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Patent Searching and Data


Title:
SPARK PLUG
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116553
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a spark plug which can speedily burn off carbon attached to an insulating insulator. In the spark plug, a projection amount H(mm) of the insulating insulator (10), a tip side volume Vi (mm3) of the insulating insulator (10) and a tip-side volume Vc (mm3) of a center electrode (20) are specified for improving temperature rise performance on a tip-side of the insulating insulator (10). Thus, restoration property of carbon dirt can be improved while voltage resistance of the insulating insulator (10) and durability of the center electrode (20) are kept. Since restoration property of carbon dirt is improved, occurrence of lateral leaping sparks leaping to a main fitting metal (50) from the center electrode (20) through the insulating insulator (10) can be suppressed. Thus, normal ignition to mixture can stably be secured.

Inventors:
SUZUKI AKIRA
KATO TOMOAKI
Application Number:
PCT/JP2009/055232
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NGK SPARK PLUG CO (JP)
SUZUKI AKIRA
KATO TOMOAKI
International Classes:
H01T13/20
Foreign References:
JPS6161390A1986-03-29
JP2727558B21998-03-11
JPS63202874A1988-08-22
JP2006049207A2006-02-16
JP2005116513A2005-04-28
Other References:
See also references of EP 2264843A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (JP)
Shohei Oguri (JP)
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Claims:
 軸線方向に延びる中心電極と、
 前記軸線方向に延びる軸孔を有し、前記中心電極を前記軸孔内の先端側に保持する絶縁碍子と、
 前記中心電極を前記絶縁碍子の前記軸孔内に保持してなる組立体における前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持する主体金具と、
 一端部が、前記主体金具に接合され、他端部が、前記中心電極との間で火花放電間隙を形成する接地電極と
を備えたスパークプラグにおいて、
 前記軸線方向において、前記主体金具の先端面から先端側に突き出る前記絶縁碍子の長さをHとし、前記軸線方向において、前記絶縁碍子の先端から後端側に向かって1.5mmの範囲内に相当する前記絶縁碍子の部分の体積をViとし、前記軸線方向において、前記1.5mmの範囲内に相当する前記中心電極の部分の体積をVcとしたときに、
 H≧1.8mm
を満たすと共に、
 4.02mm 3 <Vi≦12.51mm 3
 2.10mm 3 ≦Vc≦6.42mm 3
 Vc/Vi≦1.03
を満たすスパークプラグ。
 4.22mm 3 ≦Vi≦8.77mm 3
 2.10mm 3 ≦Vc≦5.36mm 3
 Vc/Vi≦0.84
を満たす請求項1に記載のスパークプラグ。
 前記主体金具は、自身の外周面に、内燃機関の取付ねじ孔に螺合するねじ山が形成された取付ねじ部を有し、
 前記取付ねじ部の外径は、呼び径で、M10以下である請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
Description:
スパークプラグ

 本発明は、内燃機関に組み付けられて混 気への点火を行うためのスパークプラグに するものである。

 従来、内燃機関には点火のためのスパー プラグが用いられている。一般的なスパー プラグは、中心電極と、その中心電極を軸 内に保持する絶縁碍子と、この絶縁碍子の 方向周囲を取り囲んで保持する主体金具と 一端部が主体金具に接合され、他端部が中 電極との間で火花放電ギャップ(火花放電間 隙)を形成する接地電極とを備えている。そ て、その火花放電ギャップで火花放電が行 れることによって、混合気への点火が行わ る。

 近年、エンジン高出力化のためにエンジ に設けられるインテークバルブやエキゾー トバルブのバルブ径の拡大や、水廻り改善 ためにエンジンに対してより大きなウォー ージャケットを確保することが必要となっ きている。これにより、エンジンに取付け れるスパークプラグの設置スペースが小さ なるため、スパークプラグの細径化が要求 れている。ところが、スパークプラグを細 化すると、絶縁碍子と主体金具との間の絶 距離が狭くなる。そのため、正規の火花放 ギャップで放電せず、中心電極から絶縁碍 を介して主体金具へ飛火する横飛火が発生 易くなる。さらに、燻り状態になると、奥 火が発生し易くなる。これは、絶縁碍子の 面に堆積した導電性のカーボンなどが、絶 碍子と主体金具との間の絶縁性低下をもた すためである。この場合、絶縁碍子の先端 度を上昇させることによって、絶縁碍子に 着したカーボンを焼き切り、その都度絶縁 を確保する必要がある。

