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Patent Searching and Data


Title:
VASCULAR ENDOTHELIAL CELL-BINDING PEPTIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084652
Kind Code:
A1
Abstract:
A peptide which comprises an amino acid sequence represented by any one of SEQ ID NOS: 1 to 76, a peptide which comprises an amino acid sequence in which one or several amino acids have been substituted, deleted, inserted or added in any one of these amino acid sequences, and which has a binding ability to or incorporating ability in activated vascular endothelial cells, or a peptide which contains the peptide as a partial sequence, and has a binding ability to or incorporating ability in activated vascular endothelial cells of the invention is a novel peptide ligand specifically binding to neovascular endothelial cells, and such a ligand can be effectively used for treating or diagnosing a disease accompanied by angiogenesis such as solid tumors.

Inventors:
KOYAMATSU YUICHI (JP)
MICALLEF MARK (JP)
IDA NOBUO (JP)
KOIWA MASAKAZU (JP)
KAKIZAWA YOSHINORI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074640
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 21, 2007
Export Citation:
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Assignee:
TORAY INDUSTRIES (JP)
KOYAMATSU YUICHI (JP)
MICALLEF MARK (JP)
IDA NOBUO (JP)
KOIWA MASAKAZU (JP)
KAKIZAWA YOSHINORI (JP)
International Classes:
C12N15/09; A61K38/00; A61P35/00; C07K7/04
Other References:
LIANG S. ET AL.: "Screening and identification of vascular-endothelial-cell-specific binding peptide in gastric cancer", J. MOL. MED., vol. 84, no. 9, 2006, pages 764 - 773, XP019401156
MUTUVERRIA R. ET AL.: "Isolation of human antibodies to tumor-associated endothelial cell markers by in vitro human endothelial cell selection with phage display libraries", J. IMMUNOL. METHODS, vol. 287, no. 1-2, 2004, pages 31 - 47, XP004503468
ARAP W. ET AL.: "Cancer treatment by targeted drug delivery to tumor vasculature in a mouse model", SCIENCE, vol. 279, no. 5349, 1998, pages 377 - 380, XP000857470
HERBERT HURVITZ; 14 OTHERS: "Bevacizumab plus Irinotecan, Fluorouracil, and Leucovorin for Metastatic Colorectal Cancer", NEW ENGL J MED, vol. 350, 2004, pages 2335 - 2342, XP002302382
ARAP WADIH; 2 OTHERS: "Cancer Treatment of Targeted Drug Delivery to Tumor Vasculature in a Mouse Model", SCIENCE, vol. 279, 1998, pages 377 - 380
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Claims:
 以下の(A)、(B)または(C)いずれかのペプチド。
 (A)配列番号1~76のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
 (B)配列番号1~76のいずれかで表されるアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付加された配列を有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
 (C)前記(A)または(B)のペプチドを部分配列として含有し、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合能または取込能を有するペプチド。
 請求項1に記載のペプチドをコードする核酸。
 請求項1に記載のペプチドが親水性高分子と結合していることを特徴とする、ペプチド結合体。
 請求項1に記載のペプチドを含有することを特徴とする医薬組成物。
 請求項1に記載のペプチドを用いて、新生血管に薬物を集積させる方法。
Description:
血管内皮細胞結合性ペプチド

 本発明は、血管内皮細胞に親和性を有す ペプチドに関する。特に、活性化した血管 皮細胞に対して特異的結合性を有するペプ ドに関する。

 血管は、酸素をはじめとして種々の養分 細胞を全身の組織に運搬する重要な役目を つことは周知のとおりである。血管新生は 新しい血管を形成する基礎的な過程であり この過程は、個体発生、組織の成長、創傷 癒など多くの正常な生理的現象に不可欠で る。また、血管新生はいくつかの病態発現 おいても重要であり、特に固形腫瘍の増殖 よび転移における役割は高い注目を集めて る。腫瘍以外にも、関節炎、乾癬および糖 病性網膜症、加齢黄斑変性症などの種々疾 との関わりが知られている。

 固形腫瘍において、癌細胞が自身の増殖 必要な酸素、栄養分等の供給を得るために 腫瘍組織内に新たな血管を形成する現象は く知られており、この血管新生に必要な各 の血管新生促進因子が腫瘍細胞によって産 されていることが明らかになっている。こ ような血管新生を誘導する因子のひとつで る血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する中和 体を用いて腫瘍組織における血管新生を抑 する試みは、抗体医薬として実用化され、 年臨床での使用が開始されて期待通りの抗 瘍効果を示すことが報告されている(非特許 文献1)。

 腫瘍組織における新生血管をターゲットと た腫瘍の治療としては、上述のような血管 皮増殖因子を阻害する方法の他に、新生血 内皮細胞に特異的に薬物を送達し、この内 細胞の障害または増殖抑制を引き起こす方 が考えられる。また新生内皮細胞の周囲の 癌剤濃度を高めることで、癌細胞に作用す 薬物濃度を高めて抗癌作用を得ることも期 できる。このようなアプローチにおいては 新生血管内皮細胞に特異的に結合するリガ ドを得ることが重要なポイントとなる。こ 新生血管内皮細胞特異的リガンドとしては 新生血管内皮細胞において発現上昇が報告 れているVEGF受容体あるいはαvインテグリン などと結合するペプチドがいくつか報告され ている(非特許文献2)が、in vivoにおいて十分 有効性が確認されているものは少なく、研 の初期段階にあるのが実状である。新生血 内皮細胞においては、上述のような分子以 にも発現が上昇している未知の分子が複数 ると考えられ、このような未知の分子に対 るリガンドを探索することで、さらに有効 の高いリガンドを取得できる期待がある。
ハーバート ハーヴィッツ(Herbert Hurwitz) 他14名、「転移性大腸癌に対するベバシズ ブ+イリノテカン、フルオロウラシル、ロイ ボリン(Bevacizumab plus Irinotecan, Fluorouracil, a nd Leucovorin for Metastatic Colorectal Cancer)」、 ューイングランドジャーナルオブメディス  (New Engl J Med)、2004年、第350巻、ページ2335 ~2342 アラップ ワディ(Arap Wadih)、他2名、「 ウスモデルにおける腫瘍血管への選択的薬 送達による癌の治療(Cancer Treatment of Targeted  Drug Delivery to Tumor Vasculature in a Mouse Mode l)」、サイエンス (Science)、1998年、第279巻、 ージ377~380

