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Title:
BEARING PRELUBRICATED WITH FOAMED SOLID LUBRICANT AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146837
Kind Code:
A1
Abstract:
A bearing prelubricated with a foamed solid lubricant which holds a lubricating oil and has excellent lubricity. The bearing has a long life, can be operated even at high rotation speeds, and is free from lubricant leakage. It can be prevented or inhibited from making an abnormal noise. It can be produced through relatively simplified production steps and is effective in coping with a desire for cost reduction. The bearing prelubricated with a foamed solid lubricant comprises a bearing (31) and a foamed solid lubricant (37) enclosed in an inner part thereof. The foamed solid lubricant (37) is one obtained by foaming and curing a mixture comprising a lubricating ingredient, a resin ingredient, a hardener, and a blowing agent and has been enclosed in a space within the bearing. The foamed solid lubricant has an expansion ratio of 1.1-20, excluding 20, and a shrinkage on foam molding of 5% or lower.

Inventors:
HIMENO YOSHIHIDE
KOHARA MIKA
YAGI TAKASHI
Application Number:
PCT/JP2008/059804
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NTN TOYO BEARING CO LTD (JP)
HIMENO YOSHIHIDE
KOHARA MIKA
YAGI TAKASHI
International Classes:
C10M169/04; C10M101/02; C10M107/02; C10M149/14; C10M169/00; F16C33/66; C10N20/00; C10N20/06; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/02; C10N50/08; C10N50/10; C10N70/00
Domestic Patent References:
WO2006046773A12006-05-04
Foreign References:
JPH0942297A1997-02-10
JPS62241997A1987-10-22
JP2005351373A2005-12-22
Attorney, Agent or Firm:
WAKI, Misao (Toin-choInabe-gun, Mie 33, JP)
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Claims:
 潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合物を発泡・硬化させてなる発泡固形潤滑剤が軸受内部空間に封入された発泡固形潤滑剤封入軸受であって、
 前記発泡固形潤滑剤の発泡倍率が 1.1 倍以上 20 倍未満であり、かつ発泡成形収縮率が 5%以下であることを特徴とする発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記発泡固形潤滑剤は、80.3 gf の力を連続して加え 5 時間経過したときの、油分離率が 1%以上 15%以下であることを特徴とする請求項1記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記発泡固形潤滑剤は、日本工業規格K6400に準じて測定される引張強さが 50 kPa 以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記発泡固形潤滑剤は、連続気泡率が 50%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記潤滑成分は炭化水素系潤滑油および炭化水素系グリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、
 前記樹脂成分は分子内に水酸基を有する液状ゴムであり、該液状ゴムは高分子主鎖が炭化水素から構成され、該主鎖末端に水酸基価が 25~110 mgKOH/g となる量の水酸基を有する液状ゴムであり、
 前記硬化剤は分子内にイソシアネート基を有する有機化合物であり、
 前記発泡剤は水であり、
 前記液状ゴムと前記硬化剤との割合は、前記液状ゴムに含まれる水酸基と前記硬化剤に含まれるイソシアネート基とが当量比で(OH/NCO)=1/( 1.0~2.0 )の範囲であり、
 前記混合物は、混合物全体に対して、前記潤滑成分を 40~80 重量%、前記液状ゴムを 5~45 重量%含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記液状ゴムがブタジエンもしくはイソプレンの重合体の主鎖末端に水酸基を有する数平均分子量 1000~3500 の水酸基末端ジエン系重合体、または該ジエン系重合体を水添処理した変性水酸基末端ジエン系重合体であることを特徴とする請求項5記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記分子内にイソシアネート基を持つ有機化合物は、分子内に2個以上のイソシアネート基を有し、イソシアネート基の割合が 2.5~5.0 NCO%からなるプレポリマーか、または芳香族ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項5または請求項6記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記潤滑成分は潤滑油およびグリースから選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であり、
 前記樹脂成分は分子内にイソシアネート基を 2 重量%以上 6 重量%未満含有するウレタンプレポリマーであり、
 前記発泡剤は水であり、
 前記混合物は、混合物全体に対して、前記潤滑成分を 30~70 重量%含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレタンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタンプレポリマー、およびエーテル系ウレタンプレポリマーから選ばれた少なくとも1つのウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項8記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記イソシアネート基と、該イソシアネート基と反応する前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1~2.5)の範囲であることを特徴とする請求項8または請求項9記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記水の水酸基と、前記硬化剤の官能基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官能基)=1/(0.7~2.0)の範囲であることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか一項項記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記芳香族ポリアミノ化合物がアミノ基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリアミノ化合物であることを特徴とする請求項12記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記発泡固形潤滑剤封入軸受が内輪と、外輪と、これら内・外輪の軌道間に組み込んだ複数の転動体とを備え、前記内・外輪と前記転動体とに囲まれた軸受空間に発泡固形潤滑剤を封入してなり、被写体の周囲を回転する回転架台を回転自在に支持するCTスキャナ用転がり軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれか一項記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 前記発泡固形潤滑剤は、少なくとも前記転動体を保持する保持器の外径面と前記外輪の内径面との間に封入されていることを特徴とする請求項14記載の発泡固形潤滑剤封入軸受。
 潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む成分を混合する混合工程と、この混合工程で得られる混合物が発泡硬化する前に軸受内部に封入する工程と、封入後に軸受内部空間にて発泡・硬化させる工程とを備えることを特徴とする請求項5または請求項8記載の発泡固形潤滑剤封入軸受の製造方法。
Description:
発泡固形潤滑剤封入軸受および の製造方法

 本発明は発泡固形潤滑剤封入軸受および の製造方法に関する。

 一般に、自動車や産業用機械に代表され ようなほとんどの機械の摺動部や回転部に いて潤滑剤が使用されている。通常、転が 軸受は、その内部にグリースを充填して転 体と軸受内外輪および保持器相互の摩擦面 潤滑しており、充填されたグリースが外部 流出しないように、また、その内部へ塵や 分等が侵入しないように、シール等の密封 置が設けられている。しかし、密封装置付 の転がり軸受であっても、グリースを完全 密封することは困難であり、長時間使用す と徐々に流出したり、軸受内に外部から侵 した水分によってグリースが徐々に劣化す ことがある。このようなグリースの密封不 および劣化防止に関する問題点を解決する く、潤滑油を増ちょうさせて保形性を持た たグリースや、液体潤滑剤を保持してその 散や垂れ落ちを防止できる固形潤滑剤も知 れている。

 例えば、潤滑油やグリースに、超高分子量 リオレフィン、またはウレタン樹脂および の硬化剤を混合し、樹脂の分子間に液状の 滑成分を保持させて徐々に滲み出る物性を たせた固形潤滑剤が知られている(特許文献 1~特許文献3参照)。
 また、潤滑剤の存在下でポリウレタン原料 あるポリオールとジイソシアネートとを潤 成分中で反応させた自己潤滑性のポリウレ ンエラストマーが知られている(特許文献4 照)。
 また、樹脂成分である固形成分を発泡体化 、これに潤滑油を後含浸させ、軸受内部の 擦接触部の近傍に設ける含油発泡体が知ら ている(特許文献5参照)。

 これらの固形潤滑剤は、軸受に封入して固 させると、潤滑油を徐々に滲み出させるも であり、これを用いると潤滑油の補充のた のメンテナンスが不要になり、水分の多い しい使用環境や強い慣性力の働く環境など も軸受寿命の長期化に役立てることを狙っ ものである。
 一方、ポリオール成分とイソシアネート成 とで生成されるポリウレタン樹脂内に潤滑 を含ませた潤滑性組成物が知られている(特 許文献6~特許文献8参照)。
 また、瀝青などによる油展が可能な原料と て水酸基末端ポリジエン化合物がこれまで 報告されている。(特許文献9参照)

 しかしながら、上記した従来技術による固 潤滑剤を充填した転がり軸受では、寿命が い、高速回転においては焼きつきやすい、 して発熱が大きくなるために母材である樹 成分が溶融してしまうために使用できない いう問題がある。また、フルパック仕様に いては、前述固形潤滑剤を軸受内で固化さ た後冷却する過程において、加熱条件によ ては硬化中に固形潤滑剤が収縮し、固形潤 剤自身が転動体を抱きこんでしまい、軸受 動時の回転トルクが大きくなりやすく発熱 やすいという問題点がある。また、使用す 軸受の使用条件によっては回転時の遠心力 よって固形潤滑剤が軸受外輪側に変形して まい、適切に潤滑剤が供給されない場合が る。
 また、このような固形潤滑剤を製造する工 では、潤滑油やグリースを確実に含浸させ ために多くの製造工程が必要になり、これ は低コスト化の要求に応えることも困難で る。
 ここでいうフルパック仕様とは固体潤滑剤 軸受の内部空間に隙間無く充填したものを う。

