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Title:
THERAPEUTIC AGENT OR PREVENTIVE AGENT FOR HEPATITIS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069682
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a therapeutic agent or preventive agent for hepatitis which comprises a novel immune-stimulating oligonucleotide and interferon-β in combination and has an enhanced interferon (IFN)-inducing activity and a reduced inflammatory cytokine-inducing activity. The invention provides the therapeutic agent or preventive agent for hepatitis comprising as active ingredients interferon-β and an oligonucleotide (provided that an oligonucleotide having a nucleotide sequence represented by SEQ ID NO: 5 in the sequence listing is excluded) having a full length of 16 to 37 nucleotides represented by the formula (1): 5'-(G)MPXCGYQ(G)N-3' [wherein C represents cytosine, G represents guanine, X and Y each independently represent a nucleotide sequence having a length of 0 to 10 nucleotides without containing 4 or more consecutive guanines (provided that a length of X+Y is from 6 to 20 nucleotides), XCGY represents a nucleotide sequence having a length of 8 to 22 nucleotides including a palindromic sequence having a length of at least 8 nucleotides, P and Q each independently represent one nucleotide other than guanine, M represents an integer of 6 to 10, and N represents an integer of 0 to 3].

Inventors:
IWAMURA TOMOKATSU (JP)
SONEDA AKIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071508
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
IWAMURA TOMOKATSU (JP)
SONEDA AKIKO (JP)
International Classes:
A61K38/21; A61K31/7088; A61P1/16; A61P31/14
Domestic Patent References:
WO2006108358A12006-10-19
WO2005083076A12005-09-09
WO2006035939A12006-04-06
Foreign References:
JP2005533035A2005-11-04
JP2005532067A2005-10-27
JP2007528848A2007-10-18
Other References:
KAMSTRUP, S. ET AL.: "Response of porcine peripheral blood mononuclear cells to CpG- containing oligodeoxynucleotides", VET MICROBIOL, vol. 78, no. 4, 2001, pages 353 - 362
YAMAMOTO, S. ET AL.: "Unique palindromic sequences in synthetic oligonucleotides are required to induce IFN [correction of INF] and augment IFN-mediated [correction of INF] natural killer activity", J IMMUNOL, vol. 148, no. 12, 1992, pages 4072 - 4076
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Hiroaki (Kasumigaseki Building2-5, Kasumigaseki 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 20, JP)
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Claims:
 式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’
[式(1)中、Cは、シトシン、Gは、グアニン、X及びYは、それぞれ独立に、4塩基以上連続したグアニンを含まない0~10ヌクレオチド長の塩基配列(但し、X+Yの長さは、6~20ヌクレオチド長である。)、XCGYは、少なくとも8ヌクレオチド長のパリンドローム配列を含む8~22ヌクレオチド長の塩基配列、P及びQは、それぞれ独立に、グアニン以外の1ヌクレオチド、Mは、6~10の整数、Nは、0~3の整数を表す。]
で示され、全長が16~37ヌクレオチド長であるオリゴヌクレオチド(但し、配列表の配列番号5記載の塩基配列からなるものは除く。)と、
 インターフェロン-βと、
を有効成分とする、肝炎の治療剤又は予防剤。
 前記インターフェロン-βは、天然型インターフェロン-β、遺伝子組換え型インターフェロン-β又は修飾されたIFN-βである、請求項1記載の治療剤又は予防剤。
 前記肝炎は、B型肝炎又はC型肝炎である、請求項1又は2記載の治療剤又は予防剤。
 前記オリゴヌクレオチドは、16~35ヌクレオチド長であり、Mは、6~8の整数を表す、請求項1~3のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
 前記オリゴヌクレオチドは、17~23ヌクレオチド長であり、前記式(1)中のXCGYは、9又は10ヌクレオチド長の塩基配列を表す、請求項1~4のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
 前記式(1)中のXCGYは、配列表の配列番号59、60又は61に記載の塩基配列を含む、請求項1~5のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
 前記オリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号6、7、9~11、15~18、22、24、26、28、48、50~52、54、95及び97からなる群から選択される塩基配列からなる、請求項6記載の治療剤又は予防剤。
 前記オリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号30に示される塩基配列からなる、請求項6記載の治療剤又は予防剤。
 前記オリゴヌクレオチドは、配列表の配列番号40又は42に示される塩基配列からなる、請求項6記載の治療剤又は予防剤。
 前記式(1)中の(G) M および(G) N で示される領域に含まれるホスホジエステル結合のうち少なくともその一部がホスホロチオエート修飾されている、請求項1~9のいずれか一項記載の治療剤又は予防剤。
Description:
肝炎の治療剤又は予防剤

 本発明は、肝炎の治療剤又は予防剤に関 る。

 肝炎とは、ウイルス、アルコール、薬物 毒素及び自己免疫性などの原因で誘発され 肝臓の炎症を含む症患を指す。

 肝炎ウイルスによる肝炎が大多数を占め 特にA,B,C型が多いが、他にもD,E,F,G型、及び 発性肝炎ウイルスの存在が知られている。 た、上記の肝炎ウイルスはRNA型,DNA型など多 数の異なるウイルス・ファミリーの間に広が っている。

 B型ウイルス(Hepatitis B virus、HBV)及びC型 炎ウイルス(Hepatitis C virus、HCV)はそれぞれ 性及び慢性感染を引き起こす。急性肝炎は 期感染や慢性的な感染者における再発に伴 て症状が現れる。他方、慢性のC型肝炎にお ては、6ヵ月以上にわたって肝臓の炎症が続 き、細胞が破壊され、肝機能の低下を伴う。 HCV感染では、急性肝炎から慢性肝炎への進行 の危険性が高いことも問題である。このよう な状況から、肝炎ウイルス感染症に対する治 療の早期介入と効果の高い治療法の開発が望 まれている。

 インターフェロン類(IFNs)は天然に存在す タンパク質であり、抗ウイルス活性、増殖 制活性、免疫制御活性を有する。4つのクラ スのインターフェロン(以下、単に「IFN」と 記する場合がある)がヒトに存在しているこ が知られている(例えば、Pestkaら,「Interferons  and their actions.」,Annual Review of Biochemistry,1 987年,第56巻,p.727-777(非特許文献1)参照。)。I型 インターフェロン(以下、「I型IFN」と表記す 場合がある)の抗ウイルス効果は、ウイルス 自身に対する直接的な作用ではなく、ウイル ス感染に対する防御という意味での標的細胞 への作用により成し遂げられる。

 このインターフェロンの抗ウイルス作用 着目し、インターフェロンは様々なウイル 性疾患に応用されている。C型肝炎において は種々のIFN製剤の単独治療やインターフェロ ン-α製剤(以下、「インターフェロン-α」を IFN-α」と表記する場合がある)とリバビリン の併用療法が治療手段の第一選択となって る。併用治療は、単剤治療より持続的反応 期待出来る反面、より高価で、より多くの 作用を伴う。しかも、これらの治療を行っ も、全治療者の約60%に治療効果が認められ だけであり、効果が出た後に治療を中止す と半分以上の患者が再燃する。このような 況から、さらなる治療薬の開発が望まれて る。

 一方、インターフェロン自体の効果を増 する目的で、インターフェロンにポリエチ ングリコールを付加したペグ化インターフ ロンが開発されている。ペグ化インターフ ロン-αについては既に臨床応用され、その 用性が証明されている。更に、ペグ化コン ンサスインターフェロンやペグ化インター ェロン-β(以下、「インターフェロン-β」の ことを「IFN-β」と表記する場合がある)につ ても、基礎検討段階に入っている。

 しかし、ペグ化インターフェロンによっ も、C型肝炎の治療は十分では無く、C型肝 に対する治療成績も、長期的には、インタ フェロン単独療法成績と比較して若干の有 性の向上は期待できるが、満足できる状況 は無い。

 このような背景から、世界的に、C型肝炎 治療に対し、インターフェロンと併用する新 たな薬物を見出す検討がなされている。

 徳永らによって特定のタイプの細菌性DNA 免疫応答を刺激することが報告されている( Yamamotoら Jpn.J.Cancer Res.1988 79:866-873(非特許文 献2))。免疫刺激活性に必須な細菌性DNAの主成 分は、メチル化修飾を受けていないCpGジヌク レオチドモチーフを含む特徴的な短い配列構 造である。なお、本明細書においては、「CpG ジヌクレオチドモチーフ」のことを「CpGモチ ーフ」と表記する場合がある。特段断らない 限り、「CpGモチーフ」はメチル化修飾を受け ていないものを意味する。また、「CpGモチー フ」を含むオリゴオリゴヌクレオチドを「CpG オリゴヌクレオチド」と表記する場合がある 。合成したCpGオリゴヌクレオチドについても 、マクロファージ及びナチュラルキラー(NK) 胞のI型IFN(IFN-αとIFN-β)及びIFN-γの産生を誘 し、NK細胞の細胞障害活性を有することが報 告されている(特許文献1)。また、CpGオリゴヌ クレオチドはマクロファージのみならず、樹 状細胞やB細胞等にも作用し、細胞増殖活性 炎症性サイトカインのインターロイキン-12( 下、IL-12)、腫瘍壊死因子-α(以下、TNF-α)の 生、インターロイキン-6(以下、IL-6)の産生を 誘導することが報告されている(非特許文献3) 。

 このことから、CpGオリゴヌクレオチドは 胞性免疫を誘導し、かつTh1応答を誘導する め、ワクチンのアジュバントあるいはアレ ギー性疾患の治療に有用であると考えられ 一方、TNF-αやIL-6の産生誘導により敗血症、 発熱、関節痛、筋肉痛や発赤等の副作用を誘 発する可能性も否定できない。

 徳永らはマウスNK細胞の細胞障害活性に いて、6塩基パリンドロームモチーフからな CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチドが強 活性を有することを見出し、5'-AACGTT-3'(配列 番号92)、5'-AGCGCT-3'(配列番号93)、5'-GACGTC-3'(配 番号61)の配列が最も強いことを報告してい (Yamamotoら J.Immunol.1992 148:4072-4076(非特許文 4))。また、他のタイプの免疫調節オリゴヌ レオチド配列も報告されている(国際公開第1 998/018810号パンフレット(特許文献2)、国際公 第2003/015711号パンフレット(特許文献3)、国際 公開第2004/058179号パンフレット(特許文献4)。

 オリゴヌクレオチドの活性増強を目的と た研究も行われている。徳永らはCpGを含む6 塩基パリンドロームモチーフの外側にデオキ シグアニル酸の繰り返し構造(以下、デオキ グアニル酸の繰り返し構造を有する配列の とを「ポリG配列」という)を挿入するとNK細 活性とIFN誘導活性が増強することを見出し いる(特許文献1)。また、CpGを含む6塩基配列 の外側の配列が少なからず活性に影響を及ぼ すことが明らかになっている。

 その他の公知のCpG含有配列としては、D- イプ(あるいはA-タイプ)及びK-タイプ(あるい B-タイプ)の免疫刺激オリゴヌクレオチドが る(国際公開第2000/61151号パンフレット(特許 献5))。K-タイプはB細胞を活性化することが られている。D-タイプはCpGを含むパリンド ーム配列の外側にポリG配列が付加されてお 、樹状細胞のI型IFNの産生を誘導し、ヒトNK 胞を活性化させる。D-タイプのIFN誘導活性 ついては3'末端側が重要とされており、3'末 側のポリG配列の長さは4塩基以上必要であ (特許文献5)。さらに、炎症性サイトカインIL -12やTNF-αの産生誘導活性においても3'末端側 ポリG配列が重要であり、その効果の発現に は少なくとも4塩基以上のポリG配列が必要と れている(大韓民国KR2001-063153号公報(特許文 6)。このように、従来技術によって、免疫 激活性を向上させるオリゴヌクレオチドの 基配列、又はポリG配列の構造は、IFN誘導活 の増強と炎症性サイトカイン誘導活性の増 が連関することが開示されている。しかし がら、従来の知見では、IFN誘導活性および 症性サイトカイン誘導活性のいずれか一方 活性だけを向上させる塩基配列や、それぞ の誘導活性を分離する可能性については明 かにされていない。

