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Patent Searching and Data


Title:
SPECTACLES LENS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090743
Kind Code:
A1
Abstract:
A spectacles lens having a high performance and an excellent mass productivity. The spectacles lens is characterized in that a contact multilayer diffraction optical element is formed at least on one of the surfaces (SA, SB) of a lens whole system (L1) disposed between an object and the pupil, and the apparent Abbe constant Vd of when the lens whole system including the contact multilayer diffraction optical element is considered as a single lens satisfies Vd>60 ····· (1). Such a spectacles lens using the contact multilayer diffraction optical element has a high performance and a high mass productivity.

Inventors:
SUZUKI KENZABURO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000074
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIKON CORP (JP)
SUZUKI KENZABURO (JP)
International Classes:
G02B13/04; G02C7/02
Foreign References:
JP2004013081A2004-01-15
JPH09127322A1997-05-16
JPH09127321A1997-05-16
JP2000284238A2000-10-13
US6008942A1999-12-28
Other References:
"Introduction to Diffractive Optical Elements", 8 December 2006, THE OPTRONICS CO., LTD., pages: 25 - 38
"OPTICAL AND ELECTROOPTICAL ENGINEERING CONTACT", September 2004, JAPAN OPTOMECHATRONICS ASSOCIATION
See also references of EP 2108993A4
Attorney, Agent or Firm:
FURUYA, Fumio et al. (19-5 Nishishinjuku 1-Chome, Shinjuku-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 物体から瞳までに配置されたレンズ全系の少なくとも1つの面に密着複層型回折光学素子が形成され、
 前記密着複層型回折光学素子を含めた前記レンズ全系を単レンズとみなしたときの見かけのアッベ数V d は、
 V d >60…(1)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子の互いに密着する2つの層のd線に対する屈折率差δN d は、少なくとも両者の界面近傍において、
 0.005<δN d <0.45…(2)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1又は請求項2に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子の互いに密着する2つの層の一方は高屈折率低分散の材料、他方は低屈折率高分散の材料からなり、
 前記2つの層のF線に対する屈折率差δN F 、C線に対する屈折率差δN C は、
 δN F <δN C …(3)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項3の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子のd線に対する回折効率E d 、g線に対する回折効率E g 、C線に対する回折効率E C は、
 (E g +E C )/2>0.9×E d …(4)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項4の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子の互いに密着する2つの層の主分散(N F -N C )の差δ(N F -N C )、d線に対する屈折率差δN d は、
 -10.0<δN d /δ(N F -N C )<-2.0…(5)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項5の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子の互いに密着する2つの層の軸上厚さのうち小さい方の厚さd、その密着複層型回折光学素子が有する回折光学面の格子高さhは、
 0.05<h/d<2.0…(6)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項6の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子が有する回折光学面の個々の格子の立ち上がり面には、
 瞳へ向かう光線に沿った勾配が付与される
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項7の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子を除く前記レンズ全系は、正の光学的パワーを有し、
 前記密着複層型回折光学素子は、正の光学的パワーを有する
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項7の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子を除く前記レンズ全系は、負の光学的パワーを有し、
 前記密着複層型回折光学素子は、負の光学的パワーを有する
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項9の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記レンズ全系は、
 物体側に凸のメニスカスレンズであり、
 前記密着複層型回折光学素子の形成先は、
 前記メニスカスレンズの瞳側の面又は物体側の面である
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項1~請求項9の何れか一項に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記レンズ全系は、
 物体側に凸の接合メニスカスレンズであり、
 前記密着複層型回折光学素子の形成先は、
 前記接合メニスカスレンズの接合面である
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 負の光学的パワーを有するメニスカスレンズの凹面に密着複層型回折光学素子が形成された眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子は、負の光学的パワーを有し、
 前記密着複層型回折光学素子の互いに密着する2つの層のうち、前記メニスカスレンズの凹面側の層の屈折率は、他方の層の屈折率よりも高い
 ことを特徴とする眼鏡レンズ。
 請求項12に記載の眼鏡レンズにおいて、
 前記密着複層型回折光学素子が有する回折光学面の個々の格子の立ち上がり面には、瞳へ向かう光線に沿った勾配が付与されており、
 光軸と垂直な方向における前記立ち上がり面の長さの最大値δ mx は、
  2μm<δ mx <30μm ・・・(7)
 を満たすことを特徴とする眼鏡レンズ。
Description:
眼鏡レンズ

 本発明は、眼鏡レンズに関する。

 眼鏡レンズには、ガラスやプラスチック樹 などの屈折光学素子が用いられる。小型軽 化のため、眼鏡レンズは単レンズで構成さ 、色消し(色収差の補正)は施されていない が通常である。特許文献1には、小型軽量を ちつつ眼鏡レンズの色収差(特に倍率色収差 )を補正するために、回折光学素子を組み合 せることが提案されている。

特開2000-284238号公報

米国特許6,008,942号明細書 回折光学素子入門増補改訂版,P25-P38,P163-P 175,株式会社オプトロニクス社,平成18年12月8 光技術コンタクト9月号,社団法人日本オ トメカトロニクス協会,2004年9月

