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Patent Searching and Data


Title:
SUPERCRITICAL REFRIGERATING CYCLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/060683
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a supercritical refrigerating cycle in which the electric power of a compressor can be reduced in a cooling cycle stabilized period and the cooling performance of which can be improved in a cool down transit period. In the supercritical refrigerating cycle, a compressor (1), a gas cooler (2), an expansion valve (3), an evaporator (4), and an accumulator (5) are sequentially connected in a circular pattern and an inner heat exchanger for decreasing the temperature of a cooling medium at the inlet port of the expansion valve (3) using inner heat exchange is provided. A main high temperature side heat exchanging unit (6a) and a sub high temperature side heat exchanging unit (7a) are set in line along a cooling medium path from the outlet port of the gas cooler (2) to the inlet port of the expansion valve (3). A main low temperature side heat exchanging unit (6b) and a sub low temperature side heat exchanging unit(7b) are set in such a manner that the accumulator (5) positioned on the cooling medium path from the outlet port of the expansion valve (3) to the inlet port of the compressor (1) is sandwiched. The inner heat exchanger is constituted by a main inner heat exchanging unit (6) in which the main high temperature side heat exchanging unit (6a) and the main low temperature side heat exchanging unit (6b) are combined and a sub inner heat exchanging unit (7) in which the sub high temperature side heat exchanging unit (7a) and the sub low temperature side heat exchanging unit (7b) are combined.

Inventors:
MARUYAMA TOMOHIRO (JP)
KAWAMATA TORU (JP)
FUSEGI MASAHIDE (JP)
HATAKEYAMA JUN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068307
Publication Date:
May 14, 2009
Filing Date:
October 08, 2008
Export Citation:
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Assignee:
CALSONIC KANSEI CORP (JP)
MARUYAMA TOMOHIRO (JP)
KAWAMATA TORU (JP)
FUSEGI MASAHIDE (JP)
HATAKEYAMA JUN (JP)
International Classes:
F25B1/00; F25B40/00
Foreign References:
JP2007032949A2007-02-08
JP2007003166A2007-01-11
JP2004012127A2004-01-15
JPH08166172A1996-06-25
JP2007085647A2007-04-05
Attorney, Agent or Firm:
NISHIWAKI, Tamio (6-7Ginza 6-chome, Chuo-ku, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 コンプレッサと、ガスクーラと、膨張弁と、エバポレータと、アキュムレータを順次環状に接続し、内部熱交換により前記膨張弁の入口の冷媒温度を低下させる内部熱交換器を備えた超臨界冷凍サイクルであって、
 前記ガスクーラの出口から前記膨張弁の入口までの冷媒経路に沿ってメイン高温側熱交換部とサブ高温側熱交換部を直列に設定し、前記膨張弁の出口から前記コンプレッサの入口までの冷媒経路に位置する前記アキュムレータを挟んでメイン低温側熱交換部とサブ低温側熱交換部を設定し、
 前記内部熱交換器を、前記メイン高温側熱交換部と前記メイン低温側熱交換部を組み合わせたメイン内部熱交換器と、前記サブ高温側熱交換部と前記サブ低温側熱交換部を組み合わせたサブ内部熱交換器とにより構成したこと、
を特徴とする超臨界冷凍サイクル。
 請求項1に記載された超臨界冷凍サイクルであって、
 前記メイン内部熱交換器は、臨界温度を超える冷媒温度を、ガス領域と液領域の臨界温度付近まで低下させる内部熱交換を行い、
 前記サブ内部熱交換器は、前記メイン内部熱交換器での内部熱交換により低下した冷媒温度を、膨張弁入口冷媒温度が臨界温度より低い、冷媒が液領域に入る温度まで低下させる内部熱交換を行い、
 前記メイン低温側熱交換部および前記サブ低温側熱交換部のうち、前記アキュムレータの出口側に設けられた低温側熱交換部による熱交換量を、コンプレッサ吐出温度を限界温度以下に抑える量に設定したこと、
を特徴とする超臨界冷凍サイクル。
 請求項1または請求項2に記載された超臨界冷凍サイクルであって、
 前記メイン内部熱交換器は、前記ガスクーラの出口直後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交換部と、前記アキュムレータの出口から前記コンプレッサの入口までの冷媒経路に設定したメイン低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成し、
 前記サブ内部熱交換器は、前記メイン高温側熱交換部の出口から前記膨張弁の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換部と、前記エバポレータの出口から前記アキュムレータの入口までの冷媒経路に設定したサブ低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成したこと、
を特徴とする超臨界冷凍サイクル。
 請求項1または請求項2に記載された超臨界冷凍サイクルであって、
 前記メイン内部熱交換器は、前記ガスクーラの出口直後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交換部と、前記アキュムレータの出口から前記コンプレッサの入口までの冷媒経路に設定したメイン低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成し、
 前記サブ内部熱交換器は、前記メイン高温側熱交換部の出口から前記膨張弁の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換部と、前記膨張弁の出口から前記エバポレータの入口までの冷媒経路に設定したサブ低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成したこと、
を特徴とする超臨界冷凍サイクル。
 請求項1または請求項2に記載された超臨界冷凍サイクルであって、
 前記メイン内部熱交換器は、前記ガスクーラの出口直後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交換部と、前記エバポレータの出口から前記アキュムレータの入口までの冷媒経路に設定したメイン低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成し、
 前記サブ内部熱交換器は、前記メイン高温側熱交換部の出口から前記膨張弁の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換部と、前記アキュムレータの出口から前記コンプレッサの入口までの冷媒経路に設定したサブ低温側熱交換部と、の組み合わせにより構成したこと、
を特徴とする超臨界冷凍サイクル。
 
Description:
超臨界冷凍サイクル

 本発明は、自然冷媒である炭酸ガス冷媒(CO 2 冷媒)を用い、高外気温時には冷媒の圧力が 界圧を超える超臨界冷凍サイクルに関する

 従来、超臨界冷凍サイクルとしては、コ プレッサと、ガスクーラと、膨張弁と、エ ポレータと、アキュムレータを順次環状に 続し、ガスクーラを出た高温高圧冷媒とア ュムレータを出た低温低圧冷媒との間で熱 換を行う内部熱交換器を備えたものが知ら ている(例えば、特許文献1参照)。

