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Title:
THERAPEUTIC AGENT FOR PAIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139168
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a therapeutic and/or prophylactic agent for cancer pain, which can be administered continuously for a long period between the early stage and the final stage of the cancer pain therapy in place of conventional non-opioid or opioid analgesic agents. The therapeutic and/or prophylactic agent for cancer pain comprises a 1,5-benzodiazepine derivative represented by general formula (1) [wherein R1 represents a C1-6 alkyl group; R2 represents a phenyl group or a cyclohexyl group; and Y represents a single bond or a C1-4 alkylene group] or a pharmaceutically acceptable salt thereof as an active ingredient.

Inventors:
YOSHINAGA KOJI (JP)
HAMANO HIROKI (JP)
HORII TAKAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/002109
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
May 14, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ZERIA PHARM CO LTD (JP)
YOSHINAGA KOJI (JP)
HAMANO HIROKI (JP)
HORII TAKAYUKI (JP)
International Classes:
C07D243/12; A61K31/551; A61K45/00; A61P25/04
Domestic Patent References:
WO1998025911A11998-06-18
WO2001040197A12001-06-07
WO2006077793A12006-07-27
Foreign References:
EP1234818A12002-08-28
EP0945445A11999-09-29
EP1839662A12007-10-03
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See also references of EP 2305654A4
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Attorney, Agent or Firm:
THE PATENT CORPORATE BODY ARUGA PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation Alga patent firm (JP)
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Claims:
 一般式(1)
(式中、R 1 はC 1-6 アルキル基を示し、R 2 はフェニル基またはシクロヘキシル基を示し、Yは単結合またはC 1-4 アルキレン基を示す。)で表される1,5-ベンゾジアゼピン誘導体またはその薬学的に許容される塩を有効成分とするがん性疼痛治療薬および/または予防薬。
 一般式(1)において、R 1 がtert-ブチル基であり、R 2 がシクロヘキシル基であり、Yが単結合である請求項1記載のがん性疼痛治療薬および/または予防薬。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である請求項1記載のがん性疼痛治療薬および/または予防薬。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはそのカルシウム塩である請求項1記載のがん性疼痛治療薬および/または予防薬。
 請求項1~4のいずれか1項記載の有効成分と、他の鎮痛薬とを組み合わせたことを特徴とするがん性疼痛治療薬および/または予防薬。
 一般式(1)
(式中、R 1 はC 1-6 アルキル基を示し、R 2 はフェニル基またはシクロヘキシル基を示し、Yは単結合またはC 1-4 アルキレン基を示す。)で表される1,5-ベンゾジアゼピン誘導体またはその薬学的に許容される塩の、がん性疼痛治療薬および/または予防薬製造のための使用。
 一般式(1)において、R 1 がtert-ブチル基であり、R 2 がシクロヘキシル基であり、Yが単結合である請求項6記載の使用。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である請求項6記載の使用。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはそのカルシウム塩である請求項6記載の使用。
 請求項1~4のいずれか1項記載の有効成分と、他の鎮痛薬との組み合わせの、がん性疼痛治療薬および/または予防薬製造のための使用。
 一般式(1)
(式中、R 1 はC 1-6 アルキル基を示し、R 2 はフェニル基またはシクロヘキシル基を示し、Yは単結合またはC 1-4 アルキレン基を示す。)で表される1,5-ベンゾジアゼピン誘導体またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを特徴とするがん性疼痛の治療方法および/または予防方法。
 一般式(1)において、R 1 がtert-ブチル基であり、R 2 がシクロヘキシル基であり、Yが単結合である請求項11記載の方法。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である請求項11記載の方法。
 有効成分が、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3-イル)ウレイド]安息香酸またはそのカルシウム塩である請求項11記載の方法。
 請求項11~14のいずれか1項記載の有効成分と、他の鎮痛薬とを組み合わせて投与することを特徴とするがん性疼痛治療方法および/または予防方法。
Description:
疼痛治療薬

