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Patent Searching and Data


Title:
VIRAL VECTOR AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136253
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a polynucleotide containing a viral nucleotide sequence, wherein the viral nucleotide sequence contains a first nucleotide sequence encoding a viral replication protein and a second nucleotide sequence encoding a viral movement protein, the second nucleotide sequence is located downstream of the first nucleotide sequence, it has a linking site for linking an exogenous nucleotide sequence encoding a polypeptide to be expressed downstream of the second nucleotide sequence, and the second nucleotide sequence is obtained by further inserting, substituting or adding a nucleotide sequence in a native sequence derived from a virus. By using this, a vector containing a viral nucleotide sequence is constructed, and a protein is efficiently produced without lowering the growth condition of a host cell containing the vector.

Inventors:
MORI MASASHI
DOHI KOJI
Application Number:
PCT/JP2008/057170
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
April 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE & TECH AGENCY (JP)
MORI MASASHI
DOHI KOJI
International Classes:
C12N15/09; A01H5/00; C12N1/15; C12N1/19; C12N1/21; C12N5/10; C12P21/02
Domestic Patent References:
WO2006003018A22006-01-12
WO2005049839A22005-06-02
WO2006003018A22006-01-12
Foreign References:
JP2005102652A2005-04-21
JP2005245228A2005-09-15
JP2005110594A2005-04-28
Other References:
GILLESPIE T. ET AL.: "Functional Analysis of a DNA-shuffled Movement Protein Reveals that Microtubules are Dispensable for the Cell-to-cell Movement of Tobacco Mosaic Virus", THE PLANT CELL, vol. 14, no. 6, 2002, pages 1207 - 1222, XP008123708
TOTH R.L. ET AL.: "Improvement of the Movement and Host Range Properties of a Plant Virus Vector through DNA Shuffling", PLANT J., vol. 30, no. 5, 2002, pages 593 - 600, XP002286330
DOHI K. ET AL.: "Inducible Virus-mediated Expression of a Foreign Protein in Suspension-cultured Plant Cells", ARCH. VIROL., vol. 151, no. 6, 2006, pages 1075 - 1084, XP019430522
MAN M. ET AL.: "Assessment of the Effectiveness of a Nuclear-launched TMV-based Replicon as a Tool for Foreign Gene Expression in Plants in Comparison to Direct Gene Expression from a Nuclear Promoter", TRANSGENIC RES., vol. 15, no. 1, 2006, pages 107 - 113, XP019269505
S. MARILLONNET ET AL., PNAS, vol. 101, no. 18, 2004, pages 6852 - 6857
E. JOHANSEN, PNAS. USA, vol. 93, 1996, pages 12400 - 12405
S. J. YANG ET AL., ARCH VIROL, vol. 143, 1998, pages 2443 - 2451
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TOTH, R. L. ET AL., THE PLANT JOURNAL, vol. 30, 2002, pages 593 - 600
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JOHANSSEN E., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 93, 1996, pages 12400 - 12405
SATYANARAYANA, T. ET AL., VIROLOGY, vol. 313, 2003, pages 481 - 491
YAMAYA Y. ET AL., MOL. GEN. GENET., vol. 211, 1988, pages 520 - 525
See also references of EP 2154246A4
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita, Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, JP)
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Claims:
 ウイルスの塩基配列を含むポリヌクレオチドであって、
 該ウイルスの塩基配列は、ウイルスの複製タンパク質をコードする第1の塩基配列およびウイルスの移行タンパク質をコードする第2の塩基配列を含み、第2の塩基配列は第1の塩基配列の下流に位置し、かつ発現させるべきポリペプチドをコードする外来塩基配列を連結するための連結部位を、第2の塩基配列の下流に有しており、
 第2の塩基配列は、ウイルス由来のネイティブな配列に対してさらなる塩基配列が挿入、置換または付加されている
ことを特徴とするポリヌクレオチド。
 第2の塩基配列に挿入、置換または付加される塩基配列の塩基長が、100塩基長以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のポリヌクレオチド。
 第2の塩基配列は、配列番号20に示される塩基配列の第17位~第795位のいずれかの位置に、さらなる塩基配列が挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリヌクレオチド。
 前記複製タンパク質が、以下のポリペプチド:
・配列番号1および2に示される、各アミノ酸配列からなるポリペプチド;あるいは
・配列番号1および2に示されるアミノ酸配列の少なくとも一方のアミノ酸配列の1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加された、各アミノ酸配列からなるポリペプチド
であることを特徴とする請求の範囲第1項~第3項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
 前記移行タンパク質が、以下のポリペプチド:
・配列番号3に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド;あるいは
・配列番号3に示されるアミノ酸配列の1または数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
であることを特徴とする請求の範囲第1項~第4項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
 第2の塩基配列からなるポリヌクレオチドが、以下のポリヌクレオチド:
・配列番号4~17のいずれか1つに示される塩基配列からなるポリヌクレオチド;
・配列番号4~17のいずれか1つに示される塩基配列の1または数個の塩基が欠失、置換または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
・配列番号4~17のいずれか1つに示される塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;あるいは
・配列番号4~17のいずれか1つに示される塩基配列と少なくとも80%同一であるポリヌクレオチド
であることを特徴とする請求の範囲第1項~第5項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
 前記ウイルスは、トバモウイルス属に属するウイルスであることを特徴とする請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
 前記ウイルスは、タバコモザイクウイルスまたはトマトモザイクウイルスであることを特徴とする請求の範囲第1項~第7項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを含んでいることを特徴とするベクター。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを含んでいることを特徴とする植物。
 請求の範囲第9項に記載のベクターを含んでいることを特徴とする植物。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを含んでいることを特徴とする形質転換体。
 請求の範囲第9項に記載のベクターを含んでいることを特徴とする形質転換体。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを用いて植物を形質転換またはトランスフェクトする工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを用いて細胞を形質転換する工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第1項~第8項の何れか1項に記載のポリヌクレオチドを備えていることを特徴とするポリペプチド生産用キット。
 請求の範囲第9項に記載のベクターを用いて植物を形質転換またはトランスフェクトする工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第9項に記載のベクターを用いて細胞を形質転換する工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第9項に記載のベクターを備えていることを特徴とするポリペプチド生産用キット。
 請求の範囲第10項または第11項に記載の植物を用いる工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第12項または第13項に記載の形質転換体を用いる工程を包含することを特徴とするポリペプチド生産方法。
 請求の範囲第10項または第11項に記載の植物を備えていることを特徴とするポリペプチド生産用キット。
 請求の範囲第12項または第13項に記載の形質転換体を備えていることを特徴とするポリペプチド生産用キット。
Description:
ウイルスベクターおよびその利

 本発明は、ウイルスの塩基配列からなる リヌクレオチドを用いて、タンパク質を生 する技術に関するものであり、より詳細に 、ウイルスの改変された塩基配列を含むポ ヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含 ベクター、当該ベクターが導入された植物 たは形質転換体、ならびに当該ポリヌクレ チド、当該ベクター、当該植物または当該 質転換体を用いたタンパク質生産方法およ タンパク質生産用キットに関するものであ 。

 植物において、有用タンパク質を生産す 方法としては、植物細胞に外来遺伝子を導 した形質転換植物を用いる方法、およびウ ルスベクターを植物細胞に感染させる方法 挙げられる。ウイルスベクターを用いる方 は、形質転換植物を用いる方法に比して発 効率が高いという利点を有している。

 非特許文献1には、ウイルスベクターを組 み込んだ2つ以上のアグロバクテリウムを植 細胞に感染させ、植物細胞中において外来 伝子を発現させる方法が開示されている。 の方法によれば、有用タンパク質をコード る種々の遺伝子の組み合わせを試験する際 、複数の遺伝子毎にコンストラクトを作製 る必要がないため、多くのタンパク質の機 等を解析するのに有効である。また、非特 文献1に記載のウイルスベクターは、発現速 が速くかつ安価に構築可能であり、従来の 伝子組換え工程を省略可能であるという利 も有している。

 植物において生産される有用タンパク質 、食糧のみならず医薬品等にも用いられる め、高効率に大量生産することが望まれて り、本発明者らは、ウイルスベクターを用 たタンパク質生産系を構築している(特許文 献1~3)。

