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Title:
BEAD INSULATION RUBBER COMPOSITION, PNEUMATIC TIRE AND PROCESS FOR MANUFACTURING PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/004867
Kind Code:
A1
Abstract:
A bead insulation rubber composition capable of providing a pneumatic tire excelling in uniformity. The feature thereof is as follows. The composition contains a vulcanizing agent and is vulcanizable. The JIS hardness A thereof at the unvulcanized stage is in the range of 70 to 99 at room temperature while that at the vulcanized stage is in the range of 90 to 99 at room temperature. The Mooney viscosity thereof at the unvulcanized stage is 60 or below at the temperature during the bead wire coating step. At the unvulcanized stage, as the hardness at room temperature is high, any external force applied to bead core in its twisting direction during the production process would have less impact upon the array of bead wire, thereby attaining exertion of the performance to be naturally exerted. Further, by realization of an appropriate hardness after vulcanization, satisfactorily high performance can be exerted in the final application to a pneumatic tire. Still further, by regulation of the Mooney viscosity at the unvulcanized stage to 60 or less, excellence is ensured in the moldability and handleability at the unvulcanized stage.

Inventors:
TAMURA JYOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059417
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
May 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJI SEIKO CO LTD (JP)
TAMURA JYOJI (JP)
International Classes:
B60C15/04; B29C33/02; B29C35/02; B60C1/00; C08L21/00; C08L25/10; B29L30/00
Foreign References:
JPS52109204A1977-09-13
JPS6213445A1987-01-22
JP2007076549A2007-03-29
JP2003512966A2003-04-08
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Osamu (19-13 Kanayama-cho 1-chome,Atsuta-ku, Nagoya-sh, Aichi 02, JP)
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Claims:
 空気入りタイヤのビードワイヤを包囲するビードインシュレーションゴム組成物であって、加硫剤を含み加硫可能で、未加硫時におけるJIS硬度Aが室温下70~99、加硫時におけるJIS硬度Aが室温下90~99であり、
 前記ビードワイヤを被覆する工程での温度における未加硫時のムーニー粘度が60以下であることを特徴とする空気入りタイヤのビードワイヤを包囲するビードインシュレーションゴム組成物。
 前記ゴム組成物は、融点及び/又は軟化点が室温超、前記ビードワイヤを被覆する工程での温度未満である特性改善材料を含む請求項1に記載のビードインシュレーションゴム組成物。
 前記特性改善材料は、質量基準で50%以上のスチレンを含むSBRであるスチレン高含有SBRである請求項2に記載のビードインシュレーションゴム組成物。
 前記スチレン高含有SBRは構成材料のうちのゴム成分全体の質量を基準として、30質量%以上含有する請求項3に記載のビードインシュレーションゴム組成物。
 前記スチレン高含有SBRは構成材料のうちのゴム成分全体の質量を基準として50%以下含有する請求項3又は4に記載のビードインシュレーションゴム組成物。
 前記特性改善材料は、熱硬化性樹脂である請求項2~5のいずれかに記載のビードインシュレーションゴム組成物。
 請求項1~6のいずれかに記載のビードインシュレーションゴム組成物を加硫した加硫後ビードインシュレーションゴム組成物と、該加硫後ビードインシュレーションゴム組成物にて包囲されるビードワイヤとをもつビードコアを有する空気入りタイヤ。
 請求項1~6のいずれかに記載のビードインシュレーションゴム組成物と該ビードインシュレーションゴム組成物にて包囲されたビードワイヤとからなるビードコアを形成する工程と、
 前記ビードコアをもつ生タイヤを成形する工程と、
 前記生タイヤ内に加圧ガスを注入した状態で加熱することで加硫する加硫工程とを有する空気入りタイヤの製造方法であって、
 前記生タイヤ成形工程後、前記加硫工程前に、前記ビードインシュレーションゴム組成物が軟化する温度以上、前記加硫が進行する温度未満に加熱しながら該生タイヤ内に前記加圧ガスを注入する工程を有することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
Description:
ビードインシュレーションゴム 成物、空気入りタイヤ及び空気入りタイヤ 製造方法

 本発明は、空気入りタイヤのビードコア ビードワイヤを包囲するビードインシュレ ションゴム組成物に関し、そのビードイン ュレーションゴム組成物を採用した空気入 タイヤ並びにその製造方法に関する。

