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Title:
ANTIREFLECTION SHEET, DISPLAY ELEMENT AND DISPLAY DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/044578
Kind Code:
A1
Abstract:
In an antireflection sheet, a resin layer having many fine protruding sections (12) is formed on a smooth surface of a transparent substrate (11). Each protruding section (12) is formed of a transparent resin and has a cross-section, which includes a center axis (C) vertical to the surface of the substrate (11), in substantially a quadric shape, and preferably, the surface is a paraboloid of revolution. The ratio (aspect ratio) b/a of the height (b) and the width (a) of the protruding section (12) is 1 or smaller. The pitch (P) with which the protruding sections (12) are arranged is 1/2 of the wavelength of incoming light or smaller.

Inventors:
SANARI KOSUKE (JP)
ITO YOSHINORI (JP)
OKANO ATSUSHI (JP)
TAKAGI YOSHIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062748
Publication Date:
April 09, 2009
Filing Date:
July 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OMRON TATEISI ELECTRONICS CO (JP)
SANARI KOSUKE (JP)
ITO YOSHINORI (JP)
OKANO ATSUSHI (JP)
TAKAGI YOSHIHIKO (JP)
International Classes:
G02B1/11; B32B7/02; G02B1/118; G02B5/02; G02F1/1335; G09F9/00; H01L51/50; H05B33/02
Domestic Patent References:
WO2004031815A12004-04-15
Foreign References:
JP2003240903A2003-08-27
JP2003222701A2003-08-08
JP2005173457A2005-06-30
JP2006346949A2006-12-28
Other References:
See also references of EP 2189822A4
Attorney, Agent or Firm:
NAKANO, Masayoshi (3-5 Tanimachi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
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Claims:
 透明な基板の表面に、前記基板表面に垂直な中心軸を含む断面の形状が、二次関数形状の相関係数が0.8以上である微細な凸部又は凹部が複数配列した樹脂層が形成され、前記凸部又は凹部の配列されているピッチが入射光の波長の1/2以下であることを特徴とする反射防止シート。
 前記凸部又は凹部は、前記基板表面に垂直な中心軸を含む断面が二次関数形状をしていることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記凸部又は凹部のアスペクト比が1以下であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記基板の表面に垂直な方向から見て、前記基板表面の面積に対する前記凸部又は凹部の占有面積の割合が60%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記基板の屈折率n1と前記凸部又は凹部の屈折率n2との差が、
   |n1-n2|≦0.05
であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記基板の屈折率n1と前記凸部又は凹部の屈折率n2とが等しいことを特徴とする、請求項5に記載の反射防止シート。
 前記基板の屈折率n1と前記凸部又は凹部を有する前記樹脂層の屈折率n2との差が、
   |n1-n2|≦0.02
であることを特徴とする、請求項5に記載の反射防止シート。
 前記凸部の高さ又は前記凹部の深さが400nm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記凸部の高さ又は前記凹部の深さが50nm以上であることを特徴とする、請求項8に記載の反射防止シート。
 前記凸部又は凹部を有する前記樹脂層の厚みが11μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記凸部又は凹部は、前記基板表面に垂直な中心軸の回りに回転対称な形状を有していることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記凸部又は凹部が、前記基板の観察者側に向けて配置される面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記凸部又は凹部が、前記基板の観察者側に向けて配置される面及びその反対側の面に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 前記基板の、前記樹脂層を形成された面と反対側の面に粘着層を有し、前記基板の屈折率n1と前記粘着層の屈折率n3との差が、
   |n1-n3|≦0.02
であることを特徴とする、請求項1に記載の反射防止シート。
 表示パネルの表面に、請求項1に記載の反射防止シートを設置したことを特徴とする表示素子。
 表示パネルと、前記表示パネルの画像生成側の面に対向させて配置された透明保護板とからなり、
 前記透明保護板の表裏両面のうち少なくとも一方の面に、請求項1に記載の反射防止シートを設置したことを特徴とするディスプレイ装置。
Description:
反射防止シート、表示素子及び ィスプレイ装置

 本発明は反射防止シート、表示素子及び ィスプレイ装置に係る。具体的にいうと、 発明は、ある波長域の光の反射を防止する めの反射防止シートに関するものであって さらにその反射防止シートを用いた有機EL 液晶表示パネル(LCD)などの表示素子やディス プレイ装置に関するものである。

 ディスプレイ装置の画面で太陽光や室内 明光などの外光が反射すると、画面のコン ラストが低下して白くなり、画像が見えに くなる。このような現象を防止するため、 来より、ディスプレイ装置の表面に貼り付 て外光の反射を防止するための反射防止膜 提案されている。

 例えば、このような反射防止膜としては 特開2002-122702号公報(特許文献1)に開示され ものがある。この反射防止膜は、透明なフ ルム基板の表面に、フィルム基板と等しい 折率を有する凸部(突起)を密集させて形成し たものである。この凸部は、断面三角形状、 すなわちピラミッド形状(四角錐形状)や円錐 状となっている。

 このような反射防止膜は、機器の外面、 えばディスプレイ装置の透明保護板の表面 設けて使用される場合がある。このとき反 防止膜に付着した皮脂や汚れなどを拭き取 ため、反射防止膜の表面を柔らかい布やク ーナなどで擦ると、ピラミッド形状や円錐 状をした凸部が摩耗したり、潰れたりし易 、反射防止膜の反射防止機能が損なわれ易 った。同様に、透明保護板が指で強く押さ られると、表面の凸部が潰れて反射防止機 が損なわれ易かった。

 また、ディスプレイ装置などでは、透明 護板の裏面やその下の表示素子に反射防止 が貼られている場合がある。この場合でも 透明保護板が指やタッチパッド用のペンで されると透明保護板と表示素子が接触する とによって反射防止膜の凸部が圧力で押し され、反射防止膜の反射防止機能が低下し り、損なわれたりすることがあった。

 そのため、特開2004-70164号公報(特許文献2) に開示された反射防止膜では、反射防止膜の 表面にナノオーダーの凸部を密集して形成す ると共に、凸部の高さよりも高いミクロンオ ーダーの保護柱を散在させている。そして、 保護柱によって凸部を保護し、反射防止膜が 擦られたり、押えられたりしたときに凸部が 破損するのを防いでいる。

