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Title:
ADHESIVE COMPOSITION AND OPTICAL FILM HAVING ADHESIVE AGENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090815
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an adhesive composition comprising: (A) an acrylic resin; (B) a crosslinking agent; (C) a first organopolysiloxane having a functional group and a methoxy group and/or an ethoxy group in the molecule, and (D) a second organopolysiloxane having a functional group and a methoxy group and/or an ethoxy group and also having an alkoxy group having 3 carbon atoms and/or an alkoxy group having 4 carbon atoms (e.g., a propoxy group, a butoxy group) in the molecule. When the composition is adhered to an optical film to produce an optical film having an adhesive agent, the resulting optical film exhibits steady properties over a long period, and can exhibit good rework property and excellent durability even when upsized. Therefore, the optical film having the adhesive agent can be suitably used in a liquid crystal display device.

Inventors:
ITAGAKI AKINARI (JP)
TAKEKO RYU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050597
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
January 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHINETSU CHEMICAL CO (JP)
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
ITAGAKI AKINARI (JP)
TAKEKO RYU (JP)
International Classes:
C09J133/00; C09J183/04; G02B5/30
Foreign References:
JPH08199130A1996-08-06
JP2006290994A2006-10-26
JPH07331206A1995-12-19
Attorney, Agent or Firm:
KOJIMA, Takashi (16-12 Ginza 2-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 (A)アクリル樹脂、
(B)架橋剤、
(C)下記平均組成式(I)
  Y a R 1 b Si(OCH 3 ) c (OC 2 H 5 ) d (OH) e O (4-a-b-c-d-e)/2    …(I)
(式中、Yはメルカプト基、エポキシ基、(メタ)アクリロイロキシ基、アルケニル基、
ハロアルキル基及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種を有する有機基を表し;
R 1 は、少なくとも1種の脂肪族不飽和結合を有さない炭素原子数1~8の非置換の一価炭化水素基を表し;
a、b、c、d及びeは、0.01≦a≦1、0≦b<2、0≦c≦2、0≦d≦2、0≦e≦1であって、かつ0.1≦c+d≦2.5及び2≦a+b+c+d+e≦3を満たす数である。)
で表される第一のオルガノポリシロキサン、及び
(D)下記平均組成式(II)
  Y f R 1 g Si(OCH 3 ) h (OC 2 H 5 ) i (OR 2 ) j (OH) k O (4-f-g-h-i-j-k)/2
                                   …(II)
(式中、Y及びR 1 は、上記と同じ意味を表し;
R 2 は、炭素原子数3及び/又は4のアルキル基あるいはメトキシプロピル基を表し;
f、g、h、i、j及びkは、0.01≦f≦1、0≦g<2、0≦h≦2、0≦i≦2、0<j≦2、0≦k≦1であって、hとiが同時に0となることはなく、かつ0.1≦h+i+j≦2.5及び2≦f+g+h+i+j+k≦3を満たす数である。)
で表される第二のオルガノポリシロキサン
を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
 アクリル樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を主成分とし、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物に由来する構造単位を含むアクリル樹脂を含有する請求項1に記載の粘着剤組成物。
 極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基及びエポキシ環から選ばれるものである請求項2に記載の粘着剤組成物。
 架橋剤(B)は、イソシアネート系化合物を含む請求項1~3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
 第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前記平均組成式(I)及び第二のオルガノポリシロキサン(D)を表す前記平均組成式(II)において、Yがメルカプト基又はエポキシ基を有する有機基である請求項1~4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
 第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前記平均組成式(I)及び第二のオルガノポリシロキサン(D)を表す前記平均組成式(II)において、b及びgが正数で、R 1 がメチル基であり、R 2 がプロピル基又はイソプロピル基である請求項1~5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
 第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前記平均組成式(I)において、c及びdがともに正数であり、第二のオルガノポリシロキサン(D)を表す前記平均組成式(II)において、h及びiがともに正数である請求項1~6のいずれかに記載の粘着剤組成物。
 第一のオルガノポリシロキサン(C)及び第二のオルガノポリシロキサン(D)は、それぞれ平均重合度が3~100である請求項1~7のいずれかに記載の粘着剤組成物。
 光学フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1~8のいずれかに記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層が設けられていることを特徴とする粘着剤付き光学フィルム。
 光学フィルムは、偏光フィルム及び位相差フィルムから選ばれる請求項9に記載の粘着剤付き光学フィルム。
 光学フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面にアセチルセルロース系樹脂又は非晶性環状ポリオレフィン系樹脂からなる保護フィルムが貼着された偏光フィルムを含む請求項10に記載の粘着剤付き光学フィルム。
Description:
粘着剤組成物及び粘着剤付き光 フィルム

 本発明は、粘着剤組成物、及び特に液晶 示用ガラスセルに貼合して用いられる粘着 付き光学フィルムに関するものである。

 TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)等 液晶表示装置に一般に用いられている液晶 ルは、液晶成分が二枚のガラス基板間に挟 された構造を有している。そして、それぞ のガラス基板の表面には、アクリル樹脂を 成分とする粘着剤を介して、偏光フィルム 位相差フィルム等の光学フィルムが積層さ ている。そこで光学フィルムは通常、その なくとも片面に粘着剤層が形成された粘着 付き光学フィルムの形で流通しており、液 セルを組み立てる段階で、その粘着剤側を ラス基板に貼り合わせる形態が、一般に採 されている。

 このような粘着剤付き光学フィルムは、 又は湿熱条件下では伸縮による寸法変化が きいため、ガラス基板に貼り合わせた光学 層体の状態では、粘着剤層内で発泡したり 粘着剤層とガラス基板との間に浮きや剥れ が発生したりするという問題があった。更 最近では、カーナビゲーションシステム等 車載用としても液晶表示装置が用いられて るが、車載用途においては、高温・高湿条 下でも発泡や浮き、剥れ等が生じないとい 耐久性も必要となってきている。

 また、粘着剤付き光学フィルムを液晶表 用ガラスセルに貼合する際、不備があった 合には、その光学フィルムを剥がしてから 再度貼り直すことになるが、その剥離のと に粘着剤層が光学フィルムに伴って引き剥 され、ガラス基板上に粘着剤層が残らず、 り等も生じないような、いわゆるリワーク も求められる。最近ではテレビ用途等の大 化に伴い、光学フィルムの面積も大きくな 中で、従来よりも一層優れたリワーク性が められるようになってきた。

 かかる問題を解消するために、アクリル 脂を主成分とする粘着剤について各種の提 がなされている。例えば、特許第3022993号公 報(特許文献1)には、エポキシ基をもつシラン 化合物を含有するアクリル樹脂粘着剤層を偏 光フィルムの表面に設けることが記載されて いる。また特許第3487940号公報(特許文献2)に 、アクリル樹脂中に、硬化剤と特定のシリ ートオリゴマーを配合した粘着剤組成物が 載され、その粘着剤組成物を偏光フィルム の光学フィルムに適用することも記載され いる。

特許第3022993号公報(特開平4-223403号公報)

特許第3487940号公報(特開平8-199130号公報)

 しかしながら、本発明者らが検討したと ろ、従来から知られている粘着剤を設けた 学フィルムは、粘着剤塗工後3ヶ月程度であ れば、その粘着剤層を介してガラス基板に貼 合した後のリワーク性や粘着耐久性において 比較的良好であるものの、塗工後半年とか1 とかの長期間を経た場合には、その粘着剤 を介してガラス基板に貼合した後の粘着耐 性やリワーク性が低下する場合もあること 明らかになってきた。

 そこで、本発明の目的は、リワーク性が 好であるとともに、ガラス基板に貼り合わ たときに、ガラス基板と粘着剤層との間の きや剥れ、また粘着剤層内での発泡を抑制 ることができ、粘着剤塗工後、半年とか1年 とかの長期間を経た後も、このような浮きや 剥れ、発泡、曇り等が生じにくく、耐久性及 びリワーク性に優れ、従って光学フィルムの 粘着剤として好適な粘着剤組成物、及びそれ を用いた粘着剤付き光学フィルムを提供する ことにある。

 本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭 研究を行った結果、メルカプト基等の官能 とともに、メトキシ基及び/又はエトキシ基 を一分子内に含有するオルガノポリシロキサ ンと、同じくメルカプト基等の官能基並びに メトキシ基及び/又はエトキシ基に加えて、 にプロポキシ基やブトキシ基等の炭素原子 3及び/又は4のアルコキシ基を一分子内に含 するオルガノポリシロキサンとを接着剤成 に配合するのが有効であることを見出した
 即ち、従来から粘着剤分野で用いられてい シラン化合物乃至オルガノポリシロキサン 、分子内にメトキシ基及び/又はエトキシ基 を有するものが多かったが、この場合は、そ の加水分解性が十分にコントロールできず、 保存安定性に問題があった。特にアクリル系 粘着剤には、水分が含まれるため、シラン化 合物を含む粘着剤を長期間、粘着剤としての 性質を安定させることは困難であった。そこ で、加水分解反応性の高いメトキシ基やエト キシ基を含有するポリオルガノシロキサンと 、加水分解反応性の低いプロポキシ基やブト キシ基等の炭素原子数3及び/又は4のアルコキ シ基を含有するポリオルガノシロキサンを併 用することによって、シラン化合物の加水分 解反応性を任意に変化させることができるこ とを見出した。従って、かかる2種類のオル ノポリシロキサンをアクリル樹脂及び架橋 とともに配合した粘着剤組成物は、加水分 するアルコキシ基の量が長期にわたり一定 保たれるため、性能が安定している。
 また、粘着剤において、その層が設けられ 光学フィルムの種類、使用条件等によって その中に配合されるシラン化合物の加水分 反応性は異なることがあるが、それぞれの 的に応じてアルコキシ基の種類と含有量を えた単一製品を提供することには限界があ 。そこで、加水分解反応性が異なる少なく も2種類のオルガノポリシロキサンを用意し 、要求レベルに応じてそれらの混合比率を変 えた組成物とすることで、対応可能な範囲が 拡大する。
 更に、上記のオルガノポリシロキサンは、 ランカップリング剤としての効果があり、 ラス及びアクリル樹脂との親和性が高いた 、それを配合した粘着剤組成物から形成さ る粘着剤層が設けられた粘着剤付き光学フ ルムは、その粘着剤層側でガラス基板に貼 合わせたときに、粘着剤層とガラス基板と 間の浮きや剥れ等が抑制される。更にこの ルガノポリシロキサンは、シリコーン系剥 剤としての効果も発現するため、それを配 した粘着剤組成物から形成された粘着剤層 設けられた粘着剤付き光学フィルムは、リ ーク性にも優れるものとなることを知見し 本発明をなすに至った。

