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Patent Searching and Data


Title:
SANITARY WARE AND PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146880
Kind Code:
A1
Abstract:
A sanitary ware comprising a substrate and a coating film formed on the surface of the substrate, characterized in that the coating film contains silicon (Si), zirconium (Zr), and oxygen (O) and that the content of silicon (Si) in the film in terms of silicon oxide (SiO2) is 50% by mass or below based on the total content of silicon (Si) and zirconium (Zr) in the film in terms of silicon oxide (SiO2) and zirconium oxide (ZrO2).

Inventors:
SHIGERU KEIJIRO (JP)
MAEDA DAISAKU (JP)
METSUGI YASUNORI (JP)
YAZAWA AKIRA (JP)
MARUYAMA TAISHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059912
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO OSAKA CEMENT CO LTD (JP)
SHIGERU KEIJIRO (JP)
MAEDA DAISAKU (JP)
METSUGI YASUNORI (JP)
YAZAWA AKIRA (JP)
MARUYAMA TAISHI (JP)
International Classes:
C04B41/85; A47K1/04; C09D1/00; C09D5/16; C09D183/00; C09D185/00; E03D11/02
Domestic Patent References:
WO2001044592A12001-06-21
Foreign References:
JP2000144057A2000-05-26
JP2002080830A2002-03-22
JP2003301273A2003-10-24
JP2003299606A2003-10-21
JP2002302637A2002-10-18
JP2005321108A2005-11-17
JP2006016236A2006-01-19
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器であって、
 前記コーティング膜は、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下であることを特徴とする衛生陶器。
 前記コーティング膜が更にリン(P)を含有し、かつ、前記リン(P)は前記コーティング膜の少なくとも表層部に分布してなることを特徴とする請求項1記載の衛生陶器。
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器であって、
 前記コーティング膜は、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)と、リン(P)とを含有し、かつ、前記リン(P)は前記コーティング膜の少なくとも表層部に分布してなることを特徴とする衛生陶器。
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器の製造方法であって、
ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下である塗布液を、基体の表面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室温以上の温度にて熱処理して前記コーティング膜を形成することを特徴とする衛生陶器の製造方法。
 前記塗布液が更にリン(P)成分を含むことを特徴とする請求項4記載の衛生陶器の製造方法。
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器の製造方法であって、
ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケイ素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下である塗布液を、基体の表面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室温以上の温度にて熱処理して薄膜とし、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗布して室温以上の温度にて熱処理することにより前記リン(P)成分を前記薄膜中に含有せしめて前記コーティング膜を形成することを特徴とする衛生陶器の製造方法。
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器の製造方法であって、
 ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、リン(P)成分と、溶媒とを含む塗布液を、基体の表面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室温以上の温度にて熱処理して前記コーティング膜を形成することを特徴とする衛生陶器の製造方法。
 基体と、この基体の表面に形成されたコーティング膜からなる衛生陶器の製造方法であって、
ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物のキレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末の群から選択される1種または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、溶媒とを含む塗布液を、基体の表面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室温以上の温度にて熱処理して薄膜とし、次いで、この薄膜上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗布して室温以上の温度にて熱処理することにより前記リン(P)成分を前記薄膜中に含有せしめて前記コーティング膜を形成することを特徴とする衛生陶器の製造方法。
Description:
衛生陶器及びその製造方法

 本発明は、衛生陶器及びその製造方法に し、特に、水垢(動物の排泄物等の汚れを含 む)の固着防止効果の持続性に優れ、この水 が製品を構成する基体の表面に固着しても 易に取り除くことが可能な衛生陶器及びそ 製造方法に関するものである。 

 本願は、2007年5月31日に日本に出願された 特願2007-145022号、2008年1月29日に日本に出願さ れた特願2008-018046号及び2008年5月8日に日本に 願された特願2008-122683号に基づき優先権を 張し、その内容をここに援用する。

 従来、水垢や動物の排泄物等の汚れが固着 ることにより生じる汚れは、キッチン、バ ルーム、トイレ、洗面所等、水が付着し乾 する条件のあらゆる場所で認められる。
 水垢は、水に溶解した無機成分が水の蒸発 伴って析出したものであり、特に長期的に 置された場合、これを取り除くことができ くなるほど強固に固着してしまい、この水 を薬品や研磨材等を用いて無理に取り除こ とすると、製品の基体自体を損傷してしま という不都合があった。

 また、例えば、動物の排泄物や嘔吐物等の 物を処理する場合に、便器内面に糞便や嘔 物が固着してしまい、流水のみでは充分に し落とすことができないことがあり、清掃 手間を要するという不都合があった。また これらの固着物を薬品や研磨材等を用いて 理に取り除こうとすると、便器自体を損傷 てしまうという不都合があった。
 そこで、従来では、水垢(動物の排泄物等の 汚れを含む)の固着防止を目的として、製品 構成する基体の表面に親水性コーティング または撥水性コーティング膜を形成した水 固着防止製品が提案されている。

 例えば、基体の表面に親水性コーティング を形成した水垢固着防止製品としては、リ ウム含有シリカ質膜にポリアクリル酸また ポリアクリル酸モノマーを含む共重合体を 有した親水性膜を基体表面に形成すること より、親水性膜と基体表面との接着性を向 させた水垢固着防止製品が提案されている( 特許文献1~3)。
 また、衛生用陶器等の施釉製品の釉薬層の 面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂を塗布し 化させて撥水性コーティング膜とした水垢 着防止製品も提案されている(特許文献4)。

特開2003-301273号公報

特開2003-299606号公報

特開2002-302637号公報

国際公開W02001/044592パンフレット

特開2005-321108号公報

 しかしながら、上述した従来の水垢固着防 製品においては、親水性コーティング膜や 水性コーティング膜に下記のような問題点 あった。
 すなわち、親水性コーティング膜では、膜 上で水が薄く広がるために、これが乾燥し 水垢が析出しても、非常に目立ち難くなる しかしながら、この水垢を長期間放置し、 の間に水濡れ及び乾燥を繰り返していると 水垢の厚みが増し、やはり強固に固着して り除くことができなくなってしまうという 題点があった。

 一方、撥水性コーティング膜では、膜が傾 していた場合、膜の上で水が水玉となり、 の水玉が傾斜面を転がり落ちてしまうため 、膜が乾燥しても水玉の跡が水垢になるこ は無く、水垢の固着を防止することができ が、膜が水平になっていた場合、膜の上に 玉が留まり、そのまま水が蒸発すると水玉 跡が水垢となり、著しく水垢が目立った状 となって残ってしまうという問題点があっ 。さらに、この水玉を長期間放置し、その に水玉の発生及び乾燥を繰り返していると この水垢が強固に固着し、取り除くことが きなくなってしまうという問題点があった
 また、撥水性コーティング膜と基体との密 性が悪く、長期間に亘って水垢固着防止効 を得ることができないという問題点があっ 。 

 また、上述した従来の水垢固着防止製品 は、一旦、製品に水垢が固着すると、この 垢を除去するためには擦り落とす等の物理 方法を用いざるを得ないが、この物理的方 を用いた場合、製品の表面を傷つける虞が り、製品の基体上への水垢の固着を有効に 止することができないという問題点があっ 。

 本発明は、上記の課題を解決するために されたものであって、水垢(動物の排泄物等 の汚れを含む)の固着防止効果に優れるとと に、この水垢固着防止効果が長期間に亘っ 持続し、かつ水垢が基体の表面に固着した 合であっても、この固着した水垢を容易に り除くことが可能な衛生陶器及びその製造 法を提供することを目的とする。

 本発明者等は、上記の課題を解決するた に鋭意検討を行った結果、基体の表面に、 イ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)と リン(P)とを特定の組成で含有し、前記リン(P )が少なくとも表層部に分布しているコーテ ング膜、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)と、リ (P)とを含有し、前記リン(P)が少なくとも表 部に分布しているコーティング膜、のいず かを形成すれば、水垢(動物の排泄物等の汚 れを含む。以下同じ。)の固着防止効果に優 るとともに、この水垢固着防止効果が長期 に亘って持続し、しかも、水垢が基体の表 に固着しても容易に取り除くことができる とを見出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、基体と、この基体の 面に形成されたコーティング膜からなる衛 陶器であって、前記コーティング膜は、ケ 素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)とを 有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウ (ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケ 素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 あることを特徴とする衛生陶器である。
 前記コーティング膜は更にリン(P)を含有し かつ、前記リン(P)は前記コーティング膜の なくとも表層部に分布してなることが好ま い。

 本発明は、基体と、この基体の表面に形 されたコーティング膜からなる衛生陶器で って、前記コーティング膜は、ジルコニウ (Zr)と、酸素(O)と、リン(P)とを含有し、かつ 、前記リン(P)は前記コーティング膜の少なく とも表層部に分布してなることを特徴とする 衛生陶器である。ここで、前記コーティング 膜は、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O)と、リン(P )のみからなる態様も可能である。

 本発明は、基体と、この基体の表面に形成 れたコーティング膜からなる衛生陶器の製 方法であって、ジルコニウムアルコキシド ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、 ルコニウムアルコキシドのキレート化合物 ジルコニウムアルコキシドの加水分解物の レート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸 化ジルコニウム微粉末の群から選択される1 または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケ イ素(Si)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコ ウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケ 素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 ある塗布液を、基体の表面の少なくとも一 に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この 布膜を通常室温以上の温度にて熱処理して 記コーティング膜を形成することを特徴と る衛生陶器の製造方法である。
 前記塗布液は更にリン(P)成分を含むことが ましい。また、前記塗布膜は、好ましくは1 00℃以上、より好ましくは400℃以上の温度に 熱処理を行う。以下の態様でも、同様であ 。

 本発明は、基体と、この基体の表面に形成 れたコーティング膜からなる衛生陶器の製 方法であって、ジルコニウムアルコキシド ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、 ルコニウムアルコキシドのキレート化合物 ジルコニウムアルコキシドの加水分解物の レート化合物及び平均粒子径が20nm以下の酸 化ジルコニウム微粉末の群から選択される1 または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、ケ イ素(Si)成分と、溶媒とを含み、前記ジルコ ウム(Zr)成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、前記ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケ 素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 ある塗布液を、基体の表面の少なくとも一 に塗布して塗布膜を形成し、次いで、この 布膜を室温以上の温度にて熱処理して薄膜 し、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を む溶液または分散液を塗布して室温以上の 度にて熱処理することにより前記リン(P)成 を前記薄膜中に含有せしめて前記コーティ グ膜を形成することを特徴とする衛生陶器 製造方法である。