 ウイルスベクターを用いた他のタンパク 生産系として、転写産物の生成効率を向上 せることによって、有用タンパク質の生産 を増加させる方法が特許文献4に開示されて いる。特許文献4には、ウイルスベクターの 製配列にイントロン配列を挿入し、得られ ウイルスベクターを宿主細胞に導入するこ によって、目的のタンパク質を発現させる 法が開示されている。この方法によれば、 イルスベクターの複製配列のうち、アデノ ン(A)、ならびにチミジン(T)またはウラシル(U )を多く含むイントロン様領域を除去、また 植物細胞由来のイントロンで置換すること よって、植物細胞内での転写産物の分解を 制し生成効率を向上させるため、目的とす タンパク質の生産量を増加させることが可 である。

 一方、宿主細胞に導入された、ポティウイ スの塩基配列を含むベクターの複製効率を 上させる方法が、非特許文献2および3に記 されている。非特許文献2および3に記載の方 法では、ポティウイルスの塩基配列にイント ロン配列を挿入し、当該変異配列を含むベク ターを大腸菌に導入している。当該ベクター が導入された大腸菌内においては、イントロ ンの挿入によって、ポティウイルスの塩基配 列のコードするウイルスのタンパク質の発現 が抑制されるため、大腸菌に対するウイルス の毒性が抑えられ、大腸菌の生育状態が向上 する。その結果、大腸菌内のベクターの複製 効率を向上し得る。

日本国公開特許公報「特開2005-102652号公 (公開日:2005年4月21日)」

日本国公開特許公報「特開2005-245228号公 (公開日:2005年9月15日)」

日本国公開特許公報「特開2005-110594号公 (公開日:2005年4月28日)」

WO2005/049839号公報(2005年2月6日公開) S.Marillonnetら、PNAS,101(18):6852-6857(2004) I.E.Johansen、PNAS.USA,93:12400-12405(1996) S.J.Yangら、Arch Virol,143:2443-2451(1998)

 ウイルスのDNA配列を含むベクターを大腸 、アグロバクテリウム等の宿主細胞に導入 た場合、宿主細胞の生育が低下し、全く生 しなくなるか、生育したとしても増殖効率 非常に悪い。その結果、得られるベクター 収量が減少し、当該ベクターを用いて、目 とする有用タンパク質を効率よく生産する とができないという問題がある。

 上述した従来のタンパク質生産方法によ ば、宿主細胞内における転写活性を向上さ る、または転写産物の生成量を増加させる とによって、目的とする有用タンパク質の 産量を増加させることが可能である。しか ながら、ウイルスの塩基配列を含むベクタ が導入された宿主細胞の生育状態について 考慮されていない。このため、宿主細胞の 育低下によって、ウイルスの塩基配列を含 ベクターの収量が低下する。それゆえ、当 ベクターを用いた遺伝子組換え操作を効率 く行うことが困難である。すなわち、当該 クターをタンパク質の生産に用いる場合、 クター収量の低下によって、当該ベクター 用いた有用タンパク質の生産量が減少して まう。

 また、非特許文献2および3に記載の方法 、宿主細胞の生育状態を改善させるもので るが、ウイルス配列中にイントロンを挿入 ることによってウイルスタンパク質の発現 抑制している。したがって、転写産物の各 子からイントロン配列が切り出される必要 あるため、ベクターに含まれるウイルスの 殖能が低下し、当該ベクターを利用した効 の良い有用タンパク質の生産に適用するこ ができない。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、ウイルスの塩基 列からなるポリヌクレオチドを用いて、当 ポリヌクレオチドを含むベクターが導入さ た宿主細胞の生育状態を改善させることに って、細胞内におけるベクターの複製効率 向上させ、かつ当該ベクターを用いたタン ク質の生産効率を向上させるための技術を 供することにある。

 本発明者らは、宿主細胞の生育状態を低 させることがなく、かつウイルスベクター 複製能力を失うことがない、ウイルスの塩 配列を含むベクターを構築することを目的 し、その必要条件を検討した。その結果、 マトモザイクウイルスの塩基配列の特定領 を改変することによって、当該ウイルスの 基配列を含むベクターが導入された宿主細 の生育状態が低下せず、その結果として、 胞内におけるベクターの収量が増加するこ を見出し、本発明を完成させるに至った。

 すなわち、本発明は、ウイルスの塩基配 を含むポリヌクレオチドであって、該ウイ スの塩基配列は、ウイルスの複製タンパク をコードする第1の塩基配列およびウイルス の移行タンパク質をコードする第2の塩基配 を含み、第2の塩基配列は第1の塩基配列の下 流に位置し、かつ発現させるべきポリペプチ ドをコードする外来塩基配列を連結するため の連結部位を、第2の塩基配列の下流に有し おり、第2の塩基配列は、ウイルス由来のネ ティブな配列に対してさらなる塩基配列が 入、置換または付加されていることを特徴 する。

 上記ウイルスは、トバモウイルス属に属 るウイルスであることが好ましい。また、 記ウイルスは、タバコモザイクウイルスま はトマトモザイクウイルスであることが好 しい。

 上記複製タンパク質が、以下のポリペプ ド:・配列番号1および2に示される、各アミ 酸配列からなるポリペプチド;あるいは・配 列番号1および2に示されるアミノ酸配列の少 くとも一方のアミノ酸配列の1または数個の アミノ酸が欠失、置換または付加された、各 アミノ酸配列からなるポリペプチドであるこ とが好ましい。

 また、上記移行タンパク質が、以下のポ ペプチド:配列番号3に示されるアミノ酸配 からなるポリペプチド;あるいは配列番号3に 示されるアミノ酸配列の1または数個のアミ 酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸 列からなるポリペプチドであることが好ま い。

 第2の塩基配列からなるポリヌクレオチド が、以下のポリヌクレオチド:配列番号4~17の ずれか1つに示される塩基配列からなるポリ ヌクレオチド;あるいは配列番号4~17のいずれ 1つに示される塩基配列の1または数個の塩 が欠失、置換または付加された塩基配列か なるポリヌクレオチド;配列番号4~17のいずれ か1つに示される塩基配列と相補的な塩基配 からなるポリヌクレオチドとストリンジェ トな条件下でハイブリダイズするポリヌク オチド;または配列番号4~17のいずれか1つに される塩基配列と少なくとも80%同一である リヌクレオチドであることが好ましい。

 また第2の塩基配列に挿入、置換または付 加される塩基配列の塩基長が、100塩基長以上 であることが好ましい。さらに第2の塩基配 は、配列番号20に示される塩基配列の第17位~ 第795位のいずれかの位置に、さらなる塩基配 列が挿入されていることが好ましい。

 本発明に係るベクターは、上記ポリヌク オチドのいずれか1つを含んでいることを特 徴としている。

 本発明に係る植物は、上記ポリヌクレオ ドのいずれか1つを含んでいることを特徴と している。

 本発明に係る植物は、上記ベクターを含 でいることを特徴としている。

 本発明に係る形質転換体は、上記ポリヌ レオチドのいずれか1つを含んでいることを 特徴としている。

 本発明に係る形質転換体は、上記ベクタ を含んでいることを特徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記ポリヌクレオチドを用いて植物を形質転 またはトランスフェクトする工程を包含す ことを特徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記ポリヌクレオチドを用いて細胞を形質転 する工程を包含することを特徴としている

 本発明に係るポリペプチド生産用キット 、上記ポリヌクレオチドを備えていること 特徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記ベクターを用いて植物を形質転換または ランスフェクトする工程を包含することを 徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記ベクターを用いて細胞を形質転換する工 を包含することを特徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産用キット 、上記ベクターを備えていることを特徴と ている。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記植物を用いる工程を包含することを特徴 している。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 記形質転換体を用いる工程を包含すること 特徴としている。

 本発明に係るポリペプチド生産用キット 、上記植物を備えていることを特徴として る。

 本発明に係るポリペプチド生産用キット 、上記形質転換体を備えていることを特徴 している。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明で明白になるであろう。

