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Title:
TAPERED ROLLER BEARING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/152921
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a tapered roller bearing in which occurrence of fretting is suppressed without a reduction in the fatigue life. The tapered roller bearing has an outer ring (23), an inner ring (22), tapered rollers (24) interposed between the outer ring (23) and the inner ring (22), and a retainer (25) for retaining the tapered rollers (24). The tapered roller bearing is used in an idler section of an automobile transmission where the state of the bearing is changed between an idle state in which the outer ring (23) rotates idle relative to the inner ring and a shift state in which the outer ring (23) rotates in synchronism with the inner rings (22). When the angle of an outer ring raceway surface is 2α and the angle of the roller is β, α/β ≥ 4.9 is satisfied.

Inventors:
TSUJIMOTO TAKASHI (JP)
KANBORI YASUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059909
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
May 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
TSUJIMOTO TAKASHI (JP)
KANBORI YASUHIRO (JP)
International Classes:
F16C19/38; F16C33/46; F16C33/56; F16H57/021
Foreign References:
JP2007132469A2007-05-31
JP2003314542A2003-11-06
JP2000193069A2000-07-14
JP2005106234A2005-04-21
JP2002213456A2002-07-31
US6261004B12001-07-17
JP2003314542A2003-11-06
JP2000193069A2000-07-14
Other References:
See also references of EP 2157326A4
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-k, Osaka-shi Osaka 02, JP)
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Claims:
 外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に介在する円すいころと、円すいころを保持する保持器とを備え、外輪が内輪に対して空転する空転状態と、外輪が内輪と同期回転するシフト状態とに切り替わる自動車用変速機のアイドラ部位に用いられる円すいころ軸受において、
外輪軌道面角度を2αとし、ころ角度をβとしたときに、α/β≧4.9としたことを特徴とする円すいころ軸受。
 外輪と、内輪と、外輪と内輪との間に介在する円すいころと、円すいころを保持する保持器とを備え、外輪が内輪に対して空転する空転状態と、外輪が内輪と同期回転するシフト状態とに切り替わる自動車用変速機のアイドラ部位に用いられる円すいころ軸受において、
円すいころの表面にMoS2処理を施すとともに、外輪軌道面角度を2αとし、ころ角度をβとしたときに、α/β≧4.75としたことを特徴とする円すいころ軸受。
 ころ係数γが0.94を越えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の円すいころ軸受。
 保持器のポケットの窓角を55°以上80°以下にしたことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の円すいころ軸受。
 前記保持器は樹脂製であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
 前記樹脂製の保持器は、ポリアミドもしくは、ポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項5記載の円すいころ軸受。
Description:
円すいころ軸受

 本発明は、円すいころ軸受に関し、特に 動車用変速機(トランスミッション)のアイ ラ部位に用いる円すいころ軸受に関する。

 この変速機の一例として、図6に示す同期 噛合式変速機がある。この変速機では、所定 間隔で平行配置された主軸5と副軸(図示省略) とがミッションケース(図示せず)に回転自在 支持され、その主軸5は出力軸(駆動車輪側) 連動され、副軸は入力軸(エンジン側)に連 される。

 副軸には、副軸歯車6が一体(又は別体)に けられ、主軸5には円すいころ軸受Aを介し 主軸歯車1が回転自在に装着される。主軸歯 1の外周面の中央部分には副軸歯車6と常時 合する歯部1aが一体に設けられ、両端部分に はクラッチギヤ7が係合連結される。クラッ ギヤ7は、外周にスプライン歯7a、一側に円 形のコーン7bを一体に有し、クラッチギヤ7 近接してシンクロ機構8が配設される。

 シンクロ機構8は、セレクタ(図示せず)の 動によって軸方向(同図で左右方向)に移動 るスリーブ81と、スリーブ81の内周に軸方向 動自在に装着されたシンクロナイザーキー8 2と、主軸5の外周に係合連結されたハブ83と クラッチギヤ7のコーン7bの外周に摺動自在 装着されたシンクロナイザーリング84と、シ ンクロナイザーキー82をスリーブ81の内周に 性的に押圧する押さえピン85及びスプリング 86とを具備する。

