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Patent Searching and Data


Title:
ACYLGUANIDINE DERIVATIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/096791
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel and excellent therapeutic or prophylactic agent for dementia, schizophrenia and the like, whose efficacy is relied on its 5-HT5A receptor modulating activity. It is found that a compound characterized by a structure having a tricyclic hetero ring having a pyrrole ring at the center and a guanidine group bound via a carbonyl group has a potent 5-HT5A receptor modulating activity and an excellent pharmacological effect relying on the 5-HT5A receptor modulating activity. Therefore, the compound is expected to be a good therapeutic or prophylactic agent for dementia, schizophrenia, bipolar disorder or attention deficit hyperactivity disorder, particularly for a memory-related functional disorder such as a cognitive impairment including dementia and schizophrenia.

Inventors:
KINOYAMA ISAO (JP)
MIYAMOTO SATOSHI (JP)
HOSHII HIROAKI (JP)
MIYAZAKI TAKEHIRO (JP)
YAMAZAKI MAYAKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051962
Publication Date:
August 14, 2008
Filing Date:
February 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ASTELLAS PHARMA INC (JP)
KINOYAMA ISAO (JP)
MIYAMOTO SATOSHI (JP)
HOSHII HIROAKI (JP)
MIYAZAKI TAKEHIRO (JP)
YAMAZAKI MAYAKO (JP)
International Classes:
A61K31/403; C07D209/88; A61K31/407; A61K31/4155; A61K31/437; A61K31/4439; A61K31/454; A61K31/496; A61K31/506; A61K31/5377; A61P25/00; A61P25/14; A61P25/18; A61P25/20; A61P25/22; A61P25/24; A61P25/28; A61P43/00; C07D401/04; C07D401/06; C07D401/14; C07D403/04; C07D405/04; C07D405/14; C07D409/04; C07D409/06; C07D409/14; C07D413/06; C07D471/04; C07D491/048; C07D495/04
Domestic Patent References:
WO2007018168A12007-02-15
WO2005079845A12005-09-01
WO2005080322A12005-09-01
WO2004096771A12004-11-11
WO1999020599A11999-04-29
WO2000017191A22000-03-30
WO2005080322A12005-09-01
WO2005079845A12005-09-01
WO2007018168A12007-02-15
Foreign References:
JP2002502419A2002-01-22
DE19724979A11998-12-17
US5082871A1992-01-21
US20060229323A12006-10-12
US0041696A1864-02-23
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J PHARMACOL EXP THER, vol. 279, 1996, pages 1157 - 73
Attorney, Agent or Firm:
MORITA, Hiroshi et al. (3-11 Nihonbashi-Honcho 2-chom, Chuo-ku Tokyo 11, JP)
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Claims:
下記一般式(I)で示される化合物またはその塩を有効成分として含有する5-HT 5A 受容体調節剤。
(式中の記号は以下の意味を示す、
R 1 :H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、C 2-6 アルキレン-OR a またはC 2-6 アルキレン-NR a R b
R 2 及びR 3 :同一または互いに異なって、H、-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘテロ環基、あるいは、当該R 2 はR 1 と一緒になって、窒素原子とともに単環式含窒素ヘテロ環基を形成してもよい、ここに、フェニル、シクロアルキル、単環式ヘテロ環基及び単環式含窒素ヘテロ環基は、低級アルキルまたは-OR a で置換されていてもよい、
R a 及びR b :同一または互いに異なって、Hまたは低級アルキル、
R 4 :G群に示される基から選択される1乃至2の基で置換されていてもよい低級アルキル、H、-C(O)R a 、-S(O) p -低級アルキル、-C(O)NR a R b または-L-X、
G群:-NR a R b 、-OR a または-O-低級アルキレン-OR a
L:結合、-C(O)-、-S(O) p -、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O-低級アルキレン、ここに低級アルキレンは-OR a で置換されていてもよい、
X:ヘテロ環基、アリール、シクロアルキルまたはシクロアルケニル、ここにXに示される環基は、低級アルキル、ハロゲン、-OR a 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-S(O) p -低級アルキル、-CN、低級アルキレン-CN、ベンズヒドリル、フェニル、単環式ヘテロアリール及びオキソから選択される1乃至2の基で置換されていてもよい、
p:0、1または2、
:ベンゼン、チオフェン、フラン、シクロヘキセンまたはテトラヒドロピリジン環、
R 5 、R 6 及びR 7 :同一または互いに異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ低級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b
:ベンゼン、シクロヘキセンまたはテトラヒドロピリジン環、
R 8 及びR 9 :同一または互いに異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ低級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b 、及び、
Y及びZ:同一または互いに異なって、結合、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O-。)
Aがベンゼン環であり、Bがベンゼン環である請求項1記載の5-HT 5A 受容体調節剤。
R 4 が-L-Xであり、当該Lが結合またはC 1-4 アルキレンであり、かつ、Xが単環式ヘテロ環基、フェニルまたはシクロアルキルから選択される環基である、請求項2記載の5-HT 5A 受容体調節剤。
R 4 が低級アルキルまたは-C(O)R a である請求項2記載の5-HT 5A 受容体調節剤。
一般式(I)で示される化合物が、9-シクロブチル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、9-シクロヘキシル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、9-アセチル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、9-ベンジル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、5-クロロ-N-(ジアミノメチレン)-9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、及び、N-(ジアミノメチレン)-5-(ヒドロキシメチル)-9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキサミドからなる群より選択されるものである請求の範囲1記載の5-HT 5A 受容体調節剤。
下記一般式(I')で示される化合物またはその塩。
(式中の記号は以下の意味を示す、
R 1 :H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、C 2-6 アルキレン-OR a またはC 2-6 アルキレン-NR a R b
R 2a :H、-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘテロ環基、あるいは、当該R 2a はR 1 と一緒になって、窒素原子とともに単環式含窒素ヘテロ環基を形成してもよい、
R 3a :-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘテロ環基、
ここに、前記、R 2a 及びR 3a におけるフェニル、シクロアルキル、単環式ヘテロ環基及び単環式含窒素ヘテロ環基は、低級アルキルまたは-OR a で置換されていてもよい、
R a 及びR b :同一または互いに異なって、Hまたは低級アルキル、
R 4 :G群に示される基から選択される1乃至2の基で置換されていてもよい低級アルキル、H、-C(O)R a 、-S(O) p -低級アルキル、-C(O)NR a R b または-L-X、
G群:-NR a R b 、-OR a または-O-低級アルキレン-OR a
L:結合、-C(O)-、-S(O) p -、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O-低級アルキレン、ここに低級アルキレンは-OR a で置換されていてもよい、
X:ヘテロ環基、アリール、シクロアルキルまたはシクロアルケニル、ここにXに示される環基は、各々、低級アルキル、ハロゲン、-OR a 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-S(O) p -低級アルキル、-CN、低級アルキレン-CN、ベンズヒドリル、フェニル、単環式ヘテロアリール及びオキソから選択される1乃至2の基で置換されていてもよい、
p:0、1または2、
:ベンゼン、チオフェン、フラン、シクロヘキセンまたはテトラヒドロピリジン環、
R 5 、R 6 及びR 7 :同一または互いに異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ低級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b
:ベンゼン、シクロヘキセンまたはテトラヒドロピリジン環、
R 8 及びR 9 :同一または互いに異なって、H、低級アルキル、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ低級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b 、及び、
Y及びZ:同一または互いに異なって、結合、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O-。)
Aがベンゼン環であり、Bがベンゼン環である請求項6記載の化合物またはその塩。
R 4 が-L-Xであり、当該Lが結合またはC 1-4 アルキレンであり、かつ、Xが、単環式ヘテロ環基、フェニル、シクロアルキル及びシクロアルケニルから選択され、ハロゲン、低級アルキルまたは-OR a で置換されていてもよい環基である請求項7記載の化合物またはその塩。
R 4 が低級アルキルである請求項7記載の化合物またはその塩。
N-[アミノ(メチルアミノ)メチレン]-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-{アミノ[(3-メトキシプロピル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-{アミノ[(シクロプロピルメチル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-{アミノ[(4-メトキシベンジル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-{アミノ[(3-メトキシベンジル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、及び、N-{アミノ[(2,6-ジメトキシベンジル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミドからなる群より選択される請求項6記載の化合物またはその塩。
下記一般式(I'')で示される化合物またはその塩。
(式中の記号は以下の意味を示す、
R 4b :イソプロピル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、フェニル、チエニル、ピリジル、チエニルメチルまたはイソオキサゾリルメチル、ここに、ピペリジル基はシアノメチルまたはフェニルで置換されていてもよく、それ以外の基は、F、-O-メチル及びメチルからなる群より選択される1乃至2の基で置換されていてもよい、
R 5b :H、低級アルキル、-OH、-S-低級アルキル、ハロゲン、低級アルキレン-OH、低級アルキレン-O-低級アルキル、及び、
R 8b :H、低級アルキル、ハロゲンまたは低級アルキレン-OH、
但し、R 4b がイソプロピルのときR 5b は-OHであり、R 4b が、無置換のテトラヒドロピラニル、無置換のピペリジル、または無置換のシクロヘキシルのとき、R 5b 及びR 8b の一方はH以外の基を示す。)
N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-4-メチル-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-9-(2-チエニルメチル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-4-メチル-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-4,5-ジフルオロ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、及び、N-(ジアミノメチレン)-9-(4-フルオロシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-9H-カルバゾール-2-カルボキサミドからなる群より選択される請求項11記載の化合物またはその塩。
請求項1の式(I)で示される化合物またはその塩を有効成分として含有する、認知症、統合失調症、双極性障害、注意欠陥多動性障害の予防または治療用医薬組成物。
認知症、統合失調症、双極性障害、注意欠陥多動性障害の予防または治療用医薬組成物製造のための、請求項1の式(I)で示される化合物またはそれらの塩の使用。
有効量の請求項1の式(I)で示される化合物またはその塩を、哺乳動物に投与することからなる認知症、統合失調症、双極性障害、注意欠陥多動性障害の予防または治療方法。
Description:
アシルグアニジン誘導体

 本発明は、医薬、殊に5-HT 5A 受容体調節作用を有し、認知症、統合失調症 等の治療または予防用医薬組成物として有用 な置換グアニジン誘導体に関する。

 認知症は、後天的な脳の障害によって脳機 が低下し、記憶障害と判断障害を基本とす 症候群のことであり、血管性痴呆及びアル ハイマー型痴呆が代表的な原因疾患である 従来、これらの治療薬が研究されてきたが 臨床における満足度は十分ではない。例え 、アルツハイマー型痴呆の治療薬として広 用いられているアリセプト等のコリンエス ラーゼ阻害剤では、効果が十分ではないこ が報告されている(Curr. Neurol. Neurosci. rep., 5(6), 455-457, 2005; Eur. J. Pharmacol., 346, 1-13, 1998)。また、末梢のコリン神経系を刺激する ことによる副作用が指摘されている(Curr. Psyc hiatry Rep., 2(6), 473-478; J. Psychopharmacol., 14(4) , 406-408, 2000)。また、メマンチン等のNMDA拮 剤が一部の国で承認されているが、認知障 、幻覚、運動失調、精神疾患等の精神症状 持つ患者では、副作用が特に指摘されてい (J. Clin. Psychiatry 66(5), 658-659, 2005; Learning  & memory, 8, 20-25, 2001)。
 一方、統合失調症とは妄想、幻覚、多動、 など多彩な症状を示す精神疾患である。そ らの症状は、大まかに陽性症状、陰性症状 認知障害に分類される。従来、統合失調症 療においては、第一世代の定型抗精神病薬 あるハロペリドールなどのD2受容体遮断薬 第二世代の非定型抗精神病薬であるオラン ピンなどが用いられてきた。しかしながら ハロペリドール等では錐体外路症状、また オランザピンでは、肥満、高血糖、糖尿病 ケトアシドーシスといった副作用が報告さ ている(統合失調症治療薬と患者への説明, 5 4, 287-304, 2003; Am J Psychiatry, 160, 1209-1222, 2 003; Neuropsychopharmacology, 28(8), 1400-1411, 2003; D iabetes Care, 27, 596, 2004; 臨床精神薬理, 8(12) , 2151-2164, 2005)。さらに、従来型の薬剤では 性症状を改善できるが、陰性症状や認知障 に対しては、薬効が不十分である(J.Abnorm. P sychol., 1997; 臨床精神薬理, 8(12), 2151-2164, 20 05)。
 以上のような背景から、安全かつ有効性の い認知症治療薬及び統合失調症治療薬が待 されていた。

