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Title:
SLIDING MEMBER, MECHANICAL SEAL RING, MECHANICAL SEAL, AND FAUCET VALVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069787
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a sliding member, which is provided in a sliding face with a plurality of open pores having one or more openings of a circularity of 0.24 or more and a circle-equivalent diameter of 10 μ to 150 μ and in which the ratio of the number of the open pores having the overlapping degree of 10 % or more between the openings to the number of the entire open pores is 3 % or less. Another sliding member is provided in a sliding face with a plurality of open pores having one or more openings of a circularity of 0.24 or more and a circle-equivalent diameter of 10 μ to 78 μ, and the fluctuation coefficient of the openings satisfies 1.03 ≤ √V/X ≤ 1.51 (wherein √V: standard deviation of the circle-equivalent diameter, and X: average of the circle-equivalent diameter). Further disclosed are a mechanical seal ring, a mechanical seal, and a faucet value using any one of the sliding members.

Inventors:
YASHIMA MIEKO (JP)
ISHIMINE YUUSAKU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071731
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
YASHIMA MIEKO (JP)
ISHIMINE YUUSAKU (JP)
International Classes:
F16J15/34; C04B38/06; F16K3/02
Foreign References:
JP3481774B22003-12-22
JP2002147617A2002-05-22
JPH07242974A1995-09-19
JP2007119338A2007-05-17
JPH0733550A1995-02-03
JP2002274953A2002-09-25
JP2002147617A2002-05-22
Other References:
See also references of EP 2216571A4
Attorney, Agent or Firm:
FUKAI, Toshikazu (7-31 Otemae 1-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 91, JP)
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Claims:
 摺動面に、円形度が0.24以上であり、かつ、円相当径が10μm以上150μm以下である開口部を1以上有する開気孔を複数備え、前記開口部同士の重なり度が10%以上である開気孔の個数比率が3%以下であることを特徴とする摺動部材。
 前記開口部の円相当径の平均値が20μm以上40μm以下である請求項1に記載の摺動部材。
 前記開口部の変動係数が下記式を満足する請求項1に記載の摺動部材。
 1.03 ≦ √V/X ≦ 1.51
(ただし、√V:円相当径の標準偏差、X:円相当径の平均値)
 前記摺動面が酸化アルミニウムまたは炭化珪素からなる請求項1に記載の摺動部材。
 摺動面に、円形度が0.24以上であり、かつ、円相当径が10μm以上78μm以下である開口部を1以上有する開気孔を複数備え、前記開口部の変動係数が下記式を満足することを特徴とする摺動部材。
 1.03 ≦ √V/X ≦ 1.51
(ただし、√V:円相当径の標準偏差、X:円相当径の平均値)
 互いの摺動面を当接させる固定リングと回転リングとを備え、前記固定リングおよび前記回転リングの少なくとも一方を、請求項1に記載の摺動部材で構成したことを特徴とするメカニカルシールリング。
 互いの摺動面を当接させる固定リングと回転リングとを備え、前記固定リングおよび前記回転リングの少なくとも一方を、請求項5に記載の摺動部材で構成したことを特徴とするメカニカルシールリング。
 請求項6に記載のメカニカルシールリングと、該メカニカルシールリングの内周側に挿入されて駆動力を伝達する回転軸とを備えたことを特徴とするメカニカルシール。
 請求項7に記載のメカニカルシールリングと、該メカニカルシールリングの内周側に挿入されて駆動力を伝達する回転軸とを備えたことを特徴とするメカニカルシール。
 互いの摺動面を当接させる固定弁体と回転弁体とを備え、前記固定弁体および前記回転弁体の少なくとも一方を、請求項1に記載の摺動部材で構成したことを特徴とするフォーセットバルブ。
 互いの摺動面を当接させる固定弁体と回転弁体とを備え、前記固定弁体および前記回転弁体の少なくとも一方を、請求項5に記載の摺動部材で構成したことを特徴とするフォーセットバルブ。
Description:
摺動部材、メカニカルシールリ グ、メカニカルシールおよびフォーセット ルブ

 本発明は、摺動部材に関する。また本発 は、生け簀用ポンプおよび自動車冷却水ポ プ等のメカニカルシールに用いられるメカ カルシールリング、このメカニカルシール ングを備えたメカニカルシールに関する。 らに本発明は、水栓バルブ、湯栓バルブお び湯水混合栓バルブ等のフォーセットバル に関する。

 セラミック焼結体を用いた摺動部材は、 の耐摩耗性を利用して、例えば流体機器の カニカルシールに用いられるメカニカルシ ルリングに応用されている。メカニカルシ ルは、流体の完全密封を目的とするもので り、各種機械の回転部に用いられる軸封装 の一つである。メカニカルシールリングは 各種機械の回転部に摺接して、摺動面の摩 に従い軸方向に可動の回転リングと、不動 固定リングとからなり、相対的に回転する にほぼ垂直な端面において、流体の漏れを 限する働きをする。

 メカニカルシールリングを構成する材料 しては、カーボン材、超硬合金、炭化珪素 焼結体またはアルミナ質焼結体が主として いられる。近年では、高硬度で高耐食性を し、摺動時の摩擦係数が小さく平滑性も優 たアルミナ質焼結体または炭化珪素質焼結 が多用されている。

 特開平7-33550号公報には、所定の気孔を有 する炭化珪素質焼結体を含むメカニカルシー ル部材が記載されている。また、この文献に は、前記気孔は、気孔率が2~12容量%であり、 状が球形状であり、焼結体中に均一分布し おり、平均直径(平均気孔径)が50~500μmであ と記載されている。

 特開2002-274953号公報には、微細な気孔を する多孔質炭化珪素組織が、独立して、緻 質炭化珪素組織中に分散配置されている炭 珪素焼結材で構成された摺動体、およびこ 摺動体からなるメカニカルシールが記載さ ている。図11は、この摺動体に存在する気孔 を示す顕微鏡写真である。図11中、黒色に見 る部分が気孔である。この顕微鏡写真に写 れている気孔が開口している部分(以下、開 口部という。)の円相当径の平均値と、その 準偏差とから得られる変動係数は0.79程度で る。

