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Patent Searching and Data


Title:
SILICON QUANTUM DOTS AND BIOLOGICAL LABELING AGENT USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/051016
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide nontoxic silicon quantum dots which are silicon quantum dots produced by the high-frequency sputtering method via an environmentally friendly process using an acid other than hydrofluoric acid, and a biological labeling agent using the same. The silicon quantum dots as described above are characterized in being silicon quantum dots produced by the high-frequency sputtering method via a predetermined production process without using hydrofluoric acid.

Inventors:
AIMIYA TAKUJI (JP)
TSUKADA KAZUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067912
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
October 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA MED & GRAPHIC (JP)
AIMIYA TAKUJI (JP)
TSUKADA KAZUYA (JP)
International Classes:
C23C14/00; C01B33/02; C09K11/08; C09K11/59; C23C14/34; C23C14/58; G01N33/53; G01N33/553; G01N33/58; A61K49/00
Foreign References:
JP2006070089A2006-03-16
JP2007067104A2007-03-15
JP2003329686A2003-11-19
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Claims:
高周波スパッタリング法により製造されたシリコン量子ドットであって、下記製造工程を経て製造されたことを特徴とするシリコン量子ドット。
工程(1):ターゲット材料としてシリコンとフッ酸以外の酸に溶解する材料を用い、高周波スパッタリング法により基板上に薄膜を作製する。
工程(2):前記薄膜に熱処理を施し、薄膜内にシリコン量子ドットを形成する。
工程(3):前記熱処理後薄膜に、フッ酸以外の酸による処理を施して、シリコン量子ドットを露出させる。
工程(4):前記シリコン量子ドットが露出した基板を溶媒中に浸漬させることで、シリコン量子ドットを基板より離散させて、シリコン量子ドットが分散した溶液を得る。
前記フッ酸以外の酸に溶解する材料が、アルミナ、ジルコニア、チタニア及びマグネシアの中から選ばれる材料であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のシリコン量子ドット。
前記フッ酸以外の酸に溶解する材料が、アルミナであることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のシリコン量子ドット。
前記フッ酸以外の酸が塩酸であることを特徴とする請求の範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載のシリコン量子ドット。
請求の範囲第1項乃至第4項のいずれか一項に記載のシリコン量子ドットであって、その表面が親水化処理されていることを特徴とするシリコン量子ドット。
請求の範囲第1項乃至第5項のいずれか一項に記載のシリコン量子ドットと分子標識物質とを有機分子を介して結合させたことを特徴とする生体物質標識剤。
前記分子標識物質がヌクレオチド鎖であることを特徴とする請求の範囲第6項に記載の生体物質標識剤。
前記シリコン量子ドットと分子標識物質とを結合させる有機分子が、ビオチン及びアビジンであることを特徴とする請求の範囲第6項又は第7項に記載の生体物質標識剤。
Description:
シリコン量子ドット、及びそれ 用いた生体物質標識剤

 本発明は毒性のないシリコン量子ドット 及びそれを用いた生体物質標識剤に関する

 半導体ナノ粒子のうち、電子の波長(10nm 度)より小さい粒子径を有するナノサイズの 子は、量子サイズ効果として電子の運動に するサイズ有限性の影響が大きくなってく ために、バルク体とは異なる特異な物性を すことが知られている。一般に、ナノ・メ トルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(qua ntum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、 「量子ドット」とも称されている。このよう な量子ドットは、半導体原子が数百個から数 千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であ が、励起源から光を吸収してエネルギー励 状態に達すると、量子ドットのエネルギー ンドギャップに相当するエネルギーを放出 る。

 したがって、量子ドットは、量子サイズ 果によりユニークな光学特性を有すること 知られている。具体的には、(1)粒子のサイ を制御することにより、様々な波長,色を発 光させることができる。(2)吸収帯が広く、単 一波長の励起光で様々なサイズの微粒子を発 光させることができる。(3)蛍光スペクトルが 良好な対称形である。(4)有機色素に比べて耐 久性、耐退色性に優れる、といった特徴を有 する。

