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Title:
SHOT PEENING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069556
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a shot peening method that, while suppressing cutting of a steel product to be treated, can apply a higher compressive residual stress than that in the conventional technique. A projection material having Vickers hardnesses HV (m), which are represented by formulae (1) to (3) and are higher than the hardnesses HV (m) of a steel product to be treated by a value in the range of 50 HV to 250 HV, is projected against the steel product having a hardness of not less than 750 HV to be treated to reduce the cutting level of the steel product to not more than 5 μm. HV(m1) = {f(C) - f(T, t)}(1 - γR/100) + 400 × γR/100 Formula (1) f(C) = -660C2 + 1373C + 278 Formula (2) f(T, t) = 0.05T(logt + 17) - 318 Formula (3) where C: C (carbon) concentration of carburized surface layer, % by mass T: tempering temperature, K t: tempering holding time, hr γR: amount of residual austenite (% by volume)

Inventors:
ISHIKURA RYOHEI (JP)
KANO TAKASHI (JP)
KATO MAKIO (JP)
KOBAYASHI YUJI (JP)
UJIHASHI SATORU (JP)
OKUMURA KIYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071241
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SINTOKOGIO LTD (JP)
ISHIKURA RYOHEI (JP)
KANO TAKASHI (JP)
KATO MAKIO (JP)
KOBAYASHI YUJI (JP)
UJIHASHI SATORU (JP)
OKUMURA KIYOSHI (JP)
International Classes:
B24C1/10
Domestic Patent References:
WO2006134878A12006-12-21
Foreign References:
JP2008069938A2008-03-27
Other References:
See also references of EP 2218547A4
Attorney, Agent or Firm:
YAMASAKI, Yukuzo et al. (Sogo Nagatacho Bldg. 8F11-28, Nagatacho 1-chom, Chiyoda-ku Tokyo 14, JP)
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Claims:
下記式(1)~(3)で与えられる硬さHV(m)が750HV以上の被処理鋼材に対して、該被処理鋼材の硬さHV(m)よりも50HV~250HVの範囲内で高いビッカース硬さを有する投射材を投射し、該被処理鋼材の削食量を5μm以下に抑制することを特徴とするショットピーニング方法。
   HV(m)={f(C)-f(T,t)}(1-γ R /100)+400×γ R /100  式(1)
    f(C)=-660C 2 +1373C+278              式(2)
   f(T,t)=0.05T(logt+17)-318             式(3)
 但し C:浸炭による表層C(カーボン)濃度(質量%)
    T:焼戻し温度(K)
    t:焼戻し保持時間(hr)
    γ R :残留オーステナイト量(体積%)
請求項1において、前記表層C濃度を0.60~1.0%の範囲内とすることを特徴とするショットピーニング方法。
請求項1,2の何れかにおいて、前記投射材の粒径をφ0.05~0.6mmの範囲内とし、該投射材をエア圧力0.4~0.6MPaで前記被処理鋼材に投射することを特徴とするショットピーニング方法。
Description:
ショットピーニング方法

 この発明はショットピーニング方法に関 、詳しくは被処理材の表層に従来に増して い圧縮残留応力を付与することのできるシ ットピーニング方法に関する。

 従来、自動車の歯車等に用いられている 炭処理材をはじめとする高強度鋼材の疲労 度向上の手段として、材料へのヘビーショ トピーニング処理が有用な手段として適用 れている。歯元曲げ疲労強度の向上には、 ョットピーニング処理による表層の圧縮残 応力が大きな影響を与えていることがよく られている。

 また圧縮残留応力の応力値は投射材の粒 、硬度、投射速度、投射時間等が影響する ともよく知られており、ショットピーニン の条件が圧縮残留応力の応力値に及ぼす影 についても従来様々な研究がなされている

 近年、部品の小型化に伴って高強度鋼に する更なる高強度化が求められており、ま これに伴い更なる疲労強度向上のために、 ョットピーニング処理によって被処理材に り高い圧縮残留応力を付与することが求め れている。

 例えば現状のヘビーショットピーニング 理による圧縮残留応力ピーク値1500MPaに対し 、20%の疲労強度向上を目標としたとき、被処 理材に1800MPaの圧縮残留応力を付与すること 必要である。

