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Title:
BALL BEARING FOR CLUTCH RELEASE BEARING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093400
Kind Code:
A1
Abstract:
A ball bearing for a clutch release bearing device, which is capable of effectively preventing the internal pressure in the device from excessively rising while having a high sealing performance and enabling lowering of a torque. The ball bearing (10) is incorporated in the clutch release bearing device (1) interposed between an engine and a transmission. The ball bearing comprises an inner ring (11) and an outer ring (12) so installed as to be capable of rotating relative to each other through balls (13), and seal members (15, 16) for sealing the annular space formed between both rings (11, 12). The inner diameter end part (15b) of the first seal member (15) is slidably and axially brought into contact with the inner ring (11), more specifically, a first flange part (11b) formed at the engine side one end of the inner ring (11).

Inventors:
KATAYAMA YASUYUKI (JP)
INOUE SEIYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073280
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
December 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
KATAYAMA YASUYUKI (JP)
INOUE SEIYA (JP)
International Classes:
F16D23/14; F16C19/16; F16C33/78
Foreign References:
JP2006189086A2006-07-20
JP2006009932A2006-01-12
JP2004176782A2004-06-24
JP2007332979A2007-12-27
JPH07293571A1995-11-07
JP2006266293A2006-10-05
JP2006207619A2006-08-10
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Hideyoshi et al. (15-26 Edobori 1-chome,Nishi-k, Osaka-shi Osaka 02, JP)
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Claims:
 車両に搭載され、エンジンとトランスミッションとの間に介在するクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受であって、ボールを介して相対回転可能に設けられた外輪および内輪と、両輪間に形成される環状空間を密封するシール部材とを備えるものにおいて、
 前記シール部材は、その径方向一端部が一方の輪に対して取付固定され、その径方向他端部が他方の輪に対して摺動可能にアキシャル接触されていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記一方の輪が外輪で、前記他方の輪が内輪である請求項1記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記内輪の軸方向一端に径方向内側に延在する鍔部を設け、この鍔部に、前記シール部材の径方向他端部を摺動可能にアキシャル接触させた請求項2記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記内輪の軸方向一端に段差部を設け、この段差部に、前記シール部材の径方向他端部を摺動可能にアキシャル接触させた請求項2記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記シール部材のうち、少なくとも前記他方の輪に対して摺動可能にアキシャル接触する部分がニトリルゴムで形成された請求項1記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記シール部材の径方向他端部の他方の輪との摺接面に、径方向に延びる凹部を設け、この凹部を介して軸受内外を連通可能とした請求項1記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 前記一方の輪のエンジン側一端に、径方向に延在してクラッチ装置の回転部材と摺接する摺接部が設けられ、この摺接部に隣接して前記シール部材の径方向一端部が取付固定された請求項1に記載のクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 車両に搭載され、エンジンとトランスミッションとの間に介在するクラッチレリーズ軸受装置の玉軸受であって、ボールを介して相対回転可能に設けられた外輪および内輪と、両輪間に形成される環状空間を密封するシール部材とを備えるものにおいて、
 前記シール部材は、その径方向一端部が一方の輪に対して取付固定され、その径方向他端部が、他方の輪の軸方向一端に設けた段差部との間にラビリンスシールを形成することを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置用玉軸受。
 固定体と、固定体との間に形成される容積可変チャンバの容積変動により固定体に沿って軸方向移動可能に設けられた可動体とを備え、可動体に、請求項1~8の何れか一項に記載の玉軸受が設けられたクラッチレリーズ軸受装置。
Description:
クラッチレリーズ軸受装置用玉 受

 本発明は自動車をはじめとする車両のク ッチ装置に組み込まれるクラッチレリーズ 受装置用の玉軸受に関する。

 クラッチレリーズ軸受装置は、マニュア トランスミッション車のエンジンとトラン ミッションとの間に配設され、クラッチペ ルの操作に伴って軸方向移動し、クラッチ ON/OFFを切り替えるものである。この種のク ッチレリーズ軸受装置には、例えば図8に示 すような玉軸受が組み込まれる。同図に示す 玉軸受100は、転動体(ボール)104を介して相対 転可能に設けられた内輪101および外輪102を え、外輪102のエンジン側一端には、径方向 側に延在して、クラッチ装置の回転部材(以 下、ダイヤフラムスプリングと言う)130と摺 接触する摺接部103が設けられている。両輪10 1,102間に形成される環状空間の両端開口部に 、シール部材105,105がそれぞれ配設され、こ れにより環状空間に充填したグリースの外部 漏洩や、環状空間への異物侵入が可及的に防 止される(例えば、特許文献1を参照)。

