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Title:
CARBON WIRE, NANOSTRUCTURE COMPOSED OF CARBON FILM, METHOD FOR PRODUCING THE CARBON WIRE, AND METHOD FOR PRODUCING NANOSTRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/139331
Kind Code:
A9
Abstract:
Disclosed is a carbon wire using carbon filaments such as CNT having a sufficiently low electrical resistance. A wire assembly using the carbon wire is also disclosed. A carbon wire (1) comprises an assembly portion (3) and a graphite layer (4). The assembly portion (3) is configured of a plurality of carbon nanotubes (2) serving as carbon filaments which are in contact with one another. The graphite layer (4) is formed around the assembly portion (3).

Inventors:
HIKATA TAKESHI (JP)
FUJITA JUN-ICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058681
Publication Date:
February 18, 2010
Filing Date:
May 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO ELECTRIC INDUSTRIES (JP)
HIKATA TAKESHI (JP)
FUJITA JUN-ICHI (JP)
International Classes:
C01B31/02
Attorney, Agent or Firm:
FUKAMI, Hisao et al. (JP)
Hisao Fukami (JP)
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Claims:
 複数の炭素フィラメントが接触した集合体部3と、
 前記集合体部3の外周に形成されたグラファイト層4とを備える、炭素線1。
 前記炭素フィラメントがカーボンナノチューブ2である、請求の範囲1に記載の炭素線1。
 前記グラファイト層4がカーボンナノチューブ2である、請求の範囲1に記載の炭素線1。
 請求の範囲1に記載の炭素線1を複数備える、集合線材5。
 複数の炭素フィラメントが接触した集合体部3を準備する工程と、
 前記集合体部3の表面を液体ガリウム9に接触させることにより前記集合体部3の表面にグラファイト層4を形成する工程とを備える、炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程において、前記集合体部3に対して圧縮応力が加えられる、請求の範囲5に記載の炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程では、前記液体ガリウムを加圧することにより、前記集合体部5に対して圧縮応力が加えられる、請求の範囲6に記載の炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程では、前記液体ガリウムに接触する雰囲気ガスの圧力を調整することにより、前記液体ガリウムを加圧する、請求の範囲7に記載の炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程において、前記液体ガリウムの温度は450℃以上750℃以下である、請求の範囲5に記載の炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程より前に、前記集合体部3の表面層としてアモルファスカーボン層11を形成する工程を備える、請求の範囲5に記載の炭素線1の製造方法。
 前記グラファイト層4を形成する工程の後、前記炭素線1の表面に付着するガリウムを除去する工程をさらに備える、請求の範囲5に記載の炭素線1の製造方法。
 請求の範囲5~11のいずれか1項に記載の炭素線1の製造方法を用いて炭素線1を複数本形成する工程と、
 前記複数の炭素線1を撚り合わせて集合線材5を形成する工程とを備える、集合線材5の製造方法。
 複数のカーボンナノチューブ2同士がグラファイト膜で連結されたカーボンナノチューブネットワーク18を有する導電性膜。
 請求の範囲13記載の導電性膜の製造方法であって、
 カーボンナノチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程を含む導電性膜の製造方法。
 請求の範囲13記載の導電性膜の製造方法であって、
 カーボンナノチューブネットワーク18上にアモルファスカーボン膜21を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18および前記工程で得られたアモルファスカーボン膜21をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程を含む導電性膜の製造方法。
 請求の範囲14に記載の導電性膜の製造方法において、
 前記カーボンナンチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程の前に、前記カーボンナノチューブネットワーク18を形成する複数のカーボンナノチューブ2同士の接触部を機械的に圧接する工程を含む導電性膜の製造方法。
 基板上に、複数のカーボンナノチューブ2同士がグラファイト膜で連結されたカーボンナノチューブネットワーク18を有する導電性膜が形成された導電性基板。
 請求の範囲17記載の導電性基板の製造方法であって、
 基板上にカーボンナノチューブネットワーク18を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程を含む導電性基板の製造方法。
 請求の範囲17記載の導電性基板の製造方法であって、
 基板上にカーボンナノチューブネットワーク18を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18上にアモルファスカーボン膜21を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18および前記工程で得られたアモルファスカーボン膜21をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程を含む導電性基板の製造方法。
 請求の範囲18に記載の導電性基板の製造方法において、
 前記カーボンナンチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程の前に、前記カーボンナノチューブネットワークを形成する複数のカーボンナノチューブ2同士の接触部を機械的に圧接する工程を含む導電性基板の製造方法。
 樹脂製フィルム19上に、複数のカーボンナノチューブ2同士がグラファイト膜で連結されたカーボンナノチューブネットワーク18を有する導電性膜が形成された透明導電性フィルム。
 前記樹脂製フィルム19の前記導電性膜が形成された面が、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂から形成されていることを特徴とする請求の範囲21記載の透明導電性フィルム。
 請求の範囲21に記載の透明導電性フィルムの製造方法であって、
 基板17上にカーボンナノチューブネットワーク18を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程と、
 前記工程で得られた複数のカーボンナノチューブ2同士がグラファイト膜で連結されたカーボンナノチューブネットワーク18を有する導電性膜を樹脂製フィルム19に転写する工程を含む透明導電性フィルムの製造方法。
 請求の範囲21に記載の透明導電性フィルムの製造方法であって、
 基板17上にカーボンナノチューブネットワーク18を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18上にアモルファスカーボン膜21を形成する工程と、
 前記カーボンナノチューブネットワーク18および前記工程で得られたアモルファスカーボン膜21をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程と、
 前記工程で得られた複数のカーボンナノチューブ2同士がグラファイト膜で連結されたカーボンナノチューブネットワーク18を有する導電性膜を樹脂製フィルム19に転写する工程を含む透明導電性フィルムの製造方法。
 請求の範囲23に記載の透明導電性フィルムの製造方法において、
 前記カーボンナンチューブネットワーク18をGa蒸気に接触させて前記グラファイト膜を形成する工程の前に、前記カーボンナノチューブネットワーク18を形成する複数のカーボンナノチューブ2同士の接触部を機械的に圧接する工程を含む透明導電性フィルムの製造方法。
 請求の範囲22記載の透明導電性フィルムの製造方法であって、
 請求の範囲23または24のいずれか1つに記載の透明導電性フィルムの製造方法において、
 前記導電性膜を樹脂製フィルム19に転写する工程は、前記導電性膜が前記樹脂製フィルム19の熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂から形成されている面に転写されることを特徴とし、
 さらに前記熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂を硬化処理する工程を含む透明導電性フィルムの製造方法。
 炭素源の表面をGa蒸気に接触させることにより、前記炭素源の表面にグラファイト膜を形成する、グラファイト膜の製造方法。
 前記Ga蒸気の温度が600℃以上である、請求の範囲27記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記Ga蒸気の蒸気圧が前記炭素源の表面で均一である、請求の範囲27に記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記Ga蒸気はプラズマ化されている、請求の範囲27に記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記炭素源が基板17上に形成されており、前記プラズマ化されたGa蒸気の接する前記基板の温度は400℃以上である、請求の範囲30記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記炭素源がアモルファスカーボンである、請求の範囲27に記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記アモルファスカーボンが、SiC、Ni、Fe、Mo、Ptからなる群から選ばれた1種からなる単結晶基板上に形成されたアモルファスカーボン膜21である、請求の範囲32記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記炭素源が炭化水素材料である、請求の範囲27に記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記炭素源が3次元形状を有するアモルファスカーボン構造体であり、その表面をGa蒸気に接触させることにより、3次元表面構造を持つグラファイト膜を得る、請求の範囲27に記載のグラファイト膜の製造方法。
 Ga蒸気と炭素源の原料ガスを混合して供給し、基板17上にグラファイト膜を形成するグラファイト膜の製造方法。
 前記Ga蒸気の温度が400℃以上である、請求の範囲36記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記Ga蒸気はプラズマ化されている、請求の範囲36記載のグラファイト膜の製造方法。
 前記プラズマ化されたGa蒸気の接する前記基板の温度は400℃以上である、請求の範囲38記載のグラファイト膜の製造方法。
Description:
炭素線および炭素膜からなるナ 構造体およびそれらの製造方法

 この発明は、炭素線、集合線材およびそ らの製造方法に関し、より特定的には、複 の炭素フィラメントを用いた炭素線、集合 材およびそれらの製造方法に関する。

 本発明はさらに、カーボンナノチューブ ットワークとGa蒸気との接触により得られ 、グラファイト膜を備えた導電性膜、導電 基板、透明導電性フィルムおよびこれらの 造方法に関する。

 また本発明は、炭素原とGa蒸気との接触 より、グラファイト膜を得る方法に関する

 炭素フィラメントの一例としてのカーボ ナノチューブ(CNT)は、その優れた特性によ 様々な工業的応用が期待されている。たと ば、CNTの電気抵抗値はほぼ銅なみに低く、 材の材料として用いることが考えられる。 た、このようなCNTの製造方法としては、様 な方法が提案されている(たとえば、特開2007 -112662号公報(特許文献1))。

 上記特開2007-112662号公報では、触媒金属 してガリウム(Ga)を用い、当該触媒金属を導 したアモルファスカーボン線状構造体に直 電流を印加することで、所望のサイズや形 、配向のCNTを製造する方法が提案されてい 。

 また、炭素原子はsp2混成軌道によって化 結合すると、二次元に広がった炭素6員環を 平面に敷き詰めた網状構造膜を形成する。こ の炭素原子の2次元平面構造はグラフェンと ばれる。特殊な例として、このグラフェン 管状に閉じた構造をなしているものがカー ンナノチューブであり、グラフェン膜が放 方向に積層したものがグラファイトである

 カーボンナノチューブは直径1μm以下の太 さのチューブ状材料であり、理想的なものと しては炭素6角網目の面がチューブの軸に平 になって管を形成し、さらにこの管が多重 なることもある。このカーボンナノチュー は炭素でできた6角網目の繋り方や、チュー の太さにより金属的あるいは半導体的な性 を示すことが理論的に予想され、将来の機 材料として期待されている。

