径方向外側に びる一対のサイドウォール部4と、さらにそ 外側に延びる一対のショルダー部5と、両シ ョルダー部5の間に、またがって延びるトレ ド部6を有する。なお、図示は省略したが、 のタイヤは、慣例に従い、カーカス、ベル 層等の他のタイヤ構成部材も有する。

 また、タイヤ1の内部には、一対のビード 部3の間に延びる拡径変形可能な環状の隔膜7 タイヤの全周にわたって配設されている。 の隔膜7は、タイヤ1をリム8に装着した際に タイヤ1とリム8との間に画定される空間を タイヤ径方向内側に位置しリム8に隣接する 膜内室9と、タイヤ径方向外側に位置しタイ ヤ1の内面に隣接する隔膜外室10との2室に分 するものである。また、隔膜7には隔膜内室9 と隔膜外室10との間を流速を制限しつつ連通 る連通部11が設けられており、この実施形 では、連通部11は隔膜7を構成する材料にこ を貫通する小孔を開けることで構成されて る。

 そして、隔膜7の外表面上、特には隔膜7 拡径変形した際にトレッド部6の内面に対応 る領域である隔膜7のクラウン部7aの外表面 には、隔膜7が拡径変形した状態にて、隔膜 7とタイヤ内面との間に介在し、これらの直 接触を少なくとも部分的に妨げる接触阻止 段12が配設されている。なお、接触阻止手段 12は、隔膜7とタイヤ内面との間に介在してこ れらの直接接触を少なくとも部分的に妨げ得 るものであれなどのようなものでもよく、そ の具体例は後で説明する。

 この実施形態のタイヤにあっては、リム8 に設けられた充填バルブ13を介して隔膜内室9 に空気を供給すると、供給された空気の一部 が連通部11を介して隔膜外室10に供給される そして、隔膜内室9の内圧が所定の値に到達 た時点で空気の供給を停止すると連通部11 より差圧が調整されている。図1に示すよう 、タイヤ1の内圧が正常な状態では、隔膜7 トレッド部6の内面及びリム8のいずれに対し ても非接触な状態に維持されるため、擦れ等 により隔膜7が損傷することはない。

 一方、パンク等によりタイヤ1に破損が生 じ、隔膜外室10の空気が流出して内圧が低下 た場合には、図2に示すように、隔膜内室9 の空気が差圧に起因して膨張し、隔膜7はタ ヤ内面に接触するが、そのクラウン部7aは 接触阻止手段12によりその接触が阻止される 。これにより、タイヤ1に加わる荷重は、隔 内室9内の空気が肩代わり支持するので、少 くとも車両が安全に停止するまでの間、安 なランフラット走行が実現される。なお、 膜内室9と隔膜外室10とは連通部11を介して 通しているが、小孔や後述するフィルタ手 により差圧発生時には流速が制限されるこ から、隔膜外室10の内圧が急激に低下した場 合にも隔膜内室9の内圧がすぐには低下せず その差圧により隔膜7は拡張する。

 このように、この発明によれば、単一の 填バルブ13で隔膜内室9及び隔膜外室10の双 に空気を供給することができるので、従来 リムが使用可能であり、また、一般的な構 を有する空気入りタイヤに、構造が単純で 量な隔膜7を追加しただけで安全タイヤを構 することができるので、金属性の中子をタ ヤ内に配置したり、タイヤの内部空間にシ ラント剤を充填したりしてなる従来の安全 イヤに比べて大幅な軽量化が図り得る。さ に、釘等の鋭利な異物が刺さることが比較 多いトレッド部6に対応するように、隔膜7 クラウン部7aに隔膜7とタイヤ内面との直接 触を阻止する接触阻止手段12を設けたことか ら、釘踏みによりトレッド部6に貫通孔が生 ても、その釘が隔膜7に到達して隔膜7が損傷 するおそれがない。