 特開2002-147617号公報には、相対して回転 接する2つの密封環の一方または両方が、平 気孔径10~40μmの独立気孔が均一に配置され かつ気孔率が3~10%である炭化珪素焼結材で構 成されたメカニカルシールが記載されている 。図12は、このメカニカルシールを構成する 封環に存在する気孔を示す顕微鏡写真であ 。図12中、黒色に見える部分が気孔である この顕微鏡写真に写されている気孔の開口 の円相当径の平均値と、その標準偏差とか 得られる変動係数は0.85程度である。

 これら摺動部材は、いずれも摺動時の摩 係数が小さく平滑性も優れているため、メ ニカルシールリングをはじめ、これ以外の 動部材においても比較的短期間であれば好 に用いることができる。

 しかしながら、特開平7-33550号公報に記載 されたメカニカルシール部材は、メカニカル シールの性能を表す指標である、摺動面圧(P) と摺動面の周速(V)との積(PV値)を低くし、か 平均気孔径が50~500μmと大きい。このように 均気孔径が大きい気孔が単独で摺動面上に 在する場合はいうまでもなく、気孔同士が いに連通した状態で摺動面上に存在すると 長期間、シール性を維持できないと考えら る。

 特開2002-274953号公報に記載された摺動体 、焼結助剤を含まない多孔質焼結体用炭化 素粉末を造粒してなる予備顆粒を、焼結助 を含む緻密質焼結体用炭化珪素粉末に単に 合して造粒している。そのため、図11からも 明らかなように、部分的に気孔が凝集するの で、長期間、シール性を維持できないと考え られる。

 特開2002-147617号公報に記載されたメカニ ルシールは、原料粉末に気孔を形成するた のポリスチレン等の気孔形成剤を添加する 、気孔形成剤は凝集しやすい。そのため、 12からも明らかなように、複数の気孔が連通 した最大径の大きな長細い形状をした連通気 孔の比率が高くなる。その結果、長期間使用 し続けると、摺動時に連通気孔を形成する輪 郭の周辺部に応力が集中して、脱粒しやすく なるため、シール性が低下すると思われる。

 本発明の目的は、長期間使用を続けても 好なシール性を維持することができる摺動 材、メカニカルシールリング、メカニカル ールおよびフォーセットバルブを提供する とである。

 本発明の第1形態に係る摺動部材は、摺動面 に、円形度が0.24以上であり、かつ、円相当 が10μm以上150μm以下である開口部を1以上有 る開気孔を複数備え、前記開口部同士の重 り度が10%以上である開気孔の個数比率が3%以 下である。
 本発明の第2形態に係る摺動部材は、摺動面 に、円形度が0.24以上であり、かつ、円相当 が10μm以上78μm以下である開口部を1以上有す る開気孔を複数備え、前記開口部の変動係数 が下記式を満足する。
 1.03 ≦ √V/X ≦ 1.51
(ただし、√V:円相当径の標準偏差、X:円相当 の平均値)

 本発明の第3形態に係るメカニカルシールリ ングは、互いの摺動面を当接させる固定リン グと回転リングとを備え、前記固定リングお よび前記回転リングの少なくとも一方を、第 1形態に係る摺動部材で構成する。
 本発明の第4形態に係るメカニカルシールリ ングは、互いの摺動面を当接させる固定リン グと回転リングとを備え、前記固定リングお よび前記回転リングの少なくとも一方を、第 2形態に係る摺動部材で構成する。

 本発明の第5形態に係るメカニカルシールは 、第3形態に係るメカニカルシールリングと 該メカニカルシールリングの内周側に挿入 れて駆動力を伝達する回転軸とを備えてい 。
 本発明の第6形態に係るメカニカルシールは 、第4形態に係るメカニカルシールリングと 該メカニカルシールリングの内周側に挿入 れて駆動力を伝達する回転軸とを備えてい 。

 本発明の第7形態に係るフォーセットバルブ は、互いの摺動面を当接させる固定弁体と回 転弁体とを備え、前記固定弁体および前記回 転弁体の少なくとも一方を、第1形態に係る 動部材で構成する。
 本発明の第8形態に係るフォーセットバルブ は、互いの摺動面を当接させる固定弁体と回 転弁体とを備え、前記固定弁体および前記回 転弁体の少なくとも一方を、第2形態に係る 動部材で構成する。

 前記第1,2形態に係る摺動部材、第3,4形態 係るメカニカルシールリング、第5,6形態に るメカニカルシール、および第7,8形態に係 フォーセットバルブによれば、長期間使用 続けても良好なシール性を維持することが きる。

本発明の一形態に係る摺動部材に存在 る開口部と、この開口部と面積が等しい円 の関係について模式的に説明する平面図で る。 本発明の一形態に係る摺動部材に存在 、隣接する開口部同士が重なっている開気 を模式的に説明する平面図である。 本発明の一形態に係る摺動部材に存在 る開口部と面積が等しい円同士が重なって る様子を示す説明図である。 本発明の一形態に係る摺動部材に用い れる炭化珪素質焼結体の結晶構造を模式的 示す断面図である。 本発明の一形態に係る摺動部材に用い れる炭化珪素質焼結体に存在する開気孔を す顕微鏡写真である。 本発明の一形態に係る摺動部材に用い れる炭化珪素質焼結体に存在する開気孔を す顕微鏡写真である。 本発明の一形態に係る摺動部材をメカ カルシールリングに適用したメカニカルシ ルの一例を示す部分断面図である。 本発明の一形態に係るメカニカルシー リングの一例を示す斜視図である。 本発明の一形態に係る摺動部材をフォ セットバルブに適用した一例を示すととも 、流体通路を開いた状態を示す斜視図であ 。 本発明の一形態に係る摺動部材をフォ ーセットバルブに適用した一例を示すととも に、流体通路を閉じた状態を示す斜視図であ る。 従来の多孔質炭化珪素質焼結体に存在 する気孔を示す顕微鏡写真である。 従来の他の多孔質炭化珪素質焼結体に 存在する気孔を示す顕微鏡写真である。

