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Title:
AUTOMATIC POURING CONTROL METHOD, CONTROL SYSTEM OF SERVO MOTOR OF AUTOMATIC POURING DEVICE AND MEDIUM STORING TILTING CONTROL PROGRAM FOR LADLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136227
Kind Code:
A1
Abstract:
An automatic pouring control method by tilting a ladle in which the pouring work by an expert worker can be approached as much as possible by a computer preset with a program. In a method for controlling a servo motor to pour molten into a mold according to a desired pouring flow rate pattern by a ladle when molten is poured into a mold by tilting the ladle through the servo motor controlled by a computer preset with a program for accomplishing the pouring process, a mathematical model from an input voltage applied to the servo motor to the pouring flow rate by the ladle is made, converse problem of that mathematical model is solved, the pouring flow rate is estimated using an exponential damping observer based on an extension Kalman filter from the pouring weight of molten metal measured by a weight measure from which the influence of variation in gravity is eliminated and the input voltage applied to the servo motor, and then the pouring flow rate and a target pouring flow rate are processed by a gain scheduled PI controller. An input voltage applied to the servo motor is thereby obtained and the servo motor is controlled based on that input voltage.

Inventors:
NODA YOSHIYUKI (JP)
TERASHIMA KAZUHIKO (JP)
MIYOSHI TAKANORI (JP)
OTA KAZUHIRO (JP)
SUZUKI MAKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056060
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
March 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SINTOKOGIO LTD (JP)
NAT UNIV CORP TOYOHASHI UNIV T (JP)
NODA YOSHIYUKI (JP)
TERASHIMA KAZUHIKO (JP)
MIYOSHI TAKANORI (JP)
OTA KAZUHIRO (JP)
SUZUKI MAKIO (JP)
International Classes:
B22D39/04; B22D37/00; B22D41/06
Foreign References:
JP2005088041A2005-04-07
JP2004080838A2004-03-11
JPH067919A1994-01-18
Other References:
See also references of EP 2140955A4
K.REIF; R.UNBEHAUEN: "The Extended Kalman Filter as an Exponential Observer for Nonlinear Systems", IEEE, TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, vol. 47, no. 8, 1999, pages 2324 - 2328
K. REIF; R. UNBEHAUEN: "The Extended Kalman Filter as an Exponential Observer for Nonlinear Systems", IEEE, TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, vol. 47, no. 8, 1999, pages 2324 - 2328
Attorney, Agent or Firm:
YAMASAKI, Yukuzo et al. (Sogo Nagatacho Bldg. 8F 11-2, Nagatacho 1-chome Chiyoda-ku Tokyo 14, JP)
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Claims:
注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御する方法であって、
前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、
この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理し、
これにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、
この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする自動注湯制御方法。
請求項1に記載の自動注湯制御方法において、
前記注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理したのち、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、目標注湯流量をFF制御器で処理し、
ゲインスケジュールドPI制御器で処理した結果とFF制御器で処理した結果を足し合わせることにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、
この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする自動注湯制御方法。
請求項1または2に記載の自動注湯制御方法において、
前記取鍋の傾動中に溶湯金属を含めた取鍋の重心が変動し、その重力方向の加速度が前記重量計測器の計測データに重畳される問題に対して、重心変動による加速度を打ち消し、重量計測器の計測データから重心変動の影響を取り除いて溶湯金属の鋳込み重量を計測することを特徴とする自動注湯制御方法。
請求項1または2に記載の自動注湯制御方法において、
前記サーボモータへの入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて、前記取鍋から流出する単位時間あたりの溶湯金属の重量を実時間で推定することを特徴とする自動注湯制御方法。
請求項1~2のうちいずれか1項に記載の自動注湯制御方法において、
前記取鍋は、円筒形状のもの、または扇形のものであることを特徴とする自動注湯制御方法。
注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御するシステムであって、
前記サーボモータへの入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成する数理モデル作成手段と、
作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定する注湯流量推定手段と、
この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理するゲインスケジュールドPI制御器処理手段と、
を含むことを特徴とする自動注湯装置のサーボモータの制御システム。
注湯プロセスを遂行するプログラムを予め設定したコンピュータによって制御されるサーボモータにより取鍋を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記取鍋による所望の注湯流量パターンによって鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御するための制御プログラムを記憶した記憶媒体であって、
前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、
この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によって計測される溶湯金属の鋳込み重量から重心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボモータに印加する入力電圧から拡張カルマンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理し、
これにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、
この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体。
請求項7に記載の取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体において、
注湯流量と目標注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処理したのち、前記サーボモータに印加する入力電圧から前記取鍋による注湯流量までの数理モデルを作成し、
この作成した数理モデルの逆問題を解き、かつ、目標注湯流量をFF制御器で処理し、
ゲインスケジュールドPI制御器で処理した結果とFF制御器で処理した結果を足し合わせることにより、前記サーボモータに印加する入力電圧を獲得し、
この獲得した入力電圧に基づき前記サーボモータを制御することを特徴とする取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体。
Description:
自動注湯制御方法、自動注湯装 のサーボモータの制御システムおよび取鍋 傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体

