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Title:
APPARATUS FOR CARBONATION CURING AND PROCESS FOR PRODUCING CURED CEMENT OBJECT WITH DENSIFIED SURFACE LAYER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078430
Kind Code:
A1
Abstract:
An apparatus for carbonation curing is provided which can be kept at any desired carbon dioxide concentration exceeding 20%, preferably exceeding 30%. The apparatus for carbonation curing has a shielded space where a cured cement object is placed and shielded from the outside atmospheric environment. The shielded space is equipped with: a gas introduction opening which is connected to a carbon dioxide supply source through a gas flow rate regulation mechanism; and a gas discharge opening which is connected to the outside through a gas inflow prevention mechanism. The gas flow rate regulation mechanism and the gas inflow prevention mechanism can be switched so that the mode of controlling the internal atmosphere can be any of at least a 'gas replacement mode' and a 'stationary mode.' This apparatus is especially suitable for use in the carbonation curing of a cured object formed from a kneaded cement mixture containing low-heat portland cement and γC2S, the amount of the γC2S being 30±10 parts by mass per 100 parts by mass of the binder, and having a water/binder ratio of 35% or lower.

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Inventors:
WATANABE KENZO (JP)
YOKOZEKI KOSUKE (JP)
TORICHIGAI TAKESHI (JP)
SAKATA NOBORU (JP)
DATE SHIGEYUKI (JP)
MORIOKA MINORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072962
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KAJIMA CORP (JP)
ISHIKAWAJIMA CONSTRUCTION MATE (JP)
DENKI KAGAKU KOGYO KK (JP)
WATANABE KENZO (JP)
YOKOZEKI KOSUKE (JP)
TORICHIGAI TAKESHI (JP)
SAKATA NOBORU (JP)
DATE SHIGEYUKI (JP)
MORIOKA MINORU (JP)
International Classes:
C04B40/02; B28B11/24; C04B28/04; C04B14/04; C04B22/06
Foreign References:
JP2006143531A2006-06-08
JP2003335567A2003-11-25
Other References:
K.WATANABE: "High durability cementitious material with mineral admixtures and carbonation curing", WASTE MANAGEMENT, vol. 26, 2006, pages 752 - 757, XP024961231, DOI: doi:10.1016/j.wasman.2006.01.030
RYOICHI ASHIZAWA: "y-2CaO.Si02 to Tansanka Yojo o Heiyo shita Concrete no Ko Taikyuka Gijutsu", ANNUAL REPORT, KAJIMA TECHNICAL RESEARCH INSTITUTE, no. 52, 30 September 2004 (2004-09-30), pages 107 - 112
RYOICHI ASHIZAWA: "Cement-kei Zairyo no Ko Taikyuka o Mokuteki to shita Yojo Hoho ni Kansuru Kenkyu", PROCEEDINGS OF THE JAPAN CONCRETE INSTITUTE, vol. 26, no. 1, 2004, pages 747 - 752
Attorney, Agent or Firm:
KOMATSU, Takashi (Lions Mansion Ichigaya 8-10, Sumiyoshi-choShinjuku-k, Tokyo 65, JP)
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Claims:
 セメント硬化体を収容して外部の大気環境から遮蔽する遮蔽空間を有し、その遮蔽空間には、ガス流量調整機構を介して炭酸ガス供給源につながるガス導入口と、ガス流入防止機構を介して外部につながるガス排出口があり、前記ガス流量調整機構とガス流入防止機構は、内部雰囲気の制御モードを少なくとも下記X、Yのいずれかに設定するように切り替え操作が可能である炭酸化養生設備。
 モードX; ガス導入口から炭酸ガスを遮蔽空間に導入するとともにガス排出口から遮蔽空間のガスを外部に排出することにより遮蔽空間内の炭酸ガス濃度を上昇させるモード(ガス置換モード)
 モードY; 炭酸ガスの平均導入流量を前記ガス置換モードよりも小さくした状態で遮蔽空間内の炭酸ガス濃度を定常状態に制御するモード(定常モード)
 前記ガス排出口は、さらに二酸化炭素トラップ機構を介して外部につながるものである請求項1に記載の炭酸化養生設備。
 セメント混練物の硬化体を、大気環境から遮蔽され炭酸ガス濃度が20超え~90%の範囲に維持されている遮蔽空間に置くことにより、その硬化体の表層部を炭酸化させる表層緻密化セメント硬化体の製造方法。
 低熱ポルトランドセメントとγC 2 Sを含有し、結合材100質量部に対しγC 2 S配合量が30±10質量部、水結合材比が35%以下であるセメント混練物の硬化体を、大気環境から遮蔽され炭酸ガス濃度が50~90%の範囲に維持されている遮蔽空間に置くことにより、その硬化体の表層部を炭酸化させる表層緻密化セメント硬化体の製造方法。
 セメント混練物の硬化体を炭酸化養生するに際し、ガス流量調整機構を介して炭酸ガス供給源につながるガス導入口と、ガス流入防止機構を介して外部につながるガス排出口を有する遮蔽空間に、脱型されているセメント硬化体を置き、ガス導入口から炭酸ガスを遮蔽空間に導入するとともにガス排出口から遮蔽空間のガスを外部に排出することにより遮蔽空間内のセメント硬化体配置位置の炭酸ガス濃度を20超え~90%の所定濃度まで上昇させるモード(ガス置換モード)を経た後、ガス導入口からの炭酸ガス導入量とガス排出口からのガス排出量を調整して、炭酸ガスの平均導入流量を前記ガス置換モードよりも小さくした状態で遮蔽空間内の炭酸ガス濃度を定常状態に制御するモード(定常モード)を実施することによって、セメント硬化体の表層部を炭酸ガス濃度20超え~90%の雰囲気下で炭酸化させる表層緻密化セメント硬化体の製造方法。
 低熱ポルトランドセメントとγC 2 Sを含有し、結合材100質量部に対しγC 2 S配合量が30±10質量部、水結合材比が35%以下であるセメント混練物の硬化体を炭酸化養生するに際し、ガス流量調整機構を介して炭酸ガス供給源につながるガス導入口と、ガス流入防止機構を介して外部につながるガス排出口を有する遮蔽空間に、脱型されているセメント硬化体を置き、ガス導入口から炭酸ガスを遮蔽空間に導入するとともにガス排出口から遮蔽空間のガスを外部に排出することにより遮蔽空間内のセメント硬化体配置位置の炭酸ガス濃度を50~90%の所定濃度まで上昇させるモード(ガス置換モード)を経た後、ガス導入口からの炭酸ガス導入量とガス排出口からのガス排出量を調整して、炭酸ガスの平均導入流量を前記ガス置換モードよりも小さくした状態で遮蔽空間内の炭酸ガス濃度を定常状態に制御するモード(定常モード)を実施することによって、セメント硬化体の表層部を炭酸ガス濃度50~90%の雰囲気下で炭酸化させる表層緻密化セメント硬化体の製造方法。
Description:
炭酸化養生設備および表層緻密 セメント硬化体の製造方法

