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Patent Searching and Data


Title:
SOLAR CELL REAR SURFACE SEALING SHEET AND SOLAR CELL MODULE USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/041581
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a solar cell rear surface sealing sheet having excellent adhesiveness to a filling material which constitutes a solar cell module and excellent storage stability with time. A solar cell module using such solar cell rear surface sealing sheet is also provided. Solar cell rear surface sealing sheets (1A, 1B) have easy-to-adhere coat layers (2a, 2b) on the surfaces to be bonded to the filling material that constitutes the solar cell module. The easy-to-adhere coat layers (2a, 2b) are formed of a coating composition containing 0.1-10 parts by mass of at least one kind of a cross-linking agent selected from among specific compounds and 0.1-10 parts by mass of a polyacrylic acid or its derivative per 100 parts by mass of a water dispersing ionomer type polyurethane resin having a film softening point temperature of 100°C or higher.

Inventors:
SUZUTA MASAYOSHI (JP)
UEDA YOSHIKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067432
Publication Date:
April 02, 2009
Filing Date:
September 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOPPAN PRINTING CO LTD (JP)
SUZUTA MASAYOSHI (JP)
UEDA YOSHIKI (JP)
International Classes:
H01L31/042; B32B27/40; H01L31/04
Foreign References:
JP2007048944A2007-02-22
JP2007096210A2007-04-12
JP2006210557A2006-08-10
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 太陽電池モジュールを構成する充填材と貼り合わされる面に、易接着コート層を設けた太陽電池裏面封止用シートであって、
 前記易接着コート層は、皮膜軟化点温度100℃以上の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂100質量部に対し、多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物から、少なくとも1種以上選ばれる架橋剤を0.1~10質量部、さらにポリアクリル酸あるいはその誘導体を0.1~10質量部配合したコーティング組成物で形成されていることを特徴とする、太陽電池裏面封止用シート。
(式(I)において、R1、R2、R3、R4は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、グリシジル基、イソシアネート基、メルカプト基、アミン基を有する置換基のいずれかから選択される。)
 前記水分散アイオノマー型ポリウレタンは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下であることを特徴とする、請求項1記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記水分散アイオノマー型ポリウレタンは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐1)と、ガラス転移温度(Tg)が50~80℃の範囲である水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐2)の混合物からなり、質量比が(PU‐1)/(PU‐2)=50/50~99/1であることを特徴とする、請求項1記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記ポリアクリル酸あるいはその誘導体は、ポリアクリル酸のナトリウム塩、あるいはポリアクリル酸のアンモニウム塩であることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記コーティング組成物中に、アセチレンジオールあるいはアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物が更に配合されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記コーティング組成物中に、無機フィラー系アンチブロッキング剤あるいは脂肪酸アミド系スリップ剤を更に配合されていること特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記コーティング組成物は、溶媒を含む溶液状態の粘度が50~500mPa・Sの範囲であり、乾燥皮膜として0.5~10g/m 2 の範囲で設けられていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記コーティング組成物は、塗膜面状がドット状、ストライプ状に設けられていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記易接着コート層は、未処理のポリエステル基材に設けられていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記ポリエステル基材と同じ材質からなるポリエステル層を少なくとも1層含む多層構成からなることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 無機化合物蒸着層を設けたバリア性基材を少なくとも1層含む多層構成からなることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 耐候性を有する基材層を少なくとも1層含む多層構成からなることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記耐候性を有する基材層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノール‐テレフタレート(PCT)から選ばれるポリエステル基材、ポリカーボネート系基材、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれるフッ素系基材、またはこれらフッ素系基材のアクリル変性物から選択されることを特徴とする、請求項12記載の太陽電池裏面封止用シート。
 前記耐候性を有する基材層は、数平均分子量が18000~40000の範囲からなるポリエチレンテレフタレートであって、環状オリゴマーコンテントが15wt%以下であり、固有粘度が0.5dl/g以上であることを特徴とする、請求項12に記載の太陽電池裏面封止用シート。
 請求項1~3の何れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シートを用いたことを特徴とする太陽電池モジュール。
Description:
太陽電池裏面封止用シート及び れを用いた太陽電池モジュール

 本発明は、太陽電池裏面封止用シートに関 、さらに詳細には、太陽電池モジュールを 成する充填材との密着性が高く、保存経時 定性に優れた太陽電池裏面封止用シート、 びにこの太陽電池裏面封止用シートを用い 太陽電池モジュールに関する。
 本願は、2007年9月27日に、日本に出願された 特願2007-251371号に基づき優先権を主張し、そ 内容をここに援用する。

 近年、地球温暖化問題に対する内外各方 の関心が高まる中、二酸化炭素の排出抑制 ために、種々努力が続けられている。化石 料の消費量の増大は大気中の二酸化炭素の 加をもたらし、その温室効果により地球の 温が上昇し、地球環境に重大な影響を及ぼ 。この地球規模の問題を解決するために様 な検討が行われており、特に太陽光発電に いては、そのクリーン性や無公害性という から期待が高まっている。

 太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気 換える太陽光発電システムの心臓部を構成 るものであり、単結晶、多結晶、あるいは モルファスシリコン系の半導体からできて る。その構造としては、太陽電池素子単体( セル)をそのままの状態で使用することはな 、一般的に数枚~数十枚の太陽電池素子を直 、並列に配線し、長期間(約20年)にわたって セルを保護するために種々パーケージングが 行われ、ユニット化されている。
 このパッケージに組み込まれたユニットを 陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光 当たる面をガラス面で覆い、熱可塑性プラ チック(特にエチレン‐酢酸ビニル共重合体 )からなる充填材で問隙を埋め、裏面を封止 シートで保護された構成になっている。

 ところで、これらの太陽電池モジュール 主に屋外で使用されるため、その構成や材 構造などにおいて、十分な耐久性、耐候性 要求される。特に、裏面封止用シートは耐 性と共に水蒸気透過率の小さい(水分バリア 性に優れる)ことが要求される。これは水分 透過により充填材が剥離、変色したり、配 の腐蝕を起こしたりした場合、モジュール 出力そのものに影響を与える恐れがあるた である。

 従来、この太陽電池裏面封止用シートと ては、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニ デン(エチレンとの共重合体を含む)など、 候性、難燃性、そして太陽電池モジュール 充填材として良く使用されるエチレン‐酢 ビニル共重合体と良好な接着性を有する「 ッ素系樹脂」が用いられてきた(例えば、特 文献1,2などを参照。)。

 しかし、高価なフッ素系樹脂の代わりに電 絶縁性に優れるポリエチレンテレフタレー などのポリエステルフィルムを用いた太陽 池裏面封止用シートが開発されるようにな 、ポリエステルフィルムのディメリットで る耐候性の改良が進んでいる。
 例えば、特許文献3に記載のように紫外線吸 収剤を配合した事例や、特許文献4,5に記載の ようにポリエステル中の環状オリゴマー量の 規定した事例や、特許文献6に記載のように リエステルの分子量を規定する事例などが 示されている。
 しかしながら、このようなポリエステルフ ルムを用いるディメリットとして、太陽電 モジュールを構成する充填材(エチレン‐酢 酸ビニル共重合体)との密着性が問題となっ いる。

 上述したように太陽電池は約20年間その 能を維持する必要があり、その耐久性を評 するために高温多湿化(85℃‐85%相対湿度)で 促進試験を行う。この時、ポリエステルフ ルムからなる太陽電池裏面封止用シートと 充填材であるエチレン‐酢酸ビニル共重合 とは、極性基同士の親和性や水素結合など 分子間相互作用を利用した濡れによる接着 しかすぎないため、太陽電池モジュールを 造した直後の密着性は優れるが、上記環境 において著しく密着性が低下することが確 されている。これらを改善するべく、太陽 池裏面保護シートの充填材と貼り合わせる にコロナ処理を施す技術(例えば、特許文献 7を参照。)が開示されているが、コロナ処理 施しても上記問題点の改良には至っていな 状況である。