 本発明は疼痛、特にがん性疼痛に有用な 痛治療薬または予防薬に関する。

 疼痛とは物理的刺激、あるいは疼痛物質 よる化学的な刺激を疼痛神経終末板が感知 、大脳が痛みとして認識した結果をいう。 の「痛み」はQOLを最も低下させる因子の一 である。疼痛はその成因を基準に分類する 、侵害受容性疼痛、神経因性疼痛および心 性疼痛の3つに大きく分類される。侵害受容 性疼痛とは、侵害受容器を介した疼痛で、組 織の傷害、あるいは傷害する可能性を持った 侵害刺激が生体に加わった時に生じる。また 、神経因性疼痛とは、神経系の一次的な損傷 やその機能異常が原因となるか、もしくはそ れによって惹起される疼痛であり、末梢性と 中枢性の損傷に基づくものがある。さらに、 心因性疼痛とは、痛みに見合うだけの病変が 見出されず、解剖学的に説明のつかない疼痛 をいう。

 侵害受容性疼痛による痛みとしては、代 的なものに筋肉痛、関節痛、頭痛、口腔顔 痛、内臓痛がある。神経因性疼痛による痛 としては、糖尿病やアルコール依存症患者 の疼痛、抗がん剤の副作用(シスプラチン、 パクリタキセル、ビンクリスチン等)、術後 、幻肢痛、帯状疱疹後痛、三叉神経痛、中 性神経痛などがある。

 がん性疼痛は初期の患者でも30%が、末期の 者では70%が感じるものであると報告されて る(非特許文献1)。がん性疼痛は前記疼痛の 類のうち、侵害受容性疼痛と神経因性疼痛 混在した痛みであり、以下に例示する複数 要因が関与し、複雑な構成を有する。
 初期は癌病変を原因とする痛み(骨転移、神 経圧迫、血流障害に起因する痛み、内臓器官 への癌浸潤、脳内転移)が中心であるが、病 の進行に伴い全身衰弱に関連した痛み(褥そ 、筋痙攣、便秘)が出現する。また、アロデ ィニア(allodynia:通常では痛みを引き起こさな 刺激により生じる痛み)も発症するため、癌 における疼痛管理は癌治療において重要な課 題となっている。

 WHO(世界保健機構)は、オピオイド性鎮痛薬 中心とした疼痛治療の国際的な基準を定め いる(非特許文献2)。これに従った治療法が がん性疼痛治療の主軸となっている。
 これは、非オピオイド性鎮痛薬から弱オピ イド性鎮痛薬、強オピオイド性鎮痛薬へと3 段階に切り替えていく投薬方法である。さら に、必要に応じて抗うつ薬、抗痙攣薬、局所 麻酔薬、糖質コルチコイド、向精神薬、抗ヒ スタミン薬などの鎮痛補助薬が併用されてい る。
 非オピオイド性鎮痛薬としてはNSAID、アセ アミノフェンが主として用いられる。また 弱オピオイド性鎮痛薬としてはコデインが オピオイド性鎮痛薬としてはモルヒネ、メ ドン、ペチジン、ブプレノルフィン、ヒド モルフィン、レボルファノール、オキシコ ン、フェンタニルなどが用いられる。

 しかし、非オピオイド性鎮痛薬であるNSAI Dは副作用としては胃腸障害や腎障害を生じ すいことが知られている。さらに、オピオ ド性鎮痛薬であるモルヒネは、代表的な副 用として便秘、吐き気、嘔吐などを有し、 た、突然の投与中止や投与量減少によって 断症状をもたらすことが知られている(非特 文献3)。

