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Title:
CATALYST FOR PRODUCTION OF ETHYLENE OXIDE, AND PROCESS FOR PRODUCTION OF ETHYLENE OXIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/088040
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a catalyst which has excellent catalytic performance and enables the long-term and highly selective production of ethylene oxide. Also disclosed is a process for producing ethylene oxide with the catalyst. Specifically disclosed is a catalyst for use in the production of ethylene oxide, which comprises a carrier mainly composed of α-alumina and a catalyst component comprising silver and an alkali metal and/or rhenium and supported on the carrier. The catalyst has: (1) a first desorption peak temperature (T1 [˚C]) that is observed in a temperature range between 150 to 250˚C of lower than 215˚C as measured by oxygen temperature-programmed desorption method (O2-TPD method); and (2) a ratio of a second desorption peak temperature (T2 [˚C]) that is observed in a temperature range between 250 to 400˚C as measured by oxygen temperature-programmed desorption method (O2-TPD method) to the T1 (i.e., a T2/T1 ratio) of less than 1.7.

Inventors:
HASHIMOTO TAKAAKI (JP)
SHIMA MASAHIDE (JP)
SENTO TADASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050146
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
January 08, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON CATALYTIC CHEM IND (JP)
HASHIMOTO TAKAAKI (JP)
SHIMA MASAHIDE (JP)
SENTO TADASHI (JP)
International Classes:
B01J23/68; C07D301/10; C07D303/04; C07B61/00
Foreign References:
JP2007503305A2007-02-22
JP2007301554A2007-11-22
JP2006521380A2006-09-21
JP2002136868A2002-05-14
JP2001062307A2001-03-13
JP2000508969A2000-07-18
JPH072129T
JPH0584440A1993-04-06
JPH04298241A1992-10-22
JPH03207447A1991-09-10
JPS63126552A1988-05-30
Attorney, Agent or Firm:
HATTA & ASSOCIATES (11-9Nibancho, Chiyoda-ku, Tokyo 84, JP)
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Claims:
 α-アルミナを主成分とする担体と、
 前記担体に担持されてなる、銀ならびにアルカリ金属および/またはレニウムを含む触媒成分と、
を含むエチレンオキシド製造用触媒であって、
 (1)酸素昇温脱離法(O 2 -TPD法)により150~250℃の温度領域に観測される第1脱離ピーク温度(T1[℃])が215℃未満であり;
 (2)酸素昇温脱離法(O 2 -TPD法)により250~400℃の温度領域に観測される第2脱離ピーク温度(T2[℃])の前記T1に対する比(T2/T1)が1.7未満である;
ことを特徴とする、エチレンオキシド製造用触媒。
 前記T2が290~360℃である、請求項1に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
 前記T1が180℃以上210℃未満である、請求項1または2に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
 前記T2の前記T1に対する比(T2/T1)が1.65未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載のエチレンオキシド製造用触媒。
 請求項1~4のいずれか1項に記載のエチレンオキシド製造用触媒の存在下で、エチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化する段階を有する、エチレンオキシドの製造方法。
Description:
エチレンオキシド製造用触媒お びエチレンオキシドの製造方法

 本発明は、エチレンオキシド製造用触媒 よびエチレンオキシドの製造方法に関する 詳細には、本発明は、触媒活性、選択性お び触媒寿命に優れ、長期に亘って高い選択 でエチレンオキシドを製造しうる触媒およ この触媒を用いたエチレンオキシドの製造 法に関する。

 エチレンを銀触媒の存在下で分子状酸素 有ガスにより接触気相酸化してエチレンオ シドを製造することは工業的に広く行われ いる。この接触気相酸化に用いる銀触媒に いては、その担体、担持方法、反応促進剤 種類やその添加量などに関し、多くの技術 提案されている。

