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Title:
CARBON NANOTUBE MATERIALS, PROCESS FOR PRODUCTION THEREOF, AND ELECTRONIC COMPONENTS AND DEVICES
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/026237
Kind Code:
A1
Abstract:
Novel carbon nanotube materials according to the invention are produced by a process which comprises irradiating a carbon nanotube material with vacuum ultraviolet rays and feeding a substance which can modify the surface of the material in combination with vacuum ultraviolet rays. The novel carbon nanotube materials are improved in the affinity as observed when the materials come into contact with other materials.

Inventors:
ASANO KOJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2006/316834
Publication Date:
March 06, 2008
Filing Date:
August 28, 2006
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
ASANO KOJI (JP)
International Classes:
C01B31/02; B82B3/00; H01L21/3205; H01L23/52
Foreign References:
JP2005272184A2005-10-06
JP2002503204A2002-01-29
Other References:
ASANO K. ET AL.: "Chemical modification of multiwalled carbon nanotubes by vacuum ultraviolet irradiation dry process", JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 45, no. 4B, April 2006 (2006-04-01), pages 3573 - 3576, XP003021247
Attorney, Agent or Firm:
DOI, Kenji et al. (Doi & Associates3rd Floor, Toshou-Bldg. No. 3,3-9-5, Shin-yokohama,Kohoku-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 33, JP)
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Claims:
 表面の改質されたカーボンナノチューブ系材料の製造方法において、カーボンナノチューブ系材料に対し、
 真空紫外線を照射し、
 当該真空紫外線との組合せにより当該カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質を供給する
ことを含む、表面改質カーボンナノチューブ系材料の製造方法。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が、真空紫外線により活性化されて化学的に活性な種を発生し得る物質である、表面改質カーボンナノチューブ系材料の製造方法。
 前記の表面を改質すべきカーボンナノチューブ系材料がCVD法によって作製されたものである、請求項1または2に記載の製造方法。
 前記の表面を改質すべきカーボンナノチューブ系材料が基板上で成長させたものである、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
 前記化学的に活性な種が、電子供与性基の化学的に活性な種と電子吸引性基の化学的に活性な種との少なくともいずれか一方を含む、請求項2~4のいずれかに記載の製造方法。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が、酸素、アミン類、ハロゲン化アルキル類、アルコール類、エーテル類およびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含む、請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が前記真空紫外線を照射しても、前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質しない不活性物質で希釈されたものである、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 カーボンナノチューブ系材料に対し、
 真空紫外線を照射し、
 当該真空紫外線との組合せにより当該カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質を供給する
ことを含む方法により製造された表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が、真空紫外線により活性化されて化学的に活性な種を発生し得る物質である、請求項8に記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記の表面を改質すべきカーボンナノチューブ系材料がCVD法によって作製されたものである、請求項8または9に記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記の表面を改質すべきカーボンナノチューブ系材料が基板上で成長させたものである、請求項8~10のいずれかに記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 導電性物質、絶縁性物質、親水性物質、親油性物質および特定の基を有する物質からなる群から選ばれた少なくとも一つの物質と接した場合に、前記表面改質前に比べ親和性が向上した、請求項8~11のいずれかに記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記化学的に活性な種が、電子供与性基の化学的に活性な種と電子吸引性基の化学的に活性な種との少なくともいずれか一方を含む、請求項9~12のいずれかに記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が、酸素、アミン類、ハロゲン化アルキル類、アルコール類、エーテル類およびこれらの混合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含む、請求項8~13のいずれかに記載の改質カーボンナノチューブ系材料。
 前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得る物質が前記真空紫外線を照射しても、前記カーボンナノチューブ系材料の表面を改質しない不活性物質で希釈されたものである、請求項8~14のいずれかに記載の改質カーボンナノチューブ系材料。
 請求項8~15のいずれかに記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料を含んでなる電子部材。
 前記電子部材が、配線ビア、電子デバイス放熱バンプ、導電性シート、電磁波しゃへい材用シート、または当該シートを製造するためのプリプレグである、請求項16に記載の電子部材。
 請求項8~15のいずれかに記載の表面改質カーボンナノチューブ系材料を含んでなる電子装置。
Description:
カーボンナノチューブ系材料、 の製造方法、電子部材および電子装置

 本発明は、カーボンナノチューブ系材料 表面改質技術に関する。

 近年、半導体装置やプリント配線基板等 含む半導体集積回路装置では、導電体や熱 導体の性質を持った電子部材に、いわゆる ーボンナノチューブ(CNT)を用いる検討がさ ている。

 特にCNTは、化学的安定性に優れ、また、 異な物理的・電気的性質を有する等、様々 特性を有しており、半導体装置の形成材料 して注目され、たとえば、その太さや長さ 制御のほか、形成位置制御やカイラリティ 御等、現在も様々な検討が続けられている

 具体的な用途としては、電子機器の電磁 しゃへい用部材、超LSI等の高機能電子デバ スの冷却用バンプ材料、および半導体装置 配線ビヤ構造部材等が注目を集めている。

 例えば、CNTが極めて熱伝動性が高い性質 利用して、CNTを高密度に半導体プロセス基 上に成長させ、これを導電回路の一部やプ セス基板上に搭載された電子デバイス(半導 体装置)からの接着部構造、およびその構造 からのデバイス発熱の排熱パス(いわゆる「 ンプ構造」)として用いるような応用が考え られる。

 さらに、CNTの極めて高い電気伝導性を利 して、超微細構造を持つ半導体装置(半導体 デバイス)の高密度配線構造におけるビヤ配 構造体として用いる場合も応用として考え れる。

 図5に、そのようなCNTを利用した高機能電子 デバイスの冷却用バンプ材料として用いた構 造(たとえば非特許文献1参照。)の一例を示す 。このような高機能電子デバイスの冷却用バ ンプ構造は、図5に示すように、たとえば、 板(窒化アルミニウム(AlN、アルミナ等)51上の 電極52上に触媒金属担持膜(例えばTiN膜)と触 金属膜(Co等)(両者を併せて番号53で示す)をス パッタ等により堆積し、ついで、炭化水素系 ガス(CH 4 、C 2 H 2 等)を用いた熱CVD法(熱化学的気相成長法)等で CNT54を成長させ、その後、このCNT付き基板のC NT部にメッキ(ウェット処理)等により伝導性 質(Cu、Al等の金属、等)を付着させ、CNTバン 構造を作製することができる。この後この 板上に、電子デバイスを、熱圧着(250~450℃程 度が望ましい)し、高熱伝導性電子デバイス 作製することができる。