 例えば、特開2007-63051号公報(特許文献2)、 特開2002-255528号公報(特許文献3)、特開2003-23812 6号公報(特許文献4)、特開2000-86219号公報(特許 文献5)には、カーボンナノチューブの組織構 体を形成する手法として、カーボンナノチ ーブを分散媒中に超音波などを用いてよく 散させてカーボンナノチューブの分散液を 製し、該分散液を平面基板に滴下して乾燥 せると、カーボンナノチューブの薄膜を作 できることが開示されている。しかし、該 ーボンナノチューブの薄膜は、カーボンナ チューブ同士は接触のみで接続されている め、接触抵抗が高いという問題がある。

 また、グライファイトについては、近年 グラファイト膜上で観測される様々な電気 性、特に、切り取るサイズに依存して変化 るバンドギャップや分数量子ホール効果な 、物理現象のみならず、将来デバイス応用 観点からも非常に注目されている。

 K.S.Novoselov et.al.,Science306(2004)666-669.(非特 文献1)、K.S.Novoselov et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1 02(2005)10451-10453.(非特許文献2)、C.Berger et.al.,J. Phys.Chem.B108(2004)19912-19916.(非特許文献3)、Yuanbo Zhang et.al.,Nature438,201-204(10 November 2005)(非特 文献4)には単層グラファイト膜である「グ フェン」の製造技術が開示されている。

 典型的な従来技術であるK.S.Novoselov et.al., Science306(2004)666-669.(非特許文献1)、K.S.Novoselov  et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.102(2005)10451-10453.(非特 許文献2)の技術は、グラファイト結晶にスコ チテープを貼り付け、グラファイトを剥が 、表面を酸化したシリコン基板に1枚のグラ フェンを残し,単層グラフェンを見つけ出し 利用するという、かなり原始的なやり方で る。

 C.Berger et.al.,J.Phys.Chem.B108(2004)19912-19916.(非 特許文献3)の技術は、超高真空の環境下で1400 ~1600℃の高温処理を行いSiC単結晶表面を分解 、選択的にSiを昇華させた後に単層グラフ ンが合成されるというものである。また、 旦ダイアモンド微結晶を形成し、1600℃で処 することによってダイヤモンドからグラフ ンを形成する技術も開示されている。

 Yuanbo Zhang et.al.,Nature438,201-204(10 November 2 005)(非特許文献4)には、CVD法を利用したグラ ェンの製造方法が開示されており、これに ると樟脳蒸気を700~850℃でNi結晶面で熱分解 てグラフェンが得られる。

 しかしこれらの方法では、一般的な工業 産に対応することは困難であり、さらにデ イス応用に必須の大面積グラファイト膜を ることは不可能である。

特開2007-112662号公報

特開2007-63051号公報

特開2002-255528号公報

特開2003-238126号公報

特開2000-86219号公報

K.S.Novoselov et.al.,Science306(2004)666-669. K.S.Novoselov et.al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.102(200 5)10451-10453. C.Berger et.al.,J.Phys.Chem.B108(2004)19912-19916. Yuanbo Zhang et.al.,Nature438,201-204(10 November  2005)

 上述したような従来のCNTの製造方法は、C NT単体としてのサイズなどを制御することに 目しているが、CNTの工業的な応用を考える 、このようなCNTを複数集めた長尺の線材(炭 素線)を製造する必要性が考えられる。しか 、発明者が検討したところ、このような複 のCNT(たとえば、長さが数十~数百μmのCNT)を 合させて(たとえば撚り合わせて)形成した線 材(炭素線)については、CNT単体が極めて低抵 であるにも関わらず、炭素線としての電気 抗値は銅からなる線材に比べて3桁程度高い 値を示す。

 この発明は、上記のような課題を解決す ために成されたものであり、この発明の目 は、電気抵抗値の十分低い、CNTなどの炭素 ィラメントを用いた炭素線やその炭素線を いた集合線材を実現することである。

 また、本発明の目的は非常に再現性良く 低抵抗の複数のカーボンナノチューブ同士 グラファイト膜で連結されたカーボンナノ ューブネットワークを有する導電性膜、お びこれを使用した導電性基板、透明導電性 ィルム、これらの製造方法を提供すること ある。

 さらに、本発明の目的は非常に再現性良 、大面積のグラファイト膜を容易に合成す ことができるグラファイト膜の製造方法を 供することである。

 この発明に従った炭素線は、集合体部と ラファイト層とを備える。集合体部は、複 の炭素フィラメントが接触して構成される グラファイト層は、集合体部の外周に形成 れる。

 このようにすれば、炭素線において外周 に形成されたグラファイト層によって、集 体部の炭素フィラメント同士が確実に接触 るように集合体部を保持することができる そのため、集合体部における炭素フィラメ ト同士の接触面積や接触部での圧力を大き することができるので、集合体部の炭素フ ラメント同士の接触が不十分となることに 因する、炭素線の電気抵抗値の増大を抑制 きる。またグラファイト層も導電層として 用することにより、炭素線の電気抵抗値を り低減することが可能になる。

 上記炭素線において、炭素フィラメント カーボンナノチューブであってもよい。こ 場合、カーボンナノチューブは良好な導電 (低い電気抵抗値)を示すことから、炭素線 電気抵抗値をより低下させることができる

 上記炭素線において、グラファイト層は ーボンナノチューブであってもよい。この 合、グラファイト層も導電層として作用す ことで、より効果的に炭素線の電気抵抗を 減することができる。

 この発明に従った集合線材は、上記炭素 を複数備える。このようにすれば、十分に 抵抗な集合線材を実現できる。また、炭素 を複数本用いることにより、大きな断面積 集合線材を実現できるので、集合線材に流 ことが可能な電流値を大きくすることもで る。

 この発明に従った炭素線の製造方法では 複数の炭素フィラメントが接触した集合体 を準備する工程を実施する。そして、集合 部の表面を液体ガリウムに接触させること より集合体部の表面にグラファイト層を形 する工程を実施する。

 このようにすれば、集合体部において表 に露出する炭素フィラメントの部分を、液 ガリウムに接触させることによって、当該 体ガリウムの触媒作用によりグラファイト を形成することができる。このため、集合 部の表面に直接グラファイト層を気相成長 せるといった場合より、処理温度を低くし 状態でグラファイト層を形成し、本発明に る炭素線を得ることができる。

 上記炭素線の製造方法では、グラファイ 層を形成する工程において、集合体部に対 て圧縮応力が加えられてもよい。この場合 集合体部に対して圧縮応力が加えられた状 でグラファイト層が形成されるので、形成 れる炭素線において集合体部を構成する炭 フィラメント同士の接触部の面積や接触圧 を大きくすることができる。この結果、炭 線の電気抵抗値をより確実に低減できる。

 上記炭素線の製造方法において、グラフ イト層を形成する工程では、液体ガリウム 加圧することにより、集合体部に対して圧 応力が加えられてもよい。この場合、集合 部に対する圧縮応力の印加を、液体ガリウ に対する加圧(たとえば液体ガリウムに接触 する雰囲気ガスの圧力を高める方法や、カプ セルなどの容器にGaとCNTを封入した後、カプ ル(容器)ごと加圧する方法など)により、容 に行なうことができる。

 上記炭素線の製造方法において、グラフ イト層を形成する工程では、液体ガリウム 接触する雰囲気ガスの圧力を調整すること より、液体ガリウムを加圧してもよい。こ 場合、液体ガリウムに対する加圧を容易に なうことができる。また、雰囲気ガスの圧 を調整することで、液体ガリウムへ加えら る圧力の値を容易に調整することができる

 上記炭素線の製造方法では、グラファイ 層を形成する工程において、液体ガリウム 温度は450℃以上750℃以下であることが好ま い。この場合、集合体部の外周部からグラ ァイト層を形成する液体ガリウムの触媒反 をより効率的に起こすことができる。ここ 、液体ガリウムの温度の下限を450℃とした は、当該温度より液体ガリウムの温度が低 と、液体ガリウムの触媒反応が不十分にな ためである。また、液体ガリウムの温度の 限を750℃としたのは、集合体部を構成する 素フィラメントの分解を避けるためである

 上記炭素線の製造方法は、グラファイト を形成する工程より前に、集合体部の表面 としてアモルファスカーボン層を形成する 程を備えていてもよい。この場合、グラフ イト層となるべき層であるアモルファスカ ボン層を予め形成することにより、集合体 における炭素フィラメントの構造を維持し まま、グラファイト層を形成することがで る。このため、炭素線の構成の設計の自由 を大きくすることができる。

 上記炭素線の製造方法は、グラファイト を形成する工程の後、炭素線の表面に付着 るガリウムを除去する工程をさらに備えて てもよい。この場合、グラファイト層を形 する工程において、炭素線の表面に液体ガ ウムが固化したガリウムが付着しても、当 固化したガリウムを炭素線表面から除去す ことができる。

 この発明に従った集合線材の製造方法で 、上記炭素線の製造方法を用いて炭素線を 数本形成する工程を実施する。そして、複 の炭素線を撚り合わせて集合線材を形成す 工程を実施する。この場合、本発明にした った低抵抗な炭素線を用いて集合線材を形 することができる。

 また、本発明は、複数のカーボンナノチ ーブ同士がグラファイト膜で連結されたカ ボンナノチューブネットワークを有する導 性膜である。

 本発明は、カーボンナノチューブネット ークをGa蒸気に接触させて前記グラファイ 膜を形成する工程を含む前記導電性膜の製 方法である。バルクのGaと炭素は相図として は非固溶系である。しかし、ミクロのスケー ルではGaと炭素の表面では結合が生じ、Ga蒸 自体にグラファイト化反応に対する触媒作 があることを本発明者らは発見した。

 本発明は、カーボンナノチューブネット ーク上にアモルファスカーボン膜を形成す 工程と、前記カーボンナノチューブネット ークおよび前記工程で得られたアモルファ カーボン膜をGa蒸気に接触させて前記グラ ァイト膜を形成する工程を含む前記導電性 の製造方法である。Gaは液体としての原子集 合状態ばかりではなく、個別原子がバラバラ になった蒸気の状態であっても、アモルファ スカーボン表面においてグラファイト構造へ の変換が起こること、すなわち、アモルファ スカーボン表面のグラファイト化反応を起こ すことを見いだした。すなわち、本発明は、 アモルファスカーボン等の炭素源に対してGa 気を作用させることで、その表面をグラフ イト化させる工程を含む。なお、本発明に いてグラファイト膜とは、1層のグラフェン 膜およびグラフェン膜が複数積層されてなる グラファイト膜のいずれも含むものとする。