 このCO 2 冷媒を用いた超臨界冷凍サイクルは、高外気 温時には冷媒の圧力が臨界圧を超え、高圧側 で液冷媒が溜まらないため、アキュムレータ で冷媒量の調整を行う。そして、内部熱交換 器により、ガスクーラを出た高温高圧冷媒と アキュムレータを出た低温低圧冷媒との間で 熱交換を行い、エバポレータ入口のエンタル ピを下げることによって、成績係数COP(Coeffici ent Of Performance)の向上を図っている。

特開平11-193967号公報

 しかしながら、従来の超臨界冷凍サイクル は、成績係数COPの向上を目的として内部熱 換器を1つ設置した構成であるため、CO 2 冷媒の物性に起因して、下記に列挙するよう な問題があった。

 (1) 高負荷時には、成績係数COPの向上に 界があり、コンプレッサの電力が過大とな 。つまり、内部熱交換器により膨張弁入口 媒温度Texを下げることで、成績係数COPを改 しているが、膨張弁入口冷媒温度Texを下げ ほど、コンプレッサ吐出温度Tdが高温となり 、システム保護の観点から膨張弁入口冷媒温 度Texの低下、すなわち成績係数COPの改善には 限界がある。なお、コンプレッサ吐出温度Td 、限界温度(例えば、140℃)以下に抑える必 がある。

 (2) ファン風量変化等による負荷変動時 は、エバポレータ出口での過熱度SH(スーパ ヒート)が変動(増加)してしまい、エバポレ タの温度差(最大温度と最小温度の差)の悪化 (増大)を招く。つまり、アキュムレータによ エバポレータ出口乾き度Xを、X=1.0にコント ールしているが、ファン風量変化等による 荷変動時には、一旦、過熱度SHが変動(増加) してしまい、エバポレータの温度差が悪化( 大)する。

 これらの対策として、内部熱交換器の大 化が考えられる。しかし、内部熱交換器を 型化するとコンプレッサ吐出温度Tdが上昇 、限界温度を超えてしまうため、内部熱交 器を大型化しようとしても限界がある。ま 、アキュムレータの冷媒吐出管に開口され オイルブリードの内径を大きくし、エバポ ータ出口の冷媒の乾き度を低減することが えられる。しかし、この場合は、冷媒量調 が不適となり、さらに、オイル循環率の増 を招く、といったデメリットがある。

 なお、成績係数COPとは、加熱冷却能力/電 力の式により得られる係数をいう。また、過 熱度SHとは、過熱蒸気の温度と飽和蒸気の温 (沸騰点)との差をいう。また、乾き度X(乾燥 度ともいう。)とは、湿り蒸気(蒸気と液体の 合状態)1kg中に含まれる蒸気Xkgをいう。した がって、飽和蒸気(すべて蒸気)はX=1となり、 和液(すべて液体)はX=0となる。

 本発明は、冷凍サイクル安定期において コンプレッサ電力を低減することができる 共に、クールダウン過渡期において、冷却 能を向上することができる超臨界冷凍サイ ルを提供することを目的とする。

 本発明の一実施例の超臨界冷凍サイクル は、コンプレッサと、ガスクーラと、膨張 と、エバポレータと、アキュムレータを順 環状に接続し、内部熱交換により前記膨張 の入口の冷媒温度を低下させる内部熱交換 を備えた超臨界冷凍サイクルであって、前 ガスクーラの出口から前記膨張弁の入口ま の冷媒経路に沿ってメイン高温側熱交換部 サブ高温側熱交換部を直列に設定し、前記 張弁の出口から前記コンプレッサの入口ま の冷媒経路に位置する前記アキュムレータ 挟んでメイン低温側熱交換部とサブ低温側 交換部を設定し、前記内部熱交換器を、前 メイン高温側熱交換部と前記メイン低温側 交換部を組み合わせたメイン内部熱交換器 、前記サブ高温側熱交換部と前記サブ低温 熱交換部を組み合わせたサブ内部熱交換器 により構成したこと、を特徴とする。

 本発明の超臨界冷凍サイクルでは、まず アキュムレータを挟んだ両側にメイン低温 熱交換部とサブ低温側熱交換部を設定する とで、コンプレッサ吐出温度Tdを保護温度 下に抑えつつ、冷凍サイクル内にメイン内 熱交換器とサブ内部熱交換器を設置するこ ができる。そして、メイン内部熱交換器に えられたサブ内部熱交換器により、膨張弁 口冷媒温度Texを下げることによって、冷媒 臨界圧以上であっても冷媒の液化を促進さ ることができ、高圧圧力を下げることが可 となる。これにより、冷凍サイクル安定期 おいて、コンプレッサ圧縮比、すなわちコ プレッサ電力が下げられ、成績係数COPを向 させることができる。また、クールダウン 渡期には、例えば、メイン内部熱交換器に る内部熱交換効果が得られにくい条件であ ても、サブ内部熱交換器がメイン内部熱交 器に代わって膨張弁入口冷媒温度Texを下げ ことができ、クールダウン性能が向上する このように、冷凍サイクル安定期において コンプレッサ動力の低減を達成することが きると共に、クールダウン過渡期において 冷却性能を向上することができる。

本発明の実施例1のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図である。 本発明の実施例1のCO 2 冷凍サイクルのサイクルシステムの概略構成 要素をモリエル線図上に配置した図を示す。 本発明の実施例1のCO 2 冷凍サイクルに用いられるアキュムレータの 一例の断面図である。 従来のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成要素をモリエル線図上 配置した図を示す。 冷凍サイクル安定期における、図1に示す実 例1のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図と、図3に示す 来のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図との比較図であ る。 各種測定値とコンプレッサ電力と成績 数COPとを、サブ内部熱交換器の有無により 比した表である。 クールダウン過渡期における、図1に示す実 例1のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図と、図3に示す 来のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図との比較図であ る。 従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)と実施 1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)につい 、クールダウン開始からの時間経過に従う 張弁入口冷媒温度Texとエバポレータ出口直 の冷媒温度の変化を示す図である。 従来のCO 2 冷凍サイクルにおける、冷媒封入量とエバポ レータ出口の乾き度との関係、および、冷媒 封入量とエバポレータ入口の乾き度との関係 を示す特性図である。 従来のCO 2 冷凍サイクルにおいて、オイルブリード径を 大きくした場合の、冷媒封入量とエバポレー タ出口の乾き度との関係、および、冷媒封入 量とエバポレータ入口の乾き度との関係を示 す特性図である。 実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)におけ 、冷媒封入量とエバポレータ出口の乾き度 の関係、冷媒封入量とエバポレータ入口の き度との関係、冷媒封入量とサブ内部熱交 器出口の乾き度との関係を示す特性図であ 。 ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に切り替え 場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の乾き度と、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の乾き度の時間 特性を示す図である。 ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に切り替え 場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の過熱度と、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の過熱度の時間 特性を示す図である。 ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に切り替え 場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の冷媒温度と、実施例1の CO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の冷媒温度の時 間特性を示す図である。 本発明の実施例2のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図である。 本発明の実施例2のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成要素をモリエル線図上 配置した図を示す。 本発明の実施例3のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図である。 本発明の実施例3のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成要素をモリエル線図上 配置した図を示す。

