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Patent Searching and Data


Title:
siRNA TARGETING ONCOGENE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044793
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a composition for inhibiting cell proliferation which contains an siRNA inhibiting the expression of an oncogene. It is also intended to provide a cancer therapy method with the use of an siRNA inhibiting the expression of an oncogene. First, it is found out that a newly designed siRNA (ALG-00345) targeting PLK-1 remarkably inhibits the expression of the gene and induces apoptosis. Further, it is clarified via an in vivo test that when intravenously injected, ALG-00345 inhibits the proliferation of a UM-UC-3 (human bladder tumor)-containing xenograft in a nude mouse. By attempting to optimize a survivin-specific DNA/RNA chimeric siRNA, it is found out that an anticancer agent based on a survivin-targeting siRNA is useful as a molecule-targeting drug. Furthermore, it is clarified that optimized RNA/DNA chimeric siRNAs against SKP2 and CKS1 show gene-specificity, minimized off-target effect and a high stability over a long time in human serum.

Inventors:
YAZAWA HIDENORI (JP)
MORITA MITSUNORI (JP)
SATO REIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067896
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
October 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ALPHAGEN CO LTD (JP)
YAZAWA HIDENORI (JP)
MORITA MITSUNORI (JP)
SATO REIKO (JP)
International Classes:
C12N15/00
Domestic Patent References:
WO2003044188A12003-05-30
Other References:
EIJI ASHIHARA ET AL.: "Polo-like kinase-1 o Hyoteki to shita RNA Kansho ni yoru Atarashii Gan Bunshi Hyoteki Chiryoho; also page 169", MOLECULAR TARGET THERAPY OF CANCER, vol. 4, 2006, pages 193 - 201
MITSUNORI MORITA ET AL.: "Optimization Of RNA/ DNA chimeric siRNA for polo-like kinase-1", NIHON GAN GAKKAI GAKUJUTSU SOKAI KIJI, vol. 66, August 2007 (2007-08-01), pages 538
HIROAKI UCHIDA ET AL. ET AL.: "siRNA Hatsugen Virus Vector o Mochiita Idenshi Chiryo", CLINICAL IMMUNOLOGY, vol. 43, 2005, pages 443 - 450
HAJIME FUKANO ET AL.: "Optimization of siRNA for survivin, and its in vitro and in vivo activity against human bladder cancer", NIHON GAN GAKKAI GAKUJUTSU SOKAI KIJI, vol. 66, August 2007 (2007-08-01), pages 537, 538
HIDENORI YAZAWA ET AL.: "SKP2 and CKS1 as molecular targets for bladder cancer treatment", NIHON GAN GAKKAI GAKUJUTSU SOKAI KIJI, vol. 66, August 2007 (2007-08-01), pages 537
MASATO IKEDA ET AL.: "Hai Gansaibo Kabu ni Okeru ultraviolet C Shosha Ji no survivin Hatsugen Chosetsu Kiko to sono Seibutsugakuteki Yakuwari", MEDICAL JOURNAL OF KINKI UNIVERSITY, vol. 30, 2005, pages 19 - 25
YASUSEI KUDO ET AL.: "The effect of Cksl and Skp2 siRNA on the inhibition of cell growth in oral cancer", NIHON GAN GAKKAI GAKUJUTSU SOKAI KIJI, vol. 63, 2004, pages 152
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Hatsushi (1-1-1 Oroshi-machi, Tsuchiura-sh, Ibaraki 47, JP)
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Claims:
癌遺伝子の発現を阻害するsiRNAを含む、細胞の増殖を阻害するための組成物。
siRNAが、癌遺伝子のmRNAのいずれかの領域のセンス鎖RNA及び該センス鎖RNAのアンチセンス鎖RNAを有するsiRNAである、請求項1に記載の組成物。
癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する、配列番号:1または2に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項1または2に記載の組成物。
癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を阻害する、配列番号:3または4に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項1または2に記載の組成物。
癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する、配列番号:5または6に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項1または2に記載の組成物。
癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する、配列番号:7または8に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項1または2に記載の組成物。
癌の治療または予防に用いるための、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、咽頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つまたは複数である、請求項7に記載の組成物。
癌遺伝子の発現を阻害するsiRNA組成物を対象に投与する工程を含む、対象における癌を治療又は予防する方法。
siRNA組成物が癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する配列番号:1または2に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項9に記載の方法。
siRNA組成物が癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を阻害する配列番号:3または4に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項9に記載の方法。
siRNA組成物が癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する配列番号:5または6に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項9に記載の方法。
siRNA組成物が癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する配列番号:7または8に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成物である請求項9に記載の方法。
癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、咽頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つまたは複数である、請求項9に記載の方法。
癌の治療または予防のための医薬組成物の製造に用いるための、癌遺伝子の発現を阻害するsiRNAの使用。
siRNAが癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する配列番号:1または2に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである請求項15に記載の使用。
siRNAが癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を阻害する配列番号:3または4に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである請求項15に記載の使用。
siRNAが癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する配列番号:5または6に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである請求項15に記載の使用。
siRNAが癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する配列番号:7または8に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである請求項15に記載の使用。
癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、咽頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つまたは複数である、請求項15に記載の使用。
癌を治療または予防するための方法に使用するための癌遺伝子の発現を阻害するsiRNA。
癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する配列番号:1または2に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである、請求項21に記載のsiRNA。
癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を阻害する配列番号:3または4に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである、請求項21に記載のsiRNA。
癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する配列番号:5または6に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである、請求項21に記載のsiRNA。
癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する配列番号:7または8に記載のヌクレオチド配列を有するsiRNAである、請求項21に記載のsiRNA。
癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、咽頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つまたは複数である、請求項21に記載のsiRNA。
Description:
癌遺伝子を標的とするsiRNA

 本発明は、癌遺伝子の発現を阻害するsiRN Aを含む、細胞の増殖を阻害するための組成 に関する。また癌遺伝子の発現を阻害するsi RNAを用いた癌の治療方法に関する。

