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Title:
ADIPOCYTE DIFFERENTIATION INHIBITOR CONTAINING STILBENE DERIVATIVE AS ACTIVE INGREDIENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136173
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide an extremely excellent adipocyte differentiation inhibitor, anti-obesity agent, abnormal glucose tolerance-improving agent, adiponectin production promoter, anti-obesity food, anti-obesity food additive and anti-obesity feed. A stilbene derivative represented by the following general formula (I) is used. (In the formula, R1 to R6 independently represent hydrogen or a hydroxy group, with the proviso that the case where R2, R4 and R6 are a hydroxy group and R1, R3 and R5 are hydrogen is excluded.)

Inventors:
FUJIWARA YOKO (JP)
FUKUHARA KIYOSHI (JP)
MATSUOKA ATSUKO (JP)
HASEBE MIKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000741
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
March 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OCHANOMIZU UNIVERSITY (JP)
FUJIWARA YOKO (JP)
FUKUHARA KIYOSHI (JP)
MATSUOKA ATSUKO (JP)
HASEBE MIKI (JP)
International Classes:
A61K31/05; A23K1/16; A23L33/20; A61P3/04; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO2007005453A22007-01-11
Foreign References:
FR2862533A12005-05-27
JP2004537561A2004-12-16
JP2001072583A2001-03-21
JP2003505500A2003-02-12
Other References:
CHEMICAL ABSTRACTS, vol. 146, no. 10, 5 March 2007, Columbus, Ohio, US; abstract no. 146:189919D, page 1617;
Attorney, Agent or Firm:
HIROTA, Masanori (8-5Akasaka 2-chome, Minato-ku, Tokyo 52, JP)
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Claims:
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を有効成分とする脂肪細胞分化抑制剤。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項1に記載の脂肪細胞分化抑制剤。 
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を有効成分とする抗肥満剤。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項3に記載の抗肥満剤。
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を含有し、かつ、脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有する食品。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体が添加され、かつ、脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有する食品。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項5又は6に記載の食品。
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を含有し、かつ、脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有する食品添加剤。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項8に記載の食品添加剤。
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を有効成分として含有し、かつ脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有する飼料。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項10に記載の飼料。
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を有効成分とする耐糖能異常改善剤。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
スチルベン誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシスチルベンであることを特徴とする請求項12に記載の耐糖能異常改善剤。
下記一般式(I)で示されるスチルベン誘導体を有効成分とするアディポネクチン産生促進剤。
(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)
 
 
Description:
スチルベン誘導体を有効成分と る脂肪細胞分化抑制剤

 本発明は、特定のスチルベン誘導体を有 成分とする脂肪細胞分化抑制剤、抗肥満剤 耐糖能異常改善剤、及びアディポネクチン 生促進剤、並びに、特定のスチルベン誘導 を含有する食品、食品添加剤、及び飼料(以 下、「本発明の脂肪細胞分化抑制剤等」とも いう。)に関する。

 近年、脂肪細胞はこれまでの単純な脂肪 エネルギーとして蓄積するだけの器官では く、様々なアディポサイトカインを分泌す 分泌細胞として認識されるようになってき (図1)。肥大した脂肪細胞からは飽食シグナ であるレプチンだけでなく、血栓形成に関 るPAI-1、インスリン抵抗性を増加させるTNF- やインスリン抵抗性を示すレジスチンなど 分泌されることから、肥満に関連する生活 慣病の発症メカニズムが明らかになってき 。また、現在非常に問題となっている糖尿 や高血圧、動脈硬化などを併発するメタボ ックシンドロームの予防と治療には、肥満 よる脂肪の蓄積を減らすことが重要である

 一方、レスベラトロールすなわち3,5,4’-ト ヒドロキシスチルベンは、種々のトリヒド 及びテトラヒドロキシスチルベンを含むス ルベンフィトアレキシン群に属する。レス ラトロールは、赤ブドウに最も多く存在し 好ましい薬理学的効果を持つ物質として知 れる。 
 例えば、特許文献1には、スチルベン系フィ トアレキシンを含む組成物を、風邪及びイン フルエンザ様疾患に関連した症状の予防薬及 び治療薬や、呼吸障害に関連したうっ血の予 防薬および治療薬等に用いることが記載され ている。また、特許文献2には、心血管系障 、末梢血管疾患及び糖尿病性末梢ノイロパ ィの効果的な予防及び処置に適する医薬組 物として、L-カルニチン、低級アルカノイル  L-カルニチン又はその薬理学的に許容され 塩とレスベラトロール、レスベラトロール 導体又はレスベラトロール含有天然生成物 の共作動的治療使用のための医薬組成物が 載されている。さらに、特許文献3には、ス ルベン化合物又はその医薬的に許容し得る を、糖尿病又はレトロウイルス関連疾患の 防及び治療用医薬の製造に使用することが 載されている。

 また、非特許文献1には、レスベラトロー ル(resveratrol)が、カロリー制限に関わる脱ア チル化酵素(Sirt1)を活性化することによって 脂肪細胞の分化誘導に関与するPPAR-γ(peroxiso me proliferator-activated receptor-gamma)の機能を抑 し、脂肪細胞の蓄積を妨げることが示唆さ ている。しかしながら一方では、レスベラ ロールを含む数種のスチルベン誘導体は、 度依存的に細胞毒性を持つことも明らかに っている(非特許文献2)。

