Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
SOLDER ALLOY AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075314
Kind Code:
A1
Abstract:
A lead-free solder alloy is provided which has bonding reliability and eliminates the problem that conventional lead-free solder alloys are inferior in bond strength to lead-containing solder alloys. The solder alloy is characterized by being obtained through the addition of a given amount of carbon to a lead-free solder material in an environment having a high temperature in the range of 800-1,200°C. Also provided is a process for producing a solder alloy characterized by comprising: a melting step in which a metal-melting furnace for high temperatures into which a lead-free solder material has been charged is heated to a high-temperature environment in the range of 800-1,200°C to melt the lead-free solder material; a carbon addition step in which a given amount of carbon is added to the lead-free solder material which has been melted in the melting step and is held in the high-temperature environment (melted lead-free solder material); a stirring step in which the melted lead-free solder material and the carbon are stirred; and a cooling step in which the resultant mixture obtained in the stirring step by stirring the melted lead-free solder material and the carbon is poured into a casting mold to cool and solidify the mixture.

Inventors:
IJICHI YOSHIHITO (JP)
OHSHIMA KENICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072480
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 11, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SHIROGANE CO LTD (JP)
UNIV TSUKUBA (JP)
IJICHI YOSHIHITO (JP)
OHSHIMA KENICHI (JP)
International Classes:
C22C1/02; B23K35/26; C22C13/00
Foreign References:
JP2006102810A2006-04-20
JP2007237212A2007-09-20
Attorney, Agent or Firm:
YOSHITAKE, Kenji et al. (Room 323 Fuji Bldg., 2-3, Marunouchi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 05, JP)
Download PDF:
Claims:
 ハンダ合金であって、無鉛ハンダ材料に、高温環境下で所定量の炭素を添加させた
ことを特徴とするハンダ合金。
 前記ハンダ合金において、前記高温環境が800~1200℃の温度範囲内にある
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 前記所定量の炭素量が0.01~0.7wt%の範囲内である
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 前記炭素は、六方晶系のグラファイト型である
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 前記無鉛ハンダ材料は、96.5wt%Sn-3wt%Ag-0.5wt%Cuである
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 前記無鉛ハンダ材料は、99.3wt%Sn-0.7wt%Cuである
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 前記無鉛ハンダ材料は、99.0wt%Sn-0.7wt%Cu-0.3wt%Agである
ことを特徴とする請求項1に記載のハンダ合金。
 ハンダ合金の製造方法であって、
 無鉛ハンダ材料が投入された高温用金属溶解炉を高温環境にまで加熱させ、前記無鉛ハンダ材料を溶解させる溶解工程と、
 前記溶解工程により溶解され前記高温環境下にある無鉛ハンダ材料(溶解無鉛ハンダ材料)へ所定量の炭素を添加する加炭工程と、
 前記溶解無鉛ハンダ材料と前記炭素とを攪拌する攪拌工程と、
 前記攪拌工程により攪拌された前記溶解無鉛ハンダ材料と前記炭素との混合物を鋳型に流し込んで前記混合物を冷却凝固させる冷却工程と、
を備えることを特徴とするハンダ合金の製造方法。
 前記高温環境が800~1200℃の温度範囲内にある
ことを特徴とする請求項8に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記所定量の炭素量が0.01~0.7wt%の範囲内である
ことを特徴とする請求項8に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記高温用金属溶解炉は、前記無鉛ハンダ材料及び前記炭素が投入される窯部と、前記窯部の上方位置に密閉加熱空間を形成する加熱空間部と、加熱燃料を前記密閉加熱空間内に供給し前記密閉加熱空間及び前記窯部を加熱する加熱部と、前記加熱空間部に形成された排気口とを備える
ことを特徴とする請求項8に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記溶解工程において、前記高温用金属溶解炉の前記排気口から排出される酸索量が0になるように前記加熱燃料の供給量を調節する
ことを特徴とする請求項11に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記冷却工程において凝固された前記混合物を低温用金属溶解炉内に投入して低温環境下で溶解するとともに、所定加担量の前記無鉛ハンダ材料を低温用金属溶解炉内に加え、炭素量が所望濃度になるように薄め調整する調整工程と、
 前記調整工程により炭素量が調整された混合物を再度鋳型に流し込んで冷却凝固させる再冷却工程と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記調整工程の前に、前記冷却工程において凝固された前記混合物における炭素量を分析する分析工程を備え、
 前記調整工程では、前記分析工程における分析結果に基づき前記所定加担量を決定する
ことを特徴とする請求項13に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記冷却工程において凝固された前記混合物における炭素量は0.01~0.7wt%の範囲における高濃度範囲にあり、前記所望濃度は0.01~0.7wt%の範囲における低濃度範囲にある
ことを特徴とする請求項13に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記低温環境が250~400℃の温度範囲内にある
ことを特徴とする請求項13に記載のハンダ合金の製造方法。
 前記炭素は、六方晶系のグラファイト型である
ことを特徴とする請求項8に記載のハンダ合金の製造方法。
 請求項8から請求項17のいずれか一項に記載のハンダ合金の製造方法により製造されたことを特徴とするハンダ合金。
Description:
ハンダ合金並びにその製造方法