 本発明に係る導電性膜の製造方法は、前 カーボンナンチューブネットワークをGa蒸 に接触させて前記グラファイト膜を形成す 工程の前に、前記カーボンナノチューブネ トワークを形成する複数のカーボンナノチ ーブ同士の接触部を機械的に圧接する工程 含むことが好ましい。

 本発明は、基板上に、複数のカーボンナ チューブ同士がグラファイト膜で連結され カーボンナノチューブネットワークを有す 導電性膜が形成された導電性基板である。

 本発明は、基板上にカーボンナノチュー ネットワークを形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワークをGa蒸気に接 させて前記グラファイト膜を形成する工程 含む導電性基板の製造方法である。

 本発明は、基板上にカーボンナノチュー ネットワークを形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワーク上にアモルフ スカーボン膜を形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワークおよび前記工 で得られたアモルファスカーボン膜をGa蒸 に接触させて前記グラファイト膜を形成す 工程を含む導電性基板の製造方法である。

 本発明に係る導電性基板の製造方法は、 記カーボンナンチューブネットワークをGa 気に接触させて前記グラファイト膜を形成 る工程の前に、前記カーボンナノチューブ ットワークを形成する複数のカーボンナノ ューブ同士の接触部を機械的に圧接する工 を含むことが好ましい。

 本発明は、樹脂製フィルム上に、複数の ーボンナノチューブ同士がグラファイト膜 連結されたカーボンナノチューブネットワ クを有する導電性膜が形成された透明導電 フィルムである。

 本発明に係る透明導電性フィルムは、前 樹脂製フィルムの前記導電性膜が形成され 面が、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂か 形成されていることが好ましい。

 本発明は、基板上にカーボンナノチュー ネットワークを形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワークをGa蒸気に接 させて前記グラファイト膜を形成する工程 、前記工程で得られた複数のカーボンナノ ューブ同士がグラファイト膜で連結された ーボンナノチューブネットワークを有する 電性膜を樹脂製フィルムに転写する工程を む透明導電性フィルムの製造方法である。

 本発明は、基板上にカーボンナノチュー ネットワークを形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワーク上にアモルフ スカーボン膜を形成する工程と、前記カー ンナノチューブネットワークおよび前記工 で得られたアモルファスカーボン膜をGa蒸 に接触させて前記グラファイト膜を形成す 工程と、前記工程で得られた複数のカーボ ナノチューブ同士がグラファイト膜で連結 れたカーボンナノチューブネットワークを する導電性膜を樹脂製フィルムに転写する 程を含む透明導電性フィルムの製造方法で る。

 本発明に係る透明導電性フィルムの製造 法は、前記カーボンナンチューブネットワ クをGa蒸気に接触させて前記グラファイト を形成する工程の前に、前記カーボンナノ ューブネットワークを形成する複数のカー ンナノチューブ同士の接触部を機械的に圧 する工程を含むことが好ましい。

 本発明に係る透明導電性フィルムの製造 法は、前記導電性膜を樹脂製フィルムに転 する工程は、前記導電性膜が前記樹脂製フ ルムの熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂か 形成されている面に転写されることを特徴 し、さらに前記熱硬化性樹脂またはUV硬化性 樹脂を硬化処理する工程を含むことが好まし い。

 さらに、本発明は炭素源の表面をGa蒸気 接触させることにより、前記炭素源の表面 グラファイト膜を形成する、グラファイト の製造方法である。

 前記Ga蒸気の温度は600℃以上であること 好ましい。Ga蒸気の温度が600℃以上であると グラファイト化反応が良好に進行する。

 前記Ga蒸気の蒸気圧が、前記炭素源の表 で均一であることが好ましい。このように ると、形成されるグラファイト膜性状の均 化を図ることができる。

 前記Ga蒸気はプラズマ化されていることが ましい。
 さらに、前記炭素源が基板上に形成されて り、前記プラズマ化されたGa蒸気の接する 記基板の温度は400℃以上であることが好ま い。

 Ga蒸気をプラズマ化することで、原料の モルファスカーボンを塗布した基板の温度 400℃程度の低温に保ちつつ、グラファイト を形成することができる。半導体デバイス ロセスでは、チャネルやソース/ドレイン層 不純物プロファイルを保持するために非常 厳しい温度制限がある。たとえば、約500℃ 上の処理温度を設定することができない。 かし、ガリウムをプラズマ化することによ て400℃以下の低温で触媒効果を発揮するこ が可能となる。

 前記炭素源がアモルファスカーボンである とが好ましい。
 前記アモルファスカーボンが、SiC、Ni、Fe、 Mo、Ptからなる群から選ばれた1種からなる単 晶基板上に形成されたアモルファスカーボ 膜であることが好ましい。

 たとえばシリコン酸化膜上にグラファイ 膜を形成する場合、形成されるグラファイ 膜は必ずしも単結晶膜とはならず、広義の メイン構造を有する多結晶膜となる。一方 、下地基板にSiC、Ni、Fe、Mo、Ptといった結 基板を用いることで形成するグラファイト を単結晶膜とすることが可能である。

 前記炭素源は炭化水素材料であることが ましい。本発明では炭素源としてアモルフ スカーボン以外に、フェナントレン、ピレ 、樟脳などの炭化水素材料を用いる事も可 である。

 本発明に係るグラファイト膜製造方法に いては、前記炭素源が3次元形状を有するア モルファスカーボン構造体であり、その表面 をGa蒸気に接触させることにより、3次元表面 構造を持つグラファイト膜を得ることができ る。

 たとえば、Ga蒸気を触媒として用いると アモルファスカーボンの形状を、平面状だ でなく、ピラー状等の3次元の任意の立体形 にして、その表面をグラファイト化するこ ができる。

 さらに本発明は、Ga蒸気と炭素源の原料 スを混合して供給し、基板上にグラファイ 膜を形成するグラファイト膜製造方法に関 る。このようにすると、基板上に比較的厚 グラファイト膜を形成することができる。

 前記Ga蒸気の温度が600℃以上であることが ましい。
 前記Ga蒸気はプラズマ化されていることが ましい。

 前記プラズマ化されたGa蒸気の接する前 基板の温度は400℃以上であることが好まし 。

 この発明によれば、低抵抗な炭素線および 合線材を実現することができる。
 また、本発明によれば、カーボンナノチュ ブネットワークを有する低抵抗の導電性膜 よびそれを使用した導電性基板、透明導電 フィルムを得ることができる。

 本発明による付帯効果として、高い光透 性を挙げることができる。微小粒子等で基 表面に電気伝導性を付与しようとする場合 は、細密充填させて基板表面全体を被覆し ければならないが、カーボンナノチューブ 用いれば、基板表面全体を被覆する必要が いために、カーボンナノチューブの存在し いない基板表面の隙間が多く、光を容易に 過させることができる。

 さらに、本発明に係るグラファイト膜の 造方法は、様々な電子素子や大型ディスプ ー用の透明導電膜の製造に適用可能である 本発明によれば、デバイス応用としては、 易に単結晶グラファイト膜を効率よく大量 産することが可能である。また透明導電膜 としては、大面積多層のグラファイト膜を る手段が提供される。

本発明に従った炭素線の実施の形態を す断面模式図である。 図1の線分II-IIにおける断面模式図であ 。 本発明に従った集合線材の実施の形態 示す断面模式図である。 図3に示した集合線材の製造方法を説明 するためのフローチャートである。 本発明に従った集合線材の他の製造方 を説明するためのフローチャートである。 図5に示した被覆工程を説明するための 模式図である。 図5に示したGa触媒反応工程を説明する めの模式図である。 本発明に係る導電性膜、導電性基板お び透明導電性フィルムの製造工程を示す模 図である。 本発明で使用するグラファイト膜生成 置の一例を示す模式的断面図である。 本発明で使用するグラファイト膜生成 装置の一例を示す模式的断面図である。 Ga反応副室の構成を示すグラファイト 生成装置の一例を示す模式的断面図である Gaプラズマを用いたグラファイト膜生 装置の一例を示す模式的断面図である。 炭素原料供給系とGa供給系を分離して 面積透明導電膜を形成するためのグラファ ト膜生成装置の一例を示す模式的断面図で る。

 以下、図面に基づいて本発明の実施の形 を説明する。なお、以下の図面において同 または相当する部分には同一の参照符号を しその説明は繰返さない。

 <炭素線、集合線材およびそれらの製造方 法>
 図1は、本発明に従った炭素線の実施の形態 を示す断面模式図である。図2は、図1の線分I I-IIにおける断面模式図である。図1および図2 を参照して、本発明による炭素線1を説明す 。なお、図1は炭素線1の長手方向に対して垂 直な方向における断面を示しており、図2は 素線1の長手方向に沿った方向での断面を示 ている。

 図1および図2に示すように、炭素線1は、 合体部3とグラファイト層4とを備える。集 体部3は、複数の炭素フィラメントとしての ーボンナノチューブ2が接触して構成される 。グラファイト層4は、集合体部3の外周を囲 ように形成される。なお、図1および図2で 、炭素線1の断面には2つのカーボンナノチュ ーブ2が現れるような構成となっているが、 素線1における集合体部3の断面を構成するカ ーボンナノチューブ(CNT)2は2つ以上、たとえ 3つ、もしくは4つ以上であってもよい。また 、図1および図2に示すように、集合体部3を構 成するカーボンナノチューブ2は、互いに接 している。そして、図2に示すように、炭素 1の長手方向においても、カーボンナノチュ ーブ2が順次接触した状態となることで、集 体部3においては炭素線1の長手方向に沿って 延びるように、電流を流通させることが可能 な導電経路がカーボンナノチューブ2により 成される。