 同図に示す状態では、スリーブ81及びシ クロナイザーキー82が押さえピン85によって 立位置に保持されている。この時、主軸歯 1は副軸歯車6の回転を受けて主軸5に対して 転する。一方、セレクタの作動により、ス ーブ81が同図に示す状態から例えば軸方向 側に移動すると、スリーブ81に従動してシン クロナイザーキー82が軸方向左側に移動し、 ンクロナイザーリング84をクラッチギヤ7の ーン7bの傾斜面に押し付ける。これにより クラッチギヤ7側の回転速度が落ち、逆にシ クロ機構8側の回転速度が高められる。

 そして、両者の回転速度が同期した頃、 リーブ81がさらに軸方向左側に移動して、 ラッチギヤ7のスプライン歯7aに噛み合い、 軸歯車1と主軸5との間がシンクロ機構8を介 て連結される。これにより、副軸歯車6の回 が主軸歯車1によって所定の変速比で減速さ れて、主軸5に伝達される。この時、主軸歯 1は、主軸5及び円すいころ軸受Aの軸受内輪2 同期回転する。

 自動車の同期噛合式変速機の主軸歯車機 に用いた前記円すいころ軸受Aは、軸受外輪 と兼用した主軸歯車1と、外周面に軌道面2aを 有し、主軸5の外周に嵌装された一対の軸受 輪2と、主軸歯車1の複列の軌道面1cと一対の 受内輪2の軌道面2aとの間に配された複列の すいころ3と、各列の円すいころ3をそれぞ 保持する一対の保持器4とで構成される。

 ところで、前述した変速時、主軸歯車1と 軸受内輪2とが同期回転することにより、転 体であるころ3が軌道面1c、2a上で停止した状 態となる。一方、外部からの振動などが繰り 返し作用すると、ころ3と軌道面1c、2aとの間 繰り返しの微小滑りが生じ、相対的な繰り しの微小滑りにより接触面が摩耗するフレ ティングと称する現象が問題となることが る。

 そこで、前述したフレッティングを抑制 るために主軸歯車及び軸受内輪の軌道面や ろにパーカー処理(リン酸被膜処理)を施し ころと軌道面との摩擦抵抗を低減するよう するのも可能である。しかしながら、パー ー処理被膜は損耗するおそれがあり、長期 わたる良好なフレッティング抑制効果を期 することはできない。

 また、従来には、円すいころの円周不等配 円すいころを保持する保持器の円周方向の 量アンバランス、円すいころの重量の不等 よるアンバランス手段等を備えたものがあ (特許文献1)。すなわち、保持器重心を回転 心からずらすことで、慣性モーメントを利 し、停止状態から相対回転を生じさせるも である。

特開2000-193069号公報

 しかしながら、保持器のポケットを不等 ッチ等とするには、等ピッチと比べてころ 数を減少させる必要があり、負荷容量低下 招いて軸受寿命が短くなって好ましくない このため、トランスミッションのアイドラ 位に用いる円すいころ軸受には、耐フレッ ィング性向上と軸受寿命向上の両立が求め れる。

 本発明は、上記課題に鑑みて、疲労寿命 低下させることなく、フレッティングの発 を抑制できる円すいころ軸受を提供する。

 本発明の円すいころ軸受は、外輪と、内 と、外輪と内輪との間に介在する円すいこ と、円すいころを保持する保持器とを備え 外輪が内輪に対して空転する空転状態と、 輪が内輪と同期回転するシフト状態とに切 替わる自動車用変速機のアイドラ部位に用 られる円すいころ軸受において、外輪軌道 角度を2αとし、ころ角度をβとしたときに α/β≧4.9としたものである。