 本発明の目的は、新生血管内皮細胞に特 的に結合する新規なペプチドリガンドを提 することにある。

 上記課題を克服するために、本発明者ら 、腫瘍細胞株の培養上清を添加して培養し 活性化ヒト血管内皮細胞、すなわち腫瘍新 血管内皮のモデル細胞に結合するが、腫瘍 胞株の培養上清を添加せずに培養したヒト 管内皮細胞、すなわち正常血管内皮のモデ 細胞には結合しないペプチド配列を、ラン ムライブラリーからスクリーニングする検 を行い、目的の性質を有するペプチドを取 した。

 すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)(A)、(B)または(C)のいずれかのペプチド。
(A)配列番号1~76のいずれかで表されるアミノ 配列からなるペプチド。
(B)配列番号1~76のいずれかで表されるアミノ 配列において、1もしくは数個のアミノ酸が 換、欠失、挿入または付加された配列を有 、かつ、活性化した血管内皮細胞への結合 または取込能を有するペプチド。
(C)前記(A)または(B)のペプチドを部分配列とし て含有し、かつ、活性化した血管内皮細胞へ の結合能または取込能を有するペプチド。
(2)(1)に記載のペプチドをコードする核酸。
(3)(1)に記載のペプチドが親水性高分子と結合 していることを特徴とする、ペプチド結合体 。
(4)(1)に記載のペプチドを含有することを特徴 とする医薬組成物。
(5)(1)に記載のペプチドを用いて、新生血管に 薬物を集積させる方法。

 本発明のペプチドは、固形腫瘍などの病 組織に存在する新生血管に特異的に集積す ことが期待でき、この性質を用いて血管新 を伴う各種疾患の治療、診断に使用できる

各ファージクローンの活性化HUVECおよ 非活性化HUVECへの結合性をELISA法で測定した 果を示す図である。 クローン6の共焦点蛍光顕微鏡での観察 結果を示す写真代用図面である。 蛍光標識ペプチド-BSA複合体のHUVECおよ HeLa細胞への取り込みを共焦点レーザー顕微 鏡で観察した写真代用図面である。 蛍光標識したマルチアームPEG-ペプチド 複合体を担癌マウスに投与して24時間後の腫 組織切片を免疫染色したのち蛍光顕微鏡で 察した写真代用図面である。 ドキソルビシンを内封したペプチド修 リポソームをHUVECに作用させ、そのときの 胞内取り込み量をドキソルビシンで定量し 結果を示す図である。

 本発明のペプチドは、配列番号1~76に示さ れるアミノ酸配列からなるペプチド、または 配列番号1~76のいずれかで表されるアミノ酸 列において、1もしくは数個のアミノ酸が置 、欠失、挿入または付加されたアミノ酸配 を有し、かつ、活性化した血管内皮細胞へ 結合能または取込能を有するペプチドであ 。

 ここで、置換、挿入または付加されるア ノ酸は、自然界での存在の有無に関わらず ルボキシル基とアミノ基を持つ分子であれ よく、ヒドロキシル化、リン酸化、あるい グリコシル化等の生体内で通常見られる翻 後修飾をされたアミノ酸であっても良い。 ましくは、哺乳類細胞内に通常存在する天 アミノ酸およびその光学異性体からなるア ノ酸配列であり、例を挙げるとアルギニン( Arg)、リジン(Lys)、アスパラギン酸(Asp)、アス ラギン(Asn)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン (Gln)、ヒスチジン(His)、プロリン(Pro)、チロシ ン(Tyr)、トリプトファン(Trp)、セリン(Ser)、ト レオニン(Thr)、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、 メチオニン(Met)、システイン(Cys)、フェニル ラニン(Phe)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)、イ ロイシン(Ile)などからなるアミノ酸配列であ る。

 置換、欠失、挿入または付加されるアミ 酸の数は、1~7個であることが好ましく、1~5 であることがさらに好ましく、1~3個である とがさらに好ましい。置換、欠失または挿 により変異した配列において、配列番号1~76 のいずれかで表されるもとのアミノ酸配列の 4つ以上のアミノ酸の連続した並びが保存さ ていることが好ましく、6つ以上のアミノ酸 連続した並びが保存されていることがより ましい。

 また、本発明は、上述のペプチド、すな ち配列番号1~76に示されるアミノ酸配列から なるペプチド、または配列番号1~76のいずれ で表されるアミノ酸配列において1もしくは 個のアミノ酸が置換、欠失、挿入または付 されたアミノ酸配列を有し、かつ活性化し 血管内皮細胞への結合能または取込能を有 るペプチドを、部分アミノ酸配列として含 し、かつ活性化した血管内皮細胞への結合 または取込能を有するペプチドを含む。

 なお、本発明でいうペプチドとは、2つ以 上のアミノ酸がアミド結合で連結された物質 を広く意味しており、数十から数百あるいは 数千のアミノ酸が連結したような通常タンパ ク質と呼ばれる物質を含む。

 本発明でいう血管内皮細胞とは、血管の 表面を構成する細胞であり、ヒト内皮細胞 たは他の哺乳動物内皮細胞の使用が好まし 。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)、ヒト皮 膚微小血管内皮細胞あるいはヒト肺微小血管 内皮細胞(HMVEC)などが含まれるが、これらに 定されない。

