OKUMURA KIMITO (JP)
DUBOIS JEAN-LUC (FR)
ARKEMA FRANCE (FR)
MAGATANI YASUHIRO (JP)
OKUMURA KIMITO (JP)
DUBOIS JEAN-LUC (FR)
WO2008066079A1 | 2008-06-05 | |||
WO2006114506A1 | 2006-11-02 | |||
WO2007058221A1 | 2007-05-24 | |||
WO2006087083A2 | 2006-08-24 | |||
WO2006087084A2 | 2006-08-24 |
JP2005213225A | 2005-08-11 | |||
JP2008088149A | 2008-04-17 | |||
JPH1087308A | 1998-04-07 | |||
US2558520A | 1951-06-26 | |||
JPH06211724A | 1994-08-02 | |||
JPS5430114A | 1979-03-06 | |||
JPS5724643A | 1982-02-09 | |||
JPS58114735A | 1983-07-08 | |||
JPS5912759A | 1984-01-23 | |||
JPS59145046A | 1984-08-20 | |||
JPH04271841A | 1992-09-28 | |||
JPH07171398A | 1995-07-11 | |||
JPH0952049A | 1997-02-25 | |||
JPH1087308A | 1998-04-07 | |||
JPS578761B2 | 1982-02-18 | |||
JPS5732110B2 | 1982-07-08 |
BURNETT ET AL., CATAL. TODAY, 1987, pages 1537
CATALYSIS TODAY, vol. 33, 1997, pages 161 - 171
CHEM. MATER., vol. 14, 2002, pages 3882 - 3888
APPLIED CATALYSIS A: GENERAL, vol. 297, 2006, pages 73 - 80
Takashi Koshiba (JP)
リンとバナジウムを必須の構成元素とするリン−バナジウム系複合酸化物またはその前駆体を主成分とする、グリセリンを接触脱水反応してアクロレイン及びアクリル酸を製造するのに用いるグリセリン脱水用の触媒。 |
リン−バナジウム系複合酸化物の組成が下記式(I)で表される請求項1記載のグリセリン脱水用の触媒。 VP a M b O c ・nH2O (I) (Vを1としたとき、式中のaは0.5≦a≦1.5、bは0<b≦1、cは各元素の酸化状態によって決まる値を示す。式中のMは水素原子または周期表の第1族から第16族に属する元素から選ばれる1種以上の元素を表す。nは任意の正数である) |
リン−バナジウム系複合酸化物前駆体が、焼成により少なくとも一部が(VO) 2 P 2 O 7 となりうる物質である請求項1または2に記載の触媒。 |
請求項1~3のいずれか一項に記載のリン−バナジウム系複合酸化物を担体に担持した担持触媒。 |
バナジウム化合物、リン化合物を水性溶媒または有機溶媒中で反応させ、リン−バナジウム系複合酸化物前躯体を得て、乾燥、焼成することを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載のリン−バナジウム系複合酸化物触媒の製造方法。 |
焼成を空気、不活性ガス、空気と不活性ガスとの混合ガス、還元ガスと空気との混合ガス、またはスチームを含有するいずれかの雰囲気下に行う請求項5に記載の方法。 |
焼成を150~700℃で0.5~500時間行なう請求項5または6に記載の方法。 |
請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒および/または請求項4に記載の担持触媒の、グリセリンの接触脱水反応によるアクロレイン及びアクリル酸製造での使用。 |
本発明は新規な脱水触媒に関するものであ
。