 同図に示すシール部材105,105は、その内径側 一端が内輪101に対して接触する接触型、より 厳密に述べると、その内径端部に設けたリッ プ105aが、内輪101の外径面に対して摺動可能 接触するラジアル接触型(径方向に接触する イプ)である。

特開2006-189086号公報

 しかしながら、上記のようにシール部材 内輪に対してラジアル接触させた場合、密 性を高める上では有利である反面、軸受の 圧が上昇した際に内圧を開放するのが困難 なる。そのため、内圧の過剰な上昇を招き この内圧上昇に伴ってシール部材が環状空 から抜脱等し、グリースの外部漏洩等を招 おそれがある。かかる事態が生じると、軸 の機能低下を招き、最悪の場合には軸受と て機能しなくなる。

 また、接触型とされる両シール部材105,105 を、図8に示すような軸受内方側を開口させ 断面略コの字形状とすると、内圧上昇時に 、シール部材105のリップ105aに対して内輪101 の密着強度を高める方向の圧力が作用する そのため、内圧上昇時には、一種の吸着状 となって軸受トルク(回転トルク)が一層大 くなるという問題もある。

 本発明は上記の問題点に鑑みてなされた のであり、その課題とするところは、高い 封性を具備しつつも内圧の過剰な上昇を効 的に防止することができ、かつ低トルク化 可能であるクラッチレリーズ軸受装置用の 軸受を提供することにある。

 上記課題を解決するためになされた本発 に係るクラッチレリーズ軸受装置用の玉軸 は、車両に搭載され、エンジンとトランス ッションとの間に介在するものであって、 ールを介して相対回転可能に設けられた外 および内輪と、両輪間に形成される環状空 を密封するシール部材とを備えるものにお て、シール部材は、その径方向一端部が一 の輪に対して取付固定され、その径方向他 部が他方の輪に対して摺動可能にアキシャ 接触されていることを特徴とするものであ 。なお、「アキシャル接触」とは軸方向接 のことを意味する。

 上記のように、シール部材の径方向他端 を他方の輪に対して摺動可能にアキシャル 触させれば、これを摺動可能にラジアル接 させる場合よりも他方の輪に対する密着力 減じることができる。そのため、軸受運転 における内部温度の上昇等に伴って軸受内 が上昇しても、この上昇した内圧によって ール部材の径方向他端部を拡開させること 可能となる。これはすなわち、シール部材 他方の輪との接触状態を一時的に解消して 軸受内外を一時的に連通状態にすることが 能となることを意味する。従い、内圧が過 に上昇するのを効果的に防止し、シール部 が環状空間から抜脱するのを防止すること 、また軸受トルクが増大するのを防止する とができる。なお、内圧が低い状態では、 ール部材の径方向他端部と上記他方の輪と 常時アキシャル接触しているから、密封性 低下するような事態は効果的に防止される

 ところで、軸受トルクはシール部材に加 るトルクに比例して増減し、シール部材に わるトルクは、シール部材の反力×シール 材の摺動径で表すことができる。なお、こ でいう「シール部材の摺動径」とは、軸受 回転中心と、シール部材の他方の輪に摺接 る部位(径方向他端部)との径方向離間距離で ある。この公式からも明らかなように、シー ル部材の摺動径が大きくなるにつれて、シー ル部材に加わるトルクが大きくなる。この場 合、軸受トルクがダイヤフラムスプリングに 対する当該軸受の接触圧よりも大きくなって 、軸受とダイヤフラムスプリングの接触部位 で滑りが生じるおそれがある。このような滑 りが生じると、動力伝達を円滑に行うことが 難しくなるおそれがある。

 かかる事態を鑑みると、上記本発明の構 は、上記一方の輪が外輪で、上記他方の輪 内輪である場合、換言すると、シール部材 外周端部を外輪に対して取付固定し、シー 部材の内周端部を内輪に対して摺動可能に キシャル接触させる場合に特に好適である この場合、内輪に対するシール部材の接触 置をラジアル接触させる場合に比べて内径 に変位させることができるので、シール部 の摺動径を従来よりも短縮して、シール部 に加わるトルク、ひいては軸受トルクを低 することができるからである。

