Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
THERMOCHROMIC COMPOSITION AND THERMOCHROMIC MICROCAPSULES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/008436
Kind Code:
A1
Abstract:
The invention provides a thermochromic composition which little suffers from residual color in the faded state and exhibits relatively large color difference on color change; and a process for production of the same. The invention relates to a thermochromic composition comprising an electron-donating color-developing organic compound, an electron-accepting compound and a desensitizer which is characterized in that the desensitizer is (1) a fatty acid methyl ester having 5 or more carbon atoms in total and/or (2) a fatty acid amide having 4 or more carbon atoms in total. A thermochromic composition having a desired color-temperature hysteresis can be produced by changing the blending ratio between the desensitizers (1) and (2) in incorporating both with the other components.

Inventors:
OSHIRO SEISAKU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062368
Publication Date:
January 15, 2009
Filing Date:
July 09, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SAKURA COLOR PROD CORP (JP)
OSHIRO SEISAKU (JP)
International Classes:
C09K9/02
Foreign References:
JP2003253149A2003-09-10
JP2002012787A2002-01-15
JPH0688071A1994-03-29
JPH0688070A1994-03-29
JPH0665568A1994-03-08
JPS6153388A1986-03-17
JPS60152586A1985-08-10
JPS57167380A1982-10-15
JP2008031313A2008-02-14
Download PDF:
Claims:
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物であって、前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドの一方又は両者を含むことを特徴とする熱変色性組成物。
前記脂肪酸メチルエステルが、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル及びベヘニン酸メチルの少なくとも1種である、請求項1に記載の熱変色性組成物。
前記脂肪酸アミドが、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド及びエルカ酸アミドの少なくとも1種である、請求項1に記載の熱変色性組成物。
変色温度ヒステリシスが5℃未満である、請求項1に記載の熱変色性組成物。
請求項1に記載の組成物をマイクロカプセルに内包してなる熱変色性マイクロカプセル。
電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物を製造する方法であって、
 前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミドを配合するに際して、両者の配合割合を変えることによりヒステリシスを変化させて所望の変色温度ヒステリシスを有する熱変色性組成物を得ることを特徴とする製造方法。
変色温度ヒステリシスが5℃未満である、請求項6に記載の製造方法。
Description:
熱変色性組成物及び熱変色性マ クロカプセル

 本発明は、熱変色性組成物及び熱変色性 イクロカプセルに関する。さらに、本発明 、熱変色性組成物を製造する方法に関する

 熱変色性組成物は、温度により可逆的に 色-消色するものであり、例えば印刷物、イ ンキ、塗料、包装材料、記録材料等に用いら れる。このような組成物の代表例として、電 子供与性呈色性有機化合物(電子供与体)と電 受容性化合物(電子受容体)との電子授受反 を利用したものがある(特許文献1、特許文献 2等)。

 一般に、熱変色性組成物は、加熱-冷却の サイクルにおいて、発色-消色あるいは消色- 色を可逆的に繰り返すことができるが、通 は発色温度と消色温度との温度差(いわゆる 変色温度ヒステリシス:δH)が生じる。例えば 図1に示すように、δH=0℃の場合が図1(b)であ り、図1(a)及び図1(c)ではそれぞれδHが生じる 図1(a)では消色温度のほうが高くなる場合を 示し、図1(c)では発色温度のほうが高くなる 合を示している。

 これに対し、変色温度ヒステリシス:δHを 大きくするための技術として、炭素数が奇数 の脂肪族一価アルコールと脂肪族カルボン酸 から得られる、特定の脂肪酸エステル化合物 を反応媒体とし、該反応媒体と呈色反応成分 からなる均質相溶体を微小カプセルに内包さ せることにより、8℃乃至30℃のヒステリシス 幅(線分HG)の熱変色特性を発現させるマイク カプセル顔料が知られている(特許文献3)。 のマイクロカプセル顔料によれば、色濃度- 度曲線に関して、8℃~30℃のヒステリシス幅 (δH)を示して発色-消色の可逆的変色を生起さ せ、変色温度より低温側の色と高温側の色の 両方を常温域で互変的に記憶保持でき、必要 に応じて熱又は冷熱を適用することにより、 いずれかの色を可逆的に再現させて記憶保持 できる特性を効果的に発現させることができ る、とされている。

 また例えば、(イ)電子供与性呈色性有機 合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ) (ロ)の呈色反応の生起温度を決める反応媒体 、及び、(ニ)変色温度調整剤を必須四成分と て含み、前記(ニ)変色温度調整剤が、融点 Y℃とするとき、(ハ)成分の融点(X℃)に対し (X+16)≦Y≦(X+100)℃の関係を満たす、エーテル 類、エステル類、ケトン類、酸アミド類、脂 肪酸類より選ばれる一種又は二種以上の化合 物から選ばれてなり、前記必須四成分をマイ クロカプセルに内包させた、温度-色濃度曲 に関して5℃~80℃のヒステリシス幅(δH)を示 て変色し、低温側トリガー以下及び高温側 リガー以上の各温度域で呈する色彩を前記 温側トリガーと高温側トリガーとの間の温 域で互変的に記憶保持させる感温変色性色 記憶性マイクロカプセル顔料が提案されて る(特許文献4)。

