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Title:
ZNO-BASED SEMICONDUCTOR LIGHT-EMITTING ELEMENT AND ITS MANUFACTURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087856
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a ZnO-based semiconductor light-emitting element comprising a light-emitting layer of ZnO1-xSx and exhibiting an improved luminous efficiency. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] A ZnO semiconductor light-emitting element comprises a first semiconductor layer of ZnO1-x1Sx1, a second semiconductor layer formed over the first semiconductor layer and made of ZnO1-x2Sx2, and a third semiconductor layer over the second semiconductor layer and made of ZnO1-x3Sx3. The S composition x1 to x3 of the first to third semiconductor layers are selected so that the energy at the lower end of the conduction band of the second semiconductor layer is lower than the energies at the lower ends of the conduction bands of the first and third semiconductor layers, and that the energy of the upper end of the valence band of the second semiconductor layer is higher than the energies of the upper ends of the valence bands of the first and third semiconductor layers.

Inventors:
OGAWA AKIO (JP)
SANO MICHIHIRO (JP)
KATO HIROYUKI (JP)
KOTANI HIROSHI (JP)
YAMAMURO TOMOHUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000019
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
STANLEY ELECTRIC CO LTD (JP)
OGAWA AKIO (JP)
SANO MICHIHIRO (JP)
KATO HIROYUKI (JP)
KOTANI HIROSHI (JP)
YAMAMURO TOMOHUMI (JP)
International Classes:
H01L21/363; H01L33/28
Foreign References:
JP2002118328A2002-04-19
JP2002016285A2002-01-18
JP2003081698A2003-03-19
JP2004128106A2004-04-22
JPH11238914A1999-08-31
JPH10270799A1998-10-09
Other References:
MEYER B.K. ET AL.: "Structural properties and bandgap bowing of Zn01-xSx thin films deposited by reactive sputtering", APPLIED PHYSICS LETTERS, vol. 85, no. 21, 22 November 2004 (2004-11-22), pages 4929 - 4931, XP012063505, DOI: doi:10.1063/1.1825053
Attorney, Agent or Firm:
TAKAHASHI, Keishiro (Okachimachi Tohsei Bldg.3-12-1, Taito, Taito-ku, Tokyo 16, JP)
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Claims:
 ZnO 1-x1 S x1 からなる第1の半導体層と、
 前記第1の半導体層の上方に形成され、ZnO 1-x2 S x2 からなる第2の半導体層と、
 前記第2の半導体層の上方に形成され、ZnO 1-x3 S x3 からなる第3の半導体層と
を有し、前記第1の半導体層の伝導帯の下端のエネルギ、及び、前記第3の半導体層の伝導帯の下端のエネルギの双方よりも、前記第2の半導体層の伝導帯の下端のエネルギの方が低くなり、かつ、前記第1の半導体層の価電子帯の上端のエネルギ、及び、前記第3の半導体層の価電子帯の上端のエネルギの双方よりも、前記第2の半導体層の価電子帯の上端のエネルギの方が高くなるように、前記第1の半導体層のS組成x1と、前記第2の半導体層のS組成x2と、前記第3の半導体層のS組成x3とが選択されたZnO系半導体発光素子。
 前記第1の半導体層のS組成x1と前記第3の半導体層のS組成x3とが0であり、前記第2の半導体層のS組成x2が0.25<x2<0.6の範囲内である請求項1に記載のZnO系半導体発光素子。
 前記第2の半導体層の表面の、原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さRaが1.1nm以下である請求項1に記載のZnO系半導体発光素子。
 量子井戸構造の発光層を有し、前記第1及び第3の半導体層が該発光層の障壁層であり、前記第2の半導体が該発光層の井戸層である請求項1に記載のZnO系半導体発光素子。
 前記第1の半導体層は、第1の導電型を有し、前記第3の半導体層は、該第1の導電型と反対の第2の導電型を有し、該第1及び第3の半導体層がクラッド層であり、前記第2の半導体層が発光層であるダブルへテロ構造を有する請求項1に記載のZnO系半導体発光素子。
 さらに、+c面の露出したZnO基板を有し、該ZnO基板の+c面の上方に、前記第1~第3の半導体層が形成されている請求項1に記載のZnO系半導体発光素子。
 (a)ZnO 1-x1 S x1 からなる第1の半導体層を形成する工程と、
 (b)前記第1の半導体層の上方に、ZnO 1-x2 S x2 からなる第2の半導体層を形成する工程と、
 (c)前記第2の半導体層の上方に、ZnO 1-x3 S x3 からなる第3の半導体層を形成する工程と
を有し、前記第1の半導体層の伝導帯の下端のエネルギ、及び、前記第3の半導体層の伝導帯の下端のエネルギの双方よりも、前記第2の半導体層の伝導帯の下端のエネルギの方が低くなり、かつ、前記第1の半導体層の価電子帯の上端のエネルギ、及び、前記第3の半導体層の価電子帯の上端のエネルギの双方よりも、前記第2の半導体層の価電子帯の上端のエネルギの方が高くなるように、前記第1の半導体層のS組成x1と、前記第2の半導体層のS組成x2と、前記第3の半導体層のS組成x3とを選択するZnO系半導体発光素子の製造方法。
 前記第1の半導体層のS組成x1と前記第3の半導体層のS組成x3とを0とし、前記第2の半導体層のS組成x2を0.25<x2<0.6の範囲内とする請求項7に記載のZnO系半導体発光素子の製造方法。
 前記工程(b)は、前記第2の半導体層を、500℃より低い温度で形成する請求項7に記載のZnO系半導体発光素子の製造方法。
 さらに、(c)前記工程(b)で形成された第2の半導体層を、500℃以上1000℃未満の温度でアニールする工程を有する請求項9に記載のZnO系半導体発光素子の製造方法。
 前記工程(b)は、分子線エピタキシで前記第2の半導体層を形成する請求項7に記載のZnO系半導体発光素子の製造方法。
 さらに、(d)+c面の露出したZnO基板を準備する工程を有し、前記工程(a)は、該ZnO基板の+c面の上方に、前記第1の半導体層を形成する請求項7に記載のZnO系半導体発光素子の製造方法。
 
