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Title:
SEMICONDUCTOR DEVICE MANUFACTURING METHOD AND SEMICONDUCTOR MANUFACTURING APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090763
Kind Code:
A1
Abstract:
At the time of generating plasma composed of a gas containing an impurity by electrical discharge in a vacuum container and performing impurity doping in sequence to a plurality of substrates by using the plasma, plasma doping conditions of the substrate to be processed are adjusted based on a cumulative discharge time up to a time when the substrates to be processed are arranged in the vacuum container.

Inventors:
SASAKI YUICHIRO
OKASHITA KATSUMI
NAKAMOTO KEIICHI
ITO HIROYUKI
MIZUNO BUNJI
Application Number:
PCT/JP2008/050152
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MATSUSHITA ELECTRIC IND CO LTD (JP)
SASAKI YUICHIRO
OKASHITA KATSUMI
NAKAMOTO KEIICHI
ITO HIROYUKI
MIZUNO BUNJI
International Classes:
H01L21/265
Domestic Patent References:
WO2006121131A12006-11-16
WO2002084724A12002-10-24
Foreign References:
JP2006128380A2006-05-18
JP2002176003A2002-06-21
Attorney, Agent or Firm:
MAEDA, Hiroshi et al. (5-7 Hommachi 2-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 53, JP)
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Claims:
 真空容器内において放電によって不純物を含むガスからなるプラズマを生成し、当該プラズマを用いて複数の基板に対して前記不純物のドーピングを順次実施する半導体装置の製造方法であって、
 前記真空容器内に被処理基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、当該被処理基板のプラズマドーピング条件を調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項1に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記複数の基板に対して前記不純物のドーピングを順次実施する前に、基準となるプラズマドーピング条件を設定し、当該プラズマドーピング条件に従って、複数のダミー基板に対して前記不純物のドーピングを順次実施することにより、積算放電時間とドーズ量又はシート抵抗との相関関係を求めておき、当該相関関係を用いて前記被処理基板のプラズマドーピング条件を調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記相関関係を用いて、前記真空容器内に前記被処理基板が設置されるまでの積算放電時間におけるドーズ量又はシート抵抗の目的値からのずれ量を予測し、その予測結果に基づいて、前記被処理基板のプラズマドーピング条件を調整することを特徴とする半導体装置の製造方法。
 真空容器内において放電によって不純物を含むガスからなるプラズマを生成し、当該プラズマに基板を曝すことによって、前記基板の表面に不純物領域を形成する半導体装置の製造方法であって、
 基準となる第1のプラズマドーピング条件を設定する工程(a)と、
 前記真空容器内に前記基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、前記基板に導入される前記不純物のドーズ量が目的値となるように、前記第1のプラズマドーピング条件を補正して第2のプラズマドーピング条件を設定する工程(b)と、
 前記工程(b)で設定された前記第2のプラズマドーピング条件に従って、前記基板に対して前記不純物のプラズマドーピングを行って前記不純物領域を形成する工程(c)とを備えていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記真空容器内をクリーニングする工程(d)をさらに備え、
 前記積算放電時間は前記工程(d)以降の積算放電時間であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、予め前記真空容器内において少なくとも2つ以上の別々の基板に対して互いに異なる積算放電時間のときに前記第1のプラズマドーピング条件に従って前記不純物のプラズマドーピングを行うと共に前記別々の基板のそれぞれについてドーズ量の測定を行い、その後、前記真空容器内に前記別々の基板のそれぞれが設置されるまでの積算放電時間と、前記別々の基板のそれぞれについて測定されたドーズ量との関係に基づいて、前記第1のプラズマドーピング条件を補正して前記第2のプラズマドーピング条件を設定する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記別々の基板のそれぞれの一部にはドーズ量測定用の領域が設けられ、
 前記工程(b)において前記別々の基板のそれぞれについてのドーズ量の測定は、前記別々の基板のそれぞれの前記ドーズ量測定用の領域を用いて行われることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記基板に導入される前記不純物のドーズ量の前記目的値を変更すると共に、当該変更後の前記目的値と、前記関係から予測されるドーズ量との差異に基づいて、前記第1のプラズマドーピング条件を補正して第3のプラズマドーピング条件を設定する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記別々の基板のそれぞれについて測定されたドーズ量を用いて、下記(式1)におけるパラメータA及びBを決定する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  y=-A・Ln(t)+B ・・・ (式1)
(但し、yはシート抵抗、Lnは自然対数、tは積算放電時間)
 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記別々の基板のそれぞれについて測定されたドーズ量を用いて、下記(式2)における次式パラメータA及びBを決定する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  y=A・t -B  ・・・ (式2)
(但し、yはシート抵抗、tは積算放電時間)
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記真空容器内に前記基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、プラズマドーピング時間を補正する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記真空容器内に前記基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、前記ガスの濃度を補正する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記工程(b)は、前記真空容器内に前記基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、前記ガスの流量を補正する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記真空容器内における前記基板が設置されるサセプタと前記ガスの供給部との距離は一定に保たれていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記ガスは、ボロン原子と水素原子とからなる分子B H (但しm、nは自然数)を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記ガスは、ボロン原子含有ガスとヘリウムとの混合ガスからなることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記ボロン原子含有ガスはB H であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記混合ガス中におけるB H の濃度は0.01質量%以上で且つ1質量%以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記ガスは、BF 、AsH 又はPH のいずれかを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
 請求項4~19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
 前記基板はシリコン基板であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
 不純物を含むガスからなるプラズマに基板を曝すことによって、前記基板の表面に不純物領域を形成する半導体製造装置であって、
 真空容器と、
 前記真空容器内に前記ガスを供給するガス供給部と、
 前記真空容器内から前記ガスを排気するガス排気部と、
 前記ガス供給部によって前記真空容器内に供給された前記ガスを放電によってプラズマ化するプラズマ生成部と、
 プラズマドーピング条件を制御するプラズマドーピング条件制御部とを備え、
 前記プラズマドーピング条件制御部は、基準となる第1のプラズマドーピング条件を設定すると共に、前記真空容器内に前記基板が設置されるまでの積算放電時間に基づいて、前記基板に導入される前記不純物のドーズ量が目的値となるように、前記第1のプラズマドーピング条件を補正して第2のプラズマドーピング条件を設定することを特徴とする半導体製造装置。
 請求項21に記載の半導体製造装置において、
 積算放電時間をカウントするカウンタをさらに備え、
 前記プラズマドーピング条件制御部は、前記カウンタによって得られた積算放電時間に基づいて、前記第1のプラズマドーピング条件を補正して第2のプラズマドーピング条件を設定することを特徴とする半導体製造装置。
Description:
半導体装置の製造方法及び半導 製造装置

 本発明は、半導体装置の製造方法及び半 体製造装置に関し、特に不純物を半導体基 に導入するプラズマドーピングに関する。

 シリコン基板などの半導体基板の表面に 純物を導入し、所望の導電型の不純物領域 形成することによって製造される半導体装 においては、微細化が進展し続けており、 細な領域に浅い不純物領域を高精度に形成 ることが求められている。固体試料の表面 不純物を導入する技術としては、不純物を オン化して低エネルギーで固体中に導入す プラズマドーピング(PD)法が知られている( えば特許文献1参照)。

 さらに、プラズマドーピングによって半 体基板に導入されるドーズ量の再現性を高 るために、本願発明者らは、プラズマドー ング装置のメンテナンス後において放電を 定期間繰り返すことによって、ドーズ量を 算放電時間に対して安定させるための準備 間を設けたプラズマドーピング方法を提案 ている(特許文献2参照)。

 具体的には、特許文献2は、例えばB H /Heプラズマを用いたプラズマドーピングでは 、連続放電時に真空チャンバー内部にボロン を含む膜が形成されていき、プラズマドーピ ングの積算放電時間に対してボロンのドーズ 量が増加していくこと、及び、連続放電を続 けると、積算放電時間に対するボロンのドー ズ量の増加は徐々に少なくなり、積算放電時 間の増加に対してボロンのドーズ量がほとん ど一定となる期間があることを開示している 。また、特許文献2は、積算放電時間に依存 ることなくドーズ量がほとんど一定となる 間をプロセスウインドウとして用いること よって、安定したドーズ量を得ることが可 となることを開示している。図24は、特許文 献2に開示された、ドーズ量制御を可能とす プラズマドーピング方法のフロー図である 図24に示すように、ステップS1001において、 ラズマドーピング装置のメンテナンスを実 した後、ステップS1002において、積算放電 間に依存することなくドーズ量が一定とな 期間をプロセスウインドウとして被処理基 に導入するドーズ量を決定する。その後、 テップS1003において、ステップS1002で決定さ たドーズ量を目標値としてプラズマドーピ グを実施する。その後、不純物導入用のマ クとして用いたレジストを除去した後、被 理基板に導入された不純物の活性化のため アニール処理を行う。

米国特許第4912065号明細書

国際公開第06/121131号パンフレット

 しかしながら、本願発明者らがさらに実 を重ねたところ、積算放電時間に依存する となくドーズ量が一定となる期間に到達し 後も、僅かではあるがドーズ量は増大し続 、その後、当該期間にプラズマドーピング 実施された被処理基板の間でもアニール後 得られるシート抵抗に変動が生じているこ が分かった。すなわち、前記の期間に到達 た後も、同一条件でプラズマドーピングを 行した場合には、ドーズ量が許容誤差範囲 超えてしまうという問題を生じる。

 本発明は前記実情に鑑みてなされたもの 、長期間に亘って複数の被処理基板に対し 繰り返しプラズマドーピングを実施する場 にもドーズ量をさらに高精度に制御するこ ができるプラズマドーピング方法を提供す ことによって、長期間に亘って信頼性の高 不純物領域を高精度で形成することができ 半導体装置の製造方法及び半導体製造装置 提供することを目的とする。