 さらに、特許文献4には、フラボン、イソ フラボン、スチルベン又はこれらの誘導体( スベラトロール等を含む)等の化合物が、SIRT 1(Sirt1)を活性化すること、及び、SIRT1を介し 体重増加を防止したり糖尿病を改善する可 性があることが開示されている。しかし、 許文献4においては、哺乳動物を用いたイン ボの実験は行われておらず、前述の化合物 インビボにおいて実際に体重増加を抑制す かどうかや、血糖値の改善効果を有してい かについては不明であった。さらに、特許 献4には、本発明のスチルベン誘導体の一部 が開示されているものの、そのSIRT1活性はレ ベラトロールよりも低く、その有用性はあ り期待できないと考えられていた。

特表2003-505500号公報

特開平9-165331号公報

特表2004-537561号公報

米国2006/0276416号公開公報 Nature 429, 771-776, 2004 Foods Food Ingredients J. Jpn. No.200 (2002), 1 5-16

 本発明の課題は、極めて優れた脂肪細胞 化抑制剤、抗肥満剤、耐糖能異常改善剤、 ディポネクチン産生促進剤、抗肥満用等の 品、抗肥満用等の食品添加剤、及び抗肥満 等の飼料を提供することにある。

 本発明者らは、レスベラトロール以外の 々なスチルベン誘導体を検索した結果、非 に意外なことに、3-トランス-ヒドロキシス ルベン等の特定のスチルベン誘導体が、レ ベラトロールよりも優れた脂肪細胞分化抑 効果、抗肥満効果、耐糖能異常改善効果、 ディポネクチン産生促進効果を奏すること 見い出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち本発明は、(1)下記一般式(I)で示 れるスチルベン誘導体を有効成分とする脂 細胞分化抑制剤

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(2)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラン ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス- ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ スチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス ルベンであることを特徴とする上記(1)に記 の脂肪細胞分化抑制剤に関する。

 また本発明は、(3)下記一般式(I)で示され スチルベン誘導体を有効成分とする抗肥満

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(4)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラン ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス- ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ スチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス ルベンであることを特徴とする上記(3)に記 の抗肥満剤に関する。

 さらに本発明は、(5)下記一般式(I)で示さ るスチルベン誘導体を含有し、かつ、脂肪 胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異常 善機能から選ばれる少なくとも1つ以上の機 能を有する食品

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(6)下記一般 (I)で示されるスチルベン誘導体が添加され かつ、脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能 耐糖能異常改善機能から選ばれる少なくと 1つ以上の機能を有する食品

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(7)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラン ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス- ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ スチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス ルベンであることを特徴とする上記(5)又は( 6)に記載の食品に関する。

 またさらに本発明は、(8)下記一般式(I)で されるスチルベン誘導体を含有し、かつ、 肪細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能 常改善機能から選ばれる少なくとも1つ以上 の機能を有する食品添加剤

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(9)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラン ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス- ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ スチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス ルベンであることを特徴とする上記(8)に記 の食品添加剤に関する。

 さらにまた本発明は、(10)下記一般式(I)で 示されるスチルベン誘導体を有効成分として 含有し、かつ脂肪細胞分化抑制機能、抗肥満 機能、耐糖能異常改善機能から選ばれる少な くとも1つ以上の機能を有する飼料

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(11)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラ ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス -ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ シスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス チルベンであることを特徴とする上記(10)に 載の飼料に関する。

 またさらに本発明は、(12)下記一般式(I)で 示されるスチルベン誘導体を有効成分とする 耐糖能異常改善剤

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)や、(13)スチルベ 誘導体がイソ-レスベラトロール、3,5-トラ ス-ジヒドロキシスチルベン、3,4’-トランス -ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ シスチルベン、又は4-トランス-ヒドロキシス チルベンであることを特徴とする上記(12)に 載の耐糖能異常改善剤に関する。

 また、本発明は(14)下記一般式(I)で示され るスチルベン誘導体を有効成分とするアディ ポネクチン産生促進剤

(式中、R 1 ~R 6 は、それぞれ独立して水素又はヒドロキシ基 を表す。但し、R 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、かつR 1 、R 3 及びR 5 が水素である場合を除く。)に関する。

 なお、本発明における「耐糖能異常」と 、哺乳動物(好ましくはヒト、サル、マウス 、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ 、ネコ、イヌ、ヤギ、ウシ、ウマ)における 糖代謝に関して正常ではない病態をすべて 含するものである。ヒトの耐糖能異常とし 例えば、日本糖尿病学会の判定基準(糖尿病4 2(5):385~404, 1999参照。)である、血糖値が空腹 値110mg/dl以上、又は75g糖負荷試験(OGTT)2時間 140mg/dl以上の病態を例示することができ、 の中には、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿 病等の糖尿病;インスリン抵抗性;肝疾患や内 泌疾患に伴う糖代謝異常;等の各種疾患が含 まれる。