 パリンドロームモチーフが5'-GACGATCGTC-3'( 列番号76)である免疫刺激ヌクレオチドは、10 個までの最適な長さのポリG配列を5'末端及び 3'末端に付加することにより、従来の非修飾 (修飾型の効果は後述している)のCpG含有免 刺激ヌクレオチドよりも強力なIFN-α誘導活 を有することが見出されている(特開2005-23732 8号公報(特許文献7)。5'-GACGATCGTC-3'(配列番号76) を有する免疫刺激ヌクレオチドに高いIFN-α誘 導活性をもたらすには、グアニン(G)を3'末端 又は5'末端側に8~10個置くほうがよいが、免 制御性サイトカインであるインターロイキ -10(以下、IL-10)の産生を抑えるには5'末端側 偏在させるとよいことが開示されている(特 許文献7)。また、炎症性サイトカインであるT NF-αやIL-12の誘導活性は、IFN-α誘導活性と緩 かに相関することが報告されている。これ の報告は、5'-GACGATCGTC-3'(配列番号76)以外のパ リンドロームモチーフにおいて5'末端側への リG配列付加の効果を明らかにしていない。 また、これらの報告は、CpG含有オリゴヌクレ オチドの炎症性サイトカイン誘導活性が減弱 し、かつIFN-γとIFN-αの両方のIFN誘導活性が増 強する最適なポリG配列の塩基数は開示して ない。

 従来のD-タイプのCpGよりも高い免疫刺激 性を有するオリゴヌクレオチドとして5'-GGTGC CGATCGGCAGGGGGG-3'(配列番号1)が見出されている( 願2004-287102号公報(特許文献8)。この塩基配列 の1個ないし数個の塩基が置換された誘導体 ついても開示されている。3個以上変換した 体的配列は開示されていないが、唯一7塩基 を置換した5'-GGGGGGTGCCGATCGGCAGGG-3'(配列番号5)は 、3'末端のポリG配列が3塩基でもIFN誘導活性 有することが見出されている(国際公開第2006 /035939号パンフレット(特許文献9)。

 活性増強を目的としたその他の研究とし は、オリゴヌクレオチドの化学修飾による 定化が知られている。天然に存在するホス ジエステルヌクレオチドは細胞内及び細胞 地中において様々な核酸分解活性によって 解されやすい。そのため、核酸分解活性の 撃標的であるヌクレオチド間のホスホジエ テル結合を置換することによる安定化、さ にその結果としての活性増加の検討が行わ ている。頻繁に用いられている置換方法と ては、ホスホロチオエートへの置換である Klinmanらの研究では、免疫刺激オリゴヌクレ オチドのパリンドロームモチーフの外側のポ リG配列をホスホロチオエート修飾すること より、免疫応答の誘導が増強されることを している(国際公開第2000/61151号パンフレット (特許文献5)。

 CpGオリゴヌクレオチドの肝炎治療におけ 効果としては、インターフェロン誘導によ 抗ウイルス効果の増強と、ウイルス感染細 に対する細胞性免疫や抗ウイルス抗体をは めとする液性免疫の誘導などが挙げられる CpGオリゴヌクレオチドのHBVあるいはHCV感染 よる肝炎治療用途に関しては、特表2003-52666 2号公報(特許文献10)及び特表2006-515277号公報( 許文献11)における技術情報がある。前者はC pGオリゴヌクレオチド(免疫活性化配列:ISS)を 炎ウイルス抗原と一緒には投与せずに治療 る方法について開示している。後者はイン ーフェロン療法などの抗ウイルス剤が無効 あった慢性C型肝炎の個体を処置する方法に ついて開示しており、患者での有用性に関し て、開発コード番号CpG10101による臨床試験成 が2006年欧州肝臓学会他において開示されて いる。しかしながら、その臨床試験成績は、 CpG10101の単剤治療の効果は従来の治療法と比 ると極めて不十分であることを示している また、該臨床試験成績は、ペグ化IFN-α製剤 リバビリンとCpG10101の3剤の併用治療は、標 的な治療法であるペグ化IFN-α製剤とリバビ ンの併用療法の成績と比較して若干の有効 の向上は期待できるが、他の抗ウイルス剤 の併用(例えばポリメラーゼやプロテアーゼ などウイルス酵素の阻害剤との併用治療)と べて十分な治療効果が得られないことも明 かにしている。

 上述の通り、既存のCpGオリゴヌクレオチ とIFN-αとの併用によるC型肝炎ウイルス感染 の治療については特許文献11において開示さ ている。また、特表2003-510290号公報(特許文 12)では、IFN-α処置の効力を増強し、IFN-α処 に関連する副作用を減少するためにCpGオリ ヌクレオチドを併用する技術についても開 されており、その好ましいCpGオリゴヌクレ チドはI型インターフェロン誘導活性を有す るタイプであるとされている。したがって、 IFN-αとある種のCpGオリゴヌクレオチドの併用 により慢性C型肝炎の治療効果が高まること 技術的に開示されている。さらには、特表20 05-532067号公報(特許文献13)において、特定の 列のCpGオリゴヌクレオチドとIFN-βとの併用 関する記載がある。しかしながら、IFN-βと 併用に好ましいCpGオリゴヌクレオチド配列 開示されていない。

 また、既存のCpGオリゴヌクレオチドは、 症性のサイトカインであるTNF-α、IL-12やIL-6 産生誘導により敗血症、発熱、関節痛、筋 痛や発赤などの望ましくない副作用を誘発 る可能性も否定できず、実際にマウスの肝 モデルを用いた試験例から肝炎の症状を悪 させることが示されている(非特許文献5)。 たがって、肝炎治療に適したインターフェ ン誘導活性が向上し、かつ炎症性サイトカ ン誘導能が低減されたCpGオリゴヌクレオチ の創出が望まれている。

Pestkaら,「Interferons and their actions.」,Annu al Review of Biochemistry,1987年,第56巻,p.727-777 Yamamotoら,Jpn.J.Cancer Res.,1988年,79:866-873 Klinmanら,Proc.Natl.Acad.Sci.,1996年,93:2879-2883 Yamamotoら,J.Immunol.,1992年,148:4072-4076 Abeら,Fukushima J.Med.Sci.,2005年,51:41-49

特開平4-352724号公報

国際公開第1998/018810号パンフレット

国際公開第2003/015711号パンフレット

国際公開第2004/058179号パンフレット

国際公開第2000/61151号パンフレット

大韓民国KR2001-063153号公報

特開2005-237328号公報

特願2004-287102号公報

国際公開第2006/035939号パンフレット

特表2003-526662号公報

特表2006-515277号公報

特表2003-510290号公報

特表2005-532067号公報

 本発明は、従来のインターフェロン製剤 比べて安全で効果の高い肝炎の治療剤又は 防剤を提供することを課題とする。本発明 より具体的目的は、インターフェロン(IFN) 導活性が増強され、かつ炎症性サイトカイ 誘導活性が低減された新規な免疫刺激オリ ヌクレオチドと、IFN-βとの併用による、新 な肝炎の治療剤又は予防剤を提供すること ある。

 本発明者らはこの課題を解決するため、 意検討を重ねた結果、IFN誘導活性においてC pGモチーフを含む配列の外側の5'末端側の配 構造が重要であることを見出すと共に、当 配列構造がIFN-βとの併用において顕著な肝 治療効果に寄与し得ることを見出した。具 的には、6塩基以上の連続したグアニン配列 5’末端側への付加により、IFN誘導活性がそ れ以外のものよりも優れたオリゴヌクレオチ ドが得られることを確認した。更に検討を進 めた結果、5'末端側に塩基数が6乃至10の長さ ポリG配列を有し、3’末端側に塩基数が0乃 3の長さのポリG配列を有し、かつ所定の構 的特徴を有するCpGオリゴヌクレオチドは、 来知られているD-タイプのCpG配列からなるオ リゴヌクレオチドよりもIFN誘導活性が増強さ れる一方、炎症性サイトカイン誘導活性が低 減し、IFN-βとの併用に有用であることを見出 した。これらに加えて、マウスの肝炎モデル を用いた試験の結果、この新規なCpGオリゴヌ クレオチドと単独治療では無効な用量のIFN-β との併用治療が、in vivoにおける肝炎治療効 を有することを見出し、本発明を完成する 至った。

 すなわち、本発明は、以下の肝炎の治療剤 は予防剤、およびその利用方法を提供する のである。
[1] 式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’
[式(1)中、Cは、シトシン、Gは、グアニン、X びYは、それぞれ独立に、4塩基以上連続した グアニンを含まない0~10ヌクレオチド長の塩 配列(但し、X+Yの長さは、6~20ヌクレオチド長 である。)、XCGYは、少なくとも8ヌクレオチド 長のパリンドローム配列を含む8~22ヌクレオ ド長の塩基配列、P及びQは、それぞれ独立に 、グアニン以外の1ヌクレオチド、Mは、6~10の 整数、Nは、0~3の整数を表す。]
で示され、全長が16~37ヌクレオチド長である リゴヌクレオチド(但し、配列表の配列番号 5記載の塩基配列からなるものは除く。)と、
 IFN-βと、
を有効成分とする、肝炎の治療剤又は予防剤 。
[2] 上記IFN-βは、天然型IFN-β、遺伝子組換え IFN-β又は修飾されたIFN-βである、[1]記載の 療剤又は予防剤。
[3] 上記肝炎は、B型肝炎又はC型肝炎である [1]又は[2]記載の治療剤又は予防剤。
[4] 上記オリゴヌクレオチドは、16~35ヌクレ チド長であり、Mは、6~8の整数を表す、[1]~[3] のいずれか記載の治療剤又は予防剤。
[5] 上記オリゴヌクレオチドは、17~23ヌクレ チド長であり、前記式(1)中のXCGYは、9又は10 クレオチド長の塩基配列を表す、[1]~[4]のい ずれか記載の治療剤又は予防剤。
[6] 上記式(1)中のXCGYは、配列表の配列番号59 60又は61に記載の塩基配列を含む、[1]~[5]の ずれか記載の治療剤又は予防剤。
[7] 上記オリゴヌクレオチドは、配列表の配 番号6、7、9~11、15~18、22、24、26、28、48、50~5 2、54、95及び97からなる群から選択される塩 配列からなる、[6]記載の治療剤又は予防剤
[8] 上記オリゴヌクレオチドは、配列表の配 番号30に示される塩基配列からなる、[6]記 の治療剤又は予防剤。
[9] 上記オリゴヌクレオチドは、配列表の配 番号40又は42に示される塩基配列からなる、 [6]記載の治療剤又は予防剤。
[10] 上記式(1)中の(G) M 又は(G) N で示される領域に含まれるホスホジエステル 結合のうち少なくともその一部がホスホロチ オエート修飾されている、[1]~[9]のいずれか 載の治療剤又は予防剤。