 そこで、例えば、絶縁碍子の先端部におけ 絶縁碍子と中心電極との距離をX、主体金具 外部の絶縁碍子の表面の沿面距離をY、主体 具からの絶縁碍子の突出量をY1、ポケット隙 間をZ、火花放電ギャップの大きさをG、主体 具の内部において絶縁碍子と主体金具との 離がG以下となる部位までの絶縁碍子の表面 の長さをWとした場合に、(X+0.3Y+Z)/G≧2、Y1(mm) 1、W/Z≧4、1.25≦Z(mm)≦1.55としたスパークプ グが提案されている(例えば、特許文献1参 )。このスパークプラグでは、構成部品間の 記各種距離をそれぞれ規定することによっ 、細径化されたスパークプラグにおいても 燻っていない場合は安定して正規の火花放 ギャップへ飛火させ、燻って横飛火や奥飛 等の沿面放電が発生した場合でも、着火性 確保できる点に優れている。

特開2005-116513号公報

 しかしながら、特許文献1に記載のスパー クプラグのように、燻って沿面放電が発生し た状態で着火できたとしても、絶縁碍子に付 着したカーボンをすぐに焼き切らなければ、 絶縁碍子の表面に大量のカーボンが付着して しまう。この場合、カーボンを全て焼き切る までに相当時間を要するため、絶縁碍子から カーボンを完全に除去できない事態を生じ、 正常な着火現象が得られる状態にまで回復で きないという問題点があった。よって、例え ば、絶縁碍子に付着したカーボンを速やかに 焼き切ることによって、燻った状態から正常 な状態にまで速やかに回復できるような方法 が望まれていた。

 本発明は、上記問題点を解決するために されたものであり、絶縁碍子に付着したカ ボンを速やかに焼き切ることのできるスパ クプラグを提供することを目的とする。

 上記目的を達成するために、請求項1に係る 発明のスパークプラグは、軸線方向に延びる 中心電極と、前記軸線方向に延びる軸孔を有 し、前記中心電極を前記軸孔内の先端側に保 持する絶縁碍子と、前記中心電極を前記絶縁 碍子の前記軸孔内に保持してなる組立体にお ける前記絶縁碍子の周囲を取り囲んで保持す る主体金具と、一端部が、前記主体金具に接 合され、他端部が、前記中心電極との間で火 花放電間隙を形成する接地電極とを備えたス パークプラグにおいて、前記軸線方向におい て、前記主体金具の先端面から先端側に突き 出る前記絶縁碍子の長さをHとし、前記軸線 向において、前記絶縁碍子の先端から後端 に向かって1.5mmの範囲内に相当する前記絶縁 碍子の部分の体積をViとし、前記軸線方向に いて、前記1.5mmの範囲内に相当する前記中 電極の部分の体積をVcとしたときに、H≧1.8mm を満たすと共に、4.02mm 3 <Vi≦12.51mm 3 、2.10mm 3 ≦Vc≦6.42mm 3 、Vc/Vi≦1.03を満たしている。

 また、請求項2に係る発明のスパークプラグ は、請求項1に記載の発明の構成に加え、4.22m m 3 ≦Vi≦8.77mm 3 、2.10mm 3 ≦Vc≦5.36mm 3 、Vc/Vi≦0.84を満たしている。

 また、請求項3に係る発明のスパークプラ グは、請求項1又は2に記載の発明の構成に加 、前記主体金具は、自身の外周面に、内燃 関の取付ねじ孔に螺合するねじ山が形成さ た取付ねじ部を有し、前記取付ねじ部の外 は、呼び径で、M10以下である。