 しかし、通常の回折光学素子は特定波長 光に対して適正に作用するように設計され いるので、眼鏡レンズでは特定波長以外の 長の光でフレアが多く発生し、画質が損な れる。また、回折光学素子の種類によって 、製造コストが高く、量産の必要な眼鏡レ ズに適さないこともある。

 そこで本発明は、高性能であり、しかも 産性に優れた眼鏡レンズを提供することを 的とする。

 本発明の眼鏡レンズの一形態は、物体から までに配置されたレンズ全系の少なくとも1 つの面に密着複層型回折光学素子が形成され 、前記密着複層型回折光学素子を含めた前記 レンズ全系を単レンズとみなしたときの見か けのアッベ数V d は、V d >60…(1)を満たすことを特徴とする。

 なお、前記密着複層型回折光学素子の互い 密着する2つの層のd線に対する屈折率差δN d は、少なくとも両者の界面近傍において、0.0 05<δN d <0.45…(2)を満たすことが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子の互い 密着する2つの層の一方は高屈折率低分散の 材料、他方は低屈折率高分散の材料からなり 、前記2つの層のF線に対する屈折率差δN F 、C線に対する屈折率差δN C は、δN F <δN C …(3)を満たすことが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子のd線に 対する回折効率E d 、g線に対する回折効率E g 、C線に対する回折効率E C は、(E g +E C )/2>0.9×E d …(4)を満たすことが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子の互い 密着する2つの層の主分散(N F -N C )の差δ(N F -N C )、d線に対する屈折率差δN d は、-10.0<δN d /δ(N F -N C )<-2.0…(5)を満たすことが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子の互 に密着する2つの層の軸上厚さのうち小さい 方の厚さd、その密着複層型回折光学素子が する回折光学面の格子高さhは、0.05<h/d<2 .0…(6)を満たすことが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子が有 る回折光学面の個々の格子の立ち上がり面 は、瞳へ向かう光線に沿った勾配が付与さ ることが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子を除 前記レンズ全系が正の光学的パワーを有す 場合は、前記密着複層型回折光学素子は、 の光学的パワーを有することが望ましい。

 また、前記密着複層型回折光学素子を除 前記レンズ全系が負の光学的パワーを有す 場合は、前記密着複層型回折光学素子は、 の光学的パワーを有することが望ましい。

 また、前記レンズ全系が物体側に凸のメ スカスレンズである場合、前記密着複層型 折光学素子の形成先は、前記メニスカスレ ズの瞳側の面又は物体側の面であることが ましい。

 また、前記レンズ全系が物体側に凸の接 メニスカスレンズである場合、前記密着複 型回折光学素子の形成先は、前記接合メニ カスレンズの接合面であってもよい。

 また、本発明の眼鏡レンズの別の形態は 負の光学的パワーを有するメニスカスレン の凹面に密着複層型回折光学素子が形成さ た眼鏡レンズにおいて、 前記密着複層型 折光学素子は、負の光学的パワーを有し、 記密着複層型回折光学素子の互いに密着す 2つの層のうち、前記メニスカスレンズの凹 側の層の屈折率は、他方の層の屈折率より 高いことを特徴とする。

 なお、前記密着複層型回折光学素子が有す 回折光学面の個々の格子の立ち上がり面に 、瞳へ向かう光線に沿った勾配が付与され おり、光軸と垂直な方向における前記立ち がり面の長さの最大値δ mx は、2μm<δ mx <30μm ・・・(7)を満たすことが望ましい。

 本発明によれば、高性能であり、しかも 産性に優れた眼鏡レンズが実現する。

実施形態の眼鏡レンズの模式図である 密着複層型回折光学素子の構成例を示 模式図である。 密着複層型回折光学素子の別の構成例 示す模式図である。 密着複層型回折光学素子のさらに別の 成例を示す模式図である。 実施形態の眼鏡レンズの変形例を示す である。 立ち上がり面に勾配を付与する場合の を説明する図である。 2つの層の材料の選定方法の例を説明す る図である。 別の条件下での2つの層の材料の選定方 法の例を説明する図である。 第1実施例の眼鏡レンズの光路図である 。 第1実施例の諸収差図である。 第2実施例の眼鏡レンズの光路図であ 。 第2実施例の諸収差図である。 第3実施例の眼鏡レンズの光路図であ 。 第3実施例の諸収差図である。

 先ず、回折光学素子を簡単に説明する。

 回折光学素子において回折現象が生じる (以下、「回折光学面」という。)は、正の 学的パワーを有する場合に負の分散値を持 ので、特殊ガラスでしか達し得なかったよ な良好な色収差補正を可能とし、特に倍率 収差の補正に有効である。しかし、通常の 折光学素子は、設計波長からずれた波長で フレアが多く発生するので、その用途はレ ザー光源などの単色光源又は準単色光源に られていた。