 フレッティング摩耗はころと軌道面との 触面圧が2200MPaを超える状態で同期回転する と発生することを本発明者は試験確認した。 また、軸受の必要寿命から必要な動定格荷重 が決まってくるが、接触面圧が2200MPaを下回 ようにするためには、さらに動定格荷重に する静定格荷重の割合も決まってくる。一 、動定格荷重に対する静定格荷重の割合は 外輪軌道面角度に対するころ角度の比率に 関関係がある。すなわち、外輪軌道面角度 2αとし、ころ角度をβとしたときに、α/β≧4 .9とすることで、ころと軌道面との接触面圧 2200MPaを下回らせることができる。

 本発明の他の円すいころ軸受は、外輪と 内輪と、外輪と内輪との間に介在する円す ころと、円すいころを保持する保持器とを え、外輪が内輪に対して空転する空転状態 、外輪が内輪と同期回転するシフト状態と 切り替わる自動車用変速機のアイドラ部位 用いられる円すいころ軸受において、円す ころの表面にMoS2処理を施すとともに、外輪 軌道面角度を2αとし、ころ角度をβとしたと に、α/β≧4.75としたものである。

 MoS2処理とは、被コーティング部材の表層 部(母材表層部)にMoS2(二硫化モリブデン)を被 する処理であって、例えば、母材表層部を で溶解し二硫化モリブデンを母材に取入れ 再結晶させるものである。このため、この 覆層は、摩滅に対して強く、剥がれ難く、 動抵抗低減効果に優れている。このように 円すいころの表面にMoS2処理を施すことによ って、円すいころと、外輪及び内輪の転動面 との摩擦抵抗を低減できる。

 ころ係数γが0.94を越えるようにしたり、 持器のポケットの窓角を55°以上80°以下と たりできる。ここで、ころ係数γは、次式で 定義される。また、ポケット(周方向に沿っ 隣合う柱部間)の窓角とは、柱部の、円すい ろの転動面と接する面がなす角度をいう。

 ころ係数γ=(Z・DA)/(π・PCD)
ここで、Z:ころ本数、DA:ころ平均径、PCD:ころ ピッチ円径

 前記保持器は樹脂製にて構成することが きる。樹脂として、例えば、ポリアミドも くは、ポリフェニレンサルファイド等のエ ジニアリングプラスチックを採用できる。

 本発明の円すいころ軸受では、円すいこ と軌道面との接触面圧が2200MPaを下回らせる ことができるので、疲労寿命を低下させるこ となく、フレッティングの発生を抑制できる 。

 特に、円すいころの表面にMoS2処理を施す ことによって、円すいころと軌道面との接触 面圧が2200MPaを下回らなくても、2200MPa近傍の 圧で、フレッティングの発生を防ぐことが き、α/β≧4.75であってもよい。このため、 輪軌道面角度ところ角度との関係設定が容 となって設計の自由度が広がる。

 ころ係数γが0.94を越えるようにすれば、 立状態においては外輪と保持器との接触を けた上で、保持器の柱幅を大きくすること できる。このため、軸受寸法を変更するこ なく、負荷容量を総ころ軸受(保持器を用い ていない軸受)のレベルまで上げることが可 となる。これによって、接触面圧を低減で 、停止状態での面圧が緩和され、耐フレッ ィング性が向上する。しかも、保持器と円 いころとは良好な接触状態を確保すること でき、ころは円滑な回転が得られる。

 また、保持器の窓角を55°以上としたこと によって、円すいころとの良好な接触状態を 確保することができ、保持器の窓角を80°以 としたことによって、半径方向への押し付 力が大きくならず、円滑な回転が得られる

 保持器を樹脂製とすることによって、重 が軽くなるとともに、摩擦係数が小さくな 、軸受起動時のトルク損失や保持器摩耗の 減に好適となる。特に、ポリアミドもしく 、ポリフェニレンサルファイド等のエンジ アリングプラスチックが好適である。

本発明の実施形態を示す円すいころ軸 を使用した自動車用トランスミッションの 部断面図である。 前記円すいころ軸受の横断面図である 前記円すいころ軸受の軸方向移動前の 縦断面図である。 前記円すいころ軸受の軸方向移動後の 縦断面図である。 前記円すいころ軸受の静止時の保持器 と外輪との関係を示す断面図である。 前記円すいころ軸受の回転初期の保持 器と外輪との関係を示す断面図である。 前記円すいころ軸受の回転中の保持器 と外輪との関係を示す断面図である。 前記円すいころ軸受の要部拡大断面図 ある。 従来の自動車用トランスミッションの 部断面図である。