図1は、本発明に係るウイルスの塩基配 列を含むポリヌクレオチドの構造を示す模式 図である。 図2Aは、本発明の実施例において構築 たプラスミドコンストラクトの構造を示す 式図である。 図2Bは、本発明の実施例において構築 たプラスミドコンストラクトの構造を示す 式図である。 図3は、本発明の実施例において、プラ スミドコンストラクトを保持する大腸菌のコ ロニーの直径を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例において構築し たプラスミドコンストラクトの構造を示す模 式図である。

 ウイルスの塩基配列を含むベクターを宿 細胞内に導入したとき、宿主細胞の生育状 が低下することによってベクターの増殖効 が低下する。その結果、該ベクターを用い 、外来遺伝子がコードするタンパク質の生 量が低下する。

 本発明者らは、ウイルスの塩基配列を含み 宿主細胞の生育状態を低下させることがな ベクターを構築することによって、効率的 タンパク質生産系を構築することを目的と 、その必要条件を検討した。
〔1:ウイルスの塩基配列を含むポリヌクレオ ド、および当該ポリヌクレオチドを含むベ ター〕
 本発明は、ウイルスの複製タンパク質をコ ドする第1の塩基配列およびウイルスの移行 タンパク質をコードする第2の塩基配列を含 ウイルスの塩基配列を含むポリヌクレオチ を提供する。

 本発明に係るウイルスの塩基配列を含む リヌクレオチドは、ウイルスベクターとし 機能し得るポリヌクレオチドであることが 図される。本明細書中において使用される 合、「ウイルスベクター」は、ウイルスゲ ム由来配列を含むポリヌクレオチドであっ 、外来遺伝子を発現可能に含むものが意図 れ、ウイルス由来RNA配列を含むRNA、または イルス由来RNAのcDNA配列を含むDNAであって、 外来遺伝子を発現可能に含むもの、またはこ れから転写されたRNAであることが好ましい。

 本発明に係るポリヌクレオチドは、第1の 塩基配列の下流に第2の塩基配列を有してい 。本発明に係るポリヌクレオチドは、ウイ ス由来のネイティブな塩基配列の一部また 全部を含み、細胞に任意のタンパク質を生 させるために使用し得る。

 本明細書中で使用される場合、「ウイル の塩基配列」は、野生型ウイルスのゲノム 基配列であることが意図され、RNAウイルス ゲノムRNA、または当該ゲノムRNAから得られ cDNAであることが好ましい。

 本明細書中で使用される場合、「ウイル の複製タンパク質」は、ウイルス由来のタ パク質であって、ウイルスの複製に関与す タンパク質が意図され、単に「複製タンパ 質」と称する場合もある。ウイルスの複製 関与するタンパク質は、ウイルスが感染し 細胞内において、ウイルスを複製するタン ク質が意図され、例えば、従来公知の複製 ンパク質が挙げられ、具体的には、RNA依存 RNAポリメラーゼ(RNA dependent RNA polymerase:RdRP )、RNA複製酵素、タバコモザイクウイルス130K ンパク質、タバコモザイクウイルス180Kタン パク質、トマトモザイクウイルス130Kタンパ 質、トマトモザイクウイルス180Kタンパク質 を挙げることができる。

 ウイルスの複製タンパク質をコードする 基配列は、ウイルス由来のネイティブな塩 配列であることが好ましいが、ウイルス由 のネイティブな配列が変異したものであっ 、複製機能活性を有するタンパク質をコー する塩基配列であり得る。本明細書中で使 される場合、「複製機能活性」は、ウイル が感染した細胞内において、ウイルスを複 する機能活性が意図される。

 本明細書中で使用される場合、「ウイル の移行タンパク質」は、ウイルス由来のタ パク質であって、ウイルスの細胞間移行に 与するタンパク質が意図され、単に「移行 ンパク質」と称する場合もある。ウイルス 細胞間移行に関与するタンパク質は、ウイ スが感染した細胞に隣接する細胞に、ウイ スを移行することによるウイルスの感染拡 に寄与するタンパク質が意図され、例えば 従来公知の移行タンパク質が挙げられ、具 的には、タバコモザイクウイルス30Kタンパ 質、トマトモザイクウイルス30Kタンパク質 を挙げることができる。

 ウイルスの移行タンパク質をコードする 基配列は、ウイルス由来のネイティブな塩 配列であることが好ましいが、ウイルス由 のネイティブな配列が変異したものであっ 、移行機能活性を有するタンパク質をコー する塩基配列であり得る。また、ウイルス 来のネイティブな配列が変異したものであ て、変異により移行機能活性を喪失したタ パク質をコードする塩基配列であってもよ 。本明細書中で使用される場合、「移行機 活性」は、ウイルスが感染した細胞に隣接 る細胞に、ウイルスを移行する機能活性が 図される。

 上記ウイルスは、トバモウイルス属に属 るウイルスであることが好ましいが、これ 限定されない。また、上記ウイルスとして 、タバコモザイクウイルス(TMV)、タバコモ イクウイルス普通系(TMV-OM)、タバコモザイク ウイルスCg系(TMV-Cg)、トマトモザイクウイル (ToMV)、およびSunn-hempモザイクウイルス(SHMV) 挙げられるが、これらに限定されない。

 ウイルスの複製タンパク質および移行タ パク質について、トマトモザイクウイルス 例に挙げて説明する。トマトモザイクウイ スは、トバモウイルス属に属するウイルス ある。

 トマトモザイクウイルスの複製タンパク を構成するポリペプチドは、配列番号1およ び2に示される、各アミノ酸配列として提供 れ、これらのポリペプチドをコードするポ ヌクレオチドを構成する塩基配列は、配列 号18および19に示される、各塩基配列として 供される。

 1つの局面において、トマトモザイクウイ ルスの複製タンパク質は、配列番号1および2 示される、各アミノ酸配列からなるポリペ チド、あるいはこれらのポリペプチドをコ ドする各アミノ酸配列の少なくとも一方が 異したアミノ酸配列からなり、かつウイル ゲノムを複製する機能活性を有するポリペ チドであり得る。

 他の局面において、トマトモザイクウイ スの複製タンパク質は、配列番号18および19 に示される、各塩基配列からなるポリヌクレ オチド、あるいはこれらのポリヌクレオチド の少なくとも一方が変異した塩基配列によっ てコードされるポリペプチドであって、ウイ ルスゲノムを複製する機能活性を有するポリ ペプチドであり得る。

 すなわち、トマトモザイクウイルスの複 タンパク質は、配列番号1に示されるアミノ 酸配列からなる130Kタンパク質(126Kタンパク質 と称されることもある)、および配列番号2に されるアミノ酸配列からなる180Kタンパク質 (183Kタンパク質と称されることもある)の2つ タンパク質によって構成される。この130Kタ パク質は、配列番号35に示されるトマトモ イクウイルスのゲノム配列の直接翻訳産物 あり、配列番号18に示される塩基配列からな るポリヌクレオチドによってコードされてい る。180Kタンパク質は、配列番号35に示される トマトモザイクウイルスのゲノム配列のリー ドスルー翻訳産物であり、配列番号19に示さ る塩基配列からなるポリヌクレオチドによ てコードされている。

 トマトモザイクウイルスの移行タンパク を構成するポリペプチドは、配列番号3に示 されるアミノ酸配列として提供され、当該ポ リペプチドをコードするポリヌクレオチドを 構成する塩基配列は、配列番号20に示される 基配列として提供される。

 1つの局面において、トマトモザイクウイ ルスの移行タンパク質は、配列番号3に示さ るアミノ酸配列からなるポリペプチド、ま は当該ポリペプチドの変異体でありかつ細 間においてウイルスゲノムを移行する機能 性を有するポリペプチドであり得る。また 当該ポリペプチドの変異体であって、変異 より移行機能活性を喪失したポリペプチド あってもよい。

 他の局面において、トマトモザイクウイ スの移行タンパク質は、配列番号20に示さ る塩基配列からなるポリヌクレオチド、ま は当該ポリヌクレオチドの変異体によって ードされるポリペプチドであって、ウイル ゲノムを細胞間において移行する機能活性 有するポリペプチドであり得る。また、当 ポリヌクレオチドの変異体によってコード れるポリペプチドであって、変異により移 機能活性を喪失したポリペプチドであって よい。