 初期診断の際、膀胱癌の約70%は表在段階 ある。これらの病変は通常、経尿道的切除 よって処置され、その後、マイトマイシンC 、アドリアマイシン、およびカルメット-ゲ ン桿菌(BCG)を含む薬剤が膀胱内投与される。 これらの膀胱内薬剤は、癌が切除された後の 無進行生存期間を延長することができるが、 まれに膀胱癌患者を治癒させることが、長期 経過観察によって実証されている。表在病変 の半分は再発すると考えられ、10.30%程度は、 より高いグレードおよび/または病期へと進 して局所浸潤癌を形成すると考えられる。 所浸潤癌に対する標準的治療は根治的膀胱 除術であるが、これは、尿機能および性機 の喪失をもたらす可能性がある。それゆえ 、現在の治療はこれら患者のQOLに悪影響を ぼすことが多い。したがって、表在癌に対 る新規の治療的アプローチが熱望されてい 。

 Plk遺伝子は、多くの有糸分裂過程を媒介 ることが知られており、膀胱癌、肺癌、平 筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳 、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌や転移 などで発現が確認されている(非特許文献1/U we Holtrich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994 Mar 1 _91(5)1736-40)。Plk遺伝子を標的とし細胞増殖を 害するいくつかのsiRNAが報告されている(非 許文献2/Xiaoqi Liu and Raymond L. Erikson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002 Jun 25 99(13) 8672-6、 許文献1/WO 03/070283)。

 サバイビン(survivin)は、アポトーシス阻害 物質(IAP)ファミリー遺伝子として周知であり その発現上昇は、膀胱癌を含む様々な腫瘍 おいて観察されている。サバイビン発現と の再発リスク、短い生存との間に相関関係 存在することも報告されている。したがっ 、サバイビン発現を調節するための多くの 究が報告されてきた。低分子干渉RNA(siRNA)は 、遺伝子発現を低下させるための最も強力な 技術の一つであり、潜在的な候補薬物である と考えられている(非特許文献3/Ning S, et al.,  Int J Oncol 2004 Oct 25(4) 1065-71、特許文献2/W O 2004/070034 A2、特許文献3/WO 2005/002507 A2)。

 また、尿路上皮癌(Urothelial carcinoma、以下 UCと略すこともある)は、表在型または浸潤型 に分類できる。その組織検査および臨床挙動 に基づくと、これらの腫瘍の70~80%が表在性で ある(筋肉浸潤無し:<T2)が、表在UC患者の約7 0%が再発すると考えられる。該患者において 病期(stage)または悪性度(grade)のいずれかが 行しており、10~15%では筋肉浸潤および転移 で進む。したがって、UCが進行癌へと移行す る確度が高いかどうかを最初の生検において 予測できれば、適切な治療様式の選択が容易 になり、かつ、この癌を有する患者の予後を 改善できると期待される。

 サイクリン依存性キナーゼサブユニット1 (Cyclin-dependent kinase subunit 1、CKS1)は、SKP2と 相互作用によってp27のユビキチン依存性タ パク質分解を促進する。様々なヒト悪性病 においてp27発現がダウンレギュレートされ 一方でSKP2およびCKS1の発現レベルがアップレ ギュレートされたが、このことは、p27分解の 調節を通して腫瘍の侵襲的挙動を促進する際 にCKS1およびSKP2が重要な役割を果たしうるこ を示唆する。本発明者らは、以前に、84例 US検体をリアルタイムPCR分析および免疫組織 化学染色に供して、臨床病理学的パラメータ と、SKP2、CKS1、およびP27の発現レベルとの間 関係を解析した。さらに本発明者らは、一 のUC症例におけるSKP2またはCKS1のmRNA発現レ ルに対する原因別(cause-specific)生存率を評価 た。したがって、SKP2およびCKS1の発現は、 性因子としての予測的マーカー遺伝子であ と考えられる(非特許文献4/J. Urol. 178:301-7,  2007)。Cks1を標的とするsiRNAが口腔扁平上皮癌 増殖を抑制すること(非特許文献5/Shojiro Kita jima et al., Am. J. Pathol. 2004 Dec 165(6) 2147-55 )、Skp2を標的とするsiRNAがメラノーマなどの の増殖を抑制すること(非特許文献6/Yoshiyuki  Katagiri et al., J. Dermatol. Sci. Vol 42 (3) June 2006 215-224、特許文献4/WO 2006/079014)が報告さ ている。

 なお、本出願の発明に関連する先行技術文 情報を以下に示す。

WO 03/070283

WO 2004/070034 A2

WO 2005/002507 A2

WO 2006/079014 Uwe Holtrich, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1994 Mar 1, 91(5)1736-40 Xiaoqi Liu and Raymond L. Erikson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002 Jun 25 99(13) 8672-6 Ning S, et al., Int J Oncol 2004 Oct 25(4) 1 065-71 J. Urol. 178:301-7, 2007 Shojiro Kitajima et al., Am. J. Pathol. 2004 D ec 165(6) 2147-55 Yoshiyuki Katagiri et al., J. Dermatol. Sci. Vo l 42 (3) June 2006 215-224

 本発明は、このような状況に鑑みてなさ たものであり、その目的は、癌遺伝子の発 を阻害するsiRNAを含む、細胞の増殖を阻害 るための組成物を提供することにある。ま 癌遺伝子の発現を阻害するsiRNAを用いた癌の 治療方法の提供を課題とする。

 本発明者らは、上記の課題を解決するため 、鋭意研究を行った。
 本発明者らはまず、PLK-1を標的とする新規 計されたsiRNA(ALG-00345、配列番号:1、2)がその 伝子発現を著しく阻害すること、およびイ ビトロ分析において細胞周期(IC 50 およびGI 50 が約10 pM)を阻害することによってアポトー スを引き起こすことを見出した。さらに静 内注射によって、ALG-00345がヌードマウス中 UM-UC-3(ヒト膀胱腫瘍)含有異種移植片の増殖 阻止することを、インビボ試験により明ら にした。この結果は、ALG-00345が、インビト およびインビボでアポトーシス細胞死の増 をもたらす有糸分裂停止を誘導することを す。驚くべきことに、ALG-00345は、インビボ 異種移植片モデルにおいて深刻な副作用の 見を全く示さなかった。

 次に本発明者らは、siDirect(商標)およびsiC himera(商標)によって設計した、高い活性およ 安定性を有するサバイビン特異的DNA/RNAキメ ラsiRNAを最適化することを試み、サバイビン 標的とするsiRNAベースの抗癌剤は分子標的 薬物として有用であることを見出した。さ に、前記キメラsiRNAを適切なドラッグデリバ リーシステム(DDS)中に封入することで、抗癌 として使用可能であることを明らかにした