符号の説明

22  内輪
23  外輪
24  円すいころ
25  保持器

 本発明に係る円すいころ軸受の実施形態 図1~図5に基づいて説明する。

 図1は本発明の円すいころ軸受を使用した 自動車用トランスミッション(同期噛合式変 機)を示している。主軸と副軸とが所定間隔 平行に配置され、主軸が駆動車輪側の出力 に連動され、副軸がエンジン側の入力軸に 動される。すなわち、副軸には副軸歯車が けられ、副軸歯車に、本発明の円すいころ 受の外輪を構成する主軸歯車が噛合してい 。

 すなわち、円すいころ軸受は、円すい状 軌道面22aを有する一対の内輪22と、円すい の一対の軌道面23aを有する外輪23と、内輪22 軌道面22aと外輪23の軌道面23aとの間に転動 在に配された複数の円すいころ24と、円すい ころ24を円周等間隔に保持する保持器25とを える。内輪22は、小径側に小つば22bが設けら れているとともに大径側に大つば22cが設けら れている。

 また、外輪23は、その外周面に副軸の副 歯車に噛合する歯部27が設けられ、その軸方 向端部には、図示省略のクラッチギヤが噛合 する歯部28が設けられている。そして、図示 略するが、クラッチギヤに近接してシンク 機構が配置される。

 すなわち、ニュートラル時には、外輪(主 軸歯車)23は内輪22に対して空転するが、外輪( 主軸歯車)23による変速時には、シンクロ機構 を介した連動によって外輪(主軸歯車)23は内 22及び主軸と同期回転する。

 外輪軌道面角度を2αとし、ころ角度をβ したときに、α/β≧4.9とする。円すいころ24 軌道面23aとの接触面圧は、軸受の必要寿命 ら必要な動定格荷重と、動定格荷重に対す 静定格荷重の割合等で決まる。また、動定 荷重に対する静定格荷重の割合は、外輪軌 面角度に対するころ角度の比率に相関関係 ある。このため、α/β≧4.9とすることによ て、円すいころ24と軌道面23aとの接触面圧が 2200MPaを下回らせることができる。

 なお、図2と図3に示すように、保持器25は 小径側環状部25aと、大径側環状部25bと、小径 側環状部25aと大径側環状部25bとを軸方向に繋 ぐ複数の柱部25cとを備えている。柱部25cの柱 面25dの窓押し角(窓角)θ(図5参照)は、例えば 55°以上80°以下とする。

 ころ係数γが0.94を越えるように設定して る。ここで、ころ係数γは、次式で定義さ る。また、ポケット(周方向に沿って隣合う 部間)18の窓角θとは、柱部の、円すいころ24 の転動面と接する面がなす角度をいう。

 ころ係数γ=(Z・DA)/(π・PCD)
ここで、Z:ころ本数、DA:ころ平均径、PCD:ころ ピッチ円径

 保持器25としては、例えば、金属板を円 い台形状にプレス成形した後、各ポケット18 をプレス打抜きして形成される。金属板とし ては、冷間圧延鋼板(SPC)や熱間圧延軟鋼板(SPH )等の圧延鋼板、及びばね鋼等を使用するこ ができる。また、冷間圧延鋼板(SPC)や熱間圧 延軟鋼板(SPH)であれば、その表面に浸炭窒化 理やガス軟窒化処理等の表面硬化処理を施 のが好ましい。

 ここで、浸炭窒化とは、浸炭と同時に窒 処理も行う方法であって、炭素Cと窒素Nを 散させる方法であり、例えば、通常のガス 炭性ガス雰囲気中にアンモニア(NH3)(0.5~1.0%程 度)を添加し例えば、850℃前後の温度で行う また、ガス軟窒化処理とは、軟窒化をガス よって行う方法であり、この処理にはアン ニアガスと浸炭性ガスを混合して使う場合 、尿素を分解して用いる方法とがある。ア モニアガスと浸炭性ガスを1:1の割合で混合 て用いる軟窒化は、ガス軟窒化の主流をな 。

