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Patent Searching and Data


Title:
ADDITIVE FOR PAPERMAKING AND PAPER CONTAINING FILLER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090787
Kind Code:
A1
Abstract:
Suitability for sizing is effectively imparted to paper while reducing the amounts of an internal sizing agent and aluminum sulfate to be used. An additive for papermaking is provided which is a mixture (pretreated filler) of a filler and either a cationic copolymer having hydrophobic groups having a degree of quaternization of 40 mol% or higher or an amphipathic copolymer having hydrophobic groups which have the same degree of quaternization and in which the proportion of the anion equivalent to the cation equivalent is 0.1-90%. This pretreated filler is one comprising a filler having moderate water repellency imparted thereto. When this pretreated filler is added to a pulp slurry and paper is formed therefrom by a wet process, the pretreated filler can be efficiently adsorbed onto pulp fibers anionically charged. Thus, suitability for sizing can be effectively imparted to the paper, while reducing the amounts of an internal sizing agent and aluminum sulfate to be used. A reduction in sizing agent amount can hence be attained.

Inventors:
SAKAI KAZUNARI (JP)
NAKATA TOMOHIKO (JP)
HASHIGUCHI YOSHIHARU (JP)
YAMAGUCHI TAKASHI (JP)
ITO MASAKI (JP)
OOKA YASUNOBU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050451
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HARIMA CHEMICALS INC (JP)
JUJO PAPER CO LTD (JP)
SAKAI KAZUNARI (JP)
NAKATA TOMOHIKO (JP)
HASHIGUCHI YOSHIHARU (JP)
YAMAGUCHI TAKASHI (JP)
ITO MASAKI (JP)
OOKA YASUNOBU (JP)
International Classes:
D21H17/69; D21H17/41
Foreign References:
JPH0841798A1996-02-13
JP2006257606A2006-09-28
JPS63195115A1988-08-12
JPH10505883A1998-06-09
JPH04281094A1992-10-06
JPH0197296A1989-04-14
JPS63235377A1988-09-30
Attorney, Agent or Firm:
FUKAI, Toshikazu (7-31 Otemae 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 91, JP)
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Claims:
 疎水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上のカチオン性共重合体と、填料との混合物からなる、ことを特徴とする製紙用添加剤。
 疎水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)およびアニオン性モノマー(C)を含み、かつ前記カチオン性モノマー(B)のカチオン当量に対する前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量の比率が0.1~90%であるモノマー成分を重合して得られる4級化率が40モル%以上の両性共重合体と、填料との混合物からなる、ことを特徴とする製紙用添加剤。
 填料が炭酸カルシウムである、請求項1又は2に記載の製紙用添加剤。
 疎水性モノマー(A)が、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸のC1~C12アルキルエステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1~3のいずれかに記載の製紙用添加剤。
 カチオン性モノマー(B)が、3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリレートおよびジアリルジアルキルアンモニウムハライドよりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の製紙用添加剤。
 アニオン性モノマー(C)が、α,β-不飽和カルボン酸類およびα,β-不飽和スルホン酸類よりなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項2~5のいずれかに記載の製紙用添加剤。
 前記混合物においては、填料100重量部に対する前記カチオン性共重合体又は両性共重合体の割合が0.1~10重量部である、請求項1~6のいずれかに記載の製紙用添加剤。
 請求項1~7のいずれかに記載の製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し、湿式抄紙してなる、ことを特徴とする填料内添紙。
Description:
製紙用添加剤及び填料内添紙

 本発明は、比較的少量の内添サイズ剤の 用で効果的にサイズ性を付与することがで る、製紙用添加剤並びに当該添加剤を含有 る填料内添紙に関する。

 填料として汎用されているもののうち、 でも炭酸カルシウムは、光学的な特性を紙 付与できる点や、紙料と比較して安価であ 点などで有利である。そのため、中性抄造 の移行が進んでいる現在、紙中における炭 カルシウムの配合量は徐々に増加する傾向 ある。しかし、紙中の炭酸カルシウム量の 加は、紙の強度やサイズ性の低下を招く。 たがって、紙の強度やサイズ性の低下の問 を解消できれば、さらに炭酸カルシウムの 用拡大が期待できる。

 また、填料、中でも炭酸カルシウムを多 に用いる最近の抄造方法では、内添サイズ としてAKD(アルキルケテンダイマー)やASA(ア ケニルコハク酸無水物)などの反応性サイズ 剤を用いると、サイズ剤の使用量が多いほど 抄紙系の汚れが増し、逆に汚れを防止するた めにサイズ剤の使用量を削減すると、高いサ イズ性が望めない、という問題があった。さ らに、内添サイズ剤としてロジン系エマルシ ョンサイズ剤を用いた場合、硫酸アルミニウ ムの添加量を増やしてサイズ性を高める必要 があるが、この場合には抄紙系のpHが低下し 炭酸カルシウムが溶解し、抄紙機の各部で 膏がカルシウムスケールとして析出して汚 を生じ易くなる。

 そこで、紙の光学特性、填料自体の歩留ま 、あるいは紙力などを改善することを目指 、炭酸カルシウムを各種ポリマーなどで前 理する技術が提案されている。例えば、次 通りである。
 (1)特許文献1
 カチオン性ポリマー又は両性ポリマーで被 ・吸着処理したカチオン性炭酸カルシウム パルプスラリーに配合して、填料の歩留り 紙力低下を抑制することが記載されている( 請求項1、段落[0007])。また、実施例1として、 ジメチルアミノエチルアクリレートとアクリ ルアミドとの水溶性ポリマーで軽質炭酸カル シウムを被覆処理して、パルプスラリーに添 加することが記載されている(段落[0017])。

