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Title:
X-RAY PHOTOGRAPHY SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102574
Kind Code:
A1
Abstract:
An X-ray photography system which can produce a good image available for medical diagnosis/biological diagnosis even when a living animal or a human body is an object. The X-ray photography system (100) comprises an X-ray tube (122) for irradiating X-rays, an object table (13), a first diffraction grating (15) causing Talbot's effect, a second diffraction grating (16) for diffracting X-rays which is diffracted by the first diffraction grating (15), an X-ray detector (14) for detecting X-rays, an actuator (20) for moving the first diffraction grating (15) to a predetermined position, and a controller (31). A diffraction member (152) extending in a predetermined direction is juxtaposed to the first diffraction grating (15) which can move along a direction parallel with the diffraction grating plane thereof and intersecting the extending direction of the diffraction member (152). The controller (31) controls the X-ray photography system to perform a series of photography operations of irradiating X-rays from the X-ray tube (122) and detecting the X-rays by the X-ray detector (14) under a state where the first diffraction grating (15) is stopped at a predetermined position.

Inventors:
TAMAKOSHI YASUAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050332
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
January 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA MED & GRAPHIC (JP)
TAMAKOSHI YASUAKI (JP)
International Classes:
A61B6/00
Domestic Patent References:
WO2004058070A12004-07-15
Foreign References:
JP2006263473A2006-10-05
JP2006325631A2006-12-07
JP2002306471A2002-10-22
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Claims:
 X線を照射するX線源と、
 被写体を配置するための被写体台と、
 前記被写体台を透過して照射されたX線を回折することによりタルボ効果を生じさせる第一の回折格子と、
 前記第一の回折格子により回折されたX線を回折する第二の回折格子と、
 前記第二の回折格子により回折されたX線を検出するX線画像検出器と、
 前記第一の回折格子及び前記第二の回折格子の少なくとも一方の回折格子を移動させる駆動手段と、
 前記X線源及び前記駆動手段を制御する制御手段と、
 を備え、
前記第一回折格子及び前記第二回折格子の少なくとも一方は、所定方向に延在する回折部材が並設されたものであり、当該回折格子の回折格子面に沿い、かつ、前記回折部材に交差する方向に沿って移動可能であり、
 前記制御手段は、
前記駆動手段によって前記回折格子の移動をさせていない状態で、前記X線源からX線の照射を開始し、
前記X線源がX線の照射を停止した後、前記駆動手段が前記第一回折格子及び前記第二回折格子の少なくとも一方の移動を開始させるように制御するものであることを特徴とするX線撮影システム。
前記制御手段は、前記X線画像検出器も制御するものであり、
前記駆動手段によって前記回折格子の移動をさせておらず、かつ、前記X線画像検出器がX線画像の読み取りをしていない状態で、前記X線源からX線の照射を開始し、
前記X線源がX線の照射を停止した後、前記X線画像検出器がX線画像の読み取りを開始し、かつ、前記駆動手段が前記第一回折格子及び前記第二回折格子の少なくとも一方の移動を開始させるように制御するものであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載のX線撮影システム。
 前記撮影動作を複数回繰り返し、複数のX線画像を得るものであり、
 前記複数回の撮影動作間各々の前記駆動手段による前記回折格子の移動量に関する移動量情報を得る移動量情報取得手段を有することを特徴とする請求の範囲第1項又は請求の範囲第2項に記載のX線撮影システム。
 前記撮影動作を複数回繰り返し、複数のX線画像を得るものであり、
 前記複数回の撮影動作間各々の前記駆動手段による前記回折格子の移動量が所定の移動量であることを特徴とする請求の範囲第1項又は請求の範囲第2項に記載のX線撮影システム。
 得られた複数のX線画像と前記回折格子の前記移動量とに基づいて微分位相画像を得る微分位相画像取得手段を有することを特徴とする請求の範囲第3項又は請求の範囲第4項に記載のX線撮影システム。
 得られた複数のX線画像と前記回折格子の前記移動量とに基づいて位相差画像を得る位相差画像取得手段を有することを特徴とする請求の範囲第3項から請求の範囲第5項のいずれか一項に記載のX線撮影システム。
Description:
X線撮影システム

 本発明は、X線撮影システムに係り、特に X線位相画像の撮影が可能なX線撮影システム 関する。

 従来、X線画像撮影として、被写体による X線吸収により形成されるX線吸収画像による 像診断が一般的である。しかしながら、例 ば、人体や動物の軟部組織のように、X線吸 収が小さい被写体の場合、充分なコントラス トが得られず画像診断がしにくかったり、困 難であったりした問題があった。

 そこで、このような軟部組織等のX線吸収 が小さい被写体の変化を発見するためには、 最近、放射線画像撮影に代わり、MRI(magnetic r esonance imaging)等により得られた画像を用いた 診断が検討されている。しかし、MRIによる撮 影は費用や診察に要する時間等の観点から被 撮影者の負担が大きく、一般の定期検診等に 組み込んで行うことは難しいことから、撮影 を定期的に行い、変化を経時的に観察するこ とは困難であるという問題があった。

 一方、X線画像撮影として、被写体による X線位相差により形成されるX線位相画像を取 する手法の開発が進められている。このX線 位相画像撮影は、医療診断・生物診断・食物 検査用に用いた場合、X線吸収画像と比較し 、被写体の軟部のコントラストが大きい、 いはエッジ効果によってくっきりと見える めに、例えば、微小な病変の検出や、軟部 織の病変の検出が可能となっている。

 X線位相画像撮影においては、結晶性X線 渉計方式、DEI方式、伝播法、Zemike位相差顕 法、タルボ干渉計方式など、種々の方式が 発されている。

 例えば、特許文献1で開示されているタルボ 干渉計方式では、第一回折格子によるタルボ 効果と第二回折格子により得られるモアレ縞 画像を縞走査法で複数枚撮影し、位相シフト 像(位相差画像)と位相シフト微分像(微分位相 画像)を得ることが開示されている。

国際公開第2004/058070号

 しかしながら、タルボ干渉計方式では、 走査法で複数枚撮影する際に、人手で回折 子の位置を調整しているために、撮影に非 に時間がかかり、食物・植物・ファントー など静止した被写体では問題無いが、生き 動物や人体を被写体とする場合などでは、 写体自体がその間に動いてしまい、医療診 ・生物診断に利用可能な画像が得られない 合が多々あるとの問題があることが分かっ 。

 そこで、本発明は以上のような課題を解 するためになされたものであり、生きた動 や人体を被写体とした場合でも、医療診断 生物診断に利用可能な良好な画像が得られ X線撮影システムを提供することを目的とす る。

 請求の範囲第1項記載の発明に係るX線撮影 ステムは、
 X線を照射するX線源と、
 被写体を配置するための被写体台と、
 前記被写体台を透過して照射されたX線を回 折することによりタルボ効果を生じさせる第 一の回折格子と、
 前記第一の回折格子により回折されたX線を 回折する第二の回折格子と、
 前記第二の回折格子により回折されたX線を 検出するX線画像検出器と、
 前記第一の回折格子及び前記第二の回折格 の少なくとも一方の回折格子を移動させる 動手段と、
 前記X線源及び前記駆動手段を制御する制御 手段と、
 を備え、
前記第一回折格子及び前記第二回折格子の少 なくとも一方は、所定方向に延在する回折部 材が並設されたものであり、当該回折格子の 回折格子面に沿い、かつ、前記回折部材に交 差する方向に沿って移動可能であり、
 前記制御手段は、
前記駆動手段によって前記回折格子の移動を させていない状態で、前記X線源からX線の照 を開始し、
前記X線源がX線の照射を停止した後、前記駆 手段が前記第一回折格子及び前記第二回折 子の少なくとも一方の移動を開始させるよ に制御するものであることを特徴としてい 。

 請求の範囲第2項記載の発明は、請求の範囲 第1項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御手段は、前記X線画像検出器も制御 るものであり、
前記駆動手段によって前記回折格子の移動を させておらず、かつ、前記X線画像検出器がX 画像の読み取りをしていない状態で、前記X 線源からX線の照射を開始し、
前記X線源がX線の照射を停止した後、前記X線 画像検出器がX線画像の読み取りを開始し、 つ、前記駆動手段が前記第一回折格子及び 記第二回折格子の少なくとも一方の移動を 始させるように制御するものであることを 徴としている。

