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Patent Searching and Data


Title:
ACRYLIC ADHESIVE COMPOSITION, ACRYLIC ADHESIVE SHEET, AND METHOD FOR BONDING THE ADHESIVE SHEET TO COATED SURFACE OF AUTOMOBILE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133117
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an acrylic adhesive composition which enables to form an adhesive layer exhibiting excellent adhesion to a coating film, which is likely to cause adhesion failure due to bleeding of a surface modifying agent or the like, without requiring a cleaning process or the like. Specifically disclosed is an acrylic adhesive composition characterized by containing (a) a vinyl monomer mainly composed of a (meth)acrylic acid alkyl ester monomer (a1) having an alkyl group with 2-14 carbon atoms or a partially polymerized product thereof, and (b) a (meth)acrylic acid ester copolymerized oligomer having a weight average molecular weight of 1,000-30,000, which contains, as monomer components, 96-99.5% by weight of a (meth)acrylic acid alkyl ester (b1) and 0.1-4% by weight of a silicone oil (b2) having a (meth)acryloyl group.

Inventors:
OKAMOTO MASAYUKI (JP)
SHIRAI MITSUYOSHI (JP)
UESUGI MASANORI (JP)
KONDOU TAKASHI (JP)
NIWA MASAHITO (JP)
INOKUCHI SHINJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057360
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NITTO DENKO CORP (JP)
OKAMOTO MASAYUKI (JP)
SHIRAI MITSUYOSHI (JP)
UESUGI MASANORI (JP)
KONDOU TAKASHI (JP)
NIWA MASAHITO (JP)
INOKUCHI SHINJI (JP)
International Classes:
B29C65/50; C09J4/02; B32B27/00; C09J5/00; C09J7/02; C09J11/06
Foreign References:
JPH036277A1991-01-11
JP2005200606A2005-07-28
JP2001106998A2001-04-17
JPH08199139A1996-08-06
JPS63291972A1988-11-29
JPS5717030B21982-04-08
JP2001049200A2001-02-20
JP2000248241A2000-09-12
JPH06108001A1994-04-19
JP2002241698A2002-08-28
JP2003226834A2003-08-15
Attorney, Agent or Firm:
GOTO, Yukihisa (2-18 Kobai-cho, Kita-k, Osaka-shi Osaka 38, JP)
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Claims:
 炭素数2~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)を主成分とするビニル系モノマー又はその部分重合物(a)、および、単量体成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステル(b1)96~99.5重量%及び(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンオイル(b2)0.1~4重量%を含む、重量平均分子量1000~30000である(メタ)アクリル酸エステル共重合オリゴマー(b)を含むことを特徴とするアクリル系粘着剤組成物。
 (メタ)アクリル酸エステル共重合オリゴマー(b)を、ビニル系モノマー又はその部分重合物(a)100重量部に対して、5~40重量部含む請求項1に記載のアクリル系粘着剤組成物。
 (メタ)アクリル酸エステル共重合オリゴマー(b)のガラス転移温度(Tg)が、40~150℃である請求項1または2に記載のアクリル系粘着剤組成物。
 光重合開始剤(c)を、ビニル系モノマー又はその部分重合物(a)100重量部に対して、0.001~5重量部含み、活性エネルギー線硬化性である、請求項1~3のいずれかの項に記載のアクリル系粘着剤組成物。
 多官能(メタ)アクリレート(d)を、ビニル系モノマー又はその部分重合物(a)100重量部に対して、0.001~30重量部含む請求項1~4のいずれかの項に記載のアクリル系粘着剤組成物。
 中空微小球状体を含む弾性体層(X)の少なくとも片面に、請求項1~5のいずれかの項に記載のアクリル系粘着剤組成物からなるアクリル系粘着剤層(Y)を有するアクリル系粘着シート。
 アクリル系粘着剤層(Y)がアクリル系粘着剤組成物を活性エネルギー線硬化させて形成されたものである請求項6に記載のアクリル系粘着シート。
 自動車塗膜面接着用である請求項6または7に記載のアクリル系粘着シート。
 シリコーン系表面調整剤が表面にブリードアウトしている自動車塗膜に対して、請求項8に記載の自動車塗膜面接着用アクリル系粘着シートを貼付する、自動車塗膜面に対する粘着シートの接着方法。
 シリコーン系表面調整剤が表面にブリードアウトしている自動車塗膜に、請求項8に記載の自動車塗膜面接着用アクリル系粘着シートを介して物品を貼付する、自動車塗膜面に対する物品の接合方法。
 塗膜表面を光電子分光分析(ESCA)で分析した際の表面に占めるSi元素比率が1~20%である自動車塗膜に対して、請求項8に記載の自動車塗膜面接着用アクリル系粘着シートを貼付する、自動車塗膜面に対する粘着シートの接着方法。
 塗膜表面を光電子分光分析(ESCA)で分析した際の表面に占めるSi元素比率が1~20%である自動車塗膜に、請求項8に記載の自動車塗膜面接着用アクリル系粘着シートを介して物品を貼付する、自動車塗膜面に対する物品の接合方法。
Description:
アクリル系粘着剤組成物、アク ル系粘着シートおよび該粘着シートの自動 塗膜面への接着方法

 本発明は、アクリル系粘着剤組成物に関 る。詳しくは、自動車塗装面接着用粘着シ トの粘着層等として用いられる活性エネル ー線硬化性粘着剤組成物に関する。また、 粘着剤組成物を用いたアクリル系粘着シー 、および該粘着シートの自動車塗膜面への 着方法に関する。

 従来、自動車の外装、ボディーの保護や 飾のために、モール、プレートなどを貼着 るために、発泡体を基材とした粘着テープ はシート(以下、「テープ又はシート」を、 単に「シート」と総称する)が用いられてい 。このような自動車用塗膜に接着させる粘 シートとしては、例えば、粘着剤層中にガ スのミクロバブル(中空微粒子)を分散させる ことで、接着強さと剪断力に優れた発泡体用 粘着テープを用いることができる(特許文献1 照)。しかし、上記発泡体用粘着テープは、 剪断強度は高いものの、接着性が十分でない という問題を有していた。

 かかる接着性の問題を解決する手段とし は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル成 単位を主構成単位とする、重量平均分子量 50000以上である粘着性ポリマー、同じく重量 平均分子量が20000以下である粘着付与樹脂及 (メタ)アクリル酸エステルを主成分とする ノマーからなる実質的に溶剤を含有してい い粘着剤組成物(特許文献2参照)や、光活性 能基を有するアクリル系高分子量体を主成 とする光硬化型の粘着剤を用い、さらに基 層に無機中空粒子を添加した感圧性両面接 テープ(特許文献3参照)などが知られている

 しかしながら、近年、上記粘着テープま はシートの被着体である自動車塗膜材料が 更されてきており、これに伴って新たな問 が生じてきている。自動車塗料としては、 にアクリル-メラミン架橋物が従来用いられ ていたが、該塗料は、メラミン樹脂のトリア ジン環が加水分解してシミが発生するため、 酸性雨に弱いという欠点を有する。このため 、酸性雨対策の観点から、メラミン樹脂を未 使用または使用量を低減させたアクリル系の 塗料が用いられてきている(特許文献4参照)。 また、環境問題への対応から下塗り塗料が溶 剤系から水系塗料に変更され、塗布時のはじ き防止などの観点から塗料中に添加される表 面調整剤として、シリコーン系の表面調整剤 が多量に用いられるようになってきている( 許文献5、6参照)。上記、耐酸性雨塗料から る表面は、従来のアクリル-メラミン架橋物 らなる塗料に比べ、接着性が低下する傾向 あった。また、シリコーン系表面調整剤も シリコーンのような低表面張力物質が塗膜 面に存在することにより、粘着シートとの れ性が低下し接着力低下を招いており、こ 傾向は、特に表面調整剤を多量に添加した 合には顕著であった。

 すなわち、近年の新たな耐酸性雨性の自 車塗膜に対しては、未だ十分な接着力を発 できる粘着シートが得られていないのが現 である。

特公昭57-17030号公報

特開2001-49200号公報

特開2000-248241号公報

特開平6-108001号公報

特開2002-241698号公報

特開2003-226834号公報

 本発明の目的は、酸性雨耐性塗膜に対し も優れた接着力を発揮し、特にシリコーン の表面調整剤がブリードアウトしている状 の塗膜表面に対しても優れた接着力を発揮 る粘着層を形成できるアクリル系粘着剤組 物を提供することにある。また、該粘着剤 成物を用いたアクリル系粘着シートと該シ トの自動車塗膜への接着方法を提供する。

 本発明者らは、上記の目的を達成するた 鋭意検討した結果、特定の(メタ)アクリル アルキルエステルを主成分とするモノマー 合物及び/又はその部分重合物と、(メタ)ア リル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリロ イル基を有するシリコーンオイルを単量体成 分とする共重合オリゴマーからなるアクリル 系粘着剤、該粘着剤を用いた粘着シートによ って、上記課題を解決しうることを見出し、 本発明を完成した。さらに、該粘着シートが 特定の自動車塗膜に特に効果的であることを 見出し、本発明を完成した。

 すなわち、本発明は、炭素数2~14のアルキ ル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエス ルモノマー(a1)を主成分とするビニル系モノ マー又はその部分重合物(a)、および、単量体 成分として(メタ)アクリル酸アルキルエステ (b1)96~99.5重量%及び(メタ)アクリロイル基を するシリコーンオイル(b2)0.1~4重量%を含む、 量平均分子量1000~30000である(メタ)アクリル エステル共重合オリゴマー(b)を含むことを 徴とするアクリル系粘着剤組成物を提供す 。

 さらに、本発明は、(メタ)アクリル酸エ テル共重合オリゴマー(b)を、ビニル系モノ ー又はその部分重合物(a)100重量部に対して 5~40重量部含む前記のアクリル系粘着剤組成 を提供する。

 さらに、本発明は、(メタ)アクリル酸エ テル共重合オリゴマー(b)のガラス転移温度(T g)が、40~150℃である前記のアクリル系粘着剤 成物を提供する。

 さらに、本発明は、光重合開始剤(c)を、 ニル系モノマー又はその部分重合物(a)100重 部に対して、0.001~5重量部含み、活性エネル ギー線硬化性である、前記のアクリル系粘着 剤組成物を提供する。

 さらに、本発明は、多官能(メタ)アクリ ート(d)を、ビニル系モノマー又はその部分 合物(a)100重量部に対して、0.001~30重量部含む 前記のアクリル系粘着剤組成物を提供する。

 また、本発明は、中空微小球状体を含む 性体層(X)の少なくとも片面に、前記のアク ル系粘着剤組成物からなるアクリル系粘着 層(Y)を有するアクリル系粘着シートを提供 る。

 さらに、本発明は、アクリル系粘着剤層( Y)がアクリル系粘着剤組成物を活性エネルギ 線硬化させて形成されたものである前記の クリル系粘着シートを提供する。

 さらに、本発明は、自動車塗膜面接着用 ある前記のアクリル系粘着シートを提供す 。

 また、本発明は、シリコーン系表面調整 が表面にブリードアウトしている自動車塗 に対して、前記の自動車塗膜面接着用アク ル系粘着シートを貼付する、自動車塗膜面 対する粘着シートの接着方法を提供する。

 また、本発明は、シリコーン系表面調整 が表面にブリードアウトしている自動車塗 に、前記の自動車塗膜面接着用アクリル系 着シートを介して物品を貼付する、自動車 膜面に対する物品の接合方法を提供する。