 さらに、(イ)電子供与性呈色性有機化合物 (ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)と(ロ)の 呈色反応の生起温度を決める反応媒体、及び 、(ニ)変色温度調整剤を必須四成分として含 、前記(ニ)変色温度調整剤が、融点をY℃と るとき、(ハ)成分の融点(X℃)に対してX+30≦Y ≦200の関係を満たすエステル類、アルコール 類、ケトン類、酸アミド類、炭化水素類、脂 肪酸類から選ばれる一種又は二種以上の化合 物であり、前記必須四成分をマイクロカプセ ルに内包させた可逆熱変色性マイクロカプセ ル顔料も提案されている(特許文献5)。

特開平6-65568号公報

特公平4-17154号公報

特開平7-33997号公報

特開2001-152041号公報

特開2002-12787号公報

 しかしながら、これらの変色温度ヒステ シスを制御するための従来技術では、特に 色時の色残り(地発色)が大きいという問題 ある。このため、たとえ高い発色濃度が得 れたとしても、変色色差という点でさらな 改善の余地がある。

 従って、本発明の主な目的は、特に、消 時の色残りが小さく、比較的大きな変色色 を発現できる熱変色性組成物を提供するこ にある。

 本発明者は、従来技術の問題点を解決す ために鋭意研究を重ねた結果、特定の成分 組み合わせをインキ組成として採用するこ によって、上記目的を達成できることを見 し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、下記の熱変色性組成 及び熱変色性マイクロカプセルに係る。
1. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容 化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物で って、前記減感剤として、(1)総炭素数5以上 脂肪酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上 の脂肪酸アミドの一方又は両者を含むことを 特徴とする熱変色性組成物。2. 前記脂肪酸 チルエステルが、オクタン酸メチル、デカ 酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン メチル及びベヘニン酸メチルの少なくとも1 である、前記項1に記載の熱変色性組成物。
3. 前記脂肪酸アミドが、ステアリン酸アミ 、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、 ウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パ ミチン酸アミド及びエルカ酸アミドの少な とも1種である、前記項1に記載の熱変色性組 成物。
4. 変色温度ヒステリシスが5℃未満である、 記項1に記載の熱変色性組成物。
5. 前記項1に記載の組成物をマイクロカプセ に内包してなる熱変色性マイクロカプセル
6. 電子供与性呈色性有機化合物、電子受容 化合物及び減感剤を含む熱変色性組成物を 造する方法であって、
 前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪 酸メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂 酸アミドを配合するに際して、両者の配合 合を変えることによりヒステリシスを変化 せて所望の変色温度ヒステリシスを有する 変色性組成物を得ることを特徴とする製造 法。
7. 変色温度ヒステリシスが5℃未満である、 記項6に記載の製造方法。

 本発明の熱変色性組成物又はマイクロカ セルによれば、所定の脂肪酸メチルエステ 及び脂肪酸アミドの一方又は両者を減感剤 して採用することによって、高い発色濃度 達成するとともに色残り(消色濃度)を低く えることができ、これにより高い変色色差 実現することが可能となる。

 また、本発明では、変色色差が大きいだ でなく、シャープな変色特性を得ることも きる。すなわち、変色開始温度(又は消色開 始温度)から変色完了温度(又は消色完了温度) の幅が短く、わかりやすい変色挙動を得るこ とができる。

 所定の脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸 ミドの両者を減感剤として採用する場合に 、上記の効果に加え、両者の配合割合に応 た変色温度ヒステリシスδHを自由に設定す ことができる。特に、本発明では、前記δH 0℃から所望の値(好ましくは20℃以下、より 好ましくは5℃未満、最も好ましくは4.5℃以 )までの範囲内で連続的又は段階的に任意に 定することが可能である。

 本発明の熱変色性組成物は、さまざまな 途に用いることができる。例えば、インキ 印刷物、プラスチック成形体、包装材料、 録材料、繊維等の種々の材料・製品に熱変 性を付与するのに好適に用いられる。

 ・ 熱変色性組成物
 本発明の熱変色性組成物は、電子供与性呈 性有機化合物、電子受容性化合物及び減感 を含む熱変色性組成物であって、前記減感 として、(1)総炭素数5以上の脂肪酸メチルエ ステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪酸アミド 一方又は両者を含むことを特徴とする。

 電子供与性呈色性有機化合物
 電子供与性呈色性有機化合物(発色剤)とし は、電子受容性化合物(顕色剤)と反応して呈 色するものであれば限定されず、公知又は市 販のものを使用することができる。例えば、 下記の化合物を好適に用いることができる。 これらは1種又は2種以上で用いることができ 。