 医療機器の一種であるCTスキャナ装置の 例を図7に示す。CTスキャナ装置では、X線管 置61で発生したX線を、その強度分布を一様 するウェッジフィルタ62および強度分布を 限するスリット63を介して被写体64に照射す 。被写体64を通過したX線は検出器65で受け れ、電気信号に変換してコンピュータ(図示 略)に送られる。X線管装置61、ウェッジフィ ルタ62、スリット63、検出器65などの各部品は 、軸受51を介して固定架台66に回転自在に支 された略円筒状の回転架台67に装着され、こ の回転架台67の回転に伴って被写体64の周囲 回転する。このように、向かい合ったX線管 置61と検出器65を被写体64まわりに回転させ ことによって、被写体64の検査断面内のあ ゆる点のすべての角度をカバーする投影デ タを取得し、これらのデータから予めプロ ラムされた再構成プログラムにより断層画 を得る。

 CTスキャナ装置においては、固定架台66の 内周面が被写体64が入る程度の、概ね直径 1 m 程度の大径に形成されるため、固定架台66 と回転架台67の間の軸受51には、直径に対し 断面が著しく小さい、超薄肉形のCTスキャナ 用転がり軸受が使用される。

 上記CTスキャナ装置に用いられる超薄肉 の転がり軸受51の断面構造の一例を図8に示 。この軸受51は、リング状の外輪53と、外輪5 3の内周側に同心配置した同じくリング状の 輪52と、外輪53と内輪52との間に転動自在に 在させた転動体(玉)54と、玉54を円周方向等 隔に保持するための保持器55と、軸受の両端 開口部を密封するためのシール部材56a、56bと を主な構成要素としている。シール部材56a、 56bは内輪52との摺動によるトルク増大を防止 るために、内輪52と接するシールリップは けずラビリンス構造としている。このため 軸受内のグリースが漏れ出し周辺環境を汚 する可能性がある。使用される環境は病院 の医療現場であり、グリースの漏れによる 写体や周辺機器への汚染は人的な不快感を い、クリーンであるべき医療現場のイメー に甚大な悪影響を及ぼす。

 また、CTスキャナ装置用の超薄肉形の転 り軸受には、低騒音、低トルクが望まれる とから保持器として樹脂製のものが多用さ ている。この樹脂製保持器は、例えば図9に すように、複数の円弧状のセグメントを環 に連結したもので、隣り合ったセグメント うしが端部にて凹凸嵌合している。

 また、軸受の内部すきまや使用条件によ ては転動体の進み遅れが発生するため、保 器の挙動が不安定になり、保持器が軌道輪 接触して発する擦れ音や、非接合部のセグ ントが軌道輪を叩く打音などが発生する。 速で回転し静粛性が求められるCTスキャナ に使用される軸受ではこのような擦れ音も 題となる。

 保持器廻りの異音の発生を防止する方法に いては、所定の樹脂材料や、所定の構造を する保持器を用いる方法が知られている(特 許文献10~特許文献12参照)が、CTスキャナ装置 しては検出精度や検出速度を向上させるた に軸受の回転速度は従来の 60 rpm 程度か  200~300 rpm に増加させることが要求されて り、これらの方法ではその効果は十分であ とはいえない。

特開平6-41569号公報

特開平6-172770号公報

特開2000-319681号公報

特開平11-286601号公報

特開平9-42297号公報

特開昭60-173010号公報

特開昭62-241997号公報

特開平8-3259号公報

特開昭58-189243号公報

特開2004-19921号公報

特開2006-266458号公報

特開2006-300183号公報

 本発明は、このような問題点に対処するた になされたものであり、潤滑油を保持する 形潤滑剤の潤滑性能に優れ、長寿命で高速 転でも運転が可能であるとともに、潤滑剤 漏れがなく、かつ異音の発生を防止または 制することができる発泡固形潤滑剤封入軸 、およびその製造方法の提供を目的とする
 他の目的は、CTスキャナ装置用転がり軸受 も適用可能であり、製造工程を比較的簡単 することができ、低コスト化の要望に応じ る発泡固形潤滑剤封入軸受、およびその製 方法の提供である。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受は、潤滑 分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを む混合物を発泡・硬化させてなる発泡固形 滑剤が軸受内部空間に封入されてなり、上 発泡固形潤滑剤の発泡倍率が 1.1 倍以上 2 0 倍未満であり、かつ発泡成形収縮率が 5% 下であることを特徴とする。
 また、上記発泡固形潤滑剤の特性が、上記 性に加え、(1)80.3 gf の力を連続して加え 5  時間経過したときの、油分離率が 1%以上 1 5%以下である、(2)日本工業規格K6400に準じて 定される引張強さが 50 kPa 以上である、お よび/または(3)連続気泡率が 50%以上であるこ とを特徴とする。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受に使用で る第1の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分が 炭化水素系潤滑油および炭化水素系グリース から選ばれた少なくとも1つの潤滑成分であ 、上記樹脂成分が分子内に水酸基を有する 状ゴムであり、該液状ゴムは高分子主鎖が 化水素から構成され、該主鎖末端に水酸基 が 25 mgKOH/g~110 mgKOH/g となる量の水酸基を する液状ゴムであり、上記硬化剤が分子内 イソシアネート基を有する有機化合物であ 、上記発泡剤が水であり、上記液状ゴムと 記硬化剤との割合は、液状ゴムに含まれる 酸基と硬化剤に含まれるイソシアネート基 が当量比で(OH/NCO)=1/( 1.0~2.0 )の範囲であり 上記混合物は、混合物全体に対して、上記 滑成分を 40 重量%~80 重量%、上記液状ゴム を 5 重量%~45 重量%含むことを特徴とする。
 また、上記液状ゴムがブタジエンもしくは ソプレンの重合体の主鎖末端に水酸基を有 る数平均分子量 1000~3500 の水酸基末端ジエ ン系重合体、または該ジエン系重合体を水添 処理した変性水酸基末端ジエン系重合体であ ることを特徴とする。
 また、上記分子内にイソシアネート基を持 有機化合物は、分子内に2個以上のイソシア ネート基を有し、イソシアネート基の割合が  2.5 NCO%~5.0 NCO%からなるプレポリマーか、ま たは芳香族ポリイソシアネートであることを 特徴とする。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受に使用で る第2の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分が 潤滑油およびグリースから選ばれた少なくと も1つの潤滑成分であり、上記樹脂成分が分 内にイソシアネート基を 2 重量%以上 6 重 量%未満含有するウレタンプレポリマーであ 、上記発泡剤が水であり、上記混合物は、 合物全体に対して、上記潤滑成分を 30 重 %~70 重量%含むことを特徴とする。また、上 ウレタンプレポリマーは、エステル系ウレ ンプレポリマー、カプロラクトン系ウレタ プレポリマー、およびエーテル系ウレタン レポリマーから選ばれた少なくとも1つのウ レタンプレポリマーであることを特徴とする 。
 また、上記イソシアネート基と、該イソシ ネート基と反応する硬化剤の官能基との割 が当量比で(硬化剤の官能基/NCO)=1/(1.1~2.5)の 囲であることを特徴とする。
 また、上記水の水酸基と、上記硬化剤の官 基との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤 官能基)=1/(0.7~2.0)の範囲であることを特徴と る。
 また、上記硬化剤が芳香族ポリアミノ化合 であることを特徴とする。
 また、上記芳香族ポリアミノ化合物がアミ 基の隣接位に置換基を有する芳香族ポリア ノ化合物であることを特徴とする。

 上記発泡固形潤滑剤封入軸受は内輪と、外 と、これら内・外輪の軌道間に組み込んだ 数の転動体とを備え、上記内・外輪と上記 動体とに囲まれた軸受空間に発泡固形潤滑 を封入してなり、被写体の周囲を回転する 転架台を回転自在に支持するCTスキャナ用 がり軸受であることを特徴とする。
 また、上記発泡固形潤滑剤は、少なくとも 記転動体を保持する保持器の外径面と前記 輪の内径面との間に封入されていることを 徴とする。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受の製造 法は、潤滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と 発泡剤とを含む成分を混合する混合工程と この混合工程で得られる混合物が発泡硬化 る前に軸受内部に封入する工程と、封入後 軸受内部空間にて発泡硬化させる工程とを えることを特徴とする。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受は、発 固形潤滑剤が軸受内部空間に封入され、発 倍率が 1.1 倍以上 20 倍未満であり、かつ 発泡成形収縮率が 5%以下であり、また、上 特性に加え、(1)80.3 gf の力を連続して加え 5 時間経過したときの油分離率が 1%以上 15 %以下である、(2)日本工業規格K6400に準じて測 定される引張強さが 50 kPa 以上である、お び/または(3)連続気泡率が 50%以上であるの 、起動時の回転トルクおよび遠心力による 滑剤の供給不足を抑えることができる。

 また、本発明で用いる発泡固形潤滑剤は 潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸 される。このため、本発明の発泡固形潤滑 封入軸受は、発泡固形潤滑剤中の潤滑成分 保持量が単なる気孔内の含浸による保持量 りも多くなるとともに、運転時において発 固形潤滑剤中より転動体周囲等に潤滑油が 放されるので、軸受潤滑に必要な最小限の にすることができ、軸受外部に漏れ出すこ がなく、高速回転でも運転が可能であり、 寿命に寄与することができる。なお、本発 において「吸蔵」とは、液体・半固体状の 滑成分が他の配合成分と反応することなく 固体の樹脂中に化合物にならないで含まれ ことをいう。