本発明は特に、気相または液相中でグリセ
ンを接触脱水反応してアクロレイン及びア
リル酸を製造するための新規な触媒と、そ
製造方法に関するものである。
現在、不飽和アルデヒド及び不飽和カルボ
酸、特にアクロレインやアクリル酸の製造
プロピレンを出発原料とし、触媒を用いて
相酸化する方法が一般的な工業的製造法と
て採用されている。
しかし、近年、地球温暖化や石油枯渇の観
から、化石資源に依存せず、バイオ資源か
燃料や有機製品を製造する方法が求められ
いる。その1つが、バイオエタノールと油脂
の転換によるバイオディーゼルであり、その
生産量は年間2000万トンを超えるといわれて
る。これは植物油から製造されるため、化
燃料の代替燃料となる上に、二酸化炭素の
出量が少ない点でも注目され、需要の増大
見込まれている。このバイオディーゼルを
造する際に副生成物としてその生産量の1/10
量ともなるグリセリンが生成する。このグ
セリンは医薬品、化粧品、食料品などの添
物として利用されているが、最近、需給バ
ンスが崩れ、大量のグリセリンが産業廃棄
として処分されている。よって、近年、グ
セリンの新規用途の開発や需要拡大に繋が
合成反応の研究が活発化している。
グリセリンの3炭素骨格を維持したままの化
学原料への変換プロセスを中心に説明すると
、脱水反応と酸化反応に大別できる。ここで
は脱水反応によるアクロレインの製造方法に
ついて説明し、酸化反応については説明しな
い。
アクロレインの製造方法は既に種々提案さ
ている。例えば、下記特許文献1では、リン
酸を珪藻土などの担体に担持した触媒を、高
沸点を有する有機溶媒中に分散させ、グリセ
リンを滴下させて液相脱水反応させることに
より、アクロレインが72%の収率で得られた例
が記載されている。しかし、この方法では、
多量の炭化物が発生し、得られた炭化物と触
媒と生成物との混合液の処理が必要となり、
工業的に有利な技術とは言い難い。
下記特許文献2では、グリセリンを溶媒に分
散させ、KHSO4やK2SO4などH0が‐5.6から+3.3の酸
固体触媒存在下でグリセリンを液相脱水反
させ、アクロレインを製造する方法が開示
れている。しかし、この方法でも炭化物が10
%以上生成し、工業的に十分とは言い難く、
良の余地がある。
グリセリンを液相または気相接触反応させ
アクロレインを製造する際にはH0が+2以下の
固体酸触媒が有効である。その例として下記
特許文献3に記載の燐酸を担持したα‐Al2O3触
を用いた方法がある。この特許では気相中3
00℃で75%のアクロレイン収率が得られている
、触媒の寿命に問題があり、ヒドロキシア
トンなどの副生成物が時間の変化と共に増
し、選択率も十分なものとは言い難かった
下記特許文献4では、固体酸触媒としてヘテ
ロポリ酸の存在下でグリセリンを気相脱水し
てアクロレインを製造する方法が開示されて
いる。ヘテロポリ酸は6族元素から成り、ケ
タングステン酸、リンタングステン酸、リ
モリブデン酸などが挙げられている。これ
のヘテロポリ酸を2元細孔シリカ担体に担持
せて86%のアクロレイン収率が得られている
しかしながら、この脱水反応はグリセリン
キャリアガスとして窒素のみを流し、酸化
スフリーのため、炭素析出量が極めて大き
なり、活性および選択性の経時安定性が懸
される。
これに対し、下記特許文献5および特許文献
6ではグリセリンの気相反応中に酸素を導入
ることで触媒劣化を抑制している。この特
ではH0が−9以上−18以下の酸強度を有する触
媒を用いる。実施例には燐酸/ジルコニア、Na
fion/シリカ、硫酸/ジルコニア、タングステン
/ジルコニアなど種々の固体酸触媒が記載さ
ており、その中でもタングステン/ジルコニ
を使用することで最高74%のアクロレイン収
が得られている。
一方、当該発明に関するリン−バナジウム
複合酸化物触媒は、炭素数4の炭化水素(n−
タン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジ
ン等)の気相接触酸化反応による無水マレイ
酸の製造に有効な触媒であることは広く知
れている。特に反応性に乏しいn−ブタンの
場合には、(VO) 2
P 2
O 7
