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Patent Searching and Data


Title:
SURFACE MODIFICATION METHOD AND COVER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081614
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a surface modification method which efficiently imparts impulsive force caused by plasma generation to a workpiece surface and imparts a desired function to the workpiece surface. Also provided is a cover used for the same. In the surface modification method, the top of the workpiece surface is covered with the cover which has a plasma generation layer absorbing laser beams to generate plasma and a hard layer having a flat or uneven shape in its one surface, the cover is irradiated with the laser beams having a short-pulse and high-peak output to pressure-form the workpiece surface into a flat or uneven shape of the hard layer by the shock waves of laser peening. A fixing substance such as particulate may be arranged between the workpiece surface and the cover to pressure-form the workpiece surface and to bury the fixing substance such as particulate into the workpiece surface. Depending on the property of the fixing substance, various functions can be imparted to the workpiece surface.

Inventors:
KUTSUNA MUNEHARU (JP)
SAITO KIYOTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063975
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
August 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KUTSUNA MUNEHARU (JP)
SAITO KIYOTAKA (JP)
International Classes:
C23C26/00; B23K26/352; C23C24/06; C23C24/08; C23C28/00
Foreign References:
JP2007169753A2007-07-05
JP2007169754A2007-07-05
JP2006320907A2006-11-30
JP2006122969A2006-05-18
JP2006159290A2006-06-22
Attorney, Agent or Firm:
OHKAWA, Hiroshi (Nakamura-ku Nagoya-shi, Aichi, JP)
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Claims:
 被加工物の被加工面の上をレーザを吸収してプラズマを発生するプラズマ発生層と、一面に平面又は凹凸形状を有する硬質層とを備えた被覆体で覆い、該被覆体の前記プラズマ発生層に短パルス高ピーク出力のレーザを照射し、レーザピーニングの衝撃波により前記被加工面を前記硬質層の平面又は凹凸形状で加圧成形することを特徴とする表面改質方法。
 前記レーザを照射する前に、前記被覆体と前記被加工面との間に該被加工面に固着して該被加工面に所望の機能を付与する固着物を配置する請求項1に記載の表面改質方法。
 前記被覆体は板状又は帯状の鋼材からなり、該鋼材の一面側に硬化処理により形成された前記硬質層を有する請求項1に記載の表面改質方法。
 前記硬化処理は、焼入れ処理、浸炭処理、浸窒・窒化処理、硬質メッキ処理、硬化蒸着処理、加工硬化処理のうちの何れか一である請求項3に記載の表面改質方法。
 前記被覆体は、板状又は帯状の金属、金属化合物、樹脂、合成ゴムのうち何れか1種からなるプラズマ発生層と、該プラズマ発生層よりも高硬度の材料からなる硬質層とを接合した積層体である請求項1に記載の表面改質方法。
 前記固着物は、粉粒体である請求項2に記載の表面改質方法。
 前記粉粒体は、金属、合金、金属化合物、樹脂、セラミックスおよび香料の何れか一である請求項6に記載の表面改質方法。
 前記固着物は、マイクロ部品である請求項2に記載の表面改質方法。
 前記マイクロ部品は、ICチップ、半導体、マイクロチップ、光学素子、マイクロマシーンおよびマイクロ化学薬品のうちの何れか一である請求項8に記載の表面改質方法。
 前記硬質層の硬度はHV150以上である請求項1に記載の表面改質方法。
 前記レーザを照射する前に、前記被加工物の前記被加工面に、予め熱処理、メッキ処理、金属溶射処理、肉盛り処理、蒸着処理のうち何れか1以上の処理を施す請求項1に記載の表面改質方法。
 前記レーザを照射する前に、前記被加工物の前記被加工面に、予め周期的微細構造あるいは微細な溝を形成しておく請求項2に記載の表面改質方法。
 さらにエポキシ系、ポリアミド系、あるいはアクリル系の接着剤および/又は該接着剤と前記固着物との混合物を塗布する請求項12に記載の表面改質方法。
 レーザを照射して被加工物に間接的にレーザピーニングを施す被加工物の被覆体であって、
レーザを吸収してプラズマを発生するプラズマ発生層と、前記被加工物の対向面に平面又は凹凸形状を有する硬質層とを一体的に備えたことを特徴とする被覆体。
 
