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Title:
NON‑VOLATILE STORAGE ELEMENT, NON‑VOLATILE STORAGE DEVICE, AND NON‑VOLATILE SEMICONDUCTOR DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/147790
Kind Code:
A1
Abstract:
The non‑volatile storage element has a first electrode (103), a second electrode (105), and a variable resistance layer (104) that is provided between the first and second electrodes and can reversibly vary the inter‑electrode resistance, which is the resistance value between the first and second electrodes, based on the inter‑electrode voltage, which is the potential of the second electrode with reference to the first electrode. The variable resistance layer contains an oxygen deficiency type transition metal oxide, and has an asymmetric structure on the first electrode side and the second electrode side. Due to the first electrode side of the variable resistance layer and the second electrode side of the variable resistance layer alternatively realizing either a low‑resistance state or a high‑resistance state, even if the inter‑electrode voltage varies within a prescribed range with three or more inter‑electrode resistance values that are different from each other, a stable state can be realized in which the inter‑electrode resistance value does not vary.

Inventors:
KANZAWA YOSHIHIKO
MITANI SATORU
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
Application Number:
PCT/JP2009/002186
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
May 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
KANZAWA YOSHIHIKO
MITANI SATORU
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
International Classes:
H01L27/10; G11C13/00; H01L45/00; H01L49/00
Domestic Patent References:
WO2008059701A12008-05-22
WO2006115208A12006-11-02
WO2009041041A12009-04-02
WO2009050833A12009-04-23
Foreign References:
JP2006344876A2006-12-21
JP2006203178A2006-08-03
JP2006108670A2006-04-20
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation Owner old patent firm (JP)
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Claims:
 第1電極と、
 第2電極と、
 前記第1電極と前記第2電極との間に配設され前記第1電極を基準とする前記第2電極の電位である電極間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗値である電極間抵抗値を変化させる可変抵抗層と、を備え、
 前記可変抵抗層が酸素不足型の遷移金属酸化物を含み、
 前記第1電極側と前記第2電極側とで非対称の構造を有し、
 前記可変抵抗層の前記第1電極側と、前記可変抵抗層の前記第2電極側とが、それぞれ、低抵抗状態および高抵抗状態のいずれか一方を択一的にとることにより、
 3個以上の互いに異なる電極間抵抗値において、電極間電圧が所定の範囲で変化しても電極間抵抗値が変化しない安定状態を取る、不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物がアモルファス構造を有する、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記非対称の構造は、前記第1電極を構成する材料と前記第2電極を構成する材料とが異なることである、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記非対称の構造は、前記第1電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率と前記第2電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率とが異なることである、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記非対称の構造は、前記第1電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積とが異なることである、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 請求項1に記載の不揮発性記憶素子と、
 電極間電圧を制御する制御装置とを備え、
 前記制御装置は、電極間抵抗値が少なくとも3個以上の抵抗値のいずれかを取るように、電極間抵抗値に応じて電極間電圧を異ならせることで、2値よりも多い情報を単一の前記不揮発性記憶素子に記憶させる、不揮発性記憶装置。
 前記第1電極および前記第2電極を構成する材料は、Pt、Ir、Au、Ag、Cu、W、Ni、TaNからなる群より選択された一つの物質を含む、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極および前記第2電極の一方がWを含み他方がPtを含む、請求項7に記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物である、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記可変抵抗層に含まれる前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0<x<2.5を満足するように構成されている、請求項1または4に記載の不揮発性記憶素子。
 前記可変抵抗層に含まれる前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0.8≦x≦1.9を満足するように構成されている、請求項1または4に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR H となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR H となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極を構成する材料と前記第2電極を構成する材料とが異なる、請求項12乃至15に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率と前記第2電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率とが異なる、請求項12乃至15に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積とが異なる、請求項18乃至21に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M1 となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M1 またはR M2 となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR M2 またはR H となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M1 となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M2 となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、
 電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR M2 またはR H となり、
 電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M1 またはR M2 となり、
 電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M1 となるように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、
 電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M2 となり、
 その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し、
 その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、
 その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M1 となり、
 その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇し、
 その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR H となり、
 その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下するように構成されている、請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極を構成する材料と前記第2電極を構成する材料とが異なり、かつ前記第1電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積とが異なる、請求項23乃至26に記載の不揮発性記憶素子。
 前記第1電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率と前記第2電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有率とが異なり、かつ前記第1電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面積とが異なる、請求項23乃至26に記載の不揮発性記憶素子。
 第1の平面において互い平行に形成された複数の第1電極配線と、前記第1の平面に平行な第2の平面において互いに平行に且つ前記複数の第1電極配線と立体交差するように形成された複数の第2電極配線と、前記複数の第1電極配線と前記複数の第2電極配線との立体交差点のそれぞれに対応して設けられた不揮発性記憶素子とを備えるメモリアレイを備え、
 前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極配線と前記第2電極配線との間に配設され、前記第1電極配線を基準とする前記第2電極配線の電位である電極配線間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極配線と前記第2電極配線との間の抵抗値である電極配線間抵抗値を変化させる可変抵抗層とを備え、
 前記可変抵抗層が酸素不足型の遷移金属酸化物を含み、
 不揮発性記憶素子は前記第1電極配線側と前記第2電極配線側とで非対称の構造を有し、
 3個以上の互いに異なる電極配線間抵抗値において、電極配線間電圧が所定の範囲で変化しても電極配線間抵抗値が変化しない安定状態を取る、
 不揮発性記憶装置。
 前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極配線と接続された第1電極と、前記第2電極配線と接続された第2電極とを備え、
 前記可変抵抗層は、前記第1電極と前記第2電極との間に配設され、前記第1電極を基準とする前記第2電極の電位である電極間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗値である電極間抵抗値を変化させるように構成されている、請求項29に記載の不揮発性記憶装置。
 前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極配線と前記第2電極配線との間に電流抑制素子を備えており、
 当該電流抑制素子は、前記可変抵抗層と電気的に接続されている、請求項29または30に記載の不揮発性記憶装置。
 前記メモリアレイが複数積層されてなる多層化メモリアレイを備える、請求項29乃至31のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
 半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、互いに交差するように配列された複数のワード線および複数のビット線、前記複数のワード線および複数のビット線の交点に対応してそれぞれ設けられた複数のトランジスタ、並びに前記複数のトランジスタに一対一で対応して設けられた複数の不揮発性記憶素子とを備え、
 前記不揮発性記憶素子のそれぞれは、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配設され、前記第1電極を基準とする前記第2電極の電位である電極間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗値である電極間抵抗値を変化させる可変抵抗層とを備え、
 前記可変抵抗層が酸素不足型の遷移金属酸化物を含み、
 不揮発性記憶素子は前記第1電極配線側と前記第2電極配線側とで非対称の構造を有し、
 3個以上の互いに異なる電極間抵抗値において、電極間電圧が所定の範囲で変化しても電極間抵抗値が変化しない安定状態を取る、
 不揮発性記憶装置。
 半導体基板と、前記半導体基板上に形成された、所定の演算を実行する論理回路およびプログラム機能を有する不揮発性記憶素子とを備え、
 前記不揮発性記憶素子は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配設され、前記第1電極を基準とする前記第2電極の電位である電極間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗値である電極間抵抗値を変化させる可変抵抗層とを備え、
 前記可変抵抗層が酸素不足型の遷移金属酸化物を含み、
 不揮発性記憶素子は前記第1電極配線側と前記第2電極配線側とで非対称の構造を有し、
 3個以上の互いに異なる電極間抵抗値において、電極間電圧が所定の範囲で変化しても電極間抵抗値が変化しない安定状態を取る、
 不揮発性半導体装置。
 請求項34に記載の不揮発性半導体装置と、
 請求項29乃至33のいずれかに記載の不揮発性記憶装置とを備える、不揮発性半導体装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物である、請求項12乃至28に記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0<x<2.5を満足するように構成されている、請求項12乃至28に記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0.8≦x≦1.9を満足するように構成されている、請求項12乃至28に記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物である、請求項29乃至33に記載の不揮発性記憶装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0<x<2.5を満足するように構成されている、請求項29乃至33に記載の不揮発性記憶装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0.8≦x≦1.9を満足するように構成されている、請求項29乃至33に記載の不揮発性記憶装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物である、請求項34又は35に記載の不揮発性半導体装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0<x<2.5を満足するように構成されている、請求項34又は35に記載の不揮発性半導体装置。
 前記酸素不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物であって、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場合に、0.8≦x≦1.9を満足するように構成されている、請求項34又は35に記載の不揮発性半導体装置。
Description:
不揮発性記憶素子、不揮発性記 装置、および不揮発性半導体装置

 本発明は、不揮発性記憶素子、不揮発性 憶装置、および不揮発性半導体装置に関す 。印加される電気的信号に応じて抵抗値が 化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子、並 にその不揮発性記憶素子を用いた不揮発性 憶装置および不揮発性半導体装置に関する

 近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯 情報機器および情報家電などの電子機器が 機能化している。そのため、不揮発性記憶 子の大容量化、書き込み電力の低減、書き み/読み出し時間の高速化、および長寿命化 の要求が高まっている。

 こうした要求に対して、既存のフローテ ングゲートを用いたフラッシュメモリの微 化には限界があると言われている。そこで 最近、可変抵抗層(抵抗変化層)を記憶部の 料として用いる新たな不揮発性記憶素子(抵 変化型メモリ)に注目が集まっている。

 抵抗変化型メモリは、可変抵抗層を電極 挟持するという極めて単純な構造を持つ記 素子を有する。可変抵抗層は、電極間に所 の電気的パルスが与えられると、異なる抵 値を持つ複数の抵抗状態の間を可逆的に遷 する。かかる複数の抵抗状態が、数値の記 に用いられる。構造上及び動作上の単純さ ら、抵抗変化型メモリは、高度の微細化、 速化、および低消費電力化が可能であると 待されている。

 可変抵抗層として用いられる材料は、大き 2種類に分類される。一つは、特許文献1や 特許文献1~3に開示されているような、遷移 属(Ni、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe、Cu、Cr等)の酸化 物であり、特に、酸素の含有率が化学量論的 組成の観点から不足している酸化物(以下、 素不足型の酸化物と呼ぶ)である。もう一つ ペロブスカイト材料(Pr (1-x) CaXMnO 3 (PCMO)、LaSR M nO 3 (LSMO)、GdBaCo x O y (GBCO)である。後者については、2値(低抵抗と 抵抗の2つの状態)を記憶可能な素子だけで なく、3値以上の多値を記憶可能な素子とし 用いる技術が、特許文献2や3、及び、非特 文献4等に記載されている。

 図35は、特許文献2に開示されている、PCMO を用いた素子の、電気的パルスによる抵抗変 化の一例を示す図である。図から、初期状態 にある抵抗値が500ω程度の素子に対し、所定 極性、電圧、およびパルス幅を有する電気 パルスを所定の回数印加することにより、 抗値を上昇もしくは低下させる事が可能で る事が分かる。抵抗値はほぼ連続的な値を る事ができる。そこで、互いに異なる抵抗 を有する3個以上の状態を選択的に利用し、 互いに異なる3個以上の数値をそれぞれの抵 値に対応させる事により、多値の記憶素子 実現できるとされている。

 図36は、特許文献3に開示されている、PCMO 等を用いた不揮発性記憶素子の抵抗値と、印 加する電圧と抵抗値との関係を示す図である 。なお図36では、印加されている電気的パル はそれぞれ1回である。この図でも、素子の 抵抗値が印加された電気的パルスの電圧値に 応じてほぼ連続的に変化しているのが分かる 。この場合も、特許文献2の場合と同様に、 値の記憶素子が実現可能であるとされてい 。

特開2006-140464号公報

米国特許第6473332号明細書

特開2004-185756号公報

I.G.Beak et al.,Tech. Digest IEDM 2004,587頁 Japanese Journal of Applied PhysicsVol45, 2006,  L310頁 A.Chen et al., Tech. Digest IEDM 2005,746頁 X.Chen et al., New Journal of PhysicsVol.8, 200 6, 229頁

 3個以上の抵抗状態を利用する多値の記憶 素子では、素子がどの抵抗状態にあるかが、 素子の抵抗値を読み出すことにより判別され る。したがって、誤動作を防止するためには 、各抵抗状態における抵抗値が互いにある程 度の差を持つことが必要である。しかしなが ら、特許文献2や3に開示されている素子では 印加される電気的パルスの電圧やパルス幅 回数によって、抵抗値が連続的に変化する このため、同一の電気的パルスを印加して 、素子自体の不均一性や電気的パルスの電 、パルス幅、回数などを反映して、実現さ る抵抗値がばらつき、安定しない。また、 憶素子の抵抗値は必ずしも安定性が十分に いとは言えない。このため、それぞれの抵 状態における抵抗値の差が小さい場合は、 ットされた抵抗値が、状態の温度等の変化 より別の状態とみなされる程度に変化する とがある。このように、従来の記憶素子で 、多値の情報を記憶する不揮発性記憶素子 して安定に動作させることが難しいという 題があった。

 非特許文献4では、上記2つの文献とは異 る概念の4値の記憶素子の実現の可能性が示 れている。この文献も、PCMOを電極で挟んだ 構造の不揮発性記憶素子が開示されている。 図37は、非特許文献4の素子が有するとされて いる電圧と抵抗の関係を示す図である。すな わち、図37に示されたように、この素子はLL+ HL+とHL-とHH-の4つの安定状態が存在し、これ らの安定状態を使って4値のメモリを実現し うとする技術である。この場合、安定状態 それぞれの記憶状態に対応させることがで る。このため、実現される抵抗値は比較的 定し、不揮発性記憶素子として安定に動作 せる事がより容易と考えられる。しかしな ら、非特許文献4には、4値メモリの概念だけ が開示されているだけであり、具体的に図37 ような電圧と抵抗値の特性を有する記憶素 を製造する方法は開示されていない。

 本発明は、上記のような課題を解決する めになされたもので、多値の読み書きを安 して行うことができる不揮発性記憶素子、 よび、これを用いた不揮発性記憶装置およ 不揮発性半導体装置を提供することを目的 するものである。

 上記課題を解決すべく、本発明の不揮発 記憶素子は、第1電極と、第2電極と、前記 1電極と前記第2電極との間に配設され前記第 1電極を基準とする前記第2電極の電位である 極間電圧に基づいて可逆的に前記第1電極と 前記第2電極との間の抵抗値である電極間抵 値を変化させる可変抵抗層と、を備え、前 可変抵抗層が酸素不足型の遷移金属酸化物 含み、前記第1電極側と前記第2電極側とで非 対称の構造を有し、前記可変抵抗層の前記第 1電極側と、前記可変抵抗層の前記第2電極側 が、それぞれ、低抵抗状態および高抵抗状 のいずれか一方を択一的にとることにより 3個以上の互いに異なる電極間抵抗値におい て、電極間電圧が所定の範囲で変化しても電 極間抵抗値が変化しない安定状態を取る。

 かかる構成では、多値の読み書きを安定 て行うことができる不揮発性記憶素子を実 できる。

 上記不揮発性記憶素子において、前記酸 不足型の遷移金属酸化物がアモルファス構 を有してもよい。

 前記非対称の構造は、前記第1電極を構成 する材料と前記第2電極を構成する材料とが なることであってもよく、前記第1電極近傍 おける前記可変抵抗層の酸素含有率と前記 2電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含 有率とが異なることであってもよく、前記第 1電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の 積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触 る部分の面積とが異なることであってもよ 。

 かかる構成では、電極の材料、可変抵抗 の酸素含有率、電極と可変抵抗層との接触 分の面積を利用することで、多値の読み書 を安定して行うことができる不揮発性記憶 子を実現できる。

 また、本発明の不揮発性記憶装置は、上 不揮発性記憶素子と、電極間電圧を制御す 制御装置とを備え、前記制御装置は、電極 抵抗値が少なくとも3個以上の抵抗値のいず れかを取るように、電極間抵抗値に応じて電 極間電圧を異ならせることで、2値よりも多 情報を単一の前記不揮発性記憶素子に記憶 せる。

 かかる構成では、多値の読み書きを安定 て行うことができる不揮発性記憶装置を実 できる。

 上記不揮発性記憶素子において、前記第1 電極および前記第2電極を構成する材料は、Pt 、Ir、Au、Ag、Cu、W、Ni、TaNからなる群より選 された一つの物質を含んでもよい。

 上記不揮発性記憶素子において、前記第1 電極および前記第2電極の一方がWを含み他方 Ptを含んでもよい。

 かかる構成では、適切な電極材料を選択 ることで、多値の読み書きを安定して行う とができる不揮発性記憶素子を実現できる

 上記不揮発性記憶素子において、前記酸 不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物 あることが好ましく、当該タンタル酸化物 TaOxと表した場合に、0<x<2.5を満足する うに構成されていることがより好ましく、0. 8≦x≦1.9を満足するように構成されているこ がさらに好ましい。