 さらに本発明者らは、SKP2およびCKS1に対 る最適化RNA/DNAキメラsiRNAを、siDirect(商標)お びsiChimera(商標)により設計した。これらのsi RNAは標的遺伝子特異性を示し、そのオフター ゲット効果は最小化されることを明らかにし た。特に、キメラsiRNAは、ヒト血清中で長期 安定性を有することが明らかになった。

 本発明は、より具体的には以下の〔1〕~〔26 〕を提供するものである。
〔1〕 癌遺伝子の発現を阻害するsiRNAを含む 細胞の増殖を阻害するための組成物。
〔2〕 siRNAが、癌遺伝子のmRNAのいずれかの領 域のセンス鎖RNA及び該センス鎖RNAのアンチセ ンス鎖RNAを有するsiRNAである、〔1〕に記載の 組成物。
〔3〕 癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する 配列番号:1または2に記載のヌクレオチド配 を有するsiRNAを含む組成物である〔1〕また 〔2〕に記載の組成物。
〔4〕 癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を阻 害する、配列番号:3または4に記載のヌクレオ チド配列を有するsiRNAを含む組成物である〔1 〕または〔2〕に記載の組成物。
〔5〕 癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する 配列番号:5または6に記載のヌクレオチド配 を有するsiRNAを含む組成物である〔1〕また 〔2〕に記載の組成物。
〔6〕 癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する 配列番号:7または8に記載のヌクレオチド配 を有するsiRNAを含む組成物である〔1〕また 〔2〕に記載の組成物。
〔7〕 癌の治療または予防に用いるための、 〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の組成物。
〔8〕 癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平滑 筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳癌 、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色腫 、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳腫 瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、咽 頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ 腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つ たは複数である、〔7〕に記載の組成物。
〔9〕 癌遺伝子の発現を阻害するsiRNA組成物 対象に投与する工程を含む、対象における を治療又は予防する方法。
〔10〕 siRNA組成物が癌遺伝子Plk1遺伝子の発 を阻害する配列番号:1または2に記載のヌク オチド配列を有するsiRNAを含む組成物である 〔9〕に記載の方法。
〔11〕 siRNA組成物が癌遺伝子サバイビン遺伝 子の発現を阻害する配列番号:3または4に記載 のヌクレオチド配列を有するsiRNAを含む組成 である〔9〕に記載の方法。
〔12〕 siRNA組成物が癌遺伝子Cks1遺伝子の発 を阻害する配列番号:5または6に記載のヌク オチド配列を有するsiRNAを含む組成物である 〔9〕に記載の方法。
〔13〕 siRNA組成物が癌遺伝子Skp2遺伝子の発 を阻害する配列番号:7または8に記載のヌク オチド配列を有するsiRNAを含む組成物である 〔9〕に記載の方法。
〔14〕 癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平 筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳 、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色 、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳 瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、 頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リン 腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つ たは複数である、〔9〕に記載の方法。
〔15〕 癌の治療または予防のための医薬組 物の製造に用いるための、癌遺伝子の発現 阻害するsiRNAの使用。
〔16〕 siRNAが癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻 する配列番号:1または2に記載のヌクレオチ 配列を有するsiRNAである〔15〕に記載の使用
〔17〕 siRNAが癌遺伝子サバイビン遺伝子の発 現を阻害する配列番号:3または4に記載のヌク レオチド配列を有するsiRNAである〔15〕に記 の使用。
〔18〕 siRNAが癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻 する配列番号:5または6に記載のヌクレオチ 配列を有するsiRNAである〔15〕に記載の使用
〔19〕 siRNAが癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻 する配列番号:7または8に記載のヌクレオチ 配列を有するsiRNAである〔15〕に記載の使用
〔20〕 癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平 筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳 、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色 、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳 瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、 頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リン 腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つ たは複数である、〔15〕に記載の使用。
〔21〕 癌を治療するための方法に使用する めの癌遺伝子の発現を阻害するsiRNA。
〔22〕 癌遺伝子Plk1遺伝子の発現を阻害する 列番号:1または2に記載のヌクレオチド配列 有するsiRNAである、〔21〕に記載のsiRNA。
〔23〕 癌遺伝子サバイビン遺伝子の発現を 害する配列番号:3または4に記載のヌクレオ ド配列を有するsiRNAである、〔21〕に記載のs iRNA。
〔24〕 癌遺伝子Cks1遺伝子の発現を阻害する 列番号:5または6に記載のヌクレオチド配列 有するsiRNAである、〔21〕に記載のsiRNA。
〔25〕 癌遺伝子Skp2遺伝子の発現を阻害する 列番号:7または8に記載のヌクレオチド配列 有するsiRNAである、〔21〕に記載のsiRNA。
〔26〕 癌が膀胱癌、尿路上皮癌、肺癌、平 筋肉腫、結腸癌、非ホジキンリンパ腫、乳 、肝臓癌、胃癌、食道癌、子宮頸癌、黒色 、口腔扁平上皮癌、前立腺癌、卵巣癌、脳 瘍、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨肉種、 頭癌、リンパ腺癌、膵臓癌、精巣癌、リン 腫、白血病やこれらの転移癌のいずれか1つ たは複数である、〔21〕に記載のsiRNA。