Description:
表面改質方法および被覆体

本発明は、レーザによる表面改質方法とそ れに用いる被覆体に関する。

 本発明者は、被加工物表面に直接高ピー 出力密度のパルスレーザを照射するのでは く、被加工面の上をレーザ吸収増強皮膜で い、このレーザ吸収増強皮膜の上から短パ ス高ピーク出力のレーザを照射して、被加 面にレーザピーニングの衝撃波による微細 陥没部を形成したり、被加工面に固体潤滑 などの粉粒体を打ち込むことのできるレー ピーニング方法を提案した(特許文献1参照)

 しかし、このレーザピーニング方法では レーザ吸収増強皮膜のベースシートが樹脂 ィルムや金属薄膜からなるために、レーザ 射によりベースシートが塑性変形してプラ マの発生による衝撃力を被加工面に効率よ 付与することができない場合があった。例 ば、溶接止端部などのピーニング処理では 分な圧縮残留応力の付与ができなかった。

また、アルミニウム箔をベースシートとして 金属炭化物やセラミックスなどの高硬度の固 体潤滑材を鋼材からなる摺動部材の摺動面に 打ち込む場合などでは、固体潤滑材を摺動面 に安定して埋設することができなかった。そ して、この従来技術では被加工面に所望の立 体形状を形成することができないために、そ の適用範囲が制約されるという課題があった 。

特開2007-169753号公報

 本発明は、上記の課題を解決するために されたものであり、プラズマ発生に伴う衝 力を効率よく被加工面に付与するとともに 被加工面に所望の機能を付与することので る表面改質方法と、それに用いる被膜体の 供を課題とする。

本発明の表面改質方法は、被加工物の被加 工面の上をレーザを吸収してプラズマを発生 するプラズマ発生層と、一面に平面又は凹凸 形状を有する硬質層とを備えた被覆体で覆い 、該被覆体の前記プラズマ発生層に短パルス 高ピーク出力のレーザを照射し、レーザピー ニングの衝撃波により前記被加工面を前記硬 質層の凹凸形状に加圧成形ことを特徴とする 。

本発明の表面改質方法によれば、被加工面 を覆う被覆体は、プラズマ発生層と硬質層と を一体的に備えているので、プラズマ発生に 伴う衝撃力を硬質層を介して効果的に被加工 面に付与することができる。硬質層の被加工 物対向面には所定の凹凸形状が形成されてい るので、被加工面は塑性変形してこの凹凸形 状に加圧成形される。そして、この加圧成形 により被加工面に結晶の微細化や微細な表面 欠陥の解消などといった表面改質を施すこと ができる。また、被加工面に高い圧縮残留応 力を効果的に付与することができる。

本発明の表面改質方法において、レーザを 照射する前に、被覆体と被加工面との間に被 加工面に固着して被加工面に所望の機能を付 与する固着物を配置することが望ましい。被 覆体と被加工面との間に配置された固着物は 、レーザピーニングの衝撃波により被加工面 に埋設される。この時、被加工面は硬質層の 凹凸形状に加圧成形されるので、固着物を被 加工面に立体的に配置することができる。固 着物を被加工面に三次元的に配置することで 所望の機能を効果的に発揮する被加工面とす ることができる。

本発明の表面改質方法において、被覆体は 板状又は帯状の鋼材からなり、この鋼材の一 面側に硬化処理により形成された硬質層を有 するものとすることができる。本発明に係る 被覆体はプラズマ発生層と硬質層とで構成さ れている。プラズマ発生層は、レーザを吸収 してプラズマを発生するとともに、衝撃波に より破断しない程度の強度と延性を備える必 要がある。このため鋼材は、適当な強度と延 性とを有し、かつレーザを吸収してプラズマ 化しやすい材料であるので好適である。また 、鋼材は、焼入れ処理、浸炭処理、浸窒・窒 化処理、硬質メッキ処理、硬化蒸着処理、加 工硬化処理など周知の硬化処理で容易に硬化 層を形成することが出来る。従って、エンボ スやレーザ加工など周知の方法で一面に凹凸 形状を形成し、この一面側に前記の硬化処理 を施した鋼材は本発明に係る被膜体として好 適である。

