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Patent Searching and Data


Title:
STRAND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/108053
Kind Code:
A1
Abstract:
A strand which can reduce the construction cost by reducing the labor required for constructing an object to which a compression force is imparted by the strand. The strand (1) is arranged in a construction hole formed in the construction surface and grasped by a wedge under stretched state to impart a tensile force to the construction surface. The strand (1) has a metallic pipelike member (corrugated pipe (11)), and a plurality of metallic wires (12) arranged on the outer circumference of the corrugated pipe (11), wherein the plurality of metallic wires (12) are arranged to surround the corrugated pipe (11) at the cross-section of the corrugated pipe (11).

Inventors:
MAEKAWA TOMOYA (JP)
NIKI TOSHIHIKO (JP)
TOUDA YOSHIHIKO (JP)
OSHIMA KATSUHITO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000097
Publication Date:
September 12, 2008
Filing Date:
January 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO SEI STEEL WIRE CORP (JP)
MAEKAWA TOMOYA (JP)
NIKI TOSHIHIKO (JP)
TOUDA YOSHIHIKO (JP)
OSHIMA KATSUHITO (JP)
International Classes:
E04C5/08; E02D5/80; E04G21/12
Foreign References:
JPH0544301A1993-02-23
JP2005009307A2005-01-13
JPH09144210A1997-06-03
JPH11350736A1999-12-21
Other References:
See also references of EP 2119846A4
Attorney, Agent or Firm:
YAMANO, Hiroshi (10F ASTRO Shin Osaka 2 Bldg., 1-3, Nishinakajima 6-chome, Yodogawa-ku, Osaka-sh, Osaka 11, JP)
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Claims:
 施工面に形成された施工孔内に配され、緊張された状態でウェッジにより把持されることで緊張力を施工面に付与するためのストランドであって、
 金属製のパイプ状部材と、
 パイプ状部材の外周に配置される複数の金属製素線とを備え、
 これら複数の金属製素線は、パイプ状部材の横断面において、パイプ状部材を取り囲むように配置されていることを特徴とするストランド。
 複数の金属製素線が、パイプ状部材を中心にして撚り合されて形成されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のストランド。
 破断荷重が、40tonf~80tonf(約392kN~約785kN)であることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のストランド。
 曲げ直径をストランドの包絡円径の12倍として曲げた場合でも、パイプ状部材が拉げない可撓性を有することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のストランド。
 パイプ状部材が、コルゲート管であることを特徴とする請求の範囲第4項に記載のストランド。
 各素線間の間隔の合計が0.2mm以上であり、パイプ状部材の外径より小さいことを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のストランド。
 ストランドの外周を覆うようにシースが配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載のストランド。
Description:
ストランド

 本発明は、施工面に形成された施工孔内 配され、緊張された状態でウェッジにより 持されることで緊張力を施工面に付与する めのストランドに関するものである。

 コンクリート部材は引張力に弱く、圧縮 に強い特性を有する。このコンクリート部 の特性を考慮して、従来から、コンクリー 構造物に予め圧縮力を付与させる、いわゆ プレストレスト工法が知られている(例えば 、特許文献1参照)。

 図5は、一般的なプレストレスト工法の工 程説明図である。この図の工法は、プレスト レスト工法の中でもポストテンション工法と 呼ばれるものである。プレストレスト工法に よりプレストレストコンクリート構造物(PC構 造物)を形成するには、まず初めに型枠20を設 置し(図5の(A)を参照)、型枠20の両端にアンカ プレートPを配置すると共に、型枠20内に埋 管(施工孔)BPを配置する(図5の(B)を参照)。次 いで、型枠20内にコンクリートを打設して、 ンクリートが硬化した後、埋設管BPにスト ンド100を挿通する(図5の(C)を参照)。次に、 ンクリートブロックCBの両端でストランド100 を緊張し、緊張したストランド100を、ウェッ ジ、アンカーディスク、アンカープレートな どからなる定着具ADによりコンクリートブロ クCBの両端面で定着する(図5の(D)を参照)。 して、埋設管BP内にグラウトを充填して、PC 造物を完成する(図5の(E)を参照)。