 本発明によれば、従来のインターフェロン 剤と比べて安全で効果の高い肝炎の治療剤 は予防剤が提供される。本発明の肝炎の治 剤又は予防剤を用いることにより、より安 で効果的なC型肝炎の治療、及び予防が可能 となる。
 本発明の治療剤又は予防剤の有効成分の一 である免疫刺激オリゴヌクレオチドは、IFN 導活性が増強され、炎症性サイトカイン誘 活性が低減され、また、優れた免疫刺激活 を有するため、高い治療効果を有する。ま 、本発明において用いられる免疫刺激オリ ヌクレオチドは、炎症性サイトカイン誘導 性が低減されているため、生体に投与され 場合、炎症による副作用誘発の危険性が少 い。本発明の治療剤又は予防剤は、マウス 肝炎モデルを用いた試験の結果、in vivoに いて肝炎治療効果を有することも証明され いる。更に、副作用の危険性が低減されて るため、高用量の使用も可能である。すな ち、上記のような優れた効果を発揮する免 刺激オリゴヌクレオチドをIFN-βと併用する とにより、治療または予防効果のみならず 全面でも優れた肝炎の治療剤又は予防剤と ることができる。

図1-1は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-α産生量を測定した結果 を示す図である。 図1-2は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-γ産生量を測定した結果 を示す図である。 図1-3は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-α産生量を測定した結果 を示す図である。 図1-4は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-γ産生量を測定した結果 を示す図である。 図1-5は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-α産生量を測定した結果 を示す図である。 図1-6は、実施例1において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激 し、培養上清中のIFN-γ産生量を測定した結果 を示す図である。 図2は、実施例2において、マウスJ774細 株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド 刺激し、培養上清中のIL-12p40産生量を測定 た結果を示す図である。 図3-1は、実施例3において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6-PXCGY Q-G3)及びパリンドロームモチーフが同一であ D-タイプのCpG(G2-PXCGYQ-G6)で刺激し、培養上清 中のIFN-α産生量を測定した結果を示す図であ る。 図3-2は、実施例3において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6-PXCGY Q-G3)及びパリンドロームモチーフが同一であ D-タイプのCpG(G2-PXCGYQ-G6)で刺激し、培養上清 中のIFN-γ産生量を測定した結果を示す図であ る。 図3-3は、実施例3において、ヒトPBMCを 本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド(G6/7-PXC GYQ-G2)及びパリンドロームモチーフが同一で るD-タイプのCpG(G2/3-PXCGYQ-G6)で刺激し、培養 清中のIFN-α産生量を測定した結果を示す図 ある。 図4は、実施例4において、ヒトPBMCを本 明の免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し 培養上清中のIFN-α産生量を測定した結果を す図である。 図5-1は、実施例7において、ヒトPBMCを 本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチ ドで刺激し、培養上清中のIFN-α産生量を測定 した結果を示す図である。 図5-2は、実施例7において、ヒトPBMCを 本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチ ドで刺激し、培養上清中のIFN-α産生量を測定 した結果を示す図である。 図5-3は、実施例7において、ヒトPBMCを 本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチ ドで刺激し、培養上清中のIFN-α産生量を測定 した結果を示す図である。 図5-4は、実施例7において、ヒトPBMCを 本発明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチ ドで刺激し、培養上清中のIFN-α産生量を測定 した結果を示す図である。 図6は、実施例8において、ヒトPBMCを本 明及び公知の免疫刺激オリゴヌクレオチド 刺激し、培養上清中のIFN-α産生量を測定し 結果を示す図である。 図7-1は、実施例9において、マウス脾 胞を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド びパリンドロームモチーフが同一であるD- イプのCpGで刺激し、培養上清中のIFN-γ産生 を測定した結果を示す図である。 図7-2は、実施例9において、マウス脾 胞を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド びパリンドロームモチーフが同一であるD- イプのCpGで刺激し、培養上清中のIL-10産生量 を測定した結果を示す図である。 図8-1は、実施例10において、マウスJ77 4細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオ ド(G6-PXCGYQ-G3)及びパリンドロームモチーフが 同一であるD-タイプのCpG(G2-PXCGYQ-G6)で刺激し 培養上清中のIL-12産生量を測定した結果を示 す図である。 図8-2は、実施例10において、マウスJ77 4細胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオ ド(G6-PXCGYQ-G3)及びパリンドロームモチーフが 同一であるD-タイプのCpG(G2-PXCGYQ-G6)で刺激し 培養上清中のTNF-α産生量を測定した結果を す図である。 図9は、実施例11において、マウスJ774細 胞株を本発明の免疫刺激オリゴヌクレオチド 及びパリンドロームモチーフが同一であるD- イプのCpGと公知の免疫刺激オリゴヌクレオ ドで刺激し、培養上清中のTNF-α産生量を測 した結果を示す図である。 図10は、実施例12において、本発明の 疫刺激オリゴヌクレオチドとIFN-βを含有す 治療剤又は予防剤のConcanavalin Aで誘発した ウスの肝炎モデルにおける血清中ALT値の上 に及ぼす影響について、IFN-βをIFN-αに換え 場合の影響及び各インターフェロン単独の 響とを比較評価した結果を示す図である。 図11は、実施例13において、本発明の 効成分の一つであるペグ化インターフェロ -βのConcanavalin Aで誘発したマウスの肝炎モ ルで観察される肝臓の血流量低下に及ぼす 響について、各IFN単独の影響を比較評価し 結果を示す図である。

 本発明は一つの実施形態として肝炎の治療 または予防剤を提供する。本発明の肝炎の 療剤又は予防剤は、下記に説明する所定の 列を備えるオリゴヌクレオチドと、IFN-βと 有効成分として含むことを特徴とする。本 明の肝炎の治療剤又は予防剤の一有効成分 なるオリゴヌクレオチドは、
式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’
[式(1)中、Cは、シトシンを表す。Gは、グアニ ンを表す。X及びYは、それぞれ独立に、4塩基 以上連続したグアニンを含まない0~10ヌクレ チド長の塩基配列を表す。但し、X+Yの長さ 、6~20ヌクレオチド長である。XCGYは、少なく とも8ヌクレオチド長のパリンドローム配列 含む8~22ヌクレオチド長の塩基配列を表す。P 及びQは、それぞれ独立に、グアニン以外の1 クレオチドを表す。Mは、6~10の整数を表す Nは、0~3の整数を表す。]で示される配列を備 え、その全長が16~37ヌクレオチド長であるオ ゴヌクレオチドである(以下、これらの要件 を満たすオリゴヌクレオチドを「式(1)のオリ ゴヌクレオチド」と表記する場合がある)。
 なお、配列表の配列番号5記載の塩基配列か らなるものは、本発明の肝炎の治療剤又は予 防剤の有効成分からは除外される。

 本発明の治療剤又は予防剤は、式(1)のオ ゴヌクレオチドを有効成分の一つとして含 。本発明の治療剤又は予防剤の一有効成分 してのオリゴヌクレオチドは、その免疫刺 性に加え、IFN-α単独又はIFN-β単独による治 効果よりも肝炎に対する治療効果を相乗的 高め得るものがより好適に用いられる。ま 、本発明の治療剤又は予防剤には、上記式( 1)のオリゴヌクレオチドに加え、さらにポリG 配列を付加されたCpG-A(D-タイプのCpG)、CpG-B(K- イプのCpG)又はCpG-Cといった公知の配列を備 る免疫刺激オリゴヌクレオチドを併用して よい。

 式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’において、「5’-」は5’末端を、「3’- は3’末端を示す。また、上述の通り、Cはシ トシンであり、Gはグアニンであり、XとYは相 互に独立した任意の配列及び長さからなる部 分であり、PとQは相互に独立した任意のヌク オチドである。(G) M と(G) N は、それぞれグアニン(G)のみからなる連続す る配列部分を示し、それぞれのMとNはグアニ の数を表す。すなわち、上記式(1)は、本発 の有効成分の一つである免疫刺激オリゴヌ レオチドの5’末端から3’末端の塩基配列 一般化して示したものある。なお、本明細 において、「オリゴヌクレオチド」とは、 続したデオキシリボヌクレオチドから構成 れたポリヌクレオチドであり、「XCGY」で示 れる配列は、上記式(1)中のX、C、G、及びYで 構成される配列部分全体を意味し、「PXCGYQ」 で示される配列は、上記式(1)中のP、X、C、G Y、及びQで構成される配列部分全体を意味す る。また、上記式(1)に関し「長さ」とは、各 配列部分を構成するヌクレオチドの数(ヌク オチド長)を意味する。さらに、「X+Yの長さ とは、Xの長さとYの長さの合計を意味する のとする。

 上記式(1)中、XとYの長さはそれぞれ0~10ヌ レオチド長の範囲である。特に、2~6ヌクレ チド長であることが好ましい。X及びYの配 はそれぞれ独立した任意のヌクレオチドか なるものであればよいが、4塩基以上の連続 たグアニンが含まれないことが必要である 更に、X+Yの長さは6~20ヌクレオチド長である ことが必要である。6~12ヌクレオチド長が好 しく、7又は8ヌクレオチド長がより好ましく 、8ヌクレオチド長が最も好ましい。なお、X Yのヌクレオチド長は必ずしも同じでなくと もよい。

 上記式(1)中、XCGY配列には、パリンドロー ム配列が含まれることが必要であり、該パリ ンドローム配列の長さは、8ヌクレオチド長 上であることが必要である。XCGY配列は、8塩 基以上のパリンドローム配列のみで構成され ていてもよいし、XCGY配列の一部として8塩基 上のパリンドローム配列を含むものであっ もよい。XCGY配列は、一部に8塩基以上のパ ンドローム配列を含む限り、必ずしも完全 相補的でなくてもよい。すなわち、XCGY配列 に8塩基以上のパリンドローム配列を含む限 り、XCGY配列中における該パリンドローム配 の位置は限定されず、また、該パリンドロ ム配列以外の部分にパリンドローム配列を 成しないヌクレオチドが付加されていても い。なお、パリンドローム配列とは、任意 2塩基の間の軸に対して左右対称に相補的な 基から構成される塩基配列部分を意味し、 文配列とも別称されることがある。

 上記式(1)中のXCGY配列は、CGATCG(配列番号59 )、ATCGAT(配列番号60)及びGACGTC(配列番号61)から 選ばれるいずれか一つの塩基配列を含むこと が好ましい。特に、CGATCG(配列番号59)を含む とが最も好ましい。これらの配列自体はパ ンドローム配列であり、XCGY配列に含まれる リンドローム配列はこれらの配列を一部と て含むことが好ましい。

 上記式(1)中のXCGY配列に含まれるパリンド ローム配列の例を以下に示す。XCGY配列が、8 基配列のパリンドローム配列としては、CCGA TCGG(配列番号62),GCGATCGC(配列番号63),ACGATCGT(配 番号64),CATCGATG(配列番号65),GATCGATC(配列番号66) ,ATCGCGAT(配列番号67),GAACGTTC(配列番号68),CAACGTTG( 配列番号69),AGCGCGCT(配列番号70),ACGTACGT(配列番 71),TAGCGCTA(配列番号72),ACGGCCGT(配列番号73),CGAC GTCG(配列番号74),CGTCGACG(配列番号75)が挙げられ る。このうち、CCGATCGG,GCGATCGC,ACGATCGT,CATCGATG,CGA CGTCGが好ましい。XCGY配列が、10塩基配列のパ ンドローム配列としては、GACGATCGTC(配列番 76),GGCGATCGCC(配列番号77),CGATCGATCG(配列番号78),G ATCGCGATC(配列番号79),GCAACGTTGC(配列番号80),GCATCGA TGC(配列番号81),CAGCGCGCTG(配列番号82),GACGTACGTC( 列番号83),CTAGCGCTAG(配列番号84),CCCGATCGGG(配列 号85),GACGGCCGTC(配列番号86),GCCGATCGGC(配列番号87 ),TCCGATCGGA(配列番号88),ACGTCGACGT(配列番号89),ACAA CGTTGT(配列番号90)及びACGACGTCGT(配列番号91)が挙 げられる。このうち、GCCGATCGGC,CCCGATCGGG,TCCGATCG GA,GGCGATCGCC,GACGATCGTC,GCATCGATGC,ACGACGTCGTが好まし 。なお、パリンドローム配列は、その長さ 少なくとも8ヌクレオチド長ある配列であれ 必ずしもこれらの具体例に限定されない。X CGY配列の長さは8~22ヌクレオチド長であり、 の範囲でXとYのそれぞれの長さやパリンドロ ーム配列の種類に応じて調製することができ る。好ましくは、8~14ヌクレオチド長が好ま く、9又は10ヌクレオチド長がより好ましく 10ヌクレオチド長が最も好ましい。