 また、保持器25としては、鉄板製のもの 代えて、樹脂製すなわちエンジニアリング ラスチック製としてもよい。ここで、エン ニアリングプラスチックとは、合成樹脂の かで主に耐熱性が優れ、強度が必要とされ 分野に使うことができるものであって、エ プラと略される。また、エンジニアリング ラスチックは、汎用エンジニアリングプラ チックとスーパーエンジニアリングプラス ックとがあり、この保持器25に用いるエンジ ニアリングプラスチックには両者を含む。以 下に代表的なものを掲げる。なお、これらは エンジニアリングプラスチックの例示であっ て、エンジニアリングプラスチックが以下の ものに限定されるものではない。

 汎用エンジニアリングプラスチックには ポリカーボネート(PC)、ポリアミド6(PA6)、ポ リアミド66(PA66)、ポリアセタール(POM)、変性 リフェニレンエーテル(m-PPE)、ポリブチレン レフタレート(PBT)、GF強化ポリエチレンテレ フタレート(GF-PET)、超高分子量ポリエチレン( UHMW-PE)等がある。また、スーパーエンジニア ングプラスチックには、ポリサルホン(PSF) ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニレン サルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポ アミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI) ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポ マー(LCP)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリベ ンズイミダゾール(PBI)、ポリメチルベンテン( TPX)、ポリ1,4-シクロヘキサンジメチレンテレ タレート(PCT)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミ ド6T(PA6T)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリアミド11,12  (PA11,12)、フッ素樹脂、ポリフタルアミド(PPA )等がある。

 円すいころの表面にMoS2処理を施すのが好 ましい。ここで、MoS2処理とは、被コーティ グ部材の表層部(母材表層部)にMoS2(二硫化モ ブデン)を被覆する処理であって、例えば、 母材表層部を熱で溶解し二硫化モリブデンを 母材に取入れて再結晶させるものである。こ のため、この被覆層は、摩滅に対して強く、 剥がれ難く、摺動抵抗低減少効果に優れてい る。

 保持器25の外径としては、図3Aの状態から 同図に矢印で示すように保持器25を軸方向小 側に移動させ(図3B)、次に図4Aのように径方 下側に移動させると、外輪23と保持器25の一 部が接触し、この軸受が回転して図4Cのよう 保持器25がセンタリングされると、保持器25 と外輪23が全周にわたり所定すきまをあけて 接触となるような寸法に設定してある。言 換えれば、そのような寸法とは、保持器25 軸中心に配置され、図3Bのように保持器25が 径側に寄った状態では保持器25と外輪23の間 にすきまが存在するが、保持器25を軸中心か 径方向に移動させると外輪23と保持器25が接 触するような寸法である。

 これにより、運転初期(図4B)には外輪23と 持器25は接触するが、運転中(図4C)は非接触 なることから、接触による引きずりトルク 増大や摩耗を抑制することができる。なお 鉄板製保持器の場合は底拡げやかしめ作業 必要であるが、樹脂製保持器の場合は不要 なるため、必要な寸法精度を確保すること 容易である。ここで、「底拡げ」とは、円 いころ24を組み込んだ保持器25を内輪22に組 付ける時、ころが内輪22の小つば22bを乗り えるように保持器25の小径側の柱部の径を大 きく拡げることをいう。「かしめ作業」とは 、前述のように大きく拡げた保持器25の小径 の柱部を外側から型で押して元に戻すこと いう。

 本発明の円すいころ軸受によれば、円す ころ24と軌道面23aとの接触面圧が2200MPaを下 らせることができるので、疲労寿命を低下 せることなく、フレッティングの発生を抑 できる。特に、円すいころ24の表面にMoS2処 を施すことによって、円すいころ24と、外 23及び内輪22の転動面23aとの摩擦抵抗を低減 きる。すなわち、円すいころの表面にMoS2処 理を施すことによって、円すいころと軌道面 との接触面圧が2200MPaを下回らなくても、2200M Pa近傍の面圧で、フレッティングの発生を防 ことができ、α/β≧4.75であってもよい。こ ため、外輪軌道面角度ところ角度との関係 定が容易となって設計の自由度が広がる。