符号の説明

1 コンプレッサ
2 ガスクーラ
3 膨張弁
4 エバポレータ
5 アキュムレータ
6 メイン内部熱交換器
6a メイン高温側熱交換部
6b メイン低温側熱交換部
7 サブ内部熱交換器
7a サブ高温側熱交換部
7b サブ低温側熱交換部
8 車両用空調ユニット

 以下、本発明の超臨界冷凍サイクルを実 する最良の形態を、図面に示す実施例1~実 例3に基づいて説明する。

 まず、本発明の超臨界冷凍サイクルの構成 説明する。図1Aは、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図であり、図1Bは、サ クルシステムの概略構成要素をモリエル線 上に配置した図を示す。図2は、実施例1のCO 2 冷凍サイクルに用いられるアキュムレータの 一例の断面図である。

 自然冷媒であるR744(CO 2 冷媒)を用いた実施例1のCO 2 冷凍サイクルは、図1に示すように、コンプ ッサ1と、ガスクーラ2と、膨張弁3と、エバ レータ4と、アキュムレータ5を順次環状に接 続し、内部熱交換により膨張弁3の入口冷媒 度(以下、「膨張弁入口冷媒温度Tex」という )を低下させるメイン内部熱交換器6と、サ 内部熱交換器7を備えることで構成される。

 コンプレッサ1は、エンジンやモータなどに より駆動され、アキュムレータ5からの気体 媒を圧縮し、高温高圧の気体冷媒とする。 施例1では、高圧と低圧の差圧を制御する差 制御ECV(External Control Valve)式の外部可変容 制御タイプが採用されている。なお、冷媒 して用いられるR744(CO 2 冷媒)の飽和ガスは、HFC134a(フッ素冷媒)の7倍 密度、1.2倍の蒸発潜熱(単位質量当たり)で るので、単位体積あたりの冷房能力は約8倍 なる。このため、コンプレッサ1の吐出容量 は、15~30cc程度で十分な性能である。

 ガスクーラ2は、コンプレッサ1からの高 高圧の気体冷媒を外気と熱交換し、低温高 の気体冷媒とする凝縮器である。このガス ーラ2は、互いに間隔をおいて縦平行に配置 れた左右一対のヘッダータンクと、両端を れぞれヘッダータンクに連通接続して横平 に多数配置された熱交換チューブと、隣接 る熱交換チューブの空気流通間隙に配置さ たフィンと、を備えて構成される。そして 一対のヘッダータンクの内部が、仕切り手 により横方向に仕切られることにより、熱 換チューブによる冷媒通路が、入口側通路 と中間通路群と出口側通路群というように 少なくとも2つ以上の通路群に区画されてい る。

 膨張弁3は、エンジンルーム内に設置され 、ガスクーラ2からの高圧気体冷媒の圧力を 圧の気液二相冷媒とする。実施例1の場合、 スクーラ2の出口冷媒温度及び出口冷媒圧力 に基づいて、冷媒の過熱度SHを一定に保持す ように膨張弁開度(オリフィス開度)を制御 る制御型膨張弁を採用している。

 エバポレータ4は、車室内空調を行う車両用 空調ユニット8内に、送風機等と共に配置さ る熱交換器である。膨張弁3からの低温低圧 気液二相冷媒を循環させることで周囲の空 から熱を奪い、冷媒の温度を高め、ガス化 促進する。R744(CO 2 冷媒)を用いた冷凍サイクルにおいて、高負 時における平衡圧は、7MPa(約70bar)以上と高圧 になることから、車室内への冷媒漏れは、HFC 134a(フッ素冷媒)以上の信頼性を確保する必要 がある。このため、エバポレータ4は、コア 配管、フランジまでを一体化する構造とし これにより、Oリングシールからのスローリ クを含む車室内への冷媒漏れを防いでいる

 アキュムレータ5は、エバポレータ4から導 される気液二相冷媒から気液を分離し、気 冷媒をコンプレッサ1に供給し、CO 2 冷凍サイクル中の余剰液冷媒を本体内部に貯 液する。R744(CO 2 冷媒)を用いた冷凍サイクルでは、高圧圧力 臨界圧を超えた場合、高圧側に液冷媒が溜 らない。このため、HFC134a(フッ素冷媒)を用 た冷凍サイクルで一般的なリキッドタンク 採用できず、アキュムレータ5を使って冷媒 正量を管理する。

 アキュムレータ5の構成を図2により説明 る。アキュムレータ5は、容器本体51の内部 間の中間部分に上層52と下層53を画成する乾 剤層54を設定している。そして、ヘッド部55 にエバポレータ4からの気液二相冷媒を導入 る冷媒吸入管56と、コンプレッサ1へ気体冷 を吐出するU字状の冷媒吐出管57と、を設け いる。このU字状の冷媒吐出管57には、上層52 の部分に気体冷媒吸入口58が開口され、下層5 3の液冷媒に浸漬する最下部のU字湾曲位置に イルブリード59が開口されている。

 アキュムレータ5では、容器本体51の内部 導入された気液二相冷媒を、上層52から下 53へと乾燥剤層54を介して通過させることに り、気液分離、液冷媒液面の安定化及び水 除去を行う。そして、気液分離され、乾燥 層54を経過して上層52に移行した気体冷媒は 、冷媒吐出管57の上部に設定された気体冷媒 入口58から吸入され、コンプレッサ1へ戻さ る。また、気液分離された液冷媒の下部に 降した潤滑油が、オイルブリード59より吸 され、上記の冷媒の流れを利用してコンプ ッサへ戻される。さらに、冷凍サイクル中 余剰の液冷媒が、容器本体51に貯液される。