 前記の目的を達成するために、本願発明 らは、不純物を含むプラズマに基板を曝す とによって、前記基板の表面に不純物領域 形成するプラズマドーピング方法において 積算放電時間に基づいて、前記基板に導入 れる前記不純物のドーズ量が目的値となる うにプラズマドーピング条件を補正する補 工程を設け、当該補正工程で補正されたプ ズマドーピング条件に従って前記基板に対 て前記不純物のプラズマドーピングを行う いう発明を想到した。尚、積算放電時間と 、プラズマ励起のための放電時間の合計を 味するが、各被処理基板のプラズマドーピ グ時間が同じである場合には、積算放電時 と等価なパラメータとして積算基板処理枚 を用いることができる。

 すなわち、本発明に係る半導体装置の製 方法は、真空容器内において放電によって 純物を含むガスからなるプラズマを生成し 当該プラズマを用いて複数の基板に対して 記不純物のドーピングを順次実施する半導 装置の製造方法であって、前記真空容器内 被処理基板が設置されるまでの積算放電時 に基づいて、当該被処理基板のプラズマド ピング条件を調整する。

 本発明に係る半導体装置の製造方法によ と、真空容器内に被処理基板が設置される での積算放電時間に基づいて、被処理基板 プラズマドーピング条件を調整するため、 算放電時間に起因するドーズ量の変動を考 して、プラズマドーピング条件の最適化を ることができる。このため、長期間に亘っ 複数の基板に対して繰り返しプラズマドー ングを実施する場合にもドーズ量を高精度 且つ容易に制御できる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記複数の基板に対して前記不純物の ーピングを順次実施する前に、基準となる ラズマドーピング条件を設定し、当該プラ マドーピング条件に従って、複数のダミー 板に対して前記不純物のドーピングを順次 施することにより、積算放電時間とドーズ 又はシート抵抗との相関関係を求めておき 当該相関関係を用いて前記被処理基板のプ ズマドーピング条件を調整してもよい。こ とき、前記相関関係を用いて、前記真空容 内に前記被処理基板が設置されるまでの積 放電時間におけるドーズ量又はシート抵抗 目的値からのずれ量を予測し、その予測結 に基づいて、前記被処理基板のプラズマド ピング条件を調整してもよい。

 この構成によれば、生産工程前にダミー 板を用いて積算放電時間とドーズ量又はシ ト抵抗との相関関係を予め求めておき、当 相関関係を用いて被処理基板のプラズマド ピング条件を調整するため、プラズマドー ング条件の調整を高精度で且つ容易に行う とができる。

 より具体的には、本発明に係る半導体装 の製造方法は、真空容器内において放電に って不純物を含むガスからなるプラズマを 成し、当該プラズマに基板を曝すことによ て、前記基板の表面に不純物領域を形成す 半導体装置の製造方法であって、基準とな 第1のプラズマドーピング条件を設定する工 程(a)と、前記真空容器内に前記基板が設置さ れるまでの積算放電時間に基づいて、前記基 板に導入される前記不純物のドーズ量が目的 値となるように、前記第1のプラズマドーピ グ条件を補正して第2のプラズマドーピング 件を設定する工程(b)と、前記工程(b)で設定 れた前記第2のプラズマドーピング条件に従 って、前記基板に対して前記不純物のプラズ マドーピングを行って前記不純物領域を形成 する工程(c)とを備えている。

 本発明に係る半導体装置の製造方法によ と、基準となる第1のプラズマドーピング条 件を予め設定しておき、積算放電時間に基づ いて不純物のドーズ量が目的値となるように 第1のプラズマドーピング条件を補正して得 れる第2のプラズマドーピング条件に従って プラズマドーピングを行う。すなわち、積 放電時間に起因するドーズ量の変動を考慮 て、プラズマドーピング条件の最適化を図 ことができる。このため、長期間に亘って 数の被処理基板に対して繰り返しプラズマ ーピングを実施する場合にもドーズ量を高 度で且つ容易に制御できるので、長期間に って不純物領域を高精度で形成でき、それ よって半導体装置の信頼性を向上させるこ ができる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記真空容器内をクリーニングする工 (d)をさらに備え、前記積算放電時間は前記 程(d)以降の積算放電時間であってもよい。

 この構成によれば、クリーニングによっ 真空容器内を初期状態にリセットし、その セットされた状態から積算放電時間をカウ トすることにより、プラズマドーピング条 の補正を高精度で行うことができる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記工程(b)は、予め前記真空容器内に いて少なくとも2つ以上の別々の基板に対し て互いに異なる積算放電時間のときに前記第 1のプラズマドーピング条件に従って前記不 物のプラズマドーピングを行うと共に前記 々の基板のそれぞれについてドーズ量の測 を行い、その後、前記真空容器内に前記別 の基板のそれぞれが設置されるまでの積算 電時間と、前記別々の基板のそれぞれにつ て測定されたドーズ量との関係に基づいて 前記第1のプラズマドーピング条件を補正し 前記第2のプラズマドーピング条件を設定す る工程を含んでいてもよい。

 この構成によれば、少なくとも2つ以上の 異なる積算放電時間のときに測定されたドー ズ量に基づいて、第1のプラズマドーピング 件を補正しているため、プラズマドーピン 条件の補正を高精度で且つ容易に行うこと できる。尚、ドーズ量の測定に代えて、所 条件下でドーズ量と1対1で対応するシート抵 抗値の測定を行い、積算放電時間とシート抵 抗値の測定値との関係に基づいて、プラズマ ドーピング条件の補正を行ってもよい。

 積算放電時間とドーズ量の測定値との関 に基づいて、プラズマドーピング条件の補 を行う場合、前記別々の基板のそれぞれの 部にはドーズ量測定用の領域が設けられ、 記工程(b)において前記別々の基板のそれぞ についてのドーズ量の測定は、前記別々の 板のそれぞれの前記ドーズ量測定用の領域 用いて行われてもよい。

 この構成によれば、ドーズ量測定のため 量産工程用とは別に基板を用意してプラズ ドーピング処理を行うことなく、ドーズ量 定を行うことができるので、スループット 向上する。尚、この場合にも、ドーズ量の 定に代えて、シート抵抗値の測定を行うた に、別々の基板のそれぞれの一部にシート 抗値測定用の領域を設けてもよい。

 積算放電時間とドーズ量の測定値との関 に基づいて、プラズマドーピング条件の補 を行う場合、前記工程(b)は、前記基板に導 される前記不純物のドーズ量の前記目的値 変更すると共に、当該変更後の前記目的値 、前記関係から予測されるドーズ量との差 に基づいて、前記第1のプラズマドーピング 条件を補正して第3のプラズマドーピング条 を設定する工程を含んでいてもよい。

 この構成によれば、ドーズ量の目的値を 更する場合にも、変更後のドーズ量の目的 と、ドーズ量と積算放電時間との関係から 測されるドーズ量との差異に基づいて、第1 のプラズマドーピング条件を補正するため、 所望のドーズ量を容易に得ることができる。 尚、この場合にも、ドーズ量の測定値に代え て、シート抵抗値の測定値を用いてもよい。

 積算放電時間とドーズ量の測定値との関 に基づいて、プラズマドーピング条件の補 を行う場合、前記工程(b)は、前記別々の基 のそれぞれについて測定されたドーズ量を いて、下記(式1)におけるパラメータA及びB 決定する工程を含んでいてもよい。

  y=-A・Ln(t)+B ・・・ (式1)
(但し、yはシート抵抗、Lnは自然対数、tは積 放電時間)
 以下、この構成及びそれにより得られる効 について説明する。本願発明者らは、種々 実験を重ねた結果、例えばB H /Heプラズマを用いたプラズマドーピングでは 、連続放電時に真空容器内部にボロンを含む 膜が形成されていくこと、及び、シート抵抗 と積算放電時間との間に(式1)の関係が存在す ることを見出した。但し、各シート抵抗は被 処理基板のそれぞれに対して同一条件のアニ ールを行うことにより得られたものである。

 本願発明者らは、これらの知見に基づい 、以下に述べる、長期間の連続処理時にお ても安定性及び再現性良くドーズ量を高精 に制御することができる方法を想到した。

 同一プラズマドーピング装置による連続 理において例えば基板処理枚数が100~2000枚 期間を量産工程を行う前の準備工程(補正式( 式1)のパラメータA及びBを決定する工程)とす 。この準備工程で、積算放電時間とドーズ (正確にはシート抵抗値)との関係を求める とにより、(式1)のパラメータA及びBが算出さ れる。ここで、パラメータつまり変数の数は 2つであるため、少なくとも2つのデータがあ ば、パラメータA及びBの算出、つまり(式1) 表される曲線の決定を行うことができる。

 このようにパラメータA及びBが算出された( 1)を用いて、本願発明者らは、基板処理枚 が2000枚目以降のシート抵抗の推移を積算放 時間に基づいて予測した。具体的には、シ ト抵抗Rsの予測値は基板処理枚数をNとして
 Rs=-19.78・Ln(N)+361.4 ・・・ (式3)
と計算することができる。

 尚、基板処理枚数(放電回数)Nは積算放電 間t(秒)と本質的に同じパラメータである。 述の実験では1回の放電時間(基板1枚当たり プラズマドーピング時間)を60秒で一定とし が、基板毎に放電時間を変える場合には基 処理枚数をカウントするのではなく、積算 電時間を計量してシート抵抗予測に用いる すなわち、(式3)においてN=t/60と置き換えれ 良い。

 以上のように、(式3)に従って、積算放電時 (放電回数)に基づいてシート抵抗の水準を 想することができる。従って、放電回数がN ときのシート抵抗Rsが目的値Rsoからどの程 ずれるのかも予想することができる。その レをδRsとすると、
 δRs=Rso-(-19.78・Ln(N)+361.4) ・・・ (式4)
と計算することができる。