 本明細書中においてタンパク質またはポ ペプチドに関して用いられる場合、用語「 異体」は、具体的なアミノ酸配列が異なっ いても、野生型ポリペプチドの有する活性 保持するポリペプチドが意図される。すな ち、本明細書中において使用される場合、 リペプチドの変異体は、特定のアミノ酸配 において、1個もしくは数個のアミノ酸が欠 失、置換または付加されたアミノ酸配列を含 む変異体であり得る。

 ポリペプチドのアミノ酸配列におけるい つかのアミノ酸が、このポリペプチドの構 または機能に有意に影響することなく容易 改変し得ることは、当該分野において周知 ある。さらに人為的に改変させるだけでは く、天然のタンパク質において、当該タン ク質の構造または機能を有意に変化させな 変異体が存在することもまた周知である。 業者は、周知技術を使用してポリペプチド アミノ酸配列において1または数個のアミノ 酸を容易に変異させることができる。

 このように、ウイルスの複製タンパク質 よび移行タンパク質を具体的に説明するた に、トマトモザイクウイルスを例に挙げて 明したが、本発明において、上記ウイルス トマトモザイクウイルスに限定されないこ を、本明細書を読んだ当業者は容易に理解 る。

 なお、本明細書中で使用される場合、用 「タンパク質」は、「ペプチド」または「 リペプチド」と交換可能に使用される。ま 、用語「塩基配列」は、「核酸配列」また 「ヌクレオチド配列」と交換可能に使用さ 、デオキシリボヌクレオチド(A、G、Cおよび Tと省略される)、またはリボヌクレオチド(A G、CおよびUと省略される)の配列として示さ る。

 本発明に係るポリヌクレオチドは、発現 せるべきポリペプチドをコードする外来塩 配列を連結するための連結部位を、第2の塩 基配列の下流に有しており、第2の塩基配列 、ウイルス由来のネイティブな配列に対し さらなる塩基配列が挿入、置換または付加 れていることを特徴としている。すなわち 第1の塩基配列の下流であって、外来塩基配 を連結するための連結部位の上流に位置す 、ウイルスの移行タンパク質をコードする 2の塩基配列にさらなる塩基配列が挿入、置 換または付加されている。

 本発明に係るポリヌクレオチドにおいて 第2の塩基配列は、配列番号4~17に示される リヌクレオチド、または当該ポリヌクレオ ドの変異体として提供される。

 本明細書中において遺伝子またはポリヌ レオチドに関して用いられる場合、用語「 異体」は、具体的な塩基配列が異なっても 野生型ポリヌクレオチドがコードするポリ プチドの有する活性を保持したポリペプチ をコードするポリヌクレオチドが意図され 。すなわち、本明細書中において使用され 場合、ポリヌクレオチドの変異体は、(I)特 の塩基配列において、1個もしくは数個の塩 基が欠失、置換または付加された塩基配列か らなるポリヌクレオチド;(II)特定の塩基配列 たはその相補配列からなるポリヌクレオチ とストリンジェントな条件下でハイブリダ ズするポリヌクレオチド;または(III)特定の 基配列と少なくとも80%同一な塩基配列から るポリヌクレオチド、であることが意図さ る。

 ハイブリダイゼーションは、「Molecular Cl oning:A Laboratory Manual 第3版,J.SambrookおよびD.W. Russll編,Cold Spring Harbor Laboratory,NY(2001)」(本 細書中に参考として援用される)に記載され いる方法のような周知の方法で行うことが きる。

 本明細書中で使用される場合、用語「ス リンジェントなハイブリダイゼーション条 」は、ハイブリダイゼーション溶液(50%ホル ムアミド、5×SSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三 トリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH7.6)、5 ×デンハート液、10%硫酸デキストラン、およ 20μg/mlの変性剪断サケ精子DNAを含む)中にて4 2℃で一晩インキュベーションした後、約65℃ にて0.1×SSC中でフィルターを洗浄することが 図される。

 本発明に係るポリヌクレオチドにおいて 発現させるべきポリペプチドをコードする 来塩基配列を連結するための連結部位は、 1の塩基配列の下流に存在する第2の塩基配 の、さらに下流に位置している。そして、 記連結部位に外来塩基配列を連結し、外来 基配列を含むポリヌクレオチドを用いて細 を形質転換することによって、外来塩基配 がコードするポリペプチドを細胞内にて発 させることが可能である。なお、本発明に るポリヌクレオチドに連結される外来塩基 列は、上記連結部位において、第2の塩基配 に隣接して配置される必要はない。

 また、本発明に係るポリヌクレオチドが する外来塩基配列を連結するための連結部 は、具体的なカセットとして本発明のポリ クレオチドの塩基配列中に存在している必 はなく、本発明に係るポリヌクレオチドの 基配列に、外来塩基配列を挿入かつ連結し る構成であればよい。本発明に係るポリヌ レオチドは、上記連結部位に連結した外来 基配列からなる遺伝子を増幅し、当該遺伝 産物の生産を可能にするものである。

 本発明に係るポリヌクレオチドにおいて 第2の塩基配列は、ウイルス由来のネイティ ブな配列に対してさらなる塩基配列が挿入、 置換または付加されていることを特徴として いる。本明細書中で使用される場合、「ウイ ルス由来のネイティブな配列」は、野生型ウ イルス固有の配列であることが意図され、野 生型ウイルスから得られる配列に変異が加え られていない、天然の配列であり得る。

 また、本発明に係る第2の塩基配列は、ウ イルス由来のネイティブな塩基配列の変異体 であって、移行機能活性を有するポリペプチ ドをコードする塩基配列に対して、さらなる 塩基配列が挿入、置換または付加されていて もよい。さらに、本発明に係る第2の塩基配 は、ウイルス由来のネイティブな塩基配列 変異体であって、変異により移行機能活性 喪失したポリペプチドをコードする塩基配 に対して、さらなる塩基配列が挿入、置換 たは付加されていてもよい。

 本発明に係るポリヌクレオチドにおいて 第2の塩基配列に対して挿入、置換または付 加されるさらなる塩基配列は、一定の塩基長 からなる塩基配列であればよく、その配列ま たは由来は問わない。本明細書中で使用され る場合、第2の塩基配列に対して挿入、置換 たは付加されるさらなる塩基配列は、単に 挿入配列」と称する場合もある。後述する 発明の一実施例においては、挿入配列とし 大腸菌トランスポゾンIS2由来配列およびGUS 伝子の逆相補鎖由来配列を採用したが、好 に用いることができた。

 一実施形態において、本発明に係るポリ クレオチドにおいて使用される挿入配列は 100塩基以上であり得、100~1609塩基であるこ が好ましく、300~1609塩基であることがより好 ましい。本発明に係るポリヌクレオチドの第 2の塩基配列に対して、100塩基長以上の挿入 列を挿入、置換または付加することによっ 、後述する実施例に示すように、当該ポリ クレオチドが導入された宿主細胞の生育状 をさらに改善することができる。これによ 、細胞内におけるベクターの複製効率が向 し、ベクターの収量をさらに増加させるこ が可能である。

 本発明に係るポリヌクレオチドにおいて 用される第2の塩基配列は、ウイルス由来の ネイティブな配列中のいずれかの位置に上記 挿入配列が挿入されていればよい。好ましい 挿入位置は、第1の塩基配列のC末端領域と、 結部位に連結される外来塩基配列の開始コ ン領域との間に存在する、第2の塩基配列領 域であり、より好ましくは、第1の塩基配列 終止コドンと外被タンパク質をコードする 基配列のサブゲノムプロモーターの間であ が、これに限定されない。また第2の塩基配 は、ウイルス由来のネイティブな配列に上 挿入配列が付加されていてもよく、ウイル 由来のネイティブな配列の一部が、挿入配 によって置換された配列であってよい。さ に第2の塩基配列は、ウイルス由来のネイテ ィブな配列の一部を除去し、配列が除去され た部位に挿入配列が挿入された配列であって もよい。

