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Title:
3,3'-DIAMINO-5,5'-DIPHENYL-4,4'-BIPHENYLDIOL, RAW MATERIAL THEREFOR, AND POLYBENZOXAZOLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117704
Kind Code:
A1
Abstract:
3,3'-Diamino-5,5'-diphenyl-4,4'-biphenyldiol, which is useful as a monomer for high-performance polymers, especially ones satisfying a high degree of performance requirements in the field of semiconductors, such as polybenzoxazoles and polyimides. Also provided is 3,3'-dinitro-5,5'-diphenyl-4,4'-biphenyldiol, which is a raw material for that diol. Furthermore provided is a polybenzoxazole having repeating units represented by the following formula (1): (1) (wherein R is a divalent residue of a dicarboxylic acid).

Inventors:
KUNIKATA KENJI (JP)
KOUMOTO TAIHEI (JP)
SEKINE KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055011
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON KAYAKU KK (JP)
KUNIKATA KENJI (JP)
KOUMOTO TAIHEI (JP)
SEKINE KENJI (JP)
International Classes:
C07C215/80; C07C205/23; C08G73/22
Foreign References:
JP2002105202A2002-04-10
JPH11100356A1999-04-13
JPH11106367A1999-04-20
JP2007015967A2007-01-25
JP2000178356A2000-06-27
JP2005097230A2005-04-14
JP2006219527A2006-08-24
Attorney, Agent or Firm:
SUGIMURA, Kenji et al. (Gate West 3-2-1,Kasumigaseki,Chiyoda-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール。
 3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール。
 下記式(1):
(式中、Rは2価のジカルボン酸残基である)で表される繰り返し単位を有するポリベンゾオキサゾール。
 3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールと、ジカルボン酸又はその誘導体とを重縮合反応させて得たことを特徴とする請求項3に記載のポリベンゾオキサゾール。
Description:
3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル- 4,4’-ビフェニルジオール及びその原料、並 にポリベンゾオキサゾール

 本発明は、ポリイミド、感光性ポリイミ 、ポリベンゾオキサゾール、感光性ポリベ ゾオキサゾール、ポリヒドロキシアミド、 リヒドロキシイミドおよびポリアミドを含 高性能ポリマーの製造に有用なモノマーで る3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビ ェニルジオール及びその原料に関するもの ある。また、本発明は、該3,3’-ジアミノ-5,5 ’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールを反 応させて得たポリベンゾオキサゾールに関す るものである。

 ビス-o-アミノフェノールは、高耐熱性お び高強度で且つ電気特性の良好なポリマー 例えば、ポリベンゾオキサゾールおよび水 基を有するポリイミド(ポリヒドロキシイミ ド)またはそれらの前駆体の製造に必要な化 物である。ポリベンゾオキサゾールおよび リヒドロキシイミドは、特に半導体の表面 護膜、層間絶縁膜、多層配線基板の相関絶 膜、フレキシブル配線基板のカバーコート として重要である。近年、フォトレジスト 機能をもたせた感光性ポリベンゾオキサゾ ルやポリイミドが特に注目されている。ポ ベンゾオキサゾールは、通常ジカルボン酸 クロライドとビス-o-アミノフェノールから リヒドロキシアミドを得、次いで加熱処理 脱水閉環して製造される。また、ポリヒド キシイミドは、通常テトラカルボン酸無水 とビス-o-アミノフェノールからポリアミッ 酸を得、これを加熱処理し脱水閉環して製 される。ビス-o-アミノフェノールは、これ ら製造されるポリマーの性質に大きい影響 与える。即ち、ポリマーの耐熱性、機械特 、電気特性あるいは溶解性等は、原料のビ -o-アミノフェノールによって大きく影響さ る。このような用途に使用されるビス-o-ア ノフェノールの具体例としては、2,2-ビス(3- ミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2- ス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフ オロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ ェニル)スルホン(特開2007-15967号公報参照)、 3,3’-ジアミノ-4,4’-ビフェニルジオール(特 平11-106367号公報参照)、3,3’-ジアミノ-5,5’- メチル-4,4’-ビフェニルジオール(特開平11-1 06367号公報参照)、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェ ニルエチニル-4,4’-ビフェニルジオール(特開 2005-97230号公報参照)等が知られている。