 その点、複数の回折光学面を積み重ねた複 型回折光学素子は、広帯域に亘り回折効率 高いのでフレアの抑制に有利である。例え 、2層タイプの複層型回折光学素子は、第1 回折光学要素と、第1の回折光学要素とは屈 率及び分散の異なる第2の回折光学要素とを 積み重ねてなり、両者の対向面にそれぞれ鋸 歯状(ブレーズ型)の回折光学面が形成されて る。特定の2波長に対し色消し条件を満足す るよう第1の回折光学要素の回折光学面の格 高さd 1 を所定値に決定すると共に、第2の回折光学 素の回折光学面の格子高さd 2 を別の所定値に決定すると、それら2波長に する複層型回折光学素子の回折効率が1とな 、その他の波長に対しても高い回折効率が られる。なお、ここでいう「回折効率」と 、回折光学面に入射する光の強度I 0 と、回折光学面で発生する一次回折光の強度 I 1 との比η=I 1 /I 0 である。

 特に、この複層型回折光学素子が所定の条 (非特許文献1のP167の式(5)参照)を満たすと、 d 1 とd 2 を一致させることが可能となり、2つの回折 学面を密着させた密着複層型回折光学素子 実現する。密着複層型回折光学素子は、分 型の複層型回折光学素子と比較して回折光 面の格子高さの誤差感度(公差)が緩い、回折 光学面の面粗さの誤差感度(公差)が緩いなど メリットがあり、量産に有利である。この うな密着複層型回折光学素子の詳細は、非 許文献1のP163-P175,非特許文献2などにも記載 れている。

 次に、本実施形態の眼鏡レンズを説明す 。

 図1は、本実施形態の眼鏡レンズの模式図 である。図1において符号E.P.で示すのが眼の である。図1に示すとおり、本実施形態の眼 鏡レンズは、通常の眼鏡レンズと同様、物体 側に凸の曲面を配置したメニスカスレンズL1 基となっている。眼鏡レンズにメニスカス ンズが採用される理由は、比較的目立ち易 非点収差を軽減するべく「チェルニングの 円」と呼ばれる解を満足させるためである この結果、眼鏡レンズの光学的パワーを正 設定した場合、光学的パワーを負に設定し 場合の何れであっても眼鏡レンズはメニス スレンズとなる。

 但し、本実施形態の眼鏡レンズでは、メ スカスレンズL1の物体側の面SA(凸面)、瞳側 面SB(凹面)の少なくとも一方に密着複層型回 折光学素子が形成される。なお、設計上は、 その形成先は面SA,SBの何れであってもよいが 使用上は、面Bである方が望ましい。面Bと た方が、使用時に密着複層型回折光学素子 破壊される可能性が少ないからである。

 観察眼が遠視である場合、メニスカスレ ズL1の単体の光学的パワーは正に設定され が、その場合、密着複層型回折光学素子の 学的パワーも、正に設定される。

 この場合、メニスカスレンズ単体の分散 正、密着複層型回折光学素子の分散は負と り、両者は反対符号となる。よって、メニ カスレンズL1の単体に割り振られる光学的 ワーと、密着複層型光学素子に割り振られ 光学的パワーとのバランスを調整すること 、眼鏡レンズ全系の色収差を補正すること できる。

 一方、観察眼が近視である場合、メニス スレンズL1の単体の光学的パワーは負に設 されるが、その場合、密着複層型回折光学 子の光学的パワーも、負に設定される。

 この場合、メニスカスレンズL1の単体の 散は負、密着複層型回折光学素子の分散は となり、両者は反対符号となる。よって、 ニスカスレンズL1の単体に割り振られる光学 的パワーと、密着複層型光学素子に割り振ら れる光学的パワーとのバランスを調整するこ とで、眼鏡レンズ全系の色収差を補正するこ とができる。

 図2,図3,図4は、密着複層型回折光学素子 構成例を示す模式図である。

 図2,図3,図4において符号DOEで示すのが密 複層型回折光学素子であり、符号Bで示すの 密着複層型回折光学素子の形成先となるベ ス部材である。このベース部材Bが、図1に したメニスカスレンズL1に相当する。なお、 これらの図では、ベース部材Bにおいて密着 層型回折光学素子DOEが形成される面(ベース )を平面で描き、密着複層型回折光学素子DOE が有する回折光学面DOSの形状を、実際よりも 粗く描いた。

 図2に示す例では、ベース部材Bの表面に2 の層14a,14bが積層され、層14a,14bの各々の境 面が鋸歯状の回折光学面DOSとなっている。 れらの互いに密着した回折光学面DOSが密着 層型回折光学素子DOEを構成する。なお、こ 密着複層型回折光学素子DOEをベース部材Bへ 成する方法としては、金型を使用した樹脂 形や、フィルム状の密着複層型回折光学素 DOEを用意してそれをベース部材B上へ貼付す る方法などを採用できる。

 図3に示す例では、ベース部材Bの表面に 歯状のレリーフパターンが刻まれ、その上 1つの層14bが密着して形成されている。ベー 部材B,層14bの各々の境界面がブレーズ型の 折光学面DOSとなっている。これらの互いに 着した回折光学面DOSが密着複層型回折光学 子DOEを構成する。なお、この密着複層型回 光学素子DOEをベース部材B上へ形成する方法 しては、金型を使用した樹脂成形などを採 できる。