 ここで、上述した埋設管BP内にグラウト 充填するには、アンカープレートから埋設 BPに連通するグラウト注入孔と空気排出孔( ラウト排出孔)とを使用する(図5(C)、(D)参照) 具体的には、管路110を通じて埋設管BP内に ラウトを注入し、埋設管BP内から管路120を通 じてグラウトを排出させることで、埋設管BP にグラウトを充填する(図5(D)の矢印の方向 参照)。

特開平11-350736号公報

 ところで、グラウトを注入する際には、 ラウトの注入機器とグラウト注入孔とを結 する手段を設ける必要があり、単に、アン ープレートやアンカーディスクに埋設管の 外を連通する連通孔を設けるだけでは、グ ウトの注入が困難である。そのため、上述 た従来のプレストレスト工法では、グラウ 注入孔およびグラウト排出孔を設けるため 、埋設管の内外を連通する連通管(グラウト 注入用の管路110と空気排出用の管路120)を用 し、埋設管に連通させることが行なわれて た。このように、従来のプレストレスト工 では、別途、連通管を用意して、この連通 を埋設管に溶接するなどしており、部品点 が多く、施工に手間がかかるため、施工コ トが割高であるという問題点があった。

 そこで、本発明の目的の一つは、ストラ ドによって圧縮力を付与する施工対象の構 の手間を軽減し、施工コストを低く抑える とができるストランドを提供することにあ 。

 また、本発明の別の目的は、施工対象に 成された施工孔内に容易にグラウトを注入 能なストランドの定着構造を形成できるス ランドを提供することにある。

 本発明は、施工面に形成された施工孔内 配され、緊張された状態でウェッジにより 持されることで緊張力を施工面に付与する めのストランドである。このストランドは 金属製のパイプ状部材と、パイプ状部材の 周に配置される複数の金属製素線とを備え これら複数の金属製素線は、パイプ状部材 横断面において、パイプ状部材を取り囲む うに配置されていることを特徴とする。

 ここで、本発明のストランドを発明する あたり、本発明者らには、ウェッジで把持 るストランドに筒状の部材を使用すると、 ェッジによる把持力によりパイプ状部材が 属製であっても拉げてしまうのではないか の認識があった。しかし、本発明者らが種 検討した結果、パイプ状部材を金属製とす と共に、パイプ状部材を取り囲むように金 製素線を配置したストランドとすることに り、パイプ状部材を潰すことなく、ストラ ドをウェッジで把持できることが明らかに った。

 上記のように規定した本発明の構成によ ば、ストランド自身のパイプ状部材を、ス ランドが導入される施工孔の内外を連通す 通路とすることが出来る。特に、パイプ状 材をグラウトの注入孔として利用すると、 工孔に連通するグラウト注入用の連通管を ける必要がなく、従来のストランドを使用 た場合に比べて、部品点数を抑えることが 来る。また、施工孔と連通管とを連結する 間を省くことができ、施工コストを低減で る。

 また、本発明のストランドのパイプ状部 は、グラウトの排出孔として利用すること 出来る。この場合、例えば、ストランドを 通する施工孔に、別途グラウト注入用の連 管を連通し、この連通管から施工孔の内部 グラウトを注入する。注入孔から注入され グラウトは、施工孔とストランドとの隙間 充填されていき、施工孔の奥側からパイプ 部材を通じて施工孔外に排出される。この 成は、例えば、施工孔の開口部が、水平方 よりも下を向いているストランドの定着構 に好適に利用できる。この場合、連通管か 注入したグラウトは、施工孔の奥側、つま 、施工孔全体にグラウトが満たされない限 、ストランドのパイプ状部材からグラウト 排出されない。