 (a)フルオラン類…2’-[(2-クロロフェニル)ア ミノ]-6’-(ジブチルアミノ)-スピロ[イソベン フラン-1(3H),9’-(9H)キサンテン]-3-オン、3-ジ エチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、 3-ジメチルアミノベンゾ(a)-フルオラン、3-ア ノ-5-メチルフルオラン、2-メチル-3-アミノ-6 ,7-ジメチルフルオラン、2-ブロモ-6-シクロヘ シルアミノフルオラン、6’-(エチル(4-メチ フェニル)アミノ-2’-(N-メチルフェニルアミ ノ)-スピロ(イソベンゾフラン1(3H),9’-(9H)キサ ンテン)-3-オン、3,6-ジフェニルアミノフルオ ン等;
 (b)フルオレン類…3,6-ビス(ジエチルアミノ) ルオレンスピロ(9.3’)-4’-アザフタリド、3, 6-ビス(ジエチルアミノ)フルオレンスピロ(9.3 )-4’,7‘-ジアザフタリド等;
 (c)ジフェニルメタンフタリド類…3,3-ビス-(p -エトキシ-4-ジメチルアミノフェニル)フタリ 等;
 (d)ジフェニルメタンアザフタリド類…3,3-ビ ス-(1-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4- ザフタリド等;
 (f)インドリルフタリド類…3,3-ビス(n-ブチル -2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビ (1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリ ド等;
 (g)フェニルインドリルフタリド類…3-(1-ジ チルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルイ ドール-3-イル)フタリド等;
 (h)フェニルインドリルアザフタリド類…3-(2 -エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エ ル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリ ド、3-[2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニ ル]-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4- ザフタリド等;
 (i)スチリルキノリン類…2-(3-メトキシ-4-ド コキシスチリル)キノリン等;
 (j)ピリジン類…2,6-ジフェニル-4-(6-ジメチル アミノフェニル)ビリジン、2,6-ジエトキシ-4-( 4-ジエチルアミノフェニル)ピリジン等;
 (k)キナゾリン類…2-(4-N-メチルアニリノフェ ニル)-1-フェノキシキナゾリン、2-(4-ジメチル アミノフェニル)-4-(1-メトキシフェニルオキ )キナゾリン等;
 (l)ビスキナゾリン類…4,4’-(エチレンジオ シ)-ビス[2-(1-ジエチルアミノフェニル)キナ リン]、4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス[2-(1-ジ -n-ブチルアミノフェニル)キナゾリン]等;
 (m)エチレノフタリド類…3,3-ビス[1,1-ビス-(p- ジメチルアミノフェニル)エチレノ-3]フタリ 等;
 (n)エチレノアザフタリド類…3,3-ビス[1,1-ビ -(p-ジメチルアミノフェニル)エチレノ-2]-4- ザフタリド、3,3-ビス[1,1-ビス-(p-ジメチルア ノフェニル)エチレノ-2]-4,7-ジアザフタリド ;
 (o)トリフェニルメタンフタリド類…クリス ルバイオレットラクトン、マラカイトグリ ンラクトン等;
 (p)ポリアリールカルビノール類…ミヒラー ドロール、クリスタルバイオレットカルビ ール、マラカイトグリーンカルビノール等;
 (q)ロイコオーラミン類…N-(2,3-ジクロロフェ ニニル)ロイコオーラミン、N-ベンゾイルオー ラミン、N-アセチルオーラミン等;
 (r)ローダミンラクタム類…ローダミンβラ タム等;
 (s)インドリン類…2-(フェニルイミノエチリ ン)-3,3-ジメチルインドリン等;
 (t)スピロピラン類…N-3,3-トリメチルインド ノベンゾスピロピラン、8-メトキシ-N-3,3-ト メチルインドリノベンゾスピロピラン等;
 また、本発明では、これらのほか、ジアザ ーダミンラクトン類、キサンテン類等も使 することができる。

 本発明では、これら電子供与性呈色性有 化合物のうちフルオラン類の少なくとも1種 を好適に用いることができる。特に、2’-[(2- クロロフェニル)アミノ]-6’-(ジブチルアミノ )-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-(9H)キサ テン]-3-オン及び3,6-ジフェニルアミノフルオ ランの少なくとも1種がより好ましい。

 電子供与性呈色性有機化合物の含有量は その化合物の種類等に応じて適宜設定でき が、一般的には本発明の熱変色性組成物中0 .1~50重量%程度、特に0.8~15重量%とすることが ましい。前記含有量が0.1重量%未満の場合は 色濃度が低くなるおそれがある。また、上 含有量が50重量%を超える場合は地発色が大 くなるおそれがある。

 電子受容性化合物
 電子受容性化合物としては、限定的でなく 公知又は市販のものを適宜使用することが きる。例えば、下記の化合物を好適に用い ことができる。これらは1種又は2種以上で いることができる。

 (a)フェノール類…ビスフェノールA又はその 誘導体、ビスフェノールS又はその誘導体、p- フェニルフェノール、ドデシルフェノール、 o-ブロモフェノール、p-オキシ安息香酸エチ 、没食子酸メチル、フェノール樹脂等
 (b)フェノール類の金属塩…フェノール類のN a、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni、Co、Sn、Cu、Fe、Ti 、Pb、Mo等の金属塩等
 (c)芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂肪族 ルボン酸類…フタル酸、安息香酸、酢酸、 ロピオン酸等
 (d)カルボン酸類の金属塩…オレイン酸ナト ウム、サリチル酸亜鉛、安息香酸ニッケル
 (e)酸性リン酸エステル類…ブチルアシッド ォスフェート、2-エチルヘキシル-アシッド ォスフェート、ドデシルアシッドフォスフ イト
 (f)酸性リン酸エステル類の金属塩…酸性リ 酸エステル類のNa、K、Li、Ca、Zn、Al、Mg、Ni Co、Sn、Fe、Ti、Pb、Mo等の金属塩等
 (g)トリアゾール化合物…1,2,3-トリアゾール 1,2,3-ベンゾトリアゾール等
 (h)チオ尿素及びその誘導体…ジフェニルチ 尿素、ジ-o-トルイル尿素等
 (i)ハロヒドリン類…2,2,2-トリクロロエタノ ル、1,1,1-トリブロモ-2-メチル-2-プロパノー 、N-3-ピリジル-N’-(1-ヒドロキシ-2,2,2-トリ ロロエチル)尿素等
 (j)ベンゾチアゾール類…2-メルカプトベン ンチアゾール、2-(4’-モルホリノジチオ)ベ ゾチアゾール、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾ ルスルフェンアミド、2-メルカプトベンゾ アゾールのZn塩等
 本発明では、これら電子受容性化合物のう フェノール類及びその金属塩の少なくとも1 種を好適に用いることができる。特に、1)ビ フェノールA及びその誘導体ならびに2)ビス ェノールS及びその誘導体から選ばれる少な くとも1種がより好ましく、最も好ましくは2, 2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン及び1,1 -ビス(4’-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエ ンの少なくとも1種が挙げられる。