 すなわち本発明に係る第2の塩基配列は、 ウイルスゲノムの細胞間移行に関する機能を 保持したタンパク質をコードする配列に対し て、上述したような変異が加えられた配列が 意図される。

 一実施形態において、本発明に係るポリ クレオチドにおいて使用される第2の塩基配 列の任意の位置に挿入配列が挿入され得る。 挿入配列の挿入位置は特に限定されないが、 配列番号20に示される塩基配列の第17位~第795 のいずれかの位置であることが好ましく、 17位~第620位のいずれかの位置であることが り好ましい。

 また、本発明に係るポリヌクレオチドに いて使用される第2の塩基配列は、配列番号 20に示される塩基配列の5’または3’末端に 記挿入配列が付加された配列であってもよ 、配列番号20に示される塩基配列の一部が、 上記挿入配列によって置換された配列であっ てもよい。

 本発明はさらに、任意のポリペプチドを 産するためのベクターを提供する。本発明 係るベクターは、ウイルスの複製タンパク をコードする第1の塩基配列およびウイルス の移行タンパク質をコードする第2の塩基配 を含むウイルスの塩基配列を含み、第2の塩 配列は第1の塩基配列の下流に位置しており 、かつ発現させるべきポリペプチドをコード する外来塩基配列を連結するための連結部位 を、第2の塩基配列の下流に有しており、第2 塩基配列は、ウイルス由来のネイティブな 列に対してさらなる塩基配列が挿入、置換 たは付加されているポリヌクレオチドを含 、本ベクターを組み込む宿主細胞内におい 当該ポリヌクレオチドを発現させることが 能なベクターであり得る。

 ウイルスの塩基配列を含むベクターは変 が生じやすく、構築するのが非常に困難で り、発現させるべき外来遺伝子との組み合 せによっては、ベクターを構築するのが不 能であった。本発明のポリヌクレオチドを いれば、これまで作製することができなか た外来遺伝子を含むベクターであっても、 築することが可能であった。このことから 本発明のポリヌクレオチドを用いて構築し ベクターは、変異の発生が抑制され、安定 ていると推測される。

 また、本発明に係るベクターは、導入さ た宿主細胞の生育状態を改善し、宿主細胞 における複製効率を向上させることが可能 ある。このため、複製されたベクターを用 て外来遺伝子がコードする有用タンパク質 効率よく生産することが可能である。

 本発明に係るポリヌクレオチドを含むベ ターとしては、例えば、導入したポリヌク オチドを発現させることが可能な適当なpBR 、pUC系等の発現ベクター(ファージベクター 或いはプラスミドベクター等)を使用するこ が可能であり、の本発明に係るベクターを み込む宿主細胞中において上記ポリヌクレ チドを発現することが可能なベクターを適 選択し得る。また、植物細胞のゲノムに組 込まれる性質を有するベクターとして、pBI 、pCAMBIA系等のベクタ―を使用することが可 であり、例えば、のTiプラスミドベクター 使用してもよい。

 なお、本発明に係るポリヌクレオチドお びベクターの構築方法は特に限定されるも ではなく、公知の遺伝子工学的手法を用い ばよい。

 本発明のポリヌクレオチドを用いて構築 たベクターは、外来遺伝子がコードするタ パク質の生産に好適に使用し得る。すなわ 、本発明に係るポリヌクレオチドを含むベ ターを用いて宿主細胞を形質転換すること よって、宿主細胞の生育状態を低下させる となく、効率よくベクターを複製し得、複 されたベクターを用いて、外来遺伝子がコ ドするタンパク質を効率よく生産すること 可能である。

 なお、本発明に係るポリヌクレオチドま はベクターに含まれる連結部位に連結され 外来遺伝子の種類は特に限定されず、例え GFP遺伝子、ヒト由来ガンマインターフェロ 遺伝子、アルファインターフェロン遺伝子 カルモジュリン遺伝子、ミオシンフォスフ ターゼ阻害タンパク質(CPI-17)機能ドメイン 伝子(アミノ酸残基22から120)、一本鎖抗体遺 子等を連結することが可能である。本発明 係るポリヌクレオチドまたはベクターを用 れば、これらの遺伝子を含むベクターを容 に作製し、効率よくベクターを複製し得、 製されたベクターを用いて、これらの遺伝 がコードするタンパク質を効率よく生産す ことが可能である。

 〔2.ウイルスの塩基配列を含む植物〕
 本発明はさらに、ウイルスの塩基配列を含 植物を提供する。本明細書中で使用される 合、用語「植物」は、植物細胞および植物 体を含むことが意図され、例えばアラビド シス、タバコ、ベンサミアーナ等の植物、 バコBY2細胞、アラビドプシスmm2d細胞等の植 物細胞であり得る。

 本発明に係る植物は、ウイルスの複製タ パク質をコードする第1の塩基配列およびウ イルスの移行タンパク質をコードする第2の 基配列が導入されており、第2の塩基配列は 1の塩基配列の下流に位置し、かつ発現させ るべきポリペプチドをコードする外来塩基配 列を連結するための連結部位を、第2の塩基 列の下流に有しており、第2の塩基配列は、 イルス由来のネイティブな配列に対してさ なる塩基配列が挿入、置換または付加され いることを特徴としており、上記ポリペプ ドを効率よく発現し得る。

 一実施形態において、本発明に係る植物 、ウイルスの複製タンパク質をコードする 1の塩基配列およびウイルスの移行タンパク 質をコードする第2の塩基配列を含むウイル の塩基配列を含むポリヌクレオチドであっ 、第2の塩基配列は第1の塩基配列の下流に位 置し、かつ発現させるべきポリペプチドをコ ードする外来塩基配列を連結するための連結 部位を、第2の塩基配列の下流に有しており 第2の塩基配列は、ウイルス由来のネイティ な配列に対してさらなる塩基配列が挿入ま は付加されているポリヌクレオチド、また 当該ポリヌクレオチドを含んでいるベクタ を生物中に取り込ませることによって取得 れ得る。

 1つの局面において、本発明に係る植物は 、本発明に係るポリヌクレオチド、または本 発明に係るポリヌクレオチドを含むベクター を用いて植物または植物細胞を形質転換する ことによって取得され得る。例えば、本発明 に係るポリヌクレオチドを、エレクトロポレ ーション等によって植物細胞に導入すること によって、本発明に係る植物を取得すること が可能である。

 他の局面において、本発明に係る植物は 本発明に係るポリヌクレオチド、または本 明に係るポリヌクレオチドを含むベクター 、植物または植物細胞にトランスフェクト ることによって取得され得る。例えば本発 に係るポリヌクレオチドを、植物または植 細胞に感染させることによって、本発明に る植物を取得することが可能である。また 本発明に係るポリヌクレオチドにプロモー ーを付加したcDNAが組み込まれたプラスミド を植物細胞にトランスフェクトし、細胞内に おいてcDNAを転写させることによっても、本 明に係る植物を取得し得る。さらに、本発 に係るポリヌクレオチドのcDNAを植物細胞に ランスフェクトし、細胞内においてcDNAを転 写させることによっても、本発明に係る植物 を作製することが可能である。

 また、本発明に係る植物は、例えば、本 明に係るポリヌクレオチドを含むプラスミ ベクターが導入されたアグロバクテリウム 植物細胞に感染させることによっても、取 することが可能である。さらに、アグロバ テリウムを利用した、アグロインフィルト ーション法によっても、本発明に係る植物 作製することが可能である。具体的には、 発明に係るポリヌクレオチドを含むアグロ クテリウムを培養した培養液を、植物体の 胞間隙に浸潤させることによって、植物体 対して局所的に本発明に係るポリヌクレオ ドを導入する。

 すなわち、本発明に係る植物は、本発明 係るポリヌクレオチドまたはベクターを用 て形質転換された形質転換植物であっても く、本発明に係るポリヌクレオチドまたは クターに感染した感染植物であってもよい 本発明に係る植物が、形質転換植物である 合、本発明に係るポリヌクレオチドが、植 のゲノムに組み込まれていない状態で一過 の発現をする、一過性形質転換体であって よく、植物内に取り込まれた本発明に係る リヌクレオチドが、植物細胞のゲノムに組 込まれ安定的に発現しつづける、安定形質 換体であってもよい。また、形質転換植物 、導入された本発明に係るポリヌクレオチ を恒常的に発現するものであってもよく、 テロイドホルモン等によって誘導的に発現 るものであってもよい。本発明に係る植物 、感染植物である場合、植物全体が本発明 係るポリヌクレオチドに感染していてもよ 、局所的に感染していてもよい。