 ここで、反応促進剤としては、アルカリ 属が有効であることが知られている。例え 、特開昭63-126552号公報(実施例1)、特開平9-15 0058号公報、特開2003-320255号公報には、アルカ リ金属とレニウムとを併用することにより、 触媒の選択性を向上させる技術が開示されて いる。

 具体的には、特開昭63-126552号公報には、 、レニウム、セシウムを含有する触媒が開 されており、初期選択性の向上が示されて る。しかしながら、長期間に亘って選択性 向上する旨の開示はない。

 また、特開平9-150058号公報には、アルカ 金属化合物(リチウム化合物)とセシウム化合 物を含有する溶液で担体を前処理し、次いで 銀化合物およびセシウム化合物を含有する溶 液を含浸させた後に加熱処理して触媒を製造 する技術が開示されており、活性および選択 率の向上が示されている。しかしながら、や はり長期間に亘って選択性が向上する旨の開 示はない。

 さらに、特開2003-320255号公報には、ハロ ン、銀、アルカリ金属およびレニウムを含 活性成分を担体に担持した触媒が開示され おり、かような構成とすることで高い選択 を長期間維持することができるとしている しかしながら、具体的にどの程度の期間に って高い選択性が維持されたかについての 載がなく、その耐久性は十分とは言い難い

 銀触媒の触媒活性、選択性および触媒寿 はすでに高いレベルに達しているが、なお れらの物性の向上が求められている。例え 選択率を例にとれば、エチレンオキシドの 産規模は大きいことから、選択率が僅か1% 上するだけでも、原料エチレンの使用量が しく節約され、その経済的効果は大きい。 のような事情から、より優れた触媒性能を する銀触媒の開発が当該技術分野の研究者 継続的なテーマとなっている。

 本発明は、上述した従来技術の技術およ その問題点に鑑みてなされたものであり、 れた触媒性能を有し、長期に亘って高選択 でエチレンオキシドを製造しうる触媒およ この触媒を用いたエチレンオキシドの製造 法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、上述した課題を解決すべく 意研究を行った。その結果、酸素昇温脱離( O 2 -Temperature Programmed Desorption)法(以下、単に「O 2 -TPD法」とも称する)により観測される2つの脱 離ピーク温度が所定の関係を満足するような 触媒を採用することで、エチレンに対する活 性が高く、かつエチレンオキシドを高選択率 で製造可能なエチレンオキシド製造用触媒が 提供されうることを見出し、本発明を完成さ せるに至った。

 すなわち、本発明の一形態は、α-アルミナ 主成分とする担体と、前記担体に担持され なる、銀ならびにアルカリ金属および/また はレニウムを含む触媒成分とを含むエチレン オキシド製造用触媒であって、(1)O 2 -TPD法により150~250℃の温度領域に観測される 1脱離ピーク温度(T1[℃])が215℃未満であり;(2 )O 2 -TPD法により250~400℃の温度領域に観測される 2脱離ピーク温度(T2[℃])の前記T1に対する比( T2/T1)が1.7未満であることを特徴とする、エチ レンオキシド製造用触媒である。

 本発明によれば、優れた触媒性能を有し 長期に亘って高選択率でエチレンオキシド 製造しうる触媒およびこの触媒を用いたエ レンオキシドの製造方法が提供されうる。

 以下、本発明の実施の形態を説明する。

 本発明の一形態は、α-アルミナを主成分と る担体と、前記担体に担持されてなる、銀 らびにアルカリ金属および/またはレニウム を含む触媒成分とを含むエチレンオキシド製 造用触媒であって、(1)O 2 -TPD法により150~250℃の温度領域に観測される 1脱離ピーク温度(T1[℃])が215℃未満であり;(2 )O 2 -TPD法により250~400℃の温度領域に観測される 2脱離ピーク温度(T2[℃])の前記T1に対する比( T2/T1)が1.7未満であることを特徴とする、エチ レンオキシド製造用触媒である。

