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Patent Searching and Data


Title:
WET FRICTION MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057414
Kind Code:
A1
Abstract:
A wet friction material which has a high coefficient of friction, is reduced in overall thickness change, and has excellent heat resistance (resistance to heat spots). The wet friction material is obtained by impregnating a base including a fibrous substance with a thermosetting resin and then thermally curing the impregnation. The fibrous substance has an aspect ratio of 10 or higher and is contained in the base in an amount of 60-75 mass%.

Inventors:
KOZUTSUMI TOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067895
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
October 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA HIGHPOLYMER (JP)
KOZUTSUMI TOSHIHIKO (JP)
International Classes:
C09K3/14; F16D69/02
Foreign References:
JPS6469832A1989-03-15
JPH09194822A1997-07-29
JP2006199777A2006-08-03
JPH09217054A1997-08-19
Attorney, Agent or Firm:
SOGA, Michiharu et al. (8th Floor Kokusai Building, 1-1, Marunouchi 3-chome, Chiyoda-k, Tokyo 05, JP)
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Claims:
 繊維状物質を含む基材に熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱硬化してなる湿式摩擦材において、該繊維状物質のアスペクト比が10以上であって、かつ該繊維状物質が該基材中に60~75質量%含まれる、湿式摩擦材。
 前記繊維状物質が、セルロース、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、繊維状炭素またはこれらの混合物から選択される請求項1に記載の湿式摩擦材。
 前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、気相成長炭素繊維およびこれらの混合物から選択される請求項2に記載の湿式摩擦材。
Description:
湿式摩擦材

 本発明は、油中、特にATF(オートマチック ・トランスミッション・フルード)中で使用 れる湿式摩擦材に関するものである。

  オートマチック自動車の変速機は、通 、金属製基板(コアプレート)の表面に湿式摩 擦材を接着した複数のフリクションプレート と、金属板等の一枚板からなる摩擦相手材と してのセパレータプレートとを交互に配した 多版クラッチが組み込まれ、潤滑油として使 用されるATFの中で、これらのプレートを相互 に圧接、解放することによって駆動力を伝達 または遮断するようにしている。

  湿式摩擦材としては、ゴム系摩擦材や 紙を基材とするいわゆるペーパー摩擦材な が用いられている。ペーパー摩擦材は、一 的にパルプに各種の摩擦調整剤などを配合 た後、湿式抄紙を行ない、次にフェノール 脂などの結合用樹脂を含浸・硬化させて製 される。このペーパー摩擦材は、高い動摩 係数を有している。

 最近の自動車業界においては、省エネル ー化、軽量化の追求により、各種使用部品 軽量化及び高効率化が進められている。一 、自動車エンジンは高回転、高出力化の傾 にある。自動変速機においても、自動車エ ジンの高回転化、高出力化に対応すべく、 式摩擦材に対して摩擦係数の向上や耐熱性 耐久性の更なる改善が求められている。

 すなわち、湿式摩擦材には、高温、高負 な条件でも高い耐熱性が要求され、かつ、 い摩擦係数について更なる改善が強く求め れている。

 これらの問題を改善するために、たとえ 、特許文献1に記載の湿式摩擦材では、不織 布を用いて材料の強度を上げる試みをしてい る。しかしながら、基材自身が高価であり、 かつ、摩擦調整剤自身が表面に固着している のみで接着強度自身はあまり高くないため、 使用時、摩擦係数が徐々に低下していくとい う欠点と有する。また、特許文献2では、メ フェーズピッチの粉体を混合分散させた熱 化性樹脂を含浸し、その後高温で処理しメ フェーズピッチ及び熱硬化樹脂を炭化し抄 体の基材とすることが提案されており、高 強度と多孔性を保持できるとしている。し しながら、こうした工法で作成された摩擦 は、通常のペーパー摩擦材に比較し摩擦係 が大幅に低下する。

 炭素成分は、摩擦力を制御する上では有用 物質であり、各種の形態が用いられる。
 特許文献3では、カーボンナノファイバーを 用いた摩擦材が記載されているが、その用途 として車両のディスクブレーキ用の他、クラ ッチフェーシング等に使用する記述がある。 また、その効果として回転破壊強度の向上を 述べており、本発明の目的とする油中におい て使用する摩擦材における高摩擦係数、耐熱 性(耐ヒートスポット性)向上の技術内容とは なるものである。