 本願発明は、ハンダ合金に関し、詳しく ハンダ材料に加炭することで得られるハン 合金に関するものである。

 従来より、ハンダ合金としては、Pb-Snの ンダ合金が代表的なものとして周知である しかしながら、該ハンダ合金は、鉛の有害 が問題となっており、環境への影響から使 が制限されてきている。

 そこで、ハンダ合金として有害な鉛を含 ない無鉛ハンダ合金が要求されており、か る無鉛ハンダ合金について種々の提案がな れている(特許文献1~特許文献5参照)。その 表的な無鉛ハンダ合金として、例えばSnにAg 3.5%含有したSn-Ag系ハンダ合金がある。該Sn-A g系ハンダ合金は、融点は221℃と比較的低く 現在における無鉛ハンダ合金として広く使 されている。

 しかしながら、かかるSn-Ag系ハンダ合金 、鉛を含む従前のハンダ合金に比べ接合強 が劣るため、高接合信頼性が要求される分 (例えば車両分野等)においては、安全性の観 点から、無鉛化が猶予されており、未だにPb 有ハンダ合金が使用されている。環境への 響に鑑みれば、どの分野においても早急に 鉛化されるべきである。そのためにも、Pb 有ハンダ合金に勝るとも劣らない程度の接 信頼性を得られる無鉛ハンダの開発が望ま るところである。

特開2007-237252号公報

特開2006-255784号公報

特開2002-346788号公報

特開2001-225188号公報

特開平10-6075号公報

 上記問題点、すなわち従来の無鉛ハンダ 金が有する接合強度がPb含有ハンダ合金に るという問題点に鑑み、本願発明は、その 題点を解消すべく、無鉛ハンダ合金の接合 頼性を向上させることを目的とする。