 従って、本発明は、下記粘着剤組成物及び 着剤付き光学フィルムを提供する。
(1)(A)アクリル樹脂、
(B)架橋剤、
(C)下記平均組成式(I)
  Y a R 1 b Si(OCH 3 ) c (OC 2 H 5 ) d (OH) e O (4-a-b-c-d-e)/2    …(I)
(式中、Yはメルカプト基、エポキシ基、(メタ )アクリロイロキシ基、アルケニル基、
ハロアルキル基及びアミノ基から選ばれる少 なくとも1種を有する有機基を表し;
R 1 は、少なくとも1種の脂肪族不飽和結合を有 ない炭素原子数1~8の非置換の一価炭化水素 を表し;
a、b、c、d及びeは、0.01≦a≦1、0≦b<2、0≦c 2、0≦d≦2、0≦e≦1であって、かつ0.1≦c+d≦ 2.5及び2≦a+b+c+d+e≦3を満たす数である。)
で表される第一のオルガノポリシロキサン、 及び
(D)下記平均組成式(II)
  Y f R 1 g Si(OCH 3 ) h (OC 2 H 5 ) i (OR 2 ) j (OH) k O (4-f-g-h-i-j-k)/2
                                    …(II)
(式中、Y及びR 1 は、上記と同じ意味を表し;
R 2 は、炭素原子数3及び/又は4のアルキル基ある いはメトキシプロピル基を表し;
f、g、h、i、j及びkは、0.01≦f≦1、0≦g<2、0 h≦2、0≦i≦2、0<j≦2、0≦k≦1であって、h とiが同時に0となることはなく、かつ0.1≦h+i+ j≦2.5及び2≦f+g+h+i+j+k≦3を満たす数である。)
で表される第二のオルガノポリシロキサン
を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
(2)アクリル樹脂(A)は、(メタ)アクリル酸アル ルエステルに由来する構造単位を主成分と 、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系 合物に由来する構造単位を含むアクリル樹 を含有する(1)に記載の粘着剤組成物。
(3)極性官能基は、遊離カルボキシル基、水酸 基、アミノ基及びエポキシ環から選ばれるも のである(2)に記載の粘着剤組成物。
(4)架橋剤(B)は、イソシアネート系化合物を含 む(1)~(3)のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(5)第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前 記平均組成式(I)及び第二のオルガノポリシロ キサン(D)を表す前記平均組成式(II)において Yがメルカプト基又はエポキシ基を有する有 基である(1)~(4)のいずれかに記載の粘着剤組 成物。
(6)第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前 記平均組成式(I)及び第二のオルガノポリシロ キサン(D)を表す前記平均組成式(II)において b及びgが正数で、R 1 がメチル基であり、R 2 がプロピル基又はイソプロピル基である(1)~(5 )のいずれかに記載の粘着剤組成物。
(7)第一のオルガノポリシロキサン(C)を表す前 記平均組成式(I)において、c及びdがともに正 であり、第二のオルガノポリシロキサン(D) 表す前記平均組成式(II)において、h及びiが もに正数である(1)~(6)のいずれかに記載の粘 着剤組成物。
(8)第一のオルガノポリシロキサン(C)及び第二 のオルガノポリシロキサン(D)は、それぞれ平 均重合度が3~100である(1)~(7)のいずれかに記載 の粘着剤組成物。
(9)光学フィルムの少なくとも一方の面に、(1) ~(8)のいずれかに記載の粘着剤組成物から形 される粘着剤層が設けられていることを特 とする粘着剤付き光学フィルム。
(10)光学フィルムは、偏光フィルム及び位相 フィルムから選ばれる(9)に記載の粘着剤付 光学フィルム。
(11)光学フィルムは、偏光子の少なくとも一 の面にアセチルセルロース系樹脂又は非晶 環状ポリオレフィン系樹脂からなる保護フ ルムが貼着された偏光フィルムを含む(10)に 載の粘着剤付き光学フィルム。

 本発明の粘着剤組成物は、それを光学フ ルムに貼着し、粘着剤付き光学フィルムと た状態で、長期間性能が安定しており、ま 大型化してもリワーク性が良好であるとと に、耐久性にも優れる。従ってこの粘着剤 き光学フィルムは、液晶表示装置に好適に いられる。

 以下、本発明の実施の形態を詳しく説明 る。本発明の粘着剤組成物は、(A)アクリル 脂、(B)架橋剤、(C)前記平均組成式(I)で表さ 、メルカプト基等の官能基とメトキシ基及 /又はエトキシ基とを一分子内に含有する第 一のオルガノポリシロキサン、並びに(D)前記 平均組成式(II)で表され、メルカプト基等の 能基とメトキシ基及び/又はエトキシ基と炭 原子数3及び/又は4のアルコキシ基とを一分 内に含有する第二のオルガノポリシロキサ を必須に含有するものである。まず、これ の成分について説明する。

[アクリル樹脂]
 本発明に用いられるアクリル樹脂は、具体 には(メタ)アクリル酸アルキルエステルに 来する構造単位を主成分とし、遊離カルボ シル基、水酸基、アミノ基、エポキシ環を じめとする複素環基等の極性官能基を有す モノマー、好ましくは極性官能基を有する( タ)アクリル酸系化合物に由来する構造単位 を含むアクリル樹脂(A-1)であることが好まし 。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリ 酸又はメタクリル酸のいずれでもよいこと 意味し、他に、(メタ)アクリレート等という ときの「(メタ)」も同様の趣旨である。また ここでのアルキル基は脂環式構造を有する ルキル基(シクロアルキル基)は含まない。

 (メタ)アクリル酸エステルとしては、ア リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリ 酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、 アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチ ル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステア リル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸メト キシエチル、アクリル酸エトキシメチルの如 き、アクリル酸アルキルエステルや、メタク リル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク リル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ クリル酸イソブチル、メタクリル酸2-エチル キシル、メタクリル酸オクチル、メタクリ 酸イソオクチル、メタクリル酸ラウリル、 タクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベン ル、メタクリル酸メトキシエチル、メタク ル酸エトキシメチルの如き、メタクリル酸 ルキルエステルが挙げられる。これらの(メ タ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞ 単独で用いることができるほか、異なる複 のものを用いて共重合させてもよい。

 極性官能基を有するモノマーの例として 、アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキ エチルアクリレートの如き、遊離カルボキ ル基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸2- ドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロ シプロピル、(メタ)アクリル酸2-又は3-クロ -2-ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコ ルモノ(メタ)アクリレートの如き、水酸基 有するモノマー;アクリロイルモルホリン、 ニルカプロラクタム、N-ビニル-2-ピロリド 、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレー ト、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフ リルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキ ルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル( タ)アクリレート、2,5-ジヒドロフランの如き 、複素環基を有するモノマー;N,N-ジメチルア ノエチル(メタ)アクリレートの如き、複素 とは異なるアミノ基を有するモノマー等を げることができる。これらの極性官能基を するモノマーは、それぞれ単独で用いるこ ができるほか、異なる複数のものを用いて よい。

 粘着剤組成物におけるアクリル樹脂(A-1) 、その100質量部中、(メタ)アクリル酸アルキ ルエステルに由来する構造単位を、通常は60~ 99.9質量部、好ましくは80~99.6質量部の割合で 有しており、また極性官能基を有するモノ ーに由来する構造単位を、通常は0.1~20質量 、好ましくは0.4~10質量部の割合で含有して る。

 本発明で使用されるアクリル樹脂(A-1)は 上記で説明した(メタ)アクリル酸アルキルエ ステル及び極性官能基を有するモノマー以外 のモノマーに由来する構造単位を含有してい てもよい。これらの例としては、分子内に脂 環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル 由来する構造単位、スチレン系モノマーに 来する構造単位、ビニル系モノマーに由来 る構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリ イル基を有するモノマーに由来する構造単 等を挙げることができる。

 脂環式構造とは、通常、炭素数5以上、好 ましくは炭素数5~7程度のシクロパラフィン構 造である。脂環式構造を有するアクリル酸エ ステルの具体例としては、アクリル酸イソボ ルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリ ル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸シクロ ドデシル、アクリル酸メチルシクロヘキシル 、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、ア クリル酸tert-ブチルシクロヘキシル、α-エト シアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸 クロヘキシルフェニル等が挙げられ、脂環 構造を有するメタクリル酸エステルの具体 としては、メタクリル酸イソボルニル、メ クリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジ クロペンタニル、メタクリル酸シクロドデ ル、メタクリル酸メチルシクロヘキシル、 タクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メ クリル酸tert-ブチルシクロヘキシル、メタ リル酸シクロヘキシルフェニル等が挙げら る。

 スチレン系モノマーの例としては、スチ ンのほか、メチルスチレン、ジメチルスチ ン、トリメチルスチレン、エチルスチレン ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、 ロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシ スチレン、ヘプチルスチレン、オクチルス レンの如きアルキルスチレン;フロロスチレ ン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブ ロモスチレン、ヨードスチレンの如きハロゲ ン化スチレン;更に、ニトロスチレン、アセ ルスチレン、メトキシスチレン、ジビニル ンゼン等を挙げることができる。

 ビニル系モノマーの例としては、酢酸ビ ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2- チルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル 如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニルや臭 ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリ デンの如きハロゲン化ビニリデン;ビニルピ ジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾ ルの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、 ソプレン、クロロプレンの如き共役ジエン ノマー;更には、アクリロニトリル、メタク リロニトリル等を挙げることができる。

 分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を するモノマーの例としては、1,4-ブタンジオ ルジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ ルジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオー ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコー ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー ルジ(メタ)アクリレート、テトラエチレング コールジ(メタ)アクリレート、トリプロピ ングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、 分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ) アクリレートの如き、分子内に3個の(メタ)ア クリロイル基を有するモノマー等を挙げるこ とができる。

 (メタ)アクリル酸エステル及び極性官能 を有するモノマー以外のモノマーは、それ れ単独で、又は2種以上組み合わせて使用す ことができる。粘着剤組成物を構成するア リル樹脂(A-1)において、(メタ)アクリル酸エ ステル及び極性官能基を有するモノマー以外 のモノマーに由来する構造単位は、アクリル 樹脂(A-1)100質量部中、通常0~20質量部、好まし くは0~10質量部の割合で含有される。