 本発明は、自動注湯制御方法、自動注湯 置のサーボモータの制御システムおよび取 用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒体 係り、より詳しくは、注湯プロセスを遂行 るために予めプログラムを設定されたコン ュータによって制御されるサーボモータに り取鍋を傾動させて鋳型に溶湯を注入する 当たり、所望の注湯流量パターンによって 湯を鋳型に注入すべく前記サーボモータを 御する方法、自動注湯装置のサーボモータ 制御システムおよび取鍋用傾動制御プログ ムを記憶した記憶媒体に関する。

鋳造工場における注湯のように極めて危険で かつ最悪の作業から労働者を解放すべく、注 湯プロセスの機械化・自動化が、近年行われ るようになってきている。そして、従来、こ のための装置としては、取鍋と、取鍋を駆動 する駆動手段と、取鍋の重量を検出する検出 手段と、予め取鍋が傾動されたときの取鍋内 の重量の変動割合を記憶しておき、前記検出 手段からの信号に対応して取鍋の傾動速度を 補正し、前記駆動手段に補正後の傾動速度信 号を送信する記憶演算装置とを具備したもの がある(例えば、特許文献1参照)。

特開平6-7919号

しかし、このように構成された従来の自動 注湯装置においては、駆動手段等に係る情報 の記憶演算装置への入力が、現実的にはティ ーチング&プレイバック方式により行われ いるため、不適切な取鍋傾動速度や注湯状 の変化に対応できず、この結果、鋳型に注 される溶湯が流量不足になったり、注湯時 ほこり・のろなどの不純物が鋳型内に飲み まれたりして、鋳物の品質低下を招くなど 問題があった。

本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの で、その目的は、予めプログラムを設定され たコンピュータにより、熟練作業者による注 湯作業に可及的に近づけることが可能な、取 鍋の傾動による自動注湯の制御方法、自動注 湯装置のサーボモータの制御システムおよび 取鍋用傾動制御プログラムを記憶した記憶媒 体を提供することにある。

上記の目的を達成するため、本発明におけ る自動注湯制御方法は、注湯プロセスを遂行 するプログラムを予め設定したコンピュータ によって制御されるサーボモータにより取鍋 を傾動させて鋳型に注湯するに当たり、前記 取鍋による所望の注湯流量パターンによって 鋳型に注湯すべく前記サーボモータを制御す る方法であって、前記サーボモータに印加す る入力電圧から前記取鍋による注湯流量まで の数理モデルを作成し、この作成した数理モ デルの逆問題を解き、かつ、重量計測器によ って計測される溶湯金属の鋳込み重量から重 心変動の影響を取り除いた重量と前記サーボ モータに印加する入力電圧から拡張カルマン フィルタに基づく指数減衰型オブザーバを用 いて注湯流量を推定し、この注湯流量と目標 注湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で 理し、これにより、前記サーボモータに印 する入力電圧を獲得し、この獲得した入力 圧に基づき前記サーボモータを制御するこ を特徴とする。