PLK-1 siRNAの最適化を示す図である。A:si Direct(商標)による、PLK-1 CDS領域にわたるsiRNA 設計の結果を示す。B:siRNA処理後の細胞増殖 阻害スクリーニング結果を示す。C:siChimera(商 標)技術によるsiRNAの調製を示す。 インビトロ実験におけるALG-00345活性を す図および写真である。A:ALG-00345処理後のmR NAレベルを示す図である。B:ALG-00345処理後の ンパク質レベルを示す写真である。C:ALG-00345 処理後のDNA含量を示す図である。D:ALG-00345処 後のアネキシンV染色の結果を示す図である 。 様々な腫瘍細胞系および正常細胞におけるALG -00345活性を示す図である。A:ALG-00345処理後の 胞増殖阻害曲線である。B:相対的PLK-1 mRNA発 現レベル(腫瘍細胞系および正常細胞)を示す C:IC 50 およびGI 30 計算値を示す。 A:UM-UC-3含有異種移植片モデルの増殖に するALG-00345の効果を示す図である。B:マウ におけるALG-00345の静注後の血液毒性を示す 血液毒性を測定した。 サバイビンsiRNAの最適化を示す図であ 。A:siDirect(商標)によるサバイビンCDS領域に たるsiRNA設計の結果を示す。B:siRNA処理後の 胞増殖阻害スクリーニングの結果を示す図 ある。C:siChimera(商標)技術によるsiRNAの調製 示す。 インビトロ実験におけるALG-00322活性を す図および写真である。ALG-00322をいくつか 濃度(最小濃度は10 pMであった)でUM-UC-3にト ンスフェクションした。A:ALG-00322処理後のmR NAレベルを示す図である。B:ALG-00322処理後の ンパク質レベルを示す図である。C:ALG-00322処 理後のDNA含量を示す図である。D:ALG-00322処理 のアネキシンV染色の結果を示す図である。 様々な腫瘍細胞系および正常細胞におけるALG -00322活性を示す図である。A:ALG-00322処理後の 胞増殖阻害曲線である。B:相対的サバイビ mRNA発現レベル(腫瘍細胞系および正常細胞) 示す。C:IC 50 およびGI 30 計算値を示す。 A:UM-UC-3含有異種移植片モデルの増殖に するALG-00322の効果を示す図である。B:マウ におけるALG-00322の静注後の血液毒性を示す である。血液毒性を測定した。 A:ヒト尿路上皮癌におけるSKP2、CKS1、お よびp27の発現を示す写真である。倍率×200。B :カプラン・マイヤーの原因別生存率曲線を す図である。C:遺伝子発現パターンおよび予 後を示す図である。NEDは、疾患の証拠がみら れないことを示す。 A:siRNAの標的位置を示す図である。B:siR NA処理後の細胞増殖阻害スクリーニングの結 を示す図である。C:siChimera(商標)技術による CKS1およびSKP2 siRNAの最適化を示す図である。 D:95%ヒト血清中でのsiRNA安定性を決定した結 を示す写真である。 インビトロ実験におけるALG-00338または ALG-00371活性を示す図および写真である。A:ALG- 00338またはALG-00371処理後のmRNAレベルを示す図 である。B:ALG-00338またはALG-00371処理後のタン ク質レベルを示す写真である。C:ALG-00338ま はALG-00371処理後のDNA含量を示す図である。D: siRNA処理後のアネキシンV染色の結果を示す図 である。 インビトロでの様々な腫瘍細胞型お び正常細胞におけるALG-00338またはALG-00371活 を示す図である。A:ALG-00338またはALG-00371処理 後の細胞増殖阻害曲線を示す図である。 インビトロでの様々な腫瘍細胞型お び正常細胞におけるALG-00338またはALG-00371活 を示す図である。B:相対的CKS1 mRNA発現レベ (腫瘍細胞系および正常細胞)(上)および相対 SKP2 mRNA発現レベル(腫瘍細胞系および正常 胞)(下)を示す。 インビトロでの様々な腫瘍細胞型および正常 細胞におけるALG-00338またはALG-00371活性を示す 図である。C:IC 50 およびGI 30 計算値を示す。

〔発明の実施の形態〕
 本発明は、癌遺伝子の発現を阻害するsiRNA 含む、細胞の増殖を阻害するための組成物 提供する。該組成物は例えば、医薬組成物 たは試薬組成物として、さらに本発明のsiRNA の標的となる癌遺伝子に関連する生理状態の 解明のための試験研究用組成物としても使用 され得る。

 本発明において発現が阻害される癌遺伝子 言い換えれば本発明のsiRNAの標的となる癌 伝子としては、以下の(1)~(4)のいずれかに記 の遺伝子を挙げることができる。
(1)Plk1遺伝子。ヒトPlk1のcDNA配列およびアミノ 酸配列は公知であり、例えばGenBankアクセッ ョン番号X75932に記載のcDNAおよびGenBankアクセ ッション番号CAA5356に記載のアミノ酸配列を いることができる。
(2)サバイビン遺伝子。ヒトサバイビンのcDNA 列およびアミノ酸配列は公知である。
(3)Cks1遺伝子。ヒトCks1のcDNA配列およびアミノ 酸配列は公知である。
(4)Skp2遺伝子。ヒトSkp2のcDNA配列およびアミノ 酸配列は公知である。

 本明細書における「癌遺伝子の発現を阻 」には、遺伝子の転写の阻害およびタンパ 質への翻訳の阻害が含まれる。また、DNAの 現の完全な停止のみならず発現の減少も含 れる。

 本願のsiRNAは、上記標的となる癌遺伝子 相補的な塩基配列を含むRNAが有する、遺伝 発現の抑制効果であるRNAi効果を有するもの ある。一般的にRNAiとは、標的遺伝子のmRNA 列と相同な配列からなるセンスRNAおよびこ と相補的な配列からなるアンチセンスRNAと らなる二本鎖RNAを細胞内に導入することに り、標的遺伝子mRNAの破壊を誘導し、標的遺 子の発現が阻害される現象を言う。

 RNAi機構の詳細については未だに不明な部 分もあるが、DICERといわれる酵素(RNase III核 分解酵素ファミリーの一種)が二本鎖RNAと接 し、二本鎖RNAがsmall interfering RNAまたはsiRNA と呼ばれる小さな断片に分解されるものと考 えられている。本発明におけるRNAi効果を有 る二本鎖RNAには、このようにDICERによって分 解される前の二本鎖RNAも含まれる。

 RNAiによる遺伝子抑制実験を行う際には、 標的遺伝子特異的に遺伝子抑制を起こさせる 必要があるため、siRNA配列は対象遺伝子に特 的な配列であることが重要となる(Jackson AL,  et al., Nat Biotechnol. 21: 635-637, 2003)。RNAiに 用いるDNAは、標的遺伝子と完全に同一である 必要はないが、少なくとも70%以上、好ましく は80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好 ましくは95%以上の配列の相同性を有する。該 DNAは、相同性が高くなるにつれて、そのsiRNA 遺伝子発現抑制効果は増加する。

