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Patent Searching and Data


Title:
CAR-BODY REINFORCING MEMBER, FRONT SIDE MEMBER, AND CAR-BODY SIDE STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/123506
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a car-body reinforcing member such as a side member or pillar, which has a bending portion to be two- or three-dimensionally bent and which has a super-high tensile strength higher than 1,100 MPa. The car-body reinforcing member is constituted of a cylinder including a bending portion to be two- or three-dimensionally bent, a cutting- or boring-scheduled portion, and a welding-scheduled portion, and having a closed section with no outward flange. The cylinder is composed of a super-high strength heat-treated portion heat-treated to a tensile strength higher than 1,100 MPa, a high strength heat-treated portion forming the remainder of the super-high strength heat-treated portion and heat-treated to have a tensile strength of 600 MPa to 1,100 MPa, and/or a low strength heat-treated portion heat-treated to have a tensile strength lower than 600 MPa or the aforementioned cutting- or boring-scheduled portion and welding-scheduled portion.

Inventors:
YOSHIDA MICHITAKA (JP)
KOJIMA NOBUSATO (JP)
TOMIZAWA ATSUSHI (JP)
SHIMADA NAOAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056371
Publication Date:
October 16, 2008
Filing Date:
March 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
YOSHIDA MICHITAKA (JP)
KOJIMA NOBUSATO (JP)
TOMIZAWA ATSUSHI (JP)
SHIMADA NAOAKI (JP)
International Classes:
B62D25/08; B21D7/08; B62D25/06
Foreign References:
JP2002020853A2002-01-23
JP2004323967A2004-11-18
JP2004114912A2004-04-15
JPH07119892A1995-05-12
JP2004082861A2004-03-18
JPH1045023A1998-02-17
JPH11255146A1999-09-21
JP2001106002A2001-04-17
JP2002173055A2002-06-18
JP2003306171A2003-10-28
JP2003118633A2003-04-23
JPS5059263A1975-05-22
JP2816000B21998-10-27
JP2000158048A2000-06-13
JP3195083B22001-08-06
JPH1017933A1998-01-20
Other References:
See also references of EP 2143621A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROSE, Shoichi (4-2 Nihonbashi Honcho 4-chome, Chuo-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部を備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 該超高強度熱処理部を除いた残余の部位である、引張強度が600~1100MPaとなるように熱処理された高強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部を備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 該超高強度熱処理部を除いた残余の部位である、引張強度が600MPa未満となるように熱処理された低強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部を備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 該超高強度熱処理部を除いた残余の部位の一部である、引張強度が600~1100MPaとなるように熱処理された高強度熱処理部と、
 前記超高強度熱処理部及び前記高強度熱処理部を除いた残余の部位であるとともに引張強度が600MPa未満となるように熱処理された低強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予定部のうちの少なくとも一つとを備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 該超高強度熱処理部を除いた残余の部位の一部である、引張強度が600~1100MPaとなるように熱処理された高強度熱処理部と、
 前記超高強度熱処理部及び前記高強度熱処理部を除いた残余の部位である、引張強度が600MPa未満となるように熱処理された低強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予定部のうちの少なくとも一つとを備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 前記切断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予定部のうちの少なくとも一つであって引張強度が600MPa未満となるように熱処理された第1の低強度熱処理部と、
 前記超高強度熱処理部及び前記第1の低強度熱処理部を除いた残余の部位である、引張強度が600MPa未満となるように熱処理された第2の低強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予定部のうちの少なくとも一つとを備え、閉断面を有し、さらに、軸方向に単一の部材により構成される筒体を備え、該筒体は、
 引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部と、
 前記切断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予定部のうちの少なくとも一つであって引張強度が600MPa未満となるように熱処理された第1の低強度熱処理部と、
 前記超高強度熱処理部及び前記第1の低強度熱処理部を除いた残余の部位の一部である、引張強度が600~1100MPaとなるように熱処理された高強度熱処理部と、
 前記超高強度熱処理部、前記高強度熱処理部及び前記第1の低強度熱処理部を除いた残余の部位であるとともに引張強度が600MPa未満となるように熱処理された第2の低強度熱処理部と
を備えることを特徴とする自動車車体用強度部材。
 前記曲げ加工部は引張強度が1100MPa超となるように熱処理された超高強度熱処理部である請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載された自動車車体用強度部材。
 前記閉断面は、外部へ向けたフランジを有さない閉断面である請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載された自動車車体用強度部材。
 閉断面を有するとともに軸方向に単一の部材により構成される筒体からなる本体を備え、該本体は、その軸方向の一方の端部から他方の端部へ向けて、車体前後方向へ向けて延びて存在する先端部と、該先端部に連続するとともにダッシュパネルに沿って下方へ向けて傾斜する傾斜部と、該傾斜部に連続するとともに前記ダッシュパネルに接合されるフロアーパネルの下面に沿って延びて存在する後端部とを有するフロントサイドメンバーであって、
 前記先端部の一部は焼入れ処理が行われない非焼入れ部であるとともに、該一部を除いた残余の部分は高周波焼入れ処理が行われた高周波焼入れ部であり、
 前記傾斜部の全ては、高周波焼入れ処理が行われた高周波焼入れ部であり、さらに、
 前記後端部の一部は焼入れ処理が行われない非焼入れ部であるとともに、該一部を除いた残余の部分は、高周波焼入れ処理が行われた高周波焼入れ部であること
を特徴とするフロントサイドメンバー。
 前記先端部における、前記非焼入れ部及び前記高周波焼入れ部は、前記筒体の軸方向へ向けて交互に、それぞれ1つ又は2つ以上設けられる請求項9に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記非焼入れ部及び前記高周波焼入れ部それぞれの前記軸方向への長さは、前記筒体の先端から後端に向かうにつれて大きくなる請求項10に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記先端部における前記高周波焼入れ部は、前記筒体の軸方向の先端から後端に向かうにつれてその面積が徐々に大きくなるように設けられるとともに、前記先端部における前記非焼入れ部は、前記筒体の軸方向の先端から後端に向かうにつれてその面積が徐々に小さくなるように設けられる請求項9に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記先端部における、前記非焼入れ部及び前記高周波焼入れ部は、前記筒体の周方向へ向けて交互に、それぞれ1つ又は2つ以上設けられる請求項9から請求項12までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記筒体が多角形の横断面形状を有し、前記非焼入れ部は該多角形の頂点を含まない領域に設けられるとともに前記高周波焼入れ部は該多角形の頂点を含む領域に設けられる請求項13に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記筒体が多角形の横断面形状を有し、前記非焼入れ部は該多角形の頂点を含む領域に設けられるとともに前記高周波焼入れ部は該多角形の頂点を含まない領域に設けられる請求項13に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記多角形は対向する一対の略水平面を有し、前記非焼入れ部は一方の略水平面に設けられるとともに前記高周波焼入れ部は他方の略水平面に設けられる請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記多角形は対向する一対の略垂直面を有し、前記非焼入れ部は一方の略垂直面に設けられるとともに前記高周波焼入れ部は他方の略垂直面に設けられる請求項13から請求項16までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記非焼入れ部は前記筒体の横断面における下側の領域に設けられ、前記高周波焼入れ部は該下側の領域を除く上側の領域に設けられる請求項13から請求項17までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記非焼入れ部は前記筒体の横断面における車体内側の領域に設けられ、前記高周波焼入れ部は該車体内側の領域を除く車体外側の領域に設けられる請求項13から請求項18までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記後端部における、前記非焼入れ部及び前記高周波焼入れ部は、該後端部の先端から前記筒体の軸方向へ向けて交互に、それぞれ1つ又は2つ以上設けられる請求項9から請求項19までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記非焼入れ部は、穴あけ加工による穴あき部及び溶接される溶接部を含む領域に設けられる請求項9から請求項20までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 前記筒体は、外部へ向けたフランジを有さない請求項9から請求項21までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 高周波焼入れ部の引張強度は、1100MPa超又は600~1100MPaであるとともに、前記非焼入れ部の引張強度は、600MPa未満である請求項9から請求項22までのいずれか1項に記載されたフロントサイドメンバー。
 サイドシルに接続されて上方へ向けて延びて存在するとともに閉断面を有する第1の部分と、該第1の部分に連続して斜め方向へ向けて延びて存在するとともに閉断面を有する第2の部分とを備えるAピラーと、該Aピラーに連続するとともにBピラーに接続し、閉断面を有するルーフレールサイドとを備える自動車車体の側部構造であって、
 閉断面を有するとともに三次元で屈曲した形状を有し、かつ高周波焼入れ処理された軸方向に単一の部材により構成された側部補強部材が、少なくとも、前記第2の部分の内部及び、前記ルーフレールサイドの内部であって前記Bピラーとの接続部よりも後方の位置までの間に、配置されること
を特徴とする自動車車体の側部構造。
 前記側部補強部材における、前記Bピラーとの接続のために溶接される領域には、焼入れ処理が行われない請求項24に記載された自動車車体の側部構造。
 前記自動車車体は、前記ルーフレールサイドに連続するとともに閉断面を有するCピラーとを備え、前記側部補強部材は該Cピラーの内部に配置される請求項24又は請求項25に記載された自動車車体の側部構造。
 前記第2の部分の内部に配置される前記側部補強部材の先端部には、焼入れ処理が行われない請求項24から請求項26までのいずれか1項に記載された自動車車体の側部構造。
 前記側部補強部材は、さらに、前記第1の部分の内部に配置される請求項24から請求項26までのいずれか1項に記載された自動車車体の側部構造。
 前記側部補強部材は、外部へ向けたフランジを有さない請求項24から請求項28までのいずれか1項に記載された自動車車体の側部構造。
 前記側部補強部材における高周波焼入れ処理された部分の引張強度は、1100MPa超又は600~1100MPaである請求項24から請求項29までのいずれか1項に記載された自動車車体の側部構造。
 前記側部補強部材における焼入れ処理が行われない部分の引張強度は、600MPa未満である請求項30に記載された自動車車体の側部構造。
Description:
自動車車体用強度部材、フロン サイドメンバー及び自動車車体の側部構造

 本発明は、自動車車体用強度部材、フロ トサイドメンバー及び自動車車体の側部構 に関する。詳しくは、本発明は、例えばS字 曲げのように曲げ方向が2次元的に異なる曲 加工、又は曲げ方向が3次元的に異なる曲げ 工を行われて製造される自動車車体用強度 材と、自動車車体を構成する強度部材であ フロントサイドメンバーと、自動車車体の 部構造、具体的には少なくともAピラー、B ラー及びルーフレールサイドを備える自動 車体の側部構造とに関する。

 以前の自動車は、断面箱型の部材をハシ 状に組み合わせて構成されるフレームに、 ンジン、ラジエター、サスペンション、ト ンスミッション、デファレンシャルさらに 燃料タンク等の部品を装着し、このフレー の上に、エンジンコンパートメント、キャ ンおよびトランクルームからなるボディを 載する、いわゆるフレーム構造が採用され いた。しかし、このフレーム構造は、ボデ とは別部品である大重量のフレームを必ず いることから車体の軽量化を図ることが難 いとともに、フレームとボディとを接合す 工程も不可欠になるために生産性が低い。 のため、近年生産される自動車の殆どは、 のフレームとボディとを一体構造としたモ コックボディ(ユニット・コンストラクショ ンボディ)により構成される。

 モノコックボディは、モノコックボディ おける下面、つまり床部分であってボディ 造上の基礎となる最重要部分であるアンダ ボディ(プラットフォームともいう。)に、 イドシル、Aピラー、Bピラー、ルーフレール サイド、場合によってはCピラーにより構成 れるボディーサイドを組み合わせて一体化 たボディシェルで荷重を支えるものであり 外部から負荷される衝撃荷重に対してもボ ィ各部が縮んだり崩れたりする際にボディ 部の全体で衝撃エネルギーを吸収する。

 モノコックボディには、フレーム構造の うな明確なフレームは存在しないものの、 ンジンやサスペンションの取付け部といっ 負荷や応力が集中する部分には、例えばサ ドメンバー、サスペンションメンバー、各 ピラー、クロスメンバー、ルーフレールさ にはサイドシル等といった閉断面の筒体か なる自動車車体用強度部材を適宜配置して ディシェルを補強する。また、ボディーサ ドは、アンダーボディとともに自動車車体 曲げ剛性や捩じり剛性に大きく影響するの ならず、側面衝突の際にはキャビンの損傷 できるだけ抑制して搭乗者の安全性を高め 機能を有する。特に全面衝突に比して側面 突では乗員保護のための空間を十分に確保 ることが困難であるので、このボディーサ ドの剛性を高めることが重要である。

 このように配置される強度部品の一つと て、メンバー(サブフレームともいう)があ 。メンバーとは、サスペンションやエンジ 、さらにはミッション等をアンダーボディ 装着する際に介在される骨格である。アン ーボディは、サスペンションや駆動系を支 するためにボディの各種剛性(例えば曲げ剛 や捩じり剛性等)に大きく影響するので、メ ンバーやその他の補強材をアンダーボディの 各部に適宜配置することによって、アンダー ボディに十分な剛性を与える。この種のメン バーの一つとして、エンジンコンパートメン ト内の左右に前後方向へ略水平に延設して溶 接されるフロントサイドメンバーがある。

 通常、フロントサイドメンバーは、例え 四角形や六角形、さらには円形等の閉断面 有する筒体からなる本体を備える。そして この本体は、その軸方向の一方の端部から 方の端部へ向けて、車体の前後方向へ向け 延びて存在する先端部と、この先端部に連 するとともにエンジンコンパートメント及 キャビンの間の隔壁であるダッシュパネル 沿って傾斜する傾斜部と、この傾斜部に連 するとともにダッシュパネルに接合される ロアーパネルの下面に沿って延びて存在す 後端部とを有する。ボディの大きさによる 、フロントサイドメンバーの全長は600~1200mm 程度である。

 このフロントサイドメンバーは、上述し ように、アンダーボディの強度の維持を第1 に要求される強度部材であることから十分な 強度を有するように設計される一方で、正面 衝突事故の場合には負荷される衝撃荷重を負 担する主体となる部材でもあるので、正面衝 突事故の場合にはその先端側が座屈して蛇腹 状(アコーディオン状)に塑性変形することに り衝撃エネルギーを吸収できる衝撃吸収性 を有するように、設計される。このように フロントサイドメンバーは、十分な強度を することと、衝撃荷重が負荷されると先端 が蛇腹状に塑性変形し易いことといった、 わば相反する特性を具備することが要求さ る。

 さらに、上述したように、フロントサイ メンバーは、アンダーボディの補強部材と て他のパネルに溶接されて配置されるもの あることから、優れた溶接性と、前端部か 後端部へかけて複雑な形状を有するととも 穴あけ加工や切断加工を行われることから れた加工性も要求される。

 特許文献1には、中空のアルミニウム合金 押出形材からなり、部分的に板厚が変化する エネルギー吸収部材に係る発明が開示され、 特許文献2には車体の前後方向と平行に配置 れたアーチ形状部を有する閉断面を有し、 分的に板厚が変化するフロントサイドメン ーに係る発明が開示され、特許文献3には先 部の一部に脆弱な部分を設けたフロントサ ドメンバーに係る発明が開示され、特許文 4には前端部の形状を工夫することにより断 面全域でより均等に変形して座屈することが できるフロントサイドメンバーに係る発明が 開示され、特許文献5には軽合金製鋳物から るU字断面の下側部材と、軽合金製の板材か なる上側部材とからなる閉断面のフロント イドメンバーに係る発明が開示されている

 また、特許文献6には、ボディーサイドに 関してAピラーの内部に補強チューブを配置 ることによってロールオーバー時のAピラー 座屈することを防止する発明が開示されて る。

 近年、自動車車体用強度部材に対しては、 球温暖化抑制のためのCO 2 排出量削減を図るための燃費向上、及び衝突 事故の際における乗員のよりいっそうの安全 性の向上の観点から、軽量化及び高強度化に 対する要請がますます高まっている。このよ うな要請に対応するため、従来よりもかなり 高い強度レベルを有する高強度の素材、例え ば、引張強度が780MPa以上、さらには900MPa以上 という高張力鋼板が多用されている。