Description:
ZnO系半導体発光素子とその製造 法

 本発明は、ZnO系半導体発光素子とその製 方法に関する。

 酸化亜鉛(ZnO)のバンド間遷移エネルギは 約370nmの紫外領域の発光エネルギに相当する 。これは、産業上の利用価値が高い400nm以上 可視光領域よりも短波長であるので、400nm りも長波長の発光を得るため、ZnOのバンド ャップを狭くする(ナローギャップ化する)研 究が進められている。

 ZnOのバンドギャップをナローギャップ化 る技術として、Znの一部をCdで置換したZnCdO 晶が提案されており、Cd組成に応じてバン ギャップを3.4eV~1.5eVの範囲で調整することが できる。しかし、Cdは毒性の強い元素である め、ZnCdO混晶の採用は安全性の面から難し 。

 例えば日本特開2002-16285号公報に、VI族の 素である硫黄(S)やセレン(Se)でOの一部を置 して混晶とすることにより、ZnOのバンドギ ップをナローギャップ化する技術が開示さ ている。この技術は、Cdを導入する技術に比 べ、安全性の面で優れている。

 特許文献1は、また、ナローギャップ化し たZnO系化合物半導体層(ZnOS層、ZnOSe層)を、ZnMg Oクラッド層により挟んだ発光素子を開示す 。

 B.K. Mayer et al: Appl. Phys. Lett. 85(2004)4929に よると、ZnO 1-x S x (0≦x≦1)におけるS組成xとバンドギャップと 関係は、E ZnOS 、E ZnS 、及びE ZnO を、それぞれ、ZnO 1-x S x 、ZnS、及びZnOのバンドギャップとし、bをボ イングパラメータとして、
E ZnOS =xE ZnS +(1-x)E ZnO -b(1-x)x
と表され、ZnO 1-x S x のバンドギャップは、2.6eVまでナローギャッ 化することができるとされている。なお、 こで、ボーイングパラメータb=3eVである。

 発光層にZnO 1-x S x を用いたZnO系半導体発光素子の、発光効率向 上に適用可能な技術が望まれる。

 本発明の一目的は、発光層にZnO 1-x S x を用い、発光効率の向上が図られたZnO系半導 体発光素子、及び、このような半導体発光素 子の製造方法を提供することである。

 本発明の一観点によれば、ZnO 1-x1 S x1 からなる第1の半導体層と、前記第1の半導体 の上方に形成され、ZnO 1-x2 S x2 からなる第2の半導体層と、前記第2の半導体 の上方に形成され、ZnO 1-x3 S x3 からなる第3の半導体層とを有し、前記第1の 導体層の伝導帯の下端のエネルギ、及び、 記第3の半導体層の伝導帯の下端のエネルギ の双方よりも、前記第2の半導体層の伝導帯 下端のエネルギの方が低くなり、かつ、前 第1の半導体層の価電子帯の上端のエネルギ 及び、前記第3の半導体層の価電子帯の上端 のエネルギの双方よりも、前記第2の半導体 の価電子帯の上端のエネルギの方が高くな ように、前記第1の半導体層のS組成x1と、前 第2の半導体層のS組成x2と、前記第3の半導 層のS組成x3とが選択されたZnO系半導体発光 子が提供される。

 本発明の他の観点によれば、(a)ZnO 1-x1 S x1 からなる第1の半導体層を形成する工程と、(b )前記第1の半導体層の上方に、ZnO 1-x2 S x2 からなる第2の半導体層を形成する工程と、(c )前記第2の半導体層の上方に、ZnO 1-x3 S x3 からなる第3の半導体層を形成する工程とを し、前記第1の半導体層の伝導帯の下端のエ ルギ、及び、前記第3の半導体層の伝導帯の 下端のエネルギの双方よりも、前記第2の半 体層の伝導帯の下端のエネルギの方が低く り、かつ、前記第1の半導体層の価電子帯の 端のエネルギ、及び、前記第3の半導体層の 価電子帯の上端のエネルギの双方よりも、前 記第2の半導体層の価電子帯の上端のエネル の方が高くなるように、前記第1の半導体層 S組成x1と、前記第2の半導体層のS組成x2と、 前記第3の半導体層のS組成x3とを選択するZnO 半導体発光素子の製造方法が提供される。

 第1及び第3の半導体層の伝導帯の下端の ネルギよりも、第2の半導体層の伝導帯の下 のエネルギの方が低く、かつ、第1及び第3 半導体層の価電子帯の上端のエネルギより 、第2の半導体層の価電子帯の上端のエネル の方が高い。これにより、第2の半導体層に キャリアを閉じ込めることが可能となり、ZnO 系半導体発光素子の発光効率向上を図ること ができる。