符号の説明

 1a:開口部
 1b:残留気孔
 1c:焼失性気孔
 2:主相
 3:副相
 4:炭化珪素質焼結体
 5:メカニカルシールリング
 5a:固定リング
 5b:回転リング
 6:回転軸
 7:ケーシング
 8:パッキング
 9:コイルスプリング
 10:カラー
 11:セットスクリュー
 12:緩衝ゴム
 13:Oリング
 14:密封流体
 15a,15b:摺動面
 16:フォーセットバルブ
 17:固定弁体
 18:可動弁体
 17a,18a:摺動面
 17b,18b:流体通路

<摺動部材>
 以下、本発明に係る摺動部材の一形態につ て、図1~図6を参照して詳細に説明する。本 態の摺動部材は、摺動面を有している。そ 摺動面には、複数の開気孔を有している。 れら開気孔には、摺動特性を向上させる潤 剤が予め充填され、摺動中には摺動面に潤 剤を供給するように構成されている。本形 でいう摺動面とは、摺動部材同士が当接し 擦り合う面を意味する。したがって、初期 態はもちろんのこと、摺動中、摩耗して新 に出現した面も含めて摺動面という。

 本形態の摺動部材に係る前記開気孔は、 1に示すように、円形度が0.24以上、かつ円 当径が10μm以上150μm以下である開口部1aを1以 上有している。また、図2に示すように、複 の前記開気孔のうち、開口部1a同士の重なり 度が10%以上である開気孔の個数比率が、3%以 である。

 開口部1aの円形度とは、開口部1aの円らし さを示す指標であり、下記式(1)に示すように 定義される。この開口部1aの円形度の範囲は0 以上1以下であり、その値が大きいほど開口 1aは真円に近くなる。

 また、開口部1aの円相当径とは、後述す 画像解析によって、開口部1aを、該開口部1a 面積と等しい円Cに置き換えた場合における 、円Cの直径Dを意味しており、下記式(2)に示 ように定義される。

 円形度が0.24以上、かつ円相当径が10μm以 150μm以下である開口部とは、真円に近く、 端に大きすぎない開口部であることを意味 る。即ち、本形態の摺動部材は、真円に近 、比較的小さい開口部1aを摺動面に備えた のである。開口部1aの円形度を0.24以上とす ことで、開口部1aの周囲から摺動中に発生し ていた脱粒によるシール性の劣化を抑制した り、当接する摺動部材の損傷を低減したりす ることができる。併せて、開口部1aの円相当 を150μm以下とすることで、開口部1aが大き ことに起因して発生していたシール性の劣 を抑制することができる。

 また、開口部1a同士の重なり度とは、隣接 る開口部1a 1 ,1a 2 同士の重なっている程度を示す指標であり、 これら開口部1a 1 ,1a 2 を画像解析により、それぞれ図3に示す面積 等しい円C 1 ,C 2 に置き換えて、下記式(3)に示すように定義さ れる。この重なり度の範囲は、0%以上90%以下 あり、その値が小さいほど、重なっている 分の面積は小さくなり、開口部全体の面積 大きくなる。

 重なり度が10%以上の開気孔とは、重なり が10%以上であって、開口部1aを複数有する 気孔を意味する。該開気孔が有する開口部1a の個数としては、通常、2~4個程度である。ま た、重なり度を10%以上とすることで、開口部 全体の面積が制限される。そして、複数の開 気孔のうち、重なり度が10%以上の開気孔の個 数比率を、3%以下とすることで、面積の小さ 開口部1aを有する開気孔が、摺動面におい 見かけ上単独で存在する比率が高くなる。 のため、長期間使用を続けてもシール性と 滑液の保持性能とを維持することができる 重なり度が10%以上の開気孔の個数比率は、1% 以上2.4%以下にすることがより好ましい。こ により、摺動面におけるシール性をさらに いものにすることができる。

 上述した開口部の円形度(a)、開口部の円 当径(φ)、開口部同士の重なり度(b)および開 気孔の個数比率を求めるには、まず、研磨砥 粒を用いて研磨して得られる摺動面を工業顕 微鏡を用いて観察する。研磨砥粒としては、 例えば平均粒径1~3μmのダイヤモンド砥粒を用 いればよい。

 工業顕微鏡を用いて、倍率を50倍とし、 動面から1箇所当たりの測定面積を2471μm×1853 μmに設定した範囲を4箇所撮影して得られた 像を、画像解析ソフトを用いて解析する。 の画像解析ソフトとしては、例えば、「A像 ん」(登録商標、旭化成エンジニアリング( )製)を用い、円形粒子解析という手法を適用 する。

 摺動面に、円形度が0.24以上、かつ円相当 径が10μm以上150μm以下である開口部1aを1以上 する開気孔の個数は、摺動面から1箇所当た りの測定面積を2471μm×1853μmに設定した範囲 指定して、4箇所の前記範囲を撮影して得ら る画像を、画像解析ソフトで解析すること より求めることができる。

 また、本形態の摺動部材は、開口部1aの 相当径の平均値によって、潤滑液の保持性 およびシール性が影響を受ける。開口部1aの 円相当径の平均値が大きいと、開気孔が大き くなるので、潤滑液の保持性能は高くなるが 、シール性が低くなる。一方、開口部1aの円 当径の平均値が小さいと、開気孔が小さく るので、シール性は高くなるが、潤滑液の 持性能が低くなる。

 このような観点から、本形態の摺動部材 、開口部1aの円相当径の平均値が20μm以上40 m以下であることが好ましい。これにより、 用する潤滑液の保持性能を高くすることが きるとともに、高いシール性を維持するこ ができる。さらに、開口部1aの円相当径の 均値を20μm以上30μm以下とすることがより好 しい。

