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Title:
AGENT FOR PREVENTING EXCESSIVE APPETITE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154280
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is an agent for preventing excessive appetite, which is inexpensive and highly safe, has good taste, and is suitable for the long-term ingestion.  The agent comprises at least one member selected from glutamic acid and a salt thereof without any modification or in the form contained in a carrier or a base material.  The agent for preventing excessive appetite can increase or maintain the feeling of fullness and is effective, for example, against the stimulated appetite for sweet or delicious foods regardless of the presence or absence of the feel of fullness or the like.

Inventors:
IMADA TOSHIFUMI (JP)
TANAKA TATSURO (JP)
TOMOE MIKI (JP)
KIMURA EIICHIRO (JP)
UNEYAMA HISAYUKI (JP)
TORII KUNIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/061239
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
June 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
IMADA TOSHIFUMI (JP)
TANAKA TATSURO (JP)
TOMOE MIKI (JP)
KIMURA EIICHIRO (JP)
UNEYAMA HISAYUKI (JP)
TORII KUNIO (JP)
International Classes:
A61K31/198; A23K1/16; A23L1/305; A61P3/04
Other References:
TAKASHI KONDO ET AL.: "Oishisa no Signal to Himan (Diet) no Kagaku -4 Umami wa Seitai Kojosei Iji no Ninai Te -Mikaku·Naizo Kankaku· Shokuyoku·Taiju Chosetsu", THE JAPANESE JOURNAL OF TASTE AND SMELL RESEARCH, vol. 13, no. 2, 2006, pages 133 - 142
TAKASHI KONDO ET AL.: "Shokuji Yudosei Himan ni Taisuru Glutamine-san-natrium (MSG) Sesshu no Koka", THE JAPANESE JOURNAL OF TASTE AND SMELL RESEARCH, vol. 13, no. 3, 2006, pages 407 - 410
TAKASHI KONDO ET AL.: "No kara Mita Umami no Yuyosei -Shokuyoku Chosetsu Oyobi Himan Yokusei", TECHNO INNOV, vol. 18, no. 3, 1 September 2008 (2008-09-01), pages 24 - 30
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, HAJIME (JP)
Takashima 1 (JP)
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Claims:
 グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上を含有する、過食防止剤。
 グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上の1回あたりの摂取量が、ヒト成人で遊離のグルタミン酸に換算して0.01g~100gである、請求項1に記載の過食防止剤。
 満腹感の増強又は持続剤である、請求項1又は請求項2に記載の過食防止剤。
 満腹感に関わらずに生ずる摂食促進の抑制剤である、請求項1又は請求項2に記載の過食防止剤。
 過食防止剤を製造するための、グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上の使用。
 満腹感の増強又は持続剤を製造するための、グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上の使用。
 満腹感に関わらずに生ずる摂食促進の抑制剤を製造するための、グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上の使用。
 グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上を、過食の防止の必要な投与対象に、過食を防止するのに十分な量を投与することを含む、過食症の治療方法。
 過食を防止するのに十分な量が、1回の投与あたり、ヒト成人で遊離のグルタミン酸に換算して0.01g~100gである、請求項8に記載の治療方法。
 グルタミン酸及びその塩より選択した1種又は2種以上を、肥満の予防又は改善の必要な投与対象に、該効果を得るのに十分な量を投与することを含む、肥満の予防又は改善方法。
 肥満の予防又は改善効果を得るのに十分な量が、1回の投与あたり、ヒト成人で遊離のグルタミン酸に換算して0.01g~100gである、請求項10に記載の予防又は改善方法。
 請求項1又は2に記載した過食防止剤と、当該過食防止剤を過食症の治療又は肥満の予防もしくは改善のために使用し得るか又は使用すべきであることを記載した書類とを含む、商業的パッケージ。
Description:
過食防止剤

 本発明は、満腹感の増強又は持続効果、 しくは、たとえば甘味や美味を呈する食物 に対して、満腹感等に関わらずに生ずる摂 促進を抑制する効果を有する過食防止剤に する。本発明に係る過食防止剤は、過食症 治療や肥満の予防、改善等に用いられる。