 電子受容性化合物の含有量は、その化合 の種類等に応じて適宜設定できるが、一般 には本発明の熱変色性組成物中0.05~98重量% 度、特に0.5~77重量%とすることが望ましい。 記含有量が0.05重量%未満の場合は発色濃度 低くなるおそれがある。また、上記含有量 98重量%を超える場合は地発色が大きくなる それがある。

 また、本発明では、電子供与性呈色性有 化合物との関係では、電子供与性呈色性有 化合物1重量部に対して電子受容性化合物0.1 ~100重量部、特に0.5~20重量部とすることが好 しい。

 減感剤
 減感剤としては、(1)総炭素数5以上の脂肪酸 メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪 アミドの一方又は両者を含む。

 前記の脂肪酸メチルエステルは、総炭素 5以上であるが、好ましくは総炭素数8以上 より好ましくは総炭素数12以上である。総炭 素数5未満の場合は沸点が低く、揮発するお れがある。なお、総炭素数の上限は限定的 はないが、一般的には23程度とすれば良い。

 前記の脂肪酸メチルエステルとしては、 肪酸(特に直鎖飽和モノカルボン酸)のカル キシル基の水素原子がメチル基で置換され ものを使用することができ、例えば一般式R1 -COOCH3(ただし、R1は総炭素数3以上の炭化水素 を示す。)で表されるエステルを好適に用い ることができる。このエステルは、例えば脂 肪酸とメタノールとのエステル化反応によっ て得ることができる。前記R1は、置換基によ て置換されたものであっても良く、無置換 あっても良い。特に、R1は、無置換のアル ル基、とりわけ無置換の直鎖アルキル基で ることが好ましい。

 前記の脂肪酸メチルエステルの好ましい 体例としては、酪酸メチル、吉草酸メチル ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デ ン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチ 酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリ 酸メチル、アラキジン酸メチル、ベヘニン メチル、リグノセリン酸メチル等の少なく も1種が挙げられる。特に、オクタン酸メチ ル、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミ リスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ス テアリン酸メチル及びベヘニン酸メチルの少 なくとも1種が望ましい。

 前記の脂肪酸アミドは、総炭素数4以上で あるが、好ましくは総炭素数8以上、より好 しくは総炭素数12以上である。総炭素数4未 の場合は沸点が低く、揮発しやすくなる。 お、総炭素数の上限は限定的ではないが、 般的には22程度とすれば良い。

 前記の脂肪酸アミドとしては、脂肪酸(特 に直鎖飽和モノカルボン酸)のカルボキシル のOH基がアミノ基で置換されたものを使用す ることができ、例えば一般式R2-CONH2(ただし、 R2は総炭素数3以上の炭化水素基を示す。)で されるアミドを好適に用いることができる このアミド(酸アミド)は、例えば脂肪酸とア ンモニア、1級アミン等との反応によって得 ことができる。前記R2は、前記R1と同様のも を挙げることができる。すなわち、前記R2 、置換基によって置換されたものであって 良く、無置換であっても良い。特に、R2は、 無置換のアルキル基、とりわけ無置換の直鎖 アルキル基であることが好ましい。

 前記の脂肪酸アミドの好ましい具体例と ては、酪酸アミド、吉草酸アミド、ヘキサ 酸アミド、オクタン酸アミド、デカン酸ア ド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミ 、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ 、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド等の少 くとも1種が挙げられる。特に、ステアリン 酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸ア ミド、ラウリン酸アミド、エルカ酸アミド、 ミリスチン酸アミド及びパルミチン酸アミド の少なくとも1種が望ましい。

 本発明では、上記の脂肪酸メチルエステ 及び脂肪酸アミドの一方又は両者を減感剤 して含むが、上記の脂肪酸メチルエステル び脂肪酸アミドの両者を減感剤として含む とが望ましい。両者を用いる場合には、よ 精度の高いδHの制御が可能になる。例えば 両者の成分及び配合割合を変えることによ 、δHを0℃に近づけること、好ましくは0℃ δH≦3℃とすることができる。また、両者の 合割合を連続的に変えることによりδHを連 的に変化させることもできる。

 本発明では、減感剤として上記の脂肪酸 チルエステル及び脂肪酸アミドの一方又は 者からなる系を採用することが望ましい。 だし、本発明の効果を妨げない範囲内で他 減感剤を併用することも可能である。例え 、下記の減感剤を用いることもできる。