 図4に示す例では、ベース部材Bの表面に3 の層14a,14b,14cが積層され、層14a,14b,14cの各々 の境界面がブレーズ型の回折光学面DOSとなっ ている。これらの互いに密着した回折光学面 DOSが密着複層型回折光学素子DOEを構成する。 なお、この密着複層型回折光学素子DOEをベー ス部材Bへ形成する方法としては、金型を使 した樹脂成形や、フィルム状の密着複層型 折光学素子DOEを用意してそれをベース部材B へ貼付する方法などを採用できる。

 なお、以上の説明では、図1に示すとおり 単レンズからなるメニスカスレンズL1を例に げたが、眼鏡レンズに偏光フィルタなどの 能を付加する場合は、図5に示すとおり接合 メニスカスレンズL1’を使用してもよい。そ 場合は、密着複層型回折光学素子の形成先 、接合メニスカスレンズL1’を構成する一 の光学部材L11(偏光フィルタ)と他方の光学部 材L12との間の接合面Cとしてもよい。

 接合面Cに形成される密着複層型回折光学 素子の構成としては、図2,図3,図4の何れかに した構成を採用することができる。その場 、光学部材L11,L12を接合するための接着剤を 、密着複層型回折光学素子の最上層又は最下 層に兼用してもよい。

 次に、本実施形態の眼鏡レンズが満たす き条件式を説明する。

 (第1の条件式)
 第1の条件式は、以下の条件式(1)である。

 V d >60 …(1)
 条件式(1)は、眼鏡レンズの画質を良好にす ための条件式である。条件式(1)のV d は、密着複層型回折光学素子を含めた眼鏡レ ンズの全系を単レンズとみなしたときの見か けのアッベ数であり、全系のd線に対する焦 距離をf d 、F線に対する焦点距離をf F 、C線に対する焦点距離をf C とおいたときに、V d =|f d /(f F -f c )|で表される。

 因みに、密着複層型回折光学素子による色 差補正が完璧であった場合、f d /(f F -f c )はゼロとなり、その色収差補正が過補正で った場合、f d /(f F -f c )の値は負となり、その色収差補正が補正不 であった場合、f d /(f F -f c )の値は正となる。密着複層型回折光学素子 使用により、本実施形態の眼鏡レンズは特 低分散ガラスを使用しなくともこの条件式(1 )を満たすことができる。

 仮に、見かけのアッベ数V d が条件式(1)を満たさないと、眼鏡レンズに大 きな色収差が残存し、画質が低下する。

 また、画質を十分に高めるには、見かけの ッベ数V d は条件式(1)の代わりに(3’)を満たすことが望 ましい。

 V d >150 …(3’)
 但し、人間の眼の分解能は有限なので、見 けのアッベ数V d を一定以上大きくするとオーバースペックと なる。よって、見かけのアッベ数V d は、条件式(3”)で規定される範囲に留めても 構わない。

 V d <500…(3”)
 (第2の条件式)
 第2の条件式は、以下の条件式(2)である。

 0.005<δN d <0.45…(2)
 条件式(2)は、密着複層型回折光学素子がそ 機能(つまり、広帯域に亘る回折効率の高さ 、量産性の高さ)を発揮するために必要な条 式の1つである。条件式(2)のδN d は、互いに密着する2つの層のd線に対する屈 率差、特に、両層の境界近傍における屈折 差である。両層の屈折率の大小関係は問わ いが、両層の屈折率差δN d は、広帯域に亘り高い回折効率を得るために は大きくする必要があり、回折光学面の誤差 感度を抑えるためには大き過ぎない必要もあ る。

 具体的には、屈折率差δN d が条件式(2)の上限値(0.45)を上回ると誤差感度 が大きくなり過ぎる。一方、屈折率差δN d が条件式(2)の下限値(0.005)を下回ると、ブレ ズ条件を満たすための格子高さが大きくな 過ぎるので、個々の格子の立ち上がり面で じる散乱光が多くなり、迷光が増える。ま 、格子高さが大きくなり過ぎると、回折光 面の形成が困難となる。なお、ここでいう 立ち上がり面」とは、ブレーズ型の格子を す2つの傾斜面のうち、ベース面の法線と成 角度が小さい方の傾斜面(急峻な傾斜面)の とである。立ち上がり面は、「格子縦面」 「格子の壁」、「非回折面」などとも称さ る。

 また、誤差感度をより下げるために、屈折 差δN d は条件式(1’)を満たすことが望ましい。

 0.005<δN d <0.2…(1’)
 (第3の条件式)
 第3の条件式は、以下の条件式(3)である。

 δN F <δN C  …(3)
 条件式(3)は、密着複層型回折光学素子がそ 機能(特に、広帯域に亘る回折効率の高さ) 発揮するために必要な条件式の1つである。 件式(3)のδN F は、互いに密着する2つの層のF線に対する屈 率差であり、δN C は、C線に対する屈折率差である。屈折率差δ N F ,δN C が条件式(3)を満たせば、互いに密着する2つ 層の屈折率及び分散のバランスが良好とな 、広帯域に亘り高い回折効率が得られるが 条件式(3)を満たさないとそのバランスが崩 、回折効率が不足する。