図1は、ZnO系化合物半導体層を成長させ るための成膜装置の例を示す概略図である。 図2は、第1~第5の実施例、及び、第1~第6 の比較例の結果をまとめた表である。 図3A~図3Cは、それぞれ、第1の実施例、 3の比較例、及び第4の比較例のRHEED回折像で ある。 図4は、第1の比較例、及び、第1~第5の実施例 結果から得られたZnO 1-x S x 及びZnOのバンドラインナップである。 図5は、ZnO 1-x S x 層をZnO層で挟んだ構造のタイプI型のバンド イアグラムである。 図6は、ZnO 1-x S x のバンドギャップエネルギのS組成xに対する 存性を示すグラフである。 図7は、第6の実施例によるMQW構造の、XR Dの2θ-ω測定の回折パタンである。 図8は、第7の比較例によるMQW構造の、XR Dの2θ-ω測定の回折パタンである。 図9Aは、第7の実施例による発光素子の 略断面図であり、図9B及び図9Cは、発光層の 構造の例を示す概略断面図である。 図10は、第8の実施例による発光素子の 概略断面図である。

 まず、図1を参照し、ZnO系化合物半導体層 を成長させるための成膜装置の例について説 明する。成膜方法として、分子線エピタキシ (MBE)が用いられる。

 超高真空容器1内に、基板ヒータ7が配置さ 、基板8が、基板ヒータ7に保持される。基板 8として、サファイア(Al 2 O 3 )基板、SiC基板、GaN基板、ZnO基板等が用いら る。結晶性の良いZnO系化合物半導体層を得 ためには、格子不整合の小さな基板ほどよ ので、ZnO基板を用いることが最も好ましい

 超高真空容器1が、Znソースガン2、Oソー ガン3、ZnSソースガン4、Nソースガン5、及び Gaソースガン6を備える。Znソースガン2、ZnS ースガン4、及びGaソースガン6は、それぞれ 、Zn、ZnS、及びGaの固体ソースを収容するク ーセンセルを含み、それぞれ、Znビーム、ZnS ビーム、及びGaビームを出射する。

 なお、ZnSソースガンの代わりに、固体ソー として単体のSを用いたSソースガンを用い こともできる。また、H 2 S等の他の硫黄化合物を硫黄源とすることも 能である。

 Oソースガン3及びNソースガン5は、それぞ れ、高周波(例えば13.56MHz)を用いる無電極放 管を含む。Oソースガン3及びNソースガン5は それぞれ、無電極放電官内で酸素ガス及び 素ガスをラジカル化して、Oラジカルビーム 及びNラジカルビームを出射する。基板8上に 所望のタイミングで所望のビームを供給す ことにより、所望の組成のZnO系化合物半導 層を成長させることができる。

 超高真空容器1にはまた、反射高速電子線 回折(RHEED)用のガン9、及び、RHEEDの回折像を すスクリーン10が取り付けられている。RHEED 回折像から、基板8上に形成されたZnO系化合 物半導体層の結晶性を評価できる。ZnO系化合 物半導体層が、平坦な表面を有する(2次元成 した)単結晶である場合は、RHEED回折像がス リークパタンを示し、平坦でない表面を有 る(3次元成長した)単結晶である場合は、RHEE D回折像がスポットパタンを示す。なお、ZnO 化合物半導体層が、多結晶である場合は、RH EED回折像がリングパタンを示す。

 真空ポンプ11が、超高真空容器1の内部を真 排気する。なお、超高真空とは、圧力が1×1 0 -7 Torr以下の真空を示す。

 次に、第1~第5の実施例、及び、第1~第6の比 例によるZnO 1-x S x 単層膜の形成方法について説明する。これら の実施例及び比較例で、S組成xを様々に変化 せた。

 まず、第1の比較例について説明する。第1 比較例では、Sの導入されていないZnO層(すな わち、x=0としたZnO 1-x S x 層)を作製した。まず、洗浄されたc面ZnO基板 、+c面が露出するように、成膜装置の基板 ータに保持し、さらに、サーマルアニール 施して基板表面を洗浄した。サーマルアニ ルは、1×10 -9 Torrの高い真空下において、900℃で30分行った 。

 続いて、ZnO基板の+c面に、Znビーム及びOラ カルビームを同時に照射して、ZnO層を形成 た。基板温度は700℃とした。Znビームの照射 は、固体ソースとして純度7NのZnを用い、2.0× 10 -7 Torr(超高真空容器内での圧力)のビーム量で行 った。Oラジカルビームの照射は、純度6Nの純 酸素ガスを1sccmで導入してプラズマ化し、3×1 0 -5 Torrのビーム量で行った。

 このような方法により、厚さ1μm程度まで 成長させたサンプル(厚いサンプル)と、厚さ1 00nm程度まで成長させたサンプル(薄いサンプ )の2種類のサンプルを作製した。

 厚いサンプルに対して、エネルギ分散型X 線分光(EDX)による組成分析、及び、バンドギ ップ測定を行った。バンドギャップエネル は、吸収係数測定より得た。薄いサンプル 対して、原子間力顕微鏡(AFM)による表面粗 (算術平均粗さRa)測定、イオン化ポテンシャ 測定、及び、成長中のRHEED測定を行った。 オン化ポテンシャル測定には、大気中光電 分光を用いた。なお、表面粗さRaが1.1nm以下 あれば、その表面は平坦であると評価され 。

 成長したZnOの結晶は透明であり、平坦性 よい膜が形成された。

 上記手法で評価した結果、第1の比較例の ZnO層は、Sを含まず、バンドギャップエネル が3.3eVであり、表面粗さRaが0.65nmであり、イ ン化ポテンシャルが5.15eVであった。