 (a)アルコール類…n-セチルアルコール、n-オ クチルアルコール、シクロヘキシルアルコー ル、ヘキシレングリコール等
 (b)エステル類…ミリスチン酸エステル、ラ リン酸エステル、フタル酸ジオクチル等
 (c)ケトン類…メチルヘキシルケトン、ベン フェノン、ステアロン等
 (d)エーテル類…ブチルエーテル、ジフェニ エーテル、ジステアリルエーテル等
 (e)炭素数6以上の脂肪酸…ラウリン酸、ステ アリン酸、2-オキシミリスチン酸等
 (f)芳香族化合物…ジフェニルメタン、ジベ ジルトルエン、プロピルジフェニル、イソ ロピルナフタリン、1,1,3-トリメチル-3-トリ -インダン、ドデシルベンゼン等
 (g)チオール類…n-デシルメルカプタン、n-ミ リスチルメルカプタン、n-ステアリルメルカ タン、イソセチルメルカプタン、ドデシル ンジンメルカプタン等
 (h)スルフィド類…ジ-n-オクチルスルフィド ジ-n-デシルスルフィド、ジフェニルスルフ ド、ジエチルフェニルスルフィド等
 (i)ジスルフィド類…ジ-n-オクチルジスルフ ド、ジ-n-デシルジスルフィド、ジフェニル スルフィド、ジナフチルジスルフィド等
 (j)スルホキシド類…ジエチルスルホキシド テトラメチレンカルボキシド、ジフェニル ルホキシド等
 (k)スルホン類…ジエチルスルホン、ジブチ スルホン、ジフェニルスルホン、ジベンジ スルホン等
 (l)アゾメチン類…ベンジリデンラウリルア ン、p-メトキシベンジリデンラウリルアミ 、ベンジリデンp-アニシジン等
 (m)脂肪酸一級アミン塩類…オレイン酸ステ リルアミン、ステアリン酸ミリスチルアミ 、ベヘニン酸ステアリルアミン等
 減感剤の含有量(合計量)は、その化合物の 類等に応じて適宜設定できるが、一般的に 本発明の熱変色性組成物中1~99重量%程度、特 に19~99重量%、さらには60~95重量%とすることが 望ましい。前記含有量が1重量%未満の場合は 発色が大きくなるおそれがある。また、上 含有量が99重量%を超える場合は発色濃度が くなるおそれがある。

 また、上記の脂肪酸メチルエステル及び 肪酸アミドの両者を用いる場合の配合割合 、限定的ではないものの、一般的には(前者 ):(後者)=1:0.1~0.3(重量比)の範囲内で設定する とが望ましい。この範囲内でδHを0℃により づけることが可能となる。

 その他の成分
 本発明の熱変色性組成物では、必要に応じ 、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止 、非熱変色性顔料、非熱変色性染料、蛍光 白剤、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤 溶剤、増粘剤等の公知の添加剤を組成物中 配合しても良い。

 上記のうち、紫外線吸収剤としては、太 光等に含まれる紫外線を効果的に吸収して 発色材の光反応による励起状態によって生 る光劣化を防止する化合物であればよい。 外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェ ン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアク レート系、トリアジン系、サリチル酸系、 ュウ酸アリニド系、マロン酸エステル系、 息香酸系、ケイ皮酸系、ジベンゾイルメタ 系等の化合物が挙げられる。この中でも、 ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好まし 、市販品としてはチバスペシャリティケミ ルズ製「Tinuvin326」が好ましい。紫外線吸収 剤の含有量(合計量)は、その化合物の種類等 応じて適宜設定できるが、一般的には本発 の熱変色性組成物中0~96重量%程度、特に0~61 量%とすることが望ましい。

 (2)熱変色性組成物の製造方法
 本発明の熱変色性組成物は、これらの成分 攪拌機、ミキサー、ホモジナイザー等の公 の混合機に投入し、均一に混合することに って調製することができる。この場合、加 しながら混合することが好ましい。加熱温 は限定的ではないが、通常は120~180℃程度と すれば良い。

 特に、本発明は、電子供与性呈色性有機化 物、電子受容性化合物及び減感剤を含む熱 色性組成物を製造する方法であって、
前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪 メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪 アミドを配合するに際して、両者の配合割 を変えることによりヒステリシスを変化さ て所望の変色温度ヒステリシスを有する熱 色性組成物を得ることを特徴とする製造方 、を包含する。

 すなわち、前記(1)(2)の配合割合を変える とにより、その配合割合に応じたδHを設定 ることができる。具体的には、前記(1)及び( 2)の合計量を100重量部とすれば、0重量部<[ 記(1)の割合又は前記(2)の割合]<100重量部 範囲内で連続的に変えることにより、所望 δHを得ることができる。特に、前記のよう 、(前記(1)の化合物):(前記(2)の化合物)=1:0.1~0. 3(重量比)の範囲内で設定することが望ましい 。この範囲内でδHを0℃により近づけること 可能となる。

 本発明は、電子供与性呈色性有機化合物、 子受容性化合物及び減感剤を含む熱変色性 成物を製造する方法であって、変色温度ヒ テリシスδHを制御する方法であって、
前記減感剤として、(1)総炭素数5以上の脂肪 メチルエステル及び(2)総炭素数4以上の脂肪 アミドを配合するに際して、両者の配合割 を変えることにより変色温度ヒステリシス Hを変化させる方法を包含する。この方法の 件は、前記の製造方法と同様にすれば良い