 しかし、このような保護柱を有する反射 止膜を機器の表面に設けている場合には、 射防止膜を柔らかい布や毛羽だった布など 拭くと、その布などが保護柱を越えて反射 止膜の凸部にあたり、凸部が破壊される問 があった。また、反射防止膜がディスプレ 装置などの内面に設けられている場合でも 保護柱の高さや力の加わり方によっては保 柱が破損する恐れがあった。

 また、特許文献2に開示されている反射防 止膜では、保護柱のために光の反射率が大き くなって反射防止膜の低反射率特性が損なわ れたり、保護柱のためにヘーズ値が大きくな って光学特性が悪くなるという不具合があっ た。さらに、ミクロンオーダーの保護柱を設 けた反射防止膜を高精細ディスプレイ装置に 用いた場合には、保護柱が画面から透けて見 えて画像上の欠陥となる問題があった。

特開2002-122702号公報

特開2004-70164号公報

 本発明は、上記のような技術的課題に鑑 てなされたものであって、その目的とする ころは、低反射率、低ヘーズ値という反射 止シートの光学特性を低下させることなく 部の耐摩耗性及び耐押圧性を向上させるこ のできる反射防止シートを提供することに る。

 このような目的を達成するために、本発 に係る反射防止シートは、透明な基板の表 に、前記基板表面に垂直な中心軸を含む断 の形状が、二次関数形状の相関係数が0.8以 である微細な凸部又は凹部が複数配列した 脂層が形成され、前記凸部又は凹部の配列 れているピッチが入射光の波長の1/2以下で ることを特徴としている。ここで、断面が 次関数形状であるとは、凸部又は凹部の断 における凸部又は凹部と空気層との境界線 二次関数で表される曲線となっていること いう。なお、前記基板は、硬質樹脂からな 基板であってもよく、厚みの薄い柔軟なフ ルム基板であってもよい。

 本発明の反射防止シートにあっては、基 の表面に微細な凸部又は凹部を複数形成し いるので、基板表面における光の反射を押 えて反射防止膜に入射した光の反射を防止 ることができる。ここで、凸部又は凹部の 列ピッチを入射光波長(入射光の波長域が広 い場合には、最小波長)の1/2以下としている は、凸部又は凹部の配列ピッチが入射光波 の1/2よりも大きいと、反射防止シートの表 における光の反射が大きくなったり、ヘー 値が大きくなったり、回折による色づきが じたりして反射防止シートの光学特性が悪 なるためである。

 また、本発明の反射防止シートにあって 、凸部又は凹部の形状が、基板表面に垂直 中心軸を含む断面の形状が、二次関数形状 相関係数が0.8以上であるので、ピラミッド 状や円錐形状をした凸部又は凹部のように 端が尖っておらず、耐摩耗性や耐押圧性が 上して摩擦や破損に対して強くなる。また 凸部又は凹部の断面形状が、二次関数形状 相関係数が0.8以上となっていることにより ピラミッド形状をした凸部又は凹部と同等 好ましい光学特性を得ることができる。

 本発明に係る反射防止シートのある実施 様における前記凸部又は凹部は、前記基板 面に垂直な中心軸を含む断面が二次関数形 をしている。

 かかる実施態様にあっては、凸部又は凹 の基板表面に垂直な中心軸を含む断面が、 次関数形状(二次関数形状の相関係数が1で 二次関数形状とのズレがほとんどない場合) なっているので、凸部又は凹部が摩耗した 、破損したりしにくくなり、またピラミッ 形状をした凸部又は凹部と同等の光学特性 得られるという本発明の効果が特に著しい

 本発明に係る反射防止シートの別な実施 様は、前記凸部又は凹部のアスペクト比が1 以下であることを特徴としている。かかる実 施態様のように凸部又は凹部のアスペクト比 を1以下となるようにすれば、反射防止シー の耐摩耗性と耐押圧性が非常に高くなり、 射防止シートが擦られたり、局所的に押圧 れたりした場合にも凸部又は凹部がより一 潰れにくくなる。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別 実施態様は、前記基板の表面に垂直な方向 ら見て、前記基板表面の面積に対する前記 部又は凹部の占有面積の割合が60%以上であ ことを特徴としている。凸部又は凹部の占 面積の割合が60%よりも小さくなると、凸部 は凹部の存在しない領域の割合が大きくな 、実用上必要とされるレベルの反射防止効 が得られなくなるからである。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別な 施態様は、前記基板の屈折率n1と前記凸部 は凹部の屈折率n2との差が、
   |n1-n2|≦0.05
であることを特徴としている。特に、前記基 板の屈折率n1と前記凸部又は凹部の屈折率n2 は等しいことが望ましい。基板の屈折率n1と 凸部又は凹部の屈折率n2との差が0.05よりも大 きくなると、基板と凸部又は凹部の界面にお ける光の反射が大きくなり、反射防止シート の機能が損なわれるためである。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別な 施態様は、前記基板の屈折率n1と前記凸部 は凹部を有する前記樹脂層の屈折率n2との差 が、
   |n1-n2|≦0.02
であることを特徴としている。かかる実施態 様によれば、基板と樹脂層の界面における反 射率を小さくすることによって干渉縞の強度 を小さくし、干渉縞が見えないようにするこ とができる。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別 実施態様は、前記凸部の高さ又は前記凹部 深さが400nm以下であることを特徴としてい 。さらに、この実施態様においては、前記 部の高さ又は前記凹部の深さが50nm以上であ ことが望ましい。凸部の高さ又は前記凹部 深さが400nmよりも大きいと、凸部又は凹部 強度が弱くなって耐摩耗性や耐押圧性が悪 なるからである。また、凸部の高さ又は凹 の深さが50nmよりも小さいと、可視光の場合 反射率が大きくなって反射防止シートの機 が損なわれるからである。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別 実施態様は、前記凸部又は凹部を有する前 樹脂層の厚みが11μm以上であることを特徴 している。かかる実施態様によれば、前記 脂層の表面で反射した光と裏面で反射した による干渉縞の発生を抑制することができ 。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別 実施態様は、前記凸部又は凹部は、前記基 表面に垂直な中心軸の回りに回転対称な形 を有している。また、凸部又は凹部が中心 の回りに回転対称でなく異方性を有してい もよい。

