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Patent Searching and Data


Title:
SPHERICAL FERRITE NANOPARTICLE AND METHOD FOR PRODUCTION THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081917
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel method for producing a ferrite nanoparticle having a particle diameter ranging from 30 to 250 nm, a spherical shape and even particle size. A ferrite nanoparticle can be synthesized by dispersing a seed crystal of a ferrite microparticle in an aqueous solution containing a ferrous ion and a disaccharide, adding an alkali such as NaOH to the aqueous solution, further adding an oxidizing agent such as NaNO3 to the aqueous solution, and reacting these components to synthesize the ferrite nanoparticle. The ferrite nanoparticle thus synthesized has a spherical shape, a particle diameter of 30 to 250 nm and very even particle size, hardly causes aggregation in water, has good dispersibility, and has suitable properties for a magnetic nanoparticle for various use applications including biotechnology and medical treatment.

Inventors:
ABE MASANORI (JP)
HANDA HIROSHI (JP)
NAKAGAWA TAKASHI (JP)
TADA MASARU (JP)
SHIMAZU RYUICHI (JP)
TANAKA TOSHIYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/075246
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TOKYO INST TECH (JP)
TAMAGAWA SEIKI CO LTD (JP)
ABE MASANORI (JP)
HANDA HIROSHI (JP)
NAKAGAWA TAKASHI (JP)
TADA MASARU (JP)
SHIMAZU RYUICHI (JP)
TANAKA TOSHIYUKI (JP)
International Classes:
C01G49/02; A61J3/00; A61K47/02; A61K47/04; A61K47/32; A61K47/34; A61K47/48; A61K49/00; H01F1/36
Foreign References:
JP2006282582A2006-10-19
JP2005060221A2005-03-10
JP2002128523A2002-05-09
JPH02116631A1990-05-01
JPH01246150A1989-10-02
JP2007070195A2007-03-22
JP2007000649A2007-01-11
JP2002025816A2002-01-25
JP2006219353A2006-08-24
Other References:
TANG X. ET AL.: "Preparation of M-Ba-ferrite fine powders by sugar-nitrates process", JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE, vol. 41, no. 12, June 2006 (2006-06-01), pages 3867 - 3871, XP019399508
JIANG W. ET AL.: "Preparation and properties of superparamagnetic nanoparticles with narrow size distriution", JOURNAL OF MAGNETISM AND MAGNETIC MATERIALS, vol. 283, no. 2-3, December 2004 (2004-12-01), pages 210 - 214, XP004629551
See also references of EP 2128095A4
B.Y. LEE ET AL., ADV. FUNCT. MATER., vol. 15, 2005, pages 503
S. SUN; H. ZENG, J. AM. CHEM. SOC., vol. 124, 2002, pages 8204
B.Y.LEE ET AL.: "Large-Scale Synthesis of Uniform and Crystalline Magnetite Nanoparticles Using Reverse Micelles as Nanoreactors under Reflux Conditions", ADV. FUNCT. MATER., vol. 15, no. 3, 2005, pages 503 - 509
S. SUN; H. ZENG: "Size-Controlled Synthesis of Magnetite Nanoparticles", J. AM. CHEM. SOC., vol. 124, 2002, pages 8204 - 8205
Y. TAMAURA; G.S.CHYO; T. KATSURA: "The Fe304-formation by the "ferrite process": Oxydation of the reactive Fe(OH)2 suspension induced by sucrose", WATER RESEARCH, vol. 13, no. 1, 1979, pages 21 - 31
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SHIMAZU ET AL.: "Extended Abstract of Japan Society of Powder Metallurgy Meeting", vol. 18, 2006, SPRING, article "Control of Particle Size of Ferrite Nanoparticles by Seed Growth Method", pages: 3 - 51A
Attorney, Agent or Firm:
SUYAMA, Saichi (1 Kandata-cho 2-chome, Chiyoda-ku Tokyo 46, JP)
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Claims:
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中でフェライトナノ粒子を成長させる工程を備えた球形フェライトナノ粒子の製造方法。
 二糖類とアルカリと酸化剤を含有した水溶液に微粒子の種結晶と2価鉄イオンを添加し、フェライトナノ粒子を成長させる工程を備えた請求項1に記載の球状フェライトナノ粒子の製造方法。
 2価鉄イオンと二糖類を含有する水溶液にアルカリを添加し微粒子の種結晶を分散させるアルカリ添加及び種結晶分散工程と、
 前記2価鉄イオンと二糖類を含有し、ナノ粒子形成のための種粒子を分散しアルカリの添加された水溶液に酸化剤を添加する酸化剤添加工程と、
 前記酸化剤の添加された水溶液を水の存在下で成長させる粒子成長工程と
を具備した請求項1に記載の球状フェライトナノ粒子の製造方法。
 前記水溶液に3価鉄イオンを含有させる請求項1に記載の球状フェライトナノ粒子の製造方法。
 前記水溶液における二糖類の濃度が0.1M以上5M以下であり、前記水溶液における2価鉄イオンの濃度と二糖類の濃度の比が0.002以上50以下である請求項1に記載の球状フェライトナノ粒子の製造方法。
 前記酸化剤が、硝酸、亜硝酸、硝酸塩、及び亜硝酸塩から選ばれる少なくともいずれか一種である請求項1に記載の球状フェライトナノ粒子の製造方法。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤を含有した水溶液に、微粒子の種結晶と2価鉄イオンを添加することによって製造しうる請求項7の球形フェライトナノ粒子。
 2価鉄イオンと二糖類を含有する水溶液にアルカリを添加し、微粒子の種結晶を分散させ、酸化剤を添加することによって製造しうる請求項7球状フェライトナノ粒子。