 本発明のエチレンオキシド製造用触媒は、 述した通り、触媒のO 2 -TPD法により観測される2つの脱離ピーク温度 所定の関係を満足するものであればよく、 の他の形態(担体の形状や触媒成分の具体的 な形態など)は特に制限されない。

 昇温脱離法(TPD法)とは、試料に特定の分 (原子)を吸着させた後に加熱し、これにより 脱離してくる分子(原子)を温度の関数として 定する手法である。TPD法は通常、試料にお る上記特定の分子(原子)の吸着状態(吸着エ ルギー、吸着量など)や試料表面での反応を 解析する目的で用いられる。

 詳細には、O 2 -TPD法では、試料に上記特定の分子(原子)とし ての酸素分子(O 2 )を吸着させた後、試料を入れたフロー型セ にヘリウムガスなどの純キャリアガスを流 させる。そして、試料を一定の昇温速度で 熱する。すると、吸着していたO 2 が加熱によりキャリアガス中へ脱離してくる 。この脱離特性を、熱伝導度検出器(TCD;Thermal  Conductivity Detector)およびセル内の温度計(熱 対)を用いてモニターする。そして最終的に は、O 2 脱離の信号強度(縦軸)を試料温度(横軸)に対 てプロットすることで、熱脱離スペクトル 得られるのである。本発明における脱離ピ ク温度とは、この熱脱離スペクトルにおけ ピーク温度を意味する。なお、熱脱離スペ トルを得るためのO 2 -TPD法の具体的な手法としては、後述する実 例に記載の手法を採用するものとする。

 本発明のような、α-アルミナを主成分と る担体に銀ならびにアルカリ金属および/ま たはレニウムを含む触媒成分が担持されてな る触媒の熱脱離スペクトルにおいては、150~25 0℃の温度領域に1つ目のピークが観測され(第 1ピーク脱離温度)、250~400℃の温度領域に2つ のピークが観測される(第2ピーク脱離温度)

 そして、本発明の触媒においては、第1ピ ーク脱離温度(T1[℃])は215℃未満であり、好ま しくは213℃未満であり、より好ましくは210℃ 未満である。T1が215℃以上であると、エチレ オキシドの製造において長期に亘って高選 率を維持するという本発明の作用効果が得 れなくなってしまう。なお、第1ピーク脱離 温度の下限値について特に制限はないが、一 般的には180℃以上であり、より好ましくは185 ℃以上である。

 また、本発明の触媒において、T2のT1に対 する比(T2/T1)は1.7未満であり、好ましくは1.68 満であり、より好ましくは1.65未満である。 T2のT1に対する比(T2/T1)が1.7以上であると、エ レンオキシドの製造において長期に亘って 選択率を維持するという本発明の作用効果 得られなくなってしまう。なお、T2のT1に対 する比(T2/T1)の下限値について特に制限はな が、一般的には1.3以上であり、より好まし は1.4以上である。

 なお、第2ピーク脱離温度(T2[℃])の絶対値 についても特に制限はなく、T1およびT2/T1が 述した数値範囲を満足するような値であれ よい。一例を挙げると、T2は、好ましくは270 ~380℃であり、より好ましくは280~370℃であり さらに好ましくは290~360℃である。T2がかよ な範囲内の値であれば、エチレンオキシド 製造において長期に亘って高選択率を維持 るという本発明の作用効果がより一層顕著 発揮されうる。

 続いて、本発明の触媒の具体的な構成に いて説明する。ただし、本発明の技術的範 は特許請求の範囲の記載に基づいて定めら るべきであり、以下に記載する具体的な形 のみに制限されることはない。