 (3)熱変色性マイクロカプセル
 本発明は、前記の熱変色性組成物をマイク カプセルに内包してなる熱変色性マイクロ プセルを包含する。内容物として本発明の 変色性組成物を用いるほかは、公知のマイ ロカプセルと同様の構造を採用することが きる。例えば、熱変色性組成物を含む内容 を壁膜により内包してなるマイクロカプセ が挙げられる。

 内容物としては、熱変色性組成物のほか 必要に応じて溶剤(溶解助剤)、乳化剤等か まれていて良い。

 熱変色性組成物の含有量は限定的ではな が、一般的にはマイクロカプセルを100重量% とすると6~98重量%程度、特に50~95重量%とする とが望ましい。

 溶剤としては、熱変色性組成物と壁膜原 とを均一に溶解させることができ、熱変色 能を阻害しないものである限り、公知の溶 から適宜選択することができる。特に、後 程で取り除けるものが望ましい。例えば、 ステル系溶剤(但し、前記(1)(2)の化合物を除 く。)、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、グ コールエーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、 香族系溶剤、含窒素系溶剤、シリコン系溶 、含ハロゲン系溶剤等が使用できる。これ は1種又は2種以上で用いることができる。

 乳化剤は、内容物を水中で乳化する際に 滴表面に吸着して安定化させる両親媒性物 を好適に用いることができる。これらは公 の乳化剤から採用することができる。例え 、水溶性天然高分子、水溶性合成高分子、 面活性剤、無機微粒子等を挙げることがで る。これらは1種又は2種以上で用いること できる。乳化剤は、壁膜を構成する樹脂成 の種類等に応じて適宜決定することができ 。例えば、樹脂成分がエポキシ樹脂である 合には、乳化剤としてアラビアゴム等の多 類のほか、ゼラチン、カゼイン等のタンパ 質も好適に使用することができる。また例 ば、樹脂成分としてメラミンホルマリン樹 を用いる場合には、乳化剤としてエチレン 水マレイン酸共重合体等を好適に用いるこ ができる。さらに、樹脂成分としてウレタ (イソシアネート)を用いる場合には、ゼラチ ン、ポリビニルアルコール等を用いることが できる。

 壁膜としては、通常は樹脂系壁膜を好適 採用することができる。樹脂としては、例 ば各種の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を 用するこができる。より具体的には、エポ シ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリ 樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂 尿素-ホルムアルデヒド系樹脂、メラミン- ルムアルデヒド系樹脂、ベンゾグアナミン 脂、ブチル化メラミン樹脂、ブチル化尿素 脂、尿素-メラミン系樹脂等が挙げられる。 れら樹脂成分は1種又は2種以上で使用する とができる。マイクロカプセルを製造する は、これらの原料を用い、これらを高分子 することにより好適にマイクロカプセル化 ることができる。

 (4)熱変色性マイクロカプセルの製造方法
 本発明の熱変色性マイクロカプセルの製造 法としては、内容物として本発明の熱変色 組成物を用いるほかは、公知のマイクロカ セル化に従って実施することができる。マ クロカプセル化の方法として、例えば界面 合法(重縮合、付加重合)、インサイチュー 合法、コアセルベーション法、液中乾燥法 噴霧乾燥法等を挙げることができる。

 具体的に、本発明のマイクロカプセルの 造方法の一例としては、例えば、1)溶剤の 在下又は不存在下において、壁膜を構成し る主原料(架橋剤を除く。)を熱変色性組成物 と混合又は溶解することにより溶液を調製す る第1工程、2)得られた溶液を乳化剤水溶液中 に添加し、O/Wエマルションを調製する第2工 、3)架橋剤又はその溶液をO/Wエマルションに 添加する第3工程を含む方法により、好適に イクロカプセルを製造することができる。 下、各工程について説明する。

 第1工程
 第1工程では、溶剤の存在下又は不存在下に おいて、壁膜を構成し得る主原料(架橋剤を く。)を熱変色性組成物と混合又は溶解する とにより溶液を調製する。

 熱変色性組成物は、前記で説明したもの 用いる。熱変色性組成物の使用量は、通常 乳化剤水溶液100重量部に対して5~50重量部、 特に10~40重量部となるようにすることが好ま い。前記使用量が5重量部未満の場合は、生 産性が低下することがある。また、前記使用 量が50重量部を超える場合は、乳化が困難に るおそれがある。