 個数平均粒径が30nm以上250nm以下であり、該個数平均粒径の-40%以上、+40%以下の粒子の比率が95%以上であって、表面が親水性を有する請求項7記載の球状フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、界面活性剤、ヒドロキシル酸および糖アルコールから選ばれる少なくともいずれか一種で表面修飾した表面修飾フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリグリシジルメタクリレート(GMA)から選ばれる少なくともいずれかのポリマー、シリカ、並びにシランカップリング剤の少なくともいずれかで被覆したコンポジットフェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、界面活性剤、ヒドロキシル酸および糖アルコールから選ばれる少なくともいずれか一種で表面修飾した表面修飾フェライトナノ粒子の表面を、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリグリシジルメタクリレート(GMA)から選ばれる少なくともいずれかのポリマー、シリカ、並びにシランカップリング剤の少なくともいずれか一種で被覆したコンポジットフェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子と、
 前記ナノ粒子の表面と結合したリンカー分子と、
 前記リンカー分子と結合しかつ被検物質と特異的に結合可能なプローブ分子と
を備えた機能性フェライトナノ粒子。
 薬剤、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、蛋白質、ペプチド、核酸、ホルモン、糖類、病原体および毒素からなる群から選ばれる少なくとも一種の物質の認識、分析またはスクリーニングに用いる試薬である請求項14に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 診断剤、細胞標識剤、酵素固定剤および蛋白質精製剤から選ばれる物質の少なくともいずれかの検出に用いる請求項14に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁気ハイパーサーミアの発熱体、MRIの造影剤および薬剤輸送の担体から選ばれるいずれかに用いる請求項14に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁化検出器により磁化を検出する診断法に用いられる請求項13に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 クロマトグラフィーに用いられる請求項13に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 土壌改質、水質、および大気浄化から選ばれる少なくともいずれかの用途に用いられる請求項14に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 吸着剤またはセンサーの少なくともいずれかに用いられる請求項14に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、界面活性剤、ヒドロキシル酸および糖アルコールから選ばれる少なくともいずれか一種で表面修飾した表面修飾フェライトナノ粒子と、
 前記ナノ粒子の表面と結合したリンカー分子と、
 前記リンカー分子と結合しかつ被検物質と特異的に結合可能なプローブ分子と
を備えた機能性フェライトナノ粒子。
 薬剤、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、蛋白質、ペプチド、核酸、ホルモン、糖類、病原体および毒素からなる群から選ばれる少なくとも一種の物質の認識、分析またはスクリーニングに用いる試薬である請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 診断剤、細胞標識剤、酵素固定剤および蛋白質精製剤から選ばれる物質の少なくともいずれかの検出に用いる請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁気ハイパーサーミアの発熱体、MRIの造影剤および薬剤輸送の担体から選ばれるいずれかに用いる請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁化検出器により磁化を検出する診断法に用いられる請求項21に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 クロマトグラフィーに用いられる請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 土壌改質、水質、および大気浄化から選ばれる少なくともいずれかの用途に用いられる請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 吸着剤またはセンサーの少なくともいずれかに用いられる請求項22に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリグリシジルメタクリレート(GMA)から選ばれる少なくともいずれか一種のポリマー、シリカ、並びにシランカップリング剤の少なくともいずれか一種で被覆したコンポジットフェライトナノ粒子と、
 前記ナノ粒子の表面と結合したリンカー分子と、
 前記リンカー分子と結合しかつ被検物質と特異的に結合可能なプローブ分子と
を備えた機能性フェライトナノ粒子。
 薬剤、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、蛋白質、ペプチド、核酸、ホルモン、糖類、病原体および毒素からなる群から選ばれる少なくとも一種の物質の認識、分析またはスクリーニングに用いる試薬である請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 診断剤、細胞標識剤、酵素固定剤および蛋白質精製剤から選ばれる物質の少なくともいずれかの検出に用いる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁気ハイパーサーミアの発熱体、MRIの造影剤および薬剤輸送の担体から選ばれるいずれかに用いる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁化検出器により磁化を検出する診断法に用いられる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 クロマトグラフィーに用いられる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 土壌改質、水質、および大気浄化から選ばれる少なくともいずれかの用途に用いられる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 吸着剤またはセンサーの少なくともいずれかに用いられる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子の種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で成長させることによって製造しうる球形フェライトナノ粒子の表面を、界面活性剤、ヒドロキシル酸および糖アルコールから選ばれる少なくともいずれか一種で表面修飾した表面修飾フェライトナノ粒子の表面を、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリグリシジルメタクリレート(GMA)から選ばれる少なくともいずれか一種のポリマー、シリカ、並びにシランカップリング剤の少なくともいずれか一種で被覆したコンポジットフェライトナノ粒子と、
 前記ナノ粒子の表面と結合したリンカー分子と、
 前記リンカー分子と結合しかつ被検物質と特異的に結合可能なプローブ分子と
を備えた機能性フェライトナノ粒子。
 薬剤、抗原、抗体、レセプター、ハプテン、酵素、蛋白質、ペプチド、核酸、ホルモン、糖類、病原体および毒素からなる群から選ばれる少なくとも一種の物質の認識、分析またはスクリーニングに用いる試薬である請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 診断剤、細胞標識剤、酵素固定剤および蛋白質精製剤から選ばれる物質の少なくともいずれかの検出に用いる請求項30に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁気ハイパーサーミアの発熱体、MRIの造影剤および薬剤輸送の担体から選ばれるいずれかに用いる請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 磁化検出器により磁化を検出する診断法に用いられる請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 クロマトグラフィーに用いられる請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 土壌改質、水質、および大気浄化から選ばれる少なくともいずれかの用途に用いられる請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
 吸着剤またはセンサーの少なくともいずれかに用いられる請求項38に記載の機能性フェライトナノ粒子。
Description:
球状フェライトナノ粒子及びそ 製造方法