 摂食行動は、生命維持や生体活動に必要 エネルギーを得るために必要不可欠な行為 ある。動物は、一般に空腹感を覚えると摂 行動を開始し、十分な食事の摂取により満 中枢が刺激されると、摂食行動を終了する しかして、満腹感は種々のファクターによ て生起され、摂食ホルモンの他、食欲中枢 び満腹中枢に作用する物質などが関与する

 近年、ストレスや疾患等による過食が問 となっている。さらに、食生活の欧米化や 動不足から、肥満が大きな社会問題となり つある。肥満は、高血圧症、高脂血症、糖 病といった三大生活習慣病の温床となるた 、肥満を予防し、又は改善することは、健 な生活を維持する上で非常に重要であり、 腹感を増強又は持続させ、摂食量を制限す ことは肥満の予防、改善等に特に有用であ 。一方で、生命活動を維持し、身体的且つ 神的にも健康な生活を送るためには、適切 栄養を摂取することも必要である。すなわ 、肥満を予防、改善するためには、「過食 を防止することが重要となる。

 過食を防止するべく、満腹感を増強又は 続させるものが開発され、超微細粒子に粉 した食物繊維を含有するもの(特許文献1)、 サンタンガムとコンニャク又はローカスト ーンガム等、2種以上の水溶性多糖類の混合 物を含有するもの(特許文献2)、プロテアーゼ 阻害剤としてジャガイモ抽出物を含有するも の(特許文献3)などが開示されている。

 しかしながら、上記した満腹感を増強又 持続させるものでは、摂食量の減少という 果を達成できても、食事の味覚や食感が二 次になるため、食事に楽しさを付与するこ はできない。また、満腹感の増強又は持続 よる摂食量の制限は、過食症の治療や、肥 の予防又は改善のためにはかなり長期にわ って実施される必要があるが、従来の製品 価格的にも高価であり、体質によっては下 などの副作用が見られることから、長期間 使用に適するとはいい難い。さらに、食後 デザートや間食用の菓子などは、一般的に 味や美味を呈するものが多く、いわゆる「 腹」と呼ばれるように、満腹感があっても 子等の食物を食べてしまい、結果として過 となることが多い。この現象には、感性満 感の他に、甘味や美味による食欲促進性神 ペプチドの活性化を介した摂食促進効果が 与する可能性が示唆されている(非特許文献 1)。よって、食後や間食におけるデザート、 子等の過食は、満腹感の増強や持続のみで 防止できない可能性がある。

特開2005-58093号公報

特開2002-218943号公報

特開2005-336208号公報

Behav. Brain Res. 175 (2) 241-248 (2006)

 そこで本発明においては、安価で安全性 も優れ、さらに良好な味覚を付与すること でき、長期間の使用に適した過食防止剤で って、満腹感を増強又は持続させるもの及 、たとえば甘味もしくは美味を呈する食物 に対して、満腹感等に関わらずに生ずる摂 促進にも有効なものを提供することを目的 する。

 上記課題を解決するべく鋭意検討した結 、本発明者らは、グルタミン酸及びその塩 摂取した場合に、満腹感の増強又は持続作 を発揮することや、たとえば甘味もしくは 味を呈する食物に対して、満腹感等に関わ ずに生ずる摂食促進を抑制することにより 優れた過食防止効果が得られることを見出 、本発明を完成させるに至った。