 本発明でいう活性化した血管内皮細胞と 、血管新生を促進することが知られている 々の因子、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF) 線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖 子(PDGF)、アンジオポエチンなど、あるいは れら因子の混合物の存在化で培養した内皮 胞をいう。あるいは、腫瘍細胞が産生する 意の因子の存在下で培養した内皮細胞をい 。腫瘍細胞が産生する因子の存在化で培養 行った内皮細胞、例えば腫瘍細胞の培養上 を培地に添加して培養した内皮細胞は、固 腫瘍組織で誘導される新生血管を構成する 皮細胞の性質を高く模倣しうることが期待 き、特に好ましく用いられる。ここで用い 腫瘍細胞としては、ヒトあるいは他の哺乳 物由来の各種臓器腫瘍細胞が広く用いられ る。例えば、肝臓癌由来のHuH-7細胞、乳癌由 来のMCF-7細胞、卵巣癌由来のOVCAR-3細胞、カポ シ肉腫由来のKSIMM細胞、大腸癌由来のLOVO細胞 、胃癌由来のMKN-45細胞、前立腺癌由来のDU145 胞、肺癌由来のA549細胞、脳腫瘍由来のU-87MG 細胞、皮膚癌由来のSK-MEL-5細胞、膀胱癌由来 T24細胞、膵臓癌由来のPANC-1細胞、腎臓癌由 のGRC-1細胞などが挙げられる。

 これらの血管新生促進因子あるいは腫瘍 胞が産生する因子の存在化で内皮細胞を培 する時間は特に限定されないが、十分な作 を受けかつ細胞が過剰に増殖しない条件と て2時間以上72時間以内であることが好まし 、8時間以上48時間以内であることがさらに ましい。

 腫瘍細胞が産生する任意の因子の存在化 培養を行う方法としては、腫瘍細胞単独で 養を行って培養上清を回収しこれを内皮細 の培地に添加する方法、あるいは細胞は透 しないが各種蛋白、低分子などは透過しう フィルターを用いて、一方に血管内皮細胞 他方に腫瘍細胞を入れて培養を行う方法な がある。活性化内皮細胞として一定の性質 有するものを再現性良く得るためには、腫 細胞単独で培養を行って培養上清を回収し これを内皮細胞の培地に添加する方法が好 しい。

 本発明でいう血管内皮細胞への結合能を するペプチドとは、血管内皮細胞の表面に 在する分子(細胞表面分子)と化学的もしく 物理的に相互作用することで該細胞表面上 留まることができるペプチドを意味し、血 内皮細胞結合性ペプチドともいう。ここで う細胞表面分子としては、例えば、脂質、 ンパク質、多糖類などが挙げられるが、こ らに限定されるのではない。また、その相 作用は単一の細胞表面分子または複数の細 表面分子のどちらであってもよい。

 本発明でいう血管内皮細胞への取込能を するペプチドとは、ペプチドが該細胞と接 した後に細胞膜を通過して細胞内部へと侵 することができる性質をもつペプチドのこ を意味する。通過の手段としては、例えば エンドサイトーシスが挙げられるが、これ 限定されるものではない。本発明において 、血管内皮細胞への取込能を有するペプチ も血管内皮細胞結合性ペプチドに含まれる

 本発明のペプチドの血管内皮細胞への結合 または取込能は、例えば、共焦点レーザー 微鏡観察、フローサイトメトリー、蛍光強 計などを用いて評価することができる。例 ば、共焦点レーザー顕微鏡を用いた評価方 について以下に一例を記すが、これに限定 れるものではない。まず、96ウェルマイク プレート(ガラスボトムプレート、Nunc社No.164 588)をあらかじめ1%酸性コラーゲン溶液100μlで 10分間処理し、PBS120μlで1回洗浄後、1×10 5 個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下 で2日間培養を行う。使用時に、細胞を150μl 培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地(Cambrex Bi o Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同じ 培地50μlと、蛍光標識したペプチドまたは蛍 標識したペプチド-高分子複合体を培地で希 釈してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを添 して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行う(細 と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応後の 胞を共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社FV10 00)を用いて観察し、ペプチド由来の蛍光が細 胞表面もしくは細胞内部に存在するかを調べ ることで血管内皮細胞への結合または取込能 を評価できる。

 本発明のペプチドは、一般的な化学合成 により製造することが出来る。製造する方 には、通常の液相法及び固相法によるペプ ド合成法が含まれる。かかるペプチド合成 には、アミノ酸配列情報に基づいて、各ア ノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させて いくステップワイズエロンゲーション法と、 アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合 成し、次いで各フラグメントをカップリング 反応させるフラグメント・コンデンセーショ ン法とが含まれる。本発明のペプチドの合成 は、これらのいずれによることもできる。

 上記ペプチド合成に採用される縮合法も 公知の各種方法に従うことができる。その 体例としては、例えばアジド法、混合酸無 物法、DCC法、活性エステル法、酸化還元法 DPPA(ジフェニルホスホリルアジド)法、DCCに1 -ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキ シサクシンイミド、N-ヒドロキシ-5-ノルボル ン-2,3-ジカルボキシイミド等を添加する方 、ウッドワード法等を例示できる。これら 方法に利用できる溶媒もこの種ペプチド縮 反応に使用されることがよく知られている 般的なものから適宜選択することができる その例としては、例えばジメチルホルムア ド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ヘキサ メチルホスホロアミド、ジオキサン、テトラ ヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等の溶媒また これらの溶媒の混合溶媒等を挙げることが きる。

 上記ペプチド合成反応に際して、反応に 与しないアミノ酸やペプチドにおけるカル キシル基は、一般にはエステル化により、 えばメチルエステル、エチルエステル、第 級ブチルエステル等の低級アルキルエステ 、例えばベンジルエステル、p-メトキシベ ジルエステル、p-ニトロベンジルエステル等 のアラルキルエステル等として保護すること ができる。また、側鎖に官能基を有するアミ ノ酸、例えばTyrの水酸基は、必要に応じてア セチル基、ベンジル基、ベンジルオキシカル ボニル基、第三級ブチル基等で保護されても よい。更に、例えばArgのグアニジノ基は、ニ トロ基、トシル基、2-メトキシベンゼンスル ニル基、メチレン-2-スルホニル基、ベンジ オキシカルボニル基、イソボルニルオキシ ルボニル基、アダマンチルオキシカルボニ 基等の適当な保護基により保護することが きる。上記保護基を有するアミノ酸、ペプ ド及び最終的に得られる本発明のペプチド おけるこれら保護基の脱保護反応も、慣用 れる方法、例えば接触還元法や、液体アン ニア/ナトリウム、フッ化水素、臭化水素、 塩化水素、トリフルオロ酢酸、酢酸、蟻酸、 メタンスルホン酸等を用いる方法等に従って 、実施することができる。