 アキュムレータ5は、オイル/冷媒の相溶 性を利用し、直径1mm程度のオイルブリード によってオイル循環率とアキュムレータの 口冷媒の状態(乾き度)とを制御しており、オ イル循環率OCRがOCR=2~7%に、アキュムレータの 口冷媒の乾き度XがX=0.9~1.0に管理されている 。

 本発明の実施例1~3では、ガスクーラ2の出 口から膨張弁3の入口までの冷媒経路に沿っ 、メイン高温側熱交換部6aとサブ高温側熱交 換部7aとを直列に設定している。また、膨張 3の出口からコンプレッサ-1の入口までの冷 経路に位置するアキュムレータ5を挟んでメ イン低温側熱交換部6bとサブ低温側熱交換部7 bを設定している。

 そして、CO 2 冷凍サイクル中の内部熱交換器は、メイン高 温側熱交換部6aとメイン低温側熱交換部6bと 組み合わせたメイン内部熱交換器6と、サブ 温側熱交換部7aとサブ低温側熱交換部7bとを 組み合わせたサブ内部熱交換器7とで構成さ ている。

 実施例1では、メイン内部熱交換器6を、 1A、図1Bに示すように、ガスクーラ2の出口直 後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交換 部6aと、アキュムレータ5の出口からコンプレ ッサ1の入口までの冷媒経路に設定したメイ 低温側熱交換部6bとの組み合わせにより構成 している。このメイン内部熱交換器6は、コ プレッサ吐出温度Tdを限界温度(図1BのTd保護 イン、140℃程度)以下に抑えつつ、臨界温度 (=31.1℃)を超えている冷媒温度を、ガス領域 液領域の臨界温度付近(図1Bの31.1℃ライン)ま で低下させる内部熱交換を行う。

 また、実施例1では、サブ内部熱交換器7 、メイン高温側熱交換部6aの出口から膨張弁 3の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温 熱交換部7aと、エバポレータ4の出口からア ュムレータ5の入口までの冷媒経路に設定し サブ低温側熱交換部7bとの組み合わせによ 構成している。このサブ内部熱交換器7は、 イン内部熱交換器6での内部熱交換により低 下した冷媒温度を、膨張弁入口冷媒温度Texが 臨界温度(=31.1℃)より低い、冷媒が液領域に る温度まで低下させる内部熱交換を行う。

 次に、実施例1のCO 2 冷凍サイクルの作用を説明する。まず、超臨 界冷凍サイクル技術の説明を行う。続いて、 実施例1の超臨界冷凍サイクルにおける作用 、コンプレッサ動力低減作用、クールダウ 過渡期の速冷作用、エバポレータ出口乾き の安定性向上と冷媒適正幅増大作用に分け 、従来の超臨界冷凍サイクルと比較しなが 説明する。

[超臨界冷凍サイクル技術]
 高まる地球温暖化防止の世界動向に対応す べく、自然冷媒であるR744(CO 2 冷媒)を用いたCO 2 冷凍サイクルによるエアコンシステムの開発 が急ピッチで進められている。

 HFC134a(フッ素冷媒)を用いた従来の冷凍サイ ルとCO 2 冷凍サイクルとを比較した場合、CO 2 冷凍サイクルの作動圧力は従来の冷凍サイク ルの作動圧力よりも高く、従来の冷凍サイク ルの作動圧力の約7~10倍の作動圧力となる。 のため、構成部品に耐圧性を持たせること 必須となるが、耐圧設計と同時に重量増加 抑える必要があり、さらには、作動圧力を 全な圧力以下に維持する制御が重要になる

 R744(CO 2 冷媒)の特性は、臨界温度が31.1℃と低く、外 温度が約30℃以上の負荷では、冷媒の圧力 臨界圧(臨界圧7.4MPa以上でかつ温度31.1℃以上 の領域を超臨界領域という。)を超えてしま 。このため、CO 2 冷凍サイクルは、超臨界冷凍サイクルと呼ば れる。

 従来の超臨界冷凍サイクルとしては、図3 に示すように、ガスクーラを出た高温高圧冷 媒とアキュムレータを出た低温低圧冷媒との 間で熱交換を行う内部熱交換器を1つ備え、 バポレータ入口のエンタルピを下げること よって成績係数COPの向上を図ったものが知 れている。

 しかしながら、従来の超臨界冷凍サイクル は、成績係数COPの向上を目的として内部熱 換器を1つ設置した構成であるため、CO 2 冷媒の物性に起因して、高負荷時には、成績 係数COPの向上に限界があり、コンプレッサの 電力が過大となる、という問題がある。また 、ファン風量変化等による負荷変動時には、 エバポレータ出口での過熱度SH(スーパーヒー ト)が変動(増加)してしまい、エバポレータの 温度差(最大温度と最小温度の差)の悪化(増大 )を招く、という問題がある。

 これらの問題の対策として、内部熱交換 の大型化が考えられる。しかし、内部熱交 器を大型化するとコンプレッサ吐出温度Td 上昇し、限界温度を超えてしまうため、内 熱交換器を大型化しようとしても限界があ 。また、アキュムレータの冷媒吐出管に開 されたオイルブリードの内径を大きくし、 バポレータの出口冷媒の乾き度を低減する とが考えられる。しかし、この場合は、冷 量調整が不適となり、さらに、オイル循環 の増加を招く、といったデメリットがある

 さらに、特開2007-155229号公報、特開2007-51841 公報、特開平11-351680号公報等で、超臨界冷 サイクルが提案されているが、いずれも高 荷時に成績係数COPを高めてコンプレッサ電 を低減することができない。すなわち、CO 2 冷凍サイクルでは、高負荷時のコンプレッサ 電力の低減が解決すべき大きな課題として残 っている。

 本発明者は、膨張弁出口からコンプレッ 入口までの低圧側冷媒経路のうち、膨張弁 口からアキュムレータ入口までの位置に低 側熱交換部を設定可能であり、しかも、気 二相の冷媒であることで、内部熱交換のた の冷熱エネルギーが、アキュムレータ出口 の気体冷媒よりも高い、という点に着目し 。