 すなわち本発明は、以下の[1]~[18]に関する
[1]グルタミン酸及びその塩より選択した1種 は2種以上を含有する、過食防止剤。
[2]グルタミン酸及びその塩より選択した1種 は2種以上の1回あたりの摂取量が、ヒト成人 で遊離のグルタミン酸に換算して0.01g~100gで る、上記[1]に記載の過食防止剤。
[3]うま味受容体アゴニスト及びその塩より選 択した1種又は2種以上を含有する、過食防止 。
[4]満腹感の増強又は持続剤である、上記[1]~[3 ]のいずれかに記載の過食防止剤。
[5]満腹感に関わらずに生ずる摂食促進の抑制 剤である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の過 防止剤。
[6]過食防止剤を製造するための、グルタミン 酸及びその塩より選択した1種又は2種以上の 用。
[7]満腹感の増強又は持続剤を製造するための 、グルタミン酸及びその塩より選択した1種 は2種以上の使用。
[8]満腹感に関わらずに生ずる摂食促進の抑制 剤を製造するための、グルタミン酸及びその 塩より選択した1種又は2種以上の使用。
[9]過食防止剤を製造するための、うま味受容 体アゴニスト及びその塩より選択した1種又 2種以上の使用。
[10]満腹感の増強又は持続剤を製造するため 、うま味受容体アゴニスト及びその塩より 択した1種又は2種以上の使用。
[11]満腹感に関わらずに生ずる摂食促進の抑 剤を製造するための、うま味受容体アゴニ ト及びその塩より選択した1種又は2種以上の 使用。
[12]グルタミン酸及びその塩より選択した1種 は2種以上を、過食の防止の必要な投与対象 に、過食を防止するのに十分な量を投与する ことを含む、過食症の治療方法。
[13]過食を防止するのに十分な量が、1回の投 あたり、ヒト成人で遊離のグルタミン酸に 算して0.01g~100gである、上記[12]に記載の治 方法。
[14]グルタミン酸及びその塩より選択した1種 は2種以上を、肥満の予防又は改善の必要な 投与対象に、該効果を得るのに十分な量を投 与することを含む、肥満の予防又は改善方法 。
[15]肥満の予防又は改善効果を得るのに十分 量が、1回の投与あたり、ヒト成人で遊離の ルタミン酸に換算して0.01g~100gである、上記 [14]に記載の予防又は改善方法。
[16]うま味受容体アゴニスト及びその塩より 択した1種又は2種以上を、過食の防止の必要 な投与対象に、過食を防止するのに十分な量 を投与することを含む、過食症の治療方法。
[17]うま味受容体アゴニスト及びその塩より 択した1種又は2種以上を、肥満の予防又は改 善の必要な投与対象に、該効果を得るのに十 分な量を投与することを含む、肥満の予防又 は改善方法。
[18]上記[1]~[3]のいずれかに記載した過食防止 と、当該過食防止剤を過食症の治療又は肥 の予防もしくは改善のために使用し得るか は使用すべきであることを記載した書類と 含む、商業的パッケージ。

 本発明により、満腹感を有効に増強又は 続させ、又は満腹感等に関わらずに生ずる 甘味もしくは美味を呈する食物等に対する いわゆる「別腹」と呼ばれる摂食促進を抑 することにより、過食を効果的に防止する とのできる過食防止剤を提供することがで る。本発明に係る過食防止剤は、安価で安 性にも優れ、さらに良好な味覚を付与する とができ、過食症の治療、肥満の予防又は 善のため、長期間の使用にも適するもので る。

実施例1の満腹感増強剤摂取群及び比較 例1の食品摂取群における満腹感の経時的変 を示す図である。 実施例2の満腹感増強剤摂取群及び比較 例2の食品摂取群における満腹感の経時的変 を示す図である。 実施例3の過食防止剤摂取群及び比較例 3の食品摂取群における食後のデザート摂取 を示す図である。

 本発明においては、グルタミン酸及びそ 塩より1種又は2種以上を選択して、そのま 、もしくは医薬品又は飲食品用の担体又は 剤等に含有させて、過食防止剤とする。本 明において、グルタミン酸としては、L体、D 体、DL体のいずれをも使用することができる 、L体が好適に使用できる。

 グルタミン酸の塩としては、医薬品、飲 品等として供することができるものであれ 特に限定されず、ナトリウム塩、カリウム 等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カ シウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモ ウム塩などの無機塩類や、アルギニン塩、 ジン塩、オルニチン塩等の塩基性アミノ酸 、モノエタノールアミン塩、ジエタノール ミン塩等のアミン塩、ピリミジン塩などの 機塩類が例示され、これらの中でも、ナト ウム塩が水溶性及び味覚において優れる点 、好適に用いられる。また、グルタミン酸 びその塩としては、動物性及び植物性原料 由来する天然のものの他、化学合成、発酵 遺伝子組み換え等により得られるものを用 ることができ、さらにまた、たとえばシグ -アルドリッチ社等より市販品を購入し、使 用することもできる。