 一般的な空気入りタイヤにおけるビード アとしては、所謂、ストランドビードや六 ビードなどが知られている。ストランドビ ドは複数本のビードワイヤを長手方向に平 に並べてビードインシュレーションゴム組 物にて被覆したリボン状ストリップを複数 巻回して製造される。六角ビードはビード ンシュレーションゴム組成物にて被覆した1 本のビードワイヤを所望の断面形状(例えば 六角形状)になるように連続して複数回巻回 て製造される。

 ここで、図6及び7に示すように、生タイ を加硫成型する際には、加硫金型に入れて 内部に圧力Pを加えながら加熱する。生タイ は内部からの圧力によって金型に密着する この際に、ボディプライ101が変形してビー 部102が矢印Zで示すように相対的に移動する 。

 なお、図6には、理解を容易にするために 、タイヤとしてボディプライ101、ビード部102 、ビードフィラー107のみが描かれているが、 実際にはインナーライナー、サイドウォール 、トレッド等のタイヤ躯体を有する。この加 硫時には、前記圧力Pにより、ビード部102に けるボディプライ101のタイヤ内腔側の部分10 1aは、トレッドへ向かう方向(矢印X方向)へ移 させられ、外側(折り返し側)の部分101bは、 記タイヤ内腔側の部分101aとは反対の方向( 印Y方向)へ移動させられる。

 従って、このボディプライ101の移動に伴 、ビードコア104全体に対して断面略中心回 の捩り回転運動が生じるので、ビードコア1 04を形成する各ビードワイヤ100の加硫後の配 状態は、加硫前の配列状態から乱れること なる。ビードワイヤ100の配列状態に乱れが じると、タイヤのユニフォミニティを充分 高いものにすることが困難になる。

 ビードワイヤの配列の乱れを抑制する従来 術としては、図7に示すように、ビードコア 104をコードカバー106によって被覆したビード が知られている。そして、この図7に示した 来のビードにおいて、ビードコアの外周面 コードカバーをその幅端部が重なるように き付けたビードにおいて、前記コードカバ の幅端部の重ね合わせ部が、ビードコアの 径側に位置するように構成するものがある( 許文献1参照)。

特開2004-175180号公報(第3頁、図3、4)

特開平7-26067号公報(第2頁の0003~0005段落)

 しかしながら、特許文献1のビードコアに おいてはコードカバーによるビードコアの被 覆を行う工程が煩雑である問題がある。また 、コードカバーを設けた場合でもビードコア に外力が加わるとビードコア自身は変形して ビードワイヤの配列が乱れるおそれがあった 。

 ここで、タイヤのビード部は繊維や鋼線 らなるプライコードの端部を巻き付けて固 すると共に、タイヤの内周寸法を規定し、 イヤの操縦安定性を高め、ビードコア形状 設計通りに維持して、リムとのフィットネ を高める重要部分である。これら目標を達 することを目的として、製品状態において 硬度のビードフィラーやビードインシュレ ションゴム組成物が配設されている。

 ビードインシュレーションゴム組成物は ゴム硬度を高めるために、硫黄、カーボン ラックを多量に配合している。その結果、 硫後のゴム硬度としてはJIS硬度Aが90を超え ものも存在する。しかし、ビードワイヤへ ゴム被覆の工場における作業性の問題から ーボンブラックの配合量には限度があり、 許文献2に見られるように、未加硫ゴムの粘 度を抑えながら、加硫後のゴムの硬度を上げ る検討が行われている。

 タイヤの製造工程においてタイヤの性能に ぼす硬度としては、以下に示す3つの段階に おける硬度が考えられる。
 1.未加硫ゴムの室温近傍での硬度
 ゴム放置時、各工程作業初期に影響する硬 で、作業初期のゴム熱入れ作業性に影響を ぼす。
 2.未加硫ゴムの100℃近傍での硬度
 圧延、押出工程でのゴムの流動性を決める 度で、工場での製品製造上での作業性に大 く影響を及ぼす。例えば、ビードインシュ ーションゴム組成物にてビードワイヤを被 する作業を行う工程の作業性に影響を与え 。
 3.加硫後の硬度
 製品タイヤ性能に大きく影響を及ぼす。

 従来技術におけるビードインシュレーシ ンゴム組成物における硬度の検討は上述の2 .及び3.の硬度に限られており、ユニフォミニ ティや操縦安定性の向上には限界があること を本発明者らは発見した。