 本発明は、炭酸ガスを使用してセメント 化体の炭酸化養生を行うための炭酸化養生 備、およびその設備を用いて表層が緻密化 れたセメント硬化体を製造する方法に関す 。

 コンクリートやモルタルに代表されるセ ント硬化体は、大気中の二酸化炭素が表面 ら侵入して炭酸イオンとセメント成分が反 すると、その領域が中性化する。この中性 はセメント硬化体のひび割れを招く要因と る他、鉄筋コンクリートでは中性化の領域 深くなると鉄筋を腐食させる要因ともなる このため、一般的には中性化は抑制すべき あるとされ、中性化を軽減するための措置 種々検討されている。

 一方、発明者らはγC 2 S(γ-2CaO・SiO 2 、γビーライトとも呼ばれる)を配合したセメ ント系材料について、炭酸ガスによる強制的 な中性化(以下「炭酸化」という)を施した場 の表層部の構造変化に関する研究を行って た。その結果、γC 2 Sは水と反応しない一方で炭酸イオンと反応 、その反応生成物がわずかに膨張してセメ トマトリクスの空隙を埋めることで緻密な 造が形成されることを見出した。この手法 用いると、コンクリートやモルタルの表面 傍に緻密で化学的に安定した層を設けるこ ができ、セメントマトリクスからのカルシ ムイオンの溶脱や、外部からの塩化物イオ 等の侵入を抑制した長期耐久性に優れたセ ント系材料が実現される(特許文献1~3)。