 かかる構成では、高速動作が可能で、可 的であってかつ安定した書き換え特性と、 好な抵抗値のリテンション特性を有し、半 体製造プロセスと親和性が高いといった極 て良好な特性を有し、かつ多値の読み書き 安定して行うことができる不揮発性記憶素 を実現できる。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR H となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR H となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子において、前記第1 電極を構成する材料と前記第2電極を構成す 材料とが異なっていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子において、前記第1 電極近傍における前記可変抵抗層の酸素含有 率と前記第2電極近傍における前記可変抵抗 の酸素含有率とが異なっていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR M またはR H となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子において、前記第1 電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面 積と前記第2電極と前記可変抵抗層とが接触 る部分の面積とが異なっていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR L またはR M1 となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M1 またはR M2 となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR M2 またはR H となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M1 となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M2 となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V α <V β <V γ およびV α <0およびV γ >0およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV α 、V β 、V γ 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、電極間電圧をV α とした時に電極間抵抗値がR M2 またはR H となり、電極間電圧をV β とした時に電極間抵抗値がR M1 またはR M2 となり、電極間電圧をV γ とした時に電極間抵抗値がR L またはR M1 となるように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 およびR L <R M1 <R M2 <R H を満たすV 1 、V 2 、V 3 、V 4 、V 5 、V 6 、V 7 、V 8 、V 9 、V 10 、R L 、R M1 、R M2 、R H について、電極間電圧をV 1 とした時に電極間抵抗値がR M2 となり、その後、電極間電圧をV 6 よりも大きくV 7 よりも小さくした時に電極間抵抗値が低下し 、その後、電極間電圧をV 8 とした時に電極間抵抗値がR L となり、その後、電極間電圧をV 9 よりも大きくV 10 よりも小さくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 10 とした時に電極間抵抗値がR M1 となり、その後、電極間電圧をV 5 よりも小さくV 4 よりも大きくした時に電極間抵抗値が上昇し 、その後、電極間電圧をV 3 とした時に電極間抵抗値がR H となり、その後、電極間電圧をV 2 よりも小さくV 1 よりも大きくした時に電極間抵抗値が低下す るように構成されていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、前記第1電極を 構成する材料と前記第2電極を構成する材料 が異なり、かつ前記第1電極と前記可変抵抗 とが接触する部分の面積と前記第2電極と前 記可変抵抗層とが接触する部分の面積とが異 なっていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子は、前記第1電極近 傍における前記可変抵抗層の酸素含有率と前 記第2電極近傍における前記可変抵抗層の酸 含有率とが異なり、かつ前記第1電極と前記 変抵抗層とが接触する部分の面積と前記第2 電極と前記可変抵抗層とが接触する部分の面 積とが異なっていてもよい。

 上記不揮発性記憶素子において、前記酸 不足型の遷移金属酸化物はタンタル酸化物 あってもよい。

 また、本発明の不揮発性記憶装置は、第1 の平面において互い平行に形成された複数の 第1電極配線と、前記第1の平面に平行な第2の 平面において互いに平行に且つ前記複数の第 1電極配線と立体交差するように形成された 数の第2電極配線と、前記複数の第1電極配線 と前記複数の第2電極配線との立体交差点の れぞれに対応して設けられた不揮発性記憶 子とを備えるメモリアレイを備え、前記不 発性記憶素子のそれぞれは、前記第1電極配 と前記第2電極配線との間に配設され、前記 第1電極配線を基準とする前記第2電極配線の 位である電極配線間電圧に基づいて可逆的 前記第1電極配線と前記第2電極配線との間 抵抗値である電極配線間抵抗値を変化させ 可変抵抗層とを備え、前記可変抵抗層が酸 不足型の遷移金属酸化物を含み、不揮発性 憶素子は前記第1電極配線側と前記第2電極配 線側とで非対称の構造を有し、3個以上の互 に異なる電極配線間抵抗値において、電極 線間電圧が所定の範囲で変化しても電極配 間抵抗値が変化しない安定状態を取っても い。

 上記不揮発性記憶装置は、前記不揮発性 憶素子のそれぞれは、前記第1電極配線と接 続された第1電極と、前記第2電極配線と接続 れた第2電極とを備え、前記可変抵抗層は、 前記第1電極と前記第2電極との間に配設され 前記第1電極を基準とする前記第2電極の電 である電極間電圧に基づいて可逆的に前記 1電極と前記第2電極との間の抵抗値である電 極間抵抗値を変化させるように構成されてい てもよい。

 上記不揮発性記憶装置は、前記不揮発性 憶素子のそれぞれは、前記第1電極配線と前 記第2電極配線との間に電流抑制素子を備え おり、当該電流抑制素子は、前記可変抵抗 と電気的に接続されていてもよい。

 上記不揮発性記憶装置は、前記メモリア イが複数積層されてなる多層化メモリアレ を備えてもよい。

 上記不揮発性記憶装置は、半導体基板と 前記半導体基板上に形成された、互いに交 するように配列された複数のワード線およ 複数のビット線、前記複数のワード線およ 複数のビット線の交点に対応してそれぞれ けられた複数のトランジスタ、並びに前記 数のトランジスタに一対一で対応して設け れた複数の不揮発性記憶素子とを備え、前 不揮発性記憶素子のそれぞれは、第1電極と 、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との 間に配設され、前記第1電極を基準とする前 第2電極の電位である電極間電圧に基づいて 逆的に前記第1電極と前記第2電極との間の 抗値である電極間抵抗値を変化させる可変 抗層とを備え、前記可変抵抗層が酸素不足 の遷移金属酸化物を含み、不揮発性記憶素 は前記第1電極配線側と前記第2電極配線側と で非対称の構造を有し、3個以上の互いに異 る電極間抵抗値において、電極間電圧が所 の範囲で変化しても電極間抵抗値が変化し い安定状態を取ってもよい。

 また、本発明の不揮発性半導体装置は、 導体基板と、前記半導体基板上に形成され 、所定の演算を実行する論理回路およびプ グラム機能を有する不揮発性記憶素子とを え、前記不揮発性記憶素子は、第1電極と、 第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間 に配設され、前記第1電極を基準とする前記 2電極の電位である電極間電圧に基づいて可 的に前記第1電極と前記第2電極との間の抵 値である電極間抵抗値を変化させる可変抵 層とを備え、前記可変抵抗層が酸素不足型 遷移金属酸化物を含み、不揮発性記憶素子 前記第1電極配線側と前記第2電極配線側とで 非対称の構造を有し、3個以上の互いに異な 電極間抵抗値において、電極間電圧が所定 範囲で変化しても電極間抵抗値が変化しな 安定状態を取る。

 また、本発明の不揮発性半導体装置は、 記不揮発性半導体装置と上記不揮発性記憶 置とを備えてもよい。

 上記不揮発性記憶素子および上記不揮発 記憶装置において、前記酸素不足型の遷移 属酸化物はタンタル酸化物であることが好 しく、当該タンタル酸化物をTaOxと表した場 合に、0<x<2.5を満足するように構成され いることがより好ましく、0.8≦x≦1.9を満足 るように構成されていることがさらに好ま い。

 かかる構成では、高速動作が可能で、可 的であってかつ安定した書き換え特性と、 好な抵抗値のリテンション特性を有し、半 体製造プロセスと親和性が高いといった極 て良好な特性を有し、かつ多値の読み書き 安定して行うことができる不揮発性記憶素 を実現できる。

 本発明は、上記のような構成を有し、以 のような効果を奏する。すなわち、多値の み書きを安定して行うことができる不揮発 記憶素子、および、これを用いた不揮発性 憶装置および不揮発性半導体装置を提供す ことができる。

図1は、実験例1のために作製された素 10の模式図である。 図2は、本発明の第1実施形態にかかる 揮発性記憶素子の断面の一例を示す模式図 ある。 図3は、本発明の第1実施形態にかかる不揮発 記憶素子の特性の一例を示す模式図であり 図3(a)は下部電極に対して上部電極の電圧を V A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図3(b)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図3(c)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV A1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図である。 図4は、下部電極の材料と上部電極の材料と 同じにし、下部電極側と上部電極側とを対 に構成した場合の、不揮発性記憶素子の特 の一例を示す模式図であり、図4(a)は下部電 に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図4(b)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図4(c)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV A1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図である。 図5は、本発明の実施例1の不揮発性記 素子の特性を示す図であり、図5(a)は下部電 に対して上部電極の電圧を-3Vから+2Vの間で 続的に変化させた場合の抵抗値の変化を示 図であり、図5(b)は下部電極に対して上部電 極の電圧を-2Vから+3Vの間で連続的に変化させ た場合の抵抗値の変化を示す図であり、図5(c )は下部電極に対して上部電極の電圧を-3Vか +3Vの間で連続的に変化させた場合の抵抗値 変化を示す図である。 図6は、本発明の実施例2において、不 発性記憶素子の2電極間に印加する電気的パ スの電圧を離散的に変化させた場合の抵抗 の変化を示す図である。 図7は、比較例の不揮発性記憶素子にお いて、下部電極に対して上部電極の電圧を-3V から+3Vの間で連続的に変化させた場合の抵抗 値の変化を示す図である。 図8は、不揮発性記憶素子の抵抗値の変 化を示す図であり、それぞれの図における上 部電極の材料は、(a)が白金(Pt)、(b)がイリジ ム(Ir)、(c)が金(Au)、(d)が銀(Ag)、(e)が銅(Cu)、( f)がタングステン(W)、(g)がニッケル(Ni)、(h)が チッ化タンタル(TaN)である。 基板温度を30℃とし、O 2 流量比(スパッタガス中のO 2 の流量比率)を0.5%とした場合に得られた、膜 が40nmのタンタル酸化物からなる可変抵抗層 のXRD(X線回折)チャートである。 図10(a)は、可変抵抗層の材料として酸 不足型のTa酸化物を用いた不揮発性記憶素 のTa酸化物試料の深さ方向のオージェ分析の 結果を示す図であり、図10(b)は、酸素不足型 Ta酸化物の代わりに金属Taを白金電極で挟持 した素子の深さ方向のオージェ分析の結果を 示す図である。 図11は、製造工程におけるスパッタガス中のO 2 流量比と、RBS法で分析したTa酸化物層の酸素 有率(原子比)との関係を示す図である。 図12は、可変抵抗層を酸化Taで構成した場合 、製造工程におけるスパッタガス中のO 2 流量比と可変抵抗層の抵抗率との関係を示す 図である。 図13は、可変抵抗層を酸化Taで構成し 場合の、RBS法で分析した可変抵抗層の酸素 有率(原子比)と、可変抵抗層の抵抗率との関 係を示す図である。 図14は、可変抵抗層の酸素含有率が45~6 5atm%の組成範囲における抵抗変化特性を説明 る図であって、(a)は酸素含有率と抵抗率と 関係を示す図、(b)は酸素含有率が45atm%の場 におけるパルス印加回数と抵抗値との関係 示す図、(c)は酸素含有率が65atm%の場合にお るパルス印加回数と抵抗値との関係を示す である。 図15は、可変抵抗層の材料として酸素 足型のTa酸化物を用いた上下対称型の不揮 性記憶素子において、電極間に印加される 気的パルスの幅と可変抵抗層の抵抗値との 係を示す図である。 図16は、本発明の第2実施形態にかかる 不揮発性記憶素子の断面の一例を示す模式図 である。 図17は、本発明の実施例3の不揮発性記 憶素子について、下部電極に対して上部電極 の電圧を-1.8Vから+1.7Vの間で連続的に変化さ た場合の抵抗値の変化を示す図である。 図18は、本発明の第3実施形態にかかる 不揮発性記憶素子の断面の一例を示す模式図 である。 図19は、本発明の第3実施形態にかかる不揮発 性記憶素子の特性の一例を示す図であり、図 19(a)は下部電極に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合において上部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図19(b)は下部電極に対して上部電極 電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合において下部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図19(c)は下部電極に対して上部電極 電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の不揮発性記 憶素子全体の抵抗値の変化を示す図である。 図20は、本発明の実験例2の不揮発性記憶素子 の特性を示す図であり、図20(a)は可変抵抗層 上部電極との接触面積が0.25μm 2 の不揮発性記憶素子について下部電極に対し て上部電極の電圧を-1.4Vから+1.4Vの間で連続 に変化させた場合の抵抗値の変化を示す図 あり、図20(b)は可変抵抗層と上部電極との接 触面積が1.25μm 2 の不揮発性記憶素子について下部電極に対し て上部電極の電圧を-2Vから+3Vの間で連続的に 変化させた場合の抵抗値の変化を示す図であ る。電圧の印加方法は実施例1と同様とした いずれも、プラスの電圧で高抵抗状態へ変 する場合(上部電極側の抵抗状態が変化する 合)を示す。 図21は、本発明の第4実施形態にかかる 不揮発性記憶素子の断面の一例を示す模式図 である。 図22は、本発明の第4実施形態にかかる不揮発 性記憶素子の特性の一例を示す図であり、図 22(a)は下部電極に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合合において上 部電極側が低抵抗状態のままで変化しないも のと仮定したときの抵抗値の変化を示す概念 図であり、図22(b)は下部電極に対して上部電 の電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合において下部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図22(c)は下部電極に対して上部電極 電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の不揮発性記 憶素子全体の抵抗値の変化を示す図である。 以下、不揮発性記憶素子150の電気特性を、図 22を参照しつつ説明する。 図23は、本発明の第4実施形態の変形例 にかかる不揮発性記憶素子の断面の一例を示 す模式図である。 図24は、本発明の第5実施形態にかかる 不揮発性記憶装置の構成を示すブロック図で ある。 図25は、図24におけるA部の構成(4セル の構成)を示す斜視図である。 図26は、図25におけるB部の構成を示し 本発明の第5実施形態にかかる不揮発性記憶 装置が備える不揮発性記憶素子の構成を示す 断面図である。 図27(a)から(d)は、本発明の第5実施形態 にかかる不揮発性記憶装置が備える不揮発性 記憶素子の変形例の構成を示す断面図である 。 図28は、本発明の多層化構造の不揮発 記憶装置が備えるメモリアレイの構成を示 斜視図である。 図29は、本発明の第6実施形態にかかる 不揮発性記憶装置の構成を示すブロック図で ある。 図30は、図29におけるC部の構成(2セル の構成)を示す断面図である。 図31は、本発明の第7実施形態にかかる 不揮発性半導体装置の構成を示すブロック図 である。 図32は、本発明の第7実施形態にかかる 不揮発性半導体装置が備える救済アドレス格 納レジスタの構成を示すブロック図である。 図33は、同じく救済アドレス格納レジ タの構成を示す断面図である。 図34は、図34は、本発明の第7実施形態 かかる不揮発性半導体装置の製造プロセス 主要な流れを示すフローチャートである。 図35は、特許文献2に開示されている、 PCMOを用いた素子の、電気的パルスによる抵 変化の一例を示す図である。 図36は、特許文献3に開示されている、 PCMO等を用いた不揮発性記憶素子の抵抗値と 印加する電圧と抵抗値との関係を示す図で る。 図37は、非特許文献4の素子が有すると されている電圧と抵抗の関係を示す図である 。

 以下、本発明の実施の形態を、図面を参 しながら説明する。

 (実験例1:抵抗変化が生じる部位を特定する めの実験)
 まず、不揮発性記憶素子の上部電極と下部 極の間に電気的パルスを加えた時に素子の の部分が抵抗変化しているかを知るために なわれた実験の結果について説明する。

 図1は、実験例1のために作製された素子10 の模式図である。素子10は、可変抵抗層15を 互いに分離された2個の上部側の電極11、13と 、互いに分離された2個の下部側の電極12、14 で挟持した構成とした。可変抵抗層15は、 さ100nmの酸素不足型のタンタル(Ta)酸化物層 した。各電極はPtで構成された。電極11と電 12とは互いに可変抵抗層15を介して対向し、 電極13と電極14とは互いに可変抵抗層15を介し て対向するように配置された。なお、素子の 製造方法については、電極材料や素子の形状 を除けば、第1実施形態(後述)とほぼ同様であ る。

 以上のように構成された素子10に対し、 極12を基準にして電極11に、電圧が+2.2Vと-1.8V 、パルス幅100nsecの電気的パルスを交互に印 し、各回ごとに、4個の電極から2個を取り出 した電極対のそれぞれ(電極11と電極12の間、 極11と電極13の間、電極11と電極14の間、電 12と電極13の間、電極12と電極14の間、電極13 電極14の間)について、電極間の抵抗値を測 した。抵抗値の平均値を表1に示す

 表に示すように、電極11を含む電極対につ てのみ抵抗値の変化が見られ、電極11を含ま ない電極対については抵抗値がほとんど変化 しないという結果が得られた。この事から、 電極11と電極12の間に電圧を印加すると、電 11の近傍においてのみ状態が変化し、電極11 含む電極対の間の抵抗値を変化させていた が分かる。

 以上の結果から、酸素不足型のTa酸化物 可変抵抗層に用いた不揮発性記憶素子にお ては、抵抗状態の変化が生じているのは可 抵抗層の中でも電極近傍だけであるといえ 。また、電極12を基準として電極11に高い電 を印加したときに、素子10が高抵抗状態と っていることが分かる。よって、抵抗状態 変化が生じるのは、高抵抗化を起こす時に い電位となっている側の電極(高電位側の電 )の近傍である事も分かる。

 抵抗状態の変化を生じるのが高電位側の 極の近傍のみであること、およびそれぞれ 電極の近傍が高抵抗状態と低抵抗状態の2つ の安定状態を持つこと、を利用すると、1対 電極でTa酸化物を挟持する不揮発性記憶素子 においては、理論上、電極間の抵抗値(電極 抵抗値)は4個存在することになる。第1の抵 状態は、上部電極側と下部電極側とがいず も低抵抗状態にある場合である。第2の抵抗 態は、下部電極側が高抵抗状態にあり上部 極側が低抵抗状態にある場合である。第3の 抵抗状態は、下部電極側が低抵抗状態にあり 上部電極側が高抵抗状態にある場合である。 第4の抵抗状態は、上部電極側と下部電極側 がいずれも高抵抗状態にある場合である。 たがって、酸素不足型の遷移金属酸化物を 変抵抗層に用いた不揮発性記憶素子は、4値 読み書きを安定して実現できる可能性があ 。

 別の言い方をすれば、酸素不足型の遷移 属酸化物を可変抵抗層に用いた不揮発性記 素子は、可変抵抗層の上部電極側と、可変 抗層の下部電極側とが、それぞれ、低抵抗 態および高抵抗状態のいずれか一方を択一 にとることにより、4値の読み書きを安定し て実現できる可能性がある。

 しかしながら、上部電極側と下部電極側 が対称な構造(上下対称な構造)になってい 場合、上部電極側でも下部電極側でも抵抗 態が変化したときの電極間抵抗値の変化量 等しいために、第2の抵抗状態における電極 抵抗値と第3の抵抗状態における電極間抵抗 値とは等しくなってしまう。また、上部電極 側と下部電極側とが対称な構造になっている 場合、抵抗状態が変化する電圧も対称(絶対 が等しく、正負が逆転する)となる。一方の 極側が相対的に高電圧となれば他方の電極 は相対的に低電圧となる。したがって、例 ば一方の電極側を高抵抗状態にした場合に 他方の電極は必ず低抵抗状態になってしま 、両方の電極側を高抵抗状態に設定するこ ができなくなる。以上のような制約の結果 上下対称な構造では、電極間抵抗値は事実 2値しか取りえなくなり、多値メモリは実現 できない。