 この問題点を改良するべく、エチレン‐酢 ビニル共重合体(EVA)のような充填材に対し 好な熱接着性を有する接着性フィルムを、 陽電池裏面封止用シートにさらに積層させ 技術が開示されているが(例えば、特許文献8 などを参照。)、充填材であるEVAと熱接着さ るような接着性フィルムを設けるにあたり 押出ラミネート法では基材であるポリエス ルフィルムヘの密着性に劣り、ドライラミ ート法では接着性フィルム自体のブロッキ グから加工性が著しく低下するなどの問題 がある。
 そこで、この接着性フィルムとして太陽電 モジュールの充填材であるEVA自体を用いる 術(例えば、特許文献9などを参照。)が開示 れているが、太陽電池モジュール充填材用 EVAは、後述するが過酸化物や架橋剤など様 な添加剤を配合した樹脂組成物からなり、 の加工性自体が困難であると同時に、通常 陽電池モジュールに用いる充填材は、太陽 池メーカーが選定するところが強いから、 場展開可能な領域に制限を受けるといった 題点を有する。

 以上の課題を反映して、筆者らは架橋構 を形成した易接着コート層を設けた太陽電 裏面シートを発明した(特許文献10を参照。) 。この太陽電池裏面シートは、85℃‐85%相対 度(RH)下において1000h保存後も、充填剤であ EVAとの密着性を維持させることが可能であ た。

 しかしながら、太陽電池の要求性能が近年 くなる傾向が強く、85℃‐85%保存下では3000~ 3500h保管、あるいはこれらの促進評価でも非 に長時間の評価日数を要することから、加 蒸気を用いた高温多湿下保存試験(PCT試験:10 5℃‐100%RH‐200h保管など)まで行うようになり 、より過酷な保存環境下においても密着性の 低下を伴わない、密着性能が大幅に改善され た太陽電池裏面封止用シートが望まれている 。

特表平8-500214号公報

特表2002-520820号公報

特開2001-111073号公報

特開2002-100788号公報

特開2002-134771号公報

特開2002-26354号公報

特開2000-243999号公報

特開平10-25357号公報

特開2000-174296号公報

特開2007-48944号公報

 本発明は上記事情に鑑みてなされたもの あり、太陽電池モジュールを構成する充填 との良好な密着性が高く、保存経時安定性 優れた太陽電池裏面封止用シート及びこれ 用いた太陽電池モジュールを提供すること 目的とする。

 本発明は上記課題を解決するために、以下 構成を採用した。
[1] 太陽電池モジュールを構成する充填材と り合わされる面に、易接着コート層を設け 太陽電池裏面封止用シートであって、
 前記易接着コート層は、皮膜軟化点温度100 以上の水分散アイオノマー型ポリウレタン 脂100質量部に対し、多官能イソシアネート 化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミ 系化合物、下記一般式(I)で表される構造を する化合物から、少なくとも1種以上選ばれ る架橋剤を0.1~10質量部、さらにポリアクリル 酸あるいはその誘導体を0.1~10質量部配合した コーティング組成物で形成されていることを 特徴とする、太陽電池裏面封止用シート。

(式(I)において、R1、R2、R3、R4は水素、ハロゲ ン、アルキル基、アルコキシル基、(メタ)ア リロイル基、アリル基、ビニル基、グリシ ル基、イソシアネート基、メルカプト基、 ミン基を有する置換基のいずれかから選択 れる。)[2] 前記水分散アイオノマー型ポリ レタンは、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下で ることを特徴とする、前記[1]に記載の太陽 池裏面封止用シート。
[3] 前記水分散アイオノマー型ポリウレタン 、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の水分散ア オノマー型ポリウレタン(PU‐1)と、ガラス 移温度(Tg)が50~80℃の範囲である水分散アイ ノマー型ポリウレタン(PU‐2)の混合物からな り、質量比が(PU‐1)/(PU‐2)=50/50~99/1であるこ を特徴とする、前記[1]に記載の太陽電池裏 封止用シート。
[4] 前記ポリアクリル酸あるいはその誘導体 、ポリアクリル酸のナトリウム塩、あるい ポリアクリル酸のアンモニウム塩であるこ を特徴とする、前記[1]~[3]の何れか一項に記 載の太陽電池裏面封止用シート。
[5] 前記コーティング組成物中に、アセチレ ジオールあるいはアセチレンジオールのエ レンオキサイド付加物が更に配合されてい ことを特徴とする、前記[1]~[4]の何れか一項 に記載の太陽電池裏面封止用シート。
[6] 前記コーティング組成物中に、無機フィ ー系アンチブロッキング剤あるいは脂肪酸 ミド系スリップ剤を更に配合されているこ 特徴とする、前記[1]~[5]の何れか一項に記載 の太陽電池裏面封止用シート。
[7] 前記コーティング組成物は、溶媒を含む 液状態の粘度が50~500mPa・Sの範囲であり、乾 燥皮膜として0.5~10g/m 2 の範囲で設けられていることを特徴とする、 前記[1]~[6]の何れか一項に記載の太陽電池裏 封止用シート。
[8] 前記コーティング組成物は、塗膜面状が ット状、ストライプ状に設けられているこ を特徴とする、前記[1]~[7]の何れか一項に記 載の太陽電池裏面封止用シート。
[9] 前記易接着コート層は、未処理のポリエ テル基材に設けられていることを特徴とす 、前記[1]~[8]の何れか一項に記載の太陽電池 裏面封止用シート。
[10] 前記ポリエステル基材と同じ材質からな るポリエステル層を少なくとも1層含む多層 成からなることを特徴とする、前記[1]~[9]の れか一項に記載の太陽電池裏面封止用シー 。
[11] 無機化合物蒸着層を設けたバリア性基材 を少なくとも1層含む多層構成からなること 特徴とする、前記[1]~[10]の何れか一項に記載 の太陽電池裏面封止用シート。
[12] 耐候性を有する基材層を少なくとも1層 む多層構成からなることを特徴とする、前 [1]~[11]の何れか一項に記載の太陽電池裏面封 止用シート。
[13] 前記耐候性を有する基材層は、ポリエチ レンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフ レート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(P BT)、ポリシクロヘキサンジメタノール‐テレ フタレート(PCT)から選ばれるポリエステル基 、ポリカーボネート系基材、ポリフッ化ビ ル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ ロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチ ンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテト フルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエ レンパーフルオロアルキルビニルエーテル 重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンーヘ サフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選ば れるフッ素系基材、またはこれらフッ素系基 材のアクリル変性物から選択されることを特 徴とする、前記[12]に記載の太陽電池裏面封 用シート。
[14] 前記耐候性を有する基材層は、数平均分 子量が18000~40000の範囲からなるポリエチレン レフタレートであって、環状オリゴマーコ テントが15wt%以下であり、固有粘度が0.5dl/g 上であることを特徴とする、前記[12]または [13]に記載の太陽電池裏面封止用シート。
[15] 前記[1]~[14]の何れか一項に記載の太陽電 裏面封止用シートを用いたことを特徴とす 太陽電池モジュール。

 本発明の太陽電池裏面封止用シートによ ば、充填剤と熱融着の形でラミネートされ ことで、エチレン‐酢酸ビニル共重合体の 類を問わず、良好なラミネート強度が得ら る。さらには、高温多湿下においても熱融 性フィルムと太陽電池裏面封止用シートの 着性の低化を伴うことがないことから、デ ラミネーションに伴う外観不良だけでなく 裏面封止用シートとしてのバリア特性や太 電池としての電気出力特性を維持すること 可能となる。

本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トの断面図である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トの断面図である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおける易接着コート層の塗工面の模式図 である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおける易接着コート層の塗工面の模式図 である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおける易接着コート層の塗工面の模式図 である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおける易接着コート層の塗工面の模式図 である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおいて、太陽電池裏面封止用シートの巻 き取りを説明するための図である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおいて、太陽電池裏面封止用シートの巻 き取りを説明するための図である。 本発明に係る太陽電池裏面封止用シー トにおいて、太陽電池裏面封止用シートの巻 き取りを説明するための図である。 本発明の係る太陽電池モジュールの断 図である。 本発明に係る太陽電池モジュールの製 工程を示す模式図である。