本発明は、基体と、この基体の表面に形成 されたコーティング膜からなる衛生陶器の製 造方法であって、ジルコニウムアルコキシド 、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、 ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物 、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物の キレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の 化ジルコニウム微粉末の群から選択される1 または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、 ン(P)成分と、溶媒とを含む塗布液を、基体 表面の少なくとも一部に塗布して塗布膜を 成し、次いで、この塗布膜を室温以上の温 にて熱処理して前記コーティング膜を形成 ることを特徴とする衛生陶器の製造方法で る。

本発明は、基体と、この基体の表面に形成 されたコーティング膜からなる衛生陶器の製 造方法であって、ジルコニウムアルコキシド 、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物、 ジルコニウムアルコキシドのキレート化合物 、ジルコニウムアルコキシドの加水分解物の キレート化合物及び平均粒子径が20nm以下の 化ジルコニウム微粉末の群から選択される1 または2種以上のジルコニウム(Zr)成分と、 媒とを含む塗布液を、基体の表面の少なく も一部に塗布して塗布膜を形成し、次いで この塗布膜を室温以上の温度にて熱処理し 薄膜とし、次いで、この薄膜上にリン(P)成 を含む溶液または分散液を塗布して室温以 の温度にて熱処理することにより前記リン(P )成分を前記薄膜中に含有せしめて前記コー ィング膜を形成することを特徴とする衛生 器の製造方法である。

 本発明の衛生陶器によれば、水垢(動物の排 泄物等の汚れを含む)の固着防止効果に優れ ものとすることができ、この水垢固着防止 果を長期間に亘って持続させることができ 。したがって、水垢が基体の表面に固着し 場合であっても、水垢を簡単な操作で容易 取り除くことができ、労力を削減するとと に、作業効率を向上させることができる。
 また、固着した水垢を取り除くための強い 品類や研磨材が不要であるから、環境への 荷を低減することができる。
 本発明の衛生陶器の製造方法によれば、前 衛生陶器を、簡単かつ効率よく作製するこ ができる。 

本発明の第1の実施形態の衛生陶器を示 す断面図である。 本発明の第2の実施形態の衛生陶器を示 す断面図である。 本発明の第3の実施形態の衛生陶器を示 す断面図である。 本発明の第4の実施形態の衛生陶器を示 す断面図である。 本発明の第5の実施形態の衛生陶器を示 す断面図である。

符号の説明

 1 衛生陶器 
 2 基体
 3 コーティング膜
 3a 表層部
 11 衛生陶器
 12 コーティング膜
 21 衛生陶器
 22 コーティング膜
 22a 表層部
 31 衛生陶器
 32 コーティング膜
 41 衛生陶器
 42 コーティング膜

 本発明の衛生陶器及びその製造方法を実施 るための最良の形態について説明する。
 なお、この形態は、発明の趣旨をより良く 解させるために具体的に説明するものであ 、特に指定のない限り、本発明を限定する のではない。

「第1の実施形態」
 図1は、本発明の第1の実施形態の衛生陶器 示す断面図である。この衛生陶器41は、衛生 陶器の本体を構成する基体2の表面のうち少 くとも水垢(動物の排泄物等の汚れを含む)が 固着する虞のある領域に、ケイ素(Si)とジル ニウム(Zr)と酸素(O)とを含有し、実質的に他 成分を含有していないコーティング膜42が 成されている。 

 本発明において「水垢の固着」とは、「 垢が製品を構成する基体の表面に付着し、 の付着した水垢が固化しても基体から容易 取り除くことができない」状態のことであ 、また、「水垢固着防止」とは、「固着し 水垢を基体の表面から容易に取り除くこと できる」ことである。

 基体2の形状は、目的とする製品の形状や 仕様により様々な形状のものが選択使用され る。また、その材質としては、水垢固着防止 コーティング膜42を形成する際の熱処理に耐 得るのであれば格別の制限はなく、ガラス 陶磁器等のセラミックス、プラスチック等 有機物、ステンレス鋼等の金属を例示する とができる。なかでも、水垢固着防止効果 優れる点で、便器、洗面器等の衛生陶器、 室で用いられるタイル等のセラミックス製 製品、施釉(釉懸け)された製品を例示する とができる。

 このコーティング膜を形成する領域とし は、基体の表面のうち、少なくとも水垢が 着する虞のある領域とする必要があるが、 のコーティング膜を基体の表面全体に洩れ く形成した構成としてももちろんかまわな 。

 コーティング膜42は、ケイ素(Si)とジルコニ ム(Zr)と酸素(O)とを含み、ケイ素(Si)を酸化 イ素(SiO 2 )に、ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ケイ素(SiO 2 )と酸化ジルコニウム(ZrO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 ある。

 ここで、酸化ケイ素(SiO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率を50質量%以下 した理由は、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が50質量%を越えると、水垢の 着を防止することができなくなり、しかも 一旦固着した水垢を水拭きあるいは水洗程 では除去することができなくなるからであ 。
 特に、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が1質量%以上かつ20質量%以下の 場合には、水垢の固着をより一層効率よく防 止することができ、また、水垢が固着したと しても、この水垢をより一層効率よく容易に 水洗除去することができるので好ましい。

 このコーティング膜42の厚みは、0.001μm以上 かつ10μm以下であることが好ましい。
 このコーティング膜42の厚みが0.001μmを下回 ると、防汚性の付与、すなわち水垢に対する 防汚性及び固着した水垢の除去容易性が不充 分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、コ ティング膜42自体の耐衝撃性が低下してク ックが入り易くなるので好ましくない。
 特に、干渉色の発生を防止するためには、 ーティング膜42の厚みを0.1μm以下とするの 好適である。 

 この衛生陶器41は、例えば、次のような第1 製造方法により作製することができる。
 すなわち、この第1の製造方法は、ジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物及びジルコニウムアルコキ シドの加水分解物のキレート化合物及び平均 粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末 群から選択される1種または2種以上のジルコ ニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒と 含み、ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニ ウム(ZrO 2 )に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 ある第1の塗布液を、基体2の表面に塗布し 塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を大 中、室温(25℃)以上、より好ましくは100℃以 、さらに好ましくは400℃以上の温度にて熱 理する。

 この第1の塗布液における上記のジルコニ ウムアルコキシドとしては、特に制限される ものではないが、例えば、ジルコニウムテト ラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラ プロポキシドを例示することができる。これ らジルコニウムテトラノルマルブトキシドや ジルコニウムテトラプロポキシドは、適度な 加水分解速度を有し、しかも、取り扱い易い ので、膜質が均一な薄膜を形成することがで きる。

 また、上記のジルコニウムアルコキシド 加水分解物としては、特に制限されるもの はないが、例えば、ジルコニウムテトラノ マルブトキシドの加水分解物、ジルコニウ テトラプロポキシドの加水分解物を例示す ことができる。この加水分解物の加水分解 としては、特に制限はなく、0モル%超~100モ %の範囲内のものを使用することができる。

 これらジルコニウムアルコキシドやジルコ ウムアルコキシドの加水分解物は、吸湿性 高く、不安定であり、貯蔵安定性も充分で いので、取り扱う際には、非常に注意を要 る。
 そこで、取り扱いの容易さの点では、これ ジルコニウムアルコキシドやジルコニウム ルコキシドの加水分解物をキレート化した ルコニウムアルコキシドのキレート化合物 ジルコニウムアルコキシドの加水分解物の レート化合物を用いることが好ましい。

 上記のジルコニウムアルコキシドのキレ ト化合物としては、ジルコニウムアルコキ ドと、モノエタノールアミン、ジエタノー アミン、トリエタノールアミン等のエタノ ルアミン、アセチルアセトン等のβ-ジケト 、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、 ロン酸ジエチル、フェノキシ酢酸エチル等 β-ケト酸エステル、酢酸、乳酸、クエン酸 安息香酸、リンゴ酸等のカルボン酸の群か 選択される1種または2種以上の加水分解抑 剤との反応生成物を例示することができる ここで、加水分解抑制剤とは、ジルコニウ アルコキシドとキレート化合物を形成し、 のキレート化合物の加水分解反応を抑制す 作用を有する化合物のことである。

 また、上記のジルコニウムアルコキシド 加水分解物のキレート化合物としては、ジ コニウムアルコキシドの加水分解物と、モ エタノールアミン、ジエタノールアミン、 リエタノールアミン等のエタノールアミン アセチルアセトン等のβ-ジケトン、アセト 酸メチル、アセト酢酸エチル、マロン酸ジ チル、フェノキシ酢酸エチル等のβ-ケト酸 ステル、酢酸、乳酸、クエン酸、安息香酸 リンゴ酸等のカルボン酸の群から選択され 1種または2種以上の加水分解抑制剤との反 生成物を例示することができる。加水分解 制剤の定義は、上述した通りである。

 この加水分解抑制剤の、ジルコニウムアル キシドまたはジルコニウムアルコキシドの 水分解物に対する割合は、このジルコニウ アルコキシドまたはジルコニウムアルコキ ドの加水分解物に含まれるジルコニウム(Zr) の0.5モル倍~4モル倍が好ましく、より好まし は1モル倍~3モル倍である。
 ここで、加水分解抑制剤の割合が0.5モル倍 りも少ないと、第1の塗布液の安定性が不充 分なものとなるからであり、一方、4モル倍 上回ると、熱処理した後においても加水分 抑制剤が薄膜中に残留し、その結果、薄膜 硬度が低下するからである。

 これらジルコニウムアルコキシドのキレ ト化合物、ジルコニウムアルコキシドの加 分解物のキレート化合物としては、ジルコ ウムアルコキシドまたはジルコニウムアル キシドの加水分解物を溶媒中に溶解し、さ に加水分解抑制剤を添加し、得られた溶媒 にてキレート化反応を生じさせたものであ てもよい。