 (2)特許文献2
 填料をデンプンと有機高分子物質(例えば、 ポリアクリルアミド(PAM))で処理することが記 載されている(特許請求の範囲)。

 (3)特許文献3
 AKD、ASAなどのセルロース反応性サイズ剤を チオン澱粉などの分散剤で水中に分散させ 液を、炭酸カルシウムなどの填料と接触さ た充填剤によれば、高充填であってもサイ 性の低下を抑制できることが記載されてい (請求項1、[段落0007]、[段落0011])。

 (4)特許文献4
 カチオン変性AKDで処理された填料(好ましく はPCC(沈降炭酸カルシウム);[段落0005])によれ 、サイズ剤の必要使用量を減少できること 記載されている。

 (5)特許文献5
 金属イオン(アルミニウム、バリウム、リチ ウム、マグネシウムなどのイオン;請求項7、 7~9頁)の共存下で、C12~C22水溶性脂肪酸塩(好 しくはステアリン酸ナトリウム;請求項6、 8頁)により被覆した填料(炭酸カルシウム、 土、酸化チタンなど;請求項2)によれば、内 サイズ剤の吸着を抑制できることが記載さ ている(請求項1~6)。

特開平4-281094号公報

特開昭56-49097号公報

特開平4-228697号公報

特開平5-247886号公報

特表平8-507837号公報

 上記特許文献1は、カチオン性もしくは両性 ポリアクリルアミドを用いて前処理すること で填料自体の歩留りや紙力を確保するもので あり、親水性ポリマーであるため填料および 紙へ疎水性を付与する能力がなく、紙のサイ ズ性低下を抑制する効果は低い。上記特許文 献2も、澱粉とカチオン性の有機高分子電解 を併用した前処理法であり、上記特許文献1 同様の効果を付与しようとするものである
 上記特許文献3~4は、AKDやASAなどの反応性サ ズ剤、あるいはカチオン変性AKDで填料を前 理することで疎水性向上を図ろうとするも であるが、使用量が多い場合や処理温度が 較的高い場合には、紙の滑り問題や製紙工 内の汚れ問題を誘発する恐れが大きい。
 また、上記特許文献5は、脂肪酸塩により填 料を被覆するものであり、比表面積の大きい 填料に対する内添サイズ剤の吸着を抑制する 手法として効果的であるが、過剰の金属イオ ンの添加は製紙工程内の状態を変化させ、薬 品の効果に影響を与える恐れがある。
 さらには、上記技術において填料を前処理 るための処理剤の分子量は比較的低い範囲 あるため、製紙工程内の電気伝導度が高く アニオントラッシュ量が多いと、填料およ パルプ繊維と処理剤自体との相互作用を阻 し、性能を低下させる恐れもある。

 したがって、本発明の主たる課題は、内 サイズ剤や硫酸アルミニウムの使用量を少 く抑制しながら、紙にサイズ性を効果的に 与することである。

 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭 研究を重ねた。その結果、疎水性基含有モ マーを必須成分とするカチオン性又は両性 重合体を填料と混合(前処理)し、填料に適 の撥水性を付与すると、撥水性の付与され 填料がアニオン性を帯びたパルプ繊維に効 良く吸着して、紙に効果的なサイズ性を付 できることを見出した。そして、この填料 よれば、内添サイズ剤を用いないか、減量 つつ、充分なサイズ性を確保することがで るので、抄紙機の汚れが発生しにくく、し も、内添サイズ剤より比較的少量で高いサ ズ度が得られることを突き止め、本発明を 成した。

 本発明にかかる第一の製紙用添加剤は、 水性モノマー(A)およびカチオン性モノマー( B)を含むモノマー成分を重合して得られる4級 化率が40モル%以上のカチオン性共重合体と、 填料との混合物からなる。

 本発明にかかる第二の製紙用添加剤は、 水性モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)お びアニオン性モノマー(C)を含み、かつ前記 チオン性モノマー(B)のカチオン当量に対す 前記アニオン性モノマー(C)のアニオン当量 比率が0.1~90%であるモノマー成分を重合して 得られる4級化率が40モル%以上の両性共重合 と、填料との混合物からなる。

 本発明にかかる填料内添紙は、前記本発 の製紙用添加剤をパルプスラリーに添加し 湿式抄紙してなる。

 なお、本明細書においては、便宜上、上 第一の製紙用添加剤にかかるカチオン性共 合体または上記第二の製紙用添加剤にかか 両性共重合体と填料とを予め混合すること 「前処理」と称し、前記カチオン性共重合 または前記両性共重合体と填料との混合物 「前処理填料」と称することがある。

 本発明によれば、填料(例えば炭酸カルシ ウム)と疎水性基含有のカチオン性又は両性 重合体とを予め混合(前処理)することにより 、填料に適度の撥水性を具備させることがで き、この撥水性を備えた填料がアニオン性を 帯びたパルプ繊維に効率良く吸着して、紙に 効果的なサイズ性を付与できる。例えば前記 特許文献1では、疎水基を含有しない水溶性 リマーで填料を予め処理するため、この水 性ポリマー自体に填料および紙へ疎水性を 与する能力がなく、サイズ性の低下を抑制 る効果は期待できない。