符号の説明

 1A,1B,1C…太陽電池裏面封止用シート、
 2a,2b,2e…易接着コート層、
 2c,2d…塗膜、
 3a,3b,3c…基材、
 4…第1接着剤層、
 5a…無機化合物蒸着層、
 5b…オーバーコート層、
 6…ガスバリア基材、
 7…ポリエステル層、
 8…第2接着剤層、
 9,9a…最外層、
 10…天板、
 11…ガラス板、
 12…配線、
 13…太陽電池セル、
 14,14a,14b…充填材、
 15…枠体、
 16…ラミネーター、
 17a,17b…チャンバー、
 18…ゴムシート、
 M…太陽電池モジュール。

 以下に、本発明の一実施形態について図 を用いて詳細に説明するが、本発明はこの 施形態に限定されることはない。

 本発明の太陽電池裏面封止用シートは、 陽電池モジュールを構成する充填剤、特に チレン‐酢酸ビニル共重合体と貼り合わさ る面に、「皮膜軟化点温度100℃以上の水分 アイオノマー型ポリウレタン樹脂100質量部 対し、多官能イソシアネート系化合物、多 能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、 記一般式(I)で表される構造を有する化合物 ら少なくとも1種以上選ばれる架橋剤を0.1~10 質量部、さらにポリアクリル酸あるいはその 誘導体を0.1~10質量部配合したコーティング組 成物」からなる易接着コート層を設けたこと を特徴とする。

(一般式(I)において、R1、R2、R3、R4は水素、 ハロゲン、アルキル基、アルコキシル基、( タ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、 リシジル基、イソシアネート基、メルカプ 基、アミン基を有する置換基のいずれかか 選択される。)

<太陽電池裏面封止用シート>
 先ず、本発明を適用した太陽電池裏面封止 シートについて説明する。
 本発明を適用した太陽電池裏面封止用シー は、例えば図1A、図1Bに示す太陽電池裏面封 止用シート1A,1Bのように、易接着コート層2a,2 bが、ポリエステルからなる基材3a,3bの内側( 陽電池モジュールを構成する充填材と貼り わされる面)に設けられている。
 太陽電池裏面封止用シート1Bでは、基材3bの 外側に、第1接着剤層4と、バリア性基材6と、 第2接着剤層8と、最外層(耐候性を有する基材 )9とが順に設けられている。バリア性基材6は 、基材3bと同じ材質からなるポリエステル層7 に、オーバーコート層5aと無機化合物蒸着層5 bとが、第1接着剤層4側から順に設けられてな る。

<易接着コート層>
 易接着コート層2a,2bは、太陽電池裏面封止 シート1A,1Bヘの密着性と太陽電池モジュール を構成する充填材への密着性を考慮して設計 されるものであり、特に、充填材としてよく 用いられるエチレン‐酢酸ビニル共重合体へ の密着性を考慮する必要がある。通常、太陽 電池モジュールの充填材として用いられるエ チレン‐酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル 含有量が10~40重量%であるものが用いられ、太 陽電池モジュールの耐熱性、物理的強度を確 保するために、熱あるいは光などによりエチ レン‐酢酸ビニル共重合体が架橋されている 。

 エチレン‐酢酸ビニル共重合において、 架橋を行う場合は通常有機過酸化物が用い れ、70℃以上の温度で分解してラジカルを 生するものが使用されている。通常、半減 10時間の分解温度が50℃以上のものが用いら 、2,5‐ジメチルヘキサン‐2,5‐ジハイドロ シパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ( t‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、ジ‐t‐ チルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパー キサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチ パーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサ ド、α,α´ビス(t‐ブチルパーオキシイソプ ピル)ベンゼン、n‐ブチル‐4,4‐ビス‐(t‐ ブチルパーオキシ)バレレート、t‐ブチルパ オキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキ イドなどが用いられている。

 光硬化を行う場合には光増感剤が用いるこ ができ、水素引き抜き型(二分子反応型)で る、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安 香酸メチル、4‐ベンゾイル‐4´‐メチルジ ェニルサルファイド、イソプロピルチオキ ントンなどを用いることができる。
 内部開裂型開始剤としては、ベンゾインエ テル、ベンジルジメチルケタールなど、α ヒドロキシアルキルフェノン型として、2‐ ドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパ 、1‐オン‐1‐ヒドロキシシクロヘキシルフ ェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシ レート、ジエトキシアセトフェノンなどが使 用できる。更に、α‐アミノアルキルフェノ 型として、2‐メチル‐1‐[4(メチルチオ)フ ニル] ‐2‐モリフォリノプロパン‐1、2‐ ンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モリフ ォリノフェニル)‐ブタノン‐1などが、また シルフォスフィンオキサイドなども用いる とができる。

 また、太陽電池モジュールを構成するガ ス板との接着を考慮してシランカップリン 剤も配合することができる。具体的には、 ニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β メトキシエトキシ)シラン、γ‐メタクリロ シプロピルトリメトキシシラン、ビニルト アセトキシシラン、γ‐グリシドキシプロ ルトリメトキシシラン、γ、グリシドキシプ ロピルトリエトキシシラン、β‐(3,4‐エポキ シシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ 、γ‐クロロプロピルメトキシシラン、ビニ ルトリクロロシラン、γ‐メルカプトプロピ トリメトキシシラン、γ‐アミノプロピル リエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)‐γ アミノプロピルトリメトキシシランなどを 合することができる。

 更に、接着性及び硬化を促進する目的で エポキシ基含有化合物を配合してもよい。 ポキシ基含有化合物の具体例としては、ト グリシジルトリス(2‐ヒドロキシエチル)イ シアヌレート、ネオペンチルグリコールジ リシジルエーテル、1,6‐ヘキサンジオール グリシジルエーテル、アクリルグリシジル ーテル、2‐エチルヘキシルグリシジルエー テル、フェニルグリシジルエーテル、フェノ ールグリシジルエーテル、P‐t‐ブチルフェ ルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリ ジルエステル、ο‐フタル酸ジグリシジル ステル、グリシジルメタクリレート、ブチ グリシジルエーテル等の化合物や、エポキ 基を含有した分子量が数百から数千のオリ マーや重量平均分子量が数千から数十万の リマーを配合することができる。

 そしてさらに、充填材の架橋、接着性、 械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性など 向上させる目的で、アクリロキシ基、メタ リロキシ基又はアリル基含有化合物を添加 ることができる。このような化合物として (メタ)アクリル酸誘導体、例えばそのアル ルエステルやアミドが最も一般的であり、 ルキル基としては、メチル、エチル、ドデ ル、ステアリル、ラウリルのようなアルキ 基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒド フルフリル基、アミノエチル基、2‐ヒドロ シエチル基、3‐ヒドロキシプロピル基、3 クロロ‐2‐ヒドロキシプロピル基などが挙 られる。また、(メタ)アクリル酸とエチレ グリコール、トリエチレングリコール、ポ エチレングリコール、グリセリン、トリメ ロールプロパン、ペンタエリスリトール等 多官能アルコールとのエステルも同様に用 ることができる。アミドとしては、アクリ アミドが代表的である。また、アリル基含 化合物としては、トリアリルシアヌレート トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジ リル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸 アリル等を配合することができる。

 さらには、難燃性を付与するための無機化 物や、耐候性を付与するための紫外線吸収 、酸化劣化防止のための酸化防止剤も種々 配合することができる。
 このように、太陽電池モジュールを構成す エチレン‐酢酸ビニル共重合体は、太陽電 モジュールとして要求される機能を満たす く、各種添加剤を配合した樹脂組成物であ ことが多い。そのため、太陽電池裏面封止 ートと太陽電池モジュールを構成する充填 との接着性を考慮するには、単にエチレン 酢酸ビニル共重合体との接着ではなく、各 添加剤が配合された樹脂組成物に対する接 という認識を持つ必要があり、上述した各 添加剤が、接着に対して有利に働くことも れば不利に働く可能性もあることを考慮す 必要がある。そこで、この充填材であるエ レン‐酢酸ビニル共重合体との密着性を向 させるべく誠意検討を行った結果、以下に 明する易接着コート層が有効であることが 認された。

 本発明者らは、易接着コート層2a,2bとし 、まず「水分散アイオノマー型ポリウレタ 樹脂、そして多官能イソシアネート系化合 、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化 物、一般式(I)で表される構造を有する化合 から少なくとも1種以上から選ばれる架橋剤 さらにポリアクリル酸あるいはその誘導体 配合したコーティング組成物」を用いるこ を検討した。