 次に、第1の実施例について説明する。第1 比較例と同様な方法でサーマルアニールま が施されたZnO基板の+c面に、Znビーム、Oラジ カルビーム、及びZnSビームを同時に照射して 、ZnO 1-x S x 層を形成した。基板温度は400℃とした。Znビ ム及びOラジカルビームの照射は、第1の比 例と同様の条件で行った。ZnSビームの照射 、固体ソースとして純度5NのZnS単結晶を用い 、2.0×10 -7 Torrのビーム量で行った。ZnO 1-x S x 層の形成後、500℃で10分のアニールを行った

 このような方法により、厚さ1μm程度まで 成長させたサンプル(厚いサンプル)と、厚さ1 00nm程度まで成長させたサンプル(薄いサンプ )の2種類のサンプルを作製した。第1の比較 と同様に、厚いサンプルに対して、EDXによ 組成分析、及び、バンドギャップ測定を行 、薄いサンプルに対して、AFMによる表面粗 測定、イオン化ポテンシャル測定、及び、 長中のRHEED測定を行った。

 成長したZnO 1-x S x の結晶は非常に薄い黄色の透明であり、平坦 性のよい膜が形成された。

 上記手法で評価した結果、第1の実施例のZnO 1-x S x 層は、S組成xが0.1であり、バンドギャップエ ルギが2.93eVであり、表面粗さRaが1.0nmであり 、イオン化ポテンシャルが5.3eVであった。ま 、薄いサンプルの、ZnO 1-x S x 層のアニール後のRHEED回折像が、ストリーク タンを示した。このように、結晶性及び平 性が良好なZnO 1-x S x 層が得られた。

 次に、第2の比較例について説明する。第1 実施例と同様な方法で、厚さ100nmのZnO 1-x S x 層を成長させた。ただし、第1の実施例と異 り、成膜後のアニールを行わなかった。

 AFMによる表面粗さ測定、及び、成長中のRHEE D測定を行った。第2の比較例のZnO 1-x S x 層は、表面粗さRaが1.09nmであり、RHEED回折像 ストリークパタンを示した。S濃度が低いた 、アニールを行わなくても、比較的良好な 晶性及び平坦性が得られたと考えられる。

 次に、第2の実施例について説明する。ZnSビ ームのビーム量を、4.0×10 -7 Torrとした以外は、第1の実施例と同様な方法 サンプル(厚いサンプル及び薄いサンプル) 作製した。成長したZnO 1-x S x の結晶は薄い黄色の透明であり、平坦性のよ い膜が形成された。

 第1の実施例と同様にして、組成等を評価し た。第2の実施例のZnO 1-x S x 層は、S組成xが0.15であり、バンドギャップエ ネルギが2.82eVであり、表面粗さRaが0.67nmであ 、イオン化ポテンシャルが5.3eVであった。 た、薄いサンプルの、ZnO 1-x S x 層のアニール後のRHEED回折像が、ストリーク タンを示した。このように、結晶性及び平 性が良好なZnO 1-x S x 層が得られた。

 次に、第3の比較例について説明する。第2 実施例と同様な方法で、厚さ100nmのZnO 1-x S x 層を成長させた。ただし、第2の実施例と異 り、成膜後のアニールを行わなかった。

 AFMによる表面粗さ測定、及び、成長中のRHEE D測定を行った。第3の比較例のZnO 1-x S x 層は、表面粗さRaが2.06nmであり、RHEED回折像 スポットパタンを示し、結晶性及び平坦性 悪かった。なお、3次元成長(スポットパタン のRHEED回折像に対応)では、2次元成長(ストリ クパタンのRHEED回折像に対応)に比べると、 えば、転移が消滅せずに成長しやすいと考 られるので、結晶性が比較的悪いと判断し いる。

 次に、第3の実施例について説明する。Znビ ムのビーム量を3×10 -7 Torrとし、ZnSビームのビーム量を4.0×10 -7 Torrとし、成膜後のアニールを700℃で20分行っ たこと以外は、第1の実施例と同様な方法で ンプル(厚いサンプル及び薄いサンプル)を作 製した。成長したZnO 1-x S x の結晶は黄色の透明であり、平坦性のよい膜 が形成された。

 第1の実施例と同様にして、組成等を評価し た。第3の実施例のZnO 1-x S x 層は、S組成xが0.25であり、バンドギャップエ ネルギが2.64eVであり、表面粗さRaが0.77nmであ 、イオン化ポテンシャルが5.15eVであった。 た、薄いサンプルの、ZnO 1-x S x 層のアニール後のRHEED回折像が、ストリーク タンを示した。このように、結晶性及び平 性が良好なZnO 1-x S x 層が得られた。

 次に、第4の比較例について説明する。第3 実施例と同様な方法で、厚さ100nmのZnO 1-x S x 層を成長させた。ただし、第3の実施例と異 り、成膜後のアニールを行わなかった。

 AFMによる表面粗さ測定、及び、成長中のRHEE D測定を行った。第4の比較例のZnO 1-x S x 層は、表面粗さRaが2.68nmであり、RHEED回折像 リングパタンを示し、結晶性及び平坦性が かった。

 次に、第4の実施例について説明する。ZnO 1-x S x 層成長時の基板温度を300℃とし、Znビームの ーム量を3×10 -7 Torrとし、ZnSビームのビーム量を4.0×10 -7 Torrとし、成膜後のアニールを700℃で20分行っ たこと以外は、第1の実施例と同様な方法で ンプル(厚いサンプル及び薄いサンプル)を作 製した。成長したZnO 1-x S x の結晶は黄褐色の透明であり、平坦性のよい 膜が形成された。