 一方、このような素材の高強度化に伴っ 、自動車車体用強度部材の構造を見直すこ も推進されている。例えば、多様な自動車 部品に適用するために、多岐にわたる曲げ 状、例えば、S字曲げのような曲げ方向が2 元的に異なる曲げ加工、又は曲げ方向が3次 的に異なる曲げ加工を行われて製造される 動車車体用強度部材を、高精度で加工する めの曲げ加工技術の開発も強く要請されて る。

 このような要請に応えるため、これまで も様々な加工技術が提案されている。例え 、特許文献7には、金属管等の被加工材の先 端側を回転自在のアームにより掴み、加熱装 置により加熱しながら、加熱部を軸方向に順 次移動させることにより曲げ変形させ、その 直後に冷却することにより、金属管等を熱処 理しながら曲げ加工する方法に係る発明が開 示されている。また、特許文献8には、金属 を掴んで加熱部にねじり力と曲げ力とを与 て金属管をねじりながら曲げ変形させるこ によって、金属管等を熱処理しながら曲げ 工する方法に係る発明が開示されている。

 曲げ加工製品の軽量化も考慮すれば、そ 引張強さを、900MPa以上に設定することが望 しく、1300MPa以上に設定することが望ましい 。このような場合、これまでは特許文献7、8 より開示されるように、引張強さが500~700MPa 程度の素管を出発材料として曲げ加工を行っ た後、熱処理によって強度を上昇させること により所望の高強度を有する曲げ加工製品を 製造していた。

 特許文献7、8により開示された発明は、 ずれも、いわゆる掴み曲げ加工に属する加 方法を用いるものであり、いずれの発明を 施するにも被加工材の先端部を回転自在の ームにより掴む必要がある。このため、被 工材の送り速度を高速化することが難しく しかも、アームにより被加工材を掴み直す にアームを原位置へ戻す必要があるので、 加工材の送り速度が大きく変動し、冷却速 を複雑に制御することが難しくなり、所望 焼入精度を確保することができない。この め、不均一な歪みが発生してしまう加熱や 却の速度を複雑かつ高精度で制御しなけれ ならなくなり、所定の焼き入れ精度を確保 ることが極めて難しい。このため、曲げ加 形状にばらつきが発生するとともに、特に 強度材の場合には残留応力に伴う遅れ破壊 生じ、高い信頼性を要求される自動車車体 強度部材を製造することは難しい。

 特許文献9には、支持手段により支持され る被加工材を上流側から下流側へ向けて送り 出し装置により送り出しながらこの支持手段 の下流で曲げ加工を行う曲げ加工に基づくと ともに、ローラを3次元方向へ移動自在に支 する高周波加熱ベンダーに係る発明が開示 れている。特許文献9により開示された高周 加熱ベンダーによれば、ローラを、被加工 を跨いで反対方向の被加工材の側面へ移動 せ、その側面に当接させて曲げ加工するの 、例えば、S字曲げのように、曲げ方向が二 次元的に異なる曲げ加工の場合であっても、 被加工材を180度回転させる段取り作業を行う 必要がなくなり、効率的に曲げ加工を行うこ とができる。

 しかし、特許文献9により開示された高周 波加熱ベンダーには、被加工材の両側面をク ランプする手段がない。このため、高周波に よる加熱後の冷却による残留応力に起因して 変形が発生し易くなるために所定の寸法精度 を確保することが難しくなり、加工速度が制 約されるとともに曲げ加工度を高めることが 難しい。

 さらに、特許文献10には、上述した掴み曲 加工や高周波加熱ベンダーのローラに替え 、固定して配置される固定ダイと、三次元 向へ移動自在に配置される可動ジャイロダ とを離間して設けておき、さらに、可動ジ イロダイによる金属部材の曲げ加工の曲率 応じた温度に金属部材を加熱する加熱手段 を備える曲げ加工装置に係る発明が開示さ ている。

特開平10-45023号公報

特開平11-255146号公報

特開2001-106002号公報

特開2002-173055号公報

特開2003-306171号公報

特開2003-118633号公報

特開昭50-59263号公報

特許2816000号公報

特開2000-158048号公報

特許3195083号公報

 しかし、特許文献1~5により開示された従 の発明は、いずれも、フロントサイドメン ーを特有の構造を採用することにより、高 度及び優れた衝撃吸収能を得ようとするも であるので、よりいっそうの高強度化及び 量化と、さらなる衝撃吸収性能の向上とを い次元で両立することには限界がある。

 また、特許文献6により開示された従来の 発明は、確かにロールオーバー時のAピラー 座屈を防止することは可能であるが、側面 突の際のさらなる安全性の向上の観点から キャビン空間を充分に確保できるとはいえ 、その改善が望まれる。

 さらに、特許文献10により開示された曲 加工装置を構成する固定ダイ及び可動ジャ ロダイは、いずれも、被加工材である金属 を回転自在に保持するものでない。このた 、固定ダイ及び可動ジャイロダイのいずれ 表面にも、金属材の保持に伴って焼付疵が 生し易い。また、特許文献10により開示され た曲げ加工装置は、固定ダイ及び可動ジャイ ロダイに冷却流体を供給し、これらダイの強 度の低下や、熱膨張による加工精度の低下を 防止しようとしている。しかし、冷却流体の 供給は、曲げ加工された金属材を焼入熱処理 するためではないので、この加工時に焼入れ を行って、例えば900MPa以上という高強度の曲 げ加工製品を製造することはできない。

 このように、特許文献10により開示され 曲げ加工装置は、曲げ加工に基づくもので るものの、低強度の金属素管を出発材料と て熱間加工を行った後に焼入れによって強 を上昇し、高強度の金属材を得ることを意 するものではない。また、金属部材の加熱 伴って可動ジャイロダイの表面に焼付疵が 生し易く、曲げ加工装置として一層の改善 要求される。

 本発明の目的は、このような従来の技術 有する課題に鑑みてなされたものであり、 動車車体用強度部材、フロントサイドメン ー及び自動車車体の側部構造を提供するこ であり、具体的には、例えばS字曲げのよう に曲げ方向が2次元的に異なる曲げ加工、又 曲げ方向が3次元的に異なる曲げ加工を行わ て製造される自動車車体用強度部材と、自 車車体を構成する強度部材であるフロント イドメンバーと、自動車車体の側部構造、 体的には少なくともAピラー、Bピラー及び ーフレールサイドを備える自動車車体の側 構造とを提供することである。

 本発明者らは、上述した課題を解決するた に鋭意検討を重ねた結果、以下に列記する 見(a)~(d)を得て、本発明を完成した。
(a)特定の構造を有する曲げ加工装置を用いれ ば、例えば1100MPa以上、望ましくは1500MPa以上 いう超高強度の高周波焼入れ部を有すると もに軸方向に単一の部材により構成される 体を本体とする自動車車体用強度部材を、 業的規模で現に量産できるようになること
(b)特定の構造を有する曲げ加工装置を用いて フロントサイドメンバーを製造すれば、軸方 向に単一の部材により構成されるとともにこ れまでにはない高周波焼入れ部を部分的に有 するフロントサイドメンバーを提供でき、こ れにより、フロントサイドメンバーのよりい っそうの高強度化及び軽量化と、さらなる衝 撃吸収性能の向上とをこれまでにない高い次 元で両立することができること、
(c)特定の構造を有する曲げ加工装置を用いて 、軸方向に単一の部材により構成されるとと もにこれまでにはない高周波焼入れ部を部分 的に有するとともに、ボディーサイドを構成 するAピラーやルーフレールサイド等の内部 配置される側部補強部材を製造すれば、ボ ィーサイドのよりいっそうの高強度化を図 ことができ、これにより、衝突時における ャビンの空間の増加と、側部補強部材自体 断面寸法の縮小化による軽量化と、側部補 部材の一体構造化による部品点数の低減に る製造コストの低下とを図ることができる と、及び
(d)これらの自動車車体用強度部材、フロント サイドメンバー及び、側部補強部材は、軸方 向に単一の部材により構成されるとともに部 分的に高周波焼入れされた超強度部を有し、 さらに閉断面の筒体を本体として備えるので 、軽量、高強度、優れた衝撃吸収特性、部品 点数低減、及び製造コスト低減を、従来には 得られなかった高い次元で得ることができる 。

 なお、フロントサイドメンバーやボディ サイドに関するものではないが、特開平10-1 7933号公報には、部分的に高周波焼入れ処理 行うことにより性能を高めたBピラーレイン ォースに係る発明が開示されている。しか 、この公報には、フロントサイドメンバー ボディーサイドにどのようにして高周波焼 れ処理を行えば、フロントサイドメンバー ボディーサイドに要求される様々な特性を 幅に向上でき、さらに現に製造可能なフロ トサイドメンバーやボディーサイドを提供 きるかについては開示も示唆もされておら 、Bピラーの剛性を高めるための部材につい てしか開示されていない。

 本発明は、二次元又は三次元に屈曲する げ加工部を備え、閉断面を有し、さらに、 方向に単一の部材により構成される筒体を え、この筒体が、引張強度が1100MPa超となる ように熱処理された超高強度熱処理部と、こ の超高強度熱処理部を除いた残余の部位であ る、引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよ に熱処理された高強度熱処理部とを備える とを特徴とする自動車車体用強度部材であ 。

 また、本発明は、二次元又は三次元に屈 する曲げ加工部を備え、閉断面を有し、さ に、軸方向に単一の部材により構成される 体を備え、この筒体が、引張強度が1100MPa超 となるように熱処理された超高強度熱処理部 と、この超高強度熱処理部を除いた残余の部 位である、引張強度が600MPa未満となるように 熱処理された低強度熱処理部とを備えること を特徴とする自動車車体用強度部材である。

 また、本発明は、二次元又は三次元に屈 する曲げ加工部を備え、閉断面を有し、さ に、軸方向に単一の部材により構成される 体を備え、この筒体が、引張強度が1100MPa超 となるように熱処理された超高強度熱処理部 と、この超高強度熱処理部を除いた残余の部 位の一部である、引張強度が600MPa以上1100MPa 下となるように熱処理された高強度熱処理 と、超高強度熱処理部及び高強度熱処理部 除いた残余の部位であるとともに引張強度 600MPa未満となるように熱処理された低強度 処理部とを備えることを特徴とする自動車 体用強度部材である。

 また、本発明は、二次元又は三次元に屈 する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あ 加工予定部又は溶接予定部のうちの少なく も一つとを備え、閉断面を有し、さらに、 方向に単一の部材により構成される筒体を え、この筒体が、引張強度が1100MPa超となる ように熱処理された超高強度熱処理部と、超 高強度熱処理部を除いた残余の部位の一部で ある、引張強度が600MPa以上1100MPa以下となる うに熱処理された高強度熱処理部と、超高 度熱処理部及び高強度熱処理部を除いた残 の部位である、引張強度が600MPa未満となる うに熱処理された低強度熱処理部とを備え ことを特徴とする自動車車体用強度部材で る。

 また、本発明は、二次元又は三次元に屈 する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あ 加工予定部又は溶接予定部のうちの少なく も一つとを備え、閉断面を有し、さらに、 方向に単一の部材により構成される筒体を え、この筒体が、引張強度が1100MPa超となる ように熱処理された超高強度熱処理部と、切 断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予 定部のうちの少なくとも一つであって引張強 度が600MPa未満となるように熱処理された第1 低強度熱処理部と、超高強度熱処理部及び 1の低強度熱処理部を除いた残余の部位であ 、引張強度が600MPa未満となるように熱処理 れた第2の低強度熱処理部とを備えることを 特徴とする自動車車体用強度部材である。

 また、本発明は、二次元又は三次元に屈 する曲げ加工部と、切断加工予定部、穴あ 加工予定部又は溶接予定部のうちの少なく も一つとを備え、閉断面を有し、さらに、 方向に単一の部材により構成される筒体を え、この筒体が、引張強度が1100MPa超となる ように熱処理された超高強度熱処理部と、切 断加工予定部、穴あけ加工予定部又は溶接予 定部のうちの少なくとも一つであって引張強 度が600MPa未満となるように熱処理された第1 低強度熱処理部と、超高強度熱処理部及び 1の低強度熱処理部を除いた残余の部位の一 である、引張強度が600MPa以上1100MPa以下とな るように熱処理された高強度熱処理部と、超 高強度熱処理部、高強度熱処理部及び第1の 強度熱処理部を除いた残余の部位であると もに引張強度が600MPa未満となるように熱処 された第2の低強度熱処理部とを備えること 特徴とする自動車車体用強度部材である。

 これらの本発明に係る自動車車体用強度部 では、曲げ加工部が、引張強度が1100MPa超と なるように熱処理された超高強度熱処理部で あることが例示される。
 これらの本発明に係る自動車車体用強度部 では、閉断面が、外部へ向けたフランジを さない閉断面であることが、望ましい。

 これらの本発明では、超高強度熱処理部 除いた部分は、衝撃荷重が負荷された場合 超高強度熱処理部よりも強度が低いことに 因して優先的に変形する、衝撃荷重に対す 変形促進部位として、機能する。本発明で 、これらの変形促進部位を設けることによ 、衝撃荷重が製品に狙いとする潰れや変形 態を実現することができる。

 例えば、本発明に係る自動車車体用強度 材が、サイドメンバーのような軸方向への 潰を受ける部材の場合には、変形促進部位 軸方向へ交互に配置することによって、衝 荷重負荷方向へ座屈して最終的に蛇腹状に 性変形することで吸収エネルギーを増大さ ることができる。また、本発明に係る自動 車体用強度部材が、各種のピラーのような 点曲げを受ける場合には、例えば、曲げ部 超高強度熱処理部にし、変形促進部位をこ 超高強度熱処理部に隣接させて配置するこ により、曲げ部の内周における座屈を抑制 、より吸収エネルギーを増大させることが きる。また、3点曲げのみならず、軸方向へ の圧潰に関しても、同様の効果を得ることが できる。

 このように、部品の形状や荷重の入力方 を考慮しつつ、超高強度熱処理部と変形促 部位を適切に配置することにより、吸収エ ルギーを高めた、高効率な自動車車体用強 部材を得ることができる。

  別の観点からは、本発明は、閉断面を するとともに軸方向に単一の部材により構 される筒体からなる本体を備え、この本体 、その軸方向の一方の端部から他方の端部 向けて、車体の前後方向へ向けて延びて存 する先端部と、この先端部に連続するとと にダッシュパネルに沿って傾斜する傾斜部 、この傾斜部に連続するとともにダッシュ ネルに接合されるフロアーパネルの下面に って延びて存在する後端部とを有するフロ トサイドメンバーであって、先端部の一部 焼入れ処理を行われない非焼入れ部である ともに、この一部を除いた残余の部分が高 波焼入れ処理を行われた高周波焼入れ部で り、傾斜部の全てが高周波焼入れ処理を行 れた高周波焼入れ部であり、さらに、後端 の全てが高周波焼入れ処理を行われた高周 焼入れ部であること、あるいは、後端部の 部が焼入れ処理を行われない非焼入れ部で るとともに、この一部を除いた残余の部分 高周波焼入れ処理を行われた高周波焼入れ であることを特徴とするフロントサイドメ バーである。

 この本発明に係るフロントサイドメンバ は、先端部における、非焼入れ部及び高周 焼入れ部が、筒体の軸方向へ向けて交互に それぞれ1つ又は2つ以上設けられることが ましい。

 この本発明に係るフロントサイドメンバー 、非焼入れ部及び高周波焼入れ部それぞれ 軸方向への長さが、筒体の先端から後端に かうにつれて大きくなることが望ましい。
 本発明に係るフロントサイドメンバーは、 端部における高周波焼入れ部が、筒体の軸 向の先端から後端に向かうにつれてその面 が徐々に大きくなるように設けられるとと に、先端部における非焼入れ部は、筒体の 方向の先端から後端に向かうにつれてその 積が徐々に小さくなるように設けられるこ が望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 先端部における、非焼入れ部及び高周波焼 れ部が、筒体の周方向へ向けて交互に、そ ぞれ1つ又は2つ以上設けられることが望ま い。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 筒体が多角形の横断面を有し、非焼入れ部 多角形の頂点を含まない領域に設けられる ともに高周波焼入れ部はこの多角形の頂点 含む領域に設けられることが望ましい。