脂肪細胞から分泌されるアディポサイ カインとその作用を示す図である。 4-トランス-ヒドロキシスチルベンの各 度における脂肪細胞分化マーカー(C/EBPα、PP ARγ、LPL、レジスチン)遺伝子発現の抑制作用 示す図である。 レスベラトロール及び本件スチルベン 導体(6種類)の構造を示す図である。なお、3 ,5,4'-trihydroxy-trans-stilbeneは3,5,4’-トランス-ト ヒドロキシスチルベンであり、3,5,3'-trihydrox y-trans-stilbeneは3,5,3’-トランス-トリヒドロキ スチルベンであり、3,5-dihydroxy-trans-stilbeneは 3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベンであり 3,4'-dihydroxy-trans-stilbeneは3,4’-トランス-ジヒ ドロキシスチルベンであり、3,3'-dihydroxy-trans- stilbeneは3,3’-トランス-ジヒドロキシスチル ンであり、3-hydroxy-trans-stilbeneは3-トランス- ドロキシスチルベンであり、4-hydroxy-trans-stil beneは4-トランス-ヒドロキシスチルベンであ 。 6種の本件スチルベン誘導体(終濃度0.5μ M)の脂肪細胞分化マーカー(レジスチン)遺伝 発現の抑制作用を示す図である。 6種の本件スチルベン誘導体(終濃度0.5μ M)の脂肪細胞分化マーカー(PPARγ)遺伝子発現 抑制作用を示す図である。 レスベラトロール(1μM)、3-トランス-ヒ ロキシスチルベン(0.1、0.5、1.0μM)、及び4-ト ランス-ヒドロキシスチルベン(0.1、0.5、1.0μM) の、脂肪細胞分化マーカー(レジスチン)遺伝 発現の抑制作用を示す図である。 レスベラトロール(1μM)、3-トランス-ヒ ロキシスチルベン(0.1、0.5、1.0μM)、及び4-ト ランス-ヒドロキシスチルベン(0.1、0.5、1.0μM) の、脂肪細胞分化マーカー(PPARγ)遺伝子発現 抑制作用を示す図である。 摂食試験における、マウスの日々の餌 摂取カロリーの推移を示す図である。 摂食試験における、マウスの体重の経 的変化を示す図である。 摂食試験後のマウスの各組織の重量を 示す図である。 摂食試験開始から5週目のマウスにつ て行った経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果 示す図である。 摂食試験開始から5週目のマウスにつ て行ったインスリン負荷試験(ITT)の結果を示 す図である。 摂食試験開始から6週目のマウスにつ て行った、骨格筋の糖取り込みアッセイの 果を示す図である。 摂食試験後のマウスの脂肪組織におけ るアディポサイトカイン遺伝子(PPARγ、アデ ポネクチン、レプチン)発現を示す図である

 本発明の脂肪細胞分化抑制剤や抗肥満剤 耐糖能異常改善剤やアディポネクチン産生 進剤としては、一般式(I)で示されるスチル ン誘導体(以下、「本件スチルベン誘導体」 ともいう)を有効成分とするものであれば特 制限されない。また、本発明の食品(サプリ ント形態を含む)や飼料としては、一般式(I) で示されるスチルベン誘導体を含有している か、又は添加され、かつ脂肪細胞分化抑制機 能、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能、アデ ィポネクチン産生促進機能から選ばれる少な くとも1つ以上の機能を有するものであれば に制限されない。さらに、本発明の食品添 剤としては、一般式(I)で示されるスチルベ 誘導体を含有し、かつ脂肪細胞分化抑制機 、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能、アデ ポネクチン産生促進機能から選ばれる少な とも1つ以上の機能を有しているものであれ 特に制限されない。また、一般式(I)で示さ るスチルベン誘導体を、脂肪細胞分化抑制 、抗肥満剤、耐糖能異常改善剤及び/又はア ディポネクチン産生促進剤として使用する方 法としては、本件スチルベン誘導体を、脂肪 細胞分化抑制剤、抗肥満剤耐糖能異常改善剤 及び/又はアディポネクチン産生促進剤とし 使用する方法であれば特に制限されない。

 本発明に用いるスチルベン誘導体としては 一般式(I)で示されるスチルベン誘導体であ ば特に制限されないが、脂肪細胞分化抑制 果や抗肥満効果や耐糖能異常改善効果やア ィポネクチン産生促進効果の観点からは、 般式(I)においてR 1 、R 2 及びR 3 が水素であるスチルベン誘導体や、一般式(I) においてR 2 がヒドロキシ基であり、R 1 及びR 3 が水素であるスチルベン誘導体や、一般式(I) においてR 3 がヒドロキシ基であり、R 1 及びR 2 が水素であるスチルベン誘導体や、一般式(I) においてR 4 、R 5 及びR 6 が水素であるスチルベン誘導体や、一般式(I) においてR 4 がヒドロキシ基であり、R 5 及びR 6 が水素であるスチルベン誘導体や、一般式(I) においてR 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、R 5 が水素であるスチルベン誘導体であることが 好ましく、一般式(I)におけるR 1 ~R 3 が前述の好ましく挙げられた基の組み合わせ のいずれかであり、かつ、R 4 ~R 6 が前述の好ましく挙げられた基の組み合わせ のいずれかであるスチルベン誘導体であるこ とがより好ましく、中でもイソ-レスベラト ール(一般式(I)においてR 3 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 2 及びR 5 が水素である化合物)、3,5-トランス-ジヒドロ キシスチルベン(一般式(I)においてR 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 2 、R 3 及びR 5 が水素である化合物)、3,4’-トランス-ジヒド ロキシスチルベン(一般式(I)においてR 2 及びR 4 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 3 、R 5 及びR 6 が水素である化合物)、3,3’-トランス-ジヒド ロキシスチルベン(一般式(I)においてR 3 及びR 4 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 2 、R 5 及びR 6 が水素である化合物)、3-トランス-ヒドロキ スチルベン(一般式(I)においてR 4 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 2 、R 3 、R 5 及びR 6 が水素である化合物)、4-トランス-ヒドロキ スチルベン(一般式(I)においてR 2 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 が水素である化合物)がさらに好ましく、イ -レスベラトロール、3,5-トランス-ジヒドロ シスチルベン、3,4’-トランス-ジヒドロキシ スチルベン、3,3’-トランス-ジヒドロキシス ルベン、3-トランス-ヒドロキシスチルベン さらにより好ましく、3,5-トランス-ジヒド キシスチルベン、3-トランス-ヒドロキシス ルベンがよりさらに好ましく、3-トランス- ドロキシスチルベンが最も好ましい。