 本発明は、球状フェライトナノ粒子及び の製造方法に関し、特にナノメータサイズ 球形を有し、その大きさのよく揃ったフェ イト粒子および水溶液中におけるその粒子 製造方法に関する。

 水系の溶液に分散したフェライト微粒子 、さまざまな用途があり、さまざまな分野 広く用いられている。その中でも、バイオ クノロジーや医用の分野への応用が近年著 く発達し、これに伴ってフェライト微粒子 対し、さまざまな高度の要求がなされるよ になった。

 このようなバイオテクノロジーや医用に いられるフェライト微粒子として、球形を し、粒径が数10nmないし数100nmのオーダーで って、その粒径の分布が狭いもの、即ち粒 のよく揃ったものが強く求められるように った。

 粒径分布が数10nmのオーダーであることに より、生体内のさまざまな部位を通過できる ようになる。また粒子が多面体形状の結晶粒 子の場合には、結晶面により面の性質が異な ることから、生体分子や高分子で表面修飾し た場合に、均質に修飾することは必ずしもで きないが、球形にすることによって異なる結 晶面の性質が平均化されるので、生体分子や 高分子の表面修飾を均質に行うことが可能と なる。また、フェライト粒子が結晶粒子の場 合には、粒子の表面がいくつかの平面で構成 されるため、結晶面やその境界の辺による面 接着や辺接着が生じ、これによって凝集を生 じ易いが、球形の粒子であればこうした凝集 の原因がなくなり、粒子同士が解離し易くな るので、水溶液中での粒子の分散性が高めら れる。

 通常の生化学物質の操作は水溶液中で行 れるので、水溶液中での分散に適したもの あることが特に望まれる。このため、粒子 状が球状であることに加えて、粒子の表面 性質が、水溶液中での分散に適したもので ることが望まれる。

 粒子が水溶液中てよく分散するナノ粒子 あって、しかもよく揃った球状粒子であれ 、その分散液を体内で用いた場合に、粒子 移動が円滑に行なえるという利点が期待で る。

 このような粒径が数10nmないし100nmのオー ーであり、粒子形状が球形であって、粒子 がよく揃っており、しかも水溶液中に容易 分散させることのできるフェライトナノ粒 は、各種のバイオ・医用への応用に適した 性微粒子として望ましいものである。しか ながら、このような磁性微粒子を製造する めの技術は、いまだ開発されるには至って なかった。

 これまでに、フェライトナノ粒子を大量 作成しうるさまざまな合成法が開発されて る。原材料粉末を調合し焼成した後に機械 に粉砕する粉砕法は、生産性に優れる反面 粒子形状やサイズ分布が不揃いとなる。不 性ガス中で金属を蒸発させ、ガスとの衝突 より冷却・凝集させて得られた金属ナノ粒 を低酸素分圧下で酸化し酸化物を合成する 属蒸発酸化法では、球形の粒子が得られる 、粒径を揃えることは困難である。この方 で合成し市販されているナノ粒子として、 ーアイ化成のNanoTekRを例示できる。また、 材料溶液をミストとして噴霧し、高温部を 過させることで乾燥・合成を行う噴霧法(特 文献1: 特開2002-025816)では、球形の粒子を合 成することはできるが、粒径のばらつきが大 きいという課題がある。

 これに対し、ポリオール法(非特許文献1: B.Y. Lee, et al.,Adv. Funct. Mater. 15 (2005) 503.) や逆ミセル法(非特許文献2: S. Sun and H. Zeng , J. Am. Chem. Soc. 124 (2002) 8204.)など有機溶 中でフェライトナノ粒子を合成する方法で 、球形で、粒径分布の非常に狭いマグネタ トが得られる。しかしながら、この方法で 16nm以上の粒径の粒子が得られていないこと や、得られた粒子の表面は界面活性剤で覆わ れているなどの課題がある。粒子表面を覆っ ている界面活性剤は粒子を有機溶媒中に分散 させるものであって疎水性を示し、水溶液中 での分散は困難である。また、粒子表面に界 面活性剤が存在すると、生体分子やポリマー を粒子表面に固定化することが困難であると いう問題もある。

 各種のバイオ・医用分野への応用を考慮 ると、水溶液中に容易に分散させられるフ ライト粒子が求められている。このことを 案すると、フェライト粒子は水溶液中で合 されることが望ましい。

 水溶液中での球形のフェライト粒子の作製 ついての先駆的な研究として、非特許文献3 及び非特許文献4に記載がある。非特許文献3 は、水溶液からフェライトを析出させる方 を利用した水処理プロセスの研究の一環と て、ほぼ球形のフェライト微粒子を得た玉 らの先駆的な研究が記載されている。この 特許文献3では、脱酸素処理をした純水にFeS O 4 と少量のサッカロースとを加え、pHが9になる までNaOHを加えて昇温させ、水酸化物を生成 せ、これに二酸化炭素を除去した空気を通 ことにより、36~250nmのサイズの球形を有する フェライト微粒子が生成することが示されて いる。しかしながら、この方法には、生成さ れるフェライト微粒子の粒径のばらつきが大 きいという問題点があった。本発明者らの追 試の結果も、これを裏付けるものであって、 球形に近い形状は得られるものの、形の整っ た球形ではないことや、粒径分布が比較的大 きいという結果を得ている。

 また、非特許文献4には、杉本らによるゲ ル状の水酸化物から鉄酸化物を生成させた場 合の粒子形態についての研究が記載されてい る。この文献には、ゲル状の水酸化物から鉄 酸化物を生成させることによって、30nmから1. 1μmの径の球形フェライト粒子が得られるこ が記載されている。しかしながら、この文 に記載された方法では、この文献の図7に示 れているように、粒子サイズがμmのオーダ まで成長した粒子では粒径がよく揃ってい ものの、例えば300nm未満の粒子サイズの場 には、粒径分布はかなり広いものになって ることが示されている。