 円相当径の平均値についても、上記と同 に工業顕微鏡を用いて、倍率を50倍とし、 動面から1箇所当たりの測定面積を2471μm×1853 μmに設定した範囲を指定して、4箇所の前記 囲を撮影して得られる画像を、画像解析ソ トで解析することにより求めることができ 。

 前記開気孔の比率としては、1%以上2.4%以 とすることが好ましい。前記比率は、後述 る気孔形成剤の比率等で調整することがで る。前記比率は、上記と同様な方法で工業 微鏡と画像解析ソフトとを用いて解析する とにより求めることができる。なお、画像 析ソフトを用いて解析する場合、円相当径 10μm未満の開気孔を予め解析の対象から省 ような設定をしておけばよい。

 一方、前記摺動面は、例えば炭化珪素、 化珪素、サイアロン、炭窒化珪素、炭化チ ン、酸化アルミニウムまたは酸化ジルコニ ム等のセラミックスからなる。特に、摺動 が酸化アルミニウムまたは炭化珪素からな ことが好適である。酸化アルミニウムおよ 炭化珪素は、高硬度で高耐食性を有し、摺 時の摩擦係数が小さく平滑性も優れている したがって、摺動面が酸化アルミニウムま は炭化珪素からなると、摺動特性を高くす ことができる。

 また、摺動面は、セラミック焼結体の表 に酸化アルミニウムまたは炭化珪素を主成 とする膜が形成されていてもよい。ここで 成分とは膜を構成する全成分中50質量%以上 いうものとする。

 特に、本形態の摺動部材は、少なくとも 動面が図4に示す炭化珪素質焼結体4からな ことが好適である。該炭化珪素質焼結体4は 炭化珪素を主成分とする主相2と、この主相 2とは異なる組成で、少なくとも硼素、珪素 よび炭素を含有してなる副相3とを有してい 。前記摺動面には、円形度が0.24以上であり 、かつ円相当径が10μm以上150μm以下である開 部を1以上有する開気孔1を複数備えている

 開気孔1は、焼結の過程で消滅することな く、粒界に沿って残留した気孔、即ち残留気 孔1bと、気孔形成剤が加熱により焼失または 分解することによって生じた気孔、即ち焼 性気孔1cとを有している。これら2種類の開 孔1b,1cは、開口部の円相当径で区別するこ ができる。即ち、残留気孔1bは円相当径が10 m未満の開気孔であり、焼失性気孔1cは円相 径が10μm以上の開気孔である。

 残留気孔1bは円相当径が10μm未満と小さい ため、摺動特性やシール性にほとんど影響す ることはない。一方、焼失性気孔1cは円相当 が10μm以上と大きいため、摺動面上に存在 る焼失性気孔の形状や分布は、摺動部材の 動特性やシール性に与える影響が大きい。 形態では、複数の開気孔1のうち、開口部同 の重なり度が10%以上である開気孔の個数比 が、3%以下である。したがって、焼失性気 1cの形状や分布が、摺動部材の摺動特性やシ ール性に与える影響を抑制することができる 。

 残留気孔1b、単独で存在する焼失性気孔1c 1 、および隣接する開口部同士が重なっている 焼失性気孔1c 2 は、図5および図6に示すように、顕微鏡写真 観察することができる。

 ここで、副相3は、通常、硼素、珪素および 炭素の各元素が単独で存在するか、または、 珪素と硼素が化合してSiB 4 および/またはSiB 6 等の珪化物および/または炭化珪素として存 する。また、この副相3は複数の主相2で囲ま れた領域にのみ存在する粒状の相である。こ の副相3が複数の主相2にまたがって存在する 状の相あるいは針状の相であると、熱伝導 担体であるフォノンの動きが大きな制約を ける。これに対し、副相3が複数の主相2間 点在する粒状の相であると、フォノンの動 がほとんど制約されない。このため、熱伝 性および耐熱衝撃性を向上することができ その結果、摩擦による発熱を低下させて、 動面の摩耗を低減することができる。

 また、炭化珪素質焼結体4における主相2 よび副相3の各比率は、それぞれ99~99.8体積% 0.2~1体積%であることが好適である。この比 は、例えば蛍光X線分析法、ICP(Inductively Coupl ed Plasma)発光分析法または炭素分析法等を用 て測定することができる。

 なお、摺動面以外の部分は、摺動面と同 に、炭化珪素を主成分とする主相と、硼素 珪素および炭素を含有してなる副相とから 成されていてもよいが、主相や副相を構成 る成分が異なっていても何等差し支えない

 また、摺動面に、円形度が0.24以上であり 、かつ、円相当径が10μm以上78μm以下である 口部を1以上有する開気孔を複数備えた摺動 材においては、摺動面には比較的小さい開 部が存在することになる。これにより、長 間使用を続けても漏れのない、良好なシー 性を維持することができる。

 さらに、変動係数√V/X(ここで、√Vは円 当径の標準偏差、Xは円相当径の平均値であ 。)を1.03以上1.51以下とすることで、摺動面 は円相当径の平均値に応じて大小様々な開 部が広範に存在することになる。これによ 、当接する摺動部材から発生する磨耗粉が 択的に小さい開口部に入りやすくなり、磨 粉が相対的に大きい開口部に入りにくくな 。これにより、大きい開口部には潤滑液を 期間保持することができるため、摺動特性 維持することができる。

 変動係数√V/Xは1.12以上1.21以下にするこ がより好ましく、摺動面におけるシール性 摺動特性とのバランスをさらに好適なもの することができる。

<メカニカルシールリングおよびメカニカ シール>
 以下、本発明のメカニカルシールリングお びメカニカルシールの一形態について、図7 および図8を参照して詳細に説明する。図7,8 示すように、本形態のメカニカルシールは メカニカルシールリング5と、該メカニカル ールリング5の内周側に挿入されて駆動力を 伝達する回転軸6とを備えている。

