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Title:
ALUMINUM ALLOY FOIL AND METHOD FOR MANUFACTURING SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175327
Kind Code:
A1
Abstract:
The aluminum alloy foil according to the present invention has a Fe content of 1.2-1.6 mass%, a Si content of 0.5-0.9 mass%, and a Cu content of less than 0.02 mass%, the total content of Fe and Si being 1.8 mass% or more, the remaining portion being aluminum and unavoidable impurities. The foil in a hard state has a tensile strength of 170-215 N/mm2 and an elongation of 4.0% or more. The foil, after being heated at 120°C, has a tensile strength of 150 N/mm2 or more and an elongation of 6.0% or more.

Inventors:
MURAMATSU KENJI (JP)
AKIYAMA SOTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/006875
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 20, 2020
Export Citation:
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Assignee:
TOYO ALUMINIUM KK (JP)
International Classes:
C22C21/00; C22F1/04; C22F1/00; H01M4/66
Domestic Patent References:
WO2017135108A12017-08-10
WO2010100924A12010-09-10
WO2017057707A12017-04-06
Foreign References:
JP2017186630A2017-10-12
JP2014198869A2014-10-23
Attorney, Agent or Firm:
KAMADA Naoya et al. (JP)
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Claims:
〇 2020/175327 13 卩(:171? 2020 /006875 請求の範囲

[請求項 1 ] 6含有量が 1 . 2質量%以上·! . 6質量%以下、 3 丨含有量が 0

. 5質量%以上〇. 9質量%以下、 6と 3 丨含有量の合計が 1 . 8 質量%以上、 〇リ含有量が〇. 0 2質量%未満であって、 残部が八 丨 と不可避不純物からなり、

硬質時の引張強度が

伸びが 4 . 0 %以上であり、

1 2 0 °〇で熱処理後の引張強度が 1 5 0 1\1 /〇1〇1 2以上、 伸びが 6 . 0 %以上である、

アルミニウム合金箔。

[請求項 2] 2 0 0 °〇 で熱処理後の引張強度が 伸びがともに 7 . 0

%以上である請求項 1 に記載のアルミニウム合金滔。

[請求項 3] アルミニウム合金箔中に含まれる八 丨 _ 6系の金属間化合物と八

I _ 6 _ 3 丨系の金属間化合物の内、 八 丨 _ 6 _ 3 丨系化合物の 占める個数割合が 8 0 %以上である、 請求項 1 または 2に記載のアル ミニウム合金箔。

[請求項 4] 厚みが 1 0 以上 2 0 〇!以下である、 請求項 1から 3のいずれ かに記載のアルミニウム合金箔。

[請求項 5] 請求項 1〜 4のいずれかに記載のアルミニウム合金箔の製造方法で あって、

前記組成範囲になるようにアルミニウム母合金を調製し加熱してア ルミニウム合金溶湯を作製する工程と、

前記アルミニウム合金溶湯を錶造して錶塊を作製する工程と、 前記錶塊を、 4 5 0〜 6 0 0 °〇で均質化処理を施す工程と、 前記均質化処理を施した錶塊を圧延して箔にする工程と、 を含むアルミニウム合金箔の製造方法。

Description:
\¥0 2020/175327 1 卩(:17 2020 /006875 明 細 書

発明の名称 : アルミニウム合金箔およびその製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は蓄電装置、 特にリチウムイオンニ次電池の正極集電体用 として好 適に使用されるアルミニウム合金箔およびそ の製造方法に関する。

背景技術

[0002] 以下、 本明細書において、 アルミニウム合金箔とはアルミニウム箔の内 、 成分中のアルミニウム濃度が 9 9 . 0 0質量%未満のものをいう。

[0003] リチウムイオンニ次電池は二次電池の中でも エネルギー密度が優れており 、 携帯電話やノートパソコンのバッテリーなど 幅広い分野で使用されている 。 従来は安全性を問題視されることが多かった 車載用電池といった用途にお いても、 近年では適用されることが多くなっている。 一般的にリチウムイオ ンニ次電池の正極集電体にはアルミニウム箔 、 負極集電体には銅箔が使われ る。 各集電体表面上にはリチウム金属酸化物や炭 素材料などの活物質が塗布 され、 上記活物質が電解液中で反応を起こし電池と して動作する。