 本発明のストランドは、種々の建造物に 用できる。例えば、ビルや橋梁などのPC構 物や、グランドアンカー、その他、トンネ の支保構造などにも適用できる。

 本発明のストランドの素線は、パイプ状 材に平行に沿うように配置されていても良 し、パイプ状部材を囲む撚り線状としても い。特に、後者のように、素線を撚り線状 して、この撚りの中心にパイプ状部材を配 するようにすると、ストランドを曲げやす なるので、施工孔にストランドを挿入し易 なる。また、ストランドをウェッジで把持 たときに、パイプ状部材の外周面に作用す 圧力が分散されるので、パイプ状部材が拉 難くなる。これは、各素線がパイプ状部材 対して斜めに沿った状態となっているため パイプ状部材の単位長さあたりの素線との 触面積が大きくなるからである。

 本発明のストランドにおける素線の数は パイプ状部材の外周をほぼ取り囲むことが 来る数とする。さらに、パイプ状部材の外 を取り囲む素線の配置は、横断面において ほぼ均等に並ぶようにすることが好ましい 具体的な素線の数は、少なくとも5本以上、 好ましくは7本以上、より好ましくは9本以上 ある。

 本発明のストランドは、施工面に緊張力 付与するために緊張しなければならないた 、所定の強度を有する必要がある。具体的 は、ストランドの破断荷重は、40tonf~80tonf( 392kN~約785kN)とすることが好ましい。このよ な破断荷重を達成するためには、ストラン の素線の材質や数などを変化させることが 表的である。上記のような破断荷重を達成 るストランドの直径は、パイプ状部材と素 の材料にもよるが、一般的な鋼種を利用す ば、およそ20~40mm程度になる。なお、素線の 料として、ウェッジによりストランドを把 することを考慮して、例えばアラミド繊維 どのせん断に弱い材料で構成しないように る。

 ところで、工事現場などは、足場などが 定された空間である上、ストランドを緊張 る機器などが搬入されるために、ストラン の取り回し空間が制限される。そこで、本 明のストランドは、所定の可撓性を有する とが好ましい。ここで、本明細書における トランドの可撓性とは、単にストランドを げることが出来るというだけでなく、スト ンドを曲げたときに、ストランドのパイプ 部材が拉げて、グラウトの流通が阻害され ような状態とならないことを言う。具体的 は、本発明のストランドは、ストランドの げ直径が、素線の包絡円径(パイプ状部材を 取り囲む複数の素線の外接円)の12倍で曲げる ことが出来る可撓性を有することが好ましい 。このような曲げ特性を有するストランドで あれば、実際の現場において非常に扱い易い 。

 上記のような曲げ特性を達成するための 表的な構成としては、パイプ状部材をコル ート状にすることが挙げられる。ストラン の曲げ特性を変化させるためには、山ピッ (コルゲート管の縦断面における隣り合う山 部の間の距離)などを調整すればよい。パイ 状部材をコルゲート状にすると、曲げ特性 良くなるだけでなく、パイプ状部材の外周 らの圧力に対する強度が向上し、ストラン をウェッジで把持したときにパイプ状部材 拉げる可能性が低下する。

 また、ストランドの可撓性を向上させる めの構成として、パイプ状部材の外周に配 される各素線の間隔を調整することが挙げ れる。具体的には、隣接する素線間の隙間 合計で0.2mm以上にすることで、ストランド 曲げたときに、パイプ状部材の外周に配置 れる各素線の間に素線の移動代を確保し、 トランドの可撓性を向上させることができ 。

 さらに、各素線の間隔を調整することで グラウトとストランドとの付着性を向上さ ることもできる。つまり、各素線間の間隔 広げたストランドは、各素線間に隙間が設 られていない場合に比べ、ストランドの配 される施工孔にグラウトを注入したときに グラウトと接触するストランドの表面積が 加すると共に、各素線の間にまでグラウト 充填されるので、ストランドとグラウトと 物理的な付着力が増加する。