 近年、セロトニン受容体サブタイプの一つ ある5-HT 5A 受容体が、認知症及び統合失調症に重要な役 割を果たしていることが示唆されている。例 えば、5-HT 5A 受容体のノックアウトマウスで新規の探索行 動が増加することが、また、LSDによる過活動 が5-HT 5A 受容体ノックアウトマウスでは抑制されるこ とが報告されている(Neuron, 22, 581-591, 1999)。 遺伝子発現解析の結果から、5-HT 5A 受容体は、ヒト、げっ歯類の脳で高発現し、 脳内では記憶と関わっている海馬のCA1,CA3の 体細胞で、また、統合失調症とかかわりが い前頭葉(大脳皮質)で発現が多いことが報告 されている(molecular Brain Reserch, 56, 1-8, 1998) 。さらに、5-HT 5A 受容体の遺伝子多型が統合失調症と関係があ ることが報告されている(Neuroreport 11, 2017-202 0, 2000; Mol. Psychiatr. 6, 217-219, 2001; J. Psychi atr. Res. 38, 371-376, 2004)。

 これまでに、5-HT 5A 受容体に高い親和性を有する化合物がいくつ か報告されている。例えば、下記一般式で示 されるグアニジン誘導体が、5-HT 5A 受容体に結合し、神経変性疾患または神経精 神疾患等、多種の中枢性疾患の治療に用いら れることが記載されている(特許文献1)。
(AはNO 2 、NH 2 等を、Bは水素原子等を、R w 1 は水素原子等を、DはAに示される基を、Qは2 換の5員へテロアリールを、R 1 、R 2 及びR 3 は水素原子等を、Zは-(CR z 1 R z 2 ) a -(V z ) b -(CR z 3 R z 4 ) c -を、ここにa及びcは0-4を、bは0または1を、R z 1 、R z 2 、R z 3 及びR z 4 は水素原子等を、V z はCO等を、各々示す。詳細は当該公報を参照 )
 当該出願に含まれる化合物が統合失調症の デルで有効性を示したことが、当該出願人 より学会において報告されている(非特許文 献1)。

 その他、5-HT 5A 受容体に親和性の高い化合物として、ビアリ ール化合物(特許文献2)及び(3,4-ジヒドロキナ リン-2-イル)-インダン-1-イルアミン誘導体( 許文献3)が報告されている。当該文献には 数の中枢性疾患の用途が記載されている。 た、「神経変性疾患または神経精神医学的 患を治療するため5-HT5リガンドの使用法」を クレームに記載した特許公報が公開されてい る(特許文献4)。当該公報には、ドイツ特許第 19724979.5号記載の化合物(3,4,5,6,7,8-ヘキサヒド ピリド[3',4':4,5]チエノ-[2,3-d]ピリミジン誘導 体)を用いて、当該化合物の神経保護作用を 認した試験結果が記載されている。

 特許文献5には、下記一般式で表される化合 物が、多種の神経変性疾患の治療に有効であ ることが記載されており、その中にアルツハ イマー病及び認知症の語がある。当該国際公 開公報の一般式には3環系のヘテロアリール 有する化合物が含まれるが、明細書にはそ ような化合物の具体的開示は無い。
(式中、Rはシクロアルキル、アリールまたは1 ~3環系のヘテロアリール等、R 1 及びR 2 は独立して、H、アルキルまたはアルケニル 、Xは結合、アルケンまたはアルケニレン等 及びR 3 がシクロアルキル、アリールまたはアルキル アルリール等。詳細は当該公報参照。)

 特許文献6には、下記一般式で表される化合 物がNO合成酵素阻害活性及び/または活性酸素 種捕捉活性を有することが記載されており、 他の多くの適応症とともにアルツハイマー病 及び認知症の語がある。当該国際公開公報の 一般式にはBとしてNR 13 R 14 であるものが含まれるが、明細書にはそのよ うなグアニジンを有する化合物の具体的開示 はない。
(式中、φは結合またはフェニレン基、Bは-CH 2 -NO 2 、アルキル基、アリール基またはNR 13 R 14 等、但し、R 13 及びR 14 は独立して水素原子、アルキル基、シアノ基 等、Xは結合、-O-、-S-またはCO-等、Yは結合、- (CH 2 ) m -等、Wは存在しないか、結合、S原子またはNR 15 、R 1 ~R 5 は水素またはハロゲン等。詳細は当該公報参 照。)

 下記一般式で示されるフルオレン誘導体が5 -HT 2B 及び5-HT 7 受容体に拮抗活性を有し、片頭痛の予防に有 効であることが報告されている(特許文献7及 8)。
 また、本願中の一部の化合物は、本願の優 日後に公開された、出願人自身による国際 願の国際公開公報に記載されている(特許文 献9)。しかしながら、これらの公報には、認 症、統合失調症、認知障害等の用途は開示 ない。

国際公開第05/082871号パンフレット

国際公開第04/096771号パンフレット

米国特許出願公開第2006/0229323号明細書

国際公開第00/41696号パンフレット

国際公開第99/20599号パンフレット

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国際公開第07/018168号パンフレット ジョンゲン-レロ(Jongen-Relo A. L.)等、第36 回神経科学会年会(36th Annual Meeting, Society of  Neuroscience)、2006年10月14-18日、アトランタ、 ナダ、講演要旨集529.26番

 本発明の課題は、5-HT 5A 受容体調節作用に基づく、認知症、統合失調 症等の新規かつ優れた治療または予防用医薬 組成物を提供することにある。

 本発明者等は、5-HT 5A 受容体調節作用を有する化合物につき鋭意検 討した結果、ピロール環を中心に含む3環性 テロ環とグアニジンがカルボニル基を介し 結合した構造に特徴を有する化合物が、強 な5-HT 5A 受容体調節作用と、これに基づく優れた薬理 作用を有することを見出し、認知症、統合失 調症等の良好な治療または予防薬となりうる ことを知見して本発明を完成した。
 本発明医薬の有効成分である後記一般式(I) 示される化合物は、従来報告されている5-HT 5A 受容体に親和性の高い化合物群(前記特許文 1乃至4及び、非特許文献1)とは構造が全く異 る。一般式(I)で示される化合物の一部は、 念上、特許文献5の国際段階のクレームに含 まれる。しかしながら、特許文献5には本発 の化合物の特徴とする3環骨格を有する化合 の具体的な開示はない。しかも、実施例に 載されている化合物は当該部位が単環のも のみである。一般式(I)で示される化合物の 部は、概念上、特許文献6の国際段階のクレ ームに含まれる。しかしながら、特許文献6 はグアニジンを有する化合物の具体的な開 は見当たらない。また、当該特許文献の化 物はNO合成酵素阻害活性及び/または活性酸 種捕捉活性を有する点で、本発明の化合物 は薬理作用が異なる。一般式(I)で示される 合物は、ピロール環を中心に含む3環性ヘテ 環を有する点で、特許文献7乃至8のフルオ ン誘導体とは構造が異なる。また、当該特 文献の化合物は片頭痛の予防を適応症とす 点で、本発明の化合物とは適応症が異なる
 即ち、本発明は下記一般式(I)で示される化 物またはその塩を有効成分として含有する5 -HT 5A 受容体調節剤に関する。

(式中の記号は以下の意味を示す、
R 1 :H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、C 2-6 アルキレン-OR a またはC 2-6 アルキレン-NR a R b
R 2 及びR 3 :同一または互いに異なって、H、-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘ テロ環基、あるいは、当該R 2 はR 1 と一緒になって、窒素原子とともに単環式含 窒素ヘテロ環基を形成してもよい、ここに、 フェニル、シクロアルキル、単環式ヘテロ環 基及び単環式含窒素ヘテロ環基は、低級アル キルまたは-OR a で置換されていてもよい、
R a 及びR b :同一または互いに異なって、Hまたは低級ア キル、
R 4 :G群に示される基から選択される1乃至2の基 置換されていてもよい低級アルキル、H、-C(O )R a 、-S(O) p -低級アルキル、-C(O)NR a R b または-L-X、
G群:-NR a R b 、-OR a または-O-低級アルキレン-OR a
L:結合、-C(O)-、-S(O) p -、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O- 級アルキレン、ここに低級アルキレンは-OR a で置換されていてもよい、
X:ヘテロ環基、アリール、シクロアルキルま はシクロアルケニル、ここにXに示される環 基は、低級アルキル、ハロゲン、-OR a 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-S(O) p -低級アルキル、-CN、低級アルキレン-CN、ベ ズヒドリル、フェニル、単環式ヘテロアリ ル及びオキソから選択される1乃至2の基で置 換されていてもよい、
p:0、1または2、
:ベンゼン、チオフェン、フラン、シクロヘ センまたはテトラヒドロピリジン環、
R 5 、R 6 及びR 7 :同一または互いに異なって、H、低級アルキ 、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ 級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b
:ベンゼン、シクロヘキセンまたはテトラヒ ロピリジン環、
R 8 及びR 9 :同一または互いに異なって、H、低級アルキ 、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ 級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b 、及び、
Y及びZ:同一または互いに異なって、結合、低 級アルキレンまたは低級アルキレン-O-。
なお、発明を実施するための最良の形態、以 降において用いる記号も同様の意味を表す。 )

 また本発明は、前記一般式(I)で示される化 物またはその塩を有効成分として含有する 知症、統合失調症、双極性障害、注意欠陥 動性障害の予防または治療用医薬組成物、 ましくは、認知症または統合失調症の予防 たは治療用医薬組成物に関する。
 また、別の態様としては、前記一般式(I)で される化合物またはその塩を有効成分とし 含有する5-HT 5A 受容体調節剤である、認知症、統合失調症、 双極性障害または注意欠陥多動性障害の予防 または治療用医薬組成物、より好ましくは、 認知症または統合失調症の予防または治療用 医薬組成物である。
 また、別の態様としては、認知症、統合失 症、双極性障害、注意欠陥多動性障害、好 しくは、認知症または統合失調症の予防ま は治療用医薬組成物製造のための、前記式( I)で示される化合物またはその塩の使用であ 、当該、化合物またはその塩の有効量を、 乳動物に投与することからなる認知症、統 失調症、双極性障害、注意欠陥多動性障害 好ましくは、認知症または統合失調症の予 または治療法である。

 さらに、本発明は、5-HT 5A 受容体調節作用を有し、認知症、統合失調症 等、5-HT 5A 受容体の関与する疾患の治療または予防薬と して有用な、下記一般式(I')で示される新規 合物またはその塩、及び後記一般式(I'')で示 される新規化合物にも関する。式(I')及び式(I '')の化合物は前記一般式(I)に包含される。
(式中の記号は以下の意味を示す、
R 1 :H、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、C 2-6 アルキレン-OR a またはC 2-6 アルキレン-NR a R b
R 2a :H、-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘ テロ環基、あるいは、当該R 2a はR 1 と一緒になって、窒素原子とともに単環式含 窒素ヘテロ環基を形成してもよい、
R 3a :-OR a 、-NR a R b 、フェニル、シクロアルキルまたは単環式ヘ テロ環基、
ここに、前記、R 2a 及びR 3a におけるフェニル、シクロアルキル、単環式 ヘテロ環基及び単環式含窒素ヘテロ環基は、 低級アルキルまたは-OR a で置換されていてもよい、
R a 及びR b :同一または互いに異なって、Hまたは低級ア キル、
R 4 :G群に示される基から選択される1乃至2の基 置換されていてもよい低級アルキル、H、-C(O )R a 、-S(O) p -低級アルキル、-C(O)NR a R b または-L-X、
G群:-NR a R b 、-OR a または-O-低級アルキレン-OR a
L:結合、-C(O)-、-S(O) p -、低級アルキレンまたは低級アルキレン-O- 級アルキレン、ここに低級アルキレンは-OR a で置換されていてもよい、
X:ヘテロ環基、アリール、シクロアルキルま はシクロアルケニル、ここにXに示される環 基は、各々、低級アルキル、ハロゲン、-OR a 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-S(O) p -低級アルキル、-CN、低級アルキレン-CN、ベ ズヒドリル、フェニル、単環式ヘテロアリ ル及びオキソから選択される1乃至2の基で置 換されていてもよい、
p:0、1または2、
:ベンゼン、チオフェン、フラン、シクロヘ センまたはテトラヒドロピリジン環、
R 5 、R 6 及びR 7 :同一または互いに異なって、H、低級アルキ 、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ 級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b
:ベンゼン、シクロヘキセンまたはテトラヒ ロピリジン環、
R 8 及びR 9 :同一または互いに異なって、H、低級アルキ 、低級アルケニル、ハロゲン、-O-ハロゲノ 級アルキル、-CN、-NO 2 、-OR a 、-OC(O)R a 、-NR a R b 、-NR a -C(O)R b 、-NR a -S(O) 2 -低級アルキル、-SH、-S(O) p -低級アルキル、-S(O) 2 -NR a R b 、-C(O)R a 、-CO 2 R a 、-C(O)NR a R b 、低級アルキレン-OR a または低級アルキレン-NR a R b 、及び、
Y及びZ:同一または互いに異なって、結合、低 級アルキレンまたは低級アルキレン-O-。)