 セメント硬化体を炭酸化することが可能 養生装置として、特許文献4には、硬化体が 格納されて密閉される容器を備えたものが記 載されている。

特開2006-348465号公報

特開2006-182583号公報

特開2007-22878号公報

特開2006-143531号公報

 従来一般的に、炭酸化養生を行う養生室( 中性化養生槽)では、炭酸ガス濃度を20%程度 維持することが、実用上の限界とされる。 方、特許文献4の養生装置では密閉状態で炭 化養生を行うので、炭酸ガス濃度100%という 高濃度ガス中での養生(いわゆる「袋養生」 図4参照)が可能である。ただし、炭酸ガス濃 度100%の場合と、従来の養生室(中性化養生槽) を用いて炭酸ガス濃度20%とした場合とでは、 4週間の養生後に得られたコンクリートの炭 化深さや空隙間に大きな変化はなく(図4)、 性化の進行は同等となっている(段落0034)。 酸ガス濃度を100%としても、20%の場合と中性 の進行が同等であるのは、特許文献4に開示 の養生方法は密閉容器中での養生(袋養生)で ることが一因と推察される。すなわち、従 の養生室では炭酸ガスの補充を行いながら 定の炭酸ガス濃度が維持されるが、袋養生 は基本的に炭酸ガスの補充はない。特許文 4には養生期間中に密閉容器内の炭酸ガス濃 度を一定に保つための手段は記載されていな い。

 これまで、20%を超える炭酸ガス濃度領域 のセメント硬化体の炭酸化挙動については 統的な調査報告がなく、より耐久性のある メント硬化体を開発する上で検討の余地が っていた。また、最近では環境問題への更 る配慮や、鉄筋コンクリートの耐久性向上 ために、従来にも増してカルシウムの溶脱 イオンの侵入に対する抵抗力を改善したコ クリートの要求が強まっている。

 本発明はこのような現状に鑑み、炭酸ガ 濃度を20%を超える任意の濃度、好ましくは3 0%を超える任意の濃度に維持することができ 実用的な炭酸化養生設備を提供すること、 よび、従来よりも耐久性を向上させた表層 密化セメント硬化体を提供することを目的 する。

 上記目的を達成するために、本発明では、 メント硬化体を収容して外部の大気環境か 遮蔽する遮蔽空間を有し、その遮蔽空間に 、ガス流量調整機構を介して炭酸ガス供給 につながるガス導入口と、ガス流入防止機 を介して外部につながるガス排出口があり 前記ガス流量調整機構とガス流入防止機構 、内部雰囲気の制御モードを少なくとも下 X、Yのいずれかに設定するように切り替え 作が可能である炭酸化養生設備が提供され 。
 モードX; ガス導入口から炭酸ガスを遮蔽空 間に導入するとともにガス排出口から遮蔽空 間のガスを外部に排出することにより遮蔽空 間内の炭酸ガス濃度を上昇させるモード(ガ 置換モード)
 モードY; 炭酸ガスの平均導入流量を前記ガ ス置換モードよりも小さくした状態で遮蔽空 間内の炭酸ガス濃度を定常状態に制御するモ ード(定常モード)
 前記ガス排出口は、さらに二酸化炭素トラ プ機構を介して外部につながるようにする ともできる。

 この炭酸化養生設備を用いると、セメント 化体の表層部を炭酸ガス濃度20超え~90体積% ましくは30超え~90体積%の雰囲気下で炭酸化 せることができる。その場合、γC 2 Sを含まない一般的な組成のセメント混練物 硬化体であっても、表層部のセメントマト クスは大幅に緻密化することがわかった。 た、低熱ポルトランドセメントをベースと てγC 2 Sを含有する特定組成のセメント混練物の硬 体においては、特に炭酸ガス濃度50~90%の雰 気下で炭酸化させたとき、比較的短い養生 間で顕著な表層緻密化が実現できることが らかになった。

 そのような表層緻密化セメント硬化体を 造する方法として、本発明では、セメント 練物の硬化体を、大気環境から遮蔽され炭 ガス濃度が20超え~90%の範囲に維持されてい 遮蔽空間に置くことにより、その硬化体の 層部を炭酸化させる表層緻密化セメント硬 体の製造方法が提供される。