 つまり、未加硫時硬度の値が小さいとビ ドコアの形状が乱れ、設計形状とは異なる 状になる箇所が周方向上に幾つも存在する とで、周方向の均一性が低下して、ユニフ ミニティやリムとのフィットネスが低下す ことになると考えられる。

 本発明は上記実情に鑑み完成されたもの あり、ビードコアに適用することで、空気 りタイヤの製造工程においてビードコアの ードワイヤの配列が乱れ難いビードインシ レーションゴム組成物を提供することを解 すべき課題とする。また、そのビードイン ュレーションゴム組成物を採用したビード アをもち、ユニフォミニティに優れた空気 りタイヤ及びその製造方法を提供すること 解決すべき課題とする。

 上記課題を解決する目的で本発明者らは 意検討を行い以下の知見を得た。すなわち 製造工程中、ビードコアに捩れ方向の外力 加わるときの硬度を大きくすることで、ビ ドコアに発生する捩れの絶対量を小さくし ビードワイヤの配列乱れ発生を抑制するも である。ここで、製造工程中、ビードコア 対して捩れ方向の外力が加わるときの温度 しては生タイヤを成形後、加硫を行うこと 目的として加硫金型内にて加圧ガスを注入 るときである。従って、ビードコアの温度 室温乃至室温から僅かに加熱された程度の 度であるので、室温近傍の硬度を大きくす ものとした。

 つまり、従来技術におけるビードインシュ ーションゴム組成物は、室温における硬度 考慮することなく組成を決定しているので 成形性などを向上する目的で含有させてい 軟化剤などの影響で室温における硬度が小 くなっていた。そのため、空気入りタイヤ 製造工程においてビードコアに加わる外力 よる変形が大きくなっていた。
 このように未加硫時において室温下の硬度 適正範囲に制御した上で、ビードワイヤの 覆などの作業性を考慮して、加熱した場合 粘度を小さくすることで原料の取り扱いや ードワイヤのビードインシュレーションゴ 組成物による包囲が容易になる。

 以上説明したように、ビードワイヤを被 する工程(例えば100℃~130℃程度に加熱)にお ては軟化乃至流動化して容易にビードワイ の周りを被覆できるようにした上で、室温 近では高い硬度を保ち外力による変形を抑 し、更に高い温度での加熱によって加硫が 行する材料を採用することで、加硫初期に けるビード乱れを抑制してタイヤのユニフ ミニティを向上し、ビードワイヤの被覆を 易に行うことができ、充分な加硫により硬 が上昇して操縦安定性やリムへのフィット スが向上できる。

 本発明のビードインシュレーションゴム組 物は上記知見に基づき完成したものであり 請求項1に記載の発明においては、加硫剤を 含み加硫可能なゴム組成物であって、未加硫 時におけるJIS硬度Aが室温下70~99、加硫時にお けるJIS硬度Aが室温下90~99であって、前記ビー ドワイヤを被覆する工程での温度における未 加硫時のムーニー粘度が60以下であることを 旨とする。
 室温近傍における具体的な硬度は「JIS硬度A 」として測定された測定値である。本明細書 中における「JIS硬度A」とはJIS K6253に準じ、A 型デュロメータを用い、押針の押し込み深さ から決定される硬度である。試験試料は標準 試料を用いた。更に、本明細書中における「 室温」とは25℃を示す。
 そして、未加硫時の粘度は「ムーニー粘度 として測定された値である。本明細書にお る「ムーニー粘度」はJIS K6300-1に準じて測 した値(ML(1+4))である。つまり、L形ロータを 用い、予熱時間を1分間、ロータの回転時間 4分間、所定の試験温度での試験条件にて測 した値である。試験装置としてはSMV-201(島 製作所製)を用いた。

 請求項2に記載の発明においては、請求項1 おいて、前記ゴム組成物が、融点及び/又は 化点が室温超、前記ビードワイヤを被覆す 工程での温度未満である特性改善材料を含 ことを要旨とする。
 前記特性改善材料としては、請求項3に記載 の発明のように、質量基準で50%以上のスチレ ンを含むSBR(スチレン・ブタジエンゴム)であ スチレン高含有SBRや、請求項6に記載の発明 のように、前記特性改善材料としては熱硬化 性樹脂を例示することができる。前記スチレ ン高含有SBRは、請求項4に記載のように、構 材料のうちのゴム成分全体の質量を基準と て、30質量%以上含有させることや、請求項5 記載のように、構成材料のうちのゴム成分 体の質量を基準として50%以下含有させるこ が望ましい。