 上部電極側と下部電極側とを非対称(上下 非対称)に構成すれば、第2の抵抗状態におけ 電極間抵抗値と第3の抵抗状態における電極 間抵抗値とを異ならせたり、両方の電極側を 同時に高抵抗状態にでき、かつ両方の電極側 を同時に低抵抗状態にできるようにすること が可能となる。よって、多値メモリを実現し うる。

 別の言い方をすれば、可変抵抗層の上部 極側と、可変抵抗層の下部電極側とが、そ ぞれ、低抵抗状態および高抵抗状態のいず か一方を択一的にとることにより、3個以上 の互いに異なる電極間抵抗値において、電極 間電圧が所定の範囲で変化しても電極間抵抗 値が変化しない安定状態を取ることができる 。よって、3値以上の読み書きを安定して実 でき、安定して動作する多値メモリを実現 うる。

 なお、ここでいう「非対称」とは、下部 極側と上部電極側とで、抵抗状態が変化す 時の電極間電圧の絶対値や、抵抗状態が変 する時の電極間抵抗値の変化量(高抵抗状態 と低抵抗状態における抵抗値の差)が互いに なるように、電極材料、電極面積、可変抵 層の酸素含有率やその厚さ、電極の形状、 極の厚み、などを上部電極側と下部電極側 で異ならせることをいう。可変抵抗層は電 に直接接触していてもよいし、間接的に接 していてもよい。

 (第1実施形態)
 本実施形態は、上部電極と下部電極の電極 料を異ならせることにより、上部電極側が 抵抗状態にあり下部電極側が低抵抗状態に る場合の抵抗値と、上部電極側が低抵抗状 にあり下部電極側が高抵抗状態にある場合 抵抗値とを互いに異ならせ、3値メモリを実 現するものである。

 [素子の構成]
 図2は、本発明の第1実施形態にかかる不揮 性記憶素子(抵抗変化素子)の断面の一例を示 す模式図である。図2に示すように、本実施 態の不揮発性記憶素子100は、基板101と、基 101上に形成された酸化物層102と、酸化物層10 2上に形成された下部電極層103(第1電極)と、 部電極層103の上に形成された可変抵抗層104 、可変抵抗層104の上に形成された上部電極 105(第2電極)とを備えている。

 本実施形態では、下部電極層103と上部電 層105とを異なる材料で形成する。一例とし 、下部電極層103にはタングステン(W)、上部 極層105には白金(Pt)を用いることができる。 電極材料としては、例えば、白金(Pt)、イリ ウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステ (W)、ニッケル(Ni)、チッ化タンタル(TaN)が利 可能である。

 可変抵抗層104は、酸素不足型の遷移金属酸 物(好ましくは酸素不足型のTa酸化物)を含む 。酸素不足型の遷移金属酸化物とは、化学量 論的な酸化物と比較して酸素の含有量(原子 :総原子数に占める酸素原子数の割合)が少な い酸化物をいう。例えば遷移金属がTaの場合 化学量論的な酸化物の組成はTa 2 O 5 であって、TaとOの原子数の比率(O/Ta)は2.5であ る。したがって、酸素不足型のTa酸化物にお て、TaとOの原子比は0より大きく、2.5より小 さいことになる。本実施形態において、酸素 不足型の遷移金属酸化物は、酸素不足型のTa 化物であることが好ましい。酸素不足型のT a酸化物は、Ta酸化物をTaOxと表した場合に、0& lt;x<2.5を満足することが好ましく、0.8≦x≦ 1.9を満足することがさらに好ましい。酸素不 足型の遷移金属酸化物あるいは酸素不足型の Ta酸化物は、アモルファス構造を有すること 好ましい。

 可変抵抗層104は、下部電極層103を基準と る上部電極層105の電圧(以下、電極間電圧) 基づいて可逆的に下部電極層103と上部電極 105との間の抵抗値(電極間抵抗値、以下単に 抵抗値」と呼ぶ)を変化させる。不揮発性記 憶素子100にデータを書き込む場合は、外部の 電源から、所定の条件を満たす電圧を下部電 極層103と上部電極層105との間に印加する。電 圧の与え方は、例えば電気的パルス(所定の 圧と時間幅を持ったパルス状の電圧)とする とができる。

 可変抵抗層104は、電気的パルスの電圧が じであれば、該電気的パルスを何回印加し も抵抗値が変化しないという特性(高いイン プリント耐性)を有していることが好ましい

 本実施形態では、下部電極層103および上 電極層105は、それぞれ可変抵抗層104に直接 触している。本実施形態では、下部電極層1 03と可変抵抗層104とが接触する部分の面積と 上部電極層105と可変抵抗層104とが接触する 分の面積とは等しい。すなわち本実施形態 は、電極材料が異なる点を除けば、下部電 側と上部電極側とは対称な構造を有する。

 [素子の製造方法]
 不揮発性記憶素子100は、例えば下記のよう 方法で製造できる。

 まず、単結晶シリコンである基板101上に 酸化物層102を熱酸化法により形成する。酸 物層102の上に、金属薄膜をスパッタリング により堆積させ、下部電極層103とする。本 施形態では、一例として、下部電極層103の 料としてタングステン(W)を使用できる。

 さらに、下部電極層103の上に、可変抵抗層1 04として酸素不足型の遷移金属酸化物を層を すように堆積させる。酸素不足型の遷移金 酸化物は、例えば遷移金属のターゲットをA rとO 2 ガス中でスパッタリングする事で形成しうる 。(スパッタリング条件の具体例については 施例1を参照。)
 さらに、可変抵抗層104の上に、金属薄膜を パッタリング法により堆積させ、上部電極 105とする。本実施の形態では、一例として 上部電極層105の材料として白金(Pt)を使用で きる。

  以上のプロセスにより、酸素不足型の 移金属酸化物の上下を金属薄膜で挟み込ん 形の不揮発性記憶素子100が作製される。

 なお、可変抵抗層104の形成において、O 2 などの反応性ガスを使用せず、タンタル酸化 物をターゲットとしたスパッタリング法が用 いられてもよい。スパッタリング法ではなく 、化学気相堆積法等の方法を用いてもよい。

 [電気的特性]
 図3は、本発明の第1実施形態にかかる不揮 性記憶素子の特性の一例を示す模式図であ 、図3(a)は下部電極に対して上部電極の電圧 V A1 (例えば-3V)からV A4 (例えば+2V)の間で連続的に変化させた場合の 抗値の変化を示す図であり、図3(b)は下部電 極に対して上部電極の電圧をV B1 (例えば-2V)からV B4 (例えば+3V)の間で連続的に変化させた場合の 抗値の変化を示す図であり、図3(c)は下部電 極に対して上部電極の電圧をV A1 (例えば-3V)からV B4 (例えば+3V)の間で連続的に変化させた場合の 抗値の変化を示す図である。以下、不揮発 記憶素子100の電気特性を、図3を参照しつつ 説明する(実施例1および図5も参照)。

 以下では、下部電極層103を基準にした上 電極層105の電位を電極間電圧とする。上部 極層105の電位が下部電極層103の電位よりも い場合の電極間電圧は正であり、上部電極 105の電位が下部電極層103の電位よりも低い 合の電極間電圧は負である。上部電極層105 下部電極層103との間に印加するのは、例え 、所定の電圧値を有し、パルス幅が100nsecで ある電気的パルスである。ただし、電圧の印 加方法は、必ずしも電気的パルスによる必要 はない。所定の電圧を下部電極層103と上部電 極層105との間に印加できれば、どのような方 法で電圧が印加されてもよい。抵抗値は、上 部電極層105と下部電極層103との間に、絶対値 の小さい電圧(例えば50mV)を印加し、流れる電 流を測定することにより求めるものとする。 なお、以下では電気的パルスとして電極間に 電圧を印加することとし、該電気的パルスの 電圧を単に「電圧」と呼ぶ。電気的パルスの 電圧は、該電気的パルスの電圧が印加された 時の電極間電圧に等しいものとする。以上の 点は、他の実施形態についても同様とする。

 図3(a)の図中に矢印で示すように、抵抗値が R AL (例えば、約50ω)のとき、電圧をV A4 からV A2 へと低下させても抵抗値はR AL のままで変化しない(SA1)。その後、電圧をさ にV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR AL からR AH (例えば、約100ω)へと上昇する(TA1)。その後、 電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR AH のままで変化しない(SA2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR AH からR AL へと低下する(TA2)。図3(a)では、高抵抗状態に なるのはマイナスの電圧を印加したとき(下 電極側が高電位となっているとき)であるか 、実験例1の結果に照らせば、下部電極側で 抵抗状態が変化していることになる。すなわ ち、SA1では下部電極側と上部電極側の両方が 低抵抗状態にあり、SA2では下部電極側は高抵 抗状態にあり、上部電極側は低抵抗状態にあ る。

 図3(b)の図中に矢印で示すように、抵抗値が R BL (例えば、約50ω)のとき、電圧をV B1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR BL のままで変化しない(SB1)。電圧をさらにV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR BL からR BH (例えば、約600ω)へと上昇する(TB1)。その後、 電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR BH のままで変化しない(SB2)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR BH からR BL へと低下する(TB2)。図3(b)では、高抵抗状態に なるのはプラスの電圧を印加したとき(上部 極側が高電位となっているとき)であるから 実験例1の結果に照らせば、上部電極側で抵 抗状態が変化していることになる。すなわち 、SB1では下部電極側と上部電極側の両方が低 抵抗状態にあり、SB2では下部電極側は低抵抗 状態にあり、上部電極側は高抵抗状態にある 。

 図3(c)の図中に矢印で示すように、抵抗値が R L (=R AL =R BL )のとき、電圧をV B3 とV A2 との間で変化させても抵抗値はR L のままで変化しない(S1)。しかし、電圧をV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR L からR M (=R AH )へと上昇する(T1)。その後、電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR M のままで変化しない(S2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR M からR L へと低下する(T2)。その後、電圧をV A4 からV B3 を経てV B4 へと上昇させると抵抗値はR L からR H (=R BH )へと上昇する(T3)。その後、電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR H のままで変化しない(S3)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR H からR L へと低下する(T4)。実験例1の結果および図3(a) ,(b)に照らせば、S1では、下部電極側と上部電 極側の両方が低抵抗状態にある。S2では、下 電極側は高抵抗状態にあり、上部電極側は 抵抗状態にある。S3では、下部電極側は低 抗状態にあり、上部電極側は高抵抗状態に る。図3(c)は、図3(a)と図3(b)とを合成したよ な特性を示す。R L <R M <R H であって、電極間電圧がV A2 <V C1 <V B1 となるV C1 (=V α )のときに抵抗値はR L またはR M となり、電極間電圧がV B2 <V β <V A3 となるV β のときに抵抗値はR M またはR H となり、電極間電圧がV A4 <V C2 <V B3 となるV C2 (=V γ )のときに抵抗値はR L またはR H となる。また、V A1 をV 1 、V A2 をV 2 、V C1 をV 3 、V B1 をV 4 、V B2 をV 5 、V A3 をV 6 、V A4 をV 7 、V C2 をV 8 、V B3 をV 9 、V B4 をV 10 としたときに、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 を満たす。本実施形態では、以上のような条 件を満たすように、下部電極と上部電極とで 電極の材料を異ならせて、不揮発性記憶素子 が上下非対称に構成される。

 なお、上部電極と下部電極とを反転させ もよい。この場合には、不揮発性記憶素子 図3(c)を左右反転させたような特性を有する ことになる。

 [不揮発性記憶素子100を3値メモリとして使 する方法]
 図3(c)において、電圧をV A1 よりも低くすれば、不揮発性記憶素子100は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S2の状態となり、抵抗値はR M となる。また、電圧をV B4 よりも高くすれば、不揮発性記憶素子100は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S3の状態となり、抵抗値はR H となる。S1の状態にするためには、もともとS 2の状態にあるときには電圧をV C2 (V A4 <V C2 <V B3 )とすればよく、もともとS3の状態にあるとき には電圧をV C1 (V A2 <V C1 <V B1 )とすればよい。かかる3つの状態(S1、S2、S3) 、電圧が所定の範囲で変化しても抵抗値が 化しない状態(安定状態)である。すなわち、 S1の状態にある場合には、電圧がV A2 より大きくV B3 より小さい時には、抵抗値がほとんど変化し ない。また、S2の状態にある場合には、電圧 V A3 より小さい場合には、抵抗値がほとんど変化 しない。また、S3の状態にある場合には、電 がV B2 より大きい場合には、抵抗値がほとんど変化 しない。これら3つの安定状態を利用すれば 不揮発性記憶素子100を、3値の読み書きを安 して行うことができる不揮発性記憶素子と て使用できる。

 上述のように、従来の抵抗変化現象を利 した多値メモリ用の不揮発性記憶素子は、 抗値が連続的に変化する領域で素子に印加 る電圧を上下させる事により抵抗値を変化 せていた。この場合、過渡的な領域を使っ いるがため、抵抗値の再現性が乏しく、メ リとして安定的に動作させる事が困難であ た。本実施形態で提案する不揮発性記憶素 は、安定領域の抵抗値を記憶状態として使 ため、安定に動作する多値メモリ用の不揮 性記憶素子として応用する事が可能となる

 [下部電極側と上部電極側とを対称に構成し た場合]
 図4は、下部電極の材料と上部電極の材料と を同じにし、下部電極側と上部電極側とを対 称に構成した場合の、不揮発性記憶素子の特 性の一例を示す模式図であり、図4(a)は下部 極に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図4(b)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図であり、図4(c)は下部電極に対し 上部電極の電圧をV A1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合の抵抗値の変 化を示す図である。以下、不揮発性記憶素子 100の電気特性を、図4を参照しつつ説明する( 較例および図7も参照)。

 図4(a)の図中に矢印で示すように、抵抗値が R AL のとき、電圧をV A4 からV A2 へと低下させても抵抗値はR AL のままで変化しない(SA1)。その後、電圧をさ にV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR AL からR AH へと上昇する(TA1)。その後、電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR AH のままで変化しない(SA2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR AH からR AL へと低下する(TA2)。図4(a)では、高抵抗状態に なるのはマイナスの電圧を印加したとき(下 電極側が高電位となっているとき)であるか 、下部電極側で抵抗状態が変化しているこ になる。すなわち、実験例1の結果に照らせ ば、SA1では下部電極側と上部電極側の両方が 低抵抗状態にあり、SA2では下部電極側は高抵 抗状態にあり、上部電極側は低抵抗状態にあ る。

 一方、図4(b)の図中に矢印で示すように、抵 抗値がR BL のとき、電圧をV B1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR BL のままで変化しない(SB1)。電圧をさらにV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR BL からR BH へと上昇する(TB1)。その後、電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR BH のままで変化しない(SB2)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR BH からR BL へと低下する(TB2)。図4(b)では、高抵抗状態に なるのはプラスの電圧を印加したとき(上部 極側が高電位となっているとき)であるから 上部電極側で抵抗状態が変化していること なる。すなわち、実験例1の結果に照らせば 、SB1では下部電極側と上部電極側の両方が低 抵抗状態にあり、SB2では下部電極側は低抵抗 状態にあり、上部電極側は高抵抗状態にある 。

 ここで、図4の不揮発性記憶素子では、下部 電極層103の材料と上部電極層105の材料とが同 じ材料で構成されており、下部電極側と上部 電極側とは対称な構造となっている。このた め、下部電極側が高抵抗状態になった場合と 、上部電極側が高抵抗状態になった場合とで 、抵抗値は等しくなる(R AH =R BH )。また、抵抗状態が変化する時の電圧も、 負が逆転しているだけで絶対値は等しく(|V A1 |=|V B4 |、|V A2 |=|V B3 |、|V A3 |=|V B2 |、|V A4 |=|V B1 |)、V A1 =-V B4 、V A2 =-V B3 、V A3 =-V B2 、V A4 =-V B1 を満たす。その結果、不揮発性記憶素子の特 性も、図4の(a)と(b)とでは、V=0の軸を中心に 右対称となる。

 すなわち、図4(c)の図中に矢印で示すように 、抵抗値がR L (=R AL =R BL )のとき、電圧をV B3 とV A2 との間で変化させても抵抗値はR L のままで変化しない(S1)。しかし、電圧をV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR L からR H (=R AH )へと上昇する(T3)。その後、電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR H のままで変化しない(S2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR H からR L へと低下する(T4)。その後、電圧をV A4 からV B3 を経てV B4 へと上昇させると抵抗値はR L からR H (=R BH )へと上昇する(T1)。その後、電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR H のままで変化しない(S2)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR H からR L へと低下する(T2)。実験例1の結果および図4(a) ,(b)に照らせば、S1では、下部電極側と上部電 極側の両方が低抵抗状態にある。T3の後のS2 は、下部電極側は高抵抗状態にあり、上部 極側は低抵抗状態にある。T1の後のS2では、 部電極側は低抵抗状態にあり、上部電極側 高抵抗状態にある。図3(c)は、図3(a)と図3(b) を合成したような特性を示す。

 図4の不揮発性記憶素子では、SA2における抵 抗値(R AH )とSB2における抵抗値(R BH )が等しい。下部電極側が高抵抗化する電圧 は、上部電極側は必ず低抵抗状態になって まう。上部電極側が高抵抗化する電圧では 下部電極側は必ず低抵抗状態になってしま 。このため、上部電極側と下部電極側の両 を高抵抗状態にすることもできない。その 果、図4の不揮発性記憶素子の抵抗値は、2つ の値(R L =R AL =R BL とR H =R AH =R BH )しか取ることができない。すなわち、図4の 揮発性記憶素子では、2つの抵抗状態(S1、S2) しか取ることができない。よって、図4の不 発性記憶素子を多値メモリとして機能させ ことはできない。