 前記主原料及び架橋剤としては、前記(3) 説明した壁膜を構成する成分となるものを 用すれば良い。この場合、特にマイクロカ セル化の方法に応じて適宜設定することが り望ましい。例えば、インサイチュー重合 でマイクロカプセル化する場合において、 膜をメラミン樹脂、ポリウレア樹脂等とす 場合は、主原料としてメラミン、尿素等を い、架橋剤としてホルマリンを使用すれば い。インサイチュー重合法でマイクロカプ ル化する場合において、壁膜がウレタン樹 等である場合は、主原料としてイソシアネ ト化合物を用い、架橋剤としてポリアルコ ルを使用すれば良い。例えば、界面重合法( 重縮合)でマイクロカプセル化する場合にお て、壁膜がエポキシ樹脂等である場合は、 原料としてエポキシ化合物を用い、架橋剤 してポリアミン化合物を使用すれば良い。 面重合法(重縮合)でマイクロカプセル化する 場合において、壁膜がウレタン樹脂、ウレア ウレタン樹脂等である場合は、主原料として イソシアネート化合物を用い、架橋剤として ポリアミン化合物、ポリアルコール、水等を 使用すれば良い。界面重合法(重縮合)でマイ ロカプセル化する場合において、壁膜がポ アミド樹脂等である場合は、主原料として クロライド化合物を用い、架橋剤としてポ アミン化合物を使用すれば良い。界面重合 (付加重合)でマイクロカプセル化する場合 おいて、壁膜がアクリル樹脂等である場合 、主原料としてアクリル化合物を用い、架 剤としてペルオキシ化合物を使用すれば良 。

 主原料及び架橋剤の使用量は特に制限さ ない。主原料は、乳化剤水溶液100重量部に して通常1~50重量部の範囲内、好ましくは2~1 0重量部の範囲内で適宜設定することができ 。架橋剤は、乳化剤水溶液100重量部に対し 通常0.5~25重量部の範囲内、好ましくは1~5重 部の範囲内で適宜設定することができる。 原料又は架橋剤の使用量が少なすぎる場合 は多すぎる場合は、反応が不十分となり、 プセル(壁膜)の強度、耐熱性等が低くなるお それがある。

 第1工程では、必要に応じて溶剤を使用す ることができる。溶剤としては前記で掲げた ものを用いることができる。

 溶剤の使用量は限定的ではないが、通常 乳化剤水溶液100重量部に対して0~100重量部 範囲内、好ましくは0~40重量部の範囲内で適 設定することができる。

 第2工程
 第2工程では、得られた溶液を乳化剤水溶液 中に添加し、O/Wエマルションを調製する。

 乳化剤水溶液は、前記の乳化剤を水に溶 して得られる水溶液を使用できる。乳化剤 溶液の濃度は、乳化剤の種類等に応じて適 設定することができるが、一般に0.1~15重量% 、特に0.5~8重量%とすることが好ましい。前記 濃度が0.2重量%を下回る場合は、乳化が困難 なるおそれがある。前記濃度が15重量%を超 る場合は、起泡することがある。

 本発明では、O/Wエマルションの調製は、 拌法、膜透過法等の公知の方法に従って実 することができる。この場合のO/Wエマルシ ンの液滴径は0.1~20μm程度の範囲内で適宜設 すれば良い。

 第3工程
 第3工程では、架橋剤又はその溶液をO/Wエマ ルションに添加する。架橋剤としては、前記 で列挙した各架橋剤を用いることができる。 架橋剤の溶液は、例えば架橋剤を水に溶解し て得られる架橋剤水溶液を好適に用いること ができる。この場合の水溶液の濃度は限定さ れないが、通常は1~100重量%程度の範囲内で適 宜すれば良い。架橋剤の添加方法は特に制限 されないが、滴下することにより添加するこ とが好ましい。

 また、特殊な例として、壁膜原料にイソ アネート化合物を用いる場合は、架橋剤を たに添加しなくても乳化剤水溶液中の水と ソシアネートの反応によって生じるアミン 合物を架橋剤として利用することができる

 架橋剤又はその溶液を添加した後、架橋 進行し、架橋が完了すれば、所望のマイク カプセルをスラリーの形態で得ることがで る。その後、必要に応じて、例えばろ過、 心分離等の公知の固液分離方法に従って、 イクロカプセルを固形分として回収するこ もできる。また、必要に応じて、マイクロ プセルを洗浄することもできる。

 以下に実施例及び比較例を示し、本発明 特徴を一層明確にする。なお、本発明は、 施例に限定されない。

 実施例1~14及び比較例1~4
 表1に示す各成分を120~180℃で加熱しながら 拌機にて均一に混合することによって、各 変色性組成物を調製した。

 実施例15~25及び比較例5~7
 実施例2~4及び7~14並びに比較例5~7で得られた 熱変色性組成物を表2に示す材料を用いてマ クロカプセル化した。熱変色性組成物の対 関係を表3に示す。

 まず、溶解助剤(溶剤)を用いてカプセル 膜となる樹脂主剤(主原料)と熱変色性組成物 とを均一に混合し、溶解し、溶液を得た。次 いで、30~60℃に加温した乳化剤水溶液中に、 せん断攪拌しながら前記溶液を添加した。 に、高せん断攪拌を行うことにより前記溶 からO/Wエマルション(液滴の粒径:5μm程度)を 得た。その後、低せん断攪拌に切り換え、架 橋剤水溶液を前記O/Wエマルションに滴下した 。60~90℃の温度下で3~12時間反応を行った後、 室温まで冷却することにより、マイクロカプ セルが分散したスラリーを得た。

 実施例26~41
 実施例18のマイクロカプセル(即ち実施例7の 熱変色性組成物)において、発色剤を表4に示 通りに変えた。

 試験例1
 実施例及び比較例で得られた熱変色性組成 及びマイクロカプセルの熱変色性について べた。

 <サンプルの作製>
 実施例1~14及び比較例1~4にあっては、70~100℃ に加熱した熱変色性組成物をNo.5ろ紙上に0.05g 滴下し、120℃で10分加熱することによって含 させたものを測色用サンプルとした。