 このとき、内輪の軸方向一端に径方向内 に延在する鍔部を設け、この鍔部に、シー 部材の径方向他端部(内径端部)を摺動可能 アキシャル接触させれば、かかる鍔部を設 ない場合に比べてシール部材を内径側に延 すことができる。そのため、シール部材の 動径を一層短縮して、シール部材に加わる ルク、ひいては軸受トルクを一層低減する とが可能となる。

 上記他方の輪を内輪とした場合、内輪の 方向一端に段差部を設け、この段差部に、 ール部材の径方向他端部(内周端部)を摺動 能にアキシャル接触させても良い。

 以上の構成において、シール部材のうち 少なくとも上記他方の輪に対して摺動接触 る部分は、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)や耐 熱ニトリルゴム等、耐水性や耐摩耗性に富む ニトリルゴムで形成するのが望ましい。安定 した密封性を確保することができるためであ る。

 シール部材の径方向他端部の他方の輪と 摺接面には、径方向に延びる凹部を設け、 の凹部を介して軸受内側を連通させること できる。このようにすれば、密封性の低下 無視可能な程度の微小なものとしつつ、軸 トルクが増大したり、内圧が過剰に上昇し りするのを一層効果的に防止することが可 となる。なお、凹部の形成態様(断面形状、 形成箇所数等)は、密封性を考慮して任意に 択すれば良い。

 前記一方の輪のエンジン側一端には、径 向に延在してクラッチ装置の回転部材(ダイ ヤフラムスプリング)と摺接する摺接部を設 ることができ、この摺接部に隣接してシー 部材の径方向一端部を取付固定すれば、内 が上昇した場合であっても、摺接部によっ 当該シール部材が軸受外方側(エンジン側)へ 移動するのを規制することができる。これに より、シール部材の径方向一端部を嵌合する 嵌合溝等を設けずとも、安定した密封性を確 保することができるので、外輪又は内輪の形 状を簡略化して、その製造コストを低廉化す ることが可能となる。

 また、上記課題を解決するための他の構 として、本発明では、車両に搭載され、エ ジンとトランスミッションとの間に介在す クラッチレリーズ軸受装置の玉軸受であっ 、ボールを介して相対回転可能に設けられ 外輪および内輪と、両輪間に形成される環 空間を密封するシール部材とを備えるもの おいて、シール部材は、その径方向一端部 一方の輪に対して取付固定され、その径方 他端部が、他方の輪の軸方向一端に設けた 差部との間にラビリンスシールを形成する とを特徴とするクラッチレリーズ軸受装置 玉軸受を提供する。

 このように、シール部材の径方向他端部 、他方の輪の軸方向一端に設けた段差部と 間にラビリンスシールを形成するようにす ば、従来に比べて軸受トルクを低減しつつ 、高い密封性を確保することができる。

 以上に示した本発明の構成は、ダイヤフ ムスプリングと摺動接触する摺接部を有す 一方の輪が、外輪又は内輪の何れであって 採用可能である。

 以上に示す本発明に係るクラッチレリー 軸受装置用玉軸受は、例えば、固定体と、 定体との間に形成される容積可変チャンバ 容積変動により固定体に沿って軸方向移動 能に設けられた可動体とを備え、該可動体 玉軸受が設けられるタイプ、簡単に述べる 油圧駆動式のクラッチレリーズ軸受装置に み込んで好適に使用可能である。

 以上のように、本発明によれば、高い密 性を具備しつつも内圧が過剰に上昇するの 効果的に防止することができ、かつ低トル 化が可能なクラッチレリーズ軸受装置用玉 受を提供することができる。従い、本発明 係る玉軸受は、シール部材が抜脱すること よってグリース漏れが生じたり、軸受トル が過剰に上昇したりするのを防止して、高 軸受性能を安定的に維持することが可能な のである。

 以下、本発明の実施形態を図面に基づい 説明する。

 図1は本発明に係る玉軸受を組み込んだク ラッチレリーズ軸受装置、詳細には、油圧駆 動式(「ダイレクトシリンダタイプ」とも称 れる)のクラッチレリーズ軸受装置の一例を す断面図であり、クラッチが係合している 態を示すものである。同図に示すクラッチ リーズ軸受装置1は、ギアボックスのケーシ ング50に取り付けられた固定体30と、固定体30 に対して軸方向移動可能に設けられ、固定体 30と協働して容積可変チャンバ40を形成する 動体20とで主要部が構成される。容積可変チ ャンバ40には図示しない制御用油圧発生器が 続され、チャンバ40内には制御流体として オイルが充満されている。なお、図中左側 エンジン側、図中右側がトランスミッショ 側であるが、以下では図中左側をフロント 、図中右側をリア側と言う。