[0004] リチウムイオンニ次電池の製造は一般的に下 記の工程となる。 まず集電体 箔表面上に、 活物質とバインダー樹脂と溶剤を混練したス ラリーを塗工する 。 次に例えば 1 0 0〜 1 5 0 ° 〇程度で加熱し溶剤を揮発させ乾燥を行 う。 さ らに活物質層の密度を上げるためプレス加工 を施す。 その後、 例えば 1 2 0 〜 2 0 0 °〇程度でさらに乾燥を行う場合もある。 このようにして製造した電 極材を所望の形状に裁断あるいは打ち抜き、 正極材、 セパレータ、 負極材を 積層したうえで捲回し、 引き出し用タブ材等と接続した後、 ケースまたはラ ミネートパック中に収納される。 次に、 ケースまたはラミネートパック中に 電解液を注液し、 封止した後、 初回の充放電やエージングなどを行う。

[0005] 上記の製造工程はあくまで一例であるが、 集電体であるアルミニウム箔は プレスおよび捲回といった多様な加工及び熱 履歴を経ることになる。 また限 られた体積の中で電池容量を増大させるため に、 活物質層については密度を 〇 2020/175327 2 卩(:171? 2020 /006875

高めること、 集電体などその他の部品には省スペース性が 求められる。 現在 、 正極集電体に使用されるアルミニウム箔の厚 さは 20 程度である。 し かしながら、 上記の理由により、 アルミニウム箔には薄肉化が求められてお り、 その様な厚さのアルミニウム箔は製造工程内 で破断しやすいため、 安定 して製造する目的で箔特性の改善が数多く提 案されている。

[0006] たとえば特許文献 1 には、 6 、 3 し 〇リを添加し、 それらの固溶量を 制御することで高強度 ·高導電率とし、 さらに 1 20〜 1 60 ° 〇で熱処理後 でも高強度を保つことができるアルミニウム 合金箔が開示されている。 しかし、 1 20〜 1 60°〇で熱処理後でも高強度が維持されるこ 自体は 開示されているものの、 伸びに関する記載はない。

[0007] また、 特許文献 2には、 3 し 〇リを添加し、 厚さ方向の結晶粒径 を平均〇. 5 以下にすることで、 高強度 ·高伸びを有するアルミニウム 合金箔が、 特許文献 3には、 6 、 3 丨 を添加し、 錶造時冷却速度を 1 00 で/秒以上とすることで、 高強度 ·高伸びに加え、 高い耐折強度を有するア ルミニウム合金箔が、 それぞれ開示されている。

しかし、 特許文献 2および特許文献 3のいずれにも、 熱処理後の伸びに関 する記載はない。

[0008] さらに、 特許文献 4および 5には、 6 、 3 丨 を主な添加元素とし、 これ らを特定の範囲の含有量にすることで低温熱 処理後の伸び低下を抑制したア ルミニウム合金箔が開示されている。

また、 特許文献 4のアルミニウム合金箔では、 1 00〜 200°〇で熱処理 後の伸びが 3%以上であり、 含有量を〇. 7質量%以上にすると、 圧延 後の伸びは向上するものの加熱後の伸び低下 が生じるとしている。 特許文献 5のアルミニウム合金箔では、 1 00〜 200°〇で熱処理後の伸びが 3. 5 %以上であり、 3 丨含有量が〇. 5質量%を超えると、 八 丨 _ 6 _3 丨系 の晶出物粗大化や圧延性の悪化を懸念される としている。

しかし、 特許文献 4および 5のいずれも、 加熱温度は 1 00 ° 〇、 1 50 ° 〇 、 200°〇の 3条件でしか測定しておらず、 その間の温度における伸びにつ 〇 2020/175327 3 卩(:171? 2020 /006875

いてはなんら記載がない。

先行技術文献

特許文献

[0009] 特許文献 1 :特許第 5 8 1 6 2 8 5号公報

特許文献 2 :特開 2 0 1 7 _ 1 1 0 2 4 4号公報

特許文献 3 :特許第 5 2 7 5 4 4 6号公報

特許文献 4 :特開 2 0 1 7 - 1 8 6 6 2 9号公報

特許文献 5 :特開 2 0 1 7 _ 1 8 6 6 3 0号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0010] リチウムイオンニ次電池の集電体は省スペー ス性がより要求されるように なり、 より厚さの薄い箔が求められるようになった 。 その薄箔化の要求に対 応するため、 高強度が求められてきた。 しかし集電体であるアルミニウム箔 は電池製造工程内で熱処理を施されることに なり、 上記熱処理により特性は 大きく変化する可能性がある。 製造工程の途中で強度、 伸びが低下してしま うと、 その後の工程不良や、 電池の使用中に、 集電体の破断等の不具合を引 き起こす恐れがある。 特にセル組み立て工程での捲回作業や、 電池充放電中 に起こる活物質の膨張 ·収縮に耐えるためには強度だけでなく、 高い伸びが 必要とされる。