 より具体的には、セメント混練物の硬化 を炭酸化養生するに際し、ガス流量調整機 を介して炭酸ガス供給源につながるガス導 口と、ガス流入防止機構を介して外部につ がるガス排出口を有する遮蔽空間に、脱型 れているセメント硬化体を置き、ガス導入 から炭酸ガスを遮蔽空間に導入するととも ガス排出口から遮蔽空間のガスを外部に排 することによって遮蔽空間内のセメント硬 体配置位置の炭酸ガス濃度を20超え~90%の所 濃度まで上昇させるモード(ガス置換モード )を経た後、ガス導入口からの炭酸ガス導入 とガス排出口からのガス排出量を調整して 炭酸ガスの平均導入流量を前記ガス置換モ ドよりも小さくした状態で遮蔽空間内の炭 ガス濃度を定常状態に制御するモード(定常 ード)を実施することによって、セメント硬 化体の表層部を炭酸ガス濃度20超え~90%の雰囲 気下で炭酸化させる表層緻密化セメント硬化 体の製造方法が提供される。上記の「定常状 態」は、必ずしも炭酸ガス濃度が常時一定で ある必要はなく、ある範囲内(例えば目標濃 (%)±10(%))で変動しても良い。

 特に、混練物の配合を、低熱ポルトランド メントとγC 2 Sを含有し、結合材100質量部に対しγC 2 S配合量が30±10質量部、水結合材比が35%以下 なるようにし、その硬化体に対して、上記 酸ガス濃度範囲を50~90%の範囲とすることに って、表層部の極めて顕著な緻密化が実現 れる。結合材には、低熱ポルトランドセメ トを40質量%以上含有させることが好ましく その他にフライアッシュやシリカフューム どの混和材を結合材として含有させること できる。水結合材比は例えば30±5%の範囲に 理することができる。γC 2 Sについては、例えばブレーン比表面積が1500~ 8000cm 2 /g程度のものを使用することができる。ダス ィング直後のブレーン比表面積が1500~2000cm 2 /gのものが特に好適である。本発明の表層緻 化セメント硬化体の製造方法は、前記の炭 化養生設備を用いることによって好適に実 できる。

 本発明の炭酸化養生設備によれば、炭酸ガ 濃度を20%を超える任意の濃度に設定して炭 化養生を行うことができる。これにより、 来知られていなかった高炭酸ガス濃度領域 のセメント硬化体の炭酸化挙動を種々研究 ることが可能になり、新たな高耐久性セメ ト系材料の開発に資することができる。ま 、本発明の表層緻密化セメント硬化体の製 方法によれば、例えばJISに規定される一般 な配合を有しながら表層部を大幅に緻密化 た高耐久性セメント系材料が得られる。γC 2 Sを配合したものでは、非常に緻密化された 層部を有するものが得られ、しかもその炭 化領域は浅く形成されるので、これは鉄筋 ンクリートの高耐久化に極めて有用である 炭酸化によるこのような顕著な効果は、炭 ガス濃度を100%近くに高めなくても十分実現 きるので、本発明の炭酸化養生設備は特段 密閉性の高い容器で構成する必要がなく、 スト面でも実用性が高い。

本発明の炭酸化養生設備の構成の一例 模式的に示した図。 炭酸化深さの測定方法を模式的に示し 図。 炭酸ガス濃度と炭酸化深さの関係を例 したグラフ。 炭酸ガス濃度とセメント硬化体表層部 空隙率の関係を例示したグラフ。

符号の説明

 1  大気環境
 2  遮蔽体
 3  遮蔽空間
 4  セメント硬化体
 5  炭酸ガス供給源
 6  ガス流量調整機構
 7  ガス流入防止機構
 11  ガス導入口
 12  ガス排出口
 13  炭酸ガス濃度測定装置
 14  温度調整機
 15  湿度調整機
 21、22  ガス流路
 31  ガス流量制御装置

 図1に本発明の炭酸化養生設備の構成を模式 的に例示する。
 本発明の炭酸化養生設備は、遮蔽体2によっ て大気環境1から遮蔽された遮蔽空間3を有し いる。遮蔽体2は、大気環境1から遮蔽空間3 の大気の侵入および遮蔽空間3から大気環境 1への二酸化炭素の流出が防止できる材料で 成され、遮蔽空間3側は80℃程度までの耐熱 を有する素材であることが好ましい。また 保温性および保湿性に優れた構造を有する とが望ましい。遮蔽空間3の中には被養生体 あるセメント硬化体4が脱型された状態で収 容される。セメント硬化体4は、炭酸化が必 な表面が遮蔽空間内のガス雰囲気に曝され ように配置される。