 即ち、該メカニカルシールは、環状体で る固定リング5aの摺動面15a上で、凸状部を する環状体である回転リング5bの摺動面15bを 摺動させてシール作用を及ぼすメカニカルシ ールリング5を用いた装置である。メカニカ シールリング5は、駆動機構(不図示)による 動力を伝達する回転軸6と、この回転軸6を回 転可動に支承するケーシング7との間に取り けられ、固定リング5aと回転リング5bとの互 の摺動面15a,15bが回転軸6に対して垂直面を 成するように設置されている。

 回転リング5bは、パッキング8によって緩 的に支持されている。このパッキング8の回 転リング5bと相対する側には、回転軸6のまわ りに巻回するコイルスプリング9が設置され いる。予め設定されたコイルスプリング9の 発力により、パッキング8を押圧することに よって、回転リング5bの摺動面15bが固定リン 5aの摺動面15aに押圧されて摺動する。また コイルスプリング9がパッキング8を押圧する 側と相対する側には、カラー10がセットスク ュー11により回転軸6に固定され、コイルス リング9のストッパーとして設置されている 。

 一方、回転リング5bの摺動面15bと摺動面15 aを介して接する固定リング5aは、緩衝ゴム12 よって支持されている。緩衝ゴム12は、こ メカニカルシールの外枠となるケーシング7 内側に取り付けられて固定リング5aを支持 ている。なお、緩衝ゴム12およびパッキング 8は、回転軸6の回転で発生する振動を吸収す 機能も有している。

 そして、回転軸6が回転すると、これに伴 いカラー10が回転し、コイルスプリング9の弾 発力によって押圧されるパッキング8と、こ パッキング8によって支持されている回転リ グ5bの摺動面15bとが押圧されながら回転す 。これにより、回転リング5bの摺動面15bと、 固定リング5aの摺動面15aとの間でシール作用 働く。このようなメカニカルシールを流体 器(不図示)に取り付ける場合には、メカニ ルシールリング5に対してカラー10の側の延 上に、流体機器が配置されるように取り付 て用いられる。

 このとき、流体は、メカニカルシールの ーシング7で囲まれた内部にまで浸入する。 しかし、パッキング8と回転軸6との間に設け れたOリング13によるシール作用と、メカニ ルシールリング5の摺動面15a,15bのシール作 によって、流体がメカニカルシールより外 に漏洩しないようにしている。なお、メカ カルシールによって密封された流体である 封流体14の一部が、メカニカルシールリング 5の摺動面15a,15bの間に入り込み潤滑液として 用する。

 メカニカルシールリング5は、潤滑液を介 して互いの摺動面15a,15bを当接し摺動させる 定リング5aと回転リング5bとからなる。これ 固定リング5aおよび回転リング5bの少なくと も一方を、上述した本形態の摺動部材で構成 する。これにより、シール性および潤滑液の 保持性能に優れ、長期信頼性の高いメカニカ ルシールリングとすることができる。

 本形態のメカニカルシールは、回転リン 5bが摺動を開始すると、摺動面15a,15bで空気 流れによる動圧がまず発生し、続いて開口 にはその動圧より低い負圧が開気孔内で保 されていた潤滑液に対して働く。この開口 上で発生する負圧によって、開気孔内に保 されていた潤滑液を摺動面15a,15bに適切に供 給することができる。上述の通り、本形態の メカニカルシールは、長期信頼性が高いメカ ニカルシールリング5を用いているため、該 カニカルシールもメカニカルシールリング5 同様に長期信頼性が高い。

 なお、図7,8に示すメカニカルシールでは 固定リング5aを環状体とし、回転リング5bを 凸状部を有する環状体としたが、これとは逆 に、固定リング5aを凸状部を有する環状体と 、回転リング5bを環状体とすることも可能 ある。

<フォーセットバルブ>
 以下、本発明のフォーセットバルブの一形 について、図9および図10を参照して詳細に 明する。図9,10に示すように、本形態のフォ ーセットバルブ16は、潤滑液を介して互いの 動面17a,18aを当接し摺動させる基板状の固定 弁体17と回転弁体18とを備えている。

 固定弁体17は、樹脂ケース(不図示)に固定 されている。可動弁体18は、樹脂ケースの内 で、かつ固定弁体17上で可動するように構 されている。固定弁体17,可動弁体18内には、 それぞれ厚み方向に流体通路17b,18bが形成さ ている。双方の流体通路17b,18bは、摺動面17a, 18a上で連結している。また、可動弁体18には バー19が固定され、このレバー19を上下方向 あるいは回転方向に動かすことにより可動弁 体18は可動する。

 そして、図9に示すように、流体通路17b,18 bが開いた状態では、矢印方向から水,湯水等 流体が流体通路17b,18bに順次流れ、フォーセ ットバルブ16に接続された蛇口(不図示)から 体が吐出する。このとき、いずれかの摺動 17a,18aに予め塗布されていたシリコングリス のグリスとともに、摺動面17a,18a間に挿入し た流体が潤滑液となって、摺動特性を維持す るように作用する。

 他方、図10に示すように、レバー19で可動 弁体18を上下方向のいずれかに動かすことに って、流体通路17b,18b間を閉ざすことができ 、蛇口からの流体の吐出を制止することがで きる。また、可動弁体18を回転方向に動かす とによって、流体通路17b,18bが連結する端面 の面積が調整されるので、蛇口から吐出する 流体の流量を調整することができる。

 本形態のフォーセットバルブ16は、固定 体17および回転弁体18の少なくとも一方を、 ール性および潤滑液の保持性能に優れた、 述の本形態の摺動部材で構成する。したが て、フォーセットバルブ16は、長期信頼性 高い。

<製造方法>
 次に、上述した本形態の摺動部材の製造方 について説明する。本形態の摺動部材を得 には、まず、炭化珪素または酸化アルミニ ム等のセラミックスの粉末と、樹脂ビーズ らなる気孔形成剤と、この気孔形成剤を分 させる気孔分散剤および水と、必要に応じ セラミックスの粉末を分散させる分散剤と 、ボールミルまたはビーズミル等で混合し スラリーとする。