また、被覆体は、板状又は帯状の金属、金 属化合物、樹脂、合成ゴムのうち何れか1種 らなるプラズマ発生層と、このプラズマ発 層よりも高硬度の材料からなる硬質層とを 合した積層体としてもよい。被覆体の厚さ よっては、前記のような一面を硬化した硬 層では加圧成形や固着物の埋設が不十分な 合がある。このような場合には、プラズマ 生層と硬質層とを異なる材料で構成して両 を接合して被膜体とするとよい。

 本発明の表面改質方法において、固着物 、金属、合金、金属化合物、樹脂およびセ ミックス粉粒体とすることができる。各種 機能を有するこれらの粉粒体を被加工面に 設することで被加工面にそれぞれの有する 能を付与することができる。

また、固着物は、ICチップ、半導体、マイ ロチップ、光学素子、マイクロマシーンお びマイクロ化学薬品のようなマイクロ部品 あってもよい。従来、これらのマイクロ部 は、ロウ付けや接着などの方法で電子回路 どの基板へ装着されていた。しかし、被覆 を用いる本発明の表面改質方法を適用する とで、前記粉粒体と同様にマイクロ部品を 望の装着面に容易に装着することが出来る

上記のような粉粒体やマイクロ部品を強固 に固着させるために、硬質層の硬度はHV150以 であることが望ましい。

本発明の表面改質方法において、レーザを 照射する前に、被加工物の被加工面に、予め 熱処理、メッキ処理、金属溶射処理、肉盛り 処理、蒸着処理のうち何れか1以上の処理を すことが望ましい。被加工物にこれらの処 を施して被加工面に予め軟質層を形成して くことにより、被加工面をより確実に加圧 形することができ、かつ、固着物をより確 に埋設することができる。

また、レーザを照射する前に、被加工物の 前記被加工面に、予め周期的微細構造あるい は微細な溝を形成しておくことが望ましく、 さらに、このような微細構造や溝に、エポキ シ系、ポリアミド系、あるいはアクリル系の 接着剤および/又は該接着剤と固着物との混 物を塗布するとよい。

被加工面にこのような微細構造や溝を有す ることで、微細な粉粒体を的確に埋設するこ とができる。また、更に接着剤および/又は れらの接着剤と固着物との混合物を塗布し おくことで、例えば二硫化モリブデンなど 固体潤滑材を摺動面に強固に保持すること できる。

本発明の被覆体は、レーザを照射して被加 工物に間接的にレーザピーニングを施す被加 工物の被覆体であって、レーザを吸収してプ ラズマを発生するプラズマ発生層と、被加工 物の対向面に凹凸形状を有する硬質層とを一 体的に備えたことを特徴とする。

本発明によれば、被覆体表面の凹凸形状や 固着物を適宜に選択することで被加工面に種 々の機能を付与することができる。また、IC ップなどのマイクロ部品を所定の基材へ容 に装着することが出来る。

第1実施形態を説明する説明図である。 凹凸形状の一例を示す斜視図と断面模 図である。(a)は規則的な形状の例であり、( b)は不規則な形状の例である。 第2実施形態を説明する説明図である。 第2実施形態における加圧成形面と粉粒 体との関係を模式的に示す断面図である。(a) は凸部頂面に粉粒体が埋設された場合であり 、(b)凹部底面に粉粒体が埋設された場合を示 す。 第3実施形態を説明する説明図である。 (a)レーザ照射前、(b)はマイクロ部品埋設後を 示す。 第3実施形態の変形例を説明する図であ る。(a)はマイクロ部品を保持する被覆体の断 面模式図であり、(b)ははマイクロ部品埋設後 の表層断面を示す。

符号の説明

10  被加工物 
10a 被加工面 
20  被覆体 
21  プラズマ発生層 
22  硬質層 
22a 凹凸形状 
22a’加圧成形面 
30  レーザ出射部 
40  粉粒体 
50  マイクロ部品 
L   レーザ

 以下、本発明の好適な実施の形態を図面を 照しながら詳細に説明する。
 [第1実施形態]

