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Title:
BRAZING REPAIR MATERIAL AND BRAZING REPAIR METHOD USING THE BRAZING REPAIR MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/144975
Kind Code:
A1
Abstract:
Brazing repair material (3) is packed into a region to be repaired in a base material (1) having a defect such as a crack (2) or corrosion, and diffusion heat treatment is carried out in order to join and integrate the brazing repair material (3) with the region to be repaired, thereby repairing the region to be repaired. The brazing repair material consists of a mixture of a non-fusing alloy powder having a composition similar to the base material (1) and a fusing alloy powder that fuses at the diffusion heat treatment temperature. The fusing alloy powder is a brazing repair alloy that does not contain Al and is composed of 0.001 to 0.05% C, 2 to 5% Si, 10 to 25% Cr, 15 to 25% Co, 1 to 5% B, by weight percent, and the remainder Ni. Because of this constitution, characteristics equivalent to those of the original base material can be restored in components that have experienced cracking or other defects.

Inventors:
YOSHIOKA YOMEI
FUSE TOSHIAKI
SAITO DAIZO
TAKAKU REKI
KITAYAMA KAZUHIRO
ISHIBASHI KAZUTOSHI
Application Number:
PCT/JP2009/052649
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
February 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOSHIBA KK (JP)
YOSHIOKA YOMEI
FUSE TOSHIAKI
SAITO DAIZO
TAKAKU REKI
KITAYAMA KAZUHIRO
ISHIBASHI KAZUTOSHI
International Classes:
B23K35/30; B23K31/00; B23P6/00; C22C19/05; C22C19/07; F01D25/00; F02C7/00
Foreign References:
JP2006046147A2006-02-16
JP2005500908A2005-01-13
JP2006328535A2006-12-07
US5320690A1994-06-14
JPH04254544A1992-09-09
JPS57207163A1982-12-18
JPH11210138A1999-08-03
JPS5762884A1982-04-16
Other References:
See also references of EP 2279826A4
Attorney, Agent or Firm:
HATANO, Hisashi et al. (JP)
Hisashi Hatano (JP)
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Claims:
亀裂や腐食などの欠陥を生じた基材の被補修部にロウ付け補修材料を充填して拡散熱処理を実施することによりロウ付け補修材料を上記被補修部に一体に接合して被補修部を補修する際に使用するロウ付け補修材料において、このロウ付け補修材料は、上記基材と類似した組成を有する非溶融合金粉末と、上記拡散熱処理の温度において溶融する溶融合金粉末との混合物から成り、この溶融合金粉末は質量%で0.001~0.05%のCと,2~5%のSiと,10~25%のCrと,15~25%のCoと,1~5%のBと,残部Niとから成りAlを含まないロウ付け補修合金であることを特徴とするロウ付け補修材料。
請求項1記載のロウ付け補修材料において、前記溶融合金粉末が質量%で0.01~0.05%のCと,2.5~4.5%のSiと,12~20%のCrと,17~23%のCoと,2~4%のBと,残部Niとから成り、上記成分の構成比[Si+1.5×(C+B)]が6以上9以下であることを特徴とする請求項1記載のロウ付け補修材料。
請求項1記載のロウ付け補修材料において、前記非溶融合金粉末は、質量%で10~25%のNiと、15~45%のCrと、6~8%のTaと、0.1%以下のWと、0.05%以下のCと、残部Coとから成ることを特徴とするロウ付け補修材料。
請求項3記載のロウ付け補修材料において、前記非溶融合金粉末は、質量%で0.001~0.01%のCと,18~25%のCrとを含有することを特徴とするロウ付け補修材料。
請求項1記載のロウ付け補修材料において、前記溶融合金粉末は、質量%で10~25%のNiと、15~45%のCrと、6~8%のTaと、0.1%以下のWと、0.05%以下のCと、残部Coとから成る非溶融合金粉末に、質量%で2~5%のSiと,1~5%のBとを含有させたものであることを特徴とするロウ付け補修材料。
請求項1記載のロウ付け補修材料において、前記溶融合金粉末は、質量%で10~25%のNiと、18~25%のCrと、6~8%のTaと、0.1%以下のWと、0.001~0.01%のCと、残部Coとから成る非溶融合金粉末に、質量%で2~5%のSiと,1~5%のBとを含有させたものであることを特徴とするロウ付け補修材料。
ガスタービンを運転後、亀裂や腐食などの欠陥を生じたガスタービン部品の基材の検査、分解、表面の清浄化、溶体化熱処理、表面部および貫通亀裂の底部はつり、表面の酸化層除去処理、貫通亀裂に対するTIG垂れ落ち防止処理の前処理を行う工程と、
 被補修部の周囲にロウ付け補修材料の流れ止め用囲いを形成する工程と、
 上記基材と類似した組成を有する非溶融合金粉末と拡散熱処理の温度において溶融する溶融合金粉末との混合物から成る請求項1~6のいずれかに記載したロウ付け補修材料を上記囲いの中に充填する工程と、
 上記ガスタービン部品の基材の融点以下であり上記溶融合金粉末の融点以上の温度で拡散熱処理を複数回繰り返して行うことにより上記ロウ付け補修材料を被補修部に一体に接合すると共に加圧下で熱処理することにより緻密化を図るロウ付け補修工程と、
 このロウ付け補修箇所の検査、部分的な不良箇所の追加補修、冷却孔の修復処理を含む仕上げ処理を行う工程と、
 仕上げ処理を行った被補修部について溶体化処理および時効熱処理を実施する工程と、
補修したガスタービン部品の再組立を行なう工程とから成ることを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項7記載のロウ付け補修方法において、前記ロウ付け補修材料の非溶融合金粉末の重量比を溶融合金粉末の0.8倍以上とする一方、上記非溶融合金粉末の粒径を上記溶融合金粉末の2倍以上とすることにより、上記ロウ付け補修材料の被補修部への充填度を高めると共に上記溶融合金粉末の非溶融粉末中および亀裂先端部への流動性を高めることを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項8記載のロウ付け補修方法において、前記ロウ付け補修材料の非溶融合金粉末の重量比を溶融合金粉末の1~1.5倍とすることを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項7記載のロウ付け補修方法において、前記ロウ付け補修は熱間静水圧プレス(HIP)法により実施し、加熱温度は1000℃以上1300℃以下とする一方、加圧力は1000気圧以上2000気圧以下とし、上記ロウ付け補修後に溶体化処理および時効処理を実施することを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項10記載のロウ付け補修方法において、前記熱間静水圧プレス(HIP)法における加熱温度を1100℃以上1260℃以下とすることを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項7記載のロウ付け補修方法において、前記被補修部には亀裂が形成されており、この亀裂に充填されたロウ付け補修材料の組成が、亀裂の表面側から先端側に向かうにしたがって前記溶融合金粉末の組成に近づくことを特徴とするロウ付け補修方法。
請求項7記載のロウ付け補修方法において、前記被補修部へのロウ付け補修材料の充填方法として、合金粉末が溶融および酸化されない温度800℃以下の高速搬送ガス流を用いてロウ付け補修材料を搬送せしめ、ロウ付け補修材料の粒子速度が300m/秒以上となるように設定し、ロウ付け補修材料を被補修部に付着あるいは亀裂内に充填させることを特徴とするロウ付け補修方法。
Description:
ロウ付け補修材料およびその材 を使用したロウ付け補修方法