 固定体30は、リア側一端に容積可変チャ バ40の底部を構成するラジアルエッジ34が設 られたガイドチューブ33と、内径面に設け 溝部32にラジアルエッジ34の外径側一端を嵌 した略円筒状の外側本体31とで主要部が構 される。

 可動体20は、ピストン支持チューブ21を介 してガイドチューブ33に外嵌されたピストン2 2と、ピストン22のフロント側一端に配設され 、クラッチ装置の回転部材60(以下、これをダ イヤフラムスプリング60という)と摺動接触す る摺接部を有する玉軸受10とを主要な構成部 として備える。ピストン22は、軸方向に延 する外側円筒部22aおよび内側円筒部22bと、 円筒部をフロント側一端で接続する環状部22 cと、外側円筒部22aの基端から外径側に張り した突起部22dとを有する。ピストン22のうち 、内側円筒部22bは外側本体31の内周に挿入さ 、固定体30との間に容積可変チャンバ40を形 成し、突起部22dは、外側円筒部22aの外周に配 設された予圧スプリング24のフロント側一端 係止する役割を担う。ピストン支持チュー 21のフロント側一端はピストン22の環状部22c を若干越えて延設され、この延設部分の外径 面に形成された環状溝21aに皿ばね23が嵌合さ る。皿ばね23は、ピストン22の環状部22cと協 働して玉軸受10(の内輪11)を弾性的に支持する ためのばね力を有するものであり、玉軸受10 、皿ばね23のばね力でピストン22側に押圧さ れることによって調心が許容されるようにな っている。

 以上の構成からなるクラッチレリーズ軸 装置1において、クラッチを解除状態にする 際の各部材の挙動を簡単に説明する。まず、 図示しない油圧発生器によって容積可変チャ ンバ40内のオイルが加圧されると、容積可変 ャンバ40の容積が増大するよう、ピストン22 がフロント側に移動する。ピストン22は移動 に玉軸受10を作動させる。玉軸受10が作動す ると、ダイヤフラムスプリング60にはスラス 力が付加され、これによりクラッチが解除 れる。

 以下、本発明の要旨である玉軸受10につ て詳述する。図示例の玉軸受10は、詳細には アンギュラ玉軸受であり、図2にも拡大して すように、複数の転動体(ボール)13を介して 対回転可能に設けられた内輪11および外輪12 と、両輪間に組み込まれ、ボール13を円周方 所定間隔で保持する保持器14と、両輪11,12間 に形成される環状空間のフロント側開口部お よびリア側開口部をそれぞれ密封する第1お び第2シール部材15,16とを備える。両輪11,12間 に形成される環状空間には潤滑剤としてのグ リースが充満される。なお、図示例の玉軸受 10は、内輪11が静止側、外輪12が回転側を構成 する外輪回転タイプの軸受である。

 内輪11は、鋼板のプレス成形品とされ、 方向に延びる略円筒状をなし、外径面にボ ル13の転動面11a1が形成された筒状部11aと、 状部11aの一端(フロント側一端)から径方向内 側に延び、先端部がピストン22の環状部22cと ばね23との間に介在する第1鍔部11bとを一体 有する。第1鍔部11bのリア側端面11b2は、こ が当接するピストン22の環状部22cの端面形状 に対応する形で、軸線と直交する方向の平坦 面に形成される。

 外輪12は、内輪11同様に鋼板のプレス成形 品とされ、軸方向に延びる略円筒状をなし、 内径面にボール13の転動面12a1が形成された筒 状部12aと、筒状部12aのフロント側一端から径 方向内側に延びる摺接部19とを一体に有する 筒状部12aの内径面のうち、両シール部材15,1 6が固定される領域は軸線と平行な円筒面12a2 形成される。摺接部19は、外側本体31とピス トン22のフランジ部22dとの間で作用する予圧 プリング24によってダイヤフラムスプリン 60に常時当接しており、その断面形状は、ダ イヤフラムスプリング60と線接触(断面図では 点接触)するように、フロント側に突出した 円弧状とされる。

