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Patent Searching and Data


Title:
WIPING-UP TYPE GLOSS AGENT AND METHOD OF IMPARTING GLOSS TO ARTICLE SURFACE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087898
Kind Code:
A1
Abstract:
A wiping-up type gloss agent which imparts a gloss to an article surface through a simple wiping-up operation without the need of any physical polishing treatment or any special treatment device. The gloss imparted is highly durable and lasts over long. It comprises (A) a water-compatible carbodiimide compound, (B) a water-compatible liquid organic compound, and (C) water or a solvent mixture of water and a hydrophilic organic solvent, the ratio by mass of the content of the ingredient (A) to the content of the ingredient (B), (A):(B), being from 8:92 to 92:8.

Inventors:
SAITO TORU (JP)
TSURUMI TOMOAKI (JP)
TOJO HIDEAKI (JP)
FURUKAWA YOSHIHIRO (JP)
KIKUMORI TOMOYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050245
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NICCA CHEMICAL CO (JP)
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
HONDA ACCESS KK (JP)
SAITO TORU (JP)
TSURUMI TOMOAKI (JP)
TOJO HIDEAKI (JP)
FURUKAWA YOSHIHIRO (JP)
KIKUMORI TOMOYUKI (JP)
International Classes:
C09G1/18; B05D7/24; C09G1/00; C09G1/04
Foreign References:
JP2000136351A2000-05-16
Other References:
MASUDA K.: "Carbodiimide Kagobutsu no Shinsuika Hensei to sono Suisei Toryo eno Taio", TECHNO-COSMOS, vol. 16, 2003, pages 8 - 13
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 (A)水性カルボジイミド化合物、
 (B)水性液状有機化合物、
 (C)水又は水と親水性有機溶媒との混合溶媒、
を含有し、
 (A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比率[(A):(B)]が8:92~92:8である拭き上げ型光沢付与剤。
 前記(A)水性カルボジイミド化合物が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載の拭き上げ型光沢付与剤。
(式中、R 1 、R 2 は、それぞれ独立に、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた炭素数4~15の2価の残基を表し、R 3 、R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルコキシ基又はヒドロキシ基を表し、R 5 、R 6 は、それぞれ独立に、炭素数2~4のアルキレン基を表し、a、bは、それぞれ独立に、1~30のいずれかの整数を表し、nは1~10のいずれかの整数を表す。)
 前記(A)成分と前記(B)成分との含有量の合計量が0.5~30質量%である請求項1に記載の拭き上げ型光沢付与剤。
 前記(B)水性液状有機化合物が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項1に記載の拭き上げ型光沢付与剤。
 物品表面上に請求項1~4のいずれかに記載の拭き上げ型光沢付与剤を塗工する塗工工程と、
 前記塗工工程の後に、物品表面上の余剰の拭き上げ型光沢付与剤を拭き上げる拭き上げ工程とを含む物品表面の光沢付与方法。
 前記塗工工程の開始から拭き上げ工程の終了までを、温度10~80℃の環境下、2時間以内で行う請求項5に記載の物品表面の光沢付与方法。
Description:
拭き上げ型光沢付与剤及び物品 面の光沢付与方法

 本発明は、物品表面に光沢を付与する拭き げ型光沢付与剤、及び光沢の付与方法に関 る。
 本願は、2007年1月15日に、日本に出願された 特願2007-6287号に基づき優先権を主張し、その 内容をここに援用する。

 自動車塗膜の表面には、自然界に存在す 汚れ成分(埃、塵、カーボン汚染物、動物汚 染物、植物汚染物、ブレーキダスト、鉄粉等 )の付着や摩擦によって、小さな無数の傷が じる。それらの小傷の多くは深さが0.50μm以 の小傷の集合体であり、塗膜の表面の外観 白化させたり、表面に曇り模様を生じさせ りする原因となる。また、上記の汚れ成分 自動車塗膜に強固に密着すると、酸性雨、 陽光線、酸素等の働きにより塗膜が化学分 される場合もある。このような小傷や化学 解によって塗膜が傷むと、塗膜の光沢が著 く低下し、さらに汚れ成分が蓄積されやす なる。

 従来、自動車ユーザーは、自動車塗膜の外 美化(光沢付与)や外観保護(被覆による保護) を目的として、自動車用ワックスを使用して きた。通常、自動車用ワックスは、カルナバ ワックスなどの天然のロウ類又は合成のロウ 類、油脂類、シリコーン類等で構成されてい る。これらの構成物が塗膜表面に生じた小傷 を埋めることにより光沢は復元される(例え 、非特許文献1参照)。
 また、塗膜に光沢を復元し、長期にわたっ 光沢を持続させる方法として、例えば、塗 を洗浄し埃等の異物を除去する工程、バフ で塗膜を研磨し劣化部分を除去する工程及 表面保護艶出し剤を用いて光沢を向上する 程の3つの工程からなる光沢復元方法が開示 されている(例えば、特許文献1参照)。
 より簡便な作業で光沢を回復させることを 的とする光沢回復剤として、光硬化性樹脂 被膜剤とし、オルガノポリシロキサン油と 水を加えて乳化分散させた光沢回復剤が開 されている(例えば、特許文献2参照)。かか 光沢回復剤は、光沢を回復させる被膜を光 化反応により形成する。
 また、簡便な作業で光沢を付与させる方法 して、2液型の溶剤系ウレタン樹脂を光沢付 与剤として使用する光沢付与方法が開示され ている(例えば、特許文献3参照)。かかる光沢 付与方法は、溶剤系の主剤(アクリル系樹脂) 溶剤系の硬化剤(多官能イソシアネート)の 学反応により被膜を形成し光沢を付与する 法である。
「オートケミカル」日本オートケミカル 工業会編、1991年、p.165~180