(ピロリン酸ジバナジル)で表される結晶状化
物が活性の高い構造であり、触媒成分とし
用いられている(非特許文献1)。この触媒の
効成分である(VO) 2
P 2
O 7
を得るには、例えば、V 2
O 5
(五酸化バナジウム)とH 3
PO 4
(リン酸)を有機溶媒中、例えば2−メチル−1
プロパノール等のアルコール中で反応させ
ピロリン酸ジバナジルの前駆体であるVOHPO 4
・1/2H 2
Oを析出させた後、これを適切な条件で焼成
脱水する。この触媒の活性や選択性を更に
上させる試みとして、例えばリン−バナジ
ム系複合酸化物に助触媒を加える試みは数
くなされている。例えば、非特許文献2には
触媒成分の添加例がまとめられている。
また、特許文献7にはマグネシウム、カルシ
ウム等の金属元素をリン−バナジウム系複合
酸化物の表面に促進剤として沈着させる方法
が開示されている。
また、特許文献8には、バナジウム−リン系
化合物からなるリング状触媒が開示され、活
性を向上させる添加金属として、銅、銀、亜
鉛等の金属元素が挙げられている。
また、特許文献9には、酸素と還元性ガスに
よるバナジウム−リン系触媒の活性化方法が
開示され、助触媒成分としてアルカリ金属、
アルカリ土類金属、希土類が挙げられている
。
また、特許文献10には、触媒前駆体を含む
機スラリーに水を加えて2相分離し、前駆体
回収する技術が開示され、助触媒成分とし
アルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタ
ドが挙げられている。
また、特許文献11には、特定のX線回折スペ
トルを示す結晶性バナジウム−リン化合物
リン酸バナジル水溶液、マグネシウム、カ
シウム、ストロンチウム、およびバリウム
らなる群から選ばれた少なくとも1種以上の
元素の化合物、およびシリカを混合、乾燥す
る触媒の製造法が開示されている。
また、特許文献12には、五酸化バナジウム
MgアセチルアセトナートまたはZrアセチルア
トナートの共存下、リン酸と反応させて前
体を調製する方法が開示されている。
また、特許文献13には、五価のリン化合物
五価のバナジウム化合物を炭素数3~6の脂肪
アルコールとベンジルアルコールの混合物
で反応させる際に助触媒としてシュウ酸鉄
二水和物を混合する前駆体調製法が開示さ
ている。
また、特許文献14には、五酸化バナジウム
リン酸とを反応させる際に、有機ケイ素化
物であるアルキルシラノールを添加する触
調製法が示されている。
また、特許文献15には、触媒前駆体VOHPO 4
・1/2H 2
Oの層間にあるH+をCo等2価の金属カチオンと交
換した金属イオン交換リン−バナジウム系化
合物であるVOM0.5PO4の調製法が示されている。
以上のように、リン−バナジウム系複合 化物は助触媒の添加やその調製法など、炭 数4の炭化水素からジカルボン酸無水物を高 収率で得る触媒としては数多く報告され、既 に工業化されているが、グリセリンを脱水反 応し、アクロレインおよびアクリル酸を製造 する触媒としては報告されていない。
本発明の目的は新規な脱水触媒、特に、石
に由来しないグリセリンを原料に用いてア
ロレイン及びアクリル酸を高収率で製造す
ことができる新規な触媒を提供することに
る。
本発明の一つの目的は、グリセリンを脱水
応させてアクロレイン及びアクリル酸を高
率に製造することができるグリセリン脱水
応触媒を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記触媒の製造法を
供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意
討を行った結果、リンとバナジウムを必須
構成元素とするリン−バナジウム系複合酸
物を用いることにより、グリセリンを脱水
応させてアクロレイン及びアクリル酸が高
率で得られることを見出し、本発明を完成
た。
本発明は以下の(1)~(9)の特徴を単独または組
み合わせて有する。
(1)リンとバナジウムを必須の構成元素とする
リン−バナジウム系複合酸化物を主成分とす
る、グリセリンを接触脱水反応してアクロレ
インおよびアクリル酸を製造するのに用いる
グリセリン脱水用の触媒。