 ついで、このスラリーに、焼結助剤と、 形助剤としてのバインダーとを添加して混 する。この混合物を、噴霧乾燥することで 粒を得る。得られた大部分の顆粒には、前 気孔形成剤が内包された状態となる。

 ここで、前記セラミックスの粉末が炭化 素である場合には、前記焼結助剤は酸化ア ミニウム粉末とイットリア等の希土類酸化 粉末とを組み合わせるか、炭化硼素粉末と 素粉末またはフェノール樹脂とを組み合わ てもよい。焼結助剤の成分として炭素を用 ると、この炭素は遊離炭素となって開気孔 に存在する。摺動部材が摺動すると、遊離 素は摺動面上に容易に流出して、潤滑液に まれるようになる。遊離炭素が潤滑液に含 れることにより、摺動部材の摺動特性は向 するので、摺動初期に異音やリンキングが 生しやすいメカニカルシールリングやフォ セットバルブには好適である。

 前記セラミックスの粉末が酸化アルミニ ムである場合には、前記焼結助剤は二酸化 素粉末、酸化マグネシウム粉末および酸化 ルシウム粉末から選ばれる少なくとも1種と するのが好ましい。

 前記気孔分散剤を用いる理由としては、 下の理由が挙げられる。即ち、摺動面に、 形度が0.24以上、かつ円相当径が10μm以上150 m以下である開口部を1以上有する開気孔を複 数存在させ、開口部同士の重なり度が10%以上 である開気孔の個数比率を3%以下とするには 真円度が4μm以下であって、最大径が13μm以 60μm以下の気孔形成剤を用いるのが好まし 。前記真円度は、真円に近づくほど小さく り、真円では0となるものであり、式:真円度 =(最大径-最小径)×1/2から算出される値である 。気孔形成剤の比率としては、主成分である セラミックスの粉末,焼結助剤および成形助 の合計100質量%に対して0.3質量%以下とするの が好ましい。

 気孔形成剤は、通常、疎水性であること ら、水を溶媒とするスラリーに分散できず 凝集しやすい。そのため、摺動面上で開口 同士が連結して大きな開口部が発生するこ がある。このような開口部の発生を抑制す 上で、気孔分散剤を添加するとよい。添加 れた気孔分散剤は、気孔形成剤に吸着する これにより、気孔形成剤はスラリー中に容 に湿潤して浸透するので、スラリー中で凝 することなく分散する。

 気孔分散剤は、気孔形成剤100質量%に対し て0.13質量%以上、好ましくは0.13質量%以上0.45 量%以下の割合で添加すればよい。これによ り、気孔形成剤の種類にかかわらず、気孔形 成剤を容易に分散できる。そして、焼成後に は、摺動面に、円形度が0.24以上、かつ最大 円相当径が150μm以下である開口部を1以上有 る開気孔を複数存在させ、開口部同士の重 り度が10%以上である開気孔の個数比率を3% 下とすることができる。さらに、気孔形成 の平均直径を35μm以上45μm以下にすることに って、開口部の円相当径の平均値を20μm以 40μm以下とすることができる。

 前記気孔形成剤としては、例えばシリコ ンビーズ、ポリスチレンおよびポリアクリ -スチレンの少なくとも1種からなる懸濁重 された非架橋性の樹脂ビーズを用いるのが ましい。これら樹脂ビーズは、その圧縮強 が1.2MPa以下と低いために、成形工程で加圧 向に容易に塑性変形して、弾性回復に伴っ 発生しやすいマイクロクラックの発生を抑 することができる。また、気孔形成剤は、 分解または消失することにより、摺動面上 潤滑剤を供給することが可能な開気孔を形 する。

 前記気孔分散剤としては、例えばカルボ 酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩また リン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤 好ましい。アニオン界面活性剤が気孔形成 に吸着することで、気孔形成剤はスラリー に容易に湿潤し浸透する。さらにアニオン 面活性剤が有する親水基の電荷反発により 気孔形成剤の凝集がさらに抑制される。こ により、気孔形成剤がスラリー中に凝集す ことなく十分に分散することができる。ア オン界面活性剤は、気孔形成剤をスラリー 湿潤させ浸透させる効果が高い。

 また、摺動面に、円形度が0.24以上であり 、かつ、円相当径が10μm以上78μm以下である 口部を1以上有する開気孔を複数備え、前記 口部の変動係数が前記特定式を満足するよ にするには、気孔形成剤や気孔分散剤の組 、添加量等を調整すればよい。具体例を挙 ると、気孔形成剤は、その最大径が30μm以 50μm以下、平均直径が5μm以上40μm以下、添加 量が0.1質量%以上5.0質量%以下程度であるのが ましい。また、気孔分散剤は、気孔形成剤1 00質量%に対して0.05質量%以上0.40質量%以下の 合で添加するのが好ましい。

 一方、上記で得られた顆粒を所定の成形 に充填し、成形圧力49~147MPaの範囲で適宜選 される成形圧力で成形して成形体を得る。

 成形体の主成分が炭化珪素である場合に 、成形体を窒素雰囲気中、温度450~650℃、保 持時間2~10時間で脱脂して、脱脂体とする。 の脱脂体を焼成炉に入れ、不活性ガスの減 雰囲気中で、温度1800~2100℃、保持時間3~5時 で保持し、焼成することで炭化珪素質焼結 とすることができる。なお、不活性ガスに いては特に限定されるものではないが、ア ゴンガスを用いると入手および取り扱いが 易である。

 成形体の主成分が酸化アルミニウムであ 場合には、成形体を大気雰囲気中、温度1500 ~1700℃で焼成することで酸化アルミニウム質 結体とすることができる。

 得られた焼結体(摺動部材)は、必要に応 て加圧面に研削、研磨等の加工を施しても い。例えば、まず、両頭研削盤または平面 削盤等で加圧面を平面とし、平均粒径3μmの イヤモンド砥粒を用いてアルミナ製のラッ 盤で粗加工する。その後、平均粒径1~3μmの イヤモンド砥粒を用いて錫製のラップ盤で 術平均高さRaが0.98μm以下となるように鏡面 工して摺動面としてもよい。算術平均高さR aを0.98μm以下とするのは、シール性を維持す ためである。