 まず、担体の組成について、α-アルミナ 主成分とすること以外は特に制限されない ここで、担体が「α-アルミナを主成分とす 」とは、担体におけるα-アルミナの含有量 、担体の全質量100質量%に対して90質量%以上 であることを意味する。担体におけるα-アル ミナの含有量は、好ましくは95質量%以上であ り、より好ましくは98質量%以上である。α-ア ルミナを主成分とするものであればその他の 組成は特に制限されないが、担体は、例えば アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化 物や遷移金属の酸化物を含有しうる。これら の含有量についても特に制限はないが、アル カリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物の 含有量は、酸化物換算で好ましくは0~5質量% あり、より好ましくは0.01~4質量%である。ま 、遷移金属の酸化物の含有量は、酸化物換 で好ましくは0~5質量%であり、より好ましく は0.01~3質量%である。

 担体はまた、シリカ(酸化ケイ素)を通常 有する。担体におけるシリカの含有量につ ても特に制限はないが、好ましくは0.1~5質量 %であり、より好ましくは0.3~3質量%である。

 なお、上述した担体の組成や各成分の含 量は、蛍光X線分析法を用いて決定されうる 。

 担体の形状は特に制限されず、リング状 球状、円柱状、ペレット状のほか、従来公 の知見が適宜参照されうる。また、担体の イズ(平均直径)についても特に制限はなく 好ましくは3~20mmであり、より好ましくは5~10m mである。

 担体の粒径に関しても特に制限はないが 担体の一次粒子径は、好ましくは0.01~100μm あり、より好ましくは0.1~20μmであり、さら 好ましくは0.5~10μmであり、特に好ましくは1~ 5μmである。また、担体の二次粒子径は、好 しくは0.1~1,000μmであり、より好ましくは1~500 μmであり、さらに好ましくは10~200μmであり、 特に好ましくは30~100μmである。

 担体の比表面積についても特に制限はない 、好ましくは0.03~10m 2 /gであり、より好ましくは0.5~5.0m 2 /gであり、さらに好ましくは1.0~3.0m 2 /gである。担体の比表面積が0.03m 2 /g以上であれば、吸水率が充分に確保され、 媒成分の担持が容易となる。一方、担体の 表面積が10m 2 /g以下であれば、担体の細孔径がある程度大 い値に維持され、製造された触媒を用いた チレンオキシド製造時のエチレンオキシド 逐次酸化が抑制されうる。なお、担体の比 面積の値としては、後述する実施例に記載 手法により得られる値を採用するものとす 。

 担体の細孔容積も特に制限されないが、 ましくは0.2~0.6mL/gであり、より好ましくは0. 3~0.5mL/gであり、さらに好ましくは0.35~0.45mL/g ある。担体の細孔容積が0.2mL/g以上であれば 触媒成分の担持が容易となるという点で好 しい。一方、担体の細孔容積が0.6mL/g以下で あれば、担体の強度が実用的な程度に確保さ れうるという点で好ましい。なお、担体の細 孔容積の値としては、水銀圧入法により、200 ℃にて少なくとも30分間脱気した担体をサン ルとし、測定装置としてオートポアIII9420W( 式会社島津製作所製)を用い、1.0~60,000psiaの 力範囲及び60個の測定ポイントで測定され 値を採用するものとする。

 担体の有する細孔のサイズも特に制限さ ないが、平均細孔直径は、好ましくは0.1~10 mであり、より好ましくは0.2~4.0μmであり、さ らに好ましくは0.3~3.0μmである。平均細孔直 が0.1μm以上であれば、エチレンオキシド製 時の生成ガスの滞留に伴うエチレンオキシ の逐次酸化が抑制されうる。一方、平均細 直径が10μm以下であれば、担体の強度が実用 的な程度に確保されうる。なお、平均細孔直 径の値としては、担体の細孔容積の測定方法 として上述した手法(水銀圧入法)と同様の手 により測定される値を採用するものとする

 担体の吸水率についても特に制限はない 、好ましくは10~70%であり、より好ましくは2 0~60%であり、さらに好ましくは30~50%である。 体の吸水率が10%以上であれば、触媒成分の 持が容易となる。一方、担体の吸水率が70% 下であれば、担体の強度が実用的な程度に 保されうる。なお、担体の吸水率の値とし は、後述する実施例に記載の手法により得 れる値を採用するものとする。