 第1の実施例と同様にして、組成等を評価し た。第4の実施例のZnO 1-x S x 層は、S組成xが0.45であり、バンドギャップエ ネルギが2.5eVであり、表面粗さRaが0.95nmであ 、イオン化ポテンシャルが5.0eVであった。ま た、薄いサンプルの、ZnO 1-x S x 層のアニール後のRHEED回折像が、ストリーク タンを示した。このように、結晶性及び平 性が良好なZnO 1-x S x 層が得られた。

 次に、第5の比較例について説明する。第4 実施例と同様な方法で、厚さ100nmのZnO 1-x S x 層を成長させた。ただし、第4の実施例と異 り、成膜後のアニールを行わなかった。

 AFMによる表面粗さ測定、及び、成長中のRHEE D測定を行った。第5の比較例のZnO 1-x S x 層は、表面粗さRaが2.88nmであり、RHEED回折像 リングパタンを示し、結晶性及び平坦性が かった。

 次に、第6の比較例について説明する。第6 比較例は、成膜後のアニールの温度を300℃ した以外は、第4の実施例と同様である。成 したZnO 1-x S x の結晶は黄褐色の透明であった。

 第1の実施例と同様にして、組成等を評価し た。第6の比較例のZnO 1-x S x 層は、第4の実施例と同様に、S組成xが0.45で り、バンドギャップエネルギが2.5eVであった 。しかし、表面粗さRaが2.58nmであり、アニー 後のRHEED回折像がリングパタンを示し、結 性及び平坦性が悪かった。

 次に、第5の実施例について説明する。第5 実施例では、ZnS層(すなわち、x=1としたZnO 1-x S x 層)を作製した。第1の比較例と同様な方法で ーマルアニールまでが施されたZnO基板の+c に、ZnSビームを照射して、ZnS層を形成した 基板温度は300℃とした。ZnSビームの照射は 固体ソースとして純度5NのZnSを用い、2.0×10 -7 Torrのビーム量(超高真空容器内での圧力)で行 った。ZnSビーム照射の後、500℃で10分のアニ ルを行った。第1の実施例等と同様に、厚い サンプルと薄いサンプルを作製した。成長し たZnSの結晶は無色透明であり、平坦性のよい 膜が形成された。

 第1の実施例と同様にして、組成等を評価 した。第5の実施例のZnS層は、バンドギャッ エネルギが3.76eVであり、表面粗さRaが1.00nmで あり、イオン化ポテンシャルが4.5eVであった また、薄いサンプルの、ZnS層のアニール後 RHEED回折像が、ストリークパタンを示した このように、結晶性及び平坦性が良好なZnS が得られた。

 図2に示す表に、第1~第5の実施例、及び、 第1~第6の比較例の結果をまとめる。また、図 3A~図3Cに、それぞれ、第1の実施例、第3の比 例、及び第4の比較例のRHEED回折像を示す。 1の実施例のRHEED回折像はストリークパタン 示し、第3の比較例のRHEED回折像はスポット タンを示し、第4の比較例のRHEED回折像はリ グパタンを示す。

 図4は、第1の比較例、及び、第1~第5の実施 の結果から得られたZnO 1-x S x 及びZnOのバンドラインナップである。横軸が S組成xを示し、縦軸がバンドエネルギ(電子に 対するエネルギ)をeV単位で示す。

 点線L1が、ZnOの価電子帯の上端のエネルギ 示し、点線L2が、ZnOの伝導帯の下端のエネル ギを示す。曲線C1が、ZnO 1-x S x の価電子帯の上端のエネルギを示し、曲線C2 、ZnO 1-x S x の伝導帯の下端のエネルギを示す。

 価電子帯の上端のエネルギは、イオン化 テンシャルに対応し、伝導帯の下端のエネ ギは、イオン化ポテンシャルからバンドギ ップエネルギを差し引いて得られた値に対 する。

 S組成xが0<x<0.6の範囲で、ZnOの伝導帯の 端のエネルギよりも、ZnO 1-x S x の伝導帯の下端のエネルギの方が低い。従っ て、ZnO 1-x S x 層をZnO層で挟んだ構造を考えたとき、S組成x 0<x<0.6の範囲であれば、電子をZnO 1-x S x 層中に閉じ込めることができる。

 S組成xが0.25<x≦1の範囲で、ZnOの価電子帯 上端のエネルギよりも、ZnO 1-x S x の価電子帯の上端のエネルギの方が高い。従 って、ZnO 1-x S x 層をZnO層で挟んだ構造を考えたとき、S組成x 0.25<x≦1の範囲であれば、正孔(ホール)をZ nO 1-x S x 層中に閉じ込めることができる。

 以上より、S組成xを0.25<x<0.6とすれば、Z nO 1-x S x 層をZnO層で挟んだ構造のバンドダイアグラム が、図5に示すようにタイプI型となり、キャ ア(電子及びホール)をZnO 1-x S x 層に閉じ込めることができることがわかる。 なお、電子閉じ込めの観点及び成膜の容易さ の観点からは、S組成xをやや小さくすること 好ましく、例えば、0.25<x≦0.5とすること 好ましい。

 次に、上記考察を一般化して、ZnO 1-x S x 層を3層重ねた構造のバンドダイアグラムに いて考察する。第2のZnO 1-x S x 層が、第1及び第3のZnO 1-x S x 層で挟まれているとする。第1~第3のZnO 1-x S x 層のS組成を、それぞれx1~x3とする。図4のバ ドラインナップに示したように、第1~第3のZn O 1-x S x 層のS組成x1~x3が、それぞれのZnO 1-x S x 層の伝導帯の下端のエネルギ、及び、価電子 帯の上端のエネルギに対応する。