 内輪11および外輪12形成用の鋼板としては 、例えば浸炭鋼板を使用することができる。 使用可能な浸炭鋼として、ニッケルクロム鋼 (SNC)、ニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM)、ク ム鋼(SCr)、クロムモリブデン鋼(SCM)などが挙 げられる。内輪11および外輪12の双方をプレ 成形品とすればコスト上有利であり望まし が、内輪11および外輪12の何れか一方又は双 は、鍛造成形品、あるいは切削等の機械加 品とすることも可能である。

 第2シール部材16は、断面略L字形状を呈す る芯金17と、この芯金17表面を被覆するよう 加硫接着されたゴム製の被覆部18とからなり 、全体として、フロント側を開口させた断面 略コの字形状を呈する。この第2シール部材16 は、外径端部16aが外輪筒状部12aのリア側円筒 面12a2に圧入固定され、この状態で内径端部16 b(被覆部18で形成したリップ)が内輪筒状部11a 外径面にラジアル接触する。これにより、 輪11,12間に形成される環状空間のリア側開 部を封止するシール部S2が形成される。

 一方、第1シール部材15は、断面略L字形状 を呈する芯金17と、この芯金17表面を被覆す ように加硫接着されたゴム製の被覆部18とか らなり、全体として、断面略L字形状を呈す 。この第1シール部材15は、外径端部15aが外 筒状部12aのフロント側の円筒面12a2に圧入固 される。すなわち、第1シール部材15の外径 部15aは、摺接部19に隣接して取付固定され この状態で内径端部15b(被覆部18で形成され リップ)が内輪11の第1鍔部11bのフロント側端 11b1にアキシャル接触する。これにより、両 輪11,12間に形成される環状空間のフロント側 口部を封止するシール部S1が形成される。

 両シール部材15,16を構成する被覆部18は、 耐摩耗性や耐水性(耐候性)に富む水素添加ニ リルゴム(H-NBR)や耐熱ニトリルゴム等のニト リルゴムで形成される。もちろん、上記特性 を具備するその他のゴム材料、例えば、ポリ アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM) 、フッ素ゴム(FKM)等で被覆部18を形成するこ も可能である。

 以上に示す構成からなる玉軸受10では、 状空間のフロント側開口部をシールするシ ル部S1が、第1シール部材15の内径端部15bを内 輪11に対してアキシャル接触させることによ て形成されることから、内径端部15bを内輪1 1に対してラジアル接触させる場合よりも内 11に対する密着力を減じることができる。そ のため、軸受運転による軸受温度の上昇に伴 って軸受内圧が上昇しても、この上昇した内 圧によって第1シール部材15の内径端部15bを拡 開させることが可能となる。これはすなわち 、第1シール部材15と内輪11との接触状態を一 的に解消して、軸受内外を一時的に連通状 にすることが可能であることを意味する。 い、内圧が過剰に上昇するのを効果的に防 して、第1および第2シール部材15,16の何れか 一方又は双方が環状空間から抜脱するのを効 果的に防止することが、また軸受トルクが増 大するのを防止することができる。

 このように、両シール部材15,16の抜脱を 止することができることから、シール部材 取付固定される外輪12の内径面に、シール部 材の外径端部を嵌合固定するための溝(嵌合 )を設ける必要がない。従って、外輪12を、 状部12aの内径面が円筒面状に形成されたプ ス成形品とすることができ、その製造コス を低廉化することができる。特に、上記の うに、第1シール部材15の外径端部15aを、外 12のフロント側一端に設けた摺接部19に隣接 て取付固定すれば、軸受の運転等に伴って 圧が上昇した場合であっても、第1シール部 材15の軸受外方側への移動を外輪12の摺接部19 で規制することができる。以上の構成から、 所期の軸受性能を安定的に維持することがで きる。

 また、本実施形態のように第1シール部材 15の内径端部15bを、内輪11、特に径方向内側 延設した内輪11の第1鍔部11bに対してアキシ ル接触させれば、第1シール部材15の摺動径 つまり、第1シール部材15の内径端部15bと軸 10の回転中心(軸受装置1の軸中心)との径方向 離間距離A(図1を参照)を、第1シール部材15の 径端部を内輪11に対してラジアル接触させる 場合(図8を参照)よりも大幅に短縮することが できる。上述したように、シール部材に加わ るトルクは、シール部材の摺動径に比例して 増減することから、この場合、第1シール部 15に加わるトルク、ひいては軸受トルクを低 減させることができる。