 ところで、シート抵抗を変化させることが きるパラメータ(プラズマドーピング条件を 構成するパラメータ)として、バイアス時間( 板1枚当たりのプラズマドーピング時間)、B H 等のガス濃度やガス流量等が知られている。 そこで、(式4)で計算されたズレδRsを補正す ように、放電回数N(つまり積算放電時間t)に じて、これらのパラメータを調整する。例 ば放電回数Nが6000回まで増大した場合には (式4)によれば、シート抵抗Rsの目的値Rso(例 ば210ω/□)からのズレδRsは20ω/□程度になる そこで、放電回数が6000回のときには、バイ アス時間をそのδRsの大きさに応じて短くす ばよいことが分かる。これにより、積算放 時間(放電回数)が増加しても、狙い通りの一 定したシート抵抗が得られる。尚、シート抵 抗値の調整には、バイアス時間の短縮による 調整の他に、例えばB H ガスの濃度や流量の低減による調整を用いる ことができる。

 積算放電時間とドーズ量の測定値との関 に基づいて、プラズマドーピング条件の補 を行う場合、前記工程(b)は、前記別々の基 のそれぞれについて測定されたドーズ量を いて、下記(式2)における次式パラメータA及 びBを決定する工程を含んでいてもよい。

  y=A・t -B  ・・・ (式2)
(但し、yはシート抵抗、tは積算放電時間)
 この構成によれば、(式1)を用いた場合より 若干精度が低下するものの、実用的範囲内 ほぼ同様の効果を得ることができる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記工程(b)は、前記真空容器内に前記 板が設置されるまでの積算放電時間に基づ て、プラズマドーピング時間を補正する工 を含んでいてもよい。

 この構成によれば、プラズマドーピング 間を補正することにより、他のパラメータ 変更に起因する、積算放電時間とドーズ量( 又はシート抵抗)との相関関係への影響を抑 しつつ、ドーズ量を容易且つ高精度で制御 ることができる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記工程(b)は、前記真空容器内に前記 板が設置されるまでの積算放電時間に基づ て、前記ガスの濃度を補正する工程を含ん いてもよい。

 この構成によれば、例えばキャリアガス 流量を増やす等してガス濃度を調整するこ により、ドーズ量を高精度で制御すること できる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記工程(b)は、前記真空容器内に前記 板が設置されるまでの積算放電時間に基づ て、前記ガスの流量を補正する工程を含ん いてもよい。

 この構成によれば、例えばガス供給装置 マスフローコントローラを調整するだけで ス流量を容易に調整することができ、それ よってドーズ量を高精度で制御することが きる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記真空容器内における前記基板が設 されるサセプタと前記ガスの供給部との距 は一定に保たれていてもよい。

 この構成によれば、サセプタやガス供給 を動かしてこれらの位置関係を変化させる となく、ドーズ量を容易に調整することが きる。また、真空容器内における部材の移 に起因するパーティクルの発生を防止する とができるため、コンタミ(汚染)の発生を 制することができので、ドーズ量の制御性 向上させることができる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法におい 、前記ガスは、ボロン原子と水素原子とか なる分子B H (但しm、nは自然数)を含んでいてもよい。

 本発明に係る半導体装置の製造方法におい 、前記ガスは、ボロン原子含有ガスとヘリ ムとの混合ガスから構成されていてもよい この場合、前記ボロン原子含有ガスはB H であってもよく、前記混合ガス中におけるB H の濃度は0.01質量%以上で且つ1質量%以下であ てもよい。すなわち、B H ガス濃度が0.01質量%以上で且つ1質量%以下で ると、ボロン導入が容易になって望ましい 一方、B H ガス濃度が0.01質量%未満であると、ボロン導 が困難になり、B H ガス濃度が1質量%を上回ると、基板表面にボ ンを含む堆積物が付着しやすくなる。

 本発明に係る半導体装置の製造方法におい 、前記ガスは、BF 、AsH 又はPH のいずれかを含んでいてもよい。

 本発明に係る半導体装置の製造方法にお て、前記基板はシリコン基板であってもよ 。

 また、本発明に係る半導体製造装置は、 純物を含むガスからなるプラズマに基板を すことによって、前記基板の表面に不純物 域を形成する半導体製造装置であって、真 容器と、前記真空容器内に前記ガスを供給 るガス供給部と、前記真空容器内から前記 スを排気するガス排気部と、前記ガス供給 によって前記真空容器内に供給された前記 スを放電によってプラズマ化するプラズマ 成部と、プラズマドーピング条件を制御す プラズマドーピング条件制御部とを備え、 記プラズマドーピング条件制御部は、基準 なる第1のプラズマドーピング条件を設定す ると共に、前記真空容器内に前記基板が設置 されるまでの積算放電時間に基づいて、前記 基板に導入される前記不純物のドーズ量が目 的値となるように、前記第1のプラズマドー ング条件を補正して第2のプラズマドーピン 条件を設定する。

 本発明に係る半導体製造装置によると、 ラズマドーピング条件制御部が、基準とな 第1のプラズマドーピング条件を設定すると 共に、真空容器内に基板が設置されるまでの 積算放電時間に基づいて、基板に導入される 不純物のドーズ量が目的値となるように、第 1のプラズマドーピング条件を補正して第2の ラズマドーピング条件を設定する。すなわ 、積算放電時間に起因するドーズ量の変動 考慮して、プラズマドーピング条件の最適 を図ることができる。このため、長期間に って複数の被処理基板に対して繰り返しプ ズマドーピングを実施する場合にもドーズ を高精度で且つ容易に制御できるので、長 間に亘って不純物領域を高精度で形成でき それによって半導体装置の信頼性を向上さ ることができる。

 本発明に係る半導体製造装置において、 算放電時間をカウントするカウンタをさら 備え、前記プラズマドーピング条件制御部 、前記カウンタによって得られた積算放電 間に基づいて、前記第1のプラズマドーピン グ条件を補正して第2のプラズマドーピング 件を設定してもよい。

 この構成によれば、カウンタを具備する けで、プラズマドーピング条件の補正を容 に実現することが可能となる。

 以上に説明してきたように、本発明によ ば、例えば、基準となる第1のプラズマドー ピング条件を予め決定して所定の積算放電時 間におけるドーズ量を測定し、その測定結果 に基づいて、被処理基板が処理されるときの 積算放電時間におけるドーズ量の目的値から のずれ量を予測し、その予測結果に基づいて 、ドーピング時間、ガス濃度又はガス流量等 のプラズマドーピング条件を調整することに より、ドーズ量を精密に制御することができ る。従って、高精度にドーズ量制御のなされ た不純物領域を安定して形成することが可能 となる。

図1は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法のフローチャートであ 。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法におけるプラズマドー ング条件補正を説明するための図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法を実施するために用い れるプラズマドーピング装置の断面構成図 ある。 図4は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法において得られた、バ アス時間とシート抵抗との関係を示す図で る。 図5は、図4の縦軸を規格化した図であ 。 図6は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法におけるシート抵抗と 算放電時間との関係を示す図である。 図7は、本発明の第1の実施形態に係る 導体装置の製造方法において得られた、ガ 流量とシート抵抗との関係を示す図である 図8は、図7の縦軸を規格化した図であ 。 図9は、本発明の第1の実施形態に係る半導体 置の製造方法において得られた、B H 濃度とシート抵抗との関係を示す図である。 図10は、本発明の第1の実施形態に係る 半導体装置の製造方法におけるシート抵抗の 均一性とガス濃度との関係を示す図である。 図11(a)~(e)は、本発明の第1の実施形態 係る半導体装置の製造方法におけるシート 抗の分布とガス濃度との関係を示す図であ 。 図12(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を対数式 型とした場合の予想精度を求めた結果を示す 図である。 図13(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を累乗式 型とした場合の予想精度を求めた結果を示す 図である。 図14(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を指数式 型とした場合の予想精度を求めた結果を示す 図である。 図15(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を、y=-A Ln(t)+Bの展開式である2次の多項式とした場合 の予想精度を求めた結果を示す図である。 図16(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を、y=-A Ln(t)+Bの展開式である3次の多項式とした場合 の予想精度を求めた結果を示す図である。 図17(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を、y=-A Ln(t)+Bの展開式である4次の多項式とした場合 の予想精度を求めた結果を示す図である。 図18(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法においてシー ト抵抗値と積算放電時間との関係式を、y=-A Ln(t)+Bの展開式である5次の多項式とした場合 の予想精度を求めた結果を示す図である。 図19(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形 態に係る半導体装置の製造方法におけるシー ト抵抗値と積算放電時間との各種関係式によ るシート抵抗値の予測精度を総合的に評価し た結果を示す図である。 図20(a)~(h)は、本発明の第1の実施形態 係る半導体装置の製造方法の各工程を示す 面図である。 図21は、本発明の第1の実施形態に係る 半導体装置の製造方法において被処理基板に ドーズ量(又はシート抵抗)測定用の領域Rdを けた様子を示す図である。 図22は、本発明の第2の実施形態に係る 半導体装置の製造方法におけるプラズマドー ピング条件の補正方法を説明するための図で ある。 図23は、本発明の第3の実施形態に係る 半導体装置の製造方法におけるプラズマドー ピング条件の補正方法を説明するための図で ある。 図24は、従来のプラズマドーピング方 のフロー図である。

符号の説明

  1  シリコン基板
  2  酸化シリコン膜
  3  シリコン層
  4  酸化シリコン膜
  5A 多結晶シリコン層
  5  ゲート電極
  6  不純物領域
  7  酸化シリコン膜
  8  不純物領域
101  真空容器
102  ガス供給装置
103  ターボ分子ポンプ
104  調圧弁
105  高周波電源
106  試料電極
107  誘電体窓
108  コイル
109  被処理基板
110  高周波電源
111  冷却水供給ユニット
112  ドライポンプ
113  ガス導入経路
114  ガス主経路
115  ガス吹き出し口
116  マッチングボックス
117  VDCモニタ
118  プラズマドーピング条件制御装置

 (第1の実施形態)
 以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体 装置の製造方法について、図面を参照しなが ら説明する。