 本発明はロウ付け補修材料およびその材 を使用したロウ付け補修方法に係り、特に 転時の起動停止に伴う熱疲労による損傷、 リープ損傷、疲労損傷、高温下に曝される とによる熱劣化、酸化、腐食、エロージョ 、または飛来異物との衝突による損傷等を けたガスタービン静翼などの高温部品を効 的に補修・再生することが可能なロウ付け 修材料およびその材料を使用したロウ付け 修方法に関する。

 ガスタービン発電プラントでは、ガスタ ビンと同軸に設けられた圧縮機の駆動によ 圧縮された空気を燃焼器に案内して燃料を 合させることにより燃焼を行わせ、発生す 高温燃焼ガスをトランジションピースおよ 静翼を経てガスタービンの動翼に案内し、 の動翼を回転駆動させてガスタービンで仕 をさせ、発電機にて発電を行うように構成 れている。

 上記のような高温部品であるタービン静 あるいは燃焼器ライナ、トランジションピ ス等に亀裂や摩耗等が生じた場合には、補 溶接や拡散ロウ付け補修を施工して継続し 使用している。これらの補修の際には、必 に応じて溶接時の熱影響および残留応力除 のための熱処理が施工される。

 従来からの拡散ロウ付け補修技術として 、米国特許第5320690号「Co基ろう材組成を使 したCo基超合金の補修方法」あるいは、特 平4-254544号公報「改良型高温ロウ付け合金お よびその使用方法」等が提案されている。

 また、熱間静水圧プレス(HIP)処理を用い 機械的性質の改良法としては特開昭57-207163 公報の「合金部品の機械的性質の改良法」 るいは特開平11-210138号公報の「ガスタービ 部品の劣化・損傷回復処理方法および本処 を施したガスタービン部品」が提案されて る。前者は運転により生じたクリープボイ を消滅させることを意図したものであり、 者は、同じく運転により劣化した組織を回 させることを指向している。

 また、静翼の再生処理技術の一環として、 修時の欠陥消滅法に関しては特開昭57-62884 公報「溶接処理方法」が知られている。こ 特許文献に記載された方法は、ホイールと れに植え込む動翼との突合せ部の溶接処理 に生じる溶接欠陥をHIP処理により消滅させ ことを目的としている。

米国特許第5320690号公報

特開平4-254544号公報

特開昭57-207163号公報

特開平11-210138号公報

特開昭57-62884号公報

発明の開示
 上記のようなガスタービンの高温部品、特 タービンの入り口に配置される初段静翼は 最も高温の燃焼ガスに晒され、起動停止時 熱疲労に主として起因する亀裂が不可避的 多数発生することから、耐熱性および補修 に優れたCo基合金が長年用いられてきた。 れらの亀裂や酸化エロージョン、摩耗等が じた場合には、TIGによる溶接補修を施し、 続して使用しているが、高温化が図られる 伴って補修量は増し、これらの補修の際に ける溶接時の熱影響及び残留応力により変 が生じておリ、その変形量はその後の変形 正では修正が困難な状態までに至っている

 これに対して、拡散ロウ付けによる補修方 は、基材組成と類似する材料にSi,B等の融点 降下材を添加したロウ材(溶融合金粉末)と基 相当強度を有する組成材(非溶融合金粉末) を所定の配合比で混合し、基材の融点以下 熱処理温度で亀裂部の充填あるいは減肉部 肉盛を行う方法である。なお従来から被補 部の耐酸化性を向上させるために、この補 材、特に非溶融合金粉末にはAlが添加される 場合が多いが、被補修部の基材との界面に基 材中に含有する酸素と反応し形成されるアル ミナ(Al 2 O 3 )が、蜘蛛の巣状の膜を形成することにより 着強度の大幅な低下を招く課題があった。 た、このようなアルミニウムの酸化物は、 易的な還元法であるH 2 ガスによる還元が困難であり、この酸化物低 減法は簡単には適用できないという問題もあ った。

 本発明は上記のような事情に鑑みてなさ たものであり、実機運用により材料劣化・ 傷等が生じたガスタービン静翼等の高温部 を対象として、その部品表面に生じた非開 クラックを完全にはつり除去することなく 空中で拡散ロウ付け補修を行うことにより 傷を修復すると共に、高温不活性雰囲気下 加圧処理を行うことにより本来の基材並み 特性を回復し得るロウ付け補修材料および の補修材料を使用したロウ付け補修方法を 供することを目的とする。