 粘着剤組成物の有効成分は、以上のよう 、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由 する構造単位を主成分とし、極性官能基を するモノマーに由来する構造単位を含むア リル樹脂(A-1)を2種類以上含むものであって よい。更に、前記アクリル樹脂(A-1)に、それ とは異なるアクリル樹脂(A-2)、具体的には例 ば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに 来する構造単位を有し、極性官能基を含ま いアクリル樹脂等を混合したものであって よいが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル に由来する構造単位を主成分とし、極性官能 基を有するモノマーに由来する構造単位を含 むアクリル樹脂(A-1)は、全アクリル樹脂の60~1 00質量%、特に80~100質量%であることが好まし 。

 (メタ)アクリル酸アルキルエステルに由 する構造単位を主成分とし、極性官能基を するモノマーに由来する構造単位を含有す アクリル樹脂(A-1)は、ゲルパーミエーション クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチ ン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000,000~2,000 ,000の範囲にあることが好ましい。標準ポリ チレン換算の重量平均分子量が1,000,000以上 あると、高温高湿下での接着性が向上し、 ラス基板と粘着剤層との間に浮きや剥れの 生する可能性が低くなる傾向にあり、しか リワーク性が向上する傾向にあることから ましい。またこの重量平均分子量が2,000,000 下であると、その粘着剤層に貼着された光 フィルムの寸法が変化しても、その寸法変 に粘着剤層が追随して変動するので、液晶 ルの周縁部の明るさと中心部の明るさとの に差がなくなり、白抜けや色ムラが抑制さ る傾向にあることから好ましい。重量平均 子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で表さ る分子量分布は、通常2~10程度の範囲にある

 アクリル樹脂(2種類以上を組み合わせる 合は両者の混合物)は、それを酢酸エチルに かして不揮発分濃度20質量%に調整した溶液 、25℃において20Pa・s以下、更には0.1~7Pa・s 粘度を示すことが好ましい。このときの粘 が20Pa・s以下であると、高温高湿下での接 性が向上し、ガラス基板と粘着剤層との間 浮きや剥れの発生する可能性が低くなる傾 にあり、しかもリワーク性が向上する傾向 あることから好ましい。粘度は、例えばブ ックフィールド粘度計によって測定するこ ができる。

 粘着剤組成物を構成するアクリル樹脂(A-1 )は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊 重合法、懸濁重合法等、公知の各種方法に って製造することができる。このアクリル 脂の製造においては、通常、重合開始剤が いられる。重合開始剤は、アクリル樹脂の 造に用いられる全てのモノマーの合計100質 部に対して、0.001~5質量部程度使用される。

 重合開始剤としては、熱重合開始剤や光 合開始剤等が用いられる。光重合開始剤と て、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェ ル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン等を挙げ ることができる。熱重合開始剤として、例え ば、2,2″-アゾビスイソブチロニトリル、2,2 -アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1″- ゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、 2,2″-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル) 2,2″-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレ ニトリル)、ジメチル-2,2″-アゾビス(2-メチ プロピオネート)、2,2″-アゾビス(2-ヒドロキ シメチルプロピオニトリル)の如きアゾ系化 物;ラウリルパーオキサイド、tert-ブチルハ ドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、te rt-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハ イドロパーオキサイド、ジイソプロピルパー オキシジカーボネート、ジプロピルパーオキ シジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネ デカノエート、tert-ブチルパーオキシピバ ート、(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオ キサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウ 、過硫酸アンモニウム、過酸化水素の如き 機過酸化物等を挙げることができる。また 過酸化物と還元剤を併用したレドックス系 始剤等も、重合開始剤として使用し得る。

 アクリル樹脂(A-1)の製造方法としては、 記に示した方法のなかでも、溶液重合法が ましい。溶液重合法の具体例を挙げて説明 ると、所望のモノマー及び有機溶媒を混合 、窒素雰囲気下にて、熱重合開始剤を添加 て、40~90℃程度、好ましくは60~80℃程度にて3 ~10時間程度撹拌する方法等を挙げることがで きる。また、反応を制御するために、モノマ ーや熱重合開始剤を重合中に連続的又は間歇 的に添加したり、有機溶媒に溶解した状態で 添加したりしてもよい。ここで、有機溶媒と しては、例えば、トルエン、キシレンの如き 芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル 如きエステル類;プロピルアルコール、イソ ロピルアルコールの如き脂肪族アルコール ;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ トンの如きケトン類等を用いることができる 。

[架橋剤]
 本発明の粘着剤組成物においては、以上の うなアクリル樹脂に、更に架橋剤を配合す 。架橋剤は、極性官能基と架橋し得る官能 を分子内に少なくとも2個有する化合物であ って、具体的には例えば、イソシアネート系 化合物、エポキシ系化合物、金属キレート化 合物、アジリジン系化合物等を挙げることが できる。

 イソシアネート系化合物は、分子内に少 くとも2個のイソシアナト基(-NCO)を有する化 合物であり、例えば、トリレンジイソシアネ ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イ ソホロンジイソシアネート、キシリレンジイ ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネ ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、 水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナ フタレンジイソシアネート、トリフェニルメ タントリイソシアネート等が挙げられる。ま た、これらのイソシアネート化合物に、グリ セロールやトリメチロールプロパン等のポリ オールを反応せしめたアダクト体や、イソシ アネート化合物を2量体、3量体等にしたもの 、粘着剤組成物に用いられる架橋剤となり る。更に、2種類以上のイソシアネート系化 合物を混合して用いることもできる。

 エポキシ系化合物は、分子内に少なくと 2個のエポキシ基を有する化合物であり、例 えば、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、 チレングリコールジグリシジルエーテル、 リエチレングリコールジグリシジルエーテ 、グリセリンジグリシジルエーテル、グリ リントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサン オールジグリシジルエーテル、トリメチロ ルプロパントリグリシジルエーテル、N,N-ジ グリシジルアニリン、N,N,N″,N″-テトラグリ ジル-m-キシレンジアミン、1,3-ビス(N,N″-ジ リシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が 挙げられる。2種類以上のエポキシ系化合物 混合して用いてもよい。

 金属キレート化合物としては、例えば、 ルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バ ジウム、クロム及びジルコニウム等の多価 属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチ が配位した化合物等が挙げられる。

 アジリジン系化合物は、エチレンイミン も呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子 らなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個 有する化合物であり、例えば、ジフェニルメ タン-4,4″-ビス(1-アジリジンカルボキサミド) 、トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサ ド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイ ルビス-1-(2-メチルアジリジン)、トリス-1-ア リジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメ レン-1,6-ビス(1-アジリジンカルボキサミド) トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニ ルプロピオネート、テトラメチロールメタン -トリ-β-アジリジニルプロピオネート等が挙 られる。

 これらの架橋剤のなかでも、イソシアネ ト系化合物が好ましく用いられる。また、 ソシアネート系化合物とアジリジン系化合 を併用するのも有効である。

[オルガノポリシロキサン]
 本発明では更に、有機官能基とメトキシ基 び/又はエトキシ基とを一分子内に含有し、 下記平均組成式(I)で表される第一のオルガノ ポリシロキサン、並びに、有機官能基と、メ トキシ基及び/又はエトキシ基と、プロポキ 基やブトキシ基等の炭素原子数が3及び/又は 4のアルコキシ基とを一分子内に同時に含有 、下記平均組成式(II)で表される第二のオル ノポリシロキサンを配合する。
  Y a R 1 b Si(OCH 3 ) c (OC 2 H 5 ) d (OH) e O (4-a-b-c-d-e)/2    …(I)
  Y f R 1 g Si(OCH 3 ) h (OC 2 H 5 ) i (OR 2 ) j (OH) k O (4-f-g-h-i-j-k)/2
                                    …(II)

 前記式(I)及び(II)において、Yは、メルカ ト基、エポキシ基、(メタ)アクリロイロキシ 基、アルケニル基、ハロアルキル基及びアミ ノ基から選ばれる官能基を有する有機基であ る。これらの官能基のうち、メルカプト基、 エポキシ基、(メタ)アクリロイロキシ基及び ミノ基は、通常、連結基を介してケイ素原 に結合し、かかる連結基としては、エーテ 結合(-O-)、イミノ基(-NH-)等のヘテロ原子を 在してもよい炭素数1~12のアルキレン基、ア キレン-アリーレン-アルキレン基等の2価の 化水素基が挙げられ、例えば、メチレン、 チレン、トリメチレン、ヘキサメチレン、 カメチレン等を包含するアルキレン、メチ フェニルエチル等を包含する芳香族環を間 有する2価の炭化水素基、メトキシメチル、 メトキシエチル、メトキシプロピル等を包含 する酸素原子を間に有する2価の脂肪族基等 挙げることができる。アルケニル基やハロ ルキル基は、上記連結基を介してケイ素原 に結合してもよいし、直接ケイ素原子に結 してもよい。

 Yで表される官能基を有する有機基(以下 Yで表される基を「有機官能基」と呼ぶこと ある)の具体例を挙げると、メルカプト基を 有する有機基として、メルカプトメチル基、 3-メルカプトプロピル基、6-メルカプトヘキ ル基、10-メルカプトデシル基、2-(4-メルカプ トメチルフェニル)エチル基等が例示され、 ポキシ基を有する有機基として、グリシド シメチル基、3-グリシドキシプロピル基、5,6 -エポキシヘキシル基、9,10-エポキシデシル基 、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、2 -(3,4-エポキシ-4-メチルシクロヘキシル)プロ ル基等が例示され、(メタ)アクリロイロキシ 基を有する有機基として、アクリロイロキシ メチル基、3-アクリロイロキシプロピル基、6 -アクリロイロキシヘキシル基、10-アクリロ ロキシデシル基、メタクリロイロキシメチ 基、3-メタクリロイロキシプロピル基、6-メ クリロイロキシヘキシル基、10-メタクリロ ロキシデシル基等が例示され、アルケニル を有する有機基として、ビニル基、アリル 、5-ヘキセニル基、9-デセニル基、3-ビニル キシプロピル基、p-スチリル基、シクロヘ セニルエチル基等が例示され、ハロアルキ 基を有する有機基として、クロロメチル基 3-クロロプロピル基、6-クロロヘキシル基、1 0-クロロデシル基、ブロモメチル基、3-ブロ プロピル基等が例示され、アミノ基を有す 有機基として、アミノメチル基、3-アミノプ ロピル基、6-アミノプロピル基、N-メチル-3- ミノプロピル基、N,N-ジメチル-3-アミノプロ ル基、N-フェニル-3-アミノプロピル基、N-(2- アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-(6-アミ ノヘキシル)-3-アミノプロピル基、N-(ビニル ンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピル基 が例示される。