 従来にあっては、被処理材により高い圧 残留応力を付与するために、高硬度の投射 (ショット)の開発が主としてなされてきた 、単に投射材の硬さを高くしただけでは、 処理材の硬さがその投射材の硬さに見合っ 硬さのものでないと、ショットピーニング よって被処理材に高い圧縮残留応力を付与 ることができず、却って圧縮残留応力が低 してしまうことがある。

 例えば投射材の硬さと被処理材の硬さとの 合せによっては、ショットピーニングによ て被処理材に顕著な削食が生じる。
 この場合投射のエネルギーが削食に用いら るため、被処理材に効果的に圧縮残留応力 付与できなくなってしまう。
 又は被処理材に対して投射材の硬さが著し 高いような場合には、被処理材に高い圧縮 留応力を付与し得たとしても同時に削食が きく生じて、そのことにより被処理材の表 粗さを大きくし、疲労破壊の起点となる可 性がある。
 また削食が大きく生じることによって、部 の寸法が大きく減少変化してしまう。

 加えて硬度の著しく高い投射材は、これに じてコストも高く、このような高コストの 射材を用いても、達成できる圧縮残留応力 一定以上には大きくならず、コストだけが くなってしまうといった結果をもたらす。
 従って被処理材の表層に高い圧縮残留応力 適正に付与するためには、被処理材の硬さ 投射材の硬さとのバランスを適正化する必 がある。

 しかしながらこうした知見については従来 く提案されていない。
 例えば、投射材を被処理材に投射して被処 材に圧縮残留応力を付与する技術として特 2002-36115号公報、特開2001-79766号公報、特開 9-57629号公報に開示されたものがある。
 しかしながら特開2002-36115号公報には、削食 についての知見は示されておらず、また特開 2001-79766号公報に記載のものでは、被処理材 投射材との関係についての知見は示されて ない。更に特開平9-57629号公報に開示のもの は、同様に被処理材と投射材との関係につ ての知見が示されていない。

 本発明は以上のような事情を背景とし、 処理鋼材の削食を抑制しつつ表層に高い圧 残留応力を付与することができ、疲労強度 その高い圧縮残留応力によって効果的に高 ることのできるショットピーニング方法を 供することを目的としてなされたものであ 。

 而して本発明の第1の態様では、下記式(1)~(3 )で与えられる硬さHV(m)が750HV以上の被処理鋼 に対して、該被処理鋼材の硬さHV(m)よりも50 HV~250HVの範囲内で高いビッカース硬さを有す 投射材を投射し、該被処理鋼材の削食量を5 μm以下に抑制することを特徴とする。
   HV(m)={f(C)-f(T,t)}(1-γ R /100)+400×γ R /100  式(1)
    f(C)=-660C 2 +1373C+278             式(2)
   f(T,t)=0.05T(logt+17)-318             式 (3)
 但し C:浸炭による表層C(カーボン)濃度(質 %)
    T:焼戻し温度(K)
    t:焼戻し保持時間(hr)
    γ R :残留オーステナイト量(体積%)
 なお、HV(m)は式(1)で算定される数値であり 推定ビッカース硬さを意味する。この数値 ビッカース硬さと等価となるため、本書で 該数値の後ろにもHVを付して表記する。

 本発明の第2の態様では、第1の態様にお て、前記表層C濃度を0.60~1.0%の範囲内とする とを特徴とする。

 本発明の第3の態様では、第1あるいは第2の 様の何れかにおいて、前記投射材の粒径を 0.05~0.6mmの範囲内とし、該投射材をエア圧力0 .4~0.6MPaで前記被処理鋼材に投射することを特 徴とする。
 なおここで、投射材の粒径は、たとえば、 本工業規格JIS G5904に規定された粒度試験方 法を用いて測定する。

 以上のように本発明は、式(1)~(3)で与えら れる被処理鋼材の硬さHV(m)を750HV以上となし そしてこの被処理鋼材に対し、これよりも50 HV~250HV高いビッカース硬さを有する投射材を 処理鋼材に投射して、被処理鋼材の削食量 5μm以下に抑制しつつ、その表層に圧縮残留 応力を付与するもので、かかる本発明によれ ば、被処理鋼材に従来に増して高いたとえば 1800MPa以上の圧縮残留応力を付与することが き、これにより自動車の歯車その他の高強 部品の疲労強度を効果的に高めることがで る。