 以上のことから、不揮発性記憶素子を多 メモリとして機能させるためには、下部電 側と上部電極側とを非対称に構成する必要 あることが分かる。

 [実施例1]
 実施例1では、図2に示したような構成の不 発性記憶素子を、下記のような方法で製造 た。

 まず、単結晶シリコンである基板上に、 さ200nmの酸化物層を熱酸化法により形成し 。酸化物層の上に、厚さ200nmの金属薄膜をス パッタリング法により堆積させ、下部電極層 とした。本実施例では、下部電極層の材料と してタングステン(W)を使用した。

 さらに、下部電極層の上に、可変抵抗層と て酸素不足型のTa酸化物を厚さ30nmの層をな ように堆積させた。酸素不足型のTa酸化物 、TaターゲットをArとO 2 ガス中でスパッタリングする事で形成した。 可変抵抗層を堆積する時の具体的なスパッタ リング条件は、スパッタリングを開始する前 のスパッタリング装置内の真空度(背圧)を7×1 0 -4 Pa程度、スパッタ時のパワーを250W、アルゴン ガスと酸素ガスとをあわせた全ガス圧力を3.3 Pa、酸素ガスの分圧比を3.8%、基板の設定温度 を30℃、成膜時間を7分とした。かかる条件に より、酸素含有率が約58atm%である、酸素不足 型のTa酸化物からなる可変抵抗層が30nm堆積さ れた。なお、酸素不足型のTa酸化物をTaO x と表現した場合、酸素含有率が58atm%のTa酸化 におけるxは1.38である。

 さらに、可変抵抗層の上に、厚さ100nmの 属薄膜をスパッタリング法により堆積させ 上部電極層とした。本実施の形態では、上 電極層の材料として白金(Pt)を使用した。

  以上のプロセスにより、酸素不足型のTa 酸化物の上下を金属薄膜で挟み込んだ形の不 揮発性記憶素子が作製された。

 図5は、本発明の実施例1の不揮発性記憶 子の特性を示す図であり、図5(a)は下部電極 対して上部電極の電圧を-3Vから+2Vの間で連 的に変化させた場合の抵抗値の変化を示す であり、図5(b)は下部電極に対して上部電極 の電圧を-2Vから+3Vの間で連続的に変化させた 場合の抵抗値の変化を示す図であり、図5(c) 下部電極に対して上部電極の電圧を-3Vから+3 Vの間で連続的に変化させた場合の抵抗値の 化を示す図である。以下、実施例1の不揮発 記憶素子の電気特性を、図5を参照しつつ説 明する。

 本実施例では、上部電極層と下部電極層 の間に、所定の電圧値(パルス電圧)を有し パルス幅が100nsecである電気的パルスを印加 、その都度、抵抗値を測定した。抵抗値は 上部電極層と下部電極層との間に50mVの電圧 を印加し、流れる電流を測定することにより 求めた。

 図5(a)では、抵抗値の初期値は約100ωであ た。そして、図中に矢印で示すように、パ ス電圧を、まず0Vから始めて+2Vまで徐々に 昇させ、次に+2Vから-3Vへと徐々に低下させ 最後に-3Vから0Vへと徐々に上昇させた。抵抗 値は、0Vから約+1Vまでは約100ωで一定であっ (SA2)が、+1Vから+2Vへと上昇させると約50ωへ 低下した(TA2)。その後は、電圧を+2Vから-2Vに 低下させるまで、抵抗値は約50ωで一定であ た(SA1)が、-2Vから-3Vへと低下させると抵抗値 は約100ωへと上昇した(TA1)。その後は、電圧 -3Vから0Vまで上昇させても、抵抗値は約100ω 一定であった(SA2)。

 図5(a)では、高抵抗状態になるのはマイナ スの電圧を印加したとき(下部電極側が高電 となっているとき)であるから、実験例1の結 果に照らせば、下部電極側で抵抗状態が変化 していることになる。すなわち、SA1では下部 電極側と上部電極側の両方が低抵抗状態にあ り、SA2では下部電極側は高抵抗状態にあり、 上部電極側は低抵抗状態にある。

 図5(b)では、抵抗値の初期値は約50ω(図5(a) のSA1の状態)であった。そして、図中に矢印 示すように、パルス電圧をまず0Vから始めて +3Vまで徐々に上昇させ、次に+3Vから-2Vへと徐 々に低下させ、最後に-2Vから0Vへと徐々に上 させた。抵抗値は、0Vから約+2Vまでは約50ω 一定であった(SB1)が、+2Vから+3Vへと上昇さ ると約600ωへと上昇した(TB1)。その後は、電 を+3Vから-1Vに低下させるまで、抵抗値は約6 00ωで一定であった(SB2)が、-1Vから-2Vへと低下 させると抵抗値は約50ωへと低下した(TB2)。そ の後は、電圧を-2Vから0Vまで上昇させても、 抗値は約50ωで一定であった(SB1)。

 図5(b)では、高抵抗状態になるのはプラス の電圧を印加したとき(上部電極側が高電位 なっているとき)であるから、実験例1の結果 に照らせば、上部電極側で抵抗状態が変化し ていることになる。すなわち、SB1では下部電 極側と上部電極側の両方が低抵抗状態にあり 、SB2では下部電極側は低抵抗状態にあり、上 部電極側は高抵抗状態にある。

 図5(c)では、抵抗値の初期値は約600ω(図5(b )のSB2の状態)であった。そして、図中に矢印 示すように、パルス電圧を、まず0Vから始 て-3Vまで徐々に低下させ、次に-3Vから+3Vへ 徐々に上昇させ、最後に+3Vから0Vへと徐々に 低下させた。抵抗値は、0Vから約-1Vまでは約6 00ωで一定であった(S3)が、-1Vから-2Vへと低下 せると約50ωへと低下し(T4)、しばらく抵抗 がほぼ一定の状態となった(S1)。その後さら 電圧を低下させると、-3V付近で抵抗値は約1 00ωへと上昇した(T1)。その後は、電圧を-3Vか +1Vまで上昇させても、抵抗値は約100ωで一 であった(S2)が、さらに電圧を+2.5Vまで上昇 せると抵抗値は約50ωへと低下し(T2)、しばら く抵抗値がほぼ一定の状態となった(S1)。そ 後さらに電圧を上昇させると、+3V付近で抵 値は約600ωへと上昇した(T3)。その後は、電 を+3Vから0Vまで低下させても、抵抗値は約600 ωで一定であった(S3)。

 このように、図5(c)では、抵抗値が図5(a) 図5(b)とを合成したような複雑な変化を示し いることが分かる。実験例1の結果および図 5(a),(b)に照らせば、S1では下部電極側と上部 極側の両方が低抵抗状態にある。S2では、下 部電極側は高抵抗状態にあり、上部電極側は 低抵抗状態にある。S3では、下部電極側は低 抗状態にあり、上部電極側は高抵抗状態に る。

 以上のように、実施例1の不揮発性記憶素 子は、3つの安定状態を持つ事がわかる。す わち、+2Vと-2V付近の最も抵抗値の低い状態S1 (約50ω)と、-3V付近から+1V付近の抵抗値が中間 的な大きさである状態S2(約100ω)と、-1Vから3V 最も抵抗値の高い状態S3(約600ω)である。状 がS1にあるときには、電圧が-2Vより大きく+2 Vより小さいときは抵抗値(抵抗状態)が変化し ない。状態がS2にあるときには、電圧が+1Vよ 小さいときは抵抗値(抵抗状態)が変化しな 。状態がS3にあるときには、電圧が約-1Vより 大きいときは抵抗値(抵抗状態)が変化しない 実施例1の不揮発性記憶素子では、これらの 3つの安定状態を使って3値の情報を記憶する が可能となる。

 また、実施例1では、可変抵抗層を酸素不 足型のTa酸化物で構成したが、可変抵抗層の 料はこれに限定されるものではない。すな ち、従来技術で説明した通り、Taと類似し 遷移金属酸化物でも電気的パルスによる抵 変化が報告されており、これらの材料でも 実施の形態と同様の抵抗変化現象が観測さ ると推察される。すなわち、Ni、Nb、Ti、Zr、 Hf、Co、Fe、Cu、Cr等の遷移金属の酸素不足型 酸化物でも、上部と下部の電極を異なる材 により構成する事により、3値の不揮発性記 素子を構成できると考えられる。

 [実施例2]
 図6は、本発明の実施例2において、不揮発 記憶素子の2電極間に印加する電気的パルス 電圧を離散的に変化させた場合の抵抗値の 化を示す図である。実施例2では、実施例1 不揮発性素子と同じものを用いた。図中に した電圧は、印加された電気的パルスの電 を示す。なお、電気パルスは2回ずつ印加し 。

 まず、不揮発性記憶素子の状態をS2に設 して2回の測定行った(図中では0Vを印加した 表現している)。この場合の抵抗値は約100ω あった。この状態の素子に+2Vの電圧を印加 ると、不揮発性記憶素子の状態はS1へと変 し、抵抗値は約50ωとなった。次に、+3Vの電 を印加すると、不揮発性記憶素子の状態はS 3へと変化し、抵抗値は約600ωとなった。次に 、-2Vの電圧を印加すると、不揮発性記憶素子 の状態はS1へと変化し、抵抗値は約50ωとなっ た。最後に、-3Vの電圧を印加すると、不揮発 性記憶素子の状態はS2へと変化し、抵抗値は 100ωとなった。

 図6の結果から、不揮発性記憶素子の上部 及び下部電極に、離散的な、所定の電圧を有 する単発の電気的パルスを印加することで、 不揮発性記憶素子の状態をS1、S2、S3の間で自 在に変化させられる事が分かる。S1、S2、S3の それぞれの抵抗値に情報を割り当てれば、3 の情報の書き込みが可能な不揮発性記憶素 として利用できる。

 [比較例]
 比較例では、図2に示したような構成の不揮 発性記憶素子であって、上部電極および下部 電極の両方を白金(Pt)で構成したものを、実 例1と同様の方法で製造した。

 図7は、比較例の不揮発性記憶素子におい て、下部電極に対して上部電極の電圧を-3Vか ら+3Vの間で連続的に変化させた場合の抵抗値 の変化を示す図である。図7を見ると分かる うに、電圧0Vの軸に対して左右対称な、メガ ネのような形状の特性が得られた。比較例で は、抵抗値の安定状態が100ω(±2V付近)と、1000 ω(-3Vから+3Vの範囲)の2つしかなく、2値の不揮 発性記憶素子としてしか機能しない。

 以上の結果から、実施例1の不揮発性記憶 素子において3個の安定状態が存在するのは 上下の電極を異なる材料で形成したためで ることが分かる。

 [電極材料に関する実験]
 抵抗値の変化量が、電極材料によってどの 度異なるかを調べるために、実験を行なっ 。まず、図2と同様の不揮発性記憶素子であ って、下部電極の材料をW、上部電極の材料 それぞれ白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、 (Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni) チッ化タンタル(TaN)としたものを作製した。 不揮発性記憶素子の作製方法は実施例1と同 であり、下部電極、上部電極はいずれもス ッタリング法によって形成した。可変抵抗 を構成する酸素不足型のTa酸化物は、Ta金属 O 2 とAr中でスパッタリングして作製した。いず の素子についても、可変抵抗層は全て同じ( 酸素含有率が約58%である酸素不足型のTa酸化 )組成とした。下部電極103にWを用いた理由 、酸化しにくい安定な材料であり、かつ、 ライエッチング等の製造時の加工も比較的 いやすい点にある。

 図8は、不揮発性記憶素子の抵抗値の変化 を示す図であり、それぞれの図における上部 電極の材料は、(a)が白金(Pt)、(b)がイリジウ (Ir)、(c)が金(Au)、(d)が銀(Ag)、(e)が銅(Cu)、(f) タングステン(W)、(g)がニッケル(Ni)、(h)がチ ッ化タンタル(TaN)である。図中の元素記号は 上部電極に用いた材料を示す。横軸は電気 パルスの印加回数、縦軸は抵抗値である。 気的パルスのパルス幅は100nsecとした。いず れの素子についても、上部電極の電位が下部 電極よりも高くなる場合に高抵抗状態に変化 するように実験を行なった。つまり、上部電 極側で抵抗状態の変化が生じるように実験を 行なった。電気的パルスの電圧は、高抵抗状 態に変化させる時の電圧は+1.8~+2.0Vとし、低 抗状態に変化させる時の電圧は-1.3~-1.6Vとし 。

 図8を見れば分かるように、可変抵抗層の 材料は同一であるにも関わらず、電極の材料 によって、素子の特性が異なっていた。すな わち、電極の材料によって、抵抗値の変化量 や、高抵抗状態の抵抗値、低抵抗状態の抵抗 値が異なった。また、電極の材料によって、 抵抗状態が変化するときの電圧やその絶対値 も異なっていた。

 本実験の結果から、上部電極と下部電極 を異なる材料で構成すれば、上部電極側が 抵抗状態になったときの抵抗値と、下部電 側が高抵抗状態になったときの抵抗値とが なり、3値のメモリとして動作する抵抗変化 素子が形成できる事が分かる。PtとW以外の組 み合わせでは、高抵抗状態の抵抗値と低抵抗 状態の抵抗値との差が、上部電極側と下部電 極側とでなるべく大きく異なっていることが より好ましい。電極材料の組合せとしては、 例えば、PtとAu、PtとAg、PtとCu、PtとNiの組み わせが好ましい。また、例えば、IrとAu、Ir Ag、IrとCu、IrとNiの組み合わせでも良い。

 [可変抵抗層の材料に関する実験]
 1.X線回折
 図9は、基板温度を30℃とし、O 2 流量比(スパッタガス中のO 2 の流量比率)を0.5%とした場合に得られた、膜 が40nmのタンタル酸化物からなる可変抵抗層 のXRD(X線回折)チャートである。なお、このチ ャートは、薄膜法を使って測定した結果であ る。図9に示すように、金属Taのピークを確認 することができないため、タンタル酸化物が 得られたと推定される。また、2θが30~40deg.に おいて幅広いピークを確認することができる ことから、アモルファス状態であると考える ことができる。なお、2θが56deg.のピークは、 シリコン基板に起因するものである。

 2.組成
 図10(a)は、可変抵抗層の材料として酸素不 型のTa酸化物を用いた不揮発性記憶素子のTa 化物試料の深さ方向のオージェ分析の結果 示す図であり、図10(b)は、酸素不足型のTa酸 化物の代わりに金属Taを白金電極で挟持した 子の深さ方向のオージェ分析の結果を示す である。金属Ta試料の厚みは20nmである。こ 金属Ta試料上に、厚み50nmのPt上部電極を形 している。

 図10(a)と図10(b)とを比較すると明らかなよ うに、Ta酸化物試料では、タンタルが酸化さ ていることが理解できる。試料中のTaとOと 原子比を分析すると、O/Ta=0.5/1であった。

 さらに、より正確な組成分析をRBS(ラザフ ォード後方散乱)法により行った。その結果 オージェ分析で原子比がO/Ta=0.5/1であった試 の組成は、RBS法ではO/Ta=1.4/1であった。なお 、RBS法による組成分析は、可変抵抗層全体の 平均的な組成である。このように、オージェ 分析結果とRBS分析結果が異なることは、文献 でも報告されている(例えば、Pei-Chuen Jiang an d J.S.Chen, 2003, Journal of Vacuum Science A,Vol.21,  No.3, pp.616-622)。上記文献においては、オー ェ分析では、材料ごとに感度係数を補正す 必要があり、一般的にRBS分析の方がオージ 分析よりも信頼性があることが述べられて る。

 RBS分析の結果は、図10(a)ではタンタル酸 物の膜厚方向中央部分の組成に相当する。 10(a)から、タンタル酸化物層の両界面(Pt層と の界面)近傍では、酸素含有率が増加してい ことが読みとれる。従って、界面部分の酸 含有率はRBS法により分析された組成よりも い可能性がある。

 3.O 2 流量比と組成との関係
 図11は、製造工程におけるスパッタガス中 O 2 流量比と、RBS法で分析したTa酸化物層の酸素 有率(原子比)との関係を示す図である。O 2 流量比が7%以上の条件では酸素含有率が飽和 る傾向が見られるが、O 2 流量比により酸化タンタル層の組成を連続的 に制御できることがわかる。つまり、タンタ ル酸化物層を反応性RFスパッタ法により形成 る際に、スパッタガス中のO 2 流量比を制御することにより、タンタル酸化 物層の酸素含有率をタンタル酸化物層の厚み 方向において所望の一定値に制御することが できる。

 4.O 2 流量比と抵抗率との関係
 図12は、可変抵抗層を酸化Taで構成した場合 の、製造工程におけるスパッタガス中のO 2 流量比と可変抵抗層の抵抗率との関係を示す 図である。図13は、可変抵抗層を酸化Taで構 した場合の、RBS法で分析した可変抵抗層の 素含有率(原子比、atm%)と、可変抵抗層の抵 率との関係を示す図である。なお、ここで す抵抗率は、基板(窒化膜を形成したシリコ ウエハ)上に可変抵抗層のみを直接形成した 試料について、シート抵抗値を4端子法によ 測定した結果に基づいて算出したものであ 。

 図12に示すように、O 2 流量比の値によって、可変抵抗層の抵抗率は 連続的に変化している。より、詳しく説明す ると、上述のように、O 2 流量比の値によってタンタル酸化物層(可変 抗層)の酸素含有率は連続的に変化する。そ て、図13に示すように、酸素含有率によっ 、可変抵抗層の抵抗率は連続的に変化する したがって、可変抵抗層の酸素含有率に基 いて、可変抵抗層の抵抗率を連続的に制御 ることができる。このことから、可変抵抗 において良好な抵抗変化現象を得るために 、可変抵抗層の酸素含有率が適切な範囲に ることが必要と考えられる。

 5.O/Ta比の好適な数値範囲
 本発明者等は、図13に示す各酸素含有率を する試料の抵抗率を測定し、その測定デー の回帰曲線を求めた。図13には、この測定デ ータ(黒三角印で示す)とこの回帰曲線とを示 。