 本発明の触媒は、上述した担体に触媒成 が担持されてなる構成を有する。そして、 発明の触媒は、まず、触媒成分として銀を 須に含有する。そして、銀に加えて、一般 反応促進剤として用いられる触媒成分であ アルカリ金属およびレニウムの少なくとも 方をさらに必須に含有する。アルカリ金属 して具体的には、リチウム、ナトリウム、 リウム、ルビジウム、セシウムが挙げられ 。これらのアルカリ金属および/またはレニ ウム(反応促進剤)は、1種のみが単独で用いら れてもよいし、2種以上が併用されてもよい これらのうち、本発明においては、反応促 剤としてセシウム、レニウムが好適に用い れる。なお、上述した以外の従来公知の触 成分がさらに用いられてもよい。

 銀や反応促進剤の担持量については特に 限はなく、エチレンオキシドの製造に有効 量で担持すればよい。例えば、銀の場合、 の担持量はエチレンオキシド製造用触媒の 量基準で1~30質量%であり、好ましくは5~20質 %である。また、反応促進剤の担持量は、エ チレンオキシド製造用触媒の質量基準で、通 常0.001~2質量%であり、好ましくは0.01~1質量%で あり、より好ましくは0.1~0.7質量%である。よ 詳細には、本発明の作用効果をより一層発 させるという観点から、触媒成分としてア カリ金属が用いられる場合のアルカリ金属 担持量(2種以上のアルカリ金属が用いられ 場合の合計担持量)は、触媒の質量基準で、 ましくは0.03~1.0質量%であり、より好ましく 0.05~0.5質量%である。また、触媒成分として ニウムが用いられる場合のレニウムの担持 は、触媒の質量基準で、好ましくは0.002~0.2 量%であり、より好ましくは0.01~0.1質量%であ る。

 本発明のエチレンオキシド製造用触媒は、 媒のO 2 -TPD法により観測される脱離ピーク温度が上 した規定を満足するように調節される点を けば、従来公知のエチレンオキシド製造用 媒の製造方法に従って調製されうる。

 以下、本発明のエチレンオキシド製造用 媒を製造する手法の一例を説明するが、本 明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に づいて定められるべきであり、下記の手法 みに限定されるわけではない。

 まず、担体を準備する。担体の調製方法 しては、次のような調製方法を採用するこ で、担体の物性が制御されうることが知ら ている。すなわち、1)α-アルミナを主成分 する母粉体に、所望のサイズおよび量の気 形成剤を添加する方法、2)物性の異なる少な くとも2種の母粉体を所望の混合比で調合す 方法、3)担体を所望の温度にて所望の時間焼 成する方法、などが知られており、これらを 組み合わせた手法も知られている。これらの 調製方法については、例えば、「多孔質体の 性質とその応用技術」竹内雍監修、株式会社 フジ・テクノシステム発行(1999年)に記載され ている。また、特開平5-329368号公報、特開2001 -62291号公報、特開2002-136868号公報、特許第2983 740号公報、特許第3256237号公報、特許第3295433 公報なども参照されうる。

