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Title:
WIRE ROD FOR I-TYPE OIL RING, AND ITS MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/153041
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a wire rod for an I-type oil ring, which includes right and left rail portions and a web portion connecting the rail portions, which has an oil hole or a molten through hole formed in the web portion, and which has a circumscribing circle diameter of 10 mm or less in its transverse contour. The molten through hole has such a remolten portion formed on its exit side as encloses the exit of the molten through hole. The remolten portion exceeds such a molten portion in the transverse section along the center of the molten through hole as is formed in the molten through hole, and is formed to have 200 μm or less from the outer circumference of the molten through hole and 100 μm or less in the depth direction of the molten through hole.

Inventors:
OCHIAI MASANORI (JP)
SASAKI MAKOTO (JP)
SATOH TOMOYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060649
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
OCHIAI MASANORI (JP)
SASAKI MAKOTO (JP)
SATOH TOMOYUKI (JP)
International Classes:
B23K26/00; F16J9/06; B23K26/16; B23K26/382; F02F5/00
Domestic Patent References:
WO2006132229A12006-12-14
Foreign References:
JPH09159025A1997-06-17
JP2007057008A2007-03-08
Other References:
See also references of EP 2169281A4
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg.2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
 左右のレール部と該レール部を連結するウェブ部とを有し、該ウェブ部には溶融貫通孔でなるオイルホールを有し、線材の横断面輪郭の外接円径が10mm以下であるI型オイルリング用線材であって、前記溶融貫通孔の出口側には、溶融貫通孔出口を取り巻く再溶融凝固部が形成されており、前記再溶融凝固部は、貫通孔中心に沿う横断面で、前記溶融貫通孔に形成される溶融凝固部を超え、前記溶融貫通孔の外周から200μm以下形成されるとともに、前記溶融貫通孔の深さ方向に100μm以下形成されているI型オイルリング用線材。
 前記溶融貫通孔の形成方向は、線材の横断面形状の開口角度の狭い方から広い方に向かって形成されている請求項1に記載されたI型オイルリング用線材。
 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高さは、30μm以下である請求項1に記載されたI型オイルリング用線材。
 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高さは、30μm以下である請求項2に記載されたI型オイルリング用線材。
 左右のレール部と該レール部を連結するウェブ部とを有し、該ウェブ部には溶融貫通孔であるオイルホールを有し、線材の横断面輪郭の外接円径が10mm以下であるI型オイルリング用線材の製造方法であって、前記溶融貫通孔をレーザによって穿孔する穿孔工程と、次いで前記溶融貫通孔の出口側に、溶融貫通孔出口を取り巻く再溶融部をレーザによって、貫通孔中心に沿う横断面で、前記溶融貫通孔に形成される溶融部を超え、前記溶融貫通孔の外周から200μm以下、前記溶融貫通孔の深さ方向に100μm以下となる再溶融部を形成する再溶融部形成工程を含むI型オイルリング用線材の製造方法。
 前記溶融貫通孔の形成方向は、線材の横断面形状の開口角度の狭い方から広い方に向かう方向である請求項5に記載されたI型オイルリング用線材の製造方法。
 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高さを30μm以下に形成する請求項5に記載されたI型オイルリング用線材の製造方法。
 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高さを30μm以下に形成する請求項6に記載されたI型オイルリング用線材の製造方法。
 前記穿孔工程の前に、I型オイルリング用線材の少なくとも貫通孔を形成する面に油を塗布する、油塗布工程を有する請求項5から請求項8までのいずれか1項に記載されたI型オイルリング線材の製造方法。
 前記穿孔工程は、所定寸法よりも小さい寸法の孔を穿孔する予備穿孔工程と、次いで所定寸法の孔を穿孔する仕上げ穿孔工程からなる請求項5から請求項9までのいずれか1項に記載されたI型オイルリング用線材の製造方法。
 前記再溶融部形成工程に次いで、前記ウェブ部の再溶融部が形成されている面側にブラスト処理を施すブラスト処理工程を含む請求項5から請求項10までのいずれか1項に記載されたI型オイルリング用線材の製造方法。
Description:
I型オイルリング用線材およびそ の製造方法

 本発明は、左右のレール部と該レール部 連結するウェブ部とを有するI型オイルリン グ用線材およびその製造方法に関するもので ある。

 従来、内燃機関のピストンに装着されるオ ルリングを形成するためのI型線材に形成す るオイルホールは打ち抜き加工により形成さ れてきた。打ち抜き加工による穿孔を行なう には、個々の製品仕様に対応するダイスを用 意しなければならない。
 これに対して、特許文献1に開示されるよう に、I型オイルリング用線材のオイルホール 形成する手段として、レーザビーム加工が 案された。特許文献1の技術によると、オイ ホールを形成するために、個々の製品仕様 対応するダイスを準備する必要はなく、レ ザビーム加工によって、任意の、孔形状、 ピッチに加工できる点で有利である。