 この着目点にしたがって、ガスクーラ2の出 口から膨張弁3の入口までの冷媒経路に沿っ 、メイン高温側熱交換部6aとサブ高温側熱交 換部7aとを直列に設定し、エバポレータ4の出 口からアキュムレータ5の入口までの冷媒経 に、サブ低温側熱交換部7bを設定し、アキュ ムレータ5の出口からコンプレッサ1の入口ま の冷媒経路に、メイン低温側熱交換部6bを 定した。そして、CO 2 冷凍サイクル中の内部熱交換器を、メイン高 温側熱交換部6aとメイン低温側熱交換部6bと 組み合わせたメイン内部熱交換器6と、サブ 温側熱交換部7aとサブ低温側熱交換部7bとを 組み合わせたサブ内部熱交換器7とで構成し 。

 この構成を採用することにより、コンプ ッサ電力を低減することができると共に、 ールダウン過渡期において、冷却性能を向 することができるようにした。

[コンプレッサ電力低減作用]
 まず、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでは、図1Bに示すように、エバ レータ4の出口からアキュムレータ5の入り までの冷媒経路にサブ低温側熱交換部7bを設 定し、アキュムレータ5の出口からコンプレ サ1の入り口までの冷媒経路にメイン低温側 交換部6bを設定している。このため、メイ 低温側熱交換部6bを従来のCO 2 冷凍サイクルにおける低温側熱交換部のサイ ズと同等のサイズとすることで、コンプレッ サ吐出温度Tdを保護温度以下(図1BのTd保護ラ ン以下)に抑えることができる。また、ガス ーラ2の出口から膨張弁3の入口までの冷媒 路に沿って、メイン高温側熱交換部6aとサブ 高温側熱交換部7aとを直列に設定している。 のメイン高温側熱交換部6aとメイン低温側 交換部6bとを組み合わせることによりメイン 内部熱交換器6を設定し、サブ高温側熱交換 7aとサブ低温側熱交換部7bと組み合わせるこ により、サブ内部熱交換器7を設定している 。

 次に、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでの冷凍サイクル安定期におけ るエバポレータ性能について、図4に基づき 明する。図4は、冷凍サイクル安定期におけ 、サブ内部熱交換器を設けた実施例1のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図と、図3に示す 来のCO 2 冷凍サイクルのモリエル線図との比較図であ る。

 従来のCO 2 冷凍サイクルでは、図4の点線のモリエル線 に示すように、高圧側内部熱交換によるエ タルピ増大量a’と、低圧側内部熱交換によ エンタルピ増大量b’とが相殺する。したが って、エバポレータにおいて熱交換のために 用いられる実エンタルピはA’となる。

 一方、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでは、図4の実線のモリエル線 に示すように、メイン高温側熱交換部6aおよ びサブ高温側熱交換部7aの2つの高圧側内部熱 交換によるエンタルピ増大量aと、メイン低 側熱交換部6bおよびサブ低温側熱交換部7bの2 つの低圧側内部熱交換によるエンタルピ増大 量bとが相殺する。したがって、エバポレー 4において熱交換のために用いられる実エン ルピはAとなる。

 上記比較により明らかなように、実施例1の CO 2 冷凍サイクルも、従来のCO 2 冷凍サイクルと同様に、高圧側内部熱交換と 低圧側内部熱交換によりエンタルピ増大量を 相殺する。このため、実エンタルピはA’≒A なり、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでのサイクル安定期におけるエ バポレータ性能は、従来のCO 2 冷凍サイクルでのサイクル安定期におけるエ バポレータ性能と同等となる。

 次に、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでの冷凍サイクル安定期におけ るコンプレッサ電力について、図4に基づき 明する。実施例1のCO 2 冷凍サイクルでのサイクル安定期においては 、メイン内部熱交換器6に加えられたサブ内 熱交換器7により、膨張弁入口冷媒温度Texを 体冷媒が液化するまで低下させることがで る。これによって、サイクル安定期におけ 、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでの高圧圧力(Pd)を、図4に示す うに、従来のCO 2 冷凍サイクルでの高圧圧力に比べてδPdだけ げることができる。

 これにより、冷凍サイクル安定期において 実施例1のCO 2 冷凍サイクルでのコンプレッサ圧縮比がδPd け下げられる。したがって、図4に示すよう 、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでの圧縮エンタルピEは、従来 CO 2 冷凍サイクルでの圧縮エンタルピE’に比べ 低減する。

 この結果、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでは、コンプレッサ1での圧縮 ネルギーを低減でき、すなわち、コンプレ サ電力を低減できる。さらに、上述したよ に、従来のCO 2 冷凍サイクルと同等のエバポレータ性能が得 られることから、エバポレータ冷却能力/コ プレッサ電力の式により得られる成績係数CO Pを向上することができる。

 図5は、各種測定値とコンプレッサ電力と 成績係数COPとを、サブ内部熱交換器の有無に より対比した表である。図5に示す表におい は、サブ内部熱交換器無しのコンプレッサ 力は2.74KWであるのに対し、サブ内部熱交換 有りのコンプレッサ電力は2.55KWであり、サ 内部熱交換器を設定することによりコンプ ッサ電力を低減できることが確認された。 た、サブ内部熱交換器無しの成績係数COP=1.77 であるのに対し、サブ内部熱交換器有りの成 績係数COP=1.90であり、サブ内部熱交換器を設 することにより成績係数COPを改善できるこ が確認された。

[クールダウン過渡期の速冷作用]
 次に、図6に基づいて、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでのクールダウン過渡期におけ るエバポレータ性能を説明する。図6は、実 例1のCO 2 冷凍サイクルと図3に示す従来のCO 2 冷凍サイクルとのモリエル線図の比較図であ る。

 クールダウン過渡期には、エバポレータの 口では気体冷媒が乾いた状態であり、従来 CO 2 冷凍システムの内部熱交換器も、実施例1のCO 2 冷凍システムのメイン内部熱交換器6も、ほ んど熱交換を行わない。つまり、従来のCO 2 冷凍システムの内部熱交換器も、実施例1のCO 2 冷凍システムのメイン内部熱交換器6も、過 度(SH)状態ではない気体冷媒状態で内部熱交 を行うため、エンタルピは、図6のe’、eに すように、共に小さくなる。

 一方、実施例1のCO 2 冷凍システムではサブ内部熱交換器を有して おり、サブ内部熱交換器7がメイン内部熱交 器6に代わって冷媒の膨張弁入口冷媒温度Tex 大幅に下げることができる。

 したがって、従来のCO 2 冷凍サイクルのエバポレータエンタルピf´に 比べ、実施例1のCO 2 冷凍サイクルのエバポレータエンタルピfは きくなり、クールダウン過渡期においてエ ポレータ4による冷媒の冷却が迅速かつ効果 に行われる。