 図4のバンドラインナップに基づけば、第1 ZnO 1-x S x 層の伝導帯の下端のエネルギ、及び、第3のZn O 1-x S x 層の伝導帯の下端のエネルギの双方よりも、 第2のZnO 1-x S x 層の伝導帯の下端のエネルギの方が低くなり 、かつ、第1のZnO 1-x S x 層の価電子帯の上端のエネルギ、及び、第3 ZnO 1-x S x 層の価電子帯の上端のエネルギの双方よりも 、第2のZnO 1-x S x 層の価電子帯の上端のエネルギの方が高くな るように、第1~第3のZnO 1-x S x 層のS組成x1~x3を選択することができる。すな わち、第2のZnO 1-x S x 層が第1及び第3のZnO 1-x S x 層で挟まれた構造のバンドダイアグラムを、 タイプI型にできる。

 なお、第1と第3のZnO 1-x S x 層のS組成x1とx3とを等しくしないことも可能 ある。第1と第3のZnO 1-x S x 層のS組成x1及びx3の範囲は、0≦x1<0.25、0≦x 3<0.25とすることができる。第2のZnO 1-x S x 層のS組成x2の範囲は、第1と第3のZnO 1-x S x 層のS組成x1及びx3に応じて定まる。

 例えば、ZnOでZnOS混晶を挟んだ構造では、第 1と第3のZnO 1-x S x 層のS組成x1及びx3がともに0であり、第2のZnO 1-x S x 層のS組成x2の範囲が、上述のように、0.25<x 2<0.6となる。

 図6は、ZnO 1-x S x のバンドギャップエネルギのS組成xに対する 存性を示すグラフである。横軸がS組成xを し、縦軸がバンドギャップエネルギをeV単位 で示す。バンドギャップエネルギyが、S組成x を用いて、
y=3.8731x 2 -3.3437x+3.2308
という式でフィッティングされている。

 S組成xを0.25<x<0.6の範囲で制御するこ により、バンドギャップエネルギを2.5eV~2.65 eVの範囲で制御することができる。S組成xが0. 4近傍で、バンドギャップエネルギが最小値2. 5eVとなる。バンドギャップエネルギ2.5eV~2.65eV に対応する発光波長は、468nm~496nmの、青~青緑 色となる。

 なお、図6に示すグラフの作成のために行 ったバンドギャップエネルギの測定は、第1 比較例、及び、第1~第5の実施例の測定とは の測定であるが、両者は整合している。例 ば、第4の実施例において、S組成x=0.45でバン ドギャップエネルギ2.5eVが得られている。

 第1~第5の実施例では、ZnO 1-x S x 層の成膜後にアニールを行うことにより、S 度が高くなっても、平坦性の良いZnO 1-x S x 層を得ることができた。AFMで測定された表面 粗さRaを、例えば1nm以下とすることができた

 一方、ZnO 1-x S x 層の成膜後のアニールを行わなかった第2~第5 の比較例では、S濃度の低い第2の比較例につ ては比較的平坦性の良いZnO 1-x S x 層が得られたものの、S濃度が高くなると、 坦性の悪いZnO 1-x S x 層しか得られなかった。

 ZnO 1-x S x 層の成膜温度が高すぎると、Sの蒸気圧がZnO それに比べて非常に高いことに起因して、S 度を高めることが難しくなると考えられる Sを良好に導入するために、成膜温度は充分 に低くすることが好ましい。上記実施例では 、400℃または300℃とした。S濃度が高いほど 成膜温度を低くした。ZnO 1-x S x 層の成膜温度は、500℃未満とすることが好ま しいであろう。

 しかし、成膜温度を500℃未満とすると、こ に起因して、成膜時にZnO 1-x S x 層中で原子がマイグレーションしにくく、平 坦な膜が形成されにくいと考えられる。ZnO 1-x S x 層の成膜後のアニールを行うことにより、ZnO 1-x S x 層の平坦性を向上させることができる。

 第6の比較例は、第4の実施例と等しいS組成x (x=0.45)であり、第4の実施例と同様にZnO 1-x S x 層成膜後のアニールを行った。しかし、アニ ール温度を700℃とした第4の実施例では平坦 ZnO 1-x S x 層が得られたのに対し、アニール温度を300℃ とした第6の比較例では平坦なZnO 1-x S x 層が得られなかった。

 アニール温度を500℃以上とすると、ZnO 1-x S x 層中の原子がマイグレーションしやすくなり 、平坦化が促進されると考えられる。ただし 、アニール温度を1000℃以上とすると、ZnO 1-x S x 層の再蒸発が生じ、結晶性及び平坦性が悪化 すると考えられる。アニール温度は、500℃以 上1000℃未満とするのが好ましいであろう。

 次に、第6の実施例、及び、第7の比較例に る多重量子井戸(MQW)構造の形成方法について 説明する。まず、第6の実施例について説明 る。洗浄されたc面ZnO基板を、+c面が露出す ように、成膜装置の基板ヒータ上に保持し さらに、サーマルアニールを施して基板表 を洗浄した。サーマルアニールは、1×10 -9 Torrの高い真空下において、900℃で30分行った 。

 続いて、ZnO障壁層を形成するため、ZnO基板 +c面に、Znビーム及びOラジカルビームを同 に照射した。基板温度は400℃とした。Znビー ムの照射は、固体ソースとして純度7NのZnを い、2.0×10 -7 Torrのビーム量で行った。Oラジカルビームの 射は、純度6Nの純酸素ガスを1sccmで導入して プラズマ化し、3×10 -5 Torrのビーム量で行った。ZnO障壁層1層の厚さ 、20nmとした。