 (第4の条件式)
 第4の条件式は、以下の条件式(4)である。

 (E g +E C )/2>0.9×E d …(4)
 条件式(4)は、眼鏡レンズの画質を良好にす ための条件式である。条件式(4)のE g ,E d ,E C は、密着複層型回折光学素子のd線に対する 折効率、g線に対する回折効率、C線に対する 回折効率である。回折効率E g ,E d ,E C が条件式(4)を満たさないと、フレアが大きく なる。密着複層型回折光学素子の使用により 、本実施形態の眼鏡レンズはこの条件式(4)を 満たすことができる。

 なお、画質をより高めるためには、条件 (4)の代わりに条件式(4’)を採用することが ましい。

 (E g +E C )/2>0.98×E d …(4’)
 (第5の条件式)
 第5の条件式は、以下の条件式(5)である。

 -10.0<δN d /δ(N F -N C )<-2.0 …(5)
 条件式(5)は、密着複層型回折光学素子がそ 機能(特に、広帯域に亘る回折効率の高さ) 発揮するために必要な条件式の1つである。 件式(5)のδ(N F -N C )は、互いに密着する2つの層の主分散(N F -N C )の差である。条件式(5)が満たされないと、 着複層型回折光学素子が広帯域に亘る高い 折効率を得ることはできない。なお、その 能を十分に得るためには、条件式(5)の代わ に以下の条件式(5’)を満たすことが望まし 。

 -8<δN d /δ(N F -N C )<-2.0 …(5’)
 (第6の条件式)
 第6の条件式は、以下の条件式(6)である。

 0.05<h/d<2.0 …(6)
 条件式(6)は、密着複層型回折光学素子がそ 機能(広帯域に亘る回折効率の高さ、量産性 の高さ)を発揮するために必要な条件式であ 、特に格子高さに関する条件式である。条 式(6)のhが格子高さであり、dは前記2つの層 軸上厚さのうち小さい方である。h/dが条件 (6)の上限値(2.0)を上回ると、相対的に格子が 高くなり過ぎるので、立ち上がり面が厚くな り、そこで生じる散乱光が多くなり、迷光が 増える。また、格子高さが大きくなり過ぎる と、回折光学面の形成が困難となる。一方、 h/dが条件式(6)の下限値(0.05)を下回ると、相対 的に前記2つの層が厚くなり過ぎるので、や り回折光学面の形成が困難となる。また、 記2つの層が厚くなり過ぎると、密着複層型 折光学素子における光の吸収量が増え、レ ズ全系の透過率低下や色付きが生じ易くな などの不都合も発生する。

 なお、密着複層型回折光学素子の機能を り高めるには、条件式(6)の代わりに条件式( 6’)を採用するとよい。

 0.2<h/d<1.0 …(6’)
 (第7の条件式)
 第7の条件式は、以下の条件式(7)である。

 2μm<δ mx <30μm ・・・(7)
条件式(7)は、密着複層型回折光学素子がその 機能(広帯域に亘る回折効率の高さ、量産性 高さ)を発揮するために必要な条件式であり 特に、格子傾斜角度(光軸方向からの傾斜角 度)に関する条件式である。個々の格子の立 上がり面で発生する散乱光を軽減するには その立ち上がり面に、瞳へ向かう光束の主 線に沿うような勾配が付与されることが望 しい(図6を参照)。その場合、図6に示すよう 、格子傾斜角度は光軸から離れるに従って きくなり、格子の立ち上がり面の光軸と垂 な方向の長さδ m も、光軸から離れるに従って大きくなる。そ の長さδ m の回折光学面における最大値δ mx (つまり最周辺に形成された格子の立ち上が 面の長さδ m )が本条件式(7)を満たせば、回折光学面上の ての格子傾斜角度が適当に保たれる。仮に 最大値δ mx が上限値30μmを超えると、格子傾斜角度と、 子の立ち上がり面の面積とが共に大きくな 、迷光の発生量が増える。また、最大値δ mx が下限値2μmを下回ると、密着複層型回折光 素子の回折効率の向上効果が薄れるばかり 、抜き勾配が小さくなるために密着複層型 折光学素子の作製が困難という不都合も生 る。

 なお、本条件式(7)の効果を十分に発揮する は、条件式(7)の上限値を15μm、下限値を3μm することが望ましく、更には、条件式(7)の 限値を12μm、下限値を4μmとすることが望ま い。例えば、密着複層型回折光学素子の形 先が平面であり、その格子高が20μm、光の 射角度が20度であった場合は、δ mx =6.43μmなどに設定することが望ましい。

 なお、散乱光をより抑えるために、立ち がり面に黒化処理を施してもよい。

 因みに、立ち上がり面に勾配を付与する 合は、密着複層型回折光学素子の互いに密 する2つの層の材料を次のとおり選定すると よい。

 例えば、密着複層型回折光学素子の光学 パワーが負であり、かつ密着複層型回折光 素子の形成先をベース部材の瞳側の面とす とき(例えば図1の面SBであるとき)には、図7 示すように、密着複層型回折光学素子のベ ス部材側の層に高屈折率の材料を使用し、 側の層に低屈折率の材料を使用する。互い 密着する2つの層の材料をこのように選定す れば、立ち上がり面の勾配が、格子の先端角 度を大きくする方向に働くので、金型を用い た樹脂成形の際に回折光学面に抜き勾配が付 くこととなり、量産性が高まる。