 このようにすれば、炭素線1において外周 部に形成されたグラファイト層4によって、 合体部3のカーボンナノチューブ2同士が確実 に接触するように集合体部3を保持すること できる。そのため、集合体部3におけるカー ンナノチューブ2同士の接触面積や接触部で の圧力を大きくすることができるので、集合 体部3のカーボンナノチューブ2同士の接触が 十分となることに起因する、炭素線1の電気 抵抗値の増大を抑制できる。またグラファイ ト層4も導電層として作用することにより、 素線1の電気抵抗値をより低減することが可 になる。

 また、上記炭素線1において、集合体部3 構成する炭素フィラメントが、良好な導電 性を示すカーボンナノチューブ2であるため 炭素線1の電気抵抗値を確実に低下させるこ とができる。

 上記炭素線1において、グラファイト層4 カーボンナノチューブであることが好まし 。この場合、グラファイト層4も導電層とし 作用することにより、炭素線1の電気抵抗を より低減することができる。

 また、グラファイト層4により、集合体部 3を構成するカーボンナノチューブ2が互いに 圧された状態となっていることが好ましい このようにすれば、集合体部3におけるカー ボンナノチューブ2同士、またグラファイト 4と集合体部3のカーボンナノチューブ2との の接触部における接触面積や接触圧力を大 くすることができる。この結果、低抵抗な 素線1を実現できる。

 図3は、本発明に従った集合線材の実施の 形態を示す断面模式図である。図3を参照し 、本発明に従った集合線材5を説明する。な 、図3は、集合線材5の長手方向に対して垂 な方向における断面を示している。

 図3を参照して、集合線材5は、上記炭素 1を複数(図3では7本)備える。このようにすれ ば、本発明による低抵抗な炭素線1を用いて 分に低抵抗な集合線材5を実現できる。また 炭素線1を複数本用いることにより、大きな 断面積の集合線材5を実現できるので、集合 材5に流すことが可能な電流値を大きくする とが可能になる。また、集合線材5では、複 数の炭素線1を拠り合わせるようにしてもよ し、単純に複数の炭素線1を束ねて、当該束 た複数の炭素線1を結束するような固定部材 を複数の炭素線1の外周部に配置してもよい 当該固定部材としては、たとえば絶縁体(た えば樹脂)からなる環状の固定具などを用い てもよい。

 なお、集合線材5を構成する炭素線1の数 、図3に示した構成における数とは異なる数( たとえば2以上の任意の数)とすることができ 。また、集合線材5を構成する炭素線1は、 3に示した構成ではすべて同様の構造を備え いるが、集合線材5の断面における位置によ って炭素線1の構成を変えてもよい。たとえ 、集合線材5の断面における中央部において 、炭素線1を構成するカーボンナノチューブ 2(図1参照)の集積数(炭素線1の延在方向に垂直 な方向における断面に現れるカーボンナノチ ューブ2の数)を多くし(たとえば10以上とし)、 一方、集合線材5の断面における外周部にお ては、炭素線1を構成するカーボンナノチュ ブ2の集積数を、上記中央部に位置する炭素 線1での集積数より少なくする(たとえば集積 を10未満、より具体的には5以下)、という構 成を採用してもよい。

 また、集合線材5に対して、後述する炭素 線1のグラファイト層4を形成する工程と同様 、当該集合線材5に液体ガリウム(Ga触媒)を 触させる処理を実施することで、集合線材5 外周を囲むグラファイト層を形成してもよ 。また、外周にグラファイト層が形成され 集合線材5を複数本準備し、当該複数の集合 線材5を束ねてより断面積の大きな線材を準 する。そして、その線材に対しても、外周 囲むグラファイト層を形成するために液体 リウムを接触させる処理を行なう。さらに 外周にグラファイト層が形成された線材を らに複数本束ねて、より断面積の大きな線 を構成する。このように、線材を束ねて集 線材とし、その集合線材を液体ガリウムに 触させて集合線材の表面にグラファイト層 形成した後、そのグラファイト層が形成さ た集合線材をさらに複数本束ねる、という 程を繰返すことで、より抵抗が低くかつ太 の集合線材を製造することができる。

 図4は、図3に示した集合線材の製造方法 説明するためのフローチャートである。図4 参照して、図3に示した集合線材の製造方法 を説明する。

 図4に示すように、集合線材5の製造方法 は、まずCNT生成工程(S10)を実施する。このCNT (カーボンナノチューブ)生成工程(S10)では、 尺(たとえば数μmの長さ)のカーボンナノチュ ーブを、従来周知の方法により製造する。

 たとえば、CNT生成用の基板の表面に下地 を形成し、当該下地膜上にカーボンナノチ ーブを形成するための触媒として作用する 数のナノ粒子を分散した状態で形成する。 こで、下地膜を構成する材料としては、た えばアルミナ、シリカ、アルミン酸ナトリ ム、ミョウバン、リン酸アルミニウムなど アルミニウム化合物、酸化カルシウム、炭 カルシウム、硫酸カルシウムなどのカルシ ム化合物、酸化マグネシウム、水酸化マグ シウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシ ム化合物、リン酸カルシウム、リン酸マグ シウムなどのアパタイト系の材料を用いる とが好ましい。また、ナノ粒子を構成する 料としては、活性な金属を用いることがで る。そのようなナノ粒子を構成する金属と ては、たとえばバナジウム(V)、クロム(Cr)、 マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル (Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)などを用いることができ る。

 また、ナノ粒子の粒径をたとえば100nm以 、好ましくは0.5nm以上10nm以下、より好まし は1.0nm以上5nm以下とする。また、下地膜の厚 みとしては、たとえば2.0nm以上100nm以下とい た値を用いることができる。

 そして、ナノ粒子が形成された基板の表 に、カーボンナノチューブを形成するため 原料ガスを供給しながら、当該基板を加熱 る。この結果、基板の表面に配置されたナ 粒子の表面にカーボンナノチューブが成長 る。このようにして成長したカーボンナノ ューブは、以下説明するように複数のカー ンナノチューブが集まって構成される集合 部を形成するために用いられる。

 次に、図4に示すようにCNT集合体形成工程 (S20)を実施する。この工程(S20)では、従来周 の方法により、上記工程(S10)で生成されたカ ーボンナノチューブを複数本撚り合せること により、カーボンナノチューブからなる集合 体部を形成する。この工程(S20)においては、 来周知の方法によりカーボンナノチューブ 集合体部を形成することができる。たとえ 、必要とする個数のナノサイズ触媒をそれ れ近くに隣接させてカーボンナノチューブ( CNT)を成長させる事により、必要とする本数 CNTを接合させるといった方法や、さらには 数のCNTの端部をチャッキングして回転させ 事により撚り線化するといった方法を用い ことができる。

 次に、Ga触媒反応工程(S30)を実施する。こ の工程(S30)では、上記工程(S20)において形成 れたカーボンナノチューブからなる集合体 の表面を、液体ガリウム(Ga)に接触させる。 の結果、カーボンナノチューブからなる集 体部の表面層が、液体ガリウムの触媒反応 より当該集合体部を取囲むグラファイト層 と変化する。この結果、図1および図2に示 ように、集合体部3がグラファイト層4により 取囲まれた構造の炭素線1を得ることができ 。つまり、上記工程(S10)~工程(S30)は、炭素線 1の製造方法に対応する。

 このとき、液体ガリウムの温度は450℃以 750℃以下、より好ましくは550℃以上700℃以 とすることが好ましい。この場合、集合体 3の外周部からグラファイト層を形成する液 体ガリウムの触媒反応をより効率的に起こす ことができる。

 また、グラファイト層を形成する工程と ての上記工程(S30)において、集合体部3に対 て圧縮応力が加えられることが好ましい。 の場合、集合体部3に対して圧縮応力が加え られた状態でグラファイト層4が形成される で、形成される炭素線1において集合体部3を 構成するカーボンナノチューブ2同士の接触 の面積や接触圧力を大きくすることができ 。この結果、得られる炭素線1や集合線材5の 電気抵抗値をより確実に低減できる。

 また、上記工程(S30)では、液体ガリウムを 圧することにより、集合体部3に対して圧縮 力が加えられることが好ましい。より具体 には、液体ガリウムに接触する雰囲気ガス 圧力を調整することにより、液体ガリウム 加圧してもよい。たとえば、液体ガリウム 保持される浴槽を保持容器(チャンバ)の内 に保持し、当該チャンバの内部における雰 気ガス(液体ガリウムに接触する雰囲気ガス) の圧力を調整する、といった方法を用いても よい。この場合、集合体部3に対する圧縮応 の印加を、液体ガリウムに対する加圧によ 、容易に行なうことができる。また、雰囲 ガスの圧力を調整することで、液体ガリウ へ加えられる圧力の値を容易に調整するこ ができる。なお、ここで雰囲気ガスとして たとえばアルゴンガスや窒素ガスなど、カ ボンナノチューブや液体ガリウムと反応し い不活性ガスを用いることができる。また 雰囲気ガスの圧力は、たとえばガリウム(Ga) 蒸気圧以上10MPa以下、より好ましくは1×10 -5 torr以上1MPa以下とすることができる。

 次に、付着Ga除去工程(S40)を実施する。グ ラファイト層を形成する工程(S30)の後、炭素 1の表面に付着するガリウムを除去する工程 である付着Ga除去工程(S40)では、形成された 素線1の表面(グラファイト層4の表面)に付着 ているガリウムを除去する。当該ガリウム 除去方法としては、任意の方法を用いるこ ができる。たとえば、ガリウムを溶解する とが可能な薬液(たとえば希塩酸や希硝酸) どを炭素線1に噴霧する、あるいは当該薬液 入れた浴槽に炭素線1を浸漬する、といった 方法を用いることができる。この場合、工程 (S30)において、炭素線1の表面に液体ガリウム が固化したガリウムが付着しても、当該固化 したガリウムを炭素線1表面から除去するこ ができる。このため、後工程である加工工 (S50)において、集合線材5を形成する際に、 該固化したガリウムが不具合の原因になる 能性を低減できる。