 請求の範囲第3項記載の発明は、請求の範囲 第1項又は請求の範囲第2項に記載のX線撮影シ ステムにおいて、
 前記撮影動作を複数回繰り返し、複数のX線 画像を得るものであり、
 前記複数回の撮影動作間各々の前記駆動手 による前記回折格子の移動量に関する移動 情報を得る移動量情報取得手段を有するこ を特徴としている。

 請求の範囲第4項記載の発明は、請求の範囲 第1項又は請求の範囲第2項に記載のX線撮影シ ステムにおいて、
 前記撮影動作を複数回繰り返し、複数のX線 画像を得るものであり、
 前記複数回の撮影動作間各々の前記駆動手 による前記回折格子の移動量が所定の移動 であることを特徴としている。

 請求の範囲第5項記載の発明は、請求の範囲 第3項又は請求の範囲第4項に記載のX線撮影シ ステムにおいて、
 得られた複数のX線画像と前記回折格子の前 記移動量とに基づいて微分位相画像を得る微 分位相画像取得手段を有することを特徴とし ている。

 請求の範囲第6項記載の発明は、請求の範囲 第3項から請求の範囲第5項のいずれか一項に 載のX線撮影システムにおいて、
 得られた複数のX線画像と前記回折格子の前 記移動量とに基づいて位相差画像を得る位相 差画像取得手段を有することを特徴としてい る。

 請求の範囲第1項記載の発明によれば、第 一の回折格子と第二の回折格子を所望の位置 関係に移動させつつ、第一の回折格子と第二 の回折格子を停止させた状態でX線照射する で、回折格子の移動中にX線照射することが く、ぶれのない医療診断・生物診断に利用 能な良好な画像が得られる傾向となる。

 請求の範囲第2項記載の発明によれば、第 一の回折格子と第二の回折格子を所望の位置 関係に移動させつつ、第一の回折格子と第二 の回折格子を停止させた状態で、かつ、X線 出器が読み取りしていない状態で、X線照射 、また、X線画像検出器もX線照射していな タイミングで読み取るので良好な読み取り でき、また、X線照射と、駆動手段による回 格子の移動及びX線画像検出器での読み取り とが自動的に交互に行われるので、トータル としての撮影時間が短くなり、その間の被写 体自体のブレが少なくなり、医療診断・生物 診断に利用可能な良好な画像が得られる傾向 となる。

 請求の範囲第3項記載の発明によれば、第 一の回折格子及び第二の回折格子の少なくと も一方の移動量を自動的に取得できるので、 X線撮影により得た複数のX画像間の関係が簡 に分かり、これらの画像を用いることで、 療診断・生物診断に利用可能な良好な画像 得られる傾向となる。

 請求の範囲第4項記載の発明によれば、第 一の回折格子及び第二の回折格子の少なくと も一方を移動させるが、この移動量が所定の 移動量情報で示される移動量なので、X線撮 により得た複数のX画像間の関係が簡単に分 り、これらの画像を用いることで、医療診 ・生物診断に利用可能な良好な画像が得ら る傾向となる。

 請求の範囲第5項記載の発明によれば、複 数のX線画像と複数回のX線撮影間における回 格子の移動量に基づいて微分位相画像を得 ので、医療診断・生物診断に利用可能な良 な微分位相画像が得られる傾向となる。

 請求の範囲第6項記載の発明によれば、複 数のX線画像と複数回のX線撮影間における回 格子の移動量に基づいて位相差画像を得る で、医療診断・生物診断に利用可能な良好 位相差画像が得られる傾向となる。

本発明におけるX線撮影システムを構成 するX線撮影装置1の第1の実施形態の要部構成 例を示す側面図である。 本実施形態におけるX線撮影システムの 制御構成を示すブロック図である。 図1の回折格子保持構造体及びこれに保 持された第一回折格子及び第二回折格子の斜 視断面図である。 図1のX線撮影装置1におけるX線透過を説 明する要部斜視図である。 第一回折格子の図4のI-I断面図である。 第二回折格子の図4のII-II断面図である 図1のX線撮影装置1におけるX線管、被写 体、第一回折格子、第二回折格子、X線検出 の位置関係を説明する説明図である。 図1のX線撮影システムで実行されるX線 影方法の流れを表すフローチャートである 図1のX線撮影システムで実行されるX線 影方法の一変形例の流れを表すフローチャ トである。 図1のX線撮影装置1の一変形例の要部構 成を示す側面図である。 本発明におけるX線撮影システムを構 するX線撮影装置1の第2の実施形態の要部構 例を示す側面図である。

符号の説明

 1 X線撮影装置
 3 コンソール
 11 支持基台
 12 X線照射部
 13 被写体台
 14 X線検出器
 15 第一回折格子
 16 第二回折格子
 17 回折格子保持構造体
 19 緩衝部材(緩衝手段)
 20 アクチュエータ(駆動手段)
 21 加速度センサ
 22 圧力センサ
 31 制御装置(制御手段)
 33 表示装置
 100 X線撮影システム
 122 X線管
 171 緩衝部材(緩衝手段)
 H 被写体

 以下、図面を参照しながら本発明に係るX 線撮影システムの実施形態について説明する 。

 なお、発明を実施するための最良の形態欄 、発明を実施するために発明者が最良と認 している形態を示すものであり、発明の範 や、特許請求の範囲に用いられている用語 一見、断定又は定義するような表現もある 、これらは、あくまで、発明者が最良と認 している形態を特定するための表現であり 発明の範囲や、特許請求の範囲に用いられ いる用語を特定又は限定するものではない
<第1の実施形態>
 図1から図9を参照しながら本発明に係るX線 影システムの第1の実施形態について説明す る。

 図1は、本実施形態におけるX線撮影シス ムに適用されるX線撮影装置の構成例を示し ものであり、図2は、X線撮影システムの制 構成を示した図である。

 図2に示すように、X線撮影システム100は 被写体HのX線撮影を行うX線撮影装置1と、X線 撮影装置1の各部を制御して被写体Hに照射す X線の制御を行ったり、X線を照射して取得 たX線画像の画像処理等を行うコンソール3と 、を備えている。

 X線撮影装置1は、図1に示すように、床面 ボルト等で固定された支持基台11を備えて る。支持基台11は、床面に対して垂直方向に 延在する支持部材111を備えており、支持部材 111の上部には、上方から下方に向かってほぼ 鉛直方向であるX線光軸方向にX線を照射するX 線照射部12が設けられている。X線照射部12のX 線光軸方向下方の位置に、被写体Hを下から 持する被写体台13が配設されている。被写体 台13のX線光軸方向下方の位置に、X線照射部12 から照射され被写体Hを透過したX線を検出す X線検出器14が設けられている。また、被写 台13とX線検出器14との間には、前記被写体 13とは別体に構成され第一回折格子(第一の 折格子)15及び第二回折格子(第二の回折格子) 16(図3等参照)を一体に保持する回折格子保持 造体17が配設されている。

 X線照射部12には、X線管122に高電圧を供給 する高電圧電源121と、高電圧電源121から供給 された高電圧によりX線を発生するX線管122(X 源)が設けられている。また、X線照射部12は X線源制御部123を備えており、高電圧電源121 及びX線管122は、X線源制御部123とそれぞれ接 されている。X線源制御部123は、コンソール 3の制御装置31(図2参照)からの制御信号に基づ いて、高電圧電源121、X線管122を制御する。

 X線管122は、第一回折格子15及び第二回折 子16を介してX線検出器14にX線を照射するX線 源である。X線管122としては、例えば、医療 場や非破壊検査施設で広く用いられている ーリッジX線管や、回転陽極X線管が挙げられ る。また、X線管122から照射されるX線の波長 布の半値幅は、当該X線のピーク波長の0.1倍 以下となっている。

 なお、回転陽極X線管においては、陰極か ら放射される電子線が陽極に衝突することで X線が発生する。これは自然光のようにイン ヒーレント(非干渉性)であり、また平行光X でもなく発散光である。電子線が陽極の固 した場所に当り続けると、熱の発生で陽極 傷むので、通常用いられるX線管122では陽極 回転して陽極の寿命の低下を防いでいる。