 本発明において、被処理鋼材の硬さHV(m)が75 0HV未満であると、ショットピーニングによっ て被処理鋼材の表層に十分な圧縮残留応力を 付与することができない。
 圧縮残留応力を付与できる限界は、被処理 材の降伏強度(ほぼ0.2%耐力)までとされてお 、その降伏強度は被処理鋼材の硬さと比例 係にある。
 従って被処理鋼材の硬さHV(m)が750HV未満の場 合、圧縮残留応力を付与できる限界が低く、 十分な高圧縮残留応力を付与することができ ない。
 そのため本発明では被処理鋼材の硬さHV(m) 750HV以上となしておくことが必要である。

 本発明ではまた、投射材のビッカース硬さH Vを被処理鋼材の硬さHV(m)よりも大きくしてお くことが必要である。
 投射材のビッカース硬さHVが被処理鋼材の さHV(m)よりも低いと投射材が塑性変形(降伏) てしまい、被処理鋼材に対して圧縮残留応 を付与するためのエネルギーが十分加えら ない。また、投射材の寿命低下を招く。
 特に本発明においては、投射材のビッカー 硬さHVを被処理鋼材の硬さHV(m)に対して50HV 上高くしておくことが、被処理鋼材に高い 縮残留応力を付与するために必要であると 知見が得られた。

 逆に投射材のビッカース硬さHVが被処理鋼 の硬さHV(m)よりも250HVを超えて高いと、投射 エネルギーが削食に使われてしまい、効果 且つ安定的に高圧縮残留応力を付与するこ ができない。
 また例え被処理鋼材に高い圧縮残留応力を 与できたとしても、投射材の硬さが被処理 材に比べて硬過ぎるために、被処理鋼材の 層の削食量が過大となり、そのことが高強 部品の寸法の規格外れをもたらす原因とな のみならず、その大きな削食によって被処 鋼材の表面粗さを大きくし、疲労破壊の起 となる可能性がある。

 また高圧縮残留応力を付与し得たとして その圧縮残留応力は一定以上には高くなら 、即ち投射材の硬さが硬くなった分に見合 て圧縮残留応力が高くなるわけではなく、 るところで飽和してしまう。

 一方で硬さが著しく硬い投射材はコスト的 も高いものであり、処理費用が高くなって まう。
 この意味において、本発明では被処理鋼材 硬さHV(m)と投射材のビッカース硬さHVとの差 を250HV以下に規制することが必要的である。

 本発明では、削食量を5μm以下と規定して いるのは、その理由は削食量がこれよりも多 くなると、投射エネルギーが削食に使われて しまって、圧縮残留応力の付与に効果的に利 用されず、また削食が大きく生じることで高 強度部品の寸法が大きく減少悪化してしまう ことによる。

 尚本発明において、被処理鋼材の硬さHV(m )は浸炭処理後の被処理鋼材の表面から深さ0. 050mmまでの表層の硬さを意味している。即ち (1)~(3)で規定される被処理鋼材硬さHV(m)は深 0.050mmまでの表層の硬さを意味している。

 本発明では、浸炭等の条件を制御すること よって被処理鋼材の硬さHV(m)を750HVとするこ とができるように、被処理鋼材の硬さを上記 式(1)~式(3)で規定している(この硬さは非破壊 予測できる硬さであり、ビッカース硬さに 当する値を与える)。
 式(1)において、前半の{f(C)-f(T,t)}(1-γ R /100)は焼戻し処理後のマルテンサイトによる さへの寄与度を表しており、また式(1)の後 の400×γ R /100は残留オーステナイトによる硬さへの寄 度を表している。

 被処理鋼材において、マルテンサイトへの 態は常温までの冷却では完了せず、実際に 焼入れ(マルテンサイト)組織と未変態の残 オーステナイトとの混合組織となる。
 そのため、被処理鋼材の硬さHV(m)の推定は れらに基づいて行う必要がある。
 ここで式(1)の前半における{f(C)-f(T,t)}は、焼 戻し後のマルテンサイト硬さを表しており、 f(C)は焼戻し前のマルテンサイトの硬さを、f( T,t)は焼戻しによる硬さ低下量をそれぞれ表 ている。更に(1-γ R /100)はマルテンサイトの体積比率を表してい 。