 そして、上記工程(S10)~工程(S40)を複数回 施することにより、あるいは工程(S20)におい てカーボンナノチューブからなる集合体部を 複数本形成し、当該複数の集合体部に対して 工程(S30)および工程(S40)を同時並行して実施 ることにより、複数の炭素線を得る。この うにして、上記工程(S10)~(S40)までに示された 炭素線の製造方法を用いて炭素線を複数本形 成する工程が実施される。

 次に、加工工程(S50)を実施する。この工 (S50)では、上記工程(S10)~工程(S40)までを実施 ることにより得られた複数の炭素線1を撚り 合わせることにより、集合線材5(図3参照)を 成する。この工程(S50)においては、従来周知 の任意の方法を用いて複数の炭素線1を撚り せる事ができる。たとえば、必要とする個 のナノサイズ触媒をそれぞれ近くに隣接さ てCNTを成長させる事により、必要とする本 のCNTを接合させるといった方法や、さらに 複数のCNTの端部をチャッキングして回転さ る事により撚り線化するといった方法を用 ることができる。このようにして、図3に示 た炭素線1からなる、低抵抗な集合線材5を ることができる。

 上述した炭素線1または集合線材5の製造 法においては、工程(S30)で説明したように、 集合体部3において表面に露出するカーボン ノチューブの部分を、液体ガリウムに接触 せることによって、当該液体ガリウムの触 作用によりグラファイト層4(図1および図2参 )を形成することができる。このため、集合 体部3の表面に直接グラファイト層4を気相成 させるといった場合より、処理温度を低く た状態でグラファイト層4を形成し、本発明 による炭素線を得ることができる。

 図5は、本発明に従った集合線材の他の製 造方法を説明するためのフローチャートであ る。図6は、図5に示した被覆工程を説明する めの模式図である。図7は、図5に示したGa触 媒反応工程を説明するための模式図である。 図5~図7を参照して、本発明に従った集合線材 の他の製造方法を説明する。

 図5に示した集合線材の製造方法は、基本 的には図4に示した集合線材の製造方法と同 の工程を備えるが、Ga触媒反応工程(S30)より に、集合体部の表面層としてアモルファス ーボン層を形成する工程である被覆工程(S60 )を実施する点が異なっている。

 すなわち、図5に示した集合線材の製造方法 では、図4に示した製造方法と同様に、まず 程(S10)および工程(S20)を実施した後、図6に示 すように、得られた集合体部3の表面にグラ ァイト層4(図7参照)となるべき層であるアモ ファスカーボン層11を形成する。このアモ ファスカーボン層11の形成方法としては、従 来周知の任意の方法を用いることができる。 たとえば、フェナントレン(C 14 H 10 )やピレン、メタンアセチレン等を熱分解す ことによりアモルファスカーボン層11を形成 してもよいし、電子ビームやイオンビームを 用いて炭化水素系ガスを分解する方法を用い てもよい。この結果、図6に示す構造を得る

 次に、図5に示すように、Ga触媒反応工程( S30)を実施する。この工程(S30)は、基本的に図 4に示した製造方法における工程(S30)と同様の 方法を用いることができる。ただし、図5に した工程(S30)では、上記アモルファスカーボ ン層11の表面層が液体ガリウムの触媒反応に ってグラファイト層4となる。この結果、図 7に示した構造の炭素線1を得ることができる

 このように、図5に示した製造方法によれ ば、集合体部3におけるカーボンナノチュー 2の構造を維持したまま、アモルファスカー ン層11からグラファイト層4を形成すること できる。このため、炭素線1の構成の設計の 自由度を大きくすることができる。

 その後、図4に示した製造方法と同様に工 程(S40)および工程(S50)を実施することにより 図3に示した集合線材5と類似する構造の集合 線材を得ることができる。なお、図5に示し 製造方法により製造された集合線材では、 7からも分かるように、集合線材を構成する 素線1において、集合体部3を構成するカー ンナノチューブ2とグラファイト層4との間に アモルファスカーボン層11が配置された状態 なっている。

 <導電性膜、導電性基板、透明導電性フィ ルム>
 図8は本発明に係る導電性膜、導電性基板お よび透明導電性フィルムの製造工程を示す模 式図である。初めに図8(a)の通り、基板17上を カーボンナノチューブ2(以下、「CNT」と略称 る)を分散したスラリーと接触させることに より、複数本のCNTからなるカーボンナノチュ ーブネットワーク(以下、「CNTネットワーク と略称する)を形成する。該カーボンナノチ ーブネットワーク表面にGa蒸気を接触させ ことにより、CNTネットワークを形成するCNT 士がグラファイト膜で連結された導電性膜18 および導電性基板を得る(図8(b))。さらに、該 導電性膜18のCNTネットワークが形成された面 に、樹脂性フィルムの熱硬化性樹脂またはU V硬化性樹脂が形成されている面を接触させ 後、熱硬化またはUV硬化させることにより、 CNTネットワークを樹脂性フィルムに転写し、 本発明に係る透明導電性フィルムを得る(図8( c))。

 (カーボンナノチューブ)
 カーボンナノチューブ2としては、6角網目 チューブが1枚の構造のシングルウォールナ チューブ(以下、「SWNT」と略称する)でも、 層の6角網目のチューブから構成されている マルチウォールナノチューブ(以下、「MWNT」 略称する)でもよい。一般に、SWNTのほうが レキシブルであり、MWNTになるとSWNTよりはフ レキシブルさが失われ、多層になればなるほ ど剛直になる傾向にある。SWNTとMWNTとは、そ 性質を考慮して、目的に応じて使い分ける とが望ましい。

 適用可能なカーボンナノチューブの長さ しては、特に限定されるものではないが、 般的に10nm~1000μmの範囲のものが用いられ、1 00nm~100μmの範囲のものが好ましく用いられる カーボンナノチューブの直径(太さ)として 、特に限定されるものではないが、一般的 1nm~50nmの範囲のものが用いられ、より透光性 が望まれる用途に対しては、3nm~10nmの範囲の のが好ましく用いられる。

 なお、カーボンナノチューブを基板17に 布する際には、あらかじめCNTを分散したス リーを形成しておくことが好ましい。該ス リーは、アセトン中にアーク法で作製したCN Tを入れて、超音波を用いてバンドルしたCNT 乖離させ、アセトン中に均一に分散させて 製する。その後、時間をおかずに基板17上に 噴霧し乾燥させることにより、基板上にCNTネ ットワークを形成することができる。前記の アセトンに代えて、アルキンベンゼンスルホ ン酸塩などの界面活性剤、スルホコハク酸ジ エステルなどの疎水部-親水部-疎水部の構造 有する溶媒中にも同様にCNTを分散させるこ ができる。この場合は、CNT同士の接触部に 散剤などが挟まることになるので、基板上 乾燥させた後、水またはアセトンなどで分 剤などの付着物を洗浄して除去することが ましい。

 (カーボンナノチューブネットワーク)
 カーボンナノチューブネットワークとは複 のCNTが基板17上でランダムに絡み合いネッ ワーク化したものである。従来のCNTネット ークでは、CNT同士は接触部での物理的接触 のみ電気的に接続されているため、電気抵 が大きかった。本発明においては、CNTネッ ワークをGa蒸気で処理することで、CNT表面に グラファイト膜が形成され、該グラファイト 膜を介してCNT同士が連結される。そのため、 CNTネットワークの電気抵抗を低くすることが でき、抵抗値の低い導電性膜を得ることがで きる。

 CNTを基板と接触させCNTネットワークを作 する方法としては、特に限定されず、一般 な塗布方法をいずれも適用することができ 。適用可能な塗布方法としては、例えば、 ピンコート、ディップコート、カーテンコ ト、ロールコート、刷毛塗り、スプレーコ ト等が挙げられる。中でも均質な薄膜状のC NTネットワークを得ることが容易なスピンコ トが特に好ましい。

 (基板)
 基板17としては、通常導電性膜の製造に用 られる基板であれば特に制限されないが、 えば、ガラス板、雲母板あるいは石英板等 ように透明の材料を用いた場合、導電性基 全体としての透明性を極めて高くすること できる。炭素蒸着や金属蒸着などにより、 板表面に導電性を付与する手法が知られて るが、本発明のようにカーボンナノチュー ネットワークにより基板17の表面を導電化し た場合、カーボンナノチューブで完全に被覆 する必要が無く、空隙を有しているため、所 定の表面導電率で比較した場合に光の透過率 が非常に高い導電性基板を得ることができる 。

 (導電性膜)
 本発明に係る導電性膜18とは、複数のカー ンナノチューブ同士がグラファイト膜で連 されたカーボンナノチューブネットワーク 有する導電性膜である。該導電性膜は、CNT 士がグラファイト膜を介して電気的に接続 れているため、抵抗値が低いことが特徴で る。

 (導電性基板)
 本発明に係る導電性基板とは、基板17上に 数のカーボンナノチューブ同士がグラファ ト膜で連結されたカーボンナノチューブネ トワークを有する導電性膜18が形成された導 電性基板である。該導電性基板は、基板上の CNT同士がグラファイト膜を介して電気的に接 続されているため、抵抗値が低いことが特徴 である。

 (樹脂性フィルム)
 樹脂性フィルム4は、通常基板として用いら れる透光性の高い樹脂であれば特に制限され ないが、導電性膜上に形成されたCNTネットワ ークの転写を効率的に行なうことができると いう観点から、エポキシ樹脂などの熱硬化性 樹脂またはアクリルシロップなどのUV硬化性 脂などの硬化性樹脂が塗布された高分子(PET )フィルムなどが好ましい。

 以下に、本発明に係る導電性膜、導電性基 および透明導電性フィルムの製造方法にお て、CNTネットワーク上にグラファイト膜を 成する工程について詳述する。
 <導電性膜、導電性基板、透明導電性フィ ルムおよびこれらの製造方法>
 図9は本発明で使用するグラファイト膜生成 装置の一例を示す模式的断面図である。

 (グラファイト膜生成装置)
 本発明で使用するグラファイト膜生成装置 、石英反応管6の内部に液体Ga9を充填したア ルミナ容器20が配置されている。基板17上に 数のカーボンナノチューブ2からなるCNTネッ ワークが形成された被処理基板は、前記ア ミナ容器20の近傍に設置されている。石英 応管6の外側には反応管用ヒータ7が設置され 、石英反応管6内部の温度調整が可能となっ いる。