 上記目的を達成するために本発明者らは 下のような知見を得て本発明を完成した。 なわち、ガスタービン静翼等の高温部品の 命を支配しているのは溶接補修による変形 あり、この補修による変形を防止する処理 法として真空ロウ付け処理とHIPなどの加圧 密化処理とを用いた補修技術を開発した。

 この補修技術では、運転により含有量が増 する基材中のガス、特に酸素によりロウ付 時の熱処理により補修材との界面にアルミ (Al 2 O 3 )の酸化層が形成されて補修材料の接合強度 低下が生じることを防止するために、また 繰り返し補修が可能となるように水素クリ ニング可能な補修材料として、Al無添加(Alフ リー)の材料を使用する。

 また、被補修部の疲労強度改善のために 間静水圧プレス(HIP)等による高密度化処理 行うことが有効であり、この処理効果が十 に発揮されるように、ロウ付け時において 修材にペーストを混合せずに、被補修部の 囲に堰を設けて流れ防止措置を取った上で 内に補修材を粉体のまま充填してロウ付け 理を行うことにより、補修材の流出が無く 修部の高密度化が実現できる。

 さらに、ロウ付け補修材料を構成するCo 合金などの非溶融合金粉末とCo基あるいはNi 合金などの溶融合金粉末との配合比につい 、非溶融合金粉末の重量比を溶融合金粉末 0.8倍以上とする一方、上記非溶融合金粉末 粒径を上記溶融合金粉末の2倍以上とするこ とにより、上記ロウ付け補修材料の被補修部 への充填度を高めることができる。

 また、ロウ付け補修材料の充填方法とし 、温度が800℃以下である搬送ガスによって 修材料を高速で被補修部に吹き付けるコー ドスプレー法を採用することにより、補修 を亀裂内部をも含めて被補修部に吹き付け 填して固定することが可能であり、被補修 の施工面の熱処理時の傾斜状態(設置角度) 違いに起因して被補修部の仕上がり精度が きくばらつく問題を解消することができる

 本発明は上記のような技術的知見に基づ て完成されたものである。すなわち、本発 に係るロウ付け補修材料は、亀裂や腐食な の欠陥を生じた基材の被補修部にロウ付け 修材料を充填して拡散熱処理を実施するこ によりロウ付け補修材料を上記被補修部に 体に接合して被補修部を補修する際に使用 るロウ付け補修材料において、このロウ付 補修材料は、上記基材と類似した組成を有 る非溶融合金粉末と、上記拡散熱処理の温 において溶融する溶融合金粉末との混合物 ら成り、この溶融合金粉末は質量%で0.001~0.0 5%のCと,2~5%のSiと,10~25%のCrと,15~25%のCoと,1~5%の Bと,残部Niとから成りAlを含まないロウ付け補 修合金であることを特徴とする。

 また、上記ロウ付け補修材料において、 記溶融合金粉末が質量%で0.01~0.05%のCと,2.5~4. 5%のSiと,12~20%のCrと,17~23%のCoと,2~4%のBと,残部N iとから成り、上記成分の構成比[Si+1.5×(C+B)] 6以上9以下であることが好ましい。

 さらに、上記ロウ付け補修材料において 前記非溶融合金粉末は、質量%で10~25%のNiと 15~45%のCrと、6~8%のTaと、0.1%以下のWと、0.05% 下のCと、残部Coとから成ることが好ましい

 また、上記ロウ付け補修材料において、 記非溶融合金粉末は、質量%で0.001~0.01%のCと ,18~25%のCrとを含有することが好ましい。

 さらに、上記ロウ付け補修材料において 前記溶融合金粉末は、前記非溶融合金粉末 、質量%で2~5%のSiと,1~5%のBとを含有する粉末 を用いても良い。

 本発明に係るロウ付け補修方法は、ガス ービンを運転後、亀裂や腐食などの欠陥を じたガスタービン部品の基材の検査、分解 表面の清浄化、溶体化熱処理、表面部およ 貫通亀裂の底部はつり、表面の酸化層除去 理、貫通き裂に対するTIG垂れ落ち防止処理 前処理を行う工程と、被補修部の周囲にロ 付け補修材料の流れ止め用囲いを形成する 程と、上記基材と類似した組成を有する非 融合金粉末と拡散熱処理の温度において溶 する溶融合金粉末との混合物から成る請求 1~6のいずれかに記載したロウ付け補修材料 上記囲いの中に充填する工程と、上記ガス ービン部品の基材の融点以下であり上記溶 合金粉末の融点以上の温度で拡散熱処理を 圧下で複数回繰り返して行うことにより上 ロウ付け補修材料を被補修部に一体に接合 るロウ付け補修工程と、このロウ付け補修 所の検査、部分的な不良箇所の追加補修、 却孔の修復処理を含む仕上げ処理を行う工 と、仕上げ処理を行った被補修部について 体化処理および時効熱処理を実施する工程 、補修したガスタービン部品の再組立を行 う工程とから成ることを特徴とする。

 また上記ロウ付け補修方法において、前 ロウ付け補修材料の非溶融合金粉末の重量 を溶融合金粉末の0.8倍以上とする一方、上 非溶融合金粉末の粒径を上記溶融合金粉末 2倍以上とすることにより、上記ロウ付け補 修材料の被補修部への充填度を高めると共に 上記溶融合金粉末の非溶融粉末中および亀裂 先端部への流動性を高めることを特徴とする 。

 さらに上記ロウ付け補修方法において、 記ロウ付け補修材料の非溶融合金粉末の重 比が溶融合金粉末の1~1.5倍とすることが好 しい。

 さらに上記ロウ付け補修方法において、 記ロウ付け補修は熱間静水圧プレス(HIP)法 より実施し、加熱温度は1000℃以上1300℃以下 とする一方、加圧力は1000気圧以上2000気圧以 とし、上記ロウ付け補修後に溶体化処理お び時効処理を実施することが好ましい。