なお、本発明に利用する数理モデル法とは、 プロセスの熱収支・物質収支・化学反応・制 限条件などの式を解いて、利益・コストなど コンピュータ制御の目的とする関数をだし、 その最大・最小を求めてそれが達成できるよ うに制御を行う方法である。
またなお、取鍋は重心付近で支持してある。

上記の説明から明らかなように本発明によれ ば、プログラムを予め設定されたコンピュー タにより、熟練作業者による注湯作業に可及 的に近づけた状態で取鍋によって自動注湯を 行うことが可能になるうえに、注湯流量を推 定してフィードバックするため,目標注湯流 が変動する場合や,注湯工程で外乱要素が存 する場合においても所望の注湯流量を精度 く実現できるなどの優れた実用的効果を奏 る。
 この出願は、日本国で2007年4月27日に出願さ れた特願2007-118393号、及び2007年9月17日に出願 された特願2007-240321号に基づいており、その 容は本出願の内容として、その一部を形成 る。
 また、本発明は以下の詳細な説明により更 完全に理解できるであろう。しかしながら 詳細な説明および特定の実施例は、本発明 望ましい実施の形態であり、説明の目的の めにのみ記載されているものである。この 細な説明から、種々の変更、改変が、当業 にとって明らかだからである。
 出願人は、記載された実施の形態のいずれ も公衆に献上する意図はなく、開示された 変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文 上含まれないかもしれないものも、均等論 での発明の一部とする。
 本明細書あるいは請求の範囲の記載におい 、名詞及び同様な指示語の使用は、特に指 されない限り、または文脈によって明瞭に 定されない限り、単数および複数の両方を むものと解釈すべきである。本明細書中で 供されたいずれの例示または例示的な用語( 例えば、「等」)の使用も、単に本発明を説 し易くするという意図であるに過ぎず、特 請求の範囲に記載しない。

以下、本発明を適用した自動注湯装置の実 施例について図1~図14に基づき詳細に説明す 。図1に示すように、本自動注湯装置は、円 形状の取鍋1と、この取鍋1を傾動させるサ ボモータ2と、サーボモータの出力軸の回転 動を直線運動に変換する2組のボールねじ機 構3・4により前記取鍋1および前記サーボモー タ2を垂直方向および水平方向へそれぞれ移 させる移動手段5と、前記取鍋1内の溶湯の重 量を検出するロードセル(図示せず)と、コン ュータを利用して前記サーボモータ2および 前記2組のボールねじ機構3・4の動作を演算し かつ制御するコントロールシステム6と、で 成してある。

そして、前記取鍋1は、これの重心位置に前 サーボモータ2の出力軸を連結させてその重 位置で傾動可能に支持してあって、重心位 を中心にして鋳型の湯口に対して傾動・反 動するようになっている。
なお、重心位置を中心にして傾動するように することにより、前記サーボモータ2にかか 負荷が大きくなることを防ぐことができる

また、前記移動手段5は、鋳型の湯口に正 に注湯すべく前記取鍋1を傾動に連動させて 後移動および昇降させ、その出湯口先端を 想回転軸として固定出湯点を得ることがで るよう作動する。

このように構成したものは、サーボモータ 2に印加する入力電圧による取鍋1の傾動と、 鍋1の傾動によって取鍋1から流出する溶湯 流量に関する数理モデルを作成し、この作 した数理モデルの逆問題を解くことにより 記サーボモータ2に印加する入力電圧を獲得 、かつ、重量計測器としてのロードセルに って計測される鋳込み重量から拡張カルマ フィルタに基づく指数減衰型オブザーバを いて注湯流量を推定し、この推定した注湯 量をゲインスケジュールドPI制御器で処理 て前記サーボモータ2に印加する入力電圧を 得し、この獲得した入力電圧に基づきコン ロールシステム6を介して取鍋1の傾動を制 する。