 電子線を陽極の一定の大きさの面に衝突 せることにより、発生したX線はその一定の 大きさの陽極の平面から被写体Hに向けて放 される。この照射方向(被写体方向)から見た 平面の大きさを実焦点(フォーカス)と呼ぶ。 点径(μm)は、JIS Z 4704-1994の7.4.1焦点試験の( 2.2)スリットカメラに規定されている方法で 定できる。なお、この測定方法中の任意選 条件は、X線照射部12の性質に応じて測定原 から考えて精度が最も高くなる条件を選択 た方が一層精度の高い測定が可能となるこ は言うまでもない。

 なお、X線源は、照射するX線の波長分布の 値幅が、当該X線のピーク波長の1/4倍以下で るものが好ましく、また、X線源は、X線管 限定されず、例えば、特開平9-171788号公報、 特開2000-173517号公報、特開2001-273860号公報な に記載のマイクロフォーカスX線源や、例え 、特開平5-217696号公報、特開2002-221500号公報 などに記載のシンクロトロン放射光X線源や 例えば、特開昭47-024288号公報、特開昭64-6349 公報、特開昭63-304597号公報、特開昭63-304596 公報、特開平1-109646号公報、特開昭58-158842 公報などに記載のプラズマX線源、例えば、 許3490770号公報などに記載のレーザX線源な であってもよいが、これらに限られない。
X線のピーク波長は、0.9Å以下(特に0.7Å以下) であることが、被写体が生きた動物や人体で あっても、吸収被爆が少なくなり、十秒以上 といった長時間照射も不要となり、更に、撮 影時間中に被写体Hのブレも抑えられ、好ま い。また、X線のピーク波長は、0.2Å以上(特 に0.4Å以上)であることが、X線の可干渉性を くして、例えば人体や動物の軟骨組織等に る屈折が十分検出でき、得られた画像を診 等に有効に用いることができ、好ましい。

  なお、X線管122としては、例えば、医療 場で広く用いられているクーリッジX線管や 回転陽極X線管が好ましく用いられる。その 、X線管球のターゲット(陽極)に乳房撮影で 用されるMo(モリブデン)を用いた場合、一般 管電圧の設定値が22kVpでピーク波長0.8ÅのX が照射され、管電圧の設定値が39kVpでピー 波長0.6ÅのX線が照射される。また、ターゲ トに一般撮影で使用されるW(タングステン) 用いた場合、管電圧の設定値が30、50、100、 150kVpでそれぞれピーク波長0.6Å、0.4Å、0.3Å 、0.2ÅのX線が、通常照射される。

  また、X線源の焦点径は、上記範囲のピ ク波長のX線を照射でき、且つ実用上の出力 強度が得られるように1μm以上(特に7μm以上) あることが好ましい。また、X線源の焦点径 、50μm以下(特に30μm以下)であることが、撮 装置のサイズの制約がある中、可干渉性を くし、よりタルボ効果を利用し鮮明な画像 得るために好ましい。

 被写体台13は、支持基台11に保持された保 持部材18によって挟持され、床面とほぼ平行 なるように支持部材111に固定されている。 持部材18の被写体台13と接触する部分には、 衝撃や振動等を吸収、緩和する緩衝部材19が けられており、被写体台13は、緩衝部材19を 介して保持部材18に保持されている。

 また、被写体台13は、水平方向の内、少 くとも被写体が被写体台13上に支持されるた めに接近する方向及び被写体台13上に支持さ た被写体が離れる方向について、第一回折 子15、第二回折格子16、及び、回折格子保持 構造体17より突き出た形状になっており、被 体が、第一回折格子15、第二回折格子16、及 び、回折格子保持構造体17に接触する可能性 低減している。

 緩衝部材19の材料としては、例えば硬質 ムや各種樹脂等が適用できるが、緩衝部材19 の材料はこれらに限定されない。

 X線検出器14は、パネル141、検出器電源部1 42、検出器通信部143、検出器制御部144等を備 て構成されており、被写体を透過し第一の 折格子及び第二の回折格子により回折され X線を検出するとともにX線画像の読み取り 行うX線画像検出器である。

 パネル141、検出器電源部142、検出器通信 143、検出器制御部144は、それぞれX線検出器 14内のバスに接続されている。

 パネル141は、X線検出器14の表面(被写体H 対向する側の面)に配置され、X線照射部12か 照射され被写体Hを透過したX線に基づいてX 画像データを出力するものである。

 本実施形態において、パネル141は2次元画 像センサであり、X線検出器14は、パネル141に 2次元配置された多数の画素毎にX線照射量に づいた信号を読み取ってX線画像データを取 得するFPD(flat panel detector)である。このパネ 141の各画素(図示せず)は、マトリクス状に 置されている。

 なお、パネル141の画素ピッチ(後述する式(8) におけるP 3 )は、X線量子ノイズの観点から、30μm以上(特 60μm以上)が好ましく、また、後述する縞の 形の充分な検出の観点から、300μm以下(特に 、150μm以下)が好ましい。

 このようなFPDとしては、X線を直接電荷に 変換して検出するアレイセンサを有する直接 型FPDであっても良いし、X線を光に変換する ンチレータと、このシンチレータにより変 された光を電荷に変換して検出するアレイ ンサとを有する間接型FPDであってもよい。 して、間接型FPDのシンチレータとしては、 状結晶蛍光体を有するものや、特許第3661196 等に記載のアレイセンサの画素単位に形成 れた箱に蛍光体を詰めたものや、蛍光体の を分散した媒体を塗布して設けたもの等が げられるが、これらに限らない。なお、シ チレータの厚さは、厚いほど感度が高くな 、シンチレータの厚さが薄いほど空間分解 が高くなる。また、シンチレータの種類に って分光感度が異なる。また、シンチレー の蛍光体としては、CsI:Tlなどハロゲン化ア カリ金属又はハロゲン化アルカリ土類金属 好ましい。

 検出器電源部142は、X線検出器14内に配設 れた各部に電力を供給する。検出器電源部1 42には、例えば、充電可能でかつ撮影時に消 する電力に対応可能なコンデンサが設けら ている。なお、検出器電源部142の構成はこ に示したものに限定されない。

 検出器通信部143は、コンソール3のインタ ーフェース34(図2において「I/F」とする。)を してコンソール3との間で信号を送受信した り、コンソール3にX線画像データを送信した することが可能な機能部である。なお、通 、X線撮影装置1は、例えば、鉛板のようなX 遮蔽部材(電波の透過を抑える性質や電波を 反射する性質を持つ金属製部材等)で覆われ X線撮影室(図示せず)に設けられており、コ ソール3は、X線技師等の操作者が待機するX 制御室(図示せず)に設けられている。このた め、検出器通信部143が無線で信号の送受信を 行うものである場合には、X線撮影室内に図 しない無線中継器を設け、この無線中継器 介してコンソール3との間で信号の送受信が 能なように構成する。

 検出器制御部144は、検出器通信部143が受 した制御信号に基づいて、X線検出器14に配 された各部を制御する。具体的には、検出 制御部144は、パネル141の画素毎に検出され X線照射量に基づいた信号の読み取りを行っ たり、この読み取りの結果得られたX線画像 ータを検出器通信部143を介してコンソール3 送信する。

 回折格子保持構造体17は、例えば、図3に すように、枠状に形成された部材であり、 折格子保持構造体17の一方の面には第一回 格子15が保持され、他方の面には第二回折格 子16が保持されている。回折格子保持構造体1 7は、第一回折格子15及び第二回折格子16が床 とほぼ平行に配置されるように支持基台11 支持部材111に緩衝部材171を介して固定され いる。

 なお、緩衝部材171は、緩衝部材19と同様 例えば硬質ゴムや各種樹脂等で形成されて るが、緩衝部材171を形成する材料はこれら 限定されない。

 回折格子保持構造体17は、前述のように 記被写体台13と別体構造となっており、回折 格子保持構造体17と被写体台13とには、被写 台13に加わる力及び振動を緩衝する緩衝手段 19、171がそれぞれ配置されている。これによ 、被写体台13に力がかかったり被写体Hが動 こと等により振動が生じたりした場合でも 回折格子保持構造体17に保持された第一回 格子15及び第二回折格子16の位置関係にずれ 生じる等の影響が生じないようになってい 。

 本実施形態においては、図4に示すように 、X線照射部12から照射され被写体Hを透過し X線が、第一回折格子15及び第二回折格子16を 透過してX線検出器14に入射するようになって おり、X線照射部12、第一回折格子15及び第二 折格子16によってタルボ干渉計が構成され 。なお、タルボ干渉計が構成される条件に いては後述する。

