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Patent Searching and Data


Title:
SKIN-BEAUTIFYING AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093657
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a skin-beautifying agent which can be administered orally to produce cosmetic effects such as a skin-moisturizing effect, a skin-beautifying effect, a skin damage-preventing effect, and a wrinkle-preventing effect; a food or beverage for making the skin beautiful; and a feed. Specifically disclosed are: a skin-beautifying agent comprising a milk-derived phospholipid as an active ingredient; and a food or beverage for making the skin beautiful or a feed, which comprises the skin-beautifying agent. Preferably, the milk-derived phospholipid is a composition which is prepared from milk or a milk material, contains a lipid in an amount of 40 to 70 wt% relative to the total amount of all solid materials and also contains the milk-derived phospholipid in an amount of 30 wt% or more relative to the total amount of all solid materials.

Inventors:
KATO KEN (JP)
HARUTA YUKO (JP)
WATANABE TATSUYA (JP)
UENO HIROSHI (JP)
UEDA NORIKO (JP)
YOSHIOKA TOSHIMITSU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051257
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SNOW BRAND MILK PRODUCTS CO LTD (JP)
KATO KEN (JP)
HARUTA YUKO (JP)
WATANABE TATSUYA (JP)
UENO HIROSHI (JP)
UEDA NORIKO (JP)
YOSHIOKA TOSHIMITSU (JP)
International Classes:
A61K8/68; A61K8/98; A61K31/688; A61K35/20; A61K38/00; A61P17/00; A61P17/16; A61Q19/00
Domestic Patent References:
WO2003022288A12003-03-20
WO2007116981A12007-10-18
WO2008016108A12008-02-07
Foreign References:
JP2005281257A2005-10-13
JP2004099563A2004-04-02
JP2001128642A2001-05-15
JP2001275614A2001-10-09
JP2003252765A2003-09-10
JP2000350563A2000-12-19
JPH08310938A1996-11-26
JP2007112793A2007-05-10
JP2007246404A2007-09-27
JPS6422810A1989-01-25
JPH11113530A1999-04-27
JP2005281257A2005-10-13
Other References:
HUMPHREY R.: "Gyunyu Yurai Ceramide: Sphingomyelin no Kinosei", FOOD PROCESSING AND INGREDIENTS, vol. 40, no. 10, 2005, pages 84 - 85, XP008119090
KASUGA Y. ET AL.: "Gyunyu Yurai Sphingomyelin Ko-gan'yu Sozai no Hifu Hosui Koka ni Okeru Yuko Sesshuryo no Kento", THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL SCIENCES DAI 108 KAI TAIKAI KOEN YOSHISHU, vol. 108TH, 26 September 2007 (2007-09-26), pages 17 + ABSTR. NO. 127-15, XP008142216
UEDA N. ET AL.: "Gyunyu Yurai Sphingomyelin Ko-gan'yu Sozai no Keiko Sesshu ni Yoru Hifu Hosui Koka no Rinsho-teki Kensho", THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL SCIENCES DAI 108 KAI TAIKAI KOEN YOSHISHU, vol. 108TH, 26 September 2007 (2007-09-26), pages 17 + ABSTR. NO. 127-16, XP008142217
KASUGA Y. ET AL.: "Gyunyu Yurai sphingomyelin Ko-gan'yu Sozai Ga Hairless Mice no Hifu ni Ataeru Eikyo", DAI 61 KAI THE JAPANESE SOCIETY OF NUTRITION AND FOOD SCIENCE TAIKAI KOEN YOSHISHU, vol. 61ST, 20 April 2007 (2007-04-20), pages 255 + ABSTR. NO. 4L-8A, XP008142215
"Harper's Biochemistry", 1997, pages: 162
SCHMELZ ET AL., J. NUTR., vol. 124, 1994, pages 702 - 712
YOSHIKAZU UCHIDA ET AL., BIOCHEMISTRY, vol. 73, no. 4, 2001, pages 269 - 272
See also references of EP 2127540A4
Attorney, Agent or Firm:
MURAYAMA, Midori (20-2 Yebisu 4-chom, Shibuya-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 乳由来リン脂質を有効成分とする美肌剤。
 乳または乳素材から調製して得られる乳由来リン脂質含有組成物であって、全固形中40~70重量%の脂質を含有し、かつ、全固形中30重量%以上の乳由来リン脂質を含有する組成物を乳由来リン脂質として使用する請求項1記載の美肌剤。
 乳由来リン脂質含有組成物が、乳または乳素材を孔径0.1~2.0μmの精密濾過(MF)膜処理または分画分子量5~500kDaの限外濾過(UF)膜処理をすることにより得られるものである請求項2記載の美肌剤。
 乳由来リン脂質含有組成物が、乳または乳素材に酸を加えてpHを4.0~5.0に調整し、カゼインタンパク質を沈殿として除去した後、孔径0.1~2.0μmの精密濾過(MF)膜処理または分画分子量5~500kDaの限外濾過(UF)膜処理することにより得られるものである請求項2記載の美肌剤。
 乳または乳素材が、バターセーラムまたはバターミルクである請求項2~4のいずれかに記載の美肌剤。
 請求項1~5のいずれかに記載の美肌剤を配合した美肌用飲食品。
 請求項1~5のいずれかに記載の美肌剤を配合した美肌用飼料。
Description:
美肌剤