 また、本発明のペプチドは、遺伝子工学 手法を用いて常法により調製することもで る。このようにして得られる本発明のペプ ドは、通常の方法に従って、例えばイオン 換樹脂、分配クロマトグラフィー、ゲルク マトグラフィー、アフィニティークロマト ラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPL C)、向流分配法等のペプチド化学の分野で汎 されている方法に従って、適宜その精製を うことができる。

 また、本発明のペプチドは、他の物質と 合された状態で用いることもできる。結合 化学的でも物理的でもよく、本発明のペプ ドと他の物質との間にリンカーを挟んでい もよい。結合される他の物質としては、具 的には、高分子、脂質、糖、低分子化合物 挙げられ、その中でも血中滞留性の向上や 密度修飾によるクラスター効果を期待でき 点などから親水性高分子が好ましい。ここ いう親水性高分子とは、化学的に合成され 合成高分子や多糖類、核酸、タンパク質と った生体(天然)高分子が挙げられ、なかで 合成高分子、その中でもポリエチレングリ ール(PEG)やポリビニルアルコール(PVA)等がよ 好ましく用いられ、その中でも特に、PEGは 中滞留性が良いという点から好適に用いら る。

 ペプチドと親水性高分子とを結合させる 法として、親水性高分子に導入した反応性 を利用して行う方法が挙げられる。導入さ る反応性基としては、ペプチド中に存在す SH基、OH基、COOH基、NH2基のいずれかと反応 るものが好ましく、例えば、マレイミド基 N-ヒドロキシスクシンイミド基、ジチオピリ ジン基、NH2基、COOH基、OH基、SH基が挙げられ が、これらに限定されるものではない。一 的に、PEGはペプチド中に存在する-NH2基、-CO OH基、-OH基、-SH基のような官能基と反応させ ために適した反応性基を含むように機能化 きることが知られており、例えば末端にマ イミド基を導入したPEG(例えば、日本油脂製 マルチアームPEG、SUNBRIGHT PTE-200MA)を用いると 、ペプチドに存在する-SH基と反応させること でペプチド-PEG修飾体を得ることが出来る。

 また、本発明のペプチドは、生物学的に 性な薬物と本発明のペプチド双方を含有し 医薬組成物として用いることが出来る。医 組成物内の本発明のペプチドと薬物はコン ュゲートを形成していることが好ましい。 こでいうコンジュゲートとは、2つ以上の物 質が同時に動きうる状態を表し、その物質間 が共有結合により結合しているもの、イオン 結合により静電的に結合しているもの、また 結合が存在しない場合であっても立体構造に より他方がもう他方の動きを制限し共に動き うる状態にしたものも含まれる。例えば本発 明のペプチドを表面に修飾したミセル、リポ ソーム、高分子などの微粒子の中に生物学的 に活性な薬物が封入されているものなどもコ ンジュゲートを形成していることに含まれる 。

 薬物の種類としては、細胞の増殖を抑制 たは促進する活性を有する各種の薬物の使 が考えられる。腫瘍新生血管をターゲット した治療においては、抗癌剤として使用さ ているドキソルビシン、パクリタキセル、 スプラチン、オキザリプラチン、5FU、CPT-11 マイトマイシンC、などの種々薬物が使用さ れうる。

 また、抗体などのタンパク薬、siRNA、ア タマーなど核酸医薬などのいわゆるバイオ 薬品も好ましく用いられる。薬物としてタ パク質を用いる場合には、本発明のペプチ とタンパク質のコンジュゲートとして、融 タンパク質を作成して用いることもできる この場合、本発明のペプチドを結合させる 置は特に限定されないが、ペプチドがタン ク質の外側に提示されており、かつ融合さ たタンパク質の活性、機能への影響が低い とが好ましく、望ましくはアミノ末端また カルボキシル末端である。

 当発明のペプチドとの融合タンパク質を 造する場合は、一般的な化学合成法により うことが出来る。例を示すと、本発明のペ チドと蛋白薬物を混合し縮合剤を添加して 合させる方法や、ペプチド合成装置(例えば Applied Biosystems Medel 433)を用いる方法である また塩基配列情報に基づいて遺伝子工学的 法を用いて常法により製造することも出来 。例を挙げると、タンパク発現プロモータ を有する遺伝子発現ベクターに本発明のペ チドおよび融合させるタンパク質をコード る塩基配列を組み込み製造する方法である

 本発明の医薬組成物としては、本発明の プチドと薬物に加えて、薬学的に許容され 添加剤からなる粉末形態、あるいは、水等 媒体および該媒体以外の薬学的に許容され 基剤との混合物等からなる液状形態、さら は、薬学的に許容される基剤との組み合わ により固形化または半固形化した形態等が げられる。前記基剤としては、製剤素材と て慣用の各種有機あるいは無機物質が挙げ れ、例えば賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊 、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤 緩衝剤、無痛化剤、吸収促進剤等が挙げら る。

 本発明で得られたペプチドは、固形腫瘍 どの病変組織に存在する新生血管に特異的 集積することが期待でき、この性質を用い 各種疾患の治療、診断に使用できる。例え 、新生血管を阻害すべき癌種としては、乳 、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌 肺癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、肝臓癌、脳 瘍、食道癌、膀胱癌、子宮頸癌、脂肪肉腫 上皮癌、腎細胞癌、胆嚢腺癌、耳下腺癌、 色腫、リンパ腫、神経膠腫、子宮内膜腫、 剤耐性癌等が挙げられる。また、癌以外の 患としては、慢性関節性リウマチ、乾癬、 形性関節症などの慢性炎症または加齢性黄 変性症、糖尿病性網膜症、新生血管緑内障 どの網膜症、などの疾患をあげることがで るが、これらの疾患には限定されない。