 一方、がん性疼痛には神経因性疼痛も含ま るが、これは末梢神経や中枢神経が障害を けて発生する痛みであるためオピオイドが きづらい(オピオイド抵抗性)。また、モル ネ慢性投与時にはコレシストキニン(CCK)やニ ューロペプタイドY(NPY)などのアンチオピオイ ド系が増強し、モルヒネ鎮痛を強く抑制する 。このため、モルヒネによる鎮痛効果が低下 して、鎮痛耐性が形成され(非特許文献3)、疼 痛管理の大きな障害となっている。
 現状では、抗けいれん剤や抗うつ剤など神 伝達を抑制する鎮痛補助薬を併用している これらの鎮痛補助薬は著効を示すとはいえ いが、発作的な痛みや、痛みによるうつ的 態に対しては効果が期待できる(非特許文献 3)。
 しかしながら、いずれも満足のいく治療効 ではなく、現存の非オピオイド性鎮痛薬、 ピオイドおよび鎮痛補助薬に代わる副作用 少ない鎮痛薬の開発が必要とされている。
 前述の如くモルヒネによる鎮痛効果は通常 ンチオピオイド系により部分的に拮抗され おり、モルヒネの耐性形成、依存性形成機 のひとつにアンチオピオイド系が関与して ると言われている。そこで、アンチオピオ ドに拮抗する作用を持つ物質を用いること 、モルヒネ耐性形成を抑えることができる ではないかと考えられている。

 例えば、中枢移行性のあるCCK2受容体拮抗薬 L-365,260(ベンゾジアゼピン系化合物)がラット 経因性疼痛モデルにおけるモルヒネ耐性形 を抑制するとの報告がある(非特許文献4)。 た、L-365,260やCI-988(CCKのC末端ペンタペプチ 誘導体であり、強力なCCK2受容体拮抗薬とし 知られている。)が熱刺激によるマウス侵害 受容性疼痛において、モルヒネ耐性形成を抑 制することが報告されている(非特許文献5、 特許文献6)。
 さらに、ラット神経損傷モデルにおいて、 刺激による侵害受容性疼痛に対するモルヒ の鎮痛効果をL-365,260が増強する(非特許文献 7)、ホルマリンの化学刺激によるマウス侵害 容性疼痛に対するモルヒネの鎮痛効果をCI-9 88が増強するという報告がある(非特許文献8) また、ラット神経因性疼痛モデルにおいて アロディニアに対するモルヒネ鎮痛効果をL -365,260が増強するという報告もある(非文献文 献9)。
 さらに臨床試験においても、がん性疼痛に けるモルヒネの鎮痛効果をCCK2受容体拮抗薬 であるプログルミドが増強効果を示したこと が報告されている(非特許文献10)。
 以上のように、モルヒネの鎮痛効果は、一 的にはCCK2受容体拮抗薬によって増強される ことが知られている。

 これに対し、CCK2受容体拮抗薬が単独で鎮痛 効果を有するか否かについては、一定の見解 が得られておらず、明らかとなっていない。
 例えば、ホルマリンの化学刺激によるマウ での侵害受容性疼痛に対してL-365,260やプロ ルミド単独での鎮痛効果が報告されている( 非特許文献11)。また、ラット神経因性疼痛モ デルで発現する熱痛覚過敏に対して、CCK2受 体拮抗薬YM022単独での鎮痛効果が報告されて いる(非特許文献12)。
 一方、ラット神経損傷モデルでの熱刺激に る侵害受容性疼痛に対して、L-365,260単独で 鎮痛効果が無いという報告がされている(非 特許文献7)。また、熱刺激によるマウス侵害 容性疼痛に対して、L-365,260単独での鎮痛効 が無いことも報告されている(非特許文献13) 。さらに、ラット神経因性疼痛モデルに対し てL-365,260単独での鎮痛効果がないことが報告 されている(非特許文献9)。

 がん性疼痛治療を目的とした医薬品開発 、前記のように複数の要因が関与するため 悪性腫瘍細胞を用いたがん性疼痛の動物モ ルを作製して、解析することが重要である 考えられている(非特許文献14)。これまでに 開発されてきたCCK2受容体拮抗薬が、このが 性疼痛モデル(動物実験)においてどのような 鎮痛効果を示すかは知られていない。さらに 、がん性疼痛に対して、CCK2受容体拮抗薬が 独で疼痛効果を示したという臨床報告も知 れていない。