 請求項1に係る発明のスパークプラグでは、 H≧1.8mmを満たすと共に、4.02mm 3 <Vi≦12.51mm 3 、2.10mm 3 ≦Vc≦6.42mm 3 、Vc/Vi≦1.03を満たしているので、絶縁碍子の 温度を速やかに上昇させることができる。一 般的に、絶縁碍子の体積Vcは小さければ小さ ほど、カーボン汚損に対する効果は認めら るが、発火部周りでの絶縁碍子の温度が上 ることから絶縁碍子の耐久性が低下する。 発明では、カーボン汚損の回復が良好であ たVcを有するスパークプラグを用いて、エ ジンによる絶縁碍子の耐久性を評価し、さ に中心電極の耐久性の評価を行うことによ て、H、Vi、Vc、Vc/Viの最適な数値範囲を見い した。これにより、絶縁碍子の温度を速や に上昇させることができるので、絶縁碍子 付着したカーボンを速やかに焼き切ること できる。そして、カーボンをより速やかに き切ることによって、横飛火等の沿面放電 発生の防止と共に、自動車走行に必要な絶 抵抗の確保に高い効果を発揮できる。

 また、請求項2に係る発明のスパークプラ グでは、請求項1に記載の発明の効果に加え 請求項1で限定した数値範囲をさらに限定す ことによって、絶縁碍子の温度を速やかに 昇させることができる。よって、絶縁碍子 付着したカーボンをより速やかに焼き切る とができる。

 また、請求項3に係る発明のスパークプラ グでは、請求項1又は2に記載の発明の効果に え、上記のような昇温性能を高めた絶縁碍 を、取付ねじ部のねじ山の外径が呼び径でM 10以下の細径のスパークプラグに用いれば、 体金具の内周と絶縁碍子の外周との間のク アランスが狭くても、絶縁碍子に付着した ーボンを速やかに焼き切ることができる。 って、中心電極から絶縁碍子を介して主体 具へ飛火する沿面放電の発生を防止できる で、混合気への正常な着火を安定して確保 きる。

スパークプラグ100の部分断面図である スパークプラグ100の中心電極20の先端 22付近の拡大図である。 絶縁碍子10の先端側体積Viの位置と、中 心電極20の先端側体積Vcの位置とを示す図で る。 実施例1の試験区1の結果を示す表であ 。 実施例1の試験区2の結果を示す表であ 。 実施例1の試験区3の結果を示す表であ 。 実施例1の試験区4の結果を示す表であ 。 実施例2の結果を示す表である。 実施例3の結果を示す表である。 実施例3の結果を示すグラフである。

符号の説明

 10  絶縁碍子
 11  先端部
 12  軸孔
 20  中心電極
 22  先端部
 30  接地電極
 50  主体金具
 57  先端面
 60  組立体
 90  電極チップ
 100 スパークプラグ
  H  絶縁碍子の突出量
  Vi 絶縁碍子の先端側体積
  Vc 中心電極の先端側体積

 以下、本発明を具体化したスパークプラ の一実施形態について、図面を参照して説 する。まず、図1,図2を参照して、一例とし のスパークプラグ100の構造について説明す 。図1は、スパークプラグ100の部分断面図で あり、図2は、スパークプラグ100の中心電極20 の先端部22付近の部分拡大図である。なお、 1において、スパークプラグ100の軸線O方向 図面における上下方向とし、下側をスパー プラグ100の先端側、上側を後端側として説 する。

 図1に示すように、スパークプラグ100は、 絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主 金具50と、絶縁碍子10内に軸線O方向に保持さ れた中心電極20と、主体金具50の先端面57に基 部32を溶接され、先端部31の一側面が中心電 20の先端部22に対向する接地電極30と、絶縁 子10の後端部に設けられた端子金具40とを備 ている。

 まず、絶縁碍子10について説明する。絶 碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して 形成され、軸中心に軸線O方向へ延びる軸孔12 が形成された筒形状を有する。軸線O方向の 中央には外径が最も大きな鍔部19が形成され ており、それより後端側(図1における上側)に は後端側胴部18が形成されている。鍔部19よ 先端側(図1における下側)には、後端側胴部18 よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され さらにその先端側胴部17よりも先端側に、 端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形 されている。脚長部13は先端側ほど縮径さ 、スパークプラグ100が内燃機関のエンジン ッド200に取り付けられた際には、その燃焼 に曝される。そして、脚長部13と先端側胴部 17との間は段部15として形成されている。

 次に、中心電極20について説明する。図2 示すように、中心電極20は、インコネル(商 名)600または601等のニッケルまたはニッケル を主成分とする合金から形成された電極母材 21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優 る銅または銅を主成分とする合金からなる 材25を埋設した構造を有する棒状の電極であ る。通常、中心電極20は、有底筒状に形成さ た電極母材21の内部に芯材25を詰め、底側か ら押出成形を行って引き延ばすことで作製さ れるものである。芯材25は、胴部分において 略一定の外径をなすものの、先端側におい は先細り形状に形成される。