 ここで、隔膜7の素材としては、加工性、 製造コスト、隔膜7の軽量化、通常走行時の 膜7の形状維持、隔膜の伸長(破断伸び)、さ には遠心力によるクリープの抑制を考慮す と、TPO(オレフィン系熱可塑性エラストマー) 等のTPE(熱可塑性エラストマー)が有利に適合 る。また、隔膜7は、その厚さが0.3mm~5mmの範 囲内にあることが好ましく、前述の観点から は、3mm以下であることが更に好ましい。

 そして、隔膜7は、内圧低下時に、迅速に タイヤ内面まで拡径するよう破断伸びが50%以 上であることが好ましい。というのも、破断 伸びが50%未満では、パンク等によって隔膜7 拡張した際に隔膜が破れてしまうおそれが るからである。

 なお、急激に内圧が低下した際にも安全 走行を続けるためには、タイヤが迅速にラ フラット走行状態に移行できることが好ま く、従って隔膜7が内圧低下時に直ちに拡径 することが好ましい。この観点からは、隔膜 内室9の内圧が隔膜外室10の内圧と同じかそれ 以上であることが好ましい。このようにすれ ば、隔膜外室10の内圧低下による隔膜内室9及 び隔膜外室10間の差圧増加と同時に隔膜内室9 内の空気が膨張する。しかし、通常走行状態 で隔膜7に大きな張力が加わっていると、長 間使用した場合に、隔膜7がクリープ変形し タイヤ内面に接触し破損するおそれがある これを防止する観点からは、隔膜内室9の内 圧を隔膜外室10の内圧の110%以下とすることが 好ましい。

 次いで、第2発明の実施形態について説明 する。ここに、図3は、第2発明に従う安全タ ヤ(以下「タイヤ」という)をリムに装着し 構成したタイヤとリムの組立体のタイヤ幅 向における断面を、内圧を適用する前後の 態で示した断面図である。図4は、図3に示す タイヤにおいて内圧が低下した状態を示した 断面図である。

 図3に示すタイヤ21は、ビードコア2を埋設 した一対のビード部3と、該ビード部3からタ ヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォー 部4、および両サイドウォール部4間にまた って延びるトレッド部5を有する。なお、図 は省略したが、このタイヤ21は、カーカス ベルト等の他のタイヤ構成部材も有してい 。

 タイヤ21の内側には、膨張可能な中空円 状の隔膜22がリム8のリムベースに沿って連 して配置されている。これによりタイヤ21の 内部は、隔膜内部の隔膜内室23及び隔膜外部 隔膜外室24に分画される。また、隔膜22のト レッド部6側には隔膜内室23と隔膜外室24との を流速を制限しつつ連通する連通部11が設 られており、この実施形態では、連通部11は 隔膜22を構成する材料にこれを貫通する小孔 開けることで構成されている。この隔膜22 、伸長性、軽量化、通常走行時の隔膜の形 保持および遠心力によるクリープの抑制を 慮して、オレフィン系熱可塑性エラストマ (TPO)を素材とする管を適用した例であり、隔 膜内室23と隔膜外室24の差圧が拡大すること より膨張可能としている。ここで、隔膜22は 、上述したTPOを素材とする管が好適であるが 、特にこれに限定するものではなく、例えば ゴムを素材とする管、いわゆるゴムチューブ を隔膜22として適用しても、本発明の有利な 果を得ることが可能である。

 そして、隔膜22の外表面上、特には隔膜22 が拡径変形した際にトレッド部6の内面に対 する領域である隔膜22のクラウン部22aの外表 面上には、隔膜22が拡径変形した状態にて、 膜22とタイヤ内面との間に介在してこれら 直接接触を少なくとも部分的に妨げる接触 止手段12が配設されている。

 なお、隔膜22は、図5に示すこの発明の他 実施形態のように、内部の空気を排出可能 排気バルブ30を有していても良く、このよ にすれば、タイヤを修理等する際に容易に 膜22内の空気を排出し得るので便利である。