「水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂」
 水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂は 多塩基酸またはそのエステル形成誘導体と リオールまたはそのエステル形成誘導体を いて得られた「ポリエステルポリオール」 、末端/側鎖に水酸基を有する「アクリルポ リオール」や、ポリエチレングリコール、ポ リプロピレングリコールなどの「ポリエーテ ルポリオール」に、鎖長伸長剤として、トリ レンジイソシアネート、キシリレンジイソシ アネートあるいはその水素添加物、ヘキサメ チレンジイソシアネート、4‐4´ジフェニル タンジイソシアネートあるいはその水素添 物、イソホロンジイソシアネートなどのジ ソシアネート類、あるいはこれらのジイソ アネート類を、トリメチロールプロパンな の多価アルコールと反応させたアダクト体 水と反応させることで得られたビューレッ 体、あるいは三量体であるイソシアヌレー 体などのポリイソシアネート類を作用させ ことによって得られたポリウレタン樹脂の 造中に、水に対する分散性を向上させるべ 水酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボ 酸基、あるいはこれらの塩、などの親水性 能基を有する化合物を共重合させた構造を するものである。これらの親水性官能基は マルジョンとしての分散安定性を付与させ だけでなく、溶剤可溶型のポリウレタン樹 と比較し、各種基材、特にポリエステル基 などとの密着性を向上させることが可能で り、基材密着性という点では、特にカルボ 酸基、スルホン酸基、あるいはこれらの塩 好ましい。

 次に、本発明者らは、この水分散アイオノ ー型のポリウレタン樹脂の皮膜軟化点温度 検討し、皮膜軟化点温度が100℃以上の耐熱 を有するポリウレタン樹脂を用いることと た。
 上述したように、水分散アイオノマー型の リウレタン樹脂は、スルホン酸基、カルボ 酸基、あるいはこれらの塩が構造中に導入 れることで、各種基材に対する密着性を向 させることが可能である。しかしながら、 剤可溶型ポリウレタン樹脂よりも各種基材 の密着性が向上するためには、スルホン酸 、カルボン酸基、あるいはこれらの塩と基 表面の水素結合性、イオン結合性を向上さ る必要があるが、これらの結合は水に対し 弱いといった問題がある。
 そのため、上述した85℃‐85%RHの環境下に保 管しても密着性の低下を伴わないためには、 上記保存環境における皮膜の流動性、あるい は多湿下保存に伴う水の透過の影響を妨げる 分子構造の設計が必要となる。つまり、水分 散アイオノマー型ポリウレタン樹脂の耐熱性 を向上させることが必要であり、このような 観点から、本発明で用いる水分散アイオノマ ー型のポリウレタン樹脂の熱流動開始温度は 100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに 好ましくは180℃以上の耐熱性を有するポリウ レタン樹脂であることが好ましい。

 また、この水分散アイオノマー型のポリ レタン樹脂にさらに耐熱性を向上させると う点で、架橋剤を配合することも好ましい このような架橋剤としては、トリレンジイ シアネート、キシリレンジイソシアネート るいはその水素添加物、ヘキサメチレンジ ソシアネート、4-4´ジフェニルメタンジイ シアネートあるいはその水素添加物、イソ ロンジイソシアネートなどのジイソシアネ ト類、あるいはこれらのイソシアネート類 、トリメチロールプロパンなどの多価アル ールと反応させたアダクト体、水と反応さ ることで得られたビューレット体、あるい 三量体であるイソシアヌレート体などのポ イソシアネート類、あるいはこれらのポリ ソシアネート類をアルコール類、ラクタム 、オキシム類などでブロック化させたブロ クポリイソシアネート類を用いることが可 である。さらには、アイオノマー型ポリウ タンの親水性基を利用した各種架橋剤も用 ることが可能であり、例えば、エポキシ系 合物、メラミン系化合物、あるいは一般式(I )で表される構造を有する化合物が挙げられ 。

 具体的には、ビニルトリエトキシシラン ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラン 、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシ ラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ‐ リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチル リメトキシシラン、γ‐クロロプロピルメト キシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ‐ ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β( ミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメト シシラン、γ‐イソシアナートプロピルト エトキシシランなどの各種シランカップリ グ剤などが挙げられる。

 特に、これらの一般式(I)で表される構造 有する化合物を配合すると、太陽電池用充 材のEVAに配合されている各種添加剤、例え シランカップリング材などと作用すること 期待され、コート材と充填材であるEVAとの 着性向上に期待される。これらの架橋剤の 合量は、水分散アイオノマー型のポリウレ ン樹脂100部に対し0.1~10部が挙げられる。0.1 より少ないと架橋剤添加の効果が得られに い。また10部より多いと、添加剤のタイプ よっては著しくコート剤としてのポットラ フを短くさせてしまう。

 しかしながら、これだけでは耐湿熱密着性 足りないという現状に関し、本発明者らは に鋭意検討を行った結果、易接着コート層2 a,2bの組成を以下のように規定することで、 しくこの耐湿熱密着性能が向上することを 出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明における易接着コート層2 a,2bは、皮膜軟化点温度100℃以上の水分散ア オノマー型ポリウレタン樹脂100質量部に対 、多官能イソシアネート系化合物、多官能 ポキシ系化合物、メラミン系化合物、上記 般式(I)で表される構造を有する化合物から 少なくとも1種以上選ばれる架橋剤を0.1~10質 部配合し、さらにポリアクリル酸あるいは の誘導体を0.1~10質量部の範囲で配合したコ ティング組成物であることとした。

 このような材料としては、モノマーとし (メタ)アクリル酸を主成分とし、アルキル としてメチル基、エチル基、n‐プロピル基 i‐プロピル基、n‐ブチル基、i‐ブチル基 t‐ブチル基、2‐エチルヘキシル基、シク ヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレー ト系モノマーを共重合させたポリマー、さら には、(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル( タ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキル(メタ) クリルアミド(アルキル基としては、メチル 、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル 、n‐ブチル基、i‐ブチル基、t‐ブチル基 2‐エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等) 、N‐アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N‐ ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコ キシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、 ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N‐メチロ ル(メタ)アクリルアミド、N‐フェニル(メタ )アクリルアミドなどのアミド基含有モノマ 、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート 2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート どの水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ) アクリレート、アリルグリシジルエーテル等 のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリ キシプロピルトリメトキシシラン、(メタ) クリロキシプロピルトリエトキシランなど シラン含有モノマー、(メタ)アクリロキシプ ロピルイソシアネートなどのイソシアネート 基含有モノマーを共重合させたものが挙げら れる。このようなポリアクリル酸あるいはそ の誘導体の中で最も好ましいのは、ポリアク リル酸のナトリウム塩あるいはアンモニウム 塩であり、特にナトリウム塩が好ましい。

 このポリアクリル酸のナトリウム塩ある はアンモニウム塩の効果は下記のように推 される。まず、水分散アイオノマー型ポリ レタン樹脂のさらに架橋剤として働いてい 可能性がある。ポリアクリル酸のカルボキ ル基と水分散アイオノマー型ポリウレタン 脂中のカルボキシル基がフリーの酸として 在している場合(このケースはアンモニウム 塩)、会合水素結合による架橋構造を形成し いると推測される。また、カルボキシル基 ナトリウムイオンによる塩として存在して る場合、ナトリウムイオンを核としたクラ ター型架橋形態を形成していると考えられ 。

 このように塗膜の架橋密度が高くなって る点だけでなく、ポリアクリル酸自体のガ ス転移温度(Tg)が高いので、拘束点(ポリア リル酸添加量が少ないので、樹脂型架橋点 形成していることになる)の耐熱性も高いこ が、耐湿熱密着性の向上につながると考え れる。また、架橋構造の耐熱性という点で 、上記会合水素結合タイプよりはクラスタ 型架橋構造の方が耐熱性あるので、結果的 ポリアクリル酸のナトリウム塩が好ましい 果になっていると判断される。その他、ポ アクリル酸のナトリウム塩やアンモニウム を用いる効果については別途後述するが、0 .1質量部より少ないと、耐湿熱密着性の改善 果が低く、10質量部より多いと、この組成 をウェットコーティング法により塗工する 程での加工性が低下する。