 また、図1に、上記のCNTを利用した配線ビア 構造(たとえば特許文献1および非特許文献2参 照。)の一例を示す。このようなビア構造は 図1に示すように、たとえば、基板1上に、下 地層2およびCu配線層3を設け、このCu配線層3 にCuの拡散を防ぐバリア膜(Ta膜など)4を堆積 、絶縁層5をその上に設け、ビアホールを設 けた後、触媒金属担持膜(例えばTi膜)6とCo等 触媒金属膜(あるいは触媒微粒子層)7とをス ッタ等により堆積し、ついで、炭化水素系 ス(CH 4 、C 2 H 2 等)を用いた熱CVD法(熱化学的気相成長法)等で CNT8を成長させ、その後、上部配線を形成す ことで作製することができる。図1にはCNT8を 固定するための充填樹脂9も示されている。

特開2002-329723号公報(特許請求の範囲) 富士通株式会社,株式会社富士通研究所, 世界初!カーボンナノチューブを半導体チッ プの放熱基板に活用」,2005年12月5日,[2006年8月 18日検索],インターネット、<URL:http://pr.fujit su.com/jp/news/2005/12/5.html> 二瓶ら,「ジャパニーズ・ジャーナル・ ブ・アプライド・フィジックス(Japanese Journa l of Applied Physics)」,2005年,第44巻,p.1626

 しかしながら、カーボンナノチューブ自 は優れた導電性、半導体性、熱伝導性、化 的安定性等を有するものの、他の材料と接 た場合に親和性が充分ではなく、接続部に ける導電性や熱伝導性が大幅に低下したり 層間における十分な接着性、密着性が得ら ない場合があると言う問題が知られている この問題は、Si基板上に、一端を固定してCV Dにより製造されるナノチューブを配線用途 用いる場合についても同様である。

 このような問題は、部材の製造時に、CNT 周辺層との密着が完全に行われることで実 可能と考えられる。しかしながら、他材料 の界面の親和性が乏しい現状の解決なしに このような密着を実現できないという問題 ある。これは、CNTの全ての用途に共通の課 でもある。

 一般的に、CNTは、従来の製造方法{レーザ アブレーション、化学的気相成長法(CVD)、HiPC O(high-pressure carbon monoxide)法等}で製造される これらの方法により製造されたCNTの表面の 質は、グラファイト様の表面分子構造、す わち、ベンゼン環のつながった電子的超共 構造の性質に依存し、他の材料との濡れ性 また、グラファイトのごとき性質を示す。 なわち、製造されたまま(たとえば粉状)の 子表面では、通常、いずれの溶剤にも分散 が不良であり、特定の条件で処理した場合( とえばエタノールと共に超音波処理した場 等)に、高々数週間程度の分散状態が得られ るのが限界であった。

 この性質は、上記のように、CNTの各種の 学的応用に大きな制約となっていた。すな ち、製造されたCNTと他の材料とのハイブリ ド材料、例えば樹脂との機能性混合構造材 製造せんとする場合においては、現状では 他の材料との混練等の操作によっても、界 活性剤等の添加物なしでは、ミクロ的に相 性の十分に良い複合材料の製造は困難であ 、また添加物を加えると、その材料の性質 複合材料に与える悪影響(例えば電気的性質 の低下、機械的強度の低下、化学的性質の劣 化)が逃れられない。なお、ここで、電気的 質の低下とは、例えば、比抵抗の増大、中 期の電気的性質の維持信頼性の低下、重量 たりの比抵抗の増加および電磁波しゃへい 能の劣化、ならびに同信頼性の低下等を言 。また、機械的強度の低下とは、剛性率、 壊強度の低下、およびそれらの長期性能の 化等、を言う。また、化学的性質の劣化と 、対環境による材料物性(例えば、吸湿性、 溶剤性、空気中の酸素による酸化)の劣化等 を言う。

 たとえば、一例として、超LSI等の高密度 機能電子装置のビヤ配線用材料としてCNTを 用するためには、ビヤ内に成長させたCNTの 端をCMP(Chemical Mechanical Polishing)により削り る必要がある。このとき、CNTの束を固定し あるいはCMP時に研磨材、研磨液がCNT束内に れ込んでCNT内部を汚染しないようにするた (あるいは、もし流れ込んでも後から容易に 除去できるようにするため)、絶縁材料等でCN Tの束の周りを他の物質で固める必要がある 合があるが、この絶縁材料等との親和性が いと、溶剤に溶かした樹脂をスピンコート 等により塗布する方法を用いても、真空環 にて樹脂状物質を製膜する方法を用いても CNTの束の間にこの絶縁材料等が十分満たさ ず、そのためCNT束の周りに細かな体積のた 、CNTの束に他物質がうまく入らないことが る。

 本発明は上記問題を解決し、他の材料と した場合に親和性の向上したカーボンナノ ューブ系材料を提供することを目的として る。本発明のさらに他の目的および利点は 以下の説明から明らかになるであろう。

 本発明の一態様によれば、表面の改質され カーボンナノチューブ系材料の製造方法に いて、カーボンナノチューブ系材料に対し
 真空紫外線を照射し、
 当該真空紫外線との組合せにより当該カー ンナノチューブ系材料の表面を改質し得る 質を供給する
ことを含む、表面改質カーボンナノチューブ 系材料の製造方法が提供される。

 本発明態様により、他の材料と接した場 に親和性の向上した新規なカーボンナノチ ーブ系材料が得られる。

 本発明の他の一態様によれば、カーボンナ チューブ系材料に対し、
 真空紫外線を照射し、
 当該真空紫外線との組合せにより当該カー ンナノチューブ系材料の表面を改質し得る 質を供給する
ことを含む方法により製造された表面改質カ ーボンナノチューブ系材料が提供される。