 上記式(1)中のP及びQはグアニン以外の1ヌ レオチドである。具体的には、アデニン(A) チミン(T)、シトシン(C)のいずれかである。 記式(1)中のMは、6~10の整数であり、6~8であ ことが好ましい。上記範囲を逸脱すると、IF N誘導活性が不十分となるため好ましくない また、Nは0~3の整数である。上記範囲を逸脱 ると、炎症性サイトカイン誘導活性を充分 低減させることができないので好ましくな 。

 上記式(1)で示されるオリゴヌクレオチド 全長は、16~37ヌクレオチド長であり、上記 (1)中のMやN、XやYの長さ等により異なる。上 の通りMが6~8の範囲であるときは6~35ヌクレ チド長である。また、上記式(1)中のXCGY配列 長さが9又は10ヌクレオチド長の場合には17~2 3ヌクレオチド長である。

 上記治療剤又は予防剤の有効成分の一つで るオリゴヌクレオチドの塩基配列の例とし 、好ましくは、GGGGGGTGACGATCGTCGGG(配列番号97:M od92),GGGGGGTGACGATCGTCAGGG(配列番号28:Mod46),GGGGGGTCCC GATCGGGAGGG(配列番号22:Mod43),GGGGGGTTCCGATCGGAAGGG(配 番号24:Mod44),GGGGGGTGGCGATCGCCAGGG(配列番号26:Mod45 ),GGGGGGTGCATCGATGCAGGG(配列番号30:Mod47),GGGGGGGTGCCGAT CGGCAGGG(配列番号6:Mod53),GGGGGGGGTGCCGATCGGCAGGG(配列 番号7:Mod54),GGGGGGTGCCGATCGGCAGG(配列番号9:Mod40),GGG GGGGTGCCGATCGGCAGG(配列番号10:Mod55),GGGGGGTGCCGATCGGCAG (配列番号11:Mod41),GGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号15:Mod 61),GGGGGGGTGCCGATCGGCA(配列番号16:Mod62),GGGGGGGGTGCCGA TCGGCA(配列番号17:Mod63),GGGGGGGGGGTGCCGATCGGCA(配列 号18:Mod64),GGGGGGGACGACGTCGTCGG(配列番号40:Mod71)及 GGGGGGAACGACGTCGTTGG(配列番号42:Mod73)を挙げるこ ができるが、必ずしもこれに限定されない また、例えば、上記式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’のMが7でNが2である場合、GGGGGGGAGCCGATCGGCTGG (配列番号43),GGGGGGGAGCCGATCGGCAGG(配列番号44),GGGGG GGTGCCGATCGGCTGG(配列番号45),GGGGGGGAGCCGATCGGCCGG(配 番号46),GGGGGGGCGCCGATCGGCCGG(配列番号47),GGGGGGGTGAC GATCGTCAGG(配列番号48:Mod84),GGGGGGGTGACGATCGTCTGG(配 番号49),GGGGGGGAGACGATCGTCAGG(配列番号50:Mod85),GGGGG GGAGACGATCGTCTGG(配列番号51:Mod83),GGGGGGGCGACGATCGTCAGG (配列番号52:Mod87),GGGGGGGTGACGATCGTTAGG(配列番号53) ,GGGGGGGTCGACGTCGTGG(配列番号100),GGGGGGGACGACGTCGTGG( 列番号101)及びGGGGGGGTCGACGTCGAGG(配列番号102),GGG GGGGACGACGTCGTCGG(配列番号105)であってもよく、 らに、上記式(1)のMが7でNが3である場合、GGGG GGGCGACGATCGTCGGG(配列番号54),GGGGGGGTGACGATCGTCGGG(配 番号94),GGGGGGGTCGACGTCGTGGG(配列番号99)及びGGGGGG GTCGACGTCGAGGG(配列番号107)、Mが8でNが1である場 、GGGGGGGGCGACGATCGTCG(配列番号95:Mod93),GGGGGGGGTGAC GATCGTCG(配列番号96),GGGGGGGGACGACGTCGTG(配列番号103 )及びGGGGGGGGTCGACGTCGAG(配列番号104)であっても い。また、上記式(1)のMが8でNが0である場合 GGGGGGGGACGACGTCGTC(配列番号106)であってもよい

 配列表の配列番号6、7、9~11及び15~18、22、 24、26、28、30、40、42、48、50~52、54、95及び97 示される塩基配列からなるオリゴヌクレオ ドは、上記式(1)において、PXCGYQ配列の条件 満たすが、その他の条件を満たさないD-タイ プのCpG配列よりもIFN誘導活性が増強され、炎 症性サイトカイン誘導活性が低減することが 確認されている。すなわち、IFN誘導活性にお いては、オリゴヌクレオチドのCpGモチーフを 含むパリンドローム配列が必須であるが、IFN 誘導活性の増強と炎症性サイトカイン誘導活 性の低減においては、その外側に付加するポ リG配列の塩基数が重要である。したがって 上記式(1)のオリゴヌクレオチドの最も重要 部分は、ポリG配列と特定のパリンドローム 列との組み合わせではなく、最適なポリG配 列の付加様式である。また、列挙したオリゴ ヌクレオチドのうち、配列番号6、7、10及び15 ~17、24、26、28、48及び50~52に示される塩基配 からなるオリゴヌクレオチド、中でも、配 番号6、7、10、28、48及び50~52のオリゴヌクレ チドは、強いインターフェロン(IFN)誘導活 を有しており、特に好ましい。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドは、デオキ リボヌクレオチド残基間のホスホジエステ 結合、各ヌクレオチドのリボース糖部、塩 部のうちの全て又は一部が化学修飾されて てもよい。但し、XCGY配列のシトシン(C)のメ チル化は免疫刺激活性が消失するので好まし くない。このような修飾された免疫刺激オリ ゴヌクレオチドの好適な実施形態としては、 ヌクレオチド残基間のホスホジエステル結合 におけるリン酸基の酸素原子の置換及び/又 修飾であり、例えばホスホロチオエート(Phos phorothioate)、メチルフォスフォネート(Methylphos phonate)及びフォスフォラミデート(Phosphoramidate )を挙げることができる。好ましい実施形態 しては、上記式(1)中の(G) M および(G) N で示される領域に含まれるホスホジエステル 結合のうち、少なくともその一部がホスホロ チオエート修飾されている形態が挙げられる 。ホスホロチオエート修飾は、5'-末端のポリ G配列(上記式(1)中の(G) M )の一部又は全てのヌクレオチド残基間のホ ホジエステル結合においてなされているこ が好ましい。5'-末端のポリG配列については 該配列を構成するすべての塩基間又は最末 のホスホジエステル結合においてホスホロ エート修飾がなされていることが好ましい 3'-末端のポリG配列(上記式(1)中の(G) N )については、最末端の塩基を除く一部又は ての塩基間のホスホジエステル結合におい ホスホロチオエート修飾がなされているこ が好ましい。また、上記式(1)におけるN=0又 1のオリゴヌクレオチドはグアニン以外の3’ -末端側のホスホジエステル結合がホスホロ オエート修飾されていてもよい。さらには 5’-末端のポリG配列と3’-末端側の最末端の ホスホジエステル結合がホスホロチオエート 修飾されていることが好ましい。例えば、上 記式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’のMが7でNが2であるGGGGGGGCGACGATCGTCAGG(配列 号52:Mod87)の場合、5’-末端が全てホスホロチ オエート修飾されたポリG配列(以下、ホスホ チオエート修飾されたGをgと表記する)を有 るgggggggCGACGATCGTCAGG、5’-末端のみホスホロ オエート修飾されたポリG配列を有するgGGGGGG CGACGATCGTCAGG、5’-末端の2塩基のみホスホロチ エート修飾されたポリG配列を有するggGGGGGCG ACGATCGTCAGG、5’-末端が全てホスホロチオエー 修飾されたポリG配列と3’-末端がホスホロ オエート修飾されたgggggggCGACGATCGTCAgG、両末 のみホスホロチオエート修飾されたgGGGGGGCGA CGATCGTCAgG、5’-末端の2塩基と3’-末端がホス ロチオエート修飾されたggGGGGGCGACGATCGTCAgGが ましい。さらに、免疫刺激活性を有する限 においては、CpGジヌクレオチドのシトシン( 記式(1)中の中央部のC)においてメチル化以 の化学修飾がされていてもよい。

 ホスホジエステル骨格を有するオリゴヌ レオチドの分解は、エキソヌクレアーゼ及 エンドヌクレアーゼにより媒介される。ヌ レオチド間結合がホスホロチオエート修飾 れることによりこれらのヌクレアーゼに対 て抵抗性を獲得することが知られている。 部のヌクレオチド残基間が修飾されている リゴヌクレオチドとしては、例えば、5'及 3'末端のヌクレオチド間がホスホロチオエー ト修飾結合を有するオリゴヌクレオチドやポ リG配列のヌクレオチド間がホスホロチオエ ト修飾結合を有するオリゴヌクレオチドが り、エキソヌクレアーゼに耐性を有する。 た、全てのヌクレオチド残基間がホスホロ オエート修飾されているオリゴヌクレオチ は、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレ ーゼに抵抗性を有する。ヌクレアーゼ耐性 CpGオリゴヌクレオチドは安定であり、例え 、標的受容体に作用する時間の延長や一定 濃度を維持する結果、増強された免疫刺激 性を示す。

 なお、上記式(1)のオリゴヌクレオチドは 上述した配列に関する要件を満たしていれ 、免疫刺激活性、具体的には増強されたIFN 導活性と低減された炎症性サイトカイン誘 活性を有する限り、核酸以外の分子が結合 れていてもよい。