 図7は、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)と実施 1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)につい 、クールダウン開始からの時間経過に従う 張弁入口冷媒温度Texとエバポレータ出口で 冷媒温度の変化を示す図である。

 膨張弁入口冷媒温度Texに着目すると、実施 1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)の場合( 図7の実線)は、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)の場合( 図7の点線)に比べ、エアコン起動直後から膨 弁入口冷媒温度Texを下げる効果が大きく、 えば、7分経過後においては、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)の場合 比べて約9℃低下する。したがって、実施例 1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 アコン起動直後の早期段階において、エバ レータ入口とエバポレータ出口のエンタル の差を大きくすることができる。

 一方、エバポレータ出口での冷媒温度に着 すると、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器有り)の場合( 図7の点線)は、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器無し)の場合( 図7の点線)に比べてエバポレータ出口での冷 温度が低下し、例えば、7分経過後において は、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器無し)の場合 比べて2℃以上低下する。

 次に、実施例1のCO 2 冷凍サイクルでのクールダウン過渡期におけ るコンプレッサ電力について説明する。サブ 内部熱交換器7が熱交換性能を発揮すると、 凍サイクル形成が早く、冷媒流量が増加し 、コンプレッサ電力は大きくなる。よって クールダウン過渡期において同一の時間を 過した時点でのコンプレッサ電力は、実施 1のCO 2 冷凍サイクルの方が従来のCO 2 冷凍サイクルより大きくなってしまう。しか し、成績係数COP(=エバポレータ冷却能力/コン プレッサ電力)は変わらないので、エバポレ タ4での冷却能力が増大する分、コンプレッ 電力が大きくなるだけである。

[エバポレータ出口の乾き度の安定性向上と 媒封入量の適正幅増大作用]
 実施例1では、サブ低温側熱交換部7bを、エ ポレータ4の出口からアキュムレータ5の入 までの冷媒経路に設定した。これにより、 記に述べるように、エバポレータ出口乾き の安定性向上と冷媒封入量の適正幅増大作 が得られる。

 図8は、従来のCO 2 冷凍サイクルにおける、冷媒封入量とエバポ レータ出口の乾き度との関係、および、冷媒 封入量とエバポレータの入口の乾き度との関 係を示す特性図である。従来のCO 2 冷凍サイクルでは、図3に示すように、エバ レータの出口がアキュムレータと接続され いるので、図8に示すように、エバポレータ 口の乾き度Xは、冷媒封入量450g~650gの200gの 囲において約1.0で安定する。この冷媒封入 の範囲が、冷媒封入量の適正幅となる。

 図9は、従来のCO 2 冷凍サイクルにおいて、オイルブリード径を 大きくした場合の、冷媒封入量とエバポレー タ出口の乾き度との関係、および、冷媒封入 量とエバポレータの入口の乾き度との関係を 示す特性図である。従来のCO 2 冷凍サイクルにおいてオイルブリード径を大 きくした場合、図9に示すように、エバポレ タ出口の乾き度は、冷媒封入量が大きいほ 低下する。つまり、エバポレータ出口の乾 度Xが安定する冷媒封入量の適正幅が無い。 たがって、例えば、冷媒封入量が変化する 期と冬期では、エバポレータ出口の乾き度 変化してしまう。

 図10は、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)におけ 、冷媒封入量とエバポレータ出口の乾き度 の関係、および、冷媒封入量とエバポレー の入口の乾き度との関係、および、冷媒封 量とサブ内部熱交換器の出口の乾き度との 係を示す特性図である。実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)の場合 サブ内部熱交換器7が一定の熱交換を行い、 図10に示すように、冷媒封入量450g~700gの250gの 範囲(=冷媒封入量の適正幅)において、エバポ レータ出口の乾き度XがX=0.8程度の値を維持す るように熱交換が行われる。さらに、従来の CO 2 冷凍サイクルでは冷媒封入量の適正幅が200g あったのに比べ(図8参照)、実施例1のCO 2 冷凍サイクルにおける冷媒封入量の適正幅は 250gとなっており(図10参照)、大きな負荷変動 対しても冷凍サイクルの安定性を向上させ ことができる。

 なお、HFC134a(フッ素冷媒)を用いた現行の冷 サイクルと、R744(CO 2 冷媒)を用いたCO 2 冷凍サイクルの負荷変動耐性を比較すると、 エバポレータ(0℃)が保有する熱量は、HFC134a( ッ素冷媒)が140kJであるのに対し、R744(CO 2 冷媒)は25kJである。したがって、R744(CO 2 冷媒)を用いたCO 2 冷凍サイクルは、HFC134a(フッ素冷媒)を用いた 現行の冷凍サイクルよりエバポレータが保有 する熱量が少なく、負荷変動に対して安定し ない特性を示す。

 次に、負荷変動の一例として、ファン風量 ロー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えた場合の実 例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)の動作 、図11~図13に基づいて説明する。

 図11は、ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に 切り替えた場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の乾き度と、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の乾き度の時間 特性を示す図である。従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)では、 バポレータ出口の乾き度は、図11の点線特 に示すように、ファン風量がロー(Lo)の場合 乾き度Xは1.0より少し小さな値を示し、ファ ン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えると 乾き度Xは1.0より少し大きな値まで上昇し、 図11の約2分30秒の時点で1.0以下の値に収束す 。

 一方、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 11の実線特性に示すように、ファン風量が ー(Lo)の場合は乾き度Xが1.0より小さな値(X=0.7 程度)を示し、ファン風量をロー(Lo)からハイ( Hi)に切り替えた場合、乾き度Xは瞬間的に1.0 り少し大きな値となるものの、図11の約2分 時点で1.0以下の値に収束する。つまり、実 例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 バポレータ4の入口から出口に至るまでの間 、冷媒は気液二相状態であり、エバポレータ 4での温度差(最大温度と最小温度の差)が良好 となる。なお、エバポレータ出口の乾き度X 、1.0未満は気液二相の飽和状態であり、1.0 上は過熱度SH域である。

 図12は、ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に 切り替えた場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の過熱度と、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の過熱度の時間 特性を示す図である。従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)では、 12の点線特性に示すように、ファン風量を ー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えた場合、エバポ レータ出口の乾き度Xが1.0以上(SH域)となる時 が図12の約2分30秒の時点まで続く。