 前記特許文献1に開示されたスチール製オイ ルリングの製造方法は、穿孔のための工数削 減の点では有利であるものの、断面異形線材 の表面にレーザ加工により生じた凝固残留物 (以下ドロスと言う)が付着するという問題が った。ドロスが残留すると、エンジン作動 に、ドロスの脱落により、エンジン潤滑油 に金属の塊が混入し、シリンダー壁面に損 を与える危険性がある。
 ドロス付着の影響を改善するために、特許 献2では、YAGレーザを含む高熱エネルギー密 度加工法を用い加熱し、アシストガスに酸素 や空気を用いることが開示されている。また 、ドロスを出射側から再加熱して吹き飛ばす ことが記載されている。また、特許文献2に 、ドロス対策として、擦過(研削、切削、ハ リ)によるインラインでのドロス除去法の有 効性も記述されている。

特開平3-260473号公報

特開平9-159025号公報

 特許文献2には、表面に付着したドロスを溶 融させ、高圧ガスで吹き飛ばす技術が開示さ れているが、ノロは孔周辺からは排除される にしても、表面の別の場所に再付着し、また は、孔を通過して裏面に付着する恐れがあり 、信頼性に欠ける。
 また、貫通孔に形成されたドロスを吹き飛 せるほどの熱エネルギーとガス圧を与える 、貫通孔の形状が所定の形状を満たさなく り、オイルリングとしての性能を阻害する れがある。

 かくして、本発明の目的は、I型オイルリ ング用線材およびその製造方法において、ド ロスの影響を低減化し、かつ所定の形状寸法 のオイルホールを有するI型オイルリング用 材およびその製造方法を提供することであ 。

 本発明者らはI型オイルリング用線材の溶 融貫通孔であるオイルホールの出口側に所定 の再溶融部を形成することにより、ドロスの 影響を低減化し、かつ所定の形状のオイルホ ールが得られることを見出した。

 本発明の第一の観点によれば、以下のI型オ イルリング用線材が提供される。
 左右のレール部と該レール部を連結するウ ブ部とを有し、該ウェブ部には溶融貫通孔 あるオイルホールを有し、線材の横断面輪 の外接円径が10mm以下のI型オイルリング用 材であって、前記溶融貫通孔の出口側には 溶融貫通孔出口を取り巻く再溶融凝固部が 成されており、前記再溶融凝固部は、貫通 中心に沿う横断面を見たときに、前記溶融 通孔に形成される溶融部を超え、前記溶融 通孔の外周から200μm以下形成されるととも 、前記溶融貫通孔の深さ方向に100μm以下形 されているI型オイルリング用線材。

 前記溶融貫通孔の形成方向は、線材の横断 の開口角度の狭い方から広い方に向かって 成されていることが好ましい。
 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高 は、30μm以下であることが好ましい。

 本発明の第二の観点によれば、前記I型オイ ルリング用線材は、前記溶融貫通孔をレーザ によって穿孔する穿孔工程と、次いで前記溶 融貫通孔の出口側に、該溶融貫通孔出口を取 り巻く再溶融部をレーザによって、貫通孔中 心に沿う横断面を見たときに、前記溶融貫通 孔に形成される溶融部を超え、前記溶融貫通 孔の外周から200μm以下、前記溶融貫通孔の深 さ方向に100μm以下となる再溶融部を形成する 再溶融部形成工程により得ることができる。
 溶融貫通孔の形成方向は、線材の横断面の 口角度の狭い方から広い方に向かって形成 ることが好ましく、前記溶融貫通孔の上下 における隆起部高さは30μm以下に形成する とが好ましい。

 好適には、前記穿孔工程の前に、I型オイル リング用線材の少なくとも貫通孔を形成する 面に油を塗布する。
 好適には、前記穿孔工程は、所定寸法より 小さい寸法の孔を穿孔する予備穿孔工程と 次いで所定寸法の孔を穿孔する仕上げ穿孔 程とを含む。
 前記再溶融部形成工程に次いで、前記ウェ 部の再溶融凝固部が形成されている面側に ラスト処理してもよい。

 本発明によれば、I型オイルリング用線材 の溶融貫通孔であるオイルホールの出口側に 再溶融部を形成することにより、ドロスの影 響を低減化し、かつ所定の形状のオイルホー ルを得ることができる。