 図5は、第一回折格子15の図4におけるI-I断 面図である。

 図4及び図5に示すように、第一回折格子15 は、基板151と、この基板151に配置された複数 の回折部材152と、隣接する回折部材152の間各 々を埋めて、隣接する回折部材152を保持する 保持部材153を有し、被写体台13及びこれに保 された被写体Hを透過して照射されたX線を 折することにより後述するタルボ効果を生 させるものである。基板151は、例えばガラ 等により形成されている。なお、基板151の 回折部材152が配置されている面を回折格子 153とする。

 複数の回折部材152は、いずれも、X線照射 部12から照射されるX線の照射方向に直交する 一方向(例えば、本実施形態では図4における 下方向)に延びる線状の部材である。

 各回折部材152の厚みはほぼ等しくなって り、例えば、吸収型回折格子の場合、10μm 上100μm以下が好ましく、位相型回折格子の 合、1μm以上10μm以下が好ましい。

 また、複数の回折部材152の配置間隔(格子周 期)d 1 (図5参照)は一定であり、つまり複数の回折部 材152の配置間隔は等間隔であり、2μm以上10μm 以下の間隔が好ましい。

 複数の回折部材152を構成する材料として 、X線吸収性に優れるものが好ましく、例え ば金、銀、白金等の金属を用いることができ る。回折部材152は、例えば基板151の上にこれ らの金属をめっき、蒸着等することにより形 成される。

 回折部材152は、回折部材152に照射されたX 線の位相速度を変化させるものであり、回折 部材152としては、照射されるX線に対して(1/3) ×π以上(2/3)×π以下(特に、(3/8)×π以上(5/8)×π 下、理想的には(1/2)×π)の位相シフト量を与 える、いわゆる位相型回折格子を構成するも のであることが好ましい。X線はかならずし 単色である必要はなく、上記条件を満たす 囲のエネルギー幅(つまり波長スペクトル幅) を有しても構わない。

 図6は、第二回折格子16の図4におけるII-II 面図である。

 図4及び図6に示すように、第二回折格子16 は、前記第一回折格子15と同様に、基板161と 数の回折部材162とを備えている。なお、基 161の、回折部材162が配置されている面を回 格子面163とする。

 また、第一回折格子15及び第二回折格子16 は、例えば、特開2006-259264号公報に記載の方 など公知の方法で作成できるが、公知でな 方法で作成してもよい。

 第二回折格子16は、その回折部材162の延 方向が、第一回折格子15の回折部材152の延在 方向と一致するような配置で回折格子保持構 造体17に保持されており、第一回折格子15に り回折されたX線を回折することにより、画 コントラストを形成する構成となっている 第二回折格子16については、回折部材162を り厚くした振幅型回折格子であることが望 しいが、第一回折格子15と同様の構成とする ことも可能である。各回折部材152の厚みはほ ぼ等しく、例えば、吸収型回折格子の場合、 20μm以上200μm以下が好ましく、位相型回折格 の場合、1μm以上10μm以下が好ましい。

 次に、X線照射部12、第一回折格子15及び 二回折格子16がタルボ干渉計を構成する条件 を説明する。

 まず、X線の可干渉性から、回折部材にほぼ 直交する方向におけるX線源の焦点径a、X線源 から第一回折格子までの距離L(図7参照)、第 回折格子から第二回折格子までの距離Z 1 (図7参照)、第二回折格子からX線検出器まで 距離Z 2 (図7参照)、照射するX線のピーク波長λpとす と、第一回折格子15の回折部材の間隔d 1 (図5参照)、及び、第二回折格子16の回折部材 間隔d 2 (図6参照)は、各々下記式を満たすことが好ま しい。

 d 1 <(L/a)×λp       (1)
 d 2 <{(L+Z 1 )/a}×λp       (2)
 また、第一回折格子15と第二回折格子16との 距離Z 1 は、第一回折格子15が吸収型回折格子である とを前提にすれば、いずれかの自然数mにお いて、次の条件を満たすことが理想である。

 Z 1 =m×(d 1 2 /λp)       (3)
 実際は、いずれかの自然数mにおいて、次の 条件を満たすことが好ましい。

 (m-1/8)×(d 1 2 /λp)≦Z 1 ≦(m+1/8)×(d 1 2 /λp)   
  (4)
 また、第一回折格子15と第二回折格子16との 距離Z 1 は、第一回折格子15が位相型回折格子である とを前提にすれば、いずれかの自然数mにお いて、次の条件を満たすことが理想である。

 Z 1 =(m-1/2)×(d 1 2 /λp)       (5)
 実際は、いずれかの自然数mにおいて、次の 条件を満たすことが好ましい。

 (m-5/8)×(d 1 2 /λp)≦Z 1 ≦(m-3/8)×(d 1 2 /λp)   
  (6)
 なお、これら式(3)~式(6)において、
λp:X線照射部から照射されるX線のピーク波長 、
Z 1 :第一回折格子から第二回折格子までの距離( 7参照)、
d 1 :第一回折格子の回折部材の間隔(図5参照)
である。

 ここで、タルボ効果とは、平面波が回折 子を通過したとき、当該回折格子が位相型 折格子の場合、式(3)又は式(5)で与えられる 離において回折格子の自己像を形成するこ である。但し、式(4)又は式(6)を満たす距離 あれば、若干ぼけているが充分下記の現象 生じる。

 本実施形態の場合、X線照射部12から照射 れたX線は、被写体Hを透過することにより 写体HによるX線の位相のずれが生じるので、 第一回折格子15に入射するX線の波面が歪んで いる。したがって、第一回折格子15の自己像 それに依存して変形している。続いて、X線 は、第二回折格子16を通過する。その結果、 記の変形した第一回折格子15の自己像と第 回折格子16との重ね合わせにより、X線に画 コントラストが生じる。この画像コントラ トは一般にモアレ縞となっており、X線検出 14により検出することができる。生成され モアレ縞は、被写体Hにより変調を受けてい 。その変調量は、被写体Hによる屈折効果に よってX線が曲げられた角度に比例している したがって、X線検出器14で検出されたモア 縞を解析することにより、被写体H及びその 部の構造を検出することができる。

 また、前記X線管122と第一回折格子15との間 Lと第一回折格子15の格子周期d 1 との比は、X線検出器14がモアレ縞(又はモア 縞を解析することによって得られる微分位 差画像、位相差画像)を検出可能な程度に、X 線管122と第二回折格子16との間隔(L+Z 1 )と第二回折格子16の格子周期d 2 との比になるのが、後述するように微小角θ けで縞の間隔を調整するのに理想的である 即ち、下記式を満たすことが、後述するよ に微小角θだけで縞の間隔を調整するのに 想的である。

 d 1 /L=d 2 /(L+Z 1 )      (7)
 なお、第一回折格子15又は第二回折格子16の 回折部材152,162が、X線照射部12とX線検出器14 通る仮想的な軸のまわりに相対的に微小角θ だけ回転して配置してあるとする。θの大き によって、発生するモアレ縞の間隔が変わ 。被写体Hが無いとすると、モアレ縞の間隔 はd 3 /θで与えられる。ここでd 3 は第一回折格子15及び第二回折格子16の回折 材152,162相互間の間隔をX線管122の中心からX 検出面(すなわち、X線検出器14)に投影した間 隔であり、また、第二回折格子16の回折部材1 62相互間の間隔をX線管122の中心からX線検出 (すなわち、X線検出器14)に投影した間隔であ る。

 微小角θを変えるための機構(例えば、第 回折格子15及び第二回折格子16の一方を他方 に対して相対的に回転させる機構)を備えれ 、観察に好ましいようにモアレ縞を調整す ことが可能となる。また、微小角θをほぼゼ ロになるように調整すれば、被写体Hに対応 る部分以外では(つまり非変調部分では)モア レ縞は現れない。その結果、得られたX線画 では、被写体Hによる吸収コントラストのみ 現れる。

 なお、第一回折格子15及び第二回折格子16を 所定位置に配置したまま、吸収コントラスト のみのX線画像を得る必要が無ければ、上述 式(7)の条件を満たす必要はなく、X線検出器1 4で検出可能な縞の間隔になるように、適宜 d 1、 d 2、 θを選択すればよい。