 本発明態様により得られる、他の材料と した場合に親和性の向上した新規なカーボ ナノチューブ系材料は、電子工業用部材等 電子部品等の電子部材全般に好適に利用す ことができる。

 上記二つの態様について、前記カーボン ノチューブ系材料の表面を改質し得る物質 、真空紫外線により活性化されてラジカル の化学的に活性な種を発生し得る物質であ こと、前記の表面を改質すべきカーボンナ チューブ系材料がCVD法によって作製された のであること、前記の表面を改質すべきカ ボンナノチューブ系材料が基板上で成長さ たものであること、導電性物質、絶縁性物 、親水性物質、親油性物質および特定の基 有する物質からなる群から選ばれた少なく も一つの物質と接した場合に、表面改質カ ボンナノチューブ系材料が、前記表面改質 に比べ親和性が向上したものであること、 記ラジカル等の化学的に活性な種が、電子 与性基のラジカル等の化学的に活性な種と 子吸引性基のラジカル等の化学的に活性な との少なくともいずれか一方を含むこと、 記カーボンナノチューブ系材料の表面を改 し得る物質が、酸素、アミン類、ハロゲン アルキル類、アルコール類、エーテル類お びこれらの混合物からなる群から選ばれた なくとも一つの物質を含むこと、前記カー ンナノチューブ系材料の表面を改質し得る 質が前記真空紫外線を照射しても、前記カ ボンナノチューブ系材料の表面を改質しな 不活性物質で希釈されたものであること、 好ましい。

 本発明の更に他の態様によれば、上記の 面改質カーボンナノチューブ系材料を含ん なる電子部材、特に、ビア、放熱用バンプ や、導電性シート、電磁波しゃへい材用シ ト、これらのシートを製造するためのプリ レグ等、および、上記の表面改質カーボン ノチューブ系材料を含んでなる電子装置が 供される。

 これら二つの本発明態様により、カーボ ナノチューブ系材料の優れた特性を活かし 電子機器や電子部材等を実現することがで る。

 本発明により、他の材料と接した場合に 和性の向上した新規なカーボンナノチュー 系材料が得られる。このような材料は電子 器や電子部材等に好適に利用することがで る。

CNTを利用した配線ビア構造の模式的横 面図である。 本発明に係るVUVを照射し、特定物質を 給するための装置の主要部分を示す模式図 ある。 本発明に係るVUVを照射し、特定物質を 給するための装置の主要部分を示す他の模 図である。 本発明に係るカーボンナノチューブ系 料をビアに利用した半導体集積回路装置を 式的に示す断面図である。 カーボンナノチューブ系材料を高機能 子デバイスの冷却用バンプ材料に適用した 高熱伝導バンプを含む電子デバイスの構造 概要の例を示す模式図である。 本発明に係るカーボンナノチューブ系 料を高機能電磁波しゃへい材に適用した場 の製法例の概要を示す模式図である。

符号の説明

 1  基板
 2  下地層
 3  Cu配線層
 4  Ta膜
 5  絶縁層
 6  Ti膜
 7  触媒金属膜
 8  CNT
 9  充填樹脂
 21 VUV源
 22 特定物質を不活性物質で希釈したガス
 23 供給経路
 24 吹き出し口
 25 冷却用媒体
 26 CNTの束
 27 基板
 31 水冷ダクト
 41 シリコン基板
 42 トランジスタ
 43a~43f
    層間絶縁膜
 45 配線
 46 ビア
 47 コンタクト
 48 保護層 
 51 基板
 52 電極
 53 触媒金属担持膜と触媒金属膜
 54 CNT

 以下、図面に従って本発明の実施の形態 説明する。しかしながら、本発明の技術的 囲は、以下の実施の形態に限定されず、特 請求の範囲に記載された発明とその均等物 で及ぶものである。

 本発明に係る表面改質カーボンナノチュー 系材料は、カーボンナノチューブ系材料に し、真空紫外線(VUV;Vacuum
Ultra Violet rays)を照射し、当該VUVとの組合せ より当該カーボンナノチューブ系材料の表 を改質し得る物質(「VUVとの組合せによりカ ーボンナノチューブ系材料の表面を改質し得 る物質」を、以下、「特定物質」ともいう) 供給することを含む方法で製造することが きる。

 カーボンナノチューブ系材料に対し、VUV 照射し、この特定物質を供給することで、 のカーボンナノチューブ系材料の表面が改 されるのは、恐らく、この物質がVUVによっ 活性化されてラジカル等の化学的に活性な を発生し、その化学種がカーボンナノチュ ブ系材料表面に作用するためであろうと考 られている。

 そのメカニズムはたとえば次のようなも であろうと推察されている(ただし、その是 非は本発明の本質とは無関係である)。すな ち、VUV照射を受けて、ナノチューブ分子近 に浮遊した状態の特定物質の結合が開裂し 一重項酸素等の活性酸素、アミノラジカル アルキルラジカル、アルコキシラジカル等 化学種が発生する。これらのラジカルは不 定で反応性が高いため、近傍のナノチュー のグラフェンシート上の比較的反応性の高 欠陥部分(五員環、七員環部分、通常ダング ングボンドと呼ばれる不安定結合状態部等) に、速やかに結合し、共有結合を形成する。 あるいは、ナノチューブには直接化学結合せ ず、ラジカル等の化学的に活性な種同士が反 応し再結合するなどして、より高沸点(低揮 性)の生成物となり、それがナノチューブ分 表面に吸着するというメカニズムである。

 しかしながら、このほかに、たとえば、 の物質またはその一部が、カーボンナノチ ーブ系材料の表面上に吸着され、VUVによる 用により、ラジカル等の化学的に活性な種 経ないでカーボンナノチューブ系材料表面 作用する等、他のメカニズムも存在するか 知れない。更に上記作用としては恐らく化 結合が主体であろうと考えられるが、物理 吸着等も存在しているかも知れない。ただ 、これらのメカニズムや作用形態は本発明 本質とは関係しない。