 図14は、可変抵抗層の酸素含有率が45~65atm %の組成範囲における抵抗変化特性を説明す 図であって、(a)は酸素含有率と抵抗率との 係を示す図、(b)は酸素含有率が45atm%の場合 おけるパルス印加回数と抵抗値との関係を す図、(c)は酸素含有率が65atm%の場合におけ パルス印加回数と抵抗値との関係を示す図 ある。

 上述の抵抗変化特性の測定によれば、図1 4(a)に示すα点(酸素含有率45atm%)からβ点(酸素 有率65atm%)の酸素含有率の範囲においては、 高抵抗状態の抵抗値が低抵抗状態の抵抗値の 5倍以上と良好であった。α点(酸素含有率45atm %)およびβ点(酸素含有率65atm%)の酸素含有率を 有する試料についてのパルス印加回数に対す る抵抗変化特性を、それぞれ、図14(b)および 14(c)に示す。図14(b)および図14(c)によれば、 点およびβ点の酸素含有率においては、共に 、高抵抗状態の抵抗値が低抵抗状態の抵抗値 の5倍以上と良好であることが判る。また、α 点(酸素含有率45atm%)からβ点(酸素含有率65atm%) に渡る酸素含有率の範囲においては、高抵抗 状態の抵抗値が低抵抗状態の抵抗値の5倍以 と良好である。よって、αからβまでの組成 囲は、記憶素子として安定した動作を実現 きるより適切な組成範囲と考えられる。従 て、酸素含有率が45~65atm%の組成範囲、即ち 変抵抗層をTaOxと表記した場合におけるxの 囲が0.8≦x≦1.9の範囲が、より適切な可変抵 層の組成範囲である(酸素含有率=45atm%がx=0.8 に、酸素含有率=65atm%がx=1.9にそれぞれ対応す る)。

 ここで、抵抗変化現象のメカニズムについ 考える。上述のように、タンタル酸化物を いた不揮発性記憶素子では、正の電圧を印 した電極側が高抵抗に変化する特徴を持っ いる。この事から、抵抗変化現象には、負 帯電した酸素のイオンが重要な役割を果し いると考えられる。すなわち、図2に示すよ うな不揮発性記憶素子100において、下部電極 103を基準にして上部電極層105に正の電圧を加 えた場合、タンタル酸化物層104の内部の酸素 がイオン化し、上部電極105側に移動する。こ れにより、上部電極105近傍に酸素濃度の高く 、抵抗値も非常に高いタンタル酸化物層が形 成され、結果的に下部電極103と上部電極105間 の抵抗は上昇する。逆に、下部電極103を基準 にして上部電極層105に負の電圧を加えた場合 、上部電極105近傍の酸素濃度の高いタンタル 酸化物層から、酸素イオンが放出され、タン タル酸化物104へと移動する。この結果、下部 電極103と上部電極105間の抵抗は減少する。以 上のようなメカニズムに依れば、タンタル酸 化物層104は準安定な状態を取る必要がある。 例えば、Ta 2 O 5 は化学量論的に安定な物質であり、酸素イオ ンは形成されにくい。そのため、タンタル酸 化物層104として、Ta 2 O 5 を用いても抵抗変化は起こらないと考えられ る。一方で、Taを可変抵抗層として用いた場 、Taには酸素が含まれておらず、酸素イオ の移動が起こらないため、この場合も抵抗 化は起こらない。以上のような理由から、 発明においては、上記組成範囲(0.8≦x≦1.9) 外であっても、酸素不足型のTa酸化物であっ て、絶縁物であるTa 2 O 5 (TaOxでx=2.5に相当)よりも少ない酸素含有量に 構成されたTa酸化物(すなわち、TaOxにおいて 、0<x<2.5)を用いれば、抵抗変化現象が見 れるものと推認される。

 この組成範囲以外でも抵抗変化現象は確 され又は推認されるが、この組成範囲内に べると抵抗率が小さくなり又は大きくなる とから高抵抗状態の抵抗値が低抵抗状態の 抗値の5倍未満になると考えられ、記憶素子 として動作の安定性にやや欠けると考えられ る。

 [インプリント特性]
 可変抵抗層の材料として酸素不足型のTa酸 物を用いた上下対称型の不揮発性記憶素子 おいて、電極間に同極性の電気的パルスを 続して印加した場合における不揮発性記憶 子の設定された抵抗値のインプリント性は 好であった。例えば、不揮発性記憶素子の 極間に負の電気的パルスを連続して20回印加 することによって低抵抗状態を連続的に発生 させた後において、正負の電気的パルスを交 互に連続して印加した場合であっても、安定 して高抵抗状態または低抵抗状態を繰り返し た。また、正の電気的パルスを連続して20回 加することによって高抵抗状態を連続的に 生させた後において、正負の電気的パルス 交互に連続して印加した場合も、同様にし 高抵抗状態または低抵抗状態を安定的に繰 返した。以上の結果から、酸素不足型のTa 化物を用いた不揮発性記憶素子は、いわゆ インプリント耐性が高く、したがって安定 た動作をすることが期待できる。

 [印加する電気的パルスの幅と抵抗値との関 係]
 図15は、可変抵抗層の材料として酸素不足 のTa酸化物を用いた上下対称型の不揮発性記 憶素子において、電極間に印加される電気的 パルスの幅と可変抵抗層の抵抗値との関係を 示す図である。なお、図15において、R H は高抵抗状態の抵抗値を、R L は低抵抗状態の抵抗値をそれぞれ示している 。また、このR H およびR L は、各パルス幅の電気的パルスを100回印加し た場合における可変抵抗層の抵抗値の平均値 である。

 図15に示すように、印加する電気的パルス 幅が20nsecのような高速パルスの場合であっ も、抵抗変化現象を確認することができた また、R H の値は、20nsecから300nsecの間でほぼ一定であ た。他方、R L の値は、パルス幅が20nsecの場合に高くなる傾 向が見られた。

 (第2実施形態)
 第1実施形態では、下部電極と上部電極とを 異なる材料で構成することにより、不揮発性 記憶素子を上下非対称に構成したが、第2実 形態では、下部電極側と上部電極側とで可 抵抗層の材料を異ならせることにより、不 発性記憶素子を上下非対称に構成する。第2 施形態では、酸素不足型の遷移金属酸化物 の酸素含有率を異ならせる。

 [素子の構成]
 図16は、本発明の第2実施形態にかかる不揮 性記憶素子の断面の一例を示す模式図であ 。図16に示すように、本実施形態の不揮発 記憶素子110は、基板111と、基板111上に形成 れた酸化物層112と、酸化物層112上に形成さ た下部電極層113(第1電極)と、下部電極層113 上に形成された第1の可変抵抗層114と、第1の 可変抵抗層114の上に形成された第2の可変抵 層115と、第2の可変抵抗層115の上に形成され 上部電極層116(第2電極)とを備えている。第1 の可変抵抗層114と第2の可変抵抗層115とは、 ずれも酸素不足型の遷移金属酸化物(好まし は酸素不足型のTa酸化物)を含んでおり、第2 の可変抵抗層115の方が第1の可変抵抗層114よ も酸素含有率が高くなっている。

 第1の可変抵抗層114および第2の可変抵抗 115は、電極間電圧に基づいて可逆的に抵抗 を変化させる。不揮発性記憶素子110にデー を書き込む場合は、外部の電源から、所定 条件を満たす電圧を下部電極層113と上部電 層116との間に印加する。電圧の与え方は、 えば電気的パルスとすることができる。不 発性記憶素子110は、電気的パルスの電圧が じであれば、該電気的パルスを何回印加し も抵抗値が変化しないという特性を有して る。

 [素子の製造方法]
 不揮発性記憶素子110の製造方法は、基本的 は第1実施形態の不揮発性記憶素子100の製造 方法と同様であり、例えば下記のような方法 で製造できる。

 まず、単結晶シリコンである基板111上に 酸化物層112を熱酸化法により形成する。酸 物層112の上に、金属薄膜をスパッタリング により堆積させ、下部電極層113とする。本 施形態では、一例として、下部電極層113の 料として白金(Pt)を使用できる。

 さらに、下部電極層113上に、可変抵抗層と て酸素不足型の遷移金属酸化物を層をなす うに堆積させる。酸素不足型の遷移金属酸 物は、例えば遷移金属のターゲットをArとO 2 ガス中でスパッタリングする事で形成しうる 。スパッタリングの条件は、例えば第1実施 態の実施例1と同様とすることができる。

 その後、基板111を酸素プラズマ発生装置内 導入して、所定時間(例えば30秒間程度)だけ 、基板111の最表面を酸素プラズマにさらす。 かかる処理により、酸素不足型の可変抵抗層 の表面が酸化され、酸素含有率の低い第1の 変抵抗層114と、酸素含有率の高い第2の可変 抗層115とが形成される。図16では、模式的 、第1の可変抵抗層114と第2の可変抵抗層115を 明確に区別して表現したが、実際には、第2 可変抵抗層115の表面から第1の可変抵抗層114 と、酸素含有率が連続的に減少するような 造が形成されると考えられる。
その後、第2の可変抵抗層115上に金属薄膜を パッタリング法により堆積させ、上部電極 116とする。本実施形態では、一例として、 部電極層116の材料として白金(Pt)を使用でき 。本実施形態では、下部電極層113と上部電 層116とは同一の材料で構成されている。

 以上のプロセスにより、上部電極と接す 部分(上部電極の近傍あるいは上部電極側) 可変抵抗層の酸素含有率と、下部電極と接 る部分(下部電極の近傍あるいは下部電極側) の可変抵抗層の酸素含有率が異なる不揮発性 記憶素子110が製造される。

 なお、第2実施形態においても、電極材料 や可変抵抗層の材料は第1実施形態と同様の のを用いることができる。

 可変抵抗層は、それぞれの電極の近傍で 度が違っておればよく、3層以上の構造にし てもよいし、傾斜的に酸素含有率が変化して いても良い。

 また、可変抵抗層の表面を酸化する事で、 部電極と接する部分と下部電極と接する部 の酸素含有率を変更したが、可変抵抗層の 理方法は、かかる方法に限定されるもので ない。すなわち、酸化処理は行わずに、最 から異なる酸素含有率を有する2種類以上の 酸素不足型のTa酸化物層を堆積しても良い。T a酸素物の酸素含有率としては、第1の可変抵 層に含まれるTa酸化物をTaO x、 第2の可変抵抗層に含まれるTa酸化物をTaO y と表現した場合、0<x<y<2.5を満足してい ることが好ましい。この場合、さらに好まし くは0.8≦x<y≦1.9を満足する。第1の可変抵 層114の酸素含有率の方が第2の可変抵抗層115 酸素含有率よりも高くてもよい。すなわち x>yでもよい。

 本実施形態では、下部電極層113および上 電極層116は、それぞれ第1の可変抵抗層114お よび第2の可変抵抗層115に直接接触している 本実施形態では、下部電極層113と第1の可変 抗層114とが接触する部分の面積と、上部電 層116と第2の可変抵抗層115とが接触する部分 の面積とは等しい。本実施形態では、可変抵 抗層の組成を除けば、下部電極側と上部電極 側とは対称な構造を有する。

 本実施形態の不揮発性記憶素子も、図3(c) と同様の特性を示す。よって、本実施形態の 不揮発性記憶素子でも、3値の読み書きを安 して行なうことができる。

 [実施例3]
 実施例3では、図16に示したような構成の不 発性記憶素子を、下記のような方法で製造 た。

 まず、単結晶シリコンである基板上に、 さ200nmの酸化物層を熱酸化法により形成し 。酸化物層の上に、厚さ200nmの金属薄膜をス パッタリング法により堆積させ、下部電極層 とした。本実施例では、下部電極層の材料と して白金(Pt)を使用した。

 さらに、下部電極層の上に、可変抵抗層と て酸素不足型のTa酸化物を厚さ30nmの層をな ように堆積させた。酸素不足型のTa酸化物 、TaターゲットをArとO 2 ガス中でスパッタリングする事で形成した。 可変抵抗層を堆積する時の具体的なスパッタ リング条件は、スパッタリングを開始する前 のスパッタリング装置内の真空度(背圧)を7×1 0 -4 Pa程度、スパッタ時のパワーを250W、アルゴン ガスと酸素ガスとをあわせた全ガス圧力を3.3 Pa、酸素ガスの分圧比を3.8%、基板の設定温度 を30℃、成膜時間を7分とした。かかる条件に より、酸素含有率が約58atm%である、酸素不足 型のTa酸化物からなる可変抵抗層が30nm堆積さ れた。なお、酸素不足型のTa酸化物をTaOxと表 現した場合、酸素含有率が58atm%のTa酸化物に けるxは1.38である。

 その後、基板を酸素プラズマ発生装置内 導入し、30秒間、基板の表面を酸素プラズ に曝した。その後、可変抵抗層の上に厚さ10 0nmの金属薄膜をスパッタリング法により堆積 させ、上部電極層とした。本実施例では、上 部電極層の材料として白金(Pt)を使用した。

 以上のプロセスにより、下方から上方に けて酸素含有率が上昇する酸素不足型のTa 化物層の上下をPt薄膜で挟み込んだ形の不揮 発性記憶素子が作製された。

 図17は、本発明の実施例3の不揮発性記憶 子について、下部電極に対して上部電極の 圧を-1.8Vから+1.7Vの間で連続的に変化させた 場合の抵抗値の変化を示す図である。電圧の 印加方法は実施例1と同様とした。以下、実 例3の不揮発性記憶素子の電気特性を、図17 参照しつつ説明する。

 図17では、抵抗値の初期値は約10000ωであ た。そして、図中に矢印で示すように、パ ス電圧を、まず0Vから始めて-1.8Vまで徐々に 低下させ、次に-1.8Vから+1.7Vへと徐々に上昇 せ、最後に+1.7Vから0Vへと徐々に低下させた 抵抗値は、0Vから約-0.9Vまでは約10000ωで一 であった(S3)が、-0.9Vから-1.5Vへと低下させる と約100ωへと低下し(T4)、しばらく抵抗値がほ ぼ一定の状態となった(S1)。その後さらに電 を低下させると、-1.8V付近で抵抗値は約300ω と上昇した(T1)。その後は、電圧を-1.8Vから+ 1Vまで上昇させても、抵抗値は約300ωで一定 あった(S2)が、さらに電圧を+1.6Vまで上昇さ ると抵抗値は約100ωへと低下し(T2)、しばら 抵抗値がほぼ一定の状態となった(S1)。その さらに電圧を上昇させると、+1.7V付近で抵 値はほぼ初期値に近い約10000ωへと上昇した( T3)。その後は、電圧を+1.7Vから0Vまで低下さ ても、抵抗値は約10000ωで一定であった(S3)。

 以上のように、実施例3の不揮発性記憶素 子は、3つの安定状態を持つ事がわかる。す わち、+1.5Vと-1.5V付近の最も抵抗値の低い状 S1(約100ω)と、-1.8V付近から+1V付近の抵抗値 中間的な大きさである状態S2(約300ω)と、-0.9V から+1.7Vの最も抵抗値の高い状態S3(約10000ω) ある。状態がS1にあるときには、電圧が-1.5V り大きく+1.5Vより小さいときは抵抗値(抵抗 態)が変化しない。状態がS2にあるときには 電圧が+1Vより小さいときは抵抗値(抵抗状態 )が変化しない。状態がS3にあるときには、電 圧が約-1Vより大きいときは抵抗値(抵抗状態) 変化しない。実施例3の不揮発性記憶素子で は、これらの3つの安定状態を使って3値の情 を記憶する事が可能となる。

 [酸素含有率を利用した多値メモリの原理]
 図14に示すように、可変抵抗層を酸素不足 のTa酸化物で構成した場合、Ta酸化物中の酸 含有率が増加すれば不揮発性記憶素子の抵 値は高くなり、高抵抗状態及び低抵抗状態 抵抗値は高くなる傾向がある。すなわち、 素含有量が45atm%の酸素不足型のTa酸化物を った抵抗変化素子では、図14(b)に示すように 、低抵抗状態は約300ωで高抵抗状態は約1×10 4 ω程度である。しかし、酸素含有量が増加し 65atm%程度になると、図14(c)に示したように 低抵抗状態は3×10 4 ωであり、高抵抗状態は3×10 5 ωである。酸素含有量が65atm%の場合では、酸 含有量が45atm%の場合と比較して、抵抗値の 化量が約1桁から2桁程度高くなっている。

 本実施の形態の場合、第2の可変抵抗層115 は、第1の可変抵抗層114を酸化する事により 成したため、第2の可変抵抗層115の酸素濃度 高くなっている。そのため、上部電極側が 抵抗状態になったときの抵抗値は、下部電 側が高抵抗状態になったときの抵抗値に比 高くなる。すなわち、下部電極側の抵抗状 が変化する場合の抵抗値と電圧の関係は図3 (a)のようになっており、上部電極側の抵抗状 態が変化する場合の抵抗値と電圧の関係は図 3(b)のようになっている。そしてこれらを合 した結果、図13と図3(c)とは非常に類似した 状を有する。よって、第1実施形態と同様の 理で多値メモリを実現できる。

 (第3実施形態)
 第2実施形態では、下部電極側と上部電極側 とで可変抵抗層の材料を異ならせることによ り、不揮発性記憶素子を上下非対称に構成し たが、第3実施形態では、下部電極と上部電 とで可変抵抗層との接触面積を異ならせる とで、不揮発性記憶素子を上下非対称に構 する。