 遮蔽空間3の中には炭酸ガスを導入するた めのガス導入口11が設けられている。ガス導 口11は、ガス流路21によって炭酸ガス供給源 5につながっている。炭酸ガス供給源5は、大 圧より高い圧力で二酸化炭素含有ガスを供 することができる装置であり、例えば炭酸 スボンベや二酸化炭素含有ガスが収容され タンクが採用でき、必要に応じてガスを送 出すポンプ機構を内蔵させることができる 炭酸ガス供給源5とガス導入口11の間には、 酸ガスの流量を調整するためのガス流量調 機構6が介在している。ガス流量調整機構6 しては流量調整可能な弁を用いることが好 しいが、開/閉2段階の弁としてもよい。二酸 化炭素は空気より重いことから、ガス導入口 11の設置位置はセメント硬化体4の配置位置よ りも高くすることが望ましい。

 また、遮蔽空間3の中には当該空間内のガ スを外部に排出するためのガス排出口12が設 られている。ガス排出口12は、ガス流路22に よって外部につながっているが、途中にガス 流入防止機構7が介在している。ガス流入防 機構7は、ガス流路22を通って外部の大気が 蔽空間3内に流入するのを防止するものであ 、例えば逆止弁や開閉弁を使用することが きる。開閉弁を使用する場合には、前述の ス導入口11からの炭酸ガスの導入を止めて るときに当該開閉弁が「閉」になるように 御することでガス流入を防止することがで る。後述のガス置換モードにおいて遮蔽空 3内の空気を迅速に効率良く炭酸ガスで置換 るためには、ガス排出口22の設置位置はセ ント硬化体4の配置位置よりも高くすること 望ましい。

 ガス排出口12から外部につながるガス流 22には、必要に応じて二酸化炭素トラップ機 構8を介在させる。簡単な構造の二酸化炭素 ラップ機構8としては、例えば、水酸化カル ウム水溶液中にガスを通す装置が採用でき 。

 本発明の炭酸ガス養生設備には、遮蔽空 3内の二酸化炭素濃度を測定するための炭酸 ガス濃度測定装置13を設けることが望ましい セメント硬化体4の設置高さに相当する遮蔽 空間3内の位置での炭酸ガス濃度がモニター きるようにセンサーまたは検出用ガス採取 の位置を設定することが望ましい。さらに 遮蔽空間3内のガスの温度を制御する温度調 機14を設けることが望ましく、また、湿度 制御する湿度調整機15を設けることが望まし い。図1に例示されるものは、遮蔽空間3内の スを取り込んで、適正な温度および湿度に 整されたガスを遮蔽空間3に戻すタイプのも のであり、温度調整機14と湿度調整機15が一 化された温度・湿度調整機である。

 上記のガス流量調整機構6とガス流入防止機 構7は、互いに連携した動作によって、下記X Yのモードを切り替えて実施できるようにな っている。
 モードX; ガス導入口11から炭酸ガスを遮蔽 間3に導入するとともにガス排出口12ら遮蔽 間3のガスを外部に排出することにより遮蔽 空間3内の炭酸ガス濃度を上昇させるモード( ス置換モード)
 モードY; 炭酸ガスの平均導入流量を前記ガ ス置換モードよりも小さくした状態で遮蔽空 間3内の炭酸ガス濃度を定常状態に制御する ード(定常モード)

 モードXの「ガス置換モード」は、基本的 に炭酸ガス供給源5で発生する大気圧より大 いガス供給圧力によって、遮蔽空間3のガス ガス排出口12から追い出すモードである。 まり、遮蔽空間3内の圧力が大気圧と大差な 状態において内部のガスを入れ替えること なるので、この方法は、遮蔽空間3内の炭酸 ガス濃度を概ね90%程度以下の範囲で調整する 場合に適している。炭酸ガス濃度を100%にま 引き上げることは困難であるが、後述のよ に炭酸ガス濃度80%程度でも本発明の目的は 分に達成できる。