 そこで、本発明は、半導体分野で益々進 でいる高密度化、面実装化や高周波伝送に 応する耐熱性、低膨張性、低誘電率、高屈 等の物理的特性に優れたポリマーの製造に 用なモノマーであるビス-o-アミノフェノー を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 検討した結果、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェ ル-4,4’-ビフェニルジオールが、上記した うな半導体分野での高度な性能要求を満た ポリマーのモノマーとして有用であり、こ を高純度、高収率で製造する方法を見出し 本発明を完成させるに至った。

 即ち、本発明の要旨構成は次のとおりで る。

1.3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビ ェニルジオール。

2.3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビ ェニルジオール。

3.下記式(1):
(式中、Rは2価のジカルボン酸残基である)で される繰り返し単位を有するポリベンゾオ サゾール。

4.3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビ ェニルジオールと、ジカルボン酸又はその 導体とを重縮合反応させて得たことを特徴 する上記3に記載のポリベンゾオキサゾール

 本発明の3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル- 4,4’-ビフェニルジオールは、高性能ポリマ 、特に半導体分野での高度な性能要求を満 すポリマーのモノマーとして有用である。

<3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフ ェニルジオール>
 以下、本発明を詳細に説明する。本発明の3 ,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェ ルジオールは、例えば、3,3’-ジフェニル-4,4 ’-ビフェニルジオールをニトロ化して3,3’- ニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジ オールを得、該3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ ル-4,4’-ビフェニルジオールを還元すること 得られる。なお、原料の3,3’-ジフェニル-4, 4’-ビフェニルジオールは、市場から容易に 手できるo-フェニルフェノールを出発物質 して、常法により容易に製造できる。

 また、本発明の3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフ ニル-4,4’-ビフェニルジオールは、上記し ように3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’- ビフェニルジオールの前段階にある物質であ って、例えば、3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェ ニルジオールをニトロ化して得られる。上記 ニトロ化反応は、通常、3,3’-ジフェニル-4,4 -ビフェニルジオールを硝酸処理して行われ る。

 上記ニトロ化反応に使用される硝酸は、通 10~95質量%水溶液であり、工業用硝酸をその ま又は水で希釈して使用することができる 好ましい硝酸濃度は55~75質量%である。硝酸( HNO 3 )の使用量は、3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェ ルジオール1モルに対して通常1.8~3.8モルであ り、2.1~2.4モルが好ましい。また、上記ニト 化の反応温度は、通常-20~100℃であり、好ま くは-5~30℃である。

 3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオー のニトロ化は、反応に不活性な溶媒中で行 れる。使用し得る不活性な溶媒としては、 肪族酸、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素 脂肪族塩素化炭化水素または芳香族塩素化 化水素が挙げられる。脂肪族酸の具体例と ては、酢酸、プロピオン酸等を挙げること できる。脂肪族炭化水素の具体例としては n-ヘキサン、イソヘキサン、n-ヘプタン、n- クタン、シクロペンタン、シクロヘキサン メチルシクロヘキサン等を挙げることがで る。芳香族炭化水素の具体例としては、ベ ゼン、トルエン、キシレン等を挙げること できる。脂肪族塩素化炭化水素の具体例と ては、ジクロロメタン、クロロホルム、四 化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロ ロエタン等を挙げることができる。芳香族塩 素化炭化水素の具体例としては、モノクロロ ベンゼン、オルソジクロロベンゼン等を挙げ ることができる。ニトロ化反応に使用する溶 媒量は、3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジ オールに対して通常3~20倍(質量比)である。