 また、填料を増量した場合、従来の内添 イズ剤では、その多くが比表面積の大きい 料に吸着されてしまい、パルプ繊維への定 が妨げられて十分なサイズ性が得られなか たが、本発明の製紙用添加剤によれば、填 自身にあらかじめ撥水性を与えるため、填 の増量でサイズ性が低下するという従来の 添サイズ剤の問題点を解消できる。

 しかも、本発明によれば、上述の通り、 重合体と予め混合すること(前処理すること )で撥水性を付与した填料を添加することに って、内添サイズ剤を用いないか少量に抑 できる。これにより、AKDやASAなどの反応性 イズ剤を大量に使用した場合に生じる抄紙 の汚れを防止でき、また、内添サイズ剤の 量により硫酸アルミニウムを多く添加する 要もなくなるため、抄造系の炭酸カルシウ がカルシウムスケールとして析出して汚れ 生じることも防止できる。

 さらに、本発明の製紙用添加剤は、填料 特定の共重合体を混合で吸着したものであ ため、低分子化合物よりも製造工程の条件 動に対して安定した効果を奏することがで る。

 本発明の第一の製紙用添加剤は、4級化率 が特定以上のカチオン性共重合体で前処理し た填料を有効成分とするものであり、本発明 の第二の製紙用添加剤は、4級化率が特定以 で、アニオン当量とカチオン当量の比率が 定範囲にある両性共重合体で前処理した填 を有効成分とするものであり、本発明の填 内添紙は、これらの製紙用添加剤をパルプ ラリーに添加して湿式抄造したものである

 本発明の第一の製紙用添加剤において、前 理に使用するカチオン性共重合体は、疎水 モノマー(A)およびカチオン性モノマー(B)を 須とするモノマー成分を重合し、4級化率を 40モル%以上としたものである。
 上記疎水性モノマー(A)は、スチレンまたは の誘導体、(メタ)アクリロニトリル、(メタ) アクリル酸のアルキルエステルなどであり、 特に、スチレンまたはその誘導体、(メタ)ア リロニトリル、(メタ)アクリル酸のC1~C12ア キルエステルが好ましい。

 なお、本発明においては、「(メタ)アク ル」は「アクリル」または「メタクリル」 意味するものであり、同様に、「(メタ)アク リロ」は「アクリロ」または「メタクリロ」 を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレー 」または「メタクリレート」を意味する。

 上記スチレンまたはその誘導体としては、 チレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエ 、エチルビニルトルエン、クロロメチルス レン、ビニルピリジンなどが挙げられ、ス レンが好ましい。
 上記(メタ)アクリル酸のC1~C12アルキルエス ルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エ チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア リレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso- ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)ア クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレ ト、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エチル ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ )アクリレートなどの炭化水素エステルが挙 られ、脂肪族だけでなく、脂環系や芳香族 の炭化水素基を含有する(メタ)アクリル酸エ ステルも使用できる。特に好ましくは、メチ ル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリ レート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、2-エ ルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル( タ)アクリレートである。

 上記カチオン性モノマー(B)は、1~3級アミノ 含有(メタ)アクリルアミド、1~3級アミノ基 有(メタ)アクリレート、4級アンモニウム塩 含有(メタ)アクリルアミド、4級アンモニウ 塩基含有(メタ)アクリレート、ジアリルジア ルキルアンモニウムハライド等のように、分 子内にカチオン性基を1個乃至複数個有する のであり、特に、3級アミノ基含有(メタ)ア リルアミド、3級アミノ基含有(メタ)アクリ ート、ジアリルジアルキルアンモニウムハ イドが好ましい。
 上記3級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド しては、ジメチルアミノエチル(メタ)アク ルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)ア クリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ) クリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メ タ)アクリルアミドなどのジアルキルアミノ ルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる 。
 上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートと ては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ ート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ レート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ ート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アク レートなどのジアルキルアミノアルキル(メ )アクリレート等が挙げられる。

 また、上記1~2級アミノ基含有(メタ)アクリ アミドとしては、アミノエチル(メタ)アクリ ルアミドなどの1級アミノ基含有(メタ)アクリ ルアミド、或は、メチルアミノエチル(メタ) クリルアミド、エチルアミノエチル(メタ) クリルアミド、t-ブチルアミノエチル(メタ) クリルアミドなどの2級アミノ基含有(メタ) クリルアミド等が挙げられる。
 上記1~2級アミノ基含有(メタ)アクリレート しては、アミノエチル(メタ)アクリレートな どの1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、或 は、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t- ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど 2級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙 られる。
 上記4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリ アミドおよび4級アンモニウム塩基含有(メ )アクリレートとしては、3級アミノ基含有( タ)アクリルアミド又は3級アミノ基含有(メ )アクリレートを、塩化メチル、塩化ベンジ 、硫酸メチル、エピクロルヒドリンなどの4 級化剤で4級化したモノ4級塩基含有モノマー 挙げられる。具体的には、アクリルアミド ロピルトリメチルアンモニウムクロリド、 クリルアミドプロピルベンジルジメチルア モニウムクロリド、メタクリロイロキシエ ルジメチルベンジルアンモニウムクロリド アクリロイロキシエチルジメチルベンジル ンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイル ミノエチルトリメチルアンモニウムクロリ 、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチ ルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイ キシエチルトリメチルアンモニウムクロリ 、(メタ)アクリロイロキシエチルトリエチ アンモニウムクロリドなどが挙げられる。