 また、封入された発泡固形潤滑剤は、保 器を含めて、内・外輪と転動体とに囲まれ 軸受空間を全体にわたって埋め尽くしてい ので、音の吸収、軸受外への音の伝播を遮 でき軸受の静音性を保つことができる。

 また、発泡固形潤滑剤を封入することで、 走面近くに潤滑剤が存在できグリース潤滑 比較してより潤滑剤が転走面に供給されや い。また、外部からの塵・水分等の侵入に してはシール部材の役割をも果たす。その 、多孔質な部分を多く持つので、軸受の軽 化の点でも有利である。
 本発明の製造方法は、組み立て後に潤滑剤 封入する必要がないので、生産効率が向上 、安価に製造できる。

本発明の他の実施例に係るラジアル玉 受(シール部材なし)への封入例を示す模式 である。 本発明の他の実施例に係るラジアル玉 受(シール部材付き)への封入例を示す模式 である。 本発明の他の実施例に係るスラスト玉 受(シール部材なし)への封入例を示す模式 である。 図3にて円筒治具の使用を示す模式図で ある。 本発明の一実施例に係る深溝玉軸受の 面図である。 本発明のCTスキャナ用転がり軸受の一 施例を示す断面図である。 CTスキャナ装置の概略を示す断面図で る。 従来のCTスキャナ用転がり軸受の一例 示す断面図である。 従来のCTスキャナ装置の軸受用保持器 示す正面図である。

符号の説明

  1、11 ラジアル玉軸受
  2、12、32 内輪
  3、13、33 外輪
  4、14、24、34 ボール(転動体)
  5 鉄板
  6、16、26 発泡固形潤滑剤成分の混合物
  7 軸受外径
 15、35 シール部材
 21 スラスト玉軸受
 22、23 軌道輪
 25 金型
 27 円筒治具
 28 発泡固形潤滑剤
 31 深溝玉軸受
 36 保持器
 37 発泡固形潤滑剤
 41、51  CTスキャナ用転がり軸受
 42、52  内輪
 43、53  外輪
 44、54  玉(転動体)
 45、55  保持器
 46a、56a シール部材
 46b、56b シール部材
 47a、57a 固定架台用ボルト
 47b、57b 回転架台用ボルト
 48  発泡固形潤滑剤
 49  スペーサー
 61  X線管装置
 62  ウェッジフィルタ
 63  スリット
 64  被写体
 65  検出器
 66  固定架台
 67  回転架台

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受の軸受内 空間に封入される発泡固形潤滑剤は、発泡 率が 1.1 倍以上 20 倍未満、好ましくは 1 .1 倍~10 倍であり、かつ発泡成形収縮率が 5 %以下の特性を有する。
 ここで発泡倍率は、発泡後の固形潤滑剤の 積を発泡前の原料混合液体の体積で除した である。また、発泡成形収縮率は、成形型 原料混合液体を入れて発泡させるとき、成 型の寸法をA、成形型より取り出した成形後 発泡固形潤滑剤の寸法をBとすると、[100×(A-B) /A]で表される値である。
 発泡倍率が 1.1 倍未満であると、気泡体積 が小さく、外部応力が加わったときに変形を 許容できないし、または多孔質化した固形物 が硬すぎるため、外部応力に追随した変形が できないなどの不具合がある。また、20 倍 上の場合は外部応力に耐える強度を得るこ が困難となり、破損や破壊に至る場合があ 。
 後述する方法で測定される発泡成形収縮率  5%をこえると転動体に対する固形潤滑剤の 収縮が大きく、潤滑剤の供給が不足しがちな 起動時の回転トルクが大きくなる。

 発泡固形潤滑剤は、上記特性に加え、(1)80.3  gf の力を連続して加え 5 時間経過したと の、油分離率が 1%以上 15%以下である、(2) 本工業規格K6400に準じて測定される引張強 が 50 kPa 以上である、および/または(3)連 気泡率が 50%以上である。
 上記方法で測定される油分離率は 1%以上 1 5%以下の範囲である。1%未満の時は潤滑剤供 不足となる。また 15%以上の時は潤滑剤供給 が過多となり、長期間の潤滑剤の供給に支障 をきたす。
 発泡固形潤滑剤の引張強さは 50 kPa 以上 ある。 50 kPa 未満であると材料強度が不足 し、軸の回転中に遠心力によって材料が外輪 側に偏ってしまい、適切な潤滑剤の供給不足 になる可能性がある。
 また、発泡後の連続気泡率は 50%以上、好 しくは 50~90%である。連続気泡率が 50%未満 場合は、樹脂成分中の潤滑油が一時的に独 気泡中に取り込まれている割合が多くなり 必要な時に外部へ供給されない場合がある なお、90%をこえると、潤滑剤の保油性の低 および潤滑剤の放出量が多くなることで長 使用に不利となったり、発泡固形潤滑剤自 の強度(耐久性)が低下したりするおそれが る。

 連続気泡率は以下の手順で算出できる。
(1)発泡硬化した発泡固形潤滑剤を適当な大き さにカットし、試料Aを得る。試料Aの重量を 定する。
(2)Aを 3 時間ソックスレー洗浄(溶剤:石油ベ ジン)する。その後 80℃で 2 時間恒温槽に 放置し、有機溶剤を完全に乾燥させ、試料B 得る。試料Bの重量を測定する。
(3)連続気泡率を以下の手順で算出する。
 連続気泡率=(1-(試料Bの樹脂成分重量-試料A 樹脂成分重量)/試料Aの潤滑成分重量)×100
 なお、試料A、Bの樹脂成分重量、潤滑成分 量は、試料A、Bの重量に組成の仕込み割合を 乗じて算出する。
 連続していない独立気泡中に取り込まれた 滑成分は 3 時間ソックスレー洗浄では外 へ放出されないため試料Bの重量を減少させ ことがないので、上記の操作で試料Bの重量 減少分は連続気泡からの潤滑成分の放出によ るものとして連続気泡率が算出できる。

 上述した特性を有する発泡固形潤滑剤は、 滑成分と、樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤 を含む混合物を発泡・硬化させて得られる
 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受は、封入 た発泡固形潤滑剤の樹脂内に潤滑成分を吸 させるので、樹脂の柔軟性により、例えば 縮、膨張、屈曲、ねじりなどの外力による 形や毛細管現象により潤滑剤を滲み出させ 樹脂の分子間から外部に徐放できる。この 、滲み出す潤滑油量は、外力の大きさに応 て弾性変形する程度を樹脂の選択などによ て変えることにより、必要最小限にするこ ができる。
 また、本発明に用いる発泡固形潤滑剤にお て樹脂成分は、発泡により表面積が大きく っており、滲み出した余剰の潤滑油を再び 泡体の気泡内に一時的に保持することもで て滲み出す潤滑油量は安定しており、また 脂内に潤滑剤を吸蔵させるとともに気泡内 含浸させることによって非発泡の状態より 滑油の保持量も多くなる。

 その上、本発明に用いる発泡固形潤滑剤は 非発泡体と比較して屈曲時に必要なエネル ーが非常に小さく、潤滑油を高密度に保持 ながら柔軟な変形が可能である。よって、 発泡固形潤滑剤を固化させた後冷却する過 において、固形潤滑剤が収縮し転動体を抱 込んだとしても屈曲・変形時に必要なエネ ギーが小さいために容易に変形することが き、回転トルクが大きくなるという問題を ぐことができる。また、発泡部分すなわち 孔質な部分を多く持つため、軽量化の点で 有利である。
 また、本発明に用いる発泡固形潤滑剤は潤 成分と、樹脂成分とを必須成分として含む 合物を発泡・硬化させるだけであるので、 別な設備も不要であり、任意の場所に充填 て成形することが可能である。
 また、上記混合物の配合成分の配合量をコ トロールすることにより発泡固形潤滑剤の 度を変化させることができる。

 本発明に用いる発泡固形潤滑剤を構成する 脂成分としては、発泡・硬化後にゴム状弾 を有し、変形により潤滑成分の滲出性を有 るものが好ましい。
 発泡・硬化は、樹脂生成時に発泡・硬化さ る形式であっても、樹脂成分に発泡剤を配 して成形時に発泡・硬化させる形式であっ もよい。ここで硬化は架橋反応および/また は液状物が固体化する現象を意味する。また 、ゴム状弾性とは、ゴム弾性を意味するとと もに、外力により加えられた変形がその外力 を無くすことにより元の形状に復帰すること を意味する。

 本発明に使用できる発泡固形潤滑剤の樹脂 分には耐熱性および柔軟性に優れ、低コス 化が可能となるウレタン樹脂を用いるのが ましい。樹脂成分として、以下に説明する 子内に水酸基を有する液状ゴムを用いる第1 の発泡固形潤滑剤、所定のNCOを含有するウレ タンプレポリマーを用いる第2の発泡固形潤 剤が発泡固形潤滑剤として好ましい。
 また、ポリオールとしてのポリエーテルポ オールとポリイソシアネートとを反応させ 得られる樹脂成分を用いることができる。