 本発明は、乳由来リン脂質を有効成分と 、経口摂取により、肌の保湿、美肌、肌荒 防止、しわ防止等の美容効果を有する美肌 、及びこの美肌剤を配合した美肌用飲食品 は飼料に関する。

 皮膚は、生体と外界との接点であり、水 の体外喪失を防ぎ、また外界からの微生物 アレルゲン等の生体障害物質の侵入を阻止 る皮膚バリア機能を有している。角質層に いてセラミドを中心とした角質細胞間脂質 皮脂等がこれらの機能を担っている。角質 が正常な機能を果たし健康な状態を維持す ためには、10~20%の水分を含むことが必要と れ、皮膚バリア機能によって角質層に水分 保持され、皮膚の柔軟性・弾力性を保って る。

 角質層の水分が減少すると柔軟性が失われ 硬くなり、ひび割れ等の発生の原因になる 皮紋が消失あるいは不鮮明な状態にある、 わゆる肌荒れした皮膚では、角質層の水分 は有意に低下する。肌荒れした皮膚は見栄 が悪いという美容だけの問題ではなく、皮 疾患を惹起する準備段階であり、病態的意 を有する。また、肌荒れ状態を改善するこ により、かさかさした皮膚表面がすべすべ た滑らかな状態になることで、微細なしわ 改善につながる。
皮膚バリア機能の低下した角質層では、皮膚 からの水分の消失が健康な状態に比べて激し いことが知られており、皮膚の水分蒸散量(Tr ans Epidermal Water Loss:TEWL)の増加が認められる 。このTEWLは、角質層のバリア機能や保湿機 と密接に関連しており、皮膚バリア機能の 標とされている。
したがって、皮膚の水分量を増加させたり、 TEWLを低下、または、TEWLの増加を抑制させる とで、皮膚を健康な状態、すなわち、美肌 態にすることができる。
また、動物、特に、ペットにおいては、アレ ルギー等の影響で皮膚状態が悪化することが 近年問題となっており、皮膚の保湿、保護を することで改善され、健康な皮膚状態とする ことができる。

一方、セラミドは、ヒトの皮膚構成成分の 1つで、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止 改善の効果を有する。セラミドを利用した 粧品としては、セラミド、グルコシルセラ ド、ガラクトシルセラミド等のセラミド類 ジイソプロピルアミンジクロロアセテート たは、γ-アミノ酪酸を配合した皮膚化粧料 知られている(特許文献1)。しかし、皮膚に 給したセラミドは、表皮脂質に阻まれて皮 内に到達吸収できなかったり、セラミド以 の化粧品等の成分により、かぶれ、炎症を き起こすという問題があった。また、スフ ンゴシン、脂肪酸および糖からなるセラミ 類を有効成分とする健康食品も知られてい (特許文献2)。このスフィンゴシン、脂肪酸 よび糖からなるセラミド類の原料としては こんにゃく芋や米、小麦、とうもろこし由 のものが上市されている。しかし、これら セラミド類の原料は、セラミド類の含有量 僅かであるため、経口摂取による効果を期 するには原料を多量に摂取する必要があり その価格も高価であるため、決して満足で るものではなかった。