 また、水分散アイオノマー型ポリウレタン ガラス転移温度(Tg)は50℃以下が好ましく、 り好ましくは30℃以下である。ガラス転移 皮膜軟化とは異なる現象であり、皮膜軟化 度がポリウレタンの分子量に起因するもの ある一方で、ガラス転移温度は分子骨格の 分に起因するものである。つまり、このよ にすることで、低温でミクロブラウン運動 どの分子運動を起こしやすくしながら、分 量を大きくすることで耐熱性を付与させる とができる。
 また、充填剤であるEVAとの接着は、熱圧着 よるラミネートであることから、接着に寄 すると考えられる分子間の相互作用を誘発 せるためにも、このラミネート時の熱圧着 度において分子運動性を発現しやすくさせ 骨格を用いていたほうが好ましい。
 つまり、熱接着のように接着を伴う場合に 、ガラス転移温度の低い(分子運動しやすい )分子構造的特長を生かし、耐湿熱密着性が められる高温長時間環境においては、熱に る皮膜流動を伴わない分子設計(分子量を大 く)をすることが必要である。

 しかしながら、ガラス転移温度が50℃以 、好ましくは30℃以下の水分散アイオノマー 型ポリウレタンを用いると、例えば太陽電池 裏面封止フィルムの製造工程、あるいは裏面 封止フィルムをシート状に断裁して積層させ る工程の際に、ブロッキングの恐れが生じる 。そのため、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の 水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐1)と ガラス転移温度(Tg)が50~80℃の範囲である水 散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐2)で、 の配合比(質量比)が(PU‐1)/(PU‐2)=50/50~99/1の 囲のものが好ましい。(PU‐2)の配合比が1よ 少ないと、耐湿熱密着性能は得られるがブ ッキングの恐れがある。(PU‐2)の配合比が50 り多いと上述したラミネート時の熱・圧に ける接着特性が発現しにくく、初期の密着 度が得られにくい。好ましくは70/30~90/10の 囲である。

 また、水分散アイオノマー型ポリウレタン 設ける基材3a,3bとして未処理のポリエステ 基材を用いることが好ましい。このことは 従来まで公知技術となっているコロナ処理 施した各種基材の密着向上とは逆の発想と る。
 本発明らは、易接着コート2a,2bの耐湿熱密 性とは、どの部分の密着性なのか、という とから検討し、ポリウレタン系コート剤は 填材であるEVAとは良好な接着性が期待され ことから、充填材であるEVAとの密着改善を たした場合、次に密着が懸念される所は易 着コート層2a,2bと易接着コート層2a,2bを設け 基材3a,3bとの密着性であることに着目した

 上述したように、従来はコロナ処理など 各種処理を施すことで、色々なタイプのコ ティング剤の塗工性、密着性に改善を図っ きた。しかし、コロナ処理を施した基材と 各種密着性の向上は、接着機構として水素 合を利用したタイプであり、この結合様式 水・熱に対し非常に弱いタイプである。つ り、易接着コート層2a,2bと基材3a,3bとの密着 性を更に向上させるために検討を行った結果 、未処理のポリエステル基材を用いることで 、コロナ処理などの各種処理を施した基材よ りも大幅に耐湿熱密着性を向上させることが 可能となった。そのため、分子間力や双極子 相互作用など、耐水・耐熱に優れる接着機構 を用いることが要点として挙げられる。

 しかしながら、このような接着機構を用 る場合は、未処理のポリエステル基材と易 着コート層2a,2bが、ウェットコーティング より塗工される際の濡れの状態で大きく影 を受ける。水分散アイオノマー型ポリウレ ンは水溶性(分子レベルで溶解している状態) ではなく、ポリウレタン樹脂の微細粒子が水 に分散されている状態であり、特に水分散タ イプの場合は、基材への濡れの状態で接着特 性が大きく影響を受ける。

 溶媒が水であるコーティング剤を、未処 のポリエステルフィルム(例えば表面張力と して38~50mN/m)に塗工する場合は、アルコール 、ケトン類などの比較的水になじみやすい 媒を用いるが、特にレベリング剤を配合す ことが好ましい。レベリング剤はフッ素系 塩素系やシリコン系などが代表的であるが これらのレベリング剤は接着特性に影響を える。より好ましくは、アセチレンジオー あるいはアセチレンジオールのエチレンオ サイド付加物が挙げられ、上述してきた組 物から構成される易接着コートの塗液の状 で10~10000ppm程度の配合、さらに好ましくは100 ~5000ppmの間で好適に使用される。10ppmより少 いと塗工性に劣り、10000ppmより多いと塗液の 状態におけるレベリング剤の分散安定性に劣 る。

 以上説明したように、太陽電池用裏面封止 シート1A,1Bとして、充填剤であるEVAの耐湿 密着性を向上させるため、EVAへの密着性の 点、基材3a,3bとの密着性の観点から検討した 結果、易接着コート層2a,2bを形成する樹脂組 物について要点をまとめると、以下の通り ある。
[要点1]
 皮膜軟化点温度100℃以上の高分子量であり ガラス転移温度(Tg)が50℃以下である水分散 アイオノマー樹脂が好ましく、このような 分散型アイオノマー樹脂に対し、架橋剤、 リアクリル酸の好ましくはナトリウム塩を 合し、充填材であるEVAとの密着性を向上さ ながらも、促進試験のような高温多湿化に ける環境でも熱流動を伴わない耐熱性を有 る組成物を用いる。
[要点2]
 このようなコーティング組成物からなる易 着コート層2a,2bを、未処理のポリエステル 材(基材3a,3b)に設ける。その際、未処理のポ エステル基材への塗工性を向上させるため 、アセチレンジオールあるいはアセチレン オールのエチレンオキサイド付加物を配合 、膜の塗膜密着性を向上させる。

 このような材料設計を行うことで、耐湿 密着性に優れる易接着コート層2a,2bを設け ことが可能であるが、一点課題が生じる。 れはガラス転移温度(Tg)が50℃以下である水 散型アイオノマー樹脂を用いていることか 、ブロッキングの影響があるということで る。その対策として、水分散アイオノマー ポリウレタンが、ガラス転移温度(Tg)が50℃ 下の水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU 1)と、ガラス転移温度(Tg)が50~80℃の範囲であ る水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐2) 混合物からなり、質量比が(PU‐1)/(PU‐2)=50/5 0~99/1に配合されていることでブロッキング防 止効果を得ることが可能である。

 さらにブロッキング防止効果を向上させ い場合には、シリカ、炭酸カルシウム、硫 バリウム、アルミナなどの各種無機フィラ 系ブロッキング防止剤、あるいはステアリ 酸やエルカ酸などの脂肪酸のアミド誘導体( 脂肪酸アミド、アマイド)などを配合するこ が挙げられる。

 また、易接着コート層は塗膜の塗工面状を れさせて、図2Aに示すような形状の塗膜2dを 備えた易接着コート層2eとすることで、ブロ キング防止効果を付与することが可能であ 。塗膜2dの平面形状は、例えば、図2Bに示す ようなドット状、図2C、図2Dに示すようなス ライプ状に形成することができる。
 図3A~図3Cに示すように、例えば易接着コー 2bをロール状で塗工・巻取りを行った場合は 、図3Aに示すように、フラットな塗膜2cでは 易接着コート層2bは最外層9と全面で接触す が、図3Bに示すように、塗工面状のあれた塗 膜2dの場合、基材3cに設けられた易接着コー 2eと、最外層9aとの接点は、易接着コート層2 eの頂点部(α)で接するのみであり、全体で密 している状態と比較し接触面積率が小さい め、巻取り段階やシート積層状態での、易 着コート2eを塗工した反対側面とのブロッ ング防止効果を得ることが可能である。一 、EVAとの密着に関しては、熱や圧により熱 ミネートする形になるため、図3Cに示すよう に、EVA(充填材14)側がこの易接着コート2eの塗 工面状に合わせ密着することが可能である。