特開平9-187725号公報

特開平9-137128号公報

特開2005-144229号公報

 しかしながら、非特許文献1に記載の自動車 用ワックスを用いる方法は、ワックスが時間 の経過とともに溶解するため、光沢が長く持 続されない。しかも、自動車用ワックスを塗 布した塗膜表面は、親油性の汚れ成分が付着 しやすくなったり、雨水が塗膜上に残留する と、ワックスの撥水性により生じた水滴がレ ンズ効果を引き起こし、塗膜を傷付けて劣化 させたりする問題がある。そのため、自動車 用ワックスによる通常の手入れでは、外観美 化効果を長期間にわたって持続させることが 難しかった。
 一方、特許文献1に記載の光沢復元方法では 、物理的に研磨処理する工程を含んでいるた め、多大な時間と労力がかかることが問題で あった。例えば、1台の中古車を全面処理す には通常4時間程度が必要であり、塗膜表面 新車同様の輝きを取り戻す鏡面加工を施す 合には、更に数時間が必要となる。また、 記のバフ等で塗膜を研磨し劣化部分を除去 る工程は、自動車修理工場等で専門作業者 研磨機器等を使用して自動車塗膜表面を物 的に研磨処理する方法と同様に、研磨処理 処理時間や作業者の熟練度により、塗膜表 の平滑性が大きく影響される。
 特許文献2に記載の光沢回復剤を用いる方法 では、塗布したシリコーンアクリル系光硬化 性樹脂を自然光で硬化させる場合には、塗布 してから硬化が完了するまでに長時間を要す る。そのため、被膜強度が十分に高くなって いない間に傷が生じるおそれがあった。特定 の光源を有する特殊な光照射装置を用いれば 、光硬化を速やかに行うことができるが、そ の場合には簡便な作業で優れた光沢回復効果 を得ることが困難であった。
 特許文献3に記載の光沢付与方法は作業が簡 単なものの、溶剤を比較的多く含むために、 環境への負荷が大きいといった問題を有する 。そのために、上記の光沢付与方法では、特 殊な設備が必要であった。また、ワックスの 様に拭き上げを行わないために、塗装斑が発 生した場合にはその塗装斑が残留して、外観 美化を損なうという問題があった。
 本発明は、上記従来技術が有する課題を鑑 てなされたものであり、物理的な研磨処理 特別な処理装置を用いることなく簡便な拭 上げ作業により、物品表面(特に、自動車塗 膜の表面、更には塗装品の塗膜又は樹脂成型 品の表面)に光沢を付与し、かつ、付与後に られる光沢が長期にわたって持続し、耐久 に優れる拭き上げ型光沢付与剤及び光沢の 与方法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボジイ ド化合物と液状有機化合物と溶媒とを含有 る拭き上げ型光沢付与剤を用いて、物品表 (特に、自動車塗膜の表面、更には塗装品の 塗膜又は樹脂成型品の表面)に被膜を形成さ ることにより、物品表面に光沢を付与でき かつ、付与後に得られる光沢が長期間持続 れることを見出した。そして、この知見に づき、以下の拭き上げ型光沢付与剤及び物 表面の光沢付与方法を発明した。

[1] (A)水性カルボジイミド化合物と、(B)水性 状有機化合物と、(C)水又は水と親水性有機 媒との混合溶媒とを含有し、(A)成分の含有 と(B)成分の含有量との質量比率[(A):(B)]が8:92 ~92:8である拭き上げ型光沢付与剤。
[2] 前記(A)水性カルボジイミド化合物が、下 一般式(1)で表される化合物である請求項1に 記載の拭き上げ型光沢付与剤。

(式中、R 1 、R 2 は、それぞれ独立に、ジイソシアネート化合 物のイソシアネート基を除いた炭素数4~15の2 の残基を表し、R 3 、R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルコキシ 基又はヒドロキシ基を表し、R 5 、R 6 は、それぞれ独立に、炭素数2~4のアルキレン 基を表し、a、bは、それぞれ独立に、1~30のい ずれかの整数を表し、nは1~10のいずれかの整 を表す。)
[3] 前記(A)成分と前記(B)成分との含有量の合 量が0.5~30質量%である[1]又は[2]に記載の拭き 上げ型光沢付与剤。
[4] 前記(B)水性液状有機化合物が、ポリエー ル変性シリコーンである[1]~[3]のいずれかに 記載の拭き上げ型光沢付与剤。
[5] 物品表面上に[1]~[4]のいずれかに記載の拭 き上げ型光沢付与剤を塗工する塗工工程と、
 前記塗工工程の後に、物品表面上の余剰の き上げ型光沢付与剤を拭き上げる拭き上げ 程とを含む物品表面の光沢付与方法。
[6] 前記塗工工程の開始から拭き上げ工程の 了までを、温度10~80℃の環境下、2時間以内 行う[5]に記載の物品表面の光沢付与方法。

 本発明の光沢付与剤及び光沢付与方法に れば、物理的な研磨処理(ポリッシング処理 )や特別な処理装置(乾燥機や塗装機など)を用 いることなく簡便な作業で、物品表面(自動 塗膜など)に光沢を付与することができ、光 付与後に得られる被膜は長期にわたって光 を持続することができる。したがって、一 消費者が自動車塗膜などの光沢を復元させ ことができる。

(拭き上げ型光沢付与剤)
 本発明の拭き上げ型光沢付与剤(以下、光沢 付与剤と略す。)は、(A)水性カルボジイミド 合物と、(B)水性液状有機化合物と、(C)水又 水と親水性有機溶媒との混合溶媒(以下、(C) 媒と略す。)とを含有するものである。

[(A)水性カルボジイミド化合物]
 (A)水性カルボジイミド化合物は、分子内に ルボジイミド結合(-N=C=N-)を有する水性(すな わち水に溶解性あるいは分散性)の化合物で って、水と均一になじむ性質を有する化合 である。
 (A)水性カルボジイミド化合物の分子量には に制限はなく、低分子量であってもよいし 高分子量であってもよいが、あまり高分子 になると光沢付与剤の粘度が高くなり、光 付与時の作業性低下も考えられるので、分 量は350以上、10000以下が好ましい。分子量 350未満であると、水への分散性が低下し、 沢が得られにくくなる。