 一方、小動物を対象としたin vivo光イメ ジングが注目されており、小動物の生体内 細胞を外部より、生体を傷つけることなく( 侵襲で)観察するような光学系装置が各メー カから販売され始めている。これは、生体内 の観察したい部位に選択的に集まるような標 識をつけた蛍光材料を生体内に注入し、外部 より励起光を照射し出てきた発光を外部でモ ニターする方法である。生体物質を標識する 手段として、分子標識物質をマーカー物質に 結合した生体物質標識剤を用いる方法が検討 されている。

 近年、上記マーカー物質として量子ドッ を用いる方法が注目されている。例えば、 性官能基を有する高分子を半導体ナノ粒子 表面に物理的および/または化学的に吸接合 した生体物質標識剤が検討されている(例え 特許文献1参照)。

 しかしながら、例えば、特許文献1で実質 的にその効果も含めて開示されている量子ド ットは、(CdSe/ZnS型)量子ドットであり、使用 れているカドミウム類は、発光半値幅は狭 が、有害重金属であるため、製造プロセス おいても環境面への悪影響が懸念され、代 材料が求められている。

 このような状況を鑑み、無毒性・無害性 量子ドットとしてシリコン量子ドットが検 をされている。中でも、高周波スパッタリ グを用いる方法は、シリコン量子ドットを 子単体で分散した溶液として製造でき、注 されている(特許文献2参照)。特許文献2にお いては、シリコン量子ドットの製造方法とし て、(a)高周波スパッタリング法を用い、基板 上にアモルファス酸化ケイ素膜を作製し、(b) 上記アモルファス酸化ケイ素膜に熱処理を施 し、該酸化ケイ素膜内に粒子サイズ3.5nm以下 シリコン量子ドットを形成し、(c)上記酸化 イ素膜にフッ酸水溶液処理を施して酸化ケ 素を除去して、シリコン量子ドットを露出 せ、(d)上記露出したシリコン量子ドットを 液中に浸漬して溶液処理を施し、付着した ッ酸粒子を除去し、次いで、(e)溶液中のシ コン量子ドットに攪拌処理を施し、シリコ 量子ドットを基板から分離、離散させて、 リコン量子ドットが粒子単位で分散した溶 を得る製造方法が開示されている。

 しかしながら、フッ酸水溶液は、生体への 性が指摘されており、除去する工程が必要 量産への課題であった。また生体物質標識 料としての応用を考えた場合、その残存に る生体への悪影響も懸念されている。

特開2003-329686号公報

特開2006-70089号公報

 本発明は、上記問題・状況に鑑みてなさ たものであり、その解決課題は、高周波ス ッタリング法により製造されたシリコン量 ドットであって、フッ酸以外の酸を使用し 環境負荷の小さいプロセスで製造された毒 のないシリコン量子ドットを提供すること ある。また、それを用いた生体物質標識剤 提供することである。

 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭 検討の結果、ターゲット材料としてシリコ とフッ酸以外の酸に溶解する材料を用い、 周波スパッタリング法を行うことで、環境 荷の小さいプロセスで、かつ毒性がなく生 物質標識剤として好適なシリコン量子ドッ を得ることができることを見出し、本発明 至った。

 すなわち、本発明に係る上記課題は、以 の手段により解決される。

 1.高周波スパッタリング法により製造され シリコン量子ドットであって、下記製造工 を経て製造されたことを特徴とするシリコ 量子ドット。
工程(1):ターゲット材料としてシリコンとフ 酸以外の酸に溶解する材料を用い、高周波 パッタリング法により基板上に薄膜を作製 る。
工程(2):前記薄膜に熱処理を施し、薄膜内に リコン量子ドットを形成する。
工程(3):前記熱処理後薄膜に、フッ酸以外の による処理を施して、シリコン量子ドット 露出させる。
工程(4):前記シリコン量子ドットが露出した 板を溶媒中に浸漬させることで、シリコン 子ドットを基板より離散させて、シリコン 子ドットが分散した溶液を得る。