 図3及び図5における連通部11に付された矢 印は、気体を充填した場合の気体の流れを示 すもので、充填バルブ13から供給された気体 、ビード部3の内面と隔膜22との間の隙間(図 面では隙間がないように見えるが隙間を設け ても良い)を経由して連通部11を通過すること になる。この際、かかる気体の充填をよりス ムーズにする観点で、隔膜22が大きくビード 3の内面と接触する場合には、隔膜22とビー 部3の内面との接触部に溝や突起等(図示省 )を設けて流路を確保することが好ましい。

 また、図5に示した上記排気バルブ30に関 し、かかる排気バルブ30の位置(充填バルブ )に連通部を設けても良い。例えば、図3及 図5の実施形態では、上述したように、連通 11がトレッド部6側に設けられているが、図1 4に示すこの発明の他の実施形態のように、 通部11’をリム8側にのみ設けても良い。図14 における連通部11’に付された矢印は、気体 充填した場合の気体の流れを示すもので、 填バルブ13から供給された気体は、連通部11 ’を介して隔膜22内(隔膜内室23)に供給される とともに、ビード部3の内面と隔膜22との間の 隙間(図示省略)を経由してタイヤ内面と隔膜 面との間(隔膜外室24)に供給される。充填さ れた気体の排気に際しては、気体は連通部11 を介して隔膜内室23から排気されるととも 、ビード部3の内面と隔膜22との間の隙間(図 省略)を経由して隔膜外室24から排出される これによれば、タイヤ組立体への給排気を りスムーズに行うことができる。

 また、他の実施形態として図15に示すよ に、トレッド部6側の連通部11とリム8側の連 部11’とを併設することもできる。この場 、充填バルブ13から供給された気体は、連通 部11’を介して隔膜内室23に供給され、隔膜 室23に供給された気体は、他方の連通部11を して隔膜外室24に供給される(連通部11及び11 ’に付された矢印参照。)。充填された気体 排気に際しては、連通部11を介して隔膜外室 24の気体が隔膜内室23に排出されると同時に 膜内室23の気体が連通部11’を介して排出さ る。なお、これらの気体の充填及び排出に して、隔膜22の外面とビード部3の内面との の隙間を通じても気体の供給及び排出が行 れる。これによれば、隔膜の内室と外室と 間を効果的に連通させることができるので 気体の給排気において流路が制限されるこ がなく、タイヤ組立体への効率的な気体の 排気を達成することができる。また、この 施形態において、ビード部3の内面と隔膜22 外面との間に上記隙間を設けることで、さ なる気体の効率的な給排気を図り得ること 云うまでもない。

 さて、図3に示す実施形態のタイヤ21にあ ては、リム8に設けられた充填バルブ13を介 て隔膜外室24に気体、例えば空気を供給す と、図3に矢印で示すように、この空気が隔 22の連通部11を介して隔膜内室23に供給され 。この過程を経て、隔膜22の内圧は隔膜外 24に充填される空気量に応じて隔膜外室24と 等の内圧に調整されることになる。すなわ 、空気の充填過程において隔膜内室23と隔 外室24との差圧は解消され、両者は例えばJAT MAに規定の最高空気圧に調整される。

 一方、内圧調整したタイヤ21がパンク状 となり、タイヤ21の内圧(隔膜外室24の内圧) 低下すると、先ず、隔膜外室24の圧力が低下 し、隔膜内室23と隔膜外室24との間に圧力差 生じるが、隔膜22の連通部11からの空気の漏 速度は極めて遅いため、隔膜内室23と隔膜 室24との差圧はほぼ維持される。その結果、 差圧をもって隔膜22が膨張して、図4に示すよ うに、隔膜22の外周面がトレッド部6の内面に 接触するまで隔膜22が拡張して、タイヤに加 る荷重を拡張した隔膜22が肩代わり支持す ことになる。このとき、隔膜22のクラウン部 22aは、接触阻止手段12によりタイヤ内面との 触が阻止されている。

