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Patent Searching and Data


Title:
THERMOPLASTIC FLUORORESIN AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096544
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a thermoplastic fluororesin having high melt tension and excellent blow moldability. Specifically disclosed is a method for producing a thermoplastic fluororesin containing a fluorine-containing polymer having a branched structure, which comprises a step wherein a fluorine-containing polymer (X) is produced by polymerizing a monomer (A) having a radical-generating group (x) and an addition polymerizable double bond with a monomer (B) under such polymerization conditions that the radical-generating group (x) is not decomposed, and a step wherein a fluorine-containing polymer (Y) having a branched structure is formed by polymerizing a monomer (C) in the presence of the fluorine-containing polymer (X) under such polymerization conditions that the radical-generating group (x) is decomposed. [In this connection, the monomer (B) and the monomer (C) are respectively composed of one or more monomers having an addition polymerizable double bond, with at least one of the monomers having an addition polymerizable double bond being a fluorine-containing monomer, and form a crystalline fluorine-containing polymer when the monomer is polymerized by itself. The monomer (B) and the monomer (C) may be the same as each other.]

Inventors:
FUKUNAGA SHINTARO (JP)
FUNAKI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/051621
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 30, 2009
Export Citation:
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Assignee:
ASAHI GLASS CO LTD (JP)
FUKUNAGA SHINTARO (JP)
FUNAKI ATSUSHI (JP)
International Classes:
C08F14/26; C08F259/08
Foreign References:
JPH0192250A1989-04-11
JPH01292013A1989-11-24
JPS6443514U1989-03-15
JPS5930847A1984-02-18
JP2006521453A2006-09-21
JPH07173446A1995-07-11
JP2002012626A2002-01-15
JPS6234324B21987-07-27
Other References:
See also references of EP 2241581A4
Attorney, Agent or Firm:
SENMYO, Kenji et al. (SIA Kanda Square17, Kanda-Konyacho, Chiyoda-ku, Tokyo 35, JP)
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Claims:
 第1の重合条件下では実質的にラジカルを発生せず第2の重合条件下でラジカルを発生するラジカル発生基(x)及び付加重合性二重結合を有するモノマー(A)と、モノマー(B)とを第1の重合条件下で重合して含フッ素ポリマー(X)を製造する工程と、
 前記含フッ素ポリマー(X)の存在下でモノマー(C)を第2の重合条件下で重合して分岐構造を有する含フッ素ポリマー(Y)を形成する工程と、
を含み、
 前記モノマー(B)は、付加重合性二重結合を有するモノマーの1種以上からなり、かかる付加重合性二重結合を有するモノマーの少なくとも1種は含フッ素モノマーであり、かつ前記モノマー(B)のみのポリマーは結晶性含フッ素ポリマーとなるモノマーであり、
 前記モノマー(C)は、付加重合性二重結合を有するモノマーの1種以上からなり、かかる付加重合性二重結合を有するモノマーの少なくとも1種は含フッ素モノマーであり、かつ前記モノマー(C)のみのポリマーは結晶性含フッ素ポリマーとなるモノマー(ただし、前記モノマー(C)は前記モノマー(B)と同一であってもよい)である、
ことを特徴とする分岐構造を有する含フッ素ポリマーを含む熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 10時間半減期温度で定義される前記ラジカル発生基(x)の分解温度(Tx)が、50℃~200℃の範囲にあり、以下の条件
 前記第1の重合条件の重合温度(T1)≦(前記分解温度(Tx)-20℃)、
 前記第2の重合条件の重合温度(T2)>(前記分解温度(Tx)-20℃)、
 前記第2の重合条件の重合温度(T2)-前記第1の重合条件の重合温度(T1)≧20℃、
の全てを満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 含フッ素ポリマー(X)におけるモノマー(A)の単位の割合が、含フッ素ポリマー(X)中の全モノマー単位に対して0.01~10モル%であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 前記モノマー(B)が、テトラフルオロエチレンとエチレンと任意に他の共重合性モノマーとからなり、
 含フッ素ポリマー(X)中の、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位及び他の共重合性モノマーの単位の合計に対する、テトラフルオロエチレン単位の割合が30~70モル%、エチレン単位の割合が70~30モル%、他の共重合性モノマーの単位の割合が0~10モル%であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 前記モノマー(C)が、テトラフルオロエチレンとエチレンと任意に他の共重合性モノマーとからなり、
 熱可塑性フッ素樹脂における含フッ素ポリマー中のテトラフルオロエチレン単位、エチレン単位及び他の共重合性モノマーの単位の合計に対する、テトラフルオロエチレン単位の割合が30~70モル%、エチレン単位の割合が70~30モル%、他の共重合性モノマーの単位の割合が0~10モル%であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 熱可塑性フッ素樹脂が、溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張力(XmN)の比(X/W)が0.8以上の熱可塑性フッ素樹脂であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法。
 テトラフルオロエチレン単位と、エチレン単位と、任意に他の共重合性モノマーの単位とを含み、
 前記テトラフルオロエチレン単位、前記エチレン単位及び前記他の共重合性モノマーの単位の合計に対する、前記テトラフルオロエチレン単位の割合が30~70モル%、前記エチレン単位の割合が70~30モル%、前記他の共重合性モノマーの単位の割合が0~10モル%である含フッ素コポリマーからなる熱可塑性フッ素樹脂であり、
 溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張力(XmN)の比(X/W)が0.8以上であることを特徴とする熱可塑性フッ素樹脂。
 含フッ素コポリマーの少なくとも一部がさらに分岐構造を有する単位を含み、当該含フッ素コポリマーを含む熱可塑性フッ素樹脂において、前記分岐構造を有する単位、テトラフルオロエチレン単位、エチレン単位及び他の共重合性モノマーの単位の合計に対する、当該分岐構造を有する単位の割合が0.01~10モル%であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性フッ素樹脂。
Description:
熱可塑性フッ素樹脂及びその製 方法