 上記の平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコ ニウム微粒子としては、特に制限はないが、 平均粒子径が1nm以上かつ10nm以下のものが、 械的特性に優れた薄膜を室温(25℃)~300℃程度 の比較的低温度の熱処理により容易に形成し 得るので好ましい。

 このようなジルコニア微粒子は、例えば、 に示す方法により安価、かつ多量に製造す ことができる(特開2006-016236号公報参照)。
 この方法は、ジルコニウム塩溶液を塩基性 液にて中和させてジルコニア前駆体を生成 せ、このジルコニア前駆体からジルコニア ノ粒子を製造する方法であり、ジルコニウ 塩溶液中のジルコニウムイオンまたはジル ニアイオンの価数をm、上記の塩基性溶液中 の水酸基のモル比をnとするとき、これらm及 nが式0.5<n<m ……(1)を満たす様に、ジル コニウム塩溶液に塩基性溶液を加えてジルコ ニウム塩溶液を部分中和させ、次いで、この 部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶 液とし、この混合溶液を加熱する方法である 。

 この無機塩としては、アルカリ金属およ /またはアルカリ土類金属を含む硫酸塩、炭 酸塩、硝酸塩、塩化物、ヨウ化物、臭化物、 フッ化物またはリン酸塩が好適に用いられ、 この無機塩の添加量は、ジルコニウム塩溶液 中のジルコニウムイオンまたはジルコニアイ オンのジルコニア換算値に対して20質量%以上 が好ましい。

 一方、平均粒子径が20nmを超える酸化ジル コニウム微粒子を用いると、熱処理による焼 き締まりが不充分となり、機械的特性が劣化 した薄膜となり、容易に剥離するので、充分 な防汚性を発揮することができなくなる。

 上記のケイ素成分としては、熱処理によ 酸化ケイ素となり得るケイ素化合物であれ 特に制限はないが、例えば、コロイダルシ カ、ケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキ ドの加水分解物を例示することができる。 の加水分解物の加水分解率としては、特に 限はなく、0モル%超~100モル%の範囲内のもの を使用することができる。

 上記の溶媒としては、上述したジルコニ ム成分及びケイ素成分を溶解または分散さ ることのできる溶媒であれば、特に制限な 用いることができる。例えば、水、メタノ ル、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノ ール等の低級アルコールの他、エチレングリ コールモノメチルエーテル(メチルセロソル )、エチレングリコールモノエチルエーテル( エチルセロソルブ)等のエーテル類(セロソル 類)、アセトン、ジメチルケトン、ジエチル ケトン等のケトン類、エチレングリコール等 のグリコール類、高級アルコール類、エステ ル類等を挙げることができる。特に、溶媒と して水を用いる場合、アルコキシドの加水分 解量以上の量の水を含有させると塗布液の安 定性が低下するので、アルコキシドの加水分 解量より少ない量とする必要がある。

 ここで、ジルコニウム成分としてジルコニ ムアルコキシドおよび/またはジルコニウム アルコキシドの加水分解物を用いる場合、あ るいは、ケイ素成分としてケイ素アルコキシ ドおよび/またはケイ素アルコキシドの加水 解物を用いる場合には、このジルコニウム 分またはケイ素成分の加水分解反応を制御 る触媒を添加してもよい。
 この触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸 クエン酸、酢酸等の有機酸等を例示するこ ができる。また、この触媒の添加量は、通 、塗布液中のジルコニウム成分及びケイ素 分の合計量に対して0.01~10質量%程度が好ま い。なお、触媒の過剰の添加は、熱処理の に熱処理炉を腐食する虞があるので好まし ない。

 この点、ジルコニウム成分としてジルコ ウムアルコキシドのキレート化合物または ルコニウムアルコキシドの加水分解物のキ ート化合物を用い、ケイ素成分としてコロ ダルシリカを用いると、加水分解反応を制 する触媒である酸を添加する必要がなく、 たがって、薄膜を形成する際に熱処理を行 熱処理炉を腐食する虞がないので好ましい

 この塗布液においては、ジルコニウム成分 ケイ素成分の合計の含有率は、ジルコニウ 成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ジルコ ウムと酸化ケイ素の合計の含有率が0.1質量% 上かつ10質量%以下であることが好ましい。
 合計の含有率が0.1質量%を下回ると、所定の 膜厚の薄膜を形成することが困難となり、一 方、合計の含有率が10質量%を上回ると、膜厚 が所定の膜厚を超えて薄膜が白化したり、剥 離したり等の原因となるので好ましくない。

 次いで、この第1の塗布液を基体2の表面 塗布する。塗布方法としては特に制限はな 、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法等 適用できる。塗布に当たっては、塗布膜の みを、熱処理後の膜厚が0.005μm~10μmの範囲に なるように調製することが好ましい。

 このようにして得られた塗布膜を室温(25℃) 以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ま しくは400℃以上の熱処理温度にて、通常、0.1 時間以上かつ24時間以下の熱処理時間、熱処 し、薄膜を形成する。
 ここで、熱処理時間が不足すると、得られ 薄膜の膜強度が低下するので好ましくない 一方、熱処理温度が高すぎるか、あるいは 処理時間が長すぎると、基体2が変形する虞 があるので、熱処理温度及び熱処理時間を基 体2の材質に応じて調整する必要がある。な 、熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通 、大気雰囲気中で行う。

 このようにして得られた薄膜は、下記の(1)~ (4)のいずれかの組成を有している。
(1)ケイ素(Si)原子とジルコニウム(Zr)原子が酸 (O)原子を介して結合した下記式(1)
にて表される化学結合を分子骨格中に有する ケイ素-ジルコニウム酸化物により構成され このケイ素-ジルコニウム酸化物が三次元網 構造を形成した無機物質。

(2)ジルコニウム(Zr)原子同士が酸素(O)原子を して結合した下記式(2)
にて表される化学結合を分子骨格中に有する ジルコニウム酸化物により構成され、このジ ルコニウム酸化物が三次元網目構造を形成し 、この三次元網目構造の中にケイ素酸化物の 微粒子が閉じ込められた無機物質。

(3)ケイ素酸化物微粒子とジルコニウム酸化物 微粒子が互いに分散している無機物質。
(4)上記の(1)~(3)のいずれか1種または2種以上の 無機物質が混在した状態のもの。

 以上説明したように、本実施形態の衛生陶 によれば、基体の表面の少なくとも一部に ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr)と、酸素(O) を含有し、前記ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に、前記ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウ (ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、前記酸化ケ 素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 あるコーティング膜を成膜したので、水拭 程度で、水垢、動物の排泄物等を簡単に除 することができる。
 また、上記のコーティング膜は、高屈折率 料である酸化ジルコニウム(ZrO 2 )を主成分としたので、屈折率が大きく、深 のある反射が得られ、見た目にも美しく、 匠性も向上したものとなる。

 本実施形態の衛生陶器の製造方法によれば ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウム ルコキシドの加水分解物、ジルコニウムア コキシドのキレート化合物、ジルコニウム ルコキシドの加水分解物のキレート化合物 び平均粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム 微粉末の群から選択される1種または2種以上 ジルコニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と 溶媒とを含み、ジルコニウム(Zr)成分を酸化 ルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )にそれぞれ換算したときの、酸化ケイ素の 酸化ジルコニウムと酸化ケイ素の合計量に する質量百分率が50質量%以下である塗布液 、基体の表面の少なくとも一部に塗布して 布膜を形成し、次いで、この塗布膜を大気 、室温(25℃)以上の温度にて熱処理するので 本実施形態の衛生陶器を、簡単な装置で簡 に製造することができる。

「第2の実施形態」
 図2は、本発明の第2の実施形態の衛生陶器 示す断面図である。この衛生陶器1が第2の実 施形態の衛生陶器41と異なる点は、第1の実施 形態の衛生陶器41では、ケイ素(Si)とジルコニ ウム(Zr)と酸素(O)とを含有し、実質的に他の 分を含有していないコーティング膜42を形成 したのに対し、本実施形態の衛生陶器1では 衛生陶器の本体を構成する基体2と、この基 2の表面のうち少なくとも水垢(動物の排泄 等の汚れを含む)が固着する虞のある領域に ケイ素(Si)とジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリ (P)とを含有し、実質的に他の成分を含有し いないコーティング膜3が形成され、このコ ティング膜3の少なくとも表層部3aにはリン( P)が分布した点である。

 コーティング膜3は、ケイ素(Si)と、ジルコ ウム(Zr)と、酸素(O)と、リン(P)とを含有し、 イ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に、ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 あり、かつ、リン(P)は、このコーティング 3の少なくとも表層部3aに分布している。
 このリン(P)を含む表層部3aが、水垢に対し 優れた防汚性を有している。また、この表 部3aは、酸化ケイ素(SiO 2 )を含有しているので、耐水性、基体2に対す 密着性に優れている。

 ここで、酸化ケイ素(SiO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率を50質量%以下 した理由は、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が50質量%を越えると、水垢の 着を防止することができなくなり、しかも 一旦固着した水垢を水拭きあるいは水洗程 では除去することができなくなるからであ 。
 特に、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が1質量%以上かつ20質量%以下の 場合には、水垢の固着をより一層効率よく防 止することができ、また、水垢が固着したと しても、この水垢をより一層効率よく容易に 水洗除去することができるので好ましい。

 コーティング膜3の厚みは、0.001μm以上かつ1 0μm以下であることが好ましい。
 このコーティング膜3の厚みが0.001μmを下回 と、防汚性の付与、すなわち水垢に対する 汚性及び固着した水垢の除去容易性が不充 となり、一方、厚みが10μmを上回ると、コ ティング膜3自体の耐衝撃性が低下してクラ クが入り易くなるので好ましくない。
 特に、干渉色の発生を防止するためには、 ーティング膜3の厚みを0.1μm以下とするのが 好適である。