 (A)水性カルボジイミド化合物としては、 えば、(i)酸化水銀(II)を触媒としたチオ尿素 の脱硫反応により得た化合物、(ii)尿素の脱 反応により得た化合物、(iii)イソシアネート の脱炭酸縮合反応により得た化合物、工業的 にはジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反 応により得た化合物などが挙げられる。

 上記(iii)におけるジイソシアネート化合物 しては、例えば、トリレンジイソシアネー 、キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフ ニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェ ニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェ ルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジ ソシアネート;テトラメチレンジイソシアネ ト、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘ サメチレンジイソシアネート、トリメチル キサメチレンジイソシアネート、リジンジ ソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネー ;イソホロンジイソシアネート、水素添加キ シリレンジイソシアネート(水添キシリレン イソシアネート)、4,4’-ジシクロヘキシルメ タンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシ アネート等のジイソシアネート化合物が挙げ られる。
 これらのジイソシアネート化合物の中でも 光沢付与剤の貯蔵安定性や光沢付与時の作 性が良いことから、4,4’-ジシクロヘキシル メタンジイソシアネート(ジシクロヘキシル タンジイソシアネート)を好適に用いること できる。

 ジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反応 、大気圧での沸点が80℃以上、300℃以下の ロゲン系溶剤又は大気圧での沸点が80℃以上 、300℃以下の脂環式エーテル溶剤などの中に て、必要に応じて触媒の存在下で、100~150℃ 温度で3~50時間行うことができる。
 大気圧での沸点が80℃以上、300℃以下のハ ゲン系溶剤としては、例えば、テトラクロ エチレン、トリクロロエチレン、トリクロ エタン、テトラクロロエタンなどが挙げら る。大気圧での沸点が80℃以上の脂環式エー テル溶剤としては、例えば、テトラヒドロフ ラン、ジオキサン、テトラヒドロピランなど が挙げられる。
 上記脱炭酸縮合反応の触媒としては、例え 、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキ ド、3-メチル-2-フェニル-2-ホスホレン-1-オキ シド、1-エチル-3-メチル-2-ホスホレン-1-オキ ドなどを使用することができる。これらの でも、反応の調整のし易さから、3-メチル-1 -フェニル-2-ホスホレン-1-オキシドを好適に いることができる。

 ジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反応 より得たカルボジイミド化合物には、両末 にイソシアネート基を有している。この両 端のイソシアネート基は、親水性セグメン を有する活性水素含有化合物及び低分子量 リオールの一方又は両方によって変性され 、(A)水性カルボジイミド化合物に親水性セ メント、水酸基が導入されていてもよい。 水性セグメント、水酸基が導入されていれ 、水溶性を向上させることができる。
 上記親水性セグメントを有する活性水素含 化合物としては、例えば、ポリエチレング コール、プロピレンオキサイド-エチレンオ キサイド共重合体、ポリオキシエチレンモノ アルキル(例えば、モノメチル)エーテルなど 挙げられる。
 上記低分子量ポリオールとしては、例えば エチレングリコール、プロピレングリコー 、ブチレングリコールなどが挙げられる。

 (A)水性カルボジイミド化合物の中でも、よ 簡便に光沢の高い光沢被膜を形成できるこ から、前記一般式(1)で表される化合物が好 しい。
 一般式(1)で表される化合物におけるR 1 、R 2 は、それぞれ独立に、ジイソシアネート化合 物のイソシアネート基を除いた炭素数4~15の2 の残基を表す。ジイソシアネート化合物と ては、上述したものと同様のものが挙げら 、特に4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソ シアネート(ジシクロヘキシルメタンジイソ アネート)が好ましい。
 また、R 3 、R 4 は、それぞれ独立に、炭素数1~5のアルコキシ 基(すなわち、メトキシ基、エトキシ基、プ ポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)又は ドロキシ基を表す。特に、より簡便に光沢 高い光沢被膜を形成できることから、炭素 1~3のアルコキシ基が好ましい。
 R 5 、R 6 は、それぞれ独立に、炭素数2~4のアルキレン 基(すわなち、エチレン基、プロピレン基、 チレン基)を表す。特に、より簡便に光沢の い光沢被膜を形成できることから、炭素数2 ~3のアルキレン基が好ましい。
 a、bは、それぞれ独立に、1~30のいずれかの 数であり、好ましくは1~15のいずれかの整数 である。a、bが30を超えるものは製造が困難 なる。
 nは、1~10のいずれかの整数であり、好まし は1~6のいずれかの整数である。nが10を超え ものは製造が困難になる。

 一般式(1)で表される化合物は、例えば、 記ジイソシアネート化合物を脱炭酸縮合反 によってオリゴマー化し、次いで、このオ ゴマーの両末端のイソシアネート基に前記 水性セグメントを有する活性水素含有化合 または低分子量ポリオール化合物を反応さ ることにより得られる。

[(B)水性液状有機化合物]
 (B)水性液状有機化合物は、20℃において液 であり、かつ、大気圧での沸点が250℃を超 、水性、すなわち水と均一になじむ性質を する化合物である。
 (B)水性液状有機化合物としては、具体的に 、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセ ンなどのグリセリン類;ポリエチレングリコ ール、ポリプロピレングリコール、プロピレ ンオキサイド-エチレンオキサイド共重合体 どのポリアルキレングリコール類;ポリアル レングリコールアルキルエーテル、ポリア キレングリコールアルキルエステル、ポリ リセリンアルキルエステルなどの非イオン 面活性剤、ポリオキシエチレン変性ジメチ シリコーンなどのポリエーテル変性シリコ ン類が挙げられる。
 これらのうち、拭き上げ時の滑り感や作業 が良いことから、ポリエーテル変性シリコ ン類が好適に用いられる。ポリエーテル変 シリコーン類としては、例えば、東レ・ダ コーニング(株)製の商品名「SH-3746」、信越 学工業(株)製の商品名「KF-619」などが市販 れている。