 このように、本発明に係る植物を用いれ 、植物内に本発明に係るポリヌクレオチド 含んでいるため、本発明のポリヌクレオチ またはベクターに任意の外来遺伝子が組み まれたとき、当該遺伝子がコードするタン ク質を効率よく生産することができる。

 〔3.ウイルスの塩基配列を含む形質転換体
 本発明はさらに、ウイルスの塩基配列を含 形質転換体を提供する。用語「形質転換体 は、細胞、組織または器官だけでなく、生 個体をも含むことが意図されるが、細胞(特 に、原核生物細胞、菌類など)であることが ましい。本発明に係る形質転換体は、例え 、大腸菌、アグロバクテリウム、酵母等で り得る。

 本発明に係る形質転換体は、ウイルスの 製タンパク質をコードする第1の塩基配列お よびウイルスの移行タンパク質をコードする 第2の塩基配列が導入されており、第2の塩基 列は第1の塩基配列の下流に位置し、かつ発 現させるべきポリペプチドをコードする外来 塩基配列を連結するための連結部位を、第2 塩基配列の下流に有しており、第2の塩基配 は、ウイルス由来のネイティブな配列に対 てさらなる塩基配列が挿入、置換または付 されているポリヌクレオチドを含むことを 徴としており、上記ポリペプチドの効率よ 発現に利用し得る。

 一実施形態において、本発明に係る形質 換体は、ウイルスの複製タンパク質をコー する第1の塩基配列およびウイルスの移行タ ンパク質をコードする第2の塩基配列を含む イルスの塩基配列を含むポリヌクレオチド あって、第2の塩基配列は第1の塩基配列の下 流に位置し、かつ発現させるべきポリペプチ ドをコードする外来塩基配列を連結するため の連結部位を、第2の塩基配列の下流に有し おり、第2の塩基配列は、ウイルス由来のネ ティブな配列に対してさらなる塩基配列が 入または付加されているポリヌクレオチド または当該ポリヌクレオチドを含んでいる クターを生物中に取り込ませることによっ 取得され得る。

 1つの局面において、本発明に係る形質転 換体は、本発明に係るポリヌクレオチド、ま たは本発明に係るポリヌクレオチドを含むベ クターを用いて、生物体を形質転換すること によって取得され得る。例えば、本発明に係 るポリヌクレオチドが組み込まれたプラスミ ドを塩化カルシウム法等によって大腸菌に導 入することによって、本発明に係る形質転換 体を取得し得る。

 このように、本発明に係る形質転換体を いれば、例えば宿主内に導入された本発明 係るベクターの収量が向上するため、当該 クターに任意の外来遺伝子が組み込まれた き、当該遺伝子がコードするタンパク質を 産するためのベクターを容易にかつ効率よ 生産することができる。また、例えば形質 換体の生育が改善されるため、本発明にか るベクターに任意の外来遺伝子が組み込ま たとき、上記形質転換体を用いて当該遺伝 がコードするタンパク質を効率よく生産す ことができる。

 〔4.細胞に任意のポリペプチドを生産させ ための方法およびキット〕
 本発明は、上記ポリヌクレオチド、ベクタ 、植物または形質転換体を用いるポリペプ ドの生産方法、上記ポリヌクレオチド、ベ ター、植物または形質転換体を備えている リペプチド生産用キットもまた提供する。

 本発明に係るポリペプチド生産方法は、 述したポリヌクレオチド、ベクター、植物 たは形質転換体を用いることを特徴として る。また、本発明に係るポリペプチド生産 キットは、上述したポリヌクレオチド、ベ ター、植物または形質転換体を備えている とを特徴としている。なお、本明細書中で 用される場合、「キット」は各種成分の少 くとも1つが別物質(例えば、容器)中に含有 れている状態であることが意図される。

 本発明は、任意のポリペプチドを効率よ 生産する方法およびキットを提供する。本 明に係る細胞に任意のポリペプチドを生産 せる方法を用いれば、ウイルスの塩基配列 導入された細胞であっても、その生育状態 低下しないため、ポリペプチドを効率よく 産し得る。

 一実施形態において、本発明に係るポリ プチドの生産方法は、本発明に係るポリヌ レオチド、または当該ポリヌクレオチドを むベクターを用いることを特徴としており 本発明に係るポリヌクレオチドまたはベク ーを用いて、植物体および植物細胞を含む 物体を形質転換またはトランスフェクトす 工程を包含する。上記の工程により形質転 またはトランスフェクトされた生物体内に いて、本発明に係るポリヌクレオチドまた ベクターに含まれる外来塩基配列がコード るポリペプチドが発現される。

 他の実施形態において、本発明に係るポ ペプチド生産方法は、本発明に係る植物ま は形質転換体を用いることを特徴としてお 、本発明に係る植物または形質転換体を、 リペプチドを発現し得る条件下で生育また 培養する工程を包含する。上記の工程によ 植物または形質転換体内において、これら 生物体内に含まれる外来塩基配列がコード るポリペプチドが発現される。

 上述したように、本発明に係るポリペプ ド生産方法を用いれば、任意のポリペプチ を生産させる生物体の生育状態を低下させ ことがないため、ポリペプチドを効率よく 産し得る。

 本発明に係るポリヌクレオチドまたはベ ターを宿主に導入する方法としては、特に 定されず、アグロバクテリウム法、電気穿 法、リン酸カルシウム法、リポソーム法、D EAEデキストラン法等の従来公知の方法を好適 に用いることができる。また、本発明に係る ベクターを用いて形質転換またはトランスフ ェクトされる生物体の種類は特に限定される ものではなく、動物由来細胞であっても、植 物由来細胞であってもよい。また、枯草菌、 大腸菌、菌類、酵母等の微生物を宿主として 用いてもよい。

 本発明に係るポリヌクレオチドまたはベ ターを、植物体または植物由来細胞に導入 るときの導入方法もまた特に限定されない 、アグロバクテリウム法、アグロインフィ トレーション法、ポリエチレングリコール 、電気穿孔法、パーティクルガン法等を好 に用いることができる。

 本発明に係るポリペプチド生産用キット 、本発明に係るポリヌクレオチド、ベクタ 、植物または形質転換体を備えていること 特徴としている。好ましい実施形態におい 、本発明に係るポリヌクレオチドまたはベ ターを備えたポリペプチド生産用キットは 形質転換またはトランスフェクトすべき植 体または生物体をさらに備えていることが ましい。これにより、本発明に係るポリヌ レオチドまたはベクターを用いて細胞を形 転換またはトランスフェクトし、導入され 植物体内または生物体内において本発明に るポリヌクレオチドまたはベクターに含ま る外来塩基配列がコードするポリペプチド 発現することが可能である。

 なお、細胞に任意のポリペプチドを生産 せる方法およびキットは、上述した態様に 定される必要はなく、上述した以外のポリ プチド生産方法およびポリペプチド生産用 ットの具体的な態様を、本明細書を読んだ 業者は容易に理解する。

 以下に、本発明を実施例によってさらに 細に説明するが、本発明はこれらの実施例 限定されるものではなく、請求項および上 実施形態に示した範囲で種々の変更が可能 あり、異なる実施形態にそれぞれ開示され 技術的手段を適宜組み合わせて得られる実 形態についても本発明の技術的範囲に含ま る。

 [実施例1:GFP生産用プラスミドの構築]
 トマトモザイクウイルスの複製タンパク質 コードする遺伝子からなる塩基配列と、目 の外来タンパク質をコードする遺伝子から る塩基配列との間に位置する、移行タンパ 質をコードする遺伝子からなる塩基配列(配 列番号20)に種々の塩基配列(配列番号21~34)を 入したトマトモザイクウイルスのcDNAを合成 た。合成したcDNAを用いて、プラスミドコン ストラクトを構築した(図1)。