 一方、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 12の実線特性に示すように、ファン風量を ー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えた場合、エバポ レータ出口の乾き度が1.0以上(SH域)となる時 は僅かである。つまり、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 ァン風量変化直後の過熱度域(SH域)の時間を 大幅に削減することができる。

 図13は、ファン風量をロー(Lo)からハイ(Hi)に 切り替えた場合の、従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)におけ エバポレータ出口の冷媒温度と、実施例1の CO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器(200mm×3段)あ )におけるエバポレータ出口の冷媒温度の時 間特性を示す図である。従来のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器なし)では、 13の点線特性に示すように、ファン風量を ー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えた場合、エバポ レータ出口の冷媒温度には、10℃程度の大幅 変動がみられる。

 一方、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(サブ内部熱交換器あり)では、 13の実線特性に示すように、ファン風量を ー(Lo)からハイ(Hi)に切り替えた場合、エバポ レータ出口の冷媒温度の変動は、5℃程度の 幅な変動に抑えることができる。これによ 、結果的に、エバポレータでの温度差(最大 度と最小温度の差)が縮まり、冷房性能の向 上を図ることができる。

 以上述べたように、実施例1のCO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)では、下 に列挙する効果を得ることができる。

 (1)コンプレッサ1と、ガスクーラ2と、膨 弁3と、エバポレータ4と、アキュムレータ5 順次環状に接続し、内部熱交換により膨張 3の入口の冷媒温度を低下させる内部熱交換 を備えた超臨界冷凍サイクルであって、ガ クーラ2の出口から膨張弁3の入口までの冷 経路に沿ってメイン高温側熱交換部6aとサブ 高温側熱交換部7aを直列に設定し、膨張弁3の 出口からコンプレッサ1の入口までの冷媒経 に位置するアキュムレータ5を挟んでメイン 温側熱交換部6bとサブ低温側熱交換部7bを設 定し、内部熱交換器を、メイン高温側熱交換 部6aとメイン低温側熱交換部6bを組み合わせ メイン内部熱交換器6と、サブ高温側熱交換 7aとサブ低温側熱交換部7bを組み合わせたサ ブ内部熱交換器7とにより構成した。この構 により、冷凍サイクル安定期において、コ プレッサ電力を低減することができると共 、クールダウン過渡期において、冷却性能 向上することができる。

 (2) メイン内部熱交換器6は、臨界温度を える冷媒温度を、ガス領域と液領域の臨界 度付近まで低下させる内部熱交換を行い、 ブ内部熱交換器7は、メイン内部熱交換器6 の内部熱交換により低下した冷媒温度を、 張弁入口冷媒温度が臨界温度より低い、冷 が液領域に入る温度まで低下させる内部熱 換を行い、メイン低温側熱交換部6bおよびサ ブ低温側熱交換部7bのうち、アキュムレータ5 の出口側に設けられた低温側熱交換部による 熱交換量を、コンプレッサ吐出温度を限界温 度以下に抑える量に設定した。この構成によ り、冷凍サイクル安定期において、冷媒が気 液二層領域となるように高圧圧力(Pd)を下げ ことができ、コンプレッサ電力を確実に低 することができる。

 (3) メイン内部熱交換器6は、ガスクーラ2の 出口直後の冷媒経路に設定したメイン高温側 熱交換部6aと、アキュムレータ5の出口からコ ンプレッサ1の入口までの冷媒経路に設定し メイン低温側熱交換部6bと、の組み合わせに より構成し、サブ内部熱交換器7は、メイン 温側熱交換部6aの出口から膨張弁3の入口ま の冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換部7a と、エバポレータ4の出口からアキュムレー 5の入口までの冷媒経路に設定したサブ低温 熱交換部7bと、の組み合わせにより構成し 。この構成により、サブ内部熱交換器7が一 の熱交換を行うので、エバポレータ4の出口 の乾き度を安定して下げることができ、急激 な負荷変動に対応可能なCO 2 冷凍サイクルを実現することができる。さら に、冷媒封入量の範囲(適正幅)が増大し、フ ン風量変化等の大きな負荷変動に対しても CO 2 冷凍サイクルの安定性を向上させることがで きる。

 実施例2は、サブ低温側熱交換部7bを実施 1とは異なる位置に設定した例である。

 まず、構成を説明する。図14Aは、実施例2の CO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図であり、図14Bは、サ クルシステムの概略構成要素をモリエル線 上に配置した図を示す。

 自然冷媒であるR744(CO 2 冷媒)を用いた実施例2のCO 2 冷凍サイクルは、図14に示すように、コンプ ッサ1と、ガスクーラ2と、膨張弁3と、エバ レータ4と、アキュムレータ5を順次環状に 続し、内部熱交換により膨張弁3の入口冷媒 度を低下させるメイン内部熱交換器6とサブ 内部熱交換器7を備えることで構成される。

 実施例2では、メイン内部熱交換器6を、 14A、図14Bに示すように、ガスクーラ2の出口 後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交 部6aと、アキュムレータ5の出口からコンプ ッサ1の入口までの冷媒経路に設定したメイ ン低温側熱交換部6bとの組み合わせにより構 している。このメイン内部熱交換器6は、コ ンプレッサ吐出温度Tdを限界温度以下に抑え つ、臨界温度(=31.1℃)を超えている膨張弁入 口冷媒温度Texを、ガス領域と液領域の臨界温 度付近(図14Bの31.1℃ライン)まで低下させる内 部熱交換を行う。

 また、実施例2では、サブ内部熱交換器7 、メイン高温側熱交換部6aの出口から膨張弁 3の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温 熱交換部7aと、膨張弁3の出口からエバポレ タ4の入口までの冷媒経路に設定したサブ低 側熱交換部7bとの組み合わせにより構成し いる。このサブ内部熱交換器7は、メイン内 熱交換器6での内部熱交換により低下した冷 媒温度を、臨界温度(=31.1℃)より低い、冷媒 液領域に入る温度まで低下させる内部熱交 を行う。なお、他の構成は、実施例1と同様 あるので、対応する構成に符号を付して説 を省略する。

 次に、効果を説明する。実施例2では、サ ブ高温側熱交換部7aを実施例1とは異なる位置 に設定した。この場合、エバポレータ出口の 乾き度Xは1.0となり、ファン風量変化等に対 るエバポレータの温度差(最大温度と最小温 の差)の改善効果は得られない。しかし、内 部熱交換器を、メイン内部熱交換器6とサブ 部熱交換器7とにより構成したため、実施例1 と同様に、コンプレッサ電力低減効果、クー ルダウン過渡期の速冷効果を得ることができ る。