 上記ニトロ化反応は、詳細には、3,3’-ジ フェニル-4,4’-ビフェニルジオールを不活性 溶媒中で攪拌して分散、溶解し、所定温度 保ちながら所定量の硝酸を少しずつ添加し 行われる。硝酸の添加時間は、通常0.5~20時 であり、好ましくは3~10時間である。硝酸の 添加後、さらに所定温度に保って、0.5~10時間 攪拌を継続して反応を完結させる。反応終了 後、反応混合物に水を加えて攪拌した後、反 応混合物がスラリー状態の場合はこれを濾過 し、水でよく洗浄して、粗ニトロ体を得るこ とが出来る。反応の進行状況あるいは目的物 の純度は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)に よって確認できる。得られた粗ニトロ体は、 ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトア ミド、N-メチルピロリドン、メタノール、エ ノール、イソプロパノール、アセトン、メ ルエチルケトン、メトキシエタノール、ジ キサン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶 で、熱洗浄、再結晶等により精製できる。

 このようにして得られた本発明の3,3’-ジ ニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジ ールを還元して、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフ ニル-4,4’-ビフェニルジオールを得ることが できる。以下に、還元反応の好ましい態様で ある、触媒の存在下、水素またはヒドラジン 類で還元する方法について説明する。

 上記還元反応に用いることができる触媒 しては、ニッケル触媒、貴金属触媒等が挙 られる。ニッケル触媒としては、ケイソウ や活性炭のような担体に分散されたニッケ 、ホウ化ニッケル、ラネーニッケル等が使 できる。これらニッケル触媒のうち、ラネ ニッケルが好ましい。また、貴金属触媒と ては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロ ウム触媒等が使用できる。貴金属触媒とし は、貴金属の単体の他、該金属の酸化物、 金属が活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオラ ト、炭酸カルシウムのような担体に分散さ た触媒等が使用できる。これら貴金属触媒 うち、白金またはパラジウムが活性炭に分 された触媒が好ましい。白金またはパラジ ムが活性炭に分散された触媒を用いる場合 担体に分散する金属の割合は1.0~20質量%が好 ましい。また、ヒドラジン類で還元する場合 、鉄塩と活性炭を組み合わせたものも触媒と して使用できる。鉄塩としては、塩化第1鉄 塩化第2鉄等を挙げることができる。触媒の 用量は、原料の3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェ ル-4,4’-ビフェニルジオールの質量に対し 、ラネーニッケルでは5~20質量%、白金-カー ンまたはパラジウム-カーボンでは1~10質量% 鉄塩では5~20質量%であることが好ましい。上 記還元反応に用いることができる触媒は、新 触媒でも回収リサイクルした触媒でもよい。

 上記還元反応において、水素を用いる場合 反応温度は通常30~150℃であり、50~100℃であ ことが好ましい。反応温度が30℃未満では 反応速度が遅く、一方、150℃を超えると、 香核の水素化などの副反応物が増加する。 応水素圧は通常1~100kg/cm 2 (ゲージ圧)であり、2~20kg/cm 2 (ゲージ圧)であることが好ましい。反応水素 は、適宜水素を補給して一定圧力に保持さ ることが好ましく、該水素の補給を、水素 収がなくなるまで行うことが好ましい。水 の吸収量は、3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ -4,4’-ビフェニルジオール1.0モルに対して 6.0モルである。

 一方、ヒドラジン類を用いる場合、ヒド ジン類としては、ヒドラジン一水和物、メ ルヒドラジン、ヒドラジニウムクロライド ヒドラジニウムサルフェート等が使用でき 。これらの中でも、ヒドラジン一水和物が ましく、例えば、ヒドラジン一水和物の40~8 0質量%水溶液として使用される。ヒドラジン の使用量は、通常、3,3’-ジニトロ-5,5’-ジ ェニル-4,4’-ビフェニルジオール1.0モルに して2.5~10.0モルであり、3.0~4.5モルであるこ が好ましい。反応温度は、通常10~100℃であ 、30~80℃であることが好ましい。