 このように、軸受運転時における軸受ト クが低減されると、軸受トルクが、摺接部1 9とダイヤフラムスプリング60との当接部にお ける接触圧よりも大きくなるような事態を可 及的に防止することができるため、摺接部19 ダイヤフラムスプリング60との間で滑りが じにくくなる。従い、玉軸受10とダイヤフラ ムスプリング60との間での円滑な動力伝達が 能になり、クラッチレリーズ軸受装置1の機 能向上を図ることが、また、玉軸受10の損傷 防止することができる。

 また、本実施形態では、エンジン(図示省 略)と玉軸受10との間にスペースを確保するこ とができるため、シール部材15,16において、 述したスペースが確保できる側のシール部 、つまり第1シール部材15の内径端部15bと内 11とをアキシャル接触させる。このため、 輪15にシール部材17をアキシャル接触させる めの構造(本実施形態では内輪鍔部20)を設け る作業が容易になる。

 なお、軸受内圧が低い状態では、第1シー ル部材15の内径端部15bと内輪11とは常時アキ ャル接触しているから、環状空間のフロン 側開口部の密封性が低下するような事態は 果的に防止される。

 以上、本発明の一実施形態について説明 行ったが、本発明はこれに限定されない。 下、本発明の他の実施形態について図面に づいて説明を行うが、以上で説明したもの 異なる部位を中心に説明を行い、共通する 材や構成についての説明は省略する。

 図3は、本発明の第2実施形態に係る玉軸 10を組み込んだクラッチレリーズ軸受装置10 断面図、図4は、本発明の第2実施形態に係 玉軸受10を拡大して示す断面図である。同図 に示す玉軸受10は、内輪11の筒状部11aのフロ ト側一端に段差部11dを設け、この段差部11d 第1シール部材15の内径端部15bをアキシャル 触させた点において、以上で説明したもの 構成を異にしている。かかる構成を採用す 場合における作用効果は、図1および図2に示 す第1の実施形態と共通するから、詳細な説 を省略する。

 図5は、本発明に係る玉軸受10の第3実施形 態を示すものである。同図に示す玉軸受10は 同図の拡大図中に示すように、第1シール部 材15の内径端部15bのうち、内輪11の端面11b1と 摺接面に、内径端部15bの内外に開口した径 向に延びる凹部(スリット)15b1が設けられ、 の凹部15b1が設けられた周方向領域で内径端 部15bと内輪11の第1鍔部11bとが非接触とされた 点、および内輪11のリア側一端に、径方向外 に延びて第2シール部材16と軸方向の間隙を して対峙する第2鍔部11cを一体に設けた点に おいて図2に示す玉軸受と構成を異にしてい 。

 上記のような凹部15b1を設けることで、こ の凹部15b1を介して軸受内外が連通可能とな 。そのため、第1シール部材15の内径端部15b 内輪11の端面11b1に、また、第2シール部材16 内径端部16bが内輪11の外径面(円筒面)に吸着 して軸受内部が真空状態となり、軸受トル が増大したり、内圧が過剰に上昇したりす のを効果的に防止することができる。特に 両シール部材15,16を接触型とした本実施形 においては、高い密封性を確保することが きる反面、前述の吸着現象が生じ易いため 好適である。なお、凹部15b1が内径端部15bに める領域は微小であるから、これを設けた とによる密封性の低下は考慮せずとも足り 。

 また、内輪11のリア側一端に、径方向外 に延びる第2鍔部11cを一体的に設けておけば 外輪12の円筒面12a2に外径端部16aが圧入固定 れた第2シール部材16の抜脱も効果的に防止 ることができる。なお、第2鍔部11cは、内輪 11の筒状部11aのリア側一端に別部材を固定す ことによって構成することも可能である。 の場合、第2鍔部11cを樹脂やセラミックスで 形成して、玉軸受10、ひいてはクラッチレリ ズ軸受装置1の軽量化を図ることもできる。

 なお、この第3実施形態に適用した構成を 、図3および図4に示す第2実施形態に係る玉軸 受10に適用することももちろん可能である。

 図6は、本発明の第4実施形態に係る玉軸 10の要部を拡大して示すものである。同図に 示す玉軸受10は、図4に示す玉軸受10の変形例 あり、内輪筒状部11aのフロント側一端角部 設けた段差部11dと、第1シール部材15の内径 部15bとの間にラビリンスシール(厳密には、 径方向および軸方向のラビリンスシールS11,S1 2)を形成した点にある。このように全体とし 屈曲したラビリンスシールを形成すれば、 8に示す従来構成に比べて軸受トルクを大幅 に低減しつつも、高い密封性を確保すること ができる。