 本発明に係る過食防止剤においては、グ タミン酸及びその塩から選ばれる1種又は2 以上はそのまま投与してもよく、また各種 加剤等とともに投与してもよい。さらに、 種担体又は基剤や添加剤等を使用して製剤 し、医薬品製剤、飲食品製剤などの各種製 としてもよい。本発明に係る過食防止剤は 特に経口投与用の製剤に適する。

 本発明に係る過食防止剤において、過食 止効果を得るには、グルタミン酸及びその より選択した1種又は2種以上は、ヒト成人 、1回の摂取あたり遊離のグルタミン酸に換 して0.01g~100gであることが好ましく、さらに 好ましくは、0.1g~10gである。従って、かかる を摂取できるように投与し、或いは担体又 基剤等に含有させて提供することが好まし 。

 本発明に係る過食防止剤は、水性、油性 乳状、ゲル状、粉体等の担体、基剤等を用 ることにより、水性液剤、油性液剤、乳剤 ゲル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、カプ ル剤等の剤形で提供することができる。ま 、本発明に係る過食防止剤は、後述するよ な飲食品に配合してもよく、さらにはかか 飲食品にグルタミン酸及びその塩より選択 た1種又は2種以上自体、又はその含有物を 合した形態の製剤としてもよい。

 また、本発明に係る過食防止剤には、結 セルロース、ヒドロキシプロピルセルロー 等のセルロース及びその誘導体、コムギデ プン、トウモロコシデンプン、カルボキシ チルスターチナトリウム、デキストリン等 デンプン及びその誘導体、アラビアゴム、 ルギン酸ナトリウム等の天然高分子化合物 ブドウ糖、マルトース、ソルビトール、マ チトール、マンニトール等の糖及びその誘 体、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、ケ 酸マグネシウム等の無機塩類などの賦形剤 グアーガム、合成ケイ酸アルミニウム、ス アリン酸、高分子ポリビニルピロリドン、 糖などの結合剤、タルク、ステアリン酸マ ネシウム、ポリエチレングリコール6000など の滑沢剤、アジピン酸、ステアリン酸カルシ ウム、白糖などの崩壊剤、ショ糖脂肪酸エス テル、大豆レシチン、ポリオキシエチレン硬 化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノステア リン酸エステルなどの界面活性剤、カルボキ シメチルセルロースナトリウム、カルボキシ ビニルポリマー、キサンタンガム、ゼラチン などの増粘剤、アクリル酸エチル・メタクリ ル酸メチルコポリマー分散液、カラメル、カ ルナウバロウ、セラック、白糖、プルラン等 のコーティング剤、クエン酸、クエン酸ナト リウム、酢酸、酢酸ナトリウム、水酸化ナト リウムなどのpH調整剤、アスコルビン酸、酢 トコフェロール、天然ビタミンE、没食子酸 プロピル等の抗酸化剤、アスパルテーム、カ ンゾウエキス、サッカリン等の嬌味剤、安息 香酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ソル ビン酸、ソルビン酸ナトリウム、パラオキシ 安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル 等の防腐剤、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄 、カルミン、食用青色1号、食用黄色4号、食 黄色4号アルミニウムレーキ、食用赤色2号 銅クロロフィリンナトリウムなどの着色剤 いった添加剤を含有させることができる。

 本発明においては、グルタミン酸及びそ 塩より選択した1種又は2種以上を、飲食品 の担体又は基剤に含有させて、過食を防止 ることのできる飲食品製剤を得ることがで る。本発明に係る過食防止効果を有する飲 品製剤は、固形状、半固形状及び液状のい れの形態をも採り得る。また、前記飲食品 剤は、特定保健用食品、栄養機能食品等の 健機能食品や、栄養補助食品として提供さ るものであってもよい。