 また、上記ロウ付け補修方法において、 記熱間静水圧プレス(HIP)法における加熱温 を1100℃以上1260℃以下とすることが好ましい 。

 さらに上記ロウ付け補修方法において、 記被補修部には亀裂が形成されており、こ 亀裂に充填されたロウ付け補修材料の組成 、亀裂の表面側から先端側に向かうにした って前記溶融合金粉末の組成に近づくこと 好ましい。

 また、上記ロウ付け補修方法において、 記被補修部へのロウ付け補修材料の充填方 として、合金粉末が溶融および酸化されな 温度である800℃以下の高速搬送ガス流を用 てロウ付け補修材料を搬送せしめ、ロウ付 補修材料の粒子速度が300m/秒以上となるよ に設定し、ロウ付け補修材料を被補修部に 着あるいは亀裂内に充填させることが好ま い。

 上記構成に係るロウ付け補修材料および れを使用したロウ付け補修方法によれば、 品基材と類似した組成を有する非溶融合金 末と所定組成の溶融合金粉末から成る補修 料を使用しているために、割れや腐食等の 陥部を生じた高温部品の補修再生が容易で り、高温部品を構成材として使用するガス ービン等の運転経済性および保守管理性を 幅に改善することができる。

本発明に係るロウ付け補修材料および の補修材料を用いて補修した補修部の酸化 験結果を示すグラフである。 本発明に係るロウ付け補修材料および の補修材料を用いて補修した補修部のクリ プ強度を比較して示すグラフである。 本発明に係るロウ付け補修材料および の補修材料を用いて補修した補修部の低サ クル疲労強度を比較して示すグラフである 本発明に係るロウ付け補修材料を用い 補修技術の施工プロセス例を示すブロック である。 補修部にHIP処理を施した場合および施 ない場合の低サイクル疲労強度の改善効果 比較して示すグラフである。 拡散ロウ付け補修方法によって補修し 補修部における非溶融合金と溶融合金との 布状態を示す模式的な断面図である。 非溶融コーティング装置の構成例を示 概念図である。 非溶融コーティングを使用してロウ付 補修材料を高速度で基材表面に衝突付着さ た場合の粒子速度とその粒子の付着効率と 関係を示すグラフである。 非溶融コーティング装置のノズル出口 度と粒子速度との関係を示すグラフである 非溶融コーティング装置を使用してロ ウ付け補修材料を高速度で基材表面に衝突付 着させた場合のロウ付け補修材料粉末の溶射 効率と粉末粒径との関係を示すグラフである 。

 以下、本発明に係るロウ付け補修材料お びそれを使用したロウ付け補修方法の実施 態について説明する。

 本発明を適用する被補修部品を構成する材 は、主として高強度耐熱材料であるCo基合 材料である。その代表的な材料がFSX414材で り、下記表1に示す組成を有する。本発明で 定するロウ付け補修材料を構成する非溶融 金は、上記部品の基材と類似する組成を有 る。  

 本発明で規定するロウ付け補修材料を構 する溶融合金は、上記部品基材と類似組成 ある非溶融合金との合金化後においても組 的に安定であり、且つ、諸性質が同等であ ことが必要である。この溶融合金は、ロウ け補修後の組織安定化を図るため、オース ナイト安定化元素であるNiをベース成分と ると共に、耐酸化性向上を意図して質量%で1 0%以上のクロム(Cr)を含有する。Cr含有量はオ ステナイト組織が安定な範囲とするために2 5%以下に規定される。望ましくは12%以上20%以 とする。

 また、コバルト(Co)は基材および非溶融合 金粉末との融合部においても組織の安定化が 図れる成分として15%以上25%以下の範囲で添加 される。ホウ素(B)は溶融合金の融点降下と溶 融合金粉末の拡散熱処理時の濡れ性および流 動性を改善する成分であり、1%以上の割合で 有される。なお、硼化物相の形成を回避す ために添加量の上限は5%以下とされる。Bの ましい含有量は2%以上4%以下の範囲である。

 さらに、炭素(C)とけい素(Si)も同様に溶融 合金の融点降下の効果を得るために添加され る成分元素である。CとSiの添加量は各々の元 素による融点降下量を鑑みて、基材の融点に 対して-50から-100℃程度低い融点を得ること 目標にして、その融点が拡散熱処理温度に るように設定される。具体的なCの含有量範 は0.001~0.05%,Siは2~5%とし、加えて、好ましく Si+1.5×(C+B)の計算値が6以上、9以下となるよ に設定される。

 一方、本発明で規定するロウ付け補修材 を構成する非溶融粉末の組成は、基材であ FSX414材と類似材とし、基材との融合性およ 補修後の特性上の相違に起因する問題の発 を防止している。具体的な非溶融粉末の組 としては、Crを15%以上添加することにより 好な耐酸化性を確保する一方、その含有量 45%を超える場合にはσ相の析出等を生じ金属 組織的に不安定となるために、Crの含有量の 限は45%以下に規定される。Crの含有量は望 しくは18以上25%以下の範囲とされる。

 また、Niは低温領域におけるオーステナ ト組織の安定化を図るために有効な元素で り、10%以上の割合で添加されるが、25%を超 る過量の添加は却って高温領域での強度低 をもたらすことから添加量は25%以下とされ 。Wは耐熱性基材では、通常7%前後添加され いるが、本発明では上記Wに替えてTaを同等 (6~8%)添加することによりσ相の形成等による 組織的な不安定化を防止する一方、非溶融粉 末の融点の調整を行うと共に、炭化物による 析出強化を図っている。