(2)リン−バナジウム系複合酸化物の組成が下
記式(I)で表される上記(1)記載のグリセリン脱
水用の触媒
VP a
M b
O c
・nH 2
O (I)
(Vを1としたとき、式中のaは0.5≦a≦1.5、bは0
<b≦1、cは各元素の酸化状態によって決ま
値を示す。式中のMは水素原子または周期表
第1族から第16族に属する元素から選ばれる1
種以上の元素を表す。nは任意の正数である
)
(3)リン−バナジウム系複合酸化物前駆体が、
焼成により少なくとも一部が(VO) 2
P 2
O 7
となりうる物質である上記(1)または(2)に記載
の触媒
(4)上記(1)~(3)のいずれか一項に記載のリン−
ナジウム系複合酸化物を担体に担持した担
触媒
(5)バナジウム化合物、リン化合物を水性溶媒
または有機溶媒中で反応させ、リン−バナジ
ウム系複合酸化物前躯体を得て、乾燥、焼成
することを特徴とする上記(1)~(3)いずれか一
に記載のリン−バナジウム系複合酸化物触
の製造方法
(6)焼成を空気、不活性ガス、空気と不活性ガ
スとの混合ガス、還元ガスと空気との混合ガ
ス、またはスチームを含有するいずれかの雰
囲気下に行う上記(5)に記載の方法
(7)焼成を150~700℃で0.5~500時間行なう上記(5)ま
は(6)に記載の方法
(8)上記(1)~(3)のいずれか一項に記載の触媒お
び/または上記(4)に記載の担持触媒の、グリ
リンの接触脱水反応によるアクロレイン及
アクリル酸製造での使用に関する。
本発明のグリセリンを接触脱水反応して アクロレイン及びアクリル酸を製造する触 は、高活性かつ高選択性を有する。また、 般的に当該反応に使用される代表的な固体 触媒と比較して、プロピオンアルデヒドや ロピオン酸の生成量が低い。プロピオンア デヒドやプロピオン酸は、沸点がそれぞれ4 9℃、141℃と目的生成物であるアクロレイン よびアクリル酸の沸点である53℃及び141℃に 非常に近いため、精製工程において困難を要 するという点でも本発明は工業的に有用であ る。
本発明のグリセリン脱水触媒は、グリセリ
を脱水してアクロレイン及びアクリル酸を
造する際に用いられる触媒であって、リン
バナジウム系複合酸化物を主成分とする。
リン−バナジウム系複合酸化物は、上述した
ように通常V 2
O 5
とH 3
PO 4
を反応させ析出するVOHPO 4
・1/2H 2
O結晶を前駆体とする。
前駆体の製造法は多数報告されているが何
の方法でもよく、特に下記三つの方法が好
しい製法として挙げられる。リン−バナジ
ム系複合酸化物は、金属元素としてリン及
バナジウムを含有する複合酸化物であれば
第1~16族の元素として有用な金属を含有して
いてもよいが、ここではリンとバナジウムの
みで構成されるリン−バナジウム複合酸化物
の製法について示す。
(a)五酸化バナジウムを2−メチル−1−プロパ
ール等の還元性有機溶媒中で加熱還流し還
する前、または還元した後にリン酸を添加
、次いでこれを加熱還流してリン酸水素バ
ジル半水和物VOHPO 4
・1/2H 2
Oを得る(特公昭57−8761号)。
(b)五酸化バナジウムを塩酸またはヒドラジン
などの無機還元剤で還元する前、または還元
した後、リン酸を添加して加熱還流または水
熱条件下で処理して得る。(特開昭57−32110号)
(c)VOPO 4
・0.5H 2
Oを2−メチル−1−プロパノールや2−プロパ
ール等の還元性有機溶媒中で、加熱還流し
得る。(「Catalysis Today」33(1997年)161−171、Chem
.Mater.2002,14,3882−3888)
以下、本発明の好ましい態様である上記(a)(
b)および(c)の手法について詳細に説明する。
前駆体を調製する際のバナジウム源として
、リン−バナジウム系複合酸化物の製造に
般的に用いられているバナジウム化合物で
ればいずれも使用することができる。具体
としては五酸化バナジウム、メタバナジン
塩、オキシハロゲン化バナジウムなどの5価
、4価または3価バナジウム化合物を挙げるこ
ができる。これらのうち五酸化バナジウム
好適に用いられる。
リン源としては、バナジウム源と同様に、
ン−バナジウム系複合酸化物の製造に一般