 本発明に係る過食防止剤はまた、グルタ ン酸及びその塩より選択した1種又は2種以 を、これらの含有量の少ない既存の飲食品 含有させてなるものであってもよい。

 本発明において、グルタミン酸及びその より選択した1種又は2種以上を含有させる 食品用担体もしくは基剤又は既存の飲食品 して、グルタミン酸及びその塩の総含有量 0.02重量%未満のものに対しては、グルタミン 酸及びその塩より選択した1種又は2種以上は 遊離のグルタミン酸に換算して通常0.02重量 %以上となるように含有させる。含有量の上 としては、5重量%以下とすることが好ましく 、さらに好ましくは1重量%以下である。

 また、本発明においては、グルタミン酸 びその塩を含むうま味受容体アゴニスト及 その塩より1種又は2種以上を選択して含有 せることもできる。グルタミン酸及びその 以外のうま味受容体アゴニストとしては、5 -イノシン酸、5’-グアニル酸、5’-アデニ 酸等の核酸系うま味化合物等を挙げること でき、その塩としては、ナトリウム塩、カ ウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム 、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、 ンモニウム塩などの無機塩類や、アルギニ 塩、リジン塩、オルニチン塩等の塩基性ア ノ酸塩、モノエタノールアミン塩、ジエタ ールアミン塩等のアミン塩、ピリミジン塩 どの有機塩類を挙げることができる。かか グルタミン酸及びその塩以外のうま味受容 アゴニスト及びその塩についても、動物性 び植物性原料に由来する天然のものの他、 学合成、発酵、遺伝子組み換え等により得 れるものや、市販品を用いることができる グルタミン酸及びその塩以外のうま味受容 アゴニスト及びその塩より選択した1種又は2 種以上の含有量としては、用いるうま味受容 体アゴニストや塩の種類にもよるが、0.01重 %~5重量%程度とするのが適当である。

 本発明に係る過食防止剤においては、好 しくは、白飯、パン、チョコレート、ガム アメ及びケーキといった固形状食品、白粥 オートミール、豆腐、ゼリー及びプリンと った半固形状食品、人工乳、牛乳及びコー といった液状食品、ビール、発泡酒等のビ ル様飲料、ワイン、及び焼酎、ウイスキー ブランデー等の蒸留酒といったアルコール 料等に対し、グルタミン酸及びその塩より 択した1種又は2種以上、又はうま味受容体 ゴニスト及びその塩より選択した1種又は2種 以上を含有させることによって、飲食品製剤 とすることもできる。

 また、本発明に係る過食防止剤を、特定 健用食品、栄養機能食品等の保健機能食品 栄養補助食品といった飲食品製剤として提 する場合には、グルタミン酸及びその塩よ 選択した1種又は2種以上、又はうま味受容 アゴニスト及びその塩より選択した1種又は2 種以上が、1回あたりの摂取単位量を1食あた の食べきりの形態で袋や箱等に包装又は充 された形態や、グルタミン酸及びその塩よ 選択した1種又は2種以上等が懸濁あるいは 解した飲料が、1食あたりの飲み切りの形態 瓶等に充填された形態で提供することがで る。

 本発明に係る過食防止剤は、満腹感の増 又は持続剤として提供され得る。本発明に る満腹感の増強又は持続剤は、上記の通り 医薬品製剤、飲食品製剤などの各種製剤と て提供され、満腹感を有効に増強又は持続 せることができる。

 本発明に係る過食防止剤はまた、満腹時 生ずる摂食促進の抑制剤に係るものである 特に、甘味もしくは美味を呈する食物等に して、満腹感等に関わらずに生ずる摂食促 を抑制するものであり、満腹感があるにも わらず菓子等の食物を食べてしまう、いわ る「別腹」と呼ばれる摂食促進を有効に抑 することができる。