牛乳中のリン脂質の約30%を占めるスフィンゴ ミエリンは、スフィンゴシンと脂肪酸からな るセラミド骨格にホスホコリンが結合した構 造を有しており、脳や神経組織に大量に存在 することが知られている(非特許文献1)。また 、卵黄等の食品中にも僅かに含まれることが 知られている。スフィンゴミエリンは、経口 摂取した場合、小腸から血管に取り込まれる ことが報告されている(非特許文献2)。皮膚顆 粒層のスフィンゴミエリンは、スフィンゴミ エリナーゼの作用により加水分解され角質層 のセラミドとして供給されることが知られて いる(非特許文献3)。またスフィンゴミエリン は、それを含有する原料の摂取量が、セラミ ド類の原料よりも少量で、より優れた皮膚の 保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防 止等の美容効果を示すという報告がある(特 文献3)。しかし、一般にスフィンゴミエリン の純度を高めるには、エタノール等の有機溶 剤を使用する必要があり、その安全性に問題 がある。また、その経口摂取によって得られ る美肌効果についても、必ずしも満足できる ものではなかった。したがって、より安全で 、より優れた美肌効果を示す素材の開発が望 まれている。

特開平1-22810号公報

特開平11-113530号公報

特開平2005-281257号公報 原書24版 ハーパー・生化学、162頁、1997 Schmelzら、J. Nutr.、124、702-712頁、1994年 内田良一ら、生化学、73巻、4号、269-272 、2001年

 本発明は、安全性が高く、経口摂取によ 優れた皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止 改善、しわ防止等の美容効果を示す美肌剤 提供することを課題とする。また、本発明 、経口摂取により優れた皮膚の保湿、保護 用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容 果を示す美肌剤を配合した美肌用飲食品又 飼料を提供することを課題とする。

 本発明者らは、これらの問題点を鑑み、 料の安全性が高く、より優れた皮膚の保湿 保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等 美容効果を示す成分について、鋭意探索を めたところ、乳由来リン脂質を経口摂取す ことにより、皮膚の保湿、保護作用や肌荒 防止・改善、しわ防止等の美容効果が得ら ることを見出し、乳由来リン脂質を有効成 とすることで本発明を完成するに至った。

 本発明により、乳由来リン脂質を有効成 とする美肌剤や、この美肌剤を配合した美 用飲食品又は飼料を提供することができる 本発明の美肌剤は、有効成分が食品由来で の調製に有機溶剤を使用していないため安 であり、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防 ・改善、しわ防止等の優れた美容効果を得 ことができる。

 本発明の特徴は、乳由来リン脂質を有効成 とすることにある。本発明に用いることが きる乳由来リン脂質としては、ウシやヤギ ヒツジ、ヒト等の哺乳類の乳から調製した のが挙げられる。また、これらの哺乳類の から調製したバターセーラム、バターミル などの乳素材から調製したものも挙げられ 。実際、牛乳由来の乳由来リン脂質原料と ては、乳由来リン脂質の含量が30%以上と高 度で安価なものが上市されているので、こ ような原料を用いるとよい。
 本発明の美肌剤は、上記した乳由来リン脂 をそのまま美肌剤として用いることも可能 あるが、乳由来リン脂質の他に糖類や脂質 タンパク質、ビタミン類、ミネラル類、フ ーバー等、他の医薬品、飲食品や飼料に通 使用する原材料等を混合して栄養組成物と ることや、さらに常法に従い粉末剤、顆粒 、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などに製 化した形態とすることも可能である。また 乳由来リン脂質に加えて、他の美容効果を す成分、例えば皮膚のコラーゲン産生を促 するコラーゲン、ビタミンCや鉄等とともに 使用することも可能である。
 本発明の美肌剤の有効量としては、後述す ヘアレスマウスを用いた動物試験により、 ウス体重1kgあたり、乳由来リン脂質を6mg以 、好ましくは15mg以上経口摂取させることに より、皮膚の水分量が増加し、またTEWLが低 することが分かった。したがって、通常、 人一人一日あたり、乳由来リン脂質を6mg以 、好ましくは15mg以上摂取することにより皮 の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、し 防止等の美容効果が期待できるので、この 要量を確保できるようにすればよい。