 保持器25の中立状態では保持器25と外輪23 が非接触となってすきまが生じ、この中立 態から径方向の保持器25の移動により保持 25の一部が外輪と接触するようにしたことに よって、PCDを上げることができ、しかも、こ ろ係数γが0.94を越えるので、中立状態におい ては外輪23と保持器25との接触を避けた上で 保持器25の柱幅を大きくすることができる。 このため、軸受寸法を変更することなく、負 荷容量を総ころ軸受(保持器を用いていない 受)のレベルまで上げることが可能となる。 れによって、接触面圧を低減でき、停止状 での面圧が緩和され、耐フレッティング性 向上する。しかも、保持器25と円すいころ24 とは良好な接触状態を確保することができ、 円すいころ24は円滑な回転が得られる。

 また、保持器25の窓角θを55°以上とした とによって、円すいころ24との良好な接触状 態を確保することができ、保持器25の窓角θ 80°以下としたことによって、半径方向への し付け力が大きくならず、円滑な回転が得 れる。すなわち、窓角θが55°未満であれば 円すいころ24との良好な接触状態を得られ くく、窓角θが80°を越えれば、半径方向へ 押し付け力が大きくなりすぎて、円滑な回 が得られにくくなる。

 なお、保持器25を鉄板製とすることによ て、保持器25の剛性を高めることができ、長 期に亘って安定して円すいころ24を保持する とができる。しかも、耐油性に優れ、油へ 浸漬による材質劣化を防止できる。保持器2 5を樹脂製とすれば、重量が軽く摩擦係数が さいため、軸受起動時のトルク損失や保持 摩耗の低減に好適となる。

 以上、本発明の実施形態につき説明した 、本発明は前記実施形態に限定されること く種々の変形が可能であって、例えば、配 される円すいころ24の数は任意である。ま 、保持器25として、強度増強のため、これら 樹脂材料またはその他のエンジニアリングプ ラスチックに、ガラス繊維または炭素繊維な どを配合したものを使用してもよい。

 外輪軌道面角度に対するころ角度を種々変 したサンプル品を形成して、各サンプル品 ついてフレッティングの発生の有無を調べ 。その結果を次の表1に示す。表1において サンプルaは、α=12°30″、β=3°35″であり、α /β=3.49である。サンプルbは、α=14°、β=3°31″ であり、α/β=3.98である。サンプルcは、α=17° 、β=3°45″であり、α/β=4.53である。サンプル dは、α=18°3″、β=3°49″であり、α/β=4.73であ る。サンプルeは、α=19°2″、β=3°54″であり α/β=4.88である。サンプルfは、α=20°、β=3°4 6″であり、α/β=5.31である。なお、各サンプ には、標準ころ(MoS2が施されていないころ) 、MoS2ころ(MoS2が施されているころ)の2種類 ある。従来のこの種の円すいころでは概ね α/β<4.6となっている。

 この表1からわかるように、α/β=4.73であ ば、最大接触面圧が2200MPaとなり、標準ころ はフレッティングの発生があり、MoS2ころで は、軽度のフレッティングの発生があった。 また、α/β=4.88であれば、最大接触面圧が2100M Paとなり、標準ころで軽度のフレッティング 発生があったが、MoS2ころでは、フレッティ ングの発生はなかった。α/β=5.31であれば、 大接触面圧が1950MPaであり、標準ころおよびM oS2ころにフレッティングの発生がなかった。

 このため、標準ころの場合、α/β≧4.9で れば、フレッティングの発生がなく、MoS2こ の場合、α/β≧4.75であれば、フレッティン の発生がないことがわかる。

 本発明は、特に自動車用変速機(トランス ミッション)のアイドラ部位に用いる円すい ろ軸受に適用できる。