 本発明において、RNAi効果を有する2本鎖RN Aは、通常、標的遺伝子のmRNAにおける任意の 続する塩基配列と相同な配列からなるセン RNA、および該センスRNAに相補的な配列から るアンチセンスRNAからなる2本鎖RNAである。 上記「任意の連続する塩基配列」の長さは、 通常20~30塩基であり、好ましくは21~23塩基で る。しかしながら、そのままの長さではRNAi 果を有さないような長鎖のRNAであっても、 胞においてRNAi効果を有するsiRNAへ分解され ため、本発明における2本鎖RNAの長さは、特 に制限されない。

 また、標的遺伝子のmRNAの全長もしくはほ ぼ全長の領域に対応する長鎖二本鎖RNAを、例 えば、予めDICERで分解させ、その分解産物をR NAi効果を有するRNAとして利用することもでき る。このような分解産物には、RNAi効果を有 る二本鎖RNA分子(siRNA)が含まれることが期待 れる。この方法によれば、RNAi効果を有する ことが期待されるmRNA上の領域を、特に選択 なくともよい。

 また、末端に数塩基のオーバーハングを する二本鎖RNAは、RNAi効果が高いことが知ら れている。したがってRNAi効果を有する二本 RNAは、末端に数塩基のオーバーハングを有 ることが望ましい。このオーバーハングを 成する塩基の長さは特に制限されない。オ バーハングの塩基の数は、好ましくは、2塩 である。本発明においては例えば、TT(チミ が2個)、UU(ウラシルが2個)、その他の塩基の オーバーハングを有する二本鎖RNAが好ましい 。たとえばヒトにおいては、19塩基の二本鎖R NAと2塩基(TT)のオーバーハングを有する分子 、RNAi効果が高いといわれている。RNAi効果を 有する二本鎖RNAには、オーバーハングを形成 する塩基がDNAであるようなキメラ分子も含ま れる。

 ここでいう2本鎖RNAは、相補配列が互いに ハイブリダイズした構造を含むRNAを言う。し たがって、先に述べたように1本鎖RNA中に相 的な塩基配列を含み、それが互いにハイブ ダイズすることによって2本鎖構造を取った 合には、2本鎖RNAに含まれる。すなわちステ ムループ構造を取る1本鎖RNAは、2本鎖構造(ス テム部分)を含むため、2本鎖RNAに含まれる。

 siRNAは、単一の転写物が標的遺伝子由来 センス配列及び相補的アンチセンス配列の 方を有するよう、例えばヘアピンとして構 される。

 当業者は、標的遺伝子に対してRNAi効果を 有する二本鎖RNAを、その塩基配列をもとに、 適宜デザインすることができる。すなわち、 標的遺伝子の塩基配列をもとに、該配列の転 写産物であるmRNAの任意の連続するRNA領域を 択し、この領域に対応する二本鎖RNAを作製 ることができる。また、該配列の転写産物 あるmRNA配列から、より強いRNAi効果を有する siRNA配列を選択する方法も公知である。例え 、Reynoldsらが発表した論文(Reynold et al. Natu re biotechnology 22. 326-330 (2004))や、Ui-Teiらが 表した論文(Ui-Tei et al. Nucleic Acids Res. 32. 936-948 (2004))等に基づいて、siRNAに必要な塩 配列を予測することができる。

 siRNAは、遺伝子の部分的な塩基配列に基 いてデザインすることもできる。siRNAの塩基 配列を特定するためには、選択すべき任意の 連続する塩基配列が判明していればよい。必 要な塩基配列の長さは、たとえば、少なくと も20~30塩基である。つまり、全長配列が明ら でない標的遺伝子に対して、siRNAをデザイ することもできる。従って、EST(Expressed Seque nce Tag)等のようにmRNAの一部は判明している 、全長が判明していない遺伝子断片からも 該断片の塩基配列を基に当該遺伝子の発現 抑制する二本鎖RNAを作製することができる

 本発明の組成物に配合されるsiRNAには、DN Aとハイブリダイズした分子、あるいはヌク オチドの誘導体を含むRNAなども含まれる。 とえば、ヌクレアーゼ耐性を付与するため 末端を修飾したRNAが公知である。あるいは 蛍光性の分子を導入したRNAも公知である。 れらの人工的に合成されたRNAも、本発明のRN Aに含まれる。

 本発明に使用されるRNAは、天然のRNAを構成 るリボヌクレオチド核酸に加え、人工的な 基に置換したものや、その誘導体を含む。 たがって、天然の塩基であるa、u、c、およ gに代えて、イノシン(i)を有するRNAを複合体 形成に用いることができる。あるいはリン酸 結合をチオエート結合やボラノフォスフェー ト結合に置換した核酸誘導体を人工的に合成 する方法も公知である。リボヌクレオチド核 酸の糖構造を修飾することもできる。糖構造 の修飾方法として、2’-O-メチル修飾、2’-フ ルオロ修飾、あるいはlocked nucleic acid (LNA) 飾等を用いることもできる。また、部分的 DNAを導入したDNA-RNAキメラ分子も公知である

 本発明のsiRNAは、具体的には以下の方法 作成デザインできる。まず、siDirect(商標)シ テムにより、癌遺伝子CDS領域にわたるsiRNA 設計を行う。次に設計されたsiRNAについて、 siChimera(商標)技術によって一部配列をDNAに変 、キメラ型siRNAを作製する。本発明におい 、好ましいsiRNAの例としては、以下の表1に 載のsiRNAが挙げられる。

 本発明は、本願のsiRNAを有効成分として 有する、細胞の増殖を阻害するための組成 に関する。あるいは本発明は、siRNAの細胞の 増殖を阻害するための組成物の製造における 使用に関する。

 本発明のsiRNAを含有する組成物が増殖を阻 する細胞としては癌細胞、好ましくは膀胱 、尿路上皮癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌 非ホジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌 食道癌、子宮頸癌、黒色腫、口腔扁平上皮 、前立腺癌、卵巣癌、脳腫瘍、腎臓癌、皮 癌、頭頸部癌、骨肉種、咽頭癌、リンパ腺 、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、白血病やこ らの転移癌などから採取された細胞が挙げ れるがこれに限定されない。
これら細胞には対象生物(ヒト含む)の体内に ける細胞、あるいは一定に安定化した細胞 して株化された細胞等が含まれるがこれら 限定されない。