 上記カチオン性共重合体を構成するモノマ 成分としては、上記疎水性モノマー(A) お び上記カチオン性モノマー(B)以外に、必要 応じて、アニオン性モノマーを除くその他 ビニルモノマーを使用することができる。
 上記その他のモノマーとしては、ヒドロキ エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプ ピル(メタ)アクリレートのような水酸基含有 (メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル( タ)アクリルアミド、iso-プロピル(メタ)アク ルアミドのようなアミド基含有モノマー、 酸ビニルなどが挙げられる。

 上記カチオン性共重合体を構成するモノ ー成分は、単用又は併用できる。モノマー 分の組成比は、填料に適度の撥水性を付与 きる範囲で任意に設定できるが、疎水性モ マー(A)の含有量は60~90重量%程度、カチオン モノマー(B)の含有量は10~40重量%程度がそれ れ好ましい。

 一方、本発明の第二の製紙用添加剤におい 、前処理に使用する両性共重合体は、疎水 モノマー(A)、カチオン性モノマー(B)および ニオン性モノマー(C)を必須とし、かつ前記 ノマー(B)のカチオン当量に対して前記モノ ー(C)のアニオン当量の比率が所定範囲であ モノマー成分を重合し、4級化率を40モル%以 上としたものである。
 上記アニオン性モノマー(C)は、α,β-不飽和 ルボン酸類、α,β-不飽和スルホン酸類など ある。
 上記α,β-不飽和カルボン酸類としては、(メ タ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸 、イタコン酸、(無水)シトラコン酸、そのナ リウム、カリウム、アンモニウム塩などが げられる。
 上記α,β-不飽和スルホン酸類としては、ビ ルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、 チレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)ア クリレート、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチ プロパンスルホン酸、その塩などが挙げら る。
 上記両性共重合体を構成するモノマー成分 うち、疎水性モノマー(A)及びカチオン性モ マー(B)については、本発明の第一の製紙用 加剤におけるカチオン性共重合体を構成す モノマー成分として前述したものと同様で る。また、必須モノマー以外のその他のビ ルモノマーを使用することができる点も、 一の製紙用添加剤の場合と同様である。
 上記両性共重合体を構成するモノマー成分 場合も、上記各モノマーは単用又は併用で る。モノマー成分の組成比は、填料に適度 撥水性を付与できる範囲で任意に設定でき が、疎水性モノマー(A)の含有量は60~90重量% 度、カチオン性モノマー(B)の含有量は20~40 量%程度、アニオン性モノマー(C)の含有量は1 ~10重量%程度がそれぞれ好ましい。
 上記両性共重合体を構成するモノマー成分 あっては、カチオン性モノマー(B)のカチオ 当量に対するアニオン性モノマー(C)のアニ ン当量の比率が0.1~90%であることが必要であ る。好ましい当量比率は5~20%であり、より好 しくは5~15%である。すなわち、本発明にお る両性共重合体は、カチオン当量リツチで ニオン当量の少ない方がサイズ効果を発現 易い。カチオン当量に対するアニオン当量 比率が多すぎると、アニオン性モノマー(C) カチオン部分とイオンコンプレックスを形 して、パルプ繊維へのカチオンの作用を低 させ、サイズ性が発現しない恐れがある。

 上記カチオン性共重合体または両性共重合 の4級化率は、いずれも40モル%以上であるこ とが重要である。4級化率は、好ましくは50~10 0モル%である。4級化率が40モル%未満であると 、填料及びパルプ繊維への有効な撥水性付与 効果が得られにくくなる恐れがある。
 上記カチオン性共重合体または両性共重合 の4級化に際しては、例えば、カチオン性モ ノマー(B)として3級アミノ基含有モノマーを むモノマー成分を重合した後、得られた共 合体を4級化剤で4級化してもよいし、予め4 化して得られた4級アンモニウム塩基含有モ マーをカチオン性モノマー(B)として用いて 合するようにしてもよい。4級化剤としては 、塩化メチル、塩化ベンジル、エピクロルヒ ドリンなどを用いることができる。

 本発明の第一および第二の製紙用添加剤に いて、上記カチオン性共重合体または両性 重合体と混合(前処理)する填料としては、 知のものを任意で使用できる。例えば、炭 カルシウム、クレー、シリカ、炭酸カルシ ム-シリカ複合物(特開2003-212539号公報あるい 特開2005-219945号公報等に記載の軽質炭酸カ シウム-シリカ複合物)、カオリン、炭酸マグ ネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水 酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタンな どの無機填料;尿素-ホルマリン樹脂、メラミ 系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹 などの有機填料;を単用または併用すること ができる。好ましい填料は炭酸カルシウムで ある。
 上記カチオン性共重合体または両性共重合 による前記填料の前処理は、通常、パルプ ラリーに添加する前に、予め当該共重合体 水溶液と填料スラリーとを混合撹拌するこ により行う。混合温度は10~50℃程度、混合 間は1~10分程度が好ましい。
 上記カチオン性共重合体または両性共重合 と填料とを混合する際の、填料100重量部に する共重合体の割合は0.1~10重量部が好まし 、より好ましくは0.2~5重量部であり、さら 好ましくは0.2~2重量部である。共重合体の割 合が少なすぎると、充分なサイズ効果が得ら れないおそれがある。一方、共重合体の割合 を前記範囲より多くしても、得られるサイズ 性の向上効果にはあまり変化がなく、コスト の無駄になる傾向がある。
 本発明の製紙用添加剤は、以上のようにし 前処理が施された前処理填料、すなわち上 カチオン性共重合体または両性共重合体と 料との混合物からなる。