 ここで、「構成材料のうちのゴム成分全体 質量」とは本発明のビードインシュレーシ ンゴム組成物中に含有される構成材料のう でゴム成分に分類される材料の質量で判断 る。具体的には加硫促進剤、軟化剤、酸化 止剤、補強剤、充填材などの添加剤の質量 除外したもので判断する。
 上記課題を解決する請求項7に記載の本発明 の空気入りタイヤは、請求項1~6のいずれかに 記載のビードインシュレーションゴム組成物 を加硫した加硫後ビードインシュレーション ゴム組成物と、該加硫後ビードインシュレー ションゴム組成物にて包囲されるビードワイ ヤとをもつビードコアを有することを要旨と する。

 上記課題を解決する請求項8に記載の本発明 の空気入りタイヤの製造方法は、請求項1~6の いずれかに記載のビードインシュレーション ゴム組成物と該ビードインシュレーションゴ ム組成物にて包囲されたビードワイヤとから なるビードコアを形成する工程と、
 前記ビードコアをもつ生タイヤを成形する 程と、
 前記生タイヤ内に加圧ガスを注入した状態 加熱することで加硫する加硫工程とを有す 空気入りタイヤの製造方法であって、
 前記生タイヤ成形工程後、前記加硫工程前 、前記ビードインシュレーションゴム組成 が軟化する温度以上、前記加硫が進行する 度未満に加熱しながら該生タイヤ内に前記 圧ガスを注入する工程を有することを要旨 する。

 請求項1に係るビードインシュレーション ゴム組成物は、未加硫時、室温における硬度 を大きくしているので、製造工程時における ボディプライなどの変形によりビードコアに 捻り方向の外力が加わってもビードワイヤの 配列に対する影響が少なくなって、ビードコ アが本来発揮すべき性能が発揮できるように なる。また、加硫後の硬度も適正にすること で最終的に空気入りタイヤに適用した場合に 充分に高い性能を発揮することができる。更 に前記ビードワイヤを被覆する工程での温度 における未加硫時のムーニー粘度が60以下で ることにより、未加硫時におけるビードワ ヤ製造工程におけるワイヤへの被覆操作に ける作業性に優れることになる。

 請求項2に係るビードインシュレーションゴ ム組成物は、前記ゴム組成物が、融点及び/ は軟化点が室温超、前記ビードワイヤを被 する工程での温度未満である特性改善材料 含むことを要旨とすることで、ビードコア 発生する捩れ低減と被覆操作における作業 とを両立することができる。
 請求項3に係るビードインシュレーションゴ ム組成物は、請求項2に係るビードインシュ ーションゴム組成物における前記特性改善 料が、質量基準で50%以上のスチレンを含むSB Rであるスチレン高含有SBRであるので、空気 りタイヤに採用されるゴム成分との間にお る親和性に優れており、信頼性が高い空気 りタイヤを提供できる。

 請求項4に係るビードインシュレーションゴ ム組成物は、前記スチレン高含有SBRが構成材 料のうちのゴム成分全体の質量を基準として 、30質量%以上含有することで、加硫前後の室 温における硬度を適正な範囲に制御すること ができる。更に、請求項5に係るビードイン ュレーションゴム組成物は、前記スチレン 含有SBRを含有させる量の上限を全体の質量 基準として50%以下にすることで、充分な効 が発揮できる硬度を保ちながら適度な柔軟 を保つことが可能になる。
 また、請求項6に記載のビードインシュレー ションゴム組成物は、前記特性改善材料が熱 硬化性樹脂であるので、室温における未加硫 時硬度と被覆作業時におけるムーニー粘度と を両立できるばかりではなく、加硫後に熱硬 化性樹脂自身も硬化させることで、加硫後硬 度を制御できる幅が大きくなる。

 請求項7に係る空気入りタイヤは、請求項 1~6のいずれかに係るビードインシュレーショ ンゴム組成物を加硫した加硫後ビードインシ ュレーションゴム組成物と、該加硫後ビード インシュレーションゴム組成物にて包囲され るビードワイヤとをもつビードコアを有する ことで、その製造過程において生ずるビード ワイヤの配列乱れ発生が低減され、設計され た所望の性能の実現が可能になる。