 図7は、本発明の第5実施形態に係る玉軸 10の要部を拡大して示すものである。同図に 示す玉軸受10は、図6に示す玉軸受10の変形例 ある。詳細には、第1シール部材15を、芯金1 7と、その表面を被覆する被覆部18とで構成す るのではなく、芯金17のみからなるいわゆる ールドとした点で図6に示す玉軸受10と構成 異にしている。

 以上で説明を行った各実施形態では、両 11,12間に形成される環状空間のリア側開口 を密封する第2シール部材16を、いわゆる接 型(ラジアル接触型)としているが、第2シー 部材16は、いわゆる非接触型とすることも可 能である(図示は省略)。この場合、第2シール 部材16を設けたリア側開口部において軸受内 が連通可能となるため、軸受内圧が高まる とによって起こり得るシール部材15,16の抜 や、軸受トルクの上昇は一層効果的に防止 ることができる。

 また、以上では、内輪11のフロント側一 に、径方向内側に延びる第1鍔部11bが設けら た玉軸受10に本発明の構成を適用した場合 ついて説明を行ったが、この種の鍔部を有 ない内輪11を構成部材とする玉軸受10に上述 た本発明の各構成を適用することも可能で る(図示は省略)。

 また、以上では、ダイヤフラムスプリン 60と摺動接触する摺接部19が外輪12(のフロン ト側一端)に設けられた玉軸受10に本発明の構 成を適用した場合について説明を行ったが、 摺接部19が内輪11のフロント側一端に設けら た玉軸受10、換言すると、内輪回転タイプの クラッチレリーズ軸受装置用玉軸受10に本発 の構成を適用することも可能である。具体 には、例えば、内輪11のフロント側一端に 方向外側に延在する摺接部19を設け、この摺 接部19に隣接して第1シール部材の内径端部を 取付固定すると共に、第1シール部材の外径 部を外輪に対してアキシャル接触させれば い(図示は省略する)。

 また、以上で説明した各実施形態では、 1シール部材15のみをアキシャル接触タイプ したが、第1シール部材15に替えて第2シール 部材16をアキシャル接触タイプとしても良い 、第1および第2シール部材15,16の双方をアキ シャル接触タイプとしても良い。

 また、以上では、本発明に係る玉軸受を 油圧プッシュタイプ(ダイレクトシリンダタ イプ)のクラッチレリーズ軸受装置に組み込 だ場合について説明を行ったが、本発明に る玉軸受は、他の駆動形式(例えば、フォー 式)のクラッチレリーズ軸受装置に組み込ん で使用することももちろん可能である。

 以上、本発明について説明を行ったが、 発明は上述した実施形態に何ら限定される のでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲 おいて、さらに種々なる形態で実施し得る とは勿論のことである。本発明の範囲は、 許請求の範囲によって示され、さらに特許 求の範囲に記載の均等の意味、および範囲 の全ての変更を含む。

本発明の第1実施形態に係る玉軸受を組 み込んだクラッチレリーズ軸受装置の全体構 成を概念的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る玉軸受の拡 大断面図である。 本発明の第2実施形態に係る玉軸受を組 み込んだクラッチレリーズ軸受装置の全体構 成を概念的に示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る玉軸受の拡 大断面図である。 本発明の第3実施形態に係る玉軸受の拡 大断面図である。 本発明の第4実施形態に係る玉軸受の拡 大断面図である。 本発明の第5実施形態に係る玉軸受の拡 大断面図である。 従来構成のクラッチレリーズ軸受装置 玉軸受の一例を概念的に示す断面図である

符号の説明

 1   クラッチレリーズ軸受装置
 10  (クラッチレリーズ軸受装置用)玉軸受
 11  内輪
 11b 第1鍔部
 11c 第2鍔部
 11d 段差部
 12  外輪
 13  ボール
 14  保持器
 15  第1シール部材
 15a 外径端部
 15b 内径端部
 15b1 凹部
 16  第2シール部材
 19  摺接部
 20  可動体
 30  固定体
 40  容積可変チャンバ
 60  ダイヤフラムスプリング(クラッチ装置 の回転部材)
 S1,S2  シール部
 S11,S12  ラビリンスシール