 2.前記フッ酸以外の酸に溶解する材料が アルミナ、ジルコニア、チタニア及びマグ シアの中から選ばれる材料であることを特 とする前記1に記載のシリコン量子ドット。

 3.前記フッ酸以外の酸に溶解する材料が アルミナであることを特徴とする前記1又は2 に記載のシリコン量子ドット。

 4.前記フッ酸以外の酸が塩酸であること 特徴とする前記1乃至3のいずれか一項に記載 のシリコン量子ドット。

 5.前記1乃至4のいずれか一項に記載のシリ コン量子ドットであって、その表面が親水化 処理されていることを特徴とするシリコン量 子ドット。

 6.前記1乃至5のいずれか一項に記載のシリ コン量子ドットと分子標識物質とを有機分子 を介して結合させたことを特徴とする生体物 質標識剤。

 7.前記分子標識物質がヌクレオチド鎖で ることを特徴とする前記6に記載の生体物質 識剤。

 8.前記シリコン量子ドットと分子標識物 とを結合させる有機分子が、ビオチン及び ビジンであることを特徴とする前記6又は7に 記載の生体物質標識剤。

 本発明の上記手段により、高周波スパッ リング法により製造されたシリコン量子ド トであって、フッ酸以外の酸を使用して環 負荷の小さいプロセスで製造された毒性の いシリコン量子ドットを提供することがで る。また、それを用いた生体物質標識剤を 供することができる。

 本発明のシリコン量子ドットは、高周波ス ッタリング法により製造されたシリコン量 ドットであって、下記製造工程を経て製造 れたことを特徴とする。
工程(1):ターゲット材料としてシリコンとフ 酸以外の酸に溶解する材料を用い、高周波 パッタリング法により基板上に薄膜を作製 る。
工程(2):前記薄膜に熱処理を施し、薄膜内に リコン量子ドットを形成する。
工程(3):前記熱処理後薄膜に、フッ酸以外の による処理を施して、シリコン量子ドット 露出させる。
工程(4):前記シリコン量子ドットが露出した 板を溶媒中に浸漬させることで、シリコン 子ドットを基板より離散させて、シリコン 子ドットが分散した溶液を得る。

 上記特徴は、請求の範囲1~8に係る発明に 通する技術的特徴である。

 なお、好ましい態様としては、前記フッ 以外の酸に溶解する材料が、アルミナ、ジ コニア、チタニア及びマグネシアの中から ばれる材料である態様である。特に、当該 料が、アルミナであることが好ましい。一 、フッ酸以外の酸としは、環境毒性が低い 酸が好ましい。

 本発明のシリコン量子ドットは、毒性の いフッ酸水溶液を使用することなく製造さ ることより毒性の高いフッ酸の残存の恐れ なく、蛍光発光するので、生体物質標識剤 好適なマーカー物質として使用できる。

 なお、生体物質標識剤に適応させる場合 そのために、本発明のシリコン量子ドット 表面が親水化処理されていることも好まし 。本発明のシリコン量子ドットと分子標識 質とを有機分子を介して結合させることも ましい。この場合、分子標識物質がヌクレ チド鎖であることが好ましい。更に、有機 子が、ビオチン及びアビジンであることが ましい。

 以下、本発明とその構成要素、及び発明 実施するための最良の形態について詳細な 明をする。

 〔シリコン量子ドットの製造方法〕
 本発明のシリコン量子ドットの製造方法に いては、形成するシリコン量子ドットの粒 サイズを容易に制御することのできる高周 スパッタリング法と、シリコン量子ドット 形態を膜形態から粒子形態へ変えるための 処理と攪拌処理をする工程を含む製造方法 採用することを特徴とする。すなわち、シ コン量子ドットの形態を、膜形態から粒子 態に変え、溶液中に分散させて蛍光発光さ る点に特徴がある。

 具体的には、本発明のシリコン量子ドット 、高周波スパッタリング法により製造され シリコン量子ドットであって、下記製造工 を経て製造されたことを特徴とする。
工程(1):ターゲット材料としてシリコンとフ 酸以外の酸に溶解する材料を用い、高周波 パッタリング法により基板上に薄膜を作製 る。
工程(2):前記薄膜に熱処理を施し、薄膜内に リコン量子ドットを形成する。
工程(3):前記熱処理後薄膜に、フッ酸以外の による処理を施して、シリコン量子ドット 露出させる。
工程(4):前記シリコン量子ドットが露出した 板を溶媒中に浸漬させることで、シリコン 子ドットを基板より離散させて、シリコン 子ドットが分散した溶液を得る。

 なお、本発明のシリコン量子ドットは、 均粒径が2~10nmであり、かつ200~400nmの範囲内 波長の紫外~可視光により励起されたときに 、400~800nmの範囲内の波長の可視光の発光を示 す態様のシリコン量子ドットであることが好 ましい。