 (B)水性液状有機化合物としては、20℃で 粘度が1mPa・s以上、50,000mPa・s以下のものを ましく用いることができる。粘度が前記上 を超える場合には、拭き上げ時の抵抗が強 なり、均一な光沢被膜を形成することがで なくなるおそれがある。一方、前記下限値 下回る場合には、拭き上げによる光沢被膜 分の除去が不十分となったり、光沢被膜の 成が不均一となる。

[A成分およびB成分の含有割合]
 光沢付与剤において、(A)水性カルボジイミ 化合物の含有量と(B)水性液状有機化合物の 有量の質量比率[(A):(B)]は8:92~92:8であり、15:8 5~85:15であることが好ましい。(A)水性カルボ イミド化合物の含有量を、質量比率8:92より なくすると、(A)水性カルボジイミド化合物 不足して光沢被膜が薄くなり、十分な光沢 与効果が得られない。また、(A)水性カルボ イミド化合物を、質量比率92:8より多くする と、(A)水性カルボジイミド化合物の含有量が 過剰になって拭き上げ時の抵抗が大きくなり 、作業性が低下する。

 光沢付与剤において、(A)水性カルボジイ ド化合物と(B)水性液状有機化合物の含有量 合計量は0.5~30質量%であることが好ましく、 1~20質量%であることがより好ましい。(A)水性 ルボジイミド化合物と(B)水性液状有機化合 の含有量の合計量が0.5質量%未満であると、 光沢被膜が薄くなり、十分な光沢付与効果が 得られないおそれがある。また、(A)水性カル ボジイミド化合物と(B)水性液状有機化合物の 含有量の合計量が30質量%を超えると、物品表 面での付与量が過剰になる傾向にあり、拭き 上げが困難になったり、また、筋やタレなど の塗装斑が発生しやすくなり、修復に労力を 必要とするおそれがある。

[(C)溶媒]
 (C)溶媒において、親水性有機溶媒として用 られる化合物は大気圧での沸点が25℃以上25 0℃以下であり、水性の液状有機化合物であ 。
 (C)溶媒としては、具体的には、アセトン、 チルエチルケトン、メチルブチルケトンな のケトン類;メチルアルコール、エチルアル コール、1-プロピルアルコール、2-プロピル ルコール、n-ブタノール、イソブタノール、 sec-ブタノール、tert-ブタノールなどの炭素数 1~4の低級アルコール類;エチレングリコール プロピレングリコールなどのグリコール類; チレングリコールモノメチルエーテル、エ レングリコールモノエチルエーテル、ジエ レングリコールモノメチルエーテル、ジエ レングリコールモノエチルエーテルなどの リコールエーテル類等の親水性有機溶媒と との混合溶媒、又は水が挙げられる。
 これらの親水性有機溶媒は、乾燥性の調整 濡れ性の改善のために適宜使用される。こ らの親水性有機溶媒のうち貯蔵安定性に優 ることから、アセトン、メチルエチルケト などが好適に用いられる。

 (C)溶媒の含有量は70~99.5質量%であるである とが好ましく、80~99質量%であることがより ましい。(C)溶媒の含有量が70質量%未満であ と、光沢付与剤を均一に塗工できないこと あり、99.5(上限)質量%を超えると、光沢付与 から光沢被膜を形成する際に光沢被膜が薄 なり、十分な光沢付与効果が得られないお れがある。
 また、(C)溶媒中の親水性有機溶媒の量は、 沢付与剤の20質量%以下になる量であること 好ましく、5質量%以下になる量であること より好ましい。親水性有機溶媒の量が20質量 %を超えると、乾燥性が速くなり過ぎて不均 塗工になり、拭き上げ作業に労力を要する それがある。(C)溶媒は水のみであってもよ から前記親水性有機溶媒の配合量の下限値 0質量%である。

[添加剤]
 光沢付与剤には、その光沢付与効果及び耐 性を阻害しない範囲で添加剤を配合するこ ができる。用いられる添加剤としては、シ コーン化合物、シリカ微粒子、充填剤、樹 成分、架橋剤、界面活性剤、濡れ性向上剤 酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防か 剤、分散剤、可塑剤、香料などが挙げられ 。

 シリコーン化合物の具体例としては、テ ラメトキシシラン、テトラエトキシシラン テトラプロポキシシラン、テトライソプロ キシシランなどオルガノシロキサン化合物 及びその加水分解物又は加水分解縮合物;メ チルトリメトキシシラン、エチルトリメトキ シシラン、メチルトリプロポキシシラン、メ チルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン 、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリ イソプロポキシシラン、プロピルトリメトキ シシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブ チルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキ シシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペ ンチルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリ トキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシ ン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オク ルトリエトキシシラン、フェニルトリメト シシラン、フェニルトリエトキシシラン、 ェニルトリプロポキシシラン、フェニルト イソプロポキシシラン、ベンジルトリメト シシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3 -グリシドキシプロピルトリメトキシシラン 3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン 、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリ トキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシ ル)エチルトリエトキシシラン、3-メタクリロ キシプロピルトリメトキシシラン、3-メタク ロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニ トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシ ラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシ ラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシ ラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメ キシシラン、3-ウレイドプロピルトリエト シシラン、イソシアネートプロピルトリエ キシシラン、ポリエーテル変性シランカッ リング剤などのシランカップリング剤、及 その加水分解物又は加水分解縮合物が挙げ れる。

 シリカ微粒子としては、例えば、商品名ス ーテックスシリーズ(日産化学(株)製)として 市販されている水性コロイダルシリカ、商品 名MEK-ST、IPA-ST(いずれも日産化学(株)製)とし 市販されている溶剤系オルガノシリカゾル どが挙げられる。
 充填剤としては、例えば、顔料、セラミッ 、金属酸化物などが挙げられる。
 樹脂成分としては、例えば、アクリレート レタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル 脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂、ア キド樹脂、アルキドメラミン樹脂、シリコ ン樹脂などが挙げられる。
 架橋剤としては、例えば、オキサゾリン化 物、エチレンイミン化合物などが挙げられ 。
 界面活性剤としては、例えば、ノニオン型 面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオ 型界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げ れる。