 ところで、素線間隔が空きすぎる場合、 イプ状部材の外周を取り囲む素線の配置に りが生じ易い。素線が偏った状態では、パ プ状部材を外周から押圧する力に偏りが生 るため、ストランドをウェッジで把持した きに、ストランドの中心に配置されたパイ 状部材が潰れてしまう虞がある。その他、 線間隔が空きすぎると、特に、ストランド 屈曲した場合など、素線の間からパイプ状 材が飛び出してしまうなどの不具合が生じ 場合がある。そのため、素線の間からパイ 状部材が飛び出さないように、素線間隔の 計は、パイプ状部材の外径より小さくする とが望ましい。

 ここで、素線間の隙間がないとパイプ状 材はつぶれにくいが、ストランドの可撓性 コンクリートとの付着性が低い。一方、ス ランドの各素線間に適正な隙間を設けると ストランドの可撓性やコンクリートとの付 性を維持しつつ、パイプ状部材もつぶれに いものを提供できる。すなわち、各素線の 隔には、ストランドの可撓性、グラウトと 付着性およびパイプ状部材の潰れ防止に最 な素線間隔が存在している。それらの関係 表1に示す。

 さらに、本発明のストランドは、ストラ ドの外周を覆うようにシースが配置されて ても良い。シースを具えるストランドとす ことにより、後述する実施例2に記載のよう に、本発明ストランドをグランドアンカーに 好適に利用できる。

 本発明のストランドによれば、ストラン の定着構造において、施工孔の内外を連通 る管路をストランド自身に設けることがで る。そのため、従来のストランドを使用し 定着構造を形成する場合に比べて、施工孔 内外を連通する連通管を省略することがで る。その結果、ストランドによって圧縮力 付与する施工対象の構築の手間を軽減し、 工コストを低減させることができる。また パイプ状部材の端部には、グラウト注入機 を連結する構成を容易に形成することがで るので、施工孔内へのグラウトの充填も容 にできる。

(A)は、本発明のストランドの部分断面 視図であり、(B)は、(A)のA-A断面図である。 実施例1に記載のプレストレスト工法の 手順を示す工程説明図である。(A)は型枠の配 置状態を、(B)はアンカープレートと埋設管の 配置状態を、(C)は本発明ストランドの配置状 態を、(D)はグラウトの注入状態を、(E)は工法 の終了状態を示す。 図2(D)のグラウトの注入状態を詳細に示 したPC構造物の部分断面図である。 外周にシースを有する本発明ストラン を使用した実施例2に記載のグランドアンカ ーの概略構成図である。 従来のプレストレスト工法の手順を示 工程説明図である。(A)は型枠の配置状態を (B)はアンカープレートと埋設管の配置状態 、(C)は従来のストランドの配置状態を、(D) グラウトの注入状態を、(E)は工法の終了状 を示す。

符号の説明

1,2 ストランド  11 コルゲート管 12 素線
13 シース 14 止水部 20 型枠
100 ストランド 110 グラウト注入用管路 120 空気排出用管路
CB コンクリートブロック BP 埋設管
G 地山 C コンクリート H 削孔
AD 定着具 AD1 固定側定着具 AD2 緊張側定着 具
P,P1,P2,P3 アンカープレート D1,D2,D3 アンカー ディスク
Dh1,Dh2,Dh3,TH 貫通孔 W1,W2,W3 ウェッジ S1,S2  ャップ

 以下、本発明の実施例を図に基づいて説 する。

 <実施例1>
 本例では、本発明のストランドを使用してP C構造物を形成する例を図1,2に基づいて説明 る。

 [ストランド]
 図1(A)は、本例のストランドを示す部分断面 斜視図を、(B)は(A)のA-A断面図を示す。ストラ ンド1は、図1(B)に示すように、横断面におい コルゲート管(パイプ状部材)11を取り囲むよ うに素線12が配置されている。図に示すよう 、本例のストランド1は、コルゲート管11と コルゲート管11の外周に撚り合された9本の 線12とを有する。もちろん、素線の数は、9 に限定されず、例えば、5、7本の素線をコ ゲート管の外周に撚り合わせたストランド しても良い。