 この表層部3aの厚みは、後述する第2の製造 法の「第2の工程」における熱処理条件によ り決定されるが、通常の熱処理条件下では、 コーティング膜3の表面から少なくとも0.0001μ m以上、好ましくは0.005μm以上である。
 また、この表層部3aにおけるリン(P)の濃度 、特に制限されるものではないが、0.001質量 %以上かつ10質量%以下、好ましくは0.1質量%以 かつ10質量%以下であり、このコーティング 3の表面から深さ方向に向かって徐々に低濃 度となるような濃度勾配を有している。
 この表層部3aにおけるリン(P)の濃度が0.001質 量%を下回ると、水垢は水拭きあるいは水洗 度の簡便な清掃手段では除去することがで ず、一方、表層部3aにおけるリン(P)の濃度が 10質量%を上回ると、水垢固着防止コーティン グ膜3の耐水性、耐摩耗性が低下するので好 しくない。

 この衛生陶器1では、上記の表層部3aを有す 水垢固着防止コーティング膜3が形成されて いるので、水垢の固着を有効に防止すること ができる。また、この水垢が固着したとして も、水拭き程度で簡単に除去することができ る。
 しかも、この表層部3aを有するコーティン 膜3は、耐久性にも優れている。

 このコーティング膜3の表層部3aが防汚効果 発揮する理由は、表層部3aの構成成分であ ケイ素(Si)、ジルコニウム(Zr)、リン(P)の各原 子と酸素(O)原子との結合状態と密接に関連す ると考えられる。
 ここで、代表的な2種類の結合状態について 説明する。
(1)下記の構造式(3)に示すように、1つのケイ (Si)原子が4つの酸素(O)原子と化学結合してお り、各々の酸素(O)原子が結合手を一本持って いる場合。

 この場合、酸素(O)原子の結合手の一部が 素と結合して水酸基(-OH)となり、親水性を す。水垢固着防止コーティング膜3の表層部3 aが親水性を示すと、水垢がより強固に固着 る。

(2)下記の構造式(4)に示すように、1つのジル ニウム(Zr)原子が3つの酸素(O)原子と化学結合 しており、これらの酸素(O)原子のうち1つの 素(O)原子とは二重結合しており、その他の 素(O)原子はそれぞれ結合手を一本持ってい 場合。

 この場合、これらの酸素(O)原子の結合手 一部が水素と結合して水酸基(-OH)となり、 水性を示す。水垢固着防止コーティング膜3 表層部3aが親水性を示すと、水垢がより強 に固着する。

 このようなケイ素(Si)原子と酸素(O)原子との 化学結合、及びジルコニウム(Zr)原子と酸素(O )原子との化学結合を有するコーティング膜3 にリン(P)が含まれると、例えば、下記の構 式(5)に示すように、リン(P)が酸素(O)原子の 合手と脱水縮合反応により架橋され、更に 重結合が生じる。この二重結合は水酸基(-OH )ではないために、ある程度の撥水性を示す

 その結果、コーティング膜3の表層部3aは 水垢に対して適度の親水性と撥水性を具備 ることとなり、よって、水垢の表層部3aと 密着性が低下し、水垢の固着が有効に防止 れる。これにより、水垢が固着しても、水 き程度で簡単に除去することができる。

 この衛生陶器1は、例えば、次のような第2 製造方法により作製することができる。
 すなわち、この第2の製造方法は、ジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物及びジルコニウムアルコキ シドの加水分解物のキレート化合物及び平均 粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末 群から選択される1種または2種以上のジルコ ニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、溶媒と 含み、ジルコニウム(Zr)成分を酸化ジルコニ ウム(ZrO 2 )に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 ある第2の塗布液を、基体2の表面に塗布し 塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室 (25℃)以上、より好ましくは100℃以上、さら 好ましくは400℃以上の温度にて熱処理して 膜とする第1の工程と、次いで、この薄膜の 上にリン(P)成分を含む溶液または分散液を塗 布して室温(25℃)以上、より好ましくは100℃ 上、さらに好ましくは400℃以上の温度にて 処理することによりリン(P)成分を薄膜に含 せしめる第2の工程とを有している。

 この第2の塗布液における上記のジルコニ ウムアルコキシドとしては、特に制限される ものではないが、例えば、ジルコニウムテト ラノルマルブトキシド、ジルコニウムテトラ プロポキシドを例示することができる。これ らジルコニウムテトラノルマルブトキシドや ジルコニウムテトラプロポキシドは、適度な 加水分解速度を有し、しかも、取り扱い易い ので、膜質が均一な薄膜を形成することがで きる。

 また、上記のジルコニウムアルコキシド 加水分解物としては、特に制限されるもの はないが、例えば、ジルコニウムテトラノ マルブトキシドの加水分解物、ジルコニウ テトラプロポキシドの加水分解物を例示す ことができる。この加水分解物の加水分解 としては、特に制限はなく、0モル%超~100モ %の範囲内のものを使用することができる。

 これらジルコニウムアルコキシドやジル ニウムアルコキシドの加水分解物は、吸湿 が高く、非常に不安定であり、さらには、 の第2の塗布液の貯蔵安定性も劣っているの で、これらジルコニウムアルコキシドやジル コニウムアルコキシドの加水分解物をキレー ト化したジルコニウムアルコキシドのキレー ト化合物、ジルコニウムアルコキシドの加水 分解物のキレート化合物を用いることが好ま しい。

 上記のジルコニウムアルコキシドのキレ ト化合物としては、ジルコニウムアルコキ ドと、モノエタノールアミン、ジエタノー アミン、トリエタノールアミン等のエタノ ルアミン、アセチルアセトン等のβ-ジケト 、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、 ロン酸ジエチル、フェノキシ酢酸エチル等 β-ケト酸エステル、酢酸、乳酸、クエン酸 安息香酸、リンゴ酸等のカルボン酸の群か 選択される1種または2種以上の加水分解抑 剤との反応生成物を例示することができる ここで、加水分解抑制剤とは、ジルコニウ アルコキシドとキレート化合物を形成し、 のキレート化合物の加水分解反応を抑制す 作用を有する化合物のことである。

 また、ジルコニウムアルコキシドの加水 解物のキレート化合物としては、ジルコニ ムアルコキシドと、モノエタノールアミン ジエタノールアミン、トリエタノールアミ 等のエタノールアミン、アセチルアセトン のβ-ジケトン、アセト酢酸メチル、アセト 酸エチル、マロン酸ジエチル、フェノキシ 酸エチル等のβ-ケト酸エステル、酢酸、乳 、クエン酸、安息香酸、リンゴ酸等のカル ン酸の群から選択される1種または2種以上 加水分解抑制剤との反応生成物を例示する とができる。加水分解抑制剤の定義は、上 した通りである。

 この加水分解抑制剤の、ジルコニウムアル キシドまたはジルコニウムアルコキシドの 水分解物に対する割合は、このジルコニウ アルコキシドまたはジルコニウムアルコキ ドの加水分解物に含まれるジルコニウム(Zr) の0.5モル倍~4モル倍、好ましくは1モル倍~3モ 倍が好ましい。
 割合が0.5モル倍よりも少ないと、塗布液の 定性が不充分なものとなるからであり、一 、4モル倍を上回ると、熱処理した後におい ても加水分解抑制剤が薄膜中に残留し、その 結果、薄膜の硬度が低下するからである。

 これらジルコニウムアルコキシドのキレ ト化合物、ジルコニウムアルコキシドの加 分解物のキレート化合物としては、ジルコ ウムアルコキシドまたはジルコニウムアル キシドの加水分解物を溶媒中に溶解し、さ に加水分解抑制剤を添加し、得られた溶媒 にてキレート化反応を生じさせたものであ てもよい。

 上記のケイ素成分としては、熱処理によ 酸化ケイ素となり得るケイ素化合物であれ 特に制限はないが、例えば、コロイダルシ カ、ケイ素アルコキシド、ケイ素アルコキ ドの加水分解物を例示することができる。 の加水分解物の加水分解率としては、特に 限はなく、0モル%超~100モル%の範囲内のもの を使用することができる。

 上記の溶媒としては、上述したジルコニ ム成分及びケイ素成分を溶解または分散さ ることのできる溶媒であれば、特に制限な 用いることができ、例えば、水、メタノー 、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノー ル等の低級アルコールの他、エチレングリコ ールモノメチルエーテル、エチレングリコー ルモノエチルエーテル等のエーテル類(セロ ルブ類)、アセトン、ジメチルケトン、ジエ ルケトン等のケトン類、エチレングリコー 等のグリコール類、高級アルコール類、エ テル類等を挙げることができる。特に、溶 として水を用いる場合、アルコキシドの加 分解量以上の量の水を含有させると、塗布 の安定性が低下するので好ましくない。

 ここで、ジルコニウム成分としてジルコニ ムアルコキシドおよび/またはジルコニウム アルコキシドの加水分解物を用いる場合、あ るいは、ケイ素成分としてケイ素アルコキシ ドおよび/またはケイ素アルコキシドの加水 解物を用いる場合には、このジルコニウム 分またはケイ素成分の加水分解反応を制御 る触媒を添加してもよい。
 この触媒としては、塩酸、硝酸等の無機酸 クエン酸、酢酸等の有機酸等を例示するこ ができる。また、この触媒の添加量は、通 、塗布液中のジルコニウム成分及びケイ素 分の合計量に対して0.01~10質量%程度が好ま い。なお、触媒の過剰の添加は、熱処理の に熱処理炉を腐食する虞があるので好まし ない。

 この点、ジルコニウム成分としてジルコ ウムアルコキシドのキレート化合物または ルコニウムアルコキシドの加水分解物のキ ート化合物を用い、ケイ素成分としてコロ ダルシリカを用いると、加水分解反応を制 する触媒である酸を添加する必要がなく、 たがって、薄膜を形成する際に熱処理を行 熱処理炉を腐食する虞がないので好ましい

 この塗布液においては、ジルコニウム成分 ケイ素成分の合計の含有率は、ジルコニウ 成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )にそれぞれ換算したときの、酸化ジルコニ ムと酸化ケイ素の合計の含有率が0.1質量%以 かつ10質量%以下であることが好ましい。
 合計の含有率が0.1質量%を下回ると、所定の 膜厚の薄膜を形成することが困難となり、一 方、合計の含有率が10質量%を上回ると、膜厚 が所定の膜厚を超えて薄膜が白化したり、剥 離する原因となるので好ましくない。