 続いて、ZnO 1-x S x (x=0.28)井戸層を形成するため、ZnO障壁層上に Znビーム、Oラジカルビーム、及びZnSビーム 同時に照射した。基板温度は400℃とした。Z nビームの照射は、固体ソースとして純度7Nの Znを用い、3.0×10 -7 Torrのビーム量で行った。Oラジカルビームの 射は、純度6Nの純酸素ガスを1sccmで導入して プラズマ化し、3×10 -5 Torrのビーム量で行った。ZnSビームの照射は 固体ソースとして純度5NのZnS単結晶を用い、 5.0×10 -7 Torrのビーム量で行った。ZnS x O 1-x 井戸層1層の厚さは、5nmとした。

 ZnS x O 1-x (x=0.28)井戸層形成の後、障壁層及び井戸層の 成温度(400℃)より高い温度である800℃に基 を加熱した。800℃となった時点から、温度 定とし、5分のアニールを施した。

 その後、上述の条件での障壁層形成工程、 戸層形成工程、及びアニール工程を1セット とした工程を繰り返して、5周期のZnS x O 1-x (x=0.28)/ZnO MQW構造を作製した。

 次に、第7の比較例について説明する。第7 比較例は、第6の実施例からアニール工程を いたものである。すなわち、ZnO 1-x S x (x=0.28)井戸層の形成後にアニールを行うこと く、5周期のZnS x O 1-x (x=0.28)/ZnO MQW構造を作製した。

 次に、第6の実施例及び第7の比較例のZnS x O 1-x (x=0.28)/ZnO MQW構造の、X線回折(XRD)の2θ-ω測定 結果について説明する。

 ZnO障壁層とZnS x O 1-x 井戸層との界面が平坦であれば、ZnO障壁層と ZnS x O 1-x 井戸層の屈折率の違いを反映して、2θ-ω測定 の回折パタンに、MQW構造の1周期分の厚み(障 層及び井戸層を1層ずつ積層した厚み)に相 する回折ピークが観測される。この回折ピ クは、サテライトピークと呼ばれる。サテ イトピークの次数が多いほど、界面の平坦 が高いと判断される。

 図7及び図8が、それぞれ、第6の実施例及 第7の比較例の回折パタンを示す。各グラフ の横軸が回折角2θを度単位で示し、縦軸が回 折強度をログスケールのcps(counts/second)単位で 示す。2θ-ω測定は、(002)面で行っている。

 第6の実施例の回折パタンでは、驚くべきこ とに、サテライトピークが5次の項まで観測 れ、障壁層と井戸層との界面が非常に平坦 ある。一方、第7の比較例では、明瞭なサテ イトピークが見られず、障壁層と井戸層と 界面があまり平坦でない。比較例では、膜 の不均一性が生じていると思われる。実施 のように、ZnO 1-x S x 井戸層の成膜後にアニールを行うにより、障 壁層と井戸層との界面の平坦性が高い(膜厚 均一性の高い)MQW構造を得られる。

 次に、図9A~図9Cを参照して、第7の実施例 よるZnO系発光ダイオードの製造方法につい 説明する。基板8として、n型の導電型を有 るc面ZnO基板を用いる。まず、洗浄された基 8を、+c面が露出するように、成膜装置の基 ヒータに保持し、さらに、900℃で30分のサ マルアニールを施して基板表面を洗浄する

 次に、サーマルアニールを施した基板8上 に、n型ZnOバッファ層20を形成する。n型ZnOバ ファ層20は、300℃~500℃に加熱した基板に、Zn ビーム、及びOラジカルビームを同時に照射 ることにより成長させ、さらに800℃~900℃で3 0分程度のアニールを行うことで得られる。n ZnOバッファ層20の厚さは、10nm~30nm程度が望 しい。なお、アニールによりn型ZnOバッファ 20からO原子が抜けて、n型の導電型が得られ ると考えられる。

 次に、n型ZnOバッファ層20の上に、Gaをドー ングしたn型ZnO層21を形成する。n型ZnO層21は 500℃~1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラ ジカルビーム、及びGaビームを同時に照射す ことにより成長させる。n型ZnO層21の厚さは1 μm~2μmで、Ga密度は1×10 18 cm -3 以上であることが好ましい。

 続いて、n型ZnO層21の上に、発光層22を形成 る。発光層22は、ZnS x O 1-x (0.25<x<0.6)層を井戸層とし、ZnO層を障壁層 とする量子井戸構造を有する。

 ZnS x O 1-x (0.25<x<0.6)井戸層は、500℃未満に加熱した 基板にZnビーム、Oラジカルビーム、及びZnSビ ームを同時に照射することにより成長させる 。ZnS x O 1-x (0.25<x<0.6)井戸層の成長後は、500℃以上100 0℃未満に基板温度を上昇させてアニールを う。ZnO障壁層は、基板温度を500℃~1000℃とし 、基板にZnビーム、Oラジカルビームを同時に 照射することにより成長させる。

 なお、発光層22は、図9Bに示すように、ZnS x O 1-x (0.25<x<0.6)井戸層22w及びZnO障壁層22bを1周 積層した構造としてもよい。図9Cに示すよう に、ZnS x O 1-x (0.25<x<0.6)井戸層22w及びZnO障壁層22bを複数 周期積層した多重量子井戸構造としてもよい 。なお、(後に発光層上方にZnO層を形成する で、)最上層のZnO障壁層を形成しない構造と てもよい。

 なお、発光層を単層のZnS x O 1-x 層とすることもできる。すなわち、単層のZnS x O 1-x 発光層を、クラッド層であるn型ZnO層及びp型Z nO層で挟んだダブルヘテロ構造を有する発光 子を形成することもできる。量子井戸構造 場合と同様に、ZnS x O 1-x 発光層の形成後にアニールを行うことにより 、発光層の平坦性が向上する。