 本発明は、熱可塑性フッ素樹脂及びその 造方法に関する。さらに詳しくは、ブロー 形性やインフレーション成形性に優れた熱 塑性フッ素樹脂及びその製造方法に関する

 テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオ プロピレン系コポリマーやエチレン・テト フルオロエチレン系コポリマーなどの熱可 性フッ素樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐候性 どが優れており、チューブ、パイプ、コー ィング、電線被覆、フィルムや園芸用被覆 などの材料として幅広く用いられている。

 しかし、熱可塑性フッ素樹脂はブロー成 時に、合わせ金型内で軟化状態にある円筒 状となった樹脂(以下、パリソンという。) 自重で下方向に引っ張られると上部のパリ ンが伸びてその部分の肉厚が薄くなり、成 体の肉厚が不均一になる問題があった。特 、大型の成形体をブロー成形するときに薄 化が顕著に現れる。また、インフレーショ 成形において成形されるフィルムの厚みに らつきが発生しやすかった。

 パリソンの肉厚の不均一を起こりにくく るためや、フィルムの厚さを均一にするた には熱可塑性フッ素樹脂の溶融張力を高く ることが効果的である。熱可塑性フッ素樹 の分子量を大きくすれば溶融張力は高くな 。しかし成形時の熱可塑性フッ素樹脂の溶 粘度が大きくなる結果、パリソンを押出す の熱可塑性フッ素樹脂の成形性が低下し、 産性が低くなる問題があった。

 ポリエチレンでは、長鎖分岐構造を有する とで、溶融張力が高くなり、かつ、溶融粘 が小さくなることが知られている。特許文 1には、テトラフルオロエチレンと二重結合 を2個以上有するモノマーとのコポリマーが ロー成形性に優れているという報告がある
 また特許文献2には、分子内に二重結合とペ ルオキシ結合を有するモノマーを用いた二段 階重合が報告されている。上記コポリマーは 、柔軟性を有するために一段階目で弾性コポ リマーを形成するモノマーを重合し、二段階 目で結晶性コポリマーを形成するモノマーを 重合し、あるいは、一段階目で結晶性コポリ マーを形成するモノマーを重合し、二段階目 で弾性コポリマーを形成するモノマーを重合 してグラフト体を得ている。このグラフト体 はいわゆる熱可塑性エラストマーであり、ブ ロー成形やインフレーション成形には適して いない。

特開2002-12626号公報

特公昭62-34324号公報

 本発明は、溶融張力が高く、ブロー成形 、インフレーション成形性に優れた熱可塑 フッ素樹脂を提供することを目的とする。

 本発明は、第1の重合条件下では実質的にラ ジカルを発生せず第2の重合条件下でラジカ を発生するラジカル発生基(x)及び付加重合 二重結合を有するモノマー(A)と、モノマー(B )とを第1の重合条件下で重合して含フッ素ポ マー(X)を製造する工程と、
 含フッ素ポリマー(X)の存在下でモノマー(C) 第2の重合条件下で重合して分岐構造を有す る含フッ素ポリマー(Y)を形成する工程と、を 含み、
 モノマー(B)は、付加重合性二重結合を有す モノマーの1種以上からなり、かかる付加重 合性二重結合を有するモノマーの少なくとも 1種は含フッ素モノマーであり、かつモノマ (B)のみのポリマーは結晶性含フッ素ポリマ となるモノマーであり、
 モノマー(C)は、付加重合性二重結合を有す モノマーの1種以上からなり、かかる付加重 合性二重結合を有するモノマーの少なくとも 1種は含フッ素モノマーであり、かつモノマ (C)のみのポリマーは結晶性含フッ素ポリマ となるモノマー(ただし、モノマー(C)はモノ ー(B)と同一であってもよい)である、分岐構 造を有する含フッ素ポリマーを含む熱可塑性 フッ素樹脂の製造方法を提供する。

 また、本発明は、テトラフルオロエチレン 位とエチレン単位と任意に他の共重合性モ マーの単位とを含み、テトラフルオロエチ ン単位、エチレン単位及び他の共重合性モ マーの単位の合計に対する、テトラフルオ エチレン単位の割合が30~70モル%、エチレン 位の割合が70~30モル%、他の共重合性モノマ の単位の割合が0~10モル%ある含フッ素コポ マーからなる熱可塑性フッ素樹脂であり、
 溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張 (XmN)の比(X/W)が0.8以上である、熱可塑性フッ 樹脂を提供する。

 本発明によれば、溶融張力が高く、ブロ 成形性、インフレーション成形性に優れた 可塑性フッ素樹脂が得られる。

 [1、熱可塑性フッ素樹脂の製造方法]
(1-1)熱可塑性フッ素樹脂
 本発明の製造方法により得られる熱可塑性 ッ素樹脂は、分岐構造を有する含フッ素ポ マー(Y)を含む、熱可塑性を有するフッ素樹 を意味する。この熱可塑性フッ素樹脂は、 述のように、分岐構造を有する含フッ素ポ マー(Y)以外に分岐構造を有しない線状の含 ッ素ポリマーを含んでいる場合がある(以下 、この線状の含フッ素ポリマーを含フッ素ポ リマー(Z)ともいう)。含フッ素ポリマー(Y)と フッ素ポリマー(Z)とが分岐構造を有する単 の有無を除き実質的に同じ種類と組成割合 モノマー単位から構成されている場合、両 リマーを分離して分析することは困難であ 。なぜなら、通常のフッ素含量の高い結晶 の含フッ素ポリマーでは、そのポリマーを 解しうる溶媒が限られており、しかも溶解 が低いことより、含フッ素ポリマー(Y)と含 ッ素ポリマー(Z)との混合物から両者を分離 ることが非常に困難であるからである。し がって、本発明の製造方法で得られる熱可 性フッ素樹脂の特性は、両含フッ素ポリマ の混合物が示す特性である場合がある。