 次いで、この第2の塗布液を基体2の表面 塗布する。塗布方法としては特に制限はな 、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り法等 適用できる。塗布に当たっては、塗布膜の みを、熱処理後の膜厚が0.001μm~10μmの範囲に なるように調製することが好ましい。

  このようにして得られた塗布膜を室室温(2 5℃)以上、より好ましくは100℃以上、さらに ましくは400℃以上の熱処理温度にて、通常 0.1時間以上かつ24時間以下の熱処理時間、 処理し、薄膜を形成する。
 ここで、熱処理時間が不足すると、得られ 薄膜の膜強度が低下するので好ましくない 一方、熱処理温度が高すぎるか、あるいは 処理時間が長すぎると、基体2が変形する虞 があるので、熱処理温度及び熱処理時間を基 体2の材質に応じて調整する必要がある。な 、熱処理時の雰囲気は特に制限されず、通 、大気雰囲気中で行う。

 次いで、リン(P)成分を、水あるいは有機溶 に溶解または分散させて、リン(P)成分を含 溶液または分散液を作製する。
 このリン(P)成分としては、リン酸、ポリリ 酸、メタリン酸等のリン酸類、リン酸ナト ウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩 ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリ ム、ポリリン酸水素ナトリウム、メタリン 水素ナトリム等の縮合リン酸塩、リン酸エ テル等のリン酸化合物等、リン(P)を分子骨 中に有するリン化合物であればよく、特に 限はない。
 この溶液または分散液の溶媒としては、リ (P)成分を溶解または分散させることのでき 溶媒であればよく、水あるいは有機溶媒が げられ、この有機溶媒には特に制限はない
 このリン(P)成分を、水あるいは有機溶媒に 解または分散させる。有機溶媒には特に制 はない。

 このリン(P)成分を含む溶液または分散液に けるリン(P)の濃度は特に制限されないが、 ましくは、0.01質量%以上かつ10質量%以下で る。
 このリン(P)成分の濃度が0.01質量%を下回る 、本発明の特徴的な効果である防汚性が充 に達成されず、一方、リン(P)成分の濃度が10 質量%を上回ると、表層部3aの表面が粗面化さ れ、表面祖れが生じる虞がある。
 また、このリン(P)を含む溶液または分散液 は、塗布性を改善するために界面活性剤を 有してもよい。

 このリン(P)成分を含む溶液または分散液を コーティング膜3の上に塗布する。
 塗布方法としては特に制限はなく、スプレ 法、ディップ法、刷毛塗り法等が適用でき 。また、この溶液または分散液を塗布する の塗布量については、コーティング膜3に十 分に防汚性を付与することができる量であれ ばよく、特に制限は無い。

 次いで、このリン(P)成分を含む溶液または 散液を塗布した薄膜を、室温(25℃)以上、よ り好ましくは100℃以上、さらに好ましくは400 ℃以上の温度にて0.1時間~24時間熱処理し、リ ン(P)成分を薄膜に含浸せしめ、水垢固着防止 コーティング膜3を形成する。
 ここで、熱処理時間が不足すると、薄膜の 強度が不充分となり、薄膜の表層部3a中の ン(P)成分の含有量が不足し、水垢(動物の排 物等の汚れを含む)に対する固着防止効果が 達成されないので好ましくない。
 なお、熱処理温度が高すぎるか、あるいは 処理時間が長すぎると、基体2が変形する虞 があるので、熱処理温度及び熱処理時間を基 体2に応じて調整する必要がある。また、熱 理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大 雰囲気中で行う。

 なお、第1の工程で得られた薄膜が高温状態 であった場合には、この薄膜の表面にリン(P) 成分を含む溶液または分散液を塗布するだけ で、この溶液または分散液中のリン(P)成分を 薄膜中に容易に含浸させることができる。し たがって、この場合には、第2の工程の熱処 をわざわざ施す必要はない。この第2の工程 熱処理は、このような形態の熱処理も含む のである。
 また、熱処理後、薄膜上に残渣が残存して ることがあるが、この残渣は水洗などで容 に取り除くことができる。

 以上説明したように、本実施形態の衛生陶 によれば、コーティング膜3の表層部3aが水 に対して適度の親水性と撥水性を有してい ので、水垢固着防止効果に優れたものとす ことができ、この水垢固着防止効果を長期 にわたって維持することができる。したが て、水垢が水垢固着防止製品1の表面に固着 した場合であっても、この水垢を簡単な操作 で容易に取り除くことができ、清掃作業等の 労力を削減するとともに、作業効率を向上さ せることができる。
 また、固着した水垢を取り除くための強い 品類や研磨剤が不要であるから、環境への 荷を低減することができる。
 更に、本実施形態の水垢固着防止製品の製 方法によれば、上記の効果を奏する水垢固 防止製品を簡単にかつ効率よく作製するこ ができる。

「第3の実施の形態」
 図3は、本発明の第3の実施形態の衛生陶器 示す断面図である。この衛生陶器11が第2の 施形態の衛生陶器1と異なる点は、第2の実施 形態の衛生陶器1では、ケイ素(Si)とジルコニ ム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有し、実質的 に他の成分を含有していないコーティング膜 3を形成し、このコーティング膜3の少なくと 表層部3aにリン(P)を分布したのに対し、本 施形態の衛生陶器11では、ケイ素(Si)とジル ニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合 含有し、実質的に他の成分を含有していな コーティング膜12を形成し、このコーティ グ膜12中にリン(P)を略均一に分布した点であ る。

 このコーティング膜12の組成は、ケイ素(Si) ジルコニウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)を含み、 ケイ素(Si)を酸化ケイ素(SiO 2 )に、ジルコニウム(Zr)を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの酸化ケイ素(SiO 2 )の、酸化ケイ素(SiO 2 )と酸化ジルコニウム(ZrO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 あり、かつ、リン(P)はコーティング膜12中 略均一に分布している。
 そして、このリン(P)を含むコーティング膜1 2全体が優れた防汚機能を備えており、防汚 の薄膜となっている。また、コーティング 12は酸化ケイ素(SiO 2 )を含有しているので、耐水性及び基体2に対 る密着性に優れている。

 ここで、酸化ケイ素(SiO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率を50質量%以下 した理由は、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が50質量%を越えると、水垢の 着を防止することができなくなり、しかも 一旦固着した水垢を水拭きあるいは水洗程 では除去することができなくなるからであ 。
 特に、酸化ケイ素(SiO 2 )の質量百分率が1質量%以上かつ20質量%以下の 場合には、水垢の固着をより一層効率よく防 止することができ、また、水垢が固着したと しても、この水垢をより一層効率よく容易に 水洗除去することができるので好ましい。

 このコーティング膜12中におけるリン(P)の 度は、特に制限されるものではないが、0.001 質量%以上かつ10質量%以下が好ましく、より ましくは0.01質量%以上かつ10質量%以下、さら に好ましくは0.1質量%以上かつ10質量%以下で る。
 このコーティング膜12におけるリン(P)の濃 が0.001質量%を下回ると、水垢は水拭きある は水洗程度の簡便な清掃手段では除去する とができず、一方、リン(P)の濃度が10質量% 上回ると、コーティング膜12の耐水性、耐摩 耗性が低下するので好ましくない。

 コーティング膜12の厚みは、0.001μm以上かつ 10μm以下であることが好ましい。
 このコーティング膜12の厚みが0.001μmを下回 ると、防汚性の付与、すなわち水垢に対する 防汚性及び固着した水垢の除去容易性が不充 分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、コ ティング膜12自体の耐衝撃性が低下してク ックが入り易くなるので好ましくない。
 特に、干渉色の発生を防止するためには、 ーティング膜12の厚みを0.1μm以下とするの 好適である。

 この衛生陶器11では、リン(P)が略均一に分 した水垢固着防止コーティング膜12が形成さ れているので、水垢の固着を有効に防止する ことができる。また、この衛生陶器11の表面 水垢が固着した場合であっても、この水垢 水拭きあるいは水洗程度の簡便な清掃手段 簡単に除去することができる。
 しかも、このコーティング膜12は、耐久性 も優れている。
 なお、このコーティング膜12が水垢固着防 効果を発揮する理由は、第2の実施形態の水 固着防止コーティング膜3の表層部3aと同様 ある。

 この衛生陶器11は、例えば、次のような第3 製造方法により作製することができる。
 すなわち、この第3の製造方法は、ジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物及びジルコニウムアルコキ シドの加水分解物のキレート化合物及び平均 粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末 群から選択される1種または2種以上のジルコ ニウム(Zr)成分と、ケイ素(Si)成分と、リン(P) 分と、溶媒とを含み、ジルコニウム(Zr)成分 を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素(Si)成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が50質量%以下 より好ましくは1質量%以上かつ40質量%以下、 さらに好ましくは1質量%以上かつ20質量%以下 ある第3の塗布液を、基体2の表面に塗布し 塗布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室 (25℃)以上、より好ましくは100℃以上、さら 好ましくは400℃以上の温度にて熱処理する 程を有している。

 この第3の塗布液におけるリン(P)成分の濃度 は、特に制限されないが、リン(P)成分をリン (P)に、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム (ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸 ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率が0.001質量%以 かつ10質量%以下であることが、得られるコ ティング膜12が水垢の固着防止性に優れ、水 垢の固着をより一層効率よく防止することが でき、また、水垢が固着したとしても、この 水垢をより一層効率よく、しかも容易に水洗 除去することができるので好ましい。

 この第3の塗布液におけるジルコニウムア ルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加 水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレ ート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加 水分解物のキレート化合物、加水分解抑制剤 、ケイ素成分、溶媒、触媒、リン(P)成分につ いては、第2の実施形態の第2の塗布液におけ 各成分と同様である。

 この第3の塗布液を基体2の上に塗布する方 としては、特に制限はなく、スプレー法、 ィップ法、刷毛塗り法等が適用できる。
 次いで、この第3の塗布液を塗布した基体2 、室温(25℃)以上、より好ましくは100℃以上 さらに好ましくは400℃以上の温度にて0.1時 ~24時間熱処理し、基体2上にコーティング膜 12を形成する。