 ここでf(C)は式(2)、即ちf(C)=-660C 2 +1373C+278で表される。
 この式は、炭素濃度の種々異なったマルテ サイトについて、炭素濃度と硬さとの関係 二次曲線回帰による近似式として求めたも である。

 一方、焼戻し状態は焼戻し温度と焼戻しの 持時間とによって定まってくることから、 戻しによる硬さ低下量f(T,t)をそれら焼戻し 度T、保持時間tを用いて、(Hollomon等による) 戻しパラメータと実測硬さに基づく近似式0 .05T(logt+17)-318で表したものである。
 尚式(1)の後半における数値400は残留オース ナイト硬さ(ビッカース硬さ)を表している

 本発明の第2の態様では、第1の態様の条 を満たす上で、上記の表層C濃度を0.60~1.0%の 囲内としておく。

 C濃度が0.60%未満であると、C量が低いため に被処理鋼材の硬さが低くなってしまい、被 処理鋼材の硬さを第1の態様に規定する条件 満たすようにすることが難しい。

 逆にC濃度が1.0%超であるとC量が過剰とな 、残留オーステナイトが多量に生じて被処 鋼材の硬さを低下させ、被処理鋼材の硬さ 第1の態様に規定する条件を満たすようにす ることが難しい。またC量が過剰であると粒 炭化物が多量に析出し、疲労強度の低下を く原因となる。

 更に、C濃度は0.60~0.85%の範囲にしておく とが好ましい。0.85%を超えると、残留オース テナイトが多量になり、被処理鋼材硬さが低 下し始める。しかし、鋼材を室温以下の低温 (-80℃以下)に冷却するサブゼロ処理を施すこ により、鋼材の残留γがマルテンサイト変 し、これにより焼入れ後に10~40vol%あった残 γ量が5~15vol%以下に低減される。その結果、 処理鋼材の硬さが改善される。

 尚、浸炭は真空共析浸炭が好ましい。
 ガス浸炭の場合、表面酸化に伴う軟質な浸 異常層(粒界酸化発生による焼入性低下)が 生するため、被処理鋼材硬さを低下せしめ 被処理鋼材の硬さを第1の態様の条件を満た ような硬さとすることが難しい。但し、ガ 浸炭の場合には、焼入れ性の高い材料を用 るか、浸炭後(ショットピーニング処理前) 異常層を除去することで、被処理鋼材の硬 を満足させることが可能である。

 本発明の第3の態様では、投射材として粒 径がφ0.05~0.6mmのものを用い、またその投射材 をエア圧力0.4~0.6MPaで被処理鋼材に投射する うになす。

 投射材の粒径が0.05mm未満の場合、投射材の 製自体が困難となる。
 一方粒径が0.6mm超の場合、圧縮残留応力の ーク値が深くなり過ぎ、疲労強度向上に有 な圧縮残留応力分布が得られ難い。
 疲労強度に有効なピーク位置は表面から深 100μmまでの部位である。

 またエア圧が0.4MPa未満の場合、ピーニング 度が低下し、たとえば1800MPa以上の高圧縮残 留応力を付与することが困難となる。
 逆に0.6MPa超の場合、ピーニング強度が過剰 なって削食量を多くしてしまう可能性があ 。更に通常のショットピーニング処理装置 は投射圧(エア圧)0.6MPa以上とすることが難 い。

 この出願は、日本国で2007年11月28日に出願 れた特願2007-308049号に基づいており、その内 容は本出願の内容として、その一部を形成す る。
 また、本発明は以下の詳細な説明により更 完全に理解できるであろう。しかしながら 詳細な説明および特定の実施例は、本発明 望ましい実施の形態であり、説明の目的の めにのみ記載されているものである。この 細な説明から、種々の変更、改変が、当業 にとって明らかだからである。
 出願人は、記載された実施の形態のいずれ も公衆に献上する意図はなく、開示された 変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文 上含まれないかもしれないものも、均等論 での発明の一部とする。
 本明細書あるいは請求の範囲の記載におい 、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指 されない限り、または文脈によって明瞭に 定されない限り、単数および複数の両方を むものと解釈すべきである。本明細書中で 供されたいずれの例示または例示的な用語( 例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説 し易くするという意図であるに過ぎず、特 請求の範囲に記載しない限り本発明の範囲 制限を加えるものではない。