 コルゲート管11は、Crメッキを施した無研 磨溶接用鋼材(キャンエクセル:登録商標)で構 成した。このような材料で構成したコルゲー ト管11は、可撓性に優れ、しかも、曲げたと に拉げて、ストランド1の強度が低下したり 、後述するように、グラウトを流通させる流 通路としての機能が低下したりすることがな い。また、コルゲート管11の構造、即ち、波 き状の構造は、管11の外周側からの圧力に く、ストランドをウェッジで把持した場合 も、拉げ難い。

 素線12は、鋼種:SWRS82B(JIS G 3502)で構成し 。もちろん、素線12の材料は、前記の鋼種 限定されるわけではなく、Si高含有材料(Si含 有量が0.32質量%超)や後述する変形例に示す高 強度の鋼材なども好適に利用可能である。ま た、素線12は、伸線加工により製造されてい 。この素線は、強度に優れると共に、適度 可撓性を有する。

 上述したコルゲート管11と素線12とを使用 した本例のストランド1の製造は、以下のよ に行なった。

 まず、コルゲート管11を中心にして、コ ゲート管11に素線12を巻き付けた。具体的に 、撚り線機に素線12とコルゲート管11をセッ トし、撚り合せた。

 次に、撚り上がったストランド1に、この ストランド1の破断荷重(材料から予想される 断荷重)の10~40%の張力を掛けて、約400℃で約 30秒間ブルーイング処理を行なった。ブルー ング処理を行なうことで、ストランド1の靭 性を向上させ、曲げ特性を向上させることが できる。ブルーイングの好ましい条件は、300 ~450℃、10~90秒である。

 以上のようにして作製したストランドの 寸法および破断荷重を表2に示す。表2にお るストランドの直径は、素線の包絡円の直 であり、コルゲート管の外径は、波付き形 の山部の外径であり、コルゲート管の内径 、波付き形状の谷部の内径である。

 なお、表2には示していないが、各ストラ ンドのコルゲート管の縦断面における山部の 間の距離(山ピッチ)は、2山/cmである。また、 作製したストランドの素線間隔の合計は、直 径24.4mmのストランドで4.6mm、直径26.3mmのスト ンドで6.0mmであった。さらに、作製したス ランドを、ストランドの外径(素線の包絡円 直径)の12倍の曲げ直径で曲げた場合でも、 トランドのコルゲート管および素線になん 損傷はなかった。

 [PC構造物の形成方法]
 以上説明したようなストランド1を使用して PC構造物を形成する。図2は、プレストレス工 法(ポストテンション工法)でPC構造物を形成 る方法を示す工程説明図である。PC構造物を 形成するためには、まず初めに、型枠20を設 し(同図の(A)を参照)、次いで、型枠20のスト ランド1を配置する部分にあらかじめアンカ プレートP1,P2をはめ込んでおくと共に、型枠 20内に埋設管(施工孔)BPを配置しておく(同図 (B)を参照)。アンカープレートP2には、スト ンドを挿通させるための貫通孔THと、埋設管 BPから空気を抜くための小さな貫通孔Dh2(直径 12mm程度)が設けられ、プレートP1には、後述 るようにグラウトの流路となる貫通孔Dh1が けられている。このアンカープレートP1,P2に は、従来のアンカープレートのように、埋設 管に連通する連通管などを設ける必要はない 。