 さらに、本発明は、塗膜表面を光電子分 分析(ESCA)で分析した際の表面に占めるSi元 比率が1~20%である自動車塗膜に対して、前記 の自動車塗膜面接着用アクリル系粘着シート を貼付する、自動車塗膜面に対する粘着シー トの接着方法を提供する。

 さらに、本発明は、塗膜表面を光電子分 分析(ESCA)で分析した際の表面に占めるSi元 比率が1~20%である自動車塗膜に、前記の自動 車塗膜面接着用アクリル系粘着シートを介し て物品を貼付する、自動車塗膜面に対する物 品の接合方法を提供する。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物によれ 、前記構成を有しているので、酸性雨耐性 膜、特に、シリコーン系表面調整剤が多量 添加された塗膜等の難接着性塗膜に対して 優れた接着力を示す粘着層を形成しうる。 のため、該粘着剤組成物を粘着層として用 た粘着シートは、上記難接着性の自動車塗 等に用いた場合にも、使用中に剥がれなど トラブルが発生しない優れた特性を発揮す 。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、炭 数2~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル アルキルエステルモノマー(a1)を主成分とす るビニル系モノマー又はその部分重合物(a)( 下、「成分(a)」と称する)、及び、(メタ)ア リル酸アルキルエステル(b1)と(メタ)アクリ イル基を有するシリコーンオイル(b2)を必須 単量体成分とする(メタ)アクリル酸エステ 共重合オリゴマー(b)(以下、「成分(b)」と称 る)を必須の構成成分とする。また、上記に 加えて、光重合開始剤(c)、多官能(メタ)アク レート(d)を構成成分として含むことが好ま い。さらに、その他の添加剤成分を含んで てもよい。なお、本発明にいう「(メタ)ア リル」とは「アクリル及び/又はメタクリル を意味し、他も同様である。

 なお、本発明においては、特に記載がな 限り、「主成分」とは、当該全成分の総重 に対して50重量%以上(50~100重量%)であること いい、好ましくは70重量%以上であることを う。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、特 限定されないが、活性エネルギー線硬化性 あることが好ましく、さらに好ましくは紫 線硬化性である。紫外線硬化性である場合 は、溶剤を使用しないため環境面で優れ、 らに厚膜化が容易となる。

[成分(a):ビニル系モノマー及び/又はその重合 体]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いる 分(a)は、主として粘着性を担う粘着剤成分 あり、ビニル系モノマー又はその部分重合 である。上記成分(a)として用いられるビニ 系モノマーは、炭素数2~14のアルキル基(シ ロアルキル基を含む)を有する(メタ)アクリ 酸アルキルエステルモノマー(a1)を主成分と る。ビニル系モノマーは、単一のモノマー( a1)のみから構成されていてもよいし、複数の モノマー(a1)の混合物またはモノマー(a1)とそ 以外の共重合性モノマー(a2)との混合物であ ってもよい。また、成分(a)は、上記ビニル系 モノマー混合物を予備重合した部分重合物で あってもよい。ここでいう「部分重合物」と は、ビニル系モノマー混合物を一部重合させ たものであり、ビニル系モノマーを単量体成 分とする低重合度の重合体、又は、該重合体 と未反応のビニル系モノマーの混合物をいう 。

 上記ビニル系モノマーに用いられる(メタ )アクリル酸アルキルエステルモノマー(a1)(以 下、「モノマー(a1)」と称する)は、炭素数2~14 の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を 有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルで る。中でも、接着特性のバランスの観点か 、炭素数は3~10が好ましく、より好ましくは 4~9である。(メタ)アクリル酸アルキルエステ モノマー(a1)としては、例えば、エチル(メ )アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレー ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブ ル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アク リレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オ クチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メ タ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)ア リレート、イソノニル(メタ)アクリレート ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ る。中でも、接着特性のバランスの観点から 、上記のアクリル酸アルキルエステルが好ま しく、特に好ましくは、2-エチルヘキシルア リレート、イソオクチルアクリレート、n- チルアクリレートである。これらのモノマ (a1)は1種または2種以上を用いることができ 。

 また、本発明のビニル系モノマーとして いられる共重合性モノマー(a2)としては、例 えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキ シエチルアクリレート、カルボキシペンチル アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、ク ロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;( タ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ) クリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アク ル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸 6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒ ドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒド キシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキ ラウリル、(4-ヒドロキシメチルシクロヘキ ル)-メチルアクリレート等のヒドロキシル基 含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコ 酸等の酸無水物モノマー;2-アクリルアミド-2 -メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピ アクリレート等のスルホン酸基含有モノマ ;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ ト等の燐酸基含有モノマー;(メタ)アクリル ミド、N-置換(メタ)アクリルアミド(例えばN- チロールアクリルアミドなど)等のアミド系 モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレ スクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オ キシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ )アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスク ンイミド等のスクシンイミド系モノマーな が挙げられる。さらに、酢酸ビニル、N-ビニ ルピロリドン、N-ビニルカルボン酸アミド類 スチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビ ル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリ ニトリルなどのシアノアクリレート系モノ ー;(メタ)アクリル酸グリシジル、テトラヒ ロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリエ レングリコール(メタ)アクリレート、フッ素 (メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アク レート、2-メトキシエチルアクリレート等の アクリル酸エステル系モノマー;メチル(メタ) アクリレートやオクタデシル(メタ)アクリレ ト等の上記炭素数2~14のアルキル基を有する アルキル(メタ)アクリレート(a1)とは異なるア ルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレー なども共重合性モノマー(a2)として用いられ ていてもよい。上記共重合性モノマー(a2)は 1種又は2種以上が用いられる。

 共重合性モノマー(a2)としては、上記の中 でも、ヒドロキシル基含有モノマー、カルボ キシル基含有モノマーが好ましく、特に、ア クリル酸が好ましい。例えば、成分(a)におい て、共重合性モノマー(a2)としてのアクリル を、モノマー(a1)/共重合性モノマー(a2)=90/10~9 9/1の割合(重量%)で用いると、接着力の向上を 図ることができる。

 本発明の成分(a)中におけるモノマー(a1)成 分の含有量は、70重量%以上である。本発明の 成分(a)において、共重合性モノマー(a2)が用 られる場合、モノマー(a1)と共重合性モノマ (a2)との割合(重量%)は、(a1)/(a2)=70/30~99.9/0.1( ましくは80/20~99.5/0.5、さらに好ましくは90/10~ 99/1)である。

 本発明の成分(a)は、アクリル系粘着剤組 物の粘度調整などの観点から、上記ビニル モノマー混合物を予備重合した部分重合物 あってもよい。その場合に、部分重合物に まれる上記ビニル系モノマーの重合体の重 度は、特に限定されないが、塗工性に適し 粘度とする観点から、3~50が好ましく、より 好ましくは5~30である。なお、部分重合は、 常、酸素との接触を避けて活性エネルギー (特に紫外線)を照射することにより行われる 。

 本発明の成分(a)がビニル系モノマー混合物 部分重合物である場合、その重合率は、含 れる重合体の分子量等よっても異なり特に 定されないが、2~40重量%程度であり、好ま くは5~20重量%程度である。なお、部分重合物 の重合率は、部分重合物約0.5gを精秤し、こ を130℃で2時間乾燥した後の重量を精秤して 量減少量[揮発分(未反応モノマー重量)]を求 め、得られた数値を以下の式に代入して算出 した。
 部分重合物の重合率(%)=[1-(重量減少量)/(乾 前の部分重合物の重量)]×100

[成分(b):(メタ)アクリル酸アルキルエステル/ 応性シリコーンオイル共重合オリゴマー]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物に用いる 分(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステ (b1)及び(メタ)アクリロイル基を有するシリ ーンオイル(b2)(以下、「(メタ)アクリロイル 含有シリコーンオイル(b2)」と称する)を必 の単量体成分とする共重合オリゴマーであ 。成分(b)は、(メタ)アクリル酸アルキルエス テル(b1)及び(メタ)アクリロイル基含有シリコ ーンオイル(b2)のみからなる共重合体でもよ し、さらにその他の共重合成分を含んでい もよい。また、(メタ)アクリル酸アルキルエ ステル(b1)、(メタ)アクリロイル基含有シリコ ーンオイル(b2)は、それぞれ1種ずつでもよい 、2種以上を含んでいてもよい。

 上記成分(b)に用いられる(メタ)アクリル アルキルエステル(b1)としては、特に限定さ ず、炭素数2~14程度の直鎖状、分岐鎖状又は 環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸 ルキルエステルを用いることができる。中 も、接着特性のバランスの観点から、ホモ リマーとした場合のガラス転移温度(Tg)の比 較的高いものが好ましく、ホモポリマーのTg 40~150℃の範囲であるものが好ましく、より ましくは60~120℃である。このような(メタ) クリル酸アルキルエステル(b1)としては、例 ば、シクロヘキシルメタクリレート(Tg:66℃) 、イソボルニルメタクリレート(Tg:94℃)、t-ブ チルメタクリレート(Tg:107℃)などが好ましく 示され、中でもシクロヘキシルメタクリレ トが特に好ましい。

 上記成分(b)に用いられる(メタ)アクリロ ル基含有シリコーンオイル(b2)は、分子内に なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有す ポリオルガノシロキサンである。上記シリ ーンオイルのベースポリマーとなるシリコ ンは、主鎖がシロキサン結合からなるポリ ロキサンであればよく、例えば、全ての側 、末端がメチル基からなるジメチルシリコ ン、側鎖の一部にフェニル基を含むメチル ェニルシリコーン、側鎖の一部が水素であ メチルハイドロジェンシリコーンなどが挙 られる。中でも、好ましくは、ジメチルシ コーンである。(メタ)アクリロイル基の導 位置は、特に限定されず、主鎖の両末端(両 端型)または片末端(片末端型)に有していて よいし、側鎖(側鎖型)に有していてもよく さらに、側鎖および末端(両末端、片末端)に 有していてもよい。中でも、接着特性のバラ ンス、重合時にゲル化を起こさない等の観点 から、片末端に(メタ)アクリロイル基を有す ポリオルガノシロキサンが好ましく、この なシリコーンオイルは、例えば、下記の構 式で表される(下記は、片末端メタクリロイ ル基含有シリコーンオイル)。

 式中、R 1 、R 2 は水素原子、メチル基、フェニル基であり、 特に好ましくはメチル基である。R 3 、R 4 は炭化水素基であり、酸素原子、窒素原子、 硫黄原子を含んでいてもよい。さらに、式中 のnは、1以上の整数であり、5~100が好ましい

 本発明で用いられる(メタ)アクリロイル 含有シリコーンオイル(b2)は、市場でも入手 能であり、例えば、信越シリコーン(株)製 X-22-2426、X-22-174DX、X-22-2475」、チッソ(株)製 サイラプレーン FM-0711、FM-0721、FM-0725、TM-070 1、TM-0701T」、東亞合成(株)製「AK-5、AK-30」な が使用可能である。

 本発明の成分(b)中の、(メタ)アクリル酸 ルキルエステル(b1)の含有量は、接着特性の 点から、成分(b)中の全モノマー成分に対し 、96~99.5重量%が好ましく、より好ましくは96 ~99重量%、さらに好ましくは96~98重量%である