 次いで、担体に触媒成分(銀並びにアルカ リ金属および/またはレニウム)を担持させる めの溶液を調製する。具体的には、銀化合 と、アルカリ金属を含有する化合物および/ またはレニウム含有化合物とを、水などの溶 媒に添加する。この際、必要に応じて、錯体 を形成するための錯化剤をさらに溶媒に添加 してもよい。銀化合物としては、例えば、硝 酸銀、炭酸銀、シュウ酸銀、酢酸銀、プロピ オン酸銀、乳酸銀、クエン酸銀、ネオデカン 酸銀などが挙げられる。また、アルカリ金属 を含有する化合物としては、アルカリ金属の 硝酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物 、酢酸塩、硫酸塩などが挙げられ、レニウム 含有化合物としては、過レニウム酸アンモニ ウム、過レニウム酸ナトリウム、過レニウム 酸カリウム、過レニウム酸、塩化レニウム、 酸化レニウムなどが挙げられる。さらに、錯 化剤としては、例えば、モノエタノールアミ ン、ジエタノールアミン、トリエタノールア ミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミ ンなどが挙げられる。これらの各種化合物や 錯化剤は、それぞれ、1種のみが単独で用い れてもよいし、2種以上が併用されてもよい

 次いで、上記で得られた溶液を、同じく 記で準備した担体に含浸させる。この際、 応促進剤は、上述したように銀イオンが溶 した水溶液に同様に溶解させて銀と同時に 体に含浸させてもよいし、銀を担持する前 たは銀を担持した後に担体に担持してもよ 。銀とは別に担持させる場合には、担持用 溶液(例えば、水溶液)を別途準備し、これ 担体を担持させればよい。

 続いて、上記担体を乾燥し、焼成する。 燥は、空気、酸素、または不活性ガス(例え ば、窒素)の雰囲気中で、80~120℃の温度で行 ことが好ましい。また、焼成は、空気、酸 、または不活性ガス(例えば、窒素)の雰囲気 中で、150~700℃の温度で、好ましくは200~600℃ 温度で0.1~100時間程度行うことが好ましい。 なお、焼成は、1段階のみ行われてもよいし 2段階以上行われてもよい。好ましい焼成条 としては、1段階目の焼成を空気雰囲気中で 150~250℃にて0.1~10時間行い、2段階目の焼成を 気雰囲気中で250~450℃にて0.1~10時間行う条件 が挙げられる。さらに好ましくは、かような 空気雰囲気中での焼成後にさらに、不活性ガ ス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなど) 囲気中で450~700℃にて0.1~10時間、焼成を行う とよい。

 本発明の他の形態によれば、本発明のエ レンオキシド製造用触媒の存在下で、エチ ンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化す 段階を有する、エチレンオキシドの製造方 が提供される。

 本発明のエチレンオキシドの製造方法は 触媒として本発明のエチレンオキシド製造 触媒を使用する点を除けば、常法に従って われうる。

 例えば、工業的製造規模における一般的な 件、すなわち反応温度150~300℃、好ましくは 180~280℃、反応圧力2~40kg/cm 2 G、好ましくは10~30kg/cm 2 G、反応温度150~300℃、好ましくは180~280℃、空 間速度1,000~30,000hr -1 (STP)、好ましくは3,000~8,000hr -1 (STP)が採用される。触媒に接触させる原料ガ としては、エチレン0.5~40容量%、酸素3~10容 %、炭酸ガス5~30容量%、残部の窒素、アルゴ 、水蒸気等の不活性ガスおよびメタン、エ ン等の低級炭化水素類からなり、さらに反 抑制剤としての二塩化エチレン、塩化ジフ ニル等のハロゲン化物を0.1~10容量ppm含有す ものが挙げられる。本発明の製造方法にお て使用される分子状酸素含有ガスとしては 空気、酸素および富化空気が挙げられる。

 本発明の効果を、以下の実施例および比 例を用いて説明する。ただし、本発明の技 的範囲が以下の実施例のみに制限されるわ ではない。なお、本実施例において、担体 各種パラメータの測定は以下の手法により われた。

 <担体の比表面積の測定>
 担体を粉砕した後、0.85~1.2mmの粒径に分級し たもの約0.2gを正確に秤量した。秤量したサ プルを200℃にて少なくとも30分間脱気し、BET (Brunauer-Emmet-Teller)法により測定した。