 そして、前記X線管122と第一回折格子15との 隔Lと第一回折格子15の格子周期d 1 との比は、X線検出器14がモアレ縞(又はモア 縞を解析することによって得られる微分位 差画像、位相差画像)を検出可能な程度に、X 線管122と第二回折格子16との間隔(L+Z 1 )と第二回折格子16の格子周期d 2 との比に近いとは、X線検出器14で発生する縞 の変化を検出できる程度に近いことを意味し 、好ましくは、X線検出器14の画素ピッチP 3 とすると、下記式を満たすことである。

 [1-(d 1 /L)×{(L+Z 1 +Z 2 )/P 3 }]×(d 1 /L)≦d 2 /(L+Z 1 )≦[1+(d 1 /L)×{(L+Z 1 +Z 2 )/P 3 }]×(d 1 /L)    
  (8)
 また、本実施形態において、回折格子保持 造体17は、第一回折格子15をその回折格子面 153とほぼ平行で、かつ、回折部材152の延在方 向に交差する方向に移動可能に保持しており 、第一回折格子15の一端部には、電圧を印加 ることにより変形する圧電アクチュエータ2 0(図2及び以下の説明において単に「アクチュ エータ」とする。)が設けられている。

 アクチュエータ20は、コンソール3からの 示信号に従って動作し、第一回折格子15を 第一回折格子15の回折格子面153とほぼ平行で あり、かつ、その回折部材152の延在方向にほ ぼ交差する方向に移動させる駆動手段である 。

 アクチュエータ20が駆動することにより 第一回折格子15は第二回折格子16に対して相 的に並進移動するようになっている。

 なお、駆動手段は、第一回折格子15を僅 ずつ移動可能なものであればよく、ここに 示した圧電アクチュエータに限定されない

 また、回折格子保持構造体17の一端には 加速度センサ21及び圧力センサ22が設けられ いる。

 加速度センサ21は、第一回折格子15及び第 二回折格子16の回折部材152,162に直交する方向 のずれ、すなわち、相互間の間隔(格子間隔) 向におけるずれを検出可能なものである。

 加速度センサ21による検出結果は、イン ーフェース34を介してコンソール3の制御装 31に出力されるようになっている。

 加速度センサ21によって検出された加速 を積分することにより、速度を算出し、さ に速度を積分することにより、回折格子保 構造体17(及び回折格子保持構造体17に保持さ れている第一回折格子15及び第二回折格子16) 位置を算出することができる。

 また、圧力センサ22は、回折格子保持構 体17(及び回折格子保持構造体17に保持されて いる第一回折格子15及び第二回折格子16)に加 る圧力を検出するものであり、圧力センサ2 2による検出結果は、インターフェース34を介 してコンソール3の制御装置31に出力されるよ うになっている。

 図2に示すコンソール3には、CPU(Central Proc essing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access  Memory)(いずれも図示せず)を備える制御装置( 制御手段)31が備えられている。

 制御装置31には、操作者が撮影準備指示 撮影指示、指示内容を入力する入力装置32、 X線画像などを表示する表示装置33、X線撮影 置1の各部と接続されているインターフェー 34、画像情報を記憶する画像記憶部35、及び コンソール3の各部に電力を供給するコンソ ル電源部36等がバスを介して接続されている 。

 入力装置32としては、例えば、X線照射要 スイッチやタッチパネル、マウス、キーボ ド、ジョイスティック等を用いることが可 であり、入力装置32の操作により、例えばX 管電圧やX線管電流、X線照射時間等のX線撮 条件、撮影タイミング、撮影部位、撮影方 等のX線撮影制御条件、画像処理条件、画像 出力条件、X線検出器選択情報(複数の撮影装 がコンソール3に接続されている場合)、オ ダ選択情報、被写体ID等の指示内容が入力さ れる。

 表示装置33は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube) ディスプレイや液晶ディスプレイ等であり、 表示装置33は、コンソール3の制御装置31の制 により、X線撮影条件や画像処理条件等の文 字、X線画像等を表示する。

 また、本実施形態においては、前記加速 センサ21や圧力センサ22の検出結果が制御装 置31に送られるようになっており、これらの 出結果が所定範囲外であると制御装置31が 断した場合には、表示装置33は、コンソール 3の制御装置31の制御により、これらの検出結 果を表示し、操作者に警告を行う警告手段と して機能する。

 画像記憶部35は、インターフェース34を介 してX線検出器14から受信したX線画像データ 一時記憶や、画像処理されたX線画像データ 保存を行う。画像記憶部35としては、大容 かつ高速の記憶装置であるハードディスク RAID(Redundant Array of Independent Disks)等のハー ディスクアレイ、シリコンディスク等を用 ることが可能である。

 コンソール電源部36は、外部電源又は内 電源から、コンソール3を構成する各部に電 を供給する。

 制御装置31の内部記憶装置には、X線撮影 ステム100各部を制御するための制御プログ ム及び各種処理プログラムが記憶されてお 、CPUは、この制御プログラム及び各種処理 ログラムとの協働によりX線撮影システム100 各部の動作を統括的に制御し、X線画像撮影 行う。

 例えば、制御装置31は、高電圧電源121か X線管122に供給する電圧を調整するように、X 線撮影装置1のX線源制御部123を制御する。そ て、高電圧電源121がX線管122に所定電圧を供 給して、X線管122が被写体Hに対してX線を照射 させ、X線検出器14に入射したX線量が予め設 されたX線量に達すると、高電圧電源121がX線 管122へ高電圧の供給を停止し、X線管122がX線 照射を停止する。

 なお、本実施形態においては、制御装置3 1は、X線検出器14におけるパネル141からの信 の読み取り及び、アクチュエータ20による第 一回折格子15の移動が停止しているときにX線 管122からのX線の照射を行うようにX線源制御 123を制御する。

 アクチュエータ20による第一回折格子15の 移動が停止しているかどうかは、例えばアク チュエータ20に印加される電圧を検出するこ によっても、第一回折格子15に固定された 速度センサ21の出力から検出することによっ ても、判断することができる。また、第一回 折格子15の移動を検出する速度センサが設け れている場合には、この速度センサの出力 ら検出することによって判断してもよい。 た、第一回折格子15の位置を検出する位置 ンサが設けられている場合には、この位置 ンサの出力から検出することによって判断 てもよい。

 また、制御装置31は、X線検出器14の検出 制御部144を動作させて、パネル141の画素毎 検出されたX線照射量に基づいた信号の読み りを開始させ、読み取りの結果得られたX線 画像データを検出器通信部143を介してコンソ ール3に送信させる。

 また、制御装置31には、X線撮影装置1の加 速度センサ21、圧力センサ22による検出結果 インターフェース34を介して送信されるよう になっており、制御装置31は、これらの検出 果に基づいて、加速度センサ21により検出 た加速度が所定範囲外となっているか否か 圧力センサ22により検出した圧力が所定範囲 外となっているか否かについて判断する。そ して、これらの検出結果が所定範囲外である と判断される場合には、表示装置33を動作さ て、その旨を表示装置33に表示させ、操作 に警告する。

 なお、加速度センサは、半導体基板上に ンサと周辺回路を集積化したMEMSの加速度セ ンサであることが、本撮影システムの第一回 折格子、第二回折格子又は、それと一体の構 造体に付設しやすく、かつ、本撮影システム の被写体台上に手・足・乳房などを載せる人 物や動物が加速度センサにぶつからないよう にしやすく、好ましい。

 圧力センサは、半導体基板上にセンサと 辺回路を集積化したMEMSの圧力センサである ことが、本撮影システムの第一回折格子、第 二回折格子又は、それと一体の構造体に付設 しやすく、かつ、本撮影システムの被写体台 上に手・足・乳房などを載せる人物や動物が 加速度センサにぶつからないようにしやすく 、好ましい。

 また、制御装置31は、加速度センサ21検出 された加速度を積分することにより速度を算 出する。さらに、制御装置31は、算出された 度を積分することにより、回折格子保持構 体17(及び回折格子保持構造体17に保持され いる第一回折格子15及び第二回折格子16)の位 置を算出する。そして、制御装置31は、算出 れた速度又は位置が、所定条件外となって るか否かについて判断する。そして、これ の算出結果が所定条件外であると判断され 場合には、表示装置33を動作させて、その を表示装置33に表示させ、操作者に警告する 。