 本発明において、オリゴヌクレオチドが 疫刺激活性を有するとは、インターフェロ (IFN)誘導活性が増強され、かつ炎症性サイ カイン誘導活性が低減されることを意味す 。ここで、炎症性サイトカインとはインタ ロイキン-12(以下、IL-12という)、腫瘍壊死因 -α(以下、TNF-αという)、インターロイキン-6 (以下、IL-6)及びインターロイキン-1β(以下、I L-1βという)を意味する。炎症性とは、組織に おける発熱の誘導や細胞の浸潤及び活性化を 引き起こす性質を言う。一方、免疫抑制性と は上記の炎症反応を抑制するような機能ある いは性質を有することを表す。インターロイ キン-10(以下、IL-10という)は、免疫抑制性サ トカインの一つであり、機能的に炎症性サ トカインとは異なる。IFN誘導活性或いは炎 性サイトカイン誘導活性とは、例えば、ヒ においては平均的な反応性を有するヒト検 の末梢血単核球(以下、PBMCと表記する場合が ある)、マウスにおいては骨髄由来樹状細胞 るいは脾細胞あるいはCpG配列を有する免疫 激オリゴヌクレオチドに感受性の単球系細 株J774やRAW264.7からの各サイトカイン産生を 導する作用のことを示す。本発明において 、ヒト末梢血単核球(以下、ヒトPBMC)におけ 免疫刺激オリゴヌクレオチド処置によるIFN- 及びIFN-γの産生誘導を指標とした活性とし 示すことができる。また、マウス脾細胞に ける免疫刺激オリゴヌクレオチド処置によ IFN-γ及びIL-10の産生誘導を指標とした活性と して示すことができる。更に、マウス樹状細 胞及びJ774細胞株において免疫刺激オリゴヌ レオチド処置によりインターロイキン-12p40( 下、IL-12p40という)及びTNF-αの産生誘導を指 とした活性として示すこともできる。また 本発明において、いくつかの免疫刺激オリ ヌクレオチド配列の活性を比較する際に用 る、増強されたIFN誘導活性とは、上記細胞 免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激した場 に他よりも低濃度において多量のIFN-α及びI FN-γを誘導することを表わす。一方、低減さ た炎症性サイトカイン誘導活性とは、上記 胞を免疫刺激オリゴヌクレオチドで刺激し 場合に他よりも少量のIL-12p40及びTNF-αを誘 することをいう。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドによるPBMCか らのIFN-γ及びIFN-αのin vitroでの誘導活性を評 価する試験の具体的方法を以下に示す。被検 体のオリゴヌクレオチドは、PBS(-)で溶解した 後、10%ウシ胎児血清(以下、FCSという)入りのR PMI1640培地で希釈して使用する。ヒト血液か Histopaque 1077を用いた密度勾配遠心を2000rpm, 温で25分間行い、PBMCを単離する。単離したPB MCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあたり4.0×10 6 個の細胞が含まれるように調製後、丸底の96 マイクロプレートに1ウェルあたり4.0×10 5 個の細胞を播き、免疫刺激オリゴヌクレオチ ドの存在下で24時間、又は7日間刺激し、それ ぞれ培養上清を回収する。IFNαとIFNγの産生 は、24時間と7日間刺激後それぞれの培養上 を用いてELISA法にて定量する。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドによるPBMCか らのIL-12及びTNF-αのin vitroでの誘導活性を評 する試験の具体的方法を以下に示す。被検 のオリゴヌクレオチドは、PBS(-)で溶解した 、10%FCS入りのRPMI1640培地で希釈して使用す 。ヒト血液からHistopaque 1077を用いた密度勾 遠心を2000rpm,室温で25分間行い、PBMCを単離 る。単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mL たり2.0×10 6 個の細胞が含まれるように調製後、平底の96 マイクロプレートに1ウェルあたり2.0×10 5 個の細胞を播き、免疫刺激オリゴヌクレオチ ドの存在下で8時間、又は24時間刺激し、それ ぞれ培養上清を回収する。IL-12及びTNF-αの産 量は、8時間と24時間刺激後それぞれの培養 清を用いてELISA法にて定量する。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドによるマウ 脾細胞からのIFN-γ及びIL-10産生誘導の有無 確認する手段として、in vitroでの誘導評価 験が挙げられる。具体的方法を以下に示す 被検体となるオリゴヌクレオチドは、PBS(-) 溶解した後、10%FCS入りのRPMI1640培地で希釈し て使用する。10~25週齢のCL57BL/6Nマウス(雄)の 臓を摘出し、RPMI1640/FCS 10%の入ったシャーレ に移す。擦り付きスライドガラス2枚を用い 脾臓をすり潰し、セルストレイナーで漉し がら丸底遠沈管に移す。1000rpmで10分間4℃に 遠心し、上清を捨てて、5mLの溶血バッファ (0.83% NH 4 Clと170mM Tris-HCl,pH7.65を9対1で混合して調製す )を加え、ピペッティング操作で細胞塊をほ ぐして懸濁する。5分間室温でインキュベー ョンしたのち、5mLの培養液を加えて転倒混 し、1000rpmで10分間4℃にて遠心する。上清を てて、10mLの培養液を加え、ピペッティング 操作で細胞塊をほぐして懸濁した。洗浄操作 を2回繰り返したのちに、培養液で再懸濁し 、トリパンブルーを用いて細胞数をカウン して、1mLあたりの生細胞数が4×10 6 となるように調製する。丸底の96穴プレート 1ウェルあたり4.0×10 5 個の細胞となるように播き、被検体のオリゴ ヌクレオチドを添加して3日間刺激する。刺 終了後、培養上清中のIFN-γ及びIL-10の濃度を ELISA法にて定量する。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドによるマウ J774細胞からのIL-12p40及びTNF-α産生誘導の有 を確認する手段として、in vitroでの誘導評 試験が挙げられる。被検体のオリゴヌクレ チドは、PBS(-)で溶解した後、10%FCS入りのRPMI 1640培地で希釈して使用する。J774細胞株は培 液(RPMI1640,FCS 10%,50μM 2-ME)で1mLあたりに1×10 6 個となるように調製する。平底96穴マルチプ ートに1ウェルあたり1.0×10 5 個の細胞となるように播き、被検体のオリゴ ヌクレオチドを添加して4時間あるいは8時間 るいは48時間刺激する。刺激終了後、培養 清中のIL-12p40及びTNF-αの濃度をELISA法にて定 する。

 上記式(1)のオリゴヌクレオチドは、従来 術又は核酸合成装置で合成できる。これら 合成方法は、酵素的方法や化学的方法等を むが、必ずしもこれに限定されるものでは い。また、修飾されたオリゴヌクレオチド 従来の技術において合成される。例えば、 リゴヌクレオチドホスホルアミデートを硫 で処理することにより、ホスホロチオエー 修飾されたオリゴヌクレオチドが得られる 、必ずしもこれに限定されるものではない これらのオリゴヌクレオチドの合成技術、 飾技術は本明細中に引用されている特許文 、非特許文献においても用いられており、 の他にも多数の報告が確認される公知の技 である。

 上記の治療剤又は予防剤に含まれるIFN-β しては、特に限定されないが、天然型であ ても遺伝子組換え型であってもよい。更に インターフェロンにポリエチレングリコー (ペグ)などの高分子体を結合させたペグ化IF N-βであってもよい。これらのIFN-βは、細胞 面上にある共通の受容体に結合し作用する とが知られている。IFN-β自体は、周知であ 、市販もされているので、ヒトの治療に対 市販のIFN-βを好ましく用いることができる ペグ化IFN-βについても現在基礎検討段階だ 、同様に用いることができる。

 本発明の一実施形態としては、免疫刺激 リゴヌクレオチドを投与することを特徴と る、IFN-βの肝炎治療効果を高める方法も提 される。IFN-βと上記式(I)のオリゴヌクレオ の患者への投与は同時であることが好まし が、IFN-βの単独処置、又は上記式(1)のオリ ヌクレオチド以外の抗ウイルス剤とIFN-βと 併用処置と比べて高い治療効果を有する限 必ずしも同時である必要はなく、効果的な イミングで連続的に投与してもよい。具体 には、免疫刺激オリゴヌクレオドをIFN-β処 の前後に投与してもよい。

 さらに、本発明の肝炎の治療剤又は予防 を好適に用い得る症例としては、例えば、 疫系の活性化を伴う肝炎、非ウイルス性の 炎及び/又はウイルス性肝炎などが挙げられ 、さらに好ましくはHBV及び/又はHCV感染によ B型肝炎及び/又はC型肝炎などが挙げられる

 本明細書において、HBV及び/又はHCV感染の 症状には、急性及び慢性の肝炎を成因とする 症状が含まれる。ウイルス性肝炎の臨床症状 は、黄疸、腹痛、倦怠感、吐き気、及び嘔吐 、並びに肝炎に関係する臨床的/検査所見、 酵素レベルの上昇(例えば、アラニン・アミ トランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸 ミノトランスフェラーゼ(AST)、及び/又は乳 デヒドロゲナーゼ(LDH))、ビリルビンの上昇 HCVウイルス血症又は抗原レベル、門脈圧亢 症及び食欲不振等の上昇、肝血流量の低下 含むが必ずしもこれに限定されない。

 上記本発明の治療剤又は予防剤のB型肝炎 及び/又はC型肝炎の治療効果は、上記した臨 症状(例として黄疸、倦怠感、腹痛)、肝炎 連の検査所見(例として血中肝酵素レベル)、 ウイルス増幅及び複製、あるいはウイルスの 量(力価)を指標として評価しうる。すなわち 本発明の治療剤又は予防剤による治療を行 なかった個体と比較し、本発明の治療剤又 予防剤を用いて治療をした個体は、B型肝炎 及び/C型肝炎の臨床症状の消失、寛解、改善 るいは症状の程度の軽減、さらには罹患期 の短縮が期待できる。肝炎関連の検査所見 ウイルス複製及びウイルス量についても治 効果として反映されうる。ウイルス力価の 少は、感染部位又は個体からのウイルスの 除を含む。

 評価の方法としては、症状の検出、臨床 査による肝機能の計測、肝生検、肝門脈圧 直接的又は間接的計測や肝血流量測定、及 ウイルス粒子、ウイルス核酸又はウイルス 原力価の計測、そして抗ウイルス抗体の検 及び計測を含む本技術分野で知られるいず かの手段が選択されうる。腹痛及び倦怠感 の自覚的な身体的症状は症状の有無により 定し、黄疸は定性ベース、ビリルビンの血 又は血清中レベルの計測により定量化する 肝炎に関する検査所見、例えば、血液ある は血清中の肝酵素AST及びALT量は、血液学的 血液生化学的及び組織学的試験により計測 る。血液又は血清サンプル中のウイルス力 は当該技術領域における周知の方法、例え ウイルス粒子の定量化(例えば分離及び可視 化によるか又はDNase抵抗性粒子のアッセイ)、 血液又は血清サンプル中のウイルス抗原の検 出(ELISA法による抗原量の定量化)、血液又は 清サンプル中の抗ウイルス抗体の検出、又 ウイルス核酸(RNA及びDNA)の検出(HCV遺伝子特 的プライマーを用いたPCR増幅あるいはウイ ス特異的プローブを用いたin situハイブリダ イゼーション)により計測する。肝組織生検 おいても上記方法で評価可能である。

 上記本発明の治療剤又は予防剤は、肝炎の 療又は予防の少なくとも一方の用途に用い る。また、上記の治療剤又は予防剤は、当 、肝炎発症に対する予防目的で使用を開始 、患者が発症してしまった場合に引き続き 炎の治療目的で使用してもよい。すなわち 上記の治療剤又は予防剤を治療と予防の双 の目的で使用してもよい。さらに、予防剤 しての使用は、再発予防であってもよい。 た、治療目的は、その根治に限らず、症状 改善を目的とする使用も含む。
 より具体的には、本発明の治療剤又は予防 は、HBV及び/又はHCV感染の可能性のある個体 (例としては身体的症状のない場合やHCVキャ アーである母体内の胎児)、HBV及び/又はHCV感 染の認められた個体、上記したB型肝炎及び/ はC型肝炎の臨床症状を伴う個体(例えば、 性肝炎や初期感染あるいは慢性感染後の再 等による急性肝炎を含む)に投与されうる。H BV及び/又はHCV感染あるいはその症状の程度に より、治療剤又は予防剤の投与はさまざまな 回数でなされる。また、上記の治療剤又は予 防剤を用いた治療は、インターフェロン単独 療法やその他の抗ウイルス剤等の治療(及び の効果)が不十分であった個体あるいは不成 に終わった個体にも用いられうる。さらに 上記の治療剤又は予防剤は単回又は複数回 与されうる。

 本発明の治療剤又は予防剤の投与量は、B 型肝炎ウイルス及びC型肝炎ウイルスによる 患の治療又は予防に有効な量であればよく 疾患の種類や程度、投与経路等により適宜 択されるが、例えば、C型肝炎ウイルスの感 による疾患であるC型肝炎に対しては、通常 、成人1日当たり、インターフェロンが10万~1, 000万国際単位(以下、国際単位をIUという)、 ましくは100~600万IU程度である。さらに、本 明によりIFNの効果が増強されること及びIFN 投与量を低減できる可能性があることから 1,000~10万IUであってもよい。免疫刺激オリゴ クレオチドは、患者の症状、治療目的、投 経路等により適宜選択されるが、通常、成 1日当り、オリゴヌクレオチド量として、0.1 pmol~10μmol、好ましくは1pmol~1μmol程度である。