 これら添加剤のうち、シリコーン化合物 添加すると光沢被膜に防汚性の機能を付与 きるので好ましい。

 上記(A)水性カルボジイミド化合物、(B)水性 状有機化合物及び(C)溶媒を含む光沢付与剤 は、塗工された後に(C)溶媒を揮発させるこ で、(A)水性カルボジイミド化合物の塗膜を 成できる。(A)水性カルボジイミド化合物の ルボジイミド基は、カルボキシ基、アミノ 、ヒドロキシ基、アルコキシ基、チオール などと室温にて容易に反応する。そのため (C)溶媒が揮発するにつれて、(A)水性カルボ イミド化合物の反応が進み、高分子量化し 、光沢の高い耐久性のある被膜を形成する とができる。
 したがって、上記光沢付与剤によれば、物 的な研磨処理(ポリッシング処理)や特別な 理装置(乾燥機や塗装機など)を用いることな く簡便な作業で、物品表面(自動車塗膜など) 光沢を付与することができる。しかも、得 れる被膜は長期にわたって光沢を持続でき 。

(物品表面の光沢付与方法)
 本発明の物品表面の光沢付与方法(以下、光 沢付与方法と略す。)は、上記光沢付与剤の 工工程と拭き上げ工程とを含む方法である

 塗工工程は、物品表面上に上記光沢付与剤 塗工する工程である。
 ここで、物品表面とは、光沢を付与する対 物表面であり、例えば、塗装品の塗膜表面 樹脂成型品の表面が挙げられる。塗装品と ては、具体的には、自動車、自動車用バン ー、自動車用ドアミラーカバー、オートバ 、電車車両、航空機、家具、調度品など金 、合成樹脂又は木材製の基材に塗装が施さ たものが挙げられる。また樹脂成型品とし は、顔料等で着色された樹脂成型品などが げられる。
 また、物品表面は、使用されて光沢を失っ 後の状態のものでもよく、新製品の状態の のであってもよい。

 光沢付与剤を物品表面に塗工する手段とし は、例えば、スプレー、布、刷毛、及びロ ラーなどを用いることができる。それらの でも、より容易に且つ確実に光沢を付与で ることから、スプレーが好ましい。
 また、上記の手段は複数を組み合わせて用 てもよい。

 拭き上げ工程は、前記塗工工程の後に、物 表面上の余剰の光沢付与剤を拭き上げる工 である。
 拭き上げ工程で光沢付与剤を拭き上げる方 としては、機械バフマシーン(エアーバフマ シーン、電動バフマシーン等)や手拭による 法が挙げられるが、均一な光沢処理面が容 に得られることから、拭き上げ用具を用い 、手で拭き上げることが好ましい。拭き上 用具としては、物品表面を傷つけないもの あれば特に制限されず、例えば、布、紙、 ポンジ等が挙げられる。外観美化の観点か は、表面が滑らかで目が細かいマイクロフ イバー製の布、紙を使用することが好まし 。
 拭き上げ回数は仕上がり外観に応じて適宜 択され、一回であってもよいし、二回以上 あってもよい。

 上記拭き上げ方法では、拭き上げ工程後の 沢被膜の膜厚が0.01~0.5μmの範囲内になるよ に光沢付与剤の塗工量と拭き上げ量を調節 ることが好ましい。
 光沢被膜の膜厚を上記の範囲とするのは以 の理由による。すなわち、塗装品の塗膜(特 に自動車の塗膜)や、樹脂成型品の外観を白 させたり、表面に曇り模様を生じさせたり て、光沢を消失させる要因となっているも の多くは、深さが0.5μm以下の小傷の集合体 ある。そのため、膜厚が0.01~0.5μmの光沢被膜 を形成させれば、白化や曇り模様が解消して 光沢を付与できたり、元の状態に光沢を復元 すること、又は、元の状態よりも良好な光沢 を得ることができる。光沢被膜の膜厚が0.01μ m未満の場合には、光沢を充分に付与するこ が困難であり、光沢被膜の膜厚が0.5μmを超 る場合には、膜厚が可視光領域に達し、干 縞などの塗装斑が発生しやすくなる。

 ここで、拭き上げ工程後の光沢被膜の膜厚T (μm)は、光沢付与剤の塗工量A1(g)、光沢付与 の不揮発分F1(%)、光沢付与剤の密度D1(g/cm 3 )、塗工した面積S1(m 2 )及び拭き上げ率W1(%)を下記式(1)に代入し、計 算して求めることができる。なお、式(1)にお ける光沢付与剤の不揮発分F1(%)は、光沢付与 を105℃で3時間乾燥させた場合の、乾燥後質 量A3(g)/乾燥前質量A2(g)×100の式から求めた値 用いる。
 T=[(A1×F1)×(100-W1)]/(D1×S1×10000) ・・・(1)
 よって、本発明では、上記式(1)により求め れた光沢被膜の膜厚Tが、下記式(2)を満たす ように光沢付与剤の塗工量と拭き上げ率とを 調節することが好ましい。
 0.01μm≦T≦0.5μm   ・・・(2)

 光沢付与剤の塗工量の調節方法としては 特に限定されず、例えば、光沢付与剤中の( C)溶媒の濃度、光沢付与剤の密度、塗工面積 を適宜選択する方法が挙げられる。

 上記光沢付与方法は、前記塗工工程の開始 ら拭き上げ工程の終了までを、温度10~80℃ 環境下、2時間以内で行うことが好ましく、 度10~50℃の環境下、2時間以内で行うことが り好ましい。温度が80℃を超える場合には (A)水性カルボジイミド化合物の反応が急激 進行し、短時間で高分子量化してしまうた 、作業性が低下する傾向にある。温度が10℃ 未満の場合には、水や親水性有機溶媒の揮発 速度が遅くなり、作業効率が低下する傾向に ある。
 また、塗工工程及び拭き上げ工程を、2時間 を超えて行うと、(A)水性カルボジイミド化合 物の反応が進行して簡単に拭き上げることが できなくなる傾向にある。なお、本発明の光 沢付与方法においては、塗工工程の後、直ぐ に拭き上げ工程を行うことにも問題はないが 、塗工面の大きさは塗工工程の管理の面から 5~10分程度の間隔を空けることが好ましい。