 なお、細胞毒性がより低い点で、一般式(I) おいてR 2 やR 5 がヒドロキシ基ではなく、水素であるスチル ベン誘導体が好ましく、さらに、一般式(I)に おいてR 1 ~R 6 のうち、R 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 4 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 4 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 4 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体がより好ましく、より具体 には、イソ-レスベラトロール、3,5-トランス -ジヒドロキシスチルベン、3,3’-トランス-ジ ヒドロキシスチルベン、3-トランス-ヒドロキ シスチルベンがさらに好ましい。一般式(I)に おいてR 2 がヒドロキシ基である化合物より、R 2 が水素であるスチルベン誘導体の方が、低毒 性であることは、Foods Food Ingredients J. Jpn.  No.200 (2002), 15-16(前述の非特許文献2)等に記 されている。また、一般式(I)においてR 1 ~R 6 のうち、R 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 4 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 4 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体や、R 6 とR 4 とR 3 がヒドロキシ基であり、他のRが水素である チルベン誘導体は、脂肪細胞分化抑制効果 抗肥満効果や耐糖能異常改善効果やアディ ネクチン産生促進効果の点でも優れている め好ましい。

 本件スチルベン誘導体の脂肪細胞分化抑 効果や抗肥満効果や耐糖能異常改善効果や ディポネクチン産生促進効果は、後述の実 例に記載されたアッセイ等により、脂肪細 の分化マーカー遺伝子やアディポサイトカ ン遺伝子の発現量を調べることにより、容 に確認することができる。

 本件スチルベン誘導体の脂肪細胞分化抑 効果や抗肥満効果や耐糖能異常改善効果や ディポネクチン産生促進効果の程度は特に 限されないが、脂肪細胞分化抑制効果や抗 満効果について例示すると、分化誘導培地 の終濃度2.5μMにて後述の実施例1に記載され たのと同様のアッセイを行った場合に、脂肪 細胞の分化マーカー遺伝子であるC/EBPα遺伝 、PPARγ遺伝子、LPL遺伝子、レジスチン遺伝 のいずれか1つ又は2つ以上の遺伝子のmRNA発 量が、レスベラトロール(分化誘導培地中の 濃度2.5μM)のmRNA発現量に対して、好ましく 80%以下であり、より好ましくは70%以下であ 、さらに好ましくは60%以下であり、さらに り好ましくは50%以下であり、また、本件ス ルベン誘導体を0.4質量%含有する高脂肪食(高 脂肪食St)及びレスベラトロールを0.4質量%含 する高脂肪食(高脂肪食Res)を用いて後述の実 施例3の図9の実験と同様の実験を行い、高脂 食Stと高脂肪食Resの摂食量が同等である場 に、高脂肪食Stを摂取させた6weekにおけるマ スの体重が、高脂肪食Resを摂取させた場合 比べて好ましくは90%以下であり、より好ま くは86%以下であり、また、高脂肪食Stを摂 させた6weekにおけるマウスの白色脂肪組織の 質量が高脂肪食Resを摂取させた場合に比べて 好ましくは70%以下であり、より好ましくは60% 以下であり、さらに好ましくは50%以下である 。また、耐糖能異常改善効果について例示す ると、後述の実施例3と同様のOGTTにおいて、 脂肪食Stを摂食させた5weekにおけるマウスの 30分後の血糖値が高脂肪食Resを摂食させた場 のそれと比較して85%以下であり、より好ま くは80%以下であり、さらに好ましくは75%以 であり、また、後述の実施例3と同様のITTに おいて、高脂肪食Stを摂食させた5weekにおけ マウスの90分後の血糖値が高脂肪食Resを摂食 させた場合のそれと比較して好ましくは90%以 下であり、より好ましくは85%以下である。ま た、アディポネクチン産生促進効果について 例示すると、後述の実施例4と同様のアッセ を行った場合に、アディポネクチン遺伝子 mRNA発現量が、高脂肪食Res(高脂肪食RSV)を与 たマウスのmRNA発現量に対して好ましくは105% 以上、より好ましくは110%以上である。

 本発明においては、本件スチルベン誘導 を1種単独で用いてもよいし、2種以上を併 してもよい。また、本発明の脂肪細胞分化 制剤等には、本件スチルベン誘導体の含有 を用いてもよい。

 上記本件スチルベン誘導体の製造方法は、 に制限されず、例えばレスベラトロール(一 般式(I)においてR 2 、R 4 及びR 6 がヒドロキシ基であり、R 1 、R 3 及びR 5 が水素である化合物)を原料化合物とするな して、公知の方法により化学的に合成して ることができる。また、市販品を利用する ともできる。