 また、本発明の反射防止シートは、前記 部又は凹部が、前記基板の観察者側に向け 配置される面に形成されていてもよく、あ いは、前記基板の観察者側に向けて配置さ る面及びその反対側の面に形成されていて よい。本発明の反射防止シートは擦られた 押圧されたりしても凸部又は凹部が潰れに く耐久性があるので、基板の観察者側に向 て配置される面に形成してあっても光反射 止機能が損なわれにくい。また、凸部又は 部が基板の観察者側に向けて配置される面 びその反対側の面の両面に形成されている 合には、反射防止効果がさらに向上する。

 本発明に係る反射防止シートのさらに別な 施態様は、前記基板の、前記樹脂層を形成 れた面と反対側の面に粘着層を有し、前記 板の屈折率n1と前記粘着層の屈折率n3との差 が、
   |n1-n3|≦0.02
であることを特徴としている。かかる実施態 様によれば、基板と粘着層の界面における反 射率を小さくし、干渉縞の強度を小さくする ことによって干渉縞が見えにくくすることが できる。

 本発明に係る表示素子は、表示パネルの 面に、前記反射防止シートを設置したこと 特徴としている。この表示素子にあっては 本発明の反射防止シートを備えているので 太陽光や室内照明光などの外光が反射しに く、画面のコントラストを保って視認性を 好にすることができる。しかも、反射防止 ートが耐摩耗性及び耐押圧性を備えている で、外力によって反射防止シートの機能が なわれにくい。

 本発明に係るディスプレイ装置は、表示 ネルと、前記表示パネルの画像生成側の面 対向させて配置された透明保護板とからな 、前記透明保護板の表裏両面のうち少なく も一方の面に、前記反射防止シートを設置 たことを特徴としている。このディスプレ 装置にあっては、本発明の反射防止シート 備えているので、太陽光や室内照明光など 外光が反射しにくく、画面のコントラスト 保って視認性を良好にすることができる。 かも、反射防止シートが耐摩耗性及び耐押 性を備えているので、外力によって反射防 シートの機能が損なわれにくい。

 なお、本発明における前記課題を解決す ための手段は、以上説明した構成要素を適 組み合せた特徴を有するものであり、本発 はかかる構成要素の組合せによる多くのバ エーションを可能とするものである。

図1は、本発明の実施形態1による反射 止シートを示す概略断面図である。 図2(a)は反射防止シートの表面に設けら れた凸部の一形状を示す斜視図、図2(b)は別 形状の凸部を示す斜視図である。 図3(a)は基板表面における凸部の一配置 例を示す概略平面図、図3(b)は凸部の別な配 例を示す概略平面図、図3(c)は凸部のさらに な配置例を示す概略平面図である。 図4は、断面二次関数形状をした凸部を 有する実施形態1の反射防止シートと、円錐 状をした凸部を有する従来例の反射防止膜 耐摩耗性を比較した試験結果を示す図であ 。 図5(a)は図4の試験結果を得るために用 た円錐形状の凸部を示す側面図、図5(b)は断 二次関数形状の凸部を示す側面図である。 図6は、ピラミッド形状の凸部を有する 反射防止膜と断面二次関数形状の凸部を有す る反射防止シートの反射率を比較して示した 図である。 図7は、有効屈折率を説明するための図 である。 図8は、有効屈折率を説明するための図 である。 図9は、種々の形状の凸部について、凸 部の高さbと有効屈折率Nとの関係をシミュレ ションにより求めた結果を表した図である 図10(a)(b)(c)(d)は、図9で有効屈折率を示 した凸部の形状を示す概略図である。 図11は、凸部の屈折率がn2=1.48からn2=1.5 3に変化したときの反射率の変化を示す図で る。 図12は、凸部の高さによる反射率の変 を表した図である。 図13は、凸部の面積占有率による反射 の変化を表した図である。 図14は、本発明の実施形態2における凸 部の形状を示す断面図である。 図15は、相関係数の値の異なる凸部の 面形状を表した図である。 図16は、本発明の実施形態3における凹 部の形状を示す断面図である。 図17は、本発明の実施形態4による反射 防止シートを示す概略断面図である。 図18は、有機ELの概略図である。 図19は、液晶表示素子の概略図である 図20(a)は反射防止シートを備えたディ プレイ装置の概略図、図20(b)は反射防止シ トのないディスプレイ装置の概略図である 図21は、ディスプレイ装置において発 している反射光を示す図である。 図22は、干渉縞抑制効果の評価に用い 反射防止シートを示す概略図である。 図23(a)~(e)は、干渉縞抑制効果の評価に 用いた種々のディスプレイ装置を示す概略図 である。 図24は、光源として用いた三波長蛍光 と自然昼光(太陽光)との発光スペクトルを す図である。

符号の説明

 10   反射防止シート
 11   基板
 12   凸部
 16   凹部
 18   液晶表示パネル
 19   保護カバー
 21   分割領域
 22   柱体
 23   樹脂層

 以下、添付図面を参照しながら本発明の 適な実施形態を説明する。

(第1の実施形態)
 図1は、本発明の実施形態1による反射防止 ートを示す概略断面図であって、さらに図1 はそのW部を拡大して示す。図2(a)は反射防 シートの表面に設けられた凸部の一形状を す斜視図、図2(b)は別な形状の凸部を示す斜 図である。また、図3(a)は基板表面における 凸部の一配置例を示す概略平面図、図3(b)は 部の別な配置例を示す概略平面図、図3(c)は 部のさらに別な配置例を示す概略平面図で る。

 図1に示すように、この反射防止シート10 、透明な基板11の平滑な表面に多数の透明 微細な凸部12(凸部のみからなる樹脂層)を密 して形成したものである。ただし、図1では 凸部12は誇張して大きく描いている。基板11 、屈折率の高い透明樹脂、たとえばポリカ ボネイト樹脂やアクリル樹脂などによって 状に成形されている。この基板11は、硬質の 樹脂基板でもよく、厚みの薄い柔軟なフィル ム基板であってもよく、特に厚みは問わない 。

 基板11の表面に形成された凸部12は、図2(a )に示すように、基板表面に垂直な中心軸Cの りに回転対称な形状を有しており、かつ、 心軸Cを含む断面の形状が二次関数形状とな っている。すなわち、凸部12の表面は回転放 面となっている。凸部12の底面は、図2(a)の うに円形となっていてもよく、図2(b)のよう に正方形となっていてもよく、あるいは三角 形や五角形以上の多角形となっていてもよい 。凸部12の底面を円形以外の形状とする場合 は、図2(b)に示した正方形の場合のように、 凸部12の裾の部分を垂直面でカットすればよ 。