 次に、型枠20内にコンクリートを打設し 、コンクリートが硬化した後、型枠20をはず すと共に、埋設管BP内にストランドを挿入し 、緊張する(図2(C)を参照)。ストランド1の緊 張の際は、まず、コンクリートブロックCBの 端側(紙面右側)で固定側定着具によりスト ンド1を固定し、次いで、他端側(紙面左側) ストランド1を緊張し、緊張側定着具により トランド1を定着する。ストランド1を緊張 ることでストランド1が伸び、伸びたストラ ド1が元に戻ろうとする力(緊張力)が生じる そして、ストランド1を定着することで、ス トランド1の緊張力が、コンクリートブロッ CBに伝達されて、PC構造物が形成される。

 ストランド1の緊張と定着が終了したら、 図2の(D)に示すように、固定側定着具の外周 キャップS1を被せて、封止する。そして、ス トランド1のパイプ状部材からグラウトを充 し、埋設管BP内をグラウトで満たす。

 図3は、PC構造物の部分断面図であって、 設管内にグラウトを充填する過程をより詳 に示す説明図である。ストランド1は、ウェ ッジW1、アンカーディスクD1、アンカープレ トP1を備える固定側定着具AD1と、ウェッジW2 アンカーディスクD2、アンカープレートP2を 備える緊張側定着具AD2とで定着されている。 形成した固定側定着具AD1の外周は、キャップ S1で封止されている。このような構成におい 、緊張側定着具AD2側のコルゲート管11端部 らグラウトを注入すると、注入されたグラ トは、固定側定着具AD1側のコルゲート管11端 部からキャップS1内に放出される。キャップS 1に放出されたグラウトは、貫通孔Dh1を通っ 、埋設管BPに流れ込む。そして、グラウトは 、埋設管BPから緊張側定着具AD2の貫通孔Dh2を って排出される。

 以上のように、埋設管BPに充填したグラ トが硬化したら、図2(E)に示すように、緊張 定着具の外周にもキャップS2を被せて、こ キャップS2の内部に防錆剤を充填し、PC構造 を完成させる。

 本例の構成によれば、埋設管に連通させ 、グラウトの注排出に使用する連結管など 設ける必要はない。そのため、従来のスト ンドを使用したPC構造物に比べて、部品点 や施工の手間を削減することができ、施工 ストを低減することができる。

 なお、本発明のストランドは、施工終了 階でパイプ状部材の内部に、グラウトが充 され、硬化した状態にあり、パイプ状部材 空洞のままとはならない。そのため、本発 のストランドは、緊張材として十分な強度 有すると共に、防錆の面でも問題ないもの ある。また、グラウト注入量を制御してパ プ内部に空間を残すことも可能である。

 <変形例>
 本例では、実施例1に記載のストランドにお ける素線の材料としてより高強度の鋼材を使 用した例を説明する。

 本例のストランドを得るにあたって、線 φ14mmのDLP(Direct in-Line Patenting)線材(新日本 鐵株式会社製)を線径φ6.93mmまで冷間伸線す ことで伸線材(試料1~5)を得た。伸線材の材料 となるDLP線材の組成は、C:0.98~1.02質量%、Si:0.8 5~0.95質量%、Mn:0.35~0.45質量%、P:0.018質量%以下 S:0.010質量%以下、Cu:0.15質量%以下、Cr:0.20~0.25 量%、残部:Fe及び不可避的不純物であった。 得られた各伸線材の機械的特性を以下の表3 示す。

 また、表3に示す各伸線材を所定長に切断 して素線とし、一本の伸線材を切断して得ら れた9本の素線をコルゲート管の外周に撚り わせてストランドを作製した。コルゲート は、実施例1と同じものを使用し、コルゲー 管への素線の撚り合わせ方法も実施例1と同 様の方法を使用した。また、素線を撚り上げ たストランドを実施例1と同様の条件でブル イング処理した。作製したストランドの各 法、破断荷重および伸びを表4に示す。なお コルゲート管の外周に素線を配置している 係上、ストランドの包絡円が若干の楕円形 となるため、楕円の長軸を線径の最大値、 軸を線径の最小値として示す。