 上記に示したとおり、多くのCCK2受容体拮抗 薬が開発されているが、これらの鎮痛効果に ついては一定の見解が得られていない。すな わち、CCK2受容体拮抗作用と鎮痛効果との関 は、単純な相関関係としては説明できず、CC K2受容体がどのような役割を果たしているの は、未だ完全には解明されていない。さら 、CCK2受容体拮抗作用を有する物質について 報告されている鎮痛効果が、CCK2受容体の関 によるものであるかも明らかではない。
 特許文献1に記載されている1,5-ベンゾジア ピン化合物も、CCK2受容体拮抗作用を有する とは知られているが、有用な鎮痛効果を有 ているか否かについては、実際に不明であ 。

 また、抗がん剤による腫瘍縮小効果と疼 緩和効果とは必ずしも相関するものではな 。例えば、痛みが強く疼痛管理が非常に問 となることが知られている膵臓がん治療に いる塩酸ゲムシタビンは、化学療法剤の中 は比較的腫瘍縮小効果が弱いとされている 、膵臓がん患者に対して優れた疼痛緩和効 を示すことが知られている(非特許文献15)。 また、塩酸ゲムシタビン単独と比較して、イ リノテカンと塩酸ゲムシタビンの併用は膵臓 がんに対して強い腫瘍縮小効果を示すが、疼 痛緩和も含めたQOLの評価では差が見られず、 生存期間に関しては悪化が報告されている( 特許文献16)。このように、抗腫瘍効果を有 る薬物が、必ずしも疼痛緩和に有用である については明らかではない。

国際公開第98/25911号パンフレット

国際公開第01/40197号パンフレット

国際公開第2006/077793号パンフレット

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 本発明の目的は、がん性疼痛治療薬を提 することである。

 本発明者等は、CCK2受容体拮抗薬の疼痛治 療効果について検討したところ、既知のCCK2 容体拮抗薬であるL-365,260やプログルミドに がん性疼痛に対する治療効果は認められな ったにもかかわらず、全く意外にも、WO01/401 97に記載の1,5-ベンゾジアゼピン誘導体または その薬学的に許容される塩が、優れたがん性 疼痛治療効果を有することを見出した。また 、当該1,5-ベンゾジアゼピン誘導体のがん性 痛治療効果は、モルヒネ等の他の鎮痛薬と 用することにより、さらに顕著に増強する とも見出した。

 すなわち、本発明は、一般式(1)

(式中、R 1 はC 1-6 アルキル基を示し、R 2 はフェニル基またはシクロヘキシル基を示し 、Yは単結合またはC 1-4 アルキレン基を示す。)で表される1,5-ベンゾ アゼピン誘導体またはその薬学的に許容さ る塩を有効成分とするがん性疼痛治療薬お び/または予防薬を提供するものである。

 また本発明は、上記一般式(1)で表される1,5- ベンゾジアゼピン誘導体またはその薬学的に 許容される塩の、がん性疼痛治療薬および/ たは予防薬製造のための使用を提供するも である。
 さらに本発明は、上記一般式(1)で表される1 ,5-ベンゾジアゼピン誘導体またはその薬学的 に許容される塩の有効量を投与することを特 徴とするがん性疼痛の治療方法を提供するも のである。
 さらにまた、本発明は、上記一般式(1)で表 れる1,5-ベンゾジアゼピン誘導体またはその 薬学的に許容される塩と、他の鎮痛薬とを組 み合わせたことを特徴とするがん性疼痛治療 薬および/または予防薬を提供するものであ 。

 本発明の化合物は、動物を用いた安全性試 で重篤な副作用は認められていないことか 、従来の非オピオイド性鎮痛薬やオピオイ 性鎮痛薬における副作用は無く、長期間継 して服用することが可能である。そのため がん性疼痛治療の初期段階から最終段階に たって疼痛治療薬として使用できる点で有 である。
 また、本発明の医薬は毒性が低いため継続 に投与することが可能なだけでなく、経口 与も可能であるため、簡便な投与形態とす ことが可能である。非特許文献2には、がん 性疼痛治療の基本原則のひとつとして、鎮痛 薬は経口投与を基本とすることが記載されて いる。すなわち経口投与可能な薬剤であれば 、複雑な機器は必要ないため、痛みの治療が 自宅でも十分可能になることが患者にとって 非常に利点となると考えられている。