用いられているリン化合物を使用すること
できる。具体例としては、オルトリン酸、
ロリン酸、亜リン酸、ポリリン酸、五酸化
ンなどを挙げることができる。これらのう
、オルトリン酸が好適に用いられる。オル
リン酸を使用する場合、市販の85%リン酸で
良いが、アクロレイン及びアクリル酸の収
の高い触媒を得るためには実質的に無水の
ン酸を使用することが望ましい。ここで実
的に無水とはオルトリン酸H3PO4として表さ
るリン酸の重量含量が、95%以上、好ましく
98%以上であることをいう。
バナジウム化合物とリン化合物の混合比(P/V
モル比)は通常、0.5~1.5、好ましくは1.0~1.3であ
る。
本発明の触媒は、リンとバナジウムを必須の
構成元素とするリン−バナジウム系複合酸化
物を主成分とする、グリセリンを接触脱水反
応してアクロレイン及びアクリル酸を製造す
るのに用いるグリセリン脱水用の触媒であり
、そのリン−バナジウム系複合酸化物の組成
が下記式(I)で表されるグリセリン脱水用触媒
である:
VP a
M b
O c
・nH2O (I)
(Vを1としたとき、式中のaは0.5≦a≦1.5。式中
Mは水素または周期表の第1族から第16族に属
する元素から選ばれる1種以上の元素を表す
式中のbは0<b≦1、cおよびnは任意の正数で
る。)
ここで、周期表の第1族から第16族に属する
素としては、ナトリウム、カリウム、ルビ
ウム、セシウム、マグネシウム、カルシウ
、ストロンチウム、バリウム、スカンジウ
、イットリウム、ランタニド、チタン、ジ
コニウム、ハフニウム、クロム、マンガン
レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、
バルト、ニッケル、パラジウム、白金、銅
銀、金、亜鉛、ガリウム、タリウム、ゲル
ニウム、スズ、鉛、ビスマス、テルル等を
げることができる。このとき用いられる周
表の第1族から第16族に属する元素の化合物
して金属塩とオニウム塩が挙げられる。こ
で、オニウム塩としてはアミン塩、アンモ
ウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩
挙げることができる。また金属塩またはオ
ウム塩の原料としては、金属またはオニウ
の硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、酸化
、ハロゲン化物、水酸化物などが挙げられ
がこれに限定されるものではない。このと
添加量は、リン−バナジウム系複合酸化物
対する金属塩中の金属またはオニウム塩中
オニウムイオンの重量%で0.001重量%~60重量%
好ましくは0.01重量%~30重量%である。
使用する溶媒は、有機溶媒、水性溶媒等特
限定はないが、加熱によりバナジウムを還
することができるものが好ましい。有機溶
としては、アルコール性水酸基を有するも
が好適であり、具体的には2−プロパノール
、2−メチル−1−プロパノールのような炭素
3~5の脂肪族アルコール、ベンジルアルコー
のような芳香族アルコール等が挙げられる
なお、水溶性溶媒としては、塩酸水溶液、
酸水溶液、ヒドラジン水溶液、シュウ酸水
液等の加熱によりバナジウムを還元できる
合物の水溶液を使用する。溶媒は混合物と
て使用することもでき、例えば、2−プロパ
ノールまたは2−メチル−1−プロパノールに
較的に還元力の強いベンジルアルコールを
加して用いたり、還元ヒドラジン水溶液と
ュウ酸水溶液とを混合して用いたりするこ
もできる。また、非水溶性溶媒と水溶性溶
を混合して使用することもできる。溶媒の
用量は、反応媒体として使用できる量であ
ば特に限定しない。例えば、2−メチル−1
プロパノールを使用する場合は、2−メチル
1−プロパノール:バナジウム化合物のモル
で通常10:0.1~1:1、好ましくは5:0.1~1:0.1である
反応は、溶媒中にバナジウム化合物を添加
、これを加熱しバナジウムを還元する。リ
化合物および第1~第16族に属する元素から構
成される化合物の反応系への添加は、バナジ
ウムの還元をある程度進めた後でもよいし、
初めから添加し、バナジウムを還元させなが
らリン化合物と反応させてもよい。バナジウ