 含フッ素ポリマー(Y)における「分岐構造を する単位」とは、含フッ素ポリマー(X)中の ノマー(A)の単位に由来する単位を意味する
 含フッ素ポリマー(X)中のモノマー(A)の単位 、第2の重合条件下で分解してラジカルを発 生し、そこにモノマー(C)が付加重合すること より、含フッ素ポリマー(Y)中では分岐構造を 有する単位に変化している。
 モノマー(A)が付加重合性二重結合を1個有す る化合物の場合、含フッ素ポリマー(X)中のモ ノマー(A)の単位が第2の重合条件下で分解す とフリーのラジカル種(ポリマー鎖から分離 たモノマー(A)の単位の残基)も生成すること より、このフリーのラジカル種を重合開始点 としてモノマー(C)が重合することにより含フ ッ素ポリマー(Z)が生成すると考えられる。
 モノマー(A)が付加重合性二重結合を2個有す る化合物の場合、生成する含フッ素ポリマー (X)は架橋ポリマーであり、モノマー(A)の単位 が架橋部位となっていると考えられる。この 架橋した含フッ素ポリマー(X)は、第2の重合 件下で分解し、架橋が消失してラジカルが 成することにより新たに線状のラジカル含 含フッ素ポリマーが生成し、このラジカル 有する含フッ素ポリマーにモノマー(C)が付 重合することより含フッ素ポリマー(Y)が生 すると考えられる。
 本発明において主鎖とは、含フッ素ポリマ (X)が線状ポリマーの場合は含フッ素ポリマ (X)であり(ただし、モノマー(A)の単位が分岐 構造を有する単位に変化したもの)、含フッ ポリマー(X)が架橋ポリマーの場合は架橋が 失して新たに生じた線状の含フッ素ポリマ (X)部分である。

 「分岐構造を有する含フッ素ポリマー」 は、グラフトポリマー構造を有する含フッ ポリマーも含む概念の含フッ素ポリマーを 味する。グラフトポリマーとは、通常、分 構造を有し、かつ主鎖のポリマー鎖と側鎖 ポリマー鎖のモノマー単位が異なるポリマ をいうが、本発明における含フッ素ポリマ (Y)においては主鎖と側鎖のポリマー鎖のモ マー単位は同一であってもよい。

 モノマー(B)およびモノマー(C)は、それぞ 、そのモノマーのみから得られるポリマー 結晶性含フッ素ポリマーとなる、モノマー ある。モノマー(B)およびモノマー(C)は、そ ぞれ、2種以上のモノマーの組合せからなっ ていてもよい。その場合、2種以上のモノマ の共重合割合によっては、結晶性の含フッ ポリマーとなることも非結晶性の含フッ素 リマーとなることもある。例えば、テトラ ルオロエチレンとパーフルオロアルキルビ ルエーテルのコポリマーでは、パーフルオ アルキルビニルエーテル単位の割合が約0.5~1 0モル%である場合は結晶性のコポリマーとな 、パーフルオロアルキルビニルエーテル単 の割合がさらに増加すると結晶性が低下し その割合が約15モル%を超えると非結晶性の ポリマーとなる。このような場合において 、本発明におけるモノマー(B)およびモノマ (C)は、それぞれ、結晶性の含フッ素ポリマ となる割合の2種以上のモノマーの組合せか らなる。モノマー(B)のポリマーおよびモノマ ー(C)のポリマーは、それぞれ、融点が150℃~34 0℃の範囲にある結晶性の含フッ素ポリマー なることが好ましい。

 通常、含フッ素ポリマーにおける各モノ ー単位の割合は、そのポリマー製造時の各 ノマーの使用割合(仕込み割合とも呼ばれて いる)と必ずしも一致しない。各モノマーの 合反応性が異なることより、通常重合反応 の低いモノマーは得られるポリマーにおけ そのモノマー単位の目的とする割合より多 割合で使用される(過剰分は未反応モノマー なる)。本発明における各モノマー単位の割 合は、得られた含フッ素ポリマーまたは熱可 塑性フッ素樹脂を測定して計算されたモノマ ー単位の割合を示す。

(1-2)成分
 次に、本発明の熱可塑性フッ素樹脂の製造 法に用いられる成分について説明する。

(モノマー(A))
 モノマー(A)における重合性二重結合の数は1 個又は2個が好ましく、2個の場合はラジカル 生基を挟んだ形が好ましい。モノマー(A)に ける重合性二重結合の数は1個が好ましく、 重合性二重結合の数が2個のモノマー(A)を使 する場合は、重合性二重結合の数が1個のモ マー(A)に比較して少量使用することが好ま い。

 モノマー(A)のラジカル発生基(x)は、熱に りラジカルを発生させることができる基で ることが好ましく、特にパーオキシ基であ ことが好ましい。ラジカル発生基(x)は第1の 重合条件では実質的にラジカルを発生しない 。「実質的にラジカルを発生しない」とは、 ラジカルが全く発生しないか、発生したとし てもごくわずかであることを意味し、結果と して、重合が起こらないか、たとえ重合が起 こったとしても熱可塑性フッ素樹脂の物性に は影響を与えない、ことをいう。

 ラジカル発生基(x)は、10時間半減期温度 定義されるラジカル発生基(x)の分解温度(Tx) 、50℃~200℃の範囲にあることが好ましく、 に70℃~150℃の範囲にあることが好ましい。 1の重合条件と第2の重合条件における重合 度は、後述のように、選択したモノマー(A) おけるラジカル発生基(x)の分解温度(Tx)で調 される。従って、分解温度(Tx)が低すぎる場 合は、第1の重合条件下で重合を行うために の分解温度(Tx)よりもさらに低い分解温度の 合開始剤の使用が必要となり、第1の重合条 件の制約が厳しくなる。また、分解温度(Tx) 高すぎる場合は、第2の重合条件における重 温度が高くなり、第2の重合条件の制約が厳 しくなる。

 モノマー(A)としては、アルキルヒドロペル キシドと不飽和カルボン酸のエステル;アル キルヒドロペルオキシドのアルケニルカーボ ネート;不飽和アシル基を有するジアシルパ オキシド;ジアルケニルヒドロペルオキシド; ジアルケニルジカーボネート;などが挙げら る。中でも、アルキルヒドロペルオキシド 不飽和カルボン酸のエステル、アルキルヒ ロペルオキシドのアルケニルカーボネート 好ましい。
 また、前記アルキルヒドロペルオキシドと てはt-ブチルヒドロペルオキシドが好まし 、前記不飽和カルボン酸としてはメタクリ 酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸 どが好ましい。さらに、前記アルケニル基 してはビニル基又はアリル基が好ましい。  モノマー(A)としては、具体的には、例えば、 t-ブチルペルオキシメタクリレート、t-ブチ ペルオキシクロトネート、t-ブチルペルオキ シマレイックアシッド、t-ブチルペルオキシ リルカーボネートなどを挙げることができ 。