 本発明における特定物質であるかどうか 、VUVの照射後に何らかの意味でカーボンナ チューブ系材料の表面が改質されたことで 認することができる。また、VUVを使用しな で特定物質をカーボンナノチューブ系材料 接触させたときにもカーボンナノチューブ 材料の表面改質が起こる場合には、その表 改質の程度がより大きくなることで知るこ ができる。

 このような表面改質は、具体的には、表 張力の変化、特定の溶媒への濡れ性の変化 カーボンナノチューブ系材料の表面上への 定の基(たとえば極性基)の導入、特定の材 との接着性の変化、特定の物質の吸着量の 化等によって、何らかの意味でカーボンナ チューブ系材料の表面が改質され、または の改質がVUVを使用しないときに比べ改善さ たことで確認することができる。このよう 改質の結果、他の物質との親和性が向上す 。

 あるいは、上記のごとく、VUVによってラ カル等の化学的に活性な種を発生し得る物 が特定物質に該当する場合が多いので、上 のような具体的変化によらず、VUVによって ジカル等の化学的に活性な種を発生し得る 質を特定物質と考えてもよい。これは、ラ カル等の化学的に活性な種が発生すれば、 理的に何らかの変化がカーボンナノチュー 系材料の表面に生じている筈であるからで る。

 このようなラジカル等の化学的に活性な としては、電子供与性基のラジカル等の化 的に活性な種と電子吸引性基のラジカル等 化学的に活性な種との少なくともいずれか 方を含むものであることが好ましい。この うなラジカル等の化学的に活性な種が関与 る場合には、カーボンナノチューブ系材料 極性基が導入されることになり、極性を有 る物質との親和性が向上する。

 なお、本発明において「表面」は、いわ る表面改質における表面を意味し、カーボ ナノチューブ系材料の最外面のみならずく んだ表面や内部表面も該当し得るが、本発 との関係においては、具体的にカーボンナ チューブ系材料のどこが改質されたかは重 ではない。

 本発明における特定物質については特に 限はなく、任意の物質から選択することが きる。具体的には、どのような表面改質を いたいかに応じて選択することが好ましい たとえば極性溶媒に対する親和性を向上さ るには、カーボンナノチューブ系材料表面 極性基を導入できる物質が好ましい。特定 構造を持つ溶媒に対する親和性を向上させ には、カーボンナノチューブ系材料表面に の特定の化学構造、あるいはそれに近い化 構造を導入できる物質が好ましい。親水性 基や親油性の基の種類や導入量を調節する とにより、カーボンナノチューブ系材料の 水性や親油性の度合いを調節することも可 であろう。

 より具体的には、酸素、アミン類、ハロ ン化アルキル類、アルコール類、エーテル およびこれらの混合物からなる群から選ば た少なくとも一つの物質を含むものである とが好ましい。これらの物質を使用すると 一般的にはカーボンナノチューブ系材料表 の極性を向上させることができる。

 特定物質の供給は、特定物質をカーボン ノチューブ系材料と接触させるために行う この供給は気相で行われる。特定物質を蒸 として供給する場合、常圧、室温下では蒸 圧が低く、または蒸発しにくいものもある で、後述のごとく減圧を採用したり、後述 不活性物質で希釈することによりこの不活 物質に同伴させたり、特定物質を加熱した することが好ましい場合もある。

 ただし、特定物質自体は必ずしも蒸気に っている必要はない。したがって、噴霧に り特定物質が他の気体中に浮遊している状 で供給することも有用である場合がある。 の場合、浮遊した特定物質が液状のままカ ボンナノチューブ系材料の改質に寄与する ともあり得るかも知れない。

 カーボンナノチューブ系材料の改質の特性 度合いは、供給される特定物質の種類によ て影響を受ける。例えば、カーボンナノチ ーブ系材料の表面にヒドロキシル基が多く 入された場合は、エタノール、エチレング コール(ジオール系)グリセリン(トリオール )等のアルコール系溶媒に対する親和性が改 善される。また、アミノ基が導入され、また はアミノ基あるいはアミノ基を含む化合物が 吸着された場合には、ジメチルホルムアミド (DMF)等のアミノ基系官能基を持つ溶媒に対す 親和性が向上される傾向がある。実験した ころ、トリエチルアミンまたはアンモニア N 2 の混合ガスで満たしたSi基板上のナノチュー では、VUV照射によりアミノ基を導入される の結果が得られた。

 同様にチオール(-SH)基あるいはこれを含 複数の官能基あるいは化合物が導入され、 たは吸着された場合にはそれぞれの溶媒に する親和性が向上する。更に、例えば、ア ノ基とヒドロキシル基とを同時に導入すれ 、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシ ド;レジスト等の現像剤)との親和性が大幅に 上する。

 紫外線は、波長が315nmを超え、400nm以下の 範囲のUV-A、波長が280nmを超え、315nm以下の範 のUV-B、波長が200nmを超え、280nm以下の範囲 UV-Cおよび波長が10~200nmの範囲のVUVに分類す ことができるが、本発明におけるカーボン ノチューブ系材料は一般的に表面の安定性( 学安定性等)が高く、UV-A~UV-Cの紫外線の照射 では十分に表面の改質ができないのに対し、 VUVと上記特定物質とを組み合わせた場合には 可能であることが見出された。

 VUVを得る手段には特に制限はない。幅が く中心波長が172nmのXeエキシマUVランプを好 しく例示できる。通例、160~200nm程度の波長 布を示すXe封入エキシマUVランプが好ましい が、必ずしもこれに限定されるものではない 。なお、有機化合物の結合の切断エネルギー はVUVの波長に直接関係するので、特定の結合 の切断を排除したい場合には、VUVの使用波長 範囲を目的に応じて狭く制限することも有用 である。

 VUVの出力についても制限はなく、市販の数 mW/cm 2 程度の出力のものを好ましく使用できる。た だし、VUVを発生しうる装置(エキシマUVランプ 、等)の冷却や配置に問題なければ、より高 力の装置を用いるか、あるいはUVランプを近 接して複数個並べて、実際の面あたり照射量 を増やすことは、生産性の向上につながるこ ともありうる。

 なお、VUVはその名前が示すように真空中 たは減圧下で使用されるのが一般的である 、本発明においては必ずしもそうではなく 常圧下においても可能である。すなわち、 発明におけるVUV照射は、減圧または常圧の 囲気中におかれたカーボンナノチューブ系 料に対して行われる。