 いま、図1に示すように回転放物面体で表さ れる凸部12の高さをb、底面の幅(直径)をaで表 す。凸部12の中心軸Cの方向にz軸を取り、凸 12の底面と並行にr軸を取り、中心軸Cと底面 の交点を原点とした円筒座標で考えると、 部2の表面形状は、
   z=b-〔2(√b)r/a〕 2
   ただし、a≠0、b≠0
というように2つのパラメータa、bで表される 。そして、このときの高さbと幅aの比をアス クト比b/aという。凸部12のアスペクト比は
   b/a ≦ 1   …(条件1)
であることが望ましい。また、下記のように 凸部12の高さbの下限値が50nmであり、可視光 対しては凸部12の最大配列ピッチは400nmであ ので、50nm/400nm=1/8がアスペクト比b/aの下限 となる。ただし、赤外線の範囲も含まれる 射光を考慮した場合には、50nm/600nm=1/12がア ペクト比b/aの下限値となる。

 凸部12の高さbは、
   50nm ≦ b ≦ 400nm   …(条件2)
であることが好ましい。後述のように凸部12 配列ピッチPの最大値が400nmであることから 幅aの最大値も400nmとなる。また、高さbの最 小値が50nmであり、アスペクト比b/aが1以下で ることから、幅aの最小値も50nmとなる。

 基板11の屈折率n1と凸部12の屈折率n2とが異 る場合には、基板11と凸部12の界面で光が反 を起こすので、基板11の屈折率n1と凸部12の 折率n2とは等しいことが最も望ましいが、
   |n1-n2|≦0.05   …(条件3)
であればよい。これらの条件の根拠について は後述する。

 なお、図2(a)のような底面が円形の凸部12 あれば、凸部12の底面の幅aは測る方向によ ず同一であるが、図2(b)のような底面が正方 形の凸部12では、対角方向と辺に平行な方向 で底面の幅が異なる。このような円形以外 底面の場合には、凸部12と一致する欠けの い回転放物面を考えてその底面の幅をaとす ばよい。従って、底面が正方形の場合には 対角方向の幅を凸部12の幅aとすればよい。

 凸部12は、透明な紫外線硬化型樹脂、例 ば紫外線硬化型のポリカーボネイト樹脂や クリル樹脂などを用いてスタンパ法により 板11の表面に成形される。すなわち、スタン パ(図示せず)には多数の凸部12の反転形状が けられており、基板11の表面に紫外線硬化型 樹脂を塗布した後、上からスタンパで紫外線 硬化型樹脂を押圧して基板11とスタンパの間 紫外線硬化型樹脂を成形し、そのままの状 で紫外線硬化型樹脂に紫外線を照射して硬 させる。そして、紫外線硬化型樹脂の硬化 にスタンパを剥離すると、基板11の表面に 紫外線硬化型樹脂によって多数の凸部12が成 形される。

 このようにして成形された凸部12は、図3(a) 示すように基板表面にハニカム状に配置(デ ルタ配置)されていてもよく、図3(b)に示すよ に矩形状に配置されていてもよい。また、 3(a)(b)のように凸部12どうしの間に隙間が空 ていてもよく、図3(c)のように凸部12どうし 隙間無く密接していてもよい。ただし、隙 を空けて凸部12を配列する場合には、面積 有率が60%以上(条件4)となるようにすること 望ましい。ここで、面積占有率とは、図3(a) 図3(b)に破線で示した境界線のように、凸部 12どうしの中央を通過する境界線で囲まれた 分(以下、この領域を分割領域21という。)の 面積F(図3では、この分割領域21の一つに斜線 施している。)に対する、凸部12の底面の面 Eの比を百分率で表したもの、すなわち、
   (E/F)×100%
である。なお、図3(c)のように凸部12間に隙間 がない場合には、面積占有率は100%となる。

 また、凸部12の配列ピッチPは、反射防止シ ト10により光の反射を防止しようとする入 光の波長λの1/2以下であること(入射光の波 域が広い場合には最小波長の1/2以下である と)が望ましい。従って、可視光の反射を防 するための反射防止シート10では、凸部12の 配列ピッチPは、
   50nm ≦ P ≦ 400nm
とすればよい。ここで、配列ピッチPは、図3( a)のようなハニカム状の配置の場合には、凸 12どうしの距離を考えればよく、凸部12がラ ンダムに配置されている場合には、凸部12ど しの距離の平均値を考えればよい。

 凸部12のピッチPが入射光波長λの1/2より 大きいと、反射防止シートの表面における の反射が大きくなったり、ヘーズ値が大き なったり、回折による色づきが生じたりし 反射防止シートの光学特性が悪くなるので 凸部12のピッチPは入射光波長λの1/2以下であ ることが望ましい。また、可視光の場合には 、可視光の波長域を例えば400nm~800nmとすると 可視光の最大波長800nm付近の光の反射を防 しようとする場合には、凸部12のピッチPを40 0nm以下とすればよく、可視光全域の光の反射 を防止しようとする場合には、凸部12のピッ Pを200nm以下とすればよい。

 また、凸部12の高さbの下限が50nmであるの で、アスペクト比b/aが1以下であると、凸部12 の配列ピッチPの下限値も50nmとなる。

 本発明の反射防止シート10にあっては、 凸部12が断面二次関数形状もしくは回転放物 面体となっているので、凸部12の頂部が曲面 なっており、ピラミッド形状や円錐形状を た先端の尖った凸部に比べると耐摩耗性及 耐押圧性が向上する。そのため、反射防止 ート10が布やクリーナで擦られたり、指や ッチパッド用のペンなどで押圧されたりし も凸部12が壊れにくく、反射防止シート10の 反射率性もしくは反射防止効果が損なわれ り低下したりしにくくなる。

 図4は断面二次関数形状をした凸部12を有 る本発明の反射防止シート10と、円錐形状 した凸部を有する従来例の反射防止膜の耐 耗性を比較した試験結果を示す図である。 発明の反射防止シート10に用いられている凸 部12は、図5(a)に示すように、幅aが200nm、高さ bが170nmの回転放物面体であって、底面が円形 となっている(アスペクト比0.85)。一方、従来 例の反射防止膜に用いられている凸部102は、 図5(b)に示すように、幅aが200nm、高さbが500nm 円錐形状であって、底面が円形となってい (アスペクト比2.5)。本発明の凸部12と従来例 凸部102との高さb又はアスペクト比b/aの違い は、本発明の反射防止シートの反射率と従来 例の反射防止膜の反射率が等しくなるように 設計したことによるものである。また、本発 明の反射防止シート10においても、従来例の 射防止膜においても、各凸部は配列ピッチP が230nmとなるようにしてデルタ配置した(図3(a )参照)。