 本発明の成分(b)中の、(メタ)アクリロイ 基含有シリコーンオイル(b2)の含有量は、成 (b)中の全モノマー成分に対して、0.1~4重量% 好ましく、より好ましくは0.5~3.5重量%、さ に好ましくは0.7~3重量%である。(メタ)アクリ ロイル基含有シリコーンオイル(b2)の含有量 0.1重量%未満では、本発明の効果(難接着表面 に対する接着力向上効果)が得られず、4重量% を超える場合には接着特性を発現しにくくな る。

 本発明の成分(b)において、(メタ)アクリ 酸アルキルエステル(b1)、(メタ)アクリロイ 基含有シリコーンオイル(b2)以外の単量体成 の含有量は、接着特性の観点から、成分(b) の全モノマー成分に対して、0~4重量%が好ま しく、より好ましくは0~3重量%である。

 なお、上記成分(b)中の(メタ)アクリル酸 ルキルエステル(b1)、(メタ)アクリロイル基 有シリコーンオイル(b2)等の単量体成分の含 量は、成分(b)製造における各単量体成分の 込量の割合(配合割合)をいう。

 本発明の成分(b)の重量平均分子量は、1000 ~30000であり、好ましくは1500~20000、より好ま くは2000~15000である。成分(b)の重量平均分子 が1000未満の場合には保持力、剪断力が悪化 するおそれがあり、30000を超える場合には成 (a)との相溶性が低下するおそれがある。

 本発明の成分(b)のガラス転移温度(Tg)は、 40~150℃が好ましく、より好ましくは50~130℃、 さらに好ましくは60~120℃である。成分(b)のガ ラス転移温度が40℃未満の場合には、接着力 発現しにくくなる場合があり、150℃を超え 場合にはタックを発現しにくくなる場合が る。

 なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、成分(b)に 用いた単量体M i (i=1、2、・・・、i)の各ホモポリマーのガラ 転移温度Tg i (i=1、2、・・・、i)と、前記単量体の(メタ)ア クリル系オリゴマー中における重量分率X i (i=1、2、・・・、i)より、式:1/Tg=σ(X i /Tg i )に従い算出されるTg(理論値)を示している。

 本発明の成分(b)は上記、モノマー成分を 重合することによって得られる。重合方法 しては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重 法、塊状重合法などの公知慣用の方法を用 ることができるが、作業性、生産性の観点 ら、溶液重合法が好ましい。溶液重合によ ば、塊状重合などに比べ、溶媒の緩和効果 より温度制御が容易であり、分子量を制御 易い。また、有機溶媒を用いるため、乳化 や溶媒である水の除去が必要な乳化重合や 濁重合と比べて、乾燥などにより比較的容 に溶媒を除去できる点でも好ましい。

 上記成分(b)の重合においては、特に限定 れないが、一般的に連鎖移動剤を添加する とにより、重量平均分子量を制御すること できる。連鎖移動剤としては、例えば、2- ルカプトエタノール、ラウリルメルカプタ 、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢 、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、2,3- メチルカプト-1-プロパノール、α-メチルス レンダイマーなどを用いることが可能であ 。連鎖移動剤の使用量としては、例えば、 分(b)の全モノマー成分100重量部に対して、0. 5~15重量部程度が好ましい。

 また、反応温度や重合開始剤の添加量に っても、重量平均分子量の微調整が可能で る。上記成分(b)の重合における反応温度は 特に限定されないが、例えば、溶液重合の 合、50~90℃が好ましい。また、重合開始剤 しては、例えば、2,2´-アゾビスイソブチロ トリル、2,2´-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチ ルバレロニトリル)、2,2´-アゾビス(2,4-ジメチ ルバレロニトリル)、2,2´-アゾビス(2-メチル チロニトリル)、1,1´-アゾビス(シクロヘキサ ン-1-カルボニトリル)、2,2´-アゾビス(2,4,4-ト メチルペンタン)、ジメチル-2,2´-アゾビス(2 -メチルプロピオネート)等のアゾ系重合開始 ;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイ ロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサ ド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ ミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパー キシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1- ス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の 酸化物系重合開始剤などの油溶性重合開始 が好ましく例示される。重合開始剤は、単 で又は2種以上組み合わせて使用することが できる。重合開始剤の使用量は、通常の使用 量であればよく、例えば、成分(b)の全モノマ ー成分100重量部に対して、0.01~20重量部程度 範囲から選択することができる。

 上記、重合においては、一般的に、反応 度を高くすると、開始剤の開裂が増し、ラ カルが多く発生し、連鎖移動の頻度が増す め、生成する成分(b)の重量平均分子量は小 くなる。また、重合開始剤の使用量が多い 合にも、ラジカル発生量が増し、成分(b)の 量平均分子量は小さくなる。

 なお、溶液重合では、各種の一般的な溶 を用いることができる。このような溶剤と ては、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエス ル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水 類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化 素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ 等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン 、メチルイソブチルケトン等のケトン類など の有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は 2種以上組み合わせて使用することができる

[光重合開始剤(c)]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物が活性エ ルギー線硬化性(例えば、紫外線硬化性)の 着剤組成物である場合には、アクリル系粘 剤組成物には、光重合開始剤(c)を添加する とが好ましい。光重合開始剤(c)としては、 に限定されないが、例えば、ベンゾインメ ルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル 2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン どのベンゾインエーテル;アニソールメチル ーテルなどの置換ベンゾインエーテル;2,2- エトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2- ェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシ-シク ヘキシル-フェニルケトンなどの置換アセト フェノン;2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェ ノンなどの置換αケトール;2-ナフタレンスル ニルクロライドなどの芳香族スルホニルク ライド;1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o- トキシカルボニル)-オキシムなどの光活性オ キシムなどが挙げられる。

[多官能(メタ)アクリレート(d)]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物には、粘 剤に適度なゲル分率を付与する観点から、 官能(メタ)アクリレート(d)を添加すること 好ましい。多官能(メタ)アクリレート(d)とし ては、少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基 を有する化合物を使用でき、特に限定されな いが、例えば、トリメチロールプロパントリ (メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール トラ(メタ)アクリレート、1,2-エチレングリ ールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジ ールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジ オールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ 。これらの多官能(メタ)アクリレート(d)は 単独で使用されていてもよいし、2種以上組 合わせて使用されていてもよい。

[その他の添加剤]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物には、本 明の効果を損ねない範囲で、上記成分の他 添加剤を添加してもよい。そのような添加 としては、例えば、粘着付与剤(例えば、テ ルペン系樹脂(テルペン樹脂、テルペンフェ ール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添 ルペン樹脂など)、石油樹脂(脂肪族系、脂環 式系、芳香族系)、ロジン系樹脂(ロジン、水 ロジンエステルなど)、クマロンインデン系 樹脂、スチレン系樹脂など)、顔料などの着 剤や充填剤(例えば、酸化カルシウム、酸化 グネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタ など)、架橋剤(例えば、イソシアネート系 橋剤、エポキシ系架橋剤、ウレア系架橋剤 メラミン系架橋剤、カルボン酸又は酸無水 系架橋剤、金属化合物系架橋剤など)、交叉 合剤、難燃剤、老化防止剤、帯電防止剤、 化剤(例えば、プロセスオイルや石油系軟化 剤など)、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤 発泡剤(熱膨張性微小球など)等が挙げられる 。

 また、上記添加剤の他にも、アクリル系 着剤組成物の粘度を調節する観点から、増 用ポリマーを配合してもよい。増粘用ポリ ーとしては、例えば前記(メタ)アクリル酸 ルキルエステル(a1)にアクリル酸、アクリル ミド、アクリロニトリル、アクリロイルモ ホリン等を共重合したポリマー;スチレンブ タジエンゴム(SBR);イソプレンゴム;スチレン タジエンブロック共重合体(SBS);エチレン-酢 ビニル共重合体;アクリルゴム;ポリウレタ ;ポリエステル等が挙げられる。これらの増 用ポリマーは、1種または2種以上が組み合 せて用いられていてもよい。

[アクリル系粘着剤組成物]
 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、上記 分(a)、(b)、及び、必要に応じて、光重合開 剤(c)、多官能(メタ)アクリレート(d)、その の添加剤を、公知慣用の手法を用いて混合 ることによって得られる。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物中にお る成分(b)の添加量は、特に限定されないが 成分(a)100重量部に対して、5~40重量部が好ま しく、より好ましくは5~20重量部である。成 (b)の添加量が5重量部未満には本発明の効果( 難接着表面に対する接着力向上効果)が十分 発揮できない場合があり、40重量部を超える とタックが低下する場合がある。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物におけ 光重合開始剤(c)を添加する場合の添加量は 特に限定されないが、成分(a)100重量部に対 て、0.001~5重量部が好ましく、より好ましく は、0.01~2重量部である。光重合開始剤(c)の添 加量が0.001重量部未満では、重合率が低下し 粘着剤層の硬化が不十分となる場合があり 添加量が5重量部を超えると、重合後のポリ マーの分子量が低下し、接着特性を発現しに くくなる場合がある。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物に多官 (メタ)アクリレート(d)を添加する場合の添 量は、特に限定されないが、成分(a)100重量 に対して、0.001~30重量部が好ましく、より好 ましくは0.005~5重量部である。多官能(メタ)ア クリレート(d)の添加量が0.001重量部未満では 着特性、特に保持性(外力に対して被着体と の接着を維持する性能)が得られない場合が り、30重量部を超えると粘着性が低下する場 合がある。

 増粘用ポリマーは、アクリル系粘着剤組 物中、40重量%以下(例えば5~40重量%)の範囲で 用いられることが好ましい。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物中の上 成分以外の添加剤の合計の添加量は、特に 定されないが、成分(a)100重量部に対して、5 ~40重量部程度が好ましい。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物の粘度( B型粘度計、測定温度:25℃)は、塗布加工性、 り扱い性等の観点から、0.3~40Pa・sが好まし 。粘度は、部分重合物の重合率や増粘用ポ マーの配合などにより調整することができ 。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、ア リル系の粘着剤成分である成分(a)に対して 反応性シリコーンオイルを共重合した特定 アクリル系オリゴマーを少量組み合わせる とにより、メラミン樹脂を未使用または使 量を低減させたアクリル系酸性雨耐性塗膜( 難接着性塗膜)に対して、特に、さらにシリ ーン系表面調整剤を含む難接着性塗膜に対 て、高い接着力を発揮することができる。 記作用効果の詳細な発現機構は不明である 、以下のような機構が推定される。

 本願発明の粘着剤組成物を用いて、粘着 層を形成させると、本発明の成分(b)は、分 中にポリオルガノシロキサン構造を有して り、かつ、(メタ)アクリル酸アルキルエス ルを主成分とする分子鎖を有しているため アクリル樹脂からなる粘着剤層にポリオル ノシロキサンを保持できる。本発明の成分(b )のかわりに、粘着剤層中に単なるシリコー オイルを分散させる場合には、シリコーン イルは、アクリル系粘着剤との親和性が低 ため、粘着剤層表面にブリードアウトし、 えって粘着力を低下させる。

 従来の粘着剤においては、主にメラミン 分と粘着剤中にカルボキシル基の相互作用 より接着効果を得ていると推測されるが、 ラミン樹脂を低減させた塗膜では当該効果 得られにくくなっている。これに対して、 発明においては、特に、シクロヘキシルメ クリレートなどのTgの高い単量体成分を主 格とする成分(b)を使用する場合には、接着 面強度が向上することによるものと推定さ るが、メラミン樹脂を低減させた塗膜に対 ても優れた接着特性を発揮できる。