 なお、溶融合金粉末に関しては、上記非 融合金粉末に、さらに2~5%のSiおよび1~5%のB 添加して融点を低下させた合金粉末を溶融 金として用いることも可能である。

 また、基材としてはFSX414材のみでなく、 のCo基合金あるいはCrを15%~30%含有するNi基合 金にも本発明の適用は可能である。

 (実施例1)
 下記表2に示す組成を有する実施例および比 較例用の溶融合金粉末を調製した。これらの 各溶融合金粉末について、日本工業規格(JIS  Z3191)に規定されるろう材の濡れ試験方法の中 の間隙濡れ試験法に基づいてろう材としての 濡れ性および組織の安定性の評価を行った。 すなわち、上記規格に基づき、外径が19mmで り内径が14mmである外管Aに、外径が13.5mmであ り内径が8.5mmである内管Bを挿入し、外管Aの 部に10gの各溶融合金粉末を置き、真空中で 度1200℃にて30分保持し、毛細管現象により 外管間の間隙を上昇したロウ材の上昇高さ 計測し、間隙の狭い部位と広い部位との差 上昇高さの大小により各溶融合金粉末のロ 付け性能の評価を行った。結果を合わせて 2中に記す。

 なお、組織安定性の評価は、間隙濡れ試験 の組織観察により脆い粗大なホウ化物相の 成の有無により評価を行った。各評価結果 下記表2に示す。  

 上記表2に示す結果から明らかなように、 本発明の各実施例用の溶融合金粉末の中でも 、Si+1.5(C+B)で規定される成分比率が下限値で る6に近いものは、間隙を上昇するろう材の 上昇高さが低くなる、また、上記成分比率が 9近くに達すると、内管と外管との間隙の狭 部位では上昇量は大きくなるが、広い部位 は逆に低くなり、その差は大きくなる傾向 示した。ここでは、両値が基準値を満たし いるものを◎、いずれかが基準値近くのも を○、いずれかが満たしていないものを△ 両値とも満たしていないものを×として試験 結果を評価した。

 各実施例用の溶融合金粉末では、いずれ 良好な濡れ性を示しており、溶融合金粉末 しての優れたロウ付け性能を有することが 認できた。また、組織中に粗大で脆いホウ 物相の形成量が少なく、組織の安定性にも れていることが判明した。

 (実施例2)
 下記表3(a)に示す組成を有する実施例および 比較例用の非溶融合金粉末を調製した。また 、表3(b)に示す組成を有する実施例および比 例用の溶融合金粉末を調製した。上記各溶 合金粉末と非溶融合金粉末との重量比が5:7 なるように両者を混合し、各ロウ付け補修 料を調製した。

 一方、FSX414材から成る基材に幅6mmの溝加 を行い試験評価用の被補修部を形成し、こ 被補修部としての溝に上記各ロウ付け補修 料(混合粉末)を充填した。その後、温度1200 で20分間に亘り、拡散熱処理を実施した後 急冷し、FSX414基材の熱処理として温度1150℃ 4hの溶体化熱処理と、温度982℃で4hの時効熱 処理を施し、被補修部の特性を評価した。

 なお、表3(b)中に示す比較非溶融合金粉末 8用の溶融合金粉末としては、本発明で規定 る溶融合金粉末にAlを溶融合金粉末と同量添 加した合金粉末を用いた。上記のように各ロ ウ付け補修材料を充填した被補修部に拡散熱 処理を実施した後に溶体化時効熱処理を施し た被補修部の耐酸化性、クリープ強度、低サ イクル疲労寿命を測定した。ここで被補修部 の耐酸化性は、温度1000℃で1000時間加熱した 合における酸化増量(g)で示す一方、クリー 強度は温度816℃で103.4MPaの引張応力を掛け 状態でのクリープ破断時間(h)で表記した。 た低サイクル疲労寿命は温度816℃で0.4%の全 みを生じるまでの運転の繰返し可能回数(回 )で表記している。

 上記の測定結果を下記表3(a)および図1~3に示 す。なお、表3(a)においては、各比較合金粉 を使用した結果と共に、基材そのままの場 についての結果を併記している。また、従 のTIG溶接補修を行った場合についての結果 下記表3(a)および図3に併記した。  

 上記表3(a)および図1~3に示す結果から明ら かなように、比較合金粉末7のようにCr含有量 が15%未満の場合では耐酸化性が悪化すること が判明した。また比較合金粉末8のように、Al を3%添加した合金を使用した場合は、酸化増 が少なく耐酸化性は優れるが、補修部界面 おいて酸化物の形成が認められ、結果的に リープ強度の若干の低下と低サイクル疲労 度の大幅な低下が発生した。また、Ni、Cr、 Cの過度の添加は組織の不安定を招き易いこ が確認できた。特に比較合金粉末6のように Cr含有量が45%を超えるとσ相等の脆化相の析 出を生じクリープ強度および低サイクル疲労 強度が低下することが確認できた。

 (実施例3)
 基材と類似した組成を有する実施例2で示し た合金粉末に実施例1と同様に融点降下元素 してC,B、Siを同様に添加することにより表4 示す組成を有する各種溶融合金粉末を調製 、ろう材としての濡れ性(接合性)を評価した 。本実施例においても実施例1と同様にJIS Z31 91に規定するろう材の濡れ試験方法に基づく 隙濡れ試験を実施するとさらにろう材の広 り試験を追加して実施し、ろう材としての れ性および流動性の評価を行った。ここで 記ろう材の広がり試験は、0.1gのろう材をロ ウ付け温度で30秒保持した後急冷し、その広 り面積の大小で濡れ性を比較評価する試験 法である。本実施例に係る合金粉末材料は 初その濡れ性および流動性が懸念されたこ から、このろう材広がり試験による評価も 加して実施した。測定評価結果を下記表4に 示す。