 既知のCCK2受容体拮抗薬ではほとんどがん 性疼痛治療効果は認められないのに対し、本 発明の化合物は優れたがん性疼痛治療効果を 示すことから、本発明化合物の疼痛治療効果 はCCK2受容体拮抗作用に基づくものではない 考えられる。また、本発明化合物の疼痛治 効果は、抗腫瘍効果とも相関性はなかった

単回投与による化合物(A1)のがん性疼痛 に対する治療効果を示す図である。 連続投与による化合物(A1)のがん性疼痛 に対する治療効果を示す図である。 化合物(A1)とモルヒネとの併用によるが ん性疼痛に対する治療効果を示す図である。

 一般式(1)中、R 1 で示されるC 1-6 アルキル基としては、例えばメチル基、エチ ル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル 基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル 基等が挙げられる。このうち、C 1-4 アルキル基がより好ましく、C 4 アルキル基がさらに好ましく、tert-ブチル基 特に好ましい。

 R 2 としては、シクロヘキシル基が特に好ましい 。Yで示されるC 1-4 アルキレン基としては、メチレン基、エチレ ン基、プロピレン基、ブチレン基、メチルメ チレン基、ジメチルメチレン基、1-メチルエ レン基、1,1-ジメチルエチレン基、1-メチル ロピレン基、2-メチルプロピレン基等が挙 られる。このうち、ジメチルメチレン基が に好ましい。また、Yとしては、単結合が特 好ましい。

 化合物(1)のうち、(R)-(-)-3-[3-(1-tert-ブチル ルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロヘキシル- 1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジアゼピン-3 -イル)ウレイド]安息香酸またはその薬学的に 許容される塩(化合物A)および(R)-(-)-2-[3-[3-(1-te rt-ブチルカルボニルメチル-2-オキソ-5-シクロ ヘキシル-1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-1,5-ベンゾジ ゼピン-3-イル)ウレイド]フェニル-2-メチル ロピオン酸またはその薬学的に許容される (化合物B)が特に好ましく、このうちさらに 合物Aが好ましい。

 化合物(1)の塩としては、ナトリウム塩、カ ウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等 無機塩類、アンモニウム塩、ピリジン塩、 リエチルアミン塩、エタノールアミン塩、( R)若しくは(S)体のα-フェネチルアミン、ベン ルアミン、4-メチルベンジルアミン塩等の 機塩類、および有機酸,無機酸との酸付加塩 挙げられるが、これらのうち塩基性塩が好 しく、塩基性塩の中でも無機塩がより好ま い。無機塩としては、アルカリ土類金属塩 特にカルシウム塩が好ましい。
 化合物(1)には、光学活性やジアステレオマ 体はもとより、水和物等の溶媒和物や結晶 形の物質も含まれる。

 これらの化合物(1)は、WO01/40197号に記載の 方法によって製造することができる。

 化合物(1)は、後述の実施例に示すように 単剤として使用した場合において、がん性 痛であるアロディニアが改善されているこ から、種々の腫瘍に対するがん性疼痛治療 および/または予防薬として有用である。が ん性疼痛治療薬および/または予防薬の対象 としては、特に限定されないが、例えば、 腫瘍、乳がん、子宮体がん、子宮頚がん、 巣がん、胃がん、虫垂がん、大腸がん、肝 ん、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がん、消化 間質腫瘍、中皮腫、頭頚部がん、腎臓がん 肺がん、骨肉腫、前立腺がん、精巣腫瘍、 臓がん、膀胱がん、横紋筋肉腫、皮膚がん 白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫などが挙 られる。場合によっては、がん性疼痛に限 ず、他の鎮痛薬としても使用することが可 である。

 本発明のがん性疼痛治療薬および/または予 防薬は、薬学的に許容されている担体や補助 剤を配合して、経口的にも非経口的にも投与 することができ、経口投与の形態としては、 錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のごとき固 形製剤とすることができる。固形製剤におい ては、例えば乳糖、マンニット、トウモロコ シデンプン、結晶セルロースなどの賦形剤; ルロース誘導体、アラビアゴム、ゼラチン どの結合剤;カルボキシメチルセルロースカ シウムなどの崩壊剤;タルク、ステアリン酸 マグネシウムなどの滑沢剤等、適当な添加剤 と組み合わせることができる。
 また、これらの固形製剤をヒドロキシメチ セルロースフタレート、ヒドロキシプロピ メチルセルロースアセテートサクシネート セルロースアセテートフタレート、メタア リレートコーポリマーなどの被覆用基剤を いて放出制御製剤とすることができ、さら 、液剤、懸濁剤、乳濁剤のごとき液体製剤 することもできる。