 このようなことから、フェライトナノ粒子 球状にし、水溶液中での分散をよくするこ によって、バイオテクノロジーや医療の分 での使用により適した形のフェライトナノ 子の製造技術がまだ確立されておらず、こ 技術の確立が強く望まれてきた。
B.Y. Lee, J. Lee, C.J. Bae, J.G. Park, H.J. N oh, J.H. Park and T. Hyeon, “Large-Scale Synthesis of Uniform and Crystalline Magnetite Nanoparticles Us ing Reverse Micelles as Nanoreactors under Reflux Con ditions”, Adv. Funct. Mater. 15(3), pp. 503-509, (2 005) S. Sun and H. Zeng,  “Size-Controlled Synthes is of Magnetite Nanoparticles”, J. Am. Chem. Soc.  124, 8204-8205, (2002) Y.Tamaura, G.S. Chyo and T. Katsura, “The Fe3 O4-formation by the "ferrite process" :Oxydation of t he reactive Fe(OH)2 suspenssion induced by sucrose”,  Water research 13 (1), pp. 21-31 (1979) T. Sugimoto and E.Matuevic, "Formation of Unifor m Spherical Magnetite Particles by Crystallization fro m Ferrous Hydroxide Gels", J. Colloidal and interface  Science, 24 (1) pp.227-243 (1980) 嶋津、多田、阿部、半田、”種成長法に よるフェライトナノ粒子の粒径制御”粉体粉 末冶金協会講演概要集 平成18年春季大会 3-5 1A (2006)

特開2002-025816公報

特開2006-219353公報

 本発明は、こうした技術背景のもとで、 径が30~250nmの範囲にあって球形を有し粒径 よく揃ったフェライトナノ粒子を製造する めの、これまで未開発であった新しい製造 法を提供することを解決課題とするもので る。

 本発明の球形フェライトナノ粒子の製造 法は、二糖類とアルカリと酸化剤と微粒子 種結晶と2価鉄イオンを含有した水溶液中で フェライトナノ粒子を成長させる工程を備え た球形フェライトナノ粒子の製造方法である 。本発明の球形フェライトナノ粒子の製造方 法は、二糖類とアルカリと酸化剤を含有した 水溶液に微粒子の種結晶と2価鉄イオンを添 し、フェライト微粒子を成長させる方法で ってもよい。

 また、本発明の球形フェライトナノ粒子 製造方法は、2価鉄イオンと二糖類を含有す る水溶液にアルカリを添加し微粒子の種結晶 を分散させるアルカリ添加及び種結晶分散工 程と、この2価鉄イオンと二糖類を含有しナ 粒子形成のための種粒子を分散しアルカリ 添加された水溶液に酸化剤を添加する酸化 添加工程と、前記酸化剤の添加された水溶 を水の存在下で粒子を成長させる粒子成長 程とを具備したものであってもよい。

 こうした水溶液を用いたフェライトナノ 子の製造方法により、30~250nm程度の直径を し、球形で粒子の大きさがよく揃い、水中 よく分散するフェライトナノ粒子を合成で るようになった。この製造方法で合成され フェライトナノ粒子は、水中での粒子間の 集力が非常に小さく、粒子がいったん沈降 ても、撹拌によって容易に水中に再度分散 るという際立った性質を有している。この 立った性質を示す理由として、粒子形状が 形であるため、面接着や辺接着による凝集 ないことのほか、粒子表面に残留する二糖 の作用により、粒子間の凝集力が弱められ いることが考えられる。

 上記水溶液中の2価鉄イオンは、FeCl 2 やFeSo 4 など、2価鉄イオンを有する金属塩を加える とにより供給させることができる。

 ここに二糖とは、2つの単糖がグリコシド 結合した化合物であって、一般的な二糖とし て、サッカロース(α-D-グルコピラノシル -β- D-フルクトフラノシド)、セロビオース(4-O-(β- D-グルコピラノシル)-D-グルコピラノース)、 レハロース(α-D-グルコピラノシル-α-D-グル ピラノシド)、マルトース(4-O-(α-D-グルコピ ノシ)-D-グルコピラノース)およびラクトース (4-O-(β-D-ガラクトピラノシル)-D-グルコピラノ ース)がある。

 この球状フェライトナノ粒子の製造方法 おいて、水溶液に3価鉄イオンを含有させて もよい。

 上記水溶液の二糖類の濃度は、0.1M以上1.0 M以下であり、この水溶液における2価鉄イオ の濃度と二糖類の濃度の比が0.002以上50以下 であることが好ましい。二糖類の濃度がこの 範囲にあり、二糖類の濃度がこの範囲より少 ないと、粒子形状の丸みが少なくなり、表面 に比較的大きな結晶面を有するようになる。 このため、糖の濃度は0.2M以上であって、2価 イオンの濃度と二糖類の濃度の比が0.004以 であることがより好ましい。他方、二糖類 濃度がこの範囲を超える場合には、粒子形 として球形を示さなくなり、二糖類の濃度 さらに多くなると、フェライト相の形成が られなくなる。このため、二糖類の濃度は3M 以下であって、2価鉄イオンの濃度と二糖類 濃度の比が30以下であることがより好ましい 。

 上記酸化剤として、硝酸、亜硝酸、硝酸 、及び亜硝酸塩から選ばれる少なくとも1種 を好ましく用いることができる。これらの酸 化剤は、適度の酸化作用を有することにより 、上記工程によるフェライトナノ粒子の合成 に適するものである。硝酸塩としては、硝酸 ナトリウム及び硝酸カリウムを挙げることが できる。また、亜硝酸塩としては、亜硝酸ナ トリウム及び亜硝酸カリウムを挙げることが できる。

