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Patent Searching and Data


Title:
BASE FILM FOR HYDRAULIC TRANSFER PRINTING AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075202
Kind Code:
A1
Abstract:
A base film for hydraulic transfer printing which is a polyvinyl alcohol film for hydraulic transfer printing having a thickness of 20-50 µm. In the film, film surfaces in an area (S1) ranging from one width-direction edge of the film to 30% of the whole width and in an area (S2) ranging from the other edge to 30% of the whole width each has a percentage deflection (T) (%) of 3% or lower. Due to the constitution, this base film for hydraulic transfer printing has satisfactory suitability for design printing and is extremely useful as a base film for hydraulic transfer printing.

Inventors:
MIZUTANI TOMOYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071870
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
MIZUTANI TOMOYOSHI (JP)
International Classes:
B44C1/175; C08J5/18
Foreign References:
JP2005060636A2005-03-10
JP2007009056A2007-01-18
Attorney, Agent or Firm:
SAITOH, Yukihiko et al. (2-7 Minamimorimachi 2-chome,Kita-ku, Osaka-shi, Osaka, JP)
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Claims:
 膜厚20~50μmの液圧転写印刷用ポリビニルアルコール系フィルムにおいて、フィルムの幅方向に対して、一方の端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)がそれぞれ3%以下であることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルム。
 フィルムの幅方向に対して、一方の端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )以外の他の領域(S 3 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)が3%以下であることを特徴とする請求項1記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
 ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする製膜原料の水分散液を製膜し、フィルムの幅方向に対して、一方の端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)がそれぞれ3%以下である、膜厚20~50μmの液圧転写印刷用ベースフィルムを製造するにあたり、ケイ素含有量が5ppm以下の水を用いることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
 フィルムの幅方向に対して、一方の端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )以外の他の領域(S 3 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)が3%以下であることを特徴とする請求項3記載の液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
 ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする製膜原料の水分散液を製膜し、液圧転写印刷用ベースフィルムを製造するにあたり、ケイ素含有量が5ppm以下の水を用いることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルムの製造方法。
Description:
液圧転写印刷用ベースフィルム よびその製造方法

 本発明は、液面、とりわけ水面に浮かべ 使用し、フィルム面に印刷された意匠を被 写体に対して円滑に転写することのできる 圧転写印刷用ベースフィルムおよびその製 方法に関するものである。

 従来から、水圧転写印刷用ベースフィル としては、ポリビニルアルコール系樹脂を 成材料とするポリビニルアルコール系樹脂 ィルムが用いられている。そして、上記ポ ビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて つぎのようにして水圧転写方法に供されて る。すなわち、上記ポリビニルアルコール 樹脂フィルム面に所望の意匠を印刷し、上 意匠印刷面を上方にして水面に浮かべ、フ ルム上方から被転写体を意匠印刷面に押し てて被転写体に意匠を転写させることが行 れている。

 このような水圧転写方法において、例えば ベースフィルムとして、重合度500~3000、ケ 化度80~99.9モル%のポリビニルアルコールから なり、水分率が1.5~4.0%であり、厚みが20~50μm フィルムの長手方向に50℃で8.0kg/mの張力を1 間かけた時の幅収縮率が0.01~1.5%であるポリ ニルアルコール系樹脂フィルムを用いるこ により、高精細な転写印刷を可能とするこ が開示されている。そして、上記ポリビニ アルコールを含有する製膜原料をドラム式 膜機の回転するドラム又はベルト式製膜機 走行するベルト上に吐出して乾燥し、水分 が1.5~4.0%のときにドラム又はベルトから剥 することにより製造することが記載されて る(特許文献1参照)。

特開2005-60636号公報

 しかしながら、上記特許文献1をはじめと する従来のポリビニルアルコール系樹脂フィ ルムを用いた水圧転写方法では、ベースフィ ルムに高精細な意匠を印刷する際にフィルム が伸びたり、印刷前のベースフィルムが伸び てたわんでいることがあり、これが原因でイ メージ通りの印刷がしづらいと言った印刷適 性に問題が残ることがあり、改善が求められ ている。また、意匠を印刷したポリビニルア ルコール系樹脂フィルムを水面に浮かべる際 に、フィルムがカールしてしまい、意匠の転 写による生産性等の点において問題となって いる。特に、近年では、意匠の印刷が多層印 刷であったり、また耐久性に優れた印刷用イ ンキが用いられるようになり、フィルムの意 匠印刷面と非印刷面の吸水性に差が生じ、そ の結果、カールの発生が一層顕著になり大き な問題となっている。

 そこで、本発明はこのような背景下にお て、意匠をベースフィルムに印刷する際の 刷適性に優れた液圧転写印刷用ベースフィ ムおよびその製造方法を提供することを目 とするものである。

 しかるに、本発明者が上記の目的を達成 るため、鋭意検討を重ねた結果、ベースフ ルムのフィルム均一性が重要であることを き止め、たわみのないベースフィルムを用 ることにより、意匠の印刷適性に優れ、液 転写印刷に有効であることを見出し、本発 を完成した。