 本発明に係る筒体が多角形の横断面形状 有し、非焼入れ部はこの多角形の頂点を含 領域に設けられるとともに高周波焼入れ部 該多角形の頂点を含まない領域に設けられ ことが望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 多角形が対向する一対の略水平面を有し、 焼入れ部は一方の略水平面に設けられると もに高周波焼入れ部は他方の略水平面に設 られることが望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 多角形が対向する一対の略垂直面を有し、 焼入れ部が一方の略垂直面に設けられると もに高周波焼入れ部が他方の略垂直面に設 られることが望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 非焼入れ部が筒体の横断面における下側の 域に設けられ、高周波焼入れ部がこの下側 領域を除く上側の領域に設けられることが ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 非焼入れ部が筒体の横断面における車体内 の領域に設けられ、高周波焼入れ部は車体 側の領域を除く車体外側の領域に設けられ ことが望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 後端部における、非焼入れ部及び前記高周 焼入れ部が、後端部の先端から筒体の軸方 へ向けて交互に、それぞれ1つ又は2つ以上 けられることが望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは、 焼入れ部が、穴あけ加工による穴あき部及 溶接される溶接部を含む領域に設けられる とが望ましい。
 本発明に係るフロントサイドメンバーは、 体が、外部へ向けたフランジを有さないこ が望ましい。

 本発明に係るフロントサイドメンバーは 高周波焼入れ部の引張強度が、1100MPa超又は 600MPa以上1100MPa以下であるとともに、非焼入 部の引張強度が600MPa未満であることが望ま い。

 さらに、別の観点からは、本発明は、サ ドシルに接続されて上方へ向けて延びて存 するとともに閉じた閉断面を有する第1の部 分と、この第1の部分に連続して斜め方向へ けて延びて存在するとともに閉断面を有す 第2の部分とを備えるAピラーと、このAピラ に連続するとともにBピラーに接続し、閉断 を有するルーフレールサイドとを備える自 車車体の側部構造であって、閉断面を有す とともに三次元で屈曲した形状を有し、か 高周波焼入れ処理された軸方向に単一の部 により構成された側部補強部材が、少なく も、第2の部分の内部及び、ルーフレールサ イドの内部であってBピラーの接続部よりも 方の位置までの間に、配置されることを特 とする自動車車体の側部構造である。

 この本発明に係る自動車車体の側部構造で 、側部補強部材における、Bピラーとの接続 のために溶接される領域には、焼入れ処理が 行われないことが望ましい。
 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、自動車車体がルーフレールサイドに 続するとともに閉断面を有するCピラーとを 備え、側部補強部材がCピラーの内部に配置 れることが望ましい。

 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、第2の部分の内部に配置される側部補 強部材の先端部には、焼入れ処理が行われな いことが望ましい。
 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、側部補強部材が、さらに、第1の部分 の内部に配置されることが望ましい。

 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、側部補強部材が、外部へ向けたフラ ジを有さないことが望ましい。
 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、側部補強部材における高周波焼入れ 理された部分の引張強度が、1100MPa超又は600 MPa以上1100MPa以下であることが望ましい。

 これらの本発明に係る自動車車体の側部構 では、側部補強部材における焼入れ処理が われない部分の引張強度が、600MPa未満であ ことが望ましい。
 上述した本発明に係る自動車車体用強度部 、フロントサイドメンバー又は、自動車車 の側部構造における側部補強部材は、支持 段により支持される被加工材である金属材( 自動車車体用強度部材、フロントサイドメン バー又は、側部補強部材の素材)を上流から 流へ向けて送り装置により送り出しながら この支持手段の下流で曲げ加工を行う曲げ 工方法を用いて、二次元又は三次元に屈曲 る曲げ加工部と焼入れ部とを長手方向及び/ はこの長手方向と交差する面内の周方向へ けて断続的又は連続的に有する曲げ加工製 を製造する方法であって、支持手段の下流 金属材の加熱手段により、送り出される金 材の一部を部分的に焼入れが可能な温度域 加熱するとともに、加熱手段の下流に配置 れる冷却手段により、加熱手段により加熱 れた部分に向けて冷却媒体を吹き付けるこ によって、金属材の少なくとも一部を焼き れ、冷却手段の下流に配置され、加熱手段 より加熱された金属材を軸方向へ送り出す とができる複数のロールを有する可動ロー ダイスの位置を二次元又は三次元で変更す ことにより、軸方向へ送り出される金属材 おける、加熱手段により加熱された部分に げモーメントを付与することによって金属 に曲げ加工を行い、さらに、金属材におけ 、可動ローラダイスを抜けた部分を支持す ことにより、曲げ加工による成形品の誤差 抑制することにより、製造される。

 本発明に係る自動車車体用強度部材、フ ントサイドメンバー及び自動車車体の側部 造における側部補強部材は、このようにし 製造されるので、二次元又は三次元に屈曲 る屈曲部の曲率半径は、一定にすること(例 えば円弧形状)もできるし、あるいは一定で いようにすること、すなわち長手方向の部 により曲率半径が変化する形状とすること できる。特にフロントサイドメンバーや各 のピラー等の自動車車体用強度部材では、 次元に屈曲する屈曲部の曲率半径が、長手 向の部位により変化する形状であることが いが、本発明によれば、このような自動車 体用強度部材も提供される。

 本発明に係る自動車車体用強度部材、フ ントサイドメンバー及び自動車車体の側部 造における側部補強部材は、支持手段によ 支持される被加工材である金属材を上流側 ら下流側へ向けて送り出し装置により送り しながら、この支持手段の下流で曲げ加工 行う曲げ加工方法を用いて、二次元又は三 元に屈曲する曲げ加工部と焼入れ部とを長 方向及び/又は長手方向と交叉する面内の周 方向へ向けて断続的又は連続的に有する曲げ 加工製品を製造する装置であって、支持手段 の下流の金属材の外周を包囲して配置され、 金属材の一部を部分的に焼入れが可能な温度 域に加熱するための加熱手段と、少なくとも 1組のロール対を有するとともに、加熱手段 下流にその位置が二次元又は三次元で変更 在に配置され、加熱手段により加熱された 属材をその軸方向へ送り出しながら、その 置を二次元又は三次元で変更して、加熱手 により加熱された部分に曲げモーメントを 与することにより曲げ加工を行う可動ロー ダイスと、金属材における、可動ローラダ スを抜けた部分を支持又は案内することに り、曲げ加工の後における金属材の誤差を 制するためのサポートガイドとを備える製 装置を用いて、製造される。

 この製造装置では、さらに、加熱手段と 動ローラダイスとの間に配置され、加熱手 により部分的に加熱された金属材の一部を 却することにより、金属材の一部を焼入れ ための冷却手段を備えることが望ましく、 た、可動ローラダイスが、その位置の変更 の移動速度が変更自在であることが望まし 。

 これらの装置を用いれば、金属材の曲げ 工に際し、金属材の下流側の部分を移動自 に支持して一定速度で送り出しながら熱処 することから、所定の冷却速度を確保でき 曲げ加工された金属材を均一に冷却するこ ができるので、高強度であって形状凍結性 よく均一な硬さの自動車車体用強度部材を られる。

 例えば、高周波加熱コイルにより被加工材 ある鋼管を断続的又は連続的にAC 3 変態点以上で、かつ組織が粗粒化しない温度 まで加熱し、加熱された部分を、可動ローラ ダイスを用いて塑性変形させて所望の形状に 曲げ、その直後に水又は油を主体とする冷却 媒体又はその他の冷却液、又は気体又はミス トを、曲げ加工された鋼管の外面、又は内面 及び外面に吹き付けることにより、100℃/sec 上の高い冷却速度を得ることができる。

 また、曲げモーメントを付与する可動ロ ラダイスは、金属材の表面に当接して回転 ながら金属材を支持するので、表面におけ 焼付疵の発生を抑制でき、効率的に曲げ加 できる。同様に、支持手段も金属材の表面 当接して回転しながら金属材を支持するた 、金属材との焼付を抑制できる。

 これらの装置では、可動ローラダイスが 上下方向へのシフト機構、金属材の軸方向 直交する水平な左右方向へのシフト機構、 下方向に対して傾斜するチルト機構、及び 属材の軸方向と直交する水平な左右方向に して傾斜するチルト機構のうち少なくとも1 以上の機構を有することが望ましい。これに より、金属材の曲げ形状が多岐にわたり、曲 げ方向が二次元的に異なる曲げ加工、さらに は曲げ方向が三次元的に異なる曲げ加工を、 効率的に行うことができる。

 また、可動ローラダイスが、金属材の軸 向への移動機構を有することが望ましい。 の移動機構を有することにより、金属材の げ半径が小さい場合にも、最適なアーム長 Lを確保しながら曲げ加工を行うことができ るので、加工装置の大型化を防ぐことができ 、これにより、曲げ加工の精度を高めること ができる。

 これらの装置では、加熱手段及び/又は冷 却手段が、上下方向へのシフト機構、金属材 の軸方向と直交する左右方向へのシフト機構 、上下方向に対して傾斜するチルト機構、及 び金属材の軸方向と直交する水平方向に対し て傾斜するチルト機構のうち少なくとも1以 の機構を有することが望ましい。これによ 、可動ローラダイスと加熱手段及び冷却手 との動作を同調させることができ、これら 同調により、さらに高精度で均一な曲げ加 を行うことができる。

 この場合に、加熱手段及び/又は冷却手段 が、金属材の軸方向への移動機構を有するこ とが望ましい。加熱手段等が移動機構を有す ることにより、可動ローラダイスとの同調性 に加え、曲げ加工開始時に金属管の先端を加 熱することが可能になるとともに、金属管の 取り付けや取り外し時の作業性及び操作性を 向上することができる。

 これらの装置では、可動ローラダイスが 金属材の軸周りの周方向への回転機構を有 ることが望ましい。金属材の曲げ方向が二 元的に異なる曲げ形状や曲げ方向が三次元 に異なる曲げ形状に加え、ねじり形状を付 することができる。

 これらの装置では、送り出し装置が、金 材を把持してその軸周りの周方向へ回転す 機構を有することが望ましい。可動ローラ イスの回転機構を用いない場合であっても 金属材の曲げ方向が二次元的に異なる曲げ 状や曲げ方向が三次元的に異なる曲げ形状 加え、ねじり形状を付与することができる

 この場合、支持手段が、送り出し装置の 転に同調して金属材の軸周りの周方向へ回 する回転機構を有することが望ましい。金 材のねじり変形に際して、可動ローラダイ の周方向には回転させず、支持手段を同調 せつつ送り出し装置の回転機構による金属 の後端部を捻じることにより、さらに高精 で捻じり形状を付与できる。もちろん、可 ローラダイスを軸周りの周方向へ回転させ がら、支持手段を同調させつつ送り出し装 の回転機構による金属材の後端部を相対的 ねじることによっても、さらに高精度でね り形状を付加することができる。

 これらの装置では、可動ローラダイスが 一対のロールそれぞれが送り出し装置の送 量に応じて、例えば駆動モータ等によって れぞれのロールを駆動回転する駆動回転機 を有することが望ましい。すなわち、可動 ーラダイスが駆動回転機構を有さないと、 れらロールの回転は摩擦抵抗によってのみ 動されることとなり、曲げ加工部に圧縮応 が作用し、曲げ加工部の内周側で増肉が大 くなったり、あるいは座屈が発生するおそ がある。特に、被加工材が薄肉材であると これらに起因して曲げ加工が困難になった 、加工精度が悪化するおそれがある。

 これに対し、可動ローラダイスが駆動回 機構を有することにより、曲げ加工部に作 する圧縮応力を緩和できるとともに、送り し装置の送り量に応じて、これと同調する うに可動ローラダイスのロール回転速度を 更することができるので、曲げ加工部に引 応力を付加することができる。このため、 げ加工部の可能範囲が広がり、製品の加工 度が向上する。

 また、これらの装置における可動ローラ イスが、ロール対を2組、3組又は4組有する とが望ましく、さらに、金属材が、閉じた 断面を有する中空部材、開いた横断面を有 る中空部材又は異形断面を有する中空部材 あることが望ましい。可動ローラダイスの ール型式は、被加工材となる金属材の断面 状に対応して適宜設定すればよい。

 また、これらの装置では、加熱手段の上 側に少なくとも1つ以上設けられる予熱手段 により、金属材に対して複数回の加熱、又は 金属材の軸周りの周方向について加熱の程度 が一定でない不均一加熱を行うことが望まし い。予熱手段を複数段加熱として用いる場合 には、金属材の加熱負荷を分散することがで き、曲げ加工能率の向上を図ることができる 。一方、予熱手段を金属材の不均一加熱とし て用いる場合には、可動ローラダイスによる 金属材の曲げ方向に基づいて、例えば、金属 材の加熱部における曲げ加工部の内面側の温 度が、曲げ加工部の外面側の温度よりも低く なるように、制御することによって、曲げ加 工部の内面側に発生するシワと、曲げ加工部 の外面側に発生する割れとを、いずれも防止 できる。

 これらの装置では、冷却手段として金属 の内面にマンドレルが装入され、冷却媒体 供給されることが望ましい。特に、金属材 厚肉材である場合に冷却速度を確保するた に有効である。

 これらの装置では、冷却手段から供給さ る冷却媒体が、水を主成分とし、防錆剤及 /又は焼入れ剤が含有されることが望ましい 。冷却装置から供給される冷却水によって摺 動部が濡れると、冷却水に防錆剤が含有され ない場合には錆が発生するので、冷却水に防 錆剤を含有させることが望ましい。さらに、 冷却手段から供給される冷却媒体を、水を主 成分として焼入れ剤を含有させることができ る。例えば、有機高分子剤を混入したものが 焼入れ剤として知られている。焼入れ剤を所 定の濃度混入することによって、冷却速度を 調整し安定した焼入れ性能を確保することが できる。

 これらの装置では、可動ローラダイスへ 滑剤及び/又は冷却流体を供給することが望 ましい。可動ローラダイスへ潤滑剤を供給す る場合には、金属材の加熱部に発生するスケ ールを可動ローラダイスが巻き込んだ場合で も、潤滑作用により、焼付の発生を低減する ことができる。また、可動ローラダイスへ冷 却流体を供給する場合には、可動ローラダイ スが冷却流体により冷却されることから、可 動ローラダイスの強度の低下、可動ローラダ イスの熱膨張による加工精度の低下、さらに 可動ローラダイスの表面の焼付の発生を、い ずれも防止できる。

 さらに、これらの装置では、シフト機構 チルト機構及び移動機構のうち少なくとも1 つの機構による可動ローラダイス、加熱手段 又は冷却手段の動作を、可動ローラダイス、 加熱手段又は冷却手段を支持するとともに少 なくとも1つ以上の軸廻りに回動可能な関節 有する関節型ロボットにより行うことが望 しい。

 関節型ロボットを用いることにより、金 管の曲げ加工に際し、可動ローラダイス、 熱手段及び冷却手段が必要とする、マニピ レータが行う上下方向又は左右方向へのシ ト動作、上下方向又は左右方向に傾斜する ルト動作、又は前後方向への移動動作を、 御信号に基づく一連の動作とすることが容 になり、曲げ加工の効率化とともに加工装 の小型化を図ることができる。

 別の面からは、本発明に係る自動車車体 強度部材、フロントサイドメンバー及び自 車車体の側部構造における側部補強部材は 電縫鋼管の製造ラインを構成する、帯状鋼 を連続的に繰り出すアンコイラーと、繰り された帯状鋼板を所定の断面形状の管に成 する成形手段と、突き合わされた帯状鋼板 両側縁を溶接して連続する管を形成する溶 手段と、溶接ビード切削及び必要に応じて ストアニールやサイジングをする後処理手 と、この後処理手段の出側に配置される、 述した本発明に係る曲げ加工製品の製造装 とを備える曲げ加工製品の製造設備列によ 、製造される。

 また、本発明に係る自動車車体用強度部 、フロントサイドメンバー及び自動車車体 側部構造における側部補強部材は、ロール ォーミングラインを構成する、帯状鋼板を 続的に繰り出すアンコイラーと、繰り出さ た帯状鋼板を所定の断面形状に成形する成 手段と、この成形手段の出側に配置される 上述した本発明に係る曲げ加工製品の製造 置とを備える曲げ加工製品の製造設備列に り、製造される。