 IFN-βの投与経路は、特に限定されないが 静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔 投与等の非経口投与が好ましい。免疫刺激 リゴヌクレオチドの投与経路は、特に限定 れないが、皮下注射、皮内注射、静脈内注 、筋肉内注射、患部組織への注入、経口投 、経鼻投与、経眼投与等、経咽頭投与、経 投与、経皮投与、舌下投与などが好ましい

 本発明の治療剤又は予防剤は、上記した2 種の有効成分を1つの組成物中に含む1剤系の 剤であってもよいし、2種の有効成分を別々 の組成物中に含む2剤系の薬剤であってもよ 。

 本発明の治療剤又は予防剤は、上記の有 成分のみを含むものであってもよいが、一 に製剤分野において許容される各種の賦形 や添加剤と共に製剤することが好ましい。 えば生理緩衝液中に上記の有効成分を含む のを例示することができる。また、他の薬 、例えば他の抗ウイルス剤や、炎症に対す 対症療法剤等を添加してもよい。

 以下に実施例を詳細に説明する。但し、 発明の技術的範囲はこれら実施例に限定さ るものではない。なお、以下の説明文中で 用されている免疫刺激オリゴヌクレオチド 配列の略号及び特性は、配列表に記載され いる。また、実施例中に記載されている公 の免疫刺激オリゴヌクレオチドの配列、略 及び特性は表1に示した。

(実施例1):ヒトPBMCにおける免疫刺激オリゴヌ レオチドのIFN誘導活性に必須な5'末端側ポ G配列の塩基数の比較
 種々の塩基数からなるポリG配列を付加した CpGオリゴヌクレオチドを合成し、IFN誘導活性 に必須な長さについて検討した。徳永らが示 しているパリンドローム配列CGATCG(特開平4-352 724号公報の配列49及び配列15)を含むパリンド ーム配列TGCCGATCGGCAの外側の両末端又は5’末 端側のみにホスホロチオエート修飾されたポ リG配列を含むオリゴヌクレオチドを付加し 免疫誘導オリゴヌクレオチド20種を構築した (配列番号1~20)。なお、Mod2(配列番号1)及びMod33 (配列番号5)については国際公開2006/035939パン レットにおいて、IFN誘導活性を有すること 示されている。そしてこれらの配列からな オリゴヌクレオチドのうち、ヒトPBMCにおけ るIFN-α及びIFN-γ産生の誘導活性を有するもの をスクリーニングした(図1-1~図1-6、表2)。IFN- 及びIFN-γ誘導活性の評価は、ヒトPBMCからのI FN-α及びIFN-γのin vitroでの誘導活性を評価す 試験の具体的方法として示した手順及び条 に従い、それぞれ24時間刺激及び7日間刺激 た培養上清中の産生量をもとに評価した。

 表2に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリ ゴヌクレオチドの濃度が100nM(終濃度)におけ 値である。図及び表中の配列中の小文字は スホロチオエート修飾塩基を表わす。図中 mock」と記載された処置は、本発明の有効成 の一つであるCpGオリゴヌクレオチドを溶か 溶媒として用いたPBS(-)による処置のことで る。

 図1-1及び図1-2は、Mod2(配列番号1:レーン2) Mod52(配列番号2:レーン3)、Mod51(配列番号3:レ ン4)、Mod42(配列番号4:レーン5)、Mod53(配列番 6:レーン6)、Mod54(配列番号7:レーン7)、Mod56( 列番号8:レーン8)、Mod40(配列番号9:レーン9)、 及びMod55(配列番号10:レーン10)の、各オリゴヌ クレオチドの濃度が100nM(終濃度)の際のIFN-α 生量、及び同濃度が300nM(終濃度)の際のIFN-γ 生量の結果をそれぞれ示す。IFN-α誘導活性( 表2及び図1-1)に関し、3’末端にポリG配列が3 基(N=3)ある群(図1-1、レーン3~7)では、5’末 にポリG配列が6塩基以上(Mは7以上)持つもの 活性が高かった(レーン6及び7)。また3’末端 にポリG配列が2塩基(N=2)ある群(レーン8~10)で 、5’末端にポリG配列を6塩基以上持つもの 活性が高かった(レーン9、10)。さらに、典型 的なD-タイプのCpG配列の構造(M=2/N=6、レーン2) を有するMod2と比較して、Mod52(M=3/N=3、レーン3 )、Mod51(M=4/N=3、レーン4)及びMod42(M=5/N=3、レー 5)の活性は減弱あるいは完全に消失するこ から、Mod2のポリG配列中4乃至6の数塩基を変 した配列を設計するだけでは必ずしも増強 れたIFN-α誘導活性を有するオリゴヌクレオ ドが得られるわけではないことが判明した IFN-γ誘導活性(図1-2)についても、Mod56(配列 号8、M=5/N=2、レーン8)を除き、同様の傾向で った。特に、Mod53(M=7/N=3、レーン6)、Mod54(M=8/ N=3、レーン7)とMod55(M=7/N=2、レーン10)のIFN-γ誘 導活性は、3’末端のポリG配列の長さが6塩基 であるMod2よりも有意に向上した(t検定:P<0.0 1)。この結果は、オリゴヌクレオチドのIFN誘 活性は5’末端側に依存し、少なくとも6塩 以上の長さのポリG配列が必要であることを している。

 次に、5’末端のポリG配列の長さとIFN誘 活性との関連について明らかにするため、20 塩基までのポリG配列を5’末端に付加したオ ゴヌクレオチドについてIFN誘導活性を評価 た(図1-3及び図1-4)。図1-3及び図1-4には、Mod2( レーン1)、Mod61(配列番号15:レーン2)、Mod62(配 番号16:レーン3)、Mod63(配列番号17:レーン4)、M od64(配列番号18:レーン5)、Mod65(配列番号19:レ ン6)、及びMod66(配列番号20:レーン7)の、各オ ゴヌクレオチドの濃度が300nM(終濃度)の際の IFN-α産生量とIFN-γ産生量をそれぞれ示す。そ の結果、濃度300nMにおいて、8塩基までのポリ G配列を持つもののIFN-α誘導活性は有意に向 し(図1-3、M=6~8/N=0、レーン2~4)、塩基数10のポ G配列を有するオリゴヌクレオチド(M=10/N=0) Mod2を若干上回る活性を示した(図1-3、レーン 5)。一方、12塩基以上(M=12 or 20/N=0)では殆ど 性が消失した(レーン6、7)。また、IFN-γ誘導 性は、IFN-α誘導活性と同様の傾向であった 、ポリG配列が12塩基以上でも従来のD-タイ のCpG配列のMod2と同程度の活性であった(図1-4 、レーン1、6、7)。

 さらに、3’末端のポリG配列の塩基数とIF N誘導活性との関連について評価した。図1-5 び図1-6には、Mod2(レーン2)、Mod50(配列番号14: ーン3)、Mod49(配列番号13:レーン4)、Mod40(レー ン5)、Mod41(配列番号11:レーン6)の、各オリゴ クレオチドの濃度が100nM(終濃度)の際のIFN-α 生量と、同濃度が300nM(終濃度)の際のIFN-γ産 生量とを、それぞれ示す。5’末端のポリG配 の長さを2塩基(Mod2:M=2/N=6、レーン2)から6塩 (Mod50:M=6/N=6、レーン3)にするとMod55(M=7/N=2、図 1-1及び図1-2のレーン10参照)と同程度にIFN-α及 びIFN-γの産生量は増加した(表2、図1-5及び1-6) 。5’末端側に6塩基のポリG配列を有するオリ ゴヌクレオチド(M=6/N=0~6)のIFN-α誘導活性は、3 ’末端側のポリG配列の長さにも依存する傾 を示したが、完全に消失することなく、Mod2 超えていた(図1-5、レーン3~6)。また、各オ ゴヌクレオチドの濃度300nMにおけるIFN-γ誘導 活性は、いずれもMod2を超えていた(図1-6、レ ン2~6)。

 以上の結果から、5'末端側のポリG配列の 基数(M)が6~10、好ましくは6~8である場合、3' 端側にポリG配列が全くないオリゴヌクレオ チド(M=6~8/N=0)であっても、上記式(1)中のPXCGYQ 分が同一である従来のD-タイプのCpG配列よ も増強されたIFN誘導活性を有することを確 した。

(実施例2):マウスJ774細胞における免疫刺激オ ゴヌクレオチドの炎症性サイトカイン誘導 性に必須な3'末端側ポリG配列の塩基数の比
 5'末端側に長さが6塩基のポリG配列を付加し た免疫刺激オリゴヌクレオチドについて、前 述したマウスJ774細胞のIL-12p40産生誘導の有無 を確認する手段としてのin vitroでの誘導評価 試験を行った。すなわち、J774細胞株を各オ ゴヌクレオチドで48時間刺激し、培養上清中 の炎症性サイトカインIL-12(IL-12p40)の産生量を 評価した。その結果、(Mod50(レーン2)、Mod49(配 列番号13:レーン3)、Mod48(配列番号12:レーン4) Mod33(配列番号5:レーン5)、Mod40(レーン6)、Mod41 (レーン7))の、それぞれの終濃度300nMにおける IL-12p40の産生は、3'末端側のポリG配列の塩基 が4以上(M=6/N=4~6:レーン2~4)で誘導されたが、 3塩基以下(M=6/N=0~3:レーン5~7)では全く活性が められなかった(図2)。

 以上の結果から、3'末端側のポリG配列が3 塩基以下のオリゴヌクレオチドは、5'末端側 6塩基のポリG配列が付加されていても炎症 サイトカイン誘導活性が低減あるいは消失 ることを確認した。

(実施例3):パリンドロームモチーフとしてCGATC G、ATCGAT及びGACGTCを有する配列を含む新規な 疫刺激オリゴヌクレオチド及びD-タイプのCpG オリゴヌクレオチドのヒトPBMCにおけるIFN産 誘導効果の比較
 式(1):5’-(G) M PXCGYQ(G) N -3’におけるPがT(チミン)、QがA(アデニン)で り、XCGYが10塩基である6種のパリンドローム チーフに、それぞれポリG配列が5'末端側に6 塩基と3'末端側に3塩基を付加したオリゴヌク レオチド(G6-PXCGYQ-G3、M=6/N=3)及びポリG配列が5' 末端側に2塩基で3'末端側に6塩基付加したD-タ イプのCpG配列(D-type CpG: G2-PXCGYQ-G6、M=2/N=6)か なるオリゴヌクレオチドを合成し、ヒトPBMC におけるIFN誘導活性を評価した。それぞれの オリゴヌクレオチドのパリンドロームモチー フは、配列表、図3-1、及び3-2、及び3-3中で示 されており、Mod29(配列番号21)及びMod43(配列番 号22)はレーン1のCCCGATCGGG、Mod37(配列番号23)及 Mod44(配列番号24)はレーン2のTCCGATCGGA、Mod38( 列番号25)及びMod45(配列番号26)はレーン3のGGCG ATCGCC、Mod39(配列番号27)及びMod46(配列番号28)は レーン4のGACGATCGTC、D19(配列番号29)及びMod47(配 列番号30)はレーン5のGCATCGATGCである。なお、 トPBMCにおけるIFN誘導活性の評価は、上述の オリゴヌクレオチドを用いた他は実施例1と 様の手順及び条件にて行った。