 VUVと特定物質との組合せ作用をコントル ルする意味やVUVとカーボンナノチューブ系 料との間の距離を大きくできるという実用 上の意味からは、カーボンナノチューブ系 料を取り囲む雰囲気中の特定物質の濃度を ントロールすることが有用である場合が多 。たとえば、酸素を20体積%含む空気ではVUV 1cm以内でほぼすべて吸収されるというよう 、特定物質は吸光係数が大きいことが多く 何らかの手段で特定物質の濃度(または蒸気 圧や分圧でもよい)を低下させることが好ま い場合が多いからである。これは、雰囲気 減圧度を調整することによって行うことも きるが、VUVを照射してもカーボンナノチュ ブ系材料の表面を改質しない物質である不 性物質で希釈した特定物質を使用すること 好ましい場合が多い。具体的には、常圧状 で、特定物質を0.001~50体積%の間に希釈する とが好ましく、0.01~10体積%の間に希釈するこ とがより好ましい。なお、この不活性物質に ついては特に制限はないが、本発明の環境が 気相であるので、一般的に、気体物質または 揮発性の物質が適切である。ネオン、アルゴ ン等の不活性ガスや窒素ガスを好ましく例示 できる。

 照射対象であるカーボンナノチューブ系 料とVUV照射源との間の距離については、VUV 吸収されやすいので、小さい方が好ましい 合が多い。カーボンナノチューブ系材料とV UV照射源との間に存在する物質の種類および 度(または蒸気圧あるいは分圧)にもよるが 一般的には、この距離はたとえば、0.1~100mm 好ましい。さらに言えば、多くの場合、0.2mm から数cm程度が好ましい場合が多い。

 VUV照射の仕方には特に制限はない。特定 質の供給とは必ずしも同時である必要はな 場合もあり得る。カーボンナノチューブ系 料に対し特定物質を連続的に供給し、VUV照 を連続的に行う方法、カーボンナノチュー 系材料に対し特定物質を断続的に供給し、 の供給時に合わせてVUV照射を断続的に行う 法、カーボンナノチューブ系材料に対し特 物質を断続的に供給し、その供給時に合わ かつその後ある時間継続するようにVUV照射 断続的に行う方法等を例示することができ 。

 カーボンナノチューブ系材料の表面改質 VUVに直接照射されている箇所のみに生じて るのかどうかは不明である。たとえば生じ ラジカル等の化学的に活性な種の寿命が長 場合には、VUVに直接照射されていない箇所 も表面改質が生じ得ると考えられる。した って、カーボンナノチューブ系材料が全体 してVUVに照射され、結果として表面改質さ ていれば、本発明の趣旨に合致するが、一 的には、個々のカーボンナノチューブ系材 ができるだけ直接VUVに照射されるようにな ていることが好ましい。この意味では、基 からカーボンナノチューブ系材料が立ち上 り、並ぶ方向の揃った状態や、基板上に分 された状態が好ましいが、これに限定され ものではない。

 なお、従来のリソグラフィー技術等を応 して、カーボンナノチューブ系材料の表面 一部を覆った状態で上記処理を行うことで 面における改質箇所を限定したり、更には この操作を複数回行い、場所によって異な た改質を行うことも可能である。これはバ プ作製時の基板上の異なった位置への異な た処理の場合等に有用である。

 本発明における「カーボンナノチューブ 材料」は、CNTまたはCNTが何らかの意味で修 された材料を意味する。典型的には、ナノ イズの断面(たとえば断面直径が0.3~10nm)を有 するカーボンチューブであるCNTである。その 長さについては数十nm~数mmのものを好ましく 示できるが、特に制限があるわけではない

 CNTには、金属的な性質を示すための条件 満たすバンド構造を取るものと、半導体的( 半金属的)な性質を示すための条件を満たす ンド構造を取るものとがある。本発明に係 CNTとしては金属的な性質を示すものと半導 的な性質を示すものとのいずれを使用して よい。

 本発明における「カーボンナノチューブ 材料」には、金属を内包したフラーレンな の、全体として金属的性質を示す、ナノチ ーブとは別のナノ構造体がCNT内に詰まって る、いわゆるピーポッド構造のナノチュー も含まれる。すなわち、上記における「修 」にはこのような場合も含まれる。 

 このような別のナノ構造体を含むピーポ ド構造のナノチューブを用いることにより たとえばビアの電気伝導特性あるいは機械 強度を増強することも可能になり得る。例 ば、金属内包フラーレンを含むCNTの場合、 包された金属の電荷がフラーレン外側に現 、更にナノチューブ外側に現れることが、 一原理計算から知られており、それによっ ビアの電気伝導特性を向上させることがで る。

 金属内包フラーレンのように全体として 属的性質を示す、ナノチューブとは別の構 体もしくは分子あるいは原子は、ナノチュ ブ内ではなく、一つのビアを構成している 接ナノチューブ間に存在していてもよい。 た、内部に金属フラーレンを含む隣接ナノ ューブ間に、上記のナノチューブとは別の 造体もしくは分子あるいは原子を配置する とも可能である。このようにしてCNTが修飾 れている場合も、本発明における「カーボ ナノチューブ系材料」に属する。

 CNT等のカーボンナノチューブ系材料の形 には、従来はアーク放電やレーザーアブレ ションが用いられてきたが、現在ではプラ マCVD(プラズマ化学的気相成長法)や熱CVDが く用いられている。CVDによる形成方法は、 ノチューブを直接基板上に形成できること ら、集積回路の製造への応用が期待されて る。もちろん本発明は使用されるCNTの製造 法に限定されるものでない。

 本発明に係るカーボンナノチューブ系材 は、このようにCVDで作製することが好まし 場合が多い。その場合には、カーボンナノ ューブ系材料が基板上に生成する。カーボ ナノチューブ系材料が基板上に生成するこ 自体は本発明の必須要件ではないが、カー ンナノチューブ系材料が基板上に生成して る場合には、先述したごとく、VUVの直接照 がし易く、また、基板との密着性が良好で るため、好ましい場合が多い。