 従来において、無鉛ハンダ合金は通常、250~ 400℃の温度範囲の低温環境下で製造されてい るのであるが、本願発明は、250~400℃の温度 囲に比べて非常に高い高温環境下で、炭素 実用性に耐える程に均一的に分布するよう 添加することを可能にした発明者の知見に づくものである。
 前記目的を達成するため、本願発明は、ハ ダ合金であって、無鉛ハンダ材料に、高温 境下で所定量の炭素を添加させたことを特 とする。
 また、前記ハンダ合金において、前記高温 境が800~1200℃の温度範囲内にあることを特 とする。
 また、前記所定量の炭素量が0.01~0.7wt%の範 内であることを特徴とする。
 また、前記炭素は、六方晶系のグラファイ 型であることを特徴とする。
 また、前記無鉛ハンダ材料は、96.5wt%Sn-3wt%Ag -0.5wt%Cuであることを特徴とする。
 また、前記無鉛ハンダ材料は、99.3wt%Sn-0.7wt% Cuであることを特徴とする。
 また、前記無鉛ハンダ材料は、99.0wt%Sn-0.7wt% Cu-0.3wt%Agであることを特徴とする。
 また、本願発明は、ハンダ合金の製造方法 あって、
 無鉛ハンダ材料が投入された高温用金属溶 炉を高温環境にまで加熱させ、前記無鉛ハ ダ材料を溶解させる溶解工程と、
 前記溶解工程により溶解され前記高温環境 にある無鉛ハンダ材料(溶解無鉛ハンダ材料 )へ所定量の炭素を添加する加炭工程と、
 前記溶解無鉛ハンダ材料と前記炭素とを攪 する攪拌工程と、
 前記攪拌工程により攪拌された前記溶解無 ハンダ材料と前記炭素との混合物を鋳型に し込んで前記混合物を冷却凝固させる冷却 程と、
を備えることを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記高温環 が800~1200℃の温度範囲内にあることを特徴 する。
 また、前記所定量の炭素量が0.01~0.7wt%の範 内であることを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記高温用 属溶解炉は、前記無鉛ハンダ材料及び前記 炭剤が投入される窯部と、前記窯部の上方 置に密閉加熱空間を形成する加熱空間部と 加熱燃料を前記密閉加熱空間内に供給し前 密閉加熱空間及び前記窯部を加熱する加熱 と、前記加熱空間部に形成された排気口と 備えることを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記溶解工 において、前記高温用金属溶解炉の前記排 口から排出される酸索量が0になるように前 記加熱燃料の供給量を調節することを特徴と する。
 また、前記製造方法において、前記冷却工 において凝固された前記混合物を低温用金 溶解炉内に投入して低温環境下で溶解する ともに、所定加担量の前記無鉛ハンダ材料 低温用金属溶解炉内に加え、炭素量が所望 度になるように薄め調整する調整工程と、 前記調整工程により炭素量が調整された混 物を再度鋳型に流し込んで冷却凝固させる 冷却工程と、を備えることを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記調整工 の前に、前記冷却工程において凝固された 記混合物における炭素量を分析する分析工 を備え、前記調整工程では、前記分析工程 おける分析結果に基づき前記所定加担量を 定することを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記冷却工 において凝固された前記混合物における炭 量は0.01~0.7wt%の範囲における高濃度範囲に り、前記所望濃度は0.01~0.7wt%の範囲における 低濃度範囲にあることを特徴とする。
 また、前記製造方法において、前記低温環 が250~400℃の温度範囲内にあることを特徴と する。
 また、前記製造方法において、前記炭素は 六方晶系のグラファイト型であることを特 とする。
 また、本願発明は、前記製造方法により製 されたことを特徴とするハンダ合金である

 本願発明にかかるハンダ合金によれば、 鉛化により環鏡への配慮がなされていなが 、従前の無鉛ハンダ合金が有する接合強度 Pb含有ハンダ合金に劣るという問題点を解 し、接合強度が飛躍的に向上することで、 合信頼性の向上に資するものである。

 また、本願発明にかかるハンダ合金の製 方法によれば、接合強度が飛躍的に向上し 無鉛のハンダ合金を、簡単かつ効果的に得 ことが可能である。

銅基板(Cu)上に試料A(Sn-3.5wt%Ag+0.03wt%C)を 合させた場合の試料Aと銅基板との界面のSEM 像を示す図。 銅基板(Cu)上に試料B(Sn-3.5wt%Ag)を結合さ た場合の試料Bと銅基板との界面のSEM像を示 す図。 高温用金属溶解炉を示す概略図。 低温用金属溶解炉を示す概略図。

 本願発明は、無鉛ハンダ材料に高温環境下 炭素を添加させることでハンダ合金を得る とを最大の特徴とする。以下、本願発明の 施形態を説明するが、本願発明がこれによ て限定されるものではない。
 本願発明に係るハンダ合金は、無鉛ハンダ 料に、高温環境下で所定量の炭素を添加さ て得られるものである。ここで、高温環境 は、次に意味を有するのである。すなわち 従来において、無鉛ハンダ合金は通常、250~ 400℃の温度範囲の低温環境下で製造されてい るのであるが、本願発明は、250~400℃の温度 囲に比べて非常に高い高温環境(例えば、800~ 1200℃の温度範囲という高温環境)下で、炭素 実用性に耐える程に均一的に分布するよう 添加することを可能にするものである。