 濃度100nMにおける各オリゴヌクレオチド 活性を測定した結果、G6-PXCGYQ-G3のオリゴヌ レオチドは、評価した全てのパリンドロー モチーフにおいて、G2-PXCGYQ-G6(D-タイプのCpG) りもIFN-αの誘導活性が亢進し(図3-1)、D-タイ プのCpGの1.4~74.5倍の範囲で増強された。また 上記オリゴヌクレオチドの濃度100nMにおけ IFN-γ産生誘導活性についても、IFN-αと同様 傾向を示した(図3-2)。

 さらに、上記式(1)中のPがA(アデニン)、Q C(シトシン)あるいはT(チミン)であり、8塩基 パリンドロームモチーフCGACGTCGを含む、2種 免疫刺激オリゴヌクレオチドとD-タイプのCp GのヒトPBMCにおけるIFN-α誘導活性を評価した その結果、Mod71(配列番号40、M=7/N=2)とMod73(配 列番号42、M=6/N=2)は、濃度300nMにおいて、それ ぞれのD-タイプのCpG配列であるMod70(配列番号3 9、M=3/N=6)とMod72(配列番号41、M=2/N=6)よりも活 が顕著に増強された(図3-3)。

 これらの結果は、本発明で用いられる新 な免疫刺激オリゴヌクレオチドの有するポ G配列の付加様式が、特定のパリンドローム 構造に非依存的にIFN誘導活性を増強すること を示している。

(実施例4):パリンドロームモチーフとしてCGATC Gを有する免疫刺激オリゴヌクレオチドのヒ PBMCにおけるIFN-α産生誘導効果
 本発明において有効成分の一つとして用い れる上記式(1)のオリゴヌクレオチドの好ま い配列についてさらに詳細に検討した。本 施例4においては、M=7且つN=2であり、XCGY配 がGACGATCGTCであるオリゴヌクレオチドのPとQ ついて、さらに検討した。PがA(アデニン)か QがT(チミン)のオリゴヌクレオチド(Mod83,配 番号51)、PがTかつQがAのオリゴヌクレオチド( Mod84,配列番号48)、PとQがともにAのオリゴヌク レオチド(Mod85,配列番号50)、PがCかつQがAのオ ゴヌクレオチド(Mod87,配列番号52)を合成した 。実施例3において見出した、特に強いIFN誘 活性を有するMod46とこれらのオリゴヌクレオ チドのヒトPBMCにおけるIFN-α誘導活性につい 比較評価した。なお、ヒトPBMCにおけるIFN誘 活性の評価は、上述のオリゴヌクレオチド 用いたこと、及びIFN-αのみを測定した他は 施例1と同様の手順及び条件にて行った。

 その結果、オリゴヌクレオチドの濃度100n Mにおいて、Mod83、Mod84、Mod85及びMod87はMod46と 程度のIFN-α誘導活性を示した(図4)。この結 は、本発明において有効成分の一つとして いられる式(1)のオリゴヌクレオチドのPとQ 、G以外の塩基、すなわちA、T及びCのいずれ も良く、互いに相補的なヌクレオチドでな ても強いIFN-α誘導活性を有することを示し いる。

(実施例5):本発明の有効成分の一つである免 刺激オリゴヌクレオチドとG9-GACGATCGTC-G1及びG 7-GACGATCGTC-G3のヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の 較
 本発明において有効成分の一つとして用い れる上記式(1)のオリゴヌクレオチドと、特 2005-237328号公報において強いIFN-α誘導活性 有する配列として示されているオリゴヌク オチド配列G9-GACGATCGTC-G1(配列番号36)及びG7-GAC GATCGTC-G3(配列番号98)のヒトPBMCにおけるIFN誘導 活性を比較した。

 G9-GACGATCGTC-G1及びG7-GACGATCGTC-G3と最近似の 列を有し、ホスホロチオエート修飾してい い免疫刺激オリゴオリゴヌクレオチドであ Mod92(配列番号97)及びMod93(配列番号95)を合成 、ヒトPBMCにおけるIFN-α誘導活性を比較した( 表3及び表4)。なお、ヒトPBMCにおけるIFN誘導 性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを いた他は実施例1と同様の手順及び条件にて った。

 その結果、Mod92及びMod93はG7-GACGATCGTC-G3及 G9-GACGATCGTC-G1に比べて高いIFN-α誘導活性を示 た。

 表3に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリ ゴヌクレオチドの濃度が100nM(最終濃度)にお る値である。いずれのオリゴヌクレオチド ホスホロチオエート修飾塩基を使用してい い。

 表4に表示されたIFN産生量は免疫刺激オリ ゴヌクレオチドの濃度が100nM(最終濃度)にお る値である。いずれのオリゴヌクレオチド ホスホロチオエート修飾塩基を使用してい い。

 以上の結果から、本発明において有効成 の一つとして用いられる上記式(1)のオリゴ クレオチドはホスホロチオエート修飾され いなくても強いIFN-α誘導活性を有している とが確認された。また、上記式(1)におけるP とQが、G以外の塩基であることの重要性が示 れた。したがって、GACGATCGなどの優れたIFN- 誘導活性を示すパリンドローム配列とポリG 列の間に少なくとも1塩基のヌクレオチドを 付加することによってさらにIFN-α誘導活性が 向上することが示された。

(実施例6):本発明の有効成分の一つである免 刺激オリゴヌクレオチドとG9-GACGATCGTC-G1及びG 7-GACGATCGTC-G3のヒトPBMCにおけるIL-12誘導活性の 比較
 実施例5において用いた免疫刺激オリゴヌク レオチドMod93と特開2005-237328号公報で示され いるオリゴヌクレオチド配列G9-GACGATCGTC-G1の トPBMCにおけるIL-12誘導活性を比較した。な 、測定は前述したPBMCからのIL-12のin vitroで 誘導活性を評価する試験の具体的方法に沿 て行った。

 その結果、Mod93はIL-12の産生を全く誘導せ ず、むしろ刺激しなかった対照と比べて抑制 する傾向を示した(表5)。一方、G9-GACGATCGTC-G1 弱いながらIL-12産生の増加を認めた。したが って、本発明において有効成分の一つとして 用いられる上記式(1)オリゴヌクレオチドはヒ トにおいても炎症性サイトカインの誘導活性 が低いことが示された。

 表5に表示されたIL-12産生量は無刺激(no Cp G-ODN)或いは免疫刺激オリゴヌクレオチドの濃 度が300nM(最終濃度)における値である。いず のオリゴヌクレオチドもホスホロチオエー 修飾塩基を使用していない。

 免疫刺激オリゴヌクレオチドの単独刺激で ヒト末梢血細胞からの顕著なIL-12産生が認 られなかったので、強力な炎症反応の誘導 子であるエンドトキシンのリポポリサッカ イド(LPS)とともに刺激してIL-12産生に及ぼす 響を評価した。すなわち、上記の方法に従 て単離したPBMCを10%FCS入りRPMI1640培地で1mLあ り2.0×10 6 個の細胞が含まれるように調製後、丸底の96 マイクロプレートに1ウェルあたり2.0×10 5 個の細胞を播き、LPSと免疫刺激オリゴヌクレ オチドの共存下で24時間処置して培養上清を 収し、ELISA法にてIL-12の産生量を定量した。 免疫刺激オリゴヌクレオチドはMod92、Mod93、G9 -GACGATCGTC-G1及びG7-GACGATCGTC-G3を用いた。その結 果、いずれの免疫刺激オリゴヌクレオチドに おいてもLPS(50ng/mL)刺激で誘導されるIL-12産生 増強しなかった。むしろ、その産生を抑制 る効果が認められ、Mod93が最も強い阻害活 を示した(表6)。

 表6に表示されたIL-12産生量はLPS存在下の 刺激(no CpG-ODN)あるいは免疫刺激オリゴヌク レオチドの濃度が100nM(最終濃度)における値 ある。いずれのヌクレオチドもホスホロチ エート修飾塩基を使用していない。

 以上の結果、本発明において有効成分の つとして用いられる上記式(1)のオリゴヌク オチドは、ヒトにおいて炎症性サイトカイ 誘導活性が公知の配列よりも少なく、かつ 炎症作用を有することを確認した。

(実施例7):本発明の有効成分の一つである免 刺激オリゴヌクレオチドとM26、M27、M26-GS、M2 7-GS、I1、2006、2395、1018、C274、G9-GACGATCGTC-G1及 D19のヒトPBMCにおけるIFN誘導活性の比較
 KR2001-0063153(大韓民国公開特許)において示さ れているオリゴヌクレオチド配列M26(配列番 37)及びM27(配列番号38)とそれぞれのポリG配列 のヌクレオチド間をホスホロチオエート修飾 したM26-GS及びM27-GSと、実施例1及び3において 出した免疫刺激オリゴヌクレオチドMod55及 Mod46のIFN-α誘導活性を比較評価した。なお、 本実施例5に記載したヒトPBMCにおけるIFN誘導 性の評価は、上述のオリゴヌクレオチドを いたこと、及びIFN-αのみを測定した他は実 例1と同様の手順及び条件にて行った。その 結果、オリゴヌクレオチド濃度100nMにおいて 本発明において有効成分の一つとして用い れる免疫刺激オリゴヌクレオチドは、他の リゴヌクレオチドに比べて著しく高いIFN-α 導活性を示した(図5-1)。

 次に、特開2005-237328号公報において強いIF N-α誘導活性を有する代表的な配列として示 れているオリゴヌクレオチド配列G9-GACGATCGTC- G1(配列番号36)と実施例1及び3において見出し 免疫刺激オリゴヌクレオチドMod53、Mod54、Mod 55、Mod61、Mod62、Mod45、Mod46、Mod71及びMod73のIFN- α誘導活性を比較評価した結果、本発明にお て有効成分の一つとして用いられる式(1)の 疫刺激オリゴヌクレオチドの方が濃度1μMに おいて高いIFN-α誘導活性を示した(図5-2)。

 また、特表平10-506265号公報において示さ ているオリゴヌクレオチド配列I1と、実施 3において見出した免疫刺激オリゴヌクレオ ドMod46、Mod46と同一のパリンドローム配列を 有するD-タイプのCpGであるMod39及びMod33のIFN-α 誘導活性を比較評価した結果、本発明におい て有効成分の一つとして用いられる上記式(1) のオリゴヌクレオチドは濃度30nMにおいて著 く高いIFN-α誘導活性を示したのに対し、他 オリゴヌクレオチドはほとんど活性を示さ かった(図5-3)。

 さらに、国際公開第00/61151号パンフレッ において示されているオリゴヌクレオチド 列(D19)、特表2001-503267号公報及び国際公開第1 998/018810号パンフレットにおいて示されてい オリゴヌクレオチド配列(2006)、国際公開第03 /015711号パンフレットにおいて示されている リゴヌクレオチド配列(2395)、特表2002-517156号 公報及び特表2002-500159号公報において示され いるオリゴヌクレオチド配列(1018)及び国際 開第04/058179号パンフレットにおいて示され いるオリゴヌクレオチド配列(C274)とMod46(配 番号28)のヒトPBMCのIFN-α誘導活性を比較した 。その結果、オリゴヌクレオチド濃度100nMに いて、本発明において有効成分の一つとし 用いられる式(1)のオリゴヌクレオチドが最 強いIFN-α誘導活性を有することを確認した( 図5-4)。