 生物学的に活性な薬物と本発明のペプチ 双方を含有した医薬組成物を、生体に投与 ることで、薬物を病変組織の新生血管に集 させることが可能となる。医薬組成物の投 方法は特に限定されないが、例えば注射に る方法、経口投与、経肺投与、経鼻投与、 眼投与などがあげられる。注射による投与 好ましく、特に静脈あるいは動脈などの血 内への投与が、新生血管病変部位に効率よ 薬物を到達させることができるために好ま い方法である。

 本発明の医薬組成物を生体に投与する際 投与量や投与回数は、前記ペプチドと組み わせる薬物、投与形態、患者の年齢、体重 症状の重篤度によってによって適宜選択さ うるが、通常成人男性1日あたり0.1μg~10g、 ましくは1μg~1000mgの範囲で投与されうる。

 以下、本発明を詳細に説明するため実施 を挙げるが、本発明は実施例に限定される のではない。

 実施例1 活性化血管内皮細胞結合ファージ スクリーニング
 <方法>
 1.腫瘍細胞培養上清の調製
 ヒト肝癌細胞株HuH-7を、5%ウシ胎児血清を含 むDMEM培地7mlに希釈し、25cm2培養フラスコに入 れて37℃、5%CO2存在下で24時間培養を行った。 細胞密度は、約70%コンフルエントの状態で培 養を行った。培養液を回収し、1000rpm、5分間 心して上清を回収した。回収した培養上清 使用時まで-30℃で保存した。

 2.活性化正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の 製
 ファージライブラリースクリーニングに用 る正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Cambrex Bi o Science社)は、あらかじめ2%ウシ胎児血清を むEBM-2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含 )中で1x104/ml、1ml/ウェルの密度で12ウェルプ ートに播種し、48時間培養を行った。PBSで3 洗浄し、一方のウェルには上記で調製したHu H-7肝癌細胞培養上清0.5mlおよびEBM-2培地(増殖 子不含)0.5mlを、他方のウェルには5%FCSを含 DMEM培地0.5mlおよびEBM-2培地(増殖因子不含)0.5m lを添加して、24時間培養を行った。HuH-7肝癌 胞培養上清を添加して培養した細胞を「HuH- 7上清培養HUVEC」、DMEM培地を添加して培養し 細胞を「DMEM培養HUVEC」として以下のスクリ ニングに使用した。

 3.ファージライブラリーからのスクリーニ グ
 ファージペプチドライブラリーとしては、1 5merまたは12merのランダムアミノ酸配列をファ ージpIII蛋白の融合蛋白として呈示するM13系 ァージライブラリーを使用した。上記2で調 したDMEM培養HUVECをPBSで3回洗浄し、1.2x1010TU(t ransformingunit)のファージを含む0.1%のウシ血清 ルブミン(BSA)/リン酸生理緩衝液(PBS)1mlを添 して室温で30分間反応を行った。反応液(結 しなかったファージ)を回収し、今度は上記2 で調製したHuH-7上清培養HUVEC(あらかじめPBSで3 回洗浄)に添加して、室温で30分間反応を行っ た。反応後の細胞はPBSで3回洗浄後、0.5mlの酸 性の溶離液(0.1%BSAを含有する0.1Mグリシン塩酸 pH2.4)を添加して1分間反応を行い、結合した ァージを解離させた。溶離液を回収し1200rpm5 分間遠心を行って上清を回収し、125μlの1Mト ス塩酸(pH8.0)を添加して中和した。この溶液 を、DMEM培養HUVEC(あらかじめPBSで3回洗浄)に添 加し、室温で30分間反応後上清を回収するこ で、HuH-7上清培養HUVECに選択的に結合するフ ァージを得た。

 得られたファージ溶液を対数増殖期の大 菌に感染し、培養を行うことでファージの 幅を行った。培養液中に産生されたファー をPEG/NaCl溶液(2.5M塩化ナトリウムを含有する 20%PEG8000)添加により沈殿させて遠心回収する とで、ファージの精製を行った。

 上述の一連の操作によるHuH-7上清培養HUVEC 結合性ファージの単離および大腸菌感染によ る増幅を1サイクルとして、計3サイクルのス リーニングを行った。3サイクル後のファー ジ回収液を、LB-agarプレートにまき、37℃終夜 培養後に得られたコロニー(シングルクロー )から数十個をランダムに選んで個別に培養 、上清のファージを上述のPEG/NaCl沈殿法で 製することで、精製ファージクローンを得 。

 4.Cell ELISA法によるファージクローンの細胞 結合性の解析
 HUVECを2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地中96ウ ルプラスチックプレートに3x10 4 /mlの密度で0.1ml播種し、37℃で24時間培養し、 150μlPBSで洗浄後、活性化HUVEC調製ウェルにはH uH-7肝癌細胞培養上清0.05mlおよびEBM-2培地(増 因子不含)0.05mlを、非活性化HUVEC調製ウェル は5%FCSを含むDMEM培地0.05mlおよびEBM-2培地(増 因子不含)0.05mlを添加して37℃で24時間培養を 行った。細胞をPBSで洗浄後、0.1%BSAを含むPBS 50倍に希釈したファージクローンを添加し、 室温で30分間反応を行った。反応後の細胞を1 50μlのPBSで3回洗浄し、0.5%パラホルムアルデ ドを含むPBS50μlを添加して室温で30分間固定 反応を行った。0.05%Tween20を含むPBSで3回洗浄 した後、0.1%BSAを含むPBSで5000倍に希釈したHRP 識抗M13ファージ抗体(アマシャム社)50μlを添 加し、室温で60分間反応させた。0.05%Tween20を むPBSで3回洗浄した後、HRP酵素基質(0.2μl/ml 酸化水素水および0.08mg/mlテトラメチルベン ジンを含む酢酸クエン酸緩衝液pH4.5)100μlを 加し、室温で3~5分間反応させた後、1N硫酸50 lを添加して反応を停止させた。マイクロプ ートリーダーを用いて450nm(対象波長595nm)の 光度を測定した
 <結果>
 各ファージクローンの吸光度測定結果を図1 に示す。吸光度が大きいほど、HUVECへの結合 が高いことを示す。50クローンのうちの半 以上のクローンが、非活性化HUVEC(図中、DMEM 地添加)に対する結合と比較して、活性化HUV EC(図中、HuH-7培養上清添加)への結合性が高い ことが認められた。