 上記表4に示す結果から明らかなように、 実施例1と同様に融点降下元素としてC,B、Siを 所定量の範囲内で添加することにより、当初 懸念された流動性および濡れ性の問題もなく 溶融合金として用いることが可能であること が確認できた。

 次に上記Co基合金から成る溶融合金粉末と 基材と類似した組成を有するCo基合金から成 る非溶融合金粉末4との混合物から成るロウ け補修材料を調製して実施例2で実施した同 な補修試験を実施した。下記表5に用いた本 発明の溶融合金粉末8と非溶融合金粉末4の組 を示す。(表4に示す本発明溶融合金粉末5が 表5に示す本発明溶融合金粉末8に相当する )
 すなわち、溶融合金粉末8と非溶融合金粉末 4との重量比が5:7となるように両者を混合し 各ロウ付け補修材料を調製した。そして、FS X414材から成る基材に幅6mmの溝加工を行い試 評価用の被補修部を形成し、この被補修部 しての溝に上記各ロウ付け補修材料(混合粉 )を充填した後に、実施例2と同一条件で拡 熱処理を実施し、被補修部の特性を評価し 。評価結果を表5中に併せて示す。  

 上記表5に示す結果から明らかなように、 Co基合金から成る溶融合金粉末および非溶融 金粉末4との混合物から成るロウ付け補修材 料を使用した場合においても、Ni基合金から る溶融合金粉末を使用した場合と同等以上 特性が得られることが確認できた。

 (実施例4)
 次に本発明に係るロウ付け補修材料を使用 たロウ付け補修方法のプロセスの流れを説 すると共に、処理温度、複数回の拡散熱処 、平坦部におけるペーストを使わずに補修 料を混合する操作等を説明する。

 本発明のロウ付け補修方法の処理工程は 図4にも示すように以下の工程から成る。

 (1)受け入れ確認→(2)インピンジメントプレ ト・コアプラグ分解→(3)ブラストによる表 酸化層・付着物除去→(4)超音波探傷試験やX 線探傷試験などの非破壊検査→(5)被補修部の 表面はつり→(6)水素クリーニング→(7)貫通亀 裂部の封止溶接等の補修材料の垂れ落ち防止 処理→(8)補修材料の流れ止め措置および溶融 粉末と非溶融粉末との混合、被補修部への補 修材料の充填→(9)拡散熱処理→各被補修部( 理面)において(8)、(9)工程を繰り返す→(10)非 破壊検査および補修不良部のタッチアップ補 修→(11)HIP処理→(12)非破壊検査および補修不 部のタッチアップ補修→(13)仕上げ処理→(14 )冷却孔加工→(15)溶体化熱処理→(16)時効熱処 理→(17)コアプラグ組み立て→(18)出荷前検査
 上記ロウ付け補修工程において、後工程で 修部の緻密化のために行なうHIP処理の効果 十分に発揮させるために、ロウ付け補修材 は溶融合金粉末と非溶融合金粉末とを混合 るのみでペースト材を用いない機械的な混 粉末を用いることが好ましい。この場合、 ウ付け補修材料は見掛けの粘性が小さく流 易い。そのため、ロウ付け補修材料の移動 防止するために、被補修部の処理面の水平 からの傾斜角度が30度以内になるように設 してロウ付け補修材料の充填処理および拡 熱処理を行うことが好ましい。

 なお、上記補修材料の流れ止め防止措置 しては、ロウ付け補修材料(混合粉末)にペ スト剤を混合させて粘性を高めた混合粉末 使用すること、または被補修部の周囲を耐 テープで囲うことなどが採用できる。

 このように、ロウ付け補修材料の流れや 動を防止するために、被補修部の処理面は 平に近い状態に保つことが有効である。1個 の高温部品について多数の損傷部位が発生し た場合には、上記(8)の工程(補修材料の流れ め措置および溶融粉末と非溶融粉末との混 、被補修部への補修材料の充填)および(9)の 程(拡散熱処理)を処理面の数だけ繰り返す 要がある。ガスタービン実機の高温部品と ての初段ノズルに生じた損傷を補修する場 には図4に示す処理工程によりロウ付け補修 理が実行される。

 ここで上記ロウ付け補修処理における拡 熱処理温度の設定経緯について説明する。 なわち、表6に示すような組成を有する各種 の溶融合金粉末および非溶融合金粉末の融点 を示差熱分析法によって計測した。

 すなわち、炉内に試料(合金粉末)と基準試 とを対称的に配置して、一定速度で昇温し がら、試料と基準試料の温度差を測定して 時間に対してプロットして記録する装置で る示差熱分析計を用意した。この示差熱分 計を用いて計測した示差熱分析曲線(DTA曲線) を用いて各溶融合金および非溶融合金の融点 を測定した。そして、基材であるFSX414材の融 点と共に下記表6に示す。なお、基材であるFS X414材に関しては、DTA曲線から求めた融点と に、試料を所定の温度に加熱し、急冷した の組織観察から局所的な溶融が生じる温度 求めた。この局部溶融温度は1261℃であった これらのデータから、溶融合金粉末の融点 り高い温度であり、かつ基材の局部溶融温 より低い温度として1200℃を拡散熱処理温度 として用いた。

 (実施例5)
 次に、高温ロウ付け補修技術において重要 溶融合金粉末と非溶融合金粉末との混合比 や粒径比が被補修部の特性に及ぼす影響に いて以下の実施例に基づいて説明する。

 まず溶融合金粉末と非溶融合金粉末の混 比率に関しては、溶融合金粉末の比率が大 くなると補修材料の形状の保全性が悪化す 一方、非溶融合金粉末の比率が大きくなる 補修材料の流動性が悪化する結果、亀裂先 まで補修材料が流れにくくなり充填性が低 すると共に、補修部の気孔率(ロウ付け欠陥 )が大きくなる傾向にある。