 本願発明における高温環境としては、800~ 1200℃の範囲内が望ましい。無鉛ハンダ材料 炭素を添加させる際、800℃未満の低温環境 においては、炭素の塊をばらすことができ 、よって効果的なハンダ合金を得られない また、1200℃より高い高温環境においては高 用金属溶解炉内のハンダ材料が沸騰する傾 を有し、現実的な製造に適さない。したが 、より高温環境の下で炭素を添加させる必 があるが、1200℃以内で理想とする炭素の形 態を得られる。このように、1200℃より高い 温環境においては、より高温環境の下で炭 を添加させたとしても、そのための燃焼燃 コストがかかるだけで、不経済であり意味 なさない。

 本願発明の無鉛ハンダ材料に添加される炭 量は、0.01~0.7wt%の範囲内が好ましい。添加 た炭素自体は直接的なハンダの結合力を生 させるものではないから、添加する炭素量 は適合量が存在する。炭素量を大きくしす 0.7wt%より大きくした場合には、ハンダ合金 結合力が弱くなるおそれがあり、炭素量が0. 01wt%以下であると、添加する炭素による効果 発揮するほどには炭素量が少なすぎ、必要 する接合強度が得られない。
 また逆に、炭素量について、多ければ多い ど完成するハンダ合金の強度・硬度が向上 ることも考えられる。しかしながら、種々 炭素量について本願発明にかかるハンダ合 の強度等を測定したところ、添加される炭 量を0.7wt%とした場合に、種々分野における ンダ付けの現状において最大必要な強度以 を確保することが可能となる。また、炭素 を0.7wt%より大きくした場合には、電気伝導 が低くなりすぎ、実用性に問題があり得る また、炭素量を0.7wt%より大きくした場合に 、炭素を均一に拡散させることが非常に難 くなり、実用性に耐え得る品質を保証する とが難しくなる。ここで、炭素の原子量はS nやAg等に比べて小さいので、炭素量が0.01~0.7w t%の範囲であるとしても、添加される炭素の 子の数は必ずしも少なくはないのである。 たがって、炭素量の上限については、0.7wt% する。
 なお、かかる炭素量については、ハンダの 途に応じて必要とする強度や硬度、電気伝 率等から適宜決定される。

 また、添加する炭素は、六方晶系のグラ ァイト型であることが好ましい。炭素がグ ファイトである場合には、炭素が柔らかい 性を有するために、800~1200℃の温度範囲と う高温環境)下で炭素を実用性に耐える程に 一的に分布するように添加することが可能 なる。これに対して、炭素が立方晶系のダ ヤモンド型である場合には非常に硬い特性 有するために、800~1200℃の温度範囲という 温環境下であっても、炭素を実用性に耐え 程に均一的に分布するように添加すること できない。

 以下、実験例に基づき、本願発明を具体 に説明する。なお、実験に使用する本願発 にかかるハンダ合金の試料として、Sn-3.5wt%A g+0.03wt%C(試料A)及びSn-0.7wt%Cu+0.05wt%C(試料C)を用 いた。また、添加する炭素がグラファイト型 である。ここで、Sn-3.5wt%Ag+0.03wt%C(試料A)とい 表示は、96wt%以上の母胎であるSnと3.5wt%のAg を含む無鉛ハンダ材料(Sn-0.7wt%Cu)に0.03wt%の 素Cを添加したこと示し、Sn-0.7wt%Cu+0.05wt%C(試 C)という表示は、99wt%以上の母胎であるSnと0 .7wt%のCuとを含む無鉛ハンダ材料(Sn-0.7wt%Cu)に0 .05wt%の炭素Cを添加したことを示す。