 また、塗膜中にシリコーン系表面調整剤 添加されている場合には、前述の通り、塗 表面にはシリコーン成分がブリードするた 、従来の粘着剤に対しては濡れ性が低下し 接着性が低下する。これに対して、本発明 粘着剤組成物からなる粘着剤層は、粘着剤 中にポリオルガノシロキサン構造が保持さ ているため、シリコーン系表面調整剤との 和性が高く、塗膜表面(即ち、塗膜と粘着剤 層との界面)に存在するシリコーン系表面調 剤を粘着剤層中に吸収することにより、表 の表面調整剤の濃度が低下し、接着力が向 する。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物の使用 途としては、特に限定されないが、例えば 粘着シートの粘着剤層として好ましく用い れる。粘着シートとしては、ポリオレフィ (ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエ レンテレフタレート等)などのプラスチック フィルム、通気性等を有する多孔質フィルム 、中空微小球状体を含む弾性体層、紙、布、 不織布、金属箔などの支持基材上に本発明の アクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を 設けた粘着シートが例示されるが、中でも、 中空微小球状体を含む弾性体層の少なくとも 片面に本発明のアクリル系粘着剤組成物から なる粘着剤層を設けた粘着シート(以下、「 発明のアクリル系粘着シート」と称する)が に好ましく例示される。

[アクリル系粘着シート]
 本発明のアクリル系粘着シートは、中空微 球状体を含む弾性体層(X)と上記本発明のア リル系粘着剤組成物からなるアクリル系粘 剤層(Y)を少なくとも1層ずつ有してなる。こ のようなアクリル系粘着シートは、両面が粘 着面(接着面)となっている両面粘着シート(両 面感圧性接着シート)の形態を有していても く、片面のみが粘着面となっている片面粘 シート(片面感圧性接着シート)の形態を有し ていてもよい。具体的には、本発明のアクリ ル系粘着シートとしては、例えば、(1)粘着性 を有する弾性体層(X)の一方の面に、粘着剤層 (Y)が形成された構成の両面粘着シート、(2)弾 性体層(X)の両面に、粘着剤層(Y)が形成された 構成の両面粘着シート、(3)弾性体層(X)の一方 の面に粘着剤層(Y)が形成され、他方の面に粘 着剤層(Y)以外の粘着剤層が形成された構成の 両面粘着シート、(4)粘着性を有しない弾性体 層(X)の一方の面に、粘着剤層(Y)が形成された 構成の片面粘着シートなどが挙げられる。中 でも好ましくは、(2)弾性体層(X)の両面に、粘 着剤層(Y)が形成された構成の両面粘着シート である。なお、本発明のアクリル系粘着シー トが複数の粘着剤層(Y)を含む場合、それぞれ の層は全く同じ組成であってもよいが、異な る組成であってもよい。さらに、それぞれの 弾性体層(X)や粘着剤層(Y)は、単層の形態を有 していてもよいし、積層の形態を有していて もよい。

 本発明の弾性体層(X)と粘着剤層(Y)は直接 層されていてもよいし、接着性層等の中間 を介して積層されていてもよいが、直接積 されていることが好ましい。さらに、本発 の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば 、下塗り層など)を有していてもよい。また 本発明のアクリル系粘着シートは、粘着面 保護する目的などで、剥離フィルム(セパレ タ)を有していてもよい。上記剥離フィルム は、一般的に、使用までの間、粘着層の表面 に貼着されて用いられる。

[アクリル系粘着剤層(Y)]
 本発明の粘着剤層(Y)は、上記本発明のアク ル系粘着剤組成物からなる層であり、難接 性の被着体[例えば、耐酸性雨塗膜、自動車 用塗膜、表面調整剤がブリードすることより 生ずる表面調整剤層(表面調整剤ブリード膜) 生じた塗膜等の塗膜など]に対して、高接着 力を有する粘着面を提供する粘着剤層である 。

 本発明の粘着剤層(Y)の形成方法としては 公知慣用の粘着剤層形成方法を用いること 可能であり、特に限定されないが、例えば 剥離フィルムや基材等の適当な支持体上に アクリル系粘着剤組成物を塗布し、アクリ 系粘着剤組成物層を形成させ、該層を、活 エネルギー線(特に、紫外線)を用いて硬化 せることにより形成させる方法が好ましい また、該形成方法では、必要に応じて、乾 工程があってもよい。さらに、活性エネル ー線による硬化(光硬化)を行う際には、光重 合反応は空気中の酸素に阻害されるため、ア クリル系粘着剤組成物層上に剥離フィルム等 を貼り合わせたり、また窒素雰囲気下で光硬 化を行うこと等により、酸素を遮断すること が好ましい。粘着剤層(Y)の形成の際に用いら れる剥離フィルム等は、本発明のアクリル系 粘着シートを作製する際、適宜な時期に剥離 されてもよいし、作製後のアクリル系粘着シ ートを利用する際に剥離されてもよい。

 活性エネルギー線としては、例えば、α線 β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性 射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外 が好適である。活性エネルギー線の照射エ ルギーやその照射時間などは、特に制限さ ず、光重合開始剤を活性化させて、モノマ 成分の反応を生じさせることができればよ 。このような活性エネルギー線の照射とし は、例えば、波長300~400nmにおける照度が1~20 0mW/cm 2 である紫外線の光量400~4000mJ/cm 2 程度の照射が挙げられる。

 また、アクリル系粘着剤組成物に、活性 ネルギー線を照射して、粘着剤層(Y)を形成 せる際、粘着剤層(Y)の重合率は90重量%以上 することが好ましい。また、未反応モノマ は、通常の乾燥工程により除去することも きる。なお、粘着剤層(Y)の重合率は、前述 部分重合物の重合率の算出方法と同様の方 により算出できる。

 本発明の粘着剤層(Y)の厚さは、必要に応 て適宜選択されるが、良好な接着強度を確 する点から、例えば、10~400μm、好ましくは2 0~350μm、さらに好ましくは30~300μm程度である

 本発明の粘着剤層(Y)のゲル分率は、45重量% 上(例えば45~99重量%)が好ましく、より好ま くは50重量%(例えば50~95重量%)である。ゲル分 率が45重量%未満であると粘着剤層(Y)の凝集力 が不足し、保持力やせん断方向への接着強さ が不足する場合がある。一方、ゲル分率が高 くなりすぎると(99重量%を超えると)粘着剤層( Y)のタックが低下し、粘着性能や外観に悪影 を及ぼす場合がある。なお、ゲル分率は以 のようにして求められる。粘着剤層(Y)を約1 g採取し、これを精秤して浸漬前の粘着剤層(Y )の重量を求める。次に、これを酢酸エチル 40gに7日間浸漬した後、酢酸エチルに不溶解 分を全て回収し、130℃で2時間乾燥させて、 その不溶解部分の乾燥重量を求める。そして 、得られた数値を以下の式に代入して算出す る。
 粘着剤層(Y)のゲル分率(%)=(不溶解部分の乾 重量/浸漬前の粘着剤層(Y)の重量)×100

 本発明の粘着剤層(Y)及び粘着剤層(Y)以外 粘着剤層は、気泡を含有していてもよい。 の場合、気泡の形成方法は、特に制限され 、例えば、予め、気泡を形成するガス成分( 例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどの 不活性ガス、空気など)が混合されたアクリ 系粘着剤組成物又は発泡剤を含有するアク ル系粘着剤組成物を用いて粘着剤層(Y)を形 させる方法などが挙げられる。中でも、前 のガスを混合する方法が好ましい。

[中空微小球状体含有弾性体層(X)]
 本発明の弾性体層(X)は、中空微小球状体を 有しており、且つ粘弾性の性質を有してい 限り特に制限されないが、通常、弾性体を 成するベースポリマーと中空微小球状体と 含んでなる。弾性体層(X)は、通常、ベース リマーを構成するモノマー成分と中空微小 状体とを少なくとも含む組成物を、重合さ ることにより形成される。なお、弾性体層( X)は、粘着性(接着性)を有していてもよい。

 本発明の弾性体層(X)に用いられるベース リマーとしては、特に制限されず、公知の ースポリマーから適宜選択して用いること でき、例えば、アクリル系ポリマー、ゴム ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリ ー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタ 系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ ポリマーなどを用いることができる。特に 本発明においては、これらのベースポリマ のうち、粘着剤層(Y)との接着性の点から、 クリル系ポリマーが好適に用いられる。こ らのベースポリマーは、単独で又は2種以上 組み合わせて使用できる。

 前記アクリル系ポリマーは、直鎖または 岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ )アクリレートをモノマー主成分とするポリ ーである。前記アクリル系ポリマーにおい 、モノマー主成分として用いられるアルキ (メタ)アクリレートとしては、例えばメチル (メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ ト、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプ ピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)ア リレート、イソブチル(メタ)アクリレート sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メ )アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー 、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシ ル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アク レート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イ オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキ シル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アク レート、イソノニル(メタ)アクリレート、デ シル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ) クリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート 、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル( メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アク リレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタ シル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メ )アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレ ト、エイコシル(メタ)アクリレートなどの炭 素数1~20のアルキル基を有するアルキル(メタ) アクリレート(好ましくは炭素数2~14のアルキ 基を有するアルキル(メタ)アクリレート、 らに好ましくは炭素数2~10のアルキル基を有 るアルキル(メタ)アクリレート)が挙げられ 。これらのアルキル(メタ)アクリレートは 単独で又は2種以上組み合わせて用いられる

 また、直鎖または分岐鎖状のアルキル基 有するアルキル(メタ)アクリレート以外の( タ)アクリレート、例えば、シクロペンチル (メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ) クリレート、イソボニル(メタ)アクリレート 等の脂環式アルキル基を有するシクロアルキ ル(メタ)アクリレートなどをモノマー成分と て用いることも可能である。

 上記直鎖または分岐鎖状のアルキル基を するアルキル(メタ)アクリレートは、アク ル系ポリマーのモノマー主成分として用い れているので、アクリル系ポリマーを構成 る全モノマー成分全量に対して、60重量%以 含まれることが好ましく、より好ましくは80 重量%以上である。

 前記アクリル系ポリマーでは、モノマー 分として、極性基含有モノマーや多官能性 ノマーなどの各種共重合性モノマーが用い れていてもよい。モノマー成分として共重 性単量体を用いることにより、弾性体層(X) おいて、弾性や柔軟性などの特性を改良す ことができる。なお、共重合性モノマーは 単独で、又は2種以上組み合わせて使用する ことができる。

 前記極性基含有モノマーとしては、例え 、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシ チル(メタ)アクリレート、カルボキシペン ル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイ ン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン 酸などのカルボキシル基含有モノマー又はそ の無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリ 酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3- ドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒド ロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキ ヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオ チル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシ 、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、 (4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチル クリレート等のヒドロキシル基含有モノマ ;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホ 酸、スルホプロピルアクリレート等のスル ン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルア リロイルホスフェート等の燐酸基含有モノ ー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メ )アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリ ルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリル ミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミ などのアミド基含有モノマー;アミノエチル (メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル( メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル( タ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマ ;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグ シジル(メタ)アクリレートなどのグリシジ 基含有モノマー;アクリロニトリルやメタア リロニトリルなどのシアノアクリレート系 ノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アク ロイルモルホリンの他、N-ビニルピリジン、 N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N- ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビ ルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニ オキサゾール等の複素環含有ビニル系モノ ーなどが挙げられる。極性基含有モノマー しては、アクリル酸、メタクリル酸等のカ ボキシル基含有モノマー又はその無水物が 適である。このような極性基含有モノマー 、1種又は2種以上を用いることができる。