 さらに、本発明者が上記たわみのないベ スフィルムを製造するため、鋭意検討を重 た結果、ポリビニルアルコール系樹脂を主 分とする製膜原料を溶解または分散させる が重要であることを突き止め、ケイ素含有 の非常に少ない水を用いてベースフィルム 製造することにより、たわみが抑制され、 果、意匠の印刷適性に優れ、液圧転写印刷 有効であることを見出し、本発明を完成し 。

 即ち、本発明の要旨は、膜厚20~50μmの液圧 写印刷用ポリビニルアルコール系フィルム おいて、フィルムの幅方向に対して、一方 端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)がそ ぞれ3%以下であることを特徴とする液圧転写 印刷用ベースフィルムに関するものである。

 さらに、本発明においては、フィルムの幅 向に対して、一方の端部から全幅の30%以内 領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )以外の他の領域(S 3 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)が3%以 下であることがフィルム均一性の点で好まし い。

 また、本発明の要旨は、ポリビニルアル ール系樹脂を主成分とする製膜原料の水分 液を製膜し、液圧転写印刷用ベースフィル を製造するにあたり、ケイ素含有量が5ppm以 下の水を用いることを特徴とする液圧転写印 刷用ベースフィルムの製造方法に関するもの である。

 ここで、ケイ素含有量の少ない水を用い ことについては、偏光フィルム用の原反ポ ビニルアルコール系フィルムの製造法にお ては公知である(特開2007-009056号公報参照。) が、この場合は、得られる偏光フィルムの光 学特性を悪化させないことが目的である。し かし、本発明のような液圧転写印刷用ベース フィルムの場合においては、フィルムの光学 特性は関係なく、従って、特別な水を用いる 必要もないと考えられるところであるが、一 方、長期運転をした場合には、ドラム面又は ベルト面からのフィルムの剥離性が低下する などの不具合が生じ、これが原因で製膜され るフィルム物性が低下することを見出した。 偏光フィルム用の原反フィルムと液圧転写印 刷用ベースフィルムとでは、温度、濃度等、 種々の製膜条件が異なるものであり、ドラム 又はベルト面からのフィルム剥離性に不具合 が生じることは、液圧転写印刷に用いる本発 明において初めて問題となる現象であって、 本発明の製造方法はこれを解決するものであ る。

 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム 、フィルムの両端の特定領域におけるフィ ム表面のたわみ率(T)(%)が特定範囲であるた 、良好な意匠印刷適性を有し、液圧転写印 用のベースフィルムとして非常に有用であ 。そして、このような特性を有する液圧転 印刷用ベースフィルムは、ポリビニルアル ール系樹脂を主成分とする製膜原料の水分 液を製膜材料として調製する際に、ケイ素 有量が5ppm以下の水を用いることにより製造 することができる。

本発明の液圧転写印刷用ベースフィル 表面のたわみ率の測定態様を模式的に示す 明図である。

符号の説明

 1 ベースフィルム

 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは 液圧転写印刷として用いるものであり、そ フィルムの膜厚は20~50μmが一般的であり、 ましくは23~47μm、特に好ましくは25~45μmであ 。フィルム厚みが上記範囲より薄すぎると 刷フィルムの膨潤が速く転写に不向きとな 、上記範囲より厚すぎると転写物にフィル が残留したり、転写浴における水中のポリ ニルアルコール系樹脂の濃度の上昇が速く 水負荷が大きくなる。

 また、本発明の液圧転写印刷用ベースフィ ムは、特定のフィルム特性を有するもので ることが必要であり、その特定のフィルム 性とは、フィルムの幅方向に対して、一方 端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)がそ ぞれ3%以下、好ましくは2.5%以下、更に好ま くは2%以下、特に好ましくは1.5%以下である かかるフィルム表面のたわみ率(T)が上記範 を超えると意匠の印刷加工の際、シワ入り 原因となり加工生産性に支障をきたすこと なる。なお、かかるフィルム表面のたわみ (T)の下限値は通常0.1%である。

 また、本発明では、フィルムの幅方向に対 て、一方の端部から全幅の30%以内の領域(S 1 )及び他方の端部から全幅の30%以内の領域(S 2 )以外の他の領域(S 3 )におけるフィルム表面のたわみ率(T)(%)も3%以 下であることが、印刷適正の点で好ましく、 より好ましくは2.5%以下、特に好ましくは2%以 下である。かかるフィルム表面のたわみ率(T) が上記範囲を超えると水溶性フィルムへの意 匠の印刷加工時にシワが入り印刷不良となる 傾向がある。なお、かかるフィルム表面のた わみ率(T)の下限値は通常0.1%である。