 次に本発明の実施形態を以下に詳しく説明 る。
 表1に示す化学成分の鋼種(JIS G 4052に規定 るSCM420H(クロムモリブデン鋼)で、表1中の中 はSCM420Hの成分範囲を、下段は試験に供した ものの成分値を示す)を用いて、径25mm×長さ10 0mmの丸棒形状に加工し、これを被処理材とし て表2、表3に示す条件で浸炭処理及びショッ ピーニング処理し、削食量,圧縮残留応力ピ ーク値を求めて評価した。
 尚ショットピーニング処理は以下のように て行った。

<ショットピーニング処理方法>
 図1に示しているように、噴射ノズル10を備 たエア式のショットピーニング装置を用い ショットピーニング処理を行った。
 被処理材12は、噴射ノズル10からの距離が200 mm、投射角が被処理材12の加工面に直角とな ように設置した。
 そして被処理材12を回転テーブル上で30rpm(=2 秒間に1回転)で回転させ、被処理材12の表面 ショットピーニング処理を施した。
 ここで投射時間は、カバレージが300%となる ように設定した。また投射材は粒径がφ0.05~0. 6mm,ビッカース硬さ700HV~1380HVのものを使用し 投射圧(エア圧)を0.3~0.6MPaの範囲として実験 行った。
 尚図1中の14はマスキングを表している。

 上記にてショットピーニング処理したもの ついて、以下に示す方法で削食量及び圧縮 量応力ピーク値を求めた。
<削食量測定方法>
 レーザー寸法測定装置を用い、ショットピ ニング処理前および処理後の被処理材12の 径を測定し、削食量は、次式によって計算 れた値を使用した。なお削食量はn=10回測定 た平均値を用い、測定部位はショットピー ング狙い位置中心(最大削食量発生箇所)と た。
削食量=(D1-D2)/2
   D1=ショットピーニング処理前の直径
   D2=ショットピーニング処理後の直径

<圧縮残留応力測定方法>
 ショットピーニング処理後の処理品の圧縮 留応力測定方法は、非破壊的方法として一 的な「JIS B2711」に規定されているX線回折 利用したX線応力測定法を用いた。
 今回のサンプルは、マルテンサイト組織の である為、測定は特性X線の種類=Crθα線、X 応力係数k=-318[MPa/°]を用いて行った。
また、測定部位はショットピーニング狙い位 置中心とした。
 尚、圧縮残留応力のピーク値(=最大値)は、 射X線束の断面寸法のほぼ2倍の範囲を、電 研磨によって、所定の深さになるように除 した後、残留応力分布を測定することによ 求めた。

 尚、表2,表3において表層の炭素濃度測定及 残留オーステナイト測定は以下の方法にて った。
<表層炭素濃度測定方法>
 表層炭素濃度はサンプル(被処理材12)破壊を 防止する為、サンプルの浸炭処理の際に同装 した同一成分のダミー材(径20mm×厚さ5mm)を用 て測定した。測定は発光分光分析法を用い 測定部位はダミー材の平面部で測定回数をn =2とした。その原理は、試料中の対象元素(C) 放電プラズマによって蒸発気化励起し、得 れる元素固有の原子スペクトルの波長を定 し、発光強度から定量を行うというもので る。

<残留オーステナイト測定方法>
 X線回折法により、表層部(深さ数10ミクロン まで)の残留オーステナイト(=γ R )を非破壊的に求めた。
その原理は、X線回折によって求められたγ R {220}を測定し、α'{211}と回折線プロファイル 積分強度を比較することにより、残留オー テナイトの体積%が求められる。
 結果が表2及び表3に示してある。

 表3において、比較例1では被処理材の硬さHV (m)が682HVで、本発明の下限値である750HVより 低く、また被処理材と投射材との硬さの差 小さく、そのため圧縮残留応力値も目標と る1800MPa以上を満たしていない。
 この比較例1では、表層C%が0.51%で第2の態様 条件も満たしておらず、被処理材の硬さHV(m )を低くする原因となっている。
 更にこの比較例1では、ショットピーニング の際のエア圧が0.3Mpaで第3の態様の条件を満 しておらず、それらの結果として圧縮残留 力の値が低いものとなっている。