 含フッ素ポリマー(X)中の全モノマー単位 対するモノマー(A)の単位の割合は、0.01~10モ ル%が好ましい。特に得られる熱可塑性フッ 樹脂において、その特性を従来の対応する 類の熱可塑性フッ素樹脂の特性に比べて大 く変化させずに溶融張力を充分向上させる めには、重合性二重結合の数が1個のモノマ (A)を使用した場合、その単位の割合は0.01~5 ル%がより好ましい。また、重合性二重結合 の数が2個のモノマー(A)を使用した場合、そ 単位の割合は0.01~1モル%がより好ましい。モ マー(A)の単位の割合がこの範囲よりも少な と得られる熱可塑性フッ素樹脂の溶融張力 向上の効果がほとんどなく、この範囲を超 ると溶融粘度が大きくなり成形が困難にな 。

(モノマー(B)、及びモノマー(C))
 モノマー(B)とモノマー(C)は、それぞれ、1種 あるいは2種以上のモノマーの組み合わせか なり、その少なくとも1種は含フッ素モノマ である。モノマー(B)とモノマー(C)を総称し 以下モノマー(B/C)という。モノマー(B/C)が2 以上のモノマーの組み合わせからなる場合 その少なくとも1種は含フッ素モノマーであ 、他のモノマーはフッ素原子を有しないモ マー(以下、非フッ素系モノマーという)で ってもよい。モノマー(B/C)が含フッ素モノマ ーの1種以上と非フッ素系モノマーの1種以上 組合せからなる場合、全モノマー(B/C)に対 る全含フッ素モノマーの割合(ただし、ポリ ー中にモノマー単位として組み込まれたモ マーの割合をいい、ポリマー製造時のモノ ーの使用割合ではない)は、10モル%以上が好 ましく、30モル%以上がさらに好ましい。モノ マー(B/C)が2種以上のモノマーの組み合わせか らなる場合、すべてのモノマーが含フッ素モ ノマーであってもよい。なお、モノマー(B/C) すべて重合性二重結合の数が1個の化合物で あることが好ましいが、場合により、重合性 二重結合の数が2個以上の化合物を全モノマ に対して極少量(1モル%未満が好ましい)使用 ることができる。

 含フッ素モノマーとしては、テトラフルオ エチレン、クロロトリフルオロエチレン、 ニリデンフルオリド、トリフルオロエチレ 、ヘキサフルオロプロピレンなどが好まし 、特にテトラフルオロエチレン、クロロト フルオロエチレンが好ましい。
 このほか、これらのいずれかと組み合わせ 使用できる含フッ素モノマーとして、含フ 素アルケニルエーテル系モノマー、炭素数4 以上の含フッ素オレフィン系モノマーなどが 挙げられる。たとえば、パーフルオロ(アル ルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル )ビニルエーテル、アルキルトリフルオロビ ルエーテルなどの含フッ素アルケニルエー ル系モノマー、(パーフルオロアルキル)置換 エチレン、アルキル置換トリフルオロエチレ ン、CH 2 =CF-(CF 2 ) n -H(nは2~6の整数)などの含フッ素オレフィン系 ノマーが挙げられる。これら化合物におけ パーフルオロアルキル基やアルキル基とし は、炭素数1~6のものが好ましい。アルケニ 基としてはビニル基以外にアリル基やイソ ロペニル基が挙げられる。

 非フッ素系モノマーとしては、エチレン プロピレン、ブテンなどのオレフィン類;メ チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル 、プロピルビニルエーテル、クロロエチルビ ニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエー テル、シクロヘキシルビニルエーテル、グリ シジルビニルエーテルなどのビニルエーテル 類;アリルアルコール、アリルグリシジルビ ルエーテルなどのアリル化合物;酢酸ビニル ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、クロロ酢 ビニルなどのビニルエーテル類;アクリル酸 、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタク リル酸メチルなどのアクリル酸誘導体又はメ タクリル酸誘導体;マレイン酸、マレイン酸 水物、マレイン酸エステルなどのマレイン 誘導体;などが挙げられる。特に好ましい非 ッ素系モノマーは炭素数4以下のオレフィン 類である。

(熱可塑性フッ素樹脂)
 本発明の製造方法により得られる熱可塑性 ッ素樹脂としては、種々の熱可塑性フッ素 脂と同様のモノマー単位組成(ただし、モノ マー(A)の単位を除く)を有する熱可塑性フッ 樹脂が好ましい。代表的な熱可塑性フッ素 脂としてはETFE樹脂(エチレン・テトラフルオ ロエチレン系コポリマーからなる樹脂)、FEP 脂(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオ プロピレン系コポリマーからなる樹脂)、PFA 樹脂(テトラフルオロエチレン・パーフルオ アルキルビニルエーテル)系コポリマーから る樹脂)、CTFE樹脂(クロロトリフルオロエチ ン系ポリマーからなる樹脂)、ECTFE樹脂(エチ レン・クロロトリフルオロエチレン系コポリ マーからなる樹脂)などがある。本発明の製 方法によって得られる熱可塑性フッ素樹脂 してはこれらと同様のモノマー単位組成(た し、モノマー(A)の単位を除く)を有する熱可 塑性フッ素樹脂が好ましい。