 また、本発明の美肌用飲食品は、通常の飲 品、例えばヨーグルト、乳飲料、ウエハー 、デザート等に本発明の美肌剤を配合すれ よい。これらの美肌用飲食品については、 人一人一日あたり、乳由来リン脂質を6mg以 摂取させるためには、飲食品の形態にもよ が飲食品100gあたり乳由来リン脂質が0.5~2000m gとなるよう美肌剤を配合することが好まし 。
また、本発明の美肌用飼料は、通常の飼料、 例えば家畜用飼料やペットフード等に本発明 の美肌剤を配合すればよい。これらの飼料に ついては、一日あたり、乳由来リン脂質を6mg 以上摂取させるためには、飼料100gあたり乳 来リン脂質が0.5~2000mgとなるよう美肌剤を配 することが好ましい。

 本発明では、美肌剤を配合する方法に特に 限はないが、例えば、溶液中で添加、配合 るには、美肌剤を脱イオン水に懸濁あるい 溶解し、撹拌混合した後、医薬品、飲食品 飼料の形態に調製して使用する。撹拌混合 条件としては、配合する美肌剤が均一に混 されればよく、ウルトラディスパーサーやT Kホモミクサー等を使用して撹拌混合するこ も可能である。また、この乳由来リン脂質 溶液は、医薬品、飲食品や飼料に使用しや いように、必要に応じて、逆浸透(RO)膜等で 縮したり、凍結乾燥等により乾燥して使用 ることもできる。
 本発明では、医薬品、飲食品や飼料の製造 通常使用される殺菌処理が可能であり、粉 状であっては乾熱殺菌も可能である。従っ 、本発明の乳由来リン脂質を含有する液状 ゲル状、粉末状、顆粒状等様々な形態の医 品、飲食品や飼料を製造することができる

以下に、実施例及び試験例を示し、本発明 についてより詳細に説明するが、これらは単 に例示するのみであり、本発明はこれらによ って何ら限定されるものではない。

(実施例1)
バターセーラム粉(SM2、Corman社製)の25%溶液を 製し、5N塩酸を添加してpHを4.5に調整した。 この溶液を50℃で1時間静置し、カゼインタン パク質を沈殿させた。フィルタープレスを用 いてこの沈殿を除去し、得られた水溶液を孔 径1.0μmのMF膜(SCT社製)で処理して濃縮液画分 得た。この濃縮液画分を凍結乾燥処理し、 由来リン脂質含有組成物を得た。この乳由 リン脂質含有組成物は、全固形当たり脂質 53%、リン脂質を31%、タンパク質を24%、糖質 15%、灰分を8%含有していた。また、リン脂質 の20%がスフィンゴミエリンであった。

(実施例2)
 バターミルク粉(雪印乳業社製)の20%溶液を 製し、2N塩酸を添加してpHを4.5に調整した。 の溶液を45℃で30分間静置してカゼインタン パク質を沈殿させた。クラリファイヤーを用 いてこの沈殿を除去した後、得られた上清を 孔径0.1μmのMF膜(SCT社製)で処理し、濃縮液画 を得た。この濃縮液画分を凍結乾燥処理し 乳由来リン脂質含有組成物を得た。この乳 来リン脂質含有組成物は、固形当たり脂質 62%、リン脂質を38%、タンパク質を15%、糖質 18%、灰分を5%含有していた。また、リン脂質 の20%がスフィンゴミエリンであった。