 本発明の球状フェライトナノ粒子は、上 の製造方法によって得ることができる。

 本発明の球状フェライトナノ粒子は、個 平均粒径が30nm以上250nm以下であり、該個数 均粒径の-40%以上+40%以下の粒子の比率が95% 上であって、表面が親水性を有するもので ってもよい。

 なお本発明に係る球形フェライトナノ粒子 、真球に近い形状を有することにより、通 の結晶粒子とは異なる顕著な性質を示すナ メータサイズ(30nm~250nm程度のサイズ)の粒径 有するフェライト粒子を意味するものであ 。具体的には、フェライトナノ粒子表面に 在する個々の結晶面の最大寸法dと、フェラ イトナノ粒子の直径Dとの比D/dが5以上である して定義することのできるものである。ま 、フェライトナノ粒子の形状観察は通常、 過型電子顕微鏡像によってなされるので、 ェライトナノ粒子の透過型電子顕微鏡像の 郭の幾何学的な円からのずれの大きさを示 真円度δr(フェライトナノ粒子の透過型電子 顕微鏡像の輪郭を、半径r 2 およびr 1 の二つの同心円ではさんだとき、この二つの 同心円の半径の差:δr=r 2 -r 1 )の平均半径r m =(r 2 +r 1 )/2との比δr/r m の値が0.3以下として、本発明の球形フェライ トナノ粒子を定義することもできる。

 本発明に係る表面修飾フェライトナノ粒 は、上記球形フェライトナノ粒子の表面を 界面活性剤、ヒドロキシル酸、および糖ア コールから選ばれる少なくともいずれか一 で表面修飾したものである。表面修飾する とによって水中での分散性を向上させるこ ができる。このような表面修飾フェライト ノ粒子は、表面修飾により、水中での分散 を向上させることができる。

 本発明の球形フェライトナノ粒子および 面修飾フェライトナノ粒子は、表面をポリ チレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エ テル、ポリメタクリル酸エステル、および リGMAから選ばれる少なくともいずれかのポ マー、シリカ、並びにシランカップリング の少なくともいずれかで被覆したコンポジ トナノ粒子にし、各種の用途に用いること できる。

 また、本発明に係る機能性フェライトナ 粒子は、上記フェライトナノ粒子、上記表 修飾フェライトナノ粒子または上記コンポ ットフェライトナノ粒子と、このナノ粒子 表面と結合したリンカー分子と、このリン ー分子と結合しかつ被検物質と特異的に結 可能なプローブ分子とを備えたものである

 本発明に係る上記機能性フェライトナノ 子は、薬剤、抗原、抗体、レセプター、ハ テン、酵素、蛋白質、ペプチド、核酸、ホ モン、糖類、病原体および毒素からなる群 ら選ばれる少なくといずれか一種の物質の 識、分析またはスクリーニングするための 体として用いることができる。

 また、本発明に係る上記機能性フェライ ナノ粒子は、診断剤、細胞標識剤、酵素固 剤および蛋白質精製剤から選ばれる物質の ずれかに用いることができる。

 また、本発明に係る上記機能性フェライ ナノ粒子は、磁気ハイパーサーミアの発熱 、MRIの造影剤または薬剤輸送の担体として いることができる。

 また、本発明に係る上記機能性フェライ ナノ粒子は、SQUID(超伝導量子干渉素子)、ホ ールセンサ、またはGMR(巨大磁気抵抗効果)セ サなどの各種磁化検出器により磁化を検出 る診断法に用いることができる。

 また、本発明に係る上記機能性フェライ ナノ粒子は、クロマトグラフィーに用いる とができる。

 また、本発明に係る上記機能性フェライ ナノ粒子は、土壌改質、水質、および大気 化から選ばれる少なくともいずれかに用い ことができる。

 さらに、本発明に係る上記機能性フェラ トナノ粒子は、吸着剤またはセンサーの少 くともいずれかに用いることができる。

 本発明の球形フェライトナノ粒子の製造 法によれば、得られるフェライトナノ粒子 形状が球形であり、粒子の大きさがよく揃 ているので、バイオ・医用への応用はじめ 各種の用途に適した性質が得られるように った。例えば生体分子や高分子の表面修飾 均質に行うことができ、また、粒子間の面 着や辺接着がなく、粒子同士が解離し易い で、水溶液中での分散性が良好であること わかった。また微細流路中をスムーズに通 できるため、MEMS、体内注入、磁性流体など の用途に非常に適している。

本発明の一実施形態における球形フェ イトナノ粒子の製造工程を示した流れ図で る。 本発明の他の一実施形態における球形 ェライトナノ粒子の製造工程を示した流れ である。 本発明のさらに他の一実施形態におけ 球形フェライトナノ粒子の製造工程を示し 流れ図である。 本発明の各実施例における球形フェラ トナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である 本発明の一実施形態における球形フェ イトナノ粒子の磁化測定の結果を示す図で る。 種粒子の投入量が(a)2.7mg/40mLの場合と(b) 13.5mg/40mLに増した場合に得られたフェライト ノ粒子の透過型電子顕微鏡写真である。

符号の説明

 102… N 2 ガスを用いたバブリングを行なって十分に酸 素を除去した純水に二糖類を溶かす工程、104 … 球形フェライトナノ粒子の原料物質とし 2価鉄イオンを液に加える工程、106… 微細 種粒子を加える工程、108… アルカリを加 る工程、110… 酸化剤を加える工程、112…  器に入れ反応させる工程、114… 洗浄と磁 分離を行なう工程、116… フェライトナノ粒 子、302… 純水中に糖を溶かす工程、304…  ルカリを加える工程、306… 酸化剤を加える 工程、308… 脱酸素処理工程、310… 加熱工 、312… 種結晶を加える工程、314… 2価鉄イ オンを加える工程、316… 粒子成長行なう工 、318… 磁気分離と洗浄を行なう工程、320  球状フェライトナノ粒子