 また、実施例2の車両用超臨界冷凍サイク ルにあっては、実施例1の(1)、(2)の効果に加 、下記(4)の効果を得ることができる。

 (4) メイン内部熱交換器6は、ガスクーラ2 の出口直後の冷媒経路に設定したメイン高温 側熱交換部6aと、アキュムレータ5の出口から コンプレッサ1の入口までの冷媒経路に設定 たメイン低温側熱交換部6bと、の組み合わせ により構成し、サブ内部熱交換器7は、メイ 高温側熱交換部6aの出口から膨張弁3の入口 での冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換 7aと、膨張弁3の出口からエバポレータ4の入 までの冷媒経路に設定したサブ低温側熱交 部7bと、の組み合わせにより構成した。こ 構成により、サブ内部熱交換器7において、 張弁3の入口側と出口側の温度差により、効 果的に内部熱交換を行うことができる。

 実施例3は、実施例1のメイン低温側熱交 部6bとサブ低温側熱交換部7bの位置を交換し 例である。

 まず、構成を説明する。図15Aは、実施例2の CO 2 冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)のサイク システムの概略構成図であり、図15Bは、サ クルシステムの概略構成要素をモリエル線 上に配置した図を示す。

 自然冷媒であるR744(CO 2 冷媒)を用いた実施例2のCO 2 冷凍サイクルは、図15に示すように、コンプ ッサ1と、ガスクーラ2と、膨張弁3と、エバ レータ4と、アキュムレータ5を順次環状に 続し、内部熱交換により膨張弁3の入口冷媒 度を低下させるメイン内部熱交換器6とサブ 内部熱交換器7を備えることで構成される。

 実施例3では、メイン内部熱交換器6を、 15A、図15Bに示すように、ガスクーラ2の出口 後の冷媒経路に設定したメイン高温側熱交 部6aと、エバポレータ4の出口からアキュム ータ5の入口までの冷媒経路に設定したメイ ン低温側熱交換部6bとの組み合わせにより構 している。このメイン内部熱交換器6は、臨 界温度(=31.1℃)を超えている膨張弁入口冷媒 度Texを、ガス領域と液領域の臨界温度付近( 15Bの31.1℃ライン)まで低下させる内部熱交 を行う。

 また、実施例3では、サブ内部熱交換器7 、メイン高温側熱交換部6aの出口から膨張弁 3の入口までの冷媒経路に設定したサブ高温 熱交換部7aと、アキュムレータ5の出口から ンプレッサ1の入口までの冷媒経路に設定し サブ低温側熱交換部7bとの組み合わせによ 構成している。このサブ内部熱交換器7は、 ンプレッサ吐出温度Tdを限界温度以下に抑 つつ、メイン内部熱交換器6での内部熱交換 より低下した冷媒温度を、臨界温度(=31.1℃) より低い、冷媒が液領域に入る温度まで低下 させる内部熱交換を行う。なお、他の構成は 、実施例1と同様であるので、対応する構成 符号を付して説明を省略する。

 次に、効果を説明する。実施例3では、メ イン低温側熱交換部6bとサブ低温側熱交換部7 bを実施例1とは異なる位置に設定した。この め、メイン低温側熱交換部6bによりエバポ ータ出口乾き度Xをコントロールさせること 、実施例1と同様に、コンプレッサ電力低減 効果、クールダウン過渡期の速冷効果を得る ことができる。

 また、実施例3の車両用超臨界冷凍サイク ルにあっては、実施例1の(1)、(2)の効果に加 、下記(5)の効果を得ることができる。

 (5)メイン内部熱交換器6は、ガスクーラ2の 口直後の冷媒経路に設定したメイン高温側 交換部6aと、エバポレータ4の出口からアキ ムレータ5の入口までの冷媒経路に設定した イン低温側熱交換部6bと、の組み合わせに り構成し、サブ内部熱交換器7は、メイン高 側熱交換部6aの出口から膨張弁3の入口まで 冷媒経路に設定したサブ高温側熱交換部7a 、アキュムレータ5の出口からコンプレッサ1 の入口までの冷媒経路に設定したサブ低温側 熱交換部7bと、の組み合わせにより構成した この構成により、メイン内部熱交換器7が一 定の熱交換を行うので、エバポレータ4の出 の乾き度を安定して下げることができ、急 な負荷変動に対応可能なCO 2 冷凍サイクルを実現することができる。さら に、冷媒封入量の範囲(適正幅)が増大し、フ ン風量変化等の大きな負荷変動に対しても CO 2 冷凍サイクルの安定性を向上させることがで きる。

 以上、本発明の超臨界冷凍サイクルを実 例1~実施例3に基づき説明してきたが、具体 な構成については、これらの実施例に限ら るものではなく、特許請求の範囲の各請求 に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計 変更や追加等は許容される。

 実施例1~3では、メイン内部熱交換器6とサ ブ内部熱交換器7をそれぞれ独立に設定する を示した。しかし、例えば、メイン高温側 交換部とサブ高温側熱交換部を一体に構成 、外観上は、あたかも1個の内部熱交換器を する構成としても良い。

 すなわち、ガスクーラの出口から膨張弁 入口までの冷媒経路に沿って直列にメイン 温側熱交換部とサブ高温側熱交換部を設定 、膨張弁の出口からコンプレッサの入口ま の冷媒経路であって、アキュムレータを挟 だ両側の位置にそれぞれメイン低温側熱交 部とサブ低温側熱交換部を設定し、内部熱 換器を、メイン高温側熱交換部とメイン低 側熱交換部を組み合わせたメイン内部熱交 器と、サブ高温側熱交換部とサブ低温側熱 換部を組み合わせたサブ内部熱交換器によ 構成したものであれば、実施例1~3に限られ ことはない。

 本発明の超臨界冷凍サイクルは、例えば、 庭用のエアコンシステムや工場や事業所の アコンシステム等の超臨界冷凍サイクルと ても適用できる。すなわち、コンプレッサ 、ガスクーラと、膨張弁と、エバポレータ 、アキュムレータを順次環状に接続し、内 熱交換により膨張弁の入口冷媒温度を低下 せる内部熱交換器を備えた超臨界冷凍サイ ルであれば適用可能である。