 本発明のI型オイルリング用線材は、溶融貫 通孔の出口側には、前記溶融貫通孔出口を取 り巻く再溶融凝固部が形成されており、前記 再溶融凝固部は、貫通孔中心に沿う横断面を 見たときに、前記溶融貫通孔に形成される溶 融部を超え、前記溶融貫通孔の外周から200μm 以下形成されるとともに、前記溶融貫通孔の 深さ方向に100μm以下形成される。
 I型オイルリング用線材の溶融貫通孔に生じ るドロスは、主として、図2に示すように溶 貫通孔2の出口、すなわち、穿孔方向の出側 取り巻く部位に発生する。本発明において 再溶融部1を形成する部位は、図1に示すよ に、貫通孔出口を取り巻く部位に形成する とで、図2に示すような溶融貫通孔2の出口を 取り巻く部位に発生したドロス3を再溶融さ ることにより、ドロス3の脱落を抑制し線材 一体化して無害化することができる。

 また、本発明のI型オイルリング用線材に形 成される再溶融部は、貫通孔中心に沿う横断 面を見たときに、前記溶融貫通孔に形成され る溶融部を超えることが必要である。ドロス は、前記溶融貫通孔に形成される溶融部に沿 って形成されることが多く、この溶融部を超 えないとドロスの脱落を抑制し線材と一体化 するのに不十分である。また、溶融部が広す ぎると靱性に悪影響を及ぼす恐れがあるので 、前記溶融貫通孔の外周から200μm以下に形成 することが好ましい。また、再溶融部は、前 記溶融貫通孔の深さ方向において深すぎると 、靱性に悪影響を及ぼす恐れがあるので100μm 以下に形成することが好ましい。なお、貫通 孔の溶融部とこの溶融部の形成に伴って形成 される熱影響層が存在するが、これらは靱性 に悪影響を及ぼすため、できるだけ薄いこと が好ましい。
 本発明においては、再溶融凝固部形成によ 線材の強度や靱性への影響は、幅方向(線径 方向)が大きいため、横断面の形態で規定し 。しかし、線材の長さ方向における溶融部 広がりが過度に大きいと、強度や靱性に悪 響を及ぼす恐れがある。従い線材の長さ方 においても、前記溶融貫通孔の外周から500μ m以下であることが好ましい。
 なお、貫通孔形状としては、レーザの入射 が大きく、出側が小さくなりやすい。その め、貫通孔径の小さい側に再溶融部が形成 れるのが実際例である。

 本発明のI型オイルリング用線材における溶 融貫通孔の形成方向は、線材の横断面の開口 角度の狭い方から広い方へ形成されているこ とが好ましい。
 I型オイルリング用線材に溶融貫通孔を形成 する際、溶融金属をアシストガスで吹き飛ば す場合がある。このとき、飛散する溶融金属 (スパッタ)が線材に再付着する可能性がある 穿孔方向を、開口角度が狭い方から広い方 設定することで、スパッタの飛散領域から 材を遠ざけることができ、線材へのスパッ 付着リスクを低減することができる。穿孔 程では、溶融金属を吹き飛ばすために、0.2M Pa以上の高圧でアシストガスを付与すること 好ましい。
 また、再溶融部形成工程では、穿孔工程で 用するドロスを吹き飛ばすほどの圧力は必 なく、ドロスを再溶融凝固させ、その場に どめることを目的に、0.05MPa以下の圧力のア シストガスを用いることが好ましい。

 前記溶融貫通孔の上下面における隆起部高 は、30μm以下であることが好ましい。これ 、30μmを超えると、オイルリングとして使用 する際に、オイルの流れを妨げる恐れがあり 、オイルリング本来の性能を阻害する可能性 がある。溶融貫通孔の周囲に形成された再溶 融部の隆起部高さを30μm以下とすることで、 イルリングの機能として必要とされるオイ の流動性の確保が可能となる。
 なお、隆起部高さは、アシストガスの噴射 力、ノズル位置、レーザ出力、ディフォー ス等を調整し、溶融貫通孔形状を崩すこと く、かつ30μm以下に制御することができる

 本発明のI型オイルリング材の製造方法は、 前記溶融貫通孔をレーザによって穿孔する穿 孔工程と、次いで前記溶融貫通孔の出口側に 、該溶融貫通孔出口を取り巻く再溶融部をレ ーザによって形成する再溶融部形成工程から なることを特徴としている。
 穿孔工程と再溶融部形成工程は、別々の加 ラインで加工してもよいが、同一加工ライ 中に連続で配置することで、前記穿孔工程 形成した溶融貫通孔の周囲に精度よく再溶 部を形成でき、ドロスの残存の可能性を低 できる点で好ましい。