すなわち、取鍋1の注湯時の縦断面図である 2において、取鍋1の傾動角度をθ[deg]、取鍋1 傾動中心である出湯口より下部の溶湯体積( 濃い網掛け部)をV s (θ)[m 3 ]、出湯口に対する水平面の面積(濃い網掛け と薄い網掛け部の境界上の面積)をA(θ)[m 2 ]、出湯口より上部の溶湯体積(薄い網掛け部) をV r [m 3 ]、上部溶湯の高さをh[m]、取鍋1から流出する 溶湯の流量をq[m 3 /s]とすると、注湯時における時刻t[s]からδt[s ]後の取鍋内溶湯の収支式は下記の式(1)のよ になる。
V r (t)+V s (θ(t))
=V r (t+δt)+V s (θ(t+δt))+q(t)δt (1)

式(1)を溶湯体積V r [m 3 ]についてまとめ、δt→0とすると下記の式(2) なる。

また、取鍋1の傾動角速度ω[deg/s]を下記の式(3 )とする。
ω(t)=dθ(t)/dt   (3)  
よって、式(3)を式(2)に代入すると、下記の式 (4)が得られる。 

 また、出湯口より上部の溶湯体積V r [m 3 ]は下記の式(5)で表すことができる。

ここで、面積A s [m 2 ]は、図3に示す出湯口水平面からの高さh s [m]における溶湯水平面積を示す。

また、面積A s [m 2 ]を出湯口水平面の面積A[m 2 ]と面積A[m 2 ]に対する面積変化量δA s [m 2 ]に分割すると、溶湯体積V r [m 3 ]は下記の式(6)となる。

また、取鍋1を含む一般的な取鍋においては 面積変化量δA s [m 2 ]は出湯口水平面の面積A[m 2 ]に対して微小であるから、下記の式(7)が得 れる。

したがって、式(6)は下記の式(8)と示すことが できる。
V r (t)≒A(θ(t))h(t) (8)
 よって、式(8)より下記の式(9)が得られる。  
h(t)≒V r (t)/A(θ(t)) (9) 

 また、ベルヌーイの定理を用いて、出湯口 り上部の溶湯高さh[m]から溶湯流量q[m 3 /s]までを下記の式(10)で示す。

ここで、h b [m]は図4に示すように取鍋1内の溶湯の上面か の溶湯深さ、L f [m]は溶湯深さh b [m]における出湯口の幅、cは流量係数、gは重 加速度をそれぞれ示す。

また、式(4)、式(9)および式(10)より注湯流 モデルの基礎式は下記の式(11)および式(12)と なる。

また、出湯口に対する水平面の面積A(θ)[m 2 ]は取鍋1の傾動角度θ[deg]に対して変動する。 したがって、式(11)および式(12)の注湯流量モ ルは、システム行列、入力行列および出力 列が取鍋1の傾動角度に依存して変動する非 線形パラメータ変
動モデルとなる。

図5は本自動注湯装置の第1実施例における注 プロセスのブロック線図を示し、図5におい て、モータモデルは下記の式(16)の1次遅れ系 示される。
 dω(t)/dt=-ω(t)/T m +K m u(t)/T m    (16) 
ここで、T m [s]は時定数、K m [deg/sV]はゲイン定数をそれぞれ示す。本自動 湯装置ではT m =0.006[s]、K m =24.58[deg/sV]である。

また、ロードセルの動特性を考慮してロード セルP L を下記の式(17)で示す。
dw L /dt=-w L (t)/T L +w(t)/T L    (17)
ここで、w[Kg]は取鍋1から流出した液体の流出 重量、w L [Kg]はロードセルで計測される計測重量、T L [s]はロードセルの応答遅れを示す時定数であ る。本自動注湯装置ではステップ応答法によ り時定数を同定した結果、T L =0.10[s]となった。