 本発明に係る自動車車体用強度部材、フ ントサイドメンバー及び自動車車体の側部 造における側部補強部材は、横断面が丸形 鋼管を用いることができるが、鋼管に限定 れるものではなく、各種の横断面を有する 尺の筒体であれば、同様に適用できる。例 ば鋼管以外に、矩形、台形又は複雑な横断 を有する閉断面部材であれば、適用可能で る。

 本発明によれば、曲げ加工部と引張強度 1100MPa超となるように熱処理された超高強度 熱処理部とをともに具備する点において従来 には存在しなかった、例えばサイドメンバー 、サスペンションメンバー、クラッシュボッ クス、各種ピラー、クロスメンバー、ルーフ レールさらにはサイドシル等の自動車車体用 強度部材を、形状凍結性がよく、所定の硬度 分布を有するとともに所望の寸法精度を有し 、さらに効率的かつ安価に、しかも、表面疵 を発生させずに、提供することができるよう になる。

 本発明によれば、これまでには得られな った高強度及び軽量性と衝撃吸収能とを兼 備え、さらに優れた溶接性及び加工性を有 ることから現に工業的規模で量産可能なフ ントサイドメンバーを提供することができ ようになる。

 さらに、本発明によれば、よりいっそう 高強度化及び軽量化と、さらなる車体製造 ストの低下とを高い次元で両立することが 能となる自動車車体の側部構造を提供する とができるようになる。

実施の形態に係る、曲げ加工を実施す ための曲げ加工製品の製造装置の全体構成 簡略化して示す説明図である。 実施の形態において金属材として適用 能な被加工材の横断面形状を示す説明図で り、図2(a)はロールフォーミング等により製 造される開断面を有するチャンネルを示し、 図2(b)は送り出し加工により製造される異型 面を有するチャンネルを示す。 実施の形態における支持手段として用 ることができる支持ガイドの構成の一例を す説明図であり、図3(a)は支持ガイドと支持 ガイドを駆動する回転機構との配置を示す断 面図であり、図3(b)は支持ガイドの外観を示 斜視図である。 実施の形態の製造装置の加工部の構成 示す説明図である。 実施の形態の製造装置における加熱装 及び冷却装置の構成例を模式的に示す説明 である。 厚肉材の冷却速度を確保するために中 の閉断面部材の内面にマンドレルを装入し 状況を示す説明図である。 実施の形態の製造装置の可動ローラダ スの上下方向及び左右方向へのシフト機構 並びに周方向への回転機構を示す説明図で る。 実施の形態の製造装置の可動ローラダ スの前後方向への移動機構の説明図である 実施の形態の製造装置の可動ローラダ スを構成するロールを示す図であり、図9(a) は金属材が中空の閉断面部材である場合を示 し、図9(b)は金属材が矩形管等の閉断面部材 又はチャンネル等の開断面部材である場合 示し、図9(c)は金属材が矩形管等の閉断面部 、又はチャンネル等の異型断面部材である 合を示す。 予熱装置を金属材の不均一加熱として 用いる場合の作用を説明する図である。 サポートガイドの一例を示す説明図で ある。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 サポートガイドの別の一例を示す説明 図である。 実施の形態の製造装置で用いることが できる関節型ロボットの構成を示す説明図で ある。 実施の形態の製造装置で用いられる関 節型ロボットの他の構成例を示す説明図であ る。 被加工材の一例である電縫鋼管の製造 工程の全体を示す説明図である。 被加工材の製造に用いられるロールフ ォーミング工程の全体構成を示す図である。 図23(a)及び図23(b)は、本実施の形態に り製造される自動車車体用強度部材の一例 あるサイドメンバーとバンパーリインフォ ス一体構成部品40を示す説明図である。 図24(a)~図24(e)は、フロントサイドメン ーを示す説明図である。 図25(a)及び図25(b)はBピラーを示す説明 である。 図26(a)及び図26(b)はクロスメンバーを す説明図である。 図27(a)及び図27(b)はAピラー~ルーフレー ルサイド一体構造品を示す説明図である。 図28(a)はAC3点以上に加熱した後に急冷 る通常の焼入れ条件を示すグラフであり、 28(b)はAC3点以上に加熱した後に緩冷却する 件を示すグラフであり、図28(c)はAC1点以下に 加熱した後に急冷する条件を示すグラフであ り、図28(d)はAC1点以上AC3点以下の温度域に加 した後に急冷する条件を示すグラフであり さらに図28(e)はAC1点以上AC3点以下の温度域 加熱した後に緩冷却する条件を示すグラフ ある。 自動車車体のエンジンコンパートメン ト内の左右の縦壁部に前後方向へ略水平に延 設して溶接されるフロントサイドメンバーを 示す説明図である。 フロントサイドメンバーの第1の例を す説明図である。 フロントサイドメンバーの第2の例を す説明図である。 フロントサイドメンバーの第2の例の 適態様を示す説明図である。 フロントサイドメンバーの第3の例を す説明図である。 図34(a)~図34(d)は、フロントサイドメン ーの第4~7の例を示す説明図である。 図35(a)及び図35(b)は、フロントサイド ンバーの第8、9の例を示す説明図である。 図36(a)及び図36(b)は、フロントサイド ンバーの第10、11の例を示す説明図である。 フロントサイドメンバーの第12の例を す説明図である。 図31に示すフロントサイドメンバーの 2の例において、後端部の先端から本体の軸 方向へ向けて非焼入れ部を一つ形成した第13 例を示す説明図である。 非焼入れ部が、穴あけ加工による穴あ き部及び溶接される溶接部を含む領域に設け られるフロントサイドメンバーの第14の例を す説明図である。 実施の形態1の自動車車体の側部構造 一例を示す説明図である。

 
実施の形態1の側部補強部材の一例を す説明図である。 図42(a)は図40におけるA-A断面を示し、 42(b)は図40におけるB-B断面を示す。 実施の形態2の側部補強部材を示す説 図である。 図40におけるC-C断面図である。 図40におけるD-D断面図である。

符号の説明

1 金属材
2 支持手段
3 送り出し装置
4 可動ローラダイス、ピンチロール
5 加熱手段、加熱装置、高周波加熱コイル
5a 予熱手段、予熱装置、予熱用高周波加熱 イル
6 冷却手段、冷却装置
6a マンドレル
7 チャック機構
8、9、10 駆動モータ
10a 駆動ギア
11 関節型ロボット
12 固定面
13、14、15 アーム
16、17、18 関節
19 電縫鋼管製造ライン
20 帯状鋼板
21 アンコイラー
22、27 成形手段
23 溶接手段
24 後処理手段
25、28 切断手段
26 ロールフォーミングライン
30 サポートガイド
40 サスペンションメンバー及びサイドメン ー一体構成部品
40a 曲げ加工部
40b 切断又は穴あけ加工予定部
40c 溶接予定部
40d 筒体
40e 超高強度熱処理部
40f 高強度熱処理部
41A~41D フロントサイドメンバー
41Aa 曲げ加工部
41Ab 切断又は穴あけ加工予定部
41AC 溶接予定部
41Ad 筒体
41Ae 超高強度熱処理部
41Af 高強度熱処理部
41B フロントサイドメンバー
41Ba 曲げ加工部
41Bb 切断又は穴あけ加工予定部
41Bc 溶接予定部
41Bd 筒体
41Be 超高強度熱処理部
41Bf 高強度熱処理部
41C フロントサイドメンバー
41Ca 曲げ加工部
41Cb 切断又は穴あけ加工予定部
41Cc 溶接予定部
41Cd 筒体
41Ce 超高強度熱処理部
41Cf 高強度熱処理部
41D フロントサイドメンバー
41Da 曲げ加工部
41Db 切断又は穴あけ加工予定部
41Dc 溶接予定部
41Dd 筒体
41De 超高強度熱処理部
41Df 高強度熱処理部
42A、42B Bピラー
42Aa,42Ba 曲げ加工部
42Ab,42Bb 切断又は穴あけ加工予定部
42AC,42Bc 溶接予定部
42Ad,42Bd 筒体
42Ae、42Be 超高強度熱処理部
42Af,42Bf 高強度熱処理部
43A、43B クロスメンバー
43Aa,43Ba 曲げ加工部
43Ab,43Bb 切断又は穴あけ加工予定部
43AC,43Bc 溶接予定部
43Ad,43Bd 筒体
43Ae,43Be 超高強度熱処理部
43Af,43Bf 高強度熱処理部
44A、44B Aピラー~ルーフレールサイド一体構 品
44Aa,44Ba 曲げ加工部
44Ab,44Bb 切断又は穴あけ加工予定部
44AC,44Bc 溶接予定部
44Ad,44Bd 筒体
44Ae,44Be 超高強度熱処理部
44Af,44Bf 高強度熱処理部
50 フロアーパネル
51 自動車車体
52 エンジンコンパートメント
52a 縦壁部
53 フロントサイドメンバー
53-1~53-14 第1の例~第14の例
54 本体
54a 一方の端部
54b 他方の端部
55 先端部
55a 非焼入れ部
55b 高周波焼入れ部
56 傾斜部
57 後端部
57a 非焼入れ部
57b 高周波焼入れ部
58 キャビン
59 ダッシュパネル
61 自動車車体
62 側部構造
63 Aピラー
63a 第1の部分
63b 第2の部分
64 Bピラー
65 ルーフレールサイド
66 サイドシル
67 Cピラー
68 フロアーパネル
69 ホイールハウスアウター
70、70-1、70-2 側部補強部材
71 エンジンコンパートメント

[実施の形態1]
 以下、本発明に係る自動車車体用強度部材 実施するための最良の形態を、その製造方 及び製造装置、ならびにその製造設備列と もに、添付図面を参照しながら詳細に説明 る。

 はじめに、本実施の形態の(I)全体構成及び 持手段、(II)加工部の構成及び加熱、冷却装 置、(III)可動ローラダイス、(IV)予熱手段とそ の作用、(V)サポートガイド、(VI)関節型ロボ トの構成配置、並びに(VII)曲げ加工設備列を 、添付図面を参照しながら以下に順次説明す る。
(I)全体構成及び支持手段
 図1は、本実施の形態に係る、曲げ加工を実 施するための曲げ加工製品の製造装置0の全 構成を簡略化して示す説明図である。

 本実施の形態では、支持手段2、2により の軸方向へ移動自在に支持された被加工材 ある金属材1を、上流側から逐次又は連続的 送り出し装置3により送り出しながら、支持 手段2、2の下流側で曲げ加工を行う。

 図1に示す金属材1は、横断面形状が丸形 鋼管である。しかし、本発明は鋼管に限定 れるものではなく、閉断面を有する長尺の 加工材であれば、同様に適用できる。金属 1は、図1に示す鋼管以外に、矩形、台形又は 複雑な形状の閉断面を有する。

 図2は、本実施の形態において金属材1と て適用可能な被加工材1-1~1-3の横断面を示す 明図であり、図2(a)はロールフォーミング等 により製造される開断面を有するチャンネル 1-1を示し、図2(b)は送り出し加工により製造 れる異型断面を有するチャンネル1-2、1-3を す。本実施の形態の製造装置0では、適用さ る金属材1の横断面形状に応じて、後述する 可動ローラダイス4や支持手段2における金属 1との接触部の形状を適宜設定すればよい。

 図1に示す製造装置0は、金属材1をその軸 向へ送り出しながら所定の位置で支持する め、金属材1の移動方向に離間して配置され る2組の支持手段2、2と、支持手段2、2の上流 に配置されて金属材1を断続的又は連続的に 送り出すための送り出し装置3とを備える。 た、製造装置0は、2組の支持手段2、2の下流 に配置されて、金属材1をその軸方向へ送り 出すとともにその設置位置が二次元又は三次 元で変更自在である可動ローラダイス4を備 る。

 可動ローラダイス4の入側には、金属材1 外周に配置され、金属材1の長手方向の一部 部分的に急速に加熱するための加熱手段で る高周波加熱コイル5と、高周波加熱コイル 5により部分的に急速に加熱された金属材1の 加熱部であって、可動ローラダイス4の二次 元又は三次元の移動によって曲げモーメント が付与される部分の下流側に隣接する部分を 急冷するための冷却手段である水冷装置6と 配置される。

 さらに、可動ローラダイス4の出側には、 金属材1の、可動ローラダイス4を抜けた部分 支持することにより、曲げ加工の後におけ 金属材1に生じる変形に起因した寸法の誤差 を抑制するためのサポートガイド30が配置さ る。

 図1に示す本実施の形態では、金属管1と て横断面が丸形の鋼管を用いるので、支持 段2として、それぞれの回転軸が平行になる うに互いに離間して対向配置される2組の一 対の孔型ロールを用いるが、支持手段2は、 対の孔型ロールに限定されるものではなく 金属材1の横断面形状に応じて適当なものを いればよい。また、一対の孔型ロールを用 て支持手段を構成する場合であっても、図1 に示すように2組の支持ロール対2、2により構 成することには限定されず、1組又は3組以上 支持ロール対2を用いてもよい。

 図3は、本実施の形態における支持手段2 して用いることができる支持ガイドの構成 一例を示す説明図であり、図3(a)は支持ガイ 2と支持ガイド2を駆動する回転機構9との配 を示す断面図であり、図3(b)は支持ガイド2 外観を示す斜視図である。

 図3に示す例は、金属材1が、横断面が四 形である四角管の場合であり、支持ガイド2 、四角管1を回転可能に保持する。支持ガイ ド2は、高周波加熱コイル5に近接して設置さ ることから、加熱防止のために非磁性材に り構成されるとともに、図3(b)に示すように 二分割、又はそれ以上に分割され、分割され た箇所にはテフロン(登録商標)等の絶縁物(図 示しない)が装着されることが望ましい。

 支持ガイド2に直結して、駆動用モータ10 び回転ギア10aから構成される回転機構9が設 けられ、これにより、後述するように、支持 ガイド2は送り出し装置3の回転に同調して金 材1の軸周りの周方向へ回転することができ る。これにより、金属材1をねじり変形する 合に、金属材1に高精度の捩じり変形を与え ことができる。

 製造装置0は、金属材1の支持手段2として図1 に示す支持ロール、又は図3に示す支持ガイ のいずれをも用いることができるが、以下 説明では、金属材として図1に示す鋼管1を用 いるとともに一対の支持ロール2を用いる場 を例にとる。しかし、本発明では、金属材 丸管である場合のみならず丸管以外の閉断 部材であってもよい。また、本発明は、支 ロールに替えて支持ガイドを採用する場合 も同様に適用される。
(II)加工部の構成、加熱装置及び冷却装置
 図4は、本実施の形態の製造装置0の加工部 構成を示す説明図である。

 同図に示すように、金属材1を保持する2 の支持ロール対2、2と、その下流側には可動 ローラダイス4とが配置される。可動ローラ イス4の入側には、高周波加熱コイル5及び冷 却装置6が配置される。さらに、2組の支持ロ ル対2、2の間には予熱装置5aが設けられ、さ らに、可動ローラダイス4の入側の直近部に 潤滑剤の供給装置8が配置される。

 図4において、2組の支持ロール対2、2を通 過した金属材1を、可動ローラダイス4によっ 、その長手方向に送り出しながら支持し、 の可動ローラダイス4の位置、さらには必要 に応じて移動速度を、二次元又は三次元で制 御しながら、金属材1の外周に配置された高 波加熱コイル5を用いて金属材1を部分的に、 焼入れ可能な温度に急速に加熱することによ り、金属材1を所定の形状の曲げ加工すると もに、冷却装置6を用いて曲げ加工された部 を部分的に急冷する。

 曲げ加工の際には、2組の支持ロール対2 2を通過した金属材1が高周波加熱コイル5に り、焼入れが可能な温度域に加熱されるこ により、可動ローラダイス4による金属材1の 曲げ加工部の降伏点が低下して変形抵抗が低 下するので、金属材1を容易に所望の形状に げ加工することができる。

 さらに、可動ローラダイス4は、孔型ロー ル対2、2により金属材1を軸方向へ送り出しな がら支持することから、可動ローラダイス4 表面に発生する焼付疵を抑制できる。しか 、可動ローラダイス4へ潤滑剤を供給するの 、金属材1の加熱部に発生するスケールが可 動ローラダイス4の内部へ巻き込まれた場合 も、可動ローラダイス4の表面への潤滑作用 より、焼付疵の発生を低減できる。