 次に図面を参照しながら、本発明の実施 形態を説明することにより、本発明につい のさらなる詳細を述べる。

 図1~3は、本発明の一実施形態における球形 ェライトナノ粒子の製造工程を示した流れ である。図1において、まず、工程102にて、 十分に酸素を除去した純水に二糖類を溶かす 。ここで純水からの酸素の除去には、N 2 ガスを用いたバブリングを用いることができ る。次にこの工程104にて、合成するフェライ トナノ粒子の原料物質として、この水溶液に 例えば塩化第一鉄などを加え、2価の鉄イオ を含有させる。その後、工程106にて、この に微細な種粒子を加える。種粒子としては 例えば共沈法で合成した8nm前後と、合成す フェライトナノ粒子よりも十分に小さい平 粒径を有する微細なマグネタイトなどの粒 を用いることができる。次に工程108にて、 の液のpHを例えば7程度に高めるために、水 化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアル リを加える。これらの工程102から110までは 室温にて撹拌下で行うことが好ましい。こ 液のpHは、例えば9程度まで高めてもよい。

 この後、工程110にて、この液に硝酸ナト ウムなどの酸化剤を加える。次に工程112に 、この液を容器に入れ、粒子成長を行う。 度が低くなると、フェライトナノ粒子の成 速度が遅くなるので、粒子成長温度は4℃以 上であることが好ましく、室温以上であるこ とがより好ましく、50℃以上であることがさ に好ましい。また、約180℃を超える温度で 二糖類が分解することから、粒子成長温度 180℃以下であることが好ましく、150℃以下 あることがさらに好ましい。加熱にはオー クレーブを用いることができる。なお、粒 成長温度を100℃以下にすれば、高い水蒸気 を生じないので合成装置が簡便化できる。 の粒子成長処理の後、工程114にて、洗浄と 気分離を行なって、フェライトナノ粒子116 得る。

 なお、図2に示したように、図1における 結晶を加える工程106を、水酸化ナトリウム 加える工程110の後にすることもできる。な 、図2では、図1と共通の符号を用いている。

 さらに図3に示した工程を用いることもで きる。図3において、工程302で純水中に糖を かし、工程304でアルカリを加え、さらに工 306で酸化剤を加えて得た二糖類とアルカリ 酸化剤を含有した水溶液を、工程308で窒素 スなどの不活性ガスでバブリングすること 脱酸素させる。その後工程310で加熱し、工 312で微粒子の種結晶を添加し、また工程314 2価鉄イオンを添加することにより、工程316 粒子成長を行なって、フェライトナノ粒子 球状に成長させることができる。このとき 窒素ガスを送入し続けることで酸素の混入 防ぎ、密閉容器に溶液を移すことなくフェ イトナノ粒子を球状に成長させることがで る。こうして粒成長した球状フェライトナ 粒子を、工程318で磁気分離と洗浄を行なっ 球状フェライトナノ粒子320を得る。このよ にして、オートクレーブなどの密閉容器に 液を移すことなく、フェライトナノ粒子を 状に成長させることができることは、フェ イトナノ粒子の製造工程として大きな利点 ある。本発明に係るフェライトナノ粒子の 造方法に基づき、小規模にフェライトナノ 子を製作する場合には、例えば三角フラス に上記水溶液を入れ、フラスコの栓に脱酸 のための不活性ガスを注入する管と、酸化 の溶液を添加する管と、ガス抜きの孔とを け、この三角フラスコをホットプレートで 熱するという簡便な方法を用いることがで る。本発明に係るフェライトナノ粒子の製 方法は、フェライトナノ粒子を製作する規 が大きくなっても、こうした基本的に簡便 製造方法が応用できるという大きな利点を している。

 本発明に係る表面修飾球状フェライトナ 粒子は、球形のフェライトナノ粒子を、界 活性剤、ヒドロキシル酸、糖アルコールな の分子が溶解した水溶液に入れて攪拌した 、洗浄と磁気回収とを行なうことによって ることができる。その際に用いる界面活性 には、脂肪酸、アルキルベンゼンスルホン 、アルキルリン酸などが挙げられる。また ドロキシル酸には、クエン酸、酒石酸、リ ゴ酸などが挙げられる。さらに糖アルコー には、ソルビトール、キシリトールなどが げられる。フェライトナノ粒子に表面修飾 ることで、水中での分散性が向上するため 表面修飾フェライトナノ粒子を水中に分散 せると、沈澱が起こりにくいフェライトナ 粒子分散液が得られる。

(実施例1)サッカロース添加
 二糖類の存在下で種粒子を用い、フェライ ナノ粒子を作製した。まず、窒素ガスを用 たバブリングにより、純水から酸素を十分 除去し、二糖類に属する糖としてサッカロ スを溶解し、その後塩化第一鉄を溶解した 次に水酸化ナトリウム水溶液、種粒子の順 加え、最後に酸化剤である硝酸ナトリウム 加えた。こうして得られた溶液を耐熱耐圧 閉容器に入れ、水熱法で粒子を成長させた 次に室温に冷却した液に対し、磁石を用い 生成したナノ粒子を磁気分離して回収し、 を除去した後、純水中に分散し、磁気分離 よって回収し、再び純水中に分散し、磁気 離によって回収するという操作を繰返して ノ粒子を純水洗浄し、フェライトナノ粒子 得た。