 次に、発光層22の上に、Nをドーピングしたp 型ZnO層23を形成する。p型ZnO層23は、500℃~1000 に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビ ム、及びNラジカルビームを同時に照射する とにより成長させる。p型ZnO層23の厚さは100n m~200nmで、N密度は1×10 19 cm -3 以上であることが好ましい。Nが膜中に均一 ドープされたp型ZnO層23が得られる。

 なお、クラッド層として、n型及びp型のZn MgO層を用いることも可能であるが、n型及びp ZnO層をクラッド層とする方が、作製が容易 ある。特に、p型ZnMgO層の作製は難しい。

 次に、電極を形成する。基板8の下面上に n側電極30を形成する。n側電極30は、例えば、 基板8の下面上に厚さ2nm~10nmのTi層を形成し、 のTi層に厚さ300nm~500nmのAl層を積層すること より形成される。

 また、p型ZnO層23の上面上に、p側電極31を 成する。p側電極31は、例えば、p型ZnO層23の に厚さ0.5nm~1nmのNi層を形成し、このNi層に、 厚さ10nmのAu層を積層することにより形成され る。さらに、p側電極31上にボンディング電極 32を形成する。ボンディング電極32は、例え 、厚さ500nmのAu層からなる。

 これらの電極を形成した後、例えば400℃~ 800℃の酸素雰囲気中で、電極合金化処理を行 う。合金処理時間は、例えば1分~10分である このようにして、第7の実施例による発光素 が作製される。なお、基板8として、n型の 電型を有するZnO基板を用いたが、n型の導電 を有するSiC基板やGaN基板を用いることもで る。

 次に、図10を参照して、第8の実施例によ 発光素子の作製方法について説明する。基 として絶縁性のサファイア基板8aを用いる とと、それに伴い、電極の形成工程とが、 7の実施例と異なる。

 第7の実施例と同様にして、基板8a上に、n 型ZnOバッファ層20からp型ZnO層23までを形成す 。p型ZnO層23までが形成されたウエハを成膜 置から取り出した後、p型ZnO層23上に、レジ ト膜または保護膜等を設けてパタニングし n側電極が形成される領域に対応する切り欠 き窓を有するエッチングマスクを形成する。 このエッチングマスクを用いて、例えばウエ ットエッチングやリアクティブイオンエッチ ングにより、p型ZnO層23及び発光層22をエッチ グして、n型ZnO層21を露出させる。

 次に、露出したn型ZnO層21の表面に、例え 、厚さ2nm~10nmのTi層を形成し、このTi層に厚 300nm~500nmのAl層を積層することにより、n側 極30aを形成する。n側電極30aの形成後、エッ ングマスクを除去する。

 次に、p型ZnO層23の表面に、例えば、厚さ0 .5nm~1nmのNi層を形成し、このNi層に厚さ10nmのAu 層を積層することにより、p側電極31aを形成 る。さらに、p側電極31aの上に、例えば厚さ5 00nmのAu層からなるボンディング電極32aを形成 する。なお、p側の電極の材料がn側電極30a上 積層されないように、適宜マスクを用いて p側電極31a及びボンディング電極32aを形成す る。

 これらの電極を形成した後、第7の実施例 と同様に、例えば400℃~800℃の酸素雰囲気中 、電極合金化処理を行う。合金処理時間は 例えば1分~10分である。このようにして、第8 の実施例による発光素子が作製される。

 第8の実施例による発光素子では、基板と して絶縁性のサファイア基板を用いることが できる。なお、ZnO基板、SiC基板、またはGaN基 板を用いることもできる。

 なお、上記実施例ではc面ZnO基板を用い、 +c面上に半導体素子を形成する例を説明した 、-c面上に半導体素子を形成することもで る。また、a面やm面を有するZnO基板上に半導 体素子を形成することもできる。

 以上説明したように、ZnS x O 1-x 層をZnO層で挟んだ構造において、0.25<x<0. 6とすることにより、ZnS x O 1-x 層にキャリアを閉じ込めることが可能となる 。これにより、例えば、発光効率の高められ た青色発光素子を作製することができるであ ろう。ZnS x O 1-x 層の成膜後に、500℃以上1000℃未満の温度で ニールすることにより、ZnS x O 1-x 層の平坦性を向上させることができる。

 なお、図4を参照して考察したように、ZnS x O 1-x 層をZnS x O 1-x 層で挟んだ構造でも、キャリアの閉じ込めは 可能である。このような構造を発光素子に用 いることもできるであろう。

 なお、上記実施例では、成膜方法としてM BEを用いたが、他の成膜方法、例えば、有機 属化学気相堆積(MOCVD)や、パルスレーザ堆積 (PLD)を用いることもできるであろう。なお、M OCVDに比べると、MBE及びPLDは、膜の組成の制 が容易となる。

 なお、発光ダイオード(LED)を作製する例 説明したが、例えば、へき開でキャビティ 形成して、レーザダイオード(LD)を作製する ともできるであろう。さらに、これらの発 素子の応用製品、例えば、各種インジケー や、ディスプレイ、光ディスク用の光源等 作ることもできる。

 また、LEDを、その発光波長の補色を生成 る蛍光体と組み合わせて、白色LEDを作るこ もできる。さらに、白色LEDの応用製品、例 ば、照明器具、各種インジケータ、ディス レイ、各種表示器のバック照明等を作るこ もできる。

 以上実施例に沿って本発明を説明したが 本発明はこれらに制限されるものではない 例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等 可能なことは当業者に自明であろう。