 また、中心電極20の先端部22は絶縁碍子10 先端部11よりも突出されており、先端側に かって径小となるように形成されている。 して、先端部22の先端面には、耐火花消耗性 を向上するため、貴金属からなる電極チップ 90が接合されている。両者の接合は、電極チ プ90と中心電極20の先端部22との合わせ面を って外周を一周するレーザ溶接によって行 れている。そして、レーザの照射により両 料が溶けて混ざり合うことによって、電極 ップ90と中心電極20とが強固に接合されてい る。

 また、中心電極20は軸孔12内を後端側に向 けて延設され、シール体4およびセラミック 抗3(図1参照)を経由して、後方(図1における 方)の端子金具40に電気的に接続されている そして、端子金具40には高圧ケーブル(図示 )がプラグキャップ(図示外)を介して接続さ 、高電圧が印加されるようになっている。 こで、中心電極20を絶縁碍子10の軸孔12内に 持してなるものを組立体60(図2,図3参照)とす 。

 次に、接地電極30について説明する。接 電極30は耐腐食性の高い金属から構成され、 一例として、インコネル(商標名)600または601 のニッケル合金が用いられる。この接地電 30は、自身の長手方向の横断面が略長方形 有しており、基部32が主体金具50の先端面57 溶接により接合されている。また、接地電 30の先端部31は、一側面側が中心電極20の先 部22に対向するように屈曲されている。

 次に、主体金具50について説明する。図1 示す主体金具50は、内燃機関のエンジンヘ ド200にスパークプラグ100を固定するための 筒状の金具である。そして、絶縁碍子10を、 その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけ の部位を取り囲むようにして内部に保持し いる。主体金具50は低炭素鋼材より形成され 、図示外のスパークプラグレンチが嵌合する 工具係合部51と、内燃機関の上部に設けられ エンジンヘッド200の取付ねじ孔201に螺合す ねじ山が形成された取付ねじ部52とを備え いる。

 また、主体金具50の工具係合部51と取付ね じ部52との間には、鍔状のシール部54が形成 れている。そして、取付ねじ部52とシール部 54との間のねじ首59には、板体を折り曲げて 成した環状のガスケット5が嵌挿されている ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジ ンヘッド200に取り付けた際に、シール部54の 面55と取付ねじ孔201の開口周縁部205との間 押し潰されて変形し、両者間を封止するこ で、取付ねじ孔201を介したエンジン内の気 漏れを防止するためのものである。

 そして、主体金具50の工具係合部51より後 端側には薄肉の加締部53が設けられ、シール 54と工具係合部51との間には、加締部53と同 に薄肉の座屈部58が設けられている。そし 、工具係合部51から加締部53にかけての主体 具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の 周面との間には、円環状のリング部材6,7が 在されており、さらに両リング部材6,7間に ルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締 53を内側に折り曲げるようにして加締める とにより、リング部材6,7およびタルク9を介 、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け 押圧される。

 これにより、主体金具50の内周で取付ね 部52の位置に形成された段部56に、環状の板 ッキン8を介し、絶縁碍子10の段部15が支持 れて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にさ る。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との 間の気密性は、板パッキン8によって保持さ 、燃焼ガスの流出が防止される。また、座 部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い 外向きに撓み変形するように構成されており 、タルク9の軸線O方向への圧縮長を長くして 体金具50内の気密性を高めている。

 上記構造からなるスパークプラグ100では 絶縁碍子10の先端側の表面にカーボンが付 して燻った状態になると、絶縁抵抗値が低 し、さらにイグニッションコイルの発生電 が低下する。そしてその発生電圧がスパー プラグの要求電圧(火花ギャップ間で火花放 する電圧)より低くなると火花放電できなく なるため、失火を起こす原因となる。このよ うな失火を防止するためには、絶縁碍子10の 端温度を約450℃まで上昇させる。これによ 、絶縁碍子10に付着したカーボンを焼き切 ことができるので、失火を防止することが きる。このような現象を「自己清浄」と呼 。