 また、表4には示していないが、作製した ストランドの素線間隔の合計は、約2.5mmであ た。さらに、ストランドの外径の12倍の曲 半径で曲げた場合でも、ストランドのコル ート管および素線になんら損傷はなかった

 表4に示すように、コルゲート管の外周に 高強度鋼材からなる素線を撚り合わせて形成 したストランドは、およそ700kNの破断荷重と7 %前後の伸びを有していた。つまり、素線の 械的特性がストランドの機械的特性として 映されることがわかった。従って、本例の トランドによれば、より耐力の高いPC構造物 を形成することができる。

 <実施例2>
 本例では、本発明のストランドの外周にさ にシースを設けたストランドを使用して形 したグランドアンカーを図4に基づいて説明 する。なお、本例のストランドは、その外周 にシースを有する以外は、実施例1のストラ ドと同様の構成を有するため、同様の構成 ついては実施例1と同一の符号を付して、そ 説明を省略する。

 ストランド2の外周に設けるシース13には ポリエチレンなどのプラスチック製の管を 用した。もちろん、シース13は、金属製で っても良い。またシース13は、シース13内部 コルゲート管11と素線12の曲げを阻害しない ような可撓性を有するようにコルゲート状と しても良い。

 以下、図4を参照して、削孔(施工孔)Hを形 成した地山Gにグラウンドアンカー(ストラン 2)を配置し、地山Gを覆うコンクリート(施工 面)Cに緊張力を付与する方法を詳細に説明す 。

 ストランド2を図4の配置状態にするには まず初めに、ストランド2の一端側でシース1 3を所定の長さだけ剥がして、その部分で素 12がむき出しになるようにする。また、剥が したシース13の端部に、シース13と素線12との 隙間を封止する止水部14を形成する。

 次に、アンカーディスクD3とアンカープ ートP3のストランド挿通孔にストランド2を 通させた状態で、両者D3,P3を地山Gに仮固定 、削孔Hを封止する。このアンカーディスクD 3とアンカープレートP3には、削孔H内のグラ トを排出するための貫通孔Dh3が設けられて る。なお、アンカーディスクD3とアンカープ レートP3に貫通孔を設けずに、地山Gから削孔 Hに通じる連通管を別途設けても良い。

 ストランド2とアンカーディスクD3、アン ープレートP3の配置が終了したら、ストラ ド2のコルゲート管11から削孔H内にグラウト 注入する。注入されたグラウトは、削孔Hの 底部(紙面右側)のコルゲート管11の開口端か 削孔H内に排出され、削孔H内を満たしていく 。そして、削孔H内に満たされたグラウトは アンカープレートP3、ディスクD3の貫通孔Dh3 通じて排出され、削孔Hへのグラウトの充填 が終了する。このとき、グラウト硬化後にス トランドを緊張することを考慮して、コルゲ ート管11上端部からシース13の開口部を封止 る止水部14の境界付近までのコルゲート管11 部が空洞になるようにコルゲート管11上端 ら空気を送り込む。

 削孔Hへのグラウトの充填から所定時間経 過後、グラウトが硬化する。ここで、本例の ストランド2は、シース13とシース13の開口部 封止する止水部14を境にして、素線12が、む き出しの部分とシース13に覆われた部分とに けられている。そのため、グラウトが硬化 たときに、ストランド2の素線12のうち、む 出しの部分のみが削孔Hに固着される。

 最後に、アンカーディスクD3から突出す ストランド2を緊張し、ウェッジW3でアンカ ディスクD3に定着する。

 上述のように、本発明のストランドは、 山にプレストレスを付与するグランドアン ーとしても好適に利用可能である。

 なお、本発明は、上述した実施例に何ら 定されることはなく、本発明の要旨を逸脱 ない範囲において適宜変更することができ 。例えば、本発明のストランドを適用する 造物は、トンネルであっても良いし、ビル どの建築物であっても良い。

 本発明のストランドは、コンクリート構 物にプレストレスを付与することに好適に 用可能である。




 
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