[001 1 ] 正極集電体のアルミニウム箔には純八 丨系、 八 丨 _ 6系がよく使われる が、 上記成分のアルミニウム箔は 1 2 0〜 2 0 0 ° 〇で伸びが低下しやすいと いう特徴がある。 特に 1 2 0 ° 〇では回復 ·再結晶が起こりにくく、 また 6 固溶量の低下や析出物の粗大化が懸念される ことから、 電池製造工程の熱処 理温度の中でも伸び改善が困難な温度である 。 つまり、 1 2 0 ° 〇加熱後のア ルミニウム箔は伸びが大きく低下する場合が あり、 従来行われてきた 1 0 0 °〇および 1 5 0 ° 〇加熱後の伸びよりも低い場合がある。

[0012] 近年、 リチウムイオンニ次電池の集電体に要求され る熱処理後の伸びの値 〇 2020/175327 4 卩(:171? 2020 /006875

はさらに高くなってきており、 製造工程中でのアルミニウム箔への負荷も厳 しくなっていると予想される。

[0013] 本発明はこのような事情に鑑みてなされたも のであり、 蓄電装置、 特にリ チウムイオンニ次電池の正極集電体用に使用 されるアルミニウム合金箔につ いて、 蓄電装置の製造工程および蓄電装置の使用中 において破断等の不具合 の発生し難い集電体用アルミニウム合金箔を 提供することを目的とする。 課題を解決するための手段

[0014] 本発明者はアルミニウム合金箔の組成を特定 の範囲とし、 硬質時の伸び、 および熱処理後の伸び、 特に 1 20 ° 〇熱処理後の伸びを特定の値とすること で、 蓄電装置の製造工程および蓄電装置の使用中 において破断等の不具合の 発生を低減できることを見出した。

[0015] すなわち、 上記した課題を解決するため、 発明にかかるアルミニウム合金 箔を、 以下 (1) 〜 (3) の構成を有するものとしたのである。

(1) (鉄) 含有量が 1. 2質量%以上 1. 6質量%以下、 3 丨 (珪素 ) 含有量が〇. 5質量%以上〇. 9質量%以下、 6 と 3 丨含有量の合計が 1. 8質量%以上、 〇リ (銅) 含有量が〇. 02質量%未満であって、 残部 が八 丨 (アルミニウム) と不可避不純物からなる。

(2) 硬質時の引張強度が 伸び が 4. 0%以上である。

(3) 伸びが 6. 0 %以上である。

[0016] 発明にかかるアルミニウム合金箔は、 1 60°〇で熱処理後の引張強度が 1 401\1/〇 1 1 2 以上、 200°〇で熱処理後の引張強度が 1 301\1/〇 1 1 2 以上 、 伸びがともに 7. 0%以上の構成を有することが好ましい。

発明にかかるアルミニウム合金箔は、 アルミニウム合金箔中に含まれる八 I _ 6 系の金属間化合物と八 丨 _ 6 _3 丨系の金属間化合物の内、 八 丨 - 6 -3 丨系化合物 (アルミニウム、 鉄、 珪素の三元化合物) の占める個 数割合が 80%以上の構成を有することが好ましい。 〇 2020/175327 5 卩(:171? 2020 /006875

発明にかかるアルミニウム合金箔は、 厚みが 1 0 以上20 以下で ある構成を有することが好ましい。

[0017] 上記した課題を解決するため、 発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方 法を、 前記組成範囲になるようにアルミニウム母合 金を調製し加熱してアル ミニウム合金溶湯を作製する工程と、 前記アルミニウム合金溶湯を錶造して 錶塊を作製する工程と、 前記錶塊を、 450〜 600 ° 〇で均質化処理を施す 工程と、 前記均質化処理を施した錶塊を圧延して箔に する工程と、 を含む構 成としたのである。

発明の効果

[0018] 本発明によれば、 蓄電装置、 特にリチウムイオンニ次電池の正極集電体用 に使用されるアルミニウム合金箔について、 蓄電装置の製造工程および蓄電 装置の使用中において破断等の不具合の発生 し難い集電体用アルミニウム合 金箔を得ることができる。

発明を実施するための形態

[0019] 以下、 本発明の実施形態を説明する。

実施形態にかかるアルミニウム合金箔は、 次の (1 ) 〜 (5) の構成を備 ス ·る。

(1 ) 6含有量が 1. 2質量%以上·! . 6質量%以下、 3 丨含有量が〇.