 なお、本発明において、フィルム表面のた み率(T)は以下のように測定される。
 即ち、23℃×50%RHの環境下、所定幅(w)のベー フィルム(以下、単に「フィルム」ともいう )を巻いたロールサンプルからフィルムを巻 出し、巻き出したフィルムを2m離れて同じ高 さに設置した水平な2本のガイドロール(直径1 20mm)の上を通過させた後巻き取る装置におい 、フィルムを巻き出してから任意の長さの ころで、フィルム幅1mあたり1kgの張力をか て2本のガイドロールの上で一旦静止させ、 の時に、図1に示すように、ガイドロール上 をフィルム1が通る高さを基準にして、ガイ ロール間で、フィルム1の領域(S 1 )、(S 2 )及び(S 3 )のそれぞれにおいて、各領域中の一番垂れ がっている部分までの高低差の最大値(h)を り、その距離を基にたわみ率を以下のよう 算出する。なお、高低差を測定するにあた ては、フィルム1上を幅方向で水平に超音波 変位センサー(キーエンス社製UD-300)を走行 せて検出する。また、流れ方向のセンサー 置位置は2本のガイドロールから等しい距離 なる中央部とする。

  たわみ率(T)(%)=100×h/w
   h:フィルム1中の一番垂れ下がっている部 分までの高低差の最大値(mm)
   w:フィルム幅(mm)

 また、本発明において、上記フィルム幅(w) は、製造直後におけるフィルム幅、製造後 各製品サイズに端部をスリットした後のフ ルム幅のいずれも含める意味であるが、好 しくは端部をスリットした後のフィルム幅 あることが印刷適性の点から有利である。
 このときスリットされる端部は通常、製造 後のフィルム全幅に対して2~50%、特に好ま くは5~30%であり、スリットされる端部は片方 のみでもよいが通常は両端部がスリットされ る。

 上記の如く本発明の液圧転写印刷用ベース ィルムは以下の通り製造される。
 即ち、本発明の液圧転写印刷用ベースフィ ム(以下「ベースフィルム」と称す)は、例 ば、ポリビニルアルコール(以下、「PVA」と 記することがある。)系樹脂を主成分とし、 好ましくは可塑剤を含有してなるフィルム形 成材料を用いてフィルム状に形成されてなる ものである。なお、本発明において、上記「 主成分」とは、フィルム形成材料がPVA系樹脂 を50重量%以上、好ましくは60重量%以上、更に 好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重 %以上含有することを意味し、また、PVA系樹 脂のみからなる場合も含める趣旨である。

 上記PVA系樹脂は、単独のみならず必要に じて2種以上混合して用いてもよい。また、 未変性であっても変性であってもよく、変性 の場合は、主鎖中に本発明の効果を阻害しな い範囲で、通常20モル%以下、好ましくは15モ %以下、更に好ましくは10モル%以下、特に好 ましくは7モル%以下の範囲において、他の単 体を共重合させることができる。

 上記他の単量体としては、例えば、エチ ン、プロピレン、イソブチレン、α-オクテ 、α-ドデセン、α-オクタデセン等のオレフ ン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロト 酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコ 酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは ノまたはジアルキルエステル等、アクリロ トリル、メタアクリロニトリル等のニトリ 類、アクリルアミド、メタクリルアミド等 アミド類、エチレンスルホン酸、アリルス ホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフ ンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビ ルエーテル類、ポリオキシエチレン(メタ) リルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ) アリルエーテル等のポリオキシアルキレン( タ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メ タ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メ )アクリレート等のポリオキシアルキレン( タ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ )アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メ )アクリルアミド等のポリオキシアルキレン (メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン 1-(メタ)アクリルアミド-1,1-ジメチルプロピ 〕エステル、ポリオキシエチレンビニルエ テル、ポリオキシプロピレンビニルエーテ 、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリ キシプロピレンアリルアミン、ポリオキシ チレンビニルアミン、ポリオキシプロピレ ビニルアミン、ジアクリルアセトンアミド N-アクリルアミドメチルトリメチルアンモ ウムクロライド、アリルトリメチルアンモ ウムクロライド、ジメチルジアリルアンモ ウムクロリド、ジメチルアリルビニルケト 、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビ ニリデン等があげられる。また、上記の他、 アセトアセチル基変性、メルカプト基変性、 ジアセトンアクリルアミド変性等の活性水素 を含有する単量体も挙げられる。これらの他 の単量体は、単独でもしくは2種以上併せて いてもよい。

 また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2-ジオー ル結合を有するポリビニルアルコール系樹脂 を用いることも好ましく、かかる側鎖に1,2- オール結合を有するポリビニルアルコール 樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4-ジア トキシ-1-ブテンとの共重合体をケン化する 法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボ ネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する 方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2-ジアルキル-4-ビニ ル-1,3-ジオキソランとの共重合体をケン化及 脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルと リセリンモノアリルエーテルとの共重合体 ケン化する方法、等により得られる。