ムの還元は例えば、前記炭素数3~5の脂肪族ア
ルコール、ベンジルアルコールのような芳香
族アルコール中で加熱して行う。反応(バナ
ウムの還元工程とリン化合物反応工程)の温
は、用いる溶媒の種類にもよるが通常80~200
である。反応時間はリン化合物の添加後、
常1~20時間である。
反応終了後、活性構造として主にVOHPO 4
・1/2H 2
Oの結晶構造を有するスラリーまたはこれに
の金属を添加したスラリーまたは担体に担
したスラリーが析出し、蒸発乾固、噴霧乾
、遠心分離、濾過等によって前駆体を単離
る。なお、単離した前駆体はアセトン等の
発性有機溶媒で洗浄し、再度適当な手段で
燥してもよい。
前記のようにして得られた前駆体は、この
までまたは活性化処理を施すことで、目的
する反応の活性を発現させることが可能で
り、本発明の触媒として使用できる。更に
前躯体を焼成し、更に活性化処理を行うこ
により、(VO)2P2O7を主成分とするリン−バナ
ウム系複合金属酸化物の割合が増加し好ま
い。
焼成は窒素、アルゴン等の不活性ガス、空
、または炭化水素などの還元ガスを含有す
空気混合ガス、または前記いずれかのガス
にスチームを含有する混合ガス等の雰囲気
に行う。焼成炉として、マッフル炉、ロー
リーキルン、流動床焼成炉等の装置が挙げ
れるが、何れの装置でもよく特に限定しな
。また、反応時に使用する反応管内で焼成
てもよい。
焼成温度は通常150~700℃、好ましくは300~600
、特に好ましくは350~550℃である。焼成時間
0.5~500時間が好ましい。
前駆体または前躯体焼成後の活性化処理は
グリセリン、ブタン、1−ブテン、2−ブテ
、1,3−ブタジエン等炭素数3以上の炭化水素
1~70vol%、好ましくは5~40vol%含有する空気また
はさらにスチームを含有する混合ガスを流通
下に加温して行う。活性化処理温度は150~700
、好ましくは300~600℃、より好ましくは350~550
℃の範囲である。活性化処理温度への昇温、
また反応温度への昇温および降温速度は特に
制限はない。活性化処理における圧力は、常
圧もしくは0.05~10kg/cm2Gの範囲である。空間速
(GHSV)はリン−バナジウム系複合酸化物触媒
体積で換算して、好ましくは100~10000hr −1
、より好ましくは300~5000 hr−1
の範囲で行う。活性化処理時間は0.5~500時間
好ましい。
本発明のグリセリン脱水触媒は、グリセリ
を脱水してアクロレイン及びアクリル酸を
造する際に用いられるグリセリン脱水触媒
あって、前記リン−バナジウム系複合酸化
を担体に担持してもよい(本発明の担持触媒
)。用いられる担体としては、シリカ、珪藻
、アルミナ、シリカアルミナ、シリカマグ
シア、ジルコニア、チタニア、マグネシア
ゼオライト、炭化ケイ素、炭化物などが挙
られる。この中から1種の担体に担持しても
い。また2種以上の複合体や混合物からなる
担体に担持してもよい。担持することにより
、活性物質を有効に利用することができ、ま
た活性成分のシンタリングを抑制できるため
、寿命の改善にもなる。担持量としては、担
体に対するリン−バナジウム系複合酸化物の
重量%で5重量%~200重量%、好ましくは10~150重量%
である。
触媒の形状としては、特に制限はなく不定
な顆粒や粉末でもよいが、気相反応に限っ
は、必要により成形助剤を併用して球体、
レット、円筒体、中空円筒体、棒などに成
したり、触媒を担体その他の補助成分と共
、必要により成形助剤を併用して、これら
形状に成形したりして使用することもでき
。成形した触媒の大きさは、球状を例にと
と、粒径1~10mmのものは固定床触媒として、
径1mm未満のものは流動床触媒として使用す
のに適している。
本発明のグリセリンの脱水反応は、気相ま
は液相どちらでもよいが、好ましくは気相
方である。気相反応を行うときは、固定床
流動床、循環流動床、移動床など様々な型
反応器が存在する。この中でも特に固定床
好ましい。
触媒を再生するときは反応器から分離させ
もよい。系外で再生するときは、触媒を取
出し、空気または酸素含有ガス中で燃焼す
。液相反応を行うときは、固体触媒用の一