 本発明において、シリコン量子ドットの 均粒径は本来3次元で求める必要があるが、 微粒子過ぎるため難しく、現実には二次元画 像で評価せざるを得ないため、透過型電子顕 微鏡(TEM)を用いて電子顕微鏡写真の撮影シー を変えて数多く撮影し平均化することで求 ることが好ましい。従って、本発明におい 、当該平均粒径は、TEMを用いて電子顕微鏡 真を撮影し十分な数の粒子について断面積 計測し、その計測値を相当する円の面積と たときの直径を粒径として求めて、その算 平均を平均粒径とした。TEMで撮影するクラ ター粒子数としては100個以上が好ましく、1 000個の粒子を撮影するのが更に好ましい。本 願においては、1000個の粒子の算術平均を平 粒径とした。

 〈高周波スパッタリング法〉
 本発明に係る高周波スパッタリング法は、 リコン量子ドットの製造初期の段階で、発 色に直接寄与する粒子サイズを自在に制御 ることができるので、本発明では、様々な 光色を容易に実現することが可能である。

 高周波スパッタリング装置としては、側 下部にアルゴンガス導入口と排気口を備え 真空チャンバー、真空チャンバーの上面に 縁材料を介して取り付けられ、冷却管から 入、排出される冷却水で冷却される基板ホ ダー、及び、真空チャンバーの下面に絶縁 料を介して取り付けられ、冷却管から導入 排出される冷却水で冷却される陰極シール を備える高周波電極から構成されている態 の装置が好ましい。

 そして、上記装置において、アルゴンガ を真空チャンバー内にアルゴンガス導入口 ら導入し、高周波コントローラによりアル ンガスをイオン化し、イオン化されたアル ンイオンを、高周波電極上のターゲット材 であるシリコンチップとフッ酸以外の酸に 解する材料からなるチップへ衝突させ、タ ゲット材料から放出された原子や分子を基 ホルダーに保持した基板上に堆積させ、薄 を形成する。

 シリコン量子ドットの粒子サイズは、タ ゲット材料を構成するシリコンチップとフ 酸以外の酸に溶解する材料からなるチップ 面積比を変化させることで制御することが きる。この面積比は、通常、1~50%とするが 好ましくは5~30%。さらに好ましくは10~15%であ る。

 次に、上記薄膜を不活性ガス(アルゴン等 )の雰囲気中で熱処理して当該薄膜内に、所 粒子サイズのシリコン量子ドットを形成す 。

 上記熱処理の際、熱処理温度は900~1200℃ するが、好ましくは、1000~1100℃である。ま 、熱処理時間は15~100分であるが、好ましく 、30~80分、さらに好ましくは、50~70分である

 また、スパッタリング条件である高周波電 やガス圧(作製中の圧力であり、本製造プロ セスではアルゴンガスの圧力)を変化させて 、粒子サイズを制御することが可能である このとき、高周波電力は10~500Wの範囲内で変 させ、ガス圧は、1.3×10 -2 ~1.3×10Pa(1×10 -4 ~1×10 -1 torr)の範囲内で変化させる。

 次に、シリコン量子ドットが形成された 膜を載置する基板をアクリル板に貼り付け フッ酸以外の酸を含む水溶液を収容する容 に対し、上記薄膜を下にして装着する。

 このとき,フッ酸以外の酸水溶液の濃度は 1~50%とする。好ましくは10~40%であり、さらに ましくは、20~30%である。

 そして、上記フッ酸以外の酸を含む水溶 を収容する容器を、ヒーターを備え、純水 収容する恒温水槽内に設置し、酸水溶液処 を行う。

 上記処理の際、処理温度は10~70℃である 好ましくは、30~50℃であり、さらに好ましく は、40℃である。また、処理時間は0.5~25分で る。好ましくは、1~20分である、さらに好ま しくは、2~15分である。

 上記酸水溶液処理においては、容器内の 水溶液から蒸発した酸が薄膜の表面に付着 、薄膜中のフッ酸以外の酸に溶解する材料 分を表面から徐々にエッチングしていく。 の結果、基板上には、多数のシリコン量子 ットが凝集状態で露出する。