 耐摩耗性の試験は、反射防止シート10又 反射防止膜の表面を、エタノールを含浸さ たクリーナ(ペーパー)で擦り、反射防止シー ト10又は反射防止膜の反射率の変化を測定す ことで行った。図4はこの試験結果を表して おり、図4の横軸はクリーナで擦った回数(擦 回数)を表し、縦軸は擦った後の反射率と最 初の反射率との差(反射率のずれ)を表してい 。従来例の反射防止膜(円錐形状の凸部)で 、10回程度擦っただけで反射率が大きく変化 したが、本発明の反射防止シート10(断面二次 関数形状の凸部)の場合には、200回擦っても 射率に変化がなかった。従って、この試験 果によれば、本発明の反射防止シート10のよ うに凸部12の形状を断面二次関数形状となる うにすれば、従来例の反射防止膜と光学特 (反射率)を変化させることなく、耐摩耗性 大幅に向上させられることが分かる。

 図4の試験結果によれば、アスペクト比b/a が0.85の断面二次関数形状の凸部12では、擦過 回数が200回までは反射防止シート10の反射率 変化せず、擦過回数が300回ではかなり反射 が変化している。この場合には、クリーナ 擦っても反射率が変化しない擦過回数は少 くとも200回であるが、このように反射率が 化しない擦過回数の最大値を耐摩耗回数と うことにする。

 次の表1は、断面二次関数形状をした凸部 12のアスペクト比b/aを変化させて(高さbを異 らせた。)耐摩耗回数を測定した結果を表し いる。

 表1によれば、アスペクト比b/aが小さくな ると耐摩耗回数が大きくなることが分かる。 前記のように凸部12の形状を断面二次関数形 とすれば、光学特性を劣化させることなく 円錐形状などの凸部よりもアスペクト比を さくすることができるので、断面二次関数 状の凸部12によれば、耐摩耗性をかなり高 できることが分かる。特に、凸部12のアスペ クト比b/aが1以下になると耐摩耗回数がかな 大きくなる。よって、前記条件1で述べたよ に、凸部12のアスペクト比b/aを1以下にする とが望ましい。これに対し、アスペクト比b /a=1の凸部12と、アスペクト比b/a=2.5の円錐形 の凸部とが同じ反射率であることからも分 るように、円錐形状の凸部の場合には、ア ペクト比を1以下に小さくすると、反射防止 の反射率がかなり大きくなる。

 また、図5に示した本発明の凸部12と従来 の凸部102との寸法の違いからは、反射率が じであれば、従来例の円錐形状の凸部に比 て断面二次関数形状の凸部によれば、凸部 アスペクト比をかなり小さくできることも かる。この点については、図6に示したシミ ュレーション結果にも表れている。図6は、 射防止シートの垂直入射光の波長λと反射率 との関係をシミュレートしたものである。こ こで用いた反射防止シートは、屈折率n1が1.48 の基板の表面に屈折率n2が1.48の凸部を面積占 有率が70%となるようにデルタ配列したもので ある。凸部は、幅aが100nmで高さbが150nmおよび 200nmのピラミッド状をした凸部と、幅aが100nm 高さbが150nmおよび200nmの底面正方形の断面 次関数形状のもの(図2(b)参照)をサンプルと た。

 図6によれば、凸部を二次関数形状にする ことにより、高さbはピラミッド形状の凸部 りも低くてもより低反射率の反射防止シー を作製することができることが分かる。

 つぎに、光学特性の一つとして、有効屈折 を検討した。まず反射防止シートの有効屈 率を説明する。図7に示すように、分割領域 21(図3において斜線を施した領域)を底面とす 凸部12の高さbに等しい高さの柱体22を考え と、凸部12は柱体22の内部に納まっている。 のように屈折率n2の凸部12が納まっている柱 体22の平均屈折率を有効屈折率Nという。すな わち、凸部12の屈折率と体積をそれぞれn2、V2 とし、柱体22の体積をV3、空気層の屈折率をn3 (=1)とすると、有効屈折率は、
   N=〔n2×V2+n3×(V3-V2)〕/V3
で表される。

 具体的には、凸部12の有効屈折率Nは、図8に 示すようにして計算した。まず、図7のよう 柱体22を定めた後、図8に破線で示すように 柱体22を水平面で一定の間隔(厚み)δbに分割 てk個の層A1、A2、…、Akに分ける。ついで、 各層A1、A2、…、Ak内において、図8に細実線 示すように凸部12を円柱で近似する。そして 、各層A1、A2、…、Akのそれぞれの有効屈折率 を計算する。例えば、一番上の層A1内の円柱 底面積をG1とすれば、柱体22の底面積はFで るので、層A1の有効屈折率N1は、
   N1=〔n2×G1+n3×(F-G1)〕/F
となる。同様にして、各層A2、A3、…、Akの有 効屈折率N2、N3、…、Nkが求まったら、反射防 止シート10の有効屈折率は、この平均値とし 、
   N=(N1+N2+…+Nk)/k
として計算する。

 以上では、断面二次関数形状の凸部12の 合について、有効屈折率の求め方を説明し が、任意の形状の凸部についても同様にし 有効屈折率を求めることができる。

 図9は種々の形状の凸部について、凸部の 高さbと有効屈折率Nとの関係をシミュレーシ ンにより求めた結果を表している。ここで 象とした凸部は、図10(a)に示すようなピラ ッド形状の凸部103、図10(b)に示すような中心 軸を通る断面が正弦波状となった回転体の凸 部104、図10(c)に示すような断面二次関数状を た本発明の凸部12(ただし、底面が正方形の の)、図10(d)に示すようなsinX+sinY型の凸部105 図10(c)のような二次関数形状の相関係数が10 の凸部(図9ではrb、rt=10と記している。)であ て、いずれも面積占有率が100%となるように 列した。なお、sinX+sinY型の凸部105とは、基 表面に平行に直交するX軸とY軸とを定めた き、平面座標(X、Y)における高さがsinX+sinYで されるものである。なお、凸部に用いられ いる樹脂の屈折率はn2=1.52とした。