 比較例2では、被処理材の硬さHV(m)の条件に いては本発明の条件を満たしているものの 比較例2では投射材のビッカース硬さHVの方 被処理材よりも低く、圧縮残留応力値は低 ものとなっている。
 この比較例2においても、ショットピーニン グ処理の際のエア圧が第3の態様の条件を満 していない。
 比較例3では、投射材のビッカース硬さHVの が被処理材の硬さHV(m)に対して低く、目標 する1800MPaの圧縮残留応力値が得られていな 。

 比較例4では、被処理材の硬さHV(m)が735HVで 発明の下限値である750HVよりも低く、圧縮残 留応力値も目標とする1800MPaよりも低い値と っている。
 この比較例4ではガス浸炭を行っており、こ れにより生ずる浸炭異常層のために被処理材 の硬さHV(m)が低くなっている。
 比較例5では、被処理材の硬さHV(m)が本発明 下限値以下であり、圧縮残留応力値も目標 に達していない。

 比較例6では、被処理材の硬さHV(m)が低く、 縮残留応力値も目標値に対して低い値とな ている。
 またこの比較例6では、投射材のビッカース 硬さHVと被処理材の硬さHV(m)の差が268HVで本発 明の上限値よりも大きく、このため5μm超以 の大きな削食が発生している。

 比較例7では、被処理材の硬さHV(m)が低く、 縮残留応力値も低くなっている。
 この比較例7ではまた、表層C%が1.03%で第2の 様の条件を満たしておらず、残留オーステ イト量も41%と高い値を示しており、このこ が被処理材の硬さHV(m)を低くしている。

 比較例8は、被処理材の硬さHV(m)が低く、圧 残留応力値も低い値となっている。
 この比較例8では高濃度浸炭を行っており、 炭化物析出のためマトリックス硬さが低くな っている。

 比較例9では、被処理材の硬さHV(m)が低く、 た5μm超の削食が生じている。圧縮残留応力 値も低い。
 更にこの比較例9では、表層C%が第2の態様の 下限値よりも低く、このことが被処理材の硬 さHV(m)を低くしている。

 比較例10では、被処理材の硬さHV(m)は本発明 の条件を満たしているものの、投射材のビッ カース硬さHVが著しく高く、そのため投射材 硬さHVと被処理材の硬さHV(m)の差が本発明の 上限値よりも大幅に大きく、圧縮残留応力値 が目標値を満たしていないのに加えて、大き な削食が発生している。
 またこの比較例10では、ショットピーニン の際のエア圧が第3の態様の条件を満たして ない。

 比較例11では、投射材のビッカース硬さHVが 著しく高く、圧縮残留応力値については目標 値である1800MPaを満たしているものの、著し 大きい削食が発生している。
 比較例12においても、投射材のビッカース さHVが著しく高過ぎるため、同様に大きな削 食が発生している。
 同様に比較例13においても、投射材のビッ ース硬さHVが高く、被処理材の硬さHV(m)との が本発明の上限値を超えて大きいために、 食が大きく発生している。

 これに対し、実施例1~14のものは何れも本発 明の条件を満たしており、その結果圧縮残留 応力値も目標値である1800MPa以上の大きな値 なっている。
 尚、実施例1~実施例7では低温焼戻しによっ 被処理材の硬さHV(m)が高硬度となっている
 実施例8では、サブゼロ処理に加えて低温焼 戻しにより被処理材の硬さが高硬度化してい る。
 実施例9では、表層C濃度が適正化されるこ によって被処理材硬さHV(m)が高硬度化してお り、実施例10ではこれに加えてサブゼロ処理 より被処理材硬さHV(m)が高硬度化している
 また実施例11では、表層C濃度が高濃度で、 れに加えてサブゼロ処理が施されることに り、被処理材硬さHV(m)が高硬度化している
 今回のサブゼロ処理では、-85℃の雰囲気中 鋼材を120min保持した。

 以上本発明の実施形態を詳述したが、こ はあくまで一例示であり、本発明はその趣 を逸脱しない範囲において種々変更を加え 態様で構成可能である。

本発明の実施形態において行ったショ トピーニング方法の説明図である。