 この塗工面状を形成するには、例えば、 一平面に設けた易接着コート層2eをウェッ 段階で縦筋などを設ければよく、塗液の溶 粘度を50~500mPa・Sの範囲、より好ましくは100~ 300mPa・Sの範囲で、かつチクソトロピック粘 を示すような状態にさせることで、易接着 ート2eを塗工する版の版目を利用した塗膜面 状を形成することが可能となる。つまり上記 粘度の範囲では、乾燥温度の熱を利用しても レベリングしにくい状態であるため、グラビ アコートのケースでいえば、斜線版の場合は 塗工した際に斜めストライプ状易接着コート を設けることが可能であり、またメイヤーバ ーコートのように一度ウェットで塗工したコ ート剤をワイヤーロッドで引く(ならす)場合 は、流れ方向にストライプ状筋を形成する が可能になる。

 易接着コート2a,2b,2eを設ける方法は特に 定されることはなく、グラビアコート、リ ースコート、ロールコート、ダイコート、 ンマコートなどの各種コーティング方式に 設けることが可能であり、通常の乾燥工程 るいは、必要に応じては熱硬化工程を通し も構わない。また、ポリエステル樹脂を溶 状態で押出し、冷却ロールで冷却すること フィルムを製膜した後に易接着コート層を け、その後、二軸延伸/熱固定の工程を行な ことで、ポリエステル基材に易接着コート を設けることも可能である。そして図2A~図2 Dに示したような塗工面状を形成する方法は ブロッキング対策として必要であると判断 れた場合に設けることが可能であり、上記 容に順ずる形態で塗工面状を形成する事が 能なプロセスが有れば、その方法に制約を けない。

 易接着コート層2a,2b,2eは、0.5~10g/m 2 の範囲で設けることが好ましく、より好まし くは5~10g/m 2 の範囲である。耐湿熱密着性能を向上させる ためには極力厚く設けたほうが好ましく、0.5 より少ないと密着性能が得られない。10g/m 2 以上でも構わないが、接着特性という点では 機能飽和に達しており、それ以上多く設ける ことは、コーティング工程のハンドリング性 が著しく低下する。よって加工性と機能性の 両立を考慮すると上記範囲に入る。溶液粘度 は50mPa・S以下でも構わないが、厚く塗工した い場合には粘度が低すぎると、安定した塗膜 重量を得ることが困難になる。500mPa・Sより いと、粘度が高くなりすぎて加工性に劣る 同時に、コーティング工程でエア噛みに伴 外観不良を伴う恐れがある。ちなみに上述 たポリアクリル酸のナトリウム塩やアンモ ウム塩は水系塗料のアルカリ増粘剤として 用するケースがあり、10質量部より多い配合 は、接着機能面では有利に働くかもしれない が、塗液粘度ガ高くなりすぎて、加工が困難 になる恐れがある。
 このような易接着コート層2a,2b,2eを設ける とで、太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cと太 陽電池モジュールの充填材との接着性を向上 させることが可能である。

 これらの易接着コート層2a,2b,2eを設ける 材3a,3b,3cとしては、フッ素系樹脂、ポリオレ フィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリア ミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ アリレート系樹脂などが挙げられるが、耐熱 性、強度物性、電気絶縁性などを考慮すると ポリエステル系樹脂、特に二軸延伸のポリエ ステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹 脂としては、多塩基酸またはそのエステル形 成誘導体と、ポリオールまたはそのエステル 形成誘導体を用いて得られたものである。多 塩基酸成分として、テレフタル酸、イソフタ ル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6‐ナフタ レンジカルボン酸、1,4‐シクロヘキサンジカ ルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメ リット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、マ レイン酸、イタコン酸などの酸成分を2種以 、そして、ポリオール成分としてエチレン リコール、1,4‐ブタンジオール、ジエチレ グリコール、ジプロピレングリコール、1,6 ヘキサンジオール、1,4‐シクロヘキサンジ タノール、トリメチロールプロパン、ペン エリストール、キシレングリコール、ジメ ロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グ リコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グ コール、さらにはカルボン酸基やスルホン 基やアミノ基あるいはこれらの塩を含有す ポリオール成分を1種あるいは2種以上用い ことで得られたポリエステルが挙げられる 、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ トなどの汎用的なポリエステルを用いるこ が可能である。これらの基材において、上 したように易接着コート2a,2b,2eを塗工する面 は未処理のほうが好ましい。

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cは、太 電池モジュールを保護する目的であるとの 点から、充填材であるEVAの密着だけでなく スバリア性を考慮し、少なくとも上述した 接着コート層2a,2b,2eを設けたポリエステル基 材を必須成分とする多層構成であることが好 ましい。そして、ガスバリア性という面では 、太陽電池裏面封止用シート1Bのように、無 化合物蒸着層5bを設けたガスバリア性基材6 用いることが好ましい。

 無機化合物としては、酸化アルミニウム 酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸 インジウムあるいはこれらの複合酸化物な が挙げられ、透明で、かつ酸素、水蒸気等 ガスバリア性を有するものであればよい。 の中では、特に酸化アルミニウム及び酸化 素が好ましい。

 ガスバリア性基材6の厚さは、用いられる 無機酸化物の種類・構成により最適条件は異 なるが、一般的には5~300mの範囲内が望ましく 、その値は適宜選択される。膜厚が5mlより薄 いと均一な膜が得られず、かつ、バリア機能 を発現させるための十分な膜厚でない。膜厚 が300nmより厚い場合は薄膜の柔軟性にかけ、 的応力により用意に亀裂を生じるおそれが る。好ましくは、10~150mの範囲内である。こ れらの蒸着層を設ける方法としては、通常の 真空蒸着法により形成することができるが、 その他の薄膜形成方法であるスパッタリング 法やイオンプレーティング法、プラズマ気相 成長法(CVD)などを用いることも可能である。 た、必要に応じては更なるガスバリア性の 上という点から、上記無機化合物の蒸着層 に、エチレン‐酢酸ビニル共重合体の部分 るいは完全けん化物とシラン化合物からな オーバーコート層5aを設けることもできる これらのオーバーコート層5aは主にグラビア コートなどの手法により設けることが可能で ある。

 上述してきた易接着コート層2a,2b,2eを設け ことで、充填材であるEVAとの耐湿熱密着性 向上し、85℃‐85%RH環境では3000h、PCT評価で 200hを保つことが可能になる。しかしながら そこまで過酷な評価を行うと太陽電池裏面 止用シート1A,1B,1C自体が破損する恐れがあ 。そのため、上記過酷な保存環境において 、耐候性あるいは耐加水分解性を有する基 を用いることが好ましい。
 このような材料としては、ポリエチレンテ フタレート(PET)、ポリエチレンナフタレー (PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ シクロヘキサンジメタノールーテレフタレ ト(PCT)から選ばれるポリエステル基材、ポ カーボネート系基材、ポリフッ化ビニル(PVF) 、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロト リフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテ ラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフル ロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン ーフルオロアルキルビニルエーテル共重合 (PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフル オロプロピレン共重合体(FEP)から選ばれるフ 素系基材、あるいはこれらフッ素系基材の クリル変性物から選択することができる。

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cの材質 して、二軸延伸のポリエステル基材、例え ポリエチレンテレフタレートを用いる場合 は、特に制限はないが、太陽電池裏面封止 シート1A,1B,1Cとして必要とされる要求機能に 応じた材料選定を行うことが可能である。例 えば、太陽電池モジュールを製造する際の熱 で収縮の影響が懸念される場合には、アニー ル処理を施すことによって熱収縮率を1%以下 好ましくは0.5%以下にしたポリエステル基材 を用いることが可能である。また、耐候性が 要求される場合には、ベンゾフェノン、ベン ゾトリアゾール、トリアジンなどの紫外線吸 収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イ オウ系、トコフェロール系の酸化防止剤、ヒ ンダードアミン系の光安定剤も適宜配合する ことが可能である。また耐候性という点でポ リエステル基材の加水分解が懸念される場合 には、数平均分子量が18000~40000の範囲で、環 オリゴマーコンテントが15wt%以下、好まし は0.5wt%以下、固有粘度が0.5dl/g以上のポリエ テル基材を用いることが好ましい。