 図9から分かるように、正弦波形状をした 凸部104、sinX+sinY型の凸部105、相関係数が10の 部(rb、rt=10)ではいずれも、それぞれの有効 折率が、最良の光学特性を有するとされる ラミッド形状の凸部102の有効屈折率と同様 線形な変化を外れた、より急激な変化をし おり、光学特性が悪くなっている。これに し、断面二次関数形状の凸部12の場合には 最良の光学特性を有するとされるピラミッ 形状の凸部103よりも線形な変化特性を持つ 効屈折率が得られ、良好な光学特性を示し いる。

 断面二次関数形状の凸部12の場合には、 部12の高さbと有効屈折率Nとの関係が線形と っており、そのため凸部12のアスペクト比b/ aを大きくしなくても反射率を小さくするこ ができる。よって、断面二次関数形状の凸 12によれば、アスペクト比を1以下に小さく ることによって、光学特性を低下させるこ なく、耐摩耗性と耐押圧性を高くすること できるのである。

 つぎに、前記条件3の根拠について説明す る。図11は屈折率n1=1.48の基板の表面に屈折率 n2=1.48の断面二次関数形状をした凸部12を形成 した場合と、同じく屈折率n1=1.48の基板の表 に屈折率n2=1.53の断面二次関数形状をした凸 12を形成した場合とにおける、可視光域で 反射率を表した図である。図11に示すように 、凸部12の屈折率n2を1.48から1.53に0.05だけ変 させると、図11に矢印で示した箇所のように 変化の大きなところでは反射率が0.1%以上変 する。反射率が0.1%以上大きくなると実用上 題があるので、条件3で述べたように基板11 屈折率n1と凸部12の屈折率n2との差は、0.05以 下であることが望ましい。

 つぎに、前記条件2の根拠について説明す る。図12は、可視光域における反射率と凸部1 2の高さbとの関係を表した図である。ここで 、凸部12の高さbが10nm、50nm、100nm、150nm、200n mの場合(幅aは一定)を示しているが、凸部12の 高さbが50nmよりも小さくなると、反射率が大 く変化して反射防止シート10の反射防止効 が損なわれる。一方、凸部12の高さbが400nmよ りも大きくなると、凸部12が弱くなって耐摩 性や耐押圧性が悪くなる。よって、反射防 シート10が低反射の特性を発揮するために 、前記条件2で述べたように、凸部12の高さb 50nm以上400nm以下であることが好ましい。

 つぎに、前記条件4の根拠について説明す る。図13は、アスペクト比が1よりも小さな断 面二次関数形状の凸部12を設けた反射防止シ ト10の可視光域における反射率を表してい 。ただし、凸部12を面積占有率が90%、85%、80% 、70%、60%、50%となるように配列させた場合を 比較して表している。図13から分かるように 凸部12の面積占有率が60%と50%との間で反射 が大きく変化している。例えば、ある波長 おいて面積占有率を横軸とし、縦軸を反射 として曲線を描くと(図示せず)、この曲線は 面積占有率が60%のところで変曲点を示し、60% よりも小さくなると反射率の特性が大きく変 化する。従って、反射防止シート10の光学特 、特に低反射率の特性を低下させることな 、凸部12の耐摩耗性及び耐押圧性を高くす ためには、前記条件4で述べたように、凸部1 2の面積占有率を60%にする必要がある。

(第2の実施形態)
 図14は本発明の実施形態2による反射防止シ トに用いられている凸部12の断面形状を示 。実施形態1では、凸部12の断面形状は二次 数形状(放物線)となっていたが、実施形態2 は、凸部12の頂部が二次関数よりも若干広く なっていて耐摩耗性や耐押圧性が高くなって いる。

 この例のように、凸部12は断面二次関数 状から多少変形していても許容される。凸 12の耐摩耗性や耐押圧性が損なわれない限度 で許容される変形は、凸部12の相関係数Rが0.8 以上であればよい(二次関数そのものでは相 係数はR=1である。)。

 凸部の断面形状の相関係数Rは、次のように 定義される。凸部の断面において、基板11の 面に垂直にx軸を定め、基板11の表面と平行 y軸を定める。このxy直交座標系において、 部の断面の輪郭に沿って多数の点(xi、yi)(i=1 、2、…、m)を適宜サンプリングする。そして 、この点集合(xi、yi)に対して、次式で定義さ れるものが、相関係数Rである。
ここで、xの上に横線を引いたものは、xiの平 均値、yの上に横線を引いたものは、yiの平均 値である。

 図15は相関係数R=1の凸部形状(断面二次関 形状)と、相関係数R=0.7、0.8、0.9の3つの凸部 形状を表している。図15から分かるように、 関係数Rが小さくなるに従って凸部の表面の 微細な凹凸が増大し、耐摩耗性が低下する。 実験結果によれば、相関係数Rが0.8以上であ ば、耐摩耗性の高い凸部形状を得ることが き、所望の耐摩耗回数を得られることが分 った。

(第3の実施形態)
 図16は本発明の実施形態3の説明図であって 断面二次関数形状の凹部16の断面を表して る。実施形態1では、基板11に凸部を形成し いたが、実施形態3による反射防止シートの うに断面二次関数形状(回転放物面)をした 細な凹部16を密に形成してもよい。実施形態 1で述べた凸部12のアスペクト比その他の条件 は、凹部16にも当てはまる。

 凹部16を形成した反射防止シートでも、 部12を設けた反射防止シート10と同様に光の 射を抑制することができる。凹部16の場合 は、ある程度間隔をあけている場合には凸 12ほど摩耗したり潰れたりする恐れはない。 しかし、凹部16の場合でも、重なり合うよう 密集して形成されていると、布などで擦っ り、押圧したりすることによって破損し易 なる。また、凹部16の場合には、スタンパ 形成された凸部が摩耗したり、潰れ易くな が、凹部16が断面二次関数形状をしていてア スペクト比が1以下であれば、スタンパの耐 耗性や耐押圧性も向上する。

 なお、凹部の場合にも、図16に破線で示 たように、相関係数が0.8以上であれば断面 次関数形状から変形したものであってもよ 。

(第4の実施形態)
 図17は本発明の実施形態4による反射防止シ ト10を示す概略断面図である。この実施形 の反射防止シート10では、基板11の表面に、 数の凸部12(あるいは凹部)が配列した樹脂層 23が形成されている。すなわち、この実施形 では、基板11に形成された樹脂層23は凸部12 樹脂薄膜24とからなり、基板11の表面全体を 樹脂薄膜24が覆い、樹脂薄膜24の表面に凸部12 が形成されている。