 上記還元反応は、通常、低級脂肪族アル ール類、環式または非環式エーテル類、N- チルピロリドン等の溶媒中で行われる。使 できる低級脂肪族アルコール類の具体例と ては、メタノール、エタノール、n-プロパノ ール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec- ブタノール等が挙げられる。また、使用でき る環式または非環式エーテル類の具体例とし ては、エチレングリコールモノメチルエーテ ル、エチレングリコールモノエチルエーテル 、エチレングリコールジエチルエーテル、ジ オキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられ る。還元反応における溶媒の使用量は、3,3’ -ジニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニル オール1質量部に対して通常0.5~30質量部であ り、好ましくは1~15質量部である。また、こ らの溶媒と水との混合溶媒を使用すること できる。混合溶媒中の水の割合は50容量%以 が好ましい。上記還元反応において、特に ましい溶媒は、N-メチルピロリドンとメタノ ールとの混合溶媒である。N-メチルピロリド /メタノールの混合比率は、容量比で通常10/ 90~90/10であり、好ましくは20/80~80/20であり、 り好ましくは30/70~70/30であり、特に好ましく は40/60~60/40である。

 水素を用いる還元反応として、具体的に 、オートクレーブに、溶媒、3,3’-ジニトロ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール 及び触媒を所定量仕込み、オートクレーブ の空気を窒素置換した後、水素置換する方 が挙げられる。上記還元反応においては、 応混合物を攪拌しながら反応温度近くまで 熱することで反応が開始する。還元反応の 行に伴い発熱が起こるため、冷却して反応 度を維持しながら、所定の反応水素圧下で 素吸収がなくなるまで適宜水素を補給して 還元反応を行う。また、オートクレーブに 媒および触媒を仕込み、反応温度と圧力を 持しながら、3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ -4,4’-ビフェニルジオールと溶媒の混合物を 、水素と同時に供給して反応させる方法でも よい。反応時間は触媒量、反応温度、反応圧 力によって変わるが通常0.5~12時間である。反 応終了後、室温まで冷却して水素を窒素で置 換した後、オートクレーブから取り出した反 応混合物から触媒を濾過して除去する。濾液 から溶媒と水を留去して固体の3,3’-ジアミ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール 得られる。

 ヒドラジン類を用いる還元反応として、 体的には、反応器内の空気を窒素で置換し 後、該反応器内に、溶媒、3,3’-ジニトロ-5, 5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールお び触媒を所定量仕込み、攪拌しながら反応 度近くまで加熱し、ヒドラジン類の水溶液 加えて反応させる方法が挙げられる。還元 応の進行に伴い発熱が起こるため、冷却し 反応温度を維持しながら、所定量のヒドラ ン類の水溶液を分割または連続して加えて 還元反応を行う。また、窒素置換した反応 器内に、溶媒および触媒を仕込み、反応温 を保持しながら、3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフ ニル-4,4’-ビフェニルジオールの反応溶媒ス ラリーまたは溶液を、ヒドラジン類の水溶液 と同時に加えて反応させる方法でもよい。反 応時間は触媒量、反応温度によって変わるが 通常0.5~12時間である。ヒドラジン類を添加し た後、さらに所定の反応温度を維持しながら 、0.5~6時間攪拌する。反応終了後、室温まで 却し反応混合物を取り出し、触媒を濾過し 除去する。濾液から溶媒と水を留去して固 の3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビ ェニルジオールが得られる。