 前記平均組成式(I)で表される第一のオル ノポリシロキサン及び平均組成式(II)で表さ れる第二のオルガノポリシロキサンとして、 異なるYを有するものを使用することも可能 あるが、同一系統の官能基を有するものと ることが好ましい。この場合であっても、 端官能基とケイ素原子を接続するアルキレ 基等や一つの有機基中の官能基置換数が異 るものとすることは差し支えない。

 平均組成式(I)及び(II)のオルガノポリシロ キサンにおいて、上記した有機官能基のうち で、メルカプト基、エポキシ基又は(メタ)ア リロイロキシ基を有する有機基とした場合 その高い反応性から好ましいものであり、 りわけメルカプト基又はエポキシ基を有す 有機基は、ガラスと光学フィルムの接着力 高める効果が高いので、より好ましい。

 また、前記式(I)及び(II)において、R 1 は、少なくとも1種の脂肪族不飽和結合を有 ない炭素原子数1~8の非置換の一価炭化水素 であって、具体的には、メチル基、エチル 、プロピル基、イソプロピル基、1-メチルプ ロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブ ル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル 、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル 等のアルキル基、アリール基、アラルキル が例示され、所望なら、R 1 として複数の基を導入することもできる。な かでも、上記した有機官能基の反応性に対す る立体障害の影響やコスト面からは、特にR 1 をメチル基とすることが好ましい。

 前記式(II)において、R 2 は炭素原子数3及び/又は4のアルキル基であり 、具体的には、プロピル基、イソプロピル基 、1-メチルプロピル基、ブチル基、イソブチ 基又はtert-ブチル基であることができる。 た、メトキシプロピル基も同等の効果を得 ことができるものとしてR 2 に含まれる。所望なら、R 2 として複数の基を導入することもできる。な かでも、加水分解反応性を適度に低下させる 点や、アルキル基の嵩高さが上記した有機官 能基の含有量(当量)に及ぼす影響といった観 から、R 2 は特にプロピル基又はイソプロピル基とする ことが好ましい。

 更に、前記式(I)において、a、b、c、d及び eは、0.01≦a≦1、0≦b<2、0≦c≦2、0≦d≦2、0 ≦e≦1であって、かつ0.1≦c+d≦2.5及び2≦a+b+c+ d+e≦3を満たす数である。また前記式(II)にお て、f、g、h、i、j及びkは、0.01≦f≦1、0≦g&l t;2、0≦h≦2、0≦i≦2、0<j≦2、0≦k≦1であ て、hとiが同時に0となることはなく、かつ0. 1≦h+i+j≦2.5及び2≦f+g+h+i+j+k≦3を満たす数で る。

 ここで係数a及びfは、ケイ素原子に対す 有機官能基の置換度を表す数値であり、こ が小さすぎると、オルガノポリシロキサン 使用時に、本来あるべき有機官能基の反応 による特性が発揮されず、少なくとも一分 中に一個の有機官能基を有するものとする 要があり、一方、有機官能基の置換度を1よ 大きくすることは合成法上やコスト面から 難であることから、0.01≦a≦1及び0.01≦f≦1 範囲とする。好ましくは0.1≦a≦1及び0.1≦f 1の範囲、より好ましくは0.1≦a≦0.8及び0.1 f≦0.8の範囲である。

 係数b及びgは、ケイ素原子に対する脂肪 不飽和結合を有さない炭素原子数1~8の非置 の一価炭化水素基の置換度を表す数値であ 、これが0であるか又は0に近い場合には、相 対的にアルコキシ基の含有量が増加して加水 分解反応やシリル化反応への寄与率が高まる し、場合によってはオルガノポリシロキサン の水に対する親和性が向上する。一方、この 数値が大きい場合、一価炭化水素基の種類に よっては、オルガノポリシロキサンに疎水性 が付与される(アルキル基等)、アクリル樹脂 の相溶性を向上させる(フェニル基等)、粘 剤の硬化物に柔軟性や離型性を付与する(メ ル基)等の効果があるが、b又はgが大きくな と相対的にアルコキシ基の含有量が減少す ため、アルコキシシリル基の反応性を活用 る粘着剤用途には不向きとなってしまう。 こで、使用目的に応じて0≦b<2及び0≦g< 2の範囲とする。好ましくは0≦b≦1及び0≦g≦ 1の範囲、より好ましくは0≦b≦0.8及び0≦g≦0 .8の範囲である。

 式(I)における係数c及びd、並びに式(II)に ける係数h、i及びjは、ケイ素原子に対する 数種のアルコキシ基の置換度を表す数値で り、c及びhはメトキシ基の置換度、d及びiは エトキシ基の置換度、jは上記平均組成式(II) 表されるオルガノポリシロキサンにおける 素原子数3及び/又は4のアルコキシ基の置換 を示すものである。

 前記平均組成式(I)で表される第一のオル ノポリシロキサンは、加水分解反応性が高 メトキシ基及びエトキシ基の少なくとも一 を含むものであり、使用目的に応じて置換 を任意に設定することができるが、それぞ の含有率を表すc及びdは0≦c≦2、0≦d≦2の 囲であって、かつメトキシ基とエトキシ基 合計置換度を表すc+dは、0.1≦c+d≦2.5の範囲 する。好ましくは、0≦c≦1.8、0≦d≦1.8、か 0.2≦c+d≦2.35の範囲である。式(I)中のc及びd ともに0を超える数であって、メトキシ基と エトキシ基の双方を含有するオルガノポリシ ロキサンは、加水分解反応性においてその幅 が広がるとともに、前記平均組成式(II)で表 れる第二のオルガノポリシロキサンと併用 た場合に、段階的に加水分解反応に寄与す 、いわゆるグラデーション効果が期待でき 。そこでc及びdは、より好ましくは0.1≦c≦1. 8、0.1≦d≦1.8、かつ0.5≦c+d≦2.35の範囲である 。

 一方、前記平均組成式(II)で表される第二 のオルガノポリシロキサンにおいて、加水分 解反応性が高いメトキシ基及びエトキシ基の 含有率を表すh及びiと、加水分解反応性が低 プロポキシ基やブトキシ基等の炭素原子数3 及び/又は4のアルコキシ基の含有率を表すjは 、それぞれ使用目的や所望する加水分解反応 性の度合いに応じて適宜設定することが可能 であるが、加水分解反応性を低下させて平均 組成式(I)で表される第一のオルガノポリシロ キサンと併用したときの加水分解反応性をコ ントロールし、かつ上記したように、併用時 の加水分解反応において、第二のオルガノポ リシロキサンだけが取り残されることなく段 階的に加水分解反応に寄与させる、いわゆる グラデーション効果を発現させるという本発 明の目的からは、0≦h≦2、0≦i≦2の範囲であ って、hとiが同時に0となることはなく、0<j ≦2の範囲とし、かつアルコキシ基の合計置 度を表すh+i+jは0.1≦h+i+j≦2.5の範囲とする。 ましくは、0≦h≦1.8、0≦i≦1.8で、hとiの少 くとも一方は0.1以上、0.1≦j≦1.8、0.2≦h+i+j 2.35の範囲であり、より好ましくは、0.1≦h 1.8、0.1≦i≦1.8、0.1≦j≦1.8、0.5≦h+i+j≦2.35の 範囲である。式(II)においても、h及びiがとも に0を超える数であって、メトキシ基とエト シ基の双方を含有することが好ましい。

 また、式(I)における係数e及び式(II)にお る係数kは、ケイ素原子に対する水酸基の置 度、即ちシラノール基の含有率を表す数値 あり、このシラノール基はシリル化反応や 合反応に預かることができ、オルガノポリ ロキサンに親水性を付与する効果があるが オルガノポリシロキサンの保存安定性確保 いう観点からは、できるだけ少なくするこ が好ましい。そこで、0≦e≦1及び0≦k≦1の 囲とする。好ましくは0≦e≦0.5及び0≦k≦0.5 の範囲、より好ましくは0≦e≦0.2及び0≦k≦0. 2の範囲である。

 式(I)における各係数の合計(a+b+c+d+e)、及 式(II)における各係数の合計(f+g+h+i+j+k)は、上 記平均組成式(I)及び(II)で表されるオルガノ リシロキサンの縮合度を表す〔4-(a+b+c+d+e)〕/ 2及び〔4-(f+g+h+i+j+k)〕/2を決定する数値であり 、2≦a+b+c+d+e≦3及び2≦f+g+h+i+j+k≦3の範囲とす る。各オルガノポリシロキサンの重合度は、 ケイ素原子2個のダイマーからケイ素原子数 個程度のポリマーまでの範囲とすることが きるが、平均重合度が2の場合は製造したオ ガノポリシロキサン中のモノマー含有量が くなって、シリコーンアルコキシオリゴマ 本来の使用目的が損なわれるし、平均重合 が大きすぎると高粘度品やペースト状又は 体状となって、取り扱いが困難になるため 平均重合度を3~100の範囲とすることが好ま く、更には3~50の範囲とすることがより好ま い。このような観点から、上記した(a+b+c+d+e )及び(f+g+h+i+j+k)に関しても、好ましくは2≦a+b +c+d+e≦2.67及び2≦f+g+h+i+j+k≦2.67の範囲、より ましくは2<a+b+c+d+e≦2.67及び2<f+g+h+i+j+k≦ 2.67の範囲である。

 有機官能基とメトキシ基及び/又はエトキ シ基とを一分子内に含有する第一のオルガノ ポリシロキサン、及び、有機官能基とメトキ シ基及び/又はエトキシ基と炭素数3及び/又は 4のアルコキシ基とを一分子内に含有する第 のオルガノポリシロキサンは、それぞれ前 平均組成式(I)及び(II)で表され、係数a~e及び 数f~kがそれぞれ上記範囲を満たす数であれ よく、直鎖状、分岐状、環状のもの、及び れらが組み合わさった構造を持っていても い。