 (被処理基板の作製)
 前記基板17としては、通常導電性基板の製 に用いられる従来周知のものを使用できる 、ガラス板、雲母板あるいは石英板等のよ に透明の材料を用いた場合、導電性膜全体 しての透明性を極めて高くすることができ 。

 前記複数のカーボンナノチューブ2からな るCNTネットワークの形成方法としては、従来 周知の任意の方法を用いることができる。例 えば、スピンコート、ディップコート、カー テンコート、ロールコート、刷毛塗り、スプ レーコート等が挙げられる。中でも均質な薄 膜状のCNTネットワークを得ることが容易なス ピンコートが特に好ましい。その後、前記CNT ネットワークに分散剤などの不純物が残留し ないために、洗浄することが好ましい。

 CNT同士が強く接触するように、ローラな でCNTネットワークを上部より強く圧縮する とが好ましい。

 さらに、グラファイト膜を確実に形成する めに、CNTネットワーク上にアモルファスカ ボン膜を形成することが好ましい。アモル ァスカーボン膜の形成方法としては従来周 の任意の方法を用いることができる。例え 、フェナントレン(C 14 H 10 )やピレン、メタンアセチレンなどを熱分解 ることによりアモルファスカーボン膜を形 してもよいし、電子ビームやイオンビーム 用いて炭化水素系ガスを分解する方法を用 てもよい。該アモルファスカーボン膜の厚 は透光性を高めるという観点から、10nm以下 好ましい。

 (導電性膜の製造方法)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気する。

 反応管用ヒータ7で加熱することで石英反 応管6内部の液体Ga9を気化し、Ga蒸気5の温度 600℃以上に上昇させ、複数のカーボンナノ ューブ2からなるCNTネットワークの表面に接 させる。Ga蒸気5の触媒作用を向上させるた 、Ga蒸気5の温度は、さらに800℃以上が好ま い。

 前記熱処理を10分~1時間行ない、その後再び 室温に徐冷する。
 前記のGa蒸気5中の熱処理で、前記複数のカ ボンナノチューブ2からなるCNTネットワーク の表面に、グラファイト膜が形成される。こ のようにして、基板17上に、複数のカーボン ノチューブ同士がグラファイト膜で連結さ たカーボンナノチューブネットワークを有 る導電性膜が形成され、導電性基板が得ら る。

 (透明導電性フィルムの製造方法)
 前記の工程で作製した導電性膜を使用して 透明導電性フィルムを製造する方法につい 説明する。

 前記導電性基板のCNTネットワークが形成 れている面上に樹脂製フィルムを接触させ CNTネットワークを樹脂製フィルムに転写す 。前記樹脂製フィルムのCNTネットワークと 触する面には、熱硬化性樹脂またはUV硬化 樹脂が塗布されていることが好ましい。次 、該樹脂製フィルムを硬化させることによ 、CNTネットワークを該樹脂製フィルムに固 させて透明導電性フィルムを作製する。

 <グラファイト膜製造方法>
 [実施の形態1]
 図10は本発明で使用するグラファイト膜生 装置の一例を示す模式的断面図である。

 (グラファイト膜生成装置)
 本発明で使用するグラファイト膜生成装置 、石英反応管6の内部に液体Ga1を充填したア ルミナ容器20が配置されている。基板17上に モルファスカーボン膜21が形成された被処理 基板は、前記アルミナ容器20の近傍に設置さ ている。石英反応管6の外側には反応管用ヒ ータ7が設置され、石英反応管6内部の温度調 が可能となっている。

 前記基板17としては、導電膜形成基板と て用いられる従来周知のものを使用できる 、SiC、Ni、Fe、Mo、Ptなどの単結晶基板を使用 すると単結晶グラファイト膜を得ることがで きるため好ましい。

 前記アモルファスカーボン膜21の形成方法 しては、従来周知の任意の方法を用いるこ ができる。例えば、フェナントレン(C 14 H 10 )やピレン、メタンアセチレンなどを熱分解 ることによりアモルファスカーボン膜2を形 してもよいし、電子ビームやイオンビーム 用いて炭化水素系ガスを分解する方法を用 てもよい。該アモルファスカーボン膜21の みは、目的とするグラフェン膜またはグラ ァイト膜の厚みにあわせるように設定する とが好ましい。

 (グラファイト膜製造方法)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気する。

 反応管用ヒータ7で加熱することで石英反 応管6内部の液体Ga9を気化し、Ga蒸気5の温度 600℃以上に上昇させ、アモルファスカーボ 膜21の表面に接触させる。

 前記熱処理を10分~1時間行ない、その後再び 室温に徐冷する。
 前記のGa蒸気5中の熱処理で、前記アモルフ スカーボン膜21の表面に、グラファイト膜 形成される。

 [実施の形態2]
 (グラファイト膜生成装置)
 図11は本発明において、Ga蒸気の蒸気圧が炭 素源の表面で均一である場合に使用するグラ ファイト膜生成装置の一例を示す模式的断面 図である。実施の形態2のグラファイト膜生 装置は、石英反応管6内部にGa反応副室22を設 け、さらにGa反応副室22内部に液体Ga9を充填 たアルミナ容器20と基板17上にアモルファス ーボン膜21が形成された被処理基板を設置 、Ga反応副室22の壁面に作動排気口として僅 な隙間が形成されている。

 実施の形態1で示したグラファイト膜生成 装置は、液体Ga9より生じるGa蒸気5で石英反応 管6内部が満たされる。しかし石英反応管6の 度は、反応管用ヒータ7近傍では所定の高温 に維持され、反応管用ヒータ7から離れるに たがって室温となる。このため、石英反応 6内部のGa蒸気5の温度が場所によって変化し Ga蒸気圧が不均一となっている。

 図11に示すように石英反応管6内部にGa反 副室22を設けることで、Ga反応副室22内部のGa 蒸気5の蒸気圧を一定にすることができる。 らにGa反応副室22内部に液体Ga9を充填したア ミナ容器20と基板17上にアモルファスカーボ ン膜21が形成された被処理基板を設置し、僅 な隙間を作動排気口として真空排気するこ で、Ga反応副室22内部のGa蒸気圧を可能な限 最大値にし、かつ被処理基板近傍で均一なG a蒸気圧を得ることができる。前記の製造方 により膜表面の色むら、表面荒れ等はなく 極めて滑らかな鏡面を有するグラファイト を得ることができる。

 (グラファイト膜製造方法)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気する。

 反応管用ヒータ7で加熱することで石英反 応管6内部の液体Ga9を気化し、Ga蒸気5の温度 600℃以上に上昇させ、アモルファスカーボ 膜21の表面に接触させる。Ga蒸気5の触媒作用 を向上させるため、Ga蒸気5の温度は、さらに 800℃以上が好ましい。

 前記のGa蒸気5中の熱処理で、前記アモル ァスカーボン膜21の表面に、グラファイト が形成される。

 [実施の形態3]
 (グラファイト膜生成装置)
 図12は本発明においてGa蒸気がプラズマ化さ れている場合に使用するグラファイト膜生成 装置の一例を示す模式的断面図である。実施 の形態3のグラファイト膜生成装置は、石英 応管6の内部に液体Ga9を充填したアルミナ容 20およびプラズマ形成用電極10が配置され、 前記アルミナ容器にGa用ヒータ12が設置され いる。基板17上にアモルファスカーボン膜21 形成された被処理基板は、前記アルミナ容 20の近傍で、かつ一対のプラズマ形成用電 10の間に設置され、Gaプラズマ23と接触して る。石英反応管6の外側には反応管用ヒータ7 が設置され、石英反応管6内部の温度調整が 能となっている。

 Ga蒸気によってグラファイト膜を得る技 は、単層または複層の大面積グラファイト を得るために有効であり、これはエレクト ニクスデバイス応用に向けた実用技術であ 。しかし、透明導電膜など大面積かつ低抵 値の導電膜を得るには、Ga蒸気による処理を 複数回、所定の導電膜になるまで反応を繰り 返さなければならない。

 図12に示すようにGa蒸気をプラズマ化して エネルギーを与えることで、触媒としてアモ ルファスカーボンをグラファイト化すること が可能であり、この場合Ga蒸気を使用した場 に比べて、グラファイト膜の厚さが大きい のが形成される。さらにGaプラズマを使用 ると基板温度が約400℃からグラファイト化 みられ、グラファイト化をより低温で誘導 ることができる。シリコンデバイスプロセ との併用ではシリコンデバイス上に直接グ ファイト膜を形成しなくてはならず、プロ ス温度の低温化が必須となる。この観点か Ga蒸気のプラズマ化によるグラファイト膜形 成プロセス温度の低温化はシリコンデバイス プロセスとの融合に非常に有効である。

 (グラファイト膜製造方法)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気する。

 Ga用ヒータ12により液体Ga9の気化を促進し ながら、プラズマ形成用電極10により、前記 極に挟まれた部分に存在するGa蒸気をプラ マ化するとともに、反応管用ヒータ7で加熱 ることでGaプラズマ11の接する前記被処理基 板の温度を400℃以上に上昇させ、前記Gaプラ マ23をアモルファスカーボン膜21の表面に接 触させる。Gaプラズマ23の触媒作用を向上さ るため、Gaプラズマ23の接する前記被処理基 の温度は、さらに800℃以上が好ましい。

 前記のGaプラズマ23中の熱処理で、前記ア モルファスカーボン膜21の少なくと一部ある は全てが、グラファイト膜に変化する。

 [実施の形態4]
 (グラファイト膜生成装置)
 図13は本発明において炭素源として炭化水 ガスを用いる場合に使用するグラファイト 生成装置の一例を示す模式的断面図である 実施の形態4のグラファイト膜生成装置は、 英反応管6にGa蒸気供給部15と炭化水素ガス 給部13が接続されている。Ga蒸気供給部15に 体Ga9を充填し、Ga用ヒータで加熱することに よって液体Ga9を気化し、石英反応管6内にGa蒸 気5を供給する。一方、炭化水素ガス供給部13 には炭素原料となる炭化水素材料、例えば樟 脳、フェナントレン、ピレンなどを充填し、 炭素源を炭化水素ガスとして石英反応管6内 供給する。石英反応管6内に被処理基板とし 基板17を設置する。