 このような自己清浄を速やかに行うこと よって、燻った状態から正常な着火性能が られる状態にまで速やかに回復させること できる。そして、自己清浄を速やかに行う めには、絶縁碍子10の先端温度を速やかに 昇させることが必要である。そこで、本実 形態では、絶縁碍子10の先端側の昇温性能を 向上させるために、絶縁碍子10の先端側の突 量(後述するH)、絶縁碍子10の先端側の体積( 述するVi)、中心電極の先端側の体積(後述す るVc)についてそれぞれ規定した。

 次に、スパークプラグ100で規定されるパラ ータについて、図2,図3を参照して説明する 図3は、絶縁碍子10の先端側体積Viの位置と 中心電極20の先端側体積Vcの位置とを示す図 ある。図2,図3に示すように、まず、主体金 50の先端面57から軸線O方向先端側に向かっ 突き出た絶縁碍子10の突出量(長さ)をH(mm)と る。次いで、絶縁碍子10の先端から軸線O方 後端側へ1.5mm離れた位置を通り、軸線Oと直 する平面P(2点鎖線P-Pでその断面を示す。)を 定する。この平面Pで組立体60を切断する。 の時の平面Pで切断した絶縁碍子10の先端側 体積をVi(mm 3 )とする。さらにその平面Pで切断した中心電 20の先端側の体積をVc(mm 3 )とする。

 そして、これらパラメータについては、以 の数値範囲で規定される。なお、以下に規 する数値範囲は、後述する各種試験の結果 ら導き出されたものである。
 ・H≧1.8mm
 ・4.02mm 3 <Vi≦12.51mm 3
 ・2.10mm 3 ≦Vc≦6.42mm 3
 ・Vc/Vi≦1.03
さらに好ましくは、以下の数値範囲で規定さ れる。
 ・H≧1.8mm
 ・4.22mm 3 ≦Vi≦8.77mm 3
 ・2.10mm 3 ≦Vc≦5.36mm 3
 ・Vc/Vi≦0.84

 このような数値範囲で各パラメータを規 することで、絶縁碍子10の先端側の昇温性 を向上させることができる。例えば、絶縁 子の突出量Hは、小さければ小さいほど燃焼 に曝される部分が少なくなるため、絶縁碍 10の先端温度は十分に上昇しない。この場 、絶縁碍子10に付着したカーボンを速やかに 焼き切ることができない。よって、正規放電 しないことに起因する異常燃焼の発生率が高 くなる。そこで、本実施形態では、Hを1.8mm以 上と規定した。これにより、絶縁碍子10の先 側が燃焼室に十分に曝されるので、絶縁碍 10の先端温度が上昇し易くなる。従って、 縁碍子10の昇温性能を向上できる。

 また、絶縁碍子10の先端側体積Viは、小さけ れば小さいほど先端温度は上昇し易くなり、 絶縁碍子10に付着したカーボンを速やかに焼 切ることができる。ところが、Viを小さく 過ぎると、発火部周りで絶縁碍子の温度が 昇することから、絶縁碍子が貫通破壊する がある。その反対に、先端側体積Viを大きく すれば、先端温度は上昇し難くなる。そこで 、本実施形態では、4.02mm 3 <Vi≦12.51mm 3 (好ましくは、8.77mm 3 )と規定した。これにより、絶縁碍子10の昇温 性能を維持できると共に、絶縁碍子10が貫通 壊する不具合を防止できる。

 また、中心電極20の先端側体積Vcを小さくし 過ぎると、中心電極20の先端部22に溶接され 電極チップ90の耐久性が急激に低下する。そ こで、本実施形態では、2.10mm 3 ≦Vc≦6.42mm 3 (好ましくは5.36mm 3 )と規定した。これにより、絶縁碍子10の昇温 性能を維持できると共に、電極チップ90の耐 性を保持できる。即ち、電極チップ90の消 を防止できる。

 上記のような昇温性能を高めた絶縁碍子 び中心電極を、取付ねじ部のねじ山の外径 呼び径でM10以下の細径のスパークプラグに いれば、主体金具50の内周と絶縁碍子10の外 周との間のクリアランスが狭くても、絶縁碍 子10に付着したカーボンを速やかに焼き切る とができる。よって、中心電極20から絶縁 子10を介して主体金具50へ飛火する横飛火の 生を防止できるので、混合気への正常な着 を安定して確保できる。