 本発明の好ましい例として、Plk1遺伝子を 標的遺伝子とするsiRNAを含有する組成物によ て膀胱癌、肺癌、平滑筋肉腫、結腸癌、非 ジキンリンパ腫、乳癌、肝臓癌、胃癌、食 癌、子宮頸癌から採取された細胞の増殖を 害することができる。また、サバイビン遺 子を標的遺伝子とするsiRNAを含有する組成 によって膀胱癌から採取された細胞の増殖 阻害することができる。また、Cks1遺伝子を 的遺伝子とするsiRNAを含有する組成物によ て尿路上皮癌、口腔扁平上皮癌から採取さ た細胞の増殖を阻害することができる。さ に、Skp2遺伝子を標的遺伝子とするsiRNAを含 する組成物によって尿路上皮癌、黒色腫か 採取された細胞の増殖を阻害することがで る。

 本発明は、癌遺伝子の発現を阻害するsiRN Aを含む癌を治療または予防するための組成 に関する。また、本発明は癌遺伝子の発現 阻害するsiRNA組成物を対象に投与する工程を 含む、癌を治療または予防する方法に関する 。

 また、本発明は、癌を治療または予防す ための組成物を製造するための癌遺伝子の 現を阻害するsiRNAの使用に関する。さらに 本発明は、癌を治療または予防するための 法に使用するための癌遺伝子の発現を阻害 るsiRNAに関する。

 本発明の治療または予防の対象となる癌 しては、上記に挙げられた癌を挙げること できる。

 本発明のsiRNAを遺伝子治療剤として使用 る場合は、本発明のsiRNAを含む組成物を注射 により直接投与する方法のほか、核酸が組込 まれたベクターを投与する方法が挙げられる 。上記ベクターとしては、アデノウイルスベ クター、アデノ随伴ウイルスベクター、ヘル ペスウイルスベクター、ワクシニアウイルス ベクター、レトロウイルスベクター、レンチ ウイルスベクター等が挙げられ、これらのウ イルスベクターを用いることにより効率よく 投与することができる。

 また、本発明のsiRNAをリポソームなどの ン脂質小胞体に導入し、その小胞体を投与 ることも可能である。siRNAやshRNAを保持させ 小胞体をリポフェクション法により所定の 胞に導入する。そして、得られる細胞を例 ば静脈内、動脈内等に全身投与する。また 組織等に局所的に投与することもできる。s iRNAはin vitroにおいては非常に優れた特異的 写後抑制効果を示すが、in vivoにおいては血 清中のヌクレアーゼ活性により速やかに分解 されてしまうため持続時間が限られるためよ り最適で効果的なデリバリーシステム開発が 求められてきた。一つの例としては、Ochiya T らのNature Med. 5: 707-710,1999、Curr.Gene Ther. 1: 31-52, 2001より生体親和性材料であるアテロ ラーゲンが核酸と混合し複合体を形成させ と、生体中の分解酵素から核酸を保護する 用がありsiRNAのキャリアーとして非常に適し ているキャリアーであると報告されているが 、本発明の薬剤の導入の方法はこれには限ら れない。また、RNAの一部をDNAに変えてキメラ 型のsiRNAとすることで、血中での安定性を向 させることもできる。

 本発明の薬剤は、安全とされている投与量 範囲内において、ヒトを含む哺乳動物に対 て、必要量(有効量)が投与される。本発明 薬剤の投与量は、剤型の種類、投与方法、 者の年齢や体重、患者の症状等を考慮して 最終的には医師または獣医師の判断により 宜決定することができる。一例を示せば、 齢、性別、症状、投与経路、投与回数、剤 によって異なるが、例えばアデノウイルス 場合の投与量は1日1回あたり10 6 ~10 13 個程度であり、1週~8週間隔で投与される。

 また、siRNAを目的の組織または器官に導 するために、市販の遺伝子導入キット(例え アデノエクスプレス:クローンテック社)を いることもできる。

 なお、本明細書において引用された全て 先行技術文献は、参照として本明細書に組 入れられる。

 以下、本発明を実施例によりさらに具体 に説明するが本発明はこれら実施例に制限 れるものではない。

方法
・細胞培養およびインビトロにおける細胞へ のsiRNAトランスフェクション
 5.0%ウシ胎児血清を添加したRPMI 1640(Invitrogen )中、標準的条件(37℃、5.0% CO 2 含有加湿雰囲気)下で、腫瘍細胞系の全細胞 養物を培養した。トランスフェクション当 に、製造業者の説明書に従って、適切な濃 のLipofectamine(商標)RNAiMAX(Invitrogen)とsiRNAとの 合物で細胞をトランスフェクションした。
・mRNA発現レベル検出
 siRNA処理後のmRNA発現レベルを、トランスフ クションの27時間後に、リアルタイムPCRシ テム(7900HT、ABI)によって検出した。
・細胞増殖分析
 SRB分析(National Cancer Institute)を用いた。分 は、siRNAトランスフェクションの27時間後に 施した。
・細胞周期解析
 siRNA処理後の所与の時間間隔で、製造業者 説明書に従って、Vybrant(登録商標)アポトー ス分析キット#2(Invitrogen)で細胞を染色した。 これらを、FACSAria(商標)(Becton, Dickinson and Com pany)を用いたフローサイトメトリーにより解 した。

〔実施例1〕PLK-1に対するキメラsiRNA
(1)
 PLK-1 siRNAの最適化を行った(図1)。
 siDirect(商標)により、PLK-1 CDS領域にわたるsi RNAの設計を行った(図1A)。全siRNAを、いくつか の濃度でUM-UC-3ヒト膀胱癌由来細胞系にトラ スフェクションした。トランスフェクショ の72時間後に、改変SRB分析(NCI法)によって細 増殖分析を実施した(図1B)。最も性能のよか ったsiRNA「B」をsiChimera(商標)に変換し、「ALG- 00345」と命名した(図1C)。センス鎖の3'末端お びアンチセンス鎖の5'末端においてRNAをDNA 部分置換することによって、siRNAをヌクレア ーゼ切断から安定化することができる(JP380331 8、WO03/044188、USPおよびEPでは現在係属中であ )。