 請求項8に係る空気入りタイヤの製造方法は 、請求項1~6のいずれかに係るビードインシュ レーションゴム組成物と該ビードインシュレ ーションゴム組成物にて包囲されたワイヤと からなるビードコアを形成する工程と、
 前記ビードコアをもつ生タイヤを成形する 程と、
 前記生タイヤ内に加圧ガスを注入した状態 加熱することで加硫する加硫工程とを有す 空気入りタイヤの製造方法であって、
 前記生タイヤ成形工程後、前記加硫工程前 、前記ビードインシュレーションゴム組成 が軟化する温度以上、前記加硫が進行する 度未満に加熱しながら該生タイヤ内に前記 圧ガスを注入する工程を有することで、そ 製造過程において生ずるビードワイヤの配 乱れ発生が低減され、設計された所望の性 の実現が可能になる。

本実施形態における空気入りタイヤの 実施形態を示す断面図である。 ビード部におけるビードコアに外力が わる機構を示した概念模式図である。 本実施例におけるユニフォミニティの 加硫時硬度依存性を示すグラフである。 本実施例におけるユニフォミニティの 加硫時硬度依存性を示すグラフである。 本実施例におけるビードワイヤの配列 れの未加硫時硬度依存性を示すグラフであ 。 従来技術におけるビードワイヤの配列 れが生ずる機構を示す概念模式図である。 従来技術におけるビードワイヤの配列 れが生ずる機構を示す概念模式図である。

符号の説明

  11…空気入りタイヤ(ラジアルタイヤ)、1 2…トレッド部、13…サイドウォール部、14… ード部、15…リム、15a…リムフランジ、16… ボディプライ、17…ベルト、18…キャップベ ト、19…ショルダプライ、21…ビードフィラ 、23…ビードワイヤ、30…ビードコア

 (ビードインシュレーションゴム組成物)
 以下、本発明のビードインシュレーション ム組成物について実施形態に基づき詳細に 明する。本実施形態のビードインシュレー ョンゴム組成物は空気入りタイヤのビード アにおけるビードワイヤを包囲してビード イヤの間の間隙を充填する部材である。
 本実施形態のビードインシュレーションゴ 組成物は加硫可能なゴム組成物であり加硫 を含む。含有されているゴム成分としては に限定しないが、天然ゴム、SBR、ブタジエ ゴム、イソプレンゴム、ハロゲン化ブチル ム(ハロブチルゴム)、架橋ポリエチレンゴ 、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが例示 き、これらのゴム成分を1種で又は2種以上混 合して用いることができる。加硫剤としては 特に限定されず、硫黄や、過酸化物などの一 般的な加硫剤を採用可能である。更に、加硫 促進剤、軟化剤、酸化防止剤、補強剤、充填 材などの添加剤を含有させることができる。

 そして、未加硫時におけるJIS硬度A(以下、 未加硫時硬度」と称する)が室温下で70以上 あり75以上更には78超であることが望ましい そして、未加硫時硬度は取扱性向上の観点 ら99以下であり、95以下であることが望まし く、93以下であることがより望ましく、90以 であることが更に望ましい。加硫後のJIS硬 A(以下、「加硫後硬度」と称する)が90~99であ り、95以下であることが望ましい。
 そして、ビードワイヤを被覆する工程での 度における未加硫時のムーニー粘度が60以 である。ムーニー粘度がこれらの範囲内に ると、ビードワイヤへの被覆作業性が高く る。ここで、被覆作業を行う温度としては 温超、加硫温度未満であれば特に限定しな が、ゴム焼けなどの問題を避けるために110 以下の温度範囲にて被覆作業を行うことが ましい。更に、ムーニー粘度は58以下、55以 にすることもできる。ムーニー粘度がこの 囲内であると、優れた成形性を示す。

 室温下における未加硫時硬度及び加硫後 度を適正な範囲に制御する方法としては特 限定しないが、ビードインシュレーション ム組成物中に融点及び/又は軟化点(以下、 融点等」と称する)が室温超、加硫温度未満( 望ましくはビードワイヤを被覆する工程での 温度未満、例えば70℃未満)である特性改善材 料を含ませることでも実現できる。つまり、 この特性改善材料は単なる軟化剤とは異なり 、室温においては軟化させる作用は発揮せず 、室温においては融点などに達していないの で高い硬度を保つことができ、加熱すること で融点などに到達して柔らかくなって被覆の 作業性が向上する。ここで、70℃とは未加硫 における成型操作を行う温度の下限として 定される温度である。例えば、ビードイン ュレーションゴム組成物にてビードワイヤ 包囲するときの成形操作を行う温度として1 10℃を採用することができる。