 従って、この実施形態のタイヤ21によれ 、隔膜22に連通部11を設けたことによって、 膜外室24に供給された空気が、連通部11を介 して隔膜内室23に供給されるため、従来の安 タイヤのように、タイヤの内側に空気を充 するためのバルブを、例えば、サイドウォ ル部に設ける必要がなくなる。その結果、 イヤの製造工程において、タイヤのサイド ォール部に空気を充填するためのバルブを ける工程が省略され、タイヤの製造コスト 抑制することができる。また、追加バルブ よるタイヤ重量の増加が回避される。さら 、追加バルブによるユニフォミティ低下等 、タイヤの性能を損なうおそれがない。

 さらに、汎用のリムが使用可能であるた 、一般的な構造の空気入りタイヤに比較的 造が単純な隔膜22をタイヤの内側に単に配 しただけで安全タイヤを提供することが可 となるので、金属性の中子等をタイヤ内に 置する場合と比べて大幅な軽量化を図り得 。

 しかも、釘等の鋭利な異物が刺さること 比較的多いトレッド部6に対応する隔膜22の 域であるクラウン部22aに、隔膜22とタイヤ 面との直接接触を阻止する接触阻止手段12を 設けたことから、釘等がトレッド部6を貫通 てもその釘によって隔膜22が損傷するおそれ がない。

 なお、第2発明において、隔膜22を適正位 により的確に配置するためには、隔膜22を ム8に固定するための手段を設けることが有 である。このような固定手段を設けること よって、隔膜22をより効果的に固定させる とができるからである。

 固定手段としては、種々のものが考えられ 例えば、接着テープや接着剤、磁石等を用 て隔膜22をリム8のリムベースの表面に付着 せたり、紐等の連結部材を用いて隔膜22と ム8とを連結したりして行うことが可能であ 。固定手段として磁石、接着テープまたは 着剤等を用いた場合は、リム8のリムベース の周長の少なくとも1/10の長さの領域亘って 該固定手段を配設することが好適である。 いうのは、固定手段の配設領域がリムベー の周長の1/10の長さ未満では、隔膜7の固定強 度が不足するおそれがあるからである。かか る配設領域は、リムベース周長の1/2以上の長 さとすればさらに良好である。ここに、固定 手段として磁石を適用した例として、図5に す。図では、隔膜22は、その周面に設けられ た幅W m が50mmの磁石25によってリム8に固定されてい 。磁石の幅は、特に限定するものではなく 本発明の効果が得られれば適宜調整が可能 ある。

 なお、隔膜22は上述したような固定手段 用いずとも適性位置に配置することは可能 あり、この場合、図3に示すように、隔膜22 内周径rとリム8のフランジ高さおよびリム径 を合わせた長さRがr<Rを満足するよう隔膜22 を形成すれば良い。隔膜22の内周径rが上記長 さR未満であれば、隔膜22はその径差によって リム8に固定されることとなる。逆に、隔膜 内周径rを前記長さR以上とすれば、隔膜22の リム8への組み込みは容易となるものの、使 用時にタイヤ内で隔膜22がタイヤ径方向に移 し易くなるおそれがある。

 さらに隔膜22は、ダクトホースのような 筒等をドーナツ状に成形したものであって よく、特に図6に示す、伸縮可能な蛇腹管で ってもよい。このように、隔膜22を蛇腹状 形成した場合には、隔膜22を伸縮可能とする ことができるので、ドーナツ状に曲げた際、 隔膜22の内径側の周長が縮み易くなり、隔膜2 2を作製する上で有利となる。さらに、隔膜22 を蛇腹管とすることによって、蛇腹管の外表 面に形成された溝(蛇腹管の折り目によって 成された溝)とタイヤ内面との間に空気の通 を形成することができるので、充填バルブ1 3からの空気を効率良く隔膜外室24に提供する ことが可能となる。

 さらに、蛇腹管の外側の折り目部分に補 リブを設けることが好ましい。これによれ 、蛇腹管がビード部3の内側面と接触した際 の上記空気の通路をさらに大きくすることが できるので、充填バルブ11を介して供給され 空気を、さらに効率的に隔膜外室24に向か せることができる。また、蛇腹管の外側の り目部分に補強リブを設けることによって タイヤ内への挿入時につぶした隔膜22を確実 に元の形状に戻すことができ、連通部11を介 て行う隔膜内室23内への空気の供給を確実 行うことができる。