[試験例1]
 (動物実験)
 実施例1、2で得た乳由来リン脂質含有組成 を使用して、乳由来リン脂質の美肌効果に いて評価した。実験には13週齢のヘアレスマ ウス(Hos:HR-1)を使用した。生理食塩水をマウ 体重1kgあたり10g投与する群(A群)、実施例1の 由来リン脂質組成物を乳由来リン脂質とし マウス体重1kgあたり6mg投与する群(B群)、実 例1の乳由来リン脂質組成物を乳由来リン脂 質としてマウス体重1kgあたり15mg投与する群(C 群)、実施例1の乳由来リン脂質組成物を乳由 リン脂質としてマウス体重1kgあたり30mg投与 する群(D群)、実施例2の乳由来リン脂質組成 を乳由来リン脂質としてマウス体重1kgあた 6mg投与する群(E群)、実施例2の乳由来リン脂 組成物を乳由来リン脂質としてマウス体重1 kgあたり15mg投与する群(F群)、実施例2の乳由 リン脂質組成物を乳由来リン脂質としてマ ス体重1kgあたり30mg投与する群(G群)、実施例1 の乳由来リン脂質組成物からスフィンゴミエ リンを除いた画分をリン脂質としてマウス体 重1kgあたり6mg投与する群(H群)、実施例1の乳 来リン脂質組成物からスフィンゴミエリン 除いた画分をリン脂質としてマウス体重1kg たり15mg投与する群(I群)、実施例1の乳由来リ ン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除い た画分をリン脂質としてマウス体重1kgあたり 30mg投与する群(J群)、ポジティブコントロー としてスフィンゴミエリンをマウス体重1kg たり3mg投与する群(K群)の11試験群(各群8匹ず )にわけた。それぞれを毎日1回ゾンデで経 投与して3週間飼育した。実施例1、2で得た 由来リン脂質含有組成物や実施例1の乳由来 ン脂質組成物からスフィンゴミエリンを除 た画分、スフィンゴミエリンは、それぞれ1 0gの生理食塩水に懸濁して、それぞれB~K群に 口投与した。試験開始時と試験終了時に、 ウス尾尻部分の皮膚の水分量および水分蒸 量を測定し、試験開始時のそれぞれの値を1 00としたときの試験終了時の値(増加率)を算 した。皮膚の水分量および水分蒸散量は、 れぞれCourage+Khazaka社製のCorneometerおよびTewame terを用いて測定した。その結果を表1に示す

 この結果、3週間投与後の皮膚水分量は、A では減少したが、B群およびE群では約1.25倍 、C群、F群およびD群、G群では約1.5倍にまで 加した。一方、ポジティブコントロールと てスフィンゴミエリンを単独で投与したK群 の3週間投与後の皮膚水分量は、A群の1.25倍で あった。3週間投与後の皮膚水分蒸散量は、A ではほとんど変化しなかったが、B群および E群では約0.85倍、C群、F群およびD群、G群では 約0.8倍まで低下した。一方、ポジティブコン トロールとしてスフィンゴミエリンを単独で 投与したK群の3週間投与後の皮膚水分量は、A 群の約0.85倍であった。このことから、乳由 リン脂質を経口投与することにより、皮膚 水分量が増加し、皮膚からの水分蒸散量が 少することが明らかになった。また、当該 果は、スフィンゴミエリンを単独で投与し 場合に比べ高かった。さらに、乳由来リン 質を、マウス体重1kgあたり、6mg以上投与す ことにより、当該効果が認められ、15mg以上 与するとその効果が顕著に認められた。
一方、スフィンゴミエリンを除いた乳由来リ ン脂質を含む乳由来リン脂質含有組成物を投 与したH群及びI群、J群においても、皮膚の水 分量及び水分蒸散量において改善が認められ たが、その効果はスフィンゴミエリンを単独 で投与したK群よりも低かった。また、C群及 F群と、I群、K群との比較から、スフィンゴ エリンとスフィンゴミエリン以外のリン脂 をそれぞれ単独で用いるよりも、これらを 有する乳由来リン脂質として用いることに り、より優れた効果を得られることが明ら となった。