 本発明では、上記PVA系樹脂の4重量%水溶 の20℃における平均粘度が、10~70mPa・sの範囲 であることが好ましく、15~60mPa・sの範囲であ ることがより好ましい。かかる4重量%水溶液 平均粘度が低すぎると、ベースフィルムに 匠(パターン,柄等)を印刷する際のフィルム 度が不足するため印刷斑が発生する傾向が られ、また、ベースフィルムの溶解が促進 れて転写時間が短くなるという問題が生じ り、水に浮かべた際のフィルムに印刷され 意匠が安定せず、付き廻り性が低下したり るという傾向がみられる。一方、4重量%水 液の平均粘度が高すぎると、印刷された意 の被転写体への転写時に被転写体と本発明 ベースフィルム(意匠が印刷されたベースフ ルム)との密着性が低下して、皺や剥離が発 生する傾向がみられたり、また、水面での膜 の伸展を抑制することはできるが、転写時間 が遅延する他に粘度が高く製膜が困難となる 傾向がみられる。なお、上記4重量%水溶液の2 0℃における平均粘度は、JIS K 6726に準じて 定される。

 さらに、上記PVA系樹脂の平均ケン化度が 通常70~98モル%の範囲であることが好ましく より好ましくは75~96モル%の範囲である。か るPVA系樹脂の平均ケン化度が低すぎると、 写後のベースフィルムの溶解に長時間を要 る傾向がみられ、高すぎると、ベースフィ ムの溶解時間が遅延し、転写時の膜強度が いために転写時に折れ皺が発生したり、転 がなされたとしても脱膜不良となる傾向が られる。なお、上記ケン化度は、JIS K 6726 準じて測定される。

 上記可塑剤としては、例えば、グリセリ 、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリ リン類、トリエチレングリコール、ポリエ レングリコール、ポリプロピレングリコー 、ジプロピリングリコール等のアルキレン リコール類やトリメチロールプロパンなど あげられる。これらは単独であるいは2種以 上併せて用いられる。

 上記可塑剤の含有量は、PVA系樹脂100重量 に対して、10重量部以下であることが好ま く、更には5重量部以下、特には0.05~4重量部 あることが好ましい。上記可塑剤の含有量 多すぎると、フィルム面に意匠を印刷する の寸法安定性が悪く、高精細な印刷が困難 なる傾向がみられる。なお、上記範囲より なすぎると、可塑効果が低く、得られるベ スフィルムの破断の原因となる傾向がある

 また、上記フィルム形成材料には、上記P VA系樹脂および可塑剤以外に、必要に応じて 種添加剤を配合することができる。

 例えば、ベースフィルムの製膜装置であ ドラムやベルト等の金属表面と製膜したフ ルムとの剥離性の向上を目的として、界面 性剤を配合することができる。上記界面活 剤としては、例えば、ポリオキシエチレン ニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ オクチルノニルエーテル、ポリオキシエチ ンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシ チレンアルキルアリルエーテル、ポリオキ エチレンソルビタンモノラウレート、ポリ キシエチレンソルビタンモノパルミテート ポリオキシエチレンソルビタンモノステア ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノ レエート、ポリオキシアルキレンアルキル ーテルリン酸エステルモノエタノールアミ 塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、 リオキシエチレンステアリルアミン等のポ オキシエチレンアルキルアミン等があげら る。これらは単独でもしくは2種以上併せて 用いられる。なかでも、剥離性の点でポリオ キシアルキレンアルキルエーテルリン酸エス テルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエ チレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン ソルビタンモノラウレートを用いることが好 適である。

 上記界面活性剤の含有量については、PVA 樹脂と可塑剤の合計100重量部に対して通常0 .01~5重量部であることが好ましく、0.03~4.5重 部であることがより好ましい。上記界面活 剤の含有量が少なすぎると、製膜装置のド ムやベルト等の金属表面と製膜したフィル との剥離性が低下して製造困難となる傾向 みられ、逆に多すぎるとフィルム表面にブ ードして意匠印刷層が脱落する原因となる 向がみられる。

 さらに、本発明の効果を妨げない範囲で 抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安 剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増 量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機 粉末(二酸化ケイ素等)、有機粉末(澱粉、ポリ メチルメタクリレート等)、さらには他の水 性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポ エチレンオキサイド、ポリビニルピロリド 、デキストリン、キトサン、キチン、メチ セルロース、ヒドロキシエチルセルロース )等を添加しても差し支えない。

 本発明のベースフィルムは、例えば、つ のようにして製造される。まず、上記PVA系 脂、可塑剤等の各原料を所定の配合量にて 合し、フィルム形成材料を調製する。フィ ム形成材料は、通常、水に溶解または分散 れ、好ましくは10~40重量%、特に好ましくは1 5~35重量%に調製され、製膜工程に供給される つぎに、Tダイからフィルム形成材料を製膜 ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾 燥させることによりフィルム状化させ、好ま しくはさらに熱処理することにより製造され る。

 上記熱処理の方法としては、特に制限さ るものではなく、例えば、熱ロール(カレン ダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電 熱等の方法があげられる。また、熱処理さ る面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接 る面と反対側となる面が好ましいが、ニッ しても問題はない。また、熱処理を施すフ ルムの水分含有量は、通常、4~8重量%程度で ることが好ましい。さらに、熱処理された のフィルムの水分含有量は通常、3~7重量%で あることが好ましい。