5質量%以上〇. 9質量%以下、 6 と 3 丨含有量の合計が 1. 8質量%以 上、 〇リ含有量が〇. 02質量%未満であって、 残部がアルミニウムと不可 避不純物からなる。

(2) 硬質時の引張強度が 伸び が 4. 0%以上である。

上である。

(4) アルミニウム合金箔中に含まれる八 丨 _ 6 系の金属間化合物と八 丨 〇 2020/175327 6 卩(:171? 2020 /006875

_ 6 丨系の金属間化合物の内、 八 丨 _ 6 丨系化合物の占める個 数割合が 8 0 %以上である。

(5) 厚みが 1 〇 以上 2 0 以下である。

実施形態のアルミニウム合金箔は、 リチウムイオンニ次電池の正極集電体 用として好適に使用されるものであり、 そのリチウムイオンニ次電池の製造 工程や使用中に、 破断等の不具合の発生が防止されているもの である。 以下、 (1) 〜 (5) の構成について順に説明する。

[0020] (組成)

実施形態のアルミニウム合金箔に ·! . 2質量%以上·! . 6質量%以下含ま れる 6 は、 八 I に添加することで、 固溶強化または析出強化が得られる。 また、 6 は、 圧延性や伸びを改善する元素であり、 アルミニウム箔には一 般に添加されている。

6の含有量が 1 . 2質量%より少なければ十分な伸びが得られ い。 ま た、 の含有量が 1 . 6質量%を超えると晶出物が粗大になること 初晶 が八 丨から八 丨 6 系化合物 (アルミニウムと鉄の二元化合物) となる恐 れがあり、 これも伸びに悪影響を及ぼす。

[0021 ] 実施形態のアルミニウム合金箔に〇. 5質量%以上〇. 9質量%以下含ま れる 3 丨 は、 八 I に添加することで、 析出強化により強度が向上する。 添加 量が少ないと硬質での強度、 伸びともに低下する傾向にある。

3 丨の含有量が〇. 5質量%以上とすることで、 1 2 0 °〇で熱処理後の箔 の伸びが硬質時の伸びに比べて高い値を示す ようになる。 また 3 丨の含有量 が、 〇. 9質量%を超えると錶造時に引け巣が発生し すく、 安定した製造 が困難となる。

[0022] 実施形態のアルミニウム合金箔における 6と 3 丨含有量の合計は 1 . 8 質量%以上である。 合計の含有量を上記範囲とすることで硬質時 の伸びと 1 2 0 °〇で熱処理後の伸びの両方で高い値を示す うになる。

合計の含有量が 1 . 8質量%を下回ると、 八 I 6 - 3 I系化合物の晶析 出量が少なく、 硬質時の伸びと 1 2 0 ° 〇熱処理後の伸びの向上が不十分であ \¥0 2020/175327 7 卩(:17 2020 /006875

る。

[0023] 実施形態のアルミニウム合金箔に〇. 0 2質量%未満含まれる〇リは、 八 丨 に添加することで、 固溶強化に優れている。 0リの固溶は強度を向上させ るが、 伸びが低下する。 0リ添加は強度向上に好適であるが、 伸び低下を抑 えるために 0 . 0 2質量%未満とすることが好ましい。

[0024] 実施形態のアルミニウム合金箔は、 不可避不純物として、 IV! n (マンガン ) 、 V (バナジウム) 、 丁 丨 (チタン) 、 「 (ジルコニウム) 、 〇 「 (ク ロム) 、 |\1 丨 (ニッケル) 等の遷移元素、 IV! 9 (マグネシウム) 、 Z n (亜 鉛) 、 巳 (ホウ素) 、 (ガリウム) 、 巳 丨 (ビスマス) 等の元素を含有 する。

これら各元素の含有量は、 アルミニウム合金箔 1 〇〇質量%中に、 それぞ れ〇. 0 5質量%以下とすることが好ましい。

[0025] (強度および伸び)

実施形態のアルミニウム合金箔は、 硬質時の引張強度が 1 ア〇 / 〇^以 上 2 1 5 1\1 /〇1〇1 2 以下、 伸びが 4 . 0 %以上であることで、 活物質スラリー 塗工時の箔切れの抑制に効果がある。

また、 1 2 0 °〇で熱処理後の引張強度が 1 5 0 1\1 /〇1〇1 2 以上、 伸びが 6 .