 本実施形態の半導体装置の製造方法の説 に先立ち、本発明の基本概念について、ボ ンのプラズマドーピングを例として説明す 。

 例えば、B H /Heプラズマを用いたプラズマドーピングにお いては、複数の基板を対象とした連続放電時 に真空容器(チャンバー)内部にボロンを含む が形成されていくため、生成されたプラズ 中において、プロセスガスから供給される ロンよりも、真空容器内壁に付着したボロ を含む膜から供給されるボロンの方が多く る場合があることが知られている。このた 、放電開始から所定時間が経過して積算放 時間が長くなるに従って、ボロンのドーズ が増大し、その結果、ドーピング後の基板 シート抵抗が小さくなる。ここで、本願発 者らが、種々の実験を行った結果、積算放 時間tとシート抵抗Rsとの間には、
 Rs=-A・Ln(t)+B ・・・ (式1’)
の関係があることが分かった(但し、A及びBは パラメータ、Lnは自然対数)。そこで、本願発 明者らは、以上の知見に基づいて、長期に亘 るプラズマドーピング連続処理時においても 、ドーズ量の再現性を安定的に向上させる以 下の発明を想到した。

 図1は、本実施形態の半導体装置の製造方 法のフローチャートである。図24に示す従来 のフローチャートとの比較から明らかなよ に、本実施形態では、目的とするドーズ量 得られるように、積算放電時間に基づいて ラズマドーピング条件のパラメータを調整 る工程(ステップS107)を設けることを主要な 徴とする。これにより、積算放電時間に起 するドーズ量の変動を考慮して、プラズマ ーピング条件の最適化を図ることができる め、長期に亘って安定したドーズ量を得る とができる。

 具体的には、まず、ステップS101において 、プラズマドーピング装置の真空容器のクリ ーニングなどのメンテナンスを行った後、ス テップS102において、製造しようとするデバ スの仕様に従い、ドーズ量の目的値を決定 、その後、ステップS103において、基準とな 第1のプラズマドーピング条件を設定する。

 次に、ステップS104において、第1のプラ マドーピング条件に従って、被処理基板に してプラズマドーピングを実施する。また ステップS105において、ステップS104のプラズ マドーピングが終了した時点での積算放電時 間、つまり真空容器内に次の被処理基板が設 置される時点での積算放電時間を測定する。 このとき、ステップS105で、ステップS104のプ ズマドーピングが実施された被処理基板に 入される不純物のドーズ量を測定してもよ 。

 次に、ステップS106において、ステップS10 5で測定されたドーズ量と、ステップS102で決 された目的値とを比較し、測定ドーズ量が 的値から所定の範囲内にあるかどうかを判 する。ここで、ステップS106に代えて、ステ ップS105で測定された積算放電時間と後述す 各種予測式とを用いて、シート抵抗値の予 を行い、当該予測値が目的値から所定の範 内にあるかどうかを判断してもよい。この 合、ステップS105でのドーズ量測定は不要と る。

 ステップS106において、測定ドーズ量が目 的値から所定の範囲内にあると判断された場 合には、ステップS104以降の処理を再度実施 る。

 ステップS106において、測定ドーズ量が目 的値から所定の範囲内にないと判断された場 合には、ステップS107において、次の被処理 板に導入される不純物のドーズ量が目的値 なるように、プラズマドーピング条件のパ メータの調整を行い、その結果に基づいて ステップS103において、第2のプラズマドーピ ング条件を新たに設定し直す。すなわち、第 1のプラズマドーピング条件を補正して第2の ラズマドーピング条件を設定する。その後 ステップS104において、第2のプラズマドー ング条件に従って、次の被処理基板に対し プラズマドーピングを実施した後、ステッ S105以降の処理を順次実施する。

 以上に述べた、本実施形態におけるプラ マドーピング条件の補正については、種々 バリエーションがあるので、それらについ 順次説明していく。

 まず、第1の補正方法においては、プラズ マドーピング装置のメンテナンス後、シート 抵抗(つまりドーズ量)がほぼ一定になるまで 積算放電時間とその時点でのドーズ量とを 定し、ドーズ量の変化曲線を得るという方 を用いる。尚、ドーズ量の直接的な測定は 難であるため、プラズマドーピングの実施 にアニールによって注入不純物を活性化し その後、シート抵抗を測定することにより ドーズ量の測定に代えている。

 本実施形態では、プラズマドーピング装 における基板処理枚数100-2000枚の期間を量 (生産)工程に入る前の準備工程と位置づける 。この準備工程で、後述するシート抵抗値の 予測式等のプラズマドーピング条件の補正式 (正確には補正式中のパラメータ)を決定する 以下、この補正式に従って、プラズマドー ング条件の各種パラメータを補正する工程( 図1のステップS107の補正工程)が実施される。

 図2に、前述の準備工程で得られたシート抵 抗の推移(丸印で示す9個のデータ)を示してい る。図2に示すように、狙いのシート抵抗を21 0ω/□(ドーズ量で1×10 15 cm -2 程度)とすると、処理枚数が2000枚前後のとき シート抵抗が210ω/□となり、量産(生産)工 に移行する準備が整っていることが分かる また、処理枚数が2000枚目以降のシート抵抗 推移については前記の(式1’)で与えられる 共に準備工程(補正式を決定する工程)で得 れた9個のデータ(丸印)を用いて(式1’)中の ラメータA及びBを決定できるので、処理枚数 が2000枚目以降のシート抵抗の推移を予測す ことができる。

 具体的には、シート抵抗Rsの予測値は、図2 おいて曲線C1で示すように、処理枚数をNと て、
 Rs=-19.78・Ln(N)+361.4 ・・・ (式3)
と計算できる。ここで、図2のR =0.98は以下の内容を意味する。R は、統計学で広く知られている決定係数であ り、相関係数の二乗である。R を評価することによって、図2における前述 準備工程で得られた9個のシート抵抗(丸印で 示す9個のデータ)の分散のうち、処理枚数Nに よって説明(決定)される部分の割合を測定す ことができる。R は0以上、1以下の数値をとり、仮にR =0であるとすると、(式3)によって処理枚数Nの 差異を考慮しても前述の準備工程で得られた 9個のシート抵抗の分散が少しも減少しない と、つまり、処理枚数Nがシート抵抗Rsを全 決定していないことになる。一方、仮にR =1であるとすると、前述の準備工程における ての処理枚数Nに対して(式3)が正確に成り立 つこと、つまり、シート抵抗Rsが処理枚数Nの (式3)の対数式によって完全に決定されること になる。ここで、今回のR の評価結果は0.98と1に極めて近いことから、 述の準備工程で得られた9個のシート抵抗は 、処理枚数Nつまり積算放電時間によって極 て良く説明(決定)されているということが分 かる。

 尚、基板処理枚数(放電回数)Nは積算放電 間t(秒)と本質的に同じパラメータである。 述の実験では1回の放電時間(基板1枚当たり プラズマドーピング時間)を60秒で一定とし が、基板毎に放電時間を変える場合には基 処理枚数Nをカウントするのではなく、積算 放電時間を計量してシート抵抗予測に用いる 。すなわち、(式3)においてN=t/60と置き換えれ ば良い。言い換えると、積算放電時間t(秒)と 、その時点までの基板(ウェハ)の処理枚数Nと の置き換えを行う場合、例えば基板1枚当た の放電時間を60秒として、処理枚数Nに60秒を 乗じることにより、積算放電時間tを得るこ ができる。

 (式3)によれば、前述の準備工程で得られる ート抵抗の推移を良く説明できるだけでは く、その後の量産(生産)工程で得られるシ ト抵抗の推移も極めて高い精度で推測する とができる。すなわち、基板処理枚数(つま 積算放電時間)がいくつのときにシート抵抗 がどのような水準になるのかを予想すること ができる。従って、基板処理枚数Nがある値 ときに、シート抵抗Rsが目的値Rsoからどれく らいずれるのかも予想することができる。そ のズレをδRsとすると、
 δRs=Rso-(-19.78・Ln(N)+361.4) ・・・ (式4)
と計算することができる。

 ところで、シート抵抗を変化させることが きるパラメータ(プラズマドーピング条件を 構成するパラメータ)として、バイアス時間( 板1枚当たりのプラズマドーピング時間)、B H 等のガス濃度やガス流量等が知られている。 そこで、(式4)で計算されたズレδRsを補正す ように、放電回数N(つまり積算放電時間t)に じて、これらのパラメータを調整する。例 ば放電回数Nが6000回まで増大した場合には (式4)によれば、シート抵抗Rsの目的値Rso(例 ば210ω/□)からのズレδRsは20ω/□程度になる そこで、放電回数が6000回のときには、バイ アス時間をそのδRsの大きさに応じて短くす ばよいことが分かる。これにより、積算放 時間(放電回数)が増加しても、狙い通りの一 定したシート抵抗が得られる。尚、シート抵 抗値の調整には、バイアス時間の短縮による 調整の他に、例えばB H ガスの濃度や流量の低減による調整を用いる ことができる。

 以上が、本実施形態の半導体装置の製造 法におけるプラズマドーピング条件の新規 第1の補正方法である。

 次に、第2の補正方法について説明する。 図2には、前述の量産(生産)工程で得られたシ ート抵抗の推移(四角印)を示している。図2に 示すように、放電回数(処理枚数)が2000回から 3000回までの間においては、シート抵抗Rsはば らつき許容幅内に入っているものの、放電回 数が4000回を超えると、シート抵抗Rsがばらつ き許容幅から外れている。従って、従来の方 法では、準備工程後における放電回数が1000 から2000回までの間においては安定したシー 抵抗を得ることができるものの、準備工程 における放電回数が2000回以上になると、シ ート抵抗Rsが明らかに目的値を下回るように る。すなわち、ドーズ量が高くなりすぎて まう。一方、本実施形態の半導体装置の製 方法におけるプラズマドーピング条件の第2 の補正方法においては、シート抵抗Rsの予測 を示す図2の曲線C1がばらつき許容幅を外れ 場合には、プラズマドーピング条件のパラ ータを補正することにより、シート抵抗Rs ばらつき許容幅内に入るようにすることが きる。尚、本実施形態においては、シート 抗Rsのばらつき許容幅を目的値Rsoの±5%に設 したが、これは一般的に要請される程度の 容幅である。

 [プラズマドーピング装置]
 以下、本実施形態のプラズマドーピング方 を実施するために用いられるプラズマドー ング装置について、図3の断面構成図を参照 しながら説明する。