 また、この製造装置0では、可動ローラダ イス4へ冷却流体を供給することもできるの 、可動ローラダイス4が冷却流体により冷却 れる。これにより、可動ローラダイス4の強 度の低下、可動ローラダイス4の熱膨張によ 加工精度の低下、さらに可動ローラダイス4 表面の焼付疵の発生を、いずれも防止でき 。

 図5は、本実施の形態における加熱装置5及 冷却装置6の構成例を模式的に示す説明図で る。
 加熱装置5は、加熱部を形成すべき金属材1 外周に環状に配置される高周波加熱コイル5 より構成され、金属材1を部分的に焼入れが 可能な温度域に加熱する。次いで、可動ロー ラダイス4が二次元又は三次元で移動するこ により、加熱装置5による金属材1の加熱され た部分に、曲げモーメントを付与する。

 また、冷却装置6から冷却媒体を金属材1の 熱部に噴射することにより、金属材1の加熱 れた部分を焼入れる。
 上述したように、高周波加熱される前の金 材1は、2組の支持ロール対2、2によって支持 される。本実施の形態は、加熱装置5及び冷 装置6を一体に構成した場合であるが、別々 構成するようにしてもよい。

 このようにして、金属材1を断続的又は連 続的にAC3変態点以上で、かつ金属組織を構成 する結晶粒が粗大にならない温度まで加熱す ることができ、さらに局部的な加熱部に可動 ローラダイス4を用いて塑性変形を生じさせ その直後に冷却媒体を噴射することにより10 0℃/sec以上の冷却速度による焼入れを行うこ ができる。

 したがって、曲げ加工が施された金属材1 は、優れた形状凍結性及び安定した品質を確 保できる。例えば、低強度の金属素材を出発 材料として曲げ加工を行った場合でも、軸方 向へ均一に焼入れることによって強度を上げ 、引張強さが900MPa以上、さらには1300MPa級以 に相当する曲げ加工製品を製造することが きる。

 金属材1が厚肉になると、100℃/sec以上の 却速度を確保することが困難になる場合が るが、金属材1が丸管、矩形管さらには台形 等の中空の閉断面部材(金属管材)である場 には、所望の冷却速度を確保するための冷 手段として、閉断面部材の内部にマンドレ バーを挿入することが望ましい。

 図6は、厚肉材の冷却速度を確保するために 中空の閉断面部材の内面にマンドレルバーを 装入した状況を示す説明図である。
 中空の閉断面部材が厚肉である場合には、 却手段としてその内部にマンドレルバー6a 装入し、金属材1の外周に配置した冷却手段6 と同調して、冷却媒体を供給することにより 、所望の冷却速度を確保することができる。 この場合、金属材1の内部を流体又はミスト 冷却すればよく、マンドレルバー6aは非磁性 体又は耐火物により構成することが望ましい 。

 本実施の形態の製造装置0では、冷却手段 6から供給される冷却媒体として、水を主成 として防錆剤を含有させたものを用いるこ が望ましい。供給される冷却水によって加 装置の摺動部が濡れると、冷却水に防錆剤 含有されない場合には錆が発生することか 、冷却水に防錆剤を含有させることが有効 ある。

 さらに、冷却手段6から供給される冷却媒体 として、水を主成分として焼入れ剤を含有さ せることが望ましい。例えば、有機高分子剤 を混入したものが焼入れ剤として知られてい る。所定の濃度の焼入れ剤を添加することに よって、冷却速度を調整して安定した焼入れ 性能を確保できる。
(III)可動ローラダイス4の構成
 図7は、本実施の形態の製造装置0における 動ローラダイス4の上下方向及び左右方向へ シフト機構、並びに金属管の軸周りの周方 への回転機構を示す説明図である。

 図7に示す可動ローラダイス4は、図1に示 可動ローラダイス4とは異なり、被加工材で ある金属材(丸管)1をその軸方向に送り出しな がら支持する4つのロールを備えるものであ 。上下方向へのシフト機構は駆動モータ8に り構成され、左右方向へのシフト機構は駆 モータ9により構成される。また、周方向へ の回転機構は駆動モータ10により構成される

 図7には、可動ローラダイス4を上下方向 び左右方向に傾斜させるチルト機構の構成 示していないが、このチルト機構は特に限 を要するものではなく、周知慣用の機構を いればよい。

 図8は、可動ローラダイス4の前後方向へ 移動機構の説明図である。図8に示すように 曲げ加工に必要な曲げモーメントMは、アー ム長さ(金属材1の加工長さ)をLとすると、下 (A)式により定まる。

  M=P×L=P×Rsinθ         ・・・・・・・ (A)
 したがって、アーム長さLが大きくなるほど 、ピンチロール(可動ローラダイス)4に作用す る力Pは小さくなる。すなわち、曲げ半径が 径から大径までの加工範囲を対象にすると 可動ローラダイス4を前後方向へ移動させな 場合には、曲げ半径が小さい金属材1の加工 における加工力Pが設備の能力を超えること ある。このため、曲げ半径が小径の金属材1 加工に合わせてアーム長さLを大きく設定す ると、曲げ半径が大径の金属材の加工に際し 、可動ローラダイス4のシフト機構及びチル 機構を構成するためには大きなストローク 必要となり、加工装置が大型化する。

 一方、製造装置0の停止精度や許容誤差を 考慮すると、アーム長さLを少なくした場合 は加工精度が悪化する。このため、金属材1 曲げ半径に応じて、可動ロールダイス4を前 後方向へ移動自在に配置することにより、最 適なアーム長さLを、金属材1の曲げ半径に関 らず得られるので、加工可能範囲を拡大で る。しかも、この場合に加工装置を大型化 せることなく、充分に加工精度を確保する とができる。

 同様に、本実施の形態の製造装置0では、 高周波加熱装置及び冷却装置についてもそれ ぞれ単独又は共通して前後方向への移動機構 を有する。これにより、可動ローラダイス4 の同調性を確保できるのに加え、曲げ加工 始時の金属材1の先端を加熱することができ ようになるとともに、金属材1の取り付けや 取り外し時の作業性及び操作性をいずれも向 上することができる。

 図9は、本実施の形態の製造装置0の可動 ーラダイス4を構成する各種のロールを示す 明図であり、図9(a)は金属材1が丸管などの 断面部材である場合を示し、図9(b)は金属材1 が矩形管等の閉断面部材、又はチャンネル等 の開断面部材である場合を示し、図9(c)は金 材1が矩形管等の閉断面部材、又はチャンネ 等の異型断面部材である場合を示す。

 可動ローラダイス4のロール型式は、金属 材1の断面形状に応じて設計することができ 図9(a)~図9(c)に示すように、2ロール又は4ロー ルで構成する以外に、可動ローラダイス4を3 ールで構成することもできる。

 通常、曲げ加工を行う金属材の断面形状 丸形、矩形、台形又は複雑な形状を有する ールフォーミング等による閉断面形状、ま は開断面形状、又は送り出し加工による異 断面形状にすることができるが、金属材1の 断面形状が実質的に矩形である場合には、図 9(c)に示すように、可動ローラダイス4を4ロー ルで構成することが望ましい。

 本実施の形態の製造装置0では、金属材1 ねじり変形を付加するために、図7に示すよ に、可動ローラダイス4に金属材1の軸周り 周方向への回転機構を設けることが望まし 。同時に、図1では示していないが、送り出 装置3に、金属材1を把持して金属材1の軸周 の周方向へ回転可能なチャック機構7を設け ることが望ましい。

 したがって、製造装置0により金属材1に じり変形を付加する場合に、可動ローラダ ス4の回転機構を用いて金属材1の先端部をね じり変形する方式と、送り出し装置3の回転 構を用いて金属材1の後端部をねじり変形す 方式とを用いることができる。通常、送り し装置3の回転機構を用いる方式ではコンパ クトな装置構造になるのに対し、可動ローラ ダイス4の回転機構を用いる方式では、図7に すように、装置の構成が大規模になるおそ があるが、いずれの方式であっても金属材1 にねじり変形を与えることができる。

 また、製造装置0では、さらに支持手段2( 持ローラ、または支持ガイド)に金属材1の 周りの周方向への回転機構を設けることに り、送り出し送り装置3の回転に同調して金 材1をその軸周りの周方向へ回転させること ができる。金属材1のねじり変形に際して、 動ローラダイス4の回転機構を用いて金属材1 の先端部をねじり変形する方式、又は送り出 し装置3の回転機構を用いて金属材1の後端部 ねじり変形する方式のいずれを採用しても 支持手段2の同調により精度の良好なねじり 変形を金属材1に与えることができる。

 製造装置0では、可動ローラダイス4を構成 るロール対それぞれに、駆動回転機構を設 ることにより、送り出し送り装置3の送り量 応じて駆動モータ等によってこのロール対 れぞれに駆動回転を与えることができる。 げ加工部分に作用する圧縮応力を緩和させ とともに、送り出し装置3の送り量に応じて 、これと同調するように可動ローラダイス4 ロールの回転速度を制御すれば、金属材1の げ加工部に引張応力を与えることができ、 げ加工を行うことができる範囲が拡大し、 品の加工精度を向上することができる。
(IV)予熱手段とその作用
 本実施の形態の製造装置0では、加熱装置5 上流側に設けられた予熱装置5aにより、金属 材1の二段加熱、又はそれ以上の複数段加熱 または不均一加熱を行うことができる。

 予熱手段5aを複数段加熱として用いる場合 は、金属材1の加熱負荷を分散することがで 、曲げ加工の能率を向上することができる
 図10は、予熱装置5aを金属材1の不均一加熱 して用いる場合の作用を説明する説明図で る。

 予熱装置として予熱用高周波加熱コイル5 aを金属材1の不均一加熱として用いる場合に 、可動ローラダイス4による金属材1の曲げ 向に基づいて、金属材1を予熱用高周波加熱 イル5a内に偏って配置することにより、金 材1の加熱部における曲げ内面側の温度が曲 外面側の温度よりも低くなるように設定す 。

 具体的には、図10において、金属材1のA側 を予熱用高周波加熱コイル5aに接近するよう 位置させることにより、曲げ加工の内面側 相当するB側の外面温度よりも、曲げ加工の 外面側に相当するA側の外面温度を高くする うにする。これにより、曲げ加工の内面側 発生するシワと、曲げ加工の外面側に発生 る割れとを、いずれも有効に防止すること できる。

 製造装置0では、可動ローラダイス4へ潤 剤を供給することができる。これにより、 属材1の加熱部に発生するスケールを可動ロ ラダイス4が巻き込んだ場合でも、供給され た潤滑剤が奏する潤滑作用により、表面の焼 付きの発生を低減することができる。

 同様に、製造装置0では、可動ローラダイス 4へ冷却流体を供給することができる。可動 ーラダイス4の内部であって金属材1を保持す る部位の近傍に冷却配管を設けて、可動ロー ラダイス4へ冷却流体を供給することにより 可動ローラダイス4が冷却流体により冷却さ ることから、可動ローラダイス4の強度の低 下、可動ローラダイス4の熱膨張による加工 度の低下、さらに可動ローラダイス4の表面 焼付の発生を防止できる。
(V)サポートガイド30
 図11は、サポートガイド30の一例30Aを示す説 明図である。サポートガイド30Aは、可動ロー ラダイス4を通過した金属材1を支持すること より曲げ加工後における金属材1の変形に起 因する寸法誤差を抑制するためのものである 。

 図11に示すサポートガイド30Aは、図1に示 横断面が円形の金属材1ではなく、横断面が 矩形の金属材に曲げ加工を行う場合を示して おり、可動ローラダイス4が、左右方向に対 なすロール対4a、4a及び上下方向に対をなす ール対4b、4bの合計4つのロールからなる可 ローラダイス4である場合を示す。また、金 材1の曲げ加工部は水平面内のみで形状が変 化する2次元曲げ形状の場合である。

 可動ローラダイス4は、曲げ加工時には、 金属材1の先端を、ロール対4b、4bにより上下 向へ、かつロール対4a、4aにより左右方向へ それぞれ位置決めしながら、所定の空間位置 への移動、すなわち水平方向の移動(以降「 右シフト」という)と、平面内の回転(以降「 左右チルト」という)とを行う。なお、金属 1が2次元の曲げ形状のみを有する場合には左 右シフトのみ行うようにしてもよい。

 図11に示すように、この可動ローラダイ 4の出側には、サポートガイド30Aが設置され 。サポートガイド30Aは、可動ローラダイス4 のハウジング(図示しない)、又はこのハウジ グから縁切りされた他の部材に設置すれば い。

 サポートガイド30Aは、可動ローラダイス4 の出側において曲げ加工された金属材1の下 を支持することにより、金属材1の曲げ加工 行われた部分への自重をはじめとして作用 る上下方向のモーメントによる付加的な変 を防止する。このため、サポートガイド30A 設けることにより、製造される曲げ加工製 の形状を所定の形状に高精度で安定して製 することができる。

 図12は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例30Bを示す説明図である。
 本例も、横断面が矩形の金属材に曲げ加工 行う場合であり、図示しない可動ローラダ スは図4に示す可動ローラダイス4と同様の4 ール型である。また、金属材1の曲げ形状は 、水平面内のみで曲げ変形する2次元曲げ形 である。可動ローラダイス4は、曲げ加工時 は金属材1の先端を上下方向及び左右方向へ 保持しながら所定の空間位置の移動、すなわ ち左右シフト及び左右チルトを行う。

 本例は、図11に示す例と同様に、可動ロ ラダイス4の出側にサポートガイド30Bが設置 れるが、さらに、サポートガイド30Bの上面 設けられた溝に、水平方向へ金属材1をガイ ドするロール111及び112が円周状に移動自在に 設置される。また、ロール111及び112は、加工 時における金属材1の移動に応じた移動、す わち左右シフトや左右チルトを行う。これ の動きは、図示しない制御手段に接続され 送り出し装置3や可動ローラダイス4と同期す る。

 図12に示すサポートガイド30Bでは、左右 ルトは所定半径の動きであるが、2次元曲げ 状では左右シフトのみで構成してもよい。 らに、ロール111及び112の一方に、油圧シリ ダー等の圧力負荷手段を設置してもよい。

 サポートガイド30Bは、可動ローラダイス4 のハウジング、あるいはこのハウジングとは 縁切りされた他の部材に設置すればよい。な お、可動ローラダイス4をハウジングに固定 れば、左右シフトや左右チルトの可動範囲 小さくなるため、設備的には有利である。 ずれにせよ、サポートガイド30Bにより可動 ーラダイス4の出側で曲げ加工中の金属材1の 下面及び左右面をガイドし、加工部への自重 や、加熱や冷却の不均一に起因した熱変形の 不均一による上下方向や左右方向への付加的 なモーメントが作用しても、可動ローラダイ ス4を抜けた部分の金属材1に生じる付加的な 形を防止でき、ばらつきなく所定の目標の 状を有する曲げ加工製品を製造することが きる。

 図13は、本実施の形態に係るサポートガイ 30Cの別の一例を示す説明図である。
 本例は、そのほとんどが図12に示す例と同 であるが、図12に示す構成に加えて、金属材 1の上下方向をガイドするロール113が追加さ ている。

 ロール113には、エアーシリンダーや油圧 リンダー等の圧力負荷手段を設置し、金属 1に圧力を負荷するようにしてもよい。可動 ローラダイス4の出側で曲げ加工中の金属材1 上下面及び左右面をガイドし、金属材1の加 工部への自重や、加熱や冷却の不均一に起因 した熱変形の不均一による上下方向及び左右 方向への付加的なモーメントが作用しても、 金属材1の付加的な変形を防止することがで 、ばらつきなく目標寸法を有する曲げ加工 品を製造することができる。

 図14は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例を示す説明図である。
 本実施例でも、図1と同様に横断面が矩形の 金属材1に曲げ加工を行う場合であり、可動 ーラダイス4は4ロール型である。また、曲げ 加工製品は完全な3次元曲げ形状を有する。