 なお、前記加速度、圧力の「所定範囲」 び速度、位置の「所定条件」は、X線撮影に 影響を及ぼさない範囲であり、具体的な数値 範囲はX線撮影装置1の種類、撮影対象等に応 て異なりうるものである。「所定範囲」、 所定条件」をどの程度とするかは、所定の が予めデフォルトとして設定されていても いし、操作者が適宜任意に設定できるよう なっていてもよい。

 また、制御装置31は、アクチュエータ20を 動作させて第一回折格子15を所定量ずつ移動 せるようになっている。

 本実施形態において、第一回折格子15は 前述のようにアクチュエータ20により、第二 回折格子16に対して相対的に並進移動する。 一回折格子15の方向は、第一回折格子15の回 折格子面153とほぼ平行であり、かつ、回折部 材152の延在方向にほぼ直交する方向である。

 第一回折格子15が第二回折格子16に対して 相対的に並進移動するに伴って、モアレ縞が 移動し、第一回折格子15の移動距離(並進距離 )が第一回折格子15の格子周期の1周期分に達 ると、モアレ縞画像は元に戻る。本実施形 では、制御装置31は、第一回折格子15を、例 ば第一回折格子15の格子周期の1周期の整数 の1ずつ並進移動させながら複数回のX線撮 を行うようになっている。

 すなわち、1回目のX線撮影を行うと、制 装置31はアクチュエータ20を動作させて第一 折格子15を、格子周期の1周期の整数分の1ず つ、第二回折格子16に対して相対的に並進移 させ、2回目の撮影を行う。その後制御装置 31はアクチュエータ20を動作させて第一回折 子15を同方向にさらに回折部材152の1周期の 数分の1ずつ並進移動させて3回目の撮影を行 う、というように、X線撮影と第一回折格子15 の移動を複数回繰り返す。

 なお、制御装置31にはアクチュエータ20に よる第一回折格子15の移動量に関する移動量 報が送られるようになっており、制御装置3 1は複数回の撮影動作間各々のアクチュエー 20による第一回折格子15の移動量に関する移 量情報を得る移動量情報取得手段として機 するようになっている。制御装置31に取得 れた移動量情報は、制御装置31のRAM等に記憶 される。

 なお、アクチュエータ20によって第一回 格子15を移動させる移動量は、予めデフォル トとして設定されていてもよいし、操作者が 適宜任意に設定できるようになっていてもよ い。

 なお、本実施形態においては、制御装置3 1は、アクチュエータ20による第一回折格子15 移動が停止し、かつ、X線検出器14によるX線 画像の読み取りを行わない状態でX線管122か のX線の照射を行い、X線管122からのX線の照 の停止後に、X線検出器14によるX線画像の読 取り及びアクチュエータ20による第一回折 子15の移動を実行するという一連の撮影動作 を実行するように、X線照射部12のX線源制御 123、X線検出器14及びアクチュエータ20を制御 するようになっている。

 アクチュエータ20による第一回折格子15の 移動が停止しているかどうかは、例えばアク チュエータ20に印加される電圧を検出するこ によっても、第一回折格子15に固定された 速度センサ21の出力から検出することによっ ても、判断することができる。また、第一回 折格子15の移動を検出する速度センサが設け れている場合には、この速度センサの出力 ら検出することによって判断してもよい。

 また、本実施形態においては、X線検出器 14又は制御装置31により、X線検出器14固有の 画素のオフセット・ゲイン特性補正が行わ る。そして、その後、オフセット・ゲイン 性補正をされたX線画像について、制御装置3 1は、被写体H、第一回折格子15及び第二回折 子16を透過してX線検出器14で検出されたX線 画像コントラスト(モアレ縞)を解析する。こ れにより、制御装置31は、X線検出器14から取 した各画素の放射線量等に基づいて、微分 相画像、及び位相差画像を算出する。また 制御装置31は、必要に応じて被写体HのX線吸 収率の違いに基づく吸収画像を取得する。

 すなわち、本実施形態においては、前述 ように、第一回折格子15を第二回折格子16に 対して相対的に並進移動させながら複数回の X線撮影が行われ、制御装置31は、これらのX 撮影により得られた複数のX線画像と第一回 格子15の移動量情報とから微分位相画像を る微分位相画像取得手段として機能する。

 また、制御装置31は、複数回のX線撮影に り得られた複数のX線画像と第一回折格子15 移動量情報とから位相差画像を得る位相差 像取得手段として機能する。

 以下、微分位相画像、位相差画像の算出 法について説明する。

 まず、微分位相画像は、被写体Hによる屈 折効果によってX線が曲げられる角度の分布 であり、制御装置31は、下記に示す縞走査法 を用いることによって、X線検出器14により検 出されたモアレ縞の現れたX線画像(以下、「 画像」と称する。)を微分位相画像に変換す る。

 縞走査法では、第一回折格子15及び第二 折格子16の一方を他方に対して相対的に並進 移動させながら撮影を行うが、本実施形態で は、第一回折格子15を第二回折格子16に対し 相対的に並進移動させる。

 第一回折格子15の移動に伴って、モアレ が移動し、並進距離(移動量)が第一回折格子 15の格子周期の1周期に達すると、縞画像は元 に戻る。縞走査法は、このような縞画像の変 化を、格子周期の1周期の整数分の1ずつ第一 折格子15を移動させながら記録し、それら 演算処理することにより微分位相画像ψ(x,y) 得るものである。(x,y)は画素の位置を示す 標である。上記移動量をξとして、縞画像I(x ,y)は一般的に、下記の式(9)により与えられる 。

 なお、本実施形態においては、第一回折 子15の移動量ξは、前述のように、アクチュ エータ20による第一回折格子15の移動量情報 して制御装置31に取得、記憶されており、制 御装置31は、記憶されている移動量情報に基 いて演算を行う。

 ここでA k (k=0,1,…)は、第一回折格子15の形状により決 る定数である。δ(x,y)は、第一回折格子15の 、製作誤差、および配置誤差によって被写 Hとは関係なく発生するコントラストの寄与 表すものである。dは、移動させる第一回折 格子15の格子周期、Z 1 は、第一回折格子15と第二回折格子16との間 である。今、ξをステップd/M(M:整数)で変化 せながらM回のX線撮影を行いM枚の縞画像を 得するとする。式(9)においてk>Nの項が十 小さく無視できるとすれば、M>N+1を満たす ようにMを選べば、下記の式(10)が満たされる

 arg[]は偏角の抽出を意味する。Ip(x,y)は、ξ=p d/Mとしたときの式(9)の値である。dおよびZ 1 は既知であり、δ(x,y)は被写体Hが無いとき(す なわちψ(x,y)=0)に同様の測定を行って予め求 ることができる。したがって、以上よりψ(x, y)を得ることができる。

 次に、位相差画像とは、微分位相画像を 分することにより、位相のずれそのものを す像であり、位相差画像φ(x,y)と微分位相画 像ψ(x,y)とは、下記の式(11)で関係付けられる

 ここでxは、上記縞走査法により第一回折 格子15を並進移動させる方向にあたる。これ り、位相差画像φ(x,y)は、微分位相画像ψ(x,y )をx軸に沿って積分することにより与えられ 。

 位相差画像像φ(x,y)は、被検体の屈折率分 布をn(x,y,z)として、下記の式(12)で与えられる 。

 また、X線が物体を透過すると当該物体の X線吸収率の違いに応じたX線画像が形成され X線検出器14で検出される。これにより得ら る画像が吸収画像であり、例えば、撮影し い被写体Hが人体の骨部等である場合には、 このような物体のX線吸収率の違いに応じてX 画像を生成する手法によっても十分にコン ラストのある画像を得ることができる。

 なお、このような画像生成の手法は、い れも、そのX線撮影の目的に応じて十分に利 用可能なものであり、制御装置31は、微分位 画像の出力時においては、微分位相画像φ(x ,y)を生成して、表示装置33に出力し、位相差 像の出力時においては、微分位相画像を積 して位相差画像φ(x,y)を算出し、表示装置33 出力する。また、吸収画像の出力時におい は、制御装置31は、X線の吸収コントラスト 応じた吸収画像を生成して、表示装置33に 力する。

 また、制御装置31は、撮影により複数種 の画像(例えば、微分位相画像、位相差画像 吸収画像)を取得した場合には、これら複数 種類の画像を相互に対応付けて画像記憶部35 記憶するようになっている。