 上記第1の発泡固形潤滑剤に用いられる樹脂 成分には耐熱性および柔軟性に優れ、低コス ト化が可能となるウレタン樹脂を用いるのが 好ましい。ウレタン樹脂を形成する水酸基含 有成分としては、分子内に水酸基を有する液 状ゴムが好ましく、この液状ゴムは高分子主 鎖が炭化水素から構成され、該主鎖末端に水 酸基価が 25~110 mgKOH/g となる量の水酸基を する液状ゴムであることが好ましい。水酸 価が 25 mg KOH/g 未満では、発泡・硬化が十 分でなく、水酸基価が 110 mg KOH/g をこえる と、発泡固形潤滑剤の弾力性が失われる場合 がある。
 この液状ゴムは、ブタジエンもしくはイソ レンの重合体の主鎖末端に水酸基を有する 平均分子量 1000~3500 の水酸基末端ジエン系 重合体、または該ジエン系重合体を水添処理 した変性水酸基末端ジエン系重合体を用いる ことができる。
 水酸基末端液状ポリブタジエンとしては、p oly-bd R45HT(出光興産社製)、poly-bd R15HT(出光興 産社製)、NISSO-PB G-1000、G-2000、G-3000(日本曹達 社製)が挙げられ、水酸基末端液状ポリイソ レンとしては、poly-ip(出光興産社製)が挙げ れ、水添処理した水酸基末端ポリジエン化 物としては、エポール(出光興産社製)、NISSO- PB GI-1000、GI-2000、GI-3000(日本曹達社製)等が挙 げられる。

 また、これら水酸基末端ポリジエン化合 または水添処理した水酸基末端ポリジエン 合物の末端水酸基をイソシアネート基やエ キシ基などで一部変性した水酸基末端ポリ エン化合物または水添処理した水酸基末端 リジエン化合物も水酸基が末端に含まれれ 使用することができる。製造された発泡体 物性を制御するなどの目的でこれら化合物 2種類以上混合して用いてもよい。

 上記水酸基末端ポリジエン系重合体また 水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合 は、後述する炭化水素から構成されるパラ ィン系やナフテン系の鉱物油からなる潤滑 分と分子構造が類似するので、潤滑成分を 成する分子との化学的親和性に優れ、水酸 末端ポリジエン系重合体または水添処理し 水酸基末端ポリジエン系重合体と潤滑成分 子とが比較的弱い相互作用によって絡み合 ていると考えられる。そのため多くの潤滑 分をその水酸基末端ポリジエン系重合体ま は水添処理した水酸基末端ポリジエン系重 体の分子内に含浸させることが可能であり 高い潤滑成分保持性を発揮することができ 。これに熱や遠心力などの強い力を加える とで、水酸基末端ポリジエン系重合体また 水添処理した水酸基末端ポリジエン系重合 と潤滑成分の相互作用が壊され、潤滑成分 徐放させることができる。

 液状ゴムを硬化させる硬化剤としての分子 にイソシアネート基を有する有機化合物は 液状ゴム内の水酸基と反応し、分子鎖を延 させ、または架橋させるイソシアネート化 物であれば、特に制限なく使用できる。好 しいイソシアネート化合物としては、ポリ ソシアネート類を挙げることができる。ポ イソシアネート類は後述する発泡剤となる と反応して気体を発生させることができる で特に好ましい。
 ポリイソシアネート類としては、ポリイソ アネートおよび/または分子内に2個以上の ソシアネート基を有するプレポリマーが挙 られる。

 ポリイソシアネート類は芳香族、脂肪族、 たは脂環族ポリイソシアネート類を挙げる とができる。
 芳香族ポリイソシアネート類としては、ト レンジイソシアネート(以下、TDIと記す)、 フェニルメタンジイソシアネート(以下、MDI 記す)、TDIの多量体、MDIの多量体、ナフタレ ンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソ アネート、ジフェニレンジイソシアネート が挙げられる。
 脂肪族ポリイソシアネート類としては、オ タデカメチレンジイソシアネート、デカメ レンジイソシアネート、へキサメチレンジ ソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチ ンジイソシアネート、キシリレンジイソシ ネート等が挙げられる。
 脂環族ポリイソシアネート類としては、イ ホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシ メタンジイソシアネート等が挙げられる。
 また、上記ポリイソシアネート類とトリメ ロールプロパンなどのポリオールとの付加 も使用できる。
 液状ゴムの末端官能基である水酸基との反 を高温度で行なう場合は、フェノール類、 クタム類、アルコール類、オキシム類など ブロック剤でイソシアネート基をブロック たブロックイソシアネート等を使用するこ ができる。

 水酸基末端ポリジエン系重合体と反応さ る場合、ポリイソシアネート類の中で芳香 ポリイソシアネート類が好ましく、更には 酸基末端ポリジエン系重合体等との発泡性 よび反応性に優れるTDIが好ましい。

 分子内に2個以上のイソシアネート基を有す るプレポリマーとしては、イソシアネート基 の割合が 2.5~5.0 NCO%からなるプレポリマーで あれば使用できる。ここでNCO%はプレポリマ 全体に含まれるNCO重量%を意味する。2.5~5.0 N CO%のプレポリマーは水酸基末端ポリジエン系 重合体等と反応して弾力性に富んだウレタン を得ることができる。
 プレポリマー類は重合させるモノマーの種 によりPPG系、PTMG系、エステル系、カプロラ クトン系などに分類される。PPG系にはタケネ ートL-1170(三井化学ポリウレタン社製)、L-1158( 三井化学ポリウレタン社製)があり、PTMG系に コロネート4090(日本ポリウレタン社製)など ある。また、エステル系としてはコロネー 4047(日本ポリウレタン社製)などがあり、カ ロラクトン系にはタケネートL-1350(三井化学 ポリウレタン社製)、タケネートL-1680(三井化 ポリウレタン社製)、サイアナプレン7-QM(三 化学ポリウレタン社製)、プラクセルEP1130( イセル化学工業社製)などを挙げることがで る。上記プレポリマーは、目的に応じて2種 類以上を混合して使用することもできる。

 末端水酸基を有する水酸基末端ポリジエ 系重合体または水添処理した水酸基末端ポ ジエン系重合体とイソシアネート基を有す イソシアネート化合物との配合割合は、水 基(-OH)とイソシアネート基(-NCO)との当量比 (OH/NCO)= 1 /( 1.0~2.0 )の範囲が好ましく、特 優れた発泡性および弾力性を考慮すると、( OH/NCO)= 1 /( 1.1~1.9 )の範囲が好ましい。(OH/NC O)が 1/2.0 より小さいときはイソシアネート が過剰となり、架橋密度が大きく弾性に劣 場合がある。また、(OH/NCO)が 1/1.0 より大 いときには架橋するイソシアネート基が不 するため硬化が十分でなくなる。

 第1の発泡固形潤滑剤に使用できる潤滑成分 は、発泡体を形成する固形成分を溶解しない ものであれば使用することができる。潤滑成 分としては、炭化水素系潤滑油、炭化水素系 グリース、または炭化水素系潤滑油と炭化水 素系グリースとの混合物が挙げられる。
 炭化水素系潤滑油としては、パラフィン系 ナフテン系の鉱物油、炭化水素系合成油、G TL基油等が挙げられる。これらは単独でも混 油としても使用できる。
 炭化水素系グリースは炭化水素油を基油と るグリースであり、基油としては上述の炭 水素系潤滑油を挙げることができる。増ち う剤としては、リチウム石けん、リチウム ンプレックス石けん、カルシウム石けん、 ルシウムコンプレックス石けん、アルミニ ム石けん、アルミニウムコンプレックス石 ん等の石けん類、ジウレア化合物、ポリウ ア化合物等のウレア系化合物が挙げられる 、特に限定されるものではない。ジウレア 合物はジイソシアネートとモノアミンの反 で、ポリウレア化合物はジイソシアネート ポリアミンの反応で、それぞれ得られる。

 上記潤滑成分には、炭化水素系合成ワッ ス、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸エ テル系ワックス、高級脂肪酸アミド系ワッ ス、ケトン・アミン類、水素硬化油などを 合して使用することができる。

 第1の発泡固形潤滑剤を発泡させる手段は 、原料にイソシアネート化合物を用いること から、イソシアネート化合物と反応して二酸 化炭素ガスを発生させる水を用いることが好 ましい。

 第1の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分と、 液状ゴムと、硬化剤と、発泡剤とを含む混合 物を発泡・硬化させて得られる。
 上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に して、40~80 重量%である。潤滑成分が 40  量%未満であると、潤滑油などの供給量が少 く発泡固形潤滑剤としての機能を発揮でき 、80 重量%より多いときには固化しなくな 。
 上記液状ゴムの配合割合は、混合物全体に して、5~45 重量%、好ましくは 9~42 重量%で ある。5 重量%より少ないときは固化しない め発泡固形潤滑剤としての機能を持たず、45  重量%より多いときには潤滑剤の供給が少な く、発泡固形潤滑剤としての機能を持たない 。