 本件スチルベン誘導体は、生物の脂肪組 に蓄積し、脂肪細胞中の分化特異的遺伝子( 例えば、C/EBPα、PPARγ、LPL、レジスチン)の発 を抑制することによって、前駆脂肪細胞か 脂肪細胞への分化を抑制し、何らかのメカ ズムにより、抗肥満活性を奏する。このよ に、本件スチルベン誘導体は、生体中にお る脂肪細胞の増加を抑制するため、脂肪細 が分泌するある種のアディポサイトカイン 量も減少すると共に、ある種のアディポサ トカイン(特にアディポネクチン)の量が増 し、その結果、何らかのメカニズムにより 糖尿病やインスリン抵抗性等の耐糖能異常 対する改善作用を有すると考えられる。ま 、同様の作用機作により、抗動脈硬化作用 抗血圧上昇作用を有することも強く期待さ る。したがって、本件スチルベン誘導体は 糖尿病の予防・治療剤等の耐糖能異常の改 剤としてだけでなく、抗動脈硬化剤(動脈硬 予防・治療剤)、抗血圧上昇剤(高血圧症予 ・治療剤)としても用い得る可能性が高い。 ディポネクチン産生促進によって、インス ン抵抗性等の耐糖能異常改善作用や抗動脈 化作用が得られることは、例えばJ Biol. Che m. 277, 29, 25863-25866 (2002) やCirculation. 106, 2 767-2770 (2002)にも開示されている。

 本発明の脂肪細胞分化抑制剤、抗肥満剤 耐糖能異常改善剤、アディポネクチン産生 進剤、食品、食品添加剤や飼料中の本件ス ルベン誘導体の含有量としては、特に制限 れず、これらの剤や食品や飼料の摂取量と 後述の好ましい投与量とを併せて考慮する とにより適宜調節することができるが、脂 細胞分化抑制剤や抗肥満剤やアディポネク ン産生促進剤や食品添加剤の場合、全量に して75質量%以上とすることが好ましく、90 量%以上とすることがより好ましく、95質量% 上とすることがさらに好ましく、99.5質量% することがよりさらに好ましく、食品や飼 の場合、全量に対して5質量%以上とすること が好ましく、10質量%以上とすることがより好 ましく、20質量%以上とすることがさらに好ま しく、30質量%以上とすることがさらに好まし い。

 本発明の脂肪細胞分化抑制剤、抗肥満剤 耐糖能異常改善剤、アディポネクチン産生 進剤、食品、食品添加剤や飼料は、本件ス ルベン誘導体のみを含有していてもよいし 本発明の効果を損なわない限り、他の脂肪 胞分化抑制剤や他の抗肥満剤、耐糖能異常 善剤、アディポネクチン産生促進剤など、 の任意成分を含有していてもよい。

 本発明の脂肪細胞分化抑制剤や抗肥満剤 耐糖能異常改善剤やアディポネクチン産生 進剤の剤型としては、特に制限されず、投 経路に応じて薬学上許容される担体を用い 適当な固形製剤や液体製剤等に処方するこ ができる。本発明の脂肪細胞分化抑制剤や 肥満剤や耐糖能異常改善剤やアディポネク ン産生促進剤の投与形態としては、経口投 、注射による投与等の一般的投与経路を挙 ることができる。

 経口投与のための固形剤としては、カプ ル剤、錠剤、丸剤、トローチ剤、散剤及び 粒剤等が挙げられる。これらの剤形とする は通常用いられる製剤化助剤及び製剤化方 を用いることができ、例えば、賦形剤とし 、乳糖、マンニトール、キシリトール、エ スリトール、結晶セルロース、リン酸水素 ルシウム、軽質無水ケイ酸等を用いること でき、崩壊剤としてカルボキシメチルセル ースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロ ルセルロース、デンプン、クロスカルメロ スナトリウム等を用いることができる。

 経口投与のための液体製剤としては、液 製剤の調製に通常用いられる不活性希釈剤 含む薬学上許容し得る乳剤、溶液、懸濁剤 シロップ剤及びエリキシル剤が挙げられる 液体製剤は、本明細書に記載の組成物と添 剤とに加えて、補助剤、例えば、湿潤剤、 化、及び懸濁剤、並びに調味剤及び香味剤 配合することにより調製できる。

 投与量は、疾病の種類、患者の体重や年 、投与形態、症状等により適宜選定するこ ができるが、例えば成人に投与する場合、 チルベン誘導体として、1日あたり1mg~5g、好 ましくは20mg~2g、より好ましくは50mg~1gを、数 に分けてあるいは1回で投与することが望ま しい。

 本発明の食品添加剤の剤型としては、特 制限されず、適当な担体を用いて固形製剤 液体製剤とすることができる。

 本発明の食品における食品の種類として 、食品である限り特に制限されず、固形食 、クリーム状あるいはジャム状の半流動食 、ゲル状食品、飲料、茶葉等のあらゆる形 の食品を用いることができるが、より具体 には、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、 ュース、牛乳、豆乳、酒類、コーヒー、紅 、煎茶、ウーロン茶、スポーツ飲料等の各 飲料や、プリン、クッキー、パン、ケーキ ゼリー、煎餅などの焼き菓子、羊羹などの 菓子、冷菓、チューインガム等のパン・菓 類や、うどん、そば等の麺類や、かまぼこ ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や みそ、しょう油、ドレッシング、マヨネー 、甘味料等の調味類や、チーズ、バター等 乳製品や、豆腐、こんにゃく、その他佃煮 餃子、コロッケ、サラダ等の各種総菜を例 することができる。本発明の食品は、これ 食品に本件スチルベン誘導体を含有させる とにより製造することができる。なお、本 明の食品には、いわゆるサプリメントの形 も含まれる。