(式中の記号は以下の意味を示す、
R 4b :イソプロピル、テトラヒドロピラニル、ピ リジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニ 、フェニル、チエニル、ピリジル、チエニ メチルまたはイソオキサゾリルメチル、こ に、ピペリジル基はシアノメチルまたはフ ニルで置換されていてもよく、それ以外の は、F、-O-メチル及びメチルからなる群より 択される1乃至2の基で置換されていてもよ 、
R 5b :H、低級アルキル、-OH、-S-低級アルキル、ハ ゲン、低級アルキレン-OH、低級アルキレン- O-低級アルキル、及び、
R 8b :H、低級アルキル、ハロゲンまたは低級アル レン-OH、
但し、R 4b がイソプロピルのときR 5b は-OHであり、R 4b が、無置換のテトラヒドロピラニル、無置換 のピペリジルまたは無置換のシクロヘキシル のとき、R 5b 及びR 8b の一方はH以外の基を示す。)
 (I'')で示される化合物は、カルバゾール環 のR 4b 、R 5b 及びR 8b に特定の置換基を有することにより、代謝安 定性、安全性または経口吸収性のいずれかが 優れている。
 また、本発明は、前記式(I')または(I'')で示 れる化合物またはそれらの塩を有効成分と て含有する医薬組成物、すなわち、前記式( I')または(I'')で示される化合物またはそれら 塩と、製薬学的に許容される担体とからな 医薬組成物に関する。好ましくは、5-HT 5A 受容体調節剤である前記医薬組成物であり、 より好ましくは認知症、統合失調症、双極性 障害、注意欠陥多動性障害の予防または治療 用医薬組成物、さらに好ましくは認知症、統 合失調症の予防または治療用医薬組成物であ る。
 また、別の態様としては、前記式(I')または (I'')で示される化合物またはその塩を有効成 として含有する認知症、統合失調症、双極 障害、注意欠陥多動性障害の予防または治 用医薬組成物、好ましくは、認知症または 合失調症の予防または治療用医薬組成物に する。
 また、別の態様としては、認知症、統合失 症、双極性障害、注意欠陥多動性障害、好 しくは、認知症または統合失調症の予防ま は治療用医薬組成物製造のための、前記式( I')または(I'')で示される化合物またはそれら 塩の使用であり、当該化合物またはその塩 有効量を、哺乳動物に投与することからな 認知症、統合失調症、双極性障害、注意欠 多動性障害、好ましくは、認知症または統 失調症の予防または治療方法である。

 本発明医薬の有効成分である化合物は、5-HT 5A 受容体調節作用と、これに基づく良好な薬理 作用を有するという利点がある。本発明の医 薬組成物は、5-HT 5A 受容体の関与する疾患の治療または予防、特 に、認知症、統合失調症、双極性障害、注意 欠陥多動性障害の治療または予防に有用であ る。本発明医薬の有効成分である化合物は、 特に、認知症や統合失調症の認知障害といっ た記憶に関わる機能障害を改善する効果があ る。

 以下、本発明について詳述する。
 本明細書中、「5-HT 5A 受容体調節剤」とは、内在性リガンドに拮抗 することによる5-HT 5A 受容体の活性化を抑制する化合物(5-HT 5A 受容体拮抗剤)、並びに5-HT 5A 受容体の活性化により作用を発現する化合物 (5-HT 5A 受容体作動剤)の総称である。「5-HT 5A 受容体調節作用」として好ましくは、5-HT 5A 受容体拮抗剤である。
 「低級アルキル」として好ましくは直鎖ま は分枝状の、炭素数が1から6(以後、C 1-6 と略す)のアルキル、具体的には、メチル、 チル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペ チル、n-ヘキシル基等である。より好ましく はC 1-4 アルキルであり、さらに好ましくはメチル、 エチル、n-プロピル及びイソプロピルである
 「低級アルキレン」として好ましくは直鎖 たは分枝状の、C 1-6 アルキレン、具体的には、メチレン、エチレ ン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタ メチレン、ヘキサメチレン、プロピレン、メ チルメチレン、エチルエチレン、1,2-ジメチ エチレン、1,1,2,2-テトラメチルエチレン基等 である。より好ましくはC 1-4 アルキレンであり、さらに好ましくはメチレ ン、エチレン、トリメチレン及びプロピレン 基である。

 「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを意味する。
 「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上の ハロゲンで置換された、C 1-6 アルキルである。好ましくは1~5個のハロゲン で置換されたC 1-6 アルキルであり、より好ましくはモノフルオ ロエチル及びトリフルオロメチル基である。  
 「シクロアルキル」とは、C 3-10 の飽和炭化水素環基であり、架橋を有してい てもよい。具体的には、シクロプロピル、シ クロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシ ル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダ マンチル基等である。好ましくはC 3-8 シクロアルキルであり、より好ましくはC 3-6 シクロアルキルであり、さらに好ましくはシ クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチ ル、シクロヘキシル基である。
 「シクロアルケニル」はC 5-10 シクロアルケニルであり、好ましくは、シク ロペンテニル、シクロペンタジエニル、シク ロヘキセニル、シクロヘプテニル基であり、 より好ましくはシクロヘキセニル基である。
 「アリール」とは、C 6-14 の単環乃至三環式芳香族炭化水素環基であり 、好ましくはフェニル、ナフチル基、より好 ましくはフェニル基である。

 「ヘテロ環」基とは、酸素、硫黄および窒 から選択されるヘテロ原子を1~4個含有する3 ~15員の、好ましくは5~10員の、単環乃至3環式 テロ環基であり、飽和環、芳香環、および の部分的に水素化された環基を包含する。 原子である硫黄または窒素が酸化されオキ ドやジオキシドを形成してもよい。具体的 は、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピ ミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、 リアゾリル、トリアジニル、チエニル、フ ル、チアゾリル、ピラゾリル、イソチアゾ ル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チ ジアゾリル、オキサジアゾリル、アゼチジ ル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジ ル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゾカニ 、モルホリニル、チオモルホリニル、テト ヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセ ニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロ ラニル、1,4-ジオキソラニル、ジオキサニル 、テトラヒドロチオピラニル、キノリル、イ ソキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラ ヒドロイソキノリル、キナゾリニル、キノキ サリニル、フタラジニル、ベンゾイミダゾリ ル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾ チアジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ イソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベン ゾイソオキサゾリル、メチレンジオキシフェ ニル、エチレンジオキシフェニル、インドリ ル、イソインドリル、インドリニル、インダ ゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、 ジヒドロベンゾフリル、クロマニル、クロモ ニル、1,4-ジチアスピロ[4.5]デカニル基等であ る。より好ましくは、5~10員の単環乃至2環式 テロ環基であり、さらに好ましくは、5~6員 単環式へテロ環基である。
 「単環式ヘテロアリール」とは、前記のへ ロ環基のうち、5~6員単環の芳香族性を有す 環基であり、好ましくは、ピリジル、ピロ ル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジ ル、イミダゾリル、トリアゾリル、チエニ 、フリル、チアゾリル、ピラゾリル、イソ アゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリ 、テトラゾリルであり、より好ましくはピ ジル、ピリミジニル、チエニル、フリル、 ソオキサゾリルである。

 「単環式含窒素ヘテロ環基」とは、前記の テロ環基のうち、1つの窒素原子を含み、更 に窒素、酸素及び硫黄からなるヘテロ原子を 1つ含んでいてもよい5~8員の単環である基を し、飽和若しくは一部不飽和の環基である 単環式含窒素飽和ヘテロ環基」と、不飽和 環基である「単環式含窒素ヘテロアリール の総称である。単環式含窒素飽和ヘテロ環 として、好ましくは、アゼチジニル、ピロ ジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼ ニル、ジアゼパニル、アゾカニル、モルホ ニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピ ジニル基である。より好ましくは、ピロリ ニル、ピペリジル、ピペラジニル及びジア パニル基である。単環式含窒素ヘテロアリ ルとして好ましくは、ピリジル、ピリミジ ル、イソオキサゾリルである。
 「単環式含酸素飽和ヘテロ環」としては、 記のへテロ環基のうち、1つの酸素原子を含 み、更に窒素、酸素及び硫黄からなるヘテロ 原子を1つ含んでいてもよい3~7員飽和の単環 ある基を示す。好ましくは、オキシラニル オキセタニル、テトラヒドロフリル、テト ヒドロピラニル及び1,4-ジオキサニル基であ 、特に好ましくはテトラヒドロピラニル基 ある。

 R 2 、R 3 、R 2a 及びR 3a の単環式ヘテロ環基として好ましくは、単環 式ヘテロアリール及び単環式含酸素飽和ヘテ ロ環であり、より好ましくは、フリル、チエ ニル、ピリジル、テトラヒドロフリル、テト ラヒドロピラニル、1,4-ジオキサニル基であ 。
 Xのヘテロ環基として好ましくは、単環式ヘ テロ環基であり、具体的には、チエニル、ピ リジル、フリル、イソオキサゾリル、モルホ リニル、ピロリジニル、ピペリジル、オキシ ラニル、オキセタニル、テトラヒドロフリル 、テトラヒドロピラニル基であり、より好ま しくはチエニル、ピペリジル、テトラヒドロ ピラニル基である。
 R 5 、R 6 及びR 7 に示される基として好ましくは、H、低級ア キル、ハロゲン、-CN、-NO 2 、-OR a 、-NR a R b 、-S(O) p -低級アルキル、-C(O)R a 、低級アルキレン-OR a 及び低級アルキレン-NR a R b であり、より好ましくは、H、低級アルキル ハロゲン、低級アルキレン-OR a である。
 R 8 及びR 9 に示される基として好ましくは、H、低級ア キル、ハロゲン、低級アルキレン-OR a 及び低級アルキレン-NR a R b である。
Y及びZ:同一または互いに異なって、結合、低 級アルキレンまたは低級アルキレン-O-。)

 本発明医薬の有効成分である一般式(I)の化 物における好ましい態様としては、以下の( 1A)~(1F)の化合物、及び前記一般式(I')及び(I'') 示される化合物である。
(1A)Aがベンゼン環である化合物。
(1B)Bがベンゼン環である前記(1A)の化合物。
(1C)R 4 が-L-Xである前記(1B)の化合物。
(1D)Lが結合またはC 1-4 アルキレンであり、Xが単環式ヘテロ環基、 ェニルまたはシクロアルキルである前記(1C) 化合物。
(1E)Xが単環式ヘテロ環基である前記(1D)の化合 物。
(1F)A及びBがいずれもベンゼン環であり、R 4 が低級アルキルまたは-C(O)R a である前記(1B)の化合物。
 一般式(I)に含まれる具体的な化合物として ましくは、以下の群から選択される化合物 ある。
9-シクロヘキシル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カ バゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメ レン)-9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾール-2 -カルボキサミド、9-シクロブチル-N-(ジアミ メチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド 、N-(ジアミノメチレン)-9-(テトラヒドロ-2H-ピ ラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミ 、9-アセチル-N-(ジアミノメチレン)-9H-カル ゾール-2-カルボキサミド、9-ベンジル-N-(ジ ミノメチレン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサ ミド、5-クロロ-N-(ジアミノメチレン)-9-イソ ロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、 び、N-(ジアミノメチレン)-5-(ヒドロキシメ ル)-9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボ キサミド。