 より詳しく述べると、上記製膜ベルト、 たは製膜ドラムのうち製膜第一ドラムから 離した後巻き取るまでに、表面温度50~140℃ 好ましくは60~130℃の熱処理ロールを1本以上 通すことが好ましい。ここで、上記製膜ベル トとは、一対のロール間に架け渡されて走行 する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出た ィルム形成材料を無端ベルト上に流延させ とともに乾燥させるものである。上記無端 ルトは、例えば、ステンレススチールから り、その外周表面は鏡面仕上げが施されて るものが好ましい。

 また、上記製膜第一ドラムとは、Tダイか ら流れ出たフィルム形成材料を1個以上の回 するドラム型ロール上に流延し乾燥させる 膜機における最上流側に位置するドラム型 ールである。

 そして、製膜ベルトあるいは製膜第一ド ムから剥離した後巻き取るまでとは、Tダイ 等から吐出されたフィルム形成材料が製膜ベ ルト上あるいは製膜第一ドラム上において乾 燥されフィルム状になり、製膜ベルトあるい は製膜第一ドラムから剥離され、好ましくは 熱処理機を経て、巻き取り機により巻き取ら れるまでの過程を示す。

 上記熱処理機による熱処理は、通常50~140 で行うことが好ましく、より好ましくは60~1 30℃である。上記熱処理の温度が低すぎると 製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムに接す 面のカールが強く、印刷および転写工程で 具合となる傾向がみられ、熱処理の温度が すぎると、転写後のベースフィルムの水溶 が低下してしまう傾向がみられる。さらに 上記熱処理に要する時間は、熱処理ロール 表面温度にもよるが、通常0.5~15秒間に設定 ることが好ましい。上記熱処理は、通常、 ィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き き、別体の熱処理ロールにて通常行われる

 かくしてベースフィルムが得られるが、 発明においては上記の通り特定のフィルム 性を有するものでなければならない。

 上記たわみ率(T)を有するベースフィルム 得るためには、均一なフィルム表面にする とが重要であり、例えば、(1)フィルム形成 料が製膜ベルト上あるいは製膜第一ドラム に流延され乾燥されてフィルム状になった に製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから 離される際に、剥離応力が均一となるよう 剥離する方法、(2)フィルム形成材料を水に り溶解または分散する際に、水中の金属成 である、ケイ素含有量が特定の値以下の水 用いる、さらには、例えば、カルシウム、 トリウム等の金属成分の少ない水を用いる 法、などにより行われる。

 具体的には、(1)の場合では、例えば、剥 速度を調整することが重要であり、キャス 面の速度に対して剥離の速度を1.1倍以下に ることが好ましく、より好ましくは1.08倍以 下、特に好ましくは1.06倍以下である。剥離 度を遅くすれば剥離応力が下がり、たわみ は小さくなる傾向にあり好ましいが、剥離 度を速くしすぎると剥離性に無理を来すこ となり、剥離応力が上昇して、たわみ率が くなる傾向となる。

 また、(2)の場合では、ケイ素含有量が5ppm以 下の水を使用することが必要であり、好まし くは4ppm以下、特に好ましくは3ppm以下であり 可能な限り少ないほうが好ましい。さらに 、カルシウム、ナトリウム等の金属成分の 有量も少ない水を使用することが好ましい ケイ素含有量の少ない水を用いることによ 、製膜ドラムまたは製膜ベルト面からのフ ルムの剥離性が良好でたわみのないフィル が得られるという効果が得られるのである かかるケイ素含有量が上記範囲を超えると 製膜工程中において長期連続運転を行う場 、水中のケイ素、さらにはカルシウム、ナ リウム等の金属成分が原因でロール表面に 純物被膜が発生することとなり、それが剥 応力の上昇を招き、製膜ドラムまたは製膜 ルト面からのフィルムの剥離性が低下し、 ィルムの伸びが発生したり、フィルムの濡 性の変化により意匠印刷に斑が発生するな の不具合が生じることとなる。
 なお、水に含まれるケイ素の含有量につい は、モリブデンブルー法により測定される

 上記水としては、不純物が除去された純 に近いものを用いることが好ましく、例え 、イオン交換水等が用いられる。また、い ゆる工業用水も、本発明の趣旨を逸脱しな 範囲内であれば、使用することができ、生 性とコストを考慮すると、工業用水や軟水 イオン交換水等を組み合わせて使用するこ が好ましい。さらに、本発明では、塩素原 も少ないほうが良く、残留塩素として例え 0.5ppm未満である水を用いることが好ましい

 更に、本発明においては、ベースフィル の水分率が、2~6重量%であることが好ましく 、より好ましくは3~5重量%である。水分率が さすぎると、転写時にフィルムがカールす 傾向があり、水分率が大きすぎると、カー は小さくなるが印刷などの実使用上で印刷 見当ずれなどの不具合を生じる傾向がある なお、ベースフィルムの水分率は、例えば カールフィッシャー水分計(京都電子工業社 、「MKS-210」)を用いて測定することができ 。