 [素子の構成]
 図18は、本発明の第3実施形態にかかる不揮 性記憶素子の断面の一例を示す模式図であ 。図18に示すように、本実施形態の不揮発 記憶素子150は、基板151と、基板151上に形成 れた酸化物層152と、酸化物層152上に形成さ た下部電極層153(第1電極)と、下部電極層153 上に形成された可変抵抗層154と、可変抵抗 154の上に形成された上部電極層155(第2電極) を備えている。可変抵抗層154は、酸素不足 の遷移金属酸化物(好ましくは酸素不足型のT a酸化物)を含んでいる。下部電極層153と上部 極層155とは同じ材料で構成してよい。可変 抗層154は下方から上方に向けて水平断面が さくなるようにテーパ状に形成されている 可変抵抗層154と下部電極層153との接触面積( 例えば1.5μm×1.5μm=2.25μm 2 )は、可変抵抗層154と上部電極層155との接触 積(例えば0.5μm×0.5μm=0.25μm 2 )よりも大きくなっている。

 可変抵抗層154は、電極間電圧に基づいて 逆的に抵抗値を変化させる。不揮発性記憶 子150にデータを書き込む場合は、外部の電 から、所定の条件を満たす電圧を下部電極 153と上部電極層155との間に印加する。電圧 与え方は、例えば電気的パルスとすること できる。不揮発性記憶素子150は、電気的パ スの電圧が同じであれば、該電気的パルス 何回印加しても抵抗値が変化しないという 性を有している。

 [素子の製造方法]
 不揮発性記憶素子110の製造方法は、基本的 は第1実施形態の不揮発性記憶素子100の製造 方法と同様であるので詳細な説明は省略する 。可変抵抗層154をテーパ状に形成するために は、レジスト155のエッジ部を鈍らせ、レジス ト155と可変抵抗層154のエッチング選択比が小 さくなるような条件でドライエッチング処理 をするような方法を用いれば良い。

 [電気的特性]
 図19は、本発明の第3実施形態にかかる不揮 性記憶素子の特性の一例を示す図であり、 19(a)は下部電極に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合において上部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図19(b)は下部電極に対して上部電極 電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合において下部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図19(c)は下部電極に対して上部電極 電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の不揮発性記 憶素子全体の抵抗値の変化を示す図である。 以下、不揮発性記憶素子150の電気特性を、図 19を参照しつつ説明する(実験例2および図20も 参照)。

 図19(a)の図中に矢印で示すように、上部電 側が低抵抗状態のままで変化しないものと 定すると、抵抗値がR AL (例えば、約200ω)のとき、電圧をV A4 からV A2 へと低下させても抵抗値はR AL のままで変化しない(SA1)。その後、電圧をさ にV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR AL からR AH (例えば、約1000ω)へと上昇する(TA1)。その後 電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR AH のままで変化しない(SA2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR AH からR AL へと低下する(TA2)。図19(a)では、高抵抗状態 なるのはマイナスの電圧を印加したとき(下 電極側が高電位となっているとき)であるか ら、実験例1の結果に照らせば、下部電極側 抵抗状態が変化していることになる。すな ち、SA1では下部電極側と上部電極側の両方 低抵抗状態にあり、SA2では下部電極側は高 抗状態にあり、上部電極側は低抵抗状態に る。

 一方、図19(b)の図中に矢印で示すように、 部電極側が低抵抗状態のままで変化しない のと仮定すると、抵抗値がR BL (例えば、約200ω)のとき、電圧をV B1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR BL のままで変化しない(SB1)。電圧をさらにV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR BL からR BH (例えば、約1000ω)へと上昇する(TB1)。その後 電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR BH のままで変化しない(SB2)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR BH からR BL へと低下する(TB2)。図19(b)では、高抵抗状態 なるのはプラスの電圧を印加したとき(上部 極側が高電位となっているとき)であるから 、実験例1の結果に照らせば、上部電極側で 抗状態が変化していることになる。すなわ 、SB1では下部電極側と上部電極側の両方が 抵抗状態にあり、SB2では下部電極側は低抵 状態にあり、上部電極側は高抵抗状態にあ 。

 ここで、|V A2 |>|V B1 |(すなわち、-V A2 >V B1 )、|V A3 |>|V B4 |(すなわち、-V A3 >V B4 )、R AL =R BL 、R AH =R BH である。すなわち、抵抗状態が変化するとき の電圧は下部電極側と上部電極側とで異なる が、抵抗値の変化幅は下部電極側と上部電極 側とで等しい。このような特性は、電極と可 変抵抗層との接触面積の違いにより生じる。

 図19(c)の図中に矢印で示すように、抵抗値 R L (=R AL =R BL )のとき、電圧をV B1 とV A2 との間で変化させても抵抗値はR L のままで変化しない(S1)。しかし、電圧をV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR L からR M (=R AH )へと上昇する(T1)。その後、電圧をV A1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR M のままで変化しない(S2)。その後、電圧をさ にV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR M からR H (=R AH +R BH )へと上昇する(T2)。その後、電圧をV B4 からV A3 を経てV A4 へと上昇させると抵抗値はR H からR M (=R BH )へと低下する(T3)。その後、電圧をV A4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR M のままで変化しない(S4)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR M からR L へと低下する(T4)。実験例1の結果および図19(a ),(b)に照らせば、S1では、下部電極側と上部 極側の両方が低抵抗状態にある。S2では、下 部電極側は高抵抗状態にあり、上部電極側は 低抵抗状態にある。S3では、下部電極側も上 電極側も高抵抗状態にある。S4では、下部 極側は低抵抗状態にあり、上部電極側が高 抗状態にある。図19(c)は、図19(a)と図19(b)と 合成したような特性を示す。R L <R M <R H であって、電極間電圧がV A2 <V C1 <V B1 となるV C1 (=V α )のときに抵抗値はR L またはR M となり、電極間電圧がV B2 <V β <V B3 となるV β のときに抵抗値はR M となり、電極間電圧がV B4 <V C2 <V A3 となるV C2 (=V γ )のときに抵抗値はR M またはR H となる。また、V A1 をV 1 、V A2 をV 2 、V C1 をV 3 、V B1 をV 4 、V B2 をV 5 、V B3 をV 6 、V B4 をV 7 、V C2 をV 8 、V A3 をV 9 、V A4 をV 10 としたときに、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 を満たす。本実施形態では、以上のような条 件を満たすように、下部電極側と上部電極側 とで可変抵抗層との接触面積を異ならせて、 不揮発性記憶素子が上下非対称に構成される 。

 なお、上部電極と下部電極とを反転させ もよい。この場合には、不揮発性記憶素子 図19(c)を左右反転させたような特性を有す ことになる。

 [不揮発性記憶素子100を3値メモリとして使 する方法]
 図19(c)において、電圧をV A1 よりも低くすれば、不揮発性記憶素子150は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S2の状態となり、抵抗値はR M となる。また、電圧をV A4 よりも高くすれば、不揮発性記憶素子150は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S4の状態となり、抵抗値はR M となる。S1の状態にするためには、S4の状態 あるときに電圧をV C1 (V A2 <V C1 <V B1 )とすればよい。S3の状態にするためには、S2 状態にあるときに電圧をV C2 (V B4 <V C2 <V A3 )とすればよい。かかる4つの状態(S1、S2、S3、 S4)は、電圧が所定の範囲で変化しても抵抗値 が変化しない状態(安定状態)である。すなわ 、S1の状態にある場合には、電圧がV A2 より大きくV B1 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S2の状態にある場合には、電圧がV B3 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S3の状態にある場合には、電圧がV B4 より大きくV A3 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S4の状態にある場合には、電圧がV B2 より大きい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。本実施形態では下部電極側と上部 電極側とで、電極材料および可変抵抗層の組 成が等しいため、S2とS4の状態は、抵抗値が ぼ等しくなる。したがって、安定状態の抵 値は3個存在する。これら3個の抵抗値を利用 すれば、不揮発性記憶素子100を、3値の読み きを安定して行うことができる不揮発性記 素子として使用できる。

 本実施形態でも、第1実施形態や第2実施 態と同様の変形例が可能である。

 [実験例2]
 実験例2では、図2に示したような構成の不 発性記憶素子を、可変抵抗層と上部電極と 接触面積を変えて、2種類形成した。製造方 は、電極材料が上部電極と下部電極とで等 い(Pt)ことを除けば実施例1と同様であるの 詳細な説明を省略する。可変抵抗層と上部 極との接触面積は、1個目では0.5μm×0.5μm=0.25 μm 2 とし、2個目では1.5μm×1.5μm=2.25μm 2 とした。

 図20は、本発明の実験例2の不揮発性記憶素 の特性を示す図であり、図20(a)は可変抵抗 と上部電極との接触面積が0.25μm 2 の不揮発性記憶素子について下部電極に対し て上部電極の電圧を-1.4Vから+1.4Vの間で連続 に変化させた場合の抵抗値の変化を示す図 あり、図20(b)は可変抵抗層と上部電極との接 触面積が1.25μm 2 の不揮発性記憶素子について下部電極に対し て上部電極の電圧を-2Vから+3Vの間で連続的に 変化させた場合の抵抗値の変化を示す図であ る。電圧の印加方法は実施例1と同様とした いずれも、プラスの電圧で高抵抗状態へ変 する場合(上部電極側の抵抗状態が変化する 合)を示す。

 図20に示すように、接触面積が異なると 抵抗状態が変化する電圧域が異なることが かった。すなわち、図20(a)のように接触面積 が小さい場合には、-0.8Vと+1.3V程度で抵抗値 変化したのに対し、図21(b)のように接触面積 が大きい場合には、-1V程度で抵抗値が低下し 、+2V程度で抵抗値が上昇した。本実験の結果 から、接触面積が大きいほど、抵抗状態が変 化する電圧の絶対値が大きくなる傾向がある ことが分かる。かかる性質を利用すれば、下 部電極側と上部電極側とで電極と可変抵抗層 との接触面積を異ならせることで、図19(c)の うな特性を実現し、多値メモリを実現でき 。

 (第4実施形態)
 第1実施形態乃至第3実施形態では、電極材 や可変抵抗層の組成や接触面積を下部電極 と上部電極側とで異ならせることで、不揮 性記憶素子を上下非対称に構成したが、第4 施形態では、これらを組み合わせることで4 個の安定状態を利用可能にし、4値メモリを 現する。

 [素子の構成]
 図21は、本発明の第4実施形態にかかる不揮 性記憶素子の断面の一例を示す模式図であ 。図18に示すように、本実施形態の不揮発 記憶素子170は、基板171と、基板171上に形成 れた酸化物層172と、酸化物層172上に形成さ た下部電極層173(第1電極)と、下部電極層173 上に形成された可変抵抗層174と、可変抵抗 174の上に形成された上部電極層175(第2電極) を備えている。可変抵抗層174は、酸素不足 の遷移金属酸化物(好ましくは酸素不足型のT a酸化物)を含んでいる。

 本実施形態では、下部電極層173と上部電 層175とは異なる材料で構成する。例えば、 部電極層173を高抵抗状態の抵抗値と低抵抗 態の抵抗値との差が小さい電極材料(例えば 、W、Ni、TaN等)で形成し、上部電極層175を高 抗状態の抵抗値と低抵抗状態の抵抗値との が大きい電極材料(例えば、Pt、Ir、Ag、Cu等) 形成すると好適である。

 可変抵抗層174は下方から上方に向けて水平 面が小さくなるようにテーパ状に形成され いる。可変抵抗層174と下部電極層173との接 面積(例えば1.5μm×1.5μm=2.25μm 2 )は、可変抵抗層174と上部電極層175との接触 積(例えば0.5μm×0.5μm=0.25μm 2 )よりも大きくなっている。かかる構成によ 、下部電極側の抵抗状態が変化する時の電 の絶対値は、上部電極側の抵抗状態が変化 る時の電圧の絶対値よりも大きくなる。

 可変抵抗層174は、電極間電圧に基づいて 逆的に抵抗値を変化させる。不揮発性記憶 子170にデータを書き込む場合は、外部の電 から、所定の条件を満たす電圧を下部電極 173と上部電極層175との間に印加する。電圧 与え方は、例えば電気的パルスとすること できる。不揮発性記憶素子170は、電気的パ スの電圧が同じであれば、該電気的パルス 何回印加しても抵抗値が変化しないという 性を有している。

 [素子の製造方法]
 不揮発性記憶素子170の製造方法は、電極材 を下部電極側と上部電極側とで異ならせる とを除けば、第3実施形態の不揮発性記憶素 子100の製造方法と同様である。よって、詳細 な説明は省略する。

 [電気的特性]
 図22は、本発明の第4実施形態にかかる不揮 性記憶素子の特性の一例を示す図であり、 22(a)は下部電極に対して上部電極の電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合において上部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図22(b)は下部電極に対して上部電極 電圧をV B1 からV B4 の間で連続的に変化させた場合において下部 電極側が低抵抗状態のままで変化しないもの と仮定したときの抵抗値の変化を示す概念図 であり、図22(c)は下部電極に対して上部電極 電圧をV A1 からV A4 の間で連続的に変化させた場合の不揮発性記 憶素子全体の抵抗値の変化を示す図である。 以下、不揮発性記憶素子150の電気特性を、図 22を参照しつつ説明する。

 図22(a)の図中に矢印で示すように、上部電 側が低抵抗状態のままで変化しないものと 定すると、抵抗値がR AL のとき、電圧をV A4 からV A2 へと低下させても抵抗値はR AL のままで変化しない(SA1)。その後、電圧をさ にV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR AL からR AH へと上昇する(TA1)。その後、電圧をV A1 からV A3 へと上昇させても抵抗値はR AH のままで変化しない(SA2)。その後、電圧をさ にV A3 からV A4 へと上昇させると抵抗値はR AH からR AL へと低下する(TA2)。図22(a)では、高抵抗状態 なるのはマイナスの電圧を印加したとき(下 電極側が高電位となっているとき)であるか ら、実験例1の結果に照らせば、下部電極側 抵抗状態が変化していることになる。すな ち、SA1では下部電極側と上部電極側の両方 低抵抗状態にあり、SA2では下部電極側は高 抗状態にあり、上部電極側は低抵抗状態に る。

 一方、図22(b)の図中に矢印で示すように、 部電極側が低抵抗状態のままで変化しない のと仮定すると、抵抗値がR BL のとき、電圧をV B1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR BL のままで変化しない(SB1)。電圧をさらにV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR BL からR BH へと上昇する(TB1)。その後、電圧をV B4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR BH のままで変化しない(SB2)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR BH からR BL へと低下する(TB2)。図22(b)では、高抵抗状態 なるのはプラスの電圧を印加したとき(上部 極側が高電位となっているとき)であるから 、実験例1の結果に照らせば、上部電極側で 抗状態が変化していることになる。すなわ 、SB1では下部電極側と上部電極側の両方が 抵抗状態にあり、SB2では下部電極側は低抵 状態にあり、上部電極側は高抵抗状態にあ 。

 ここで、|V A2 |>|V B1 |(すなわち、-V A2 >V B1 )、|V A3 |>|V B4 |(すなわち、-V A3 >V B4 )、R AL =R BL 、R AH <R BH である。すなわち、抵抗状態が変化するとき の電圧は下部電極側と上部電極側とで異なり 、抵抗値の変化幅も下部電極側と上部電極側 とで異なる。このような特性は、電極材料の 違いおよび電極と可変抵抗層との接触面積の 違いにより生じる。

 図22(c)の図中に矢印で示すように、抵抗値 R L (=R AL =R BL )のとき、電圧をV B1 とV A2 との間で変化させても抵抗値はR L のままで変化しない(S1)。しかし、電圧をV A2 からV A1 へと低下させると抵抗値はR L からR M1 (=R AH )へと上昇する(T1)。その後、電圧をV A1 からV B3 へと上昇させても抵抗値はR M1 のままで変化しない(S2)。その後、電圧をさ にV B3 からV B4 へと上昇させると抵抗値はR M1 からR H (=R AH +R BH )へと上昇する(T2)。その後、電圧をV B4 からV A3 を経てV A4 へと上昇させると抵抗値はR H からR M2 へと低下する(T3)。その後、電圧をV A4 からV B2 へと低下させても抵抗値はR M2 のままで変化しない(S4)。その後、電圧をさ にV B2 からV B1 へと低下させると抵抗値はR M2 からR L へと低下する(T4)。実験例1の結果および図22(a ),(b)に照らせば、S1では、下部電極側と上部 極側の両方が低抵抗状態にある。S2では、下 部電極側は高抵抗状態にあり、上部電極側は 低抵抗状態にある。S3では、下部電極側も上 電極側も高抵抗状態にある。S4では、下部 極側は低抵抗状態にあり、上部電極側が高 抗状態にある。図22(c)は、図22(a)と図22(b)と 合成したような特性を示す。R L <R M1 <R M2 <R H であって、電極間電圧がV A2 <V C1 <V B1 となるV C1 (=V α )のときに抵抗値はR L またはR M1 となり、電極間電圧がV B2 <V β <V B3 となるV β のときに抵抗値はR M1 またはR M2 となり、電極間電圧がV B4 <V C2 <V A3 となるV C2 (=V γ )のときに抵抗値はR M2 またはR H となる。また、V A1 をV 1 、V A2 をV 2 、V C1 をV 3 、V B1 をV 4 、V B2 をV 5 、V B3 をV 6 、V B4 をV 7 、V C2 をV 8 、V A3 をV 9 、V A4 をV 10 としたときに、V 1 <V 2 <V 3 <V 4 <V 5 <0<V 6 <V 7 <V 8 <V 9 <V 10 を満たす。

 なお、上部電極と下部電極とを反転させ もよい。この場合には、不揮発性記憶素子 図22(c)を左右反転させたような特性を有す ことになる。

 [不揮発性記憶素子100を4値メモリとして使 する方法]
 図22(c)において、電圧をV A1 よりも低くすれば、不揮発性記憶素子170は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S2の状態となり、抵抗値はR M1 となる。また、電圧をV A4 よりも高くすれば、不揮発性記憶素子170は、 もともとどのような抵抗状態にあったとして も、S4の状態となり、抵抗値はR M2 となる。S1の状態にするためには、S4の状態 あるときに電圧をV C1 (V A2 <V C1 <V B1 )とすればよい。S3の状態にするためには、S2 状態にあるときに電圧をV C2 (V B4 <V C2 <V A3 )とすればよい。かかる4つの状態(S1、S2、S3、 S4)は、電圧が所定の範囲で変化しても抵抗値 が変化しない状態(安定状態)である。すなわ 、S1の状態にある場合には、電圧がV A2 より大きくV B1 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S2の状態にある場合には、電圧がV B3 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S3の状態にある場合には、電圧がV B4 より大きくV A3 より小さい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。S4の状態にある場合には、電圧がV B2 より大きい範囲にあれば抵抗値がほとんど変 化しない。本実施形態では下部電極側と上部 電極側とで電極材料が異なるため、S2とS4の 態は抵抗値が異なる。したがって、安定状 の抵抗値は4個存在する。これら4個の抵抗値 を利用すれば、不揮発性記憶素子170を、4値 読み書きを安定して行うことができる不揮 性記憶素子として使用できる。