 ガス流量調整機構6に開閉弁を使用し、ガ ス流入防止機構7に逆止弁を使用した場合は ガス流量調整機構6の開閉弁を「開」にする とによって炭酸ガスが導入されるとともに 遮蔽空間3の内部に存在していた空気は自ら 逆止弁を押し開けることによって外部に排出 され、遮蔽空間3の内部の空気は炭酸ガスに 換される。遮蔽空間3の炭酸ガス濃度が設定 を超えた時点でガス流量調整機構6の開閉弁 を「閉」にすれば、逆止弁も「閉」になり、 モードXの「ガス置換モード」からモードYの 定常モード」に移行することができる。あ いは、ガス流量調整機構6の弁の開度を絞る ことにより、逆止弁を「開」に保ちながら少 量の炭酸ガスを導入し続けるようにして「定 常モード」に移行することもできる。上記逆 止弁の代わりに開閉弁を使用した場合は、ガ ス流量調整機構6の開閉弁とガス流入防止機 7の開閉弁の動作を連動させる必要がある。 の場合は、例えば両者とも電磁弁を使用し ガス流量制御装置31によって両者を「開」 設定することで「ガス置換モード」とし、 の後、両者を「閉」にしてガスの導入およ 排出を中止するか、あるいは両者の開度を ってガス流入防止機構7の開閉弁から外部の スが流入しない状態でガスを流すようにす ことで「定常モード」に切り替えることが きる。

 モードYの「定常モード」は、遮蔽空間3 炭酸ガス濃度を概ね一定に保ちながら炭酸 養生を進行させる過程である。遮蔽空間3内 炭酸ガスは、セメント硬化体4の炭酸化反応 に消費される他、不可避的に遮蔽空間3から 部にリークすることによっても減少する。 のため、ガス流量調整機構6とガス流入防止 構7の開閉弁をいずれも「閉」にした状態で 放置すると徐々に炭酸ガス濃度は低下する。 したがって、「定常モード」を維持するため には途中で炭酸ガスの補給が必要である。補 給の方法は、ガス流量調整機構6の開閉弁と ス流入防止機構7の開閉弁または逆止弁とを 純に開/閉を繰り返すように作動させる方法 と、両者の弁の開度を絞って少量の炭酸ガス を連続的に導入する方法が挙げられる。いず れにしても、炭酸ガス濃度測定装置13によっ 遮蔽空間3内の炭酸ガス濃度をモニターしな がら、一定範囲内の炭酸ガス濃度が維持され るようにガス流量調整機構6とガス流入防止 構7の動作を連動して制御することが望まし 。

 次に、本発明の炭酸化養生設備を使用し 表層緻密化セメント硬化体の製造方法につ て説明する。まず、セメント混練物を打設 た後、所定時間経過後に型枠を外し、硬化 上にある脱型されたセメント硬化体4(モル ルまたはコンクリート)を遮蔽体2で覆われた 場所に配置する。プレキャスト製品の場合は 、当該製品を工場などに設置した遮蔽体2の 部に移動して、炭酸化が必要な表面が雰囲 ガスに曝されるように配置した上で、遮蔽 間3を構築すればよい。現場で打設されたセ ント硬化体4の場合も、遮蔽体2の設置方法 工夫すること(例えばシート状の遮蔽体2で構 造物を覆うこと)によって遮蔽空間3を構築す ことが可能である。

 遮蔽空間3を構築した後、「ガス置換モード 」を実施する。すなわち、ガス流量調整機構 6の弁を「開」とし、ガス流入防止機構7に開 弁が使用されている場合はこれも「開」と ることによって、ガス導入口11から遮蔽空 3に炭酸ガスを導入するとともに、炭酸ガス 給源5からの炭酸ガス導入圧力を利用して遮 蔽空間3に存在していた空気をガス排出口12か ら外部に追い出していく。遮蔽空間3内の、 にセメント硬化体4の配置されている部位に ける炭酸ガス濃度が20超え~90%好ましくは30 え~90%の範囲内に設定した所定の濃度を上回 まで「ガス置換モード」を継続する。炭酸 ス濃度は炭酸ガス濃度測定装置13によって ニターすれば正確に把握される。なお、低 ポルトランドセメントとγC 2 Sを含有し、結合材100質量部に対しγC 2 S配合量が30±10質量部、水結合材比が35%以下 あるセメント混練物の硬化体を対象とする 合は、特に炭酸ガス濃度を50%以上の範囲に 定することによって、非常に緻密な表層部 形成させることが可能になる。

 所定の炭酸ガス濃度になった後、「定常 ード」に移行する。このモードを維持する めには炭酸ガスを補給することが必要であ 。補給の方法は前述のように、ガス流量調 機構6の開閉弁とガス流入防止機構7の開閉 または逆止弁とを単純に開/閉を繰り返すよ に作動させる方法、あるいは、両者の弁の 度を絞って少量の炭酸ガスを連続的に導入 る方法を採用すればよい。炭酸ガス濃度は 少変動しても構わないが、目的の緻密化表 を短期間で得るためには、それに必要な炭 ガス濃度が確保されるように制御すること 重要である。