(第5の実施形態)
 図18は表示素子としての有機EL17を表してい 。また、この有機EL17の向かって右半分には 表面に反射防止シート10を設置している。あ いは、有機EL17の表面に直接凸部12を形成し あってもよい。有機EL17の左半分では、反射 防止シート10を設置していないので、例えば 射光の4%が反射されるが、右半分では反射 止シート10を設置しているので、反射光は例 えば入射光の0.2%に低減される。

 また、図19は表示素子としての液晶表示 子を表している。この液晶表示素子は、液 表示パネル18の前面に透明な保護カバー19を けたものである。この液晶表示素子の向か て左半分では従来から見られるように、液 表示パネル18の表面にARコート20を設けてい 。このような構造では、入射光は保護カバ 19の表裏で反射し、また液晶表示パネル18の 表面でも反射する。保護カバー19の表裏での 射を例えばそれぞれ4%とし、ARコート20の反 率を2%とすれば、全体で入射光の10%の光が 射されることになる。

 これに対し、液晶表示素子の向かって右 分では、保護カバー19の裏面と液晶表示パ ル18の表面にそれぞれ反射防止シート10を設 している。このような構造では、入射光は 護カバー19の表面で入射光の4%が反射し、保 護カバー19の裏面では反射防止シート10のた に0.2%の光が反射され、液晶表示パネル18の 面でも0.2%の光が反射される。よって、全体 しては反射光は入射光の4.4%となり、左半分 に比較して反射光が半減する。

 図20(a)は液晶表示パネル(LCD)や有機EL等の 示パネル26の前面に透明保護基板27を置いた ディスプレイ装置であって、表示パネル26の 面と透明保護基板27の表裏両面とにそれぞ 反射防止シート10を設置している。

 図20(b)のように反射防止シート10を用いて いない場合には、反射光が多く、例えば各面 からの反射光がそれぞれ4%であると合計12%の が反射され、ディスプレイ装置の視認性が げられる。これに対し、図20(a)のディスプ イ装置のように、各面に反射防止シート10を 設けていると、例えば各面の反射光が0.2%と り、合計0.6%に抑えられる。

 このように有機ELや液晶表示素子、ディ プレイ装置などに本発明の反射防止シート10 を用いることにより、反射光を低減すること ができるので、屋外などの明るいところでも 有機ELや液晶表示素子などの表示素子やディ プレイ装置の画面が見易くなる。しかも、 面二次関数形状の凸部を有する反射防止シ トを用いているので、円錐形状やピラミッ 形状をした凸部を有する反射防止膜より耐 耗性と耐押圧性に優れ、かつ、光学特性(低 反射、低ヘイズ)を損なうことがないために 表示素子やディスプレイ装置の表面にも無 射構造を設置でき、表示素子やプレイ装置 保護カバーや透明保護板の表面に無反射構 を設置できる。そして、その無反射効果に り、外光の映り込みを防止し、外光下でも ィスプレイ画面を見やすくできるという効 が得られる。また表示素子やディスプレイ 置、保護カバーなどの光学基板の表面反射 よる出射光の効率低下を防ぐことができ、 利用効率の向上、ひいてはコントラストの 上をもたらすことができる。また、反射防 シートを布などで触れることのできる機器 面に設置することができるので、反射防止 ートの表面の凸部又は凹部による防塵性に れ、防汚性にも優れるという効果が得られ 。

(第6の実施形態)
 従来より用いられているディスプレイ装置 は、その表面等における反射光の光量が大 いので、表示面に干渉縞が発生していたと ても、反射光に埋もれて干渉縞が定常的に 間の目に見えることは無かった。しかし、 発明の反射防止シート10を用いた場合には 反射光を抑制する効果が高いため、潜在化 ていた干渉縞が見えてくるという問題が生 た。特に、蛍光灯のスペクトルでは特定波 の光強度が強く出るので、蛍光灯の照明下 おいては、干渉縞が発生し易い。以下にお ては、このような干渉縞を抑制することの きる反射防止シートを説明する。

 図21は、粘着剤からなる粘着層25によって 表示パネル26の表面に反射防止シート10を接 したディスプレイ装置と、当該ディスプレ 装置において反射光の生じる様子を表して る。入射光Lは屈折率が不連続的に変化する 所で部分反射するので、樹脂層23の表面、 脂層23と基板11の界面、基板11と粘着層25の界 面、粘着層25と表示パネル26の界面でそれぞ 反射光L1~L4が生じる。そして、これらの反射 光L1~L4が重なり合うことによって干渉縞が生 る。

 〔樹脂層の厚みに関して〕上記反射光の ちでもっとも強く見える干渉縞は、樹脂層2 3の表面で生じる反射光L1と、樹脂層23と基板1 1の界面で生じる反射光L2とによって生じるも のである。そこで、樹脂層23の厚みに着目し 厚みの異なる樹脂層23を有する反射防止シ ト10により干渉縞の発生する様子を調べたと ころ、樹脂層23の厚みが11μm以上であれば干 縞の発生を効果的に抑制できることが分か た。この実験方法とその結果について説明 る。

 実験に用いた反射防止シート10は、図22に 示すように、屈折率n1=1.57、厚みd1=30μmの透明 なPETフィルムからなる基板11の表面に、屈折 n2=1.51の透明な樹脂層23を形成したものであ 。そして反射防止シート10としては、樹脂 23の厚みd2が5μm、11μm、15μm、30μmの4種類を 意した。そして、この4種類の反射防止シー 10を種々の形態で用いたときの、干渉縞を 制する効果の違いについて検討した。

 使用形態としては、図23(a)~(e)に示すよう 5つの形態とした。このうち図23(a)、(b)は、 射防止シート10をすべての光反射面に設け ものであって、図23(a)は表示パネル26の表面 反射防止シート10を貼った形態(トータルの 射率=0.2%)であり、図23(b)は表示パネル26の表 面と透明保護基板27の表裏両面に反射防止シ ト10を貼った形態(トータルの反射率=0.6%)で る。図23(c)、(d)、(e)は、反射防止シート10を 最表面に設けない場合であって、図23(c)は表 パネル26の表面と透明保護基板27の裏面に反 射防止シート10を貼った形態(トータルの反射 率=4.4%)であり、図23(d)は表示パネル26の表面 みに反射防止シート10を貼り、透明保護基板 27にはまったく反射防止シート10を貼らない 態(トータルの反射率=8.2%)であり、図23(e)は 明保護基板27の裏面のみに反射防止シート10 貼り、表示パネル26にはまったく反射防止 ート10を貼らない形態(トータルの反射率=8.2% )である。