 図3に示すように、本実施形態のプラズマ ドーピング装置は、真空容器101と、真空容器 内にガスを供給するガス供給装置102と、真空 容器101内からガスを排気する排気装置として のターボ分子ポンプ103と、真空容器101内の圧 力を制御する圧力制御装置としての調圧弁104 と、被処理基板(基板)109が設置される試料台 兼ねる試料電極106と、試料電極106と対向す 真空容器101の天井部となる誘電体窓107の近 に設けられたプラズマ源(ガスを放電によっ てプラズマ化するプラズマ生成装置)として コイル108と、コイル108に例えば13.56MHzの高周 波電力を供給する高周波電源105と、試料電極 106に電圧を供給する電圧源としての高周波電 源110と、試料電極106を冷却する冷却水供給ユ ニット111と、試料電極106に供給される電圧を モニターするVdcモニタ117とから構成されてい る。

 尚、真空容器101の内壁には不純物を含む が形成されていてもよい。また、プラズマ 発生させるために必要なガスは、ガス供給 置102からガス導入経路113及び誘電体窓107内 のガス主経路114を通じてガス吹き出し口115 ら真空容器101内に供給される。また、真空 器101内の真空度は、ガス供給装置102、ター 分子ポンプ103、調圧弁104及びドライポンプ1 12によって制御される。さらに、真空容器101 の試料電極106に対しては、高周波電源110か マッチングボックス116を通じて電力が供給 れる。これにより、試料台を兼ねる試料電 106上に載置された被処理基板109に電力が供 される。

 本実施形態のプラズマドーピング装置の 徴は、例えばガス供給装置102、高周波電源1 05及び高周波電源110のそれぞれと接続された ラズマドーピング条件制御装置118を備えて ることである。プラズマドーピング条件制 装置118は、基準となるプラズマドーピング 件を設定すると共に、真空容器101内に被処 基板109が設置されるまでの積算放電時間に づいて、被処理基板109に導入される不純物 ドーズ量が目的値となるように、プラズマ ーピング条件の調整を行う。ここで、積算 電時間をカウントするカウンタをさらに設 ておくことによって、プラズマドーピング 件制御部118が、当該カウンタによって得ら た積算放電時間に基づいて、プラズマドー ング条件の調整を行ってもよい。

 以下、図3に示すプラズマドーピング装置 を用いて、試料台を兼ねる試料電極106上に被 処理基板109を設置してプラズマ照射を行うプ ラズマドーピング工程について説明する。

 まず、プロセスチャンバーである真空容 101内にガス供給装置102から所定のガスを導 すると共に排気装置としてのターボ分子ポ プ103により排気を行いながら、圧力制御装 としての調圧弁104によって真空容器101内を 定の圧力に保つ。そして、高周波電源105に り、プラズマ源としてのコイル108に例えば1 3.56MHzの高周波電力を供給することにより、 空容器101内に誘導結合型プラズマを発生さ る。この状態で、試料電極106上に被処理基 109として例えばシリコン基板を載置する。 た、試料電極106に高周波電源110によって高 波電力を供給することにより、試料として シリコン基板(被処理基板109)がプラズマに対 して負の電位を持つように、試料電極106の電 位を制御する。尚、試料電極106用の高周波電 源110に、基板処理枚数(放電回数)をカウント るカウンタを取り付け、試料電極106に試料 してのシリコン基板をセットするたびに回 1をカウントしてもよい。或いは、試料電極 106用の高周波電源110に、バイアスを印加した 時間つまりバイアス時間の積算値をカウント するカウンタを取り付け、バイアス時間をカ ウントして積算放電時間を計測してもよい。

 [補正式を決定する工程]
 まず、量産工程に入る前の準備工程として 、補正式を決定する工程について説明する 本工程においても、前述の図3に示すプラズ マドーピング装置を用いて、B H とHeとの混合ガスからなるプラズマを生成し 真空容器101の内壁にボロンを含む膜を形成 る。尚、図3に示すプラズマドーピング装置 は、プラズマドーピング条件制御装置118を除 いて、通常用いられる装置構成を有している 。また、通常、真空容器101の内壁のクリーニ ングなどのメンテナンスを経て、真空容器101 内の試料電極106上に試料としての被処理基板 109を設置し、真空容器101内の真空排気を実施 した後、所望の混合比で混合されたB H とHeとを供給して放電を行い、試料電極106を じて被処理基板109にバイアスを印加するこ により、プラズマドーピングを行う。尚、 下の説明においては、このような通常の処 については説明を省略する場合がある。

 本実施形態においては、基準となるプラズ ドーピング条件として、B H とHeとのガス混合比を0.05%対99.95%に、混合ガ の総流量を300cm /分(標準状態)に、ソースパワー(高周波電源10 5から供給される電力)を2000W、バイアスパワ (高周波電源110から供給される電力)を135Wに 圧力を0.9Paに設定した。また、基板1枚当た のプラズマドーピング時間(バイアス印加時 )を60秒に設定した。そして、この基準とな プラズマドーピング条件に従って、メンテ ンス直後の真空容器101内において直径300mm 複数のシリコン基板に対してプラズマドー ングの連続処理を行った。そして、1枚目、2 5枚目、50枚目、100枚目、200枚目、400枚目、800 枚目、1150枚目、1600枚目、1650枚目、1800枚目 1900枚目、2000枚目、2025枚目、2075枚目にそれ れ処理したシリコン基板を抜き取って検査 た。尚、抜き取ったシリコン基板に対して 、1075℃、20秒間の条件で熱処理を行った。

 尚、本実施形態においては、前記の抜き ったシリコン基板以外の全てのシリコン基 について、プラズマドーピングの実施後、 ート抵抗の測定前に、1075℃、20秒間の条件 熱処理を行う。このような大きな熱量を与 るアニールを行った場合、導入された不純 が大きい割合で活性化されてキャリアとな ため、シート抵抗とドーズ量とがほぼ反比 する関係が成り立つ。従って、前記の1075℃ 、20秒間のアニール条件を用いた場合、シー 抵抗の分布はドーズ量の分布とみなすこと できる。すなわち、ドーズ量とシート抵抗 の間には1対1の関係が存在するからである また、本実施形態においては、シート抵抗 測定を、直径300mmの基板における幅3mmの端部 を除いた主面内の121箇所に対して行った。以 下の説明において、シート抵抗の値は、特に 断りがない場合には前記の121箇所の測定値に ついての平均値である。また、以下の説明に おいて、シート抵抗の均一性は、前記の121箇 所の測定値の標準偏差(1σ)として求めている 本実施形態においては、以上の条件でプラ マドーピング及び熱処理が実施された、処 枚数が100-2000枚目までの試料(シリコン基板) について測定されたシート抵抗の値を用いて 、後述のように補正式を決定する。

 ここで、本願発明者らは、ドーズ量が目的 となるように積算放電時間に基づいてプラ マドーピング条件を調整するために、バイ ス時間(基板1枚当たりのプラズマドーピン 時間)、B H とHeとの混合ガスの総流量、及び当該混合ガ のガス混合比のそれぞれに対するシート抵 の関係を調べた。

 まず、バイアス時間とシート抵抗との関係 ついては以下のように調べた。プラズマド ピング条件としては、B H とHeとの混合ガスのガス混合比を0.05%対99.95% 、当該混合ガスの総流量を300cm /分(標準状態)に、ソースパワーを2000Wに、バ アスパワーを135Wに、真空容器内圧力を0.9Pa 設定した。一方、バイアス時間(プラズマド ーピング時間)については5秒、20秒、60秒、90 、120秒、200秒、400秒、800秒のそれぞれに設 した。また、プラズマドーピングを実施し シリコン基板に対して、1075℃、20秒間の条 で熱処理を行った。シート抵抗値の測定、 びシート抵抗値の面内均一性の計算につい は前述の通りである。

 次に、B H とHeとの混合ガスの総流量とシート抵抗との 係については以下のように調べた。プラズ ドーピング条件としては、ソースパワーを2 000Wに、バイアスパワーを135Wに、真空容器内 力を0.9Paに、バイアス時間(プラズマドーピ グ時間)を60秒に設定した。一方、B H とHeとの混合ガスのガス混合比については0.05 %対99.95%に固定し、当該混合ガスの総流量に いては、180cm /分(標準状態)、300cm /分(標準状態)、420cm /分(標準状態)、540cm /分(標準状態)にそれぞれ設定した。熱処理、 シート抵抗値の測定、及びシート抵抗値の面 内均一性の計算については前述の通りである 。

 次に、B H とHeとの混合ガスのガス混合比とシート抵抗 の関係については以下のように調べた。プ ズマドーピング条件としては、B H とHeとの混合ガスの総流量を300cm /分(標準状態)に、ソースパワーを2000Wに、バ アスパワーを135Wに、真空容器内圧力を0.9Pa 、バイアス時間(プラズマドーピング時間) 60秒に設定した。一方、B H とHeとの混合ガスのガス混合比については、0 .05%対99.95%、0.04%対99.96%、0.03%対99.97%、0.02%対99 .98%、0.01%対99.99%にそれぞれ設定した。熱処理 、シート抵抗値の測定、及びシート抵抗値の 面内均一性の計算については前述の通りであ る。

 本願発明者らは、以上のようにプラズマ ーピング条件の各パラメータとシート抵抗 の関係を調べた後、以下に述べるようにプ ズマドーピング条件を実際に調整すること よって、狙いのシート抵抗が得られること 検証した。