 なお、サイズ315/70R22.5の空気入りタイヤ 適用する隔膜22としては、例えば、図6に示 、内径を150mm、肉厚を1.5mmとした耐熱合成ゴ からなる円筒26を蛇腹状に形成し、この蛇 状の外側の折り目部分に、オレフィン系樹 からなる、外径を160mmとしたリング状の複数 のリブ27を、15mm間隔のピッチに設定して、等 間隔に配置してなる蛇腹管を用いることがで きる。なお、各々の部位に規定した寸法は、 特に限定するものではなく、本発明の有利な 効果が得られれば適宜調整可能である。

 さて、上述した実施形態では、接触阻止手 12を隔膜7、22のクラウン部7a、22aの外表面に 設けることにより有意な効果が得られたが、 隔膜7、22は、図7及び図5に示すように、タイ 1、21の内圧が正常な状態における隔膜7、22 最大幅位置W d まで配設することが好ましい。これは、釘等 の異物がトレッド部6に刺さった場合のみな ず、タイヤ1、21のショルダー部5に刺さった 合にも隔膜7、22を損傷から防ぐことが可能 なるからである。

 さらに、接触阻止手段12は、図8、図9に示 すように、隔膜7、22が拡径変形した状態にて 、サイドウォール部4の内側に対応する領域 ある隔膜7、22のサイド部7b、22bにまで配設す ることがより好ましい。これは、トレッド部 6及びショルダー部5に比べ肉厚が薄く、異物 貫通し易いサイドウォール部5に対応する隔 膜7、22のサイド部7b、22bにおいても、上記と 様に、異物による損傷を妨げることが可能 なるからである。

 さらに、接触阻止手段12としては、シー ント剤を隔膜7、22の外面上に適用して形成 たシーラント層とすることが好ましい。そ 理由は、釘踏み等によりタイヤ1、21に釘等 異物が貫通しても接触阻止手段12としてのシ ーラント層が隔膜7、22をその異物の接触から 保護するとともに、その異物が隔膜7、22にま で到達し隔膜7、22を貫通してしまっても、そ の貫通孔にシーラント層のシーラント剤が浸 入してシールを行い、内圧を維持するからで ある。

 または、接触阻止手段12は、スポンジ材 らなる緩衝部材とすることが好ましい。そ 理由は、釘踏み等によりタイヤ1、21に釘等 異物が貫通しても接触阻止手段12としての緩 衝部材によって隔膜7、22を、その異物の接触 から保護できるからである。また、スポンジ 材の有する防振特性や吸音特性によりって、 タイヤ1、21の空洞内、特には隔膜外室10、24 で生じた共鳴音エネルギー(振動エネルギー) を熱エネルギーに変換し、空洞共鳴音を効果 的に抑制することができるからである。また 、前記シーラント層を用いる場合に比べて軽 量化を図り得るという利点もある。スポンジ 材は、海綿状の多孔構造体、すなわちゴムや 合成樹脂等を発泡させた連続気泡を有するい わゆるスポンジそのものの他、動物繊維、植 物繊維又は合成繊維等を絡み合わせて一体に 連結したものをも含むものでも良く、ゴム系 スポンジやポリウレタンフォーム等でも良い 。

 接触阻止手段12としてシーラント層又は 衝部材を用いた場合には、さらなる利点が る。つまり、接触阻止手段12としてシーラン ト層又は緩衝部材を用いた場合には、連通部 11を隔膜7、22の、タイヤ内面に対向する範囲 に設けた構成において、シーラント層又は 衝部材によって釘等の異物から隔膜7、21を 果的に保護できることは上述のとおりであ が、それ以外に、タイヤ内圧が低下し隔膜7 、22が拡張した際に、シーラント剤又は緩衝 材を連通部11に入り込ませ、かかる連通部11 からの気体の流出を遮断することができる。 従って、ランフラット走行時において、隔膜 7、22内の内圧、つまり安全タイヤの内圧が低 下するのを抑制できるので、耐久走行性能が 向上し、走行可能距離は格段に伸びることと なる。このような利点を図る場合、連通部11 囲むようにシーラント層等を配置するのが 適である。