0 %以上であることで、 口ールプレスエ程や電極材の捲回工程での箔 切れの 抑制に効果がある。

また、 伸びが 7 .

0 %以上であることで、 電極材の捲回工程や電池充放電での活物質の 膨張 · 収縮による箔切れの抑制に効果がある。

さらに、 伸びが 7 . 0 %以上であることで、 電極材の捲回工程や電池充放電での活物質の 膨張 -収縮による箔切れの抑制に効果がある。

[0026] (晶析出物)

実施形態のアルミニウム合金箔は、 晶析出物である八 I 6系の金属間 化合物と八 丨 _ 6 _ 3 丨系の金属間化合物の内、 八 丨 _ 6 _ 3 丨系化合 物の占める個数割合が 80%以上となることで、 熱処理後に優れた伸びが得 られやすい。 低温熱処理時の回復、 再結晶に A I - F e -S i系化合物が寄 与している可能性がある。

[0027] (厚み)

実施形態のアルミニウム合金箔は、 厚みが 1 0 Mm以上 20 Mm以下であ ることで、 強度と電池容量とを両立させている。

厚みが 1 Ogm未満では強度が低く、 破断等の不具合を起こしやすい。 ま た厚みが 20 Mmを超えると、 蓄電装置の集電体として用いた際に体積あた りの電池容量が低下する。

[0028] (製造方法)

実施形態のアルミニウム合金箔の製造方法は 特に限定されないが、 一例と して以下のような製造方法が挙げられる。

まず、 上記組成範囲になるようにアルミニウム地金 、 各種添加金属元素、 またはそれらを含んだアルミニウム母合金を 調製し、 680~ 1 000 ° Cで 加熱しアルミニウム合金溶湯にする。

つぎに、 その溶湯を錶造し、 錶塊を作製する。 錶造方法は限定されないが 、 代表的には DC錶造 (D i r e c t C h i l l C a s t i n g) が挙 げられる。

さらに、 得られた錶塊を、 好ましくは 450〜 600 ° Cで所定時間の均質 化処理を施した後、 熱間圧延と冷間圧延を実施して所定厚みの箔 にする。 圧 延のしやすさ、 効率を上げるために冷間圧延工程の途中で中 間焼鈍すること も可能である。

[0029] 均質化処理については、 処理温度が 450°C以上 600°C以下であると、 アルミニウム合金中のミクロ偏析を解消し、 また、 A l -F e-S i系化合物 のサイズおよび個数割合を好適な範囲とする 事ができ、 硬質および加熱後の 強度および伸びを向上させることができる。

処理温度が 450 ° 〇より低いと、 組織のミクロ偏祈が十分に解消されない ので、 アルミニウム合金箔が圧延中にピンホールが 発生しやすくなり、 蓄電 〇 2020/175327 9 卩(:171? 2020 /006875

装置に用いた場合製造工程中で破断しやす い。

また処理温度が 6 0 0 ° 〇より高くなると、 晶出物を粗大化させてしまう恐 れがあり、 アルミニウム合金箔の伸びが低下し、 蓄電装置に用いた場合製造 工程中で破断しやすくなる。

均質化処理の時間については、 2〜 4 8時間が好ましく、 特には 5〜 1 0 時間であるとより好ましい。

処理時間が 4 8時間を上回ると生産性が悪化する。 また、 処理時間が 2時 間を下回るとアルミニウム合金錶塊内の組織 が不均一なままとなり、 アルミ ニウム合金箔とした際に特性に悪影響を及ぼ す。