 また、水素を用いる還元またはヒドラジ 類を用いる還元において、反応溶媒として N-メチルピロリドンとメタノールとの混合 媒を使用する場合、反応終了後の濾過によ 反応混合物から触媒を除去した濾液を、窒 気流下、ヒドラジン一水和物の水溶液に滴 することで、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニ -4,4’-ビフェニルジオールの結晶が析出し、 これを濾過、水洗することによって3,3’-ジ ミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオ ルを得ることもできる。使用するヒドラジ 一水和物水溶液中のヒドラジン一水和物の 度は、通常0.05~20質量%であり、好ましくは0. 5~15質量%であり、より好ましくは1~10質量%で る。なお、ここで使用するヒドラジン一水 物水溶液は、メタノール、エタノール、イ プロパノール等のアルコール類、エチレン リコールモノエチルエーテル、ジオキサン テトラヒドロフラン等のエーテル類を含ん いてもよい。また、反応混合物から触媒を 去した濾液に、窒素気流下、メタノールを えることで、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニ -4,4’-ビフェニルジオールの結晶が析出し、 更に、水又はヒドラジン一水和物水溶液を滴 下することにより該結晶の析出を完成させ、 これを濾過、水洗することによって3,3’-ジ ミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオ ルを得ることもできる。

 なお、還元反応において、反応の進行状 あるいは目的物の純度は、高速液体クロマ グラフィ(HPLC)によって確認できる。

 本発明の3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル- 4,4’-ビフェニルジオールは、例えば、上記 トロ化反応及び還元反応を行うことで得ら 、上記反応によって得られた3,3’-ジアミノ- 5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールは 、純度が十分に高く、必要に応じて再結晶法 等により精製することでその純度を更に向上 させることができる。再結晶法に用いる溶媒 としては、例えば、メタノール、エタノール 、イソプロパノール等のアルコール類、エチ レングリコールモノエチルエーテル、ジオキ サン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、 トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、 酢酸メチル、酢酸エチル等のカルボン酸エス テルが挙げられる。この場合、3,3’-ジアミ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール1 質量部に対して、溶媒を通常1~10質量部使用 る。なお、溶媒は単独で使用しても2種類以 を混合して使用してもよい。

 また、上記再結晶法の他、3,3’-ジアミノ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール 希塩酸に溶解し、活性炭を加えて攪拌した 、活性炭を濾別した濾液に苛性ソーダ等の ルカリ水溶液を加えて中和し、3,3’-ジアミ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール を析出させる方法によっても精製することが できる。この場合、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフ ェニル-4,4’-ビフェニルジオール1質量部に対 して希塩酸を2~20質量部使用することが好ま い。また、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4 ,4’-ビフェニルジオール1モルに対する塩化 素の量が、4~5モル程度となるように希塩酸 度やその使用量を調節することが好ましい

 本発明の3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル- 4,4’-ビフェニルジオールは、二つのアミノ と二つのフェノール性水酸基とを有するた 、例えば、特開昭58-322929号公報、国際公開 2003/060010号公報等に記載の手法を適応するこ とで、ポリイミド樹脂の前駆体原料として使 用可能である。また、本発明の3,3’-ジアミ -5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール 、下記において詳細に説明する手法の他、 えば、特開平11-322929号公報、特開2003-292620 公報、特開2006-45321号公報、特開2006-265384号 報等に記載の手法を適応することで、ポリ ンゾオキサゾールの前駆体原料として使用 能である。

<ポリベンゾオキサゾール>
 本発明のポリベンゾオキサゾールは、上記 (1)で表される繰り返し単位を有するポリベ ゾオキサゾールであって、3,3’-ジアミノ-5, 5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールと ジカルボン酸又はその誘導体とを、例えば 合剤の存在下、重縮合反応させて得られる なお、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’- ビフェニルジオールは、上記した方法により 製造される。

 式(1)において、Rは、ジカルボン酸又はそ の誘導体が3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4, 4’-ビフェニルジオールと脱水環化反応する とで形成される残基、即ち、2価のジカルボ ン酸残基を示す。