的な液相反応器で行うことができる。グリ
リン(290℃)とアクロレイン及びアクリル酸
沸点差が大きいため、生成したアクロレイ
を連続的に蒸留する上では、比較的低い温
で運転することが好ましい。
本発明のグリセリン気相脱水反応によりア
ロレイン及びアクリル酸の製造方法におい
、反応温度は200℃から450℃であることが好
しい。グリセリンの沸点が高いため、200℃
満ではグリセリンや反応生成物による重合
炭化により触媒寿命が短くなるおそれがあ
、450℃を超えると並行反応や逐次反応が増
し、アクロレイン及びアクリル酸選択率が
下するおそれがある。より好ましくは250℃
ら350℃である。圧力は特に限定しないが、2
気圧以下が好ましい。より好ましくは1気圧
下である。高圧では気化したグリセリンが
液化するおそれがある。さらに、高圧では
素析出が促進され、触媒の寿命が短くなる
能性がある。
反応時、触媒に対する原料ガスの供給量と
ては、空間速度GHSVとして100~10000h−1が好ま
く、100h−1以下では逐次反応により選択率
低下するおそれがあり、10000h−1以上では転
率が低下するおそれがある。
液相反応では150℃から350℃が好ましい。低
では転化率が低下するが逆に選択率が向上
る。圧力は特に制限しないが、場合により3
気圧から70気圧で加圧することがある。
原料となるグリセリンはグリセリン水溶液
して容易に入手できる。グリセリン水溶液
5重量%から90重量%の濃度範囲となることが
ましい。より好ましくは10重量%から50重量%
ある。グリセリン濃度が高すぎると、グリ
リンエーテルが生成したり、生成した不飽
アルデヒドや不飽和カルボン酸とグリセリ
とが反応するため、あまり好ましくない。
らにグリセリンを気化するために膨大なエ
ルギーを要することとなる。
以下実施例により本発明を更に詳細に説明
るが、本発明はその趣旨を超えない限り、
下の実施例により限定されるものではない
なお、実施例において、%は重量%を意味す
。
実施例1
Chem.Mater.2002,14,3882−3888,Applied catalysis A:Gener
al 297(2006)73−80(北海道大学 奥原敏夫等)に記
載されている剥離還元法によって調製したVOH
PO 4
・1/2H 2
Oのリン−バナジウム系複合酸化物を用いた
すなわち、五酸化バナジウムと85%リン酸と
388Kで16時間還流撹拌し、得られた沈殿物を
過後、アセトン洗浄し、室温で乾燥させた
XRDおよびIRからこれはVOPO 4
・2H 2
O構造を有する化合物であることがわかった
次に得られたVOPO 4
・2H 2
Oを2−ブタノール中で加熱撹拌し、VOPO 4
・2H 2
O層に2−ブタノールをインターカレーション
せ、VOPO 4
・2H 2
O層を剥離させた。次に、このスラリーに2−
ロパノールを添加し、24時間還流撹拌し、
過、アセトン洗浄後、室温で乾燥させ、青
色の粉末を得た。最後に、得られた粉末を
素雰囲気下、550℃で4h焼成した。
つづいて、得られた上記触媒は常圧固定床
通式反応装置を用い、反応評価を行った。
媒粉末を加圧成型後、粉砕して篩いに通し
50~80meshの顆粒を調製した。この触媒顆粒を2
cc分、SUS反応管(直径10mm)に充填し、40重量%の
リセリン水溶液をポンプを介して、300℃に
熱した気化器に搬送し、ガス化した後、気
状のグリセリンを酸素およびスチームと共
直接触媒に流通させた。このとき触媒を有
る反応器は280℃に加熱した。供給ガスの各
分組成は、グリセリン:酸素:水=10mol%:10mol%:79
mol%、GHSVは330h −1
である。
生成物はコンデンサーで凝縮液として回収
GC−MS(島津製GC−17A+GC/MS−QP5050A、GL Science製
TC−WAXカラム)により定量分析を行った。この
ガスクロマトグラフにより各生成物をファク
ター補正し、グリセリン供給量とグリセリン
残量および各生成物の絶対量を求め、次の式
により原料の転化率(グリセリン転化率)、生
物の選択率(アクロレイン、アクリル酸、プ
ロピオンアルデヒドおよびプロピオン酸の選