 図1は、第1実施形態の概要を示す説明図 あり、10は被加工物、20は被加工面を被覆す 被覆体、30はレーザ出射部、31は集光レンズ である。

まず、本実施形態に係る被覆体20について 明する。被覆体20は、レーザを吸収してプ ズマを発生するプラズマ発生層21と、硬質層 22とを備えている。従って、被膜体20は、レ ザ照射によりプラズマ化しやすい板状又は 状の金属の一面側に適宜の硬化処理を施し 硬質層22を形成して構成することができる。 例えば、被覆体を鋼材シートとした場合には 、その一面に焼入れ処理、浸炭処理、あるい は浸炭・窒化処理などの硬化処理を施して硬 質層22を形成する。すなわち、鋼材シートの 入れ硬化層、浸炭層、あるいは浸窒・窒化 などが硬質層22であり、鋼材シートの未処 部分がプラズマ発生層21である。また、被覆 体20をアルミニウムシートとする場合には、 の一面に時効処理あるいは硬質アルマイト 理などを施して硬質層22を形成すればよい

 被覆体20は上記のような2層構造を有する 一材料に限定されることなく、プラズマ発 層21の材料と硬質層22の材料とを別材料とし て、両者を接合して一体化した積層体として 構成してもよい。この場合には、レーザ照射 によりプラズマ化しやすい材料をプラズマ発 生層21とし、このプラズマ発生層21よりも硬 の別の材料を硬質層22とする。例えば、低炭 素鋼のシートをプラズマ発生層21とし、別途 炭処理して形成したシート状の浸炭硬化シ トを硬質層22として前記の低炭素鋼シート 積層し接着剤などで接合して被膜体20として もよい。

被覆体20の硬質層22の被加工面10aに対向す 側には、凹部221と凸部222とからなる凹凸形 22aが形成されている。凹凸形状の一例を図2 示す。図2は、被覆体20を裏面(被加工面に対 向する面)側から見た斜視図とその断面模式 である。凹凸形状22aは、(a)のような規則的 格子形状でもよいし、(b)のような不規則な 状であってもよい。しかし、凹部221の深さd 1~30μmとするとよい。凹部221の深さdが1μm未 では被加工面に充分な圧縮残留応力を付与 ることができず、また、30μmを超えて深い 凸形状の形成には通常以上のレーザ出力を するので適当ではない。より好ましくは、3~ 10μmである。このような凹凸形状は、エンボ 、レーザ加工、圧延などの周知の方法で形 することができる。なお、凹凸形状の形成 、硬化処理の前でも後でもよい。

上記のように構成される被覆体20の厚さは5 ~120μmとするとよい。被覆体20の厚さが5μm未 では、プラズマの発生により被覆体20が破損 することがあり、一方、120μmを超えて厚いと 衝撃波による応力を被加工面に効果的に伝達 できないことがある。より好ましくは、15~50 mである。また、被加工面10aに所望の加圧成 を効果的に行うために、被覆体20厚さtの10~3 0%を硬質層22にするとよい。硬質層22が被覆体 厚さtの10%未満では、硬質層が高いプラズマ 力のため破断することがあり、効果的な加 成形ができないことがある。30%を超えて厚 と、被覆体20の剛性が高すぎてレーザ照射に 追随して被覆体20が変形できなくなるので好 しくない。硬質層20の厚さは、被覆体40の10~ 20%がより好ましい。

また、レーザエネルギをより効果的に吸収 するために、被覆体20の上面(プラズマ発生層 21の表面)にグラファイトや黒色顔料などを塗 布したレーザ吸収増強層を形成してもよい。