 次に、シリコン量子ドットが凝集露出し 基板を、エタノールを収容した容器に浸漬 る。容器内に磁気撹拌子をいれ、スターラ にて撹拌する又は容器ごと超音波洗浄器に 置して超音波照射を行う。この撹拌処理に り、基板上に凝集状態で露出していたシリ ン量子ドットは、基板から離散し、エタノ ル中に分散する。

 攪拌処理の処理時間は、通常、10~12000秒 するが、好ましくは、30~900秒であり、さら 好ましくは、60~600秒である。

 〈フッ酸以外の酸に溶解する材料〉
 フッ酸以外の酸に溶解する材料としては、 ルミナ、ジルコニア、チタニア及びマグネ アの中から選ばれる材料であることが好ま い。特に、アルミナが好ましい。

 〈フッ酸以外の酸〉
 フッ酸以外の酸としては、塩酸、硝酸等が ましい。特に毒性が低い塩酸が好ましい。

 当該の酸水溶液の濃度は、通常、1~50%と ることを要する。好ましくは10~40%であり、 らに好ましくは、20~30%である。

 〔シリコン量子ドット集合体の親水化処理
 上述したシリコン量子ドットは集合体とし 得られるが、当該集合体表面は、一般的に 、疎水性であるため、例えば生体物質標識 として使用する場合は、このままでは水分 性が悪く、粒子が凝集してしまう等の問題 あるため、当該シリコン量子ドットの表面 親水化処理することが好ましい。親水化処 の方法としては例えば、表面の親油性基を リジン等で除去した後に粒子表面に表面修 剤を化学的及び/又は物理的に結合させる方 法がある。表面修飾剤としては、親水基とし て、カルボキシル基・アミノ基を持つものが 好ましく用いられ、具体的にはメルカプトプ ロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、アミ ノプロパンチオールなどがあげられる。

 〔生体物質標識剤〕
 本発明に係る生体物質標識剤は、上述した リコン量子ドットと、分子標識物質と有機 子を介して結合させて得られる。

 〈分子標識物質〉
 本発明に係る生体物質標識剤は分子標識物 が目的とする生体物質と特異的に結合及び/ 又は反応することにより、生体物質の標識が 可能となる。

 当該分子標識物質としては例えば、ヌク オチド鎖、抗体、抗原及びシクロデキスト ン等が挙げられる。

 〈有機分子〉
 本発明に係る生体物質標識剤は、親水化処 されたシリコン量子ドットと、分子標識物 とが有機分子により結合されている。該有 分子としてはシリコン量子ドットと分子標 物質とを結合できる有機分子であれば特に 限はないが、例えば、タンパク質中でも、 ルブミン、ミオグロビン及びカゼイン等、 たタンパク質の一種であるアビジンをビオ ンと共に用いることも好適に用いられる。 記結合の態様としては特に限定されず、共 結合、イオン結合、水素結合、配位結合、 理吸着および化学吸着等が挙げられる。結 の安定性から共有結合などの結合力の強い 合が好ましい。

 具体的には、シリコン量子ドットをメル プトウンデカン酸で親水化処理した場合は 有機分子としてアビジン及びビオチンを用 ることができる。この場合親水化処理され 当該ナノ粒子のカルボキシル基はアビジン 好適に共有結合し、アビジンがさらにビオ ンと選択的に結合し、ビオチンがさらに分 標識物質と結合することにより生体物質標 剤となる。

 以下、実施例により本発明をより詳細に 明するが、本発明はこれに限定されるもの はない。

 (実施例1)
 (スパッタリングによる成膜)
 真空チャンバー内にアルゴンガスを導入し 高周波コントローラによりイオン化された ルゴンイオンをシリコンチップとフッ酸以 の酸に溶解する材料からなるターゲット材 に衝突させ、これから放出された原子およ 分子を半導体基板上に堆積し、シリコン原 と酸素原子が混ざった薄膜を形成した。ス ッタリング条件は、プラズマ出力100W、アル ゴン圧力1Paとし、このときの膜厚は3ミクロ であった。シリコンチップとフッ酸以外の に溶解するチップの比率をかえた試料を作 し、このときの、シリコンチップの面積%を 1に示す。

 (熱処理)
 得られた薄膜を、アルゴン雰囲気中におい 、1100℃まで急速に昇温し60分熱処理を行っ 。

 (酸処理)
 得られたシリコン量子ドット含有薄膜を40 の塩酸蒸気に10分さらすことで、表面処理を 行った。

 (粒径測定)
 得られたシリコン量子ドット含有薄膜のTEM を撮影し、各1,000個の粒子を実測して、分 液中のナノ粒子の平均粒径を求めた。測定 果を表1に示す。