[オルガノポリシロキサンの製造方法]
 次に、オルガノポリシロキサンの製造方法 ついて説明する。前記平均組成式(I)で表さ 、有機官能基とメトキシ基及び/又はエトキ シ基とを一分子内に含有する第一のオルガノ ポリシロキサンは、従来公知の各種処方によ って得ることができる。例えば、上記した有 機官能基とメトキシ基及び/又はエトキシ基 含有するシランカップリング剤を原料とし 、単独で部分加水分解・重縮合する方法や その他のアルコキシシラン類及び/又はその 分加水分解物及び/又はその縮合物と部分共 加水分解・重縮合する方法等を挙げることが できる。かくして得られる第一のオルガノポ リシロキサンは、多くの場合、液体である。

 また、前記平均組成式(II)で表され、有機 官能基とメトキシ基及び/又はエトキシ基と 素原子数3及び/又は4のアルコキシ基とを一 子内に含有する第二のオルガノポリシロキ ンも、従来公知の各種処方によって得るこ ができる。一般的な手段として、例えば次 ような方法を挙げることができる。

(1)上記した有機官能基と炭素原子数が異なる 複数種のアルコキシ基を含有するアルコキシ シランを単独で部分加水分解・重縮合する方 法、
(2)有機官能基を含有するアルコキシシラン及 びそれとは炭素原子数が異なるアルコキシ基 を含有し、有機官能基を含有しないアルコキ シシランを、部分共加水分解・重縮合する方 法、
(3)同様の部分加水分解・重縮合操作によって 得られた有機官能基とメトキシ基及び/又は トキシ基とを含有するオルガノポリシロキ ンに、炭素原子数3及び/又は4のアルコール のエステル交換反応により、炭素原子数3及 /又は4のアルコキシ基を導入する方法等。

 本発明においては、前記平均組成式(II)で 表されるオルガノポリシロキサンの構造設計 の自由度、原料入手の容易性といった観点か ら、上記(2)の処方に基づき、少なくとも一種 の下記一般式(III)で表される有機官能基含有 ルコキシシラン及び/又はその部分加水分解 物と、少なくとも一種の下記一般式(IV)で表 れるアルコキシ基含有シラン化合物及び/又 その部分加水分解物及び/又はその縮合物と の混合物を、部分共加水分解及び重縮合させ て、オルガノポリシロキサンとすることが好 ましい。

  YR 1 m Si(OCH 3 ) n (OC 2 H 5 ) 3-m-n    …(III)
  R 1 p Si(OCH 3 ) q (OC 2 H 5 ) r (OR 2 ) 4-p-q-r    …(IV)

 ここで、Y、R 1 及びR 2 は、それぞれ前記式(II)におけるのと同じ意 を表し、mは0~2の整数、nは0~3の整数であるが 、m+nは3以下であり、pは0~2の整数、qは0~4の整 数、rは0~4の整数であるが、p+q+rは4以下であ 、但し、一般式(IV)のアルコキシ基含有シラ 化合物として、OR 2 基を有する成分を少なくとも一種用いるもの とする。

 また変形法として、以下のような方法でオ ガノポリシロキサンとすることもできる。 ち、まず、上記一般式(III)で表される有機 能基含有アルコキシシランと、上記一般式(I V)で表される少なくとも一種のアルコキシ基 有シラン化合物とを予め部分共加水分解さ る。次にこの部分共加水分解生成物を、上 一般式(IV)で表され、先の部分共加水分解に 用いたのとは異なるアルコキシ基含有シラン 化合物及び/又はその部分加水分解物及び/又 その縮合物を混合し、部分加水分解及び重 合させて、オルガノポリシロキサンを得る この方法でも、上記一般式(IV)で表されるア ルコキシ基含有シラン化合物として、OR 2 基を有する成分を少なくとも一種用いるもの とする。

 上記一般式(III)で表される有機官能基含 アルコキシシランの具体例を挙げると、有 官能基として、メルカプトメチル基、3-メル カプトプロピル基、6-メルカプトヘキシル基 10-メルカプトデシル基、2-(4-メルカプトメ ルフェニル)エチル基、グリシドキシメチル 、3-グリシドキシプロピル基、5,6-エポキシ キシル基、9,10-エポキシデシル基、2-(3,4-エ キシシクロヘキシル)エチル基、2-(3,4-エポ シ-4-メチルシクロヘキシル)プロピル基、ア リロイロキシメチル基、3-アクリロイロキ プロピル基、6-アクリロイロキシヘキシル基 、10-アクリロイロキシデシル基、メタクリロ イロキシメチル基、3-メタクリロイロキシプ ピル基、6-メタクリロイロキシヘキシル基 10-メタクリロイロキシデシル基、ビニル基 アリル基、5-ヘキセニル基、9-デセニル基、3 -ビニルオキシプロピル基、p-スチリル基、シ クロヘキセニルエチル基、クロロメチル基、 3-クロロプロピル基、6-クロロヘキシル基、10 -クロロデシル基、ブロモメチル基、3-ブロモ プロピル基、アミノメチル基、3-アミノプロ ル基、6-アミノプロピル基、N-メチル-3-アミ ノプロピル基、N,N-ジメチル-3-アミノプロピ 基、N-フェニル-3-アミノプロピル基、N-(2-ア ノエチル)-3-アミノプロピル基、N-(6-アミノ キシル)-3-アミノプロピル基、N-(ビニルベン ジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピル基等 有するトリメトキシシラン化合物、トリエ キシシラン化合物、メチルジメトキシシラ 化合物、メチルジエトキシシラン化合物、 チルジメトキシシラン化合物、エチルジエ キシシラン化合物、プロピルジメトキシシ ン化合物、プロピルジエトキシシラン化合 、ジメチルメトキシシラン化合物、ジメチ ジエトキシシラン化合物、エトキシジメト シシラン化合物、メトキシジエトキシシラ 化合物等が例示される。

 次に、上記一般式(IV)で表されるアルコキ シ基含有シラン化合物の具体例を挙げると、 p=0のアルコキシシランとして、テトラメトキ シシラン、テトラエトキシシラン、テトラプ ロポキシシラン、テトライソプロポキシシラ ン、テトラブトキシシラン、テトライソブト キシシラン等が、p=1のアルコキシシランとし て、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ プロピル基、1-メチルプロピル基、ブチル基 イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基 オクチル基、フェニル基、トリル基、ベン ル基、フェニルエチル基等を有するトリメ キシシラン、トリエトキシシラン、トリプ ポキシシラン、トリイソプロポキシシラン トリブトキシシラン、トリイソブトキシシ ン等が、p=2のアルコキシシランとして、ジ チルジメトキシシラン、ジメチルジエトキ シラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジ チルジブトキシシラン、メチルエチルジメ キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン ジフェニルジエトキシシラン等が、それぞ 例示される。

 なお、原料の入手し易さやコスト面からは 上記一般式(III)におけるmが0で、nが3又は0の もの、即ち、有機官能基を含有するトリメト キシシラン、トリエトキシシラン及び/又は の部分加水分解物と、上記一般式(IV)におけ R 1 がメチル基で、pが1及び/又は0のもの、即ち メチルトリアルコキシシラン、テトラアル キシシラン及び/又はその部分加水分解物及 /又はその縮合物とを使用することが好まし く、更には、上記一般式(IV)におけるq及びrが ともに0であるアルコキシ基含有シラン化合 及び/又はその部分加水分解物及び/又はその 縮合物を必須成分とすることがより好ましい 。

 とりわけ、上記一般式(III)で表される有 官能基含有アルコキシシランとして3-メルカ プトプロピルトリメトシシシラン、3-メルカ トプロピルトリエトキシシラン、3-グリシ キシプロピルトリメトシシシラン、3-グリシ ドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4- ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ ラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチ トリエトキシシランから選択される少なく も一種を使用し、上記一般式(IV)で表される ルコキシ基含有シラン化合物としてメチル リメトキシシラン、メチルトリエトキシシ ン、メチルトリプロポキシシラン、メチル リイソプロポキシシラン、メチルトリブト シシラン、メチルトリイソブトキシシラン テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ ン、テトラプロポキシシラン、テトライソ ロポキシシラン、テトラブトキシシラン、 トライソブトキシシランから選択される少 くとも一種(但し、プロポキシ基、イソプロ ポキシ基、ブトキシ基又はイソブトキシ基を 有する少なくとも一種のシラン化合物を必須 成分とする)を使用することが、特に好まし 。

 これらの有機官能基含有アルコキシシラ 及び/又はその部分加水分解物と、アルコキ シ基含有シラン化合物及び/又はその部分加 分解物及び/又はその縮合物は、それぞれ複 種を併用することができるが、上記一般式( III)で表される有機官能基含有アルコキシシ ン及び/又はその部分加水分解物を二種以上 用する場合、同一の有機官能基を有するも とすることが好ましい。また、オルガノポ シロキサン中のメトキシ基、エトキシ基、 素原子数3及び/又は4のアルコキシ基の比率 任意に設計するためには、上記一般式(IV)で 表されるアルコキシ基含有シラン化合物及び /又はその部分加水分解物及び/又はその縮合 として、アルコキシ基の種類が異なる二種 上を併用することが好ましい。

 上記した一般式(III)で表される有機官能 含有アルコキシシラン及び/又はその部分加 分解物と、一般式(IV)で表されるアルコキシ 基含有シラン化合物及び/又はその部分加水 解物及び/又はその縮合物との配合比率は特 限定されないが、前者の配合比率が少なす ると、得られるオルガノポリシロキサンの 用時に本来あるべき有機官能基の反応性に づく特性が十分に発揮されず、少なくとも 分子中に一個の有機官能基を有するものと る必要があることから、両成分のSi原子換 モル比で1:99~99:1の範囲とすることが好まし 、更には10:90~80:20の範囲とすることがより好 ましい。

 また、これら各種原料の配合順序や混合 法、及び部分共加水分解、重縮合を行う方 も特に限定されず、従来公知の方法に基づ 、例えば、上記した有機官能基含有アルコ シシラン及び/又はその部分加水分解物と、 アルコキシ基含有シラン化合物及び/又はそ 部分加水分解物及び/又はその縮合物との混 物中に、加水分解・縮合反応触媒の存在下 水を加えて部分共加水分解及び重縮合反応 行うことによって得ることができるし、こ 際、必要に応じて適当な有機溶媒を使用す ことも可能である。