 さらに、本発明に係る過食防止剤は、動 用の飼料に添加することもできる。

 また本発明は、過食を防止することが必 な患者又は動物等の投与対象に、グルタミ 酸及びその塩より選択した1種又は2種以上 又はうま味受容体アゴニスト及びその塩よ 選択した1種又は2種以上を、過食を防止する のに十分な量投与することにより、過食症を 治療する方法を提供する。過食を防止するの に十分な量としては、上述したように、グル タミン酸及びその塩より選択した1種又は2種 上については、1回の投与あたり、ヒト成人 で遊離のグルタミン酸に換算して0.01g~100gで る。

 さらにまた、本発明は、肥満を予防又は 善することが必要な患者又は動物等の投与 象に、グルタミン酸及びその塩より選択し 1種又は2種以上、又はうま味受容体アゴニ ト及びその塩より選択した1種又は2種以上を 、肥満の予防又は改善効果を得るのに十分な 量投与することにより、肥満の予防又は改善 方法を提供する。肥満の予防又は改善効果を 得るのに十分な量としては、グルタミン酸及 びその塩より選択した1種又は2種以上につい は、上記と同様である。

 さらに本発明においては、上記した過食 止剤のいずれかと、当該過食防止剤を過食 の治療又は肥満の予防もしくは改善のため 使用し得るか又は使用すべきであることを 載した書類とを含む、商業的パッケージを 供する。

 なお、本発明に係る過食防止剤は、安価 安全性にも優れており、さらに良好な味覚 付与することができるので、長期間にわた 使用に適する。過食症の治療や、特に肥満 予防又は改善するには、本発明に係る過食 止剤をかなり長期間使用することが好まし 場合がある。本発明に係る過食防止剤の投 期間は、患者等投与対象の症状や食生活等 よって決定されるが、通常は2週間~60年、好 ましくは1ヶ月~2年である。

 本発明の特徴について、実施例によりさ に詳細に説明する。

 [実施例1] 液状満腹感増強剤
 市販のコーンポタージュより、グルタミン ナトリウム、核酸系調味料並びに酵母エキ 等の天然系調味料を除いたものを液状担体 して調製した。前記液状担体に対し、L-グ タミン酸ナトリウムを0.5重量%となるように 加し、液状満腹感増強剤とした。

 [実施例2] 粥状満腹感増強剤
 味の素株式会社製レトルト白粥(グルタミン 酸含有量:0.02重量%未満)450gを53℃で30分間湯煎 し、L-グルタミン酸ナトリウムを0.5重量%とな るように添加し、粥状満腹感増強剤とした。

 [試験例1]
 上記実施例1及び実施例2の満腹感増強剤に いて、満腹感等の主観的な腹部感覚評価を った。その際、実施例1及び実施例2の満腹感 増強剤のそれぞれにおいて、L-グルタミン酸 トリウムを添加せずに、ナトリウム濃度が しくなるように食塩を添加して、比較例1及 び2の食品とした。

 上記各評価は、40歳以上の男性を被験者 し、各群11名のダブルブラインドクロスオー バー試験により行った。被験者には12時間の 食の後に試験食を摂取させ、摂取後4時間に わたり腹部感覚の評価を行わせた。なお、上 記実施例の満腹感増強剤及び比較例の食品の 各400gを計り取り、試験食とした。

 主観的な腹部感覚評価は、試験食摂取後1 5分ごとに、Visual Analog Scale(VAS)を用いて、被 験者の感覚を評価させて行い、線形混合モデ ルを用いた共分散分析によりデータを解析し た。主観的な腹部感覚としては、空腹感、満 腹感、胃の張り、胃の重さといった項目を挙 げ、VASは、スケールの長さを10cmとして、前 各評価項目について下記に示すように設定 た。評価結果は、スケールの左端から被験 がチェックした部位までの長さを計測し、 の長さ(cm)により示した。

 [VAS]
 空腹感:
  全くない(0cm)            とても強い(10cm)
 満腹感:
  全くない(0cm)            とても強い(10cm)
 胃の張り:
  全くない(0cm)            とても強い(10cm)
 胃の重さ:
  全くない(0cm)            とても強い(10cm)