 含フッ素ポリマー(Y)の主鎖と側鎖のモノマ 単位組成(ただし、モノマー(A)の単位を除く )は異なっていても実質的に同一であっても い。すなわち、含フッ素ポリマー(Y)におけ モノマー(B)の単位とモノマー(C)の単位の種 は異なっていても実質的に同一であっても い。特に、含フッ素ポリマー(Y)におけるモ マー(B)の単位とモノマー(C)の単位の種類は 質的に同一であることが好ましい。モノマ の単位の種類が実質的に同一とは、上記代 的な熱可塑性フッ素樹脂として例示したETFE 脂やFEP樹脂などの同じ範疇に入るモノマー を用いていることを意味する。すなわち基 物性に大きな影響を与えないマイナーなモ マー単位があってもよい、ということを意 する。しかも、モノマー(B)の単位とモノマ (C)の単位の種類や各組成割合は上記の代表 な熱可塑性フッ素樹脂におけるポリマーと のモノマー単位の種類や各組成割合が実質 に同一であることが好ましい。組成割合が 質的に同一である、とは、上記の代表的な 可塑性フッ素樹脂として例示したETFE樹脂や FEP樹脂などと同じ範疇に入る限り、多少組成 割合が変化しているものも含む、ということ を意味する。
 本発明における熱可塑性フッ素樹脂は、従 の熱可塑性フッ素樹脂の各種特性を維持し がら溶融張力を改良してブロー成形やイン レーション成形に適した熱可塑性フッ素樹 としたものである。
 本発明における熱可塑性フッ素樹脂として 、溶融張力を改良したETFE樹脂とみなしうる 熱可塑性フッ素樹脂であることが特に好まし い。従って、具体的に、ETFE樹脂を例にして 下説明する。

 本発明の製造方法で得られる上記改良ETFE 樹脂とみなしうる熱可塑性フッ素樹脂におい て、モノマー(B)とモノマー(C)はいずれもエチ レンとテトラフルオロエチレンの組み合わせ からなり、含フッ素ポリマー(Y)における主鎖 (モノマー(B)の単位の鎖)と側鎖(モノマー(C)の 単位の鎖)におけるそれぞれのエチレン単位 テトラフルオロエチレン単位の組成割合(モ マー(A)の単位を除いた、両単位の間の組成 合)が実質的に同一であることが好ましい。 本発明において得られる熱可塑性フッ素樹脂 において、含フッ素ポリマー(含フッ素ポリ ー(Y)および場合により含フッ素ポリマー(Z) 含む)中の、テトラフルオロエチレン単位お びエチレン単位の合計に対する、テトラフ オロエチレン単位の割合は30~70モル%、エチ ン単位の割合は70~30モル%であることが好ま く、それぞれ40~60モル%、60~40モル%がより好 しい。

 ETFE樹脂として市販のエチレン・テトラフル オロエチレン系コポリマーは、通常、テトラ フルオロエチレン単位とエチレン単位以外に 少量の他の共重合性モノマーの単位を有して いる。したがって、含フッ素ポリマー(Y)も同 様の他の共重合性モノマーの単位を有してい ることが好ましい。この他の共重合性モノマ ーとしては、上記の(パーフルオロアルキル) 換エチレンやCH 2 =CF-(CF 2 ) n -Hなどの含フッ素オレフィン系モノマーが好 しい。含フッ素ポリマー(Y)において、上記 の共重合性モノマーの単位は必須ではない 、ETFE樹脂のストレスクラックの発生を低減 させるためには少量の他の共重合性モノマー の単位を有することが好ましい。本発明によ り得られる熱可塑性フッ素樹脂において含フ ッ素ポリマー中の、テトラフルオロエチレン 単位、エチレン単位及び他の共重合性モノマ ーの単位の合計に対する、テトラフルオロエ チレン単位の割合は30~70モル%、エチレン単位 の割合は70~30モル%、他の共重合性モノマーの 単位の割合は0モル%超~10モル%であることが好 ましい。さらに、テトラフルオロエチレン単 位の割合は40~60モル%、エチレン単位の割合は 60~40モル%、他の共重合性モノマーの単位の割 合は0.1~5モル%であることが特に好ましい。

 上記のような熱可塑性フッ素樹脂を製造す ために、モノマー(B)に由来するテトラフル ロエチレン単位、エチレン単位及び他の共 合性モノマーの単位の各割合、並びにモノ ー(C)に由来するテトラフルオロエチレン単 、エチレン単位及び他の共重合性モノマー 単位の各割合は、上記範囲にあることが好 しい。モノマー(B)に由来する各単位の組成 合(モノマー(A)の単位を除く)とモノマー(C) 由来する各単位の組成割合は実質的に同一 あることが好ましいが、多少の相違はあっ もよい。本発明においてまず製造される含 ッ素ポリマー(X)においては、テトラフルオ エチレン単位、エチレン単位及び他の共重 性モノマーの単位の合計に対する、テトラ ルオロエチレン単位の割合は30~70モル%、エ レン単位の割合は70~30モル%、他の共重合性 ノマーの単位の割合は0モル%超~10モル%であ ことが好ましい。さらに、テトラフルオロ チレン単位の割合は40~60モル%、エチレン単 の割合が60~40モル%、他の共重合性モノマー 単位の割合は0.1~5モル%であることが特に好 しい。
 次いで、このモノマー単位の割合と同様の 合のポリマー鎖が得られるような仕込み組 のモノマー(C)を使用して第2の重合条件で重 合を行うことにより、上記モノマー単位組成 の含フッ素ポリマー(Y)が生成すると考えられ る。含フッ素ポリマー(Z)が生成すると考えら れる場合にも、含フッ素ポリマー(Z)の各モノ マー単位の組成割合は、含フッ素ポリマー(Y) の側鎖のポリマー鎖(モノマー(C)から生成す ポリマー鎖)と同様の各モノマー単位の組成 合となっていると考えられる。

 本発明における熱可塑性フッ素樹脂の分子 は、各種成形方法が採用できる範囲のもの あることが好ましい。
 本発明においては、分子量に対応した指標 して容量流速を測定、評価する。特に、高 式フローテスターによって測定される(測定 方法は後述)、297℃における熱可塑性フッ素 脂の容量流速は、0.1~30mm 3 /secであることが好ましく、1~20mm 3 /secであることがさらに好ましい。

 上記改良ETFE樹脂と同様に他の熱可塑性フ ッ素樹脂に対しても同様の改良樹脂を得るこ とができる。例えば、溶融張力が改良された FEP樹脂はテトラフルオロエチレン単位とヘキ サフルオロプロピレン単位の合計に対してヘ キサフルオロプロピレン単位を5~15モル%含む トラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプ ピレン系コポリマーが好ましい。溶融張力 改良されたPFA樹脂は、テトラフルオロエチ ン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエー テル)単位の合計に対してパーフルオロ(アル ルビニルエーテル)単位を0.5~10モル%含むテ ラフルオロエチレン・パーフルオロ(アルキ ビニルエーテル)系コポリマーが好ましい。