 (発光スペクトル)
 得られたシリコン量子ドットエタノール分 液について、磁気撹拌子を備えたビーカー エタノールを入れたところに浸漬し、600秒 拌処理を行うことで、シリコン量子ドット エタノール分散溶液として得た。波長280nm 励起光を照射して発生する蛍光スペクトル 、日立分光光度計F7000を用いて、測定した。 発光スペクトルの半値幅、極大発光波長を表 1に示す。

 (親水化処理)
 得られたシリコン量子ドット1×10 -5 gをメルカプトウンデカン酸0.2gが溶解した純 10ml中に分散させて、40℃、10分間攪拌し、 ェルの表面を処理することでシリコン量子 ットの表面をカルボキシル基で修飾した。

 〈毒性評価法〉
 合成した親水化処理シリコン量子ドットのE .coli細胞に対する毒性について振盪フラスコ 験で試験した。使用したE.coli菌株は、BL21(DE 3)[pUC18]である。

 初めにLB培地で種培養を行った。LB培地の組 成(/l)は下記のとおり。10gNaCl、10gトリプトン 5g酵母抽出物。E.coli細胞を、500mlの振盪フラ スコに入れた100mlのLB培地中で、37℃、220rpmで 一晩培養した。その後、発酵培養用のMR培地 入れられた500ml振盪フラスコに種培養をピ ットで加えた。各フラスコには15g/lのグルコ ースと10%(v/v)の播種された種培養を含む100ml MR培地が入れられている。MR培地の組成(/l)は 次のとおり。13.5gKH 2 PO 4 、4.0g(NH 4 ) 2 HPO 4 、0.7gMgSO 4 ・7H 2 O、0.85gクエン酸、10.0mlの10g/l FeSO 4 ・7H 2 O、10.0mlの微量金属溶液(TE)、及び1.0mlの20g/l C aCl 2 ・2H 2 O。各フラスコには更に以下の濃度で異なる のシリコン量子ドットが加えられている。 なわち全部で4本のフラスコに対して0%(対照) 、0.5%、1%、2%である。4本のフラスコを用いて 37℃、220rpmで発酵培養を行った。分光光度計( Hewlett Packard8452A)で600nmの光学密度を測定し、 細胞増殖の指標とした。

 8時間後の光学密度を測定し、対照試料の それと同等にある場合、細胞増殖を阻害しな い、つまり毒性なし。減少している場合を毒 性ありと判定する。結果を表1に示す。

 表1から本発明のシリコン量子ドットは、 所望の蛍光発光を示すのはもちろん、細胞毒 性を示さないことがわかる。比較例において 、細胞毒性を示したのは残留するフッ酸の影 響によるものとわかる。

 また製造工程の観点からも、毒性の高い ッ酸を使用しないことは、環境への悪影響 よび生産設備への負荷も少なく量産にも優 ているといえる。

 このことから、本発明のシリコン量子ド トは、生体物質標識剤として好適に用いら ることが言える。

 〈実施例2〉
 親水化処理シリコン量子ドット1:1.0×10 -5 mol/lの水分散液にアビジン25mgを添加し40℃で1 0分間攪拌を行い、アビジンコンジュゲート ノ粒子を作製した。

 得られたアビジンコンジュゲートナノ粒 溶液にビオチン化された塩基配列が既知で るオリゴヌクレオチドを混合攪拌し、ナノ 子で標識(ラベリング)されたオリゴヌクレ チドを作製した。

 さまざまな塩基配列を持つオリゴヌクレ チドを固定化したDNAチップ上に上記の標識( ラベリング)したオリゴヌクレオチドを滴下 洗浄したところ、標識(ラベリング)されたオ リゴヌクレオチドと相補的な塩基配列をもつ オリゴヌクレオチドのスポットのみが粒子の 粒径に依存した発光を示すことを確認した。

 このことより、ナノ粒子でのオリゴヌク オチドの標識(ラベリング)を確認すること できた。すなわち、この結果により、本発 のシリコン量子ドットを用いた生体物質標 剤を提供することができることが分かる。