(実験例1)
 まず、試料A及び試料Cともに二軸X線回折測 を行った。その結果、両者とも炭素と思わ るピークが確認できた。

(実験例2)
 次に、SEM(scanning electron microscope)で試料表 観察を行った。試料Aと炭棄を添加していな Sn-3.5wt%Ag(試料B)とを比較すると、試料Aでは ぼ均一に炭素が分布している様子が観られ のに対し、試料Bでは炭素と思われる黒い物 体の存在が認められなかった。また、試料C Sn-0.7wt%Cu(試料D)との比較においても、同様の 結果が観られ、試料Cではほぼ均一に炭素が 布している様子が観られるのに対し、試料D は炭素と思われる黒い物体の存在が認めら なかった。このことにより、試料A及び試料 Cを製造した際の高温環境(800~1200℃)よりもは かに融点の高い炭素が、溶けずに試料中に め込まれている状態であることがわかる。

(実験例3)
 続いて、各試料について、DSC(differential scan ning calorimetry)による融点の測定を行った。測 定結果については、以下の表1~表4に示す通り である。

 上記表1及び表2に示すように、試料Aと試 Bの融点を比較すると、ほとんど変わらない ことがわかる。また、上記表3及び表4に示す うに、試料Cと試料Dの融点を比較すると、 様にほとんど変わらないことがわかる。こ により、炭素の添加がハンダ合金の融点に 化を与えないことが確認できた。これは、 料A及び試料C中に炭素が融解せずに存在して いることが要因である。すなわち、試料A及 試料Cの融点では、炭素に全く変化は起こら 、したがって試料B及び試料Dの融点と変化 ない。

(実験例4)
 次に、Pb-Snハンダ合金及び各試料(試料A及び 試料B、試料C及び試料D)について、電子部品 接合するために非常に重要な要素である電 抵抗率(μωcm)の測定を行った。その測定結果 を、以下の表5に示す。表5において、左部は 素を付加しない従来のPb-Snハンダ合金を示 、中間部は試料Aと試料Bを並べて示し、右部 は試料Cと試料DBを並べて示す。

 上記表5に示す通り、無鉛ハンダ合金であ る試料B及び試料Dは、鉛が含有されたPb-Snハ ダ合金よりも電気抵抗率が低く良好であっ が、炭素が添加された試料A及び試料Cの方が 、電気抵抗率が更に改善されたことがわかる 。表5より明確なことは、Sn-3.5wt%Agの方が、炭 素を添加したことによる電気伝導性の改良の 効果が顕著である。炭素添加により電気抵抗 率が下がり電気伝導性が改良される要因は、 表面積の大きい炭素がハンダの金属間化合物 を吸着することで、金属間化合物の生成が抑 えられると同時に、相が細分化されたためで あると考えられる。かかる電気伝導性の改善 は、ハンダの特性上非常に好ましいことであ り、炭素添加による優れた効果といえる。

(実験例5)
 続いて、Pb-Snハンダ合金及び各試料(試料A及 び試料B、試料C及び試料D)について、ビッカ ズ硬度測定を行った。その測定結果は、以 の表6に示す通りである。

 上記表6が示す通り、試料Aと試料B及び試 Cと試料Dとを比較すると、炭素を添加する とにより、硬度が向上する結果となった。 れだけでなく、Pb-Snハンダ合金と試料A及び 料Cとを比較すると、炭素の添加によりPb-Sn ンダ合金以上の硬度を示す結果となった。 の結果も、前記の電気抵抗率の低下の場合 同様、表面積の大きい炭素がハンダの金属 化合物を吸着することで、金属間化合物の 成を抑え、同時に相が細分化されたためで ると考えられる。

(実験例6)
 ハンダ合金が例えば銅基板に結合する際、 によって溶けたハンダ合金に基板の銅(Cu)が 入り込んで拡散し、合金化することで結合す ることが知られている。その合金は金属間化 合物(IMC(innermetallic compound))と呼ばれ、この金 属間化合物は、硬く、脆く、電気伝導性も悪 いために、著しくハンダの結合信頼性を下げ る。金属間化合物なしには、ハンダ合金と基 板の結合はありえないが、できる限りその層 は薄く、強固に結合していることが望まれる 。