 [補正例A:バイアス時間による調整方法]
 狙いのシート抵抗を得るためにバイアス時 による調整を行う場合には、補正式を決定 る工程(準備工程)で、予めバイアス時間と ート抵抗との関係を取得しておく。そのよ にして得られた、バイアス時間とシート抵 との関係の一例を図4に示す。図4に示すよう に、バイアス時間を60秒に設定した試料につ て、224ω/□のシート抵抗が得られている。 5は、図4の縦軸を224ω/□で規格化した図で る。ここで、バイアス時間とシート抵抗と 関係を、
  y=A・t -B  ・・・ (式2)
(但し、yはシート抵抗、tはバイアス時間)と すことができる。(式2)に示す補正式に、図4 は図5に示す測定値を2つ以上代入すること より、図4に示す測定値からはA=538.86、B=-0.217 3、図5に示す測定値からはA=2.4056、B=-0.2173が められる。これらのパラメータを(式2)に適 することによって、所望のシート抵抗を得 ために必要なバイアス時間を求めることが きる。例えば、図5から明らかなように、バ アス時間を60秒から20秒短くして40秒に設定 れば、バイアス時間が60秒のときのシート 抗を基準として、シート抵抗の値を10%程度 できることが予測される。そこで、本実施 態においては、前記の(式3)の処理枚数Nを積 放電時間tに置換した、シート抵抗Rsの予測 (Rs=-19.78・Ln(t/60)+361.4)によれば、シート抵抗 の値が狙いの210ω/□から10%程度低くなると予 想される、積算放電時間6475分目の試料につ ては、バイアス時間を40秒に短縮した。

 その結果、図6に示すように、シート抵抗Rs 値を218ω/□にすることができた。これは、 6の補正例Aに示すように、シート抵抗Rsのば らつき許容幅(210ω/□を中心とした±5%の範囲) に含まれており、バイアス時間によるプラズ マドーピング条件の補正方法を用いることに よって、シート抵抗Rsを目的値に近づけるこ ができることがわかる。尚、図6の丸印や四 角印は、図2の丸印や四角印と同じものを示 ている。また、図6に示す式、Rs=-19.78・Ln(t/60 )+361.4のR は0.98であるが、これは、補正式を決定する 程で得られた9個のデータのみについて算出 たものである。

 尚、図4に示す6個の測定値からはA=538.86、B=- 0.2173、図5に示す6個の測定値からはA=2.4056、B= -0.2173と各パラメータの算出を行っているが これにより、シート抵抗の差異を、バイア 時間の差異に基づいてR =0.9918という極めて高精度で決定できる予測 を得ることができる。逆に、(式2)を選択す に際してはR を用いて各種の予測式の精度を評価している ので、本補正例で説明した(式2)に2つ以上の 定値を代入することによってパラメータA及 Bを決定して(式2)を用いることにより、シー ト抵抗とバイアス時間との関係を高精度で決 定することができる。

 [補正例B:B H とHeとの混合ガスの総流量による調整方法]
 狙いのシート抵抗を得るために、B H とHeとの混合ガスの総流量(以下、単にガス流 量という)による調整を行う場合には、補正 を決定する工程(準備工程)で、予めガス流量 とシート抵抗との関係を取得しておく。その ようにして得られた、ガス流量とシート抵抗 との関係の一例を図7に示す。尚、図7に示す ータは、積算放電時間が5900分から6800分ま の間に取得されたデータである。図6に示す うに、積算放電時間が2000分のときにはガス 流量が300cm /分(標準状態)に対してシート抵抗Rsが目的値 等しい210ω/□であり、その後、積算放電時 が増加するに従って、シート抵抗Rsの目的 からのズレが大きくなっていく。その結果 図7に示すように、積算放電時間が5900分から 6800分までの間では、ガス流量が300cm /分(標準状態)に対してシート抵抗Rsは190ω/□ なっている。本実施形態では、この場合に シート抵抗Rsとして目的値である210ω/□が られるように、ガス流量の補正を行うが、 7に示すように、その補正値は230cm /分(標準状態)であることがわかる。そこで、 本実施形態においては、積算放電時間が6825 目の試料については、ガス流量を230cm /分(標準状態)に低減した。

 その結果、図6に示すように、シート抵抗 Rsの値を205ω/□にすることができた。これは 図6の補正例Bに示すように、シート抵抗Rsの ばらつき許容幅(210ω/□を中心とした±5%の範 )に含まれており、ガス流量によるプラズマ ドーピング条件の補正方法を用いることによ って、シート抵抗Rsを目的値に近づけること できることがわかる。

 尚、補正式を決定する工程において、横軸 ガス流量とし且つ縦軸をシート抵抗値とす 図7に示すデータを予め取得しておき、続い て、図7の縦軸を300cm /分(標準状態)で規格化した図である図8を作 しておくことによって、前述のようなプラ マドーピング条件の補正を行ってもよい。

 [補正例C:B H とHeとの混合ガスのガス混合比による調整方 ]
 狙いのシート抵抗を得るために、B H とHeとの混合ガスのガス混合比(以下、B H /Heガス濃度という場合もある)による調整を う場合には、補正式を決定する工程(準備工 )で、予めB H 濃度とシート抵抗との関係を取得しておく。 そのようにして得られた、B H 濃度とシート抵抗との関係の一例を図9に示 。尚、図9の縦軸を、B H 濃度が0.05質量%のときのシート抵抗によって 格化している。また、図9に示す結果は、メ ンテナンス前に取得されたものである。図9 示すように、B H /Heガス濃度が0.05質量%/99.95質量%のときに得ら れるシート抵抗を基準として、シート抵抗を 約10%高くしたい場合には、B H /Heガス濃度を0.038質量%/99.962質量%に調整すれ 良いことが分かる。そこで、本実施形態に いては、積算放電時間が7025分目の試料につ いては、B H /Heガス濃度を0.038質量%/99.962質量%に設定した

 その結果、図6に示すように、シート抵抗Rs 値を208ω/□にすることができた。これは、 6の補正例Cに示すように、シート抵抗Rsのば らつき許容幅(210ω/□を中心とした±5%の範囲) に含まれており、B H /Heガス濃度によるプラズマドーピング条件の 補正方法を用いることによって、シート抵抗 Rsを目的値に近づけることができることがわ る。すなわち、メンテナンス前に図9に示す ようなデータを予め取得しておくことによっ て、前述のようなプラズマドーピング条件の 補正を行うことが可能となる。

 図10は、B H ガス濃度を0.02質量%から0.05質量%まで変化さ た場合のシート抵抗の均一性を示している また、図11(a)~(e)は、B H ガス濃度を0.02質量%から0.05質量%まで変化さ た場合のウェハ(基板)上でのシート抵抗の分 布を示している。図10及び図11(a)~(e)に示すよ に、補正前のB H ガス濃度(0.05質量%)でのシート抵抗の均一性 1.9-2.1%であるのに対して、補正後のB H ガス濃度(0.038質量%)でのシート抵抗の均一性 2.0%であった。すなわち、ガス流量について は基準の300cm /分(標準状態)から変えずに、B H /Heガス濃度つまりB H ガス濃度を調整することによって、シート抵 抗の均一性を2%程度の高い水準に維持したま 、狙いのシート抵抗を得ることができると う特段の効果を奏する。

 [補正式を決定する工程で使用する、シート 抵抗値と積算放電時間との関係式]
 次に、以上に述べた、各種パラメータによ プラズマドーピング条件の補正において実 に用いる、シート抵抗値と積算放電時間と 関係式について説明する。当該関係式とし は、
  y=-A・Ln(t)+B ・・・ (式1)
の対数式型で表される関係式(例えば前述の( 3))以外に、例えば
  y=A・t -B  ・・・ (式2)
(但し、yはシート抵抗、tは積算放電時間)
の累乗式型で表される関係式を実用的に用い ることができる。すなわち、(式2)を使用する ことによって、対数式型の関係式を使用した 場合とほぼ同様の精度で狙いのシート抵抗を 得ることができる。

 尚、シート抵抗値と積算放電時間との関係 については、基板処理枚数100-2000枚の期間 つまり量産(生産)工程に入る前の準備工程で 得られた例えば9個のデータ(所定の積算放電 間でのシート抵抗:図2、図6参照)から求める ことができる。また、シート抵抗と積算放電 時間との関係式は、yをシート抵抗値、tを積 放電時間、A及びBをパラメータとして、
 対数式型:y=-A・Ln(t)+B ・・・ (式1)
 累乗式型:y=A・t -B  ・・・ (式2)
 指数式型:y=A・exp(-B・t) ・・・ (式5)
 多項式型:y=-A・Ln(t)+Bの展開式(詳細は後述す る) ・・・ (式6)等により表される。

 本願発明者らは、前記の様々なシート抵 値と積算放電時間との関係式について、当 各関係式を用いて、積算放電時間が2000分以 降の試料についてのシート抵抗値を予測し、 その予測精度を評価することによって、本実 施形態に好ましい関係式を求めてみた。尚、 予想精度の評価は、積算放電時間が2000分か 5925分までの間に得られた11個のデータに基 いて行った。具体的には、予想精度を以下 ように求めることができる。まず、積算放 時間が2000分から5925分までの間に得られた11 のデータ(所定の積算放電時間でのシート抵 抗の実測値)と、シート抵抗値と積算放電時 との各種関係式によって求められたシート 抗の予測値との差の自乗平均値を求める。 に、積算放電時間が2000分から5925分までの間 に得られた11個のデータについて、シート抵 の平均値を求める。そして、前記の自乗平 値を前記の平均値で除した結果を、予想精 の尺度として用いた。尚、以下に説明する 種関係式のパラメータは、前述の基準とな プラズマドーピング条件を用いて得られた のである。

 図12(a)及び(b)は、シート抵抗値と積算放電 間(正確には積算放電時間を60秒で除した処 枚数)との関係式を(式1)の対数式型とした場 の予想精度を求めた結果を示している。図1 2(b)にR =0.978と記載のとおり、(式1)を用いることによ って、準備工程における9個のシート抵抗の 移を積算放電時間の差異に基づいて説明す ことができる。そして、図12(a)及び(b)に示す ように、(式1)の対数式型の関係式を用いると 、積算放電時間が2000分から5925分まで(処理枚 数が2000枚から5925枚まで)の予想精度は0.82%と り、準備工程におけるシート抵抗の推移を 確に説明できるだけではなく、その後の生 工程におけるシート抵抗予測を高精度に行 ことが可能である。