 特性改善材料としてはスチレンの含有量が いSBR(本明細書においては、「スチレン高含 有SBR」と称する)であるスチレン高含有SBRや 硬化性樹脂が例示される。
 スチレン高含有SBRは、SBRにおける共重合体 成のうち、スチレンの含有量を高くしたこ で融点以下の温度である室温下における硬 が向上できる。スチレン高含有SBRは空気入 タイヤを構成するゴム組成物との親和性が い上、空気入りタイヤに要求される特性を するので望ましい。

 スチレン高含有SBRは、例えば、全体の質量 基準としてスチレンを50%以上含有する(望ま しくは60%以上、更に望ましくは80%以上)もの ある。スチレン高含有SBRは組成物に含まれ ゴム成分全体の質量を基準として30%以上(更 は40%以上)含有させることが望ましい。スチ レン高含有SBRの含有量の上限としては特に限 定しないが、組成物全体の質量を基準として 50%程度を採用することができる。50%程度以下 の含有量であっても室温下の未加硫時硬度を 充分に高いものにすることができるからであ る。
 熱硬化性樹脂は特に限定されないが、特に 硫時の加熱により硬化する材料、すなわち 熱硬化温度が加硫操作を行う温度以下の温 である熱硬化性樹脂を採用することが望ま い。加硫時に硬化する熱硬化性樹脂を採用 ることで、加硫後の安定性、耐久性などが 上できる。更には、ビードワイヤを包囲す ときなどのような、未加硫時の成型操作時 どにおいては硬化が進行しないように、硬 温度がその成型操作時の温度よりも高い熱 化性樹脂を採用することが望ましい。熱硬 性樹脂の種類としては特に限定されないが フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン 脂、ユリア樹脂、ポリウレタンなど一般的 熱硬化性樹脂から融点を考慮して選択する とができる。特にフェノール樹脂を採用す ことが望ましく、例えば、ノボラック型フ ノール樹脂、ノボラック型クレゾール樹脂 ノボラック型レゾルシン樹脂が挙げられる

 特性改善材料としては、スチレン高含有SBR 熱硬化性樹脂を採用する以外にも、室温下 おける未加硫時硬度を大きくする目的を実 するにはブタジエンと一般的な熱可塑性樹 を構成する単量体との共重合体を採用する とも考えられる。
 これらの特性改善材料は単独で本実施形態 ビードインシュレーションゴム組成物中に ませることが可能であるほか、複数種類を 合して含ませることも可能である。
 (空気入りタイヤ及びその製造方法)
 本発明の空気入りタイヤについて、空気入 ラジアルタイヤに係る実施形態に基づき以 詳細に説明する。図1に示すように、本実施 形態の空気入りラジアルタイヤ11は、ボディ ライ16に沿ってトレッド部12と、そのトレッ ド部12の両端部のそれぞれに連なりサイド部 構成するサイドウォール部13と、そのサイ ウォール部13のタイヤ内径側に連なるビード 部14とを備えている。そして、このラジアル イヤ11は両側のビード部14において、車両の ホイールのリム15のリムフランジ15aに嵌合装 されるようになっている。

 トレッド部12は、スチールコードよりなる2 のベルト17及び周方向に巻回添着された1枚 キャップベルト18を配置することによって 強されている。
 また、トレッド部12の両側のショルダ部は ショルダプライ19を周方向に巻回添着するこ とによって補強されている。両ビード部14に ビードコア30が埋設配置され、そのビード ア30は、上述の本実施形態のビードインシュ レーションゴム組成物にて被覆されたビード ワイヤ23を内径側から3回、4回、5回、4回、そ して3回の順に巻回積層して断面六角形とし ものである。
 ビードワイヤ23は鋼線の周囲に上述したビ ドインシュレーションゴム組成物を被覆し ものである。この被覆作業は室温超、加硫 度未満に加熱して行う。例えば、ビードイ シュレーションゴム組成物を鋼線と共に押 出し成型することで被覆作業を行うことが きる。
 各ビードコア30のタイヤ外径側には硬質ゴ よりなる断面ほぼ三角形状のビードフィラ 21が添着配置されている。そして、ボディプ ライ16の両端部がビードコア30及びビードフ ラー21の外周面に沿って折り返されて、ボデ ィプライ16によりビード30が包被されている