 CVDで本発明に係るカーボンナノチューブ 材料を作製する場合、この基板を形成する 料には特に制限はなく公知のものから適宜 択できるが、導電性を得る場合には、導電 のものを使用し、熱伝導性を得る場合には 伝導性の良好なものを選択することが好ま い。

 本発明において、カーボンナノチューブ 材料に対し、VUVを照射し、特定物質を供給 るための装置については特に制限はない。 とえば図2,3に示す構造を持つ装置を例示す ことができる。図2において、VUV源21の下に 定物質を不活性物質で希釈したガス22の供 経路23、特定物質の吹き出し口24がある。VUV 21は冷却用媒体25によって冷却されている。 そして、吹き出し口24の下には縦に並んだCNT 束26を有する基板27が紙面の左から右に移動 していくのである。図3は、冷却媒体が水冷 クト31に代わり、特定物質を不活性物質で希 釈したガス22の供給経路23中で基板27が移動す る以外は図2と同様である。なお、縦に並ん CNTの束26は、たとえばビアホール中で成長さ せたCNTの束として実現することができる。図 2,3中実線付きの矢印は、特定物質を不活性物 質で希釈したガス22や冷却用媒体25の流れを 波線付きの矢印はVUVの照射を表している。

 本発明により、他の材料と接した場合に 和性の向上した新規なカーボンナノチュー 系材料が得られる。このような材料は電子 材に好適に利用することができる。

 本発明に係る「親和性の向上」は、他の 質と接触させた場合における表面張力の向 、濡れ性の向上、接着性の向上、吸着量の 大、他の物質との層間に入り込む異物(水分 等)、空洞(ミクロな空間)の減少等を意味する 。この場合の「他の物質」としては、導電性 物質、絶縁性物質、親水性物質、親油性物質 および特定の基を有する物質からなる群から 選ばれた少なくとも一つの物質であることが 好ましい。電子装置等の部材としてカーボン ナノチューブ系材料を使用する場合に、共に 使用される他の部材との電気的接続、熱的接 続、機械的結合、溶媒や接着剤に対する濡れ 等の向上が図れ、長期使用における剥がれ、 断線等の不具合を回避できるからである。な お、本発明および明細書の記載を通じて、「 特定の基」、「特定の物質」、「特定の構造 」、「特定の溶媒」、「特定の結合」および 「特定の材料」における「特定の」は、固定 的に決められたあるものを意味するものでは なく、実用上の要請に応じて任意に決められ るあるものを意味する。

 このような導電性物質としては、電子配線 に使用される銅、アルミニウム、その他の 金属をはじめとする電気伝導性物質一般を 絶縁性物質としては、SOG、TEOS(テトラエト シシラン)、ポリイミド樹脂等の任意の半導 封止用絶縁樹脂類、あるいは最近多用され 、マイクロポアを含むまたは含まない、い ゆる「Low-k樹脂」類(NCS、SiLK、MSQ等)、ある は、PFA、FEP、テフロン(登録商標)等のフッ素 系樹脂等、すなわちCNTを固定するに好適な電 気絶縁性の材料一般を、親水性物質としては 、水、エタノール、メタノール、フェノール 、ジオキサン類、エチレングリコール、ジエ チレングリコール、トリエチレングリコール 、グリセリン等のアルコール系溶媒等を、親 油性物質としては、石油エーテル、n-ヘキサ 、シクロヘキサン等のパラフィン系溶媒、 ンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール 、の芳香族系溶媒、あるいは、THF(テトラヒ ドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMS O(ジメチルスルホキシド)、ジメチルアセトア ミド、あるいはジエチルケトン、MIBK(メチル ソブイチルケトン)等のケトン、n-メチルピ リドン、ジクロロエタン、ジクロロエタン ピリジン、等のヘテロ元素(C、O、H以外の元 素)を含む極性溶媒を挙げることができる。 た、特定の基を有する物質としては、基本 には、前述した絶縁性物質、親水性物質、 油性物質に多く含まれる官能基を含む物質( ましくは低粘度の気体または液体)ならいか なるものでもよいが、典型的な例としては、 以下のものを挙げることができる:
 -OH、-COOH、-NH 2 、-NR 2 (Rは脂肪族、芳香族アルキル基あるいはその 導体)、-CO-、-C=O、イミド結合およびエーテ 結合の少なくともいずれか一つ以上を有す 物質、すなわち、アルコールおよびフェノ ル、カルボン酸、アミン類、ケトン類およ キノン類、等。

 本発明に係るカーボンナノチューブ系材 は、ニーズに応じて、電気製品、電子製品 機械品等、カーボンナノチューブ系材料の 用されるあるいは使用される可能性のある のような用途に使用されてもよいが、カー ンナノチューブ系材料の優れた電気的特性 よび熱的特性に鑑み、特に、電磁波を発生 うる医療用、航空宇宙用、あるいは、携帯 のある電子機器(携帯電話、パソコン等の携 帯電子機器端末を含む)、あるいは、電子部 や電子装置(たとえば、半導体装置やプリン 配線基板等を含む半導体集積回路装置)に好 適に利用できる。また、長期使用における高 性能で軽量、劣化の少ない電子機器用に用い られる導電性部材(シート等)、電磁波しゃへ 用部材(シート等)、または、剥がれ、断線 の不具合の少ない電子部材や電子装置を実 することも期待できる。なお、このような 子部材としては、電子デバイス実装用放熱 バンプ、電子デバイス用等の配線ビアを挙 ることができる。

 また本発明はさらに、上記の電子部品や 子デバイス素子等に限らず、例えば、対重 比の導電性と伝熱性を要求される、(平面状 あるいは曲面状の)宇宙航空用の電子機器、 療機器、あるいは、携帯電話、パソコン等 含む、電磁波を発生する電子機器、導電性 ート、電子端末用の高周波電磁波しゃへい 、およびこれらの部材作製用前駆体(いわゆ プリプレグを含む)を挙げることができる。