 本発明のI型オイルリング用線材の製造方法 は、穿孔工程の前に、I型オイルリング用線 の少なくとも貫通孔を形成する面に油を塗 する、油塗布工程を設けることが好ましい 穿孔工程の前に、I型オイルリング用線材の なくとも貫通孔を形成する面へ油を塗布す ことで、穿孔工程で発生するスパッタの付 を低減できる。また、溶融貫通孔の出口側 も油を塗布することにより、アシストガス 溶融貫通孔の出口面に飛散するスパッタの 着を低減化できる。
 これは、線材に塗布された油が、スパッタ 線材表面への直接接触を防ぐことによるも である。

 本発明における穿孔工程は、所定寸法より 小さい寸法の孔を穿孔する予備穿孔工程と 次いで所定寸法の孔を穿孔する仕上げ穿孔 程からなることが好ましい。溶融貫通孔を2 段階以上で穿孔とすることで、仕上げ穿孔工 程で発生するドロスおよびスパッタの飛散量 を低減できる。
 予備穿孔工程で穿孔する孔は、ドロスやス ッタが付着しにくい形状で、かつ孔形状が れることがない孔である必要があり、仕上 穿孔工程で形成する孔よりも、長さおよび の小さい孔であることが好ましい。また、 備穿孔工程で穿孔する孔と仕上げ穿孔工程 穿孔する貫通孔の中心は、共に線材の幅方 の中央に存在していることが好ましい。予 穿孔工程では、必ずしも貫通させる必要が るわけではない。

 本発明のI型オイルリング用線材の製造方法 では、再溶融部形成工程に次いで、ウェブ部 の再溶融部が形成されている面側にブラスト 処理を施すこともできる。再溶融凝固部が形 成されている面側にブラスト処理をすること で、線材が変形することなく、線材に付着す るスパッタや油分等が除去されるとともに、 所定の表面粗さを得えることができる。また 、本発明のI型オイルリング用線材の表面を 定の表面粗さとすることで、オイルリング 機能として必要とされる油膜の保持力を向 することが期待できる。
 また、本発明におけるブラスト処理は、線 に付着する除去しようとする対象物の付着 態によって、メディアや処理圧力等を製品 仕様に合わせて適宜選択できる。

                実施例1
 上記実施の形態に基づいて、表1の実験例1 示すI型オイルリング用線材を連続的に走行 せながら、線材のウェブ部に図4に示す貫通 孔の幅7、長さ8、ピッチ9がそれぞれ表1に示 寸法の長孔状のオイルホールをレーザ加工 より形成し、次いでドロスを無害化する再 融部の形成をレーザ加工により行った。以 に詳細を説明する。

 先ず、本発明で用いるレーザ加工設備は 油塗布工程、予備穿孔工程、仕上げ穿孔工 、再溶融部形成工程およびウェットブラス 装置を線材の走行ラインに沿って直線状に 置した。実験に使用するI型オイルリング用 線材は、図3に示す幅4、厚さ5、ウェブの厚さ 6がそれぞれ表1に示す寸法の線材を準備し、 ず、図3に示すようにR面が上を向いた姿勢 走行させながら、線材の貫通孔を形成する に油を塗布した。

 予備穿孔工程では、図3に示すR面の上方 らウェブに向けて、出力2.0kWのパルスYAGレー ザを、凡そウェブ中間点に焦点を結ばせるよ うにして、スポット径は所定寸法を穿孔する ために用いるものより小さいものを用い、所 定寸法を穿孔するときより短い時間でレーザ を照射するとともに、アシストガスとして圧 力0.7MPaの窒素ガスを噴射し、所定寸法の孔よ りも小さい貫通孔を形成した。

 仕上げ穿孔工程では、図3に示すように、線 材の横断面の開口角度が広いR面の上方から ェブに向けて、表1に示す出力のパルスYAGレ ザを、凡そウェブ中間点に焦点を結ばせる うにして、スポット径を0.45mmで、2ms間照射 るとともに、アシストガスとして圧力0.7MPa 窒素ガスを噴射し、貫通孔を形成した。
 このとき、図5に示すように、溶融貫通孔を 形成しただけでは、溶融貫通孔出口側に一部 が母材から突出し、オイルリングの使用中に 脱落の危険性を伴うドロス10が付着している とを確認した。また、線材にスパッタの付 がないことも確認した。