 また、本発明の飼料における飼料の種類 しては、家畜・家禽用飼料やペットフード あれば特に制限されず、ドライタイプ、ウ ットタイプ、セミモイストタイプ、ビスケ トタイプ、ソーセージタイプ、ジャーキー イプ、粉末タイプ、顆粒タイプ、カプセル イプ等のあらゆる形態の飼料を用いること できる。本発明の飼料は、これら飼料に本 スチルベン誘導体を含有させることにより 造することができる。

 本発明の食品や食品添加剤や飼料は、スチ ベン誘導体を含有し、脂肪細胞分化抑制機 、抗肥満機能、耐糖能異常改善機能、アデ ポネクチン産生促進機能から選ばれる少な とも1つ以上の機能がある旨が表示された食 品や食品添加剤や飼料とすることもできる。 なお、本発明における「脂肪細胞分化抑制機 能」とは、幹細胞等から脂肪細胞への分化を 抑制する機能を意味し、具体的には前述の脂 肪細胞分化抑制効果を挙げることができ、本 発明における「抗肥満機能」とは、哺乳動物 に摂取させた場合に、体重(特に白色脂肪組 の重量)の増加を抑制する機能を意味し、具 的には前述の抗肥満効果を挙げることがで 、本発明における「耐糖能異常改善機能」 は、前述のいずれかの耐糖能異常を改善す 機能を意味し、具体的には前述の耐糖能異 改善効果を挙げることができ、本発明にお る「アディポネクチン産生促進機能」とは 哺乳動物に投与したときに、その動物にお るアディポネクチン産生量を上昇させる機 を意味し、具体的には前述のアディポネク ン産生促進効果を挙げることができる。
 また、本発明の脂肪細胞分化抑制剤や抗肥 剤や耐糖能異常改善剤やアディポネクチン 生促進剤や食品添加剤は他の組成物に添加 て用いることができる。

 本発明における方法としては、脂肪細胞 化抑制剤、抗肥満剤、耐糖能異常改善剤及 /又はアディポネクチン産生促進剤の製造に おける本件スチルベン誘導体の使用や、本件 スチルベン誘導体を脂肪細胞分化抑制剤、抗 肥満剤、耐糖能異常改善剤及び/又はアディ ネクチン産生促進剤に使用する方法や、肥 、耐糖能異常、動脈硬化、高血圧症から選 される疾患の治療における本件スチルベン 導体の使用や、本件スチルベン誘導体を哺 動物に投与することを特徴とする、肥満、 糖能異常、動脈硬化、高血圧症の治療方法 どを例示することができる。

 以下、実施例により本発明をより具体的 説明するが、本発明の技術的範囲はこれら 例示に限定されるものではない。

[本件スチルベン誘導体の脂肪細胞分化に対 る影響 1]
 本件スチルベン誘導体の脂肪細胞分化に対 る影響を調べるために、以下の実験を行っ 。本件スチルベン誘導体としては、4-トラ ス-ヒドロキシスチルベンを用い、コントロ ルとしてレスベラトロールを用いた。4-ト ンス-ヒドロキシスチルベンとレスベラトロ ルをそれぞれエタノールに溶解後、-20℃で 存し、サンプル溶液とした。また、もうひ つのコントロールとして、エタノールのみ サンプル溶液も用いた。

 一方、マウス由来の脂肪前駆細胞である3T3- L1細胞(ATCCから入手)を、DMEM high glucose(HG)(含1 0%FBS)培地で、37℃、5%CO 2 存在下にて培養し、コンフルエントな状態に なってから2日経過後に分化誘導を開始した( の日をDAY0とする)。分化誘導には以下の組 の分化誘導培地に、前述のサンプル溶液を 定量添加した培地を使用した。
[分化誘導培地]
 DMEM(HG) 
  +10%FBS 
  +0.5mM 1-メチル-3-イソブチルキサンチン
                (IBMX:和光純薬工業(株 )製)
  +10μg/ml インスリン(Ins:SIGMA社製)
  +1μM デキサメタゾン  (DEX:SIGMA社製)

 分化誘導の開始から44~45時間経過後(DAY2) 、新たな培地(DMEM HG+10%FBS+5μg/ml Ins)で培地 換を行い、さらに2日間培養を続けた後(DAY4) 新たに同様の培地(DMEM HG+10%FBS+5μg/ml Ins)で 地交換を行い、さらに2日間培養を続けた後 (DAY6)、それぞれの細胞を回収した。回収した 細胞から常法にしたがってそれぞれtotal RNA 抽出し、これらtotal RNAを用いた定量RT-PCRに り、脂肪細胞の分化マーカーであるC/EBPα遺 伝子、PPARγ遺伝子や、これらのターゲット遺 伝子であるLPL遺伝子やレジスチン(resistin)遺 子のmRNA発現量を測定した。

 図2には、4-トランス-ヒドロキシスチルベ ン(T)(分化誘導培地中の終濃度0.5μM、1.0μM、2. 5μM)やレスベラトロール(分化誘導培地中の終 濃度2.5μM)を用いた場合の、脂肪細胞の分化 ーカー遺伝子のmRNAの相対発現量を示す。図2 から分かるように、4-トランス-ヒドロキシス チルベンは、同濃度(2.5μM)のレスベラトロー よりも強く脂肪細胞の分化マーカー(C/EBPα PPARγ、LPL、レジスチン)遺伝子の発現レベル 低下させた。また、4-トランス-ヒドロキシ チルベンは、より低濃度(0.5μMや1μM)であっ も、2.5μMのレスベラトロールよりも強く脂 細胞の分化マーカー遺伝子の発現レベルを 下させた。