 また、ポリエステル分子末端がカルボン 基の場合、熱、水、さらには酸触媒として 作用が働き、加水分解に最も影響を受ける め、この末端カルボン酸量を上昇させるこ なく数平均分子量を増加させることが可能 固相重合法、あるいは末端カルボン酸基を ルボジイミド系化合物、エポキシ系化合物 オキサゾリン系化合物により封止する方法 用いることができる。しかしながら、上述 た熱収縮率や耐候性という点では、太陽電 モジュールとして要求される機能に応じて リエステル基材を選択することが可能であ が、これらに限定されるわけではなく、ご 一般的な汎用のポリエチレンテレフタレー などのポリエステル樹脂を基材として用い ことが可能である。これらの基材は易接着 ートを塗工する基材3a,3b,3cに用いても、ガ バリア基材6の基材としても用いることが可 である。

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cに用い れる基材は透明でも構わないが、太陽電池 子の発電効率を向上させるという点から、 色フィルムを用いることが好ましい。特に 陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cが多層構成か ら成る場合には、少なくとも充填材と貼り合 わされる基材には白色フィルムを設けること が挙げられる。また、黒色顔料(例えばカー ンブラックなど)を用いた黒色フィルムを使 することもできる。

 白色フィルムに関しては、酸化チタン、シ カ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリ ム等の白色添加物を添加する「顔料分散タ プ」、あるいはポリエステルフィルムの場 には非相溶なポリマーや微粒子を添加し、 軸延伸時にブレンド界面で空隙を形成させ ことで白色化させる「微発泡タイプ」など 用いることが可能である。
 「微発泡タイプ」において、ポリエステル 対し非相溶なポリマーとしては、ポリエチ ン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメ ルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂が ましい。必要に応じて、ポリアルキレング コールまたはその共重合体などを、相溶化 として使用することが可能である。微粒子 具体例としては、有機粒子や無機粒子が挙 られ、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架 スチレンージビニルベンゼン共重合体粒子 架橋ポリエステル粒子、フッ素系粒子など 使用される。また、無機粒子としては、炭 カルシウム、二酸化珪素、硫酸バリウムな が使用される。

 この易接着コート層2a,2b,2eを設けた基材3a ,3b,3cを含め、各種基材を積層、貼り合わせる 際には、ウレタン系の接着剤などを用いて、 ドライラミネートなどの公知手法により積層 させることが可能である。このようにして、 太陽電池モジュールの充填材であるエチレン ‐酢酸ビニル共重合体系樹脂組成物に対して 良好な密着性を有する、太陽電池裏面封止シ ート1A,1B,1Cを得ることが可能である。

<太陽電池モジュール>
 次に、図4に示す本発明を適用した太陽電池 モジュールMについて説明する。
 この太陽電池モジュールMは、図4に示すよ に、ガラス板11と、配線12を配設した光起電 素子としての太陽電池セル13と、太陽電池 面封止シート1A(または1B、1C)と、充填材14a,14 bと、枠体(スペーサー)15とを備え、枠体(スペ ーサー)15によって固定されたガラス板11と太 電池裏面封止シート1A(または1B、1C)との間 気密に封止されると共に、封止された空間 に太陽電池素子13を配置した状態で充填材14 充填された構造を有している。

 太陽電池モジュールMは、図5に示すように ラミネーター16と呼ばれる装置でバッチ式に 製造され、その方法は以下の通りである。
[S1]加熱された天板10(およそ120~160℃)上にガラ ス板11、充填材14b、太陽電池セル13、充填材14 b、太陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C) をセットする。
[S2]チャンバー17a,17bを真空引きする。
[S3]チャンバー17aを大気開放し、耐熱性を有 るゴムシート18を太陽電池モジュールMに密 させる。
[S4]その熱/圧力で充填材14a,14bであるエチレン 酢酸ビニル共重合体を溶融、太陽電池セル13 包埋、ガラス板11/太陽電池セル13/太陽電池 面封止用シート1A(または1B、1C)と接着、充 材14a,14bの架橋・固化させる。

 この時[S4]の工程では、ラミネート後に別 ラインに設けたオーブンにて架橋反応をさせ るケースと、ラミネーター16内部で架橋反応 させるケースとに分類される。前者はスタ ダードキュアといわれるタイプで、後者は ァストキュアといわれるタイプである。そ ぞれのタイプでメリット/ディメリットを有 するが、ファストキュアの場合はスタンダー ドキュアよりも熱をかける時間が短いため、 太陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C)の 着に影響を与える可能性があるが、上述し 易接着コート2a,2b,2eを用いることでEVAのタ プによる密着不良を改善することが可能で る。

 この太陽電池モジュールMに、本発明の太 陽電池裏面封止シート1A(または1B、1C)を用い ことで、高温多湿下においても熱融着性フ ルムと太陽電池裏面封止用シート1A(または1 B、1C)の密着性の低化を伴うことがないこと ら、ディラミネーションに伴う外観不良だ でなく、裏面封止用シートとしてのバリア 性や太陽電池としての電気出力特性を維持 ることが可能となる。

 以下、本発明について実施例を挙げて説 するが、以下の実施例に限定されるもので ない。

《易接着コートの設計・評価》
 易接着コート層を設けるポリエステル基材 易接着コート層の組成について、以下のよ に設計した。

[易接着コート層を設けるポリエステル基材]& lt;基材‐1>
 固相重合法により得られた耐加水分解性ポ エチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm :東レ株式会社製)を基材として用いた。この 材のオリゴマーコンテントは0.5wt%、数平均 子量は19500、固有粘度は0.7dl/gである。この 材はコロナ処理を施している。
<基材‐2>
 固相重合法により得られた耐加水分解性ポ エチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm :東レ株式会社製〉を基材として用いた。こ 基材のオリゴマーコンテントは0.5wt%、数平 分子量は19500、固有粘度は0.7dl/gである。こ 基材はコロナ処理を施していない。
<基材‐3>一般ポリエチレンテレフタレー トフィルム(厚さ188μm:東レ株式会社製)を基材 として用いた。

[易接着コート層の組成]<PU‐1>
 皮膜流動開始温度が180℃でガラス転移温度( Tg)=25℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン 樹脂(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<PU‐2>
 皮膜流動開始温度が180℃でガラス転移温度( Tg)=55℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン 樹脂(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<PU‐3>
 皮膜流動開始温度が95℃でガラス転移温度(T g)=25℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン 脂(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐1>水系ウレタン用ポリイソシアネ ート(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐2>水系コーティング剤用エポキシ 化合物(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐3>ブチル化メラミン系化合物(大 本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐4>β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシ ル)エチルトリメトキシシラン(アズマックス )を用いた。
<PAA‐1>ポリアクリル酸ナトリウム塩(東 合成株式会社製)を用いた。
<PAA‐2>ポリアクリル酸アンモニウム塩( 亜合成株式会社製〉を用いた。
<レベリング剤>アセチレンジオールのエ レンオキサイド付加物(エアープロダクツ社 製)を用いた。
<アンチブロッキング剤>二次粒子径10~50μ mの範囲のシリカパウダーを用いた。

[コーティング組成物の作製]
 表1に示す配合処方になるように材料を配合 して、試料1~15からなるコーティング組成物 作製した。

 調整方法は、所定量秤量した水分散アイオ マー型ポリウレタン樹脂を、ポリアグリル 塩の水溶液を用いて希釈するという考え方 、コーティング組成物中の固形分を調整す 。その後、撹搾しながら架橋剤を所定量配 し、最後にレベリング剤やアンチブロッキ グ剤などの助剤を配合した。今回の実施例 は全ての構成でレベリング剤を配合してい 。
 溶液粘度は100~200mPa・Sに調整した。レベリ グ剤は塗液の状態で1000ppm、アンチブロッキ グ剤を配合する場合は、固形分に対し3000ppm 配合した。

[コーティング組成物の塗工]
 試料1~12については、マイクログラビアを用 いて、ドライ塗布量が5~6g/m 2 になるように塗工した。
 その際、マイクログラビアの比率を1.2~1.3に 調整し、塗工面状がフラットになるようにし た。その後、150~160℃で乾燥焼付けを行った 実施例13~15についてはメイヤーバーコーター を用いて同様にドライ塗布量が5~6g/m 2 になるように塗工した。この時の塗工面状は 、あえてバーのワイヤーロッド筋が流れ方向 にストライプ状に現れるように塗工した。そ して同様に150~160℃で乾燥焼付けを行った。 ンプル形態は図5の状態である。