 また、「定常モード」では雰囲気の温度お び湿度を制御することが望ましい。養生温 が高いほどセメント水和反応の反応速度が 大し、またγC 2 Sを配合したものでは炭酸化温度が高いほど 酸イオンとの反応の速度が大きくなるので 炭酸化養生を高温で行うと早期に高強度化 よび表層の高緻密化が実現できる。具体的 は25℃以上の温度に制御することが望ましく 、40℃以上に制御することがより効果的であ 。ただし、あまり高温での養生を実現する は困難を伴うことが多いので、通常70℃以 の範囲で行えばよい。湿度は40~60%RHに制御す ることが望ましい。この範囲で炭酸化速度が 最も大きくなる傾向がある。

 炭酸化養生期間は、通常、7~28日の範囲と すればよい。すなわち、この期間内に「定常 モード」を終え、炭酸化養生を終了させるこ とができる。高濃度炭酸ガス下での養生によ ると、表層部が顕著に緻密化されるので、炭 酸化の進行は比較的短期間で飽和する。

 表1に示す材料を用いて、表2に示す配合の ルタル混練物を作製した。γC 2 Sは石灰石、ケイ石の工業原料を用いて実キ ンで1450℃、20分保持して焼成し、徐冷によ てダスティングした直後のものをそのまま 用した。表2のモルタルAはJIS R5201-1997のモル タルであり、質量比でセメント1、標準砂3、 結合材比50質量%である。モルタルBは上記モ ルタルAにおいて、結合材の30質量%に相当す 量のγC 2 Sを細骨材置換で添加したものである。モル ルCは低熱ポルトランドセメントをベースと た結合材を用い、結合材の30質量%に相当す 量のγC 2 Sを細骨材置換で添加し、水結合材比30質量% したものである。なお、γC 2 Sは配合上、不活性な粉体とみなし、結合材 しては取り扱わない。

 これら3種類のモルタルとも、目標空気量は 5%とした。モルタルフローについては、モル ルA、Bは目標値を定めず、モルタルCはモル ルフローで225±40mmとした。練混ぜ方法は、3 種類のモルタルとも同様に行うことを基本と して、10Lモルタルミキサーを使用して、結合 材、γC 2 S、水の順番で投入し、3分間低速、細骨材を 入し2分間低速、その後2分間中速で合計7分 練混ぜて混練物を得た。

 各混練物を型枠に打設した後、1日間湿空 養生(温度20℃、湿度90%RH以上)を行い、その後 、脱型し、モルタルからなるセメント硬化体 (40×40×160mm)を得た。これを20℃で1日間水中養 生した後、炭酸化養生を5日間行い、全養生 間を7日間とした。ここで、炭酸化深さは経 時間の平方根に比例するとされており、そ 精度も高いことが確認されていることから 早期に傾向を把握することを目的に炭酸化 生期間を比較的短い5日間とした。

 炭酸化養生は、図1に示した構成を有する 炭酸化養生設備によって行った。具体的には 、遮蔽体2として恒温恒湿槽を用い、炭酸ガ 供給源として二酸化炭素ボンベ、ガス流量 整機構6およびガス流入防止機構7として開/ 2段切り替えタイプの電磁弁を用いた。遮蔽 間3に相当する恒温恒湿槽内のガスを採取し て炭酸ガス濃度を常時測定するように炭酸ガ ス濃度測定装置13を設置するとともに、その 酸ガス濃度測定値に基づいて、ガス流量調 機構6およびガス流入防止機構7の電磁弁を 時に「開」または「閉」に切り替えるよう 制御するガス流量制御装置31を設置した。こ の恒温恒湿槽の中にセメント硬化体を40×160mm の面が全て炭酸ガスに曝されるように配置し て炭酸化養生を行った。まず「ガス置換モー ド」により恒温高湿槽内部の空気を炭酸ガス で置換し、迅速に所定濃度の炭酸化雰囲気と した。その後「定常モード」に移行し、5日 の炭酸化を行った。炭酸化養生条件は、温 40℃、湿度50%RHを基本とし、モルタルCについ ては温度を10~70℃、湿度を30~90%の範囲で変動 せた試験も実施した。炭酸ガス濃度は0~80% 範囲で変化させた。ここで炭酸ガス濃度0%と いうのは、炭酸化養生の代わりに40℃での水 養生を行ったものである。「定常モード」 は、炭酸ガス濃度を所定濃度±2体積%の範囲 に制御した。例えば、炭酸ガス濃度「50%」と 表示されるものは、48~52%の制御下で実施した ことを意味する。炭酸化処理後のセメント硬 化体について、以下の項目を測定する試験に 供した。