 この反応における加水分解・縮合反応触 としては、従来から公知の種々のものを使 することができる。具体例としては、酢酸 トリフロロ酢酸、酪酸、シュウ酸、マレイ 酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トル ンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン 等の有機酸類、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸 の無機酸類、水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウ 、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アンモ ア、水酸化アンモニウム、トリエチルアミ 等の塩基性化合物類、フッ化カリウム、フ 化アンモニウム等の含フッ素化合物類、テ ライソプロピルチタネート、テトラブチル タネート、ジオクチル錫ジラウレート、ア ミニウムキレート類等の有機金属化合物類 を挙げることができる。上記触媒は単独で 用してもよく、又は複数種を併用してもよ が、触媒の使用量は、原料全体の中に存在 るSi原子モル数に対して、0.0001~10モル%の範 とすることが好ましく、更には0.001~3モル%の 範囲とすることがより好ましい。

 前述のとおり、本発明に用いる各オルガ ポリシロキサンの重合度は、ケイ素原子2個 のダイマーからケイ素原子数百個程度のポリ マーまでであればよいが、部分加水分解、重 縮合に使用する水の量によって平均重合度が 決まる。水を過剰に添加するとその分のアル コキシ基が加水分解され、分岐構造の多いレ ジン体となって、目的とするシリコーンアル コキシオリゴマーが得られなくなるため、加 水分解に用いる水の量は厳密に決定する必要 がある。例えば、使用するアルコキシシラン 原料が全てケイ素原子1個のモノマーである 合、平均重合度Zのオルガノポリシロキサン 調製するためには、Zモルのアルコキシシラ ン原料に対して(Z-1)モルの水を使用して部分 水分解、重縮合を行えばよい。

 この際、必要に応じてアルコール類、エ テル類、エステル類、ケトン類等の有機溶 を使用してもよい。これらの有機溶媒の具 例としては、メタノール、エタノール、n- ロピルアルコール、イソプロピルアルコー 、プロピレングリコールモノメチルエーテ 等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジ ロピルエーテル等のエーテル類、酢酸メチ 、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエス ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メ ルイソブチルケトン等のケトン類等を挙げ ことができる。また、上記の如き極性溶媒 ともに、ヘキサン、トルエン、キシレン等 非極性溶媒を併用してもよい。特に、メタ ール、エタノール、イソプロピルアルコー 等のアルコール類を使用することが好まし 。

 有機溶媒の使用量は、原料となるアルコ シシラン及び/又はその部分加水分解物及び /又はその縮合物の合計100質量部に対して、0~ 1000質量部の範囲とすればよいが、使用量が ないと加水分解開始時の反応系が均一とな ない場合があり、多すぎてもそれ以上の添 効果がみられないばかりか、ポットイール が低下して経済的に不利となるため、10~500 量部の範囲とすることが好ましく、更には20 ~200質量部の範囲とすることがより好ましい

 部分(共)加水分解及び重縮合反応におけ 実際の操作としては、アルコキシシラン原 、触媒及び有機溶媒からなる混合系に、所 量の水又は水/有機溶媒の混合液を滴下する 、アルコキシシラン原料及び有機溶媒から る混合系に、所定量の水/触媒の混合溶液又 は水/触媒/有機溶媒の混合溶液を滴下するこ が好ましい。この際、加水分解反応性の高 メトキシ基やエトキシ基を有するアルコキ シラン原料と、加水分解反応性の低いプロ キシ基やブトキシ基等の炭素原子数3及び/ は4のアルコキシ基を有するアルコキシシラ 原料とを予め別々に部分加水分解した後、 成分を混合して、場合によって更に部分共 水分解を行ってから、重縮合反応を行うこ も可能である。各反応は0~150℃の温度範囲 実施すればよいが、一般的には、室温より い温度では反応の進行が遅くなるため実用 でなく、また高温すぎる場合も、メルカプ 基、エポキシ基等の熱分解やアクリロイロ シ基の熱重合等、有機官能基への悪影響が 生するため、20~130℃の温度範囲とすること 好ましい。反応後、使用した触媒の中和、 着、濾過等による除去操作や、使用した有 溶媒と副生したアルコール、低沸点物の留 等による精製工程を行い、目的とするオル ノポリシロキサンを得ることができる。か して得られる第二のオルガノポリシロキサ は、多くの場合、液体である。

[粘着剤組成物]
 本発明においては、上記で説明したような クリル樹脂に、同じく上記で説明したよう 架橋剤、第一のオルガノポリシロキサン及 第二のオルガノポリシロキサンを配合して 粘着剤組成物とする。架橋剤は、粘着剤組 物を構成するアクリル樹脂100質量部(2種類 上用いる場合はその合計量)に対して、通常0 .1~10質量部程度、好ましくは0.1~7質量部程度 更に好ましくは0.2~3質量部程度の割合で配合 される。アクリル樹脂100質量部に対する架橋 剤の量が0.1質量部以上であると、粘着剤層の 耐久性が向上する傾向にあることから好まし い。また、その量が10質量部以下であると、 着剤付き光学フィルムを液晶表示装置に適 したときのいわゆる白抜けが目立たなくな ことから好ましい。

 第一のオルガノポリシロキサン及び第二 オルガノポリシロキサンは、粘着剤組成物 構成するアクリル樹脂100質量部(2種類以上 いる場合は、その合計量)に対し、オルガノ リシロキサンの合計量として、通常0.0001~10 量部程度、好ましくは0.01~5質量部、更に好 しくは0.1~1質量部の割合で使用される。ア リル樹脂100質量部に対するオルガノポリシ キサンの配合量が合計で0.0001質量部以上で ると、粘着剤層とガラス基板との密着性が 上することから好ましい。また、その量が10 質量部以下であると、粘着剤層からオルガノ ポリシロキサン混合物がブリードアウトする ことが抑制される傾向にあることから好まし い。

 第一のオルガノポリシロキサン及び第二 オルガノポリシロキサンの混合比率につい は特に限定されず、使用目的に応じて適宜 択することができるが、両者が混合された 態で加水分解反応性を制御するという観点 らは、前者/後者の混合比率を質量比で10/90~ 90/10の範囲とすることが好ましく、更には質 比で20/80~80/20の範囲とすることがより好ま い。第一のオルガノポリシロキサン及び第 のオルガノポリシロキサンは、予め混合し から、アクリル樹脂及び架橋剤に配合して よいし、別々に用意されたものをアクリル 脂及び架橋剤に配合してもよい。予め混合 る場合であっても、また粘着剤組成物調製 に配合する場合であっても、必要成分を単 混合すればよく、その混合方法や混合時の 度条件等は特に限定されない。

 以上説明した粘着剤組成物には、更に、 橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、 塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー を配合してもよい。なかでも、粘着剤に架 剤とともに架橋触媒を配合すると、粘着剤 を短時間の熟成で調製することができ、得 れる粘着剤付き光学フィルムを液晶セルガ スに貼り合わせたときに、粘着剤層と光学 ィルムとの間に浮きや剥れが発生したり、 着剤層内で発泡が起こったりすることを抑 することができ、しかもリワーク性も一層 好になることがある。架橋触媒としては例 ば、ヘキサメチレンジアミン、エチレンジ ミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレ テトラミン、ジエチレントリアミン、トリ チレンテトラミン、イソホロンジアミン、 リメチレンジアミン、ポリアミノ樹脂、メ ミン樹脂の如きアミン系化合物等を挙げる とができる。粘着剤に架橋触媒としてアミ 系化合物を配合する場合、架橋剤としては ソシアネート系化合物が好適である。

 粘着剤組成物は通常、上記のような各成 を有機溶媒に溶解した状態で調製される。 のために用いる有機溶媒は、上記の各成分 溶解するものであればよく、例えば、トル ンやキシレンの如き芳香族炭化水素類、酢 エチルや酢酸ブチルの如きエステル類、ア トンやメチルエチルケトン、メチルイソブ ルケトンの如きケトン類等が用いられる。

[粘着剤付き光学フィルム]
 本発明の粘着剤付き光学フィルムは、光学 ィルムの少なくとも一方の面に、以上のよ な粘着剤組成物から形成される粘着剤層を けたものである。ここで用いる光学フィル とは、光学特性を有するフィルムであり、 えば、偏光フィルム、位相差フィルム等が げられる。

 偏光フィルムとは、自然光等の入射光に して、偏光を出射する機能を持つ光学フィ ムである。偏光フィルムには、ある方向の 動面を有する直線偏光を吸収し、それと直 する振動面を有する直線偏光を透過する性 を有する直線偏光フィルム、ある方向の振 面を有する直線偏光を反射し、それと直交 る振動面を有する直線偏光を透過する性質 有する偏光分離フィルム、偏光フィルムと 述する位相差フィルムを積層した楕円偏光 ィルム等がある。偏光フィルム、特に直線 光フィルム(偏光子とか、偏光子フィルムと か呼ばれることもある)の好適な具体例とし 、一軸延伸されたポリビニルアルコール系 脂フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色 色素が吸着配向されているものが挙げられ 。

 位相差フィルムとは、光学異方性を示す 学フィルムであって、例えば、ポリビニル ルコール、ポリカーボネート、ポリエステ 、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレ ィン、環状ポリオレフィン、ポリスチレン ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポ ビニリデンフルオライド/ポリメチルメタク リレート、液晶ポリエステル、アセチルセル ロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン 物、ポリ塩化ビニル等からなる高分子フィ ムを1.01~6倍程度に延伸することにより得ら る延伸フィルム等が挙げられる。なかでも ポリカーボネートフィルムや環状ポリオレ ィン系フィルムを一軸延伸又は二軸延伸し 高分子フィルムが好ましい。一軸性位相差 ィルム、広視野角位相差フィルム、低光弾 率位相差フィルム等と称されるものがある 、いずれに対しても適用可能である。

 また、液晶性化合物の塗布・配向によっ 光学異方性を発現させたフィルムや、無機 状化合物の塗布によって光学異方性を発現 せたフィルムも、位相差フィルムとして用 ることができる。このような位相差フィル には、温度補償型位相差フィルムと称され もの、また、新日本石油(株)から“LCフィル ム”の商品名で販売されている、棒状液晶が ねじれ配向したフィルム、同じく新日本石油 (株)から“NHフィルム”の商品名で販売され いる棒状液晶が傾斜配向したフィルム、富 フイルム(株)から“WVフィルム”の商品名で 売されている円盤状液晶が傾斜配向したフ ルム、住友化学(株)から“VACフィルム”の 品名で販売されている完全二軸配向型のフ ルム、同じく住友化学(株)から“new VAC フ ルム”の商品名で販売されている二軸配向 のフィルム等がある。