(1-3)重合方法
 本発明の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法は
(a)第1の重合条件下では実質的にラジカルを 生せずかつ第2の重合条件下でラジカルを発 するラジカル発生基(x)と付加重合性二重結 とを有するモノマー(A)とモノマー(B)とを第1 の重合条件下で重合して、含フッ素ポリマー (X)を製造する工程と、
(b)上記含フッ素ポリマー(X)の存在下でモノマ ー(C)を第2の重合条件下で重合して、分岐構 を有する含フッ素ポリマー(Y)を形成する工 と、
を含む。

 (a)の工程における第1の重合条件の重合温 度(以下、T1で表す)において、モノマー(A)の ジカル発生基(x)が実質的に分解しないため は、T1は(Tx-20℃)以下であることが好ましい (b)の工程における第2の重合条件の重合温度( 以下、T2で表す)において、モノマー(A)の単位 のラジカル発生基(x)を分解させてラジカルを 発生させるためには、T2は(Tx-20℃)を超えるこ とが好ましい。T1とT2が近接している場合に その温度調整が困難になるおそれがあり、 温度の差(T2-T1)は20℃以上であることが好ま い。すなわち、下記(1)~(3)の全ての条件を満 すことが好ましい。ここで、Txはラジカル 生基の分解温度である。

(1)第1の重合条件の重合温度(T1)≦(分解温度(Tx )-20℃)、
(2)第2の重合条件の重合温度(T2)>(分解温度(T x)-20℃)、
(3)第2の重合条件の重合温度(T2)-第1の重合条 の重合温度(T1)≧20℃ 上記のように、モノマ ー(A)のラジカル発生基(x)の分解温度(Tx)は特 70℃~150℃の範囲にあることが好ましいこと り、T1は150℃以下である上記(1)の条件の重合 温度であることが好ましい。一方、T1があま 低すぎると、重合反応性が充分でなくなる と、T1で重合を行うための重合開始剤の分 温度が低くなりその取扱いが煩雑になるこ などの理由により、T1は40℃以上が好ましい T1が低い場合は、場合によっては上記(1)の 件は満たされなくてもよい。

 (a)の工程におけるモノマー(A)とモノマー( B)とを第1の重合条件下で共重合させるために は、その重合条件下でラジカルを発生するラ ジカル発生剤を重合開始剤として使用するこ とが好ましい。このラジカル発生剤は従来の 熱可塑性フッ素樹脂の製造に使用されていた ラジカル発生剤などの公知の化合物を使用で きる。このラジカル発生剤の10時間半減期温 はT1よりも低いことが好ましい。

 (a)、及び(b)の工程における重合方法は、 に限定されず、バルク重合、溶液重合、乳 重合、懸濁重合などの方法が採用される。 液重合の場合には、重合媒体としてハイド フルオロカーボン、クロロフルオロカーボ 、ハイドロクロロフルオロカーボン、アル ール、ハイドロカーボンなどが用いられる 懸濁重合の場合には、ハイドロフルオロカ ボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロ ロロフルオロカーボン、ハイドロカーボン どの媒体に水を加えたものが重合媒体とし 用いられている。乳化重合の場合には、重 媒体として水が用いられるが、溶液重合で いられる同様の重合媒体を併用してもよい

 第1の重合条件、及び第2の重合条件にお る重合圧力は0.01MPa~10MPaの範囲が好ましく、0 .1MPa~3MPaの範囲が特に好ましい。特に第1の重 条件としては、0.5MPa~3MPaが好ましく、第2の 合条件としては、0.5MPa~2MPaが好ましい。ま 、モノマー仕込み時に予め重合容器内を冷 もしくは加熱することにより、重合容器内 温度を調整し、上記温度条件(1)~(3)を満たす うにしても構わない。重合時間は重合温度 の兼ね合いで決まるものであるが、第1の重 合条件、及び第2の重合条件における重合時 は、いずれの場合も30分~15時間が好ましい。

 本発明の熱可塑性フッ素樹脂の製造方法に れば、溶融粘度が大きくなく、溶融張力が い、結晶性の熱可塑性フッ素樹脂が得られ 。そのため、ブロー成形時にパリソンが自 で下方向に引っ張られた場合であっても、 部のパリソンが伸びてその部分の肉厚が薄 なることがないため、成形体の肉厚が不均 になることはない。特に、大型の成形体を ロー成形した場合であっても薄肉化の現象 現れることはない。「大型の成形体」とし は特に制限されないが、例えば最大内径が2 00mm以上1000mm未満程度の寸法を備える中空成 体が挙げられる。
 また、インフレーション成形において成形 れるフィルムの厚みにばらつきが生じるこ もない。さらに成形時に樹脂の溶融粘度が きくなることがないため、パリソンを押出 際に樹脂の成形性が低下しないため、生産 が向上する。

 本発明の製造方法により得られる熱可塑 フッ素樹脂は、成形体の成形性の指標とし の、溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶 張力(XmN)の比(X/W)が0.8以上であり、1.5以上で ることが好ましい。「X/W」は、0.8以上であ ば、ブロー成形やインフレーション成形を う際に成形性や生産性が良好であり、特に 限はないが、5程度である。尚、溶融張力の 測定方法については後に実施例で詳しく説明 する。

 上記のような特性を有することより、本 明の製造方法により得られる熱可塑性フッ 樹脂は、ボトル特に薬液保存用の大型ボト や、フィルムの製造に好適に用いられる。

 [2、熱可塑性フッ素樹脂]
 本発明の熱可塑性フッ素樹脂としては、テ ラフルオロエチレン単位とエチレン単位と 意に他の共重合性モノマーの単位とを含み テトラフルオロエチレン単位、エチレン単 及び他の共重合性モノマーの単位の合計に する、テトラフルオロエチレン単位の割合 30~70モル%、好ましくは40~60モル%、エチレン 位の割合が70~30モル%、好ましくは60~40モル% 他の共重合性モノマーの単位の割合が0~10モ ル%、好ましくは0.1~5モル%、である含フッ素 ポリマーからなる熱可塑性フッ素樹脂であ 、溶融張力を測定する際の荷重(Wkg)と溶融張 力(XmN)の比(X/W)が0.8以上である熱可塑性フッ 樹脂、が挙げられる。熱可塑性フッ素樹脂 「X/W」は1.5以上であることが好ましい。