 <担体中のシリカ含有量の測定>
 蛍光X線分析法により測定した。

 <担体の吸水率の測定>
 日本工業規格(JIS R 2205(1998年度))に記載の 法に準拠して、以下の手法により測定した

 a)破砕前の担体を、120℃に保温した乾燥 中に入れ、恒量に達した際の質量を秤量し (乾燥質量:W1(g))。

 b)上記a)で秤量した担体を水中に沈めて30 間以上煮沸した後、室温の水中にて冷却し 飽水サンプルとした。

 c)上記b)で得た飽水サンプルを水中から取 り出し、湿布ですばやく表面を拭い、水滴を 除去した後に秤量した(飽水サンプル質量:W2(g ))。

 d)上記で得られたW1およびW2を用い、下記 式1に従って、吸水率を算出した。

 (実施例1)
 シュウ酸銀14.6g、硝酸セシウム0.1444g、過レ ウム酸アンモニウム0.0246gを約14mlの水に溶 し、さらにエチレンジアミン6.8mlを添加した 。この溶液をα-アルミナ担体(比表面積1.5m 2 /g、シリカ含有量0.7質量%、吸水率41.7%)52gに含 浸した後、空気気流中300℃で0.25時間、熱処 を施した。次いでさらに窒素気流中550℃で3 間、熱処理を施し、触媒Aを得た。触媒Aに けるセシウムおよびレニウムの含有量は、 媒の質量基準でそれぞれ0.158質量%および0.025 質量%であった。

 (実施例2)
 シュウ酸銀14.6g、硝酸セシウム0.1313g、過レ ウム酸アンモニウム0.0246gを約14mlの水に溶 し、さらにエチレンジアミン6.8mlを添加した 。この溶液をα-アルミナ担体(比表面積1.5m 2 /g、シリカ含有量0.7質量%、吸水率41.7%)52gに含 浸した後、空気気流中300℃で0.25時間、熱処 を施した。次いでさらに窒素気流中550℃で3 間、熱処理を施し、触媒Bを得た。触媒Bに けるセシウムおよびレニウムの含有量は、 媒の質量基準でそれぞれ0.143質量%および0.025 質量%であった。

 (実施例3)
 シュウ酸銀14.6g、硝酸セシウム0.0844g、過レ ウム酸アンモニウム0.0246gを約14mlの水に溶 し、さらにエチレンジアミン6.8mlを添加した 。この溶液をα-アルミナ担体(比表面積1.5m 2 /g、シリカ含有量0.7質量%、吸水率41.7%)52gに含 浸した後、空気気流中300℃で0.25時間、熱処 を施し、触媒Cを得た。触媒Cにおけるセシウ ムおよびレニウムの含有量は、触媒の質量基 準でそれぞれ0.092質量%および0.025質量%であっ た。

 (比較例1)
 シュウ酸銀14.6g、硝酸セシウム0.0938g、過レ ウム酸アンモニウム0.0246gを約14mlの水に溶 し、さらにエチレンジアミン6.8mlを添加した 。この溶液をα-アルミナ担体(比表面積1.5m 2 /g、シリカ含有量0.7質量%、吸水率41.7%)52gに含 浸した後、空気気流中300℃で0.25時間、熱処 を施した。次いでさらに窒素気流中550℃で3 間、熱処理を施し、触媒Dを得た。触媒Dに けるセシウムおよびレニウムの含有量は、 媒の質量基準でそれぞれ0.102質量%および0.025 質量%であった。

 (比較例2)
 シュウ酸銀14.6g、硝酸セシウム0.1876g、過レ ウム酸アンモニウム0.0315gを約14mlの水に溶 し、さらにエチレンジアミン6.8mlを添加した 。この溶液をα-アルミナ担体(比表面積1.5m 2 /g、シリカ含有量0.7質量%、吸水率41.7%)52gに含 浸した後、空気気流中300℃で0.25時間、熱処 を施した。次いでさらに窒素気流中550℃で3 間、熱処理を施し、触媒Eを得た。触媒Eに けるセシウムおよびレニウムの含有量は、 媒の質量基準でそれぞれ0.205質量%および0.032 質量%であった。