 5.ファージクローンの配列解析
 実施例1-1~4のスクリーニングを数回繰り返 て実施し活性化HUVECへの高い結合性が認めら れた計68種のクローンを選択し、大腸菌に感 増幅させた後に、ファージpIII蛋白のランダ ムペプチド配列を含む領域の塩基配列を解析 することで、呈示するペプチド配列を決定し た。

 <結果>
 配列番号1~14および22~75に示す計68種類のペ チド配列が得られた(表1)。

 実施例2 共焦点蛍光顕微鏡によるHUVECへの ァージ結合の確認
 <方法>
 HUVECを2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地中96ウ ルガラスボトムプレート(あらかじめコラー ン溶液を添加、洗浄してコーティングを行 たプレート)に3x10 4 /mlの密度で0.1ml播種し、37℃で24時間培養し、 150μlPBS洗浄後、活性化HUVEC調製ウェルにはHuH- 7肝癌細胞培養上清0.05mlおよびEBM-2培地(増殖 子不含)0.05mlを、非活性化HUVEC調製ウェルに 5%FCSを含むDMEM培地0.05mlおよびEBM-2培地(増殖 子不含)0.05mlを添加して37℃で24時間培養を行 った。使用する細胞をPBSで洗浄後、0.1%BSAを むPBSで希釈したファージクローン(ファージ 約2x10 9 TU/ml)を添加し、室温で30分間反応を行った。 応後の細胞を150μlのPBSで3回洗浄後、4%パラ ルムアルデヒドを含むPBS100μlを添加して37 で10分間固定化反応を行った。PBSで3回洗浄 た後、0.2%TritonX-100を含有するPBS100μlを添加 て室温30分間反応させ、さらにPBSで3回洗浄 、0.1%BSAを含むPBS100μlを添加して10分間ブロ キング反応を行った。PBSで3回洗浄後、0.1%BSA /PBSで1000倍希釈した抗M13ファージ抗体(アマシ ャム社、マウスモノクローナル抗体)100μl、0. 1%BSA/PBSで2000倍希釈したフルオレセイン標識 マウスIgG抗体(ザイメッド社)100μl、0.1%BSA/PBS 1000倍希釈したAlexa488標識抗フルオレセイン 体(モレキュラープローブ社)50μlを、順次室 温でそれぞれ30分間、30分間、15分間反応させ た。各反応後は、細胞を150μlPBSで3回洗浄し 。最終反応後の細胞を共焦点レーザー蛍光 微鏡(オリンパスFV1000)で観察し、活性化HUVEC 非活性化HUVECそれぞれに結合したファージ 由来する輝点の数を比較することで、細胞 合性を評価した。

 <結果>
 活性化HUVEC、非活性化HUVECに結合したファー ジを蛍光標識抗体で染色し、共焦点蛍光顕微 鏡で観察することにより、各ファージクロー ンのそれぞれの細胞への結合性をスコアリン グした結果を表2に示す。また代表的な結果 して、クローン6の共焦点蛍光顕微鏡写真を 2に示す。多くのクローンにおいて、活性化 HUVECに特異的な結合が観察された。

 実施例3 ペプチドの合成と高分子複合体の 製
 実施例1で決定した塩基配列を持つペプチド を、Fmoc固相合成法により化学合成した。細 への結合取込評価の指標となるよう、各ペ チドのアミノ末端には蛍光色素フルオレセ ンを結合した。また、各ペプチドのカルボ シル末端には、下記の高分子複合体を作製 るための官能基としてチオール基を導入す 目的でシステイン残基を付加した配列で合 した。

 各ペプチドは、薬物キャリアとしての細 への結合取込機能を評価するため、以下の( 1)、(2)の方法により、蛍光標識ペプチド-高分 子複合体を作製した。

 (1)ペプチド-マルチアームPEG複合体の作製
 1分子あたり4個のマレイミド基を有するPEG( 本油脂製マルチアームPEG、SUNBRIGHT PTE-200MA) 2mMの濃度でDMSOに溶解し、この溶液20μlと等 (20μl)の10mMフルオレセイン標識ペプチドDMSO 液を混合して、室温で2時間反応させた。PBS 60μlを添加して総量を100μlに希釈した後、あ かじめ500μlのPBSで3回洗浄して平衡化したス ピンカラム(バイオラッド社マイクロバイオ ピンカラム30)を用いて脱塩処理し、未結合 ペプチドを分離除去し、ペプチド-マルチア ムPEG複合体を得た。

 (2)ペプチド-ウシ血清アルブミン(BSA)複合体 作製
 20mgのBSAを1mlの50mM炭酸水素ナトリウム溶液 溶解して、0.3mM溶液を作製した。この溶液全 量(1ml)に、PEG鎖スペーサーを有する2価性架橋 試薬であるNHS-PEO12-マレイミド(ピアス社製カ ログNo.22112)の250mM溶液20μl(最終濃度5mM)を加 て室温で1時間反応させた。反応後の溶液100 μlを、あらかじめ500μlの0.1Mリン酸ナトリウ 緩衝液(pH7.0)で3回線乗して平衡化したスピン カラム(バイオラッド社マイクロバイオスピ カラム30)を用いて脱塩処理し、未反応の架 試薬を分離除去した。脱塩後の溶液50μlを等 量の0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)と混合 て希釈し、得られた溶液100μlに、フルオレ イン標識ペプチドDMSO溶液10μlを添加して室 で1時間反応させた。反応後の溶液全量を、 あらかじめ500μlのPBSで3回洗浄して平衡化し スピンカラム(バイオラッド社マイクロバイ スピンカラム30)を用いて脱塩処理すること 、未結合のペプチドを分離除去し、ペプチ -BSA複合体溶液を得た。