 上記ジカルボン酸としては、例えば、分 内に脂環式構造を有する脂環式ジカルボン が挙げられる。脂環式ジカルボン酸として 具体的には、1,2-シクロヘキサンジカルボン 酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シ ロヘキサンジカルボン酸、1,1-シクロプロパ ンジカルボン酸、1,1-シクロブタンジカルボ 酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等の炭 数3~8のシクロアルキルジカルボン酸、2,5-ノ ルボルナンジカルボン酸、1,3-アダマンタン カルボン酸等が挙げられ、これらの中でも 炭素数3~8のシクロアルキルジカルボン酸が ましく、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸お び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が更に好 ましく、ポリベンゾオキサゾールの重合反応 性および有機溶媒に対する溶解性の観点から 、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸が特に好 しい。また、上記ジカルボン酸としては、 脂環式ジカルボン酸以外のジカルボン酸を いることもできる。脂環式ジカルボン酸以 のジカルボン酸としては、例えば、テレフ ル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5-ジメチ テレフタル酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、 2,4-ピリジンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカ ボン酸、3,4-ピリジンジカルボン酸、3,5-ピ ジンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカル ン酸、2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’ -ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジ ェニルメタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニ ルスルホンジカルボン酸、1,2-ナフタレンジ ルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5- ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジ ルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7- ナフタレンジカルボン酸、1,8-アントラセン カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク 、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、 ペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マ イン酸、フマル酸等が挙げられる。なお、 カルボン酸の誘導体としては、上記ジカル ン酸の酸ハロゲン化物や酸無水物等が挙げ れる。なお、これらジカルボン酸及びその 導体は、一種単独で用いてもよく、二種以 を組み合せて用いてもよい。

 以下に、本発明のポリベンゾオキサゾー の好適な製造方法について詳細に説明する 本発明のポリベンゾオキサゾールは、上記 た通り、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4 ’-ビフェニルジオールと、ジカルボン酸又 その誘導体とを、例えば縮合剤の存在下、 縮合反応させて得られる。具体的には、ジ ルボン酸(ジカルボン酸の誘導体を含む、以 同じ)と、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4, 4’-ビフェニルジオールとを等モル量反応容 中に加えて、該反応容器中に重合溶媒を加 る。次に、撹拌機で撹拌しながら、窒素雰 気中、100℃から10℃ずつ最終温度まで段階 に昇温し(各温度で10分間保持)、最後に200~230 ℃で10分~2時間保持する。ここで、ジカルボ 酸と、3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’- ビフェニルジオールとの重縮合反応が行われ る。次に、室温まで冷却した後、水中に沈殿 させ、洗浄水が中性になるまで大量の水で洗 浄し、更にメタノールで洗浄し、最後に100℃ で真空乾燥して、ポリベンゾオキサゾールの 白色沈殿を得ることができる。

 重縮合反応において、モノマー合計の濃 は、通常5~30質量%であり、好ましくは7~20質 %である。モノマー合計の濃度が5質量%未満 は、ポリベンゾオキサゾールの重合度が十 高くならない傾向があり、一方、30質量%を えると、モノマーが十分に溶解せず、均一 溶液が得られないおそれがある。

 また、重合溶媒及び縮合剤は、特に制限 れないが、縮合剤兼重合溶媒として、ポリ 酸あるいは五酸化燐-メタンスルホン酸混合 物が好適に挙げられる。

 上記重縮合反応は、少なくとも200℃まで 温することが好ましい。200℃未満の温度で 縮合反応を行うと、重合度が十分高くなら いおそれがある。他方で、重合温度は、上 のように徐々に昇温して行うことが好まし 、急激に例えば200℃にまで昇温するべきで ない。さもないと、脂環族構造が一部分解 、最終的に得られるポリベンゾオキサゾー が著しく着色し、更に重合度が十分高くな ないおそれがある。