式(11)および式(12)に示す注湯流量モデルにお て、図6は取鍋1の各傾動角度θ[deg]に対する 湯口面積水平A(θ)[m 2 ]と出湯口下部の溶湯(液体)体積V s (θ)[m 3 ]を示す。図6において、(a)は取鍋1の傾動角度 θ[deg]に対する出湯
口面積水平A(θ)[m 2 ]、(b)は取鍋1の傾動角度θ[deg]に対する出湯口 下部の溶湯(液体)体積V s (θ)[m 3 ]を示す。

次に、上述のようにして求めた注湯流量モデ ルを用いて、逆モデルによる注湯流量フィー ドフォワード制御を構築する。
なお、フィードフォワード制御とは、制御対 象に加える操作量を予め決められた値に調節 することにより、出力が目標値になるように する制御法であって、制御対象の入出力関係 や外乱の影響などが明確な場合には性能の良 い制御を行うことができる。

図7は、所望の注湯流量パターンq ref [m 3 /s]を実現するためサーボモータ2へ印加する 御入力u[V]を導出するシステムにおける制御 のブロック線図を示す。ここで、サーボモ タ2の逆モデルPm -1 は下記の式(18)により示される。

式(11)および式(12)に示す注湯流量モデルの基 式に対する逆モデルを導出する。ベルヌー の定理である式(10)より出湯口上部の溶湯高 さh[m]に対する注湯流量q[m 3 /s]を求めることができる。取鍋1の形状から えられる出湯口上部の最大溶
湯高さh max [m]をn分割したときの分割幅をδh[m]とし、各 の溶湯高さをh i =iδh(i=0、…n)で示す。したがって、溶湯高さh =[h 0 h 1 …h n ] T に対
する注湯流量q=[q 0 q 1 …q n ] T を下記の式(19)に示す。
q=f(h) (19)
ここで、関数f(h)は式(10)に示すベルヌーイの 理である。したがって、式(19)の逆関数は下 記の式(20)となる。
h=f -1 (q)   (20)

この式(20)は式(19)をLookup Tableで表現し、入出 力関係を逆にすることで表すことができる。
ここで、分割間隔q i →q i+1 、h i →h i+1 は線形補間により近似する。分割幅が小さい ほど、高精度に注湯流量q[m 3 /s]と出湯口上部の溶湯高さh[m]の関係を表現 きる。実装可能な範囲で分割幅を小さくす ことが望まれる。

所望の注湯流量パターンq ref [m 3 /s]を実現する出湯口上部の溶湯高さh ref [m]は式(20)より下記の式(21)となる。
h ref (t)=f -1 (q ref (t))   (21)

また、出湯口上部の溶湯高さh ref [m]における出湯口上部の溶湯体積V ref [m 3 ]は、式(9)を用い下記の式(22)で示す。
V ref (t)=A((θ(t))h ref (t)   (22)

次に、式(22)で得られた出湯口上部の溶湯体 V ref [m 3 ]と所望の注湯流量パターンq ref [m 3 /s]を、式(11)の注湯流量モデルの基礎式に代 して、下記の式(23)に示す所望の注湯流量パ ーンを実現する取鍋1の傾動角速度ω ref [deg/s]を導出する。

まず、式(19)から式(23)を順に解き、得られた 鍋1の傾動角速度ω ref [deg/s]を式(18)に代入することにより、所望の 湯流量パターンq ref [m 3 /s]
を実現すべくサーボモータ2へ印加する制御 力u[V]を得ることができる。

式(22)より得られた出湯口上部の溶湯体積V ref [m 3 ]と所望の注湯流量パターンq ref [m 3 /s]を式(23)に代入すると、所望の注湯流量パ ーンを実現する取鍋1の傾動角速度ω ref [deg/s]が得られる。そして、得られた取鍋1の 動角速度ω ref [deg/s]を、式(18)のサーボモータ2の逆モデルに 代入すると、サーボモータ2へ印加する制御 力u[V]を得ることができる。