 実施例4 蛍光標識ペプチド-PEG複合体の内皮 細胞への取込(定量解析)
 <方法>
 96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプ ート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラ ーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回 洗浄後、1x10 5 個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下 で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μ lの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同 じ培地50μlと、実施例3(1)で調製したペプチド -マルチアームPEG複合体(配列番号12、13、16(配 列番号14の部分配列)、77)を培地で希釈してペ プチド濃度20μMとした溶液50μlを順次添加し 、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行った。(細 と反応時のペプチド濃度10μM。)培養後の細 をHBSS(+)緩衝液150μlで3回洗浄して未結合のペ プチド-マルチアームPEG複合体を除去した後 1%SDSを含有するHBSS(+)100μlを加えて細胞に結 または取り込まれたペプチドを抽出した。 出液を別の96ウェルマイクロプレート(黒色 レート)に写し、蛍光光度計を用いて励起波 490nm、検出波長530nmでの蛍光を測定した。添 加したそれぞれのペプチド-マルチアームPEG 合体の蛍光強度を100%として、細胞から回収 れた蛍光量から細胞へのペプチド取込量(%) 計算した。

 <結果>
 各ペプチド-マルチアームPEG複合体の回収率 を表3に示す。ネガティブコントロールであ ランダム配列ペプチド(配列番号77)と比較し 、本発明の3種のペプチド(配列番号12、13、1 6)はいずれも高い回収率を示した。

 実施例5 蛍光標識したペプチド-BSA複合体の 内皮細胞への取込(定量解析)
 <方法>
 96ウェルマイクロプレート(Corning社No.3595)に1 x10 5 個/mlのHUVEC細胞100μlを播種し、37℃5%CO2条件下 で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μ lの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同 じ培地50μlと、実施例3(2)で調製したペプチド -BSA複合体(配列番号12、13、16、77)を培地で希 してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを順次 添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行っ (細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応 後の細胞に結合または取り込まれたペプチド -BSA複合体の回収および蛍光定量を、実施例3 同じ方法で行った。

 <結果>
 各ペプチド-BSA複合体の回収率を表4に示す ネガティブコントロールのランダム配列ペ チド(配列番号77)と比較して、本発明の3種の ペプチド(配列番号12、13、16)はいずれも高い 収率を示した。

 実施例6 蛍光標識したペプチド-BSA複合体の 内皮細胞(HUVEC)およびHeLa細胞への取込(画像解 析)
 <方法>
 96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプ ート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラ ーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回 洗浄後、1x10 5 個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下 で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μ lの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同 じ培地50μlと、実施例3(2)で調製したペプチド -BSA複合体(配列番号12、13、16、77)を培地で希 してペプチド濃度20μMとした溶液50μlを順次 添加して、37℃5%CO2条件下で8時間培養を行っ (細胞と反応時のペプチド濃度10μM。)。反応 後の細胞を、共焦点レーザー顕微鏡(オリン ス社FV1000)を用いて観察した。

 <結果>
 各ペプチド-BSA複合体を反応させた細胞の共 焦点レーザー顕微鏡画像を図3に示す。HUVEC細 胞については、本発明の3種のペプチド(配列 号12,13,16)はいずれも細胞内に明るい輝点が 数観察され、細胞内にペプチドが取り込ま ていることが示された。ネガティブコント ールのランダム配列ペプチド(配列番号77)は 、細胞内のペプチドは全く観察されなかった 。

 一方、内皮細胞以外の比較細胞として用 たHeLaの場合には、配列番号12,13,16で表され 本発明のペプチドとともに、HUVECへの取り みと比較してごく少量のペプチドしか細胞 に観察されず、取り込みが内皮細胞特異的 あることが示された。

 実施例7 蛍光標識したペプチド-マルチアー ムPEG複合体の内皮細胞への取込(画像解析ス アリング)
 <方法>
 96ウェルマイクロプレート(ガラスボトムプ ート、Nunc社No.164588)をあらかじめ1%酸性コラ ーゲン溶液100μlで10分間処理し、PBS120μlで1回 洗浄後、1x10 5 個/mlのHUVEC細胞100μlを播種して37℃5%CO2条件下 で2日間培養を行った。使用時に、細胞を150μ lの培地(2%ウシ胎児血清を含むEBM-2培地(Cambrex Bio Science社、増殖因子含有)で1回洗浄し、同 じ培地50μlと、実施例3(1)で調製したマルチア ームPEG-ペプチド複合体(配列番号12のペプチ とその部分ペプチド(配列番号17、18、19)、配 列番号13のペプチドとその部分ペプチド(配列 番号15、20、21)、ランダム配列ペプチド(配列 号77))を培地で希釈してペプチド濃度32μMと た溶液50μlを順次添加して、37℃5%CO2条件下 8時間培養を行った(細胞と反応時のペプチ 濃度16μM。)。反応後の細胞を、共焦点レー ー顕微鏡(オリンパス社FV1000)を用いて観察し た。細胞内に認められるペプチド由来の蛍光 輝点の量を以下の通りスコアリングした。

 スコア0: 細胞内の蛍光輝点は認められない
 スコア1: 細胞内に、かすかな蛍光輝点が認 められる
 スコア2: 細胞内に、スコア1よりも明瞭な 光輝点が認められる
 スコア3: 細胞内に、スコア2よりもさらに るい蛍光輝点が多数見られる。