 さて、加硫が行われる前には、図2に示すよ うに、加硫金型(図略)に生タイヤを入れ、加 しながら生タイヤ内部に圧力Pが加えられる (加圧ガス注入工程)と共に、矢印Cで示すよう に、全体がタイヤ形状をなすようにビード部 14(ビードコア30)が狭められる。なお、図2に いてはボディプライ16とビード部14との記載 省略して示している。
 従って、ビード部14が矢印Cで示す方向に移 すると共に、ビード部14におけるボディプ イ16のタイヤ内腔側の部分16aは、トレッド部 12へ向かう方向(矢印A方向)へ移動させられる このため、ボディプライ16の外側(折り返し )の部分16bは前記タイヤ内腔側の場合とは反 対の方向(矢印B方向)へ移動させられる。従っ て、このボディプライ16の移動に伴い、ビー コア30に断面略中心回りに捩り回転運動が じる。

 しかしながら、ビードコア30を構成する 材のうちのビードインシュレーションゴム 成物の未加硫時硬度が高いので変形が抑制 れてビードワイヤ23の配列状態の乱れ発生が 防止できる。その後、生タイヤを加熱するこ とで加硫が完了する(加硫工程)。

(ビードインシュレーションゴム組成物の調 )
 表1に示す組成にて種々のゴム組成物を常法 にて調製し各試験例のビードインシュレーシ ョンゴム組成物とした。それぞれ各試験例の ビードインシュレーションゴム組成物には、 更に、カーボンブラック(シーストSO、東海カ ーボン製)を100質量部、軟化剤を25質量部、炭 酸カルシウムを25質量部、タルクを10質量部 ステアリン酸を2質量部、亜鉛華を5質量部、 加硫化剤としての硫黄を8質量部、加硫促進 を1質量部を添加した。なお、試験例10のビ ドインシュレーションゴム組成物が従来技 の組成を示す。
 ここで、ハイスチレンSBRとはスチレン高含 SBRの1つであり、ハイスチレンSBR(1)が日本ゼ オン製、Nipol2057SS(スチレン含有量65%)、ハイ チレンSBR(2)が日本ゼオン製、Nipol2007J(スチレ ン含有量85%)である。熱硬化性樹脂(3)とは、 ミライトレジンPR217(住友ベークライト製;フ ノール樹脂)を用いた。表1に示す組成はす て質量部である。

(試験及び結果)
・ユニフォミニティ:RFV値(低速UNIF及び高速UNI F)の測定
 自動車規格JASO C607の「自動車タイヤのユニ フォミニティ試験方法」に準じて測定した。 具体的には各試験例のビードインシュレーシ ョンゴム組成物にて被覆したビードワイヤを 用いて製造したビードコアを用いて製造した タイヤサイズ215/45ZR17の空気入りラジアルタ ヤについて試験を行った。試験条件として 内圧0.2MPa、荷重1903N、速度7km/h(低速UNIF)、128k m/h(高速UNIF)とした。

・加硫前後のJIS硬度Aの測定
 未加硫時硬度は調製したビードインシュレ ションゴム組成物に対して加硫を行う前に 定を行い、加硫後硬度は調製したビードイ シュレーションゴム組成物を空気入りタイ の製造時と同様の条件にて加硫した後のビ ドインシュレーションゴム組成物について 定を行った。
 測定方法としてはJIS K6253に準じ、A型デュ メータを用い、押針の押し込み深さから決 した。試験装置としてはA型硬度計(ASKER製)を 用い、測定温度は室温(25℃)とした。
・ビード部におけるビードワイヤ配列の乱れ
 ユニフォミニティ試験と同様の空気入りラ アルタイヤについて、ビード部の断面を4箇 所目視にて観察を行った。設計値通りのビー ドワイヤの配列が実現される場合には5、従 技術(試験例10)のビードインシュレーション ム組成物を採用した空気入りラジアルタイ における配列乱れを1として5段階にて評価 た。