次に、以上のように構成された被膜体20を いて被加工物10の被処理面10aに所望の加圧 形を施す処理方法について説明する。

まず、被加工物10の被加工面10aに凹凸形状 22aを対向させて被覆体20を密着するように 設する。

 次いで、被覆体20に向けて、パルス幅が1~50n sで出力密度が1[GW/cm 2 ]~50[GW/cm 2 ]の短パルス高ピーク出力のレーザを照射す 。具体的には、QスイッチのNd:YAGレーザ装置 用い、パルスエネルギーを1.0[mJ/pulse]~2000[mJ/ pulse]、波長を532[nm]~1080[nm]、レーザパワー密 を5[GW/cm 2 ]~15[GW/cm 2 ]、周波数を数1[Hz]~数1000[Hz]に設定したパルス レーザを、被覆体20に向けて出射する。この き、レーザ装置におけるレーザ集光部(図示 せず)又はレーザ出射部30に集光レンズ31を設 て、被覆体20のプラズマ発生層21表面におけ るレーザ照射径が0.1[mm]~6.0[mm]になるようにレ ーザを集光する。

 上記の如くレーザが出射されると、その ーザLは、被覆体20のプラズマ発生層21に到 し、プラズマ発生層21が急速に5000[℃]以上の 高温に加熱されて爆発的にプラズマが発生す る。即ち、プラズマ発生層21の一部又は全部 プラズマ化し、プラズマ発生層21の構成物 である原子、分子、イオン、電子等の粒子 が爆発的に放出される。そして、それら粒 群の爆発的放出による反作用力が衝撃波と て硬質層22から被加工物10の被加工面10aに付 される。即ち、被加工面10aに、例えば、1[GP a]~10[GPa](1万気圧~10万気圧)の反作用力が作用 る。被加工面10aに対向する被覆体20の硬質層 22には凹凸形状22aが形成されているので、プ ズマ発生による加圧力により被加工面10aの 層部が塑性変形してこの凹凸形状22aに加圧 形される。

次いで、被覆体20を被加工物10から捲り取 、被加工面10aに所望の凹凸形状22aが加圧形 された被加工物10を得ることができる。

 このように加圧成形された被加工面を摺 部材の摺動面に適用すれば、摺接部(凸部) 油だまり(凹部)とを摺動面全域に亘って均一 に且つ容易に形成することができる。また、 このような加圧成形を施すことで、被加工面 10aに結晶の細分化、既存クラックの消滅およ び加工硬化などを生じ、加圧成形面に高い耐 摩耗性と疲労強度を付与することができる。

 また、被加工面10aには例えば数GPaという い加圧力が負荷されるので、加圧成形面の 部にまで高い圧縮残留応力を付与すること 可能である。例えば、このような加圧成形 溶接止端部に施すことにより、溶接部の疲 強度を高め、溶接構造物の長寿命化を図る とができる。

 なお、本実施形態において、被覆体20への ーザ照射は、水を介して実施するようにし もよい。例えば、被加工物10に被覆体20を載 した状態で水中に配置したり、照射部に水 流しながらレーザを照射する方法である。 の方法では、被覆体20を覆っている水の慣 力によりプラズマの膨張が押さえられるの 、被覆体にレーザを直接照射した場合より 、被加工物の被加工面に付与する衝撃波の 度を高めて被加工面に効率よく加圧成形を すことができる。この場合には、波長が532[n m]のYAGレーザの2倍波を利用する方が、波長が 1064[nm]の通常のYAGレーザを用いるよりも、容 に水を透過させることができるので、レー の波長は、532[nm]にするのが望ましい。
 [第2実施形態]

 第2の実施形態は、前記第1実施形態に加 て、レーザを照射する前に、被覆体と被加 面との間に被加工面に固着して被加工面に 望の機能を付与する固着物を配置すること より、被加工面の加圧成形とともに、固着 を被加工面に固着又は埋設する態様である

ここでは、固着物が所望の機能を有する粉 粒体の場合について説明する。所望の機能を 有する粉粒体としては、摺動特性を向上させ る固体潤滑材粒子、セルフクリーニング性や 親水性を有する光触媒粒子、抗菌性を有する 抗菌剤粒子などの粉粒体を例示することがで きる。本実施形態は、レーザ照射前にこれら の粉粒体を被加工面と被覆体との間に配置す る以外は、前記第1実施形態と同様に実施す ことができる。

 例えば、図3に示すように被膜体20の凹凸 状22aの凹部221に埋設すべき粉粒体40を充填 て付着させておく。そして、前記第1実施形 と同様にこの被覆体20を被加工面10a上に密 して配置してレーザLを照射する。レーザ照 により凹凸形状22aが被加工面10aに加圧成形 れるが、同時に粉粒体40が被加工面10aに打 込まれて埋設される。