 一方、密着複層型回折光学素子に付与さ る光学的パワーが負であり、かつ密着複層 回折光学素子の形成先をベース部材の物体 の面とするとき(例えば図1の面SAであるとき )には、図8に示すように、密着複層型回折光 素子のベース部材側の層に低屈折率の材料 使用し、物体側の層に高屈折率の材料を使 する。互いに密着する2つの層の材料をこの ように選定すれば、立ち上がり面の勾配が、 格子の先端角度を大きくする方に働くので、 金型を用いた樹脂成形の際に回折光学面に抜 き勾配が付くこととなり、量産性が高まる。

 なお、密着複層型回折光学素子に付与さ る光学的パワーが正であった場合は、互い 密着する2つの層の順序は、上述したものと 反対になる。

 (第8の条件式)
 第8の条件式は、以下の条件式(8)である。

 0.00005<p/|f|<0.02 …(8)
 条件式(8)は、密着複層型回折光学素子がそ 機能(広帯域に亘る回折効率の高さ、量産性 の高さ)を発揮するために必要な条件式であ 、特に格子ピッチに関する条件式である。 件式(8)のpは回折光学面の最小格子ピッチ(最 外周の格子ピッチ)であり、fはレンズ全系の 点距離である。p/|f|が条件式(8)の下限値(0.00 005)を下回ると、格子ピッチが小さくなり過 るので、回折光学面の形成が困難となり、 かも回折効率の低下を招き、フレア光が発 し画質が低下する。一方、p/|f|が条件式(8)の 上限値(0.02)を上回ると、格子ピッチが大きく なり過ぎて、十分な色消しが達成出来ず、画 質が低下し易くなる。

 なお、密着複層型回折光学素子の機能を り高めるには、条件式(8)の代わりに条件式( 8’)を採用するとよい。

 0.0001<p/|f|<0.01 …(8’)
 (第9の条件式)
 第9の条件式は、以下の条件式(9)である。

 δ/|f|<0.05 …(8)
 条件式(9)は、眼鏡レンズの画質を良好にす ための条件式である。条件式(9)のδは、d線 g線、C線、F線の軸上色収差の最大拡がり巾 ある。眼鏡レンズが条件式(9)を満たせば、 上色収差が十分に小さくなり、良好な結像 能が得られる。眼鏡レンズが条件式(9)を満 さないと、軸上色収差が大きくなり過ぎて 付きが生じる。

 なお、画質をより高めるためには、条件 (9)の代わりに条件式(9’)を採用することが ましい。

 δ/|f|<0.02 …(9’)
 但し、軸上色収差を完全にゼロとすること 実質的に不可能なので、実際のδ/|f|は、条 式(9”)で規定される範囲に留まると考えて わない。

 δ/|f|>0.0001 …(9”)
 (第10の条件式)
 第10の条件式は、以下の条件式(10)である。

 0.0001<C(d 1 +d 2 )/f 2 <2.0 …(10)
 条件式(10)は、密着複層型回折光学素子がそ の機能(広帯域に亘る回折効率の高さ、量産 の高さ)を発揮するために必要な条件式であ 、特に層厚に関する条件式である。条件式( 10)のd 1 ,d 2 は、互いに密着する2つの層の各々の層厚で り、Cは密着複層型回折光学素子の有効径で る。よって、C(d 1 +d 2 )/f 2 は、焦点距離で規格化した密着複層型回折光 学素子の体積(規格化体積)を示す。規格化体 C(d 1 +d 2 )/f 2 が条件式(10)の上限値(2.0)を上回ると、密着複 層型回折光学素子の体積が大きくなり過ぎて 、密着複層型回折光学素子における光の吸収 量が増え、レンズ全系の透過率低下や色付き が生じ易くなる。また、密着複層型回折光学 素子の体積が大き過ぎると、製造コストの増 大に繋がる。また、規格化体積C(d 1 +d 2 )/f 2 が条件式(10)の下限値(0.0001)を下回ると、密着 複層型回折光学素子が薄くなり過ぎて、十分 な回折効果が得られずに色消しの効果が不足 する。

 なお、密着複層型回折光学素子の機能を り高めるには、条件式(10)の代わりに条件式 (10’)を採用するとよい。

 0.0001<C(d 1 +d 2 )/f 2 <0.01 …(10’)
 以上、本実施形態の眼鏡レンズは、画質を めるための条件式や、密着複層型回折光学 子の機能(広帯域に亘る回折効率の高さ、量 産性の高さ)が眼鏡レンズにおいて十分に発 されるための条件式を満たす。したがって 本実施形態の眼鏡レンズは高性能であり、 かも量産性が高い。