 また、相対湿度は20~90%であることが好ま い。相対湿度が90%を超えると、(C)溶媒の揮 速度が遅くなり、短期間に十分な耐久性が られない傾向にある。相対湿度を(下限値)% 満にするためには、特殊な装置を用いる必 があり、簡便でない。

 拭き上げ工程後には、10~80℃で10分から1 間程度放置することが好ましい。このよう 条件で放置すれば、本発明の効果を容易か 確実に得ることができる。

 以上説明した光沢付与方法では、物品表面 上記光沢付与剤を塗工し、拭き上げるため 物品表面(特に、塗装品の塗膜又は樹脂成型 品の表面、更には自動車塗膜の表面)に光沢 付与できる。しかも、付与後に得られる光 が長期にわたって持続し、耐久性に優れる 沢被膜を、簡便な作業で形成することがで る。
 したがって、上記光沢付与方法を、光沢を った物品表面に適用した場合には、物品表 が本来有していた光沢に近付けることがで る。また、新品の物品表面に適用した場合 は、光沢がさらに向上し、かつ、光沢の低 を長期にわたって防止できる。

 本発明を実施例によってさらに詳しく説明 るが、本発明はこれらの実施例により何ら 定されるものではない。
 以下、実施例で用いた水性カルボジイミド 合物の合成例について記載する。

(合成例1)
 1Lセパラブルフラスコに、4,4’-ジシクロヘ シルメタンジイソシアネート280.7gと触媒と て3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキ ド1.5gを仕込み、180℃で15時間反応させて、 ソシアネート末端ジシクロヘキシルメタン ルボジイミド(重合度=4)を得た。次いで、得 れたイソシアネート末端ジシクロヘキシル タンカルボジイミドに、ポリ(エチレンオキ サイド)モノメチルエーテル(重合度=約12)120.0g とプロピレングリコールモノメチルエーテル 19.3gを添加し、150℃で5時間反応させた。反応 後80℃まで冷却し、蒸留水578.5gを徐々に添加 て、淡黄色透明の水性カルボジイミド化合 (A-1)(不揮発分:約40質量%)を得た。

(合成例2)
 1Lセパラブルフラスコに、4,4’-ジフェニル タンジイソシアネート233.1gと触媒として3- チル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド1.5g 仕込み、180℃で15時間反応させて、イソシ ネート末端ジフェニルメタンカルボジイミ (重合度=4)を得た。次いで、得られたイソシ ネート末端ジフェニルメタンカルボジイミ に、ポリ(エチレンオキサイド)モノメチル ーテル(重合度=約12)182.7gとプロピレングリコ ールモノメチルエーテル4.2gを添加し、150℃ 5時間反応させた。反応後80℃まで冷却し、 留水578.5gを徐々に添加して、淡黄色透明の 性カルボジイミド化合物(A-2)(不揮発分:約40 量%)を得た。

(合成例3)
 1Lセパラブルフラスコに、ヘキサメチレン イソシアネート236.8gと触媒として3-メチル-1- フェニル-2‐ホスホレン-1-オキシド1.5gを仕込 み、180℃で15時間反応させて、イソシアネー 末端ヘキサメチレンカルボジイミド(重合度 =4)を得た。次いで、得られたイソシアネート 末端へキサメチレンカルボジイミドに、ポリ (エチレンオキサイド)モノメチルエーテル(重 合度=約12)157.9gとエチレングリコールモノエ ルエーテル25.4gを添加し、150℃で5時間反応 せた。反応後80℃まで冷却し、蒸留水578.4gを 徐々に添加して、淡黄色透明の水性カルボジ イミド化合物(A-3)(不揮発分:約40質量%)を得た

(合成例4)
 1Lセパラブルフラスコに、トリレンジイソ アネート194.8gと触媒として3-メチル-1-フェニ ル-2-ホスホレン-1-オキシド1.5gを仕込み、180 で10時間反応させて、イソシアネート末端ト リレンカルボジイミド(重合度=4)を得た。次 で、得られたイソシアネート末端トリレン ルボジイミドに、ポリ(エチレンオキサイド) モノメチルエーテル(重合度=約12)219.4gとエチ ングリコールモノイソプロピルエーテル5.8g を添加し、150℃で5時間反応させた。反応後80 ℃まで冷却し、蒸留水578.5gを徐々に添加して 、淡黄色透明の水性カルボジイミド化合物(A- 4)(不揮発分:約40質量%)を得た。

(合成例5)
 1Lセパラブルフラスコに、キシリレンジイ シアネート216.3gと触媒として3-メチル-1-フェ ニル-2-ホスホレン-1-オキシド1.5gを仕込み、18 0℃で10時間反応させて、イソシアネート末端 キシリレンカルボジイミド(重合度=4)を得た 次いで、得られたイソシアネート末端キシ レンカルボジイミドに、ポリ(エチレンオキ イド)モノメチルエーテル(重合度=約12)193.3g プロピレングリコールモノメチルエーテル1 0.4gを添加し、150℃で5時間反応させた。反応 80℃まで冷却し、蒸留水578.5gを徐々に添加 て、淡黄色透明の水性カルボジイミド化合 (A-5)(不揮発分:約40質量%)を得た。

(合成例6)
 1Lセパラブルフラスコに、水素添加キシリ ンジイソシアネート251.5gと触媒として3-メチ ル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド1.5gを 込み、180℃で15時間反応させて、イソシアネ ート末端水素添加キシリレンカルボジイミド (重合度=4)を得た。次いで、得られたイソシ ネート末端水素添加キシリレンカルボジイ ドに、ポリ(エチレンオキサイド)モノメチル エーテル(重合度=約12)145.2gとプロピレングリ ールモノメチルエーテル23.3gを添加し、150 で5時間反応させた。反応後80℃まで冷却し 蒸留水578.5gを徐々に添加して、淡黄色透明 水性カルボジイミド化合物(A-6)(不揮発分:約4 0質量%)を得た。