[本件スチルベン誘導体の脂肪細胞分化に対 る影響 2]
 前述のように、今までの研究から、レスベ トロールを含むスチルベン誘導体(特にスチ ルベン骨格のB環4位(一般式(I)におけるR 2 )にOHを有するもの)では、濃度依存的に細胞 性をもつことが明らかになっている。そこ 本発明者らは、レスベラトロール及び6種類 本件スチルベン誘導体(構造式を図3に示す) 、3T3-L1細胞の脂肪細胞分化に対する影響に いて比較検討を行った。
 構造式a:イソ-レスベラトロール
 構造式b:3,5-トランス-ジヒドロキシスチルベ ン
 構造式c:3,4’-トランス-ジヒドロキシスチル ベン
 構造式d:3,3’-トランス-ジヒドロキシスチル ベン
 構造式e:3-トランス-ヒドロキシスチルベン
 構造式f:4-トランス-ヒドロキシスチルベン

 サンプル溶液については、実施例1と同様に 調製した。これらサンプル溶液を所定の濃度 で用いて、実施例1と同様の方法で脂肪細胞 分化マーカー遺伝子の発現量を測定した。
 図4には、分化誘導培地中の本件スチルベン 誘導体やレスベラトロールの終濃度を0.5μMと した場合のレジスチン(REGISTIN)遺伝子のmRNAの 対発現量を示す。図5には、分化誘導培地中 の本件スチルベン誘導体やレスベラトロール の終濃度を0.5μMとした場合のPPARγ遺伝子のmRN Aの相対発現量を示す。図6には、分化誘導培 中の本件スチルベン誘導体やレスベラトロ ルの終濃度を図6記載の濃度とした場合のレ ジスチン(REGISTIN)遺伝子のmRNAの相対発現量を す。図7には、分化誘導培地中の本件スチル ベン誘導体やレスベラトロールの終濃度を図 7記載の濃度とした場合のPPARγ遺伝子のmRNAの 対発現量を示す。

 図4や図5に示すように、検討したすべて 本件スチルベン誘導体は、レスベラトロー よりも強くPPARγの発現レベルを低下させ、 れに伴ってレジスチンのmRNA発現レベルも低 していた。すなわち、本実施例で検討した6 種類のスチルベン誘導体は、レスベラトロー ルと比較し、より強い脂肪細胞への分化抑制 効果を有することが明らかになった。また、 各種スチルベン誘導体の中でも、3-トランス- ヒドロキシスチルベン(図3中の構造式e)、3,4 -トランス-ジヒドロキシスチルベン(図3中の 造式c)、 3,3’-トランス-ジヒドロキシスチ ベン(図3中の構造式d)、3,5-トランス-ジヒド キシスチルベン(図3中の構造式b)は、より強 い脂肪細胞への分化抑制作用を有することが 示唆された。

 図6や図7に示すように、4-トランス-ヒド キシスチルベン(図3中の構造式f)は、レスベ トロールより脂肪細胞の分化抑制作用及び ジスチンの発現低下作用は強く、レスベラ ロールの1/10量以下の濃度でも同等以上の効 果があることが明らかになった。また、3-ト ンス-ヒドロキシスチルベン(図3中の構造式e )については、4-トランス-ヒドロキシスチル ンよりもさらに高い脂肪細胞の分化抑制効 が見られた。

[本件スチルベン誘導体に関する動物実験]
 本件スチルベン誘導体がインビボにおいて 脂肪細胞の分化抑制効果を発揮し得るかを べるために、マウスを用いた以下の摂食試 を行った。
 まず、摂食試験に用いるサンプル飼料(コン トロール)として、高脂肪食と普通食を調製 た。具体的には、市販の配合飼料やビタミ ミックス(オリエンタル酵母株式会社製)を利 用して標準粉末飼料AIN93G(アメリカ国立栄養 究所による標準組成)を調製し、そのAIN93Gに2 0質量%のラードを添加した飼料を「普通食LF とし、50質量%のラードを添加した飼料を「 脂肪食HF」とした。次いで、前述の高脂肪食 HFにレスベラトロールを0.4質量%含有させた飼 料を「高脂肪食Res」(コントロール)とし、前 の高脂肪食HFに3-トランス-ヒドロキシスチ ベン(図3中の構造式e)を0.4質量%含有させた飼 料を「高脂肪食3OH」とした。
 これら4種類の餌をそれぞれ別のC57BL/6マウ に6週間自由摂取させ、マウスの餌の摂取量 マウスの体重変化を測定した。マウスの日 の餌の摂取カロリー(cal/mouse)の推移を図8に す。図8から分かるように、普通食LF(図中、 「LF」と表す。)は他の餌に比べてマウスの摂 食カロリーがやや少なかったのに対し、高脂 肪食3OH(図中、「3OH」と表す。)や高脂肪食Res( 図中「Res」と表す。)や高脂肪食HF(図中、「HF 」と表す。)はマウスの摂食カロリーは飼育 間中で平均すればほぼ同じであった。
 次に、マウスの体重の経時的変化を図9に示 す。高脂肪食3OH、高脂肪食Res及び高脂肪食HF それぞれマウスの摂食カロリーが同程度で ったにもかかわらず、高脂肪食Resや高脂肪 3OHを与えたマウスでは、高脂肪食HFを与え マウスに比べて体重の増加が抑制された。 に高脂肪食3OHを与えたマウスでは、高脂肪 Resを与えたマウスよりも、体重増加の著し 抑制効果が示され、その体重増加は、普通 LFを与えたマウスより著しく低かった。この 効果は、高脂肪食3OHの摂取カロリーが普通食 (LF)よりも多かった(図8)ことを考慮すれば、 脂肪食3OHにおける3-トランス-ヒドロキシス ルベンの体重増加抑制効果は非常に優れた のといえる。