 前記算術平均高さRaは、JIS B 0601-2001に準 拠して測定すればよい。即ち、測定長さおよ びカットオフ値をそれぞれ5mmおよび0.8mmとす 。触針式の表面粗さ計を用いて測定する場 には、例えば、摺動部材の摺動面に、触針 端半径が2μmの触針を当て、触針の走査速度 は0.5mm/秒とすればよい。

 得られた焼結体の表面を研磨することで メカニカルシールリングとすることができ 。上述のような製造方法によれば、潤滑液 保持性能に優れ長期間使用を続けても良好 シール性を維持することができるメカニカ シールリング等の摺動部材を安価に得るこ ができる。

<試料の作製>
 まず、主成分を成す炭化珪素粉末に、焼結 剤と、気孔形成剤とを所定量添加した。こ で、前記焼結助剤としては、炭化硼素粉末 よびフェノール樹脂を用いた。前記気孔形 剤としては、ポリスチレンからなる懸濁重 された非架橋性の樹脂ビーズを用いた。該 孔形成剤は、その最大径および真円度が表1 に示すものを用いた。さらに、気孔分散剤と してポリカルボン酸ナトリウムを、気孔形成 剤100質量%に対して表1に示す比率で添加して 調合原料とした。

 この調合原料をボールミルに投入した後 48時間混合してスラリー化した。このスラ ーに成形助剤としてバインダーを添加して 合した後、噴霧乾燥することにより平均粒 80μmの炭化珪素の顆粒を作製した。

 次に、この顆粒を成形型に充填し、厚み 向に98MPaの圧力で加圧し成形してリング形 の成形体とした。得られた成形体を、窒素 囲気中、20時間で昇温し、600℃で5時間保持 、自然冷却して脱脂し、脱脂体とした。

 次に、この脱脂体を2030℃にて5時間保持 て焼成することにより、リング形状の炭化 素質焼結体を得た。そして、各炭化珪素質 結体の表面を平面研削盤にて研削し、平均 径3μmのダイヤモンド砥粒を用いて、アルミ 製のラップ盤にて研磨した。最後に、平均 径3μmのダイヤモンド砥粒を用いて、錫製の ラップ盤にて算術平均高さ(Ra)が0.98μm以下と るように研磨して摺動面とし、外径25mm,内 16mmのメカニカルシールリングである試料No.1 ~23を得た。各試料はいずれも図7,8に示す固定 リング5aである。

<評価>
 得られた各試料の摺動面を工業顕微鏡を用 て倍率50倍で解析することにより、摺動面 おける開口部の円形度、開口部の最大の円 当径および開気孔の個数比率を求めた。

 摺動面から1箇所当たりの測定面積を2471μ m×1853μmに設定した範囲を工業顕微鏡で4箇所 影して得られた画像を画像解析ソフト「A像 くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング( )製)を用い、円形粒子解析という手法を適 して開口部の円形度、開口部の最大の円相 径および開気孔の個数比率を求めた。なお 円相当径が10μm未満の開気孔は予め解析の対 象から省く設定とした。その結果を、表1に す。表1中、開気孔の個数比率の欄のうち、 線を施している欄は、開気孔の個数比率の 出対象外であることを示す。

 その後、凸状部を有し、炭素からなる外 25mm、内径16mmの回転リング5bを準備した。回 転リング5a,5bを摺動面15a,15bで当接させ、以下 の摺動条件で摺動させ、シール性を示す摺動 面15a,15bからの漏れ量と、摺動特性を示す摩 係数とを測定した。その結果を、表1に示す

〔摺動条件〕
相対速度:8m/秒
面圧  :500kPa
潤滑液 :水
摺動時間:100時間

 なお、相対速度は、回転軸の中心を基準 して外周側に向かい、11.25mm離れた位置(以 、位置Pと言う。)における固定リング5aに対 る回転リング5bの回転速度である。面圧は 固定リング5aに対する回転リング5bの単位面 当たりの圧力である。該面圧は、固定リン 5aと回転リング5bとを当接させるのに予め設 定された加圧力Fを、回転リング5bの摺動面15b の面積で除すことで求められる。面積は、寸 法測定用のゲージを備えた金属顕微鏡を用い 、倍率50倍で回転リング5bの凸状部の外径お び内径をゲージで測定して算出した。

 摩擦係数μについては、トルクメーター 用いて摺動中の回転リング5bの位置Pにおけ 回転トルクTを測定した。この回転トルクTを 、摺動面15bの面積に面圧を掛けることで得ら れる加圧力Fおよび回転軸の中心から位置Pま の距離11.25mmで除した値とした。即ち、摩擦 係数μは、式:μ=T/(11.25×F)から算出した。

 表1から明らかなように、本実施例の試料 No.7~23は、摺動面における開口部の円形度が0. 24以上であることから、開口部の円形度が0.24 未満である試料No.1,2,5に比べて摩擦係数が低 、その値は0.1未満と低いことがわかる。

 また、本実施例の試料No.7~23は、開気孔の個 数比率が3%以下であることから、最大の円相 径が150μmを超える開口部を備える試料No.6お よび開気孔の個数比率が3%を超える試料No.3,4 り摺動面15a,15b間より発生する漏れ量が100cm 3 未満と少なく、シール性が高いことがわかる 。

 特に、試料No.18~23は、開気孔の個数比率が1. 0%以下であることから、漏れ量が30cm 3 以下であり、シール性がより高いことがわか る。

<試料の作製>
 まず、実施例1と同様にして調合原料を得た 。ただし、気孔形成剤は、その平均直径が表 2に示すものとし、真円度は、いずれも4μm以 とした。

 この調合原料をボールミルに投入した後 48時間混合してスラリー化した。このスラ ーに成形助剤としてバインダーを添加、混 した後、噴霧乾燥することにより平均粒径80 μmの炭化珪素の顆粒を作製した。