 上記ベースフィルムの水分率の調整方法 しては、例えば、下記に示す方法があげら る。すなわち、下記に示す水分率の調整方 に従い、上記範囲内のベースフィルムの水 率に設定することが可能となる。

(1)PVAを溶解したドープを乾燥して製膜する 際の乾燥機温度を上下させてベースフィルム の加湿・除湿を行う方法により水分率の調整 を行う。ドープの温度は、その温度により乾 燥効率に対して影響を及ぼすため、70~98℃の 囲内にて調整する。また、乾燥に際しては 好ましくは150~50℃の間で、より好ましくは1 45~60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ 以上の熱風乾燥機中にて、1~12分間、より好 しくは1~11分間乾燥を行うことが水分調整と う観点から好ましい。

 上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり 乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多と る傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると 乾燥不足となる傾向がある。

 上記温度勾配は、150~50℃の間で段階的に 燥温度を変えていくものであり、通常は、 燥開始時から温度を徐々に上げていき、所 の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度 囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐 に乾燥温度を低くすることにより最終的に 的とする含水率とすることが効果的である これは結晶性や剥離性、生産性等を制御す ために行われるものであり、例えば、120℃- 130℃-115℃-100℃、130℃-120℃-110℃、115℃-120℃- 110℃-90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜 選択され実施される。

(2)ベースフィルムの巻き取り前に調湿槽に 通過させることによりベースフィルムの加湿 ・除湿を行い、水分率の調整を行う。

(3)ベースフィルムの巻き取り前に、熱処理 を行うことによりベースフィルムの除湿を行 い、水分率の調整を行う。

 上記において製膜して得られたベースフ ルム(原反フィルム)は、例えば、先に述べ 水分率に変化が生じないように従来公知の 湿包装の処理を行い、10~25℃の雰囲気下、宙 づり状態にて保存することが好ましい。

 なお、本発明においては、必要に応じて 製膜後のフィルムに対して巻き取りを行う にそのままフィルム端部を製品サイズにス ットした後巻き取る(オンラインスリット) 、あるいは、一旦製膜後のフィルムを巻き った後に再度巻き出し製品サイズにフィル 端部をスリットし巻き取る(オフラインスリ ト)かするなどして、フィルムロールとして 上記の通り宙づり保存される。

 上記で得られる製膜後(スリット前)のフィ ム幅としては、製品サイズの大きさ等によ 適宜選択されるが、通常は300~4000mmであるこ が製品スリット得率の点で好ましく、特に 500~3000mm、更には700~2000mmであることが好ま い。
 更に、フィルム全体のフィルム長さとして 、通常500m以上、特には700m以上、更には1000m 以上であることがフィルムを使用する効率の 点で好ましい。なお、フィルム長さの下限と しては通常100mである。

 次に、本発明のベースフィルムを用いて、 匠を印刷し、転写を行う方法について説明 る。
 本発明のベースフィルムを用いた液圧転写 法としては、連続方式による液圧転写方法 バッチ方式による液圧転写方法があげられ 。

 まず、上記連続方式による液圧転写方法に いて述べる。
 すなわち、上記のようにして得られたベー フィルム面に所定の意匠を印刷する。その 、上記意匠印刷面に活性剤を塗工する。そ て、吸水後にベースフィルムが伸展し、意 がぼけないように上記ベースフィルムの流 方向に対し幅方向に1.25倍以下の規制を設け て、活性剤が塗布された意匠印刷面を上方に してベースフィルムを液面に浮かべるととも に移動させる。移動する上記ベースフィルム 上方から被転写体を押し当て、ベースフィル ム面に印刷された意匠を被転写体表面に転写 し固着することにより液圧転写印刷が行われ る。そして、固着した後は、ベースフィルム を除去し意匠を転写した被転写体を充分に乾 燥させることにより目的とする製品を得るの である。

 一方、上記バッチ方式による液圧転写方法 ついて述べる。
 すなわち、上記のようにして得られたベー フィルム面に所定の意匠を印刷する。その 、上記意匠印刷面に活性剤を塗工する。そ て、上記連続方式と同様、吸水後にベース ィルムが伸展し、意匠がぼけないように上 ベースフィルムに対して縦横それぞれの方 に1.25倍以下の縦横規制を設けて、活性剤が 塗布された意匠印刷面を上方にしてベースフ ィルムを液面に浮かべる。そして、静止状態 にて上記ベースフィルム上方から被転写体を 押し当て、ベースフィルム面に印刷された意 匠を被転写体に転写し充分に固着することに より液圧転写印刷が行われる。固着した後は 、ベースフィルムを除去し意匠を転写した被 転写体を充分に乾燥させることにより目的と する製品を得るのである。

 このような工程を経由する液圧転写方法 より、ベースフィルム面に印刷された意匠 、被転写体に転写することができる。なお 上記ベースフィルム面に印刷される意匠と ては、特に限定するものではなく、木目調, 各種柄,画像等、印刷可能なものであればい なるものであってもよい。