 ここで、熱処理時間が不足すると、コーテ ング膜12の膜強度が不充分となり、薄膜の 層部3a中のリン(P)成分の含有量が不足し、水 垢(動物の排泄物等の汚れを含む)に対する固 防止効果が達成されないので好ましくない
 なお、熱処理温度が高すぎるか、あるいは 処理時間が長すぎると、基体2が変形する虞 があるので、熱処理温度及び熱処理時間を基 体2に応じて調整する必要がある。また、熱 理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大 雰囲気中で行う。
 熱処理後、残渣が残ることがあるが、これ 水洗などで容易に取り除くことができる。

 この衛生陶器11は、第2の実施形態の第2の 製造方法によっても作製することができる。 すなわち、上述した第2の製造方法の「第2の 程」における熱処の際に、リン(P)成分を含 溶液または分散液を、薄膜の深部(底部)ま 充分に浸透させ、熱処理を施すことにより リン(P)との化学反応を薄膜の深部において 生起させる。

 本実施形態においても、第2の実施形態と同 様の効果を奏することができる。
 しかも、コーティング膜12中にリン(P)を略 一に分布したので、衛生陶器11の表面におけ る防汚性の面内均一性が向上したものとなる 。

「第4の実施の形態」
 図4は、本発明の第4の実施形態の衛生陶器 示す断面図である。この衛生陶器21が第2の 施形態の衛生陶器1と異なる点は、第2の実施 形態の衛生陶器1では、ケイ素(Si)とジルコニ ム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有し、実質的 に他の成分を含有していないコーティング膜 3を形成し、このコーティング膜3の少なくと 表層部3aにリン(P)を分布したのに対し、本 施形態の衛生陶器21では、ジルコニウム(Zr) 酸素(O)とリン(P)とを含有し、実質的に他の 分を含有していないコーティング膜22を形成 し、このコーティング膜22の少なくとも表層 22aにリン(P)を分布した点である。

 コーティング膜22の厚みは、0.001μm以上かつ 10μm以下であることが好ましい。
 このコーティング膜22の厚みが0.001μmを下回 ると、防汚性の付与、すなわち水垢に対する 防汚性及び固着した水垢の除去容易性が不充 分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、コ ティング膜22自体の耐衝撃性が低下してク ックが入り易くなるので好ましくない。
 特に、干渉色の発生を防止するためには、 ーティング膜22の厚みを0.1μm以下とするの 好適である。

 この表層部22aの厚みは、後述する第4の製造 方法の「第2の工程」における熱処理条件に り決定されるが、通常の熱処理条件下では コーティング膜22の表面から少なくとも0.0001 μm以上、好ましくは0.005μm以上である。
 また、この表層部22aにおけるリン(P)の濃度 、特に制限されるものではないが、0.001質 %以上かつ10質量%以下、好ましくは0.1質量%以 上かつ10質量%以下であり、このコーティング 膜22の表面から深さ方向に向かって徐々に低 度となるような濃度勾配を有している。
 この表層部22aにおけるリン(P)の濃度が0.001 量%を下回ると、水垢は水拭きあるいは水洗 度の簡便な清掃手段では除去することがで ず、一方、表層部22aにおけるリン(P)の濃度 10質量%を上回ると、コーティング膜22の耐 性、耐摩耗性が低下するので好ましくない

 この衛生陶器21では、上記の表層部22aを有 る水垢固着防止コーティング膜22が形成され ているので、水垢の固着を有効に防止するこ とができる。また、この水垢が固着したとし ても、水拭き程度で簡単に除去することがで きる。
 しかも、この表層部22aを有するコーティン 膜22は、耐久性にも優れている。

 この表層部22aが防汚効果を発揮する理由は 表層部22aの構成成分であるジルコニウム(Zr) 、リン(P)の各原子と酸素(O)原子との結合状態 と密接に関連すると考えられる。
 すなわち、下記の構造式(6)に示すように、1 つのジルコニウム(Zr)原子は、3つの酸素(O)原 と化学結合しており、これらの酸素(O)原子 うち1つの酸素(O)原子とは二重結合しており 、その他の酸素(O)原子はそれぞれ結合手を一 本持っている。

 これらの酸素(O)原子の結合手の一部が水 と結合して水酸基(-OH)となり、親水性を示 こととなる。水垢固着防止コーティング膜22 の表層部22aが親水性を示すと、水垢がより強 固に固着する。

 このようなジルコニウム(Zr)原子と酸素(O)原 子との化学結合を有するコーティング膜22中 リン(P)が含まれると、下記の構造式(7)に示 ように、リン(P)が酸素(O)原子の結合手と脱 縮合反応により架橋され、更に二重結合が じる。この二重結合は水酸基(-OH)ではない めに、ある程度の撥水性を示す。

 その結果、コーティング膜22の表層部22a 、水垢に対して適度の親水性と撥水性を具 することとなり、よって、水垢の水垢固着 止コーティング膜22との密着性が低下し、水 垢の固着が有効に防止される。また、水垢が 固着したとしても、この水垢をより一層効率 よく、しかも容易に水洗除去することができ る。

 この衛生陶器21は、例えば、次のような第4 製造方法により作製することができる。
 すなわち、この第4の製造方法は、ジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物及びジルコニウムアルコキ シドの加水分解物のキレート化合物及び平均 粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末 群から選択される1種または2種以上のジルコ ニウム(Zr)成分と、溶媒とを含む第4の塗布液 、基体2の表面に塗布して塗布膜を形成し、 次いで、この塗布膜を室温(25℃)以上、より ましくは100℃以上、さらに好ましくは400℃ 上の温度にて熱処理して薄膜とする第1の工 と、次いで、この薄膜の上にリン(P)成分を む溶液または分散液を塗布して室温(25℃)以 上、より好ましくは100℃以上、さらに好まし くは400℃以上の温度にて熱処理することによ りリン(P)成分を薄膜に含有せしめる第2の工 とを有している。

 この第4の塗布液における上記のジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物のキレート化合物、加水分解 抑制剤、溶媒、触媒については、第2の実施 態の第2の塗布液における各成分と同様であ 。

 この第4の塗布液を基体2の上に塗布する方 としては、特に制限はなく、スプレー法、 ィップ法、刷毛塗り法等が適用できる。
 次いで、この第4の塗布液を塗布した基体2 、室温(25℃)以上、より好ましくは100℃以上 さらに好ましくは400℃以上の熱処理温度に 0.1時間~24時間熱処理し、基体2上にコーティ ング膜22を形成する。

 ここで、熱処理時間が不足すると、コーテ ング膜22の膜強度が不充分となり、薄膜の 層部3a中のリン(P)成分の含有量が不足し、水 垢(動物の排泄物等の汚れを含む)に対する固 防止効果が達成されないので好ましくない
 なお、熱処理温度が高すぎるか、あるいは 処理時間が長すぎると、基体2が変形する虞 があるので、熱処理温度及び熱処理時間を基 体2に応じて調整する必要がある。また、熱 理時の雰囲気は特に制限されず、通常、大 雰囲気中で行う。

 次いで、このコーティング膜22上に、リン(P )成分を含む溶液または分散液を塗布する。 のリン(P)成分を含む溶液または分散液は、 2の実施形態のリン(P)成分を含む溶液または 散液と同様である。
 このリン(P)成分を含む溶液または分散液を ーティング膜22の上に塗布する塗布方法と ては、特に制限はなく、スプレー法、ディ プ法、刷毛塗り法等が適用できる。

 次いで、このリン(P)成分を含む溶液または 散液を塗布したコーティング膜22を、室温(2 5℃)以上、より好ましくは100℃以上、さらに ましくは400℃以上の熱処理温度にて0.1時間~ 24時間熱処理し、リン(P)成分をコーティング 22に含浸せしめる。
 ここで、熱処理時間が不足すると、コーテ ング膜22の膜強度が不充分となり、コーテ ング膜22の表層部22aにおけるリン(P)成分の含 有量が不足し、防汚性の効果が達成されない からである。なお、熱処理温度が高すぎたり 、熱処理時間が長すぎたりすると、基体2が 形する虞があるため、熱処理温度及び熱処 時間を基体2に応じて調整する。熱処理時の 囲気は特に制限されず、通常、大気雰囲気 で行う。
 熱処理後、残渣が残ることがあるが、これ 水洗などで容易に取り除くことができる。
 本実施形態においても、第2の実施形態と同 様の効果を奏することができる。

「第5の実施の形態」
 図5は、本発明の第5の実施形態の衛生陶器 示す断面図である。この衛生陶器31が第3の 施形態の衛生陶器11と異なる点は、第3の実 形態の衛生陶器11では、ケイ素(Si)とジルコ ウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合で 有し、実質的に他の成分を含有していない ーティング膜12を形成し、このコーティン 膜12中にリン(P)を略均一に分布したのに対し 、本実施形態の衛生陶器31では、ジルコニウ (Zr)と酸素(O)とリン(P)とを所定の割合で含有 し、実質的に他の成分を含有していないコー ティング膜32を形成し、このコーティング膜3 2中にリン(P)を略均一に分布した点である。
 そして、このリン(P)を含むコーティング膜3 2全体が優れた防汚機能を備えており、防汚 の薄膜となっている。

 このコーティング膜32中におけるリン(P)の 度は、特に制限されるものではないが、0.001 質量%以上かつ10質量%以下が好ましく、より ましくは0.1質量%以上かつ10質量%以下である
 このコーティング膜32中におけるリン(P)の 度が0.001質量%を下回ると、水垢は水拭きあ いは水洗程度の簡便な清掃手段では除去す ことができず、一方、リン(P)の濃度が10質量 %を上回ると、コーティング膜32の耐水性、耐 摩耗性が低下するので好ましくない。

 コーティング膜32の厚みは、0.001μm以上かつ 10μm以下であることが好ましい。
 このコーティング膜32の厚みが0.001μmを下回 ると、防汚性の付与、すなわち水垢に対する 防汚性及び固着した水垢の除去容易性が不充 分となり、一方、厚みが10μmを上回ると、コ ティング膜32自体の耐衝撃性が低下してク ックが入り易くなるので好ましくない。
 特に、干渉色の発生を防止するためには、 ーティング膜32の厚みを0.1μm以下とするの 好適である。