 図4は、本発明に係るカーボンナノチュー ブ系材料をLSI用配線ビアに利用した半導体集 積回路装置を模式的に示す断面図である。図 4では、シリコン基板41にトランジスタ42等の 子が複数作りこまれ、それらを覆って複数 絶縁層(層間絶縁膜)43a~43fが形成されている 絶縁層を挟んで配線層が位置し、所定の配 層の配線45は絶縁層を貫通して形成された ア46により別の層の配線45につながれている 47は、素子同士をつなぐ配線45に接続するコ ンタクトを表している。一番上の配線層は保 護層48で被覆されている。この図に示した集 回路装置では、ビア46に本発明に係るカー ンナノチューブ系材料を適用し、このナノ ューブを特定の溶媒に対する濡れ性を良く ることにより、これに溶解さられているSOG の絶縁性樹脂のCNT周りへの浸透性を向上さ 、結果的に、CNT周りの空洞を塞ぎ、またCNT を固定化することにより、ビヤ内に成長さ たカーボンナノチューブ系材料の上端をCMP より良好に削り取ることができ、したがっ 配線部分との良好な電気的接続を実現でき 。

 図5は、カーボンナノチューブ系材料を高 機能電子デバイスの冷却用バンプ材料に適用 した、高熱伝導バンプを含む電子デバイスの 構造の概要の例を示す模式図であるが、この 場合にも本発明に係るカーボンナノチューブ 系材料を高機能電子デバイスの冷却用バンプ 材料に適用することができる。たとえば、図 5のCNT付き基板に対し、酸素を窒素で希釈し ガスまたは酸素と微量の水とを窒素で希釈 たガスの存在下VUV処理を行い、続いてこの 理済みCNT付き基板のCNT部にメッキ(ウェット 理)により、熱および電気伝導性物質(Cu、Al の金属、等)を、CNT鎖の間の空間に、十分に 浸透させたいわゆるCNTハイブリッド・バンプ 構造を作製することができる。この後この処 理済み基板上に、電子デバイスを、熱圧着(25 0~450℃程度が望ましい)して、金属等を浸透さ せたCNTバンプを使用した高熱伝道性電子デバ イスを作製することができる。

 図6は、本発明に係る電磁波しゃへい用シ ートまたはプリプレグを示す模式図である。 すなわち、樹脂シート上にCNTを散布し、この シートを他の樹脂シートを貼り付けることに より電磁波しゃへい用シートまたはそのまた はプリプレグを得ることができる。

 基板として、Siウエハ{p型、(100)面}上に、Ni スパッタリングにて25nm形成したものを用い 、熱CVD法により、アセチレンガスを原料とし て、650℃にて、マルチウオールカーボンナノ チューブを長さ約1.5μmまで成長させた。ナノ チューブの面密度を測定したところ、約5×10 11 本/cm 2 であった。

 あらかじめこの試料を清浄な空気中で400℃ 15分ベークしてナノチューブ表面の、ナノ ューブ以外の可燃性不純物を取り除いた後 速やかに、本発明の処理装置に移し、本発 に係る特定物質としてのトリエチルアミン{N (CH 2 CH 3 ) 3 }を、その蒸気圧が1気圧濃度5体積%程度とな よう純窒素で希釈したガスを使用した。ガ の流量は毎分1Lとした。

 この状態で、XeエキシマUVランプ(発生中心 長λ=172nm)を発生する出力30mW/cm 2 のエキシマUVランプを使用してVUVを10分間掛 て照射した。装置の構造は図2のものを使用 た。

 本処理前後の試料をXPS(X線光電子分光)お びIR(赤外吸収)スペクトルにて分析したとこ ろ、処理前のナノチューブには存在しなかっ た炭素窒素結合が処理後に形成されているこ とが確認された。

 なお、VUVの照射を行わない以外は上記と 様の処理を行ったが、処理後にも炭素窒素 合は生じなかった。

 実施例1と同様の特定物質を使用し、試料 としては、Siウエハ{p型、(100)面}上にシング ウオールカーボンナノチューブをアーク放 法で生成させたものを使用した。

 実施例1と同様の処理を行った。ただし、 処理時間は、実施例1の10%とした。

 この試料をXPS(X線光電子分光)およびIR(赤 吸収)スペクトルにて分析したところ、処理 前のナノチューブに存在しなかった炭素窒素 結合が処理後に形成されているのが確認され た。

 実施例1と同様の特定物質を使用し、トラ ンジスタのビヤ構造を模擬的に形成したマル チウオールカーボンナノチューブのアミノ化 を試みた。

 直径0.5μm、深さ1μmの円筒状の穴パターンを Si基板上に形成し、底面を含むウエハ全面にT i薄膜10nmをスパッタリングで形成し、平均粒 10nmのNi微粒子を底面を含むウエハ全面に散 し、これに熱CVD法で長さ1500nmのマルチウオ ルカーボンナノチューブを穴の上方まで成 させた。ナノチューブの面密度を測定した ころ、約3×10 11 本/cm 2 であった。

 この試料に対し、実施例1と同様の装置を 使用し、実施例1と同様の特定物質を実施例1 同様に供給し、実施例1と同様にVUVを照射し た。

 処理後の試料に対して5%アンモニア水を 下し、しばらくしてからホットプレートで く乾燥し、走査式電子顕微鏡(SEM)で観察した ところ、ナノチューブ同士が穴内で部分的に 束状になっているのが確認できた。これはア ンモニア水が浸透した跡であると考えられる 。すなわち、アンモニア水に対する濡れ性が 良好であるため、アンモニア水がナノチュー ブ表面で濡れ、ナノチューブ同士がアンモニ ア水によって束状に纏められた後アンモニア 水が蒸散した跡と考えることができる。

 これに対し、無処理の穴パタン内ナノチ ーブ試料に同じ処理を施したところ、処理 後で大きな変化なく、ナノチューブは、ほ んど束状にならず、各々孤立したまま、林 しているのが確認された。すなわち、処理 のナノチューブはアンモニア水に対する濡 性が不良であり、アンモニア水がナノチュ ブで弾かれてしまい、その結果、ナノチュ ブ同士がアンモニア水によって束状に纏め れることがなかったと考えられる。

 その後、処理前後の試料からそれぞれナ チューブを削り取り、XPS(X線光電子分光)お びIR(赤外吸収)スペクトルにて分析したとこ ろ、処理前のナノチューブに存在しなかった 炭素窒素結合が処理後に形成されているのが 確認された。