 また、第1の発泡固形潤滑剤の硬化速度を 促進させるために、3級アミン系触媒や有機 属触媒などを用いることができる。使用す 3級アミン系触媒としてはモノアミン類、ジ ミン類、トリアミン類、環状アミン類、ア コールアミン類、エーテルアミン類などが げられる。また、有機金属触媒としてはス ナオクタエート、ジブチルチンジアセテー 、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチ メルカプチド、ジブチルチンチオカルボキ レート、ジブチルチンマレエート、ジオク ルチンジメルカプチド、ジオクチルチンチ カルボキシレートなどが挙げられる。また 反応のバランスを整えるなどの目的でこれ 複数種類を混合して用いてもよい。

 本発明における第2の発泡固形潤滑剤の樹脂 成分として使用できるウレタンプレポリマー は、活性水素基を有する化合物とポリイソシ アネートとの反応によって得られ、イソシア ネート基は、分子鎖末端であっても、あるい は分子鎖内から分岐した側鎖末端に含まれて いてもよい。また、ウレタンプレポリマーは 分子鎖内にウレタン結合を有していてもよい 。
 反応するモノマー(=活性水素基を有する化 物)の種類によって、カプロラクトン系、エ テル系、エーテル系などに分類される。エ テル系にはタケネートL-1170(三井化学ポリウ レタン社製)、L-1158(三井化学ポリウレタン社 )、コロネート4090(日本ポリウレタン社製)な どがある。また、エステル系としてはコロネ ート4047(日本ポリウレタン社製)などがあり、 カプロラクトン系にはタケネートL-1350(三井 学ポリウレタン社製)、タケネートL-1680(三井 化学ポリウレタン社製)、サイアナプレン7-QM( 三井化学ポリウレタン社製)、プラクセルEP113 0(ダイセル化学工業社製)などが挙げられる。
 また、末端基をイソシアネート基に変性し オリゴマーやプレポリマー化合物も使用す ことができる。このような化合物としては 端イソシアネート変性ポリエーテルポリオ ルや水酸基末端ポリブタジエンのイソシア ート変性体が挙げられる。末端イソシアネ ト変性ポリエーテルポリオールにはコロネ ト1050(日本ポリウレタン社製)などが挙げら る。また、水酸基末端ポリブタジエンのイ シアネート変性体には poly-bd MC50(出光興産 社製)や poly-bd HTP9(出光興産社製)が挙げられ る。
 これらウレタンプレポリマーは目的とする 械的性質などに応じて2種類以上を混合して 使用することができる。

 第2の発泡固形潤滑剤は、イソシアネート基 含有量が 2 重量%以上 6 重量%未満のウレタ ンプレポリマーを使用できる。イソシアネー ト基(NCO)の含有量が 2 重量%未満であると発 性と弾力性の両立が難しくなるし、6 重量% 以上であると硬度が大きくなりすぎて反発弾 性が大きくなり外力による変形を受けるとき に発熱等を起こしやすくなる。
 また、イソシアネート基は、フェノール類 ラクタム類、アルコール類、オキシム類な のブロック剤でイソシアネート基をブロッ したブロックイソシアネート等を使用する とができる。

 上記ウレタンプレポリマーを硬化させる硬 剤としては、活性水素を有する化合物が好 しく、官能基がアミノ基であるポリアミノ 合物、官能基が水酸基であるポリオール化 物が挙げられる。
 ポリアミノ化合物としては、3,3″-ジクロロ -4,4″-ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCA 記す)、3,3″-ジメチル-4,4″-ジアミノジフェ ルメタン、3,3″-ジメトキシ-4,4″-ジアミノ フェニルメタン、4,4″-ジアミノ-3,3″-ジエ ル-5,5″-ジメチルジフェニルメタン、トリ チレン-ビス-(4-アミノベンゾアート)、ビス( チルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビス(メチ ルチオ)-2,6-トルエンジアミン、メチルチオト ルエンジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジ アミン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンに 代表される芳香族ポリアミノ化合物が挙げら れる。

 上記ポリアミノ化合物の中でも芳香族ア ノ化合物が低コストであり、物性が優れて るため、好ましく、特にアミノ基の隣接位 置換基を有する芳香族ジアミノ化合物が好 しい。第2の発泡固形潤滑剤においては、発 泡と共に硬化させる工程を経るため、隣接位 の置換基によりアミノ基の反応性が抑制され るためと考えられる。

 ウレタンプレポリマーをポリアミノ化合 で硬化させるとウレタン結合およびウレア 合を分子内に有する発泡固形潤滑剤となる ウレア結合を生成させることによって分子 のウレタン結合密度を下げることになり、 びや反発弾性が向上する。また、ウレア結 を生成させることによって剛性を与えるこ ができる。

 ポリオール化合物としては、1,4-ブタング リコールやトリメチロールプロパンに代表さ れる低分子ポリオール、ポリエーテルポリオ ール、ひまし油系ポリオール、ポリエステル 系ポリオールが挙げられる。ポリオール化合 物の中では、ポリエーテルポリオール、トリ メチロールプロパンが好ましい。

 ウレタンプレポリマーに含まれるイソシア ート基(-NCO)と、該イソシアネート基と反応 る硬化剤の官能基との割合は、官能基がア ノ基または水酸基である場合、当量比で(硬 化剤の官能基/NCO)=1/(1.1~2.5)の範囲である。
 ウレタンプレポリマーに含まれるイソシア ート基と硬化剤のアミノ基(-NH 2 )または水酸基(-OH)、そして発泡剤である水の 水酸基(-OH)との割合で発泡固形潤滑剤の発泡 率や柔軟性、弾力性等が定まる。硬化剤の ミノ基(-NH 2 )または水酸基(-OH)とウレタンプレポリマーの イソシアネート基(-NCO)とを当量で反応させる と、発泡剤である水と反応するイソシアネー ト基(-NCO)が消失してしまうため、(硬化剤の 能基/NCO)=1/(1.1~2.5)の範囲が好ましい。また、 発泡剤である水の水酸基と、硬化剤の官能基 との割合が当量比で(水の水酸基/硬化剤の官 基)=1/(0.7~2.0)の範囲である。
 上記範囲よりも硬化剤の量が少なくなると 泡固形潤滑剤の強度等の物性が著しく低下 るばかりでなく、ウレタンエラストマーと て硬化しない場合もある。

 第2の発泡固形潤滑剤に使用できる潤滑成分 は、第1の発泡固形潤滑剤と同様に、発泡体 形成する固形成分を溶解しないものであれ 使用することができる。潤滑成分としては 例えば潤滑油、グリース、ワックスなどを 独でもしくは混合して使用できる。特に好 しいものとして炭化水素系潤滑油、炭化水 系グリース、または炭化水素系潤滑油と炭 水素系グリースとの混合物が挙げられる。
 炭化水素系潤滑油としては、第1の発泡固形 潤滑剤と同様のものを使用できる。また、エ ステル系合成油、エーテル系合成油、フッ素 油、シリコーン油等も使用することができる 。これらは単独でも混合油としても使用でき る。
 グリースとしては第1の発泡固形潤滑剤と同 様のグリースの他に、エステル系合成油、エ ーテル系合成油、GTL基油、フッ素油、シリコ ーン油等を基油としたグリースも使用できる 。
 また、第1の発泡固形潤滑剤と同様の炭化水 素系合成ワックス、ポリエチレンワックス、 高級脂肪酸エステル系ワックス、高級脂肪酸 アミド系ワックス、ケトン・アミン類、水素 硬化油などを混合して使用することができる 。

 第2の発泡固形潤滑剤を発泡させる発泡剤と しては、原料にイソシアネート化合物を用い ることから、イソシアネート化合物と反応し て二酸化炭素ガスを発生させる水を用いるこ とが好ましい。
 また、第2の発泡固形潤滑剤の硬化速度を促 進させるために、上述した3級アミン系触媒 有機金属触媒などを用いることができる。

 第2の発泡固形潤滑剤は、上記潤滑成分と、 樹脂成分と、硬化剤と、発泡剤とを含む混合 物を発泡・硬化させて得られる。
 上記潤滑成分の配合割合は、混合物全体に して、30~70 重量%、好ましくは 40~60 重量% ある。潤滑成分が 30 重量%未満であると、 潤滑油などの供給量が少なく発泡固形潤滑剤 としての機能を発揮できず、70 重量%より多 ときには固化しなくなる。

 なお、第1および第2の発泡固形潤滑剤には 要に応じて顔料や帯電防止剤、難燃剤、防 剤、補強剤、無機充填剤、老化防止剤、フ ラーなどの各種添加剤等を添加することが きる。補強剤としてはカーボンブラック、 ワイトカーボン、コロイダルシリカなどが げられ、無機充填剤としては炭酸カルシウ 、硫酸バリウム、タルク、クレイ、硅石粉 どが挙げられる。
 さらに二硫化モリブデン、グラファイト等 固体潤滑剤、有機モリブデン等の摩擦調整 、アミン、脂肪酸、油脂類等の油性剤、ア ン系、フェノール系などの酸化防止剤、石 スルフォネート、ジノニルナフタレンスル ォネート、ソルビタンエステルなどの錆止 剤、イオウ系、イオウ-リン系などの極圧剤 、有機亜鉛、リン系などの摩耗防止剤、ベン ゾトリアゾール、亜硝酸ソーダなどの金属不 活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン などの粘度指数向上剤などの各種添加剤を含 んでいてもよい。