図3に示したように、粉粒体40を被覆体20表 の凹部221にのみ配置した場合には、粉粒体4 0は、図4(a)に示すように被加工面10aに加圧成 された凹凸面22a’の凸部221’頂面にのみ埋 することができる。また、粉粒体40を被覆 20表面の凸部222にのみ配置した場合には、粉 粒体40は、図4(b)に示すように被加工面10aに転 写された凹凸面の凸部222’底面にのみ埋設す ることができる。なお、凸部221’頂面と凹部 221’底面の両方に粉粒体40を埋設してもよい とはいうまでもない。

 例えば、粉粒体40として固体潤滑材を図4( a)のように摺動部材の摺動面に埋設すれば、 部222’は油溜まりとなり、凸部221’頂面に 設された固体潤滑材粒子が相手部材と摺接 ることになる。従って、摺接面積の低減と 滑性の向上により摺動面の摩擦抵抗をさら 一層低減することができる。また、加圧成 面22a’は、結晶の微細化や加工硬化などに り耐摩耗性も向上しているので潤滑性と耐 性に優れた摺動面とすることができる。

 また、粉粒体40として抗菌性を有する銀粒 を図4(b)のようにステンレス板などの表面に 成された凹部221’底面に埋設すれば、銀粒 はステンレス板表面から容易に脱落するこ はない。従って、ステンレス板の抗菌性を 期間維持することができる。
 粉粒体40は、上記の金属粒子に限定される となく、例えば、金属化合物、セラミック 、樹脂などからなる粉粒体を目的に応じて 宜使用することができる。

本実施形態において、被加工面10aに粉粒体40 効果的に固着あるいは埋設するために被覆 20の硬質層22の硬さはHV300以上であることが ましい。特に、粉粒体40がCuOやSiO 2 などのように高硬度の場合には、HV800~1000と るとよい。また、硬質層22の厚さは、プラズ マ発生層21と硬質層22の材料構成や粉粒体40の 硬度、大きさあるいは材質によっても異なる が、概ね被膜体20の厚さの10~30%である。10%未 では、例えば、金属化合物やセラミックス どの硬度の高いものを効果的に埋設するこ ができない。また、30%を超えて厚いと、被 体の延性が低下してプラズマ圧力に追随し 変形することができず破断することがある で適当ではない。

以上のように、粉粒体を被加工面に強固に固 着又は埋設するために、埋設される粉粒体が 固着しやすいように予め被加工面に下地処理 を施しておくことが望ましい。
例えば、粉粒体が銀であり、被加工物が粉粒 体よりも高硬度のマルテンサイト系のステン レス鋼(例えばナイフなど)である場合には、 加工面に加熱処理、メッキ処理、溶射処理 肉盛り処理あるいは蒸着処理などの適宜の 地処理を施して、被加工面に埋設する粉粒 よりも低硬度の軟質層12を形成しておく。 の軟質層12の厚さは、粉粒体の種類や下地処 理方法によっても異なるが、概ね2~10μmであ 。

また、下地処理として被加工面にレーザ加工 により周期的な微細構造を形成することも好 ましい。例えば、歯車などの摺動面にフェム ト秒レーザあるいはエキシマレーザで、幅0.2 ~3μm、深さが1~2μmの溝を0.5~5μmの間隔で格子 に形成し、この溝に二硫化モリブデンと樹 の混合物を塗布して上記の被覆体20で覆い、 レーザ照射することで二硫化モリブデン粒子 をこの溝の内部に確実に埋設することができ る。なお、二硫化モリブデンと混合する樹脂 としては、エポキシ系、アクリル系又はポリ アミド系の接着剤あるいは粘着材を例示する ことができる。
[第3実施形態]

本実施形態は、前記第2実施形態における 粒体に代えて、ICチップや半導体などのマイ クロ部品を固着物として被加工物の所定面に 埋設(装着)する態様であり、固着物が異なる 外は、前記第2実施形態と同様に実施するこ とができる。