 以上の結果から、本ナノチューブは親水 が向上しており、親水性を有する溶媒、接 剤等の物質に対し良好な親和性を示すもの 期待される。

 さらに、本実施例でアンモニア水によっ 束状になったCNT上面と下(基板)面との間の 気抵抗は、2ω(オーム)と、極く低い値となっ た。

 実施例1と同様の処理系を使い、トランジス タの配線ビヤ構造を模擬的に形成した(ナノ ューブの面密度を測定したところ、約5×10 11 本/cm 2 の)マルチウオールカーボンナノチューブの ルボニル化、ヒドロキシル化を行った。た し、反応性物質としては、トリアチルアミ の替わりにN 2 で希釈した酸素とH 2 Oとを用いた。

 直径0.5μm、深さ1000nmの円筒状の穴パター をSi基板上に形成し、底面を含むウエハ全 にTi薄膜10nmをスパッタリングで形成し、平 粒径が7nmのCo微粒子を底面を含むウエハ全面 に散布し、これにCVD法で長さ1500nmのマルチウ オールカーボンナノチューブを穴の上方まで 成長させた後、この試料に実施例1と同様の 法と同様の手法でカルボニル化、ヒドロキ ル化を行った。

 酸素が0.5体積%、H 2 Oが0.1体積%で残余が窒素であるガスを特定物 を含んだガスとして使用し、このガスの流 を毎分5Lとして処理した。

 装置としては実施例1と同様のものを使用 し、VUVも実施例1と同様にして照射した。反 時間は実施例1の15%とした。

 処理後の複数の試料に対して、エタノー 、MIBK(メチルイソブチルケトン)およびこれ の1対1(体積比)混合液を滴下し、10分後、ホ トプレートでよく乾燥し、走査式電子顕微 (SEM)で観察したところ、いずれの試料につ ても、ナノチューブ同士が穴内で大部分が 状になっているのが確認された。バンドル しているCNTの割合は、エタノール>1対1混 液>MIBK(メチルイソブチルケトン)の順で多 った。これは、上記のアンモニア水の場合 同様に、各々の液体混合物が浸透した跡で ると考えられる。すなわち、これらの媒体 対する濡れ性が良好であることが示された 一方、無処理の穴パタン内のナノチューブ 料に同じ処理を施したところ、ごく一部の ノチューブでバンドル化が認められたに過 なかった。

 この後、それぞれナノチューブを削り取 、XPS(X線光電子分光)およびIR(赤外吸収)スペ クトルにて分析したところ、処理前のナノチ ューブにごく少量しか存在しなかったC=O結合 および-OH結合が、それぞれ、処理後に約20倍 上の量(結合モル数相当)形成されているの 確認された。

 以上の結果から、本ナノチューブは極性 質に対する親和性が向上しており、C=O結合 -OH結合を有する溶媒、接着剤等の物質に対 良好な親和性を示すものと期待される。

 実施例4と同様のVUV処理法により、ナノチ ューブ表面に、C=O結合や-OH結合を導入した、 ビヤ構造を模擬的に形成した構造に対して、 銅メッキを施すにあたり、前処理として、メ ッキシード層形成用水溶液に浸漬処理を行い 、Cuシード層を予めつけた。

 具体的には、実施例4と同様の方法で作製し たマルチウオールカーボンナノチューブ(ナ チューブの面密度を測定したところ、約5×10 11 本/cm 2 であった)を、実施例4と全く同じ方法にて、V UV処理を、実施例1の30%の時間を掛けて行い、 その後にCuメッキシード水溶液に10分浸漬し 。これを光学顕微鏡、SEM(走査型電子顕微鏡) 、TEM(透過電子顕微鏡)およびEDXにて観察した ころ、ほとんどのCNTが束状にバンドル化し おり、その表面に多量のCu微粒子付着して た。

 これに、Cu層を厚膜として成膜したとこ 、CNT表面にCuが吸着したCNT-Cu複合体が形成さ れた。

 一方、比較例として、VUV処理を行わずにC uメッキシード水溶液に10分浸漬し、これを光 学顕微鏡にて観察したところ、CNTは部分的に しかバンドル化せずシード液の浸透が均一に 行われていないことが伺われた。さらにSEM( 査型電子顕微鏡)、TEM(透過電子顕微鏡)およ EDXにて観察したところ、Cuシード層はバンド ル化した部分にしか吸着しておらず、この試 料から均一なCuメタル層の形成はできなかっ 。

 CNTを樹脂面、一面に成長させたプリプレ を作製する際に、VUV処理を施した後に、CNT を内側にして接着し、平面状、その他形状 部材を形成する。

 具体的には、図6のS1に従って、予め成長し 清浄な空気中で400℃で15分ベークしてナノ ューブ表面の、ナノチューブ以外の可燃性 純物を取り除いた後に、メタノールに入れ 超音波処理を2時間行なって十分に分散した を用意する。これを、平面状のABS樹脂板(厚 さ0.5mm)上に、1mg/cm 2 の密度で分散散布し、静かに、60℃で乾燥し タノールを除く。これを、図6のS2に従って 実施例1で使用したVUV装置を用いてN 2 で希釈した酸素ガス(0.5体積%)下で処理する。 ガス流量は10L/分とする。

 これを、図6のS3に従って、平面状のABS樹 板(厚さ0.5mm)と静かに重ねてから、この樹脂 板の融点より10℃低い温度にて5分間程圧着し て一体化する。

 このようにして導電性シートまたは電磁 遮蔽シートのプリプレグを得ることができ 。

 なお、ここではABS樹脂へのCNT融着の例を したが、樹脂や接着法を変えたものにも応 できる。たとえば、形状保持性の小さい一 的なプリプレグ状態のものにCNTを散布しVUV 理を行ってもよい。樹脂は熱硬化性のもの 含めてあらゆるものに適用できる。また、 形法も、CNT固化過程で流れなければ、多様 ものに適用できる。

 本発明は、他の材料と接した場合に親和性 向上した新規なカーボンナノチューブ系材 を利用できる分野(たとえば電子機器分野) 好適に利用できる。