 第1および第2の発泡固形潤滑剤は、潤滑油 どの潤滑成分存在下で発泡反応と硬化反応 を同時に行なう反応型含浸法を用いること 、潤滑成分の高充填化と材料物性の高伸化 同時に両立させるためには望ましい。これ 発泡体形成段階において発泡体に形成され 気泡に潤滑剤が均一に含浸されるとともに 潤滑成分が発泡・硬化した固形成分内に吸 されることにより潤滑剤の高充填化と材料 性の高伸化が両立するものと考えられる。
 これに対してあらかじめ発泡体を製造して き、これに潤滑剤を含浸させる後含浸法で 潤滑剤保持力が十分でなく、短時間で潤滑 が放出され長期的に使用すると潤滑剤が供 不足となる。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受の製造方 は、上述した潤滑成分と、樹脂成分と、硬 剤と、発泡剤とを含む成分を混合する混合 程と、この混合工程で得られる混合物が発 硬化する前に軸受内部に封入する工程と、 入後に軸受内部空間にて発泡硬化させる工 とを備える。
 上記混合物を混合する方法としては、特に 定されることなく、例えばヘンシェルミキ ー、リボンミキサー、ジューサーミキサー ミキシングヘッド等、一般に用いられる撹 機を使用して混合することができる。
 上記混合物は、市販のシリコーン系整泡剤 どの界面活性剤を使用し、各原料分子を均 に分散させておくことが望ましい。また、 の整泡剤の種類によって表面張力を制御し 生じる気泡の種類を連続気泡または独立気 に制御することが可能となる。このような 面活性剤としては陰イオン系界面活性剤、 イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性 、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性 、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。

 混合物は発泡硬化する前に軸受内部に封 し、その後発泡される。軸受内部に封入せ 、常圧で発泡・硬化した後に裁断や研削等 目的の形状に後加工し、軸受内に組み込む ともできるが、形状が複雑な軸受内の任意 部位にも容易に充填することが可能であり 発泡成形体を得るための成形金型や研削工 等も不要であることから、本発明では、混 物を発泡・硬化前に軸受内に流し込み、軸 内において発泡・硬化させる方法を採用す ことが好ましい。該方法を採用することで 製造工程が簡易となり低コスト化が図れる

 発泡・硬化時において発泡により多孔質 される際に生成させる気泡は気泡が連通し いる連続気泡であることが好ましい。外部 力によって潤滑成分を樹脂の表面から連続 泡を介して外部に直接供給するためである 気泡間が連通していない独立気泡の場合は 形成分中の潤滑油の全量が一時的に独立気 中に隔離され気泡間での移動が困難となり 必要なときに転動体の周囲等に十分供給さ ない場合がある。

 これらの発泡固形潤滑剤は、各種の周知 形式の軸受に封入することができる。例と て、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、スラ ト玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、 ラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸 、円すいころ軸受、スラスト円すいころ軸 、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、ス スト自動調心ころ軸受、すべり軸受などが げられる。また、これらの軸受に対して、 ール部材またはシールド板の有無は問わず 用することができる。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受の一例を 5に基づいて説明する。図5は本発明の一実 例に係る深溝玉軸受の断面図である。
 図5に示すように軸受31は内輪32と、内輪32と 同心に配置された外輪33と、これらの内、外 間に介在する複数個の転動体34と、この複 個の転動体34を保持する保持器36と、外輪33 に固定されるシール部材35とにより構成され る。少なくとも転動体34の周囲に上述の発泡 形潤滑剤37が封入される。

 軸受への発泡固形潤滑剤の封入方法の一例 、図1~図3に基づいて説明する。
 図1は、本発明の他の実施例に係るラジアル 玉軸受(シール部材なし)への封入例を示す模 図である。図1に示すように、軸受外径7よ 大きい鉄板5もしくはそれに類似する治具の に内輪2と、外輪3と、内、外輪間に介在す 転動体4とを有する軸受1を置き、よく撹拌し た発泡直前の発泡固形潤滑剤成分の混合物6 内輪2と、外輪3と、鉄板5とに囲まれた空間 流し込み、発泡・硬化させる。この場合、 合物6を軸受1内に流し込んだ後にさらに軸受 1上部に軸受外径7より大きい鉄板5もしくはそ れに類似する治具をかぶせてもよい。鉄板も しくは治具をかぶせる場合、軸受内での発泡 固形潤滑剤の充填率が向上する。混合物6の 泡・硬化終了後に鉄板5もしくはそれに類似 る治具を外して、発泡固形潤滑剤封入軸受 得る。

 図2は、本発明の他の実施例に係るラジア ル玉軸受(シール部材付き)への封入例を示す 式図である。図2に示すように、内輪12と、 輪13と、内、外輪間に介在する転動体14と、 片側のみに装着されたシール部材15を有する 受11を、シール部材15を下側にして静置する 。そして、よく撹拌した発泡直前の発泡固形 潤滑剤成分の混合物16を軸受11に流し込み、 泡・硬化させる。この場合、図1と同様に軸 内での発泡固形潤滑剤の充填率が向上させ ために、混合物16を軸受11内に流し込んだ後 にさらに軸受11上部に軸受外径より大きい鉄 もしくはそれに類似する治具をかぶせても い。上側のシール部材は、充填率向上のた の治具の代わりとして、発泡過程中に装着 てもよいし、発泡・硬化が終わってから軸 11に装着してもよい。

 図3は本発明の他の実施例に係るスラスト玉 軸受への封入例を示す模式図である。図4は 図3にて円筒治具の使用を示す模式図である 図3および図4に示すように、スラスト玉軸 21が収まる金型25を準備し、軌道輪22と軌道 23と、軌道輪間に介在する転動体24とを有す 軸受21を設置する。軸受21の内径側からよく 撹拌した発泡直前の発泡固形潤滑剤成分の混 合物26を軸受21に流し込み、内径と同径の円 治具27を内径部に差し込み、発泡・硬化させ る。混合物26が発泡・硬化し発泡固形潤滑剤2 8となった後、金型25と円筒治具27を外して、 泡固形潤滑剤封入軸受を得る。
 また、軸受への潤滑剤の封入には、射出成 機等を用いることもできる。この場合、軸 は金型に装着され、スクリュー内で混合さ た発泡固形潤滑剤成分はノズルより軸受内 封入される。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受の他の実 例としてCTスキャナ用転がり軸受を図面に づいて説明する。図6は本発明の他の実施例 あるCTスキャナ用転がり軸受を示す断面図 ある。
 図6に示すようにCTスキャナ用転がり軸受41 、内輪42と、外輪43と、これら内・外輪42、43 の軌道間に組み込んだ複数の転動体44と、こ 転動体44を保持する保持器45と、非接触のシ ール部材46a、46bとを備え、上記内・外輪42、4 3と上記転動体44と上記保持器45と上記シール 材46a、46bとに囲まれた軸受空間に発泡固形 滑剤48を封入してなる。検出器などの機器 取付けたベースを支持しながら回転する軸 に作用するモーメント荷重に対応するため 、転動体44と、内輪42および外輪43との接触 αを有する点接触の玉軸受を用いている。外 輪43はスペーサー49を介してボルト47aにより 定部材に取付けられ、内輪42はボルト47bによ り回転部材に取付けられている。

 本発明のCTスキャナ用転がり軸受に封入 た発泡固形潤滑剤は樹脂内に潤滑成分を吸 するので、樹脂の柔軟性により、例えば圧 、膨張、屈曲、ねじりなどの外力による変 や毛細管現象により潤滑剤を滲み出させて 脂の分子間から外部に徐放できる。この際 滲み出す潤滑油量は、外力の大きさに応じ 弾性変形する程度を樹脂の選択などによっ 変えることにより、必要最小限の量で潤滑 用に供することができ、軸受外部に漏れ出 ことがない。

 CTスキャナ用転がり軸受に封入された発 固形潤滑剤48は、内・外輪と転動体44とに囲 れた軸受空間を全体にわたって埋め尽くし いるので、転動体44を保持する保持器45も発 泡固形潤滑剤48に埋設されて固定され、回転 伴う摺動音や摩擦音の発生を抑制できる。 えて、発生した摺動音や摩擦音を発泡固形 滑剤中の気泡に吸収することで、防音材や 音材としての役割も果たすことができる。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受におい 、発泡固形潤滑剤中に含浸された状態で含 れる潤滑成分は、外力による発泡体の変形 よっても急激に滲み出すことがなく、潤滑 分を効率よく摺動面に滲み出させて用いる とができる。その結果、該軸受は潤滑成分 が必要最小限でよく、長寿命で高速回転で 運転が可能である。