[評価サンプルの作製]
 太陽電池モジュール用充填剤として、ファ トキュアタイプのエチレン‐酢酸ビニル共 合体系樹脂組成物を用いた。基礎評価であ ため、太陽電池セルは用いず、直接A4サイ の強化ガラス上に、同じサイズで厚さ600μm 上記エチレン‐酢酸ビニル共重合体シート 乗せ、さらにその上に裏面封止用シートの 部となる易接着コート塗工基材を設けた。 前に40℃で3分予備加熱を行った後、150℃で 空引き6分、圧着8分の条件、圧力1気圧でラ ネートを施した。このサンプルを下記評価 用いた。

[耐湿熱密着性評価]
 上記サンプルのラミネート直後および85℃ 85%RH環境で初期、500、1000、1500、2000、2500、30 00時間促進試験を行った時のラミネート強度( 15mm幅)をテンシロンにてクロスヘッドスピー 300mm/minで測定した。
3000時間保管で1N/15mm以上の強度が出ているも を◎、2000hで1N/15mm以上の強度が出ているも を○、それ以外は×とした。合格点は○以 である。

[ブロッキング防止効果]
 易接着コート層を設けたポリエステルフィ ム単品で評価を行った。このフィルムの状 は、「ポリエステルフィルム/易接着コート 」という層構成をなしている。この100×100mm イズにカットしたサンプルを、「ポリエス ルフィルム/易接着コート」/「ポリエステル フィルム/易接着コート」/・・・となるよう 10枚重ね合わせ、異なるカットサンプル間 ブロッキング状態(上記下線部位)をブロッキ ングテスターにより評価した。荷重は10kg/cm 2 であり、保存環境は60‐5日間である。剥離す るときに剥離音がするサンプルは×とし、そ 剥離音や密着状況に応じて△、○、◎とし (◎は剥離音まったくせず)。この評価は×で も実用上問題がないレベルであるため、後述 する総合評価を出すための参照データとする 。

[封止材の耐久性評価]
 上述したサンプルは、太陽電池裏面封止シ トの一部をなすものであり、耐湿熱密着性 良くても部材が破壊するようでは問題があ 。そこで、上記耐湿熱密着性の評価を行う あたり、測定が可能か、基材が破壊される の判断を行った。少なくとも2000h測定が可 なサンプルには○、2000hで基材破壊のサンプ ルは耐久性が無いとして×とした。合格は○ ある。

[総合評価]
 上記評価結果の合格・不合格を全体的に評 したものである。ただし、一番比重として きいのは耐湿熱密着性であり、ブロッキン ・耐久性が○でも湿熱密着性能が×のとき 、総合評価×である。湿熱密着性能が△以上 であれば、あとはブロッキング性・耐久性と いった付加機能を組み合わせることで、○、 △、×評価を行った(つまり、耐ブロッキング 性能や耐久性は、他の改良案で対処可能な性 能であるが、耐湿熱密着性については代替と なる手法が無いため)。総合評価で△以上で れば合格とした。
 以上の結果を、表2に示す。

 試料1は比較例1であるが、当初の目標レ ルであった1000hまでは耐湿熱密着性能は維持 しているが、それ以降では強度低下が確認さ れる。それに対し、ポリアクリル酸ナトリウ ムを配合することで、500~1000hの延命効果が認 められる(実施例1)。さらに、コロナ処理無し の基材を用いることで3000hまでの密着性能を 現することが可能になった(実施例2)。この とは、ポリアクリル酸アンモニウムや他の 橋剤を用いても同様な挙動が確認されてい (実施例3~5)。またポリアクリル酸ナトリウ の配合比や水分散アイオノマー型ポリウレ ンの皮膜流動開始温度の影響も大きいこと わかる(比較例2,3)。

 一方、付加機能としての耐ブロッキング という点では、ガラス転移温度(Tg)が高い材 料を配合することで改善傾向が認められるが 、入れすぎては密着性能が得られないという 結果が確認されている(実施例6、比較例4)。 ういった意味でアンチブロッキング剤の配 や塗工面状の検討を行うことも有効な手段 あることがわかり、これらの組合せ効果が も好ましいことがわかる(実施例7~10)。しか ながら、もっとも好ましい実施例15の構成で も、基材の耐候性がないと2000hまで持たない で、結局総合評価として△になってしまう とも確認された。

《太陽電池モジュールとしての評価》[太陽 池裏面封止用シートに用いる基材]<最外フ ィルム層>
 厚さ50μmの「顔料分散タイプ」白色ポリエ レンテレフタレートフィルム(東レ製)を用い た。このポリエステルフィルムは、基となる 材料は上述した固相重合により耐加水分解性 を向上させたポリエステル樹脂を用いている 。このフィルム基材を一番最外装フィルム基 材として用いた。また、溶媒キャスト法によ り得られたポリフッ化ビニルフィルムの白色 タイプ(PVF:25μmデュポン社製)も最外装フィル 基材として用いた。
<ガスバリア層>
 厚さ12μmの通常の二軸延伸ポリエチレンテ フタレートフィルムにPVD法でアルミナ蒸着 を20m、さらにオーバーコート層としてエチ ン‐酢酸ビニル共重合体の完全けん化物に ラン化合物からなるコーティング層を1μm設 た。この基材をガスバリア基材として用い 。

[太陽電池裏面封止用シートの作製]<最外フ ィルム層>/<ガスバリア層>/<試料1~15 いずれか>の積層状態になるように、ウレ ン系接着剤{ポリエステル系主剤+(イソホロ ジイソシアネート/キシリレンジイソシアネ ート)系硬化剤}にてドライラミネート手法に りラミネートを行った。得られた積層体は5 0℃環境下で96時間工一ジングを施した。
 このサンプルを太陽電池裏面封止用シート して用いた。サンプルの形態は図1(b)に示し たものと同じである。

[太陽電池モジュールの作製]
 続いて、これらのサンプルを用いて、図4に 示すような太陽電池モジュールMを作製した 太陽電池モジュール用充填剤として、ファ トキュアタイプのエチレン‐酢酸ビニル共 合体系樹脂組成物を用いた。太陽電池セル 多結晶系シリコンのものを用いた。A4サイズ の強化ガラス上に、同じサイズで厚さ600μmの 上記エチレン‐酢酸ビニル共重合体シートで 挟み込んだセルを乗せ、さらにその上に裏面 封止用シートを設けた。事前に40℃で3分予備 加熱を行った後、150℃で真空引き6分、圧着8 の条件、圧力1気圧でラミネートを施した後 に、アルミフレームによる枠組みと端子ボッ クスの取り付けを行った。

「出力特性の評価」
 上記サンプルのラミネート直後および85℃ 85%RH環境で3000時間促進試験を行った時の電 出力特性をJIS‐C8913に従い測定し、上記保存 評価前後の最大出力の変化率が80%以上の場合 に合格とした。

<実施例12>
 最外層が白色ポリエステルフィルムで、易 着コートを塗工した基材が試料14のケース は、3000h保存後の耐湿熱密着性は試料14と同 の評価結果であり、電池出力特性は94%を保 ていた。

<実施例13>
 最外層が白色ポリフッ化ビニルフィルムで 施例12と同様に評価した結果、3000h保存後の 耐湿熱密着性は試料14と同等の評価結果であ 、電池出力特性は90%を保っていた。

<比較例5>
 最外層が白色ポリエステルフィルムで、易 着コートを塗工した基材が試料1のケースで は、3000h保存後の耐湿熱密着性は試料1と同等 の評価結果であり、2500hでは浮きが発生して た。この状態での電池出力特性は80%を下回 ていた。

 以上の結果から、本発明の太陽電池裏面 止用シートは、エチレン‐酢酸ビニル共重 体の種類を問わず、85℃‐85%RHという過酷な 環境下で3000h経過しても密着性の低化を伴う とがないことから、ディラミネーションに う外観不良だけでなく、裏面封止用シート してのバリア特性や太陽電池としての電気 力特性を維持できることが示された。

 本発明は、太陽電池モジュールを構成す 充填材との密着性が高く、保存経時安定性 優れた太陽電池裏面封止用シート、並びに の太陽電池裏面封止用シートを用いた太陽 池モジュールに適用できる。