 更に、これら光学フィルムに保護フィル が貼着されているものも、光学フィルムと て用いることができる。保護フィルムとし は、透明な樹脂フィルムが用いられ、その 明樹脂としては、例えば、トリアセチルセ ロースやジアセチルセルロースに代表され アセチルセルロース系樹脂、ノルボルネン 樹脂に代表される非晶性環状ポリオレフィ 系樹脂、ポリメチルメタクリレートに代表 れるメタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、 リオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹 、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリ ルホン樹脂等が挙げられる。保護フィルム 構成する樹脂には、サリチル酸エステル系 合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾト アゾール系化合物、トリアジン系化合物、 アノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩 化合物等の紫外線吸収剤が配合されていて よい。保護フィルムとしては、トリアセチ セルロースフィルム等のアセチルセルロー 系樹脂フィルムや、ノルボルネン系樹脂フ ルム等の非晶性環状ポリオレフィン系樹脂 ィルムが好適に用いられる。非晶性環状ポ オレフィン系樹脂フィルムの市販品として 、例えば、JSR(株)から販売されている“ア トンフィルム”、(株)オプテスから販売され ている“ゼオノアフィルム”等(いずれも商 名)がある。また、前述の位相差フィルムを 接保護フィルムとして用いることもできる

 上記で説明した光学フィルムのなかでも 直線偏光フィルムは、それを構成する偏光 、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂か なる偏光子フィルムの片面又は両面に、保 フィルムが貼着された状態で用いられるこ が多い。また、前述した楕円偏光フィルム 、直線偏光フィルムと位相差フィルムを積 したものであるが、その直線偏光フィルム 、偏光子フィルムの片面又は両面に、保護 ィルムが貼着された状態であることが多い このような楕円偏光フィルムに、本発明に る粘着剤層を形成する場合は、通常、その 相差フィルム側に粘着剤層が形成される。 発明により粘着剤層が設けられる光学フィ ムの好適な例として、偏光子の少なくとも 方の面にアセチルセルロース系樹脂又は非 性環状ポリオレフィン系樹脂からなる保護 ィルムが貼着された偏光フィルムを含むも を挙げることができる。

 粘着剤付き光学フィルムは、例えば、剥 フィルムの上に上記で説明した粘着剤組成 を塗布して粘着剤層を形成し、得られた粘 剤層に更に光学フィルムを積層する方法、 学フィルムの上に粘着剤組成物を塗布して 着剤層を形成し、その粘着剤面に剥離フィ ムを貼り合わせて保護し、粘着剤付き光学 ィルムとする方法等により、製造できる。 こで、剥離フィルムとしては、例えば、ポ エチレンテレフタレート、ポリブチレンテ フタレート、ポリカーボネート、ポリアリ ート等の各種樹脂からなるフィルムを基材 し、この基材の粘着剤層との接合面に、シ コーン処理の如き離型処理が施されたもの が挙げられる。粘着剤層は、前述の如く有 溶剤溶液となっている粘着剤組成物を、上 の剥離フィルム又は光学フィルムの上に塗 し、乾燥する方法により、形成することが きる。塗工には、公知の各種コーターを用 ることができる。塗工後は通常、0~50℃程度 の温度及び20~80%程度の相対湿度で、3~14日間 度熟成される。熟成の好ましい条件は、温 が20~30℃程度、相対湿度が55~75%程度、期間が 5~7日程度である。この熟成によって、粘着剤 の架橋反応が進行する。粘着剤層を剥離フィ ルムの上に設けた場合、熟成は、その剥離フ ィルム上に粘着剤層を形成した状態で行って おいてもよいし、剥離フィルム上の粘着剤層 を光学フィルムに積層した後に行ってもよい 。

 粘着剤層の厚みは特に限定されないが、 常は30μm以下であるのが好ましく、また10μm 以上であるのが好ましい。粘着剤層の厚みが 30μm以下であると、高温高湿下での接着性が 上し、ガラス基板と粘着剤層との間に浮き 剥れの発生する可能性が低くなる傾向にあ 、しかもリワーク性が向上する傾向にある とから好ましく、またその厚みが10μm以上 あると、そこに貼合されている光学フィル の寸法が変化しても、その寸法変化に粘着 層が追随して変動するので、液晶セルの周 部の明るさと中心部の明るさとの間に差が くなり、白抜けや色ムラが抑制される傾向 あることから好ましい。

 本発明の粘着剤付き光学フィルムは、そ 粘着剤層でガラス基板に積層して、光学積 体とすることができる。ここで、ガラス基 としては、例えば、液晶セルのガラス基板 防眩用ガラス、サングラス用ガラス等を挙 ることができる。なかでも、液晶セルの前 側(視認側)のガラス基板に粘着剤付き光学 ィルム(上偏光フィルム)を積層し、液晶セル の背面側のガラス基板に別の粘着剤付き光学 フィルム(下偏光フィルム)を積層してなる光 積層体は、液晶表示装置として使用するこ ができる。ガラス基板の材料としては、例 ば、ソーダライムガラス、低アルカリガラ 、無アルカリガラス等が挙げられる。粘着 付き光学フィルムをガラス基板に積層して 学積層体とするには、例えば、上記のよう して得られる粘着剤付き光学フィルムから 離フィルムを剥がし、露出した粘着剤層を ラス基板の表面に貼り合わせればよい。

 本発明の粘着剤付き光学フィルムは、ガ ス基板に貼着して光学積層体とした後、な らかの不都合があってその光学フィルムを ラス基板から剥離する場合に、粘着剤層は 学フィルムに伴って剥離され、粘着剤層と していたガラス基板の表面に、曇りや糊残 等がほとんど発生しないことから、剥離後 ガラス基板に再び、粘着剤付き光学フィル を貼り直すことが容易である。即ち、いわ るリワーク性に優れている。

 本発明の粘着剤付き光学フィルムを液晶 ルガラスの少なくとも一方の面に貼り合わ て形成される液晶表示装置は、例えば、ノ ト型、ディスクトップ型、PDA(Personal Digital Assistance)等を包含するパーソナルコンピュー タ用液晶ディスプレイ、テレビ、車載用ディ スプレイ、電子辞書、デジタルカメラ、デジ タルビデオカメラ、電子卓上計算機、時計等 に用いることができる。

 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体 に説明するが、本発明はこれらの例によっ 限定されるものではない。例中、使用量乃 含有量を表す部及び%は、特に断りのない限 り質量基準である。

 以下の例において、アクリル樹脂の不揮発 は、JIS K 5407に準じた方法にて測定した値 ある。具体的には、粘着剤溶液を任意の質 でシャーレにとり、防爆オーブンにて115℃ 2時間乾燥させた後の残留不揮発分質量を、 最初に測りとった溶液の質量に対する割合で 表したものである。アクリル樹脂の重量平均 分子量は、GPC装置に、カラムとして東ソー( )製の“TSK gel GMH HR -H(S)”2本を直列につないで配置し、溶出液と してテトラヒドロフランを用いて、試料濃度 5mg/ml、試料導入量100μl、温度40℃、流速1ml/分 の条件で、標準ポリスチレン換算により測定 した値である。

 また、各例で得られたオルガノポリシロ サンの分析は、以下に示す方法で行った。

(1)オルガノポリシロキサンの平均分子量及び 平均重合度
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー( GPC)分析により、ポリスチレン標準サンプル ら作成した検量線を基準として重量平均分 量を求め、更にそれから平均重合度を算出 た。

(2)オルガノポリシロキサン中のアルコキシ基 含有量
 アルカリクラッキング-ガスクロマトグラフ ィー(GC)分析法〔シリコーンハンドブック、79 2~793頁(1990年,日刊工業新聞社発行)参照〕によ り、アルコキシ基含有量を測定し、前記平均 組成式(I)における係数c及びd、並びに前記平 組成式(II)における係数h、i及びjを決定した 。

(3)オルガノポリシロキサンの構造解析
 ケイ素核磁気共鳴スペクトル( 29 Si-NMR)分析及びプロトン核磁気共鳴スペクト ( 1 H-NMR)分析により行い、測定結果より前記平均 組成式(I)における係数a、b及びe、並びに前記 平均組成式(II)における係数f、g及びkを決定 た。

(4)オルガノポリシロキサンのメルカプト基当 量
 酢酸/ヨウ化カリウム/ヨウ素酸カリウム添 -チオ硫酸ナトリウム溶液滴定法〔分析化学 覧、改訂二版、432~433頁(1976年,丸善株式会社 発行)参照〕に準拠して測定した。

(5)オルガノポリシロキサンの粘度
 JIS K 8803に準じた方法により25℃における 度を測定した。

 まず、本発明で規定するアクリル樹脂を製 した例を示す。
  [重合例1]
 冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を えた反応器に、酢酸エチル81.8部、アクリル 酸ブチル98.9部及びアクリル酸1.1部の混合溶 を仕込み、窒素ガスで装置内の空気を置換 て酸素不含としながら、内温を55℃に上げた 。その後、アゾビスイソブチロニトリル(重 開始剤)0.14部を酢酸エチル10部に溶かした溶 を全量添加した。開始剤添加1時間後に、モ ノマーを除くアクリル樹脂の濃度が35%になる よう、添加速度17.3部/hrで酢酸エチルを連続 に反応器に添加しながら、内温54~56℃で12時 保温し、最後に酢酸エチルを添加して、ア リル樹脂の濃度が20%となるように調節した 得られたアクリル樹脂Aは、GPCによるポリス チレン換算の重量平均分子量Mwが1,670,000、Mw/M nが4.4であった。

 次に、本発明で用いるオルガノポリシロキ ンを合成した例を示す。
  [オルガノポリシロキサン合成例1](第一の ルガノポリシロキサン)
 撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計及び 下ロートを取り付けた容量1Lのフラスコに 3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン39. 3g(0.2モル)、メチルトリメトキシシラン40.9g(0. 3モル)、テトラエトキシシラン104.2g(0.5モル) メタノール80.2g及びエタノール104.2gを仕込み 、内温20~30℃でフラスコ内を撹拌しながら、0 .1N塩酸水溶液16.2g(水:0.9モル、塩化水素:1.62×1 0 -3 モル)とメタノール16.2gとの混合溶液を30分間 けて滴下し、更に昇温して還流下で2時間熟 成を行った。