 非経口投与の形態としては、注射剤とす ことができる。この場合、例えば水、エタ ール、グリセリン、慣用されている界面活 剤などと組み合わせることができる。また 適当な基材を用いて坐剤とすることができ 。

 本発明のがん性疼痛治療薬および/または 予防薬における化合物(1)の投与量は、その投 与方法、製剤形態、患者の症状、年令、性別 等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定さ れる。通常、成人に対する1日の経口投与量 、10~1000mgであり、好ましくは50~600mgであり、 さらに好ましくは180~500mgである。これを1日1 または2~3回に分けて投与することが好まし 。

 さらに、本発明のがん性疼痛治療薬および/ または予防薬は、単独での使用に限らず、少 なくとも1つの他の非オピオイド性鎮痛薬や ピオイド性鎮痛薬と同時または異なる時に 一または異なる頻度で、および同一または なる投与方法で、併用投与することが可能 ある。化合物(1)並びに併用される他のがん 疼痛治療薬および/または予防薬の投与量は 併用する薬剤、患者の症状、投与方法等に じて薬剤毎に適宜決定される。このような 剤との併用により、癌患者の疼痛を和らげ QOLを改善することができる。
 ここで化合物(1)と併用できる鎮痛薬として 、オピオイド性鎮痛薬が好ましく、特にモ ヒネ、メタドン、ペチジン、ブプレノルフ ン、ヒドロモルフィン、レボルファノール オキシコドン、フェンタニルが好ましい。
 これらの化合物(1)と他の鎮痛薬とは、同時 投与してもよいし、別個に投与してもよい また、投与ルートが相違してもよい。

 後記実施例に示す様に、本発明のがん性 痛治療薬および/または予防薬は、他の比較 したCCK2拮抗作用を有する物質と異なり、モ ヒネと併用することなく、単独でもがん性 痛を緩和する効果を有しており、がんの疼 治療において新たな疼痛治療薬として用い ことができることが確認された。また化合 (1)は、モルヒネと併用することにより、が 性疼痛に対する治療効果がさらに増強する とも判明した。これによりモルヒネ等の投 量を減少させることもできる。

 以下に実施例および比較例をもって本発 を具体的に説明するが、本発明はこれらに 定されるものではない。化合物(1)における ん性疼痛効果を以下の実施例1~試験例2に示 た。また、本発明におけるがん性疼痛治療 および/または予防薬の調製例を製剤例1~3に 示した。

実施例1
 B16-BL6メラノーマ細胞溶液をシリンジおよび 注射針を用いて、マウス右足足蹠皮下に移植 した(2×10 5 個/マウス)。がん移植後、マウスに移植側の 底をフォン・フレイ フィラメントで触刺 し、疼痛閾値(動物が触刺激に反応する際の ィラメント荷重グラム数)の変化を測定した 。疼痛閾値の低下が著しくかつ安定して認め られたがん移植後14日目に化合物Aのカルシウ ム塩(化合物A1)を単回投与して疼痛閾値の変 を検討した。化合物(A1)は0.5%CMC-Na溶液に懸濁 して調製した。図1に結果を示した。がん性 痛モデルでは通常痛みと感じられない触刺 を痛みとして感じる異痛(アロディニア)が起 こり、疼痛閾値は顕著に低下するが、化合物 (A1)の100mg/kg単回での経口投与は疼痛閾値を上 昇させ、アロディニアを改善した。一方、CCK 2受容体拮抗薬L-365,260やCCK2受容体拮抗薬プロ ルミドの100mg/kg単回の経口投与ではアロデ ニアに対する改善効果は認められなかった