 (TPD法による脱離ピーク温度の測定)
 上記の実施例1~3並びに比較例1および2で得 触媒A~Eについて、以下に説明するTPD法を用 て、脱離ピーク温度を測定した。

 まず、触媒の前処理として、850~1180μmの粒 に粉砕した触媒3gを、内径7.5mm、管長300mmの テンレス製反応器に充填して充填層とした 次いで、この充填層にエチレン23容量%、酸 6.7容量%、塩化エチレン6.4容量ppm、残余が窒 からなるガスを導入し、反応圧力0.5kg・G、 間速度5500hr -1 の条件で、エチレン転化率が4.6容量%となる うにして、10時間反応を行った。

 一方、TPD測定装置(日本ベル株式会社製、触 媒分析装置、BEL-CAT)を準備した。反応後の触 0.5gを石英ガラス製TPD試料管に入れて触媒層 とし、内部をヘリウムガスで置換した。その 際、触媒層の中心に位置するように熱電対を 設置した。次いで、ヘリウムガスを60ml/分の 給速度で供給しながら50℃まで昇温させた その後、酸素(O 2 )ガスを60ml/分の供給速度で供給しながら19分 かけて240℃まで昇温させ、昇温後60分間240 に保持した。次いで、酸素(O 2 )ガスを60ml/分の供給速度で供給しながら40分 かけて50℃まで降温させ、降温後はヘリウ ガスの供給(供給速度60ml/分)に切り替えた。

 その後、10℃/分の昇温速度で500℃まで昇 させ、この際の酸素の脱離量を熱伝導度検 器(TCD;Thermal Conductivity Detector)を用いて検出 した。そして、150~250℃の温度領域に観察さ る脱離ピーク温度を第1脱離ピーク温度(T1[℃ ])とし、250~400℃の温度領域に観察される脱離 ピーク温度を第2脱離ピーク温度(T2[℃])とし 。また、これらの測定と併せて、T2[℃]のT1[ ]に対する比(T2/T1)を算出した。結果を下記 表1に示す。

 (触媒の選択率の測定:加速試験)
 各実施例および各比較例において得られた 媒について、以下の手法により加速試験を い、触媒の耐久性を評価した。

 まず、各実施例および各比較例において得 れた触媒を、それぞれ600~850μmの粒径に粉砕 し、粉砕後の各触媒0.3gを、850~1180μmの粒径に 粉砕したイナート(ノープロ製、F24)0.9gととも に、外部が加熱型の二重管式ステンレス製反 応器(内径3mm、管長300mm)に充填して充填層を 成した。次いで、当該充填層に、エチレン25 容量%、酸素7.6容量%、二酸化炭素6.0容量%、二 塩化エチレン3容量ppm、残余はメタンと、微 の窒素、アルゴンおよびエタンからなるガ を導入し、反応圧力25kg・G、空間速度22000hr -1 の条件で、エチレン転化率が5容量%となるよ にして、反応を行った。反応開始から10日 に選択率および反応温度を測定した。また 反応開始から50日目に選択率を測定した。測 定結果を下記の表2に示す。なお、エチレン キシド製造時の転化率および選択率は、そ ぞれ下記の数式2および数式3に従って算出さ れる。

 上記表2に示す結果から、各比較例におい て得られた触媒と比較して、各実施例におい て得られた触媒では、より低い反応温度でも 高い選択率が得られる。また、かような高い 選択率が長期に亘って維持されうる。従って 、本発明によれば、優れた触媒性能を有し、 長期に亘って高選択率でエチレンオキシドを 製造しうる触媒が提供されうる。そして、当 該触媒を用いたエチレンオキシドの製造方法 によれば、長期に亘って高収率でエチレンオ キシドを製造することが可能となる。