特開2004-217790号公報

特開平11-5840号公報

特開2004-217828号公報

 本発明の目的は、高い摩擦係数を有し、 擦材の総厚変化量が少なく、耐熱性(耐ヒー トスポット性)に優れる湿式摩擦材を提供す ことである。

 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意 討の結果、アスペクト比が10以上の繊維状 質を用いて、これを湿式摩擦材中に60~75質量 %含ませることで耐熱性が顕著に上昇するこ を見出した。

 即ち、本発明は、(1)繊維状物質を含む基材 熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱硬化し なる湿式摩擦材において、該繊維状物質の スペクト比が10以上であって、かつ該繊維 物質が該基材中に60~75質量%含まれる、湿式 擦材、
 前記繊維状物質が、セルロース、金属繊維 セラミック繊維、アラミド繊維、繊維状炭 またはこれらの混合物から選択される(1)に 載の湿式摩擦材、および、
 前記繊維状炭素が、カーボンナノチューブ カーボンナノファイバー、気相成長炭素繊 およびこれらの混合物から選択される(2)に 載の湿式摩擦材である。

 本発明は、湿式摩擦材の基材にアスペク 比10以上の繊維状物質を60~70質量%含有され ことで、摩擦板相手表面のヒートスポット 呼ばれる焼き付けがない耐熱性に優れる摩 材を提供することができる。さらにこの摩 材は、動摩擦係数の低下がなく、また摩耗 が少ないという効果を有する。

 本発明は、アスペクト比10以上の繊維状物 を使用する。ここで述べるアスペクト比は 繊維長/繊維直径である。このアスペクト比 、粒度分布画像解析装置(例えば RapidVUE:ベ クマン・コールター社製)を用いたフロー方 式画像解析法、電子顕微鏡写真などを用いて 測定することができる。
 本発明で使用する繊維状物質のアスペクト が10以上、好ましく50以上である。前記アス ペクト比が10以上であることより、他の材料 の親和性、物理的な絡みの形成より、一層 強い基材を形作り、耐久性を大幅に改善さ る。
 このアスペクト比が10以上であれば特に上 は限定されないが、繊維状物質の製造上あ いは入手上の観点から、このアスペクト比 25000以下、好ましくは5000以下である。
 また、この繊維状物質の平均繊維長は、一 に1~3000μm、好ましくは、10~800μmである。

 本発明で使用する繊維状物質は湿式摩擦 の基材として使用する。この繊維状物質と て、当技術分野で通常使用されるものを使 することができるが、具体的に、セルロー 、金属繊維、セラミック繊維、アラミド繊 、繊維状炭素またはこれらの混合物が挙げ れる。また、繊維状炭素を湿式摩擦材の基 に含ませることが好ましい。この繊維状炭 として、カーボンナノチューブ、カーボン ノファイバー、気相成長炭素繊維およびこ らの混合物を使用することが好ましい。こ らの繊維状炭素は、放熱効果も大きいこと り、摩擦材料として優れている。

 本発明の湿式摩擦材の基材は、上記繊維状 質を60~75質量%と極めて限られた範囲で含む とが有効である。繊維状物質の分率が60%以 の場合、粉体成分が多くなることより、摩 基材全体の強度が低下し、耐熱性、耐久性 低下する。
 また、繊維状物質の分率が75%以上になると 基材自身の強度は向上するものの、摩擦力 制御する物質の分率が少なくなることより 摩擦時に発生する熱の処理が出来なくなく るなどの作用より、摩擦係数の低下、摩耗 の増大が生ずる。