 本実施形態でも、第1実施形態や第2実施 態と同様の変形例が可能である。

 [変形例]
 図23は、本発明の第4実施形態の変形例にか る不揮発性記憶素子の断面の一例を示す模 図である。図23に示すように、本実施形態 不揮発性記憶素子180は、基板181と、基板181 に形成された酸化物層182と、酸化物層182上 形成された下部電極層183(第1電極)と、下部 極層183の上に形成された第1の可変抵抗層184 、第1の可変抵抗層184の上に形成された第2 可変抵抗層185と、第2の可変抵抗層185の上に 成された上部電極層175(第2電極)とを備えて る。

 本変形例では、下部電極層183と第1の可変 抵抗層184とは直接接触しており、第1の可変 抗層184と第2の可変抵抗層185とは直接接触し おり、第2の可変抵抗層185と上部電極層175と は直接接触している。しかし、それぞれの間 に別の層が介在していてもよい。

 本実施形態では、下部電極層183と上部電 層186とは同一の電極材料で構成されうる。

 第1の可変抵抗層184および第2の可変抵抗 185は、酸素不足型の遷移金属酸化物(好まし は酸素不足型のTa酸化物)を含んでおり、第2 の可変抵抗層185の方が第1の可変抵抗層184よ も酸素含有率が高くなっている。かかる構 により、下部電極側の抵抗状態が変化する の抵抗値の変化量は、上部電極側の抵抗状 が変化する時の抵抗値の変化量よりも小さ なる。可変抵抗層の酸素含有率を制御する 法は、第2実施形態と同様の方法を用いるこ ができる。

 第1の可変抵抗層184および第2の可変抵抗層18 5は下方から上方に向けて水平断面が小さく るようにテーパ状に形成されている。第1の 変抵抗層184と下部電極層183との接触面積(例 えば1.5μm×1.5μm=2.25μm 2 )は、第2の可変抵抗層185と上部電極層186との 触面積(例えば0.5μm×0.5μm=0.25μm 2 )よりも大きくなっている。かかる構成によ 、下部電極側の抵抗状態が変化する時の電 の絶対値は、上部電極側の抵抗状態が変化 る時の電圧の絶対値よりも大きくなる。可 抵抗層をテーパ状に形成する方法は、第3実 形態と同様の方法を用いることができる。

 抵抗状態が変化する時の電圧と、抵抗値 変化量とを、下部電極側と上部電極側とで いに異ならせることにより、不揮発性記憶 子180は図22(c)と同様の特性を有することに る。よって、4個の安定状態を利用して4値の 読み書きを安定して行うことができる。

 なお、本変形例において、下部電極層183 上部電極層186とを異なる電極材料で構成し もよい。

 (第5実施形態)
 上述した第1実施形態乃至第4実施形態にか る不揮発性記憶素子は、種々の形態の不揮 性半導体装置へ適用することが可能である 第5実施形態にかかる半導体装置は、第1実施 形態にかかる不揮発性記憶素子を備える不揮 発性記憶装置であって、ワード線とビット線 との交点(立体交差点)にアクティブ層を介在 せた、いわゆるクロスポイント型のもので る。

 [第5実施形態にかかる半導体装置の構成]
 図24は、本発明の第5実施形態にかかる不揮 性記憶装置の構成を示すブロック図である また、図25は、図24におけるA部の構成(4セル 分の構成)を示す斜視図である。

 図24に示すように、本実施の形態にかか 不揮発性記憶装置200は、半導体基板上に、 モリ本体部201を備えており、このメモリ本 部201は、メモリアレイ202と、行選択回路/ド イバ203と、列選択回路/ドライバ204と、情報 の書き込みを行うための書き込み回路205と、 選択ビット線に流れる電流量を検出し、デー タ「2」、「1」または「0」と判定するセンス アンプ206と、端子DQを介して入出力データの 出力処理を行うデータ入出力回路207とを具 している。また、不揮発性記憶装置200は、 部から入力されるアドレス信号を受け取る ドレス入力回路208と、外部から入力される ントロール信号に基づいて、メモリ本体部2 01の動作を制御する制御回路209とをさらに備 ている。

 メモリアレイ202は、図24および図25に示す ように、半導体基板の上に、該半導体基板の 主面に平行な平面(第1の平面)内において互い に平行に形成された複数(m本:mは自然数)のワ ド線WL1,WL2,WL3,…,WLm(第1電極配線:以下、「ワ ード線WL1~WLm」と表す)と、これらの複数のワ ド線WL1~WLmの上方にその半導体基板の主面に 平行な平面(第2の平面)内において互いに平行 に、しかも複数のワード線WL1~WLmに立体交差 るように形成された複数(n本:nは自然数)のビ ット線BL1,BL2,BL3,…,BLn(第2電極配線:以下、「 ット線BL1~BLn」と表す)とを備えている。

 また、これらの複数のワード線WL1~WLmと複数 のビット線BL1~BLnとの立体交差点に対応してm n列のマトリクス状に設けられた複数のメモ リセルM1 11 ,M1 12 ,M1 13 ,…,M1 1n ,M1 21 ,M1 22 ,M1 23 ,…,M1 2n ,M1 31 ,M1 32 ,M1 33 ,…,M1 3n ,…,M1 mn (以下、「メモリセルM1 11 ~M1 mn 」と表す)が設けられている。添え字は、そ ぞれのメモリセルの位置を示す。すなわち M1 xy と表した時、xはそのメモリセルが属する行 番号を示し、yはそのメモリセルが属する列 番号を示す。

 ここで、メモリセルM1 11 ~M1 mn は、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子 相当し、タンタル酸化物を含む可変抵抗層 有している。該不揮発性記憶素子は、対応 るワード線とビット線との間に印加される 圧(電極配線間電圧)に応じて、対応するワー ド線とビット線との間の抵抗値(電極配線間 抗値)を変化させる。電極配線間電圧は第1実 施形態乃至第4実施形態の電極間電圧に相当 る。電極配線間抵抗値は第1実施形態乃至第4 実施形態の電極間抵抗値に相当する。該不揮 発性記憶素子は、第1実施形態乃至第4実施形 と同様の構成であって、3つもしくは4つの 定状態を持ち、3値もしくは4値メモリとして 機能する。なお、電極配線と可変抵抗層との 間に別個の電極が配設されるか否かは任意で ある別個の電極が配設されない場合には、電 極配線そのものが電極として機能する。ただ し、本実施形態において、これらのメモリセ ルM1 11 ~M1 mn は、後述するように、電流抑制素子を備えて いる。

 なお、図24におけるメモリセルM1 11 ~M1 mn は、図25において符号M1 xy で示されている。

 アドレス入力回路208は、外部回路(図示せず )からアドレス信号を受け取り、このアドレ 信号に基づいて行アドレス信号を行選択回 /ドライバ203へ出力するとともに、列アドレ 信号を列選択回路/ドライバ204へ出力する。 ここで、アドレス信号は、複数のメモリセル M1 11 ~M1 mn のうちの選択される特定のメモリセルのアド レスを示す信号である。また、行アドレス信 号は、アドレス信号に示されたアドレスのう ちの行のアドレスを示す信号であり、列アド レス信号は、アドレス信号に示されたアドレ スのうちの列のアドレスを示す信号である。

 制御回路209は、情報の書き込みサイクル おいては、データ入出力回路207に入力され 入力データDinに応じて、書き込み用電圧の 加を指示する書き込み信号を書き込み回路2 05へ出力する。他方、情報の読み出しサイク において、制御回路209は、読み出し用電圧 印加を指示する読み出し信号を列選択回路/ ドライバ204へ出力する。

 行選択回路/ドライバ203は、アドレス入力 回路208から出力された行アドレス信号を受け 取り、この行アドレス信号に応じて、複数の ワード線WL1~WLmのうちの何れかを選択し、そ 選択されたワード線に対して、所定の電圧 印加する。

 また、列選択回路/ドライバ204は、アドレ ス入力回路208から出力された列アドレス信号 を受け取り、この列アドレス信号に応じて、 複数のビット線BL1~BLnのうちの何れかを選択 、その選択されたビット線に対して、書き み用電圧または読み出し用電圧を印加する

 書き込み回路205は、制御回路209から出力 れた書き込み信号を受け取った場合、行選 回路/ドライバ203に対して選択されたワード 線に対する電圧の印加を指示する信号を出力 するとともに、列選択回路/ドライバ204に対 て選択されたビット線に対して書き込み用 圧の印加を指示する信号を出力する。

 また、センスアンプ206は、情報の読み出 サイクルにおいて、読み出し対象となる選 ビット線に流れる電流量を検出し、データ 2」、「1」または「0」と判定する。その結 得られた出力データDOは、データ入出力回 207を介して、外部回路へ出力される。

 [第5実施形態にかかる不揮発性記憶装置が える不揮発性記憶素子の構成]
 図26は、本発明の第5実施形態にかかる不揮 性記憶装置が備える不揮発性記憶素子の構 を示す断面図である。なお、図26では、図25 のB部における構成が示されている。

 図26に示すように、本実施の形態にかかる 揮発性記憶装置が備える不揮発性記憶素子M1 xy は、銅配線である下部配線212(図25におけるワ ード線WL1に相当する)と同じく上部配線211(図2 5におけるビット線BL1に相当する)との間に介 しており、下部電極217と、電流抑制素子216 、内部電極215と、可変抵抗層214と、上部電 213とがこの順に積層されて構成されている

 ここで、内部電極215、可変抵抗層214、お び上部電極213は、図2、16、18、21、23に示し 第1乃至4の実施形態にかかる不揮発性記憶 子における下部電極層、可変抵抗層、およ 上部電極層にそれぞれ相当する。したがっ 、可変抵抗層214は、第1乃至4の実施形態と同 様な方法で形成されうる。

 電流抑制素子216は、TaNである内部電極215 介して、可変抵抗層214と直列接続されてお 、電流抑制素子216と可変抵抗層214とは電気 に接続されている。この電流抑制素子216は MIM(Metal-Insulator-Metal;金属-絶縁体-金属の意味 )ダイオード又はMSM(Metal-Semiconductor-Metal;金属- 導体-金属の意味)ダイオードに代表される 子であり、電圧に対して非線形な電流特性 示すものである。また、この電流抑制素子21 6は、電圧に対して双方向性の電流特性を有 ており、所定の閾値電圧Vf(一方の電極を基 にして例えば+1V以上または-1V以下)で導通す ように構成されている。

 なお、タンタルおよびその酸化物は、半 体プロセスに一般的に用いられている材料 あり、非常に親和性が高いといえる。その め、既存の半導体製造プロセスに容易に組 入れることが可能である。

 [第5実施形態にかかる不揮発性記憶装置が える不揮発性記憶素子の変形例の構成]
 本実施の形態にかかる不揮発性記憶装置が える不揮発性記憶素子の構成は、図26に示 たものに限られるわけではなく、以下に示 ような構成であってもよい。

 図27(a)から(d)は、本発明の第5実施形態に かる不揮発性記憶装置が備える不揮発性記 素子の変形例の構成を示す断面図である。

 図27(a)には、図26に示す構成と異なり、下 部電極を備えていない構成が示されている。 他方、図示はしないが、上部電極を備えてい ない構成も考えられる。

 図27(b)には、図26に示す構成と異なり、内 部電極および電流抑制素子を備えていない構 成が示されており、図27(c)には、さらに上部 極および下部電極を備えていない構成が示 れている。

 また、図27(d)には、図26に示す構成と異な り、内部電極を備えず、その代わりにオーミ ック抵抗層218を備える構成が示されいる。

 なお、以上に示した変形例において、上 電極を備えていない場合は上部配線211が不 発性記憶素子の上部電極として機能し、ま 、下部電極を備えていない場合は下部配線2 12が不揮発性記憶素子の下部電極として機能 ることになる。

 ここで、可変抵抗層214の上下を構成する 層が図2、16、18、21、23に示した第1乃至4の 施形態にかかる不揮発性記憶素子における 部電極層、可変抵抗層、および上部電極層 それぞれ相当する。例えば図27(c)では、上部 配線211と下部配線212が不揮発性記憶素子の上 部電極層と下部電極層に相当する。また、図 27(d)ではオーミック抵抗層218が不揮発性記憶 子の下部電極層に相当する。

 また、メモリセルの数が比較的少ない場 、選択されないメモリセルへの回り込み電 が少なくなる。このような場合、上述した うな電流抑制素子を備えない構成とするこ が考えられる。

 以上のように、本実施の形態にかかる不 発性記憶装置が備える不揮発性記憶素子に いては、種々の構成が考えられる。

 [多層化構造の不揮発性記憶装置の構成例]
 図24および図25に示した本実施の形態にかか る不揮発性記憶装置におけるメモリアレイを 、3次元に積み重ねることによって、多層化 造の不揮発性記憶装置を実現することがで る。

 図28は、本発明の多層化構造の不揮発性記 装置が備えるメモリアレイの構成を示す斜 図である。図28に示すように、この不揮発性 記憶装置は、図示しない半導体基板の上に互 いに平行に形成された複数の下部配線212と、 これらの複数の下部配線212の上方にその半導 体基板の主面に平行な面内において互いに平 行に、しかも複数の下部配線212に立体交差す るように形成された複数の上部配線211と、こ れらの複数の下部配線212と複数の上部配線211 との立体交差点に対応してマトリクス状に設 けられた複数のメモリセルM1 xy とを備えるメモリアレイが、複数積層されて なる多層化メモリアレイを備えている。

 なお、図28に示す例では、配線層が5層で り、その立体交差点に配される不揮発性記 素子が4層の構成となっているが、必要に応 じてこれらの層数を増減してもよいことは勿 論である。

 このように構成された多層化メモリアレ を設けることによって、超大容量不揮発性 モリを実現することが可能となる。

 なお、本発明における可変抵抗層は低温 成膜することが可能である。したがって、 実施の形態で示すような配線工程での積層 を行う場合であっても、下層工程で形成さ たトランジスタおよびシリサイドなどの配 材料に影響を与えることがないため、多層 メモリアレイを容易に実現することができ 。すなわち、本発明のタンタル酸化物を含 可変抵抗層を用いることによって、多層化 造の不揮発性記憶装置を容易に実現するこ が可能となる。

 本実施の形態においては、半導体基板上 集積したクロスポイント構造のみについて 明している。しかしながら、このような半 体基板上ではなく、プラスチック基板など より安価な基板上にクロスポイント構造を 成し、バンプ等の組み立て工法で積層化し メモリ装置に適用するようにしてもよい。

 (第6実施形態)
 第6実施形態にかかる不揮発性記憶装置は、 第1乃至第4実施形態にかかる不揮発性記憶素 を備える不揮発性記憶装置であって、1トラ ンジスタ/1不揮発性記憶部のものである。

 [第6実施形態にかかる不揮発性記憶装置の 成]
 図29は、本発明の第6実施形態にかかる不揮 性記憶装置の構成を示すブロック図である また、図30は、図29におけるC部の構成(2セル 分の構成)を示す断面図である。

 図29に示すように、本実施の形態にかか 不揮発性記憶装置300は、半導体基板上に、 モリ本体部301を備えており、このメモリ本 部301は、メモリアレイ302と、行選択回路/ド イバ303と、列選択回路304と、情報の書き込 を行うための書き込み回路305と、選択ビッ 線に流れる電流量を検出し、データ「2」、 「1」または「0」と判定するセンスアンプ306 、端子DQを介して入出力データの入出力処 を行うデータ入出力回路307とを具備してい 。また、不揮発性記憶装置300は、セルプレ ト電源(VCP電源)308と、外部から入力されるア ドレス信号を受け取るアドレス入力回路309と 、外部から入力されるコントロール信号に基 づいて、メモリ本体部301の動作を制御する制 御回路310とをさらに備えている。

 メモリアレイ302は、半導体基板の上に、該 導体基板の主面に平行な平面(第1の平面)内 おいて互いに平行に形成された複数(m本:mは 自然数)のワード線WL1,WL2,WL3,…,WLm(第1電極配 :以下、「ワード線WL1~WLm」と表す)と、これ の複数のワード線WL1~WLmの上方にその半導体 板の主面に平行な平面(第2の平面)内におい 互いに平行に、しかも複数のワード線WL1~WLm に立体交差するように形成された複数(n本:n 自然数)のビット線BL1,BL2,BL3,…,BLn(第2電極配 :以下、「ビット線BL1~BLn」と表す)と、これ のワード線WL1~WLmおよびビット線BL1~BLnの交 (m行n列のマトリクス)に対応してそれぞれ設 られた複数のトランジスタT 11 ,T 12 ,T 13 ,…,T 1n ,T 21 ,T 22 ,T 23 ,…,T 2n ,T 31 ,T 32 ,T 33 ,…,T 3n ,…,T mn (以下、「トランジスタT 11 ~T mn 」と表す)と、トランジスタT 11 ~T mn と1対1に設けられた複数のメモリセルM2 11 、M2 12 ,M2 13 ,…,M2 1n ,M2 21 ,M2 22 ,M2 23 ,…,M2 2n ,M2 31 ,M2 32 ,M2 33 ,…,M2 3n ,…,M2 mn (以下、「メモリセルM2 11 ~M2 mn 」と表す)とを備えている。添え字は、それ れのとトランジスタやメモリセルの位置を す。すなわち、T xy やM2 xy と表した時、xはそのメモリセルが属する行 番号を示し、yはそのメモリセルが属する列 番号を示す。