 この衛生陶器31では、上記のコーティング 32が形成されているので、水垢の固着を有効 に防止することができる。また、この水垢が 固着したとしても、水拭き程度で簡単に除去 することができる。
 しかも、このコーティング膜32は、耐久性 も優れている。
 このコーティング膜32が防汚効果を発揮す 理由は、第4の実施形態のコーティング膜22 同様の理由による。

 この衛生陶器31は、例えば、次のような第5 製造方法により作製することができる。
 すなわち、この第5の製造方法は、ジルコニ ウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシ ドの加水分解物、ジルコニウムアルコキシド のキレート化合物及びジルコニウムアルコキ シドの加水分解物のキレート化合物及び平均 粒子径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粉末 群から選択される1種または2種以上のジルコ ニウム(Zr)成分と、リン(P)成分と、溶媒とを む第5の塗布液を、基体2の表面に塗布して塗 布膜を形成し、次いで、この塗布膜を室温(25 ℃)以上、より好ましくは100℃以上、さらに ましくは400℃以上の温度にて熱処理する工 を有している。

 この第5の塗布液におけるリン(P)成分の濃度 は、特に制限されないが、リン(P)成分をリン (P)に、ジルコニウム成分を酸化ジルコニウム (ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸 ジルコニウム(ZrO 2 )に対する質量百分率が0.001質量%以上かつ10質 量%以下であることが、得られるコーティン 膜32が水垢の固着防止性に優れ、水垢の固着 をより一層効率よく防止することができ、ま た、水垢が固着したとしても、この水垢をよ り一層効率よく、しかも容易に水洗除去する ことができるので好ましい。

 この第5の塗布液におけるジルコニウムア ルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加 水分解物、ジルコニウムアルコキシドのキレ ート化合物、ジルコニウムアルコキシドの加 水分解物のキレート化合物、加水分解抑制剤 、溶媒、触媒、リン(P)成分については、第2 実施形態の第2の塗布液における各成分と同 である。

 この第5の塗布液を基体2の上に塗布する方 としては、特に制限はなく、スプレー法、 ィップ法、刷毛塗り法等が適用できる。
 次いで、この第5の塗布液を塗布した基体2 、室温(25℃)以上、より好ましくは100℃以上 さらに好ましくは400℃以上の熱処理温度に 0.1時間~24時間熱処理し、基体2上にコーティ ング膜32を形成する。

 ここで、熱処理時間が不足すると、コーテ ング膜32の膜強度が不充分となるからであ 。なお、熱処理温度が高すぎたり、熱処理 間が長すぎたりすると、基体2が変形する虞 あるため、熱処理温度及び熱処理時間を基 2に応じて調整する。熱処理時の雰囲気は特 に制限されず、通常、大気雰囲気中で行う。
 熱処理後、残渣が残ることがあるが、これ 水洗などで容易に取り除くことができる。

 この衛生陶器31は、第4の実施形態の第4の製 造方法によっても作製することができる。す なわち、上述した第4の製造方法の「第2の工 」における熱処の際に、リン(P)成分を含む 液または分散液を、薄膜の深部(底部)まで 分に浸透させ、熱処理を施すことにより、 ン(P)との化学反応を薄膜の深部においても 起させる。
 本実施形態においても、第3の実施形態と同 様の効果を奏することができる。

 本発明の実施形態において、印刷法を用 て塗布液を基板上に塗布し、熱処理後の膜 が50nm~500nmの範囲内である略均一な厚みとな るように成膜すると、光の干渉を利用して、 薄膜の厚みに応じた任意の単一色調に薄膜を 着色することができる。例えば、薄膜の厚さ が、10~60nmで透明、60~90nmで銀色、90~150nmで金 、150~190nmで紫、190~240nmで青、240~280nmで緑、28 0~320nmで黄色、それ以上で玉虫色が得られる

また、本発明の実施形態において、印刷法 としては、略均一な厚みに塗布可能である印 刷法であれば特に制限はないが、例えばイン クジェット印刷法、スクリーン印刷法。また 、塗布液中にチタンアルコキシド等のチタン 成分、ハフニウムアルコキシド等のハフニウ ム成分、イットリウムアルコキシド等のイッ トリウム成分を少量添加すると着色が鮮やか となる。

 また、本発明の実施形態において、平均粒 径が20nm以下の酸化ジルコニウム微粒子とし ては特に制限がないが、平均粒子径が10nm以 のものが機械的特性に優れた薄膜を室温(25 )~300℃程度の比較的低温度の熱処理により容 易に形成し得るので好ましい。
 このような酸化ジルコニウム微粒子は、例 ば、特開2006-016236号公報に記載された製造 法により安価、かつ多量に製造することが き、また、住友大阪セメント(株)により市販 されている。

 以下、実施例及び比較例により本発明を 体的に説明するが、本発明はこれらの実施 によって限定されるものではない。

「実施例1」
 ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、ア セト酢酸エチル3質量部、2-プロパノール90.9 量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニ ムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルと キレート化合物を生成させた。次いで、こ 溶液にテトラメトキシシラン0.1質量部を添 し、得られた溶液をエチレングリコールモ ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)にて10倍 希釈し、実施例1の塗布液を得た。

 この塗布液における、ジルコニウム成分を 化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は2質量%であっ た。

 次いで、表面が施釉されたタイルを試験片 し、この試験片の表面に上記の塗布液を、1 00g/m 2 の塗布量にてスプレー塗装し、大気雰囲気中 、700℃にて20分間熱処理して焼き付け、試験 の表面に薄膜を形成した。この薄膜の厚み 0.1μmであった。
 次いで、この薄膜が形成された試験片を、1 質量%(P換算)のトリポリ燐酸ナトリウム水溶 に浸漬して、薄膜の表面を充分に濡した後 引き上げ、さらに、この試験片を、大気雰 気下、250℃にて20分間熱処理した。次いで、 水洗して薄膜上の残渣を取り除き、表面に水 垢固着防止コーティング膜が形成された水垢 固着防止製品を得た。
 この水垢固着防止製品の薄膜の表面におけ リン(P)の含有率を電子プローブマイクロア ライザ(EPMA)を用いて測定したところ、0.1質 %であった。

 次いで、この水垢固着防止製品の水垢の除 容易性及び耐水性を評価した。評価結果を 1に示す。なお、表1中の「含浸」とは、第2 製造方法によったことを示す。なお、評価 法は、次のとおりである。
(1)水垢の除去容易性
  水垢固着防止製品の表面に水道水を1ml滴 し、大気中、100℃にて1時間加熱して水分を 発させ、水垢を析出させた。次いで、この 垢を水を含ませた布を用いて水拭きし、除 の容易性を評価した。
(2)耐水性
  水垢固着防止製品を、水道水を沸騰させ 沸騰水中に1ヶ月間浸漬し、その後、表面を 子で擦ってコーティング膜の表面状態を目 にて観察した。

「実施例2」
 ジルコニウムテトラブトキシドを1.7質量部 、アセト酢酸エチルを0.8質量部に、2-プロ ノールを96.6質量部に、テトラメトキシシラ を0.9質量部にそれぞれ変更した他は、実施 1に準じて実施例2の塗布液を得た。
 この実施例2の塗布液における、ジルコニウ ム成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は45質量%であ た。

 次いで、この実施例2の塗布液を用いた他は 、実施例1に準じて実施例2の水垢固着防止製 を得た。この薄膜の厚みは0.1μmであった。
 この実施例2の水垢固着防止製品の薄膜の表 面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマ イクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したとこ ろ、0.1質量%であった。
 さらに、この実施例2の水垢固着防止製品の 水垢の除去容易性及び耐水性を実施例1に準 て評価した。評価結果を表1に示す。

「実施例3」
 ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、ア セト酢酸エチル3質量部、2-プロパノール91質 部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニウ テトラブトキシドとアセト酢酸エチルとの レート化合物を生成させた。次いで、この 液をエチレングリコールモノブチルエーテ (ブチルセロソルブ)にて10倍に希釈し、実施 例3の塗布液を得た。

 次いで、この実施例3の塗布液を用いた他は 、実施例1に準じて実施例3の水垢固着防止製 を得た。この薄膜の厚みは0.1μmであった。
 この実施例3の水垢固着防止製品の薄膜の表 面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマ イクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したとこ ろ、0.1質量%であった。
 さらに、この実施例3の水垢固着防止製品の 水垢の除去容易性及び耐水性を実施例1に準 て評価した。評価結果を表1に示す。なお、 1中の「含浸」とは、第4の製造方法によっ ことを示す。

「実施例4」
 実施例1の塗布液に、リン(P)成分としてリン 酸トリメチルを添加して実施例4の塗布液を た。ただし、リン(P)成分の添加量は、リン トリメチルをリン(P)に、ジルコニウム成分 酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸 ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率を1質量%とした 。

 次いで、この実施例4の塗布液を用いた他は 、実施例1に準じて実施例4の水垢固着防止製 を得た。ただし、実施例4の塗布液中には、 リン(P)成分としてリン酸トリメチルが予め添 加されているので、トリポリリン酸処理は施 さなかった。この薄膜の厚みは0.1μmであった 。
 この実施例4の水垢固着防止製品の薄膜の表 面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマ イクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したとこ ろ、1質量%であった。
 さらに、この実施例4の水垢固着防止製品の 水垢の除去容易性及び耐水性を実施例1に準 て評価した。評価結果を表1に示す。なお、 1中の「塗布」とは、第3の製造方法によっ ことを示す。

「実施例5」
 実施例3の塗布液に、リン(P)成分としてリン 酸トリメチルを添加して実施例5の塗布液を た。ただし、リン(P)成分の添加量は、リン トリメチルをリン(P)に、ジルコニウム成分 酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、それぞれ換算したときの、リン(P)の酸 ジルコニウム(ZrO 2 )に対する質量百分率を1質量%とした。