 以上の結果、公知のCpG配列を有する免疫 激オリゴヌクレオチドよりも、上記式(1)の リゴヌクレオチドの方が高いIFN-α誘導活性 示すことが明らかとなった。

(実施例8):ポリG配列とパリンドローム配列GACG ATCGTCを有する免疫刺激オリゴヌクレオチドMod 46、Mod83、Mod85、Mod87と公知CpGオリゴヌクレオ ドG10、G3-6、G9-GACGATCGTC-G1、G1-GACGATCGTC-G9及び2 332のヒトPBMCにおけるIFN-α誘導活性の比較
 パリンドローム配列GACGATCGTCの外側にポリG 列が付加された公知のCpGオリゴヌクレオチ としては、特開2005-237328号公報において示さ れているオリゴヌクレオチド配列G9-GACGATCGTC-G 1(配列番号36)及びG1-GACGATCGTC-G9(配列番号55)、 際公開第2005/014110号パンフレットにおいて開 示されているオリゴヌクレオチド配列G10(配 番号56)及びG3-6(配列番号57)と、特表2003-510290 公報において示されているオリゴヌクレオ ド2332(配列番号58)がある。そこで、免疫刺 オリゴヌクレオチドMod46、Mod83、Mod85及びMod87 と上記公知CpGオリゴヌクレオチドのIFN-α誘導 活性を比較評価した。なお、ヒトPBMCにおけ IFN誘導活性の評価は、上述のオリゴヌクレ チドを用いたこと、及びIFN-αのみを測定し 他は実施例1と同様の手順及び条件にて行っ 。その結果、本発明において有効成分の一 として用いられる式(1)のオリゴヌクレオチ の方が、オリゴヌクレオチド濃度30nMにおい て高いIFN-α誘導活性を示した(図6)。

(実施例9):免疫刺激オリゴヌクレオチドMod2、M od33、Mod39及びMod46のマウス脾細胞におけるサ トカイン産生誘導活性の比較
 C57BL/6系統由来のマウス脾細胞を用いて実施 例1及び3で見出した免疫刺激オリゴヌクレオ ドであるMod46と、Mod33、D-タイプのCpGであるM od39及びMod2との間で、サイトカイン誘導活性 比較評価した。

 濃度100nMにおけるD-タイプのCpGと本発明で 用いられる免疫刺激オリゴヌクレオチドのIFN -γ及びIL-10誘導活性を測定した。測定は、前 したマウスの脾細胞におけるIFN-γ及びIL-10 生誘導の有無を確認する具体的手段として げた手順及び条件に従って行った。その結 、Mod46のIFN-γ誘導活性はパリンドロームモチ ーフが同一のD-タイプのCpGであるMod39より増 し、Mod33よりも大きく上回っていた(図7-1)。 方、Mod33とMod46のIL-10誘導活性は、それぞれ Mod2やMod39の誘導活性とほぼ同等であった(図 7-2)。免疫刺激オリゴヌクレオチドによる免 制御性サイトカインIL-10の誘導については炎 症性サイトカインの誘導メカニズムと異なる 可能性が示唆された。

 以上の結果は、本発明において有効成分 して用いられる式(1)のオリゴヌクレオチド 、IL-10誘導活性を維持した状態でパリンド ームモチーフ非依存的なIFN誘導活性を増強 ることを示している。また、免疫刺激活性 CpG配列によって種特異性があるが、本発明 提供する免疫刺激オリゴヌクレオチドは種 に影響されず、IFN誘導活性を増強させる普 的な構造であることを確認した。

(実施例10):本発明の有効成分の一つである新 な免疫刺激オリゴヌクレオチドの、J774細胞 株における炎症性サイトカイン産生誘導活性 の低減
 実施例3で見出した免疫刺激オリゴヌクレオ チドなどによる炎症性サイトカイン産生の誘 導活性についてパリンドロームモチーフが同 一のD-タイプのCpGと比較評価した。それぞれ オリゴヌクレオチドのパリンドロームモチ フは、配列表及び図8-1及び8-2中で示されて り、Mod37及びMod44はレーン1のTCCGATCGGA、Mod38 びMod45はレーン2のGGCGATCGCC、Mod39及びMod46はレ ーン3のGACGATCGTCである。なお、評価は、前述 たマウスのJ774細胞におけるIL-12とTNF-αの誘 活性を確認する具体的手段として挙げた手 及び条件に従って行った。その結果、Mod44 Mod45及びMod46は、それぞれの同一のパリンド ーム配列を有するD-タイプのCpGのMod37、Mod38 びMod39と比べて、濃度300nMにおいて、IL-12(図 8-1)とTNF-α(図8-2)の誘導活性がどちらも顕著に 抑制された。

 以上の結果、本発明で見出したポリG配列 の付加様式を有する新規な免疫刺激オリゴヌ クレオチドは同一のパリンドロームモチーフ からなる従来のD-タイプのCpGよりも低減され 炎症性サイトカイン誘導活性を示した。

(実施例11):本発明の有効成分の一つである免 刺激オリゴヌクレオチドと2006、2395、1018及 C274のJ774細胞株におけるTNF-α誘導活性の比
 実施例8で見出した免疫刺激オリゴヌクレオ チドMod46と公知のCpGオリゴヌクレオチドのTNF- α誘導活性を評価した。J774細胞株にそれぞれ の免疫刺激オリゴヌクレオチドを(最終濃度30 0nM)あるいは陽性対照のリポポリサッカライ (LPS:最終濃度100ng/mL)で8時間刺激処置して培 上清中のTNF-α産生量を測定した。その他の 順及び条件は実施例10と同様とした。その結 果、実施例4において示されているオリゴヌ レオチド配列2006(配列番号31)、2395(配列番号3 2)、1018(配列番号33)、C274(配列番号34)及びMod39 LPSと比べて、Mod46は減弱されたTNF-α誘導活 を示した(図9)。このことから、実施例2及び6 で示される結果も考慮すると、3'末端のポリG 配列の塩基数が3塩基以下である免疫刺激オ ゴヌクレオチドは炎症性サイトカインの誘 活性が減弱することが示された。

(実施例12):本発明において提供される免疫刺 オリゴヌクレオチド及びIFN-βのマウスにお る肝炎治療効果
 マウスの肝炎モデルとして一般的に利用さ ているConcanavalin A(以下、ConAという)誘発肝 モデルを用いて、本発明において用いられ 上記式(1)のオリゴヌクレオチド及びIFN-βのi n vivoにおける抗炎症効果について評価した ConA誘発肝炎モデルは、急激な炎症反応の惹 による肝炎を発症し、免疫反応の活性化を う肝炎モデルとして用いられている。ConA誘 発肝炎モデルにおいて、CpGオリゴヌクレオチ ドを評価した試験(Abe et al,Fukushima J.Med.Sci.(2 005)51,41-49)においてK-タイプCpGである1668(配列 号108)が逆に肝炎の症状を悪化させた結果を 示した公知例がある。また、CpGを含有する免 疫刺激オリゴヌクレオチドがConA誘発肝炎モ ルにおいて肝炎のマーカーとなるALT値の上 を抑制したという報告例は開示されていな 。

 ConA誘発マウス肝炎モデルの作製、インタ ーフェロンや免疫刺激オリゴヌクレオチドに よる処置、血清中ALT値の測定は、以下のよう にして行った。

 5週齢の雌のBALB/cマウス(日本チャールズ バー)を用いた。ConAを投与するマウスは、投 与前日の夕方からConA投与完了まで絶食とし ConA投与終了後に給餌を再開した。ConAを投与 しない群をNaive群とした。インターフェロン 免疫刺激オリゴヌクレオチドの処置、或い インターフェロンのみの処置は、ConAを投与 する6時間前に尾静脈内投与により1回とした すなわち、PBS(-)で濃度20μg/mLに調製した免 刺激オリゴヌクレオチド(Mod87)あるいはPBS(-) 、20000U/mLのIFN-αあるいはIFN-βと等量混合し 100μLずつマウスの尾静脈内に注射した。こ 処置により一匹あたりの被験物質投与量と て免疫刺激オリゴヌクレオチドは1μg、イン ターフェロンは1000単位(以下、単位(ユニット )のことをUと表記する)が投与された。ConAは 媒に生理食塩水を用いて濃度4mg/mlに調製し 後、100μLずつマウスの尾静脈内へ投与した 一匹あたり0.4mgを投与した。ConA投与から24時 間後に採血し、得られた血液を10000rpm、5分間 4℃にて遠心分離し、血清を得た。血清中のAL T値はフジドライケム(DRI-CHEM 5500V、富士フィ ム)で測定した。

 ConA誘発肝炎マウスモデルの炎症惹起から 24時間後の血清中ALT値の上昇を評価した(図10) 。まず、1000UのIFN-β(レーン3)あるいはIFN-α(レ ーン4)の肝炎惹起6時間前の単独処置では血清 中ALT値の上昇を抑制できないことを確認した 。IFN-βと免疫刺激オリゴヌクレオチドMod87(配 列番号52)の併用処置群(レーン5)は対照群(vehic le、レーン2)と比べて統計学的に有意(t検定:p& lt;0.001)な血清中ALT値低下作用が認められた。 また、この抑制効果はIFN-β単独処置群(レー 3)と比較しても有意な低下(t検定:p<0.05)で った。一方、IFN-αとMod87の併用処置群(レー 6)では全く効果が認められなかった。

 したがって、本発明において有効成分の つとして用いられる式(1)のオリゴヌクレオ ドは、in vivoにおいてインターフェロン単 の効果が十分でない処置用量において、IFN- と併用することにより優れた肝炎治療作用 有することが示された。

(実施例13):本発明の有効成分の一つであるペ 化IFN-βのConA誘発肝炎マウスモデルで観察さ れる肝臓の血流量低下に及ぼす影響
 ConA誘発マウス肝炎モデルの作製、インター フェロン(IFN-β、IFN-α又はペグ化IFN-β)の投与 肝臓の血流量測定は、以下のようにして行 た。
 ConA誘発マウス肝炎モデルの作製については 、実施例12と同じマウスを用いて、次のとお 作成した。IFN-β、IFN-α及びペグ化IFN-βを、 れぞれ10000U/匹の用量でConA投与3時間前にマ スの尾静脈内より投与した。ConAを、実施例 12と同様に生理食塩水に同じ濃度で調製し、I FN-β、IFN-α又はペグ化IFN-βの投与後(3時間後) 、100μLずつそれぞれのマウスの尾静脈内よ 投与(一匹あたり0.4mgの投与)した。
 肝臓の血流量は、ConA投与3時間後に測定し 。具体的には、マウスをエーテル麻酔下で 臓を露出させた後、非接触型肝血流計プロ ブ(ALE21N、アドバンス社製)を用いて、肝臓の 外側左葉の平らな面から1cmの距離に垂直にな るようにプローブをセットし、肝血流量を測 定した(図11)。ConAを投与しない群をNaive群、 性対照群をcontrol群(IFN-β、IFN-α又はペグ化IFN -βを投与しない群)とし生理食塩水を投与し 。Naive群の血流量の平均値を100%として、各 体の血流量を計算した。

 ConA誘発肝炎マウスモデルの炎症惹起から 3時間後の肝血流量を評価した(図11)。control群 ではNaive群との比較で有意な血流量の低下が められた。10000UのIFN-αでは血流量の低下を 意には改善しなかったが、同用量のIFN-β及 ペグ化IFN-βはcontrol群との比較で有意に血流 量を増加させ、ConA誘発肝炎マウスモデルに ける肝血流量の低下に対し、優れた改善効 を示すことが明らかとなった。その上、ペ 化IFN-βはIFN-βよりも改善効果が強いことが された。なお,統計学的な検定はt検定で行い ,p<0.05を有意とした。

 したがって、本発明において有効成分の つとして用いられるIFN-βは、ペグ化修飾す ことによって、より優れた肝炎の治療作用 有することが示され、このことは本発明に いて有効成分の一つとして用いられる式(1) オリゴヌクレオチドとの併用でペグ化IFN-β 、ペグ化していないIFN-β同様の、又はそれ 上の肝炎の治療作用を有すると考えられた

 以上の結果、本発明の治療剤又は予防剤 、C型肝炎の患者に投与された場合、C型肝 の治療剤又は予防剤として有用であること 確認された。