(合成例7)
 1Lセパラブルフラスコに、イソホロンジイ シアネート221.2gと触媒として3-メチル-1-フェ ニル-2-ホスホレン-1-オキシド1.5gを仕込み、18 0℃で15時間反応させて、イソシアネート末端 イソホロンカルボジイミド(重合度=4)を得た 次いで、得られたイソシアネート末端イソ ロンカルボジイミドに、ポリ(エチレンオキ イド)モノメチルエーテル(重合度=約12)194.5g プロピレングリコールモノメチルエーテル4 .5gを添加し、150℃で5時間反応させた。反応 80℃まで冷却し、蒸留水578.4gを徐々に添加し て、淡黄色透明の水性カルボジイミド化合物 (A-7)(不揮発分:約40質量%)を得た。

(実施例1)
 (C)成分としてのイオン交換水92gに、(A)成分 しての合成例1の水性カルボジイミド化合物 (A-1)3gを添加し、攪拌して、均一化した。更 、(B)成分としてのポリオキシエチレン変性 メチルシリコーン(東レ・ダウコーニング(株 )製、商品名「SH-3746」、不揮発分:100質量%)5g 添加し、攪拌し、均一化して光沢付与剤を 製した。このときの(A)成分の含有量と(B)成 の含有量との質量比率[(A):(B)]は19:81であり、 (A)成分と(B)成分との含有量の合計量は、光沢 付与剤中の6.2質量%であった。
 この光沢付与剤を用いて、光沢付与の対象 である乗用車の塗膜面及び塗装板の塗装膜 に下記のように塗工し、拭き上げ処理した 、評価した。評価結果を表1に示す。

 なお、表中の略語は下記の化合物を表す。
 SH-3746:ポリオキシエチレン変性ジメチルシ コーン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品 「SH-3746」、不揮発分:100%)
 KF-619:ポリオキシエチレンオキシプロピレン 変性ジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製 、商品名「KF-619」、不揮発分:100%)
 PR-3007:プロピレンオキサイド-エチレンオキ イド共重合体((株)ADEKA製、商品名「PR-3007」 不揮発分:100%)
 ソフタノール70:第2級アルコールポリエチレ ンオキサイド付加体((株)日本触媒製、商品名 「ソフタノール70」、不揮発分:100%)
 スノーテックス20:水性コロイダルシリカ(日 産化学(株)製、商品名「スノーテックス20」)

<1.乗用車による評価>
 走行距離10,000kmの乗用車(本田技研工業(株) 、商品名「フィット」)の塗膜を光沢付与の 象物とした。対象物の塗膜面を、市販の洗 (日華化学(株)製、商品名「サンレックスK」 )で洗浄して乾燥させた。この時の光沢度(測 角20°)は75であった。その後、この塗膜面に 対して、得られた光沢付与剤をスプレー噴霧 で均一に塗工した後、乾燥した布(マイクロ ァイバー、斎藤商店製、商品名「ミクロク ス」)で拭き上げた。その際、塗工開始から き上げ終了までを、温度20℃の環境下、30分 間で行った。
 その後、20℃で30分間静置した後、流水です すぎ洗いし、自然乾燥して、光沢被膜を形成 させた。
 この時の作業性を以下の(1)のように評価し 。また、光沢度を、光沢付与直後(光沢付与 剤塗工・拭き上げ処理後)、及び6ヶ月経過後( 6ヶ月間のランニング試験を行った後)の塗膜 について、以下(2)のように評価した。更に 塗膜外観を、光沢付与直後、及び6ヶ月経過 後の塗膜面について、以下(3)に示すように評 価した。これらの評価結果を表1に示す。

(1) 作業性
 光沢付与剤を塗工した後の拭き上げ時の作 性(滑り感)を、市販ワックス(カルナバワッ ス、シュアラスター社製、商品名「シュア スターカルナバワックス」)と比較して評価 した。
  ○:市販ワックスと同様の滑り感を有して た。
  △:拭き上げに若干抵抗はあったが、拭き げは可能であった。
  ×:拭き上げに抵抗があり、拭き上げが不 能であった。
(2)光沢度
  micro-TRI-gloss(ガードナー(株)製、商品名「mi cro-TRI-gloss」)を用い、塗膜面の光沢度(測定角 20°)を測定した。
(3)塗膜外観
 塗膜面の外観を、目視により下記の基準で 定した。
  1:光沢が良く、肉持ち感を有していた。
  2:光沢がやや弱く、塗膜面が少し痩せて見 えた。
  3:光沢が低く、塗膜面が痩せて見えた。
  4:塗装斑が発生して、光沢が低くかった。

<2.塗装板による評価>
 試験用のカチオン電着塗装板(テストピース (株)製、JIS G 3141(SPCC SD))に、中塗り塗料(関 ペイント(株)製、商品名「HS60」)を乾燥膜厚 が30μmになるようにエアースプレー塗装し、1 40℃で20分間焼き付けた。次いで、ブルーパ ル上塗りベースコート塗料(関西ペイント(株 )製、商品名「マジクロンHM32-1、塗色記号B-96P 」)を乾燥膜厚が20μmになるようにエアースプ レー塗装し、140℃で20分間焼き付けた。さら 、ブルーパール上塗りトップコート塗料(関 西ペイント(株)製、商品名「ルーガーベークH K-4クリヤー」)を乾燥膜厚が30μmになるように エアースプレー塗装し、140℃で20分間焼き付 て、塗装板を作成した。得られた塗装板は 均一で光沢のある塗装膜を形成していたが 粗めのコンパウンド(カット 1-L 5967、住友 リーエム(株)製、商品名「カット 1-L 5967」 )で小傷を付けた後、コンパウンド成分をn-ヘ キサン、アセトンの順で拭き取り、光沢度( 定角20°)が70である塗装板を得た。この塗装 を光沢付与の対象物とした。
 対象物の塗膜面を、市販の洗剤(日華化学( )製、商品名「サンレックスK」)で洗浄し、 燥させてから、この塗膜面に対して、得ら た光沢付与剤約0.5cm3をスプレー噴霧で均一 塗工した後、乾燥した布(マイクロファイバ 、斎藤商店製、商品名「ミクロクロス」)で 拭き上げた。その際、塗工開始から拭き上げ 終了までを、温度20℃の環境下、30分間で行 た。
 その後、20℃で30分間静置した後、流水です すぎ洗いし、自然乾燥して、光沢被膜を形成 させた。
 この時の作業性について、上記乗用車によ 評価における(1)と同様に評価した。また、 沢度を、光沢付与直後(光沢付与剤塗工・拭 き上げ処理後)、及び下記耐候処理500時間後 塗膜面について、前記(2)と同様に評価した 更に、塗膜外観を、光沢付与直後後、及び 候処理500時間後の塗膜面について、前記(3) 同様に評価した。これらの評価結果を表1に す。