 極性基含有モノマーの使用量としては、 クリル系ポリマーを構成するモノマー成分 量に対して、30重量%以下(例えば、1~30重量%) が好ましく、より好ましくは3~20重量%である 極性基含有モノマーの使用量が30重量%を超 ると、例えば、粘着シートおいて、弾性体 (X)の柔軟性が損なわれ、凹凸を有する被着 に対する接着性の低下を生じるおそれがあ 。一方、極性基含有モノマーの使用量が少 すぎると(例えば、アクリル系ポリマーを調 製するためのモノマー成分全量に対して1重 %未満であると)、弾性体層(X)の凝集力が低下 し、粘着シートとしての保持性能が低下する おそれがあり、また、粘着シートを加工(例 ば、切断や打ち抜きなど)する際に、加工性 低下するおそれがある。

 前記多官能性モノマーとしては、例えば ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、 リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート 、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリ ート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)ア リレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)ア クリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ )アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ サ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ パントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロ ールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル( メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレー ト、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレー ト、ポリエステルアクリレート、ウレタンア クリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリ ートなどが挙げられる。

 多官能性モノマーの使用量としては、ア リル系ポリマーを構成するモノマー成分全 に対して、2重量%以下(例えば、0.01~2重量%) 好ましく、より好ましくは0.02~1重量%である 多官能性モノマーの使用量が2重量%を超え と、例えば、粘着シートおいて、弾性体層(X )の柔軟性が損なわれ、凹凸を有する被着体 対する接着性の低下を生じるおそれがある 一方、多官能性モノマーの使用量が少なす ると(例えば、アクリル系ポリマーを調製す ためのモノマー成分全量に対して0.01重量% 満であると)、弾性体層(X)の凝集力が低下し 粘着シートとしての保持性能が低下するお れがあり、また、粘着シートを加工(例えば 、切断や打ち抜きなど)する際に、加工性が 下するおそれがある。

 また、極性基含有モノマーや多官能性モ マー以外の共重合性モノマーとしては、例 ば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの ニルエステル類;スチレン、ビニルトルエン などの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタ エン、イソプレン、イソブチレンなどのオ フィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテ などのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ) アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸ア コキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマ ;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ トなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキ シルマレイミド、イソプロピルマレイミドな どのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイル オキシエチルイソシアネートなどのイソシア ネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ) アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレ ートなどが挙げられる。

 本発明の弾性体層(X)は、中空微小球状体 含有してなる。本発明のアクリル系粘着シ トは、弾性体層(X)中に中空微小球状体を含 ことにより、例えば、剪断接着力の向上を ることができ、また加工性の向上も図るこ ができる。なお、中空微小球状体は、単独 又は2種以上組み合わせて使用することがで きる。

 本発明の中空微小球状体としては、無機 は有機の中空微小球状体が好ましく用いら る。具体的には、中空の無機系微小球状体 しては、例えば、中空ガラスバルーン等の ラス製の中空バルーン;中空アルミナバルー ン等の金属化合物製の中空バルーン;中空セ ミックバルーン等の磁器製中空バルーンな が挙げられる。中空の有機系微小球状体と ては、例えば、中空のアクリルバルーン、 空の塩化ビニリデンバルーン等の樹脂製の 空バルーンなどが挙げられる。

 中空ガラスバルーンの市販品としては、 えば、商品名「ガラスマイクロバルーン」( 富士シリシア株式会社製);商品名「セルスタ Z-25」「セルスターZ-27」「セルスターCZ-31T 「セルスターZ-36」「セルスターZ-39」「セル スターT‐36」「セルスターSX-39」「セルスタ PZ‐6000」(東海工業株式会社製);商品名「サ ラックス・ファインバルーン」(有限会社フ ァインバルーン製)などが挙げられる。

 前記中空微小球状体の中でも、活性エネ ギー線(特に、紫外線)による重合の効率や みなどの観点から、中空無機微小球状体を いることが好ましく、さらに中空ガラスバ ーンを用いることがより好ましい。中空ガ スバルーンを用いれば、せん断力、保持力 どの他の特性を損なうことなく、高温接着 を向上させることができる。

 本発明の中空微小球状体の粒径(平均粒子 径)としては、特に制限されないが、例えば1~ 500μm(好ましくは5~200μm、さらに好ましくは10~ 100μm)の範囲から選択することができる。

 本発明の中空微小球状体の比重としては、 に制限されないが、例えば、0.1~0.8g/cm 3 (好ましくは0.12~0.5g/cm 3 )の範囲から選択することができる。比重が0. 1g/cm 3 より小さいと、微小球状体を、弾性体層(X)を 構成する組成物に配合して混合する際に、微 小球状体の浮き上がりが大きくなり、微小球 状体を均一に分散させることが難しい場合が あり、一方、0.8g/cm 3 より大きいと、高価になり、コストが高くな る。

 本発明の中空微小球状体の使用量として 、特に制限されず、例えば、弾性体層(X)の 体積に対して5~50容積%(体積%)が好ましく、 り好ましくは10~45容積%、さらに好ましくは15 ~40容積%である。中空微小球状体の使用量が5 積%未満では中空微小球状体を添加すること による効果が低下する場合があり、50容積%を 超えると弾性体層(X)の粘着力が低下する場合 がある。

 本発明の弾性体層(X)のベースポリマー(特 にアクリル系ポリマー)の調製は、従来公知 重合方法(例えば溶液重合や乳化重合、塊状 合など)を用いることができるが、特に重合 開始剤を用いて熱や活性エネルギー線による 硬化を利用する重合方法を用いることが好ま しい。熱や活性エネルギー線による硬化反応 利用によれば、中空微小球状体が混合された 形態のまま、弾性体層(X)を構成する樹脂組成 物を硬化させ弾性体層(X)を形成することがで きる。このため、弾性体層(X)中に中空微小球 状体を均一に安定して含有された構造を形成 させることができる。

 上記、重合開始剤の種類は特に限定され 、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤な を用いることができるが、特に重合時間を くすることができる観点で、光重合開始剤 好適に用いることができる。また、これら 重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わ せて使用することができる。

 本発明の弾性体層(X)を形成する樹脂組成 に光重合開始剤が含まれる場合には、弾性 層(X)、粘着剤層(Y)はともに活性エネルギー の照射による硬化が可能となるため、本発 のアクリル系粘着シートの作製の際に、弾 体層(X)、粘着剤層(Y)を同時に形成すること 可能となる。

 上記光重合開始剤は、特に制限されず、 えば、上述の光重合開始剤(c)と同様の光重 開始剤を用いることができる。また、光重 開始剤の使用量は、特に制限されないが、 えば、弾性体層(X)を形成する樹脂組成物に まれる全モノマー成分100重量部に対して、0 .01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.05~3 量部である。

 光重合開始剤の活性化に際しては、活性 ネルギー線を照射にすることが重要である このような活性エネルギー線としては、例 ば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線な の電離性放射線や、紫外線などが挙げられ 特に、紫外線が好適である。また、活性エ ルギー線の照射エネルギーや、その照射時 などは特に制限されず、光重合開始剤を活 化させて、モノマー成分の反応を生じさせ ことができればよい。

 本発明の弾性体層(X)を形成する樹脂組成 に熱重合開始剤が用いられる場合には、熱 合開始剤としては、例えば、2,2´-アゾビス ソブチロニトリル、2,2´-アゾビス-2-メチル チロニトリル、2,2´-アゾビス(2-メチルプロ オン酸)ジメチル、4,4´-アゾビス-4-シアノバ レリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、 2,2´-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロ ロライド、2,2´-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミ ゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド 、2,2´-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン )二硫酸塩、2,2´-アゾビス(N,N´-ジメチレンイ ブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどの アゾ系熱重合開始剤;ジベンゾイルペルオキ ド、tert-ブチルペルマレエートなどの過酸化 物系熱重合開始剤;レドックス系熱重合開始 などが挙げられる。

 本発明の弾性体層(X)は、クッション性や 着性が向上の観点から、上記の中空微小球 体の他に、気泡を含有していてもよい。本 明の弾性体層(X)に気泡が形成される方法と ては、特に制限されず、前述の粘着剤層(Y) 気泡を含有させる方法と同様の方法を用い ことができる。

 本発明の弾性体層(X)において混合可能な 泡量としては、弾性や柔軟性などの特性等 損なわない範囲で適宜選択することができ が、例えば、弾性体層(X)の体積に対して5~50 体積%が好ましく、より好ましくは10~40体積% さらに好ましくは12~30体積%である。混合量 5体積%未満であると応力緩和性が得られにく く、耐反発性に劣ることが多い。また、50体 %より多くなると、弾性体層(X)を貫通する気 泡が形成される場合が生じ、接着性能や外観 が悪くなるおそれがあり、さらに、弾性体層 (X)が軟らかくなりすぎ、剪断力が低下するお それがある。

 本発明の弾性体層(X)に混合される気泡は 基本的には、独立タイプの気泡であること 望ましいが、独立気泡タイプの気泡と半独 気泡タイプの気泡とが混在していてもよい また、このような気泡としては、通常、球 の形状を有しているが、いびつな形状の球 を有していてもよい。前記気泡において、 の平均気泡径(直径)としては、特に制限さ ず、例えば、1~1000μm(好ましくは10~500μm、さ に好ましくは30~300μm)の範囲から選択するこ とができる。

 なお、気泡を形成するガス成分としては 特に制限されず、窒素、二酸化炭素、アル ンなどの不活性ガスの他、空気などの各種 体成分を用いることができる。気泡を形成 るガス成分としては、ガスを混合した後に 合反応等を行う場合には、重合反応を阻害 ないものを用いることが重要である。気泡 形成するガス成分としては、反応を阻害し いことや、コスト的な観点などから、上記 中でも窒素が好適である。

 本発明の弾性体層(X)には、ベースポリマー 中空微小球状体に加え、フッ素系界面活性 が配合されていることが好ましい。中でも 分子中にオキシC 2-3 アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有す るフッ素系界面活性剤が好ましく用いられる 。該フッ素系界面活性剤を用いることにより 、弾性体層(X)中の中空微小球状体とポリマー との間の密着性や摩擦が低下し、高い応力分 散性が得られ、これにより弾性体層(X)を形成 する樹脂組成物の凝集強さと凹凸面に対する 良好な追従性と両立でき、接着強さと剪断強 さのバランスに優れた弾性体層(X)を形成する ことが可能となる。

 上記オキシC 2-3 アルキレン基は、式:-R-O-(Rは炭素数2又は3の 鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)で表され 。分子中にオキシC 2-3 アルキレン基を有することにより、中空微小 球状体とベースポリマーとの密着度や摩擦抵 抗が低減され、応力分散性が発現する。その ため、当該フッ素系界面活性剤により、弾性 体層(X)に高い接着性を付与しうる。オキシC 2-3 アルキレン基としては、末端の酸素原子に水 素原子が結合したアルコール、他の炭化水素 基と結合したエーテル、カルボニル基を介し て他の炭化水素基と結合したエステル等、何 れの形態でも良い。また、環式エーテル類や ラクトン類等、環状構造の一部に該構造を有 する形態でもよい。具体的には、例えば、オ キシエチレン基(-CH 2 CH 2 O-)、オキシプロピレン基[-CH 2 CH(CH 3 )O-]等が挙げられる。これらは何れか1種を有 ていてもよく、2種以上を有していてもよい 。