 以下に本発明の実施例を挙げ、本発明をさ に説明するが、本発明はこれにより何ら制 されるものではない。
実施例1~実施例15および比較例1~比較例4
 実施例1~実施例15および比較例1~比較例4に用 いた潤滑成分、液状ゴム、硬化剤、発泡剤、 触媒を以下に示す。なお、( )内は表中での 号を表す。
潤滑成分
 潤滑油(潤滑油):タービン100(新日本石油社製 )
 潤滑グリース(グリース1):NTG2218M(協同油脂社 製)
液状ゴム
 水酸基末端ポリブタジエン(PBOH1):Poly-bd R45HT (水酸基価:46.6 mgKOH/g、数平均分子量:2,800、出 光興産社製)
 水酸基末端ポリブタジエン(PBOH2):Poly-bd R15HT (水酸基価:102.7 mgKOH/g 、数平均分子量:1,200、 出光興産社製)
 水酸基末端ポリイソプレン(PipOH):Poly-ip(水酸 基価:46.6 mgKOH/g 、数平均分子量:2,500、出光 産社製)
 水添水酸基末端ポリイソプレン(HPipOH):エポ ル(水酸基価:50.5 mgKOH/g 、数平均分子量:2,50 0、出光興産社製)
硬化剤
 イソシアネート化合物(TDI):コロネートT-80( 本ポリウレタン社製)
 プレポリマー1(UP1):コロネート4090(4.4 NCO%  本ポリウレタン社製)
 プレポリマー2(UP2):プラクセルEP1130(3.3 NCO%  ダイセル化学工業社製)
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒) DM70(東ソー社製)

 硬化剤(イソシアネート)を除く配合材料を 1~表3に示す配合割合でよく混合し、最後に 化剤を加えて素早く混合した混合物 40 g  、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製容器( 径 70 mm×高さ 150 mm )に充填した。数秒後 に発泡反応が始まり、常温で数時間放置し硬 化させて円柱試験片を得た。この試験片を目 視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験 片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加 したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発 泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であ ると評価して「○」印を、また、発泡体とし て硬化しない場合、潤滑油が分離したり放出 したりしない場合を「×」印を付して表1~表3 併記した。
 また、「○」印と評価された試験片は試験 の円柱軸方向に 25%伸張させても油が滲み すことはなかった。

 後述する方法で測定した上記試験片の発 倍率は全て 1.1 倍以上 20 倍未満、発泡成 形収縮率は 5%以下、油分離率は 1%以上 15% 下、引張強さは 50 kPa 以上、連続気泡率が  50~90%であった。

 また、ポリテトラフルオロエチレン樹脂 容器(直径 70 mm×高さ 150 mm )内で硬化剤 除く配合材料を表1および表2に示す配合割合 でよく混合した。次に硬化剤を加えて素早く 混合した後、この混合物を、玉軸受6204の内 空間に充填した。数秒後に発泡反応が始ま 、常温で放置し硬化させて発泡固形潤滑剤 入軸受の試験片を得た。この試験片を用い 以下に示す実機耐久試験を行ない、実機で 耐久性を評価した。

<実機耐久試験>
 得られた試験片について、Fa=Fr=67 N の荷重 を負荷し、100℃で 10000 rpmで回転させ、回転 軸を駆動している電動機の入力電流が制限電 流を超過した時(回転トルクが始動トルクの  2 倍をこえた時)までの寿命時間を測定した 評価として、1000 時間をこえる寿命を示し ものに「○」印を付し、それ以外を「×」と した。結果を表1および表2に併記する。

 表1~表3に示すように、実施例1~実施例15の発 泡固形潤滑剤では指で押したとき相当する力 を加えたときに油が滲み出す形状の弾性ゴム の発泡体であり、優れた発泡固形潤滑剤であ ると認められたが、比較例1~比較例4では発泡 はしたものの一部固化せず、発泡固形潤滑剤 としては機能しないことがわかった。
 また、実施例1~実施例15の発泡固形潤滑剤を 封入した玉軸受は、実機耐久性に優れていた 。

実施例16~実施例35および比較例5~比較例10
 実施例16~実施例35および比較例5~比較例10に いた潤滑成分、ウレタンプレポリマー、硬 剤、発泡剤、触媒を以下に示す。なお、( ) 内は表中での略号を表す。
潤滑成分
 潤滑油(潤滑油1):タービン100(パラフィン系 油、新日本石油社製)
 潤滑油(潤滑油2):クリセフ150(ナフテン系鉱 、新日本石油社製)
 潤滑油(潤滑油3):シンフルード801(ポリ-α-オ フィン、新日鉄化学社製)
 潤滑グリース(グリース2):パイロノックユニ バーサルN6C(新日本石油社製)
 潤滑グリース(グリース3):Li系グリース NKG70 8(協同油脂社製)
ウレタンプレポリマー
 カプロラクタン系ウレタンプレポリマー1( レポリマー1):プラクセルEP1130(NCO 3.3%、ダイ ル化学工業社製)
 エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリ マー2):コロネート4090(NCO 4.3%、日本ポリウレ ン社製)
 エステル系ウレタンプレポリマー(プレポリ マー3):コロネート4047(NCO 4.3%、日本ポリウレ ン社製)
 カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プ レポリマー4):タケネートL-1350(NCO 2.3%、三井 学ポリウレタン社製)
 エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリ マー5):タケネートL-1170(NCO 2.4%、三井化学ポ ウレタン社製)
 カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プ レポリマー6):タケネートL-1680(NCO 3.2%、三井 学ポリウレタン社製)
 カプロラクタン系ウレタンプレポリマー(プ レポリマー7):サイアナプレン7-QM(NCO 2.3%、三 化学ポリウレタン社製)
 エーテル系ウレタンプレポリマー(プレポリ マー8):タケネートL-1158(NCO 4.4%、三井化学ポ ウレタン社製)
 ポリエーテルポリオール(ポリオール1):プレ ミノールSX4004(旭硝子社製)
硬化剤
 3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタ (MOCA):イハラキュアミンMT(イハラケミカル社 )
 トリメチレン-ビス-(4-アミノベンゾアート)( CUA-4):CUA-4(イハラケミカル社製)
 ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、ビ ス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンおよび チルチオトルエンジアミンの混合物(エタキ ア300):エタキュア300(アルベマール社製)
 トリメチロールプロパン:試薬
 イソシアネート化合物(TDI):コロネートT-80( 本ポリウレタン社製)
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒) DM70(東ソー社製)

 表4~表6に示す配合割合で、ウレタンプレ リマー、整泡剤、潤滑油、グリースをよく 合し、次に、硬化剤を加えて素早く混合し 。なお、硬化剤がMOCAの場合は、混合温度を  80℃として、MOCAは 120℃で溶解して加えた 硬化剤がCUA-4の場合は、混合温度を 100℃と て、CUA-4は 140℃で溶解して加えた。硬化剤 がエタキュア300およびトリメチロールプロパ ンの場合は、混合温度を 80℃とした。最後 発泡剤およびアミン触媒を投入し撹拌した 、玉軸受6204の内部空間に充填した後、120℃ 設定された恒温槽に 1 時間放置して硬化 せ、発泡固形潤滑剤封入軸受を得た。また 上記同様にポリテトラフルオロエチレン製 ーカー内で発泡体の製造を行ない測定用サ プルを得た。

 なお、実施例18の場合は、ポリエーテル リオール、整泡剤、潤滑油、アミン系触媒 発泡剤としての水を加え、90℃で加熱しよく 撹拌した。これにイソシアネートを加えてよ く撹拌し、玉軸受6204の内部空間に充填した 、90℃に設定した恒温槽で 15 分放置し、発 泡固形潤滑剤封入軸受を得た。また、上記同 様にポリテトラフルオロエチレン製ビーカー 内で発泡体の製造を行ない測定用サンプルを 得た。 また、比較例6の場合は、表6に示す 分(組成)のうち、潤滑油を除く組成で実施例 1と同じ方法で発泡体を玉軸受6204の内部空間 充填した。潤滑油は後から含浸させ、後含 型の発泡潤滑剤封入軸受とした。

 得られた測定用サンプルおよび発泡固形潤 剤封入玉軸受を用いて、以下の評価をした 結果を表4~表6に示す。
<発泡倍率>
 発泡倍率は、[発泡後体積/発泡前の液体体 ]として求めた。
<収縮率>
 収縮率は、引っ張り試験に用いるダンベル 法の収縮から収縮率を求めた。具体的には 記式により求めた。
 
 収縮率(%)=100×成形後ダンベルの収縮長さ(長 手方向)/型寸法
       =100×(型寸法-成形後寸法)/型寸法
 
<連続気泡率>
 連続気泡率は上述した方法で測定した。
<引張り強さ>
 JISK6400に準拠して試験を行なった。ダンベ 試験片はポリテトラフルオロエチレン製型 作製し、発泡前原料を流し込んで厚さ 5 mm の発泡体ダンベルを作製した。
<油分離率>
 潤滑剤供給性として油分離率で評価した。 験片を約 1.5 g 程度になるように切り出し 測定前重量を精密天秤で計量した。市販の遠 心分離機を用いて回転数 850 rpm、回転半径  100 mm( 80.3 gf 相当)で 5 時間後の測定後重 を再び精密天秤で計量し、下記の式にて算 した。
 