[耐候処理]
 耐候試験機(アトラス社製、「キセノンウェ ザー・オ・メーター CI-4000」)を用い、500時 の処理を行った。処理条件は、ブラックパ ル温度63℃、2時間サイクル中の降雨時間12分 、照射時間108分とした。

<3.光沢被膜の厚さ>
 光沢付与剤から形成された光沢被膜の厚さ 、光沢付与の対象物として塗装板を用いた の、光沢付与剤を塗工する前と塗工した後 塗装板の質量変化[塗工後質量(g)-塗工前質 (g)]、塗工面積、光沢付与剤の密度及び拭き げ率[拭き上げ質量(g)×100/(塗工後質量(g)-塗 前質量(g))](%)から、以下の計算式で算出し 。求めた値を表1に示す。光沢付与の対象物 乗用車の場合も、塗装板と同様の操作で処 したので、塗装板に対する処理で求めた光 被膜の厚さと同様であると推定した。
 塗工膜厚(μm)=[塗工後質量(g)-塗工前質量(g)]/ 面積(m 2 )/光沢付与剤の密度(g/cm 3 )
 光沢被膜厚(μm)=塗工膜厚(μm)×光沢付与剤の 不揮発分(%)×(1-拭き上げ率(%)/100)/100
 光沢付与剤の不揮発分は、光沢付与剤を熱 乾燥機で105℃、3時間乾燥し、光沢付与剤の 乾燥前質量(g)と乾燥後質量(g)を用い、以下の 計算式で算出した。
 不揮発分(%)=乾燥後質量(g)/乾燥前質量(g)×100

(実施例2~12)
 (A)成分、(B)成分、(C)成分の種類、配合量を 1又は表2に示すように変更したこと以外は 施例1と同様にして光沢付与剤を得た。そし 、実施例1と同様にして評価した。評価結果 を表1又は表2に示す。

(比較例1)
 カルナバワックス(シュアラスター社製、商 品名「シュアラスターカルナバワックス」) 、実施例1と同様の光沢付与の対象物である 動車の塗膜面及び塗装板の塗膜面にスポン で塗布し、布(マイクロファイバー、斎藤商 店製、商品名「ミクロクロス」)で拭き上げ 。そして、実施例1と同様にして評価した。 価結果を表3に示す。

 なお、表中の略語は下記の化合物を表す。
 カルナバワックス:シュラアスターカルナバ ワックス(シュアラスター社製、商品名「シ アラスターカルナバワックス」)
 エバファノール HA-10:アニオン性ウレタン 脂(日華化学(株)製、商品名「エバファノー 」、不揮発分:40%)
 ジョンクリル 70:アニオン性アクリレート 脂(ジョンソンポリマー(株)製、商品名「ジ ンクリル 70」、不揮発分:30%)

(比較例2~4)
 (A)成分、(B)成分、(C)成分、その他成分の種 、配合量を表3に示すように変更したこと以 外は実施例1と同様にして光沢付与剤を得た そして、実施例1と同様にして評価した。評 結果を表3に示す。

 (A)水性カルボジイミド化合物と(B)水性液状 機化合物と(C)溶媒とを特定比率で含有する 施例1~12の光沢付与剤によれば、優れた光沢 度と外観を有し、しかも耐久性に優れる光沢 被膜を形成できた。また、作業性に優れ、簡 便に光沢被膜を形成できた。特に、(B)水性液 状有機化合物としてポリエーテル変性シリコ ーン類を用いた場合には、その効果がより発 揮されていた。
 一方、カルナバワックスを用いた比較例1の 光沢付与剤では、光沢付与後の光沢度、塗膜 外観には優れていたが、耐久性に乏しかった 。
 ウレタン樹脂やアクリレート樹脂とポリエ テル変性シリコーン類を組み合わせた比較 2,3の光沢付与剤では、作業性が低く、また 優れた光沢度と塗膜外観が得られなかった
 (A)水性カルボジイミド化合物の含有量が、( A)水性カルボジイミド化合物の含有量と(B)水 液状有機化合物との含有量の質量比率[(A):(B )]が8:92より少ない比較例4の光沢付与剤では 優れた光沢度と塗膜外観が得られなかった
 (A)水性カルボジイミド化合物の含有量が、( A)水性カルボジイミド化合物の含有量と(B)水 液状有機化合物との含有量の質量比率[(A):(B )]が92:8より多い比較例5の光沢付与剤では、 れた光沢度と塗膜外観が得られない上に、 業性も低かった。

 本発明の光沢付与剤及び光沢付与方法に れば、物理的な研磨処理(ポリッシング処理 )や特別な処理装置(乾燥機や塗装機など)を用 いることなく簡便な作業で、物品表面(自動 塗膜など)に光沢を付与することができ、光 付与後に得られる被膜は長期にわたって光 を持続することができる。したがって、一 消費者が自動車塗膜などの光沢を復元させ ことができるため、産業上極めて有用であ 。