 主観的な腹部感覚評価の結果として、満 感についての回答の経時変化を、図1及び図 2に示した。

 図1より明らかなように、本発明の実施例 1の満腹感増強剤摂取群では、比較例1の食品 取群に比べて満腹感が有意に持続していた( p<0.001)。その他、実施例1の満腹感増強剤摂 取群で比較例1の食品摂取群に比べて空腹感 減少(p<0.1)、及び胃の張りの増加(p<0.001) 認めた。

 次に、図2より明らかなように、本発明の 実施例2の満腹感増強剤摂取群では、比較例2 食品摂取群に比べて満腹感の持続が認めら た。その他、実施例2の満腹感増強剤摂取群 において、比較例2の食品摂取群に比べて、 験食摂取後の胃の重さについての評価が高 なっていた(p<0.001)。

 以上の結果は、本発明の実施例の満腹感 強剤摂取群において、満腹感の持続や空腹 の出現の遅延が認められることを示唆する のであった。

 [実施例3] 液状過食防止剤
 市販のチキンコンソメスープより、L-グル ミン酸ナトリウム、核酸系調味料並びに酵 エキス等の天然系調味料を除いたものを液 担体として調製した。前記液状担体に対し L-グルタミン酸ナトリウムを0.5重量%となる うに添加し、液状過食防止剤とした。

 [試験例2]
 上記の実施例3の液状過食防止剤について、 昼食後の満腹状態におけるデザートの摂取量 調査を行った。その際、実施例3の液状過食 止剤において、L-グルタミン酸ナトリウムを 添加せず、ナトリウム濃度が等しくなるよう に食塩を添加したものを比較例3の食品とし 。

 上記のデザートの摂取量調査は、12名の ブルブラインドクロスオーバー試験により った。試験は、11時30分から、もしくは12時30 分からの2パターンで実施し、被験者1人あた 3回の試験参加を必須とした。試験参加日に は、3回とも同時刻に同じ内容の朝食(通常の 食)を摂取させた。

 1回目の試験では、被験者には体調等のア ンケートに回答させた後、あらかじめ用意し た昼食(白飯、ハンバーグ、キュウリ、トマ 、マッシュカボチャ、マッシュポテト、プ ーンヨーグルトからなる)を自由に摂取させ 摂取量を計測した。2回目及び3回目の試験 は、1回目の摂取量と同じ量の昼食(プレーン ヨーグルトを除く)を摂取させた後に、試験 を2分間で摂取させた。その後、デザートと て、チョコレート味、イチゴ味、抹茶味の ーキ及びクリームサンドケーキを自由に摂 させ、その摂取量を計測した。なお、実施 3の液状過食防止剤及び比較例3の食品の各15 0mLを、2回目又は3回目の試験のいずれかにお て、それぞれ試験食として供した。

 実施例3の液状過食防止剤及び比較例3の 品摂取後のデザート摂取量を、図3に示した

 図3より明らかなように、本発明の実施例 3の液状過食防止剤摂取群では、比較例3の食 摂取群に比べてデザートの摂取量が、対応 あるt検定にて有意に(p=0.017)減少していた。

 以上の結果は、本発明の実施例3の液状過 食防止剤の摂取により、昼食を摂取した後の 満腹状態において、甘味や美味等による摂食 促進により生ずる過食を防止できることを示 唆するものである。

 上述の通り、本発明によれば、満腹感の 強又は持続効果、もしくは、満腹感等に関 らずに生ずる摂食促進を抑制する効果を有 る過食防止剤を提供することができる。本 明に係る過食防止剤は、過食症の治療や肥 の予防、改善に有用である。

 以上、本発明の具体的な態様のいくつか 詳細に説明したが、当業者であれば示され 特定の態様には、本発明の教示と利点から 質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更 なすことは可能である。従って、そのよう 修正及び変更も、すべて後記の請求の範囲 請求される本発明の精神と範囲内に含まれ ものである。

 本出願は日本で出願された特願2008-161012 び特願2008-293572を基礎としており、それらの 内容は本明細書に全て包含されるものである 。




 
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