 可動ローラダイス4は、曲げ加工中には金 属材1の先端を上下方向及び左右方向へ位置 めしながら所定の空間位置の移動、すなわ 左右シフト及び左右チルトと、垂直方向の 動(以降「上下シフト」という)と、平面内の 回転(以降「上下チルト」という)とを行う。

 本実施例では可動ローラダイス4の出側に ロール状のアクティブガイド30Dが設置される 。アクティブガイド30Dは、曲げ加工中の金属 材1の移動に応じた移動、すなわち左右シフ や左右チルトを行うことにより、金属材1の 面に追従し、この下面を常に案内する。な 、左右チルトは設けなくてもよい。これら 動きは図示しない制御手段に接続され、送 出し装置3や可動ローラダイス4と同期する

 可動ローラダイス4の出側で曲げ加工中の 金属材1の下面がアクティブガイド30Dにより 持及び案内されるので、加工部への自重や 加熱や冷却の不均一に起因した熱変形の不 一による上下方向への付加的なモーメント 作用しても、金属材1の変形を防止でき、ば つきなく目標寸法を有する曲げ加工製品を 造することができる。

 図15は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例を示す説明図である。
 本実施例は、殆ど図7の構成と同様であるが 、さらに金属材1の上下方向をガイドするロ ル30Eが追加されている。

 ロール30Eの代わりに、エアーシリンダー 油圧シリンダー等の圧力負荷手段を設置し もよい。ロール30Eにより可動ローラダイス4 の出側で曲げ加工中の金属材1の上下面をガ ドすることにより、加工部への自重や、加 や冷却の不均一に起因した熱変形の不均一 よる上下方向への付加的なモーメントが作 しても、金属材1の付加的な変形を防止でき ばらつきなく所定の目標形状を有する曲げ 工製品を製造することができる。

 図16は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例を示す説明図である。
 本実施例も、図11と同様に横断面が矩形で る金属材1に曲げ加工を行う場合であり、可 ローラダイス4は4ロール型である。また、 属材1に完全な3次元曲げ形状を与える。可動 ローラダイス4は、曲げ加工中には金属材1の 端を上下方向及び左右方向に位置決めしな ら所定の移動、すなわち左右シフト及び左 チルトと、上下シフト及び上下チルトとを う。

 本例は、これまでの実施例と同様に、可 ローラダイス4の出側に、水平方向及び上下 方向に金属材1をガイドするロール111~114を有 るサポートガイド30Fが設置されている。ま 、サポートガイド30Fは、曲げ加工中の金属 1の移動に応じた移動、すなわち左右シフト や左右チルトを行う。これらの動きは、図示 しない制御手段に接続され、送り出し装置3 可動ローラダイス4と同期する。

 さらに、ロール111及び112の一方に、例え 油圧シリンダー等の圧力負荷手段を設置し もよい。可動ローラダイス4の出側で曲げ加 工中の金属材1の下面及び左右面を位置決め るので、加工部への自重や、加熱や冷却の 均一に起因した熱変形の不均一による上下 向及び左右方向への付加的なモーメントが 用しても、金属材1の付加的な変形を防止で 、ばらつきなく目標寸法を有する曲げ加工 品を得ることができる。

 図17は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例を示す説明図である。
 本例は、殆ど図16の構成と同様であるが、 16の構成に加えて、サポートガイド30Gにねじ り機構が追加されている。

 これらの動きは図示しない制御手段に接続 れ、捻じれ方向にも移動自在に配置された り出し装置3や可動ローラダイス4と同期す 。
 可動ローラダイス4の出側で曲げ加工中の金 属材1の上下面及び左右面を案内し、加工部 の自重や、加熱や冷却の不均一に起因した 変形の不均一による上下方向及び左右方向 さらにはねじれ方向への付加的なモーメン が作用しても、金属材1の付加的な変形を防 でき、ばらつきなく目標寸法を有する曲げ 工製品を得ることができる。

 また、図示しないが、本実施の形態のサ ートガイド30の別の一例として、汎用の多 ロボットにサポートガイド30をなすガイド部 材を保持させ、このガイド部材を、所定の空 間で移動自在に配置するようにしてもよい。

 図11~17を参照しながら説明したように、3 元的な高精度の位置決め機構は複雑なもの なることがあるが、汎用の多軸ロボットを いることにより比較的単純な構成で、ガイ 部材を、所定の空間で移動自在に設置する とができる。いずれにせよ、曲げ加工製品 要求精度、重量さらには形状により具体的 装置の剛性等を考慮しながら、汎用の多軸 ボットを用いるか否かを決定すればよい。

 図18は、本実施の形態に係るサポートガイ 30の別の一例を示す説明図である。
 本例は、図1と同様に断面が矩形の金属材1 曲げ加工を行う場合であり、可動ローラダ ス4は4ロール型である。また、曲げ加工製品 の形状は完全な3次元曲げ形状である。すな ち、可動ローラダイス4は、曲げ加工中には 属材1の先端を上下方向及び左右方向へ位置 決めしながら所定の空間位置の移動、すなわ ち左右シフト及び左右チルトと、上下シフト 及び上下チルトとを行う。

 本例は、これまでの例とは異なり、金属 1の先端を、多軸ロボット31に保持させたサ ートガイド30Hにより完全に掴ませ、金属材1 の送り出しとともに、多軸ロボット31も移動 ながら3次元位置を完全に同期させる。曲げ 加工中の金属材1の移動に応じて、空間位置 移動、すなわち左右シフトや左右チルトや じれを行う。これらの動きは、図示しない 御手段に接続され、送り出し装置3や可動ロ ラダイス4と同期する。

 可動ローラダイス4の出側の金属材1の先端 サポートガイド30Hにより保持するので、加 部への自重や、加熱や冷却の不均一に起因 た熱変形の不均一による上下方向及び左右 向への付加的なモーメントが作用しても、 属材1の付加的な変形を防止でき、ばらつき く目標寸法を有する曲げ加工製品を得るこ ができる。
(VI)関節型ロボット
 図19は、本実施の形態の製造装置0で用いる とができる関節型ロボット11の構成を示す 明図である。

 図19に示すように、曲げ加工装置の下流側 は、可動ローラダイス4を保持するための関 型ロボット11を配置することができる。
 この関節型ロボット11は、作業面に固定さ た固定面12と、主軸となる3本のアーム13、14 15と、各アーム13、14、15を接続するととも 、軸の廻りで回動可能な手首軸となる3個の 節16、17、18とを有する。関節型ロボット11 先端のアーム15には可動ローラダイス4が取 付けられる。

 図20は、本実施の形態の製造装置0に用いら る関節型ロボットの他の構成例を示す説明 である。
 図19に示す製造装置0では、可動ローラダイ 4を保持する関節型ロボット11だけを配置す が、これとともに、加熱装置5及び冷却装置 6用の関節型ロボット11を併設するようにして もよい。これらの関節型ロボット11を設ける とにより、さらに曲げ加工の効率化を図る とができる。

 この製造装置0は、軸廻りに回動可能な関節 を3個有する関節型ロボット11を少なくとも1 以上配置することにより、金属材1の曲げ加 に際し、可動ローラダイス4でのシフト機構 、チルト機構及び移動機構が行う屈伸、旋回 、並進等の動作、すなわち、合計6種類のマ ピュレータが行う動作を、制御信号に基づ 一連の動作とすることができる。これによ 、曲げ加工の効率化とともに加工装置の小 化を図ることができる。
(VII)曲げ加工設備列
 上述したように、本実施の形態の製造装置0 により加工される被加工材としては、丸形等 の形状を有する閉断面部材が用いられる。従 来から丸管の閉断面部材として電縫鋼管が用 いられる。

 図21は、被加工材の一例である電縫鋼管の 造工程の全体を示す説明図である。
 電縫鋼管の製造工程19は、帯状鋼板20から鋼 管を製造するための装置である。同図に示す ように、帯状の鋼板ロールから帯状鋼板20を 続的に繰り出すアンコイラー21と、繰り出 れた帯状鋼板20を所定の断面形状の管に成形 する複数のロール成形機を備える成形手段22 、管状に成形されて相互に突き合わされた 状鋼板の両側縁を溶接して管を連続的に形 する溶接機を備える溶接手段23と、溶接ビ ド切削装置及びポストアニーラー装置、さ に連続する管を所要のサイズにする後処理 段24と、この所要サイズにされた管を所要長 さに切断する走行切断機を備える切断手段25 を、上流から下流へ向けてこの順に配置さ る。

 図22は、被加工材の製造に用いられるロー フォーミング工程の全体構成を示す図であ 。
 ロールフォーミング工程26は、帯状鋼板20を 所定の形状に成形するための装置である。こ のため、金属素材としての帯状鋼板20が巻回 れ、この帯状鋼板20を繰り出すアンコイラ 21と、このアンコイラー21によって繰り出さ た帯状鋼板20を所定の形状に成形するロー 成形機を備える成形手段27と、このロール成 形機によって所定の形状に成形された帯状鋼 板20を所定の長さに連続的に切断する走行切 機を備える切断手段28とから構成される。

 図21に示す電縫鋼管の製造工程19や、図22 示すロールフォーミング工程26によって製 された被加工材は、加工用の金属材として げ加工装置に供給されるが、各ラインと装 とが分離し独立していると、ラインと装置 での処理スピードの相違から、被加工材を トックしておく場所を確保する必要が生じ 。また、各々のラインと装置間で被加工材 搬送する必要があり、クレーンやトラック の補助搬送手段を設ける必要も生じる。

 本実施の形態の製造装置では、電縫鋼管 製造工程19又はロールフォーミング工程26の 出側に連続して、本実施の形態の製造装置0 配置することにより、被加工材の供給から げ加工製品の製造に至るまでの全体の設備 をコンパクトにできるとともに、その操業 件を適正に設定することにより、精度の優 た曲げ加工製品を、効率的かつ安価に製造 きる。

 このようにして、本実施の形態によれば 多岐にわたる曲げ形状が要求され、金属材 曲げ方向が2次元的に異なる曲げ加工や、曲 げ方向が3次元的に異なる曲げ加工を行う場 であっても、さらに、高強度の金属材の曲 加工が必要な場合であっても、金属材を均 に冷却できることから、高強度であっても 状凍結性がよく均一な硬度分布を有する曲 加工製品を、効率的かつ安価に製造するこ ができる。

 しかも、可動ローラダイスは、金属材を の軸方向に送り出しながら支持することが きるので、可動ローラダイスの表面に発生 る焼付疵を抑制でき、曲げ加工の精度を確 することができるとともに、作業能率に優 た曲げ加工を行うことができる。これによ 、例えば、さらに高度化する自動車部品の げ加工技術として、広く適用可能である。

 図23(a)及び図23(b)は、本実施の形態により 製造される自動車車体用強度部材の一例であ るサイドメンバーとバンパーリインフォース 一体構成部品40を示す説明図である。

 同図に示すように、この一体構成部品40 、二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部40 aと、かつ、外部へ向けたフランジを有さな 閉断面とを有する筒体40hにより構成される

 以降に説明する本実施の形態の自動車車 用強度部材は、いずれも、筒体がフランジ 有さないことにより、省スペース化、軽量 さらには軸方向へ衝撃荷重を負荷された際 座屈変形挙動の安定による衝撃エネルギー 吸収量の増大化を図ることができる。

 筒体40hは、引張強度が1100MPa超となるよう に熱処理された超高強度熱処理部40e(ハッチ グ部)と、この超高強度熱処理部40eを除いた 余の部位であって車両の衝突時に負荷され 衝撃荷重に対する変形促進部として機能す 、引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよう に熱処理された高強度熱処理部40f、40g、ある いは引張強度が600MPaの低強度熱処理部40f、40g 、あるいは、引張強度が600MPa以上1100MPa以下 なるように熱処理された高強度熱処理部40f 引張強度が600MPaの低強度熱処理部40gとを備 る。

 これにより、衝突時における荷重が集中 て付加される曲げ加工部40aは高い変形抵抗 有するとともに、超高強度熱処理部40eと高 度熱処理部40fとが交互に設けられた先端側 、衝突時に座屈変形して蛇腹状に塑性変形 ることにより衝撃エネルギーを効果的に吸 することができる。

 なお、超高強度熱処理部40eを除いた残余 部位の熱処理及び強度をどのように設定す かは、それぞれの自動車車体用強度部品に 求される性能を勘案して適宜決定すればよ 。また、設備能力や高周波加熱コイル5や冷 却装置6の形状、製品の形状や肉厚等によっ 操業条件は異なるものの、事前に確認試験 行って最適な条件を決定すればよい。

 いずれにせよ、後述する加熱と冷却の組み わせにより、簡単に自動車車体用強度部品 部位毎の硬度を所望の状態とすることがで る。
 図23(b)は、筒体40hにおける切断加工予定部40 b、孔あけ加工予定部40c、及び溶接予定部40d 示す説明図である。切断加工予定部40bや孔 け加工予定部40cを、引張強度が600MPa未満と るように熱処理することによって(ここで「 処理」とは部分的に加熱を行わずに素材の 分をそのまま残すことにより素材の強度と る場合も包含する)、製品の切断や孔あけを 行う工具の磨耗を減らし、工具寿命を延長す ることができる。また、溶接予定部40dを、引 張強度が600MPa未満となるように熱処理するこ とによって(熱処理には部分的に加熱を行わ 、素材の部分を残し素材の強度とする場合 含める)、後工程での溶接の信頼性を向上さ ることが可能である。

 このように、二次元又は三次元に屈曲す 曲げ加工部40aと、かつ、外部へ向けたフラ ジを有さない閉断面とを有する筒体40hによ 構成され、筒体40hが、引張強度が1100MPa超と なるように熱処理された超高強度熱処理部40e と、切断加工予定部を40b、孔あけ加工予定部 40c、溶接予定部40dを引張強度が600MPa未満とな るように熱処理することは、有効である。さ らに、上述したように衝撃荷重に対する変形 を促進するための高強度熱処理部40e、あるい は低強度熱処理部40b~40d、あるいは高強度熱 理部40eと低強度熱処理部40b~40dと組み合わせ と、よりいっそう有効である。

 図24(a)~図24(e)は、本実施の形態により製造 れる自動車車体用強度部材の一例であるフ ントサイドメンバー41A~41Eを示す説明図であ 。
 図24(a)に示すフロントサイドメンバー41Aは 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部41Aa 、かつ、外部へ向けたフランジを有さない 断面とを有する筒体41Ahにより構成される。

 筒体41Ahが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部41Ae(ハッチ ング部)と、この超高強度熱処理部41Aeを除い 残余の部位であって引張強度が600MPa以上1100 MPa以下となるように熱処理された高強度熱処 理部41Afとを備える。

 これにより、先端側(図面左部側)から衝 荷重を負荷されると、曲げ加工部41Aaの引張 度が1100MPa以上の超高強度であるので、曲げ 加工部41aの早期の曲げ変形の発生が抑制され 、これにより、先端側の高強度熱処理部41Af 衝突時に負荷される衝撃荷重により座屈し 蛇腹状に塑性変形することにより衝撃エネ ギーを効果的に吸収することができる。

 なお、先端側の41Afを低強度熱処理部として もより衝撃エネルギーを効果的に吸収するこ とができる。
 図24(b)に示すフロントサイドメンバー41Bは 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部41Ba 、外部へ向けたフランジを有さない閉断面 を有する筒体41Bhにより構成される。

 筒体41Bhが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部41Be(ハッチ ング部)と、この超高強度熱処理部41Beを除い 残余の部位であって引張強度が600MPa以上1100 MPa以下となるように熱処理された高強度熱処 理部41Bf、41Bfとを備える。

 これにより、上述した図24(a)に示すフロ トサイドメンバー41Aと同様の作用効果を得 れるとともに、ダッシュパネルに接合され 後端側に高強度熱処理部41Bfを備えるので、 端部でも衝撃荷重を吸収できるためトータ の吸収エネルギーを大きくでき、衝撃荷重 負荷された際にフロントサイドメンバー41B よりダッシュパネルが早期に損傷すること も防止することができる。

 なお、先端側の高強度熱処理部41Bfを低強 度熱処理部とすれば、さらに衝撃エネルギー を効果的に吸収することができる。さらに、 先端側の高強度熱処理部41Bfを低強度熱処理 とするとともに後端側の高強度熱処理部41Bf 高強度熱処理部とすることによって、衝撃 ネルギーを向上させつつ、軸方向への圧潰 の潰れモードを有効に制御することができ 。