 本発明のポリベンゾオキサゾールには、 ス-o-アミノフェノール化合物として、3,3’- ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニル オールの他、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシ ェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,6-ジア ノレゾルシノール、2,5-ジアミノハイドロキ ン、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、3,3’- アミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’ -ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニルエー テル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフ ェニルスルホン、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒド ロキシビフェニルスルホン、3,3’-ジアミノ-4 ,4’-ジヒドロキシビフェニルメタン、4,4’- アミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニルメタン 、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プ パン等を、本発明に係るポリベンゾオキサ ールの要求特性および重合反応性を害しな 範囲内で適宜選択して用いることができる なお、これらビス-o-アミノフェノール化合 は、一種単独で用いてもよく、二種以上を み合せて用いてもよい。また、ビス-o-アミ フェノール化合物全体に占める3,3’-ジアミ ノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオー 以外のビス-o-アミノフェノール化合物の割 は、40モル%以下であることが好ましい。

 また、本発明のポリベンゾオキサゾール 、その前駆体、即ちポリヒドロキシアミド るいはポリシリル化ヒドロキシアミドを経 して合成することも可能である。ポリヒド キシアミドは、例えば、3,3’-ジアミノ-5,5 -ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオールとジ ルボン酸ジクロリドから重縮合反応により られる。一方、ポリシリル化ヒドロキシア ドは、例えば、まず3,3’-ジアミノ-5,5’-ジ ェニル-4,4’-ビフェニルジオールをN-メチル- 2-ピロリドン等の非プロトン性有機溶媒中、 リル化試薬を用いてテトラシリル化体とし 後、これとジカルボン酸ジクロリドを等モ 重縮合反応せしめて、高重合体として得る とが可能である。

<<実施例>>
 以下に、本発明を実施例により具体的に説 するが、本発明はこれらの実施例に限定さ るものではない。

<実施例1 3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニル-4 ,4’-ビフェニルジオールの製造>
 温度計および攪拌機を備えた1L4口フラスコ 、酢酸510mlと3,3’-ジフェニル-4,4’-ビフェ ルジオール50.7g(0.15mol)とを加え、水浴にて反 応温度を18~25℃に保持しながら、70質量%硝酸( 比重d=1.42)32.4g(0.36mol)を3時間かけて滴下した さらに反応温度を維持しつつ4時間攪拌して トロ化反応を終了した。反応混合物に水を5 0ml加え、約50℃で1時間加熱した。この反応混 合物を室温まで冷却した後、濾過し、濾過物 を水で充分洗浄した。該濾過物を減圧乾燥し て、黄褐色の粗3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ ル-4,4’-ビフェニルジオール53.7gを得た。収 は、理論収量に対して83.7%であった。また、 HPLC分析による3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ -4,4’-ビフェニルジオールの純度は、93.7%(面 積%)であった。

 次に、得られた3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフ ニル-4,4’-ビフェニルジオール53.7gをジメチ ルフォルムアミド215gに加えて、70~76℃に加熱 し、2時間攪拌した後、30℃まで冷却して、濾 過した。濾過ケーキをメタノールで洗浄した 。乾燥して精製3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニ ル-4,4’-ビフェニルジオール46.7gを得た。精 収率は87%であり、HPLC分析による目的物の純 は99.3%(面積%)であった。

 精製された3,3’-ジニトロ-5,5’-ジフェニル- 4,4’-ビフェニルジオールの特性値は、以下 とおりである。
・融点(DSC):263.1℃
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ7.46-7.51ppm(2H)、7.51-7.58(4H)、7.60-7.63(4H)、7.89( 2H)、8.37(2H)11.16(2H)