 次に、この顆粒を成形型に充填し、厚み 向に98MPaの圧力で加圧、成形してリング形 の成形体とした。得られた成形体を、窒素 囲気中、20時間で昇温し、600℃で5時間保持 、自然冷却して脱脂し、脱脂体とした。

 次に、この脱脂体を2030℃にて5時間保持 て焼成することにより、リング形状の炭化 素質焼結体を得た。そして、各炭化珪素質 結体の表面を平面研削盤にて研削し、平均 径3μmのダイヤモンド砥粒を用いて、アルミ 製のラップ盤にて研磨した。最後に、平均 径3μmのダイヤモンド砥粒を用いた錫製のラ ップ盤にて算術平均高さが(Ra)が0.98μm以下と るように研磨して摺動面とし、外径25mm、内 径16mmのメカニカルシールリングである試料No .24~28を得た。各試料はいずれも図7,8に示す固 定リング5aである。

<評価>
 得られた各試料の摺動面を工業顕微鏡を用 て倍率50倍で解析することにより、摺動面 おける円形度が0.24以上、かつ最大の円相当 が150μm以下である開口部の円相当径の平均 および開気孔の個数比率を求めた。

 実施例1と同様にして、摺動面における円 形度が0.24以上、かつ最大の円相当径が150μm 下である開口部の円相当径の平均値および 気孔の個数比率を求めた。なお、円相当径 10μm未満の開気孔は予め解析の対象から省く 設定とした。その結果を、表2に示す。

 その後、凸状部を有し、炭素からなる外 25mm、内径16mmの回転リング5bを準備した。回 転リング5a,5bを摺動面15a,15bで当接させ、前記 実施例1と同じ摺動条件で摺動させ、シール を示す摺動面15a,15bからの漏れ量と、摺動特 を示す摩擦係数とを、前記実施例1と同様に して測定した。その結果を、表2に示す。

 表2から明らかなように、試料No.26~28は、 動面における開口部の円相当径の平均値が2 0μm以上40μm以下であることから、開口部の円 相当径の平均値が20μm未満の試料No.24に比べ 摩擦係数が低く、その値は0.03以下と低いこ がわかる。

 また、試料No.26~28は、開口部の円相当径の 均値が40μmを超える試料No.25に比べて、摺動 15a,15b間より発生する漏れ量が少なく、その 値は13cm 3 以下である。

 以上の結果から、開口部の円相当径の平 値が20μm以上40μm以下である摺動部材は、高 いシール性と潤滑液の保持性能とを兼ね揃え ていることがわかる。なお、試料No.24~28の開 孔の個数比率を、前記実施例1と同様にして 測定した結果、いずれも3%以下であった。

<試料の作製>
 実施例1と同様にして調合原料を得た。ただ し、気孔形成剤は表3に示す最大径、平均直 および添加量の気孔形成剤を用いた。

 また、実施例1と同様にして炭化珪素の顆 粒を作製し、脱脂体を焼成してリング状の炭 化珪素質焼結体を得た。

 そして、この焼結体を実施例1と同様にし て研磨を行い、外径25mm,内径16mmのメカニカル シールリングである試料No.29~31を得た。各試 はいずれも図7に示す固定リング5aであり、 試料の気孔率をアルキメデス法に準拠して めると、3~8%であった。

<評価>
 得られた各試料の摺動面を、実施例1と同様 にして顕微鏡観察および解析を行い、開口部 の円相当径の最大値、平均値および標準偏差 を求めた。円相当径の平均値および標準偏差 から算出した変動係数を表3に示す。なお、 相当径が10μm未満の開気孔は予め解析の対象 から省く設定とした。

 その後、凸状部を有し、炭素からなる外 25mm、内径16mmの回転リング5bを準備した。回 転リング5a,5bを摺動面15a,15bで当接させ、以下 の摺動条件で摺動させた。そして、シール性 を示す摺動面15a,15bからの漏れ量および摺動 性を示す摩擦係数を、前記実施例1と同様に て測定した。その結果を表3に示す。

〔摺動条件〕
相対速度:8m/秒
面圧  :400kPa
潤滑液 :水
摺動時間:150時間

 表3に示していないが、摺動面15aにおける 開口部の円相当径の最大値が78μmを超える試 、および前記開口部の変動係数√V/Xが1.51を 超える試料は摺動面15a,15b間より発生する漏 量が多かった。また、前記開口部の変動係 √V/Xが1.03未満である試料は、摩擦係数が高 った。

 表3に示す試料No.29~31は、摺動面15aにおけ 開口部の円相当径の最大値が78μm以下であ 、開口部の変動係数√V/Xが1.03以上1.51以下で あることから、摺動面15aには比較的小さい開 口部が存在していたため、摺動面15a,15b間よ 発生する漏れ量が少なく、シール性が高い とがわかる。摺動面15aには大小様々な開口 が広範に存在し、当接する回転リング5bから 発生する磨耗粉が選択的に小さい開口部に入 りやすく、磨耗粉が相対的に大きい開口部に 入りにくくなっている。このため、大きい開 口部には潤滑液を長期間保持することができ るため、摩擦係数が低いことがわかる。

 特に、試料No.30,31は、開口部の円相当径 平均値が30μm以下であることから、極端に大 きい開口部が占める比率が小さくなっている 。このため、摺動面15a,15b間より発生する漏 量が少なく、シール性が高いことがわかる

 また、試料No.31は、円相当径の平均値が4μm 上15μm以下であることから、漏れ量が25cm 3 以下であって摩擦係数が0.04以下と、より高 シール性と潤滑液の保持性能を有すること わかる。

 なお、試料No.29~31の開気孔の個数比率を 前記実施例1と同様にして測定した結果、い れも3%以下であった。




 
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