 移行タンパク質をコードする遺伝子から る塩基配列中における、挿入塩基配列を挿 、置換または付加した位置を図2Aおよび図2B に示す。図2Aおよび図2Bにおいて、A~Fは挿入 基配列の挿入位置を示し、各アルファベッ の下に記載された数字は、トマトモザイク イルスのネイティブな配列中の位置を示し いる。なお、番号16のコンストラクト(piLrcG11 erG3SRz)は、B-D間の塩基配列を配列番号33に示 れる配列で置換したものであり、番号17のコ ンストラクト(piLrcG12erG3SRz)は、B-D間の塩基配 を配列番号34に示される配列で置換したも である。

 本実施例においては、表1に示す番号4お び5のコンストラクト(piLIS2erG3SRzおよびpiLIS2(- SpeI)erG3SRz)には、挿入配列として大腸菌トラ スポゾンIS2由来配列を挿入し、他のコンス ラクトには、GUS遺伝子の逆相補鎖由来配列 挿入した。また、本実施例においては、目 の外来タンパク質をコードする遺伝子とし 、GFPタンパク質をコードする遺伝子を用い 。

 上記のように構築した各プラスミドコン トラクトを用いて大腸菌を形質転換し、出 したコロニーのうち、任意のコロニーを選 用の抗生物質を含む3mlのLB培地に植菌し、37 ℃で20時間振盪培養した。培養液1.5mlからア カリSDS法でプラスミドを精製した。精製し プラスミドを、DNA定量キット(Quant-iT dsDNA As say Kit,invitrogen社)を用いて定量した。

 上記のように構築した各プラスミドコン トラクトの細胞内における収量を、挿入配 を挿入していないプラスミドコンストラク の収量と比較し、その相対値を表1および表 2に示す。

 表1および表2に示すように、配列番号21~34 の塩基配列をそれぞれ挿入した番号4~17の塩 配列を含むプラスミドコンストラクトは、 入配列を挿入していないネイティブな塩基 列を含むプラスミドコンストラクト(番号1) 比較して、プラスミドコンストラクトの収 が2.2~17.2倍に増加した。なお、移行タンパク 質をコードする遺伝子がフレームシフトした プラスミドコンストラクト(番号2)、および移 行タンパク質をコードする遺伝子が欠失した プラスミドコンストラクト(番号3)においては 、プラスミドコンストラクトの収量が増加し なかった。

 [実施例2:宿主微生物細胞の生育改善]
 実施例1において構築した各プラスミドコン ストラクトを用いて、大腸菌JM109株(東洋紡製 )を形質転換し、カルベニシリン100μg/mlを含 LB寒天培地上において37℃で18時間培養した 出現したコロニーのうち、他のコロニーの 響をうけることなく生育しているもの5つを 作為に選択し、その長径を測定した。

 実施例1において構築した各プラスミドコ ンストラクトのうち、挿入配列を含むプラス ミドを保持するコロニーの長径と、挿入配列 を含まないプラスミドを保持するコロニーの 長径とを比較し、その相対値を表3および図3 示す。

 表3に示すように、挿入配列を含むプラス ミドコンストラクト(番号4、8、12~16)を保持す る大腸菌のコロニーの長径は、挿入配列を有 さないプラスミドコンストラクト(番号1およ 3)に比して、1.14~1.89倍大きく、ウイルスの 基配列を含むプラスミドコンストラクトが 入された大腸菌の生育が改善されたことが かる(図3)。

 [実施例3:外来タンパク質生産用プラスミド 構築]
 実施例3においては、外来タンパク質をコー ドする遺伝子としてヒト由来ガンマインター フェロン(hIFNγ)遺伝子を用いて、プラスミド ンストラクトを構築した。

 実施例1において構築した、表1に示す番 1(piLerG3SRz)、番号3(piLδMPerG3SRz)、番号4(piLIS2erG 3SRz)、番号6(piLrcG1erG3SRz)、および番号8(piLrcG3er G3SRz)の各プラスミドコンストラクトのGFP遺伝 子の5’側のAatII認識部位および3’末端側のBs tEIIサイトを用いて、GFP遺伝子とPCR法により 幅したhIFNγ遺伝子を正確に置換したプラス ドコンストラクト、番号1’(piLhIFNγSRz)、番 3’(piLδMPhIFNγSRz)、番号4’(piLIS2hIFNγSRz)、番 6’(piLrG1hIFNγSRz)、および番号8’(piLrG3hIFNγSR z)を構築した。

 上記のように構築したプラスミドコンス ラクトについて、実施例1と同様に細胞内に おけるプラスミドコンストラクトの収量を定 量した。挿入塩基配列を挿入していないプラ スミドコンストラクト(番号1’および3’)と 較して、挿入塩基配列を挿入したプラスミ コンストラクト(番号4’、6’、および8’)は 、プラスミドコンストラクトの収量が著しく 多かった。

 同様に、外来タンパク質をコードする遺 子として、アルファインターフェロン遺伝 、ミオシンフォスファターゼ阻害タンパク (CPI-17)機能ドメイン遺伝子(アミノ酸残基22 ら120)、一本鎖抗体遺伝子、またはカルモジ リン遺伝子を上記実施例と同様に用いて、 2Aの番号4に示すように変異させたウイルス ノムRNAのcDNAを導入したプラスミドコンスト ラクトも容易に作製することが可能であった 。また、プラスミドの収量および安定性も良 好であった。

 [実施例4:バイナリプラスミドの構築]
 さらに、hIFNγ遺伝子を含むウイルスの塩基 列を、ウイルス配列誘導発現用バイナリプ スミドに導入するために、上述したように 築した各プラスミドコンストラクトを、SpeI およびAvrIIで切断し、pBICER8-ToMV5’-Spe(Dohiら., 2006,Archives of Virlogy, 151: 1075-1084)のSpeI認識 位に連結した。番号1’および番号3’のプ スミドコンストラクトに由来する遺伝子断 を挿入したバイナリプラスミドは得られな った。しかしながら、番号4’、番号6’、お よび番号8’のプラスミドコンストラクト由 の遺伝子断片を挿入したバイナリプラスミ は、容易に得ることができた。このことか 、ウイルスの移行タンパク質をコードする 基配列に挿入配列を挿入、置換または付加 ることによって、作製が困難な外来遺伝子 含むプラスミドコンストラクトを作製する とが可能になった。

 同様に、外来タンパク質をコードする遺 子として、アルファインターフェロン遺伝 、CPI-17タンパク質機能ドメイン遺伝子、一 鎖抗体遺伝子、またはカルモジュリン遺伝 を上記実施例と同様に用いて、図2Aの番号4 示すように変異させたウイルスゲノムRNAのc DNAを導入したバイナリプラスミドについても 、容易に作製することができた。また、プラ スミドの収量や安定性も良好であった。

 [実施例5:プロトプラストにおけるタンパク の発現]
 T7RNAポリメラーゼを用いて試験管内で合成 たウイルスゲノムRNAに、図2Aおよび図2Bの番 4~15に示すように、挿入配列を挿入、置換ま たは付加し、ウイルスゲノムRNAの変異体を生 成した。生成したウイルスゲノムRNAをタバコ BY2細胞から調整したプロトプラストに、エレ クトロポレーション法により接種した(実験 法については、Watanabeら、FEBS Letters,219:65-69 参照のこと)。得られたプロトプラストの形 質転換体を、26℃で24時間培養した後、サン リングした。

 上記プロトプラストにおいて、GFP遺伝子 外来遺伝子として組み込んだときのウイル ゲノムRNAの増殖をノーザンブロット法によ 確認した。番号4~15のウイルスゲノムRNAを含 むプロトプラストにおいて、ウイルスゲノム RNAの増殖が確認された。また、番号4~9、12~15 挿入配列を有するウイルスゲノムRNAを含む ロトプラストでは、サブゲノムGFPメッセン ャーRNAの増殖が確認された。一方、番号10 よび11のウイルスゲノムRNAを含むプロトプラ ストにおいては、サブゲノムGFPメッセンジャ ーRNAの蓄積は検出できなかった。