 図24(c)に示すフロントサイドメンバー41C 、二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部41 Caと、外部へ向けたフランジを有さない閉断 とを有する筒体41Chにより構成される。

 筒体41Chが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部41Ce(ハッチ ング部)と、この超高強度熱処理部41Ceを除い 残余の部位であって引張強度が600MPa以上1100 MPa以下となるように熱処理された高強度熱処 理部41Cfとを備える。

 これにより、上述した図24(a)に示すフロ トサイドメンバー41Aと同様の作用効果を得 れるとともに、先端側に超高強度熱処理部41 Ce及び高強度熱処理部41Cfを軸方向へ交互に備 えるので、先端部が衝突時に負荷される衝撃 荷重により座屈して蛇腹状に塑性変形するこ とにより衝撃エネルギーを効果的に吸収する ことができる。

 なお、先端側の高強度熱処理部41Cfを低強度 熱処理部とすれば、さらに衝撃エネルギーを 効果的に吸収することができる。
 図24(d)に示すフロントサイドメンバー41Dは 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部41Da 、外部へ向けたフランジを有さない閉断面 を有する筒体41Dhにより構成される。

 筒体41Dhが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部41De(ハッチ ング部)と、この超高強度熱処理部41Deを除い 残余の部位であって引張強度が600MPa以上1100 MPa以下となるように熱処理された高強度熱処 理部41Dfとを備える。

 これにより、衝撃荷重を負荷されると、 げ加工部41Daの早期の屈曲変形が抑制され、 ダッシュパネルが早期に損傷することをも防 止することができ、さらに先端部が衝突時に 負荷される衝撃荷重により座屈して蛇腹状に 塑性変形することにより衝撃エネルギーを効 果的に吸収することができる。さらに、高強 度熱処理部41Dfでも衝撃荷重を吸収できるた 、高い吸収エネルギーが得られる。先端に ラッシュボクスが設けられない小型車であ ても、高効率に衝撃エネルギーを吸収する とができる。

 なお、先端側の高強度熱処理部41Dfを低強 度熱処理部とすれば、さらに衝撃エネルギー を効果的に吸収することができる。さらに、 先端側の高強度熱処理部41Dfを低強度熱処理 とするとともに後端側の41Dfを高強度熱処理 することによって、衝撃エネルギーを向上 せながら圧潰の形態を有効に制御すること できる。

 図24(e)は、フロントサイドメンバー41Eにお る切断加工予定部41Eb、孔あけ加工予定部41Ec 及び溶接予定部41Edを示す説明図である。
 図24(e)に示すように、41Eb、孔あけ加工予定 41Ecを、引張強度が600MPa未満となるように熱 処理することによって(熱処理には部分的に 熱を行わず、素材の部分をそのまま残すこ により素材の強度とする場合も含める)、製 の切断や孔あけを行う工具の磨耗を減らし 工具寿命を延長することができる。また、 接予定部41Edを、引張強度が600MPa未満となる ように熱処理することによって(熱処理には 分的に加熱を行わず、素材の部分をそのま 残すことにより素材の強度とする場合も含 )、後工程での溶接の信頼性を向上させるこ もできる。

 このように、二次元又は三次元に屈曲す 曲げ加工部41Aa~41Daと、外部へ向けたフラン を有さない閉断面とを有する筒体41Ah~41Dhに り構成され、筒体41Ah~41Dhは、引張強度が1100 MPa超となるように熱処理された超高強度熱処 理部41Ae~41Deと、切断加工予定部41Eb、孔あけ 工予定部41Ec、溶接予定部41Edを引張強度が600 MPa未満となるように熱処理することは、有効 である。さらに、図24(a)~(d)に示すような衝撃 荷重に対する変形を促進するための高強度熱 処理部41Ae~41De、あるいは低強度熱処理部41Af~4 1Df、あるいは高強度熱処理部41Ae~41Deと低強度 熱処理部41Af~41Dfと組み合わせることはさらに 有効である。

 なお、本発明例は、フロントサイドメン ーに適用した例を示したが、図24(c)及び図24 (d)に示した先端部と同様な構造でいわゆるク ラッシュボックスとすることも可能であり、 また、曲げ加工部と組み合わせることにより 、これまでとは異なる良好なエネルギー吸収 特性を得ることができる。

 図25(a)及び図25(b)は、本実施の形態により製 造される自動車車体用強度部材の一例である Bピラー42A、42Bを示す説明図である。
 図25(a)に示すBピラー42Aは、二次元又は三次 に屈曲する曲げ加工部42Aaと、切断加工予定 部42Abと、穴あけ加工予定部42ACと、溶接予定 42Adとを備え、かつ、外部へ向けたフランジ を有さない閉断面を有する筒体42Ahにより構 される。

 筒体42Ahが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部42Aeと、超 強度熱処理部42Aeを除いた残余の部位であっ て引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよう 熱処理された高強度熱処理部42Afとを備える

 一方、図25(b)に示すBピラー42Bは、二次元 は三次元に屈曲する曲げ加工部42Baと、切断 加工予定部42Bbと、穴あけ加工予定部42Bcと、 接予定部42Bdとを備え、かつ、外部へ向けた フランジを有さない閉断面を有する筒体42Bh より構成される。

 筒体42Bhが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部42Be、42Beと 、超高強度熱処理部42Be、42Beを除いた残余の 位であって引張強度が600MPa以上1100MPa以下と なるように熱処理された高強度熱処理部42Bf を備える。

 これらにより、側面衝突時におけるBピラ ー上部の室内側への変位量を抑制でき、乗員 の頭部損傷を軽減できるとともに、側面衝突 時にBピラーの高さ方向の中央部付近の損傷 抑制できる。

 図26(a)及び図26(b)は、本実施の形態により製 造される自動車車体用強度部材の一例である クロスメンバー43A、43Bを示す説明図である。
 図26(a)に示すクロスメンバー43Aは、二次元 は三次元に屈曲する曲げ加工部43Aaと、切断 工予定部43Abと、穴あけ加工予定部43ACと、 接予定部43Adとを備え、かつ、外部へ向けた ランジを有さない閉断面を有する筒体43Ahに より構成される。

 筒体43Ahが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部43Aeと、超 強度熱処理部43Aeを除いた残余の部位であっ て引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよう 熱処理された高強度熱処理部43Afとを備える

 一方、図26(b)に示すクロスメンバー43Bは 二次元又は三次元に屈曲する曲げ加工部43Ba 、切断加工予定部43Bbと、穴あけ加工予定部 43Bcと、溶接予定部43Bdとを備え、かつ、外部 向けたフランジを有さない閉断面を有する 体43Bhにより構成される。

 筒体43Bhが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部43Beと、超 強度熱処理部43Beを除いた残余の部位であっ て引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよう 熱処理された高強度熱処理部43Bfとを備える

 これらにより、クロスメンバーの中央部の 度を高めることができ、さらに側面衝突に ける軸方向への圧潰においてもその耐力を めることができる。
 図27(a)及び図27(b)は、本実施の形態により製 造される自動車車体用強度部材の一例である Aピラー~ルーフレールサイド一体構造品44A、4 4Bを示す説明図である。

 図27(a)に示す一体品44Aは、二次元又は三 元に屈曲する曲げ加工部44Aaと、切断加工予 部44Abと、穴あけ加工予定部44ACと、溶接予 部44Adとを備え、かつ、外部へ向けたフラン を有さない閉断面を有する筒体44Ahにより構 成される。

 筒体44Ahが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部44Aeと、超 強度熱処理部44Aeを除いた残余の部位であっ て引張強度が600MPa以上1100MPa以下となるよう 熱処理された高強度熱処理部44Afとを備える

 一方、図27(b)に示す一体成形品44Bは、二 元又は三次元に屈曲する曲げ加工部44Baと、 断加工予定部44Bbと、穴あけ加工予定部44Bc 、溶接予定部44Bdとを備え、かつ、外部へ向 たフランジを有さない閉断面を有する筒体4 4Bhにより構成される。

 筒体44Bhが、引張強度が1100MPa超となるよ に熱処理された超高強度熱処理部44Beと、超 強度熱処理部44Beを除いた残余の部位であっ て引張強度が600MPa未満となるように熱処理さ れた高強度熱処理部44Bfとを備える。

 これらにより、ルーフレールサイドと、Aピ ラー又はBピラーとの接合強度を高めること できる。
 さらに、例えば、図25に示すBピラーと図26 示すクロスメンバーとを一体に構成した一 品としたり、ルーフ内面側に配置されるバ により二つのBピラーをそれぞれの上部で接 して一体に構成する一体品としたり、ある は片側のBピラーとルーフ内面側に配置され るバーの一部とクロスメンバーの一部を一体 品とすることもできる。

 図28(a)はAC 3 点以上に加熱した後に急冷する通常の焼入れ 条件を示すグラフであり、図28(b)はAC 3 点以上に加熱した後に図28(a)に示す冷却速度 りも低い冷却速度で冷却する条件を示すグ フであり、図28(c)はAC 1 点以下に加熱した後に急冷する条件を示すグ ラフであり、図28(d)はAC 1 点以上AC 3 点以下の温度域に加熱した後に急冷する条件 を示すグラフであり、さらに図28(e)はAC 1 点以上AC 3 点以下の温度域に加熱した後に図28(d)に示す 却速度よりも低い冷却速度で冷却する条件 示すグラフである。

 本発明に係る補強部材を製造する際に行 熱処理は、上述した製造装置0における高周 波加熱コイル5及び水冷装置6の作動を適宜制 することによって、図28(a)に示す通常の焼 れを行うとともに、図28(b)~図28(e)に示す条件 で、行われる。

 例えば、図28(a)に示すように部分的に通 の焼入れを行って所望の超高強度(例えばマ テンサイト100%の組織、1500~1650MPa、55k鋼では 1300MPa、45k鋼では1200MPa)を得るとともに、金属 材1に対して部分的に高周波加熱コイル5の作 を停止することによりこの部分に対しては 処理を行わないようにすることによって、 管の強度のまま(例えばフェライトとパーラ イトの二相組織,焼入れ鋼では500~600MPa、550MPa では550MPa、450MPa鋼では450MPa)とすることがで きる。

 また、図28(b)に示すように通常焼き入れ 同等の加熱を行うとともに、冷却速度を低 することにより、上述した超高強度よりも 度が若干低下した高強度(例えばマルテンサ トと微量のフェライトの2相組織,焼入れ鋼 は1400~1500MPa、550MPa鋼では700~900MPa、450MPa鋼で 600~800MPa)とすることができる。具体的には 水冷装置6の水冷ジャケットの孔を、例えば 磁弁により全部あるいは部分的に閉鎖する とにより水冷しない部分を設けることが例 される。この際の冷却速度は、周囲の温度 より変化するため、製造条件により事前に 験を行うことにより水冷の方法を決定すれ よい。

 また、図28(c)に示すように、AC1点以下に 熱した後に通常焼き入れの冷却速度と同じ 却速度で冷却することにより、母材の強度 りも若干高い所望の強度(例えばフェライト パーライトの2相組織、焼入れ鋼では5000MPa~6 00MPaよりやや高い強度、550MPa鋼では550MPaより や高い強度、450MPa鋼では450MPaよりやや高い 度)とすることができる。素管の造管歪が大 きい場合には、素管よりも強度が低下する場 合もあるが、一般的にはセメンタイトが溶け 込み、若干強度が上昇する。上述したように オンーオフ制御を行う場合における高周波加 熱コイル5の制御の応答性を勘案すると、こ 手段によれば加熱電源の出力の変化が少な て済むため、温度変化のレスポンスが早く 強度変化の移行部が小さくなるため実際的 は有効な方法である。

 また、図28(d)に示すように、AC1点以上AC3 以下に加熱した後に通常焼き入れの冷却速 と同じ冷却速度で冷却することにより、通 の焼き入れによる超高強度と素管の強度と 中間の強度(焼入れ鋼では600~1400MPa、55k鋼で 550~1300MPa、450MPa鋼では450~1200MPa)を得ることが できる。この場合、フェライトとマルテンサ イトの2相組織となるため、一般的には、や 不安定で制御し難いが、製品の形状、寸法 用途等により所定の強度を得ることができ 。

 さらに、図28(e)に示すように、AC1点以下 加熱した後に通常焼き入れの冷却速度より 遅い冷却速度で冷却することにより、通常 焼き入れによる超高強度と素管の強度との 間の強度(焼入れ鋼では600~1400MPaよりやや低 強度、550MPa鋼では550~1300MPaよりやや低い強度 、450MPa鋼では450~1200MPaよりやや低い強度)を得 ることができる。この場合、図28(d)に示す場 よりもやや強度が低下するが、制御はやや 定する。

 例えば、肉厚1.6mmの焼入れ鋼(C:0.20%、Si:0.2 2%、Mn:1.32%、P:0.016%、S:0.002%、Cr:0.20%、Ti:0.020% B:0.0013%、残部Fe及び不純物、AC3=825℃、AC1=720 )を素材とする、縦50mmかつ横50mmの正方形の 断面の鋼管を、送り速度が20mm/secの場合、 管強度は502MPa、図28(a)に示す条件(加熱温度91 0℃)の熱処理部は1612MPa、図28(b)に示す条件(加 熱温度910℃)の熱処理部は1452MPa、図28(c)に示 条件(加熱温度650℃)の熱処理部は510MPa、図28( d)に示す条件(加熱温度770℃)の熱処理部は752MP a、図28(e)に示す条件(加熱温度770℃)の熱処理 は623MPaの強度をそれぞれ有する。

 一方、肉厚1.6mmの550MPa鋼(C:0.14%、Si:0.03%、M n:1.30%、P:0.018%、S:0.002%、残部Fe及び不純物、AC 3=850℃、AC1=720℃)を素材とする、縦50mmかつ横5 0mmの正方形の横断面の鋼管を、送り速度が20m m/secの場合、素管強度は554MPa、図28(a)に示す 件(加熱温度950℃)の熱処理部は1303MPa、図28(b) に示す条件(加熱温度950℃)の熱処理部は823MPa 図28(c)に示す条件(加熱温度650℃)の熱処理部 は561MPa、図28(d)に示す条件(加熱温度800℃)の 処理部は748MPa、図28(e)に示す条件(加熱温度80 0℃)の熱処理部は658MPaの強度をそれぞれ有す 。

 さらに、例えば、肉厚1.6mmの450MPa鋼(C:0.11%、 Si:0.01%、Mn:1.00%、P:0.021%、S:0.004%、残部Fe及び 純物、AC3=870℃、AC1=720℃)を素材とする、縦50 mmかつ横50mmの正方形の横断面の鋼管を、送り 速度が20mm/secの場合、素管強度は445MPa、図28(a )に示す条件(加熱温度980℃)の熱処理部は1208MP a、図28(b)に示す条件(加熱温度980℃)の熱処理 は737MPa、図28(c)に示す条件(加熱温度650℃)の 熱処理部は451MPa、図28(d)に示す条件(加熱温度 800℃)の熱処理部は629MPa、図28(e)に示す条件( 熱温度800℃)の熱処理部は612MPaの強度をそれ れ有する。
[実施の形態2]
 次に、実施の形態2を説明する。

 図29は、自動車車体51のエンジンコンパー トメント52内の左右の縦壁部52aに前後方向へ 水平に延設して溶接されるフロントサイド ンバー53を示す説明図である。なお、以降 説明では、閉じた四角形の横断面形状を有 るフロントサイドメンバー53を例にとるが、 本発明はこの形態に限定されるものではなく 、例えば六角形や円形等の、四角形以外の閉 じた横断面形状を有する筒体からなる本体を 備えるものであっても同様に適用される。

 図29に示すように、フロントサイドメン ー53の本体54をなす筒体は、その軸方向の一 の端部54aから他方の端部54bへ向けて、車体 後方向へ向けて延びて存在する先端部55と 先端部55に連続するとともに、エンジンコン パートメント52とキャビン58との間の隔壁で るダッシュパネル59に沿って下方へ向けて傾 斜する傾斜部56と、傾斜部56に連続するとと にダッシュパネル59に接合されるフロアーパ ネル50の下面に沿って延びて存在する後端部5 7とを有する。