択率)および生成物の収率(アクロレイン、ア
リル酸、プロピオンアルデヒドおよびプロ
オン酸の収率)を算出した。結果を表1に示
。
原料の転化率(%)=(反応した原料のモル数/供
した原料のモル数)
×100
生成物の選択率(%)=(生成した目的物のモル
/反応した原料のモ
ル数)×100
生成物の収率(%)=(生成した目的物のモル数/
給した原料のモル
数)×100
特公昭57−8761を参考にVOHPO4・1/2H2O前躯体を
製した。即ち、2−メチル−1−プロパノー
1000mlに五酸化バナジウム(V 2
O 5
)100.0gを懸濁させ、105℃で3時間還流下攪拌を
け、V2O5を還元した。98%オルトリン酸粉末132
.0gに2−メチル−1−プロパノール250mlを加え
100℃において攪拌溶解した。
上記2−メチル−1−プロパノール中で加熱
流したバナジウムの黄土色溶液に、100℃の
ルトリン酸溶液(98%オルトリン酸粉末132.0g/2
メチル−1−プロパノール250ml)を徐々に添加
、105℃において攪拌、還流を続けた。3時間
後還流を止めて、室温まで冷却した。次いで
生成した触媒前駆体の青白色スラリーを濾別
し、アセトンで6回洗浄し、乾燥機で140℃に
いて一晩乾燥した。青白色のリン−バナジ
ム系複合酸化物粉末を得た。
つづいて、得られた上記触媒は常圧固定床
通式反応装置を用い、反応評価を行った。
媒粉末を加圧成型後、粉砕して篩いに通し
9~12meshの顆粒を調製した。この触媒顆粒を10
cc分、SUS反応管(直径10mm)に充填し、20重量%の
リセリン水溶液をポンプを介して、21g/hの
量で300℃に加熱した気化器に搬送し、ガス
した後、気体状のグリセリンを空気と共に
接触媒に流通させた。このとき触媒を有す
反応器は300℃から340℃に加熱した。供給ガ
の各成分組成は、グリセリン:酸素:窒素:水=4
.2mol%:2.2mol%:8.1mol%:85.5mol%、GHSVは2445h −1
である。
生成物はコンデンサーで凝縮液として回収
ガスクロマトグラフ(Agilent製GC−7890、DB−WAX
カラム)により定量分析を行った。このガス
ロマトグラフにより各生成物をファクター
正し、グリセリン供給量とグリセリン残量
よび各生成物の絶対量を求め、次の式によ
原料の転化率(グリセリン転化率)、生成物の
選択率(アクロレイン、アクリル酸、プロピ
ンアルデヒドおよびプロピオン酸の選択率)
よび生成物の収率(アクロレイン、アクリル
酸、プロピオンアルデヒドおよびプロピオン
酸の収率)を算出した。結果を表2に示す。
原料の転化率(%)=(反応した原料のモル数/供
した原料のモル数)
×100
生成物の選択率(%)=(生成した目的物のモル
/反応した原料のモ
ル数)×100
生成物の収率(%)=(生成した目的物のモル数/
給した原料のモル
数)×100
実施例3
実施例2において、得られた青白色の乾燥後
粉末をマッフル炉で空気雰囲気下、500℃で3
間焼成し、薄緑色のリン−バナジウム系複
酸化物粉末を得た。
この粉末を使用し、反応評価を実施例2と同
様に行った結果を表2に示す。
リン−バナジウム系複合酸化物との比較の
めに、固体酸の一種としてリン酸アルミナ(
1wt%PO 4
/99wt%Al 2
O 3
)を評価した。リン酸アルミナは特開2005−2132
25を参考に次の方法で調製した。即ち、スノ
テックスO(日産化学工業製)2gにリン酸4gを入
れ混合し、これにα−アルミナを194g入れて、
さらに水200mlを添加し、80℃において撹拌混
した。得られた白色スラリーをロータリー
バポレーターを用いて80℃において減圧乾燥
した。次に100℃で6h、常圧乾燥した。反応評
は、実施例2と同じ反応条件で行った。
(1)グリセリンの脱水反応によりアクロレイン
及びアクリル酸を製造するに際し、本発明の
リン−バナジウム複合酸化物を用いた結果、
アクロレイン及びアクリル酸合計収率が最高
約80.3%と良好な性能を示した。
(2)また、精製分離が困難となるプロピオンア
ルデヒドまたはプロピオン酸の収率が他の固
体酸と比較して低く、調製時のアルコール種
または反応条件を変えることで0%を示した。