〔炭酸化深さ〕
 40×40×160mmのセメント硬化体の破断面に対し 、JIS A1152-2002に準拠した方法でフェノールフ タレインによる鮮明な赤紫色の着色が生じな い領域を炭酸化領域と判定して、表面からの 炭酸化深さを測定した。図2に、破断面にお るフェノールフタレインによる着色の様子 よび炭酸化深さ測定方法を模式的に示す。 面における測定は、打設面、底面を除いた 面のみを対象とし、さらに、打設面、底面 近い10mmを除いた中心近傍20mmを5mmピッチでノ ギスを用いて0.1mm単位で測定し、その平均値 採用した。

 図3に、温度40℃、湿度50%RHでの炭酸ガス濃 と炭酸化深さの関係を示す。モルタルAおよ Bでは、炭酸ガス濃度が20%を超える領域にお いて、炭酸ガス濃度の累乗に比例して炭酸化 深さが増加する結果となった。一方、低熱ポ ルトランドセメントをベースとして所定量の γC 2 Sを配合したモルタルCでは、炭酸ガス濃度が くなると、一定の炭酸化養生期間で生じる 酸化領域の深さは減少するという特異な挙 が見られた。

 湿度の影響については、炭酸ガス濃度5~10% の既往の検討結果から、40~60%RHが最も炭酸化 速度が大きいとされているが、20%を超える炭 酸ガス濃度でも同様の傾向が見られた。γC 2 Sを配合したモルタルB、Cでも同様であった。 つまり、γC 2 Sを含有するモルタルであっても、空隙水に る炭酸ガスの供給速度と炭酸ガスの溶解に って炭酸化反応が律速されるものと考えら る。

〔空隙率〕
 水銀圧入法によって、炭酸化領域の表面か 2mmまでの表面近傍部分について空隙率を測 した。図4に、温度40℃、湿度50%RHにおける 酸ガス濃度と空隙率の関係を示す。いずれ モルタルも炭酸ガス濃度が増大すると空隙 が低減し、セメントマトリクスが緻密化す 現象が見られた。γC 2 Sを配合していない一般的な組成のモルタルA も、炭酸ガス濃度が80%になると、γC 2 Sを配合したモルタルBに近い空隙率にまで緻 化されることが確認された。ところが、モ タルCについては、20%を超える高炭酸ガス濃 度領域において、極めて顕著な緻密化現象が 発現した。このモルタルCは低熱ポルトラン セメントをベースにγC 2 Sを配合したものであるが、特に炭酸ガス濃 50%以上の領域では、γC 2 Sを配合したモルタルBとの対比においても空 率の著しい低減効果が見られることから、 ルタルCの特異な緻密化挙動は単にγC 2 Sを配合したことによるものではなく、セメ トの種類や、水結合材比との適切な組合せ よってもたらされたものと考えられる。そ メカニズムについては現時点で未解明であ が、バテライトが多く生成されるなどの水 物の種類が影響しているものと推測される

 本発明の炭酸化養生設備を用いた詳細な検 により、本発明者らは、モルタルCの例に見 られるように、低熱ポルトランドセメントと γC 2 Sを含有し、結合材100質量部に対しγC 2 S配合量が30±10質量部、水結合材比が35%以下 あるセメント混練物は、特に炭酸ガス濃度50 %以上での炭酸化養生によって顕著な緻密化 可能であることを見出した。しかも、この うなセメント混練物の硬化体は、前述の図3 示されるように炭酸化領域が薄く形成され 硬化体内部まで深く炭酸化が進行すること ない。これは顕著に緻密化された表層が早 に形成されるためと考えられる。したがっ 、このようなセメント混練物の硬化体を高 酸ガス濃度下で炭酸化させたコンクリート 、鉄筋の腐食に対して長期間優れた耐久性 維持しうるものであると考えられ、場合に ってはかぶり厚低減によるコンクリート構 物の合理化も可能になると考えられる。