 ここで、傾斜部56とは、フロントサイド ンバー53の設置高さがダッシュパネル59の下 へ向けて大幅に変化する領域を意味し、先 部55とはこの傾斜部56よりも車体前後方向の 前側の領域をいい、後端部57とはこの傾斜部5 6よりも車体前後方向の後側の領域をいう。

 本実施の形態のフロントサイドメンバー5 3では、先端部55の一部が焼入れ処理を行われ ない非焼入れ部であるとともに、この一部を 除いた残余の部分が高周波焼入れ処理を行わ れた高周波焼入れ部である。また、傾斜部56 全てが、高周波焼入れ処理を行われた高周 焼入れ部である。さらに、後端部57の一部 焼入れ処理を行われない非焼入れ部である ともに、この一部を除いた残余の部分が、 周波焼入れ処理を行われた高周波焼入れ部 あるか、または、後端部57は、高周波焼入れ 処理を行われた高周波焼入れ部である。以下 、具体例に則して説明する。

 図30は、このフロントサイドメンバー53の第 1の例53-1を示す説明図である。
 同図に示すように、第1の例53-1では、先端 55における非焼入れ部55a及び高周波焼入れ部 55bが、筒体の軸方向へ向けて交互に、それぞ れ1つ設けられているとともに、傾斜部56及び 後端部57は全て高周波焼入れ部である。これ より、衝突の際に衝撃エネルギーが本体54 軸方向に負荷された際に、フロントサイド ンバー53の重量の増加を生じることなく、先 端部55における非焼入れ部55aにおいて軸方向 の圧潰による変形が促進されるとともに、 斜部56の耐曲げ性が向上してダッシュパネ 59の損傷が軽減されるので、キャビン58の安 性が向上する。

 図31は、フロントサイドメンバー53の第2の 53-2を示す説明図である。
 同図に示すように、第2の例53-2では、先端 55における非焼入れ部55a及び高周波焼入れ部 55bが、本体4の軸方向へ向けて交互に、それ れ2つ以上(図示例ではそれぞれ3つ)設けられ いるとともに、傾斜部56及び後端部57は全て 高周波焼入れ部である。これにより、衝突の 際に衝撃エネルギーが本体54の軸方向に負荷 れた際に、フロントサイドメンバー53の重 の増加を生じることなく、先端部55における 非焼入れ部55aにおいて軸方向への圧潰による 変形が制御されてさらに促進されるとともに 、傾斜部56の耐曲げ性が向上してダッシュパ ル59の損傷が軽減されるので、キャビン58の 安全性が向上する。

 図32は、図31に示すフロントサイドメンバー 53の第2の例53-2の好適態様53-2’を示す説明図 ある。
 同図に示すように、先端部5における非焼入 れ部55a及び高周波焼入れ部55bそれぞれの、本 体54の軸方向(図4における両矢印方向)への長 が、本体54の先端から後端に向かうにつれ 徐々に大きくなることが、軸方向への圧潰 よる変形を促進するためには望ましい。

 図33は、フロントサイドメンバー53の第3の 53-3を示す説明図である。
 同図に示すように、第3の例53-3では、先端 55における高周波焼入れ部55bが、本体54の軸 向の先端から後端に向かうにつれてその面 が徐々に大きくなるように設けられるとと に、先端部55における非焼入れ部55aが、筒 の軸方向の先端から後端に向かうにつれて の面積が徐々に小さくなるように設けられ ことが望ましい。これにより、フロントサ ドメンバー53に負荷される衝撃荷重を徐々に 増加させることができるので、初期荷重を軽 減しながら、先端部55における非焼入れ部55a おいて軸方向への圧潰による変形が促進さ るとともに、傾斜部56の耐曲げ性を向上で る。

 図34(a)~図34(d)は、フロントサイドメンバー53 の第4の例53-4、第5の例53-5、第6の例53-6、及び 第6の例53-7を示す説明図である。
 図34(a)~図34(d)に示すように、第4~7の例では 先端部55における非焼入れ部55a及び高周波焼 入れ部55bが、本体54の周方向へ向けて交互に それぞれ1つ又は2つ以上設けられることが 先端部55と傾斜部56との荷重バランスをとり がら先端部55を強化するためには望ましい

 図34(a)及び図34(b)は、筒体が四角形の横断面 形状を有する場合であり、図34(c)及び図34(d) 筒体が八角形の横断面形状を有する場合で る。
 図34(a)及び図34(c)に示すように、非焼入れ部 55aを横断面形状である多角形の頂点を含まな い平面状の領域に設けるとともに高周波焼入 れ部55bを多角形の頂点を含む屈曲した領域に 設けることにより、衝撃荷重に対する耐力を 高めることができる。

 一方、これとは逆に、図34(b)及び図34(d)に 示すように、非焼入れ部55aを多角形の頂点を 含む屈曲した領域に設けるとともに高周波焼 入れ部55bを多角形の頂点を含まない平面状の 領域に設けることにより、初期荷重を低下し て衝撃荷重を制御することができ、軸方向へ の圧潰による変形を促進することができる。

 図35(a)及び図35(b)は、フロントサイドメンバ ー53の第8の例53-8、第9の例53-9を示す説明図で ある。
 図35(a)に示すように、本体54の横断面である 多角形が対向する一対の略垂直面を有する場 合には、非焼入れ部55aが一方の略垂直面に設 けられるとともに高周波焼入れ部55bがこれに 対向する他方の略垂直面に設けられ、かつ非 焼入れ部55a及び高周波焼入れ部55bが本体54の 方向へ交互に形成されることにより、衝撃 重を負荷されたフロントサイドメンバー53 、車体の所望の幅方向への折れ曲がりを誘 させることができ、望ましい。

 一方、図35(b)に示すように、本体54の横断 面である多角形が対向する一対の略水平面を 有する場合には、非焼入れ部55aが一方の略水 平面に設けられるとともに高周波焼入れ部55b がこれに対向する他方の略水平面に設けられ 、かつ非焼入れ部55a及び高周波焼入れ部55bが 本体54の軸方向へ交互に形成されることによ 、衝撃荷重を負荷されたフロントサイドメ バー53に、車体の所望の上下方向への折れ がりを誘発させることができ、望ましい。

 図36(a)及び図36(b)は、フロントサイドメン バー53の第10の例53-10、第11の例53-11を示す説 図であり、両図の右の図面は先端部55のA-A段 面図である。なお、図35(a)は高周波焼入れ部5 5bの面積が筒体の軸方向へ向けて徐々に増加 るものを示し、図35(b)は一定であるものを す。

 図36(a)及び図36(b)に示すように、非焼入れ 部55aが筒体の横断面における下側の領域に設 けられ、高周波焼入れ部55bがこの下側の領域 を除く上側の領域に設けられることにより、 衝撃荷重を負荷された本体54の折れ変形を抑 することができ、望ましい。

 図37は、フロントサイドメンバー53の第12の 53-12を示す説明図である。
 図37に示すように、非焼入れ部55aが筒体の 断面における車体内側の領域に設けられ、 周波焼入れ部55bが車体内側の領域を除く車 外側の領域に設けられることにより、衝撃 重を負荷された本体54が車体内側に屈曲して 早期に衝撃吸収性能が低下することを抑制で き、望ましい。

 以上説明した、フロントサイドメンバー5 3の第1の例53-1~第12の例53-12では、後端部57が て高周波焼入れ部である場合を例にとった しかし、これとは異なり、後端部57の一部に 非焼入れ部を設けてもよい。

 図38は、図31に示すフロントサイドメンバ ー53の第2の例53-2において、後端部57の先端か ら本体54の軸方向へ向けて非焼入れ部57aを一 形成した第13の例53-12を示す説明図である。 なお、非焼入れ部57aは筒体の軸方向に向けて 複数設けるようにしてもよい。

 この第13の例53-13によれば、図31に示す第2 の例のフロントサイドメンバー53の効果に加 て、後端部57における軸方向への圧潰によ 変形を促進でき、フロアーパネル50及びキャ ビン58の損傷をさらに軽減することができる

 以上説明した第1の例53-1~第13の例53-13によ れば、高周波焼入れによりフロントサイドメ ンバー53を部分的に高強度化できるとともに 非焼入れ部との間に適当な強度バランスを えることができるので軸方向への圧潰によ 変形を促進することができ、これにより、 れまでには得られなかった高強度と衝撃吸 能とを兼ね備えたフロントサイドメンバー5 3を提供することができる。

 ここで、フロントサイドメンバー53には 成形後に部分的に、穴あけのための穴あけ 工や、例えば切欠きの形成のための切断加 等の機械加工が施されることがあり、この うな加工が行われる部位まで高周波焼入れ 行ってしまうと、硬度の著しい上昇により れらの機械加工を行うことが難しくなって まう。また、特にフロントサイドメンバー53 の後端部は、フロアーパネル50の下面に溶接 合されるため、このような部分には高周波 入れを行わないことが望ましい。

 図39は、このような観点から、非焼入れ 55a、57aが、穴あけ加工による穴あき部及び 接される溶接部を含む領域に設けられるフ ントサイドメンバー53の第14の例53-14を示す 明図である。

 図39に示す第14の例53-14では、先端部55に ける穴あけ加工部を含む領域に非焼入れ部55 aを設けるとともに、後端部57におけるフロア ーパネルとの溶接部にも非焼入れ部57aを設け ている。この第14の例53-14は、優れた溶接性 び加工性を有することから現に工業的規模 量産可能である。

 次に、本発明に係るフロントサイドメンバ 53の製造方法を説明する。
 本発明に係るフロントサイドメンバー53は 図1~22を参照しながら説明した曲げ加工法に り製造することができる。これにより、高 産性や良好な寸法精度、さらには非焼入れ 及び高周波焼入れ部を確実かつ容易に形成 ながら、本発明に係るフロントサイドメン ー53を製造することができる。

 これに対し、例えば、公知の適宜手段に り、上述した先端部5、傾斜部6及び後端部7 有する、閉断面構造の筒体を成形し、成形 れたこの筒体に曲げ成形を行って所望の形 とした後に、公知の手段により高周波焼入 を行うと、高周波焼入れにより、特に曲げ 形部の寸法精度を確保することが難しくな ことから、本発明に係るフロントサイドメ バー53を製造することは事実上不可能であ 。

 このようにして、本実施の形態により、こ までには得られなかった高強度及び軽量性 衝撃吸収能とを兼ね備え、さらに優れた溶 性及び加工性を有することから現に工業的 模で量産可能なフロントサイドメンバーを 供することができるようになる。
[実施の形態3]
 実施の形態3を説明する。

 図40は、本実施の形態の自動車車体61の側部 構造62の一例を示す説明図である。
 この側部構造62は、少なくとも、Aピラー63 、Bピラー64と、ルーフレールサイド65と、サ イドシル66と、Cピラー67とにより構成される

 Aピラー63は、フロアーパネル68の幅方向 両端部に固定されるサイドシル66に接続され て上方へ向けて延びて存在するとともに閉じ た閉断面を有する第1の部分63aと、この第1の 分63aに連続して斜め方向へ向けて延びて存 するとともに閉断面を有する第2の部分63bと により構成される。

 また、ルーフレールサイド65は、このAピラ 63の第2の部分63bに連続するとともにBピラー 64の上部に接続し、閉断面を有する筒状の部 である。
 Bピラー64の下部は、サイドシル66に接続さ ており、ルーフレールサイド65はBピラー64を 介してサイドシル66及びフロアーパネル68に り支持される。また、ルーフレールサイド65 の後端部はCピラー67に接続される。Cピラー67 は、リアフェンダーに接続される。

 このように、本実施の形態の側部構造62は 閉じた断面を有する各種の構造部材により 成される骨格により構成される。
 本実施の形態では、Aピラー63の第2の部分63b の内部及び、ルーフレールサイド65の内部で ってBピラー64との接続部よりも後方の位置 での間に、側部補強部材70が配置される。

 図41は、この側部補強部材70の一例を示す説 明図である。
 この側部補強部材70は、八角形からなる閉 た横断面形状を有するとともに三次元で屈 した形状を有する。この側部補強部材70は、 高周波焼入れ処理された一体構造を有する。

 図42(a)は図40におけるA-A断面を示し、図42( b)は図40におけるB-B断面を示す。図42に示すよ うに、Aピラー63の第2の部分63bの内部には側 補強部材70が配置されるとともに、ルーフレ ールサイド65の内部であってBピラー64との接 部よりも後方の位置までの間にもこの側部 強部材70が配置される。

 側部補強部材70における、Bピラー64との接 のために溶接される領域には、焼入れ処理 行われないことが、加工性及び溶接性を確 するためには望ましい。
 また、側部補強部材70の先端部には焼入れ 行わないようにすることにより、この先端 をエンジンコンパートメントの一部に溶接 る際の溶接性を向上することができ、望ま い。

 このような側部補強部材70は、図1~22を参 しながら説明した熱間三次元曲げ法により 造することができる。これにより、高生産 や良好な寸法精度、さらには非焼入れ部及 高周波焼入れ部を確実かつ容易に形成しな ら、本発明に係る側部補強部材70を製造す ことができる。

 側部補強部材70を、Aピラー63の第2の部分6 3bの内部には側部補強部材70が配置されると もに、ルーフレールサイド65の内部であって Bピラー64との接続部よりも後方の位置までの 間に配置するには、Bピラー補強部材の先端 側部補強部材70を覆うような形状とすればよ く、通常の自動車車体のアーク溶接工程また はスポット溶接工程等において組み込むこと が可能である。

 また、この側部補強部材70は略全域が高 波焼入れ処理されるので極めて高い強度を することから、その横断面積を小さく設定 ても、補強部材として十分に機能すること できる。このため、側部補強部材70を追加す ることによる重量増を、最小限に抑制するこ とができる。

 また、この側部補強部材70は一体的に製造 ることができるので、補強部材の部品点を 減することができ、これにより、車体61の製 造コストの低減を図ることができる。
 このようにして、本実施の形態により、自 車車体61の側部構造のよりいっそうの高強 化及び軽量化と、さらなる車体61の製造コス トの低下とを高い次元で両立することが可能 となる。
[実施の形態4]
 実施の形態4を説明する。この説明では、上 述した実施の形態3と相違する部分を説明し 共通する部分は同一の符号を付することに り重複する説明を省略する。

 本実施の形態では、Aピラー63の第2の部分63b ~ルーフレールサイド65~Cピラー67の内部に、 部補強部材70-1を配置する。
 図43は、この側部補強部材70-1を示す説明図 ある。また、図44は、図40におけるC-C断面図 である。図43及び図45に示すように、本実施 形態では、Aピラー63の第2の部分63bの内部、 ーフレールサイド65の内部、及びCピラー67 内部に、側部補強部材70-1が配置される。

 略述すると、上述した実施の形態1の側部 補強部材70を、Cピラー67の内部に収容できる うに延長したものが本実施の形態に側部補 部材70-1である。これ以外は、全て実施の形 態3と同じでよい。

 側部補強部材70-1を、このように配置する にはBピラー補強部材の先端を側部補強部材70 -1を覆うような形状とすればよく、通常の自 車車体のアーク溶接工程またはスポット溶 工程等において組み込むことが可能である

 また、この側部補強部材70-1は略全域が高 周波焼入れ処理されるので極めて高い強度を 有することから、その横断面積を小さく設定 しても、補強部材として十分に機能すること ができる。このため、側部補強部材70-1を追 することによる重量増を、最小限に抑制す ことができる。

 また、この側部補強部材70-1は一体的に製 造することができるので、補強部材の部品点 を低減することができ、これにより、車体61 製造コストを低減することができる。

 このようにして、本実施の形態により、自 車車体61の側部構造62のよりいっそうの高強 度化及び軽量化と、さらなる車体61の製造コ トの低下とを高い次元で両立することが可 となる。
[実施の形態5]
 図45は、図40におけるD-D断面図である。

 本実施の形態では、実施の形態3の側部補 強部材70の先端側を、自動車車体61の下方側 向けて延長したものであって、本実施の形 の側部補強部材70-2は、フロントピラー63の 1の部分63aの内部にも存在する。

 この側部補強部材70-3を用いることにより 、実施の形態1の側部補強部材70の効果に加え て、前面衝突の際にダッシュパネルを補強す ることができる。