 次に、本発明で規定した各パラメータの 値範囲を実証するための3つの評価試験につ いて説明する。実施例1では、カーボン汚損 回復性試験について説明する。実施例2では 絶縁碍子の耐電圧試験について説明する。 施例3では、中心電極の電極チップの耐久性 試験について説明する。なお、以下の説明で は、絶縁碍子の突出量を「H」とし、絶縁碍 の先端側体積を「Vi」とし、中心電極の先端 側体積を「Vc」と略して説明する。

 [実施例1]
 実施例1では、H、Vi、Vcがカーボン汚損の回 性に与える影響について調べた。まず、本 験では、絶縁碍子のHが異なる4つの試験区 設けた。試験区1をH=0.8mm、試験区2をH=1.8mm、 験区3をH=2.8mm、試験区4をH=3.8mmに設定した。 そして、各試験区で設定されたHを満たすと に、Vi及びVcをそれぞれ適宜変更させた複数 のスパークプラグを各試験区毎に用意した

 次に、試験条件について説明する。まず JIS D1606の燻り汚損試験に基づき、スパーク プラグを燻らせ、絶縁抵抗値が100ωのスパー プラグを用意した。そして、絶縁抵抗値が 整されたスパークプラグをベンチ上のエン ンに取り付け、回転数=3000rpm、吸入圧力=-30M Paの条件下で2分間保持した。その後、エンジ ンをアイドリング状態にし、横飛火の発生率 を30秒間測定した。なお、本試験に使用した ンジンは2L、4気筒エンジンである。このよ な試験条件の下で、各試験区毎に上述した パークプラグの各サンプルについて評価を った。なお、評価は横飛火の発生率に基づ て3段階で行い、発生無しを「○」、5%未満 「△」、5%以上を「×」と判定した。

 試験区1の結果について、図4を参照して説 する。図4は、実施例1の試験区1の結果を示 表である。試験区1では、H=0.8mmで、Viを3.91~13 .63(mm 3 )の範囲内、Vcを2.10~6.98(mm 3 )の範囲内で適宜変更させた19本のサンプル( ンプルNo.1-1~1-19)の評価を行った。表に示す うに、19本のサンプルの評価は全て「×」で った。

 試験区2の結果について、図5を参照して説 する。図5は、実施例1の試験区2の結果を示 表である。試験区2では、H=1.8mmで、Viを1.74~16 .51(mm 3 )の範囲内、Vcを2.10~8.17(mm 3 )の範囲内で適宜変更させた22本のサンプルの 評価(サンプルNo.2-1~2-22)を行った。なお、試 区2の結果を示す表では、評価が異なるサン ル同士を比較検討し易くするために、上か 順に、評価が「×」であったサンプル、評 が「△」であったサンプル、評価が「○」 あったサンプルの順に並べている。

 表に示すように、22本のサンプルの内、評 が「△」であったサンプルは8本、評価が「 」であったサンプルは6本であった。「○」 又は「△」に相当するサンプルの各パラメー タの範囲は、Viが4.02~12.51(mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~6.42(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.28~1.03(mm 3 )の範囲内であった。「○」のみに相当する ンプルの各パラメータの範囲は、Viが4.02~8.77 (mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~5.36(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.40~0.84(mm 3 )の範囲内であった。

 試験区3の結果について、図6を参照して説 する。図6は、実施例1の試験区3の結果を示 表である。試験区3では、H=2.8mmで、Viを4.02~13 .63(mm 3 )の範囲内、Vcを2.10~.6.98(mm 3 )の範囲内で適宜変更させた13本のサンプル( ンプルNo.3-1~3-13)の評価を行った。なお、試 区3の結果を示す表についても、評価が異な サンプル同士を比較検討し易くするために 上から順に、評価が「×」であったサンプ 、評価が「△」であったサンプル、評価が ○」であったサンプルの順に並べている。

 表に示すように、13本のサンプルの内、評 が「△」であったサンプルは6本、評価が「 」であったサンプルは4本であった。「○」 又は「△」に相当するサンプルの各パラメー タの範囲は、Viが4.02~12.51(mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~6.42(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.28~1.03(mm 3 )の範囲内であった。「○」のみに相当する ンプルの各パラメータの範囲は、Viが4.02~8.77 (mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~5.36(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.40~0.84(mm 3 )の範囲内であった。