式(11)、式(12)および式(17)に示す取鍋傾動式注 湯装置の注湯プロセスに対して、図5は、注 流量数理モデルの逆モデルによる注湯流量 ィードフォワード制御と、ゲインスケジュ ルドPI制御による注湯流量フィードバック制 御を併合した2自由度制御システムを示す。
そして、フィードバック部は、ロードセルに よって計測される鋳込み重量から拡張カルマ ンフィルタに基づく指数減衰型オブザーバを 用いて、注湯流量を推定し、この推定した注 湯流量をゲインスケジュールドPI制御器で処 することで、外乱要素が存在する環境下で 所望の注湯流量パターンに追従させる注湯 量制御システムを構築する。

フィードフォワード部は目標値追従を良好 にし、フィードバック部は定常誤差および外 乱の影響を除去する役割をもつ。また、(11) (12)式の注湯流量モデルは、注湯流量に対し 非線形特性を持つため、非線形特性にも対 できるよう、フィードバックコントローラ 、注湯流量に応じて、比例ゲインと積分ゲ ンが変動するゲインスケジュールドPI制御 を用いている。

上述の注湯流量2自由度制御システムを、 象液体を水とした取鍋傾動式自動注水装置 適用した際の実験結果を図8に示す。ここで 本実験における外乱要素は、事前に取鍋内 体容量から求めた出湯開始角度より、+2[deg] 傾動した際に取鍋内の液体が流出を開始する 角度誤差とした。

図8において、破線は目標注水流量パター であり、実線は、本発明による注湯流量2自 度制御システムにて実験を行った注水流量 結果であり、一点鎖線は、注湯流量フィー フォワード制御の注水流量の結果である。 の結果より、注湯流量2自由度制御システム では、目標注水流量パターンが変動した際に も実際の注水流量が追従でき、また、外乱要 素が存在した際にも、精度良く追従できてい ることが確認された。

次に、本自動注湯装置の第2実施例として、 記取鍋1の傾動時の重心変動に対するロード ル補償法を適用した傾動式自動注湯装置に いて述べる。上述の第1実施例の傾動式自動 注湯装置は、溶湯落下位置を安定化させるた めに、取鍋1を出湯口中心に回転するように 鍋1を傾動に合わせて上下、前後に動作して る。この取鍋1の上下動による取鍋1の重心 動により、上下方向に力が生じ、ロードセ によって計測される鋳込み重量へ影響を与 る。これにより、真の鋳込み重量を得るこ ができなくなる。そこで、本第2実施例の傾 式自動注湯装置では、ロードセルによる計 注湯鋳込み重量を用いて注湯流量推定を行 うが、取鍋1の重心変動によって推定精度が 低下する。そこで,高精度推定を可能とする めに、取鍋1の重心変動によるロードセルへ 影響を除去するロードセル補償法を構築す 。図9にロードセル補償法のブロック線図を 示す。ここで、G Mv は取鍋重力方向動作のモータモデル、G Lv は重力方向加速度からロードセルへの影響ま でを表したロードセルモデルである。

ロードセル補償法で用いるロードセルモデル は式(27)に示すような二次遅れ系、垂直方向 モータモデルは式(26)に示す一次遅れ系のモ ルを用いる。K mz [mV/s]はモータゲイン、T mzs [s]はモータ時定数、K l [kgs 2 /m]はロードセルゲイン、ω nl [rad/s]はロードセル固有振動数、ζ l はロードセル減衰係数である。ここで、同定 実験の結果K mz =0.0828[m/sV]、T mz =0.007[s]となった。
G Mv (s)=K mz /(1+T mzs )             (26)
G Lv (s)=K l ω nls /(s 2 +2ζ l ω nl 2 nl )    (27)

また、ロードセルモデルのパラメータは、K l =0.184、ω nl =0.750、ζ l =7.44となった。ロードセル補償法を用いてロ ドセルにより計測された計測鋳込み重量か 、取鍋1の上下動加速度により励起された力 の除去したときの結果を図10に示す。実験結 より、シミュレーションの鋳込み重量と補 結果が一致している。したがって、このロ ドセル補償法を流量推定システムに適用す ことにより、より高性能な注湯流量推定が 能となる。