実施例

[0030] 以下、 実施例および比較例を挙げて、 本発明の内容を一層明確にする。

[0031 ] 次の表 1 に示す各組成からなるアルミニウム合金を溶 解し、 その溶湯を脱 ガス ·脱介在物処理した後に口(3錶造で錶塊を得 た。 得られた錶塊を 4 5 0 °〇かつ 1 0時間で均質化処理を施し、 その後、 厚さ 7 まで熱間圧延を行 つた。 さらに冷間圧延を行い、 表 1 に示す厚みを有する実施例および比較例 にかかるアルミニウム合金箔を得た。

[0032] (金属間化合物の個数割合)

各実施例および比較例につき、 金属間化合物の個数割合の判定について、 まず 巳一3巳1\/1 (日立ハイテクノロジーズ製、 機種名 3 11 8 0 2 0) でア ルミニウム合金箔中の金属間化合物を 4 0 0〇倍の倍率、 反射電子像で観察 し、 長径が 1 以上の化合物を特定した。 特定した化合物を日口 Xで成分 分析しマッピングを行い、 6が検出されるものの内、 3 丨が同位置で検出 されるものの割合を求めた。 上記の割合は 6が検出された化合物を 5 0個 以上観察して計算した。 試験結果を表 1 に示す。 なお、 表中 「巳 3 丨 . 」 の 表示は残部を示す。

[0033] 〇 2020/175327 10 卩(:171? 2020 /006875

[表 1 ]

[0034] (機械的特性)

各実施例および比較例について、 硬質の試料と、 1 2 0 ° 〇、 1 6 0 ° 〇およ び 2 0 0 ° 〇の各温度で 1時間の空気中熱処理を行い、 室温まで冷却したもの を評価に供した。

機械的特性 (引張強度と伸び) は、 」 丨 3 1 2 2 4 1 (2 0 1 1年版

) に準拠して行った。 試験片の形状は」 丨 3 5号とし、 引張試験機は株式会 社東洋精機製作所製のストログラフ 巳3 5 0を使い、 引張速度

I 门で試験した。 試験は 3回実施し、 その平均値を算出した。 試験結果を表 2に示す。

[0035] 〇 2020/175327 1 1 卩(:171? 2020 /006875

[表 2]

[0036] 実施例 1〜 8では 6 と 3 丨の含有量が多く、 晶析出物の主体が八 I _

6 - 3 丨系化合物であることから、 硬質の強度、 伸びおよび加熱後の強度、 伸びに優れることがわかった。

これに対して、 比較例 1〜 9は硬質の強度、 伸びに優れるものの、 加熱後 伸びが不足し製造工程中で破断しやすいとい う不具合があった。

また、 比較例 4は 6 の含有量が多く、 晶析出物の主体である八 - 3 丨系化合物が粗大となった。 そのため、 硬質および加熱後の強度に優れ るが、 硬質および加熱後の伸びが不足し製造工程中 で破断しやすいという不 具合があった。

比較例 5は、 0リの含有量が多く固溶硬化したため、 硬質および加熱後の 強度に優れるが、 硬質および加熱後の伸びが不足し製造工程中 で破断しやす いという不具合があった。

比較例 6では 6の含有量が少なく 丨 _ 6 _ 3 丨系化合物の個数割合 が低いため硬質の伸びと加熱後の強度および 伸びが不足した。 比較例 8では 〇 2020/175327 12 卩(:171? 2020 /006875

硬質の伸びと加熱後の強度および伸びが不 足した。 比較例 9では硬質の伸び と加熱後の伸びが不足した。

[0037] 今回開示された実施形態および実施例はすべ ての点で例示であって制限的 なものではないと考慮されるべきである。 本発明の範囲は特許請求の範囲に よって示され、 特許請求の範囲と均等の意味および範囲内で のすベての修正 と変形を含むものであることが意図される。

[0038] 実施形態では、 アルミニウム合金箔の引張強度および伸びを 、 1 60 ° 〇で 熱処理後の引張強度が 1 401\1/ 〇! 2 以上、 200°〇で熱処理後の引張強度 が 1 30 以上、 伸びがともに 7. 0%以上としているが、 これに限 定されない。

実施形態では、 アルミニウム合金箔中に含まれる八 | 、

6-3 1系の金属間化合物の内、 八 I _ 6 _3 丨系化合物の占める個数割 合を 80%以上としているが、 これに限定されない。

実施形態では、 アルミニウム合金箔の厚みを 1 〇 以上 20 として いるが、 これに限定されない。

実施形態のアルミニウム合金箔は、 集電体以外の用途にも使用可能である