 図1は、銅基板(Cu)上に試料A(Sn-3.5wt%Ag+0.03wt%C) を結合させた場合の試料Aと銅基板との界面 SEM像を示す。図2は、銅基板(Cu)上に試料B(Sn-3 .5wt%Ag)を結合させた場合の試料Bと銅基板との 界面のSEM像を示す。
試料Aと銅基板との界面のSEM像を観てみると その界面が細かく、形状が均一であること わかる。これに対し、試料Bと銅基板との界 のSEM像では、その界面は粗く不均一で、一 一つの凹凸が大きいことが観てとれる。こ により、試料Bに比して試料Aの方が、銅基 との界面の表面積が大きくなったことで、 り強固に結合していることがうかがえる。

 また、図2の試料Bと銅基板との界面のSEM像 は、試料Bと銅基板との界面にクラック(Crack) が生じていることが認められる。これに対し て、図1の試料Aと銅基板との界面のSEM像では 試料Aと銅基板との界面にクラック(Crack)が 失していることが認められる。
 試料Bのような従来の無鉛ハンダ材料の有す る大きな欠点の一つとして、図2に示すよう 相手部材との界面にクラック(Crack)が生じ、 のクラック(Crack)を起源としてハンダ結合の 脆弱性が生じることが挙げらていたのである 。このことを考慮すると、図1の試料Aと銅基 との界面にクラック(Crack)が消失しているこ とは、非常に意義深いことである。図1の試 Aと銅基板との界面にクラック(Crack)が生じて いないことは、試料Aと銅基板の界面に形成 れる金属間化合物(Cu6Sn5等)において、添加す る炭素がグラファイト型であることが大事で あると考えられる。すなわち、添加するグラ ファイト型である炭素は、その六方晶系の結 晶構造に起因して力学的緩和機構の役割を有 すると考えられる。グラファイト型の炭素に おいては、結晶のab-面内においては結合力に 大きい共有結合であるのに対し、c-軸方向で 結合力の小さいファンデルワールズ力によ 結合を呈するが、c-軸方向の層の間に金属 化合物が介在することが可能になり、力学 緩和機構を形成すると考えられる。このよ に、添加した炭素が立方晶系のダイヤモン 型でなくグラファイト型であることが、ク ック(Crack)の消失に重要な要因となっている 思われる。炭素が立方晶系のダイヤモンド である場合においては、結晶構造が強い共 結合で結合されているために、力学的緩和 構の役割を有する余地がないと思われる。

 また、それぞれの界面の拡大画像元素マ ピング像(図示しない)を観ると、SEM像では っきりと観ることができなかったCuとSnの境 線をよりはっきりと観ることができた。こ により、CuとSnの混ざり合った面積を読み取 ることが可能となり、その面積が金属間化合 物の形成領域を示す。かかる金属間化合物の 面積は、試料Bに比して試料Aの方が小さくな ているのが観てとれ、したがって、炭素の 加により結合の信頼性が向上されているこ が、拡大画像元素マッピング像によってさ に確実に確認できた。

(実験例7)
 次に、Pb-Snハンダ合金及び各試料(試料A及び 試料B、試料C及び試料D)について、引っ張り 験により、降伏応力と引っ張り強度の測定 行った。その測定結果を、以下の表7及び表8 に示す。

 上記表7及び表8が示す通り、試料Aは試料B に比して降伏応力及び引っ張り強度ともに向 上し、試料Cも試料Dに比して降伏応力及び引 張り強度ともに向上していることが認めら る。すなわち、炭素の添加が、降伏応力及 引っ張り強度の向上に資することがわかる 特に試料Aの引っ張り強度においては、Pb-Sn ンダ合金以上の結果となった。