 図13(a)及び(b)は、シート抵抗値と積算放電 間(正確には積算放電時間を60秒で除した処 枚数)との関係式を(式2)の累乗式型とした場 の予想精度を求めた結果を示す。図13(b)にR =0.9819と記載のとおり、(式2)を用いることに って、準備工程における9個のシート抵抗の 移を積算放電時間の差異に基づいて説明す ことができる。そして、図13(a)及び(b)に示 ように、(式2)の累乗式型の関係式を用いて 、積算放電時間が2000分から5925分まで(処理 数が2000枚から5925枚まで)の予想精度は1.83%と なり、準備工程におけるシート抵抗の推移を 正確に説明できるだけではなく、その後の生 産工程におけるシート抵抗予測を実用的レベ ルで高精度に行うことが可能である。

 図14(a)及び(b)は、シート抵抗値と積算放電 間(正確には積算放電時間を60秒で除した処 枚数)との関係式を(式5)の指数式型とした場 の予想精度を求めた結果を示す。図14(b)にR =0.8251と記載のとおり、(式5)を用いることに って、(式1)や(式2)を用いた場合よりは精度 落ちるものの、準備工程における9個のシー 抵抗の推移を積算放電時間の差異に基づい 説明することができる。しかし、図14(a)及 (b)に示すように、(式5)の指数式型の関係式 用いると、積算放電時間が2000分から5925分ま で(処理枚数が2000枚から5925枚まで)の予想精 は10.60%と大幅に悪化する。すなわち、シー 抵抗値と積算放電時間との関係式を指数式 で定義すると、準備工程におけるシート抵 の推移については説明できるものの、その の生産工程におけるシート抵抗の推移につ ては、当該関係式に基づいて予測を行い、 の予測結果に基づいてプラズマドーピング 件の補正を行った場合には、それにより得 れるシート抵抗値が目的値から10%以上ずれ ことになる。従って、シート抵抗値と積算 電時間との関係式を指数式型にすることは ましくない。

 図15(a)及び(b)は、シート抵抗値と積算放電 間(正確には積算放電時間を60秒で除した処 枚数)との関係式を、y=-A・Ln(t)+Bの展開式で る2次の多項式とした場合の予想精度を求め 結果を示し、図16(a)及び(b)は、シート抵抗 と積算放電時間(正確には積算放電時間を60 で除した処理枚数)との関係式を、y=-A・Ln(t)+ Bの展開式である3次の多項式とした場合の予 精度を求めた結果を示し、図17(a)及び(b)は シート抵抗値と積算放電時間(正確には積算 電時間を60秒で除した処理枚数)との関係式 、y=-A・Ln(t)+Bの展開式である4次の多項式と た場合の予想精度を求めた結果を示し、図1 8(a)及び(b)は、シート抵抗値と積算放電時間( 確には積算放電時間を60秒で除した処理枚 )との関係式を、y=-A・Ln(t)+Bの展開式である5 の多項式とした場合の予想精度を求めた結 を示す。図15(b)、図16(b)、図17(b)、図18(b)に れぞれR =0.95868、R =0.99371715、R =9.968×10 -1 (つまり0.9968)、R =9.969×10 -1 (つまり0.9969)と記載のとおり、y=-A・Ln(t)+Bの 開式である2次、3次、4次、5次の多項式をそ ぞれ用いることによって、準備工程におけ 9個のシート抵抗の推移については積算放電 時間の差異に基づいて、(式1)や(式2)を用いた 場合と同等の高い精度で説明できる。しかし 、図15(a)及び(b)に示すように、y=-A・Ln(t)+Bの 開式である2次の多項式を用いると、積算放 時間が2000分から5925分まで(処理枚数が2000枚 から5925枚まで)の予想精度は53.13%となり、図1 6(a)及び(b)に示すように、y=-A・Ln(t)+Bの展開式 である3次の多項式を用いると、積算放電時 が2000分から5925分まで(処理枚数が2000枚から5 925枚まで)の予想精度は173.36%となり、図17(a) び(b)に示すように、y=-A・Ln(t)+Bの展開式であ る4次の多項式を用いると、積算放電時間が20 00分から5925分まで(処理枚数が2000枚から5925枚 まで)の予想精度は645.82%となり、図18(a)及び(b )に示すように、y=-A・Ln(t)+Bの展開式である5 の多項式を用いると、積算放電時間が2000分 ら5925分まで(処理枚数が2000枚から5925枚まで )の予想精度は1896.65%となる。すなわち、y=-A Ln(t)+Bの展開式である多項式型の関係式を用 た場合、準備工程におけるシート抵抗の推 については説明できるものの、その後の生 工程におけるシート抵抗の推移については いずれの次数の多項式についてもその予想 度は極めて悪く、これらをシート抵抗値と 算放電時間との関係式として使用して、プ ズマドーピング条件の補正を行い、シート 抗値を目的値に合わせることは困難である

 図19(a)及び(b)は、前述の各種関係式によ シート抵抗値の予測精度を総合的に評価し 結果を示している。図19(a)及び(b)に示すよう に、補正式を決定する工程で使用する、シー ト抵抗値と積算放電時間(正確には積算放電 間を60秒で除した処理枚数)との関係式とし は、(式1)の対数式型以外では(式2)の累乗式 が使用可能であり、(式2)の累乗式型の使用 よって、(式1)の対数式型を使用した場合と 様の効果が得られることが分かる。

 [実施例]
 以下、前述の本発明に係る、積算放電時間 基づくプラズマドーピング条件補正を用い 、本実施形態の半導体装置の製造方法の一 について、図面を参照しながら説明する。

 図20(a)~(h)は、本実施形態の半導体装置の 造方法の各工程を示す断面図である。

 まず、図20(a)に示すように、シリコン基 1の表面に酸化シリコン膜2を介してn型のシ コン層3を貼り合わせることによって形成さ たSOI(silicon on insulator)基板を用意し、当該S OI基板表面にゲート絶縁膜として酸化シリコ 膜4を形成する。

 次に、図20(b)に示すように、酸化シリコン 4の上に、ゲート電極となる多結晶シリコン 5Aを形成した後、図20(c)に示すように、フォ トリソグラフィにより、多結晶シリコン層5A 上にゲート電極形成領域を覆うマスクRを形 成する。その後、図20(d)に示すように、マス Rを用いて多結晶シリコン層5Aをパターニン し、ゲート電極5を形成する。このとき、ゲ ート電極5の外側の酸化シリコン膜4がエッチ グにより除去される。続いて、図20(e)に示 ように、ゲート電極5をマスクとして、プラ マドーピングにより、例えばボロンをシリ ン層3に導入し、注入深さが5nm以上で且つ20n m以下程度であって、ドーズ量が1×10 14 cm -2 以上で且つ1×10 16 cm -2 以下程度の浅いp型の不純物領域6を形成する ここで、プラズマドーピングの際に、前述 本発明に係る、積算放電時間に基づくプラ マドーピング条件補正を行う。

 その後、図20(f)に示すように、例えば、LP CVD(low pressure chemical vapor deposition)法により 基板全面に亘って酸化シリコン膜7を形成し た後、異方性エッチングにより、酸化シリコ ン膜7に対してエッチングバックを行う。こ により、図20(g)に示すように、ゲート電極5 側壁にのみ酸化シリコン膜7が残存する。

 次に、図20(h)に示すように、酸化シリコ 膜7とゲート電極5とをマスクとして、イオン 注入により、例えばボロンをシリコン層3に 入し、ソース・ドレイン領域となるp型の不 物領域8を形成する。その後、熱処理を行っ て、注入されたボロンイオンの活性化を行う 。

 以上に説明した工程によって、p型の不純 物領域8からなるソース・ドレイン領域の内 に浅いp型の不純物領域6からなるエクステン ション領域が形成されたMOSFET(metal oxide semico nductor field effect tranjistor)を形成することが きる。

 尚、図20(e)に示す、浅いp型の不純物領域6 を形成する工程においては、例えば図3に示 たプラズマドーピング装置を用いてプラズ ドーピングが実施されるが、このとき、サ プタとしての試料電極106とガス供給のため ガス吹き出し口115との距離を一定に保持し がら、前述のように、プラズマドーピング 間を調整するか、ガス濃度を調整するか、 はガス流量を調整するかのいずれかの補正 法によって、狙いのドーズ量を得る。前記 実施例においては、2%程度の高い水準でシー ト抵抗の均一性を維持しながら、所定の不純 物濃度を持つp型の不純物領域6を高精度で形 することができた。具体的には、このp型の 不純物領域6のシート抵抗を±5%のばらつき許 範囲で連続して生産できる基板処理枚数は 基板1枚当たりのプラズマドーピング時間を 60秒として少なくとも5000枚以上であった。こ れは、放電時間に換算すると、5000分以上に 当する。一方、従来例においては、このよ な高精度で連続して生産できる基板処理枚 は2000枚程度(つまり放電時間に換算して2000 程度)であるので、本発明によって処理能力 大幅に向上していることがわかる。

 尚、補正式を決定する工程(準備工程)に いて、ドーズ量(又はシート抵抗)測定のため に別途ダミーウェハを用いてもよいし、又は 、図21に示すように、シリコン基板(被処理基 板)1上に例えば1センチ角程度の測定用領域Rd 設けておき、当該領域Rdを用いてドーズ量( はシート抵抗)測定を行うようにしてもよい 。

 (第2の実施形態)
 以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体 装置の製造方法について、図面を参照しなが ら説明する。

 図22は、本実施形態に係る半導体装置の 造方法におけるプラズマドーピング条件の 正方法を説明するための図である。本実施 態のプラズマドーピング条件の補正方法が 1の実施形態と異なっている点は次の通りで る。

 すなわち、図22に示すように、まず、基 となる第1のプラズマドーピング条件を設定 た後(図1のステップS103参照)、積算放電時間 の期間R1においては、第1のプラズマドーピン グ条件に従ってプラズマドーピングを行う。 ここで、期間R1内における積算放電時間が異 る例えば2つの時点P11及びP12においてそれぞ れ基板に対して第1のプラズマドーピング条 に従ってプラズマドーピングを行い、その 、当該各基板毎にドーズ量(シート抵抗)の測 定を行う。そして、これらの測定値を用いて 、期間R1までのプラズマドーピング装置の積 放電時間とドーズ量(シート抵抗)との関係 求め、第1の実施形態で説明した、各種補正 のいずれかを決定し、当該決定された補正 に基づいて、第1のプラズマドーピング条件 を補正して第2のプラズマドーピング条件を る。