(実施例3)
 実施例1で得られた乳由来リン脂質含有組成 物50gを4950gの脱イオン水に溶解し、50℃まで 熱後、TKホモミクサー(TK ROBO MICS;特殊機化 業社製)にて、6000rpmで30分間撹拌混合して乳 来リン脂質310mg/100gの乳由来リン脂質溶液を 得た。この乳由来リン脂質含有組成物溶液4.0 kgに、カゼイン5.0kg、大豆タンパク質5.0kg、魚 油1.0kg、シソ油3.0kg、デキストリン18.0kg、ミ ラル混合物6.0kg、ビタミン混合物1.95kg、乳化 剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kgを配合し、200ml のレトルトパウチに充填し、レトルト殺菌機 (第1種圧力容器、TYPE:RCS-4CRTGN、日阪製作所社 )で121℃、20分間殺菌して、本発明の美肌剤 配合した美肌用液状栄養組成物50kgを製造し た。なお、この美肌用液状栄養組成物には、 100gあたり、美肌剤の有効成分である乳由来 ン脂質が24.8mg含まれていた。

(実施例4)
 実施例1で得られた乳由来リン脂質含有組成 物10gを700gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加 熱後、ウルトラディスパーサー(ULTRA-TURRAX T-2 5;IKAジャパン社製)にて、9500rpmで30分間撹拌混 合した。この溶液に、ソルビトール40g、酸味 料2g、香料2g、ペクチン5g、乳清タンパク質濃 縮物5g、乳酸カルシウム1g、脱イオン水235gを 加して、撹拌混合した後、200mlのチアパッ に充填し、85℃、20分間殺菌後、密栓し、本 明の美肌剤を配合した美肌用ゲル状食品5袋 (200g入り)を調製した。このようにして得られ た美肌用ゲル状食品は、すべて沈殿等は認め られず、風味に異常は感じられなかった。な お、この美肌用ゲル状食品には、100gあたり 美肌剤の有効成分である乳由来リン脂質が31 0mg含まれていた。

(実施例5)
 酸味料2gを700gの脱イオン水に溶解した後、 施例2で得られた乳由来リン脂質含有組成物 10gを溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディ パーサー(ULTRA-TURRAX T-25;IKAジャパン社製)に 、9500rpmで30分間撹拌混合した。マルチトー 100g、還元水飴20g、香料2g、脱イオン水166gを 添加した後、100mlのガラス瓶に充填し、90℃ 15分間殺菌後、密栓し、本発明の美肌剤を配 合した美肌用飲料10本(100ml入り)を調製した。 このようにして得られた美肌用飲料は、すべ て沈殿は認められず、風味に異常は感じられ なかった。なお、この美肌用飲料には、100g たり、美肌剤の有効成分である乳由来リン 質が380mg含まれていた。

(実施例6)
 実施例2で得られた乳由来リン脂質含有組成 物2kgを98kgの脱イオン水に溶解し、50℃まで加 熱後、TKホモミクサー(MARKII 160型;特殊機化工 業社製)にて、3600rpmで40分間撹拌混合して乳 来リン脂質760mg/100gの乳由来リン脂質溶液を た。この乳由来リン脂質溶液10kgに大豆粕12k g、脱脂粉乳14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パ ム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg 、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース 2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分 間殺菌して、本発明の美肌剤を配合した美肌 用イヌ飼育飼料100kgを製造した。なお、この 肌用イヌ飼育飼料には、100gあたり、美肌剤 の有効成分である乳由来リン脂質が76mg含ま ていた。

(実施例7)
 表2に示す配合で原料を混合後、常法1gに成 、打錠して本発明の美肌剤を製造した。な 、この美肌剤1g中には、有効成分である乳 来リン脂質が31mg含まれていた。

 本発明の乳由来リン脂質を有効成分とす 美肌剤、それを配合する飲食品及び飼料は 肌の保湿、美肌、肌荒れ防止、しわ防止等 用いることができ、非常に有用である。