 具体的に溶融合金粉末と非溶融合金粉末と 混合比を表7に示すように変えて各種ロウ付 け補修材料を調製し、被補修部(処理面)の傾 角を変えた状態で補修材料の形状の保全性 確認した。また処理面を水平にした状態(傾 斜角0度)で拡散熱処理を実施し補修部の断面 織の観察を行い、気孔等の欠陥の発生状況 調査した。調査結果を下記表7に示す。  

 上記表7に示す結果から明らかなように、 非溶融合金粉末と溶融合金粉末の混合比率が 40/60である場合においても、補修材料の保全 はある程度は得られるが、混合比率は40/60 が好ましく、さらには50/50から60/40の範囲が 孔率も小さく最適であることが確認できる

 一方、ロウ付け補修材料を構成する非溶融 金粉末の粒径と溶融合金粉末の粒径との比 補修部の健全性への影響度は大きい。非溶 合金粉末の粒径を約45ミクロンに設定する 方、表8に示すように溶融合金粉末の粒径を 溶融合金粉末の粒径の1/2から3倍まで変化さ せて、4種類のロウ付け補修材料を調製した これらの各ロウ付け補修材料を使用して実 例2と同一条件でロウ付け補修を実施した。 お、被補修部は水平状態(傾斜角0度)に保持 て補修を行った。そして、各補修部の組織 観察して気孔率の大小を比較することによ 最適粒径比の検討を行った。検討結果を下 表8に示す。

 上記表8に示す結果から明らかなように、 非溶融合金粉末の粒径と溶融合金粉末の粒径 との比が1~3である場合において、気孔率が小 さく緻密な組織が得られており、特に粒径比 が2のときに最適な緻密組織が得られた。

 (実施例6)
 次に所定量のバインダーを添加したロウ付 補修材料を用いて高温ロウ付け補修を実施 た場合の補修部の組織に対する影響を実施 6として調査した。軽微の損傷がある高温部 品で処理面の水平面に対する傾斜角度が大き い部位の補修を行う場合には、ロウ付け補修 材料の流れ止めを形成しても、十分な量の補 修材を被補修部に保持することが困難になる 場合がある。その場合には、補修部位の品質 が保持できる範囲内でバインダーを混ぜた補 修材を用いる必要がある。

 本実施例ではロウ付け補修材料(混合粉末) 対するバインダーの混合比(重量比)を表9に すように2~20%と変化させて粘性(流動性)が異 る各補修材料を調製した。さらに各ロウ付 補修材料を使用して実施例2と同一条件でロ ウ付け補修を実施した。そして、各補修部の 組織を観察して気孔率の大小を比較すること により、バインダーの混合比が拡散熱処理後 の組織に及ぼす影響を調べた。調査結果を下 記表9に示す。  

 上記表9に示す結果から明らかなように、 ロウ付け補修材料に対するバインダーの混合 比を重量比で5~12%程度の範囲にした場合にお ては、気孔率も小さくロウ付け欠陥は軽微 あることが確認できた。

 (実施例7)
 次に熱間静水圧プレス(HIP)処理条件につい の検討を行った。本実施例7では、前記本発 溶融合金粉末1と本発明非溶融合金粉末1と 5:7の重量比率で混合してロウ付け補修材料 調製し、この補修材料を使用して実施例2と 一条件でロウ付け補修を実施した。上記補 部を含む各試験片を表10に示す条件でHIP処 した。具体的には、圧力は1000atmとし加熱温 を1000℃から1350℃の範囲で変化させてHIP処 を実施した。各試験片について補修部の組 観察を行うと共に、補修材料の亀裂への充 状況を調査した。また、補修部の引張試験 実施し補修部の引張強さおよび引張伸びを 定した。各測定評価結果を下記表10に示す。

 上記表10に示す結果から明らかなように 1260℃より高い温度でHIP処理した場合には、 材の組織崩壊が生じており、1300℃以上の処 理では補修部が一部溶解して流出したことも 確認できた。一方、1000℃の処理では溶融・ 溶融合金粉末の拡散熱処理後の組織からほ んど変化は認められず、1100℃から組織の均 化が実現した。

 なお、実施例2および実施例3で使用した ウ付け補修材料を使用してロウ付け補修し 後に本発明のHIP処理条件3(圧力:1000atm、温度: 1200℃)でHIP処理した試験片および実施例3で使 用した本発明溶融合金粉末8と非溶融合金粉 4とを5:7で混合して調製したロウ付け補修材 を使用してロウ付け補修した後に上記本発 のHIP処理条件3でHIP処理した試験片について 、低サイクル疲労寿命を測定した。上記低サ イクル疲労寿命は、実施例2と同様に、温度81 6℃で0.4%の全歪みを生じるまでの運転の繰返 可能回数(回)で表記している。これらの測 結果を、実施例2における結果に追記して図5 に示す。

 図5に示す結果から明らかなように、ロウ 付け補修後に所定条件でHIP処理を実施した場 合には、いずれの合金を使用した場合におい ても補修部の緻密化が進行するために、基材 と同等以上の低サイクル疲労寿命特性を確保 できた。

 (実施例8)
 次に、本発明のロウ付け補修方法において 溶融合金粉末と非溶融合金粉末との粒径比 被補修部の特性に及ぼす影響について以下 実施例8に基づいて説明する。本実施例8に けるロウ付け補修材料では、表11に示す組成 を有する溶融合金粉末と非溶融合金粉末とか ら成り、この溶融合金粉末の粒径を非溶融合 金粉末の粒径の約半分に設定することにより 拡散熱処理時の溶融合金の流動性を改善して いる。