 その後、第1のプラズマドーピング条件に 従ってプラズマドーピングが実施された試料 のシート抵抗が積算放電時間の増加と共に低 下してほぼ目的値となった時点で、第1のプ ズマドーピング条件から第2のプラズマドー ング条件に切り替えて、シート抵抗がばら き許容範囲を超える時点まで(つまり積算放 電時間の期間R2においては)、第2のプラズマ ーピング条件に従ってプラズマドーピング 行う。ここで、期間R2内における積算放電時 間が異なる例えば2つの時点P21及びP22におい それぞれ基板に対して第1のプラズマドーピ グ条件に従ってプラズマドーピングを行い その後、当該各基板毎にドーズ量(シート抵 抗)の測定を行う。そして、これらの測定値 用いて、期間R2までのプラズマドーピング装 置の積算放電時間とドーズ量(シート抵抗)と 関係を求め、第1の実施形態で説明した、各 種補正式のいずれかを決定し、当該決定され た補正式に基づいて、第1のプラズマドーピ グ条件を補正して第3のプラズマドーピング 件を得る。

 その後、第2のプラズマドーピング条件か ら第3のプラズマドーピング条件に切り替え 、シート抵抗がばらつき許容範囲を超える 点まで(つまり積算放電時間の期間R3におい は)、第3のプラズマドーピング条件に従って プラズマドーピングを行う。

 その後、同様のプラズマドーピング条件 切り替えを逐次実施する。

 本実施形態によると、積算放電時間の増 に伴いプラズマドーピング条件を逐次調整 ることにより、長期間に亘って複数の被処 基板に対して繰り返しプラズマドーピング 実施する場合にもドーズ量をより高精度で 御できるので、生産性を大幅に向上させる とができる。

 (第3の実施形態)
 以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体 装置の製造方法について、図面を参照しなが ら説明する。

 図23は、本実施形態に係る半導体装置の 造方法におけるプラズマドーピング条件の 正方法を説明するための図である。尚、本 施形態では、基準となるプラズマドーピン 条件を予め設定し、その後、目的値(本実施 態ではシート抵抗の目的値)を変更するもの とする。本実施形態は、例えば少量多品種の デバイス生産を行うような場合、具体的には 基板処理枚数200枚毎にドーズ量の目的値を変 える必要があるような場合に有効である。本 実施形態のプラズマドーピング条件の補正方 法が第1の実施形態と異なっている点は次の りである。

 すなわち、図23に示すように、まず、基 となる第1のプラズマドーピング条件を設定 た後(図1のステップS103参照)、第1のプラズ ドーピング条件に従ってプラズマドーピン を行う。このとき、積算放電時間とシート 抗との間には、曲線H1で表される相関関係が ある。曲線H1で表される関係は、第1のプラズ マドーピング条件に従ってプラズマドーピン グが実施された2つ以上の試料から得られた シート抵抗のデータ群S0を用いて求めること ができる。

 補正式を決定する工程(準備工程)におい は、第1のプラズマドーピング条件について められた相関関係H1から予測される、目的 (第1の目的値P1)からのズレ量(P1-H1)に基づい 、第1のプラズマドーピング条件を補正して 2のプラズマドーピング条件を得る。このよ うに得られた第2のプラズマドーピング条件 従ってプラズマドーピングを行うことによ 、所望のドーズ量を得ることができる。

 尚、補正式を決定する工程(準備工程)に いては、プラズマドーピング条件の補正量 積算放電時間tの関数として表した方が、よ 精度の高いプラズマドーピング条件の補正 行うことができる。その理由について例え 図23を参照しながら説明する。前記のズレ (P1-H1)は積算放電時間tの関数であり、積算放 電時間がt1からt5までの範囲(t1<t2<t3<t4&l t;t5)におけるt1のときのズレ量は、t2のときの ズレ量と比べて相対的に大きい。従って、t1 ときのプラズマドーピング条件の補正量をt 2のときのプラズマドーピング条件の補正量 比べて大きく設定する。以下、積算放電時 がt2、t3、t4、t5と大きくなるに従って、プラ ズマドーピング条件の補正量をt1のときと比 て、より小さくしていく。このようにプラ マドーピング条件の補正を行うと、より高 度で所望のドーズ量を得ることができる。

 次に、シート抵抗の目的値をP1からP2に変 更した場合について説明する。

 前述のように、P1をシート抵抗の目的値 するプラズマドーピング処理が終了したら 第1のプラズマドーピング条件に従ってダミ ウェハ等の試料に対してプラズマドーピン を行い、当該試料のシート抵抗を測定する このとき、本実施形態では、積算放電時間 異なる2つの時点においてS1及びS2の測定デ タを得るが、S1及びS2は程度の差はあるもの 曲線H1からずれる。すなわち、P1をシート抵 抗の目的値としたプラズマドーピング処理が 終了した時点では、当該プラズマドーピング 処理に起因して、シート抵抗(つまりドーズ )と積算放電時間との関係は曲線H1からずれ シート抵抗のデータ群S0並びにS1及びS2から 出される曲線H2の関係を持つようになる。

 そこで、P1をシート抵抗の目的値とする ラズマドーピング処理が終了したら、相関 係H2から予測される、目的値(第2の目的値P2) らのズレ量(P2-H2)に基づいて、第1のプラズ ドーピング条件を補正して第3のプラズマド ピング条件を得る。このように得られた第3 のプラズマドーピング条件に従ってプラズマ ドーピングを行うことにより、所望のドーズ 量を得ることができる。

 シート抵抗の目的値をP2からP3に変更した 場合も前述と同様である。

 前述のように、P2をシート抵抗の目的値 するプラズマドーピング処理が終了したら 第1のプラズマドーピング条件に従ってダミ ウェハ等の試料に対してプラズマドーピン を行い、当該試料のシート抵抗を測定する このとき、本実施形態では、積算放電時間 異なる2つの時点においてS3及びS4の測定デ タを得るが、S3及びS4は程度の差はあるもの 曲線H2からずれる。すなわち、P2をシート抵 抗の目的値としたプラズマドーピング処理が 終了した時点では、当該プラズマドーピング 処理に起因して、シート抵抗(つまりドーズ )と積算放電時間との関係は曲線H2からずれ シート抵抗のデータ群S0並びにS1、S2、S3及び S4から算出される曲線H3の関係を持つように る。

 そこで、P2をシート抵抗の目的値とする ラズマドーピング処理が終了したら、相関 係H3から予測される、目的値(第3の目的値P3) らのズレ量(P3-H3)に基づいて、第1のプラズ ドーピング条件を補正して第4のプラズマド ピング条件を得る。このように得られた第4 のプラズマドーピング条件に従ってプラズマ ドーピングを行うことにより、所望のドーズ 量を得ることができる。

 尚、以上に述べた本発明の各実施形態に いては、本発明の適用範囲のうち、プラズ ドーピング装置(特に処理室である真空容器 )の構成、形状、配置等に関する様々なバリ ーションのうちの一部を例示したに過ぎな 。すなわち、本発明の適用にあたり、本発 の各実施形態で例示した以外にも様々なバ エーションが考えられることは、言うまで ない。

 また、以上に述べた本発明の各実施形態 おいては、試料(被処理基板)がシリコンよ なる半導体基板である場合を例示したが、 の様々な材質の試料を処理するに際して、 発明を適用することができる。例えば、シ コンとゲルマニウムとから構成される歪み リコン基板、ゲルマニウム基板、SOI基板、 ラス基板上に形成したアモルファスシリコ 薄膜などの薄膜半導体等に対しても本発明 有効である。その理由は、これらの試料は プラズマに曝される表面部については、シ コン基板と同様の構造を有しているからで る。

 また、以上に述べた本発明の各実施形態 おいては、不純物がボロンである場合を例 したが、試料が半導体基板であれば、不純 が砒素、燐、アルミニウム又はアンチモン であっても、本発明は有効である。その理 は、これらの不純物によって、トランジス 形成領域に浅い接合の不純物領域を形成す ことができるからである。

 また、以上に述べた本発明の各実施形態に いては、不純物がボロンである場合を前提 して、プラズマ生成用のボロン含有ガスと て、B H を用いたが、これに限られず、ボロン原子と 水素原子とからなる分子B H (但しm、nは自然数)を含むガスを用いること できる。尚、B H とヘリウムとの混合ガスを用いる場合には、 混合ガス中におけるB H の濃度は0.01質量%以上で且つ1質量%以下であ ことが好ましい。また、ボロン含有ガスと て、B H (但しm、nは自然数)を含むガスに代えて、BF を用いてもよいし、又は、ボロン以外の不純 物を含有するガスとして、AsH 若しくはPH 等を用いてもよい。

 また、第1~第3の実施形態で説明した本発 は、不純物を含むガスの濃度が低濃度であ 場合に有効であり、特に、ドーズ量の高精 コントロールが必要なプラズマドーピング 法として有効である。

 また、第1~第3の実施形態で説明したプラ マドーピングにおいては、真空容器(反応容 器)内に供給するガスがドーピング原料を含 ガスである場合を例示したが、反応容器内 供給するガスがドーピング原料を含まず、 体状の不純物からドーピング原料を発生さ る態様であっても本発明は有効である。す わち、不純物原子を含む固体を反応容器内 配置し、且つHeなどからなるプラズマを用い て不純物原子をプラズマ化してプラズマドー ピングを実施する等の場合にも本発明は有効 である。

 本発明によると、不純物導入量を精密に 御できるため、浅い接合の不純物領域の形 を実現することが可能である。従って、本 明は、シリコン基板などのバルク半導体の 純物導入工程のみならず、液晶分野などで いられる薄膜トランジスタなどの薄膜デバ スの製造等の用途にも有用である。