 <結果>
 スコアリングの結果を表5に示す。配列番号 12のペプチド由来の部分ペプチド(配列番号17, 18,19)は、もとの配列番号12のペプチドよりも いながらもいずれも細胞内の蛍光が認めら 、細胞内への取り込みが確認された。配列 号13のペプチド由来の部分ペプチド(配列番 15、20、21)もいずれも細胞内の蛍光が認めら れ、細胞内への取り込みが確認された。特に 配列番号13のペプチドの12merペプチドの5-12ア ノ酸残基に相当するペプチド(配列番号15)は 、配列番号13のペプチドと同等の蛍光が認め れた。

 一方、ネガティブコントロールのランダ 配列ペプチド(配列番号77)は、細胞内の蛍光 は全く観察されなかった。

 実施例8 蛍光標識したペプチド-マルチアー ムPEG複合体の腫瘍への集積評価
 <方法>
 8週齢のBALB/cマウス(雄)(日本SLCより購入)に PBSに懸濁したマウス大腸癌細胞(colon26細胞) 1.5×10 6 個/匹で皮下移植した。1ヵ月後、腫瘍直径が 1.5cmになった状態で、実施例3(1)で調製した ルチアームPEG-ペプチド(配列番号12および13) 複合体のPBS懸濁液200uLを尾静脈投与した。投 24時間後、マウスを安楽死させ、腫瘍塊を 出した。摘出した腫瘍隗はOCTコンパウンド( クラファインテック社)を用いて包埋し凍結 ブロックを作製した。この凍結ブロックから クリオスタット(ブライト社製)を用いて腫瘍 織の凍結切片を作製した。得られた組織切 は冷風で1時間風乾した。この組織切片をPBS で洗浄しOCTコンパウンドを除去した後、アセ トンに5分間浸漬することで固定処理を行っ 。固定処理後、10%牛胎児血清を含むPBSを室 で30分間作用させることでブロッキング処理 を行った。ここにペプチドに修飾されている 蛍光色素フルオレセインに対する抗体(anti-flu orescein/Oregon Green rabbit IgG fraction Alexa Fluor 488 conjugate、Molecular Probes社)と血管内皮細胞 に発現していることが知られている表面抗原 CD31に対する抗体(Biotinanti-mouse CD31、BD Pharming en社)を100倍の希釈率で作用させ室温で2時間 ンキュベーションすることで1次抗体反応を った。反応終了後、PBSで洗浄を行い、続い それぞれの1次抗体に対する蛍光標識抗体(Al exa Fluor 488 conjugate goat anti-rabbitIgG、Molecular  Probes社と、Streptavidin Alexa Fluor 594 conjugate Invitrogen社)を作用させることで2次抗体反応 行った。2次抗体反応終了後、PBSで十分に洗 浄を行いカバーガラスにて封入し、蛍光顕微 鏡(IX-70、オリンパス社製)を用いて観察を行 ペプチドの腫瘍組織への集積を評価した。

 <結果>
 蛍光顕微鏡による観察像を図4に示す。観察 の結果、腫瘍組織内にペプチドに由来する蛍 光が観察され、静脈内投与した蛍光標識ペプ チド-PEG複合体が腫瘍部に集積することが示 れた。また、ペプチド由来の蛍光の位置とCD 31で染色される位置が一致したことより、蛍 標識したペプチド-マルチアームPEG複合体は 腫瘍組織内の血管部位に局在していることが 示された。

 実施例9 ドキソルビシンを内封したペプチ 修飾リポソームの調製
<方法>
 水素化大豆ホスファチジルコリン(10mg)、コ ステロール(3.4mg)、ジステアロイルホスファ チジルエタノールアミン-ポリエチレングリ ール5000(3.5mg)、ジステアロイルホスファチジ ルエタノールアミン-ポリエチレングリコー 5000-マレイミド(3.1mg)をクロロフォルムに溶 させ、エバポレータを用いてフラスコ内で 媒を除去し薄膜を形成させた。このものに 250mMアンモニウム硫酸水溶液1.7mLを添加し、6 5℃で過熱した。得られたベシクルを、ポア イズ1.0μm、0.4μm、0.2μmの多孔膜を順次用い エクストルーダーで整粒した。調製した粒 約200nmのリポソームに、リモートローディン グ法によりドキソルビシンを封入した。カラ ムにより未封入ドキソルビシンを除いた後、 マレイミドに対して1/5量にあたるペプチド( 列番号12、13、76(配列番号7の部分配列)、78) それぞれ添加し、各種ペプチドが導入され リポソームを調製した。未反応のマレイミ は、3倍量の2-メルカプトエタノール添加し 活化した。

 実施例10 ドキソルビシンを内封したペプチ ド修飾リポソームのHUVECへの取り込み(定量解 析)
<方法>
24ウェルプレートで培養した50-60%コンフルエ トの正常ヒト臍帯静脈内皮細胞について、 地を交換後、培地の半量のドキソルビシン 封ペプチド修飾リポソーム分散液を添加し 。6時間後リン酸緩衝液で洗浄後、トリプシ ン処理し、遠心操作で細胞を回収した。細胞 ペレットに10%Triton X-100を50μL添加し、細胞及 びドキソルビシン内封ペプチドリポソームを 溶解させた後、0.75MHClを10%加えたイソプロパ ールを350μL添加し、一晩-20℃で静置した。 心操作後上澄みをODSカラムで分析し細胞に り込まれたドキソルビシンを定量した。
<結果>
結果を図5に示す。配列番号12、13、76を導入 たリポソームでは、ランダム配列(配列番号7 8)のペプチドを導入したリポソームおよびペ チドを導入していないリポソームと比較し 、ドキソルビシンの取り込み量が顕著に上 した。特に、配列番号13を導入したリポソ ムでのドキソルビシン取り込み量は、配列 号12、76を導入した場合よりも高く、ペプチ 導入していないものの約3倍であった。

 本発明のペプチドは、固形腫瘍などの病 組織に存在する新生血管に特異的に集積す ことが期待でき、この性質を用いて血管新 を伴う各種疾患の治療、診断に使用できる