 次に、本実施形態のX線撮影システム100で 実行されるX線撮影方法について図8を参照し つ説明する。

 まず、被写体台13で被写体Hを保持した後 、制御装置31は撮影を開始するX線撮影開始 号をX線撮影装置1のX線照射部12及びX線検出 14に送信する(ステップS1)。このとき、制御 置31は撮影回数Nを0にリセットする。

 制御装置31からX線撮影開始信号が送信さ ると、高電圧電源121がX線管122に高電圧が供 給し、X線管122から被写体Hに向けてX線が照射 される(ステップS2)。被写体Hを透過したX線は 、第一回折格子15を通過する。このとき、第 回折格子15によりX線が回折して、タルボ効 を生じる。さらに、X線は、第二回折格子16 通過してX線検出器14によって検出される。

 制御装置31は、所定のX線量を照射したか 判断し(ステップS3)、所定のX線量に達して ない場合(ステップS3;NO)には、ステップS2に ってX線照射を続ける。所定のX線量に達して いる場合(ステップS3;YES)には、制御装置31は X線管122からのX線照射を停止させた後、検出 器制御部144を動作させて、パネル141から各画 素毎のX線照射量に基づく信号を読み取りX線 像データを取得するX線画像の読み取りを行 わせる(ステップS4)。

 制御装置31は、X線検出器14のX線画像の読 取りが終了したかを判断し(ステップS5)、読 み取りが終了していない場合(ステップS5;NO) は、ステップS4に戻って読み取り動作を続け させる。読み取りが終了している場合(ステ プS5;YES)には、制御装置31は、撮影回数NをN+1 インクリメントし(ステップS6)、所定回数の 撮影が終了したかを判断する(ステップS7)。

 所定回数の撮影が終了していない場合(ステ ップS7;NO)には、制御装置31は、アクチュエー 20を動作させて、第一回折格子15及び第二回 折格子16が所定の位置
関係となるように第一回折格子15を次(N+1回目 )の撮影の所定位置まで移動させる(ステップS 8)。そして、制御装置31は、第一回折格子15が 所定の撮影位置まで移動したかを判断し(ス ップS9)、第一回折格子15が所定の撮影位置ま で移動していない場合(ステップS9;NO)には、 テップS8に戻ってアクチュエータ20による第 回折格子15の移動を続けさせる。

 他方、第一回折格子15が所定の撮影位置 で移動している場合(ステップS9;YES)には、制 御装置31は、第一回折格子15の移動量情報をRA M等の記憶手段に記憶する(ステップS10)。そし て、ステップ2からステップ7を繰り返すこと より、次(N+1回目)の撮影を行う。そして、 定回数の撮影が終了した場合(ステップS7;YES) には、制御装置31は、撮影されたX線画像の画 像処理を行い(ステップS11)、記憶手段に記憶 れている第一回折格子15の移動量情報と、 数回のX線撮影により得られた複数のX線画像 とに基づいて前述の所定の演算を行うことに より、適宜微分位相画像、位相差画像、吸収 画像を生成する。そして、これら生成された 画像処理済の画像をそれぞれ対応付けて画像 記憶部35に保存し(ステップS12)、処理を終了 る。

  このように、所定回数の撮影の最初の のX線照射開始から最後の回のX線照射終了ま での時間は、被写体が生きた動物又は人体の 場合、10秒以下(特に3秒以下、更に1秒以下)で あることが、被写体のブレを抑えられ好まし い。

 以上のように、本実施形態によれば、第 回折格子15と第二回折格子16を所望の位置関 係に移動させ、第一回折格子15の移動を停止 せた状態でX線管122からX線を照射できる。 た、X線検出器14もX線照射していないタイミ グでX線画像の読み取りを行うので良好な読 み取りができ、また、X線照射と、駆動手段 よる移動とX線画像検出器での読み取りが自 的に交互に行われるので、トータルとして 撮影時間が短くなり、その間の被写体H自体 の動きが少なくなり、医療診断・生物診断に 利用可能な良好な画像が得られる。

 また、第一回折格子15の移動量を制御装 31が自動的に取得するので、X線撮影により た複数のX画像間の関係が簡単に分かり、こ らの画像を用いることにより、医療診断・ 物診断に利用可能な良好な画像が得られる

 また、複数のX線画像と複数回のX線撮影 における第一回折格子15の移動量に基づいて 微分位相画像及び位相差画像を得るので、医 療診断・生物診断に利用可能な良好な画像が 得られる。

 また、加速度センサ21及び圧力センサ22を 備えているので、第一回折格子15及び第二回 格子16に衝撃や振動がかかった場合、加速 センサ21、圧力センサ22で検出することがで る。

 さらに、これらのセンサによる検出結果 所定範囲外又は所定条件外である場合には の旨を表示装置33に表示させて操作者に警 するので、操作者は第一回折格子15及び第二 回折格子16に衝撃や振動がかかったことを確 に認識することができ、第一回折格子15及 第二回折格子16の状況に応じて適切に処理す ることにより、生きた動物や人体を被写体と した場合でも、医療診断・生物診断に利用可 能な良好な画像が得られる。

 なお、本実施形態においては、撮影ごと 、制御装置31が第一回折格子15の移動量情報 を取得してRAM等の記憶手段に記憶し、当該移 動量情報(複数回のX線撮影間における回折格 の移動量)と複数のX線画像とに基づいて微 位相画像、位相差画像を算出する場合につ て説明したが、微分位相画像、位相差画像 算出するための第一回折格子15の移動量は、 撮影ごとに制御装置31が取得する場合に限定 れない。

 第一回折格子15の移動量が予め設定され 所定の移動量情報で示される移動量である 合、すなわち、撮影ごとの第一回折格子15の 移動量が精密に設定され、撮影ごとに制御装 置31が移動量情報を得なくても正確な演算を うことができる場合には、予め設定され記 手段に記憶されている所定の移動量情報を いて演算を行えばよい。

 このような手法で実行されるX線撮影方法 について図9を参照しつつ説明する。

 まず、被写体台13で被写体Hを保持した後 、制御装置31は撮影を開始するX線撮影開始 号をX線撮影装置1のX線照射部12及びX線検出 14に送信する(ステップS21)。このとき、制御 装置31は撮影回数Nを0にリセットする。

 制御装置31からX線撮影開始信号が送信さ ると、高電圧電源121がX線管122に高電圧に供 給し、X線管122が被写体Hに向けてX線を照射す る(ステップS22)。被写体Hを透過したX線は、 一回折格子15を通過する。このとき、第一回 折格子15によりX線が回折して、タルボ効果を 生じる。さらに、X線は、第二回折格子16を通 過してX線検出器14によって検出される。

 制御装置31は、所定のX線量を照射したか 判断し(ステップS23)、所定のX線量に達して ない場合(ステップS23;NO)には、ステップS22 戻ってX線照射を続ける。所定のX線量に達し ている場合(ステップS23;YES)には、制御装置31 、検出器制御部144を動作させて、パネル141 ら各画素毎のX線照射量に基づく信号を読み 取りX線画像データを取得するX線画像の読み りを行わせる(ステップS24)。

 制御装置31は、X線検出器14のX線画像の読 取りが終了したかを判断し(ステップS25)、 み取りが終了していない場合(ステップS25;NO) には、ステップS4に戻って読み取り動作を続 させる。読み取りが終了している場合(ステ ップS25;YES)には、制御装置31は、撮影回数NをN +1にインクリメントし(ステップS26)、所定回 の撮影が終了したかを判断する(ステップS27) 。

 所定回数の撮影が終了していない場合(ス テップS27;NO)には、制御装置31は、アクチュエ ータ20を動作させて、第一回折格子15及び第 回折格子16が所定の位置関係となるように第 一回折格子15を次(N+1回目)の撮影の所定位置 で移動させる(ステップS28)。そして、制御装 置31は、第一回折格子15が所定の撮影位置ま 移動したかを判断し(ステップS29)、第一回折 格子15が所定の撮影位置まで移動していない 合(ステップS29;NO)には、ステップS28に戻っ アクチュエータ20による第一回折格子15の移 を続けさせる。

 他方、第一回折格子15が所定の撮影位置 で移動している場合(ステップS29;YES)には、 御装置31は、ステップ22からステップ27を繰 返すことにより、次(N+1回目)の撮影を行う。 そして、所定回数の撮影が終了した場合(ス ップS27;YES)には、制御装置31は、撮影されたX 線画像の画像処理を行い(ステップS30)、適宜 分位相画像、位相差画像、吸収画像を生成 る。そして、これら生成された画像処理済 画像をそれぞれ対応付けて画像記憶部35に 存し(ステップS31)、処理を終了する。