 上述した通り、無鉛ハンダ合金において、 度や引っ張り強度、そして特に結合信頼性 面で、炭素を添加することが非常に効果的 あることが認められる。
 なお、炭素が添加される無鉛ハンダ材料と ては、96.5wt%Sn-3wt%Ag-0.5wt%Cuである無鉛ハンダ 材料、99.3wt%Sn-0.7wt%Cu、あるいは、99.0wt%Sn-0.7wt %Cu-0.3wt%Agである無鉛ハンダ材料等を用いるこ とができる。

 以下、本願発明にかかる無鉛ハンダ材料に 素を添加してハンダ合金を製造するための 造方法を、実施例に基づいて順を追って説 する。なお、本願発明がこの実施例によっ 限定されるものではない。
 図3は、高温用金属溶解炉1を示す概略図で り、高温用金属溶解炉1は無鉛ハンダ材料及 粉末状あるいは顆粒状の加炭剤が投入され 窯部2と、窯部2の上方位置に密閉加熱空間6 形成する加熱空間部3と、加熱燃料を密閉加 熱空間6内に供給し密閉加熱空間6及び窯部2を 加熱する複数のガスバーナーからなる加熱部 4、加熱空間部6に形成された密閉加熱空間6内 のガスを放出するために排気口7とを備えて る。高温用金属溶解炉1では、窯部2内に無鉛 ハンダ材料と加炭剤からなる混合物5が入れ れ、混合物5は、密閉加熱空間6を加熱部4で 熱することを介して、800~1200℃の温度範囲で 加熱される。

 図4は、低温用金属溶解炉8を示す概略図 あり、低温用金属溶解炉8は後述する冷却工 において凝固された混合物11が投入される 温用窯部9と低温用窯部9の下部にある複数の ガスバーナーからなる低温加熱部10とを備え いる。低温用金属溶解炉8では、低温窯部9 に冷却工程において凝固された混合物11が入 れられ、混合物11は低温加熱部10によって250~4 00℃の温度範囲で加熱される。

 本願発明に係るハンダ合金の製造方法は 無鉛ハンダ材料が投入された高温用金属溶 炉1を800~1200℃の高温環境にまで加熱させ、 鉛ハンダ材料を溶解させる溶解工程と、前 溶解工程により溶解され前記高温環境下に る無鉛ハンダ材料(溶解無鉛ハンダ材料)へ 定量の炭素を粉末状あるいは顆粒状の加炭 として添加する加炭工程と、前記溶解無鉛 ンダ材料と前記加炭剤とを攪拌する攪拌工 と、前記攪拌工程により攪拌された前記溶 無鉛ハンダ材料と前記加炭剤との混合物5を 型に流し込んで前記混合物を冷却凝固させ 冷却工程と、を備える。ここで、前記所定 の炭素量が0.01~0.7wt%の範囲内である。

 前記溶解工程において、高温用金属溶解 1の排気口7から排出される酸索量が0になる うに加熱部4におけるガスバーナーの加熱燃 料の供給量を調節することが行われる。これ によって、窯部2内のハンダ材料と加炭剤か なる混合物5の酸化を防止することができる

 前記冷却工程において凝固された混合物5は 、800~1200℃の高い温度から冷却されるために SnとAgとが分離しやすく、偏析している可能 性がある。そこで、前記冷却工程において凝 固された混合物5を低温用金属溶解炉8内に投 して250~400℃の温度範囲の低温環境下で溶解 する。これによって、偏析していたSnとAgと 均一化させることができる。
 また、混合物5を低温用金属溶解炉8内に投 した後に、所定加担量の前記無鉛ハンダ材 を低温用金属溶解炉8内に加え、炭素量が所 濃度になるように薄めて調整する調整工程 実行される。例えば、高温用金属溶解炉1に おける混合物5においては炭素量が0.5wt%であ 約10kgwのハンダ合金を製造し、次に、前記の 調整工程において約90kgwの加担量の無鉛ハン 材料を低温用金属溶解炉8内に加え、これに よって、炭素量が0.05wt%である約100kgwのハン 合金を得ることが可能になる。このように 温用金属溶解炉8における調整工程を設ける とによって、最終目的生成物が炭素量が例 ば0.05wt%であるハンダ合金である場合に、ま ず高温用金属溶解炉1によって炭素量を0.01~0.7 wt%の範囲内で高い濃度で設定し、次に低温用 金属溶解炉8における調整工程を実施するこ によって、高温用金属溶解炉1のみで製造す 場合に比べて極めて効率的にハンダ合金を 造することができる。
 上述のように、高温用金属溶解炉1と低温用 金属溶解炉8とを使用することによって、偏 を解消させることができるとともに、高温 境で使用する高温用金属溶解炉1の使用時間 短くすることができ、また、最終目的生成 を得る上における製造コストを低減させる とができる。