 本発明化合物(I')に示される化合物における 好ましい態様としては、以下の化合物である 。
(2A)Aがベンゼン環である化合物。
(2B)Bがベンゼン環である前記(2A)の化合物。
(2C)R 4 が-L-Xである前記(2B)の化合物。
(2D)Lが結合またはC 1-4 アルキレンであり、Xが単環式ヘテロ環基、 ェニル、シクロアルキルまたはシクロアル ニルである前記(2C)の化合物。ここに、上記 単環式ヘテロ環基、フェニル、シクロアル ル及びシクロアルケニルは、ハロゲン、低 アルキルまたは-OR a で置換されていてもよい。
(2E)Xが単環式ヘテロ環基である前記(2D)の化合 物。
(2F)A及びBがいずれもベンゼン環であり、R 4 が低級アルキルである前記(2B)の化合物。
(2G)Yが結合であり、R 1 及びR 2 がいずれもHであり、Zが結合、低級アルキレ または低級アルキレン-O-であり、R 3 が、-OR a 、フェニルまたはシクロアルキルである、前 記(2E)または(2F)の化合物。ここに、上記、フ ニル及びシクロアルキルは、低級アルキル たは-OR a で置換されていてもよい。
 一般式(I')に含まれる具体的な化合物として 好ましくは、以下の群から選択される化合物 である。
N-[アミノ(メチルアミノ)メチレン]-9-(テトラ ドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カ ボキサミド、N-{アミノ[(3-メトキシプロピル) アミノ]メチレン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4 -イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-{ アミノ[(シクロプロピルメチル)アミノ]メチ ン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カル バゾール-2-カルボキサミド、N-{アミノ[(4-メ キシベンジル)アミノ]メチレン}-9-(テトラヒ ロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カル キサミド、
N-{アミノ[(3-メトキシベンジル)アミノ]メチレ ン}-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カル ゾール-2-カルボキサミド、及び、N-{アミノ[ (2,6-ジメトキシベンジル)アミノ]メチレン}-9-( テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾー ル-2-カルボキサミド。

 本発明化合物(I'')に示される化合物におけ 好ましい態様としては、R 4b が、ハロゲンで置換されたシクロヘキシルま たはシクロヘキセニルである化合物、または チエニルメチルである化合物である。一般式 (I')に含まれる具体的な化合物として好まし は、以下の群から選択される化合物である
N-(ジアミノメチレン)-5-フルオロ-9-(テトラヒ ロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カル キサミド、N-(ジアミノメチレン)-4-メチル-9- (テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾ ル-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン)- 9-(4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-9H-カルバゾ ール-2-カルボキサミド、N-(ジアミノメチレン )-9-(2-チエニルメチル)-9H-カルバゾール-2-カル ボキサミド、N-(ジアミノメチレン)-5-フルオ -4-メチル-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9 H-カルバゾール-2-カルボキサミド、N-(ジアミ メチレン)-4,5-ジフルオロ-9-(テトラヒドロ-2H -ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサ ミド、及び、N-(ジアミノメチレン)-9-(4-フル ロシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-9H-カ ルバゾール-2-カルボキサミド。

 本発明医薬の有効成分である一般式(I)の化 物における、別の態様としては、式(I'')に される一般式で表され、その記号が以下の 味を有する化合物である。
R 4b :イソプロピル、テトラヒドロピラニル、ピ リジル、シクロヘキシル、シクロヘキセニ 、フェニル、チエニル、ピリジル、チエニ メチルまたはイソオキサゾリルメチル、こ に、ピペリジル基はシアノメチルまたはフ ニルで置換されていてもよく、それ以外の は、F、-O-メチル及びメチルからなる群より 択される1乃至2の基で置換されていてもよ 、
R 5b :H、低級アルキル、-OH、-S-低級アルキル、ハ ゲン、低級アルキレン-OH、低級アルキレン- O-低級アルキル、及び、
R 8b :低級アルキル、ハロゲンまたは低級アルキ ン-OH。

 また、本発明の有効成分である一般式(I)に される化合物(以下、化合物(I)と略す)には 置換基の種類によっては他の互変異性体や 何異性体が存在する場合もある。本明細書 、それら異性体の一形態のみで記載するこ があるが、本発明にはこれらの異性体も包 し、異性体の分離したもの、あるいは混合 も包含する。例えば、化合物(I)のアシルグ ニジン部位においては、以下のスキームに す二重結合の位置が異なる2つの異性体が存 しうる。さらに、各々の異性体おいて、二 結合の幾何配置に基づくE-異性体及びZ-異性 体が存在しうる。本発明は、これらの全ての 異性体を包含する。
(式中の構造は、化合物(I)のアシルグアニジ 部を部分的に表記したものである。波線で 載した結合はE/Zいずれの配置も取りうるこ を示す。)
 更に、本発明には、化合物(I)の製薬学的に 容されるプロドラッグも含まれる。製薬学 に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分 によりまたは生理学的条件下でアミノ基、O H、CO 2 H等に変換できる基を有する化合物である。 ロドラッグを形成する基としては、例えば Prog. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発 」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に 載の基が挙げられる。

 また、化合物(I)は、置換基の種類によって 、酸または塩基との塩を形成する場合もあ 、かかる塩が製薬学的に許容され得る塩で る限りにおいて本発明に包含される。具体 には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、 酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢 、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コ ク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リン 酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸 エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸 アスパラギン酸、またはグルタミン酸等の 機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム マグネシウム、カルシウム、アルミニウム の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン エタノールアミン、リシン、オルニチン等 有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げ れる。
 さらに、化合物(I)及びその塩には、各種の 和物や溶媒和物及び結晶多形の物質が包含 れる。また、化合物(I)及びその塩には、種 の放射性または非放射性同位体でラベルさ た化合物も包含される。

(製造法)
 化合物(I)は、その基本骨格あるいは置換基 種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の 成法を適用して製造することができる。そ 際、官能基の種類によっては、当該官能基 原料乃至中間体の段階で適当な保護基(容易 に当該官能基に転化可能な基)に置き換えて くことが製造技術上効果的な場合がある。 のような官能基としては例えばアミノ基、 酸基、カルボキシル基等であり、それらの 護基としては例えばグリーン(Greene)及びウッ ツ(Wuts)著、「Protective Groups in Organic Synthesis (第3版、1999年)」に記載の保護基等を挙げる とができ、これらを反応条件に応じて適宜 択して用いればよい。このような方法では 当該保護基を導入して反応を行った後、必 に応じて保護基を除去することにより、所 の化合物を得ることができる。
 また、化合物(I)のプロドラッグは上記保護 と同様、原料乃至中間体の段階で特定の基 導入、あるいは得られた化合物(I)を用い反 を行うことで製造できる。反応は通常のエ テル化、アミド化、脱水等、当業者により 知の方法を適用することにより行うことが きる。
 以下、本発明化合物の代表的な製造法を説 する。各製法は、当該説明に付した参考文 を参照して行うこともできる。なお、本発 の製造法は以下に示した例には限定されな 。
(第1製法)
(Lv 1 は-OHまたは脱離基を示す。)
 本発明化合物(I)は、カルボン酸またはその 応性誘導体(1)とグアニジン(2)またはその塩 をアミド化させることにより製造すること できる。
 反応はカルボン酸またはその反応性誘導体( 1)とグアニジン(2)とを等量若しくはグアニジ を過剰量用いて行うことができる。ベンゼ 、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭 水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタ ン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化 水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフ ラン(THF)、ジオキサン若しくはジメトキシエ ン(DME)等のエーテル類、N,N-ジメチルホルム ミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢 エチル(EtOAc)、アセトニトリルまたは水等の 応に不活性な溶媒中、あるいはそれらの混 液中で、冷却下~加熱下、好ましくは、-20℃ ~60℃で行うことができる。
 原料化合物(1)として、Lv 1 がOHである遊離カルボン酸を用いる場合には 縮合剤の存在下で反応を行うことが好まし 。この場合の縮合剤としては、N,N'-ジシク ヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[3-(ジメチル アミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド(WSC )、1,1'-カルボニルジイミダゾール(CDI)、2-(1H- ンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチ ルウロニウム ヘキサフルオロホスファート( HBTU)、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、オキシ 化リン等が挙げられる。場合によっては、 に添加剤(例えば、N-ヒドロキシスクシンイ ド(HONSu)または1-ヒドロキシベンゾトリアゾ ル(HOBt)等)を用いることが好ましい。通常、 縮合剤はカルボン酸に対して等量若しくは過 剰量用いる。
 原料化合物(1)において、Lv 1 が脱離基であるカルボン酸の反応性誘導体と しては、酸ハロゲン化物(酸クロリドまたは ブロミド等)、酸無水物(クロロ炭酸フェニル 、p-トルエンスルホン酸、またはイソ吉草酸 との混合酸無水物あるいは対称酸無水物)、 活性エステル(ニトロ基もしくはフッ素原子 の電子吸引基で置換していてもよいフェノ ル、HOBt、HONSu等を用いて調製できるエステ )、低級アルキルエステル等が挙げられ、い れもカルボン酸より当業者に自明な反応を いて製造することができる。反応性誘導体 種類によっては、塩基(トリエチルアミン、 ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N-メチル モルホリン、ピリジン若しくは4-(N,N-ジメチ アミノ)ピリジン等の有機塩基類、または炭 水素ナトリウム等の無機塩基等)の存在下に 反応させるのが、反応を円滑に進行させる上 で有利な場合がある。ピリジンは溶媒を兼ね ることもできる。尚、反応性誘導体として低 級アルキルエステルを用いる場合には、反応 を室温下~加熱還流下で行うことが好ましい

(第2製法)
(Lv 2 は、低級アルキルで置換されていてもよいピ ラゾール-1-イル、または-S-低級アルキル、-O- フェニル、-Brまたは-Cl等の脱離基を示す。)
 本発明化合物(I)は、脱離基を有するアミジ 化合物(3)とアミン化合物(4)とを反応させる とにより製造することができる。
 この反応では、化合物(3)と化合物(4)とを等 若しくは一方を過剰量用い、これらの混合 を、反応に不活性な溶媒中、または無溶媒 、冷却下から加熱還流下、好ましくは0℃か ら80℃において、通常0.1時間~5日間撹拌する ここで用いられる溶媒の例としては、特に 定はされないが、芳香族炭化水素類、エー ル類、ハロゲン化炭化水素類、DMF、DMSO、酢 エチル、アセトニトリル及びこれらの混合 が挙げられる。トリエチルアミン、N,N-ジイ ソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモ ホリン等の有機塩基、または炭酸カリウム 炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等 無機塩基の存在下で反応を行うのが、反応 円滑に進行させる上で有利な場合がある。

(第3製法 その他の製法)
 種々の官能基、例えばアミノ基、カルボキ ル基、アミド基、ヒドロキシル基、アルキ アミノ基等を有する本発明化合物は、対応 るニトロ基、エステル基、カルボキシル基 アミノ基等を有する本発明化合物を原料と て、当業者にとって自明である方法、また これらの変法を用いることにより、容易に 成することができる。例えば、以下の反応 より製造できる。
3-a:還元(1)
 ニトロ基を有する化合物を還元することに り、アミノ基を有する化合物を製造するこ ができる。例えば、パラジウム-炭素、ラネ ーニッケル等を触媒とした水素添加反応を用 いて反応を行うことができる。
3-b:還元(2)
 カルボニル基を有する化合物を還元するこ により、ヒドロキシル基を有する化合物を 造することができる。例えば、水素化リチ ムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム を還元剤として用いて反応を行うことがで る。
3-c:加水分解
 エステル基を有する化合物を加水分解する とにより、カルボキシル基または水酸基を する化合物を製造することができる。例え 、前記の「Protective Groups in Organic Synthesis に記載の脱保護反応に準じて行うことがで る。
3-d:アミド化
 カルボキシル基あるいはアミノ基を有する 合物をアミド化することにより、アミド基 有する化合物を製造することができる。前 の第1製法に準じて行うことができる。
3-e:アルキル化
 アミノ基を有する化合物をアルキル化する とにより、アルキルアミノ基を有する化合 を製造することができる。アルキル化反応 しては、種々のアルキル化剤(例えば、アル キルハライドやアルキルスルホン酸エステル 等)を用い常法により反応させることができ 。また、アミノ基を有する化合物をカルボ ル化合物と還元的アルキル化することによ 、アルキルアミノ基を有する化合物を製造 ることができる。反応は、例えば日本化学 編「実験化学講座(20巻)有機合成2」、第4版 丸善、1992年、p.300等に記載の方法が適用で る。
3-f:フッ素化
 カルボニル基あるいは水酸基を有する化合 をフッ素化試薬で処理することにより、フ オロ基を有する化合物を製造することがで る。フッ素化試薬としては、例えば、ジエ ルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)が挙げら る。