 上記フッ素化炭化水素基としては、特に 定されないが、パーフルオロ基が好適であ 。該パーフルオロ基は、1価であってもよく 、2価以上の多価であっても良い。また、フ 素化炭化水素基は二重結合や三重結合を有 ていても良く、直鎖でも枝分かれ構造や環 構造を有していても良い。フッ素化炭化水 基の炭素数としては特に限定されず、1又は2 以上、好ましくは3~30、さらに好ましくは4~20 ある。これらのフッ素化炭化水素基が界面 性剤分子中に1種又は2種以上導入されてい 。フッ素化炭化水素基により、上記摩擦抵 の低減効果等に加えて、気泡を混合する場 には気泡混合性及び気泡安定性を高める効 も得られる。

 さらに、特に限定されないが、上記フッ 系界面活性剤の中でも、ベースポリマーに する分散性の観点から、非イオン型界面活 剤が好ましい。また、フッ素系界面活性剤 、1種のみを使用してもよいし、2種以上を み合わせて使用してもよい。

 フッ素系界面活性剤としては、特に制限さ ないが、例えば、オキシC 2-3 アルキレン基を有する単量体及びフッ素化炭 化水素基を有する単量体をモノマー成分とし て含む共重合体を好適に用いることができる 。このような共重合体としては、例えば、ブ ロック共重合体、グラフト共重合体などが好 適に用いられる。

 上記ブロック共重合体(主鎖にオキシC 2-3 アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有す る共重合体)としては、例えば、ポリオキシ チレンパーフルオロアルキルエーテル、ポ オキシエチレンパーフルオロアルキレート ポリオキシプロピレンパーフルオロアルキ エーテル、ポリオキシイソプロピレンパー ルオロアルキルエーテル、ポリオキシエチ ンソルビタンパーフルオロアルキレート、 リオキシエチレンポリオキシプロピレンブ ックコポリマーパーフルオロアルキレート ポリオキシエチレングリコールパーフルオ アルキレート等である。

 上記グラフト共重合体(側鎖にオキシC 2-3 アルキレン基及びフッ素化炭化水素基を有す る共重合体)としては、モノマー成分として なくとも、ポリオキシアルキレン基を有す ビニル系化合物及びフッ素化炭化水素基を するビニル系化合物を含む共重合体、特に アクリル系共重合体が好適に用いられる。 リオキシアルキレン基を有するビニル系化 物としては、例えば、ポリオキシエチレン( タ)アクリレート、ポリオキシプロピレン( タ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリ キシプロピレン(メタ)アクリレートなどの リオキシアルキレン(メタ)アクリレートが挙 げられる。フッ素化炭化水素基を有するビニ ル系化合物としては、例えば、パーフルオロ ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロイ ブチル(メタ)アクリレート、パーフルオロ ンチル(メタ)アクリレートなどのパーフルオ ロアルキル(メタ)アクリレート等、フッ素化 化水素を含有する(メタ)アクリル酸エステ が挙げられる。

 フッ素系界面活性剤は、分子中に上記構 の他に脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素 などの構造を有していてもよく、ベースポ マーへの分散性を阻害しない範囲内でカル キシル基、スルホン酸基、シアノ基、アミ 基、アミノ基等様々な官能基を有していて よい。例えば、フッ素系界面活性剤がビニ 系共重合体である場合は、モノマー成分と て、ポリオキシアルキレン基を有するビニ 系化合物及びフッ素化炭化水素基を有する ニル系化合物と共重合可能なモノマー成分 用いられてもよい。このようなモノマーは 独で又は2種以上組み合わせて使用すること ができる。

 上記共重合可能なモノマー成分としては、 えば、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ) アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸C 1-20 アルキルエステル;シクロペンチル(メタ)アク リレートなどの脂環式炭化水素基を有する( タ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アク レートなどの芳香族炭化水素基を有する(メ タ)アクリル酸エステルが好適に用いられる その他、マレイン酸、クロトン酸等のカル キシル基含有単量体;ビニルスルホン酸ナト ウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレ ン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合 物;エチレン、ブタジエンなどのオレフィン はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどの ニルエーテル類;アクリルアミド等のアミド 基含有単量体;(メタ)アクリロイルモルホリン などのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸 メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単 量体;2-メタクリロイルオキシエチルイソシア ネートなどのイソシアネート基含有単量体な どが挙げられる。さらにまた、ジペンタエリ スリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビ ルベンゼンなどの多官能性共重合性単量体( 多官能モノマー)が用いられてもよい。

 フッ素系界面活性剤の分子量は特に制限 れないが、重量平均分子量が20000未満(例え 500以上、20000未満)であると、ベースポリマ と微小球状体との間の密着性や摩擦抵抗を 減する効果が高い。さらに重量平均分子量2 0000以上(例えば20000~100000、好ましくは22000~8000 0、さらに好ましくは24000~60000)のフッ素系界 活性剤を併用すると、気泡の混合性や、混 された気泡の安定性が高まる。

 上記重量平均分子量20000未満のフッ素系 面活性剤の具体例としては、商品名「フタ ジェント251」、商品名「FTX-218」(以上、(株) オス製)、商品名「メガファックF-477」、商 名「メガファックF-470」(以上、大日本イン 化学工業(株)製)、商品名「サーフロンS-381 S-383、S-393、KH-20、KH-40」(以上、セイケミカ (株)製)などが挙げられる。重量平均分子量20 000以上であるフッ素系界面活性剤の具体例と しては、商品名「エフトップEF-352、EF-801」( 上、(株)ジェムコ製)、商品名「ユニダインTG -656」(ダイキン工業(株)製)などが好適に用い れる。

 フッ素系界面活性剤の使用量(固形分)と ては、特に制限されないが、例えば、弾性 層(X)を形成する樹脂組成物のベースポリマ を構成する全モノマー成分(特にアルキル(メ タ)アクリレートを単量体主成分とするアク ル系ポリマーを形成するための全モノマー 分)100重量部に対して、0.01~5重量部(好ましく は0.02~3重量部、さらに好ましくは0.03重量部~1 重量部)の範囲で選択することができる。使 量が0.01部未満では中空微小球状体と弾性体 (X)中のポリマーとの間の密着性や摩擦を低 させる効果が得られない場合があり、5重量 部を超えるとコストが高くなる、あるいは接 着性能が低下するという不具合を生じる場合 がある。

 弾性体層(X)を形成する樹脂組成物には、 記成分(フッ素系界面活性剤、ベースポリマ ー、中空微小球状体、重合開始剤など)の他 、用途に応じて、適宜な添加剤が含まれて てもよい。例えば、架橋剤(例えば、ポリイ シアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤 エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メ ミン系架橋剤など)、粘着付与剤(例えば、 ジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油 脂、油溶性フェノール樹脂などからなる常 で固体、半固体、あるいは液状のもの)、可 剤、充填剤、老化防止剤、着色剤(顔料や染 料など)などの適宜な添加剤を含んでもよい 例えば、光重合開始剤を用いて弾性体層(X) 形成する場合、着色のためには、光重合を 害しない程度の顔料(着色顔料)を使用するこ とができる。弾性体層(X)を黒色とする場合、 例えば、カーボンブラックを用いることがで きる。着色顔料としてのカーボンブラックの 使用量としては、着色度合いや光重合反応を 阻害しない観点から、例えば、弾性体層(X)を 形成する樹脂組成物のベースポリマーを構成 する全モノマー成分100重量部に対して、0.15 量部以下(例えば0.001~0.15重量部)が好ましく より好ましくは0.02~0.1重量部である。

 本発明の弾性体層(X)を形成する樹脂組成 は、上記ベースポリマーを形成するモノマ 成分(例えば、アルキル(メタ)アクリレート ど)、重合開始剤、各種添加剤等を公知の手 法を用いて混合することにより調製すること ができる。また、粘度調整などの必要に応じ て、モノマー成分を一部重合させてもよい。 調整方法の具体例としては、例えば、下記の 手順が挙げられる。(i)ベースポリマーを形成 するためのモノマー成分(例えば、アルキル( タ)アクリレートやその他の共重合モノマー )及び重合開始剤(例えば、光重合開始剤)を混 合してモノマー混合物を調整し、(ii)該モノ ー混合物に対して重合開始剤の種類に応じ 重合反応(例えば、紫外線重合)を行って、一 部のモノマー成分のみが重合した組成物(シ ップ)を調製する。次いで、(iii)得られたシ ップに中空微小球状体と、必要に応じて、 ッ素系界面活性剤やその他の添加剤を配合 る。さらに、弾性体層(X)に気泡を含有させ 場合には、(iv)(iii)で得られた配合物に、気 を導入して混合させることにより、弾性体 (X)を形成する樹脂組成物を得ることができ 。なお、弾性体層(X)を形成する樹脂組成物 調製方法はこれに限定されるものではなく 例えば、前記シロップの調製に際して、フ 素系界面活性剤や中空微小球状体を、モノ ー混合中に予め配合するなどの調製方法で よい。

 本発明では、微小球状体含有粘弾性体層( X)に気泡を含有させる場合には、弾性体層(X) に気泡を安定的に混合して存在させる観点 ら、例えば上記の調製方法のように、気泡 弾性体層(X)を形成する樹脂組成物中に最後 成分として配合し混合させることが好まし 。また、気泡を安定して混合させる観点で 、気泡を混合する前の配合物(例えば、上記 (iii)で得られた配合物)の粘度を高くすること が好ましい。気泡を混合する前の配合物の粘 度としては、特に限定されないが、例えば、 5~50Pa・s(BH粘度計、ローター:No.5ローター、回 転数:10rpm、測定温度:30℃)が好ましく、より ましくは10~40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満 は、粘度が低すぎて混合した気泡がすぐに 一して系外に抜けてしまう場合があり、50Pa sを超えると、粘度が高すぎて弾性体層(X)の 塗工による形成が困難となる場合がある。な お、上記粘度は、例えば、アクリルゴム、増 粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合す る方法、ベースポリマーを形成するためのモ ノマー成分を一部重合させる方法などにより 、調整することができる。

 本発明の弾性体層(X)を形成する樹脂組成 の調製方法において、気泡を混合する方法 しては特に限定されず、公知の気泡混合方 を利用することができる。例えば、装置の としては、中央部に貫通孔を持った円盤上 、細かい歯が多数ついたステータと、歯の いているステータとが対向しており、円盤 にステータと同様の細かい歯がついている ータとを備えた装置などが挙げられる。こ 装置におけるステータ上の歯とロータ上の との間に気泡を混合させる配合物を導入し ロータを高速回転させながら、貫通孔を通 て気泡を形成させるためのガス成分(気泡形 成ガス)を導入させることにより、気泡形成 スが細かく分散され混合された樹脂組成物 得ることができる。

 なお、気泡の合一を抑制又は防止するた には、気泡の混合から、弾性体層(X)の形成 での行程を一連の工程として連続的に行う とが好ましい。

 本発明の弾性体層(X)の形成は、特に制限 れないが、例えば、剥離フィルムや基材等 適当な支持体上に、弾性体層(X)を形成する 脂組成物を塗布し、樹脂組成物層を形成さ 、該層を、必要に応じて、硬化(例えば、熱 による硬化や、活性エネルギー線による硬化 )や乾燥させることにより形成される。なお 活性エネルギー線による硬化(光硬化)を行う 際には、光重合反応は空気中の酸素に阻害さ れるため、該層上に剥離フィルム(セパレー )等を貼り合わせたり、また窒素雰囲気下で 硬化を行うこと等により、酸素を遮断する とが好ましい。弾性体層(X)の形成の際に用 られる剥離フィルム(セパレータ)等は、本 明のアクリル系粘着シートを作製する際、 宜な時期に剥離されてもよいし、作製後の クリル系粘着シートを利用する際に剥離さ てもよい。