 次に、貫通孔出口部のドロスが発生した部 を蓋いつくす領域に、表1の出力のパルスYAG レーザを3.0ms間照射するとともに、アシスト スとして圧力0.03MPaの窒素ガスを噴射し、ド ロスを再溶融凝固させた。その結果を図19お び表2に示す。尚、表2に示す溶融部深さは 溶融貫通孔の側面からの溶融部の幅4方向の さを測定した。
 図6および表2に示すように、再溶融凝固部11 は、貫通孔中心における横断面を見たときに 、幅4の方向で溶融貫通孔に形成される溶融 を超えて形成している。実験例1においては 溶融貫通孔出口の外周から幅4の方向で100μm 以下、かつ溶融貫通孔の深さ方向、すなわち 厚さ5の方向に30μm以下形成されていることを 確認した。これにより、図5で示す脱落の可 性があるドロス10が母材に再溶融・一体化し 、ドロスのエンジン内への脱落の危険性がな くなった線材を得ることができた。
 このときの厚さ5方向の隆起部高さは、溶融 貫通孔の出口側、つまり再溶融部で最大15μm 溶融貫通孔入射側で0μmであり、貫通孔の周 囲が平滑になったことを確認した。これによ り、オイルリングの機能として必要とされる オイルの流動性の確保が期待できる。

 次に、表1の実験例2~4の条件を用いて、I型 イルリング用線材を図3とは逆向き、つまり ール面が上を向いた姿勢で走行させ、実験 1と同様に、油塗布工程、予備穿孔工程、仕 上げ穿孔工程および再溶融部形成工程を経た I型オイルリング用線材を作製した。尚、表1 2に示す実験例4における10Cr鋼とは、質量%で 、C:0.5%、Si:0.2%、Mn:0.3%、Cr:10%、残部Feおよび 可避的不純物からなる組成を有する鋼であ 。
 予備穿孔工程では、図3に示すように、R面 上を向いた姿勢で線材を走行させ、表1に示 条件でレール面の下方からウェブに向けて ーザを照射し、溶融貫通孔を形成した。

 次に、仕上げ穿孔工程では、図3に示すよう に、I型オイルリング用線材をR面が上を向い 姿勢で走行させ、線材の横断面の開口角度 狭いレール面の下方からウェブに向けて、 1に示す条件でレーザを照射し溶融貫通孔を 形成した。具体例として実験例2の結果を図7 示す。
 図7に示すように、溶融貫通孔を形成しただ けでは、溶融貫通孔出口側に脱落の危険性を 伴うドロス12が付着していることを確認した また、このとき、線材にスパッタの付着が いことも確認した。

 次に、図3に示すR面が上を向いた姿勢で走 させ、実施例1と同様の条件を用いて貫通孔 口部に再溶融部を形成した。その結果を、 験例2については図8および表2で、その他は 2にまとめて示す。なお、各測定は実験例1 同様に行った。
 図8および表2に示すように、実験例2~4にお ても、実験例1と同様にドロス12が母材に再 融・一体化し再溶融凝固部13を形成すること で、ドロスのエンジン内への脱落の危険性が なくなった線材が得られたことを確認できた 。

                実施例2
 表1の実験例2の再溶融部形成工程に次いで 前記ウェブ部の再溶融部が形成されている 側にインラインで設置したウェットブラス 装置を用いて、濃度20%のスラリーを投射ガ と線材間距離20mm、エアー圧力0.5MPaの条件で ラスト処理を行った。その結果を図9に示す 。
 図9に示すように、製品形状を損なうことな く、油分が除去されていることを確認した。 このとき、線材の表面粗さは、Rz1.5μmであっ 。これにより、オイルリングの機能として 要とされる油膜の保持力の向上が期待でき 。

本発明のI型オイルリング用線材の表面 形態の一例を示す顕微鏡写真。 溶融貫通孔を形成した後の表面形態の 例を示す顕微鏡写真。 本発明のI型オイルリング用線材の横断 面の形状の一例を示す模式図。 本発明のI型オイルリング用線材の表面 形態の一例を示す模式図。 本発明の溶融貫通孔を形成した後の線 の断面マイクロ組織写真。 本発明の再溶融部を形成した後の線材 断面マイクロ組織写真。 本発明の溶融貫通孔を形成した後の線 の断面マイクロ写真。 本発明の再溶融部を形成した後の線材 断面マイクロ組織写真。 再溶融凝固部が形成されている面側に ラスト処理を行った線材の外観を示す顕微 写真。

符号の説明

 1、11、13 再溶融凝固部
 2 溶融貫通孔
 3、10、12 ドロス
 4 幅
 5 厚さ
 6 ウェブの厚さ
 7 貫通穴の幅
 8 貫通孔の長さ
 9 貫通孔のピッチ