 次いで、フッ化カリウムの1%エタノール溶 9.4g(KF:1.62×10 -3 モル)を添加し、更に還流下で2時間熟成して 部分共加水分解及び重縮合反応を行った。 き続き、常圧下で内温を80℃まで昇温しな らアルコール成分を留去し、更に30Torr(約4kPa )の減圧条件下に、内温を100℃まで昇温して 存アルコール成分と低沸点成分を留去した 、濾過を行って無色透明液状のオルガノポ シロキサンCを得た(収量:117.0g、収率:90%)。

 このオルガノポリシロキサンCは、前記平均 組成式(I)において、Yが3-メルカプトプロピル 基、R 1 がメチル基であり、使用した各原料(有機溶 以外)のモル比、上記した分析結果から求め 重量平均分子量、平均重合度、前記式(I)に 当する平均組成式、メルカプト基当量、及 粘度は、以下の通りであった。

“オルガノポリシロキサンC”の原料モル比 平均組成式及び物性値
原料モル比:
  HS(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3 /CH 3 Si(OCH 3 ) 3 /Si(OC 2 H 5 ) 4
    =0.2/0.3/0.5
触媒:HCl/KF/水=0.00162/0.00162/0.9
重量平均分子量:1,380
平均重合度:10.6
平均組成式:
  [HS(CH 2 ) 3 ] 0.2 (CH 3 ) 0.3 Si(OCH 3 ) 0.61 (OC 2 H 5 ) 1.08 O 0.905
メルカプト基当量:測定値638g/モル、理論値651 g/モル
粘度:20.5mm 2 /s

  [オルガノポリシロキサン合成例2](第二の ルガノポリシロキサン)
 撹拌装置、冷却コンデンサー、温度計及び 下ロートを取り付けた容量1Lのフラスコに テトラプロポキシシラン132.2g(0.5モル)及びイ ソプロピルアルコール132.2gを仕込み、撹拌混 合しながらオイルバス中で加熱して内温を50 まで昇温した。フラスコ内を撹拌しながら 1N塩酸水溶液7.2g(水:0.4モル、塩化水素:7.2×10 -3 モル)とイソプロピルアルコール7.2gとの混合 液を10分間かけて滴下し、更に昇温して還 下で2時間熟成して予備加水分解反応液D1を た。

 これとは別に、3-メルカプトプロピルトリ トキシシラン47.7g(0.2モル)、メチルトリエト シシラン17.8g(0.1モル)、メチルトリイソプロ ポキシシラン44.1g(0.2モル)、エタノール65.5g及 びイソプロピルアルコール44.1gの混合溶液中 、内温20~30℃で1N塩酸水溶液7.2g(水:0.4モル、 塩化水素:7.2×10 -3 モル)とイソプロピルアルコール7.2gとの混合 液を10分間かけて滴下し、更に内温20~30℃で 30分間熟成して予備加水分解反応液D2を得た

 上記の予備加水分解反応液D1中に予備加水 解反応液D2を添加して、撹拌混合した後、内 温20~30℃で1N塩酸水溶液1.8g(水:0.1モル、塩化 素:1.8×10 -3 モル)とイソプロピルアルコール1.8gとの混合 液を添加してから、オイルバス中で加熱し 還流下で2時間熟成を行った。次いで、フッ 化カリウム0.94g(KF:1.62×10 -2 モル)を添加し、更に還流下で2時間熟成して 部分共加水分解及び重縮合反応を行った。
 引き続き、常圧下で内温を80℃まで昇温し がらアルコール成分を留去し、更に30Torr(約4 kPa)の減圧条件下に、内温を100℃まで昇温し 残存アルコール成分と低沸点成分を留去し 後、濾過を行って無色透明液状のオルガノ リシロキサンDを得た(収量:140.8g、収率:90%)。

 このオルガノポリシロキサンDは、前記平均 組成式(II)において、Yが3-メルカプトプロピ 基、R 1 がメチル基、R 2 がプロピル基及びイソプロピル基であり、使 用した各原料(有機溶媒以外)のモル比、上記 た分析結果から求めた重量平均分子量、平 重合度、前記式(II)に相当する平均組成式、 メルカプト基当量、及び粘度は、以下の通り であった。

“オルガノポリシロキサンD”の原料モル比 平均組成式及び物性値
原料モル比:
  HS(CH 2 ) 3 Si(OC 2 H 5 ) 3 /CH 3 Si(OC 2 H 5 ) 3 /
  CH 3 Si(OC 3 H 7 ) 3 /Si(OC 3 H 7 ) 4 =0.2/0.1/0.2/0.5
触媒:HCl/KF/水=0.0162/0.0162/0.9
重量平均分子量:1,620
平均重合度:10.3
平均組成式:
  [HS(CH 2 ) 3 ] 0.2 (CH 3 ) 0.3 Si(OC 2 H 5 ) 0.39 (OC 3 H 7 ) 1.31 O 0.9
メルカプト基当量:測定値803g/モル、理論値785 g/モル
粘度:33.6mm 2 /s

 次に、上記で製造したアクリル樹脂及びオ ガノポリシロキサンを用いて、粘着剤を調 し、光学フィルムに適用した実施例及び比 例を示す。ここでは、架橋剤として次のも を用いた。
 “コロネートL”:トリレンジイソシアネー のトリメチロールプロパンアダクト体の酢 エチル溶液(固形分濃度75%)、日本ポリウレタ ン工業(株)製商品名
 “TAZM”:トリメチロールプロパン トリ-β- ジリジニルプロピオネート(液体)、相互薬工 (株)製商品名

 また、比較例のシラン化合物として、それ れ次のものを用いた。
 “KBM-803”:3-メルカプトプロピルトリメトキ シシラン(液体)、信越化学工業(株)製商品名
 “KBM-303”:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エ チルトリメトキシシラン(液体)、信越化学工 (株)製商品名

  [実施例1、2及び比較例1~4]
(a)粘着剤の製造
 重合例1で得たアクリル樹脂Aの酢酸エチル 液を不揮発分で100部用い、そこに架橋剤と て“コロネートL”と“TAZM”を表1に示す量 及び表1に示すオルガノポリシロキサン(又は シラン化合物)をそれぞれ表1に示す量配合し 粘着剤組成物を調製した。但し、表1中、架 橋剤“コロネートL”の配合量(部)は、固形分 の量である。

(b)粘着剤付き光学フィルムの作製
 上記の各粘着剤組成物を、離型処理された リエチレンテレフタレートフィルム(“PET 3 811”、リンテック(株)製商品名;セパレーター と呼ぶ)の離型処理面に、アプリケーターを いて乾燥後の厚さが15μmとなるように塗布し 、90℃で1分間乾燥させ、シート状の粘着剤を 得た。次いで、ヨウ素が吸着配向したポリビ ニルアルコール偏光子の両面をトリアセチル セルロースからなる保護フィルムで挟んだ3 構造の偏光フィルムの片面に、上記で得た ート状粘着剤のセパレーターと反対側の面( 着剤面)をラミネーターにより貼り合わせた のち、温度23℃、相対湿度65%の条件で7日間熟 成させ、粘着剤付き偏光フィルムを得た。ま た、それらの粘着剤付き偏光フィルムをアル ミニウム箔付きパックで密閉し、温度60℃で に6日間熟成させ、熱による経時変化を促進 させた。

(c)光学積層体(偏光フィルムのガラス貼着品) 作製
 上記(b)で作製した粘着剤付き偏光フィルム( 23℃×65%RH×7日間熟成したもの、及びその後更 に60℃×6日間熟成したもの)を、液晶セル用ガ ラス基板(“1737”、コーニング社製商品名)の 両面にクロスニコルとなるよう、それぞれ粘 着剤層側で貼着し、光学積層体を作製した。

(d)光学積層体の耐熱性及び耐湿熱性の評価
 上記(c)で得られた光学積層体について、温 80℃の乾燥条件下で300時間保管する耐熱試 を行い、また温度60℃、相対湿度90%で300時間 保管する耐湿熱試験を行い、それぞれ試験後 の光学積層体を目視で観察し、以下の4段階 評価した。結果を表2にまとめた。
〈耐熱性及び耐湿熱性の評価基準〉
  ◎:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が全く られない。
  ○:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がほと どみられない。
  △:浮き、剥れ、発泡等の外観変化がやや 立つ。
  ×:浮き、剥れ、発泡等の外観変化が顕著 認められる。

(e)粘着剤付き光学フィルムのリワーク性評価
 リワーク性の評価は次のように行った。ま 、(b)で作製した粘着剤付き偏光フィルム(23 ×65%RH×7日間熟成したもの、及びその後更に 60℃×6日間熟成したもの)をそれぞれ25mm×150mm 大きさの試験片に裁断した。次に、この試 片をその粘着剤層側で、貼付装置(“ラミパ ッカー”、フジプラ(株)製商品名)を用いて液 晶セル用ガラス基板に貼り付け、50℃、5kgf/cm 2 (490.3kPa)で20分間オートクレーブ処理を行った 。次に、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中に 24時間保管したサンプルと、50℃のオーブン 中にて48時間保管したサンプルとの2種類を作 製し、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気中にて この貼着試験片から偏光フィルムを300mm/分 速度で180°方向に剥離し、それぞれのガラ 基板表面の状態を観察して、以下の基準で 類した。結果を、併せて表2に示した。
〈リワーク性評価基準〉
  ◎:ガラス板表面に曇り等が全く認められ い。
  ○:ガラス板表面に曇り等がほとんど認め れない。
  △:ガラス板表面に曇り等が認められる。
  ×:ガラス板表面に粘着剤の残りが認めら る。

 表1及び表2からわかるように、アクリル 脂及び架橋剤に、本発明で規定する2種類の ルガノポリシロキサンを配合した実施例1及 び2は、耐熱性、耐湿熱性及びリワーク性の ずれにおいても良好な性能を示し、また、 れらの粘着剤付き光学フィルムを60℃で6日 熟成した後も、耐熱性、耐湿熱性及びリワ ク性において、ほぼ満足できる結果が得ら た。

 これに対して、第一のオルガノポリシロ サンのみを配合した比較例1、第二のオルガ ノポリシロキサンのみを配合した比較例2、 びにモノマータイプのシラン化合物を配合 た比較例3及び4は、耐熱性、耐湿熱性及びリ ワーク性のいずれかにおいて、不十分な結果 であった。