 石英反応管6内に供給された炭化水素ガス は、基板17近傍でGa蒸気と反応しながら分解 、基板17上に高速にグラファイト膜を形成す る。

 基板上にグラファイト膜を形成する際にG aが膜内に取り込まれることがあるが、基板 度が600℃以上であればほとんど取り込まれ ことはない。基板温度が600℃以下の低温基 を用いた場合にGaがグラファイト膜に混入し ても、500℃程度で長時間のアニール処理を行 なうことでGaを膜中より離脱させて除去する とが可能である。

 (グラファイト膜製造方法)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気する。

 Ga用ヒータ12により液体Ga9を気化させ石英 反応管6内にGa蒸気を供給しながら、炭化水素 ガス供給部13と石英反応管6の間の弁16を開放 、炭化水素ガスを供給した。

 反応管用ヒータ7で加熱することで石英反 応管6内部のGa蒸気5の温度を400℃以上に上昇 せ、基板3の表面に接触させる。Ga蒸気5の触 作用を向上させるため、Ga蒸気5の温度は、 らに800℃以上が好ましい。

 前記のGa蒸気5中の熱処理で、基板17上にグ ファイト膜が形成される。
 <実施例>
 <実施例1>
 試料の準備:
 アーク法で作製した未精製の単層カーボン ノチューブ(CNT)からなる、集合体部として 0.3mm径のCNTフィラメント撚り線を準備した。 当該撚り線の長さは10mmとした。

 そして、当該撚り線を、600℃に加熱した液 ガリウム(Ga)中に1時間浸漬した。また、こ ときの雰囲気ガスはArガスを用い、雰囲気ガ スの圧力は1×10 -5 Torrとした。

 その後、液体Gaから引き上げた撚り線の 面に付着したGaを希塩酸で除去した。このよ うにして、CNTフィラメント撚り線表面にグフ ァライト層が形成された炭素線を得た。グラ ファイト層の厚みは5μm程度であった。

 測定:
 グラファイト層を形成した炭素線について 電気抵抗値を測定した。測定方法としては 4端子法を用いた。

 結果:
 グラファイト層を形成した炭素線の電気抵 値は、後述する比較例1の試料の電気抵抗値 と比べて1/5程度に低下していた。

 <実施例2>
 試料の準備:
 アーク法で作製した未精製の単層カーボン ノチューブ(CNT)からなる、集合体部として 5μm径のCNTフィラメント撚り線を準備した。 該撚り線の長さは10mmとした。

 そして、当該撚り線の表面に、フェナント ン(C 14 H 10 )を熱分解することによりアモルファスカー ン層を形成した。

 次に、当該撚り線を、600℃に加熱した液 ガリウム(Ga)中に1時間浸漬した。また、こ ときの雰囲気ガスはArガスを用い、雰囲気ガ スの圧力は2気圧とした。

 その後、液体Gaから引き上げた撚り線の 面に付着したGaを希塩酸で除去した。このよ うにして、CNTフィラメント撚り線表面にグフ ァライト層が形成された炭素線を得た。グラ ファイト層の厚みは1μm程度であった。

 測定:
 グラファイト層を形成した炭素線について 電気抵抗値を測定した。測定方法としては 4端子法を用いた。

 結果:
 グラファイト層を形成した炭素線の電気抵 値は、実施例1の比較例と比べて1/20程度に 下していた。

 この結果より、炭素線の内部においては 複数のカーボンナノチューブがほぼ一体化 ているものと思われる。

 <実施例3>
 試料の準備:
 直径が10nm、長さが300μmのカーボンナノチュ ーブ(CNT)を準備し、これらのCNTを100μmづつ重 合わせることで、集合体部としてのCNTフィ メント接合線を準備した。当該接合線の長 は50mmであり、接合線の直径は2μmとした。

 そして、当該接合線の表面に、フェナント ン(C 14 H 10 )を熱分解することによりアモルファスカー ン層を形成した。

 そして、当該接合線を、500℃に加熱した 体ガリウム(Ga)中に1時間浸漬した。また、 のときの雰囲気ガスはアルゴン(Ar)ガスを用 、雰囲気ガスの圧力は10気圧とした。これ 、接合線内部のカーボンナノチューブを互 に密着させるためである。

 その後、液体Gaから引き上げた接合線の 面に付着したGaを希塩酸で除去した。このよ うにして、CNTフィラメント接合線表面にグフ ァライト層が形成された炭素線を得た。グラ ファイト層の厚みは0.2μm程度であった。また 、グラファイト層は、内部のCNTを包むように 連続したリング状に形成され、カーボンナノ チューブ化(CNT化)している事が分かった。

 測定:
 グラファイト層を形成した炭素線について 電気抵抗値を測定した。測定方法としては 4端子法を用いた。

 結果:
 グラファイト層を形成した炭素線の電気抵 値は、比較例と比べて1桁小さくなっていた 。これは、炭素線の内部においてカーボンナ ノチューブ同士が強く密着し、一体化してい るためであると考えられる。

 <実施例4>
 試料の準備:
 触媒CVD法を用いて、直径が30nm、長さが500μm の多層カーボンナノチューブ(CNT)を準備し、 れらのCNTを200μmづつ重ね合わせることで、 合体部としてのCNTフィラメント接合線を準 した。当該接合線の長さは10mmであり、接合 線の直径は0.6μmとした。

 そして、当該接合線を、550℃に加熱した 体ガリウム(Ga)中に1時間浸漬した。具体的 は、ステンレス製のカプセルに液体ガリウ と接合線を封入した。そして、カプセルの 囲の雰囲気ガスはアルゴン(Ar)ガスを用いた 当該雰囲気ガスを加圧することで、カプセ ごと液体ガリウムと接合線とに圧力を加え 。このときの加圧圧力は100気圧とした。こ は、接合線内部のカーボンナノチューブを いに密着させるためである。

 その後、液体Gaから引き上げた接合線の 面に付着したGaを希塩酸で除去した。このよ うにして、CNTフィラメント接合線表面にグフ ァライト層が形成された炭素線を得た。グラ ファイト層の厚みは80nm程度であった。また グラファイト層は、内部のCNTを包むように 続したリング状に形成され、カーボンナノ ューブ化(CNT化)している事が分かった。

 さらに上記グラファイト層が形成された 素線を束ねて撚り線化し、0.5μmの直径の接 線を作製した。そして、上述した工程と同 に液体Gaに当該接合線を浸けることにより 接合線を構成する複数の炭素線を接合する( 数の炭素線の束の外周を囲むように当該束 表面にグラファイト層を形成する)工程を実 施した。このように、複数の炭素線を束ねる 工程、束ねた炭素線の集合体線を液体Gaに浸 することで複数の炭素線を接合する工程、 合された複数の炭素線からなる集合体線を らに複数本準備し、当該複数の集合体線を ねる工程、を繰返すことで、より直径の大 な線材(具体的には、0.1mmの直径の接合線)を 作製した。

 測定:
 グラファイト層を形成した炭素線について 電気抵抗値を測定した。測定方法としては 4端子法を用いた。

 結果:
 グラファイト層を形成した炭素線の電気抵 値は、比較例と比べて2桁以上小さくなって いた。これは、炭素線の内部においてカーボ ンナノチューブ同士が強く密着し、一体化し ているためであると考えられる。

 <比較例1>
 試料の準備:
 アーク法で作製した未精製の単層カーボン ノチューブ(CNT)からなる、集合体部として 0.3mm径のCNTフィラメント撚り線を準備した。 当該撚り線の長さは10mmとした。

 測定:
 CNTフィラメント撚り線について、電気抵抗 を測定した。測定方法としては、4端子法を 用いた。

 結果:
 比較例であるCNTフィラメント撚り線の電気 抗値は、7.8×10 -3 ω・cmとなった。この値は、銅と比較して3桁 上高い値であった。

 <比較例2>
 試料の準備:
 アーク法で作製した未精製の単層カーボン ノチューブ(CNT)からなる、集合体部として 0.3mm径のCNTフィラメント撚り線を準備した。 当該撚り線の長さは10mmとした。

 そして、当該撚り線を、800℃に加熱した液 ガリウム(Ga)中に1時間浸漬した。また、こ ときの雰囲気ガスはArガスを用い、雰囲気ガ スの圧力は1×10 -5 Torrとした。

 結果:
 上記のように液体Gaに撚り線を浸漬した結 、当該撚り線は液体Ga中で分解し、消失した 。このため、撚り線を浸漬する液体ガリウム の加熱温度は800℃未満、より好ましくは750℃ 以下とすることが好ましい。

 <実施例5,6、比較例3,4>
 セラミックス基板を準備し、その上にCNTを 散したスラリーをスプレーで噴霧した後に 乾燥させることにより、基板上にCNTネット ークを形成した。

 実施例5、比較例3については、CNTネット ーク上に平均約5nmのアモルファスカーボン をレーザーアブレーションで製膜した。

 次に、実施例5,6について、図9に示すグラ ファイト膜生成装置を使用してグラファイト 膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6内に、液体Ga 9を充填した直径約1cmのアルミナ容器を置き 近傍に基板17上に複数のカーボンナノチュー ブ2からなるCNTネットワークが形成された被 理基板を設置した。

 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 反応管用ヒータ7により、Ga蒸気5の温度を を650℃に上昇させ、1時間の処理を行い再び 温に徐冷した。なお、比較例3および4はGa蒸 での処理を行わない試料基板である。

 前記Ga蒸気中の熱処理で、グラファイト がCNTネットワーク表面に形成された。処理 度と得られた被処理基板のシート抵抗値は 1の通りとなった。なお、シート抵抗値は4端 子法により測定した。

 さらに、前記グラファイト膜が表面に形 されたCNTネットワークを有する導電性基板 対して、熱硬化性樹脂をCNTネットワークと する面に有する樹脂フィルムを上から形成 た後、熱硬化させることにより、CNTネット ークを該熱硬化性樹脂に転写、固着し、透 導電性フィルムを得た。該透明導電性フィ ムのシート抵抗値は表1の通りとなった。