 (その他の条件)
 なお、本実施形態の眼鏡レンズにおいて、 着複層型回折光学素子を樹脂成形で形成す 場合、量産性を重視し、互いに密着する2つ の層の材料は、それぞれ光硬化型樹脂(特にUV 硬化型樹脂)であることが望ましい。また、 産性を高めるため、それら2つの層の一方に 用される光硬化型樹脂の未硬化状態での粘 は40cP以上であり、他方に使用される光硬化 型樹脂の未硬化状態での粘度は2000cP以上であ ることが望ましい。また、眼鏡レンズを小型 軽量化するために、それら2つの層の材料の 重は2.0以下であることが好ましい。ガラス 比して樹脂は比重が小さいため、眼鏡レン の軽量化に有効である。また、さらなる軽 化を図る場合は、その比重を1.6以下に抑え ことが好ましい。

 また、本実施形態の眼鏡レンズの装用位 については次の条件が満たされることが望 しい。すなわち、最も瞳側の面(図1の面SB) ら瞳(E.P.)までの距離は25mm程度であることが 適であり、少なくともその距離は20mm~30mmの 囲内に収められることが望ましい。その距 がこの範囲内に収められれば、眼鏡レンズ 快適に装着・使用可能となるだけでなく、 れた回折性能と優れた結像性能との双方を 鏡レンズが発揮することができる。

 また、本実施形態の眼鏡レンズの少なく も1つの面を非球面としてもよい。特に、正 の光学的パワーを付与すべき面を非球面とす ることが好ましい。

 また、本実施形態の眼鏡レンズは、単レ ズに密着複層型回折光学素子を形成した眼 レンズ(図1参照)、又は接合レンズに密着複 型回折光学素子を形成した眼鏡レンズ(図5 照)の何れかであったが、複数の光学部材か なる光学系の何れかの光学部材に密着複層 回折光学素子を形成した眼鏡レンズに変形 てもよい。また、本実施形態の眼鏡レンズ 一部又は全部の光学部材に、屈折率分布型 ンズ、結晶材料レンズなどを適用してもよ 。

 眼鏡レンズの第1実施例を説明する。

 図9は、本実施例の眼鏡レンズの光路図で ある。図9に示すとおり、本実施例の眼鏡レ ズは、物体側に凸のメニスカスレンズL1と、 そのメニスカスレンズL1の瞳側の面上に形成 れた密着複層型回折光学素子DOEとからなる 密着複層型DOEのタイプは、図2に示した2層 イプである。

 表1は、本実施例の眼鏡レンズのレンズデ ータである。表1において、mは面番号、rは曲 率半径、dは面間隔、n(d)はd線に対する屈折率 、n(g)はg線に対する屈折率、n(C)はC線に対す 屈折率、m(F)はF線に対する屈折率である。

 表1において、回折光学面の面番号には「* (アスタリスク)を付し、回折光学面の形状は 、超高屈折率法により非球面に換算した。超 高屈折率法の詳細は、非特許文献1のP25-P38な に記載されている。換算に当たっては、回 光学面のd線の屈折率を1001、g線の屈折率を7 418.6853とおいた。また、d線の波長λ d 、g線の波長λ g 、C線の波長λ C 、F線の波長λ F をそれぞれ次のとおり選定した。

 λ d =587.562nm
 λ g =435.835nm
 λ C =656.273nm
 λ F =486.133nm

 なお、第2面と第3面との間の媒質(=密着複層 型回折光学素子DOEを構成する一方の層)の未 化状態での粘度は100cPであり、d線に対する 折率が1.5276である。また、第4面と第5面との 間の媒質(=密着複層型回折光学素子DOEを構成 る他方の層)の未硬化状態での粘度は4800cPで あり、d線に対する屈折率が1.5569である。

 表2は、回折光学面(第4面)のデータである 。回折光学面の形状は、非球面を多項式(11) 表したときの各項の係数(非球面係数)で規定 される。

 S(y)=(y 2 /r)/{1+(1-K・y 2 /r 2 ) 1/2 }
      +C 4 ・y 4 +C 6 ・y 6 +C 8 ・y 8 +C 10 ・y 10  …(11)
 但し、yは光軸に垂直な方向の高さであり、 S(y)は高さyにおけるサグ量(=非球面頂点にお る接平面からの光軸方向の距離)であり、rは 非球面頂点における曲率半径であり、Kは円 係数であり、C n はn次の非球面係数である。なお、表2では値 ゼロである係数については表記していない

 本実施例の条件対応値は、以下のとおりで る。なお、BFはバックフォーカス、Dは眼鏡 数、pは、最外周における格子ピッチである 。
f=-124.558
f F =0.03065
f C =0.57604
BF=-124.446
D=1000/BF=-8.036
E g =98.221
E C =98.233
E d =99.999
δ(N F -N c )=-0.00410
h=0.02
d=0.3
p=0.0443
C=26.9
d 1 +d 2 =0.6
δ=0.83016
式(1)のV d =228.4
式(2)のδN d =0.0293
式(3)のδN F =0.0263
式(3)のδN c =0.0304
式(4)の(E g +E C )/2=98.227
式(4)の0.9×E d =89.999
式(5)のδN d /δ(N F -N C )=-7.146
式(6)のh/d=0.0667
式(7)のδ mx =8.0μm
式(8)のp/|f|=0.00036
式(9)のδ/|f|=0.00666
式(10)のC(d 1 +d 2 )/f 2 =0.00104
 すなわち、本実施例の眼鏡レンズは、条件 (1)~(10)の全てを満たす。