(原料化合物の製造)
 上記製造法における原料化合物(1)~(4)は、例 えば下記の方法、公知の方法あるいはそれら の変法用いて製造することができる。
(原料合成1)
(式中、Q及びUはそれぞれ脱離基を示し、いず れか一方が-Br、-Cl、-Iまたは-O-SO 2 -CF 3 等であり、他方が-B(OH) 2 またはB(O-低級アルキル) 2 等を示す。R 10 は低級アルキルまたはベンジル等のカルボキ シル基の保護基を示す。)
 原料化合物(1)中、R 4 がHである化合物は、上記反応経路により直 、またはこれにより製造される化合物(1a)の- OR 10 を脱離基に変換することにより、製造する事 ができる。
 ここで、カップリング反応は、「シンセテ ック・コミュニケーションズ(Synthetic Communi cations)」、(英国)、1981年、第11巻、p.513-519、 シンレット(Synlett)」、(独国)、2000年、第6巻 p.829-831、または「ケミストリー・レターズ( Chemistry Letters)」、1989年、p.1405-1408に記載の 法により行うことができる。環化反応は、 リエチルホスファイトまたはトリフェニル スフィン等を用いて、ベンゼン若しくはト エン等の溶媒中、または無溶媒で、室温~加 下で行うことができる。

(原料合成2)
(Lv 3 はハロゲン、-O-メタンスルホニル若しくは-O- p-トルエンスルホニル等の脱離基、または-OH 示す。R 11 は前記R 4 中、H以外の基を表す。)
 原料化合物(1)中、R 4 がH以外の基R 11 である化合物は、化合物(1a)の化合物(8)によ アルキル化、アシル化、スルホニル化等の 応により、またはこれにより製造される化 物(1b)の-OR 10 を脱離基に変換することにより、製造する事 ができる。
 アルキル化は、Lv 3 が脱離基である化合物(8)を用いる場合、水素 化ナトリウム、水素化カリウム若しくはカリ ウム tert-ブトキシド等の塩基の存在下、反 を行うことができる。特に、R 11 がアリールまたはヘテロアリールであって、 Lv 3 が脱離基である化合物(8)を用いる場合、カッ プリングの常法を用いることができ、例えば 、「ザ・ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン ・ケミカル・ソシエティ(the Journal of the Ame rican Chemical Society)」、(アメリカ)、2001年、 123巻、p.7727記載の方法に従えばよい。また Lv 3 が-OHである化合物(8)を用いる場合、光延反応 の常法を用いて実施することができ、例えば 「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters )」、(オランダ)、2002年、第43巻、p.2187記載の 方法に従えばよい。
 アシル化、スルホニル化は、化合物(8)とし 、Lv 3 の脱離基がハロゲンである酸ハロゲン化物等 を用いて、水素化カリウム若しくはカリウム tert-ブトキシド等の塩基の存在下、反応を行 ことができる。

 以上の製造法における各製造物については -CO 2 R 10 基の脱保護により対応するカルボキシル体へ と導くことができる。例えば、前記の「Protec tive Groups in Organic Synthesis」に記載の脱保護 反応を用いることができる。
(原料合成3)
(R 12 は低級アルキルを表す。)
 原料化合物(3)中、Lv 2 が-S-低級アルキルである化合物(3a)は、上記 応経路により製造する事ができる。
 ここで、アミド化は第1製法と同様にアンモ ニアあるいはその等価体と縮合することによ り実施することができる。アミド(10)とチオ ソシアナート(11)とによりアシルチオウレア( 12)を製造する反応は、DMF等の反応に関与しな い溶媒中、室温にて水素化ナトリウムなどの 塩基で処理することにより行うことができる 。
S-アルキル化は常法を用いることができ、例 ば、「ジャーナル・オブ・メディシナル・ ミストリー(Journal of Medicinal Chemistry)」、( メリカ)、2005年、第48巻、p.1540記載の方法に 従えばよい。

 このようにして製造された化合物(I)は、遊 化合物、その製薬学的に許容される塩、水 物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質と て単離され、精製される。化合物(I)の製薬 的に許容される塩は、当業者の技術常識で る造塩により製造することもできる。
 単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分 クロマトグラフィー等通常の化学操作を適 して行われる。
 各種の異性体は、適当な原料化合物を選択 ることにより、あるいは異性体間の物理化 的性質の差を利用して分離することができ 。例えば、光学異性体は一般的な光学分割 (例えば、光学活性な塩基または酸とのジア ステレオマー塩に導く分別結晶化やキラルカ ラム等を用いたクロマトグラフィー等)によ 、立体化学的に純粋な異性体に導くことが きる。また、適当な光学活性な原料化合物 り製造することもできる。

 以下、本発明の有効成分である式(I)に包含 れる化合物の製造法を実施例として記載す 。また原料として用いた化合物の製法を製 例として記載する。なお、化合物(I)の製造 は、以下に示される具体的実施例の製法の に限定されるものではなく、これらの製造 の組み合わせ、もしくは、公知の製法また それらの変法によっても製造しうる。
 以下の製造例の記載及び後記表中、質量分 の測定値には以下の略号を用いる。
ESI+: ESI-MS[M+H] + ; ESI-:ESI-MS[M-H] - ; FAB+:FAB-MS[M+H] + またはFAB-MS[M] + ; FAB-:FAB-MS[M-H] - ; APCI+: APCI-MS[M+H] + ; APCI-:APCI-MS[M-H] - ; EI+:EI[M] +

製造例1
 メチル 3-ニトロ-4-{[(トリフルオロメチル) ルホニル]オキシ}ベンゾアートとフェニルボ ロン酸、リン酸カリウム、テトラキストリフ ェニルホスフィンパラジウムとを、DMF中で加 熱下反応させることにより、メチル 2-ニト ビフェニル-4-カルボキシラートを得た。FAB+: 258。
製造例2
 メチル 2-ニトロビフェニル-4-カルボキシラ ートとトリエチルホスファイトを、加熱下反 応させることにより、メチル 9H-カルバゾー -2-カルボキシラートを得た。FAB+:226。
製造例3
 メチル 9H-カルバゾール-2-カルボキシラー と、2-プロパノール、(トリブチルホスホラ リデン)アセトニトリルとを、トルエン中で 熱下反応させることにより、メチル 9-イソ プロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキシラー を得た。ESI+:268。
製造例4
 メチル 9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2- ルボキシラートと、1M水酸化ナトリウム水溶 液とを、エタノール中で加熱下反応させるこ とにより、9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2- カルボン酸を得た。ESI-:252。
製造例5
 メチル 9-イソプロピル-5-メチル-9H-カルバ ール-2-カルボキシラートとN-ブロモスクシン イミド、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルと 四塩化炭素中で、加熱下反応させることに り、メチル 5-ブロモメチル-9-イソプロピル -9H-カルバゾール-2-カルボキシラートを得た FAB+:360、362。

製造例6
 メチル 5-ブロモメチル-9-イソプロピル-9H- ルバゾール-2-カルボキシラートとジメチル ミン(2M、メタノール溶液)、炭酸カリウムと THF中、室温で反応させることにより、メチ  5-ジメチルアミノメチル-9-イソプロピル-9H -カルバゾール-2-カルボキシラートを得た。FA B+:325。
製造例7
 メチル 5-ブロモメチル-9-イソプロピル-9H- ルバゾール-2-カルボキシラートと酢酸カリ ムとをDMF中、室温で反応させることにより メチル 5-アセトキシメチル-9-イソプロピル- 9H-カルバゾール-2-カルボキシラートを得た。 EI+:339。
製造例8
 メチル 5-アセトキシメチル-9-イソプロピル -9H-カルバゾール-2-カルボキシラートと炭酸 リウムとをメタノール-THF中、室温で反応さ ることにより、メチル 5-ヒドロキシメチル -9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキ ラートを得た。FAB+:297。
製造例9
 メチル 5-ヒドロキシメチル-9-イソプロピル -9H-カルバゾール-2-カルボキシラートとヨウ メチル、酸化銀とをアセトニトリル中、加 下反応させることにより、メチル 9-イソプ ピル-5-メトキシメチル-9H-カルバゾール-2-カ ルボキシラートを得た。FAB+:311。
製造例10
 ベンジル 9H-カルバゾール-2-カルボキシラ トと、2-メチルプロピオニルクロリドとを、 水素化ナトリウム存在下、DMF中で室温で反応 させることにより、ベンジル 9-イソブチリ -9H-カルバゾール-2-カルボキシラートを得た ESI+:372。

製造例11
 ベンジル 9-イソブチリル-9H-カルバゾール-2 -カルボキシラートとパラジウム炭素とを水 ガス雰囲気下、エタノール-DMF中で、室温で 応させることにより、9-イソブチリル-9H-カ バゾール-2-カルボン酸を得た。ESI+:282。
製造例12
 メチル 9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2- ルボキシラートと、濃硝酸とを、酢酸中で 温で反応させることにより、メチル 9-イソ ロピル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-2-カルボキ シラートを得た。FAB+:313。
製造例13
 メチル 5-ヒドロキシメチル-9-イソプロピル -9H-カルバゾール-2-カルボキシラートと、二 化マンガンとを、クロロホルム中で室温で 応させることにより、メチル 5-ホルミル-9- ソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボキシラ ートを得た。FAB+:296。
製造例14
 メチル 9H-カルバゾール-2-カルボキシラー と、ヨウ化メチル、水酸化カリウムを、DMF で室温で反応させることにより、9-メチル-9H -カルバゾール-2-カルボン酸を得た。FAB+:226。
製造例15
 メチル 9H-カルバゾール-2-カルボキシラー と、ヨウ化エチル、水酸化カリウムを、DMF で加熱下反応させることにより、エチル 9- チル-9H-カルバゾール-2-カルボキシラートを 得た。ESI+:268。

製造例16a、製造例16b
 シクロヘキサノンと3-ヒドラジノ安息香酸 を、酢酸中で加熱下反応させることにより 2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-7-カル ン酸及び2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾー -5-カルボン酸の混合物を得た。この混合物 シリカゲルカラムクロマトグラフィーで分 精製して2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾー -5-カルボン酸[製造例16a:FAB+:216]、2,3,4,9-テト ヒドロ-1H-カルバゾール-7-カルボン酸 [製造 例16b: FAB+:216]を得た。
製造例17a、製造例17b
 2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール-7-カル ン酸と2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-カルバゾール- 5-カルボン酸の混合物のメタノール溶液に塩 チオニルを-10℃で加え、その後加熱下反応 せた後、カラムクロマトグラフィーで分離 製することにより、メチル 2,3,4,9-テトラヒ ドロ-1H-カルバゾール-7-カルボキシラート[製 例17a:ESI+:230]とメチル 2,3,4,9-テトラヒドロ-1 H-カルバゾール-5-カルボキシラート[製造例17b :ESI+:230]を得た。
製造例18
 エチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシラ ートと3-ヒドラジノ安息香酸とを、酢酸中で 熱下反応させることにより、3-{2-[1-(エトキ カルボニル)ピペリジン-4-イリデン]ヒドラ ノ}安息香酸を得た。ESI+:306。
製造例19
 3-{2-[1-(エトキシカルボニル)ピペリジン-4-イ リデン]ヒドラジノ}安息香酸と濃塩酸とを、 タノール中で加熱下反応させることにより ジエチル 1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3- b]インドール-2,7-ジカルボキシラートとジエ ル 1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b]イン ール-2,9-ジカルボキシラートの混合物を得た 。ESI+:317。
製造例20
 ジエチル 1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3- b]インドール-2,7-ジカルボキシラートとジエ ル 1,3,4,5-テトラヒドロ-2H-ピリド[4,3-b]イン ール-2,9-ジカルボキシラートの混合物と水酸 化カリウムとを、メタノール-水中で加熱下 応させることにより、2-(エトキシカルボニ )-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インド ル-7-カルボン酸と2-(エトキシカルボニル)-2,3 ,4,5-テトラヒドロ-1H-ピリド[4,3-b]インドール-9 -カルボン酸の混合物を得た。ESI-:287。