<実施例2 3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4 ,4’-ビフェニルジオールの製造(水素還元法)& gt;
 温度計および攪拌機を備えた500ccオートク ーブに、実施例1で得られた3,3’-ジニトロ-5, 5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール40.0g (0.0934mol)、メタノール168mlおよびN-メチルピロ リドン72mlを加え、更に5%Pd-炭素1.8g(乾燥品と ての重量)を加え、容器内を窒素置換し、次 いで水素置換した。水素圧9kg/cm 2 (ゲージ圧)、60℃に保持しながら還元反応を うと、約2時間で水素吸収が止まった。さら 30分、60℃で熟成した後、容器内を窒素置換 し、オートクレーブから反応混合物を取り出 した。該反応混合物から触媒を濾過により除 去した濾液を、予めヒドラジン一水和物の60 量%水溶液18.7gと水400mlによって調製された 溶液に、窒素気流下、室温にて滴下し、30分 間攪拌した後、2~3℃まで冷却して、濾過した 。濾過物を減圧乾燥することにより、白色の 3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェ ルジオール32.7gを得た。収率は95%であった また、HPLC分析による目的物の純度は99.5%(面 %)であった。

 得られた3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4 ’-ビフェニルジオールの特性値は、以下の おりである。
・融点(DSC):107.8℃
1 H-NMR(CDCl 3 ):δ3.7-4.0ppm(4H)、5.1-5.4(2H)、6.88(2H)、6.95(2H)、7.3 5-7.45(2H)、7.45-7.60(8H)

<実施例3 3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4 ,4’-ビフェニルジオールの製造(ヒドラジン 元法)>
 温度計、攪拌機およびコンデンサーを備え 500mlフラスコに、実施例1で得られた3,3’-ジ ニトロ-5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジ ール40g(0.0934mol)、メタノール250ml、N-メチル ロリドン100mlおよび10%Pd-炭素(活性炭,ケムキ ット社製NNA)1.3g(乾燥質量)を加え、容器内を 窒素置換した。60℃に加熱した後、ヒドラジ 一水和物の60質量%水溶液31.0g(0.3715mol)を4時 かけて滴下した。この間、反応温度を60~70℃ に保持するように冷却した。さらに3時間、68 ~70℃に保持しながら熟成した後、室温まで冷 却した。反応混合物を取り出し、該反応混合 物から触媒を濾過により除去した濾液を、実 施例2と同じ方法で処理して、3,3’-ジアミノ- 5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール33. 7gを得た。収率は98%であった。また、HPLC分析 による目的物の純度は99.2%(面積%)であった。 られた3,3’-ジアミノ-5,5’-ジフェニル-4,4’ -ビフェニルジオールの融点および 1 H-NMRデータは、実施例2に記載のデータと完全 に一致した。

<実施例4 ポリベンゾオキサゾールの製造&g t;
(ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成)
 攪拌機、還流器および温度計を備えた5口フ ラスコに、実施例2で得られた3,3’-ジアミノ- 5,5’-ジフェニル-4,4’-ビフェニルジオール3.2 2g(0.01mol)を入れ、N-メチル-2-ピロリドン9.37gお よびピリジン2.77gを加えて溶解させた。この 液に、イソフタル酸クロライド1.78g(0.01mol) N-メチル-2-ピロリドン12.5gに溶かした溶液を 素気流下、-10℃~0℃で滴下し、室温で3時間 拌した。得られた反応液をメタノール300gに 滴下し、沈殿物を乾燥させ、ポリベンゾオキ サゾール前駆体を得た。得られたポリベンゾ オキサゾール前駆体の重量平均分子量(Mw)を 東ソー製ゲル・パーミエイション・クロマ グラフィー(GPC)を用いてポリスチレン換算で 求めたところ、14,000であった。セイコー製熱 重量分析装置(TG-DTA)を用いて窒素中、昇温速 10℃/分での昇温過程においてポリベンゾオ サゾール前駆体の重量減少の測定を行った ころ220~400℃で熱閉環による重量減少が見ら れた。
(ポリベンゾオキサゾールの合成)
 得られたポリベンゾオキサゾール前駆体を 素雰囲気下、350℃で3時間熱閉環処理を行い 、ポリベンゾオキサゾールを得た。得られた ポリベンゾオキサゾールの重量減少測定につ いては、DSCを用い窒素中、昇温速度10℃/分で 測定した。5%重量減少温度は610℃であった。