 試験区4の結果について、図7を参照して説 する。図7は、実施例1の試験区4の結果を示 表である。試験区4では、H=3.8mmで、Viを4.02~13 .63(mm 3 )の範囲内、Vcを2.10~.6.98(mm 3 )の範囲内で適宜変更させた13本のサンプル( ンプルNo.4-1~4-13)の評価を行った。なお、試 区4の結果を示す表についても、評価が異な サンプル同士を比較検討し易くするために 上から順に、評価が「×」であったサンプ 、評価が「△」であったサンプル、評価が ○」であったサンプルの順に並べている。

 表に示すように、13本のサンプルの内、評 が「△」であったサンプルは6本、評価が「 」であったサンプルは4本であった。「○」 又は「△」に相当するサンプルの各パラメー タの範囲は、Viが4.02~12.51(mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~6.42(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.28~1.03(mm 3 )の範囲内であった。「○」のみに相当する ンプルの各パラメータの範囲は、Viが4.02~8.77 (mm 3 )の範囲内、Vcが2.10~5.36(mm 3 )の範囲内、Vc/Viが0.40~0.84(mm 3 )の範囲内であった。

 次に、実施例1の結果についてまとめる。実 施例1の試験区1~4の各結果において、「○」 △」の範囲を考慮すると、H、Vi、Vc、Vc/Viに いては、以下の数値範囲で規定される。
 ・H≧1.8mm
 ・4.02mm 3 ≦Vi≦12.51mm 3
 ・2.10≦Vc≦6.42mm 3
 ・Vc/Vi≦1.03
なお、「○」の範囲のみを考慮した場合は、 以下の数値範囲で規定される。
 ・H≧1.8mm
 ・4.02mm 3 ≦Vi≦8.77mm 3
 ・2.10≦Vc≦5.36mm 3
 ・Vc/Vi≦0.84

 [実施例2]
 実施例2では、実施例1で規定された数値範 において、絶縁碍子の耐電圧試験を行った まず、実施例1で汚損時の回復性が良好であ たH及びViの各範囲を満たすスパークプラグ サンプルとして作製した。具体的には、Hに ついて1.8,2.8,3.8の3種類を設定し、さらにViを2 .47~12.51(mm 3 )の範囲内で適宜変更させることで、23本のサ ンプルを作製した。なお、火花放電間隙は、 電極消耗を考慮して1.3mmに調整した。

 次に、試験条件について説明する。エン ンは660cc、3気筒、ターボチャージャーエン ンを使用した。試験パターンは、アイドリ グ(800rpm)1分、全開3分からなるパターンであ って、10時間それを繰り返した。そして、そ 10時間後の各サンプルについて、汚損の回 性を評価すると共に、絶縁碍子の耐電圧性 評価した。なお、汚損の回復性については ○」「△」「×」で評価した。絶縁碍子の耐 電圧性については、絶縁碍子に貫通破壊が発 生した場合を「×」、貫通が発生しなかった 合を「○」と評価した。

 次に、耐電圧試験の結果について、図8を参 照して説明する。図8は、実施例2の結果を示 表である。汚損回復性については、Hに関わ らず、Viが12.51(mm 3 )である3本のサンプル(サンプルNo21,22,23)につ ては何れも「△」であったが、それ以外は て「○」であり、「×」は無かった。一方 絶縁碍子の貫通破壊の有無については、Hに わらず、Viが2.47~4.02(mm 3 )の範囲内にあるサンプルは全て「×」であっ たが、Viが4.22~12.51(mm 3 )の範囲内にあるサンプルは全て「○」であ た。

 次に、実施例2の結果についてまとめる。実 施例2の結果を、実施例1で規定された数値範 に反映させた場合、Vi=4.02(mm 3 )のサンプルで絶縁碍子に貫通破壊が発生し ため、Viは少なくとも4.02を超えていなけれ ならない。従って、実施例1で規定されたVi 数値範囲は、以下のようにさらに規定され 。
 ・4.02mm 3 <Vi≦12.51(好ましくは8.77)mm 3