 また、メモリアレイ302は、ワード線WL1~WLm に平行して配列されている複数(m本)のプレー ト線PL1,PL2,PL3,…,PLm(以下、「PL1~PLm」と表す) 備えている。

 図30に示すように、ワード線WL1,WL2の上方 ビット線BL1が配され、そのワード線WL1,WL2と ビット線BL1との間に、プレート線PL1,PL2が配 れている。

 ここで、メモリセルM2 11 ~M2 mn は、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子 相当し、タンタル酸化物を含む可変抵抗層 有している。より具体的には、図30における 不揮発性記憶素子M2 xy が、図29におけるメモリセルM2 11 ~M2 mn に相当し、この不揮発性記憶素子M2 xy は、上部電極314、タンタル酸化物を含む可変 抵抗層315、および下部電極316から構成されて いる。

 なお、図30における317はプラグ層を、318 金属配線層を、319はソース/ドレイン領域を れぞれ示している。

 図29に示すように、トランジスタT 11 ,T 21 ,T 31 ,…,T m1 のドレインはビット線BL1に、トランジスタT 12 ,T 22 ,T 32 ,…,T m2 のドレインはビット線BL2に、トランジスタT 13 ,T 23 ,T 33 ,…,T m3 のドレインはビット線BL3に、それぞれ接続さ れている。

 また、トランジスタT 11 ,T 12 ,T 13 ,…,T 1n のゲートはワード線WL1に、トランジスタT 21 ,T 22 ,T 23 ,…,T 2n のゲートはワード線WL2に、トランジスタT 31 ,T 32 ,T 33 ,…,T 3n のゲートはワード線WL3に、それぞれ接続され ている。

 さらに、トランジスタT 11 ~T mn のソースはそれぞれ、メモリセルM2 11 ~M2 mn と接続されている。

 また、メモリセルM2 11 ,M2 12 ,M2 13 ,…,M2 1n はプレート線PL1に、メモリセルM2 21 ,M2 22 ,M2 23 ,…,M2 2n はプレート線PL2に、メモリセルM2 31 ,M2 32 ,M2 33 ,…,M2 3n はプレート線PL3に、それぞれ接続されている 。

 アドレス入力回路309は、外部回路(図示せず )からアドレス信号を受け取り、このアドレ 信号に基づいて行アドレス信号を行選択回 /ドライバ303へ出力するとともに、列アドレ 信号を列選択回路304へ出力する。ここで、 ドレス信号は、複数のメモリセルM2 11 ~M2 mn のうちの選択される特定のメモリセルのアド レスを示す信号である。また、行アドレス信 号は、アドレス信号に示されたアドレスのう ちの行のアドレスを示す信号であり、列アド レス信号は、アドレス信号に示されたアドレ スのうちの列のアドレスを示す信号である。

 制御回路310は、情報の書き込みサイクル おいては、データ入出力回路307に入力され 入力データDinに応じて、書き込み用電圧の 加を指示する書き込み信号を書き込み回路3 05へ出力する。他方、情報の読み出しサイク において、制御回路310は、読み出し用電圧 印加を指示する読み出し信号を列選択回路3 04へ出力する。

 行選択回路/ドライバ303は、アドレス入力 回路309から出力された行アドレス信号を受け 取り、この行アドレス信号に応じて、複数の ワード線WL1~WLmのうちの何れかを選択し、そ 選択されたワード線に対して、所定の電圧 印加する。

 また、列選択回路304は、アドレス入力回 309から出力された列アドレス信号を受け取 、この列アドレス信号に応じて、複数のビ ト線BL1~BLnのうちの何れかを選択し、その選 択されたビット線に対して、書き込み用電圧 または読み出し用電圧を印加する。

 書き込み回路305は、制御回路310から出力 れた書き込み信号を受け取った場合、列選 回路304に対して選択されたビット線に対し 書き込み用電圧の印加を指示する信号を出 する。

 また、センスアンプ306は、情報の読み出 サイクルにおいて、読み出し対象となる選 ビット線に流れる電流量を検出し、データ 2」、「1」または「0」と判定する。その結 得られた出力データDOは、データ入出力回 307を介して、外部回路へ出力される。

 なお、1トランジスタ/1不揮発性記憶部の 成である第6実施形態の場合、第5実施形態 クロスポイント型の構成と比べて記憶容量 小さくなる。しかしながら、ダイオードの うな電流抑制素子が不要であるため、CMOSプ セスに容易に組み合わせることができ、ま 、動作の制御も容易であるという利点があ 。

 また、第5実施形態の場合と同様に、本発 明における可変抵抗層は低温で成膜すること が可能であることから、本実施の形態で示す ような配線工程での積層化を行う場合であっ ても、下層工程で形成されたトランジスタお よびシリサイドなどの配線材料に影響を与え ることがないという利点がある。

 さらに、第5実施形態の場合と同様に、タ ンタルおよびその酸化物の成膜は、既存の半 導体製造プロセスに容易に組み入れることが 可能であるため、本実施の形態にかかる不揮 発性記憶装置を容易に製造することができる 。

 (第7実施形態)
 第7実施形態にかかる不揮発性半導体装置は 、プログラム機能を有する第1乃至第4実施形 にかかる不揮発性記憶素子を備える不揮発 半導体装置であって、所定の演算を実行す 論理回路を備えるものである。

 [不揮発性半導体装置の構成]
 図31は、本発明の第7実施形態にかかる不揮 性半導体装置の構成を示すブロック図であ 。

 図31に示すように、本実施の形態にかか 不揮発性半導体装置400は、半導体基板401上 、CPU402と、外部回路との間でデータの入出 処理を行う入出力回路403と、所定の演算を 行する論理回路404と、アナログ信号を処理 るアナログ回路405と、自己診断を行うため BIST(Built In Self Test)回路406と、SRAM407と、こ らBIST回路406およびSRAM407と接続され、特定 アドレス情報を格納するための救済アドレ 格納レジスタ408とを備えている。

 図32は、本発明の第7実施形態にかかる不 発性半導体装置が備える救済アドレス格納 ジスタの構成を示すブロック図である。ま 、図33は、同じく救済アドレス格納レジス の構成を示す断面図である。

 図32および図33に示すように、救済アドレ ス格納レジスタ408は、第1実施形態にかかる 揮発性記憶素子に相当する不揮発性記憶素 409と、その不揮発性記憶素子409に対して特 のアドレス情報を書き込むための書き込み 路410と、不揮発性記憶素子409に書き込まれ いるアドレス情報を読み出すための読み出 回路411と、ラッチ回路412とを備えている。

 不揮発性記憶素子409は、書込み回路側410 の切替え部と読出し回路411側への切替え部 接続されており、可変抵抗層421を、上部電 422と下部電極423とで挟むようにして構成さ ている。ここで、この不揮発性記憶素子409 、第1実施形態にかかる不揮発性記憶素子に 相当する。

 なお、図33において、424はプラグ層を、42 5は金属配線層を、426はソース/ドレイン層を れぞれ示している。

 本実施の形態では、2層配線で、第1配線 第2配線との間に不揮発性記憶素子を設ける 成を示しているが、例えば、3層以上の多層 配線とした上で、任意の配線間へ不揮発性記 憶素子を配置したり、または、必要に応じて 複数の配線間に配置したりするようにしても よい。

 [不揮発性半導体装置の動作例]
 次に、上述したように構成される本実施の 態にかかる不揮発性半導体装置の動作例に いて説明する。

 以下、救済アドレス格納レジスタ408に対 てアドレス情報の書き込みを行う場合につ て説明する。BIST回路406は、診断指示信号TST を受け取った場合、SRAM407のメモリブロック 検査を実行する。

 なお、このメモリブロックの検査は、LSI 製造過程における検査の際、およびLSIが実 のシステムに搭載された場合における各種 診断実行の際などに行われる。

 メモリブロックの検査の結果、不良セル 検出された場合、BIST回路406は、書き込みデ ータ指示信号WDを救済アドレス格納レジスタ4 08へ出力する。この書き込みデータ指示信号W Dを受け取った救済アドレス格納レジスタ408 、対応する不良セルのアドレス情報を救済 ドレス格納レジスタに格納する。

 このアドレス情報の格納は、そのアドレ 情報に応じて、該当するレジスタが備える 変抵抗層の抵抗状態を高抵抗化または低抵 化することによって行われる。可変抵抗層 高抵抗化または低抵抗化は、第1実施形態の 場合と同様にして実現される。

 このようにして、救済アドレス格納レジ タ408に対するアドレス情報の書き込みが行 れる。そして、SRAM407がアクセスされる場合 、それと同時に救済アドレス格納レジスタ408 に書き込まれているアドレス情報が読み出さ れる。このアドレス情報の読み出しは、第1 施形態の場合と同様、可変抵抗層の抵抗状 に応じた出力電流値を検出することにより われる。

 このようにして救済アドレス格納レジス 408から読み出されたアドレス情報と、アク ス先のアドレス情報とが一致する場合、SRAM 407内に設けられている予備の冗長メモリセル にアクセスし、情報の読み取りまたは書き込 みが行われる。

 以上のようにして自己診断を行うことに って、製造工程の検査において外部の高価 LSIテスタを用いる必要がなくなる。また、a t Speedテストが可能になるという利点もある さらには、検査をする際のみではなく、経 変化した場合にも不良セルの救済が可能と るため、長期間に亘って高品質を保つこと きるという利点もある。

 本実施の形態にかかる不揮発性半導体装 は、製造工程における1回のみの情報の書き 込む場合と、製品出荷後に繰り返し情報を書 き換える場合との何れにも対応することがで きる。

 [不揮発性半導体装置の製造方法]
 次に、上述したように構成される本実施の 態にかかる不揮発性半導体装置の製造方法 ついて説明する。

 図34は、本発明の第7実施形態にかかる不 発性半導体装置の製造プロセスの主要な流 を示すフローチャートである。

 まず、半導体基板上にトランジスタを形 する(S101)。次に、第1ビアを形成し(S102)、そ の上に第1配線を形成する(S103)。

 そして、S103で形成された第1配線の上に 可変抵抗層を形成する(S104)。この可変抵抗 の形成は、第1実施形態において説明したと りに行われる。

 次に、可変抵抗層の上に第2ビアを形成し (S105)、さらに、第2配線を形成する(S106)。

 以上に示すように、本実施の形態の不揮 性半導体装置の製造方法は、COMSプロセスの 製造工程に、電極および可変抵抗層を形成す る工程が追加されたものである。したがって 、既存のCMOSプロセスを利用して容易に製造 ることが可能となる。また、追加の工程も なく、しかも可変抵抗層の膜厚は比較的薄 ため、プロセスの短縮化を図ることができ 。

 また、第5実施形態の場合と同様に、本発 明における可変抵抗層は低温で成膜すること が可能であることから、本実施の形態で示す ような配線工程での積層化を行う場合であっ ても、下層工程で形成されたトランジスタお よびシリサイドなどの配線材料に影響を与え ることがないという利点がある。

 なお、電極部は1μm角以下で形成すること ができ、且つその他の回路もCMOSプロセスで 成することが可能であるため、小型の不揮 性スイッチ回路を容易に実現することがで る。

 本実施の形態のように、第1実施形態にお けるタンタル酸化物を含む可変抵抗層を備え た不揮発性記憶素子を用いるのではなく、公 知のフラッシュメモリの不揮発性記憶素子を 用いたり、または、公知のFeRAMメモリの不揮 性記憶素子を用いたりすることによって、 揮発性半導体装置を実現することも考えら る。しかしながら、これらの場合、特別の 用プロセス工程および材料が必要となり、C OMSプロセスとの親和性に劣るという欠点があ る。そのため、コスト面で問題があり、しか も製造工数が著しく増加するなど、現実性に 乏しいといえる。さらに、情報の書き込みお よび読み出しが複雑であり、プログラム素子 として扱うのが困難であるという問題がある 。

 また、CMOSプロセスと親和性が高い構成と しては、CMOS不揮発性メモリセルと称される COMSプロセスでゲート配線をフローティング して等価的にフラッシュメモリセルと同様 動作を実現するものがある。しかし、この 成によると、素子部の面積が大きくなり、 かも動作の制御が複雑になるなどの問題が じる。

 また、シリサイド溶断型などの電気フュ ズ素子で構成する場合もCMOSプロセスと親和 性が高いと言えるが、この場合、情報の書き 換えが不可能である、また、素子部の面積が 大きくなるなどの問題が生じる。

 さらに、公知のレーザーで配線をトリミ グすることも考えられるが、この場合では 製造工程のみに限定される、レーザートリ ー装置の機械的精度に律速されることにな ため、微細化することができない、または 最上層に配置しなければならないというレ アウトの制約があるなどの問題が生じる。

 なお、本実施の形態では、第1実施形態に おける不揮発性記憶素子をSRAMの救済アドレ 格納レジスタとして用いたが、それ以外に 、次のような適用例が考えられる。すなわ 、例えば、DRAM、ROM、または第5および第6実 形態にかかる不揮発性記憶装置の不良セル 対する救済アドレス格納レジスタとして、 1実施形態における不揮発性記憶素子を用い ことが可能である。

 また、不良ロジック回路若しくは予備ロ ック回路の切り替え用不揮発性スイッチに 用することもできる。その他にも、アナロ 回路の電圧調整およびタイミング調整用の ジスタとして、製品完成後のROMの修正用の ジスタとして、リコンフィギュアラブルロ ックおよびFPGA用の不揮発性スイッチ素子と して、さらには、不揮発性レジスタとして用 いることも可能である。

 (その他実施形態)
 第7実施形態にかかる不揮発性半導体装置が 、第5実施形態にかかる不揮発性記憶装置を えるような構成、すなわち、第5実施形態に かるクロスポイント型の不揮発性記憶装置 第7実施形態にかかるCPUなどを有するLSIとを 一つの半導体基板上に集積するような構成を 実現することができる。

 この場合、第5実施形態にかかるクロスポ イント型の不揮発性記憶装置および第7実施 態にかかるCPUなどを有するLSIをそれぞれ別 半導体基板上に形成しておき、その後に一 のパッケージ内にモールドするような構成 あってもよい。

 また、第7実施形態にかかる不揮発性半導 体装置が、第6実施形態にかかる不揮発性記 装置を備えるような構成、すなわち、第6実 形態にかかる1トランジスタ/1不揮発性記憶 構成の不揮発性記憶装置と第7実施形態にか かるCPUなどを有するLSIとを一つの半導体基板 上に集積するような構成を実現することもで きる。

 この場合も、第6実施形態にかかる1トラ ジスタ/1不揮発性記憶部構成の不揮発性記憶 装置および第7実施形態にかかるCPUなどを有 るLSIをそれぞれ別の半導体基板上に形成し おき、その後に一つのパッケージ内にモー ドするような構成であってもよい。

 第5実施形態乃至第7実施形態において利 する不揮発性記憶素子は、第1実施形態のも に限られず、第2乃至第4実施形態のもので ってもよい。

 本発明の不揮発性記憶素子は、必ずしも 1実施形態乃至第4実施形態の構成に限られ 、他の構成であってもよい。(1)下部電極側 上部電極側とで電極材料を異ならせること (2)下部電極側と上部電極側とで電極と可変 抗層の接触面積を異ならせること、(3)下部 極側と上部電極側とで可変抵抗層の酸素含 量を異ならせること、をどのように組合せ 用いてもよい。あるいは他の要素を利用し 上下非対称の構造を実現してもよい。例え 、下部電極側と上部電極側とで可変抵抗層 材料を変えてもよいし、下部電極側と上部 極側とで電極の形状を変えてもよい。下部 極側と上部電極側とで抵抗状態が変化する きの電圧の絶対値あるいは抵抗値の変化量 異なるようにするものであれば、どのよう 方法で下部電極方と上部電極側とを非対称 してもよい。

 本発明にかかる不揮発性記憶素子、不揮 性記憶装置および不揮発性半導体装置は、 値の読み書きを安定して行うことができる 揮発性記憶素子、および、これを用いた不 発性記憶装置および不揮発性半導体装置と て有用である。

 10 素子
 11、12、13、14 電極
 15 可変抵抗層
 100、110、150、170、180 不揮発性記憶素子
 101、111、151、171、181 基板
 102、112、152、172、182 酸化物層
 103、113、153、173、183 下部電極層
 104、154、174 可変抵抗層
 114、184 第1の可変抵抗層
 115、185 第2の可変抵抗層
 105、116、155、175、186 上部電極層
 110 不揮発性記憶素子
 150 不揮発性記憶素子
 151 基板
 152 酸化物層
 200 不揮発性記憶装置
 201 メモリ本体部
 202 メモリアレイ
 203 行選択回路/ドライバ
 204 列選択回路/ドライバ
 205 書き込み回路
 206 センスアンプ
 207 データ入出力回路
 208 アドレス入力回路
 209 制御回路
 211 上部配線
 212 下部配線
 213 上部電極
 214 可変抵抗層
 215 内部電極
 216 電流抑制素子
 217 下部電極
 218 オーミック抵抗層
 300 不揮発性記憶装置
 301 メモリ本体部
 302 メモリアレイ
 303 行選択回路/ドライバ
 304 列選択回路
 305 書き込み回路
 306 センスアンプ
 307 データ入出力回路
 308 セルプレート電源
 309 アドレス入力回路
 310 制御回路
 314 上部電極
 315 可変抵抗層
 316 下部電極
 400 不揮発性半導体装置
 401 半導体基板
 402 CPU
 403 入出力回路
 404 論理回路
 405 アナログ回路
 406 BIST回路
 407 SRAM
 408 救済アドレス格納レジスタ
 409 不揮発性記憶素子
 410 書き込み回路
 411 読み出し回路
 412 ラッチ回路
 WL1~WLm ワード線
 BL1~BLn ビット線
 M1 11 ~M1 mn  メモリセル(不揮発性記憶素子)
 M2 11 ~M2 mn  メモリセル(不揮発性記憶素子)
 T 11 ~T mn  トランジスタ