実施例2
 B16-BL6メラノーマ細胞溶液をシリンジおよび 注射針を用いて、マウス右足足蹠皮下に移植 した(2×10 5 個/マウス)。移植後、マウスに移植側の足底 フォン・フレイ フィラメントで触刺激し 疼痛閾値(動物が触刺激に反応する際のフィ メント荷重グラム数)の変化を測定した。が ん移植後7日目から1日1回で計8回、化合物(A1) たはCCK2受容体拮抗薬L-365,260を100mg/kgで反復 口投与して疼痛閾値の変化を検討した。図2 に結果を示した。がん移植後7日目にはアロ ィニアが起こり、がん移植後14日目の疼痛閾 値は顕著に低下しているが、化合物(A1)の経 投与は疼痛閾値を上昇させ、アロディニア 改善した。一方、L-365,260ではアロディニア 対する改善効果は認められなかった。

実施例3
 B16-BL6メラノーマ細胞溶液をシリンジおよび 注射針を用いて、マウス右足足蹠皮下に移植 した(2X10 5 個/マウス)。移植後、マウスに移植側の足底 フォン・フレイフィラメントで触刺激し、 痛閾値(動物が触刺激に反応する際のフィラ メント荷重グラム数)の変化を測定した。が 移植後14日目に化合物Aのカルシウム塩(化合 A1)の100mg/kgおよびモルヒネ塩酸塩の2.5mg/kgを 併用投与した。その結果、図3に示すように 化合物A1単独およびモルヒネ単独に比べ、化 合物A1とモルヒネの併用群で高い抗アロディ ア効果の発現が確認された。

試験例1
 切除不能な膵臓がん患者に対して化合物(A1) の経口投与を行った。群構成としてはプラセ ボ群、化合物(A1)120mg群(120mgを1日2回)、化合物 (A1)240mg群(240mgを1日2回)の3群とした。全例(評 患者数23名)において膵臓がん治療薬である 酸ゲムシタビンを投薬した。また必要に応 てオピオイドを含む各種鎮痛薬の投薬を行 た。その結果、疼痛改善率はプラセボ群で1 2.5%であったのに対して、化合物(A1)120mg群で57 .0%であり、240mg群で37.5%であった。以上の結 から化合物(A1)は、膵臓がん患者の疼痛を緩 することが明らかとなった。

試験例2
 臨床試験において、化合物(A1)投与群に確認 されたがん性疼痛緩和効果が、腫瘍縮小効果 によるものか否かを検証することを目的とし て、がん性疼痛スコアと腫瘍径変化の相関性 について検討した。すなわち、化合物(A1)投 前と投与後のがん性疼痛スコアの変化量と がんの腫瘍径(長径)の変化量を用いて、最小 二乗法を行い一次関数の近似式および相関係 数を算出した。その結果、相関係数はR 2 =0.1044であり、化合物(A1)投与で確認されたが 性疼痛緩和効果と腫瘍縮小効果の関連性は いことが明らかとなった。以上のことから 合物(A1)によるがん性疼痛緩和効果は、腫瘍 縮小効果によるがん周囲の組織障害性の改善 によるものではないことが推測された。

製剤例1
 化合物(A1)を20g、乳糖を315g、トウモロコシ ンプンを125gおよび結晶セルロースを25g、を 一に混合し、7.5%ヒドロキシプロピルセルロ ース水溶液200mLを加え、押出し造粒機により 直径0.5mmスクリーンを用いて顆粒とし、直 にマルメライザーにより丸めた後、乾燥し 顆粒剤とする。

製剤例2
 化合物(A1)を20g、乳糖を100g、トウモロコシ ンプンを36g、結晶セルロースを30g、カルボ シメチルセルロースカルシウムを10gおよび テアリン酸マグネシウムを4g、を均一に混合 し、単発打錠機にて直径7.5mmの杵で1錠200mgの 剤とする。

製剤例3
 化合物(A1)を100mg、酢酸ナトリウムを2mg、酢 (pH5.8に調整用)を適量、蒸留水を残量(合計10 mL/バイアル)を用いて、常法により注射剤と る。




 
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