 また、上記プロトプラストにおいて、GFP 伝子の発現を蛍光顕微鏡観察により確認し 。番号4~9、12~15のウイルスゲノムRNAを含む ロトプラストにおいては、GFP遺伝子の発現 確認されたが、番号10および番号11のウイル ゲノムRNAを含むプロトプラストにおいては GFP遺伝子の発現が確認されなかった。

 番号10および11の挿入配列を有するウイル スゲノムRNAを含むプロトプラストにおいて、 サブゲノムGFPメッセンジャーRNAが蓄積しなか ったのは、挿入配列の挿入または付加によっ て、ウイルスサブゲノムRNAプロモーター領域 が改変されたためであると考えられる。した がって、これらのウイルスゲノムRNAについて も、さらにネイティブなサブゲノムRNAプロモ ーター配列を付加することによって、GFP遺伝 子を発現し得ると考えられる。

 さらに、上記プロトプラストにおいて、h IFNγ遺伝子を外来遺伝子として組み込んだと のウイルスゲノムRNAの増殖能をノーザンブ ット法により確認し、hIFNγ遺伝子の発現を エスタンブロット法により確認した。番号6 、7、および12~14の挿入配列を有するウイルス ゲノムRNAを含むプロトプラストにおいて、ウ イルスゲノムRNAおよびサブゲノムhIFNγメッセ ンジャーRNAの増殖が確認され、また、hIFNγタ ンパク質が検出されたことから、hIFNγ遺伝子 の発現も確認された。

 同様に、外来タンパク質をコードする遺 子として、アルファインターフェロン遺伝 、CPI-17タンパク質機能ドメイン遺伝子、一 鎖抗体遺伝子、またはカルモジュリン遺伝 を上記実施例と同様に用いて、図2Aの番号4 示すように変異させたウイルスゲノムRNAのc DNAを導入したウイルスゲノム変異体について も、プロトプラストにおいてゲノムRNAおよび サブゲノムメッセンジャーRNAの増殖が確認で きた。

 [実施例6:タバコBY2細胞におけるタンパク質 発現]
 外来遺伝子としてGFP遺伝子およびhIFNγ遺伝 を組み込んだ、図2Aの番号4に示すように変 させたウイルスゲノムRNAのcDNAを用いて、ア グロバクテリウム法によりエストロジェンで 活性化する転写因子XVEを発現するタバコBY2細 胞(Dohiら、Archives of Virology,151,1075-1084)を形質 転換した。形質転換タバコBY2細胞を含む培地 にエストロジェンを添加し、3日後にサンプ ングした(実験手法については、Dohiら、Archiv es of Virology,151,1075-1084、参照のこと)。

 GFP遺伝子を含む形質転換タバコBY2細胞に いて、ウイルスゲノムRNAおよびサブゲノムG FPメッセンジャーRNAの増殖が確認され(ノーザ ンブロット法)、GFP遺伝子の発現が確認され (蛍光顕微鏡観察およびSDS-PAGE)。

 また、hIFNγ遺伝子を含む形質転換タバコB Y2細胞においても、ウイルスゲノムRNAおよび ブゲノムhIFNγメッセンジャーRNAの増殖が確 され(ノーザンブロット法)、hIFNγタンパク の蓄積が確認された(ウエスタンブロット法) 。

 また、外来タンパク質をコードする遺伝 として、CPI-17タンパク質機能ドメイン遺伝 または一本鎖抗体遺伝子を上記実施例と同 に用いて、図2Aの番号4に示すように変異さ たウイルスゲノムRNAのcDNAを導入した形質転 換タバコBY2細胞においても、それぞれウイル スゲノムRNAおよびサブゲノムメッセンジャー RNAの増殖が確認され、さらにタンパク質の蓄 積が確認された。

 [実施例7:挿入配列の塩基長の検討]
 トマトモザイクウイルスの移行タンパク質 コードする遺伝子からなる塩基配列(配列番 号20)において、ウイルスの5’末端から5166塩 の位置に、塩基長が300、100、50、20塩基対の 塩基配列(配列番号36~39)をそれぞれ挿入した 変トマトモザイクウイルスのcDNAを合成した 合成したcDNAにより、プラスミドベクターpiL .erG3SRz(Avr)のコードする改変トマトモザイク イルスのcDNAを置換し、プラスミドコンスト クトを構築した(図4)。図4において、挿入配 列を挿入していないプラスミドコンストラク トをpiL.erG3SRz(Avr)、300塩基長、100塩基長、50塩 基長、20塩基長の挿入配列が挿入されたプラ ミドコンストラクトをそれぞれ、piL.erG3(C0.3 )SRz(Avr)、piL.erG3(C0.1)SRz(Avr)、piL.erG3(C0.05)SRz(Avr) 、piL.erG3(C0.02)SRz(Avr)で示した。

 構築した各プラスミドコンストラクトを いて、大腸菌JM109株(東洋紡製)を形質転換し 、カルベニシリン100μg/mlを含むLB寒天培地上 おいて37℃で26時間培養した。出現したコロ ニーのうち、他のコロニーの影響をうけるこ となく生育しているもの5つを無作為に選択 、その直径を測定した。

 挿入配列を含むプラスミドを保持する大 菌のコロニーの直径と、挿入配列を含まな プラスミドを保持する大腸菌のコロニーの 径とを比較し、その相対値および標準誤差 表4に示す(n=5)。表4において「*」は、t検定 結果、挿入配列を有さないpiL.erG3SRz(Avr)に対 して有意差があることを示している。

 表4に示すように、300塩基長の挿入配列が 挿入されたpiL.erG3(C0.3)SRz(Avr)、または100塩基 の挿入配列が挿入されたpiL.erG3(C0.1)SRz(Avr)を 持する大腸菌のコロニー直径は、挿入配列 挿入されていないpiL.erG3SRz(Avr)を保持する大 腸菌のコロニー直径よりも有意に大きく、大 腸菌の生育の改善が認められた。一方、50塩 長の挿入配列が挿入されたpiL.erG3(C0.05)SRz(Avr )、または10塩基長の挿入配列が挿入されたpiL .erG3(C0.02)SRz(Avr)を保持する大腸菌のコロニー 径は、挿入配列が挿入されていないpiL.erG3SR z(Avr)を保持する大腸菌のコロニー直径よりも 大きくなったが、その差は有意な差ではなか った。

 また、各プラスミドコンストラクトを用 て大腸菌JM109株を形質転換し、出現したコ ニーのうち、任意のコロニーを選択用の抗 物質を含む3mlのLB培地に植菌し、37℃で24時 振盪培養した。培養液1.5mlからアルカリSDS法 でプラスミドを精製した。精製したプラスミ ドを、DNA定量キット(Quant-iT dsDNA Assay Kit,invi trogen社)を用いて定量した。挿入配列が挿入 れた各プラスミドコンストラクトの収量を 挿入配列が挿入されていないプラスミドコ ストラクトの収量と比較し、その相対値お び標準誤差を表4に示す(n=3)。

 表4に示すように、300塩基長の挿入配列が 挿入されたpiL.erG3(C0.3)SRz(Avr)、および100塩基 の挿入配列が挿入されたpiL.erG3(C0.1)SRz(Avr)の 量は、挿入配列が挿入されていないpiL.erG3SR z(Avr)の収量よりも有意に大きく、プラスミド が安定化していることが認められた。一方、 50塩基長の挿入配列が挿入されたpiL.erG3(C0.05)S Rz(Avr)、および10塩基長の挿入配列が挿入され たpiL.erG3(C0.02)SRz(Avr)の収量は、挿入配列が挿 されていないpiL.erG3SRz(Avr)の収量よりも大き くなったが、その差は有意な差ではなかった 。

 本発明を用いれば、ウイルスの塩基配列 含むポリヌクレオチドを含むベクターを構 し、当該ベクターが導入された宿主細胞の 育状態を改善することによって、細胞内に けるベクターの複製効率を向上させること 可能である。その結果、効率よく複製され ベクターを用いて、有用タンパク質を効率 く生産し得る。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。

 本発明を用いれば、任意のタンパク質を 率よく生産することが可能となり、得られ タンパク質は、植物バイオ産業、医薬品産 、食品産業等の広範な分野において有効に 用し得る。