 次いで、この実施例5の塗布液を用いた他は 、実施例3に準じて実施例5の水垢固着防止製 を得た。ただし、実施例5の塗布液中には、 リン(P)成分としてリン酸トリメチルが予め添 加されているので、トリポリリン酸処理は施 さなかった。この薄膜の厚みは0.1μmであった 。
 この実施例5の水垢固着防止製品の薄膜の表 面におけるリン(P)の含有率を電子プローブマ イクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したとこ ろ、1質量%であった。
 さらに、この実施例5の水垢固着防止製品の 水垢の除去容易性及び耐水性を実施例1に準 て評価した。評価結果を表1に示す。なお、 1中の「塗布」とは、第5の製造方法によっ ことを示す。

「実施例6」
 平均粒径が5nmの酸化ジルコニウム微粒子が に分散した分散液(濃度;5質量%)を実施例1で いた試験片(表面が施釉薬されたタイル)上 、固形分換算で0.5g/m 2 の塗布量にてスプレー塗装し、大気雰囲気下 、250℃の温度にて30分間熱処理して焼付け、 験片(表面が施釉薬されたタイル)上に薄膜 形成した。この薄膜の厚みは0.1μmであった
 次いで、この薄膜上に、1質量%(P)換算のト ポリリン酸ナトリウム水溶液をスプレー塗 し、再度、大気雰囲気下、250℃の温度の30分 間熱処理した。水洗して薄膜上の残渣を取り 除き、実施例6の水垢固着防止製品を得た。
 この実施例6の水垢固着防止製品の薄膜の表 面におけるリン(P)の含有量を電子プローブマ イクロアナライザ(EPMA)を用いて測定したとこ ろ、0.1質量%であった。
 さらに、この実施例6の水垢固着防止製品の 水垢の除去容易性及び耐水性を実施例1に準 て評価した。評価結果を表1に示す。なお、 1中の「含浸」とは、第4の製造方法によっ ことを示す。

「比較例1~3」
 実施例1~3の水垢固着防止製品それぞれにお て、トリポリリン酸処理を施す前の未処理 、すなわち薄膜が焼き付けられただけの試 片(表面が施釉されたタイル)を、比較例1~3 水垢固着防止製品とした。
 この比較例1~3の水垢固着防止製品の水垢の 去容易性及び耐水性を実施例1に準じて評価 した。評価結果を表1に示す。

「比較例4」
 ジルコニウムテトラブトキシドを1.5質量部 、アセト酢酸エチルを0.8質量部に、2-プロ ノールを96.6質量部に、テトラメトキシシラ を1.1質量部にそれぞれ変更した他は、実施 1に準じて比較例4の塗布液を得た。
 この比較例4の塗布液における、ジルコニウ ム成分を酸化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は55質量%であ た。

 次いで、この比較例4の塗布液を用いた他は 、実施例1に準じて比較例4の水垢固着防止製 を得た。この薄膜の厚みは0.1μmであった。
 この比較例4の水垢固着防止製品の水垢の除 去容易性及び耐水性を実施例1に準じて評価 た。評価結果を表1に示す。なお、表1中の「 含浸」とは、第2の製造方法によったことを す。

「比較例5」
 実施例1の塗布液を、実施例1で用いた試験 (表面が施釉されたタイル)の表面に、100g/m 2 の塗布量にてスプレー塗装し、大気雰囲気中 、500℃にて20分間熱処理して焼き付け、試験 (表面が施釉されたタイル)の表面に薄膜を 成した。この薄膜の厚みは0.1μmであった。
 次いで、この薄膜上に、5質量%の水酸化リ ウム水溶液を50g/m 2 の塗布量にて塗布し、大気雰囲気中、250℃の 温度にて20分間熱処理し、表面にリチウムを 有する薄膜が形成された水垢固着防止製品 得た。
 この比較例5の水垢固着防止製品の水垢の除 去容易性及び耐水性を実施例1に準じて評価 た。評価結果を表1に示す。

 表1によれば、実施例1~6の水垢固着防止製品 では、水垢の除去容易性及び耐水性共に良好 であった。
 一方、比較例1~3、5の水垢固着防止製品では 、耐水性は実施例1~6と遜色が無かったものの 、水垢の除去容易性が劣ったものであった。
 また、比較例4の水垢固着防止製品では、実 施例1~6と比べて、水垢の除去容易性及び耐水 性共に劣ったものであった。

「実施例7」
 ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、ア セト酢酸エチル3質量部、2-プロパノール90.9 量部を室温(25℃)下で30分混合し、ジルコニ ムテトラブトキシドとアセト酢酸エチルと キレート化合物を生成させた。次いで、こ 溶液にテトラメトキシシラン0.1質量部を添 し、塗布液を得た。
 この塗布液における、ジルコニウム成分を 化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は2質量%であっ た。

 次いで、この塗布液を、施釉された衛生陶 (便器)の表面に塗布量(固形分換算)が3g/m 2 となるようにスプレー塗装し、大気雰囲気中 、700℃にて20分間、熱処理して、衛生陶器の 面にコーティング膜を形成し、実施例7の衛 生陶器を得た。
 このコーティング膜の厚みは1μmであり、衛 生陶器の表面は、コーティング膜の形成前よ りも光沢が増し、美しい表面を示した。

 次いで、この衛生陶器の水垢汚れの除去 易性及び耐水性を実施例1に準じて評価した 。評価結果を表2に示す。

「実施例8」
 ジルコニウムテトラブトキシドを2.3質量部 、アセト酢酸エチルを1.2質量部に、2-プロ ノールを96.0質量部に、テトラメトキシシラ を0.5質量部に変更した他は、実施例7に準じ て実施例8の塗布液を得た。
 この塗布液における、ジルコニウム成分を 化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は25質量%であ た。

 次いで、この塗布液を用いて、実施例7に準 じて実施例8の衛生陶器を得た。
 このコーティング膜の厚みは1μmであり、衛 生陶器の表面は、コーティング膜の形成前よ りも光沢が増し、美しい表面を示した。
 次いで、この衛生陶器の水垢汚れの除去容 性及び耐水性を実施例1に準じて評価した。 評価結果を表2に示す。

「実施例9」
 ジルコニウムテトラブトキシドを2.0質量部 、アセト酢酸エチルを1.0質量部に、2-プロ ノールを96.3質量部に、テトラメトキシシラ を0.7質量部に変更した他は、実施例7に準じ て実施例9の塗布液を得た。
 この塗布液における、ジルコニウム成分を 化ジルコニウム(ZrO 2 )に、ケイ素成分を酸化ケイ素(SiO 2 )に、それぞれ換算したときの、酸化ケイ素(S iO 2 )の、酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する質量百分率は35質量%であ た。

 次いで、この塗布液を用いて、実施例7に準 じて実施例9の衛生陶器を得た。
 このコーティング膜の厚みは1μmであり、衛 生陶器の表面は、コーティング膜の形成前よ りも光沢が増し、美しい表面を示した。
 次いで、この衛生陶器の水垢汚れの除去容 性及び耐水性を実施例1に準じて評価した。 評価結果を表2に示す。

「実施例10」
 平均粒径が5nmの酸化ジルコニウム微粒子が2 -プロパノール中に分散した、濃度が0.8重量% 分散液99.6重量部に、0.4重量部のテトラメト キシシランを添加し、塗布液を得た。この塗 布液中における、前記ケイ素成分を酸化ケイ 素(SiO 2 )に換算したときの、酸化ケイ素(SiO 2 )の、前記酸化ジルコニウム(ZrO 2 )と前記酸化ケイ素(SiO 2 )の合計量に対する重量百分率は10重量%であ た。
 次いで、この塗布液を用いて、実施例7に準 じて実施例10の衛生陶器を得た。
 このコーティング膜の厚みは1μmであり、衛 生陶器の表面は、コーティング膜の形成前よ りも光沢が増し、美しい表面を示した。
 次いで、この衛生陶器の水垢汚れの除去容 性及び耐水性を実施例1に準じて評価した。 評価結果を表2に示す。

「比較例6」
 ジルコニウムテトラブトキシド6質量部、2- ロパノール93質量部、60質量%の硝酸1質量部 混合して、塗布液を得た。
 次いで、この塗布液を用いて、実施例6に準 じて比較例6の衛生陶器を得た。このコーテ ング膜の厚みは1μmであった。
 次いで、この衛生陶器の水垢汚れの除去容 性及び耐水性を実施例1に準じて評価した。 評価結果を表2に示す。

 表2によれば、実施例7~10では、水垢汚れ 除去容易性、耐水性共に良好であったのに し、比較例6では、水垢汚れの除去容易性、 水性のいずれか一方のみが良好であった。

「実施例11~20」
 試験片(表面が施釉されたタイル)を水洗便 に替え、この水洗便器の内面に実施例1~10各 に準じて水垢固着防止コーティング膜を形 し、実施例11~20各々の水洗便器を得た。
 実施例11~20各々の水洗便器について、便を 着させた後、水洗し、便の固着の有無を調 たところ、便の固着は全く認められなかっ 。
 さらに、便の付着及び水洗を10,000回繰り返 行ったところ、便の固着が全く認められず 固着防止効果を長期間にわたって維持する とができることが確認された。

 本発明の衛生陶器は、基体の表面の少なく も一部に、ケイ素(Si)と、ジルコニウム(Zr) 、酸素(O)とを含有する特定組成のコーティ グ膜を成膜したことにより、水垢(動物の排 物等の汚れを含む)を水拭き程度で簡単に除 去することができたものであるから、防汚性 が要求される各種部材や各種部品等に対して も適用可能であり、その工業的意義は極めて 大きいものである。
 また、本発明の衛生陶器は、その主要部を 成する基体の表面に、ケイ素(Si)とジルコニ ウム(Zr)と酸素(O)とリン(P)とを含有する特定 成のコーティング膜、ジルコニウム(Zr)と酸 (O)とリン(P)とを含有する特定組成のコーテ ング膜、のいずれかを形成することにより 水垢(動物の排泄物等の汚れを含む)が基体 表面に固着するのを防止することができ、 た、この水垢(動物の排泄物等の汚れを含む) が基体上に固着したとしても容易に水洗除去 することができるものであるから、その工業 的意義は極めて大きいものである。