 ここに、仕込時の純水中の各成分の濃度は 下の通りにし、液量の合計を40mLにして、水 熱処理を90℃で3時間行った。
 塩化第一鉄(FeCl 2 ・4H 2 O:和光純薬) 0.075M、
 水酸化ナトリウム(NaOH:和光純薬) 0.1M、
 硝酸ナトリウム(NaNO 3 :和光純薬) 0.2M、
 種粒子(共沈法で作製のマグネタイト、平均 粒径8nm) 2.7mg/40mL、
 二糖類の糖:サッカロース:(和光純薬) 0.5M

 こうして得たフェライトナノ粒子の透過 電子顕微鏡写真を、他の実施例で得られた 子の透過型電子顕微鏡写真とともに図4に示 す。図4のa)がこの実施例のサッカロース添加 で得られた粒子の透過型電子顕微鏡写真であ る。得られた粒子は粒径のよく揃った球形で あった。

 また、得られた粒子のX線回折スペクトルを 調べた結果、スピネル相単相の回折線を得た 。Feで構成されるスピネル相としては、マグ タイトとマグへマイトおよびそれらの中間 が考えられる。得られた粒子についてメス ウアースペクトルを調べ、さらにサッカロ スを加えないで合成したフェライトナノ粒 のメスバウアースペクトルと比較し、本実 例で得られたフェライトナノ粒子は、マグ タイトとマグへマイトからなっており、サ カロースを加えないで合成したフェライト ノ粒子に比べるとFe 2+ が少なく、マグヘマイトの比率が多くなって いることがわかった。

(実施例2)セロビオース添加
 セロビオースは、還元二糖であるので、酸 剤の濃度を1.0Mと多くし、実施例1の組成に ける二糖類をサッカロースからセロビオー に変え、その添加量を0.25Mとし、それ以外は 実施例1と同じ方法でフェライトナノ粒子の 成を行なった。

 その結果、種結晶の量が実施例1と同じ場 合に得られたフェライトナノ粒子は図4の(b) 示されているように、よく整った球形であ 、その粒径は約150nm±13nmであった。

(実施例3)マルトース添加
 実施例2の組成における二糖類をセロビオー スからマルトースに変え、それ以外は実施例 2と同じ方法でフェライトナノ粒子の合成を なった。

 実施例1のサッカロース添加の場合と同様 に、種粒子の量が2.7mg/40mLの場合に、マルト ス添加の場合は、図4のc)に示すように、実 例1のサッカロース添加の場合よりも粒径が し小さい約70nm±7nmの球状のフェライトナノ 子が得られた。

(実施例4)ラクトース添加
 実施例2の組成における二糖類をセロビオー スからラクトースに変え、それ以外は実施例 2と同じ方法でフェライトナノ粒子の合成を なった。

 得られた フェライトナノ粒子は、図4の( d)の透過型電子顕微鏡写真に示されているよ に、粒径が約90nm±9nmで、整った球形を有し 粒径のばらつきの小さいサイズのよく揃っ 粒子が得られた。

 この実施例4で合成したフェライトナノ粒 子の透過型電子顕微鏡写真における150個の粒 子像を測定し、粒度分布を求めた。結果を表 1に示す。この粒子の個数平均粒径55nmを中心 し、この値に対し±20nmの範囲に分布が収ま ていることがわかる。本発明によれば、こ ように粒度分布を狭くすることができ、個 平均粒径の-40%以上+40%以下の粒子の比率を95 %以上にすることができる。

 この分布は正規分布によく従っているこ がわかった。なお、通常の製法で合成した 子は、正規分布には従わず、対数正規分布 従うことが知られている。

(実施例5)トレハロース添加
 トレハロースはサッカロースと同じく、非 元二糖であるので、酸化剤の濃度を0.2Mとし 、実施例1の組成における二糖類をサッカロ スからトレハロースに変え、それ以外は実 例1と同じ方法でフェライトナノ粒子の合成 行なった。

 その結果、得られたフェライトナノ粒子 図4の(e)に示されているように、その平均粒 径は約50nm±6nmであった。

(実施例6)種粒子量依存性
 実施例2における種粒子を2.7mg/40mLから13.5mg/4 0mLに増し、それ以外は実施例2と同じ方法で ェライトナノ粒子の合成を行なった。その 果、合成されたフェライトナノ粒子の数を くすることができ、他方で粒径を約50nm±6nm まで小さくすることができた。得られた粒 の透過型電子顕微鏡写真を図6に示す。図6に おいて、(a)は種粒子の投入量が2.7mg/40mLの場 、(b)は種粒子の投入量を13.5mg/40mLに増した場 合を示す。種粒子の投入量を13.5mg/40mLに増し 場合にも種粒子の投入量が2.7mg/40mLの場合と 同様に、合成されたフェライトナノ粒子は粒 子形状はよく整った球形であり、しかもその 大きさがよく揃った状態が維持されている。

 次に、実施例3に比べ種粒子を2.7mg/40mLか 13.5mg/40mLに増し、それ以外は実施例3と同じ 法でフェライトナノ粒子の合成を行なった その結果、この場合にも合成されたフェラ トナノ粒子の数を多くすることができ、他 で粒径を約30nm±4nmにまで小さくすることが きた。得られた粒子の透過型電子顕微鏡写 を図6に示す。この場合にも、得られたフェ イトナノ粒子は粒子形状がよく整った球形 あり、しかもその大きさのよく揃った状態 維持されていることがわかった。

 これらの結果から、種粒子の投入量を調 することによって、粒子形状はよく整った 形であり、しかもその大きさがよく揃った 態が生成するフェライトナノ粒子の粒径を 御することができることが示された。

(実施例7)二糖類の濃度依存性
 実施例1の組成に対し、サッカロースの濃度 を0.5Mから0.75M、1.0Mへと高濃度側に変化させ 場合に、合成される粒子に及ぼす影響を調 た。