(2)
 インビトロ実験においてALG-00345活性を測定 た(図2)。ALG-00345をいくつかの濃度(最小濃度 は1.0 pMであった)でUM-UC-3にトランスフェクシ ョンした。リアルタイムPCRによってmRNAレベ (図2A)、ウエスタンブロッティングによって ンパク質レベル(図2B)をそれぞれ決定した。 また、ALG-00345でトランスフェクションした細 胞(最終濃度100 pM)のDNA含量を、FACSによって 析した(図2C)。さらに、アネキシンV染色を行 った結果、アネキシンV陽性細胞集団は、ALG-0 0345処理(最終濃度100 pM)の72時間後に見かけ上 増加した(図2D)。
 また様々な腫瘍細胞系および正常細胞にお るALG-00345活性を測定した(図3)。ALG-00345処理 の細胞増殖阻害曲線は典型的な細胞増殖阻 曲線を示した(図3A)。また、様々な腫瘍細胞 系および正常細胞における相対的なPLK-1 mRNA 現レベルを、リアルタイムPCRにより解析し (図3B)。IC 50 およびGI 30 計算値の結果より、ALG-00345は、比較的低濃度 (ほぼ全てがナノモル以下)で様々なヒト腫瘍 胞型の細胞増殖を阻害することが明らかに った(図3C)。
 インビトロにおいて、ALG-00345はPLK-1 mRNAを 異的に減少させ、nM以下の濃度でUM-UC-3細胞 おけるアポトーシス細胞死を誘導した(図2お よび図3)。

(3)
 UM-UC-3含有異種移植片モデルの増殖に対する ALG-00345の効果を測定した(図4A)。UM-UC-3細胞をB ALB/cAJcl-nu/nuマウスに皮下接種した(3×10 6 細胞/マウス)。腫瘍体積が100 mm 3 に達したら(約2週間)、マウスにALG-00345(5.0 mg/ kg)およびシスプラチン(5.0 mg/kg)を週1回、2週 にわたって静注した。腫瘍体積および体重 経時変化をSDで示した。血液毒性を測定し 。BALB/cAJcl-nu/nuマウスに、ALG-00345(50 mg/kg)お びシスプラチン(5.0 mg/kg)を1回静注した。
 また、マウスにおけるALG-00345の静注後の血 毒性を測定した(図4B)。BALB/cAJcl-nu/nuマウス 、ALG-00345(50 mg/kg)およびシスプラチン(5.0 mg/ kg)を1回静注した。
 ALG-00345の静脈内投与は、UM-UC-3含有ヌードマ ウスにおける腫瘍増殖の低下を示した(図4A) ALG-00345の血液毒性は深刻ではなかった(図4B)
(結論)
 本発明者らが設計した、PLK-1に対する有効 の高いRNA/DNAキメラsiRNA(ALG-00345)は、nM以下に いて腫瘍細胞系の細胞周期を十分に阻止し 。ALG-00345は、静注によるsiRNAベースの抗癌 としての可能性を有するが、投与の最適化 血流におけるさらなる安定化、およびドラ グデリバリーシステム(DDS)などを含むさらな る調査が必要である。

〔実施例2〕サバイビンに対するキメラsiRNA
(1)
 サバイビンsiRNAの最適化を行った(図5)。
 siDirect(商標)によって、サバイビンCDS領域に わたるsiRNA設計を行った(図5A)。全siRNAを、い つかのヒト膀胱癌由来細胞系にトランスフ クションした。トランスフェクションの72 間後に、改変SRB分析(NCI法)によって細胞増殖 分析を実施した(図5B)。最も性能のよかったsi RNA「B」をsiChimera(商標)に変換し、「ALG-00322」 と命名した(図5C)。センス鎖の3'末端およびア ンチセンス鎖の5'末端においてRNAをDNAで部分 換することによって、siRNAをヌクレアーゼ 断から安定化することができる(JP3803318、WO03 /044188、USPおよびEPでは現在係属中である)。

(2)
 インビトロ実験においてALG-00322活性を測定 た(図6)。リアルタイムPCRによってmRNAレベル (図6A)、ELISAによって全サバイビンタンパク質 レベル(図6B)を決定した。また、ALG-00322でト ンスフェクションした細胞(最終濃度1.0 nM) DNA含量を、FACSによって解析した(図6C)。さら に、ALG-00322処理後にアネキシンV染色を行っ (図6D)。アネキシンV陽性細胞集団は、ALG-00322 処理(最終濃度1.0 nM)の72時間後に見かけ上増 した。
 様々な腫瘍細胞系および正常細胞におけるA LG-00322活性を測定した(図7)。ALG-00322処理後の 胞増殖阻害曲線は典型的な細胞増殖阻害曲 を示した(図7A)。様々な腫瘍細胞系および正 常細胞における相対的なサバイビンmRNA発現 ベルを、リアルタイムPCRにより解析した(図7 B)。IC 50 およびGI 30 計算値より、ALG-00322は、様々なヒト腫瘍細胞 型の細胞増殖を阻害することが明らかになっ た(図7C)。
 ALG-00322 DNA/RNAキメラsiRNAは、インビトロで UM-UC-3細胞およびその他の腫瘍由来の細胞系 おいてサバイビンmRNAを特異的に減少させた (図6および図7)が、増殖阻害活性は強くはな った(図7)。

(3)
 UM-UC-3含有異種移植片モデルの増殖に対する ALG-00322の効果を測定した(図8A)。UM-UC-3細胞をB ALB/cAJcl-nu/nuマウスに皮下接種した(3×10 6 細胞/マウス)。腫瘍体積が100 mm 3 に達したら(約2週間)、マウスにALG-00322(50 mg/k g)およびAteloGene(登録商標)(KOKEN, Tokyo, Japan)添 加ALG-00322(50 mg/kg)を週1回、2週間にわたって 注した。腫瘍体積および体重の経時変化をSD で示した。
 マウスにおけるALG-00322の静注後の血液毒性 測定した(図8B)。BALB/cAJcl-nu/nuマウスに、ALG-0 0322(5.0 mg/kg)およびシスプラチン(5.0 mg/kg)を1 静注した。
 ALG-00322の静脈内投与はインビボで抗腫瘍活 を示さなかったが(図8A)、ALG-00322とAteloGene( 録商標)との複合体はインビボで腫瘍増殖を 害した(図8A)。ALG-00322の血液毒性は深刻では なかった(図8B)。
(結論)
 サバイビンに対するsiRNAを設計し、DNA/RNAキ ラオリゴヌクレオチド型に改変した。ALG-003 22はサバイビンに対する最適化キメラsiRNAで り、インビトロ活性を特徴とした。ALG-00322 インビトロで強力な活性を有するが、イン ボでは抗腫瘍活性を示さなかった。AteloGene( 録商標)添加ALG-00322の静注は、インビボで腫 瘍増殖を阻害した。ALG-00322はサバイビンに対 する強力なキメラsiRNAであるが、抗腫瘍活性 ために静注は有効でないことが、これらの 果により示された。さらなる開発のために 、いずれかのデリバリーシステムを考慮に れるべきである。