製造例21
 3-フルオロ-4-ヒドロキシ安息香酸および発 硝酸を濃硫酸中、-5℃~室温で反応させるこ により、3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-ニトロ安 息香酸を得た。
製造例22
 3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-ニトロ安息香酸 よび濃硫酸をエタノール中で加熱下反応さ ることにより、3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-ニ トロ安息香酸エチルを得た。
製造例23
 3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-ニトロ安息香酸 チル、ピリジンおよびトリフルオロメタン ルホン酸無水物をジクロロメタン中で0℃~室 温下反応させることにより、3-フルオロ-5-ニ ロ-4-{[(トリフルオロメチル)スルホニル]オ シ}安息香酸エチルを得た。
製造例24
 9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバ ール-2-カルボン酸、塩化チオニルおよびDMF 反応させた後に、さらにアンモニア水溶液 室温で反応させることにより、9-(テトラヒ ロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カル キサミドを得た。
製造例25
 9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバ ール-2-カルボキサミドおよびNaHのDMF混合液 でメチルチオイソシアナートと室温で反応 せることにより、N-[(メチルアミノ)カルボ チオイル]-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)- 9H-カルバゾール-2-カルボキサミドを得た。

製造例26
 N-[(メチルアミノ)カルボノチオイル]-9-(テト ラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2- カルボキサミドおよびヨウ化メチルをTHF中で 加熱下反応させることにより、N-メチル-N'-{[9 -(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾ ル-2-イル]カルボニル}イミドチオカルバマ トを得た。
製造例27
 メチル 9H-カルバゾール-2-カルボキシラー 、リン酸カリウム、ヨウ化銅、(1R,2R)-1,2-シ ロヘキサンジアミン、ヨードベンゼンをジ キサン中で加熱下反応することにより、メ ル 9-フェニル-9H-カルバゾール-2-カルボキシ ラートを得た。
製造例28
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩、ホルムアルデ ド、トリアセトキシ水素化ほう素ナトリウ および酢酸をジクロロメタン中で室温下反 させることにより、メチル 9-(1-メチルピペ ジン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシ ートを得た。
製造例29
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩、塩化アセチル よびDIPEAをジクロロメタン中で室温下反応さ せることにより、メチル 9-(1-アセチルピペ ジン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシラ ートを得た。
製造例30
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩、塩化メタンス ホニルおよびDIPEAをジクロロメタン中で室温 下反応させることにより、メチル 9-[1-(メタ スルホニル)ピペリジン-4-イル]-9H-カルバゾ ル-2-カルボキシラートを得た。

製造例31
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩およびDIPEAのジク ロロメタン混合液中でクロロ蟻酸エチルと室 温で反応させることにより、メチル 9-[1-(メ キシカルボニル)ピペリジン-4-イル]-9H-カル ゾール-2-カルボキシラートを得た。
製造例32
 メチル 9-(1,4-ジオキサスピロ[4,5]デク-8-イ )-9H-カルバゾール-2-カルボキシラート、1M塩 、THFおよびエタノールの混合液を室温で反 させることにより、メチル 9-(4-オキソシク ロヘキシル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシラ トを得た。
製造例33
 メチル 9-(4-オキソシクロヘキシル)-9H-カル ゾール-2-カルボキシラートおよび水素化ほ 素ナトリウムをメタノールおよびTHF中、0℃ で反応させることにより、メチル 9-(trans-4- ドロキシシクロヘキシル)-9H-カルバゾール-2- カルボキシラートとメチル 9-(cis-4-ヒドロキ シクロヘキシル)-9H-カルバゾール-2-カルボ シラートを得た。
製造例34
 メチル 9-(4-オキソシクロヘキシル)-9H-カル ゾール-2-カルボキシラートおよびジエチル ミノ硫黄トリフルオリドをジクロロメタン で室温下反応させることにより、メチル 9- (4,4-ジフルオロシクロヘキシル)-9H-カルバゾ ル-2-カルボキシラートを得た。
製造例35
 メチル 9-(cis-4-ヒドロキシシクロヘキシル)- 9H-カルバゾール-2-カルボキシラート、ヨウ化 メチルおよびNaHをTHF中、0℃で反応させるこ により、メチル 9-(cis-4-メトキシシクロヘキ シル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシラートを た。

製造例36
 メチル 9-[2-メトキシ-1-(メトキシメチル)エ ル]-9H-カルバゾール-2-カルボキシラートお び三臭化ほう素をジクロロメタン中で-78℃~ 温下反応させることにより、9-[2-ヒドロキ -1-(ヒドロキシメチル)エチル]-9H-カルバゾー -2-カルボン酸を得た。
製造例37
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩、臭化ベンジル よび炭酸カリウムをDMF中で加熱下反応させ ことにより、メチル 9-(1-ベンジルピペリジ -4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシラー を得た。
製造例38
 メチル 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキシラート塩酸塩、トリス(ジベン リデンアセトン)ジパラジウム(0)、(R)-(+)-2,2' -ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル 、ブロモベンゼンをトルエン中で加熱下反応 させることにより、メチル 9-(1-フェニルピ リジン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキシ ラートを得た。
製造例39
 メチル 5-(ベンジルオキシ)-9-イソプロピル- 9H-カルバゾール-2-カルボキシラートおよび10% パラジウム-炭素をメタノール中で室温、水 雰囲気下反応させることにより、メチル 5- ドロキシ-9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2- カルボキシラートを得た。
製造例40
 メチル 9-(テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イ )-9H-カルバゾール-2-カルボキシラートおよ MCPBAをジクロロメタン中で室温下反応させる ことにより、メチル 9-(1,1-ジオキシドテトラ ヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)-9H-カルバゾール -2-カルボキシラートを得た。

製造例41
 メチル 2'-ホルミル-2-ニトロビフェニル-4- ルボキシラートおよびヨウ素をメタノール で加熱下反応させることによりメチル 2'-( メトキシメチル)-2-ニトロビフェニル-4-カル キシラートを得た。
製造例42
 メチル 5-(ヒドロキシメチル)-9H-カルバゾー ル-2-カルボキシラートと酢酸を、塩化メチレ ン中、WSC塩酸塩及び触媒量のN,N-ジメチルピ ジン-4-アミンを用いて縮合させることによ 、メチル 5-(アセトキシメチル)-9H-カルバゾ ル-2-カルボキシラートを得た。
 上記製造例1から42の方法と同様にして後記 1~24に示す製造例化合物をそれぞれ対応する 原料を使用して製造した。また、製造例21~42 化合物の質量分析値を表25に、製造例43~154 化合物の質量分析値を表1~6に、製造例155~405 化合物の質量分析値を表25~27に、各々示す

実施例1
 9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボン 140 mgのDMF 4 ml溶液に、CDI 134 mgを加え、50 ℃にて1時間攪拌した。室温まで放冷後、グ ニジン 炭酸塩238 mgを加え、室温で終夜攪 した。溶媒を留去後、水を加え、析出した 体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ (クロマトレックス(登録商標)、メタノール/ ロロホルム)で精製することにより、N-(ジア ミノメチレン)- 9-イソプロピル-9H-カルバゾ ル-2-カルボキサミド157 mgを淡黄色固体とし 得た。

実施例2
 グアニジン 塩酸塩573 mgのDMF 6.5 ml溶液に 素化ナトリウム(60%)192 mgを加え、室温で1時 間攪拌した。この溶液にメチル 9H-カルバゾ ル-2-カルボキシラート270 mgのDMF 6.5 ml溶液 を加え、70℃にて2.5時間攪拌した。室温まで 冷し、溶媒を留去後、水を加え、析出した 体をクロマトレックス(メタノール/クロロ ルム)で精製することにより、N-(ジアミノメ レン)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド236  mgを淡黄色固体として得た。

実施例3
 N-(ジアミノメチレン)-9-[1-(ジフェニルメチ )アゼチジン-3-イル]-9H-カルバゾール-2-カル キサミド300 mgのエタノール溶液9 mlに、1M  酸1.26 ml、20%水酸化パラジウム30 mgを加え 水素ガス雰囲気下室温で4日間攪拌した。1M  水酸化ナトリウム水溶液を加えセライト濾過 後、溶媒を留去し、クロマトレックス(メタ ール/クロロホルム)で精製することにより、 9-アゼチジン-3-イル-N-(ジアミノメチレン)-9H- ルバゾール-2-カルボキサミド89 mgを得た。

実施例4
 N-(ジアミノメチレン)-9-[2-(ベンジルオキシ) チル]-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド393  mgのエタノール9 ml-THF3 ml溶液に、1M 塩酸1.0 ml、10%パラジウム炭素40 mgを加え、水素ガス 雰囲気下室温で3日間攪拌した。1M 水酸化ナ リウム水溶液を加えセライト濾過後、有機 媒を留去し、水層をクロロホルムで抽出し 飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ で乾燥した。溶媒を留去し、N-(ジアミノメ レン)-9-(2-ヒドロキシエチル)-9H-カルバゾー -2-カルボキサミド140 mgを得た。

実施例5
 N-(ジアミノメチレン)-9-イソプロピル-6-ニト ロ-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド106 mgの タノール5 ml-THF3 ml溶液に、10%パラジウム- 素20 mgを加え、水素ガス雰囲気下、室温で4 時間攪拌した。セライト濾過後、溶媒を留去 することにより、6-アミノ-N-(ジアミノメチレ ン)-9-イソプロピル-9H-カルバゾール-2-カルボ サミド128 mgを得た。

実施例6
 実施例1と同様にして合成したtert-ブチル 4- (2-{[(ジアミノメチレン)アミノ]カルボニル}-9H -カルバゾール-9-イル)ピペリジン-1-カルボキ ラート201 mgのエタノール 4.4 ml溶液に、4M 塩化水素/酢酸エチル0.6 mlを加え、室温にて 終夜攪拌した。析出した固体を濾取し、エタ ノールで洗浄することにより、N-(ジアミノメ チレン)- 9-ピペリジン-4-イル-9H-カルバゾー -2-カルボキサミド 2塩酸塩125 mgを淡黄色固 として得た。

実施例7
 グアニジン塩酸塩(882mg)、ナトリウムメトキ シド(499mg)のメタノール溶液(4mL)を室温で1時 撹拌後、反応液を減圧下濃縮した。得られ 残渣に、別途調製した2,3,4,5-テトラヒドロ-1H -ピリド[4,3-b]インドール(265mg)、CDI(274mg)のNMP(N -メチルピロリジン-2-オン)(8mL)混合液を加え 100℃で30分間加熱撹拌した。反応液を室温に 戻し、水で希釈後、EtOAcで抽出した。有機層 減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(「クロマトレック ス(登録商標)、NH2」、クロロホルム/メタノー ル=100/0-90/10)で精製後、シュウ酸塩とするこ により、N-(ジアミノメチレン)-1,3,4,5-テトラ ドロ-2H-ピリド[4,3,-b]インドール-2-カルボキ ミド シュウ酸塩(187mg)を得た。

実施例8
 9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバ ール-2-カルボン酸(300mg)、WSC塩酸塩(292mg)お びHOBt(96mg)のDMF(10mL)混合液を室温で5分間撹拌 後、3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボキシ ミダミド硝酸塩(245mg)およびDIPEA(0.27mL)を加 、室温でさらに19時間撹拌した。反応液を飽 和NH 4 Cl水溶液で希釈後、EtOAcで抽出した。有機層 減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(シリカゲル60N、球 、中性、n-ヘキサン/EtOAc=5/2)で精製すること により、N-[(1Z)-アミノ(3,5-ジメチル-1H-ピラゾ ル-1-イル)メチレン]-9-(テトラヒドロ-2H-ピラ ン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド( 450mg)を得た。

実施例9
 N-[(3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-イル)(イミ )メチル]-9-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H -カルバゾール-2-カルボキサミド(250mg)および ペラジン(518mg)のDMF(5mL)混合液を80℃で6時間 熱撹拌した。反応液を室温に戻し、水で希 後、EtOAcで抽出した。有機層を減圧下濃縮 、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ グラフィー(「クロマトレックス(登録商標) NH2」、EtOAc)で精製後、造塩することにより N-[(1Z)-アミノ(ピペラジン-1-イル)メチレン]-9- (テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾ ル-2-カルボキサミド二塩酸塩(90mg)を得た。