 本発明の填料内添紙は、上述した本発明 製紙用添加剤、すなわち疎水性基を有する 記カチオン性共重合体または両性共重合体 前処理した前処理填料(混合物)を含む製紙 添加剤をパルプスラリーに添加し、湿式抄 して得られる填料内添紙である。ここで、 発明の製紙用添加剤を用いることが重要と る。換言すれば、填料を予め上記カチオン 共重合体または両性共重合体と混合撹拌し 前処理填料としてから、この前処理填料を ルプスラリーに添加することが重要なので り、例えば、上記カチオン性共重合体また 両性共重合体で填料を前処理することなく 単に填料と当該共重合体を別々に大容量の ルプスラリーに併用添加するだけでは、紙 効果的なサイズ性を付与することはできな のである。

 パルプスラリーには、カチオン化デンプン アクリルアミド系共重合体(PAM系ポリマー) PVA系ポリマーなどの紙力剤、硫酸アルミニ ム、ロジン系樹脂などのサイズ剤、濾水剤 歩留り向上剤、耐水化剤、あるいは紫外線 止剤などの各種薬品を添加できることは言 までもない。
 本発明の填料内添紙の種類は、任意であっ 特段の制限はなく、例えば、上質または中 印刷用紙、新聞用紙、アート紙、キャスト ート紙等の原紙、PPC用紙、インクジェット 録用紙、レーザープリンター用紙、感熱記 用紙、感圧記録用紙等の記録用紙などが挙 られる。

 以下、本発明において用いられるカチオン 共重合体及び両性共重合体の合成例、本発 の製紙用添加剤および内添紙の実施例を順 説明する。以下の合成例、実施例中の「部 、「%」は、特に断りのない限り重量基準で ある。
 尚、本発明は下記の合成例、実施例に拘束 れるものではなく、本発明の技術的思想の 囲内で任意の変形をなし得ることは勿論で る。

 《カチオン性共重合体及び両性共重合体の 成》
 下記の合成例1~9のうち、合成例2~5は本発明 おいて用いられる両性共重合体の例であり その他の合成例は本発明において用いられ カチオン性共重合体の例である。
 一方、比較合成例1はカチオン性共重合体を 4級化しなかった例であり、比較合成例2~3は チオン性共重合体の4級化率が30モル%以下の であり、比較合成例4~5は両性共重合体の4級 化率は40モル%以上であるが、カチオン当量に 対するアニオン当量の比率を90%より大きくし た例である。比較合成例6は疎水性モノマー アニオン性モノマーを重合したアニオン性 重合体の例である。
 尚、表1に合成例1~9及び比較合成例1~6のモノ マー組成、用いた4級化剤の種類と量、4級化 、カチオン当量に対するアニオン当量の比 などをまとめた。

 (1)合成例1
 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導 管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに イソプロパノール30部、スチレン50部、メタ クリル酸メチル20部、ブチルアクリレート10 、ジメチルアミノエチルメタクリレート20部 、n-ドデシルメルカプタン1.5部を加え、攪拌 ながら加熱し、温度を85℃まで上昇させた
 次いで、温度を85~90℃に保持しながら、t-ブ チルパーオキシエチルヘキサネート1.5部とイ ソプロパノール3部からなる重合開始剤溶液 3時間で全量滴下し、1時間熟成させて、反応 を完結させた。
 その後、温度を80℃に保持してカチオン性 重合体中和用の90%酢酸8.5部と温水260部を30分 かけて添加して1時間保持し、エピクロルヒ リン9.5部を添加して80℃で2時間保持し、完 に水溶化させた。
 冷却後、水を添加して、固形分20%のカチオ 性共重合体水溶液を得た。

 (2)合成例2
 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導 管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに イソプロパノール25部、90%酢酸7.6部を入れ 撹拌しながら温度を80℃まで加熱した。
 次いで、スチレン50部、ブチルメタクリレ ト27部、メタクリル酸5部、ジメチルアミノ チルメタクリレート18部のモノマー混合物に 、n-ドデシルメルカプタン1.5部とアゾビスイ ブチロニトリル1部を溶解した混合液を、フ ラスコ内温を80~85℃に保ちながら3時間で全量 滴下し、1時間熟成させて反応を完結させた
 その後、温度を80℃に保持して温水300部を 加して1時間保持し、エピクロルヒドリン6.4 を添加して80℃で2時間保持し、完全に水溶 させた。
 冷却後、水を添加して、固形分20%の両性共 合体水溶液を得た。

 (3)合成例3~9
 疎水性モノマー、カチオン性モノマーおよ アニオン性モノマーの種類と量、4級化剤の 種類と量を表1に示す通り変化させ、表1に示 4級化率、カチン当量に対するアニオン当量 の比率となるようにしたこと以外は、上記合 成例2と同様な重合方法にて、固形分20%のカ オン性共重合体水溶液または両性共重合体 溶液を得た。