 上記意匠印刷面に塗工する活性剤として 、特に限定するものではなく、ベースフィ ム面に印刷された意匠を再活性化しうる溶 に樹脂を添加したもの等が用いられ、さら 体質顔料、可塑剤、硬化剤等を適宜に添加 ることができる。例えば、ブチルメタクリ ートに、顔料、可塑剤、ブチルセロソルブ セテート、ブチルカルビトールアセテート 混合したものが用いられる。また、上記活 剤の塗工方法としては、グラビアロールや プレーを用いた塗布方法があげられる。

 なお、上記意匠印刷面に活性剤を塗布す 工程は、ベースフィルムを液面に浮かべる であっても、液面に浮かべた後であっても ずれでもよく、意匠が印刷されたベースフ ルム上方から被転写体を押し当てる前であ ば特に制限されることはない。

 このような液圧転写方法における被転写 の材質としては、特に限定されるものでは く、例えば、プラスチック成形体、金属成 体、木質成形体、ガラス等の無機質成形体 を用いることができる。さらに、その形状 関しても特に限定するものではなく、平面 あっても各種立体形状を有していてもよい

 以下、実施例をあげて本発明をさらに具体 に説明するが、本発明はその要旨を超えな 限り以下の実施例に限定されるものではな 。
 なお、例中「%」、「部」とあるのは、断り のない限り重量基準を意味する。

 以下の通り評価を行った。
〔たわみ率(T)(%)〕
 23℃×50%RHの環境下、所定幅(w)のフィルムを いたロールサンプルからフィルムを巻き出 、巻き出したフィルムを2m離れて同じ高さ 設置した水平な2本のガイドロール(直径120mm) の上を通過させた後巻き取る装置において、 フィルムを巻き出してから任意の長さのとこ ろで、フィルム幅1mあたり1kgの張力をかけて2 本のガイドロールの上で一旦静止させ、その 時に、図1に示すように、ガイドロール上を ィルム1が通る高さを基準にして、ガイドロ ル間で、フィルム1の領域(S 1 )、(S 2 )及び(S 3 )のそれぞれにおいて、各領域中の一番垂れ がっている部分までの高低差の最大値(h)を り、その距離を基にたわみ率を以下のよう 算出する。なお、高低差を測定するにあた ては、フィルム1上を幅方向で水平に超音波 変位センサー(キーエンス社製UD-300)を走行 せて検出する。また、流れ方向のセンサー 置位置は2本のガイドロールから等しい距離 なる中央部とする。

  たわみ率(T)(%)=100×h/w
   h:フィルム1中の一番垂れ下がっている部 分までの高低差の最大値(mm)
   w:フィルム幅(mm)

〔水分率〕
 得られたベースフィルムの水分率を、カー フィッシャー水分計(京都電子工業社製、「 MKS-210」)を用いて測定した。

〔印刷適性〕
 得られた転写印刷用ベースフィルムの表面 転写用の意匠(パターン、柄)を印刷したと に、かかるフィルムの外観を目視観察し、 下の通り評価した。
   ○・・・外観不良なし
   ×・・・シワあり

〔実施例1〕
 4%水溶液粘度26mPa・s(20℃)、平均ケン化度88 ル%のPVA100部に、可塑剤としてグリセリン2部 、澱粉5部、界面活性剤としてポリオキシエ レンソルビタンモノラウレート1.2部を水に 解して18%水分散液を得た。そして、上記水 散液を用い、ステンレス製のエンドレスベ トを備えたベルト製製膜機により、10m/minの 度で流延製膜法に従い製膜し、温度95℃の 件で乾燥させ、PVAフィルムを得た後、フィ ム両端部をスリットし、ベースフィルムを2 間連続して作製した(フィルム幅:1000mm、フ ルム長さ:300m毎に巻き替え、フィルム膜厚:30 μm)。なお、上記で使用した水はイオン交換 (モリブデンブルー法により測定されるケイ 含有量:0.01ppm以下)であり、ベルト表面には 純物被覆のない清面で製膜時のフィルム剥 に必要な張力は1kg/m、キャスト面の速度に して剥離の速度が1.04倍であった。また、領 (S 1 )のフィルム表面のたわみ率(T)は1.5%、領域(S 2 )のフィルム表面のたわみ率(T)は1.5%、領域(S 3 )のフィルム表面のたるみ率(T)は0.5%であり、 分率は3.5%であった。
 得られたベースフィルムを用いて、印刷適 の評価を行った。