 油分離率(%)=100×潤滑剤放出量/測定前重量
        =100×(測定前重量-測定後重量)/測 前重量
 
<軸受寿命時間>
 得られた試験片について、Fa=Fr=67 N の荷重 を負荷し、100℃で 10000 rpm で回転させ、回 軸を駆動している電動機の入力電流が制限 流を超過した時(回転トルクが始動トルクの  2 倍をこえた時)までの寿命時間を測定した 。

実施例36~実施例50および比較例11~比較例14
 実施例36~実施例50および比較例11~比較例14に 用いた潤滑成分、液状ゴム、硬化剤、発泡剤 、触媒を以下に示す。なお、( )内は表中で 略号を表す。
潤滑成分
 潤滑油(潤滑油):タービン100(新日本石油社製 )
 潤滑グリース(グリース1):NTG2218M(協同油脂社 製)
液状ゴム
 水酸基末端ポリブタジエン(PBOH1):Poly-bd R45HT (水酸基価:46.6 mg KOH/g、数平均分子量:2,800、 光興産社製)
 水酸基末端ポリブタジエン(PBOH2):Poly-bd R15HT (水酸基価:102.7 mg KOH/g 、数平均分子量:1,200 出光興産社製)
 水酸基末端ポリイソプレン(PipOH):Poly-ip(水酸 基価:46.6 mg KOH/g 、数平均分子量:2,500、出光 興産社製)
 水添水酸基末端ポリイソプレン(HPipOH):エポ ル(水酸基価:50.5 mg KOH/g 、数平均分子量:2, 500、出光興産社製)
硬化剤
 イソシアネート化合物(TDI):コロネートT-80( 本ポリウレタン社製)
 プレポリマー1(UP1):コロネート4090(4.4 NCO%  本ポリウレタン社製)
 プレポリマー2(UP2):プラクセルEP1130(3.3 NCO%  ダイセル化学工業社製)
発泡剤(発泡剤) イオン交換水
整泡剤(整泡剤) SRX298(東レダウ社製)
触媒(触媒) DM70(東ソー社製)

 硬化剤(イソシアネート)を除く配合材料を 7~表9に示す配合割合でよく混合し、最後に 化剤を加えて素早く混合した混合物 40 g  、ポリテトラフルオロエチレン樹脂製容器( 径 70 mm×高さ 150 mm )に充填した。数秒後 に発泡反応が始まり、常温で数時間放置し硬 化させて円柱試験片を得た。この試験片を目 視および光学顕微鏡を用いて観察した。試験 片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印加 したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの発 泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤であ ると評価して「○」印を、また、発泡体とし て硬化しない場合、潤滑油が分離したり放出 したりしない場合を「×」印を付して表7~表9 併記した。
 また、「○」印と評価された試験片は試験 の円柱軸方向に 20%伸張させても油が滲み すことはなかった。

 表7~表9に示すように、実施例36~実施例50の 泡固形潤滑剤では指で押したとき相当する を加えたときに油が滲み出す形状の弾性ゴ の発泡体であり、優れた発泡固形潤滑剤で ると認められたが、比較例11~比較例14では発 泡はしたものの一部固化せず、発泡固形潤滑 剤としては機能しないことがわかった。
 次に、実施例36~実施例50の発泡固形潤滑剤 分を図6に示すCTスキャナ用転がり軸受41の内 ・外輪42、43と転動体44とに囲まれた軸受空間 に注入して常温で数時間放置し硬化させ、発 泡固形潤滑剤を封入してなるCTスキャナ用転 り軸受を得た。 このCTスキャナ用転がり軸 受は軸受内部に発泡固形潤滑剤が封入されて いるので、潤滑剤の漏れがなく、かつ異音の 発生を防止または抑制することができた。

 以下の実施例51~実施例70および比較例15~ 較例17に用いた潤滑成分、ウレタンプレポリ マー、硬化剤、発泡剤、触媒は、上述した実 施例16~実施例35および比較例5~比較例10に用い た材料を用い、同一略号で示す。

実施例51~53、56、57、59、60、62~67、69、70、比 例15~17
 80℃のポリテトラフルオロエチレン製ビー (直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、ア ミン触媒および発泡剤を除く原料を表10~表12 示す配合割合でよく混合した。次に、120℃ 溶解したMOCAをビーカ内に投入してよく撹拌 した。続いてアミン触媒および発泡剤(比較 16のみ発泡剤なし)を投入し撹拌した。数秒 に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し 化させて円柱試験片を得た。この試験片を 視および光学顕微鏡を用いて観察した。試 片に 30 N の力を試験片の円柱軸方向に印 したときに油が滲み出す形状の弾性ゴムの 泡体であるものを優れた発泡固形潤滑剤で ると評価して「○」印を、それ以外のもの 「△」印またはコメントを表10~表12に併記 た。
 また、連続気泡率を上述の方法で、遠心力 分離評価を以下の方法で測定した。結果を 10~表12に併記した。
遠心力油分離評価試験
 潤滑剤の徐放性を調べるために、遠心力油 離を測定した。遠心力油分離はロータ半径 75 mm、回転速度 1500 rpm の条件で 1 時間 転させた時の油充填量に対する油減少率を した。

実施例54
 100℃のポリテトラフルオロエチレン製ビー (直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、 ミン触媒および発泡剤を除く原料を表4に示 配合割合でよく混合した。次に、140℃で溶 したトリメチレン-ビス(4-アミノベンゾアー ト)をビーカ内に投入し、よく撹拌した。続 てアミン触媒および発泡剤を投入し撹拌し 。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分 放置し硬化させて円柱試験片を得た。この 験片を目視および光学顕微鏡を用いて観察 た。試験片に 30 N の力を試験片の円柱軸 向に印加したときに油が滲み出す形状の弾 ゴムの発泡体であるものを優れた発泡固形 滑剤であると評価して「○」印を表10に併 した。

実施例55、61、68
 80℃のポリテトラフルオロエチレン製ビー (直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、ア ミン触媒および発泡剤を除く原料を表10~表12 示す配合割合でよく混合した。次に、エタ ュア300をビーカ内に投入し、よく撹拌した 続いてアミン触媒および発泡剤を投入し撹 した。数秒後に発泡反応が始まり、100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片を得た。 この試験片を目視および光学顕微鏡を用いて 観察した。試験片に 30 N の力を試験片の円 柱軸方向に印加したときに油が滲み出す形状 の弾性ゴムの発泡体であるものを優れた発泡 固形潤滑剤であると評価して「○」印を表10~ 表12に併記した。

実施例58
 100℃のポリテトラフルオロエチレン製ビー (直径 70 mm×高さ 150 mm )内で、硬化剤、 ミン触媒および発泡剤を除く原料を表11に示 す配合割合でよく混合した。次に、トリメチ ロールプロパンをビーカ内に投入し、よく撹 拌した。続いてアミン触媒および発泡剤を投 入し撹拌した。数秒後に発泡反応が始まり、 100℃で 30分間放置し硬化させて円柱試験片 得た。この試験片を目視および光学顕微鏡 用いて観察した。試験片に 30 N の力を試 片の円柱軸方向に印加したときに油が滲み す形状の弾性ゴムの発泡体であるものを優 た発泡固形潤滑剤であると評価して「○」 を表11に併記した。

 表10~表12に示すように、実施例51~実施例70で は指で押したとき相当する力を加えたときに 油が滲み出す形状の弾性ゴムの発泡体であり 、優れた発泡固形潤滑剤であると認められた が、比較例15では発泡はしたものの一部固化 ず、また比較例16では樹脂分と潤滑剤が分 してしまい発泡固形潤滑剤としては機能し いことがわかった。比較例17は、弾性に欠け た。また、実施例51~実施例70は、遠心力下に いて潤滑剤成分が(即時に発泡体より抜け出 てしまわず)徐放されることがわかった。
 次に、実施例51~実施例70の発泡固形潤滑剤 分を図6に示すCTスキャナ用転がり軸受41の内 ・外輪42、43と転動体44とに囲まれた軸受空間 に注入して常温で 100℃で 30分間放置し硬化 させ、発泡固形潤滑剤を封入してなるCTスキ ナ用転がり軸受を得た。
 このCTスキャナ用転がり軸受は軸受内部に 泡固形潤滑剤が封入されているので、潤滑 の漏れがなく、かつ異音の発生を防止また 抑制することができた。

 本発明の発泡固形潤滑剤封入軸受は、潤 油を保持する固形潤滑剤の潤滑性能に優れ 潤滑成分の軸受外部への漏れおよび回転に う摺動音や摩擦音の発生を防止でき、長寿 で高速回転でも運転が可能であるので、撚 機、電動機器、印刷機、自動車部品、電装 機、建設機械等の各種産業用機械用、CTス ャナ装置用の発泡固形潤滑剤封入軸受とし 好適に利用できる。