 (4)比較合成例1~5
 疎水性モノマー、カチオン性モノマーおよ アニオン性モノマーの種類と量、4級化剤の 種類と量を表1に示す通り変化させ、表1に示 4級化率、カチン当量に対するアニオン当量 の比率となるようにしたこと以外は、上記合 成例2と同様な重合方法にて、固形分20%のカ オン性共重合体水溶液または両性共重合体 溶液を得た。
 詳しくは、カチオン性共重合体においては 4級化を行わないか(比較合成例1)、4級化率 30モル%以下とし(比較合成例2~3)、両性共重合 体においては、4級化率は40モル%以上である 、カチオン当量に対するアニオン当量の比 を90%より大きくなるようにした(比較合成例4 ~5)。

 (5)比較合成例6
 温度計、攪拌機、還流冷却管および窒素導 管を備えた0.5リットルの四つ口フラスコに イソプロパノール45部を入れ、撹拌しなが 温度を82℃まで加熱した。
 次いで、スチレン80部、アクリル酸20部、お よびn-ドデシルメルカプタン2.5部とt-ブチル ーオキシエチルヘキサネート2部を溶解した 合液を、フラスコ内温を80~85℃に保ちなが 2時間で全量滴下し、1時間熟成させて反応を 完結させた。
 そして、加熱蒸留してイソプロパノールを 去した後、温度80℃で25%アンモニア水22部と 水300部を添加して80℃で1時間保持し、完全に 水溶化させた。
 冷却後、水を添加して、固形分20%のアニオ 性共重合体水溶液を得た。

 表1においては、下記の略号を用いた。
ST:スチレン
MMA:メチルメタクリレート
BMA:ブチルメタクリレート
IBMA:イソブチルメタクリレート
BA:ブチルアクリレート
DM:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAPMA:ジメチルアミノプロピルメタクリルア ド
MAA:メタクリル酸
IA:イタコン酸
AA:アクリル酸
MA:無水マレイン酸
EPCl:エピクロルヒドリン
CTA:3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチル アンモニウムクロライド
DMS:ジメチル硫酸
BCL:塩化ベンジル

 《填料内添紙の製造および得られた内添紙 評価1》
 上記合成例1~9および比較合成例1~6の各共重 体と炭酸カルシウムとを混合撹拌して本発 の製紙用添加剤(前処理した炭酸カルシウム ;以下「前処理炭酸カルシウム」と称する)を 造し、さらに、この前処理炭酸カルシウム パルプスラリーに添加し、湿式抄紙して内 紙を製造した。
 下記の実施例1~9は上記合成例1~9の各共重合 で炭酸カルシウムを前処理した例であり、 較例1~6は上記比較合成例1~6の各共重合体で 酸カルシウムを前処理した例である。
 一方、冒述の特許文献1に準拠して、疎水性 基を含有しないカチオン性共重合体で炭酸カ ルシウムを前処理した例を比較例7とし、冒 の特許文献3に準拠して、AKDサイズ剤で炭酸 ルシウムを前処理した例を比較例8とした。
 また、上記合成例1~9および比較合成例1~6の 共重合体と炭酸カルシウムとを前処理する となく、単にパルプスラリーに併用添加し 例を比較例9~23とした。
 さらに、AKDサイズ剤と炭酸カルシウムをパ プスラリーに併用添加した例を比較例24と 、中性ロジンサイズ剤と炭酸カルシウムを ルプスラリーに併用添加した例を比較例25と した。

 (1)実施例1~9
 合成例1~9で得られた各カチオン性共重合体 溶液または両性共重合体水溶液を対パルプ 形分0.15%に相当する量と、対パルプ20%の炭 カルシウム(奥多摩工業社製「TP-121」)の水分 散物とを、40℃にて1分間攪拌する条件にて混 合して前処理炭酸カルシウム水分散液を得、 これを製紙用添加剤とした。
 一方、フリーネスを420mLに調整した原料パ プ(LBKP100%)を用いて3%のパルプスラリーを調 し、40℃に保持した。
 次いで、このパルプスラリー中に、対パル 固形分1.5%の炭酸カルシウム(奥多摩工業社 「TP-121」)と、対パルプ固形分1%の硫酸バン と、対パルプ固形分0.3%のカチオン変性澱粉( 日本エヌエスシー社製「CATO308」)とを添加し 続いて、上記で得た製紙用添加剤(対パルプ 20%の前処理炭酸カルシウムの水分散液)と、 らに対パルプ50ppmの歩留まり向上剤(ハイモ 製「DR-5700」)とを順次添加した後、このスラ リーを1%まで希釈した。当該パルプスラリー pHは7.8であった。
 次いで、パルプスラリーを均一に攪拌した 、TAPPIスタンダード・シートマシーンを用 て坪量70±1g/cm 2 を目標とし、5kg/cm 2 の圧力下で1分間脱水した後、ドラムドライ ーにて105℃で2.5分間乾燥して、実施例1~9の 成紙(内添紙)を得た。

 (2)比較例1~6
 カチオン性共重合体水溶液または両性共重 体水溶液として比較合成例1~6で得られた各 重合体水溶液を用いたこと以外は、実施例1 ~9と同様にして前処理炭酸カルシウム水分散 を得、これを製紙用添加剤として炭酸カル ウムを処理したこと以外は実施例1~9と同様 処理して、比較例1~6の各成紙(内添紙)を得 。

 (3)比較例7
 カチオン性共重合体水溶液または両性共重 体水溶液の代わりに、アクリルアミドとジ チルアミノエチルメタクリレートのベンジ クロライド4級塩との共重合体(特許文献1に 処した水溶性ポリマー)を用いたこと以外は 、実施例1~9と同様にして前処理炭酸カルシウ ム水分散液を得、これを製紙用添加剤として 炭酸カルシウムを処理したこと以外は実施例 1~9と同様に処理して、比較例7の成紙(内添紙) を得た。