 本発明の弾性体層(X)の厚みとしては、特 制限されず、例えば、200~5000μm(好ましくは3 00~4000μm、さらに好ましくは400~3000μm)の範囲 ら選択することができる。厚みが200μmより 小さいと、クッション性が低下して、曲面 凹凸面に対する接着性が低下し、5000μmより 大きいと、均一な厚みの層又はシートが得 れにくくなる。なお、弾性体層(X)は、単層 複層のいずれの形態を有していてもよい。

 本発明の弾性体層(X)は、含まれるベース リマーの種類や量、添加剤等の種類や量な を調整することにより、粘着シートとして 必要な接着力を有する粘着シートとするこ ができる。また、配合を選ぶことにより、 着力を有さない支持体としてのシートとす ことができる。

[弾性体層(X)、粘着剤層(Y)以外の層]
 本発明の粘着剤層(Y)以外の粘着剤層は、例 ば、公知の粘着剤(例えば、アクリル系粘着 剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル 系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステ ル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン 系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着 剤など)を用いて、公知の粘着剤層の形成方 を利用して形成することができる。なお、 着剤層(Y)以外の粘着剤層の厚みは、特に制 されず、目的や使用方法などに応じて適宜 択することができる。

 中間層としては、例えば、弾性体層(X)と 着剤層(Y)の間などに設ける1層又は2層以上 中間層が挙げられる。このような中間層と ては、例えば、剥離性の付与を目的とした 離剤のコーティング層、密着力の向上を目 とした下塗り剤のコーティング層、良好な 形性の付与を目的とした層、被着体への接 面積の増大を目的とした層、被着体への接 力の向上を目的とした層、被着体への表面 状に良好も追従させることを目的とした層 加熱による接着力低減の処理性の向上を目 とした層、加熱後の剥離性向上を目的とし 層などが挙げられる。

 本発明のアクリル系粘着シートは、ロー 状に巻回された形態で形成されていてもよ 、シートが積層された形態で形成されてい もよい。すなわち、本発明のアクリル系粘 シートは、シート状、テープ状などの形態 有することができる。なお、ロール状に巻 された状態又は形態のアクリル系粘着シー としては、粘着面を剥離フィルム(セパレー タ)により保護した状態でロール状に巻回さ た状態又は形態を有していてもよく、粘着 を支持体の他方の面に形成された剥離処理 (背面処理層)により保護した状態でロール状 に巻回された状態又は形態を有していてもよ い。なお、支持体の面に剥離処理層(背面処 層)を形成させる際に用いられる剥離処理剤( 剥離剤)としては、例えば、シリコーン系剥 剤や長鎖アルキル系剥離剤などが挙げられ 。

[剥離フィルム(セパレータ)]
 剥離フィルム(セパレータ)は、本発明のア リル系粘着シート作製の際に用いられたり また、作製後使用されるまでの間における 着面等の保護材として用いられる。なお、 発明のアクリル系粘着シート作製の際、剥 フィルムは必ずしも用いられなくてもよい 、光重合反応は空気中の酸素等により反応 阻害されるため、剥離フィルムで表面を被 し酸素との接触を防止するために、用いら いることが好ましい。なお、本発明のアク ル系粘着シートを利用する際には、通常、 離フィルムは剥離される。

 このような剥離フィルムとしては、酸素 遮断し、且つ光透過性を有する限り特に制 されないが、例えば剥離処理剤(離型処理剤 )により少なくとも一方の面が剥離処理(離型 理)された基材の他、フッ素系ポリマー(例 ば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリク ロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニ 、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロ チレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合 、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリ ン共重合体等)からなる低接着性基材や、無 性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプ ロピレン等のオレフィン系樹脂など)からな 低接着性基材などが挙げられる。なお、低 着性基材では、両面を剥離面として利用す ことができ、一方、剥離処理された基材で 、剥離処理された面を剥離面として利用す ことができる。

 剥離フィルムとして用いられる、少なく も一方の面が剥離処理(離型処理)された基 において、基材としては、例えば、ポリエ レンテレフタレートフィルム等のポリエス ルフィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプ ピレンフィルム等のオレフィン系樹脂フィ ム;ポリ塩化ビニルフィルム;ポリイミドフ ルム;ナイロンフィルムなどのポリアミドフ ルム;レーヨンフィルムなどのプラスチック 系基材フィルム(合成樹脂フィルム)が挙げら る。また、紙製基材(上質紙、和紙、クラフ ト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙 など紙類から構成される基材)が用いられて てもよい。中でも、ポリエチレンテレフタ ートフィルム等のポリエステルフィルムが 適に用いられる。

 剥離処理剤(離型処理剤)としては、特に 限されず、例えば、シリコーン系剥離処理 、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥 処理剤などを用いることができる。剥離処 剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用 てもよい。剥離フィルムは、例えば、公知 用の方法により作製される。

 剥離フィルムの厚さは、酸素を遮断し、 つ光透過性を有する限り、特に制限されな 。また、剥離フィルムは、単層、積層の何 の形態を有していてもよい。

[被着体]
 本発明のアクリル系粘着シートが用いられ 難接着性の被着体としては、特に制限され いが、例えば、塗膜(例えば、耐酸性雨塗膜 、自動車用塗膜など)、塗料板、樹脂板、鋼 等の金属板などが挙げられる。中でも特に ましくは、自動車のボディーなどの自動車 膜である。また、本発明の粘着シートが用 られる難接着性の被着体の形状についても に制限されない。例えば、難接着性の被着 は、平面状、三次元の曲面状などの形状を する被着体であってもよいし、あるいは、 面状、三次元の曲面状などの形状を有する 形品に塗装処理を施したものであってもよ 。本発明のアクリル系粘着シートは、例え 、自動車塗膜に貼付して、塗膜を保護した 、装飾を付与する方法で用いることができ 。また、本発明のアクリル系粘着シートを して、上記自動車塗膜に物品を接合する方 で用いることができる。上記物品としては 例えば、自動車の外装部品、ボディーの保 用部品や装飾部品が挙げられ、さらに具体 には、モール、プレートなどが挙げられる

 被着体である塗膜としては、特に制限さ ず、例えば、ポリエステル・メラミン系、 ルキド・メラミン系、アクリル・メラミン 、アクリル・ウレタン系、アクリル・多酸 化剤系などの各種塗膜が挙げられる。

 本発明のアクリル系粘着シートは、特に、 ラミン含有量の少ない、あるいはメラミン 含有しない塗膜に対して好適に用いられる 中でも、FT-IRを用いたATR測定法により得ら る、エステルの伸縮振動(1730cm -1 付近)のピーク(エステルピーク;エステル吸収 強度;エステル強度)とメラミンの伸縮振動(814 cm -1 付近)のピーク(メラミンピーク;メラミン吸収 強度;メラミン強度)との比[メラミン/エステ ピーク比(メラミン/エステル強度比)]が、0.4 下(例えば、0~0.4)[好ましくは0.3以下(例えば 0~0.3)、さらに好ましくは0.2以下(例えば、0~0 .2)]である塗膜に対してより好適に用いられ 。なお、アクリル・メラミン塗膜は、メラ ン架橋されているので、メラミン/エステル ーク比は大きい。また、耐酸性雨塗膜は、 ラミン架橋されていないので、メラミン/エ ステルピーク比は小さい。

 メラミン/エステルピーク比は、具体的には 、FT-IRを用いたATR測定法により、メラミンピ クを、725cm -1 ~825cm -1 を通る直線をベースラインとし、814cm -1 のピークのピークトップまでの高さとし、一 方、エステルピークを、1660cm -1 ~1780cm -1 を通る直線をベースラインとし、1730cm -1 のピークのピークトップまでの高さとし、そ して、得られたメラミンピークの値及びエス テルピークの値から、下記式を用いて算出す る。
  (メラミン/エステルのピーク比)=(メラミン のピーク)/(エステルピーク)

 さらに、本発明のアクリル系粘着シート 、表面調整剤がブリードしている塗膜に対 ても好適に用いられる。このような表面調 剤としては、特に制限されず、例えばアク ル系、ビニル系、シリコーン系、フッ素系 どが挙げられるが、特に、シリコーン系の 面調整剤がブリードしている塗膜に対して り好適に用いられる。上述のように、本発 の粘着剤層(Y)には、ポリオルガノシロキサ 構造を有する成分(b)が保持されており、シ コーン系のブリード成分との親和性が高い め、ブリード成分を粘着剤層(Y)内部に吸収 拡散する効果を奏すると推測されるためで る。

 上記シリコーン系の表面調整剤がブリー している塗膜としては、塗膜表面を光電子 光分析(ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Anal ysis))で分析した際の表面に占めるSi元素比率 1~20%である塗膜が挙げられる。

[アクリル系粘着シートの製造方法]
 本発明のアクリル系粘着シートの製造方法 、弾性体層(X)の片面又は両面に粘着剤層(Y) 少なくとも備えている構成を有するアクリ 系粘着シートを製造することができる限り 特に制限されないが、例えば、前述の弾性 層(X)の少なくとも片面に、本発明のアクリ 系粘着剤組成物を活性エネルギー線に照射 ることにより得られる粘着剤層(Y)を設ける とにより製造する方法が挙げられる。

 また、弾性体層(X)の少なくとも片面に粘 剤層(Y)を設ける方法としては、例えば、弾 体層(X)及び粘着剤層(Y)を別々に製造し、そ らを貼り合わせる方法;あらかじめ製造した 弾性体層(X)の片面又は両面にアクリル系粘着 剤組成物を塗布し、アクリル系粘着剤組成物 の層を設けた後、活性エネルギー線を照射す ることにより重合させて粘着剤層(Y)を形成さ せる方法;あらかじめ製造した粘着剤層(Y)の 面に弾性体層(X)を形成する樹脂組成物を塗 し、樹脂組成物層を設けた後、該層を重合 せて弾性体層(X)を形成させる方法などが挙 られる。

さらに、光重合開始剤を含む弾性体層(X)を 形成する樹脂組成物の層の片面又は両面に、 アクリル系粘着剤組成物の層を積層させた構 成の積層体に、活性エネルギー線を照射する ことにより、弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)を同 時に形成させる方法を用いてもよい。当該弾 性体層(X)及び粘着剤層(Y)を同時に形成させる アクリル系粘着シートの製造方法は、生産性 の点で優れるため好ましい。また、該製造方 法により製造されたアクリル系粘着シートに おいて、弾性体層(X)及び粘着剤層(Y)が一体化 するため、接着強さを向上するため好ましい 。

 以下に、実施例に基づいて本発明をより 細に説明するが、本発明はこれらの実施例 より限定されるものではない。

 実施例1
(共重合オリゴマー(B1)の合成)
 フラスコに、シクロヘキシルメタクリレー 148.5重量部、末端メタクリロイル基を有す 片末端変性シリコーンオイル(信越シリコー (株)製「X-22-2426」1.5重量部、2-メルカプトエ タノール4.5重量部、2,2´-アゾビスイソブチロ ニトリル(AIBN)0.3重量部、トルエン154.5重量部 投入した。70℃で2時間重合させた後、さら 80℃で1時間熟成させた。その後、反応液か トルエンを留去し、さらに減圧乾燥機によ 乾燥して、共重合オリゴマー(B1)を得た。
 該共重合オリゴマー(B1)のGPC(ゲルパーミエ ションクロマトグラフィ)によるポリスチレ 換算の重量平均分子量(以下、同じ)は4000、T g(理論値)は64℃である。