 「他の共重合性モノマー」とはモノマー( A)以外のモノマーを意味する。例えば、テト フルオロエチレンとエチレンと「他の共重 性モノマー」の組み合わせの場合、その「 の共重合性モノマー」とは、テトラフルオ エチレンではなくかつエチレンではないモ マーであって、しかもモノマー(A)以外のモ マーを意味する。

 本発明の熱可塑性フッ素樹脂は、上述の 造方法より得られた熱可塑性フッ素樹脂で ることが好ましい。尚、上述の製造方法を いた場合、上述の「熱可塑性フッ素樹脂の 造方法」で説明したように熱可塑性フッ素 脂は異なる構造を有する含フッ素ポリマー 混合物である場合がある。

 また、熱可塑性フッ素樹脂としては、上 の「熱可塑性フッ素樹脂の製造方法」で説 したように、上記含フッ素コポリマーの少 くとも一部がさらに分岐構造を有する単位 含み、当該含フッ素コポリマーを含む熱可 性フッ素樹脂において、上記分岐構造を有 る単位、テトラフルオロエチレン単位、エ レン単位及び他の共重合性モノマーの単位 合計に対する、当該分岐構造を有する単位 割合が0.01~10モル%であることがより好まし 。

 このように、本発明の熱可塑性フッ素樹 は溶融張力が高いため、ブロー成形性、イ フレーション成形性に優れる。また、溶融 度も小さく、生産性にも優れる。

 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に 明するが、本発明はこれらに限定されない

 含フッ素ポリマー中の、テトラフルオロエ レンに由来する単位(以下、TFE単位という。 )、エチレンに由来する単位(以下、E単位とい う。)、パーフルオロエチレンに由来する単 の組成比はフッ素元素分析および、 19 F-溶融NMR法により求めた。
また、第1の重合条件下で製造した含フッ素 リマー中の、t-ブチルペルオキシアリルカー ボネートに由来する単位(以下、カーボネー 単位という。)の比率はFT-IR法(フーリエ変換 外分光法)を用いてカーボネート基を定量す ることにより求めた。すなわち、液セル(BaF 2 )を用いて透過IRにより求めた、t-ブチルペル キシアリルカーボネートのカーボネート基 1797cm -1 のモル吸光係数は、14000L・mol -1 cm -1 であった。
 次いで、上記モル吸光係数を用いてt-ブチ ペルオキシアリルカーボネートの濃度C(mol/l) を求めた。さらに、ポリマーの比重を1.8と仮 定し、フッ素元素分析及び 19 F-溶融NMR法により求めたTFE単位とE単位の合計 を100としたときの、カーボネート単位を求め た。例えば、TFE単位/E単位=54/46の場合は、モ 比率54/46/Xで表されるXを下記の式で求める とができる。
     X=(C/(1.8×1000/(100×0.54+28×0.46)))×100

(実施例1)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、パーフルオロペンチルジフロロメタン(以 、C6Hという。)654.5g、1,1,2,2,3-ペンタフルオロ -1,3-ジクロロプロパン(以下、225cbという)353.5g 、t-ブチルペルオキシアリルカーボネート(10 間半減期温度100℃)1.7g、テトラフルオロエ レン(以下、TFEという。)107.5g、及び混合ガス (TFE/エチレン=54/46モル比)43gを室温において仕 込んだ。ついで66℃に昇温させ、t-ブチルパ オキシピバレート(10時間半減期温度55℃)の1 量%溶液(溶媒:C6H)1mlを仕込み、重合を開始さ せた。重合の進行にともない圧力が低下する ため、圧力が一定になるように混合ガスを連 続的に後仕込した。後仕込みの混合ガス量が 60gになったところで内温を室温まで冷却し、 未反応ガスを空放し、圧力容器を開放した。 圧力容器の内容物をC6Hで洗浄し、ガラスフィ ルターで濾過してスラリー状の含フッ素ポリ マーを得た。この共重合体をスラリー状態で 保存した。スラリーの質量は700gであった。 のスラリーの一部を乾燥してポリマー中の 成比(モル)を測定したところ、TFE単位/E単位= 53.5/46.5であった。また、カーボネート単位は 、TFE単位とE単位の合計に対して、0.73モルで った。

 次に得られた含フッ素ポリマースラリー1 40g、C6H73.6g、及び225cbの10gを200mlの撹拌機付き 圧力容器に仕込み、脱気後、TFE7.2g、及び混 ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)2.9gを仕込んだ

 その後、室温における圧力が2倍になるま で窒素を吹き込んだ。次いで、120℃に昇温し 、重合を開始させた。重合の進行にともない 圧力が低下するため、圧力が一定になるよう に混合ガスを連続的に後仕込みした。後仕込 みの混合ガスが15gになったところで内温を室 温まで冷却し、未反応ガスを空放した。圧力 容器の内容物を225cbで洗浄し、ガラスフィル ーで濾過してスラリー状の分岐構造を有す 含フッ素ポリマーを得た。得られたスラリ を60℃で12時間真空乾燥して白色の分岐構造 を有する含フッ素ポリマーを30g得た。この含 フッ素ポリマーの組成比は、TFE単位/E単位=56. 5/46.5であった。

 共重合体の容量流速、融点、溶融張力等を 後に説明する方法で測定した。その結果、 記共重合体は容量流速(Q値)=5(mm 3 /sec)、融点265℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

(測定方法)
 容量流速(Q値):高下式フローテスターを用い 297℃、7kg/cm 2 荷重下で、直径2.095mm、長さ8mmのノズルから 位時間に流出する共重合体の容量(mm 3  /sec)を測定した。