 さらに、前述の6週間の摂食試験を終えた 各マウスを解剖して、Gastro(gastrocnemius:下肢腓 腹筋)、WAT(White Adipose Tissue:白色脂肪組織)、L iver(肝臓)、BAT(Brown Adipose Tissue:褐色脂肪組織 )の各組織の重量を測定した。その結果を図10 に示す。図10から分かるように、前記摂食試 を終えた各マウスの体重の多少は、白色脂 組織の重量の多少にほぼ対応していること 示された。例えば、高脂肪食Resを与えると 高脂肪食によって誘発される脂肪蓄積を、 通食LFを与えた場合と同程度にまで抑制す ことができ、また、高脂肪食3OHを与えると 脂肪食Resを与えた場合のおよそ半分にまで 肪蓄積を著しく抑制することが可能である とが示された。図8~図10の結果から、本件ス ルベン誘導体が、インビボにおいても、脂 細胞の分化を著しく抑制する効果や抗肥満 果を有していることが示された。

 なお、前述の6週間の摂食試験の5週目のマ スについて、経口ブドウ糖負荷試験(Oral gluc ose tolerance test:OGTT)と、インスリン負荷試験( Insulin Tolerance Test:ITT)も行った。OGTTは、マウ ス体重1gあたり1.5mgのブドウ糖を経口投与し 時間経過ごとに尻尾から採取した血液中の ルコース濃度(mg/dl)(以下、「血糖値」ともい う。)を測定することによって行った。一方 ITTは、マウス体重1gあたり0.4mUのインスリン 腹腔内投与し、時間経過ごとに尻尾から採 した血液中のグルコース濃度(mg/dl)を測定す ることによって行った。
 OGTTの結果及びITTの結果を、それぞれ図11と 12に示す。図11の結果から分かるように、高 脂肪食Resの場合は、高脂肪食HFの場合とほぼ 様に、糖負荷後の血糖値が比較的高く推移 たのに対し、高脂肪食3OHの場合は、それら り低いのはもちろんのこと、普通食LFの場 よりも低く推移した。また、図12の結果から 分かるように、高脂肪食3OHの場合は、高脂肪 食HFや高脂肪食Resに比べて優れたインスリン 受性を示した。なお、図12のグラフは、比 のため、インスリン投与前の血糖値を100に 正して表している。

 さらに、前述の6週間の摂食試験の6週目の ウスについて、骨格筋(soleus)の糖取り込みア ッセイを行った。具体的には、 3 Hで標識した2-デオキシグルコース及び 14 Cで標識したマンニトールを含む糖液(糖液A) 、前記糖液にインスリン(100nM)を添加した糖 (糖液B)を準備し、各マウスから単離したヒ メ筋を糖液Aや糖液Bに一定時間浸して取り まれた放射活性を測定した。その結果を図13 に示す。図13の各マウスにおける右側の棒グ フは、糖液B(インスリン有り)を用いた場合 各マウスにおける糖の取込量を、それぞれ 液A(インスリン無し)における糖の取込量(図 13の各マウスにおける左の棒グラフ)を1とし 補正した値を表す。図13の結果から分かるよ うに、高脂肪食3OHを摂食していたマウスは、 高脂肪食Resを摂食していたマウスに比べて、 インスリン存在下での骨格筋(ヒラメ筋)にお る糖の取り込みが増加し、インスリンに対 る感受性が向上していた。図11~図13の結果 より、高脂肪食3OHに含まれる3-トランス-ヒ ロキシスチルベンは、高脂肪食によって誘 される肥満に伴う耐糖能異常に対し、レス ラトロールと比較して著しく優れた改善効 を有することが示された。

[本件スチルベン誘導体のアディポサイトカ ン発現に対する影響]
 前記実施例3において、6週間の摂食試験を えた各マウスの脂肪細胞を回収した。回収 た脂肪細胞から常法にしたがってそれぞれto tal RNAを抽出し、これらtotal RNAを用いた定量 RT-PCRにより、脂肪細胞の分化マーカーPPARγ遺 伝子や、アディポサイトカインであるアディ ポネクチン(adiponectin)遺伝子やレプチン(leptin) 遺伝子のmRNA発現量を測定した。図14には、各 マウスにおける上記の3つの遺伝子のmRNA発現 を、普通食LFを与えたマウスでのmRNA発現量 対する相対mRNA発現量として示す。図14から かるように、高脂肪食3OHを与えたマウスで 、高脂肪食Res(高脂肪食RSV)を与えたマウス りも、アディポネクチンの発現が向上して ることが示された。アディポネクチンが、 糖能異常改善作用だけでなく抗動脈硬化作 を有していることが知られていることから ると、本発明のスチルベン誘導体は、抗動 硬化剤や抗血圧上昇剤としても使用し得る 考えられる。

 本発明によると、極めて優れた脂肪細胞分 抑制剤、抗肥満剤、耐糖能異常改善剤、及 アディポネクチン産生促進剤、並びに、脂 細胞分化抑制機能、抗肥満機能、耐糖能異 改善機能、アディポネクチン産生促進機能 ら選ばれる少なくとも1つ以上の機能を有す る食品、食品添加剤、及び飼料を提供するこ とができる。