 次に、再冷却工程において、前記調整工 により炭素量が調整された混合物11を再度 型に流し込んで冷却凝固させる。この再冷 工程においては、250~400℃の温度範囲の低温 境下で冷却させるので、前述の偏析を消失 せることができる。

 なお、前記調整工程の前に、前記冷却工 において凝固された混合物5における炭素量 を分析する分析工程を備えるようにしてもよ い。これによって、前記調整工程では、前記 分析工程における分析結果に基づき前記所定 加担量をより正確に決定することが可能にな る。

 まず初めに、無鉛ハンダ材料として96.5wt% Sn-3wt%Ag-0.5wt%Cu(通称305合金)を高温用金属溶解 1へ投入し、高温用金属溶解炉1を1000℃の高 環境にまで加熱させ、305合金を溶解させる( 溶解工程)。

 このとき、金属溶解炉の排気口酸素量が0 になるように、加熱燃料の供給量を調節し、 燃料の完全燃焼状態をつくる。そうしなけれ ば、炭素の燃焼が起こり、加炭効率が落ちて しまうからである。

 次に、前記溶解工程により高温用金属溶 炉1内で溶解された305合金(溶解305合金)へ、 に加炭する加炭剤を0.5wt%添加する(加炭工程 )。

 そして、高温用金属溶解炉1内で、溶解305 合金と加炭剤とを攪拌し、均一に混合する( 拌工程)。

 次に、前記攪拌工程により攪拌された溶 305合金と加炭剤との混合物を、鋳型に流し んで冷却し凝固させる(冷却工程)。

 その後、前記冷却工程により凝固された 解305合金と加炭剤との混合物における炭素 を分析する(分析工程)。

 次いで、前記分析工程により得られた炭 量に基づいて、前記混合物5を低温用金属溶 解炉8内に投入して溶解するとともに、そこ 305合金を加え、最終的に炭素量を全体の0.1wt %に調整する(調整工程)。

 最後に、前記調整工程により炭素量が調整 れた混合物11を、再度鋳型に流し込んで冷 し凝固させる(再冷却工程)。
 以上の各工程を経ることにより、無鉛ハン 材料に炭素が添加されることで、従来の無 ハンダ合金が有する接合強度がPb含有ハン 合金に劣るという問題点を解消して、無鉛 ンダ合金の接合信頼性を向上させたハンダ 金を製造することができる。

 なお、本実施例において、無鉛ハンダ材料 305合金を使用したが、これに限らず、例え 、99.3wt%Sn-0.7wt%Cuや99.0wt%Sn-0.7wt%Cu-0.3wt%Agを用 ても構わない。
 また、本実施例において、高温環境を1000℃ に設定したが、これに限るものではなく、800 ~1200℃の範囲内であればよい。
 さらに、本実施例において、添加する加炭 を0.5wt%としたが、これに限らず、0.01~0.7wt% 範囲内であればよい。
 そしてまた、本実施例においては、調整工 において炭素量を全体の0.1wt%に調整したが これに限らず、完成するハンダ合金の用途 応じて適宜炭素量を調整することが可能で る。

 本願発明は、本願発明の技術思想を利用 きる分野等に対して、適宜その技術思想を 用することができるものであり、特に接合 頼性が要求される車両分野等への適用が可 であって、その産業上の利用可能性は大で る。