 融点:SII DSC6220型示差走査熱量計装置(セ コー電子社製)を用い10℃/minの速度で昇温し ときの融解ピークを融点とした。

 溶融張力(単位:mN):キャピログラフ(東洋精 機製作所社製)を用い、直径1mm、長さ10mmで流 角90度のコーン付ダイスを使用した。分岐 造を有する含フッ素ポリマーを300℃のプレ 成形で厚さ1mmのシートを作製し、そのシー を5mm角程度に細かく切断したものの5gを、330 ℃に設定したバレルに挿入した。次に上部よ りピストンを挿入して、共重合体が溶融しバ レル温度が330℃で安定するまで5分間放置し 。次にピストンを速度5mm/minで降下させ、ピ トンにかかる荷重が一定になるまで待ち、 重(Wkg)が一定になった後、引取り装置の引 り速度を2m/minとし、ダイスより流出した共 合体のストランドを切れないようにゆっく と引取り装置に導き、ストランドを引き落 した。このときにかかる引き落とし強度を1 間測定し、それを平均した引き落とし強度 溶融張力(XmN)とした。

(比較例1)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、C6Hの683.9g、225cbの252.9g、TFEの88.5g、及び混 ガス(TFE/エチレン=54/46モル比)の37gを仕込ん 。ついで66℃に昇温させ、t-ブチルパーオキ ピバレートの1質量%溶液(溶媒:C6H)の1mlを仕 み、重合を開始させた。重合の進行にとも い圧力が低下するため、圧力が一定になる うに混合ガスを連続的に後仕込した。後仕 みの混合ガス量が50gになったところで内温 室温まで冷却し、未反応ガスを空放し、圧 容器を開放した。圧力容器の内容物を225cbで 洗浄し、ガラスフィルターで濾過してスラリ ー状の共重合体を得た。得られたスラリーを 60℃で12時間真空乾燥して白色の共重合体を58 .7g得た。

 共重合体の容量流速、融点、溶融張力等を 施例1と同様に測定したところ、容量流速(Q )=13(mm 3 /sec)、融点277℃であった。溶融張力等は表1に まとめて示す。

(実施例2)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、C6Hの654.5g、225cbの353.5g、t-ブチルペルオキ アリルカーボネート1.7g、TFEの107.5g、混合ガ (TFE/エチレン=54/46モル比)43g、及びパーフル ロブチルエチレン(以下PFBE、という)4.92gを 込んだ。ついで66℃に昇温させ、t-ブチルパ オキシピバレートの1質量%溶液(溶媒:C6H)1ml 仕込み、重合を開始させた。重合の進行に もない圧力が低下するため、圧力が一定に るように混合ガスを連続的に後仕込した。 仕込みの混合ガス量が60gになったところで 温を室温まで冷却し、未反応ガスを空放し 圧力容器を開放した。圧力容器の内容物をC6 Hで洗浄し、ガラスフィルターで濾過してス リー状の含フッ素ポリマーを得た。この含 ッ素ポリマーをスラリー状態で保存した。 ラリーの質量は700gであった。このスラリー 一部を乾燥してポリマー中の組成比(モル) 測定したところ、TFE単位/E単位/PFBE単位/カー ボネート単位=52.55/46.16/1.11/0.68であった。

 次に得られた含フッ素ポリマースラリー140g 、C6Hの73.6g、及び225cbの10gを200mlの撹拌機付き 圧力容器に仕込み、脱気後、TFE7.2g、混合ガ (TFE/エチレン=54/46モル比)2.9g、及びPFBE0.39gを 込んだ。その後、窒素を吹き込み、容器内 圧力を窒素を吹き込む前の2倍にした。次い で、120℃に昇温して重合を開始させた。重合 の進行にともない圧力が低下するため、圧力 が一定になるように混合ガスを連続的に後仕 込みした。後仕込みの混合ガスが15gになった ところで内温を室温まで冷却し、未反応ガス を空放した。圧力容器の内容物を225cbで洗浄 、ガラスフィルターで濾過してスラリー状 分岐構造を有する含フッ素ポリマーを得た 得られたスラリーを60℃で12時間真空乾燥し て白色の分岐構造を有する含フッ素ポリマー 31gを得た。この含フッ素ポリマーの組成比は 、TFE単位/E単位/PFBE単位=54.2/45.8/1.0であった。 分岐構造を有する含フッ素ポリマーの容量流 速、融点、溶融張力等を実施例1と同様に測 したところ、容量流速(Q値)=3(mm 3  /sec)、融点255℃であった。溶融張力等は表1 まとめて示す。

(比較例2)
 1リットルの撹拌機付き圧力容器に、脱気後 、C6Hの683.9g、225cbの252.9g、TFEの88.5g、混合ガ (TFE/エチレン=54/46モル比)の37g、及びPFBE4.92g 仕込んだ。ついで66℃に昇温させ、t-ブチル ーオキシピバレートの1質量%溶液(溶媒:C6H)1m lを仕込み、重合を開始させた。重合の進行 ともない圧力が低下するため、圧力が一定 なるように混合ガスを連続的に後仕込し、 らに、混合ガス100モルに対して1.4モルのPFBE 後添加した。後仕込みの混合ガス量が50gに ったところで内温を室温まで冷却し、未反 ガスを空放し、圧力容器を開放した。圧力 器の内容物を225cbで洗浄し、ガラスフィル ーで濾過してスラリー状の共重合体を得た 得られたスラリーを60℃で12時間真空乾燥し 白色の共重合体62.0gを得た。共重合体の容 流速、融点、溶融張力等を実施例1と同様に 定したところ、容量流速(Q値)=10(mm 3  /sec)、融点260℃であった。溶融張力等は表1 まとめて示す。
 実施例1、及び実施例2と比較例1,及び比較例 2とを比較すると、実施例の溶融張力がいず の場合もおおよそ2倍高くなっていることが かる。

 本発明で得られた熱可塑性フッ素樹脂は、 融張力が高く、ブロー成形性、インフレー ョン成形性に優れ、ボトル特に薬液保存用 大型ボトルや、フィルムの製造に好適に用 られる。

 なお、2008年2月1日に出願された日本特許出 2008-022971号の明細書、特許請求の範囲、及 要約書の全内容をここに引用し、本発明の 細書の開示として、取り入れるものである