 (4)比較例8
 カチオン性共重合体水溶液または両性共重 体水溶液の代わりに、市販のAKD系内添サイ 剤(ハリマ化成(株)製「ハーサイズAK-720H」) 用いたこと以外は、実施例1~9と同様にして 処理炭酸カルシウム水分散液を得、これを 紙用添加剤として炭酸カルシウムを処理し こと以外は実施例1~9と同様に処理して、比 例8の成紙(内添紙)を得た。

 (5)比較例9~23
 炭酸カルシウムに前処理を施すことなく、 下の手法にて成紙(内添紙)を作成した。
 すなわち、フリーネスを420mLに調整した原 パルプ(LBKP100%)を用いて3%のパルプスラリー 調製し、40℃に保持した。
 次いで、このパルプスラリー中に、対パル 固形分1.5%の炭酸カルシウム(奥多摩工業社 「TP-121」)と、対パルプ固形分1%の硫酸バン と、対パルプ固形分0.3%のカチオン変性澱粉( 日本エヌエスシー社製「CATO308」)と、合成例1 ~9および比較合成例1~6で得られた各共重合体 溶液を対パルプ固形分0.15%に相当する量と 対パルプ20%の炭酸カルシウム(奥多摩工業社 「TP-121」)の水分散物と、さらに対パルプ50p pmの歩留まり向上剤(ハイモ社製「DR-5700」)と 順次添加した後、このスラリーを1%まで希 した。当該パルプスラリーのpHは7.8であった 。
 次いで、このパルプスラリーを実施例1~9と 様に処理して、比較例9~23の各成紙(内添紙) 作成した。

 (6)比較例24~25
 合成例1~9および比較合成例1~6で得られた各 重合体水溶液の代わりに、比較例24では市 のAKD系内添サイズ剤(ハリマ化成(株)製「ハ サイズAK-720H」)を用い、比較例25では中性ロ ンサイズ剤(ハリマ化成(株)製「ニューサイ 840」)を用いたこと以外は比較例9~23と同様 処理して(すなわち、サイズ剤と炭酸カルシ ムをパルプスラリーに併用添加して)、比較 例24~25の各成紙(内添紙)を作成した。

 上記実施例1~9および比較例1~25で得られた 内添紙について、成紙を23℃、相対湿度50%の 件下で24時間調湿した後、JIS-P-8122に基づい ステキヒトサイズ度を測定した(紙中灰分13% )。表2は、その試験結果である。

 本発明の製紙用添加剤(前処理炭酸カルシウ ム)を内添した実施例1~9では、高いサイズ効 が得られ、特に、カチオン当量に対するア オン当量の比率が17%と低く、4級化率が80モ %と高い両性共重合体(合成例5)で炭酸カルシ ムを前処理した実施例5では、優れたサイズ 性を示した。
 これに対して、4級化せず、あるいは4級化 が30モル%以下のカチオン性共重合体で炭酸 ルシウムを前処理した比較例1~3、カチオン 量に対するアニオン当量の比率が90%を超え 両性共重合体で前処理した比較例4~5、アニ ン性共重合体で前処理した比較例6、冒述の 許文献1に準拠したカチオン性共重合体で前 処理した比較例7においてはいずれも、サイ 度が1秒未満か1秒強であり、冒述の特許文献 3に準拠してAKDサイズ剤で炭酸カルシウムを 処理した比較例8においても、サイズ度は3.9 と実施例より明らかに劣っており、良好な イズ効果は得られなかった。特に、比較例7 の水溶性カチオンポリマーは疎水性基を含有 しないことから、炭酸カルシウムを前処理し てもサイズ効果が得られないことが分かった 。

 また、比較例9~23から、パルプスラリーに合 成例1~9および比較合成例1~6の各共重合体と炭 酸カルシウムとを単に併用添加して紙を作成 しても、サイズ効果は得られないことが分か った。
 さらに、AKD系内添サイズ剤については、当 サイズ剤で炭酸カルシウムを前処理して内 した場合(比較例8)であっても、単にパルプ ラリーに併用添加した場合(比較例24)であっ ても、ある程度のサイズ効果は得られるが、 実施例と比較すると明らかに劣ることが分か った。他方、中性ロジンサイズ剤に関しては 、比較例25から、実施例と同じ量(対パルプ固 形分0.15%)の当該サイズ剤を炭酸カルシウムと もにパルプスラリーに併用添加しただけでは 、添加量が少なすぎて充分なサイズ効果が得 られないことが分かった。