 図10は、本実施例の諸収差図である。図10 においてFNOはFナンバーを、Yは像高を示して る。図10においてdはd線に関するカーブであ り、gはg線に関するカーブであり、CはC線に するカーブであり、FはF線に関するカーブで ある。図10に示すとおり、本実施例では諸収 が良好に補正され、優れた結像性能が得ら る。

 眼鏡レンズの第2実施例を説明する。

 図11は、本実施例の眼鏡レンズの光路図 ある。図11に示すとおり、本実施例の眼鏡レ ンズは、物体側に凸のメニスカスレンズL1と そのメニスカスレンズL1の瞳側の面上に形 された密着複層型回折光学素子DOEとからな 。密着複層型回折光学素子DOEのタイプは、 2に示した2層タイプである。

 表3は、本実施例の眼鏡レンズのレンズデ ータである。表3の表記方法は、表1のそれと じである。また、超高屈折率法による換算 法も、第1実施例のそれと同じである。

 なお、第2面と第3面との間の媒質(=密着複層 型回折光学素子DOEを構成する一方の層)の未 化状態での粘度は100cPであり、d線に対する 折率が1.5276である。また、第4面と第5面との 間の媒質(=密着複層型回折光学素子DOEを構成 る他方の層)の未硬化状態での粘度は4800cPで あり、d線に対する屈折率が1.5569である。

 表4は、回折光学面(第4面)のデータである 。表4の表記方法は、表2のそれと同じである

 本実施例の条件対応値は、以下のとおりで る。
f=-237.694
f F =0.05598
f C =0.68738
BF=-237.345
D=1000/BF=-4.213
E g =98.221
E C =98.233
E d =99.999
δ(N F -N c )=-0.00410
h=0.02
d=0.3
p=0.0388
C=29.8
d 1 +d 2 =0.6
δ=0.89521
式(1)のV d =376.46
式(2)のδN d =0.0293
式(3)のδN F =0.0263
式(3)のδN c =0.0304
式(4)の(E g +E C )/2=98.227
式(4)の0.9×E d =89.999
式(5)のδN d /δ(N F -N C )=-7.146
式(6)のh/d=0.0667
式(7)のδ mx =9.1μm
式(8)のp/|f|=0.00016
式(9)のδ/|f|=0.00377
式(10)のC(d 1 +d 2 )/f 2 =0.000316
 すなわち、本実施例の眼鏡レンズは、条件 (1)~(10)の全てを満たす。

 図12は、本実施例の諸収差図である。図12 の表記方法は、図10のそれと同じである。図1 2に示すとおり、本実施例では諸収差が良好 補正され、優れた結像性能が得られる。

 眼鏡レンズの第3実施例を説明する。

 図13は、本実施例の眼鏡レンズの光路図 ある。図13に示すとおり、本実施例の眼鏡レ ンズは、物体側に凸のメニスカスレンズL1と そのメニスカスレンズL1の瞳側の面上に形 された密着複層型回折光学素子DOEとからな 。密着複層型DOEのタイプは、図2に示した2層 タイプである。

 表5は、本実施例の眼鏡レンズのレンズデ ータである。図5の表記方法は、表1のそれと じである。また、超高屈折率法による換算 法も、第1実施例のそれと同じである。

 なお、第2面と第3面との間の媒質(=密着複層 型回折光学素子DOEを構成する一方の層)の粘 は100cPであり、d線に対する屈折率が1.5276で る。また、第4面と第5面との間の媒質(=密着 層型回折光学素子DOEを構成する他方の層)の 粘度は4800cPであり、d線に対する屈折率が1.556 9である。

 表6は、回折光学面(第4面)のデータである 。表6の表記方法は、表2のそれと同じである

 本実施例の条件対応値は、以下のとおりで る。
f=194.476
f F =0.01476
f C =-1.10663
BF=190.774
D=1000/BF=5.242
E g =98.221
E C =98.233
E d =99.999
δ(N F -N c )=-0.00410
h=0.02
d=0.3
p=0.0408
C=42.6
d 1 +d 2 =0.6
δ=1.37974
式(1)のV d =-173.424
式(2)のδN d =0.0293
式(3)のδN F =0.0263
式(3)のδN c =0.0304
式(4)の(E g +E C )/2=98.227
式(4)の0.9×E d =89.999
式(5)のδN d /δ(N F -N C )=-7.146
式(6)のh/d=0.0667
式(7)のδ mx =13.7μm
式(8)のp/|f|=0.00021
式(9)のδ/|f|=0.00709
式(10)のC(d 1 +d 2 )/f 2 =0.00068
 すなわち、本実施例の眼鏡レンズは、条件 (1)~(10)の全てを満たす。

 図14は、本実施例の諸収差図である。図14 の表記方法は、図10のそれと同じである。図1 4に示すとおり、本実施例では諸収差が良好 補正され、優れた結像性能が得られる。