・ムーニー粘度の測定
 各試験例のビードインシュレーションゴム 成物について未加硫時に測定を行った。具 的には、JIS K6300-1に準じて測定した値(ML(1+4 )130℃)を採用した。試験装置としてはSMV-201( 津製作所製)を用いた。
 測定結果を表2並びに図3~5に示す。

 表2より明らかなように、本試験例のビード インシュレーションゴム組成物はすべて適正 なムーニー粘度を有しており、ビードワイヤ の被覆作業が容易であった。また、加硫後硬 度としては従来技術のビードインシュレーシ ョンゴム組成物(試験例10)よりも大きな値を しており、空気入りタイヤに適用可能な充 な硬度を発揮できることが分かった。特に 試験例1~9、11及び12は加硫後硬度が90以上と 常に大きな値を示した。
 表2並びに図3~5より明らかなように、未加硫 時硬度の値とユニフォミニティ及びビードワ イヤ配列との間には良い相関が認められた。 加硫後硬度及びムーニー粘度と各測定値との 間には未加硫時硬度のような顕著な相関が認 められなかった。

 図3及び4より明らかなように、未加硫時硬 の値が大きいほどユニフォミニティ性に優 ることが分かった。低速UNIFにおいては未加 時硬度の値が70付近に臨界値が存在するこ が明らかであり、未加硫時硬度の値が70以上 (更には75以上)になるとユニフォミニティ性 優れることが分かった。同様に、高速UNIFに いても未加硫時硬度の値が70付近と78付近に 臨界値が存在することが明らかであり、未加 硫時硬度の値が70以上(更には78超)になるとユ ニフォミニティ性が優れることが分かった。
 この要因としては、図5より明らかなように 、未加硫時硬度の値とビードワイヤ配列の乱 れの大きさの値との関係が、ほぼ直線的であ ることが挙げられる。つまり、未加硫時硬度 の値が大きくなるとビードワイヤの配列乱れ が少なくなって設計通りの配列に近づくこと で、ビード部とリムとの密着性が向上してユ ニフォミニティが向上するものと考えられる 。

 ここで、ユニフォミニティの値が望ましい 囲となった未加硫時硬度の値が70以上の範 を示す試験例は、試験例1~9であった。試験 1~9の組成から明らかなように、スチレン高 有SBR及び熱硬化性樹脂の配合量は樹脂由来 成分(天然ゴム、SBR1500、ハイスチレンSBR(1)及 び(2)、熱硬化性樹脂)の質量を基準として、30 質量%(以下「PHR」と称する)以上であることが 望ましいことが分かった。
 その中でも、試験例2、3、4及び9は、未加硫 時硬度の値が90~95と非常に大きくユニフォミ ティ性に非常に優れることが明らかになっ 。この中でも試験例2及び3は未加硫時硬度 値が90と未加硫時における取扱性にも優れて いた。
 つまり、ハイスチレンSBR(1)は40PHR含有させ ことが望ましく、ハイスチレンSBR(2)は30PHR含 有させることが望ましいことが分かった。両 者の適正含有量の相違はそれぞれのスチレン 含有量が異なることに起因するものと考えら れる。つまり、ハイスチレンSBR(2)がハイスチ レンSBR(1)よりもスチレンを多く含有すること からスチレン含有の硬化が低い量から発揮さ れたものと考えられる。

 また、試験例7及び8の結果から分かるよう 、ハイスチレンSBRは熱硬化性樹脂と合わせ 使用する場合であっても30PHR以上含有させる ことでユニフォミニティ性に優れることが分 かった。
 なお、ハイスチレンSBR(1)を30質量部PHR含有 せている試験例1ではユニフォミニティ性に れ且つ高い未加硫時硬度を示すのに対して ハイスチレンSBR(1)を20PHRしか含有しない試 例11では未加硫時硬度の値が65となり充分な ニフォミニティ性を得られなかった。また ハイスチレンSBR(1)が10PHR、熱硬化性樹脂(3) 10PHRで合わせて20PHR含有させている試験例14 も未加硫時硬度の値が60になって充分なユニ フォミニティ性を得られなかった。

 ハイスチレンSBR(2)及び熱硬化性樹脂につ ても同様であって、ハイスチレンSBR(2)を20PH Rしか含有しない試験例12、熱硬化性樹脂(3)を 約17PHRしか含有しない試験例13はいずれも未 硫時硬度の値が70未満になって充分なユニフ ォミニティ性を得られなかった。