 その結果、サッカロースの濃度を0.75Mま 高濃度にした場合には、粒子サイズの増す 向がみられ、さらにサッカロースの濃度を1. 0Mまで高濃度にした場合には、粒子表面が粗 なる傾向がみられることがわかった。

(実施例8)加熱温度および加熱時間依存性
 実施例1の組成にて、加熱温度を50℃から150 まで、また加熱時間を1時間から24時間まで 化させ、粒子合成に及ぼす影響を調べた。

 その結果、加熱時間については、いずれ 温度の場合も1時間でも24時間の場合でも、 径や粒子形状にほとんど違いがないことが かった。従って1時間で反応はすでにほぼ飽 和しているものと判断された。

 また、反応温度については、50℃から150 まで、いずれの場合も平均粒径が80nm~100nm程 に成長し、整った球形の粒子が得られるこ がわかった。

(実施例9)3価鉄イオンの添加
 実施例1の組成において、この組成に少量の 塩化第二鉄を加えて3価の鉄イオンを含有さ ることによるフェライトナノ粒子合成に及 す影響を調べた。

 その結果、Fe 3+ /Fe 2+ =0.1の場合に球形のフェライトナノ粒子が生 できた。なお、Fe 3+ /Fe 2+ =0.5およびFe 3+ /Fe 2+ =0.25と3価鉄イオンが多い場合には、生成され る粒子の粒径が著しく小さくなった。これは 3価鉄イオンの存在によって、核生成が非常 多くなるためと考えられる。

(実施例10)
 サッカロースと水酸化ナトリウムと硝酸ナ リウムを含有した水溶液を窒素で脱酸素し 後、90℃に加熱した。水溶液が90℃に上昇し た後に、種粒子と塩化第一鉄を溶解した水溶 液を加えた。90℃に保ちながら窒素を送入し つ攪拌し、粒子を成長させた。3時間後冷却 し、磁気回収と純水洗浄を行なった。ここに 各成分の濃度は実施例1の場合と同じにした その結果、粒径が146nm±11nmのフェライトナノ 粒子を得た。

(実施例11)
 次に実施例10におけるアルカリの水酸化ナ リウムを水酸化テトラメチルアンモニウム 変えた他は同じ条件にてフェライトナノ粒 を合成した。その結果、粒径が100nm±15nmのフ ェライトナノ粒子を得た。

(実施例12)
 100mMのクエン酸ナトリウム水溶液に粒径が 100nmの球形のフェライトナノ粒子を入れ1時 攪拌し、洗浄と磁気回収を行ない、クエン で表面修飾したフェライトナノ粒子を得た このクエン酸で表面修飾したフェライトナ 粒子を純水に分散し、分散液にすると、こ 分散液は、3日間沈澱がみられなかった。

(比較例1)種粒子を用いない場合
 実施例1の組成において、種粒子の添加を0 し、種粒子の添加をせずに、同じプロセス フェライトナノ粒子の合成を試みた。また 二糖のサッカロースの濃度を0.5Mから変化さ 、フェライトナノ粒子の合成に及ぼす影響 調べた。

 その結果、種粒子なしの場合には、サッ ロースの添加量を0.15M、0.25M、0.5Mと増すに って、得られるフェライトナノ粒子の中に 形状が球状を帯びたものが多く見られるよ になることが観察された。しかし、得られ 粒子は、形状がさまざまであり、粒径の分 としても大きかった。また、サッカロース 添加量が0.5Mを超えると、フェライトナノ粒 が生成されなくなることがわかった。

(比較例2)単糖類を添加した場合
 実施例1の組成において、二糖類のサッカロ ースの代わりに単糖類のグルコースを用いそ の濃度を0.25Mとし、同じ方法でフェライトナ 粒子の合成を行なった。但しグルコースは 元性を持つ糖であることを考慮し、酸化剤 量を1.0Mと多くした。

 その結果、グルコースの添加によって得 れるフェライトナノ粒子の形状が球状にな ことがわかった。また、種粒子の量を2.7mg/4 0mLから13.5mg/40mLに増すと、粒子はほとんど成 せず、種粒子のままであった。また、グル ースの濃度を0.25Mから0.5Mに増すと粒子の表 が荒れてしまい、整った球形とはならなか た。グルコースが0.5Mを超えると、グリーン ラストが生成され、フェライト粒子は生成さ れなかった。このように、単糖類のグルコー スを共存させた場合には、種粒子を用いて成 長させても、粒径のばらつきが大きいとの結 果となった。

 この他の単糖類として、フルクトース、 ラクトース、およびマンノースを添加した 合のフェライトナノ粒子の合成を試みたが いずれの場合もグリーンラストが生成され フェライト粒子は生成されなかった。

(比較例3)三糖類以上の多糖類を添加した場合
 実施例1の組成で、二糖のサッカロースの代 わりに分子量が6万~9万のデキストランを添加 したものと、分子量が9万~21万のデキストラ を添加したものの二種類について、フェラ トナノ粒子の合成を試みた。

 その結果、デキストランの共存下でも、 形のフェライトナノ粒子が得られることが かった。しかしながら、粒径のばらつき度 いが大きかった。また、デキストランの分 量の相違による粒径や粒子形状、粒径のば つきに大きな相違はみられなかった。

 本発明の製造方法によって製造されるフ ライトナノ粒子は、粒子形状が球形であり 粒子の大きさがよく揃っているので、粒子 面が平面ではないので、粒子同士が解離し く、水溶液中での分散性が良好であって、 細流路中もスムーズに通過するため、各種 バイオ・医用への応用のほか、MEMSなどの用 途にも適する。従って本発明の球形フェライ トナノ粒子製造方法、および本発明の製造方 法によって製造される球形フェライトナノ粒 子の利用可能性は大きいものと期待される。