次に、注湯流量推定方法について述べる。
拡張カルマンフィルタに基づいた指数減衰型 オブザーバについて説明すると、離散時間系 の拡張カルマンフィルタ[文献:K.Reif,R.Unbehauen, The Extended Kalman Filteras an Exponential Obserber  for Nonlinear Systems,IEEE,Transactions on Signal Proce ssing,Vol.47,No.8,(1999),pp.2324-2328.]を用いて,指数 衰型オブザーバの構築を行なう。以下にア ゴリズムを示す。対象とするシステムを式(2 8)、(29)に示す。
z n+1 =f(z n ,x n )    (28)
y n =h(z n )       (29)
ここで、n∈N 0 は離散時間、z n ∈R q 、x n ∈R q 、y n ∈R m はそれぞれ、状態変数、入力、出力である。 また、関数f、hはC 1 関数であると仮定する。式(28)、(29)により、 ブザーバは式(30)、(31)となる。ここで、オ ザーバゲインKnは時変のq×m行列である。

また,推定された状態量

はそれぞれ、priori estimate、posteriori estimateと 呼ばれる。

このとき、オブザーバゲインKnを拡張カル ンフィルタのカルマンゲイン更新アルゴリ ムを用いて更新する。拡張カルマンフィル のカルマンゲインの更新アルゴリズムを式( 32)~(38)に示す。ここで、Qはq×q正定対称行列 Rはm×m正定対称行列、α≧1の実数である。

Q、Rはそれぞれ拡張カルマンフィルタでは、 ステムノイズ、観測ノイズの共分散行列を 味している。また、αは収束の度合いを調 するパラメータである。α=1のとき、拡張カ マンフィルタとなる。
以上の拡張カルマンフィルタの更新アルゴリ ズムを用いたオブザーバは、指数減衰型オブ ザーバとなることが文献[K.Reif,R.Unbehauen,The Ex tended Kalman Filteras an Exponential Obserber for No nlinear Systems,IEEE,Transactions on Signal Processing,V ol.47,No.8,(1999),pp.2324-2328.]により証明されてい 。

次に、この離散時間型拡張カルマンフィルタ を用い,注湯流量推定システムの構築を行う 前記取鍋1の傾動角速度からロードセルによ 計測注湯鋳込み重量までのシステムを考え 。まず、連続時間系の注湯システムである (11)、(12)、(16)、(17)の微分方程式を差分方程 式へと変換する。求めた差分方程式を式(39) (40)に示す。
ここで、t=nk s ,t s [s]はサンプリング時間、nはサンプリング番 n=1、2、3、・ ・ ・とする。

y(n)=w l (n)    (40)
a f 、b f は式(41)、式(42)で示される。

b f (n)=-∂V s (θ(n))/∂θ(n)  (42)
である。

式(39)、式(40)のシステムモデルに対して、指 減衰型オブザーバを構築する。
式(39)、式(40)を式(30)、式(31)で表現すると式(4 3)~式(46)となる。
z n =[V r (n) w(n) w l (n)] T    (43)
x(n)=ω(n)               (44)

h(z n )=w l (n)    (46)

式(47)を用いてシミュレーションより求めたw l と実際の実験結果を比較し、vの分散を求め 。傾動開始角度と流出開始角度が3[deg]ずれ いたときまでの推定が可能であることを目 とする。そこで、3[deg]の初期角度のずれを ステムノイズとすることで,初期角度のずれ 考慮した注湯流量推定システムを設計する 図10に3[deg]ずれた時の実験結果とシステム イズを考慮した式(47)より得られるw l を示す。各システムノイズの分散は、3[deg]ず れた時の流出重量の結果に近づくように、σv q =1.0×10 -10 [m 6 /s 2 ]、σ vw =1.0×10 -12 [m 6 ]、σ vwl =1.0×10 -12 [m 6 ]とした。図11に示すように、システムノイズ を付加することにより、シミュレーションで の鋳込み重量が、3[deg]の初期角度ずれが生じ た時の実験結果に近づいていることが確認で きる。