〔実施例3〕 SKP2およびCKS1に対するキメラsiRN A
(1)
 ヒト尿路上皮癌におけるSKP2、CKS1、およびp2 7の発現を観察した(図9A)。代表的切片につい の、浸潤癌および表在癌の免疫組織化学染 を示す。浸潤癌は、SKP2およびCKS1に対して く拡散した核染色を示したが、p27染色に対 ては陰性であった。対象的に、表在癌にお ては弱いSKP2染色およびCKS1染色ならびに強い p27染色が観察された。全ての陰性対象におい て、染色は観察されなかった。
 処理後のUC患者に関するカプラン・マイヤ の原因別生存率曲線を示した(図9B)。処理後 UC患者は、SKP2またはCKS1 mRNAの発現レベルが 高いか低いか(表在UC検体(A)の平均の基準値に より判定)によって分類した。2~50ヶ月にわた て(平均16.6ヶ月)、経過観察を行った。黒丸 、無検閲のデータポイントである。
 遺伝子発現パターンおよび予後の検討を行 った(図9C)。本発明者らの経過観察期間中、 CKS1およびSKP2が低発現であった患者において 死は起こらなかった。一方、CKS1およびSKP2 高発現であった患者15名のうち4名(26.6%)が癌 連の死因で死亡し、CKS1が高発現でSKP2が低 現であった患者13名のうち1名(7.7%)、およびCK S1が低発現でSKP2が高発現であった患者6名の ち2名(33.3%)が同様に死亡した。カイ二乗検定 により、CKS1とSKP2の発現パターンの間の有意 違いが明らかになった(P=0.0038)。

(2)
 CKS1およびSKP2 siRNAの最適化を行った(図10)。
 siDirect(商標)により、CKS1またはSKP2のCDS領域 わたってsiRNAを設計した(図10A)。全siRNAを、 くつかの濃度でUM-UC-3ヒト膀胱癌由来細胞系 にトランスフェクションした。トランスフェ クションの72時間後に、改変SRB分析(NCI法)に って細胞増殖分析を実施した(図10B)。最も性 能のよかったsiRNA「II」(CKS1上)およびsiRNA「G (SKP2上)を、siChimera(商標)に変換し、それぞれ 「ALG-00338」および「ALG-00371」と命名した(図10 C)。センス鎖の3'末端およびアンチセンス鎖 5'末端においてRNAをDNAで部分置換することに よって、これらのsiRNAをヌクレアーゼ切断か 安定化することができる(JP3803318、WO03/044188 USPおよびEPでは現在係属中である)。95%ヒト 清中でのsiRNA安定性を決定したところ、RNA/D NAキメラsiRNAは、元のRNA二重鎖と比べて、ヌ レアーゼに対するより高い耐性を有するこ が明らかになった(図10D)。

(3)
 インビトロ実験においてALG-00338またはALG-003 71活性を測定した(図11)。ALG-00338またはALG-00371 をいくつかの濃度でUM-UC-3にトランスフェク ョンした。リアルタイムPCRによってmRNAレベ (図11A)、ウエスタンブロッティングによっ タンパク質レベル(図11B)を決定した。また、 ALG-00338またはALG-00371でトランスフェクション した細胞(それぞれ最終濃度1.0 nMおよび10 nM) のDNA含量を、FACSによって解析した(図11C)。さ らに、siRNA処理後のアネキシンV染色を行なっ た(図11D)結果、アネキシンV陽性細胞集団は、 ALG-00338およびALG-00371処理の72時間後に見かけ 増加した。
 また、インビトロでの様々な腫瘍細胞型お び正常細胞におけるALG-00338またはALG-00371活 を測定した(図12)。ALG-00338またはALG-00371処理 後の細胞増殖阻害曲線は典型的な細胞増殖阻 害曲線を示した(図12A)。様々な腫瘍細胞型お び正常細胞における相対的なCKS1またはSKP2  mRNA発現レベルを、リアルタイムPCRにより測 した(図12B)。IC 50 およびGI 30 計算値の結果、ALG-00338およびALG-00371は、比較 的低濃度(ほぼ全てが数ナノモル)で様々なヒ 腫瘍細胞型において細胞増殖を阻害するが 正常細胞においては阻害しないことが明ら になった(図12C)。
 ALG-00371およびALG-00338でトランスフェクショ したUM-UC-3は、アポトーシス細胞死を示した (図11)。ALG-00371およびALG-00338はUM-UC-3腫瘍細胞 特異的に阻止したが、正常細胞には効果が かった(図12)。
(結論)
 キメラsiRNAは、(インビトロで)各mRNAに対し 強力な活性を有し、ヒト血清中での安定性 長期にわたった。これらの結果から、キメ siRNAはさらなる調査のための強力なツールの 一つとなると考えられる。

 本発明によって、癌遺伝子の発現を阻害 るsiRNAを含む、細胞の増殖を阻害するため 組成物が提供された。

 本発明の組成物は、癌遺伝子の発現抑制 よる、癌の治療や予防、あるいは癌の機能 析などに利用することができる。治療や予 に利用した場合には、本発明に基づいて、 療用のRNAを血中に投与し、癌細胞の増殖を 害することができる。あるいは、癌遺伝子 機能解析においては、機能を解析すべき癌 伝子の発現を抑制しうるsiRNAを生体中に投 し、発現抑制に伴う表現型の変化を知るこ ができる。

 生体に対して、効果的な遺伝子発現抑制 実現できるので、生体の生理的な変化や、 際の疾患モデル動物に対する影響を知るこ ができる。あるいは、特定の癌遺伝子発現 抑制が、他の臓器や全身の機能に与える影 を観察することができる。このような知見 、培養細胞における遺伝子発現抑制では得 ことができない。