図5は、本実施形態に係る被膜体20とマイク ロ部品50とを概念的に示した断面模式図であ 。被膜体20の硬質層22には被加工物対向面に 凹部221が形成されており、埋設されるマイク ロ部品50の一部が嵌入して保持されている。 えば、マイクロ部品50は、凹部221に接着剤60 で接着されて保持されている。このマイクロ 部品50を保持している被膜体20を被加工面10a に載置して、前記実施形態と同様にレーザ 照射する。レーザ照射により、マイクロ部 50は図5(b)に示すように被加工物10に埋設され る。被加工物10がマイクロ部品50に比べて高 度の場合には、前記第2実施形態と同様に予 マイクロ部品50を打ち込む表面に軟質層12を 形成しておくとよい。

本態様は、例えば、回路基板にICチップやマ クロ抵抗体などのマイクロ部品を埋設(装着 )する場合に好適である。なお、ここで、マ クロ部品50は、その体積が0.01~10mm 3 であることが望ましい。
 [他の実施形態]

 本発明は、前記実施形態に限定されるも ではなく、例えば、以下に説明するような 施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さ に、下記以外にも本発明の要旨を逸脱しな 範囲内で種々変更して実施することができ 。

(1)第2実施形態では、金属や樹脂の粉粒体 ついて説明したが、粉粒体としては、所望 機能を有する組成物を造粒した造粒体でも い。例えば、光触媒機能を有する酸化チタ 粉末をゼオライトあるいはシリカゲルなど ともに粘着材と混合して組成物とし、数μm~ 100μmのペレットに造粒する。そして、この レットを第2実施形態と同様にして被加工物 表面に埋設する。このようにして被加工面に 親水性や防汚性を付与することができる。

(2)第2実施形態では、被加工物が主として 属、合金、金属化合物などの無機材料の場 を説明したが、被加工物は、樹脂、ゴム、 材、紙あるいは布などの有機材料でもよい 例えば、衣服にマイクロチップを埋設すれ 、個体の同定や認識の機能を付与すること できる。

(3)前記実施形態では、1回の表面改質で被 工面に所望の機能を付与することとしたが 凹凸形状の異なる複数の被覆体を用いたり 異なる固着物を埋設するなど被加工面に複 回の加圧成形を施してもよい。これにより 数の異なる表面機能を備えた被加工物を得 ことができる。例えば、最初にNi粉粒体を埋 設し、次に樹脂を固着させることで導電性機 能と不導電性機能とを併せ持つ電機部品を得 ることができる。

(4)前記実施形態では、固着物が粉粒体やマ イクロ部品の場合について説明したが、固着 物は金属箔であってもよい。例えば、被加工 物の表面に5~50μm厚さの金属箔を配置して第1 施形態のように加圧成形を施す。被加工物 面と金属箔とは新生面を生じながら凹凸形 に加圧成形されることになるので、マイク 接合(クラッディング)により金属箔を強固 被加工物表面に接合することができる。例 ば、マイクロ電極にイリジウムや白金の箔 接合すれば安価な電極を形成することがで る。

(5)前記第3実施形態では、マイクロ部品が 種類の場合について説明したが、複数種類 マイクロ部品を同時に埋設するようにして よい。例えば、硬質層22の被加工物対向面に 図6(a)に示すような凹凸形状を形成し、マイ ロ部品52、53、54をそれぞれ所定の凹部に保 し、被覆体20を適宜の加工面に被覆してレー ザ照射すれば、図6(b)のように凹部222’を形 するとともに、各マイクロ部品52、53、54を 時に被加工物表面に埋設することができる なお、61は例えば絶縁材などの組成物である 。また、マイクロ部品同士を接続する導電物 を同時に固着させれば被加工面上に電子回路 を形成することもできる。

 本発明は、被覆体の凹凸形状や適宜の固着 を選択することで、金属部材、無機部材お び有機部材の表面に、摺動性、潤滑性、耐 性、耐食性、耐クリープ性、耐摩耗性、滑 止め性、撥水性、親水性、抗菌性、滅菌性 光沢などの各種機能を付与することができ ので、広範な分野で有用である。また、マ クロ部品を装着する電気部品などの製造に 適に用いることができる。