 または、接触阻止手段12は、図10に示すよ うに、隔膜7、22の外面からタイヤ径方向外側 に突出するように配設された複数の突起部材 14としてもよい。なお、これら突起部材14は 隔膜7、22が拡径変形した際に隔膜7、22とタ ヤ内面との間に所定距離のスペースを形成 るスペーサとして機能すればよいので、そ 平面形状は、図11(a)~(c)に例示するように、 方形、長方形、又は六角形等でもよく、タ ヤ幅方向におけるそれらの断面形状は、図11 (d)及び(e)に例示するように、T字状又はカッ 状でもよく、あるいは図示を省略するが、 らに異なる形状、例えば倒立裁頭円錐の断 形状を有していてもよい。また、これらの 起部材14は、隔膜7、22と一体型として形成し てもよく、又は接着剤等を用いて隔膜7、22の 成形後に隔膜7、22に接着してもよい。さらに 、突起部材14の材質は、隔膜7、22と同一とし もよく、又は隔膜7、22とは異なる、弾性率 低く、柔らかい樹脂等の材質としてもよい これによれば、釘踏み等によりタイヤに釘 の異物が貫通しても接触阻止手段12として 突起部材14によって隔膜7、22をその異物の接 触から効果的に保護することができる。

 加えて、図10(b)で示すように、上記複数 突起間又は突起内にシーラント剤15を適用す ることが好ましい。これによれば、突起部材 14が、走行時の遠心力によるシーラント剤15 偏りを抑制するので、突起部材14による隔膜 7とタイヤ内面との接触防止効果と、釘等の 物が隔膜7、22に到達した際の、シーラント 15によるシール効果とを両立させることが可 能となる。

 なお、前記した各接触阻止手段12の厚さ しては、0.5mm以上5mm以下とすることが好適で ある。これは、接触阻止手段12が0.5mmより薄 と、接触阻止手段としての効果、すなわち 膜7、22とタイヤ内面との直接接触を防止す ことにより釘等の異物から隔膜7、22を保護 る効果が低くなるおそれがあり、一方、そ 厚さが5mmを超えるとタイヤ重量が増加しタ ヤの性能が低下するおそれがあるからであ 。

 最後に、この発明に適用可能な種々の連 部11について説明する。上述の実施形態で 、隔膜7、22を構成する材料にこれを貫通す 小孔を開けることで連通部11を構成している 。これによれば、付加的な部材を必要としな いことから、構造が簡単で一層の軽量化が図 れる上、小孔を設けた部分と設けていない部 分の質量差を小さくすることができるのでタ イヤのユニフォミティを損なうおそれがない 。また、隔膜内室9、23と隔膜外室10、24の間 円滑な空気の流通を妨げることなく、圧力 失に起因した差圧を隔膜内室9、23と隔膜外 10、24の間に生じさせることができる。そし 、この差圧は、小孔の直径を適宜に選択す ことによって調節可能である。小孔の直径 しては0.5~5mmの範囲とすることが好ましい。 これは、環状の隔膜7において、直径が0.5mm未 満の場合には、内圧充填時に隔膜内室9の圧 が上がりすぎて隔膜が拡張してしまうおそ があるからであり、5mmを超える場合には、 ンク等により隔膜外室10の内圧が低下した際 に、隔膜外室10内の空気とともに隔膜内室9の 空気もタイヤ外に流出してしまい、ランフラ ット機能を確保できないおそれがあるからで ある。また、中空円環状の隔膜22において、 径が0.5mm未満の場合には、内圧充填時に隔 22の中に空気がうまく入っていかず、つぶれ るおそれがあり、5mmを超える場合には、パン ク等により隔膜外室24の内圧が低下した際に 隔膜外室24とともに隔膜内室23の空気もタイ ヤ外に流出してしまい、一定の差圧を確保で きず、ランフラット機能を確保できないおそ れがあるからである。