(アルキル(メタ)アクリレート部分重合物(A1)(U Vシロップ)の作成)
 2-エチルヘキシルアクリレート90重量部及び アクリル酸10重量部が混合されたモノマー混 物に、光重合開始剤として、商品名「イル キュア651」(チバ・スペシャルティー・ケミ カルズ(株)製)0.05重量部、商品名「イルガキ ア184」(チバ・スペシャルティー・ケミカル (株)製)0.05重量部を配合した後、粘度(BH粘度 系No.5ローター、10rpm、温度30℃)が約15Pa.sにな るまで紫外線を照射して、一部が重合した部 分重合物(A1)を作製した。

(アクリル系粘着剤組成物の作製)
 上記で得られた部分重合物(A1)100重量部、共 重合オリゴマー(B1)5重量部、1,6-ヘキサンジオ ールジアクリレート0.08重量部を添加した後 これらを均一に混合してアクリル系粘着剤 成物を得た。

(アクリル系粘着シート(I)の作成)
 アクリル系粘着剤組成物を、厚み38μmのポ エチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、 粘着剤層厚みが50μmとなるようにアプリケー ーを用いて塗布した。
 次いで、片面をシリコーンで剥離処理した み38μmのポリエチレンテレフタレートフィ ム(剥離フィルム)の剥離処理面が上記塗布層 側になるように、塗布層を被覆して酸素を遮 断した。その後、このシートの上面(剥離フ ルム側)からブラックライトランプにて、照 4mW/cm 2 ((株)トプコン製UVチェッカー「UVR-T1」(最大感 度:約350nm)で測定)の紫外線を180秒間照射した
 さらに、130℃の乾燥機で3分間熱処理を行い 、残存モノマーを揮発させてPETフィルム基材 のアクリル系粘着シート(I-a)を得た。

(アクリル系粘着シート(II)の作製)
 アクリル系粘着剤組成物を、厚み38μmの、 リコーンで剥離処理したポリエチレンテレ タレートフィルム(三菱化学ポリエステルフ ルム(株)製「MRN #38」)の剥離処理面上に、 着剤層厚みが50μmとなるようにアプリケータ ーを用いて塗布した。
 次いで、片面をシリコーンで剥離処理した み38μmのポリエチレンテレフタレートフィ ム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製「MR F #38」)の剥離処理面が上記塗布層側になる うに、塗布層を被覆して酸素を遮断した。
 その後、このシートの片面側からブラック イトランプにて、照度4mW/cm 2 ((株)トプコン製UVチェッカー「UVR-T1」(最大感 度:約350nm)で測定)の紫外線を180秒間照射した 130℃の乾燥機で3分間熱処理を行い、残存モ ノマーを揮発させた。
 さらに、上記シートから片面のPETフィルム MRN#38」を剥離し、粘着剤面を、日東電工(株 )製「アクリルフォーム(両面テープ)「ハイパ ージョイントシリーズA4008」」の一方の面側 貼り合わせ、アクリルフォーム(弾性体層) 材のアクリル系粘着シート(II-a)を得た。な 、アクリルフォーム(A4008)の上記本発明の粘 剤層を貼り合わせた面と反対側の面にはポ オレフィン系剥離ライナーが設けられてい 。

 実施例2
 共重合性オリゴマー(B1)を10重量部添加する とによりアクリル系粘着剤組成物を調製し こと以外は、実施例1と同様にして、PETフィ ルム基材のアクリル系粘着シート(I-d)、及び クリルフォーム基材のアクリル系粘着シー (II-d)をそれぞれ得た。

 比較例1
 共重合オリゴマー(B1)を配合しなかった以外 は、実施例1と全く同様にして、アクリル系 着剤組成物およびPETフィルム基材のアクリ 系粘着シート(I-b)およびアクリルフォーム基 材のアクリル系粘着シート(II-b)を得た。

 比較例2
 末端メタクリロイル基を有するシリコーン イルを用いず、シクロヘキシルメタクリレ トの配合量を150重量部に変更した以外は、 施例1と全く同様にして、共重合オリゴマー (B2)を得た。
 該共重合オリゴマー(B2)のGPC(ゲルパーミエ ションクロマトグラフィ)によるポリスチレ 換算の重量平均分子量(以下、同じ)は3700、T g(理論値)は66℃である。
 共重合オリゴマー(B1)の代わりに、上記共重 合オリゴマー(B2)を用いた以外は、実施例1と く同様にして、アクリル系粘着剤組成物お びPETフィルム基材のアクリル系粘着シート( I-c)およびアクリルフォーム基材のアクリル 粘着シート(II-c)を得た。

 比較例3
 シクロヘキシルアクリレート142.5重量部、 端メタクリロイル基を有する片末端変性シ コーンオイル7.5重量部としたこと以外は、 施例1と同様にして、共重合オリゴマー(B3)を 得た。
 該共重合オリゴマーの重量平均分子量は3900 、Tg(理論値)は56℃である。
 以下、共重合オリゴマー(B1)の代わりに共重 合オリゴマー(B3)を用いたこと以外は実施例1 同様にして、PETフィルム基材のアクリル系 着シート(I-f)およびアクリルフォーム基材 アクリル系粘着シート(II-f)を得た。

 なお、実施例、比較例で得られたPETフィ ム基材のアクリル系粘着シート(I-a)~(I-f)を クリル系粘着シート(I)、アクリルフォーム 材のアクリル系粘着シート(II-a)~(II-f)をアク ル系粘着シート(II)と総称する場合がある。

[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
 以下に、本願で用いられる測定方法および 果の評価方法について例示する。

(1)粘着力測定
[アクリル系粘着シート(I)に対する粘着力]
 実施例、比較例で得られたアクリル系粘着 ート(I)から、25mm幅の短冊状サンプルを切り 出し、測定に用いた。なお、剥離フィルムは 剥離した後、測定を行った。
 サンプルであるアクリル系粘着シートの粘 層側を、洗浄を行わない下記自動車塗膜お びイソプロピルアルコール(IPA)にて洗浄(IPA 染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦 ことによる)した下記自動車塗膜に、2kgのゴ ロール(幅30mm)を1往復させて接着し、アクリ ル系粘着シート(I)付き塗装板を得た。該粘着 シート(I)付き塗装板を、23℃、50%RHの雰囲気 で4日間放置した。
 その後、粘着シート(I)の剥離試験(180°ピー 、引張速度300mm/分、サンプル幅25mm)を行い 剥離距離10~50mmの粘着力(剥離応力)の平均値 測定し、未洗浄面に対する粘着力(A)及び洗 面に対する粘着力(B)とした。
 なお、上記アクリル系粘着シート(I)付き塗 板は、例えば、塗膜保護用粘着シートを貼 した塗装板のモデルである。

[アクリル系粘着シート(II)に対する粘着力]
 実施例、比較例で得られたアクリル系粘着 ート(II)から、25mm幅の短冊状サンプルを切 出し、測定に用いた。
 アクリル系粘着シート(II)におけるアクリル フォーム部分(A4008)に設けられているポリオ フィン系剥離ライナーを剥離し、その粘着 面(実施例、比較例で作製した粘着剤以外の 着剤面)に、粘着力測定用の基材として厚み 50μmのPETフィルムを貼り合わせ、測定用サン ルとした。
 測定用サンプルの本発明の粘着剤層上から PETフィルム「MRF#38」を剥離し、その粘着剤 (実施例、比較例で作製した粘着剤面)を、 浄を行わない下記自動車塗膜に、5kgのゴム ール(幅65mm)を用いて片道1回で圧着し、アク ル系粘着シート(II)付き塗装板を得た。該粘 着シート(II)付き塗装板を、23℃、50%RHの雰囲 下で4日間放置した。
 その後、粘着シート(II)の剥離試験(180°ピー ル、引張速度50mm/分、サンプル幅25mm)を行い 剥離距離10~50mmにおける粘着力(剥離応力)曲 のピーク値の10点平均値を測定し、未洗浄面 に対する粘着力(C)とした。
 上記、「剥離距離10~50mmにおける粘着力(剥 応力)曲線のピーク値の10点平均値」は次の うにして算出する。まず、剥離試験より得 れた剥離応力曲線(波状の形状を有する)の剥 離距離10~50mmの部分(算出範囲)において、ピー ク(複数の波のそれぞれの頂点部分をいう)の ち、算出範囲の最初と最後のピークを除き さらに最も高いピークを除いた残りピーク 中で、応力の高いものから10点のピーク値 平均する。算出範囲中に上記ピークが10点未 満の場合には、全てのピーク値を平均する。
 なお、上記アクリル系粘着シート(II)付き塗 装板は、例えば、外装部品接着用シートを貼 付した塗装板のモデルである。

 上記測定の繰り返し測定数(N数)はいずれ 3回(平均値)である。

[自動車塗膜]
 鋼板上に電着塗料、中塗り塗料、メタリッ 塗料の各塗料を順に塗工したものに、酸性 耐性クリヤー塗膜(アクリル/スチレン系・ メラミン架橋タイプ、シリコーン系表面調 剤含有)を厚み50μmで塗工したものを用いた
 未洗浄および洗浄後の塗膜面のSi元素比率(E SCAにて測定)はそれぞれ1.2%、0%であった。

(2)接着率
 上記(1)のアクリル系粘着シート(I)に対する 着力測定で得られた、未洗浄面に対する粘 力(A)、洗浄面に対する粘着力(B)より以下の に従って、接着率(%)を算出した。
接着率(%)= 未洗浄面に対する粘着力(A)/洗浄 に対する粘着力(B)×100

(3)Si含有比率(%)(ESCA測定)
 アルバックファイ社製のESCA装置「model5400」 を用いて、X線源:MgKα(300W、15kV)、光電子取出 角:45°、分析面積が1.1mmφの条件で、ワイド キャン測定により、定性分析を行い、検出 れた元素についてナロースキャン測定を行 て、被着体である塗装板表面部におけるSi 素比率(%)を求めた。

 実施例、比較例の評価結果を表1に示す。

 表1より、本発明のアクリル系粘着シート( 施例)は、難接着性の自動車塗膜に対しても 洗浄の有無を問わず、優れた接着力および 着率を発揮した。一方、本発明の規定を満 さない粘着シート(比較例)では、表面にシ コーン系の表面調整剤がブリードした未洗 の塗膜面に対しては、接着力が大きく低下 た。なお、接着率が高いと塗膜の表面状態 よらず、表面調整剤の影響を受けずに、高 接着力を安定して維持できるため望ましい
 また、弾性体層(X)(アクリルフォーム層)を 材として用いた場合においても、本発明の 着剤は、未洗浄の塗膜面に対して最も高い 着力を発揮した。

 本発明のアクリル系粘着剤組成物は、酸 雨耐性塗膜に対しても優れた接着力を発揮 、特にシリコーン系の表面調整剤がブリー アウトしている状態の塗膜表面に対しても れた接着力を発揮する粘着層を形成でき、 動車塗装面接着用粘着シートの粘着層等と て用いられる活性エネルギー線硬化性粘着 組成物として用いられる。また、本発明は 前記アクリル系粘着剤組成物を用いたアク ル系粘着シート、および該粘着シートの自 車塗膜面への接着方法を提供する。