 こうして調製したロウ付け補修材料を使 して実施例2と同一条件で拡散ロウ付け補修 を実施した。そして補修部の組織観察を行っ た結果、図6に示すような組織が得られた。 なわち図6は拡散ロウ付け法によって補修し 補修部における非溶融合金と溶融合金の分 状態を示す模式的な断面図である。基材1に 発生した亀裂2に溶融合金粉末(○)と非溶融合 金粉末(●)とから成るロウ付け補修材料3を充 填して拡散熱処理を実施すると、拡散熱処理 時の溶融合金の流動性が改善されているため に、基材の表面部P1から中位部P2,P3を経て亀 2の先端部位P4まで補修材料が効果的に浸透 ており、補修材料の亀裂2への充填性は極め 良好であることが確認された。

 また、図6に示す補修部において基材の表面 部P1、亀裂2の中位部P2,P3および亀裂2の先端部 P4での合金組成の分析結果を下記表11に示す   

 上記表11および図6に示す結果から明らか ように、拡散熱処理時の溶融合金の流動性 改善されているために、基材の表面部P1か 中位部P2,P3を経て亀裂2の先端部位P4まで補修 材料が効果的に浸透しており、補修材料の亀 裂2への充填性は極めて良好であることが確 された。

 その結果、表11の分析結果からも明らか ように、補修部の表層部P1から亀裂2の先端 P4に向かうに従って、合金組成は非溶融合金 粉末組成から溶融合金粉末組成に近くなるこ とが確認された。なお、Si,B成分量は、拡散 処理によって本来の溶融合金組成よりも若 低めの値を示しているが、概ね亀裂の先端 に向かうに従って溶融合金粉末組成に近づ 傾向が示された。

(実施例9)
 次に、本発明のロウ付け補修方法において 溶融合金粉末と非溶融合金粉末とから成る ウ付け補修材料を高速ガス流によって被補 部に充填するように構成した例を以下の実 例9に基づいて説明する。本実施例9におい は、被補修部へのロウ付け補修材料の充填 置として図7に示すような非溶融コーティン 装置を使用するものである。

 この非溶融コーティング装置は、ガスタ- ビン動翼のコーティング処理に使用される溶 射装置に近似した構成を有し、ロウ付け補修 材料3を供給する粉末供給装置4と、窒素、He ス等の圧縮された気体(高圧ガス)を加熱する ガス加熱装置5と、上記粉末供給装置4から供 されたロウ付け補修材料3を加熱された高圧 ガスによって分散し高速のガスジェット6と て噴射する超音速ノズル7とから構成される

 亀裂等の欠陥を生じた基材1の被補修部に ロウ付け補修材料3を充填する場合には、ロ 付け補修材料3を構成する合金粉末が溶融お び酸化しない温度以下の高速ガス流により 修材料が分散され搬送される。そして、被 修部位に補修材料を衝突させ、その衝突の ネルギーにより混合粉末を非補修部に付着 せると共に、亀裂の深部まで補修材料を押 込む。すなわち、圧縮空気あるいは窒素、H eガス等の圧縮された気体を、ガス加熱装置5 通してその流速を加速させて超音速ノズル7 に供給し、別途供給されたロウ付け補修材料 3の粉末と混合し、超音速ノズル7内での流路 さらに絞り込むことによりガス流速を更に 速させ超音速で被補修部に衝突させ被覆す 。これらの充填操作によれば、欠陥を生じ いバインダーを使用することなく、また煩 な流れ止め措置を施すことなく、補修材料 効率的に付着させることが可能になった。 に上記の充填操作によりロウ付け補修材料 強固に基材表面および亀裂内部に付着させ ことが可能になるために、ガスタービン静 の全面に亘って亀裂等の損傷が発生してい ような場合であっても、拡散熱処理の回数 、翼面腹側を上向きにした場合と下側にし 場合との2回で処理することが可能となり、 補修作業効率が大幅に向上する。

 図8は上記非溶融コーティング装置を使用 してロウ付け補修材料を高速度で基材表面に 衝突付着させる場合の粒子速度とその粒子の 付着効率との関係を示すグラフである。図8 示す結果から明らかなように、ロウ付け補 材料の粒子速度が300m/秒以上の範囲において 付着効率が高くなるため、粒子速度が300m/秒 上である搬送ガスを用いスプレイし、基材 面あるいは亀裂内部に補修材料粒子を充填 せることが極めて有効である。なお、ここ 付着効率とは高速ガス流によって搬送され 補修材料の量に対する実際に基材表面およ 亀裂内部に付着した補修材料の量の比率と 義する。

 図9は、前記非溶融コーティング装置にお ける圧縮ガスのノズル出口温度と粒子速度と の関係を示すグラフである。圧縮ガスのノズ ル出口温度の上昇に比例して粒子速度は増加 する傾向が明白である。粒子速度を300m/秒以 とするためには、搬送ガスとしての圧縮ガ のノズル出口温度を200℃以上にすれば十分 ある。しかしながら、この圧縮ガス温度が8 00℃を超えるように高くなると補修材料を構 する合金粉末の溶融や酸化による劣化が進 し易くなるために上限温度は800℃とするこ が望ましい。

 図10は、前記非溶融コーティング装置を 用してロウ付け補修材料粉末を高速度で基 表面に衝突付着させた場合のロウ付け補修 料粉末の溶射効率と粉末粒径との関係を示 グラフである。特に粉末粒径が10μmから150μm の範囲において、溶射効率が高くなることが 明白であるため、ロウ付け補修材料を構成す る溶融合金粉末および非溶融合金粉末の粒径 は上記範囲内で選定することが好ましい。

 なお、ここで溶射効率とは高速ガス流に って搬送された補修材料の量に対する実際 基材表面および亀裂内部に溶射された補修 料の量の比率と定義する。

 上記各実施例に係るロウ付け補修材料お びそれを使用したロウ付け補修方法によれ 、部品基材と類似した組成を有する非溶融 金粉末と所定組成の溶融合金粉末から成る 修材料を使用しているために、割れや腐食 の欠陥部を生じた高温部品の補修再生が容 であり、高温部品を構成材として使用する スタービン等の運転経済性および保守管理 を大幅に改善することができる。