実施例10
 メチル N-メチル-N'-{[9-(テトラヒドロ-2H-ピ ン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-イル]カルボニ }イミドチオカルバマート(172mg)、メチルアミ ン(335mg)およびDIPEA(0.78mL)のDMF(30mL)混合液を85 で16時間加熱撹拌した。反応液を室温に戻し 、飽和NH 4 Cl水溶液で希釈後、EtOAcで抽出した。有機層 減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲル ラムクロマトグラフィー(シリカゲル60N、球 、中性、EtOAc)で精製後、造塩することによ 、N-[ビス(メチルアミノ)メチレン]-9-(テトラ ヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-9H-カルバゾール-2-カ ルボキサミド塩酸塩(95mg)を得た。

実施例11
 エチル 4-フルオロ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラ -4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボン酸(260mg) 、1M 水酸化ナトリウム水溶液(3mL)とをメタ ール(10mL)およびTHF(10mL)溶液中、60℃で3時間 熱撹拌した。反応液を減圧下濃縮後、得ら た残渣を水で希釈した。これを1M 塩酸(3mL) 中和後、析出物を濾取し、減圧下乾燥した この析出物とCDI(165mg)をDMF(30mL)中、室温で15 間撹拌後、炭酸グアニジン(735mg)を加え、室 温でさらに20時間撹拌した。反応液を水で希 後、EtOAcで抽出し、有機層を減圧下濃縮し 。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ グラフィー(シリカゲル60N、球状、中性、ク ロホルム/メタノール/29%アンモニア水溶液) 精製後、造塩することにより、N-(ジアミノ チレン)-4-フルオロ-9-(テトラヒドロ-2H-ピラ -4-イル)-9H-カルバゾール-2-カルボキサミド 酸塩(137mg)を得た。

 上記実施例1から11の方法と同様にして後 表28~43に示す実施例化合物をそれぞれ対応 る原料(ただし、実施例65は水酸基がアセチ 基で保護された原料を用いた。)を使用して 造した。実施例1~6及び12~71の化合物の物性 を表28~33に、実施例7~11及び72~227の化合物の 性値を表44~51に、各々示す。

 後記表中以下の略号を用いる。
REx:製造例番号、Ex:実施例番号、No:化合物番 、Str:構造式、Dat:物理学的データ(NMR:DMSO-d 6 中の 1 HNMRにおける特徴的なピークのδ(ppm))、ND:未測 定、Sal:塩(空欄または無記載はフリー体であ ことを示し、酸成分の前の数字はモル比を す。例えば2HClが記載されている場合、その 化合物が二塩酸塩であることを示す。)、Oxal: シュウ酸、Me:メチル、Et:エチル、nPr:ノルマ プロピル、cPr:シクロプロピル、iPr:イソプロ ピル、nBu:ノルマルブチル、tBu:tert-ブチル、cB u:シクロブチル、nPen:ノルマルペンチル、cPen: シクロペンチル、cHex:シクロヘキシル、Ph:フ ニル、Bn:ベンジル、Ac:アセチル、Ms:メタン ルホニル、Boc:tert-ブトキシカルボニル、null :無置換。置換基の前の数字は置換位置を示 、例えば5-Fは5-フルオロを示す。RSyn及びSyn: 造方法(数字は、当該化合物が、その番号を 製造例番号または実施例番号として有する化 合物と同様の方法により、対応する原料を用 いて製造したことを示す。二個以上の数字を 記載した場合、当該化合物は、当該番号の製 造例または実施例と同様の方法を逐次実施し て製造したものである。)。
 後記表中の製造法に関するカラム「Syn」に いて、造塩工程、すなわち塩形態が異なる 同種の反応により製造した化合物について 同一の実施例番号を付した。

(試験例)
 本発明医薬の有効成分である化合物(I)の薬 活性は、以下の試験により確認した。
試験例1 ヒト5-HT 5A 受容体強制発現HEK293細胞の取得
 ヒト5-HT 5A 受容体(Genbank AF498985)のORFをヒト海馬cDNAライ ラリーよりクローニングしたのちpCR2.1ベク ー(Invitrogen)に挿入し、そのプラスミドを持 た大腸菌を大量培養した。次に、ヒト5-HT 5A 受容体全長cDNA配列解析し、発現ベクターで るpCDNA3.1ベクター(Invitrogen)に組み替え大量培 養した。ヒト胎児腎由来株化細胞HEK293細胞(AT CC)を播種し、上記で得られた発現プラスミド (1μg)をLIPOFECTAMINE 2000(Invitrogen; 2μl)とともに え、HEK293細胞に遺伝子を導入した後、薬剤 性マーカーであるGeneticin(G418 sulfate 500μg/ml ; 関東化学)で発現細胞の選別をした。この にして作製された当該遺伝子を発現する組 え細胞をD-MEM, 10% FCS, 1% Pc./Sm., 500μg/ml G41 8 培地により3日間培養を行った。以上の実 操作は、公知の方法(Sambrook, J. et al, Molecul ar Cloning-A Laboratory Manual", Cold Spring Harabor  laboratory, NY, 1989)等の遺伝子操作実験マニュ ルや試薬等に添付の指示書に従った。

試験例2 ヒト5-HT 5A 受容体結合阻害試験
(1)ヒト5-HT 5A 強制発現HEK293細胞からの膜調整
 ヒト5-HT 5A 受容体強制発現HEK293細胞をF500プレートで培 し、スクレイパーでかきとった。遠心後、 殿物を集め、インキュベーションバッファ (50mM トリス (HCl) PH7.4、10mM MgSO 4 、0.5mM EDTA)を加えた。ホモジナイズ後、さら に遠心し、沈殿物にインキュベーションバッ ファーを加えよく懸濁させた。この操作を繰 り返した後、タンパク濃度を測定し、膜調整 完了とした。

(2)ヒト5-HT 5A 受容体結合阻害実験
 被検化合物(0.3~300nM)および100μMの5-CTのDMSO溶 液を2μl/ウェルで96ウェルプレートに加えた 一回の実験において同一条件の測定ウェル は2とし、その平均を値として用いた。イン ュベーションバッファーに懸濁し、200μg / mlに調製したヒト5-HT 5A 受容体強制発現HEK293細胞膜を100 μl/ウェルで 加えた。室温で15分インキュベーション後、[ 3 H]5-CT溶液(2nM [ 3 H]5-CT, インキュベーションバッファー) を100  μl/ウェルで加えた。
 別途、100 μlを液体シンチレーションバイ ルに分注し、アクアゾールII(Aquasol II:登録 標)を2ml加え攪拌した後、液体シンチレーシ ンカウンターで放射活性を測定した。37℃ 60分インキュベーションを行った。反応液を 0.2% ポリエチレンイミンで前処理した96 ウ ル GF/C フィルタープレートに吸引し、氷冷 50mM トリス (pH7.5) バッファーで6回洗浄した 。GF/C フィルタープレートを乾燥させた。
 マイクロシンチPS(MicroscintTMPS:登録商標)を40 μl/ウェルで添加した。トップカウントにてG F/C フィルタープレート上に残存する放射活 を測定した。
 各実験における被検化合物による[ 3 H]5-CT結合阻害活性は、DMSOのみを加えた時の 射活性を0%、1μM 5-CTを加えた時の放射活性 100%阻害として、IC 50 値を算出した。別途、スキャッチャード解析 より求めた[ 3 H]5-CTのKd値より、Ki値を以下の式より算出し 。
 Ki=IC 50 (1+添加したリガンド濃度/Kd (4.95nM))
 本試験の結果、本発明医薬の有効成分であ 化合物(I)は強いヒト5-HT 5A 受容体結合阻害を有することが判明した。
 以下、強い活性を示した化合物の実施例番 とKi値(括弧内の数字:nM)を例示する。
実施例1(0.69)、2(2.8)、25(0.51)、27(0.66)、28(4.5)、 37(8.3)、86(0.56)、102(5.3)、106(0.27)、120(2.2)、159(1 .6)
 その他、50nM以下のKi値を示した化合物の実 例番号を以下に例示する。
実施例6、11、22、24、26、59、65、114、115、116 126、129、135、138、140、141、143、144、145、146 147、148、149、150、152、160、161、162、164、175 177、178、179、180、181、182、186、187、188、191 193、194、195、196、198、204、205、206、210、212 218、220、227
 以上のことから、化合物(I)が5-HT 5A 受容体親和性を有することが確認された。

試験例3 マウスの運動量を増加させる薬物( タンフェタミン、MK-801)に対する各種薬剤の 価 (放出赤外線運動量測定法)
 化合物(I)の統合失調症の陽性症状および陰 症状に対する改善効果を、メタンフェタミ (以下MAPと略)及びMK-801により症状を惹起し モデルにおいて、化合物投与下で抑制され 運動量を測定することにより評価した。
(1)動物
 種:雄ICRマウス/匹数(一群例数):1群8-12例
 使用時週齢:4-6週齢
 納入業者または生産業者:日本エスエルシー
(2)操作手順
 動物を環境に馴化させるため、実験室に1時 間以上放置し、飼育ケージから動物を取り出 し被験化合物を経口投与したのち飼育用ケー ジに入れた。30分後に、測定用ケージに入れ 、被験化合物単独の運動量を測定した。さ に30分後、動物を取り出し運動量を増加さ る薬物(MAP;1mg/kgまたはMK-801;0.3mg/kg、ともに生 理食塩水に溶解)を腹腔内投与し、赤外線セ サーによる運動量測定装置(CompACT AMS 室町 械)を用いて一定時間(60分間)の運動量を測定 した。なお,試験は非絶食下で行なった。
(3)解析
 測定60分間のうち、前半30分間と後半30分間 および合計60分間の3つに分けた。ノーマル ウス(生理食塩水投与マウス)と運動量を増 させる薬剤を投与したマウスにおいては、 れぞれの間隔においてスチューデントT検定( Student's T test)で判定した。被験化合物を投 した群においては、溶媒(vehicle)群とダネッ 検定(Dunnett's T test)をおこない、検定した。 判定は、合計60分間において、有意に(P<0.05 )差があったときに効果があるとした。
 本試験の結果、化合物(I)はMAPまたはMK-801に り誘発された過活動を抑制することが判明 た。例えば、実施例6、25、86、106、135の化 物は、MAP誘発過活動を0.01mg/kgの投与量で、 施例65の化合物は、0.003mg/kg,の投与量で、各 有意に抑制した。一方、公知の化合物であ オランザピンは、MAP誘発過活動を0.3mg/kgの 与量で有意に抑制した。
 また、実施例6、25、37、65、86、135、138、146 178の化合物は、MK-801誘発過活動を0.01mg/kgの 与量で、実施例106、194の化合物は0.03mg/kgの 与量で、各々有意に抑制した。実施例22、24 、129、150、161の化合物は、MK-801誘発過活動を 0.1mg/kgの投与量で有意に抑制した。一方、公 の化合物であるクロザピンは、MK-801誘発過 動を0.3mg/kgの投与量で有意に抑制した。
 以上のことから、化合物(I)が統合失調症の 性症状および陰性症状に改善効果を有する とが確認された。また、化合物(I)がMAP誘発 活動を抑制したことから、化合物(I)の双極 障害及び注意欠陥多動性障害への有効性も せて推認される。