 実施例15~41及び比較例5~7にあっては、室 まで冷却されたマイクロカプセルスラリー No.1ろ紙上にドクターブレード法により塗布 、室温で2時間乾燥したものを測色用サンプ ルとした。

 <評価>
 サンプルの測色は、色差計(製品名「CR-300」 ミノルタ製)を用い、発色濃度は白色校正板 らの色差δE*で表示した。

 測定手順としては、-10℃からサンプルが 全に消色する温度まで1℃刻みで加熱して測 色を繰り返した。図2の実線で示すように、 差δE*を温度(横軸)に対してプロットしたも を消色曲線とした。

 サンプルが完全に消色する温度から-10℃ で1℃刻みで冷却して測色を繰り返した。図 2の点線で示すように、色差δE*を温度(横軸) 対してプロットしたものを発色曲線とした

 前記の消色曲線及び発色曲線において、 3に示すように、各曲線の色差δE*の最大値( E*max)と最小値(δE*min)との変色幅をδEとし、 曲線において[δE*min+(δE/2)]に対応する温度を 変色温度(消色温度t1,発色温度t2)とした。な 、図3は、消色曲線の場合を説明する図であ が、発色曲線もこれに準拠する。

 次いで、上記で求められたt1及びt2より、 変色温度ヒステリシスδH=|t2-t1|(絶対値)を算 した。その結果を表2に示す。

 表1に示す通り、実施例1~14及び比較例1~4 示した熱変色組成物はいずれも低温でブラ クに発色しており、特定の温度以上に加熱 ると消色して無色となることが分かる。減 剤Aの脂肪酸メチルエステル及び減感剤Bの脂 肪酸アミド単独で用いた実施例1~6は、汎用の 減感剤であるラウリン酸ラウリルやラウリン 酸ステアリルを用いた比較例1,2に比べて同程 度の発色濃度でありながら、地発色(色残り) 低く抑えられており、良好な消発色性能を すことが分かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエ ステルと減感剤Bの脂肪酸アミドを組み合わ た実施例7,8は、汎用の減感剤であるラウリ 酸ラウリル又はラウリン酸ステアリルに脂 酸アミドを組み合わせた比較例3,4に比べて い発色濃度でありながら地発色が低く抑え れており、良好な消発色性能を示すことが かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステル2種類 と減感剤Bの脂肪酸アミド1種類又は2種類を組 み合わせた実施例9~12も比較例1~4に比べて良 な消発色性能を示すことが分かる。また、 外線吸収剤を配合した実施例13、14について 比較例1~4に比べて良好な消発色性能を示す とが分かる。

 表3の結果より、実施例15~25及び比較例5~7 示したカプセル化熱変色組成物はいずれも 温でブラックに発色しており、特定の温度 上に加熱すると消色して無色となることが かる。減感剤Aの脂肪酸メチルエステルを単 独で用いた実施例15~17(実施例2~4のカプセル) 、汎用の減感剤であるラウリン酸ラウリル ラウリン酸ステアリルを用いた比較例5,6(比 例1,2のカプセル)に比べて同程度の発色濃度 でありながら、地発色(色残り)は低く抑えら ており、良好な消発色性能を示すことが分 る。減感剤Aの脂肪酸メチルエステル1種類 は2種類と減感剤Bの脂肪酸アミドを1種類又 2種類を組み合わせた実施例18~23(実施例7~12の カプセル)は、汎用の減感剤であるラウリン ステアリルに脂肪酸アミドを組み合わせた 較例7(比較例3のカプセル)に比べて同程度の 色濃度でありながら、地発色が低く抑えら ており、良好な消発色性能を示すことが分 る。脂肪酸メチルと脂肪酸アミド2種類を組 み合わせた実施例18,19(実施例7,8のカプセル) 、脂肪酸メチルを単独で使用した実施例16,17 (実施例3,4のカプセル)に比べて、変色温度ヒ テリシスが4℃及び5℃縮まり、消発色温度 近い良好な変色挙動を示すことが分かる。 方、汎用の減感剤に脂肪酸アミド2種類を組 合わせた比較例7(比較例3のカプセル)と、汎 用の減感剤単独の比較例6(比較例2のカプセル )の変色ヒステリシスの差はわずか1℃であり 脂肪酸メチルに脂肪酸アミドを組み合わせ ときのようなヒステリシス改善効果は見ら ないことが分かる。また、紫外線吸収剤を 加した実施例24,25(実施例13,14のカプセル)に いても発色性能や発色色機能は良好である とが分かる。紫外線吸収剤未添加のものは ルースケール3級露光により地発色にヤケが 見られた(露光前後の色差δE=30)が、実施例24,2 5では露光前後の色差はそれぞれδE=8及び11で り、耐光性が向上していることが分かる。

 表4の結果より、発色剤以外は実施例18(実 施例7のカプセル)と同じ実施例26~40は、低温 様々な色に発色しており、特定の温度以上 加熱するといずれも消色して無色となるこ が分かる。

熱変色性組成物において、変色温度ヒ テリシスの有無について説明するた  めの 図である。 試験例において用いられる消色曲線及 発色曲線を示す図である。 試験例において、消色温度t1(及び発色 度t2)を説明するための消色  曲線である。