 <実施例7,8、比較例5,6>
 ガラス基板を準備し、その上にCNTを分散し スラリーをスプレーで噴霧した後に、乾燥 せることにより、基板上にCNTネットワーク 形成した。CNTネットワークに分散剤などの 純物が残留しないように水およびアセトン 洗浄した。

 その後、実施例7、比較例5については、有 ガス(フェナントレン(C 14 H 10 ))分解を用いてCNTネットワーク上にアモルフ スカーボン膜を形成した。

 次に、実施例7,8について、図9に示すグラ ファイト膜生成装置を使用してグラファイト 膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6内に、液体Ga 9を充填した直径約1cmのアルミナ容器を置き 近傍に基板17上に複数のカーボンナノチュー ブ2からなるCNTネットワークが形成された被 理基板を設置した。

 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 反応管用ヒータ7により、Ga蒸気5の温度を 750℃に上昇させ、10分間の処理を行い再び室 に徐冷した。なお、比較例5および6はGa蒸気 での処理を行わない試料基板である。

 前記Ga蒸気中の熱処理で、グラファイト がCNTネットワーク表面に形成された。処理 度と得られた被処理基板のシート抵抗値は 2の通りとなった。なお、シート抵抗値は4端 子法により測定した。

 さらに、前記グラファイト膜が表面に形 されたCNTネットワークを有する導電性基板 対して、熱硬化性樹脂をCNTネットワークと する面に有する樹脂フィルムを上から形成 た後、熱硬化させることにより、CNTネット ークを該熱硬化性樹脂に転写、固着し、透 導電性フィルムを得た。該透明導電性フィ ムのシート抵抗値は表2の通りとなった。

 <実施例9~11、比較例7,8>
 図10に示すグラファイト膜生成装置を使用 てグラファイト膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6内に、液体Ga 9を充填した直径約1cmのアルミナ容器を置き 近傍に基板17上にアモルファスカーボン膜21 形成された被処理基板を設置した。前記被 理基板は、厚さ500nm程度の熱酸化膜を形成 たシリコン基板表面にアモルファスカーボ 膜をレーザーアブレーションで製膜した。

 (実施例9~11、比較例7)
 はじめに、石英反応管6の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 反応管用ヒータ7により、Ga蒸気5の温度を 表3に記載する温度に上昇させ、1時間の処理 行い再び室温に徐冷した。

 実施例9~11は、前記Ga蒸気中の熱処理で、 およそ、3~5層のグラファイト膜がアモルフ スカーボン膜表面に形成された。試料基板 表面に特に色むら、表面荒れ等はなく、極 て滑らかな鏡面状態であった。

 その後、基板3上に形成されるアモルファ スカーボン膜とグラファイト膜からなる膜の 厚さが約50nmになるまで、前記アモルファス ーボンの成膜と、Ga処理を繰り返した。その 結果得られた試料基板のシート抵抗値は表3 通りとなった。

 (比較例8)
 比較例8は、実施例と同様の被処理基板を、 液体Ga1を充填しない石英反応管6内で600℃で 処理した。すなわち、アモルファスカーボ 膜をGa処理をせずに熱処理のみしたものであ る。その他の工程は上記実施例と同様に行っ た。その結果得られた試料基板のシート抵抗 値は表3の通りとなった。

 <実施例12~14、比較例9,10>
 図11に示すグラファイト膜生成装置を使用 てグラファイト膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6内にGa反応副 室22を設置し、その内部に液体Ga9を充填した 径約1cmのアルミナ容器を置き、近傍に基板1 7上にアモルファスカーボン膜21が形成された 被処理基板を設置した。前記被処理基板は、 厚さ500nm程度の熱酸化膜を形成したシリコン 板表面にアモルファスカーボン膜をレーザ アブレーションで製膜した。

 (実施例12~14、比較例9)
 はじめに、Ga反応副室22の内部に前記被処理 基板を水平に固定し、ターボポンプによる真 空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 反応管用ヒータ7により、Ga反応副室22内 のGa蒸気5の温度を表4に記載する温度に上昇 せ、10分間の処理を行い再び室温に徐冷し 。

 実施例12~14は、前記Ga蒸気中の熱処理で、 おおよそ、3~5層のグラファイト膜がアモルフ ァスカーボン膜表面に形成された。試料基板 の表面に特に色むら、表面荒れ等はなく、極 めて滑らかな鏡面状態であった。

 その後、基板17上に形成されるアモルフ スカーボン膜とグラファイト膜からなる膜 厚さが約100nmになるまで、前記アモルファス カーボンの成膜と、Ga処理を繰り返した。そ 結果、処理温度と得られた試料基板のシー 抵抗値は表4の通りとなった。

 (比較例10)
 比較例10は、実施例と同様の被処理基板を 液体Ga1を充填しない石英反応管6内で600℃で1 0分間熱処理した。すなわち、アモルファス ーボン膜をGa処理をせずに熱処理のみしたも のである。その他の工程は上記実施例と同様 に行った。その結果得られた試料基板のシー ト抵抗値は表4の通りとなった。

 <実施例15~17、比較例11,12>
 図12に示すグラファイト膜生成装置を使用 てグラファイト膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6内に、一対 プラズマ形成用電極10を設置し、その近傍に 液体Ga1を充填した直径約1cmのアルミナ容器20 置いた。前記アルミナ容器にはGa用ヒータ12 が設置されている。基板17上にアモルファス ーボン膜21が形成された被処理基板をプラ マ形成用電極10の間に設置した。前記被処理 基板は、厚さ500nm程度の熱酸化膜を形成した リコン基板表面にアモルファスカーボン膜 レーザーアブレーションで製膜した。

 (実施例15~17、比較例11)
 はじめに、プラズマ形成用電極10の間に前 被処理基板を水平に固定し、ターボポンプ よる真空排気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 Ga用ヒータ12により液体Ga9の気化を促進し ながら、プラズマ形成用電極10により、前記 極に挟まれた部分に存在するGa蒸気をプラ マ化するとともに、反応管用ヒータ7によりG aプラズマ23の接する前記被処理基板の温度を 表5に記載する温度に上昇させるとともに、10 分間の処理を行い再び室温に徐冷した。

 実施例15~17は、前記Gaプラズマ中の熱処理 で、おおよそ、3~5層のグラファイト膜が基板 表面に形成された。試料基板の表面に特に色 むら、表面荒れ等はなく、極めて滑らかな鏡 面状態であった。

 その後、基板17上に形成されるアモルフ スカーボン膜とグラファイト膜からなる膜 厚さが約100nmになるまで、前記アモルファス カーボンの成膜と、Ga処理を繰り返した。そ 結果、処理温度と得られた試料基板のシー 抵抗値は表5の通りとなった。

 (比較例12)
 比較例12は、実施例と同様の被処理基板を 液体Ga9を充填しない石英反応管6内で600℃で1 0分間熱処理した。すなわち、アモルファス ーボン膜をGa処理をせずに熱処理のみしたも のである。その他の工程は上記実施例と同様 に行った。その結果得られた試料基板のシー ト抵抗値は表5の通りとなった。

 <実施例18~20、比較例13,14>
 図13に示すグラファイト膜生成装置を使用 てグラファイト膜の製造を行なった。

 長さ1m、直径25mmの石英管を用意し、石英 応管6とした。この石英反応管6にGa蒸気供給 部15と炭化水素ガス供給部13を接続した。Ga蒸 気供給部15には液体Gaを充填した。炭化水素 ス供給部13には炭素原料としてフェナントレ ンを充填した。被処理基板として基板17を石 反応管6内に設置した。

 (実施例18~20、比較例13)
 はじめに、石英反応管6内に前記被処理基板 を水平に固定し、ターボポンプによる真空排 気を行い、バックグラウンドを10 -6 Torr以下に排気した。

 Ga用ヒータ12により液体Ga9を気化させ石英 反応管6内にGa蒸気を供給しながら、フェナン トレンが充填された炭化水素ガス供給部13と 英反応管6の間の弁16を開放し、炭化水素ガ を供給した。

 反応管用ヒータ7により、石英反応管6の 部の温度を表6に記載する温度に上昇させ、3 0分間の処理を行い再び室温に徐冷した。

 実施例18~20は、前記Ga蒸気中の熱処理で、 200nmの厚さにグラファイト膜が基板表面に形 された。試料基板の表面に特に色むら、表 荒れ等はなく、極めて滑らかな鏡面状態で った。処理温度と得られた試料基板のシー 抵抗値は表6の通りとなった。

 (比較例14)
 比較例14は、実施例と同様の被処理基板を 液体Ga9を充填しない石英反応管6内で600℃で3 0分間熱処理した。すなわち、アモルファス ーボン膜をGa処理をせずに熱処理のみしたも のである。その他の工程は上記実施例と同様 に行った。その結果得られた試料基板のシー ト抵抗値は表6の通りとなった。

 本発明は、特に短尺のカーボンナノチュ ブを複数本組合せて構成する炭素線および 該炭素線を用いた集合線材に有利に適用さ る。

 また、本発明は、極めて薄いグラファイ 積層体或いは単層グラファイト膜を大面積 大量生成可能とするものである。これによ 形成された大面積単層グラファイト膜を用 て、LSIのような大規模グラフェン集積回路 の応用が可能となる。また、膜厚を厚くす 事で、大面積の透明導電膜を形成する事も 能であり、大型液晶ディスプレーへの応用 期待される。

 1 炭素線、2 カーボンナノチューブ、3  合体部、4 グラファイト層、5 集合線材、6  石英反応管、7 反応管用ヒータ、8 真空排 系、9 液体Ga、10 プラズマ形成用電極、11  アモルファスカーボン層、12 Ga用ヒータ、13 炭化水素ガス供給部、14 反応炉、15 Ga蒸気 給部、16 弁、17 基板、18 カーボンナノチ ーブネットワーク、19 樹脂製フィルム、20 アルミナ容器、21 アモルファスカーボン膜 22 Ga反応復室、23 Gaプラズマ、24 Ga蒸気。




 
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