 このように微分位相画像、位相差画像の 出に用いる第一回折格子15移動量が所定の 動量情報で示される移動量である場合には X線撮影により得た複数のX画像間の関係が簡 単に分かり、これらの画像を用いることで、 医療診断・生物診断に利用可能な良好な画像 が得られる。

 また、本実施形態においては、加速度セ サ21、圧力センサ22を備えるものとしたが、 加速度センサ21、圧力センサ22は本発明の必 の構成要素ではなく、これらのセンサを備 ない構成としてもよい。

 また、本実施形態においては、X線画像検 出器としてFPDを例として説明したが、X線画 検出器はこれに限定されるものではない。FP D以外にも、例えば輝尽性蛍光体シートを収 したカセッテ等をX線画像検出器として適用 ることができる。

 なお、例えば輝尽性蛍光体シートを収納 たカセッテ等をX線画像検出器として適用し た場合には、X線画像検出器の読み取りは撮 ごとに操作者がX線画像検出器を読取装置に けることにより行われる。

 なお、本実施形態においては、回折格子 持構造体17の一端に、加速度センサ21と圧力 センサ22とを設けて、第一回折格子15及び第 回折格子16にずれや異常が生じていないかを 検出するようにしたが、第一回折格子15及び 二回折格子16にずれや異常が生じていない を検出する手段はこれに限定されない。

 例えば、回折格子保持構造体17の一端に 度センサを配置して、速度センサによって 出された速度から回折格子保持構造体17に保 持された第一回折格子15及び第二回折格子16 位置等を検出して、ずれや異常が生じてい いかを検出するようにしてもよいし、回折 子保持構造体17の一端に位置センサを配置し て、位置センサによって第一回折格子15及び 二回折格子16にずれや異常が生じていない を検出するようにしてもよい。

 また、加速度センサ21、圧力センサ22等の センサを設ける位置は回折格子保持構造体17 一端に限定されない。例えば、第一回折格 15及び第二回折格子16のそれぞれにセンサを 設ける構成としてもよい。

 また、本実施形態においては、第一回折 子15の一端部にアクチュエータ20が設けられ ている場合を例として説明したが、アクチュ エータ20の設けられる回折格子は、第二回折 子16であってもよい。この場合には、第一 折格子15が固定され、第二回折格子16がアク ュエータ20により所定の移動量ずつ移動す 。また、第一回折格子15及び第二回折格子16 両方にアクチュエータ20を設け、第一回折 子15及び第二回折格子16を相対的に移動可能 構成してもよい。

 また、本実施形態においては、回折格子 持構造体17が枠状に形成された部材である 合を例としたが、回折格子保持構造体17は第 一回折格子15及び第二回折格子16を一体的に 持するとともに、被写体台13と別体に構成さ れ被写体台13から生じる振動や衝撃の影響を けにくい構成となっていれば足り、回折格 保持構造体17の形状、構造は例示したもの 限定されない。

 例えば、図10に示すように、回折格子保 構造体40を、被写体台13と干渉しないように 置された4本の支柱41を備え、この支柱41に って第一回折格子15及び第二回折格子16を一 的に保持する構成としてもよい。

 また、X線源12の下方にX線源12から照射さ るX線のうち特定の波長のX線以外を除去し 単色性の強い特性X線を得ることができるフ ルタ42(タルボローフィルタ)を設けてもよく 、この場合には、例えば、回折格子保持構造 体40を図10に示すような構成とし、回折格子 持構造体17の支柱41によって、このフィルタ4 2と、第一回折格子15及び第二回折格子16とを 体的に保持する構成としてもよい。

 また、このように、フィルタ42(タルボロ フィルタ)を設ける場合には、フィルタ42又 これを固定する回折格子保持構造体40にも 速度センサ等の各種センサを設けて、フィ タ42の加速度又は加速度から算出される速度 、位置等の情報を得ることができるように構 成してもよい。

 また、本実施形態においては、第一回折格 15を第二回折格子16に対して相対的に移動さ せながら複数回のX線撮影を行い、その結果 られたX線画像データに基づいて微分位相画 等を生成する場合を例として説明したが、1 回のX線撮影によって得られたX線画像データ 基づいて微分位相画像等を生成してもよい
<第2の実施形態>
 図11を参照しながら本発明に係るX線撮影シ テムの第2の実施形態について説明する。

 本実施形態は、第1の実施形態の変形例で あり、以下に説明する事項以外は第1の実施 態と同じである。

 図11に示すように、本実施形態の放射線 像撮影装置51には、支持基台53が床面にボル 等で固定された支持台52に設けられている 支持基台53には、撮影装置本体部54が支持軸5 5を介して支持されている。

 支持基台53には、支持軸55の回動を駆動す る駆動装置56が備えられており、駆動装置56 、図示しない公知の駆動モータ等を備えて る。撮影装置本体部54は、支持軸55がCW方向 びCCW方向に回動されることにより支持軸55を 回動軸として回動するようになっている。

 撮影装置本体部54の上部には、被写体HにX 線を放射するX線管57が取り付けられている。 X線管57には、電力を供給する電源部58が支持 台53や支持軸55、撮影装置本体部54を介して 続されている。X線管57のX線放射口には、X 照射野を調節するための絞り59が、開閉自在 に設けられている。

 撮影装置本体部54内には、保持部材60が上 下方向に延びるように固定されている。保持 部材60には、回折格子保持構造体61が保持部 60に対して昇降自在に、かつ、衝撃及び振動 を緩和するように支持されており、回折格子 保持構造体61は、図示しない公知の駆動モー 等を備える位置調整装置62で昇降されて位 調整されるようになっている。回折格子保 構造体61は、被写体台64とは別体に構成され 一回折格子66及び第二回折格子67を一体に保 持する構造体である。即ち、保持部材60が回 格子保持構造体61を衝撃及び振動を緩和す ように支持しているので、被写体台64への振 動・衝撃だけでなく、撮影装置本体部54を回 させることによる振動や、撮影装置本体部5 4内で発生する振動なども、回折格子保持構 体61及びそれに保持されている第一回折格子 66、第二回折格子67に、伝わらない又は緩和 るようになっている。

 なお、X線管57と回折格子保持構造体61と 間の位置には、床面に固定された脚部63で支 持される被写体台64が床面にほぼ平行な状態 保持されている。被写体台64には被写体Hを 持可能である。即ち、被写体台64は、回折 子保持構造体61を保持する撮影装置本体部54 は別の構造体に保持され、被写体台64への 動・衝撃が、回折格子保持構造体61及びそれ に保持されている第一回折格子66、第二回折 子67に伝わらない又は緩和するようになっ いる。また、被写体台64に被写体が載置され た状態で、必要に応じて、被写体Hを上方か 圧迫して固定する圧迫板65が設けられている 。圧迫板65の移動は、自動又は手動のいずれ 適用可能である。

 また、第一回折格子66と第二回折格子67の 枠の内部側には、X線により撮影されない位 にそれらの温度を測定する温度センサ66a、67 aがそれぞれ配設されている。

 なお、例えば、第一回折格子66と第二回 格子67の温度がそれぞれの面内で均一となる ように、X線撮影を阻害せず熱伝導性が良い のを第一回折格子66と第二回折格子67とにそ ぞれ貼り付けたり、例えば電流の向きや電 の大きさを制御して加熱や冷却を行うこと できるペルチェ素子等を第一回折格子66や 二回折格子67に配設してそれらの加熱や冷却 を行うことができるように構成することも可 能である。

 また、回折格子保持構造体61の一端には 加速度センサ71及び圧力センサ72が設けられ いる。

 回折格子保持構造体61の下方には、X線検 器68を支持する検出器支持台69が保持部材60 対して昇降自在に支持されており、検出器 持台69は前述した位置調整装置62により回折 格子保持構造体61とは独立に昇降されて位置 整されるようになっている。

 X線検出器68は、X線管57に対向するように 出器支持台69上に支持されている。

 なお、図11では、X線検出器68と第二回折格 67とが別体であることを示すためにそれらの 間にある程度の距離Z 2 があいているように表現されているが、実際 には、X線検出器68と第二回折格子67とは互い 当接した状態で配設されても良いし、また 第二の回折格子67とX線検出器68とが一体で っても良い。