〔実施例2〕
 4%水溶液粘度26mPa・s(20℃)、平均ケン化度88 ル%のPVA100部に、可塑剤としてグリセリン2部 、二酸化ケイ素2部、界面活性剤としてポリ キシエチレンソルビタンモノラウレート1.2 を水に溶解して18%水分散液を得た。そして 上記水分散液を用い、ステンレス製のエン レスベルトを備えたベルト製製膜機により 10m/minの速度で流延製膜法に従い製膜し、温 95℃の条件で乾燥させ、PVAフィルムを得た 、フィルム両端部をスリットし、ベースフ ルムを2週間連続して作製した(フィルム幅:10 00mm、フィルム長さ:300m毎に巻き替え、フィル ム膜厚:40μm)。なお、上記で使用した水はイ ン交換水(モリブデンブルー法により測定さ るケイ素含有量:4ppm)であり、ベルト表面に 不純物被覆のない清面で製膜時のフィルム 離に必要な張力は2kg/m、キャスト面の速度 対して剥離の速度が1.06倍であった。また、 域(S 1 )のフィルム表面のたわみ率(T)は2%、領域(S 2 )のフィルム表面のたわみ率(T)は2%、領域(S 3 )のフィルム表面のたるみ率(T)は0.5%であり、 分率は3.8%であった。
 得られたベースフィルムを用いて、印刷適 の評価を行った。

〔実施例3〕
 4%水溶液粘度26mPa・s(20℃)、平均ケン化度88 ル%のPVA100部、可塑剤としてグリセリン2部、 界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビ タンモノラウレート1.2部、及び澱粉5部を、 オン交換水(ケイ素含有量0.01ppm以下)とケイ 含有量が40ppmの水を混合して調整したケイ素 含有量4ppmの水に配合して18%水分散液を得た そして、上記水分散液を用い、ステンレス のエンドレスベルトを備えたベルト製の製 機により、10m/minの速度で流延製膜法に従い 膜し、温度95℃の条件で乾燥させることに り、PVAフィルムを得た後、フィルム両端部 スリットし、ベースフィルムを2週間連続し 作製した(フィルム幅:1000mm、フィルム長さ:1 000m毎に巻き替え、フィルム膜厚:30μm)。その 、ベルト表面には不純物被覆のない清面で 膜時のベルト面からのフィルム剥離に必要 張力は1.5kg/mであった。また、領域(S 1 )のフィルム表面のたわみ率(T)は2%、領域(S 2 )のフィルム表面のたわみ率(T)は2%、領域(S 3 )のフィルム表面のたるみ率(T)は0.5%であり、 分率は3.5%であった。なお、水に含まれるケ イ素の含有量については、モリブデンブルー 法により測定した。
 得られたベースフィルムを用いて、印刷適 の評価を行った。

〔比較例1〕
 実施例1において、剥離速度を30m/minに変更 、剥離に必要な張力を5kg/mとした以外は同様 に行い、ベースフィルムを得た。なお、上記 で使用した水はイオン交換水(モリブデンブ ー法により測定されるケイ素含有量:0.01ppm) あり、ベルト表面には不純物被覆のない清 で製膜時のフィルム剥離に必要な張力は5kg/m であった。また、領域(S 1 )のフィルム表面のたわみ率(T)は4%、領域(S 2 )のフィルム表面のたわみ率(T)は4%、領域(S 3 )のフィルム表面のたわみ率(T)は1%であり、水 分率は4.5%であった。
 得られたベースフィルムを用いて、印刷適 の評価を行った。

〔比較例2〕
 実施例1において、イオン交換水を井戸水に 変更した以外は同様に行い、ベースフィルム を得た。なお、上記で使用した水は無機物、 特にケイ素を40ppm含む水(モリブデンブルー法 により測定)であり、ベルト表面には水中の 属成分による不純物被膜があり、製膜時の ィルム剥離に必要な張力は4kg/mであった。ま た、領域(S 1 )のフィルム表面のたわみ率(T)は4.5%、領域(S 2 )のフィルム表面のたわみ率(T)は4.5%、領域(S 3 )のフィルム表面のたわみ率(T)は1%であり、水 分率は3.5%であった。
 得られたベースフィルムを用いて、印刷適 の評価を行った。

 上記実施例及び比較例の評価結果を下記 表1に示す。

 上記表1の結果から、実施例では、ベルト 面の不純物被覆もないため、剥離に必要な張 力も小さく、フィルム表面のたわみ率も3%以 であり、印刷時のシワ入りなどの不具合は られなかった。これに対して、比較例1では 、製膜速度以外を実施例と同様の条件で行っ たところ、製膜速度が速すぎると剥離に必要 な張力は大きく、結果としてフィルム表面の たわみ率は大きな値を示した。また、比較例 2では、ケイ素含有量の多い井戸水を用いて ィルム製膜を行ない、ベルト面に不純物被 がある以外を実施例と同様の条件で行った ころ、フィルムの剥離性が低下して、結果 してフィルム表面のたわみ率は大きな値と った。そのため、意匠の印刷時にシワが入 等の不具合が発生して満足な印刷加工を行 ことができなかった。従って、各比較例は 転写印刷用ベースフィルムとして実用に供 ることはできないものであった。

 本発明の液圧転写印刷用ベースフィルム 、自動車の内外装品をはじめとして、携帯 話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・ 活用品等への液圧転写印刷用途に、幅広く 用することができる。