これより、システムノイズの共分散行列Q 式(48)とする。

構築した離散時間系拡張カルマンフィルタを 用いた指数減衰型拡張オブザーバにより注湯 流量を推定する。推定シミュレーション、お よび推定実験結果を図12に示す。このときの ブザーバゲインを図13に示す。ここで、オ ザーバゲインをK n =[K q  K w  K wl ] T とする。推定シミュレーションおよび実験結 果より、精度の高い推定が可能であることが 確認できる。

また、鋳造工場において、取鍋1内に溶湯 供給する場合、手作業により行なわれてい 。そのため、所望の容量だけ正確に注ぐこ は非常に困難である。よって、取鍋1から溶 が出始めるときの取鍋1の角度にばらつきが 生じてしまう。ここで、取鍋1の内重量と取 1の形状が既知であれば、この溶湯が出始め ときの角度は計算により求めることができ が、取鍋1の内部は手作業で成形されており 、正確な形状を得ることができず、溶湯流出 開始角度は得ることは困難である。そこで、 所望の注湯流出開始角度と実際の注湯流出開 始角度がずれてしまう。したがって、取鍋傾 動開始角度と注湯流出開始角度にずれが生じ た場合の注湯流量推定実験を行う。

それぞれ初期角度26[deg]から1、3、5[deg]のず れが生じた場合の注湯流量推定結果を図14に す。図14に示すように、3[deg]以上のずれが じた場合、初期の推定誤差は大きくなるが それ以降の注湯流量推定は可能であること 確認され、高精度に注湯流量を推定可能で ることが確認される。実際の鋳造工場では 計算された取鍋の出湯開始角度と実際の出 開始角度との誤差は2[deg]程度であることか 、実際の運用においても注湯流量の推定精 は高いことが確認された。拡張カルマンフ ルタを用いたオブザーバはシステムノイズ 観測ノイズを設定するだけで、オブザーバ インをシステマチックに得ることが可能で る。また、システムノイズの共分散行列を 作することにより、ある程度外乱が生じた 合でも所望の状態量を推定することが可能 ある。

なお、本自動注湯装置の第2実施例におい は、取鍋1の重心変動によるロードセルへの 響を除去するロードセル補償法を構築する してあるが、このロードセルは、溶湯およ 取鍋の静止重量と、これらの上下動による 速度によって励起される力と、を同時に測 可能ならどの場所に設けても良く、例えば 取鍋を搭載して上下方向および水平方向へ 動させる移動部材に設けてもよい。

本発明を適用した自動注湯装置の一実 例を示す模式図である。 図1の自動注湯装置における取鍋の縦断 面図である。 図2における要部拡大詳細図である。 取鍋の注湯口先端の斜視図である。 本自動注湯装置の第1実施例における注 湯プロセスのブロック線図である。 取鍋1の各傾動角度θ[deg]に対する出湯口面積 平A(θ)[m 2 ]と出湯口下部の溶湯(液体)体積V s (θ)[m 3 ]を示すグラフである。 注湯流量フィードフォワード制御系の ロック図である。 注湯流量2自由度制御システムを対象液 体を水とした取鍋傾動式自動注水装置へ適用 した際の実験結果を示すグラフである。 ロードセル補償法のブロック線図であ 。 ロードセル補償法を用いた計量鋳込み 重量を示すグラフである。 システムノイズを伴う注湯シミュレー ションを示すグラフである。 離散時間系拡張カルマンフィルタを用 いた指数減衰型拡張オブザーバにより流量を 推定した推定シミュレーション,および推定 験結果を示すグラフである。 図12におけるオブザーバゲインを示す ラフである。 注湯出湯開始初期角度の誤差が生じた 場合の注湯流量推定結果を示すグラフである 。