 [実施例3]
 実施例3では、Vcが中心電極の先端部に溶接 れた電極チップの耐久性に与える影響につ て調べた。電極チップの耐久試験では、ス ークプラグをエンジンに取り付けた状態で 100時間の耐久試験後の電極チップの残存率 算出した。ここで、「残存率」とは、電極 ップの溶融部を含まない部分の残存率をい 、以下の式で算出した。
 ・残存率=耐久試験後の電極チップの体積/ 久試験前の電極チップの体積
なお、「電極チップの体積」とは、電極チッ プの溶融部を含まない部分の体積をいう。

 次に、試験条件について説明する。エン ンは2L、4気筒のエンジンを使用した。そし 、WOT(5000rpm)で100時間連続で耐久試験を行い 耐久試験後の電極チップの残存率を算出し 。電極チップは、イリジウム(Ir)合金製と、 プラチナ(Pt)合金製との2種類について検討し 。そして、これらの電極チップが溶接され 中心電極のVcを0.64~8.17の範囲内で適宜変更 せ、イリジウム合金製の電極チップを供え スパークプラグ12本と、プラチナ合金製の電 極チップを供えたスパークプラグ12本とをサ プルとして用意した。

 次に、耐久試験の結果について、図9,図10を 参照して説明する。図9は、実施例3の結果を す表であり、図10は、実施例3の結果を示す ラフである。まず、イリジウム合金製の電 チップから検討する。Vcが0.64mm 3 ~1.52mm 3 にかけて、残存率は22%から49%まで緩やかに上 昇した。そして、Vcが1.52mm 3 を超えると急激に上昇し、Vcが1.79mm 3 で残存率は90%にまで一気に上昇した。その後 、残存率は98%に推移した。一方、プラチナ合 金製の電極チップについても同様の結果が得 られた。即ち、Vcが0.64mm 3 ~1.52mm 3 にかけては、残存率は56%から70%まで緩やかに 上昇した。そして、Vcが1.52mm 3 を超えると急激に上昇し、Vcが1.79mm 3 で残存率は85%にまで一気に上昇した。その後 、残存率は93%に推移した。

 次に、実施例3の結果についてまとめる。イ リジウム合金製及びプラチナ合金製の何れの 電極チップを用いた場合でも、Vcが1.79mm 3 以上で電極チップの残存率が急激に高くなっ た。従って、Vcが1.79mm 3 以上であれば、電極チップの耐久性が保持さ れるので、実施例1で規定されたVcの数値範囲 の下限値(Vc=2.10mm 3 )は、この条件を満たしていることが実証さ た。

 以上の実施例1~3の結果を踏まえると、H、Vi Vc、Vc/Viは、以下の数値範囲で規定されるこ とが実証された。
 ・H≧1.8mm
 ・4.02mm 3 <Vi≦12.51(好ましくは8.77)mm 3
 ・2.10mm 3 ≦Vc≦6.42(好ましくは5.36)mm 3
 ・Vc/Vi≦1.03(好ましくは0.84)
 なお、Vc/Viの下限値は、Vcの下限値及びViの 限値で自動的に決まる値である。 

 以上説明したように、本実施形態のスパー プラグ100では、絶縁碍子10の先端側の昇温 能を向上するために、絶縁碍子10の突出量H(m m)、絶縁碍子10の先端側体積Vi(mm 3 )、中心電極20の先端側体積Vc(mm 3 )を各々規定した。これにより、絶縁碍子10の 耐電圧性および中心電極20の耐久性を保持し つ、カーボン汚損の回復性を向上できる。 して、カーボン汚損の回復性が向上するこ から、中心電極20から絶縁碍子10を介して主 体金具50へ飛火する横飛火の発生を抑制でき ので、混合気への正常な着火を安定して確 できる。

 なお、本発明は各種の変形が可能なこと いうまでもない。例えば、中心電極20を構 する電極母材21や芯材25の材質は、それぞれ ニッケルまたはニッケルを主成分とする合 、および銅または銅を主成分とする合金か なるとしたが、それぞれ、耐火花消耗性に れた金属(Fe合金など)、および電極母材21よ も熱伝導性に優れた金属(Ag合金など)の組み 合わせとなれば、その他の金属を用いてもよ い。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参 して説明したが、本発明の精神と範囲を逸 することなく様々な変更や修正を加えるこ ができることは当業者にとって明らかであ 。

 本出願は、2008年3月21日出願の日本特許出 願(特願2008-72731)、に基づくものであり、その 内容はここに参照として取り込まれる。