試験例4 マウスでのスコポラミン誘発または MK-801誘発自発交替行動に対する改善効果
 化合物(I)の認知障害に対する改善効果を、 期学習障害のモデルとして周知の首記の試 法により評価した。
(1)動物
 種:雄ddYマウス系/匹数(一群例数):1群6-10例
 使用時週齢:5週齢
 納入業者または生産業者:日本エスエルシー
(2)測定方法
 マウスは試験開始1時間前に実験室に搬入し た。3方向に同じ長さのアームをもつ迷路(Y-ma ze)のアームの一端にマウスを入れて8分間自 に探索させ、この間のアームへのエントリ 数をカウントした。また、連続して3つの異 るアームにエントリーした場合を自発交替 動(Spontaneous alternation behavior)とし、この行 数の総エントリー数に対する割合を自発交 率(Alternation rate)として、以下の式により算 出した。
 自発交替率(%) =自発交替行動数/ (総エント リー数-2)×100
 被験化合物は試験開始50分前に経口投与し その30分後に0.5 mg/kgスコポラミンまたは0.15 mg/kg MK-801 (通常群においては生理食塩水)を 腹腔内投与した。なお、ノーマル群(生理食 水を投与した群)と対照群(0.5 mg/kgスコポラ ンまたは0.15 mg/kg MK-801を投与した群)におい ては、被験化合物投与時に溶媒(vehicle)を経口 投与した。ノーマル群においては、スコポラ ミン投与時に生理食塩水を腹腔内投与した。
(3)データ解析
 自発交替率(%)は各群における平均値(mean±SE) で示す。自発交替率(%)においてノーマル群と 対照群の間に有意な差(スチューデントT検定) が認められた場合,スコポラミンまたはMK-801 与による学習障害成立と判断した。対照群 対する被験化合物投与群のダネット検定を うことで、被験化合物の学習障害作用の有 を判定した。各検定においてp<0.10で傾向 p<0.05で有意な差とした。
 本試験の結果、化合物(I)はスコポラミン誘 自発交替行動障害を抑制することが判明し 。例えば、実施例86、106の化合物は、スコ ラミン誘発自発交替行動障害を0.0001mg/kgの投 与量で、実施例6、25、65、135の化合物は0.003mg /kgの投与量で、実施例26、59の化合物は0.03mg/k gの投与量で、各々有意に改善した。
 一方、公知の化合物であるドネペジルは、 コポラミン誘発自発交替行動障害を0.25mg/kg 投与量で有意に改善した。
 実施例25の化合物は、MK-801誘発自発交替行 障害を0.003mg/kgの投与量で有意に改善した。
 以上のことから、化合物(I)が認知障害に効 を有することが確認された。

試験例5 ラットでのPCP誘発プレパルス抑制(Pr epulse inhibition:PPI)の障害に対する改善効果
 ヒトに音刺激を与えると驚愕反応が起こる 、健常人では、この驚愕反応は、その音刺 に先行して弱い音刺激を与えることにより 制される。統合失調症の患者では同様にこ 抑制機能が低下している。ラットにPCP(フェ ンサイクリジン)を投与すると、ヒトの統合 調症の陰性症状と似た症状が起きることが られている。このモデルを用いて、化合物(I )の統合失調症の認知障害に含まれる情報処 障害に対する改善効果を、評価した。
(1)使用動物
 種:雄Wistarラット/匹数(一群例数):1群12例
 使用時週齢:7~10週齢
 納入業者または生産業者:日本チャールス・ リバー
(2)使用機器
 小動物用驚愕反応測定装置:SR-LAB ABSシステ (San Diego Instruments社製)
 ソフトウェア:SR-LAB Startle Reflex System(San Di ego Instruments社製)
 測定箱の中にPlexiglas製フレームの上部に直 8.2cmの動物保存用Plexiglas製シリンダーを取 付けた動物用ホルダーを備え付けた。測定 には防音を施し、喚起(FAN)を行った。音はシ リンダーの24cm上部に取り付けたスピーカー り与えた。フレームの下部にとりつけたト ンスジューサーによってシリンダー内の動 の動きを検出し、インターフェイスを通じ マイクロコンピューターに記録した。
(3)測定方法
 実験は動物を測定用チャンバーに入れ、10 間測定環境に慣らした後、開始した。基本 に被験化合物を経口投与35分後にPCPを1 mg/kg 下投与(1ml/kg)した。その5分後にラットを測 用チャンバーにいれ、10分間馴化した後、 定を開始した。65dBのホワイトノイズ(全ての 振動数に対し、単位バンドあたりのエネルギ ーが一定であるような無秩序な雑音)をバッ グラウンドノイズとして、慣らし期間なら にセッション中を通じて常時流した。以下 示す3種類の試行(trial)をランダムな順序にて 各10回ずつ計30回行った。各trialは、20-60秒、 均40秒の偽ランダムな間隔をおいて行った パルスは120dB, 20msecのホワイトノイズ、プレ パルスは70, 80dB, 20msecのホワイトノイズとし た。
1)パルスのみ(120dB, 20msec)を与える(P alone tria lと略す)。
2)70dB, 20msecのプレパルス開始100msec後にパル を与える(PP70 & P trialと略す)。
3)80dB, 20msecのプレパルス開始100msec後にパル を与える(PP80 & P trialと略す)。
動物の驚愕反応は、パルス開始時より100msec 測定し、最も大きな値を"最大驚愕反応(startl e amplitude(Vmax))"とした。3種類それぞれのtrial おける10回の"最大驚愕反応"を平均し、その 刺激条件における"驚愕反応(startle amplitude :S Aと略す)"とした。
 前記3)のPP80 & P trialにおける、プレパ ス抑制率(% prepulse inhibition:% PPI)を以下の式 により算出した。
プレパルス抑制率 (% PPI)= (P alone trial時の 愕反応(SA)-PP80 & P trial時の驚愕反応(SA)) /P alone trial時の驚愕反応×100
 コンピューターにより実験を制御し、デー を取り込んだ。
(4)データ整理:
 測定値は平均値(mean±SE)で表記した。まず、 驚愕反応(SA)の統計解析を行った。ノーマル (生理食塩水を投与した群)のP alone trial時の SAと比較してPP80 & P trial時のSAが有意に 制されている(対応ありのT検定(Paired t-test) より検定)場合、実験成立とし以後の解析を った。% PPIの測定データは、ノーマル群と 照群(PCPを投与した群)はスチューデントT検 により比較し、対照群と被験化合物を投与 た群については、ダネット検定を用いて、 間の比較を行った。各検定においてp<0.05 有意な差とする。被験化合物の効果は、% P PIで判断した。
 本試験の結果、化合物(I)はPCPプレパルス抑 (PPI)の障害を改善することが判明した。例 ば、実施例25の化合物は0.03及び0.1 mg/kgの投 量で、実施例65の化合物は0.1及び0.3 mg/kgの 与量で、それぞれ、PCPプレパルス抑制(PPI) 障害を有意に改善した。一方、公知の化合 であるクエチアピンは、10mg/kgの投与量で、P CP誘発PPIを有意に改善した。
 以上のことから、化合物(I)が統合失調症の 知障害に含まれる情報処理障害にも効果を することが確認された。

試験例6 老齢ラットの水迷路学習障害におけ る薬剤の評価
 化合物(I)の認知症に対する改善効果を、病 モデルとして公知の水迷路学習障害モデル より評価した。具体的には、「ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペ メンタル セラピューティックス(J Pharmacol  Exp Ther, 1996;279:1157-73, Yamazaki M. et al.」記 の方法に従った。
 本試験の結果、化合物(I)は老齢ラットにお る水迷路学習障害を改善することが判明し 。例えば、実施例25の化合物は、老齢ラッ における水迷路学習障害を0.01及び0.03mg/kgの 与量で有意に改善した。
 以上のことから、化合物(I)が認知症に効果 有することが確認された。
 上記の試験において、本発明化合物は既存 化合物について報告されている鎮静作用等 副作用を伴わずに、各改善作用を示した。

 以上の試験結果から、本発明の医薬組成物 、5-HT 5A 受容体の関与する疾患の治療または予防、特 に、認知症、統合失調症、双極性障害、注意 欠陥多動性障害、神経症(不安障害、パニッ 障害、強迫性障害など)、自閉症、気分障害( うつ病性障害)、神経変性疾患、脳梗塞の治 または予防、中でも認知症や統合失調症の 知障害といった記憶に関わる機能障害の治 または予防に有効であることがわかる。
 本発明の医薬組成物は既存の化合物と比べ 安全性にも勝り、新規かつ有効な上記疾患 治療薬として期待される。

 化合物(I)またはその塩の1種または2種以上 有効成分として含有する製剤は、当分野に いて通常用いられている薬剤用担体、賦形 等を用いて通常使用されている方法によっ 調製することができる。
 投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、 剤、液剤等による経口投与、または、関節 、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼 、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼 剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等 よる非経口投与のいずれの形態であっても い。

 本発明による経口投与のための固体組成物 しては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられ 。このような固体組成物においては、1種ま たは2種以上の有効成分を、少なくとも1種の 活性な賦形剤、例えば乳糖、マンニトール ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース 微結晶セルロース、デンプン、ポリビニル ロリドン、及び/またはメタケイ酸アルミン 酸マグネシウム等と混合される。組成物は、 常法に従って、不活性な添加剤、例えばステ アリン酸マグネシウムのような滑沢剤やカル ボキシメチルスターチナトリウム等のような 崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有してい てもよい。錠剤または丸剤は必要により糖衣 または胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルム で被膜してもよい。
 経口投与のための液体組成物は、薬剤的に 容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロッ 剤またはエリキシル剤等を含み、一般的に いられる不活性な希釈剤、例えば精製水ま はエタノールを含む。当該液体組成物は不 性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁 のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤 防腐剤を含有していてもよい。
 非経口投与のための注射剤は、無菌の水性 たは非水性の溶液剤、懸濁剤または乳濁剤 含有する。水性の溶剤としては、例えば注 用蒸留水または生理食塩液が含まれる。非 溶性の溶剤としては、例えばプロピレング コール、ポリエチレングリコールまたはオ ーブ油のような植物油、エタノールのよう アルコール類、またはポリソルベート80(局 名)等がある。このような組成物は、さらに 等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤 、安定化剤、または溶解補助剤を含んでもよ い。これらは例えばバクテリア保留フィルタ ーを通す濾過、殺菌剤の配合または照射によ って無菌化される。また、これらは無菌の固 体組成物を製造し、使用前に無菌水または無 菌の注射用溶媒に溶解または懸濁して使用す ることもできる。

 外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリー 剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローシ ン剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般 用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水 または非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含 する。例えば、軟膏またはローション基剤 しては、ポリエチレングリコール、プロピ ングリコール、白色ワセリン、サラシミツ ウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モ ステアリン酸グリセリン、ステアリルアル ール、セチルアルコール、ラウロマクロゴ ル、セスキオレイン酸ソルビタン等が挙げ れる。
 吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体 たは半固体状のものが用いられ、従来公知 方法に従って製造することができる。例え 公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤 界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が 宜添加されていてもよい。投与は、適当な 入または吹送のためのデバイスを使用する とができる。例えば、計量投与吸入デバイ 等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、 合物を単独でまたは処方された混合物の粉 として、もしくは医薬的に許容し得る担体 組み合わせて溶液または懸濁液として投与 ることができる。乾燥粉末吸入器等は、単 または多数回の投与用のものであってもよ 、乾燥粉末または粉末含有カプセルを利用 ることができる。あるいは、適当な駆出剤 例えば、クロロフルオロアルカン、ヒドロ ルオロアルカンまたは二酸化炭素等の好適 気体を使用した加圧エアゾールスプレー等 形態であってもよい。

 通常経口投与の場合、1日の投与量は、体 重当たり約0.0001~100 mg/kg、好ましくは0.0001~10 mg/kg、更に好ましくは0.0001~1 mg/kgが適当であ り、これを1回であるいは2~4回に分けて投与 る。静脈内投与される場合は、1日の投与量 、体重当たり約0.00001~1 mg/kgが適当で、1日1 ~複数回に分けて投与する。また、外用剤や 経粘膜剤としては、体重当たり約0.0001~10 mg/k gを1日1回~複数回に分けて投与する。投与量 症状、年令、性別等を考慮して個々の場合 応じて適宜決定される。製剤中の有効成分 含有量としては、0.0001~50%、より好ましくは0 .001~50%である。

 本発明医薬の有効成分である化合物は、 該化合物が有効と考えられる疾患の治療ま は予防に用いられる薬剤と併用することが きる。当該併用は、同時投与、或いは別個 連続してもしくは所望の時間間隔をおいて 与してもよい。同時投与製剤は、配合剤で っても別個に製剤化されていてもよい。

 本発明医薬の有効成分である化合物は、強 な5-HT 5A 受容体調節作用と、これに基づく良好な薬理 作用を有するという利点がある。本発明の医 薬組成物は、5-HT 5A 受容体の関与する疾患の治療または予防、特 に、認知症、統合失調症、双極性障害、注意 欠陥多動性障害の治療または予防に有用であ る。本発明医薬の有効成分である化合物は、 特に、認知症や統合失調症の認知障害といっ た記憶に関わる機能障害の改善に有用である 。