 また本発明の基材は、上記繊維状物質の他 粉末状充填材を含む。このような粉末状充 材として、珪藻土、活性炭、グラファイト 二硫化モリブデンのような無機質粉末状充 材、カシューダスト、フッ素樹脂粉末、球 フェノール樹脂硬化物のような有機粉末状 填材が挙げられ、これらを単独でまたは二 以上組み合わせ使用することができる。こ らの物質は、湿式摩擦材の中で摩擦調整剤 して働き、摩擦係数を上げたり下げたりす 働きを有する。
 これらの粉末状充填剤は、アスペクト比が1 0未満の球状粉末であり、上記繊維状物質と 区別される。また、粉末状充填材は本発明 湿式摩擦材の中に25~40質量%含まれる。

 本発明に用いられる熱硬化性樹脂としては 湿式摩擦材において使用されている公知の 硬化性樹脂を使用することができ、例えば フェノール樹脂、油・ゴム・エポキシ樹脂 で改質された変性フェノール樹脂、メラミ 樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、不 和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これら 単独もしくは2種以上の樹脂を併用して使用 することができる。そのなかで、フェノール 樹脂、変性フェノール樹脂が好適であり、特 にレゾール型フェノール樹脂が好適である。
 熱硬化性樹脂の含浸量は、基材100質量部に して20~50質量部、好ましくは、30~40質量部で ある。

 本発明の湿式摩擦材の基材の調製方法は に限定されるものではないが、例えばセル ースやアラミド繊維等の繊維状物質と珪藻 等の粉末状充填材との混合物を水中に分散 せたスラリー液から抄造した紙を乾燥して 材を作成する方法などがある。

(実施例1)
 セルロースパルプ40質量部、アラミドパル 15質量部、VGCF(登録商標)(気相成長炭素繊維 アスペクト比10~500・昭和電工社製)3質量部、 カイノール炭素繊維(アスペクト比20~100・日 カイノール社製)5質量部、珪藻土27質量部(ア スペクト比10以下の粉体)、活性炭10質量部(ア スペクト比10以下の粉体)を配合し抄紙して摩 擦基材を作成した。
 この時の、アスペクト比10以上の物質の成 量は摩擦基材全体のうち63質量%であった。

 次に市販のフェノール樹脂BKS-2700(昭和高分 株式会社製)を、前記、抄紙体100質量部に対 して40質量部になるように含浸し、220℃で10 間硬化させた。更に、このシート状中間製 からプレスと金型を用いてリング状品を打 抜いた。別に用意したリング状芯鉄板の両 に接着剤を塗布し、60℃で20分乾燥した。そ 接着剤を塗布したリング状芯鉄板の両面に フィラー塗付層が表面になるようにリング 形状品を貼り合わせ、250℃-3分-実面圧200kg/c m 2 で加熱プレス接着を行なって、湿式摩擦材板 を得た。

 この湿式摩擦材板の摩擦特性をSAE♯2試験 機で測定し、層間剥離強度を繰り返し圧縮試 験機で測定した。その測定条件を表1に示す

 摩擦試験では、モーターを3600rpmで20秒間 転させた後、クラッチを係合し、慣性吸収 せて10秒間停止させ、回転数1800rpm付近の摩 係数を動摩擦係数と定義しこの値で評価し 。このサイクルを200回繰り返した後、動摩 係数を測定したところ0.135であった。この 、摩擦板相手表面はヒートスポットと呼ば る焼きつけは見られなかった。また、摩耗 も3μmと極めて少なかった。更にサイクルを5 000回に延長し繰り返した後の摩耗量は8μmと なく、摩擦板相手表面にはヒートスポット 見られなかった。なお、この時の摩擦係数 、0.133であり初期からの変化は見られなかっ た。

 (実施例2~3)
 表2に示す配合以外は実施例1と同様におこ った。摩擦試験の結果、良好な摩擦係数を 持し、且つ摩耗量が少なく、さらにヒート ポットも見られなかった。

 (比較例1~2)
 表2に示す配合以外は実施例1と同様におこ った。その結果、比較例1は、一般的な摩擦 配合の例であるが、5000サイクルの繰り返し 試験を行うと摩擦板相手はすでにヒートスポ ットがみられ、摩耗量も60μmと大幅に増大し 。
 また、比較例2においては、摩擦基材中の繊 維質分率を80%に上げたところ、摩擦係数が大 きく低下し、かつ、ヒートスポットも発生し た。