 ディスプレイ装置を照明する光源として 、三波長蛍光灯と自然光とを用いた。三波 蛍光灯は、図24に示すような発光スペクト を有する蛍光管であって、測定では「パル ク蛍光灯(EX-N)」(松下電器産業株式会社製)を 用いた。また、自然光としては、図24に示す うな発光スペクトルを有する自然昼光(直射 日光のない曇りの日の正午の太陽光)を用い 。ここで、表2にまとめたように、三波長蛍 灯は反射防止シート10から3mの距離に設置し たとき、反射防止シート10における照度は200 クスであった。また、自然昼光の場合には 反射防止シート10における照度は10,000ルク であった。干渉縞は、反射防止シート10に垂 直な方向から10度傾いた方向において、反射 止シートから40cmの距離で観察した。

 干渉縞抑制効果の評価基準としては、図2 3(c)~(e)の形態はもちろん、図23(a)(b)のように 反射面すべてに反射防止シート10を貼った形 態でも干渉縞が見えない場合には、評価を「 優」とした。また、図23(c)~(e)のように最表面 に反射防止シート10がない場合には干渉縞は えないが、図23(a)(b)のように光反射面すべ に反射防止シート10を貼った形態では干渉縞 が見える場合には、評価を「良」とした。ま た、図23(a)~(e)のいずれの形態でも干渉縞が見 える場合には、評価を「不良」とした。言い 換えると、トータルの反射率が1%以下でも干 縞が見えない場合には評価を「優」、トー ルの反射率が4%以上でのみ干渉縞が見えな 場合には評価を「良」、いずれにおいても 渉縞が見える場合を「不良」とした。

 こうして、各厚みの反射防止シート10を 価した結果を表3に示す。

 樹脂層23の厚みd2=5μmの反射防止シート10 は、どのような面に反射防止シート10を貼っ ていても三波長蛍光灯の下では干渉縞が見え て不良となり、室内での使用に不具合が生じ る恐れがある。これに対し、樹脂層23の厚みd 2が11μm以上の反射防止シート10を用いれば、 べての反射面に反射防止シート10を貼って って反射率が小さい場合には干渉縞が見え ものの、図23(c)~(e)のように最表面などに反 防止シート10を貼っていなくて反射率が4%以 では干渉縞が見えなくなる。この結果、樹 層23の厚みd2を11μm以上とすることにより、 渉縞の発生を効果的に抑制することができ ことが分かった。

 〔基板と樹脂層の屈折率差に関して〕つぎ 、樹脂層23と基板11の屈折率の差に着目して 干渉縞の発生する様子を調べた。この結果、 基板11の屈折率n1と樹脂層23の屈折率n2との差 nが、0.02以下であるとき、つまり、
   δn=|n1-n2|≦0.02
のときに干渉縞の発生を効果的に抑制できる ことが分かった。この実験方法とその結果に ついて説明する。

 実験は、図21に示したようなディスプレ 装置を用いて行った。ここで、基板11につい ては、厚みd1=50μmとし、屈折率をd1=1.57(PET)、d 1=1.56(PET)、d1=1.49(アクリル)と変化させた。樹 層23については屈折率n2=1.51又は1.53とし、厚 みをd2=5μm、d2=30μmと変化させた。この反射防 止シート10は、屈折率n3が1.5前後のアクリル またはウレタン系の粘着層25を用いて表示パ ネル26に接着させた。

 干渉縞抑制効果の評価は、樹脂層23の厚 d2を変化させた場合と同様にして実施した。 表4はその評価結果を示す。

 いずれの場合も太陽光の下では良好な結 が得られた。しかし、基板11と樹脂層23の屈 折率差δnが0.03よりも大きい場合には、三波 蛍光灯の下では樹脂層23の厚みd2が薄い(d2=5μ m)とき、使用の形態に関係なく干渉縞が見え 。これに対し、基板11と樹脂層23の屈折率差 δnが0.02の場合には、光源の種類、樹脂層23の 厚みd2、使用の形態のいずれにも関係なく干 縞が見えなくなった。樹脂層23の屈折率n2が 0.02よりも小さい場合も、同様であると推測 ることができる。この結果、基板11と樹脂層 23の屈折率差δnを0.02以下とすることにより、 干渉縞の発生を効果的に抑制することができ ることが分かった。

 なお、表4においては、基板11の屈折率n1が1. 49のとき、樹脂層23の屈折率n2との大小関係が それ以外の屈折率n1の値のときと反転してい が、表4の評価結果は基板11の屈折率n1と樹 層23の屈折率n2との大小には関係しない。す わち、光が屈折率n1の媒質から屈折率n2の媒 質に垂直入射する場合、その反射率Rは、フ ネルの公式より、次式のようになる。
  R=|n1-n2| 2 /(n1+n2) 2
 これは、δn=|n1-n2|の値が同じであれば、n1< ;n2でも、n2<n1でも同じ値の反射率Rとなるこ とを示している。

 また、下記の表5は、屈折率差δnが0.02、0. 03、0.06のそれぞれの場合について、反射率R 計算した結果を表している。

 これより、基板11の屈折率n1と樹脂層23の 折率n2との大小にかかわらず、屈折率差δn 0.02以下になると、その界面での反射率が千 の一のオーダーとなり、干渉縞を視覚によ て認識できなくなることが理解される。

 〔基板と粘着層の屈折率差に関して〕基板1 1と粘着層25との界面においても、上記反射率 Rの式が適用される。従って、基板11と粘着層 25の屈折率差についても、基板11と樹脂層23と の関係が当てはまる。すなわち、基板11と粘 層25との間でも、基板11の屈折率n1と粘着層2 5の屈折率n3との屈折率差が0.02よりも小さけ ば、すなわち、
   |n1-n3|≦0.02
であれば、光源の種類、基板11の厚みd1、使 の形態のいずれにも関係なく干渉縞が見え くなる、といえる。よって、基板11と粘着層 25の屈折率差|n1-n3|を0.02以下とすることによ 、干渉縞の発生を効果的に抑制することが きる。




 
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