 以上の通り、疎水性基を有するカチオン性 重合体、あるいは両性共重合体で填料(炭酸 カルシウム)を混合撹拌し、得られた前処理 料を紙に内添すると、内添紙に優れたサイ 性を付与できることが認められるが、填料( 酸カルシウム)をアニオン性共重合体、ある いは疎水性基を有しないカチオン性共重合体 で前処理しても、サイズ性は発現しないこと が確認された(比較例6~7参照)。
 また、疎水性基を含有しても4級化率が40モ %より少ないカチオン性共重合体では、サイ ズ性は得られないことが確認された(比較例2~ 3参照)。
 さらに、実施例3(合成例3)と比較例5(比較合 例5)の対比からも分かる通り、疎水性基を 有した両性共重合体にあっては、4級化率が4 0モル%以上でもカチオン当量に対するアニオ 当量の比率が90%を超えると、やはりサイズ が発現しなかった。これは、比較例5では、 イタコン酸量(アニオン当量)が過剰であるた 、イタコン酸がカチオン性モノマーとイオ コンプレックスを形成し、炭酸カルシウム の前処理作用が阻害されたためと推定され 。
 一方、填料(炭酸カルシウム)を特定のカチ ン性共重合体または両性共重合体で予め混 処理することなく、パルプスラリーにこれ の共重合体と填料を単に併用添加するだけ は、サイズ性が得られないことから(比較例9 ~23参照)、炭酸カルシウムを前処理すること 重要性が確認できた。

 《填料内添紙の製造および得られた内添紙 評価2》
 一般に、中性抄造では炭酸カルシウムの添 量が増すとサイズ性が損なわれ、また、ロ ン系エマルションサイズ剤を用いる場合に 、サイズ性を高めるために硫酸アルミニウ を増量する必要がある。そこで、本発明の 紙用添加剤(前処理炭酸カルシウム)を使用 た場合において、その内添量とサイズ度の 係、内添サイズ剤を添加しない場合のサイ 度と硫酸アルミニウム量や紙力との関係な を調べた。

 (1)実施例10~15
 合成例5の両性共重合体水溶液を用いて実施 例1~9と同様にして得た前処理炭酸カルシウム 水分散液を製紙用添加剤として使用し、内添 サイズ剤を添加せず、硫酸アルミニウム(硫 バンド)、填料、および合成例5の共重合体の 各添加量をそれぞれ下記に示す量のいずれか に設定したこと(具体的には、表3に示す)以外 は、実施例1~9と同様に処理して、実施例10~15 各成紙(内添紙)を得た。
 尚、実施例10~14では填料として炭酸カルシ ムを用い、実施例15では填料として炭酸カル シウム-シリカ複合物を用いた。
 (a)硫酸バンドの量:対パルプ固形分0.2%、0.5% 1.0%
 (b)填料の量:対パルプ固形分10%、20%、30%
 (c)合成例5の共重合体の量:対パルプ固形分0. 15%
 得られた紙について、サイズ度、裂断長、 分をそれぞれ測定した。サイズ度はJIS-P-8122 に基づいて、裂断長(km)はJIS-P-8113に基づいて 灰分(重量%)はJIS-P-8128に基づいて、それぞれ 測定した。結果は表3に示す。

 (2)比較例26~31
 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成(株)製「ニ ーサイズ840」)を対パルプ固形分0.4%で内添 、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、填料、お よび合成例5の共重合体の各添加量を実施例10 ~15と同様に設定した以外は、比較例9~23と同 に処理して、比較例26~31の各成紙(内添紙)を た。
 尚、比較例26~30では填料として炭酸カルシ ムを用い、比較例31では填料として炭酸カル シウム-シリカ複合物を用いた。
 得られた紙について、実施例10~15と同様に て、サイズ度、裂断長、灰分を測定した。 果を表3に示す。

 比較例26~28から、中性ロジンサイズ剤を 添した場合、炭酸カルシウム量の増加(10%→2 0%→30%)、つまり紙中灰分の増加に伴って(8%→ 13%→17%)、サイズ性の低下が確認された(11.0秒 →7.2秒→2.1秒)。同様に、本発明の製紙用添 剤(前処理炭酸カルシウム)を内添した実施例 10~12においても、炭酸カルシウム量、つまり 中灰分の増加に伴って、サイズ性の低下が 認された(10.9秒→5.6秒→3.4秒)。しかしなが 、比較例26~28ではサイズ剤の添加量が0.4%で るのに対して、実施例10~12では、内添剤は 加しておらず、この内添サイズ剤を添加し い条件であっても、比較例で使用したサイ 剤の半分弱の少ない量(0.15%)で合成例5の共重 合体を使用して炭酸カルシウムを前処理する ことにより、サイズ効果を付与できることが 分かった。

 また、比較例27、29~30(いずれも炭酸カルシ ム量は20%)を見ると、硫酸アルミニウム量の 少に従って(1.0%→0.5%→0.2%)、サイズ度も順 低下しているが(7.2秒→3.8秒→1.5秒)、実施例 11、13~14では、硫酸アルミニウム量が減少し も(1.0%→0.5%→0.2%)、サイズ度は余り変化して いない(5.6秒→5.8秒→5.4秒)。このことから、 発明の製紙用添加剤(前処理炭酸カルシウム )を内添した場合には、サイズ効果は硫酸バ ド量に余り依存しないことが確認できた。
 さらに、実施例10~12と比較例26~28を対比する と、灰分増加に伴う裂断長の低下は、実施例 (2.4km→2.0km→1.8km)の方が比較例(2.4km→1.8km→1. 5km)よりも低下率が小さく、紙力低下につい も実施例の方が抑制効果が高いことが確認 きた。
 一方、合成例5の共重合体を使用して前処理 した炭酸カルシウム-シリカ複合物を紙に内 した実施例15では、炭酸カルシウム-シリカ 合物を添加した比較例31に比べて、サイズ度 が改善されることが認められた。

 以上、本発明にかかる製紙用添加剤及び 料内添紙について詳しく説明したが、本発 の範囲はこれらの説明に拘束されることは く、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜 更または改善しうるものである。