 図12に示す実施形態では、隔膜7を構成する 料にこれを貫通する開口を開け、この開口 多数の細孔を有するフィルタ部材で覆うこ によって連通部11を構成している。ここで 、便宜上、環状の隔膜7に適用した例を示し が、この連通部11は図3に示すような中空円 状の隔膜22を備えるタイヤ21にも好適に用い ることができる。これによれば、比較的軽量 なフィルタ部材を用いていることから、構造 が比較的簡単でかつ比較的軽量である上、フ ィルタ部材を設けた部分と設けていない部分 との質量の差が比較的少なく、タイヤのユニ フォミティを損なうことも少ない。さらに、 隔膜内室9と隔膜外室10の間の円滑な空気の流 通を妨げることはないが、圧力損失に起因し た差圧を隔膜内室9と隔膜外室10の間に生じさ せることができる。そして、この差圧は、フ ィルタ部材の細孔の径又は数を適宜に選択す ることによって調節することができる。好適 なフィルタ部材は不織布である。不織布は繊 維を3次元構造に重ね合わせ結合した多孔質 シートであるため、小孔で構成した連通部 比べて高い差圧を隔膜内室9と隔膜外室10の に生じさせることができる。そして、この 圧は、不織布の目付を適宜に選択すること よって調節することができる。この発明に 用可能な不織布は、圧力損失に起因した差 を隔膜内室9と隔膜外室10の間に生じさせる とができるものであれば特に限定されず、 えば天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、金 繊維、炭素繊維等を、スパンボンド、サー ルボンド、ケミカルボンド、ニードルパン 、ステッチボンド等により結合させたもの 用いることができる。特に好適な不織布は PET繊維をゴム系ボンドにより結合させたも である。目付の高い不織布を用いると、こ を通過できる空気の流量が制限させるため 充填バルブ13を介して空気を供給した際に、 一時的に隔膜内室9と隔膜外室10との間の差圧 が大きくなり、隔膜7が降伏点を越えて変形 る場合がある。これを防ぐ観点からは、不 布の目付を1000g/m 2 以下とすることが好ましい。一方、目付の低 い不織布は強度も低いため、隔膜7の全体と ての強度を確保する観点から、不織布の目 を5g/m 2 以上とすることが好ましい。

 図13に示す実施形態では、隔膜7を構成す 材料にこれを貫通する開口を開け、この開 に弁部材を配設することで連通部11を構成 ている。ここでも便宜上、環状の隔膜7に適 した例を示したが、この弁部材は図3に示す ような中空円環状の隔膜22を備える安全タイ にも好適に用いることができる。これによ ば、一層確実に隔膜内室9と隔膜外室10の差 を制御することができる。かかる弁部材は 隔膜内室9と隔膜外室10の差圧に応じて開閉 るものであれば特に限定されず、例えばチ ック弁やリリーフ弁を用いることができる

 上記の実施形態では、連通部11、11’を、 隔膜7、22のタイヤ赤道面に対応する位置や隔 膜22のリム8側に設けた例につき示したが、連 通部11、11’の配設位置はこれに限定されず 例えばサイドウォール部4に対向するように 設することもできる。また、連通部11、11’ の大きさや個数、種類は、タイヤサイズや使 用時の内圧等に応じて適宜に変更することが できる。

 上述したところは、この発明の実施形態 一部を示したに過ぎず、この発明の趣旨を 脱しない限り、これらの構成を相互に組み わせたり種々の変更を加えたりすることが きる。

 以上の説明から明らかなように、この発 によって、従来の安全タイヤに比較して単 な構造で内圧低下時の荷重支持を行うこと より、軽量で、かつ、隔膜の有する内圧保 機能を十分発揮し得る安全タイヤを提供す ことが可能となった。